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  • 特許-PTHコンジュゲートの開始用量 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】PTHコンジュゲートの開始用量
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/59 20170101AFI20240823BHJP
   A61K 38/29 20060101ALI20240823BHJP
   A61K 47/61 20170101ALI20240823BHJP
   A61P 5/18 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240823BHJP
   A61K 47/58 20170101ALI20240823BHJP
   C12N 15/16 20060101ALN20240823BHJP
【FI】
A61K47/59
A61K38/29 ZNA
A61K47/61
A61P5/18
A61P7/04
A61P19/00
A61P19/02
A61P19/10
A61P19/08
A61P17/14
A61P29/00 101
A61K47/58
C12N15/16
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020564461
(86)(22)【出願日】2019-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2019062773
(87)【国際公開番号】W WO2019219896
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-04-12
(31)【優先権主張番号】18173155.5
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518310145
【氏名又は名称】アセンディス ファーマ ボーン ディジージズ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スプローエ,ケネット
(72)【発明者】
【氏名】カープフ,デイヴィッド ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ストレンジ,クラウス
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/148883(WO,A1)
【文献】特表2019-535648(JP,A)
【文献】Journal of bone and mineral research,2016年,Vol. 32, No. 1,p. 86-98
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開始用量が3.9~4.9nmol/日の範囲であり、副甲状腺機能低下症の治療のための、PTHコンジュゲート若しくはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物であって、
PTHコンジュゲートが、式(IIf-i):
【化1】
(式中、
印の付いていない破線は、アミド結合を形成することによる、配列番号51の配列を有するPTH部分のN末端アミン官能基への結合を示し、
アスタリスクが付いている破線は、部分構造
【化2】
への結合を示し、式中、
m及びpは、独立して、400500の範囲の整数である)
であり、
皮下注射によってヒト患者に投与される、前記医薬組成物。
【請求項2】
開始用量が4.4±0.3nmol/日である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
開始用量が1回の皮下注射として患者に投与される、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開始用量が0.8~4.9nmol/日の範囲であり、PTHで治療し、管理し、遅延させ、又は予防することができる疾患の治療、管理、遅延又は予防に使用するための、PTH部分がポリマー系部分構造又は脂肪酸系部分構造に可逆的にコンジュゲートされているPTHコンジュゲート、若しくはその医薬的に許容される塩、又は前記PTHコンジュゲート若しくはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物、及びそれぞれの治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
副甲状腺機能低下症(HP)は、ミネラル代謝に関する希少な障害である。臨床症状としては、筋けいれん、けいれん、又はテタニーを挙げることができ、まれに、致死性である事象、例えば、発作や喉頭けいれんを挙げることができる。病因は、殆どの場合、成人において頸部手術又は小児において遺伝障害である。
【0003】
ビタミンD類似体及びカルシウムを用いる従来の療法は、腸管吸収の増加を介して血清カルシウムを正常化できるが、PTH依存性腎カルシウム再吸収を回復することも、又は骨代謝回転の低下を調整することもない。血清カルシウムが正常未満のレベルに維持されている場合でも、高カルシウム尿症及び高リン血症がしばしば生じる。慢性高カルシウム尿症は、不可逆的な腎障害及び腎不全を引き起こす恐れがあり、持続性高リン血症は、CxP産物の上昇をもたらし、腎実質、血管系、眼の水晶体、及び脳の大脳基底核に異所性石灰化を引き起こす恐れがあり、その結果、潜在的なさらなる罹患率そして死亡率へと至る。このリスクを低減するために、殆どの場合、ビタミンD類似体及びカルシウムの投薬量を低減して、血清カルシウムを最低耐容レベルに維持する。それ故、多くの副甲状腺機能低下症患者は、高カルシウム尿症誘発性の腎障害を回避するために、さまざまな程度の低カルシウム血症に病んでいる。(Clin Endocrinol Metab. 2012 Feb; 97(2): 391-399)。
【0004】
PTHの過剰産生によって、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、低リン血症、リン酸塩血症、及び破骨細胞骨吸収の増加を特徴とする、独特な病態生理学的症候群、副甲状腺機能亢進症が発生することはよく知られている。持続注入後の超生理的PTHへの連続曝露によって、副甲状腺機能亢進症の症状の多くが再現される。この研究では、注入されたPTH用量両方ともが、超生理的PTH用量と一致して、内因性PTH(1-84)分泌の結果として生じた顕著な低減を伴って、高カルシウム血症にいたった。内因性PTH(1-84)分泌の抑制は、血清カルシウムの上昇に応答して起こる。高カルシウム血症に応答する最大抑制は、ベースラインの血清カルシウム値にかかわらず、健常なボランティアで約3~5pg/mlに低下することが示された。(Journal of Bone and Mineral Research、Vol. 26、No. 9、September 2011、pp 2287-2297)
【0005】
HP療法の1つの目標は血清カルシウムを正常化することであるので、超生理的レベルのPTHは避ける必要がある。
【0006】
PTH 1-34の単回又は2回の連日注射によって、血清カルシウム及び尿中カルシウムを正常又はほぼ正常範囲に回復することができる。テリパラチドは、吸収が持続的であることに起因して、IV投与後約5分及び皮下投与後1時間の短い半減期を有する(Forteo処方情報)。連日2回の投薬によるより良い結果については、PTH(1-34)の短い半減期で説明でき、この半減期のカルシウム正常化効果は、単回投与後全24時間持続しない。
【0007】
2015年、Natpara、PTH(l-84)が、副甲状腺機能低下症を有する患者のビタミンD及びカルシウムへの補助剤として連日1回の皮下注射に認可された。これは疾患の治療における重要な進展を表すが、Natparaは、おそらくその短い半減期(約5分IV、皮下投与後約3時間)に起因して、治療を受けた患者の従来の療法と比較して、高カルシウム血症、低カルシウム血症、又は高カルシウム尿症の発生率を低減する能力を実証しなかった。
【0008】
したがって、PTHレベルと血清カルシウムを生理学的範囲に維持することができる、副甲状腺機能低下症向けの改善されたPTHベースの療法に対する大きな需要がある。そのようなアプローチの1つは、PTHへの連続曝露を提供することである。例えば、より生理学的なPTHレベルを容易にするために、2回の連日注射と比較して、PTH(1-34)をポンプ送達によって投与して、臨床研究を行った。PTH(1-34)のポンプ送達は、骨代謝回転、血清カルシウム、血清リン酸塩、血清マグネシウム、及び尿中カルシウム排泄のマーカーの同時正常化を達成した。
【0009】
しかし、注入ポンプに依存するという要件は患者にとってやっかいであり、持続注入のようなPTHへの曝露が単回の連日注射で行うことができれば多大な改善となるであろう。
【0010】
この問題に対処するために、PTHの可逆的ポリマーコンジュゲートが開発され(WO2017/148883A1)、これは連日注射によってPTHの持続的な連続放出を提供する。低カルシウム血症と高カルシウム血症の両方が顕著な罹患率を伴っているので、そのような連日療法の開始用量を適切に選択して、患者が臨床効果も、一方有害作用のリスクを低減することも両方を受けることを確実にすることが最も重要である。これまで、そのようなPTHコンジュゲート向けの適切で安全な開始用量に関して使用できる情報はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】WO2017/148883A1
【非特許文献】
【0012】
【文献】Clin Endocrinol Metab. 2012 Feb; 97(2): 391-399
【文献】Journal of Bone and Mineral Research、Vol. 26、No. 9、September 2011、pp 2287-2297
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、長時間作用型PTHコンジュゲートの安全で効果的な開始用量を特定する必要がある。これが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、開始用量が0.8~4.9nmol/日の範囲であり、PTHで治療し、管理し、遅延させ、又は予防することができる疾患の治療、管理、遅延又は予防に使用するための、PTH部分がポリマー系部分構造又は脂肪酸系部分構造に可逆的にコンジュゲートされているPTHコンジュゲート、若しくはその医薬的に許容される塩、又は前記PTHコンジュゲート若しくはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物で達成される。ある特定の実施形態において、開始用量は0.8~3.9nmol/日の範囲である。
【0015】
別の態様において、本発明は、PTHで治療し、管理し、遅延させ又は予防することができる疾患に罹患している患者において治療し、管理し、遅延させ又は予防する方法であって、PTH部分がポリマー系部分構造又は脂肪酸系部分構造に可逆的にコンジュゲートされているPTHコンジュゲート、若しくはその医薬的に許容される塩、又は前記PTHコンジュゲート若しくはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物の有効量を、0.8~4.9nmol/日の範囲にある開始用量で患者に投与することを含む、方法に関する。ある特定の実施形態において、開始用量は0.8~3.9nmol/日の範囲である。
【0016】
驚くべきことに、0.8~4.9nmol/日の範囲の用量は、内因性PTH(1-84)分泌の抑制を誘発することができ、一方、高カルシウム血症を誘発しないこと、及び、0.8~3.9nmol/日の範囲の用量は血清カルシウムを増加させることができ、一方、内因性PTH(1-84)分泌を完全には抑制しないこと、が判明した。
【0017】
本発明では、以下のような意味を有する用語を使用する。
【0018】
本明細書において使用する用語「開始用量」とは、PTHコンジュゲートでの療法を最初に開始する場合に患者に投与される本発明のPTHコンジュゲートの用量を指す、すなわち、そのような患者は、前記PTHコンジュゲートの用量を以前に施されたことがない。そのような開始用量を、一定の期間、例えば数週間又は数ヶ月間継続して、患者が、その他の薬物治療、例えば経口カルシウム及び活性ビタミンDを安定化し調整することが可能となる、ことが理解される。
【0019】
本明細書において使用する用語「PTH」は、血清カルシウムを及び腎臓リン排泄を増すこと、血清リン及び腎臓カルシウム排泄を減じることを特徴とする、全てのPTHポリペプチド、好ましくは哺乳動物種からの、より好ましくはヒト及び霊長類動物種からの、より好ましくはヒトからの前記PTHポリペプチドはもちろん、それらのバリアント、アナログ、オルソログ、ホモログ、並びにそれらの誘導体及び断片も指す。用語「PTH」は、共通のPTH/PTHrP1受容体と結合し、それを活性化する、全てのPTHrPポリペプチド、例えば、配列番号121のポリペプチドも指す。好ましくは、用語「PTH」は、配列番号51のPTHポリペプチド、並びに本質的に同じ生物活性を示す、すなわち、血清カルシウム及び腎臓リン排泄を増し、血清リン及び腎臓カルシウム排泄を減じる、そのバリアント、ホモログ及び誘導体を指す。
【0020】
好ましくは、用語「PTH」は、以下からなる群より選択されるペプチド配列を指す:
配列番号1 (PTH 1-84)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTKAKSQ
配列番号2 (PTH 1-83)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTKAKS
配列番号3 (PTH 1-82)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTKAK
配列番号4 (PTH 1-81)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTKA
配列番号5 (PTH 1-80)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTK配列番号6 (PTH 1-79)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLT配列番号7 (PTH 1-78)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVL
配列番号8 (PTH 1-77)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNV
配列番号9 (PTH 1-76)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVN
配列番号10 (PTH 1-75)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADV
配列番号11 (PTH 1-74)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKAD
配列番号12 (PTH 1-73)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKA
配列番号13 (PTH 1-72)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADK
配列番号14 (PTH 1-71)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEAD
配列番号15 (PTH 1-70)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEA
配列番号16 (PTH 1-69)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGE
配列番号17 (PTH 1-68)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLG
配列番号18 (PTH 1-67)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSL
配列番号19 (PTH 1-66)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKS
配列番号20 (PTH 1-65)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEK
配列番号21 (PTH 1-64)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHE
配列番号22 (PTH 1-63)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESH
配列番号23 (PTH 1-62)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVES
配列番号24 (PTH 1-61)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVE
配列番号25 (PTH 1-60)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLV
配列番号26 (PTH 1-59)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVL
配列番号27 (PTH 1-58)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNV
配列番号28 (PTH 1-57)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDN
配列番号29 (PTH 1-56)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKED
配列番号30 (PTH 1-55)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKE
配列番号31 (PTH 1-54)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKK
配列番号32 (PTH 1-53)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRK
配列番号33 (PTH 1-52)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPR
配列番号34 (PTH 1-51)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRP
配列番号35 (PTH 1-50)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQR
配列番号36 (PTH 1-49)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQ
配列番号37 (PTH 1-48)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGS
配列番号38 (PTH 1-47)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAG
配列番号39 (PTH 1-46)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDA
配列番号40 (PTH 1-45)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRD
配列番号41 (PTH 1-44)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPR
配列番号42 (PTH 1-43)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAP
配列番号43 (PTH 1-42)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLA
配列番号44 (PTH 1-41)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPL
配列番号45 (PTH 1-40)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAP
配列番号46 (PTH 1-39)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGA
配列番号47 (PTH 1-38)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALG
配列番号48 (PTH 1-37)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVAL
配列番号49 (PTH 1-36)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVA
配列番号50 (PTH 1-35)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFV
配列番号51 (PTH 1-34)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNF
配列番号52 (PTH 1-33)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHN
配列番号53 (PTH 1-32)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVH
配列番号54 (PTH 1-31)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDV
配列番号55 (PTH 1-30)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQD
配列番号56 (PTH 1-29)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQ
配列番号57 (PTH 1-28)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKL
配列番号58 (PTH 1-27)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKK
配列番号59 (PTH 1-26)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRK
配列番号60 (PTH 1-25)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLR
配列番号61(アミド化PTH 1-84)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTKAKSQ;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号62 (アミド化PTH 1-83)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTKAKS;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号63 (アミド化PTH 1-82)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTKAK;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号64 (アミド化PTH 1-81)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTKA;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号65 (アミド化PTH 1-80)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTK;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号66 (アミド化PTH 1-79)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLT;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号67 (アミド化PTH 1-78)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVL;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号68 (アミド化PTH 1-77)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNV;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号69 (アミド化PTH 1-76)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVN;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号70 (アミド化PTH 1-75)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADV;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号71 (アミド化PTH 1-74)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKAD;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号72 (アミド化PTH 1-73)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKA;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号73 (アミド化PTH 1-72)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADK;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号74 (アミド化PTH 1-71)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEAD;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号75 (アミド化PTH 1-70)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEA;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号76 (アミド化PTH 1-69)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGE;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号77 (アミド化PTH 1-68)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLG;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号78 (アミド化PTH 1-67)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSL;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号79 (アミド化PTH 1-66)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKS;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号80 (アミド化PTH 1-65)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEK;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号81 (アミド化PTH 1-64)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHE;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号82 (アミド化PTH 1-63)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESH;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号83 (アミド化PTH 1-62)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVES;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号84 (アミド化PTH 1-61)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVE;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号85 (アミド化PTH 1-60)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLV;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号86 (アミド化PTH 1-59)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVL;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号87 (アミド化PTH 1-58)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNV;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号88 (アミド化PTH 1-57)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDN;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号89 (アミド化PTH 1-56)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKED;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号90 (アミド化PTH 1-55)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKE;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号91 (アミド化PTH 1-54)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKK;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号92 (アミド化PTH 1-53)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRK;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号93 (アミド化PTH 1-52)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPR;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号94 (アミド化PTH 1-51)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRP;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号95 (アミド化PTH 1-50)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQR;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号96 (アミド化PTH 1-49)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQ;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号97 (アミド化PTH 1-48)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGS;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号98 (アミド化PTH 1-47)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAG;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号99 (アミド化PTH 1-46)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDA;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号100 (アミド化PTH 1-45)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRD;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号101 (アミド化PTH 1-44)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPR;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号102 (アミド化PTH 1-43)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAP;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号103 (アミド化PTH 1-42)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLA;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号104 (アミド化PTH 1-41)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPL;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号105 (アミド化PTH 1-40)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAP;(この配列中のC末端はアミド化されている)配列番号106 (アミド化PTH 1-39)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGA;(この配列中のC末端はアミド化されている)配列番号107 (アミド化PTH 1-38)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALG;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号108 (アミド化PTH 1-37)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVAL;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号109 (アミド化PTH 1-36)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVA;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号110 (アミド化PTH 1-35)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFV;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号111 (アミド化PTH 1-34)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNF;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号112 (アミド化PTH 1-33)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHN;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号113 (アミド化PTH 1-32)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVH;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号114 (アミド化PTH 1-31)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDV;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号115 (アミド化PTH 1-30)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQD;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号116 (アミド化PTH 1-29)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQ;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号117 (アミド化PTH 1-28)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKL;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号118 (アミド化PTH 1-27)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKK;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号119 (アミド化PTH 1-26)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRK;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号120 (アミド化PTH 1-25)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLR;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号121 (PTHrP)
AVSEHQLLHDKGKSIQDLRRRFFLHHLIAEIHTAEIRATSEVSPNSKPSPNTKNHPVRFGSDDEGRYLTQETNKVETYKEQPLKTPGKKKKGKPGKRKEQEKKKRRTRSAWLDSGVTGSGLEGDHLSDTSTTSLELDSRRH
【0021】
より好ましくは、用語「PTH」は、配列番号47、48、49、50、51、52、53、54、55、107、108、109、110、111、112、113、114及び115からなる群より選択される配列を指す。より一層好ましくは、用語「PTH」は、配列番号50、51、52、110、111及び112からなる群より選択される配列を指す。特に好ましい実施形態において、用語「PTH」は、配列番号51の配列を指す。
【0022】
本明細書において使用する用語「PTHポリペプチドバリアント」は、基準PTH又はPTHrPポリペプチドとは異なる、同じ種からのポリペプチドを指す。好ましくは、そのような基準は、PTHポリペプチド配列であり、配列番号51の配列を有する。一般に、差は限られており、したがって、基準及びバリアントのアミノ酸配列は、全体にわたって近似しており、多くの領域において同一である。好ましくは、PTHポリペプチドバリアントは、基準PTH又はPTHrPポリペプチド、好ましくは配列番号51のPTHポリペプチドと、少なくとも70%、80%、90%又は95%同一である。クエリアミノ酸配列と少なくとも例えば95%「同一の」アミノ酸配列を有するポリペプチドは、対象ポリペプチドのアミノ酸配列が、クエリアミノ酸配列のアミノ酸100個ごとに5個以下のアミノ酸変化を含むことがあることを除いて、クエリ配列と同一であることを意味する。基準配列のこれらの変化は、基準アミノ酸配列のアミノ末端(N末端)若しくはカルボキシ末端(C末端)位置に存在してもよく、又は基準配列内の残基の中に個々に散在する、若しくは基準配列内の1つ以上の隣接する基内に散在する、これらの末端位置の間のいずれの位置に存在してもよい。クエリ配列は、基準配列の全アミノ酸配列であってもよく、又は本明細書に記載するように指定されるいずれの断片であってもよい。好ましくは、クエリ配列は、配列番号51の配列である。
【0023】
そのようなPTHペプチドバリアントは、染色体若しくは生物の所与の座位を占有するPTH又はPTHrPの幾つかの代替形態のうちの1つによってコードされた天然に存在するアレルバリアントなどの、天然に存在するバリアントであってもよく、又は単一の一次転写産物に由来する天然に存在するスプライスバリアントによってコードされたアイソフォームであってもよい。或いは、PTHポリペプチドバリアントは、天然に存在することが公知でないバリアントであって、当技術分野において公知の変異誘発法によってつくることができるバリアントであってもよい。
【0024】
生物学的機能を実質的に失うことなく、生物活性ポリペプチドのN末端又はC末端から1つ以上のアミノ酸を欠失させることができることは、当技術分野において公知である。そのようなN及び/又はC末端欠失も、用語PTHポリペプチドバリアントによって包含される。
【0025】
PTH又はPTHrPポリペプチドの一部のアミノ酸配列を、該ポリペプチドの構造又は機能に有意に影響を与えることなく変えることができることも、当業者は認識している。そのような変異体は、活性に殆ど影響を与えないように当技術分野において公知の一般則に従って選択される、欠失、挿入、反転、反復及び置換を含む。例えば、表現型的にサイレントなアミノ酸置換を行う方法に関するガイダンスは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられているBowieら(1990)、Science 247:1306-1310に提供されており、この参考文献の著者は、変化に対するアミノ酸配列の許容度を研究するための2つの主要アプローチがあることを示している。
【0026】
用語PTHポリペプチドは、PTH又はPTHrPアナログ、オルソログ、及び/又は種ホモログによってコードされた全てのPTH又はPTHrPポリペプチドも包含する。PTHrP及びPTHrPアナログが共通のPTH/PTHrP1受容体に結合して該受容体を活性化させるため、用語PTHポリペプチドが全てのPTHrPアナログも包含することも、当業者は認識している。本明細書において使用する用語「PTHアナログ」は、異なる無関係の生物のPTH又はPTHrPであって、各生物において同じ機能を達成するが、それらの生物の祖先が共通して持っていた祖先構造が起源ではないPTH又はPTHrPを指す。そのような起源ではなく、類似のPTH及びPTHrPが別々に生じ、そしてその後、同じ又は同様の機能を果たすように進化した。言い換えると、類似のPTH及びPTHrPポリペプチドは、同じ生物活性を果たす、すなわち、血清カルシウム及び腎臓リン排泄を増し、血清リン及び腎臓カルシウム排泄を減じるが、全く異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
【0027】
本明細書において使用する用語「PTHオルソログ」は、2つの異なる種内のPTH又はPTHrPであって、祖先種における共通の相同PTH又はPTHrPによって互いの配列に関連性はあるが、互いに異なるものになるように進化したPTH又はPTHrPを指す。
【0028】
本明細書において使用する用語「PTHホモログ」は、異なる生物のPTH又はPTHrPであって、各生物において同じ機能を果たし、それらの生物の祖先が共通して持っていた祖先構造が起源であるPTH又はPTHrPを指す。言い換えると、相同PTHポリペプチドは、同じ生物活性を果たす、すなわち、血清カルシウム及び腎臓リン排泄を増し、血清リン及び腎臓カルシウム排泄を減じる、全く同様のアミノ酸配列を有するポリペプチドである。好ましくは、PTHポリペプチドホモログは、基準PTH又はPTHrPポリペプチド、好ましくは配列番号51のPTHポリペプチドと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%の同一性を示すポリペプチドと定義されうる。
【0029】
したがって、本発明によるPTHポリペプチドは、例えば、(i)アミノ酸残基の少なくとも1つが、保存又は非保存アミノ酸残基、好ましくは保存アミノ酸残基で置換されており、そのような置換されたアミノ酸残基が遺伝コードによってコードされているものであってもよく、又はなくてもよいもの、及び/又は(ii)アミノ酸残基の少なくとも1つが置換基を含むもの、及び/又は(iii)PTHポリペプチドが、別の化合物、例えば、該ポリペプチドの半減期を増すための化合物(例えば、ポリエチレングリコール)と融合しているもの、及び/又は(iv)IgG Fc融合領域ポリペプチド若しくはリーダー若しくは分泌配列、又は上記形態のポリペプチドの精製に用いられる配列、又はタンパク質前駆体配列などの、さらなるアミノ酸がPTHポリペプチドに融合しているものであってもよい。
【0030】
本明細書において使用する用語「PTHポリペプチド断片」は、PTH又はPTHrPポリペプチド、好ましくは配列番号51のポリペプチドのアミノ酸配列の一部についての連続する範囲を含む任意のポリペプチドを指す。
【0031】
より具体的には、PTHポリペプチド断片は、PTH又はPTHrPポリペプチドの、より好ましくは配列番号51のポリペプチドの、少なくとも6、例えば、少なくとも8、少なくとも10又は少なくとも17の連続するアミノ酸を含む。さらに、PTHポリペプチド断片は、少なくとも6のアミノ酸を含むPTH又はPTHrPポリペプチドの亜属と記載されることがあり、この場合の「少なくとも6」は、6と、PTH又はPTHrPポリペプチドの、好ましくは配列番号51の、C末端アミノ酸を表す整数との間の、任意の整数と定義する。N末端及びC末端位置に関してさらに指定されている、上に記載したような、長さ少なくとも6アミノ酸のPTH又はPTHrPポリペプチド断片の種をさらに含む。N末端及びC末端位置によって特に指定されうる、上に記載したような長さ少なくとも6アミノ酸の全てのPTH又はPTHrPポリペプチド断片も、個々の種として用語「PTHポリペプチド断片」に包含される。すなわち、PTH又はPTHrPポリペプチド、好ましくは配列番号51のPTHポリペプチドの所与のいずれかのアミノ酸配列上の、連続する少なくとも6アミノ酸の長さの断片が占有しうる、N末端位置とC末端位置のあらゆる組合せが、本発明に含まれる。
【0032】
用語「PTH」は、上記の配列を有するが、例えばデプシペプチドのような、アミド結合と非アミド結合、例えばエステル結合の両方を含む骨格を有する、ポリ(アミノ酸)コンジュゲートも含む。デプシペプチドは、骨格がアミド(ペプチド)結合とエステル結合の両方を含む、アミノ酸残基の鎖である。したがって、本明細書において使用する用語「側鎖」は、アミノ酸部分構造がアミン結合によって連結されている場合、例えばポリペプチドの場合、アミノ酸部分構造のアルファ-炭素に結合している部分構造を指し、又は例えばデプシペプチドの場合のようなポリ(アミノ酸)コンジュゲートの骨格に結合している任意の炭素原子含有部分構造を指す。好ましくは、用語「PTH」は、アミド(ペプチド)結合によって形成される骨格を有するポリペプチドを指す。
【0033】
用語PTHは、PTH又はPTHrPの上記バリアント、アナログ、オルソログ、ホモログ、誘導体及び断片を含むので、基準配列内の特定の位置への全ての言及は、具体的に述べていない場合でも、PTH又はPTHrP部分構造のバリアント、アナログ、オルソログ、ホモログ、誘導体及び断片内の同等の位置も含む。
【0034】
本明細書で使用する用語「ランダムコイル」は、水性緩衝液中、周囲温度及びpH7.4で行われる円偏光二色性分光法によって判定して被定義二次及び三次構造が実質的にないコンホメーションをとる/有する/形成する、好ましくは有する、ペプチド又はタンパク質を指す。好ましくは、周囲温度は、約20℃、すなわち、18℃~22℃の間であり、最も好ましくは、周囲温度は、20℃である。
【0035】
本明細書において使用する用語「医薬組成物」は、1つ以上の活性成分、例えば、薬物又はコンジュゲート、ここでは特に本発明のPTHコンジュゲートと、場合により1つ以上の賦形剤とを含有する組成物、並びに前記組成物の成分のいずれか2つ以上についての組合せ、複合体化若しくは凝集から、又は前記成分の1つ以上についての解離から、又は前記成分の1つ以上についての他のタイプの反応若しくは相互作用から、直接又は間接的に得られる任意の産物を指す。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の1つ以上のPTHコンジュゲートと、場合により、医薬的に許容される賦形剤とを混合することによって製造される任意の組成物を包含する。
【0036】
本明細書において使用する用語「液体組成物」は、水溶性PTHコンジュゲートと1つ以上の溶媒、例えば水とを含む混合物を指す。
【0037】
本明細書において使用する用語「乾燥組成物」は、医薬組成物が乾燥形態で提供されることを意味する。好適な乾燥方法は、噴霧乾燥、及び凍結乾燥、すなわちフリーズドライである。例えば本発明のPTHコンジュゲートのそのような乾燥組成物は、カールフィッシャーによって判定して、最大10%、好ましくは5%未満、及びより好ましくは2%未満の残留水分を有する。好ましくは、本発明の医薬組成物は、凍結乾燥によって乾燥される。
【0038】
本明細書において使用する用語「薬物」は、疾患の治療、治癒、予防若しくは診断に使用される、又は身体的若しくは精神的幸福を別様に向上させるために使用される物質を指す。薬物を別の部分構造とコンジュゲートさせる場合、結果として得られる生成物の、その薬物に由来する部分構造を、「生物活性部分構造」と呼ぶ。本発明のPTHコンジュゲートは、薬物PTHの形態でPTHコンジュゲートから放出されるPTH部分構造を含む。
【0039】
本発明のPTHコンジュゲートは、PTHプロドラッグであると理解される。本明細書において使用する用語「プロドラッグ」は、可逆的プロドラッグリンカー部分構造とも称される可逆的リンカー部分構造を介して特殊な保護基に可逆的に共有結合で連結されている生物活性部分構造を含むコンジュゲートを指し、前記可逆的プロドラッグリンカー部分構造は、その生物活性部分構造との可逆的結合を含むリンカー部分構造であり、前記特殊な保護基は、親分子の望ましくない特性を変える、又は除去する。これは、薬物の望ましい特性の強化及び望ましくない特性の抑制も含む。特殊な非毒性保護基を「担体」と呼ぶ。プロドラッグは、可逆的に共有結合されている生物活性部分構造を、その対応する薬物の形態で放出する。言い換えると、プロドラッグは、可逆的リンカー部分構造を介して担体部分構造に可逆的に共有結合でコンジュゲートされている生物活性部分構造を含むコンジュゲートであり、前記担体の前記可逆的リンカー部分構造への可逆的な共有結合は、直接的であるか、スペーサーを介している。そのようなコンジュゲートは、それまでコンジュゲートされていた生物活性部分構造をその遊離形態で放出する。
【0040】
「生分解性結合」又は「可逆的結合」は、半減期が1時間~2ヶ月、好ましくは3時間~1ヶ月、さらにより好ましくは6時間~2週間の範囲である、生理条件(pH7.4の水性緩衝液、37℃)下、酵素不在で、例えば加水分解により分解されうる、すなわち切断されうる結合である。したがって、安定した結合は、生理条件(pH7.4の水性緩衝液、37℃)下で2ヶ月より長い半減期を有する結合である。
【0041】
したがって、「可逆的プロドラッグリンカー部分構造」又は「可逆的リンカー部分構造」は、-Zなどの担体部分構造に共有結合でコンジュゲートされている部分構造を介してPTHなどの生物活性部分構造に可逆的結合によって共有結合でコンジュゲートされており、前記担体部分構造への共有結合は、直接的であるか、-L2-などのスペーサー部分構造を介している。好ましくは、-Zと-L2-間の結合は、安定した結合である。
【0042】
本明細書において使用する用語「痕跡を残さないプロドラッグリンカー」は、分解されると薬物をその遊離形態で放出する可逆的プロドラッグリンカーを意味する。本明細書において使用する用語「遊離形態」の薬物は、その未修飾の薬理活性形態での薬物を意味する。
【0043】
本明細書において使用する用語「賦形剤」は、治療に役立つもの、例えば、薬物又は本発明のPTHコンジュゲートを投与するために用いられる希釈剤、アジュバント又はビヒクルを指す。そのような医薬賦形剤は、滅菌液、例えば、水及び油(ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などを含むがこれらに限定されない、石油、動物、植物又は合成由来のものを含む)であることができる。水は、医薬組成物が経口投与される場合に好ましい賦形剤である。医薬組成物が静脈内投与される場合、食塩水及びデキストロース水溶液が好ましい賦形剤である。食塩溶液、並びにデキストロース及びグリセロール水溶液は、注射用溶液のための液体賦形剤として好ましく用いられる。好適な医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、マンニトール、トレハロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。医薬組成物は、必要に応じて、少量の湿潤若しくは乳化剤、pH緩衝剤、例えば、酢酸塩、コハク酸塩、tris、炭酸塩、リン酸塩、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)なども含有することがあり、又は界面活性剤、例えば、Tween、ポロキサマー、ポロキサミン、CHAPS、Igepal、又はアミノ酸、例えば、グリシン、リシン若しくはヒスチジンなどを含有することがある。これらの医薬組成物は、液剤、懸濁剤、エマルジョン、錠剤、ピル、カプセル、粉末、徐放製剤などの形態をとることができる。医薬組成物は、旧来の結合剤及び賦形剤、例えばトリグリセリドを用いて、座剤として製剤化されることもある。経口製剤は、標準的な賦形剤、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどを含むことができる。そのような組成物は、患者への適切な投与のための剤形を生じさせるために好適な量の賦形剤と共に、治療有効量の薬物又は生物活性部分構造を含有することになる。製剤は、投与方法にふさわしいものであるべきである。
【0044】
本明細書において使用する用語「試薬」は、少なくとも1つの官能基を別の化合物又は薬物の官能基との反応のために含む化合物を意味する。官能基(例えば、一級若しくは二級アミン又はヒドロキシル官能基)を含む薬物も試薬であることが理解される。
【0045】
本明細書において使用する用語「部分構造」は、対応する試薬と比較して1個以上の原子がない、分子の一部を意味する。例えば、式「H-X-H」の試薬が別の試薬と反応し、反応生成物の一部になる場合、その反応生成物の対応する部分構造は、構造「H-X-」又は「-X-」を有するが、各「-」は、別の部分構造への結合を示す。したがって、生物活性部分構造は、本発明のコンジュゲートから薬物として放出される。
【0046】
原子団が、2つの部分構造に結合している又は1つの部分構造に割り込んでいる、原子団の配列又は化学構造が提供されている場合、別段の明確な記述がない限り、前記配列又は化学構造は、いずれの配向で前記2つの部分構造に結合していてもよいことが理解される。例えば、部分構造「-C(O)N(R)-」は、「-C(O)N(R)-」として、又は「-N(R)C(O)-」として、2つの部分構造に結合していることもあり、又は1つの部分構造に割り込んでいることもある。同様に、部分構造
【化1】
は、
【化2】
として、又は
【化3】
として、2つの部分構造に結合している又は1つの部分構造に割り込んでいることがある。
【0047】
本明細書において使用する用語「官能基」は、他の原子団と反応することができる原子団を意味する。官能基は、これらに限定されるものではないが、以下の基を含む:カルボン酸(-(C=O)OH)、一級又は二級アミン(-NH2、-NH-)、マレイミド、チオール(-SH)、スルホン酸(-(O=S=O)OH)、カーボネート、カルバメート(-O(C=O)N<)、ヒドロキシル(-OH)、アルデヒド(-(C=O)H)、ケトン(-(C=O)-)、ヒドラジン(>N-N<)、イソシアネート、イソチオシアネート、リン酸(-O(P=O)OHOH)、ホスホン酸(-O(P=O)OHH)、ハロアセチル、ハロゲン化アルキル、アクリロイル、フッ化アリール、ヒドロキシルアミン、ジスルフィド、スルホンアミド、スルホン酸、ビニルスルホン、ビニルケトン、ジアゾアルカン、オキシラン及びアジリジン。
【0048】
本発明のコンジュゲートが1つ以上の酸性又は塩基性基を含む場合、本発明は、それらの対応する医薬的に又は毒物学的に許容される塩、特にそれらの医薬的に利用可能な塩も含む。したがって、酸性基を含む本発明のコンジュゲートを、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩として、本発明に従って使用することができる。そのような塩のより詳細な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、又はアンモニア若しくは有機アミン(例えば、エチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミンなど)若しくはアミノ酸との塩が挙げられる。1つ以上の塩基性基、すなわちプロトン化されうる基を含む本発明のコンジュゲートが存在することもあり、そのようなコンジュゲートを無機又は有機酸とそれらの付加塩の形態で本発明に従って使用することができる。好適な酸の例としては、塩化水素、臭化水素、リン酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、ピバル酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、フェノールプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、イソニコチン酸、クエン酸、アジピン酸、及び当業者に公知の他の酸が挙げられる。正電荷アンモニウム基及びその塩の適切な対イオンをもたらすアミン基のアルキル化のような、塩基性基をカチオンに転化させるさらなる方法は、当業者には公知である。本発明のコンジュゲートが酸性基と塩基性基を同時に含む場合、本発明は、言及した塩形態に加えて、分子内塩又はベタイン(双性イオン)も含む。それぞれの塩は、例えば、これらのコンジュゲートを溶媒若しくは分散液中で有機若しくは無機酸若しくは塩基と接触させることによる、又は他の塩とのアニオン交換若しくはカチオン交換によるような、当業者に公知である慣習的方法によって得ることができる。本発明は、生理学的適合性が低いため、直接的には医薬品における使用に適さないが、例えば、中間体として化学反応に又は医薬的に許容される塩の製造に使用することができる、本発明のコンジュゲートの全ての塩も含む。
【0049】
用語「医薬的に許容される」は、患者に投与されたとき害を及ぼさない物質を意味し、好ましくは、規制機関、例えば、EMA(欧州)及び/又はFDA(米国)及び/又は任意の他の国家の規制機関によって、動物での使用に、好ましくはヒトでの使用に認可されていることを意味する。
【0050】
本明細書において数値と組み合わせて使用される用語「約」は、その数値そのものに加えて、数値プラス/マイナス前記数値の20%以下、より好ましくは前記数値の10%以下、より一層好ましくは前記数値の5%以下、最も好ましくは前記数値の2%以下の範囲を示すために使用される。例えば、「約200」という句は、200+/-20%の範囲を意味し、すなわち、160~240の範囲、好ましくは、200+/-10%の範囲を意味し、すなわち、180~220の範囲、さらに一層好ましくは、200+/-5%の範囲、すなわち、190~210の範囲、最も好ましくは、200+/-2%の範囲、すなわち、196~204の範囲を意味するために使用される。「約20%」として示される百分率は、「20%+/-10%」、すなわち10~30%の範囲であることを意味せず、「約20%」は、18~22%、すなわち、20である数値のプラス/マイナス10%の範囲であることを意味することが理解される。
【0051】
本明細書において使用する用語「ポリマー」は、化学結合によって直鎖状、環状、分岐型、架橋型若しくはデンドリマー状に又はこれらの組合せで連結されている反復構造単位、すなわちモノマーを含む分子であって、合成起源であっても、生体起源であっても、又は両方の組合せであってもよい分子を意味する。ポリマーは、例えば1つ以上の官能基などの、1つ以上の他の化学基及び/又は部分構造も含むことがあることが理解される。好ましくは、可溶性ポリマーは、少なくとも0.5kDaの分子量、例えば、少なくとも1kDaの分子量、少なくとも2kDaの分子量、少なくとも3kDaの分子量、又は少なくとも5kDaの分子量を有する。ポリマーが可溶性である場合、最大で1000kDa、例えば最大で750kDa、例えば最大で500kDa、例えば最大で300kDa、例えば最大で200kDa、例えば最大で100kDaの分子量を有するのが好ましい。
【0052】
本明細書において使用する用語「高分子の」は、1つ以上のポリマー又はポリマー部分構造を含む試薬又は部分構造を意味する。高分子試薬又は部分構造は、1つ以上の他の部分構造も場合により含むことがあり、そのような他の部分構造は、好ましくは、以下のものからなる群から選択される:
・C1-50アルキル、C2-50アルケニル、C2-50アルキニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル及びテトラリニル、並びに
・以下のものを含む群から選択される結合:
【化4】
(式中、
破線は、前記部分構造又は試薬の残部への結合を示し、
-R及び-Raは、互いに独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択される)。
【0053】
当業者には、重合反応から得られる重合生成物は、全て同じ分子量を有するとは限らず、むしろ分子量分布を示すことが理解される。それ故、本明細書において使用する分子量範囲、分子量、ポリマー中のモノマー数範囲、及びポリマー中のモノマー数は、数平均分子量及びモノマー数平均を指し、すなわち、ポリマー又はポリマー系部分構造の分子量の算術平均、及びポリマー又はポリマー系部分構造のモノマー数の算術平均を指す。
【0054】
したがって、「x」個のモノマー単位を含むポリマー系部分構造の場合、「x」に当てはめられるいずれの整数もモノマーの算術平均数に相当する。「x」に当てはめられる整数のいずれの範囲も、モノマーの算術平均数が存する整数範囲を提供する。「約x」として示される「x」の整数は、モノマーの算術平均数が、x+/-20%、好ましくはx+/-10%、より好ましくはx+/-5%、最も好ましくはx+/-2%の整数範囲内に存することを意味する。
【0055】
本明細書において使用する用語「数平均分子量」は、個々のポリマーの分子量の通常の算術平均を意味する。
【0056】
担体に関して本明細書において使用する用語「水溶性」は、そのような担体が本発明のPTHコンジュゲートの一部である場合、そのような水溶性担体を含むPTHコンジュゲートの少なくとも1gを20℃で1リットルの水に溶解して、均質な溶液を形成することができることを意味する。したがって、担体に関しての用語「水不溶性」は、そのような担体が本発明のPTHコンジュゲートの一部である場合、均質な溶液を形成するために、20℃で1リットルの水に、そのような水不溶性担体を含むPTHコンジュゲートを1g未満しか溶解できないことを意味する。
【0057】
部分構造又は試薬に関して本明細書において使用する用語「PEG系」は、前記部分構造又は試薬がPEGを含むことを意味する。好ましくは、PEG系部分構造又は試薬は、少なくとも10%(w/w)PEG、例えば少なくとも20%(w/w)PEG、例えば少なくとも30%(w/w)PEG、例えば少なくとも40%(w/w)PEG、例えば少なくとも50%(w/w)、例えば少なくとも60(w/w)PEG、例えば少なくとも70%(w/w)PEG、例えば少なくとも80%(w/w)PEG、例えば、少なくとも95%などの、少なくとも90%(w/w)PEGを含む。前記PEG系部分構造又は試薬の残りの重量百分率は、以下の部分構造及び結合から好ましくは選択される他の部分構造である:
・C1-50アルキル、C2-50アルケニル、C2-50アルキニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル及びテトラリニル、並びに
・以下のものを含む群から選択される結合:
【化5】
(式中、
破線は、前記部分構造又は試薬の残部への結合を示し、
-R及び-Raは、互いに独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択される)。
【0058】
部分構造又は試薬に関して本明細書において使用する用語「少なくともX% PEGを含むPEG系」は、前記部分構造又は試薬が少なくともX%(w/w)エチレングリコール単位(-CH2CH2O-)を含むことを意味し、前記エチレングリコール単位は、交互ブロック状に配列されていることもあり、又は前記部分構造若しくは試薬内にランダムに分布していることもあり、好ましくは、前記部分構造又は試薬の全てのエチレングリコール単位が1つのブロック内に存在し、そのPEG系部分構造又は試薬の残りの重量百分率は、下記の部分構造及び結合から好ましくは選択される他の部分構造である:
・C1-50アルキル、C2-50アルケニル、C2-50アルキニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル及びテトラリニル、並びに
・以下のものを含む群から選択される結合:
【化6】
(式中、
破線は、前記部分構造又は試薬の残部への結合を示し、
-R及び-Raは、互いに独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択される)。
【0059】
用語「少なくともX%ヒアルロン酸を含むヒアルロン酸系」は適宜使用される。
【0060】
本明細書において使用する用語「置換されている」は、分子又は部分構造の1個以上の-H原子が別の原子又は原子団によって置き換えられていることを意味し、前記別の原子又は原子団を「置換基」と呼ぶ。
【0061】
好ましくは、1つ以上のさらなる任意選択の置換基は、互いに独立して、ハロゲン、-CN、-COORx1、-ORx1、-C(O)Rx1、-C(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2N(Rx1Rx1a)、-S(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2Rx1、-S(O)Rx1、-N(Rx1)S(O)2N(Rx1aRx1b)、-SRx1、-N(Rx1Rx1a)、-NO2、-OC(O)Rx1、-N(Rx1)C(O)Rx1a、-N(Rx1)S(O)2Rx1a、-N(Rx1)S(O)Rx1a、-N(Rx1)C(O)ORx1a、-N(Rx1)C(O)N(Rx1aRx1b)、-OC(O)N(Rx1Rx1a)、-T0、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、ここで、
-T0、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Rx2で場合により置換されており、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルには、-T0-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rx3)-、-S(O)2N(Rx3)-、-S(O)N(Rx3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rx3)S(O)2N(Rx3a)-、-S-、-N(Rx3)-、-OC(ORx3)(Rx3a)-、-N(Rx3)C(O)N(Rx3a)-、及び-OC(O)N(Rx3)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
-Rx1、-Rx1a、-Rx1bは、互いに独立して、-H、-T0、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、前記-T0、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Rx2で場合により置換されており、前記C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルには、-T0-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rx3)-、-S(O)2N(Rx3)-、-S(O)N(Rx3)-;-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rx3)S(O)2N(Rx3a)-、-S-、-N(Rx3)-、-OC(ORx3)(Rx3a)-、-N(Rx3)C(O)N(Rx3a)-、及び-OC(O)N(Rx3)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各T0は、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から選択され、前記各T0は、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Rx2で場合により置換されており、
各Rx2は、独立して、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORx4、-ORx4、-C(O)Rx4、-C(O)N(Rx4Rx4a)、-S(O)2N(Rx4Rx4a)、-S(O)N(Rx4Rx4a)、-S(O)2Rx4、-S(O)Rx4、-N(Rx4)S(O)2N(Rx4aRx4b)、-SRx4、-N(Rx4Rx4a)、-NO2、-OC(O)Rx4、-N(Rx4)C(O)Rx4a、-N(Rx4)S(O)2Rx4a、-N(Rx4)S(O)Rx4a、-N(Rx4)C(O)ORx4a、-N(Rx4)C(O)N(Rx4aRx4b)、-OC(O)N(Rx4Rx4a)、及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-Rx3、-Rx3a、-Rx4、-Rx4a、-Rx4bは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されている。
【0062】
より好ましくは、1つ以上のさらなる任意選択の置換基は、互いに独立して、ハロゲン、-CN、-COORx1、-ORx1、-C(O)Rx1、-C(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2N(Rx1Rx1a)、-S(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2Rx1、-S(O)Rx1、-N(Rx1)S(O)2N(Rx1aRx1b)、-SRx1、-N(Rx1Rx1a)、-NO2、-OC(O)Rx1、-N(Rx1)C(O)Rx1a、-N(Rx1)S(O)2Rx1a、-N(Rx1)S(O)Rx1a、-N(Rx1)C(O)ORx1a、-N(Rx1)C(O)N(Rx1aRx1b)、-OC(O)N(Rx1Rx1a)、-T0、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、及びC2-10アルキニルからなる群から選択され、ここで、
-T0、C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Rx2で場合により置換されており、C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルには、-T0-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rx3)-、-S(O)2N(Rx3)-、-S(O)N(Rx3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rx3)S(O)2N(Rx3a)-、-S-、-N(Rx3)-、-OC(ORx3)(Rx3a)-、-N(Rx3)C(O)N(Rx3a)-、及び-OC(O)N(Rx3)-からなる群から選択される1つ以上の基が割り込んでおり、
各-Rx1、-Rx1a、-Rx1b、-Rx3、-Rx3aは、独立して、-H、ハロゲン、C1-6アルキル、C2-6アルケニル及びC2-6アルキニルからなる群から選択され、
各T0は、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から選択され、前記各T0は、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Rx2で場合により置換されており、
各Rx2は、独立して、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORx4、-ORx4、-C(O)Rx4、-C(O)N(Rx4Rx4a)、-S(O)2N(Rx4Rx4a)、-S(O)N(Rx4Rx4a)、-S(O)2Rx4、-S(O)Rx4、-N(Rx4)S(O)2N(Rx4aRx4b)、-SRx4、-N(Rx4Rx4a)、-NO2、-OC(O)Rx4、-N(Rx4)C(O)Rx4a、-N(Rx4)S(O)2Rx4a、-N(Rx4)S(O)Rx4a、-N(Rx4)C(O)ORx4a、-N(Rx4)C(O)N(Rx4aRx4b)、-OC(O)N(Rx4Rx4a)、及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-Rx4、-Rx4a、-Rx4bは、独立して、-H、ハロゲン、C1-6アルキル、C2-6アルケニル及びC2-6アルキニルからなる群から選択される。
【0063】
より一層好ましくは、1つ以上のさらなる任意選択の置換基は、互いに独立して、ハロゲン、-CN、-COORx1、-ORx1、-C(O)Rx1、-C(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2N(Rx1Rx1a)、-S(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2Rx1、-S(O)Rx1、-N(Rx1)S(O)2N(Rx1aRx1b)、-SRx1、-N(Rx1Rx1a)、-NO2、-OC(O)Rx1、-N(Rx1)C(O)Rx1a、-N(Rx1)S(O)2Rx1a、-N(Rx1)S(O)Rx1a、-N(Rx1)C(O)ORx1a、-N(Rx1)C(O)N(Rx1aRx1b)、-OC(O)N(Rx1Rx1a)、-T0、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、及びC2-6アルキニルからなる群から選択され、ここで、
-T0、C1-6アルキル、C2-6アルケニル及びC2-6アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Rx2で場合により置換されており、前記C1-6アルキル、C2-6アルケニル及びC2-6アルキニルには、-T0-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rx3)-、-S(O)2N(Rx3)-、-S(O)N(Rx3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rx3)S(O)2N(Rx3a)-、-S-、-N(Rx3)-、-OC(ORx3)(Rx3a)-、-N(Rx3)C(O)N(Rx3a)-、及び-OC(O)N(Rx3)-からなる群から選択される1つ以上の基が割り込んでおり、
各-Rx1、-Rx1a、-Rx1b、-Rx2、-Rx3、-Rx3aは、独立して、-H、ハロゲン、C1-6アルキル、C2-6アルケニル及びC2-6アルキニルからなる群から選択され、
各T0は、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から選択され、前記各T0は、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Rx2で場合により置換されている。
【0064】
好ましくは、場合により置換されている分子又は部分構造の最大6個の-H原子は、独立して置換基によって置き換えられており、例えば、5個の-H原子が独立して置換基によって置き換えられており、4個の-H原子が独立して置換基によって置き換えられており、3個の-H原子が独立して置換基によって置き換えられており、2個の-H原子が独立して置換基によって置き換えられており、又は1個の-H原子が置換基によって置き換えられている。
【0065】
用語「割り込んでいる」は、部分構造が、2個の炭素原子間に挿入されている、又は挿入がその部分構造の末端のものである場合、炭素又はヘテロ原子と水素原子の間、好ましくは炭素と水素原子の間に挿入されていることを意味する。
【0066】
用語「スペーサー」は、2つの部分構造を接続するのに好適である任意の部分構造を指す。好ましくは、スペーサーは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry1)-、-S(O)2N(Ry1)-、-S(O)N(Ry1)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry1)S(O)2N(Ry1a)-、-S-、-N(Ry1)-、-OC(ORy1)(Ry1a)-、-N(Ry1)C(O)N(Ry1a)-、-OC(O)N(Ry1)-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、ここで、
-T-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルは、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry3)-、-S(O)2N(Ry3)-、-S(O)N(Ry3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry3)S(O)2N(Ry3a)-、-S-、-N(Ry3)-、-OC(ORy3)(Ry3a)-、-N(Ry3)C(O)N(Ry3a)-、及び-OC(O)N(Ry3)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
-Ry1及び-Ry1aは、互いに独立して、-H、-T、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、前記-T、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルは、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、前記C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry4)-、-S(O)2N(Ry4)-、-S(O)N(Ry4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry4)S(O)2N(Ry4a)-、-S-、-N(Ry4)-、-OC(ORy4)(Ry4a)-、-N(Ry4)C(O)N(Ry4a)-、及び-OC(O)N(Ry4)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各Tは、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、各Tは、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、
各-Ry2は、独立して、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORy5、-ORy5、-C(O)Ry5、-C(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2N(Ry5Ry5a)、-S(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2Ry5、-S(O)Ry5、-N(Ry5)S(O)2N(Ry5aRy5b)、-SRy5、-N(Ry5Ry5a)、-NO2、-OC(O)Ry5、-N(Ry5)C(O)Ry5a、-N(Ry5)S(O)2Ry5a、-N(Ry5)S(O)Ry5a、-N(Ry5)C(O)ORy5a、-N(Ry5)C(O)N(Ry5aRy5b)、-OC(O)N(Ry5Ry5a)、及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-Ry3、-Ry3a、-Ry4、-Ry4a、-Ry5、-Ry5a及び-Ry5bは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されている。
【0067】
より一層好ましくは、スペーサーは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry1)-、-S(O)2N(Ry1)-、-S(O)N(Ry1)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry1)S(O)2N(Ry1a)-、-S-、-N(Ry1)-、-OC(ORy1)(Ry1a)-、-N(Ry1)C(O)N(Ry1a)-、-OC(O)N(Ry1)-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルから選択され、ここで、
-T-、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、及びC2-20アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、前記C1-20アルキル、C2-20アルケニル、及びC2-20アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry3)-、-S(O)2N(Ry3)-、-S(O)N(Ry3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry3)S(O)2N(Ry3a)-、-S-、-N(Ry3)-、-OC(ORy3)(Ry3a)-、-N(Ry3)C(O)N(Ry3a)-、及び-OC(O)N(Ry3)-からなる群から選択される1つ以上の置換基が場合により割り込んでおり、
-Ry1及び-Ry1aは、互いに独立して、-H、-T、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、及びC2-10アルキニルからなる群から選択され、前記-T、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、及びC2-10アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、前記C1-10アルキル、C2-10アルケニル、及びC2-10アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry4)-、-S(O)2N(Ry4)-、-S(O)N(Ry4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry4)S(O)2N(Ry4a)-、-S-、-N(Ry4)-、-OC(ORy4)(Ry4a)-、-N(Ry4)C(O)N(Ry4a)-、及び-OC(O)N(Ry4)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各Tは、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、各Tは、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、
-Ry2は、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORy5、-ORy5、-C(O)Ry5、-C(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2N(Ry5Ry5a)、-S(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2Ry5、-S(O)Ry5、-N(Ry5)S(O)2N(Ry5aRy5b)、-SRy5、-N(Ry5Ry5a)、-NO2、-OC(O)Ry5、-N(Ry5)C(O)Ry5a、-N(Ry5)S(O)2Ry5a、-N(Ry5)S(O)Ry5a、-N(Ry5)C(O)ORy5a、-N(Ry5)C(O)N(Ry5aRy5b)、-OC(O)N(Ry5Ry5a)、及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-Ry3、-Ry3a、-Ry4、-Ry4a、-Ry5、-Ry5a及び、-Ry5bは、互いに独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されている。
【0068】
より一層好ましくは、スペーサーは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry1)-、-S(O)2N(Ry1)-、-S(O)N(Ry1)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry1)S(O)2N(Ry1a)-、-S-、-N(Ry1)-、-OC(ORy1)(Ry1a)-、-N(Ry1)C(O)N(Ry1a)-、-OC(O)N(Ry1)-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、ここで、
-T-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry3)-、-S(O)2N(Ry3)-、-S(O)N(Ry3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry3)S(O)2N(Ry3a)-、-S-、-N(Ry3)-、-OC(ORy3)(Ry3a)-、-N(Ry3)C(O)N(Ry3a)-、及び-OC(O)N(Ry3)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
-Ry1及び-Ry1aは、独立して、-H、-T、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、及びC2-10アルキニルからなる群から選択され、
各Tは、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、及び8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、
各-Ry2は、独立して、ハロゲン及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
各-Ry3、-Ry3a、-Ry4、-Ry4a、-Ry5、-Ry5a及び、-Ry5bは、互いに独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されている。
【0069】
単独で又は組合せで本明細書において使用する用語「C1-4アルキル」は、1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル部分構造を意味する。分子の末端に存在する場合、直鎖又は分岐C1-4アルキルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチルである。分子の2つの部分構造がC1-4アルキルによって結合されている場合には、そのようなC1-4アルキル基の例は、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-、-CH(C2H5)-、-C(CH3)2-である。C1-4アルキル炭素の各水素は、上で定義したような置換基によって場合により置き換えられていてもよい。場合により、C1-4アルキルに下で定義するような1つ以上の部分構造が割り込んでいてもよい。
【0070】
単独で又は組合せで本明細書において使用する用語「C1-6アルキル」は、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル部分構造を意味する。分子の末端に存在する場合、直鎖及び分岐C1-6アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル及び3,3-ジメチルプロピルである。分子の2つの部分構造がC1-6アルキル基によって結合されている場合には、そのようなC1-6アルキル基の例は、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-、-CH(C2H5)-及び-C(CH3)2-である。C1-6炭素の各水素原子は、上で定義したような置換基によって場合により置き換えられていてもよい。場合により、C1-6アルキルに下で定義するような1つ以上の部分構造が割り込んでいてもよい。
【0071】
したがって、「C1-10アルキル」、「C1-20アルキル」又は「C1-50アルキル」は、それぞれ、1~10、1~20、又は1~50個の炭素原子を有するアルキル鎖を意味し、C1-10、C1-20又はC1-50炭素の各水素原子は、上で定義したような置換基によって場合により置き換えられていてもよい。場合により、C1-10又はC1-50アルキルに下で定義するような1つ以上の部分構造が割り込んでいてもよい。
【0072】
単独で又は組合せで本明細書において使用する用語「C2-6アルケニル」は、2~6個の炭素原子を有する、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む、直鎖又は分岐炭化水素部分構造を意味する。分子の末端に存在する場合、例は、-CH=CH2、-CH=CH-CH3、-CH2-CH=CH2、-CH=CHCH2-CH3及び-CH=CH-CH=CH2である。分子の2つの部分構造がC2-6アルケニルによって結合されている場合には、そのようなC2-6アルケニルの例は、-CH=CH-である。C2-6アルケニル部分構造の各水素原子は、上で定義したような置換基によって場合により置き換えられていてもよい。場合により、C2-6アルケニルに下で定義するような1つ以上の部分構造が割り込んでいてもよい。
【0073】
したがって、単独で又は組合せでの用語「C2-10アルケニル」、「C2-20アルケニル」又は「C2-50アルケニル」は、2~10、2~20、又は2~50個の炭素原子を有する、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む、直鎖又は分岐炭化水素部分構造を意味する。C2-10アルケニル、C2-20アルケニル又はC2-50アルケニル基の各水素原子は、上で定義したような置換基によって場合により置き換えられていてもよい。場合により、C2-10アルケニル、C2-20アルケニル又はC2-50アルケニルに下で定義するような1つ以上の部分構造が割り込んでいてもよい。
【0074】
単独で又は組合せで本明細書において使用する用語「C2-6アルキニル」は、2~6個の炭素原子を有する、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む、直鎖又は分岐炭化水素部分構造を意味する。分子の末端に存在する場合、例は、-C≡CH、-CH2-C≡CH、CH2-CH2-C≡CH及びCH2-C≡C-CH3である。分子の2つの部分構造がアルキニル基によって結合されている場合には、例は、-C≡C-である。C2-6アルキニル基の各水素原子は、上で定義したような置換基によって場合により置き換えられていてもよい。場合により、1つ以上の二重結合が存在してもよい。場合により、C2-6アルキニルに下で定義するような1つ以上の部分構造が割り込んでいてもよい。
【0075】
したがって、単独で又は組合せで本明細書において使用する用語「C2-10アルキニル」、「C2-20アルキニル」又は「C2-50アルキニル」はそれぞれ、2~10、2~20、又は2~50個の炭素原子を有する、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む、直鎖又は分岐炭化水素部分構造を意味する。C2-10アルキニル、C2-20アルキニル又はC2-50アルキニル基の各水素原子は、上で定義したような置換基によって場合により置き換えられていてもよい。場合により、1つ以上の二重結合が存在してもよい。場合により、C2-10アルキニル、C2-20アルキニル又はC2-50アルキニルに下で定義するような1つ以上の部分構造が割り込んでいてもよい。
【0076】
上で述べたように、C1-4アルキル、C1-6アルキル、C1-10アルキル、C1-20アルキル、C1-50アルキル、C2-6アルケニル、C2-10アルケニル、C2-20アルケニル、C2-50アルケニル、C2-6アルキニル、C2-10アルキニル、C2-20アルケニル又はC2-50アルキニルに、1つ以上の部分構造が場合により割り込んでいてもよく、前記1つ以上の部分構造は、好ましくは、
【化7】
(式中、
破線は、前記部分構造又は試薬の残部への結合を示し、
-R及び-Raは、互いに独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択される)
からなる群から選択される。
【0077】
本明細書において使用する用語「C3-10シクロアルキル」は、飽和されていてもよく、又は不飽和であってもよい、3~10個の炭素原子を有する環状アルキル鎖、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル又はシクロデシルを意味する。C3-10シクロアルキル炭素の各水素原子は、上で定義したような置換基によって置き換えられていてもよい。用語「C3-10シクロアルキル」は、ノルボルナン又はノルボルネンのような架橋した二環も含む。
【0078】
用語「8~30員カルボポリシクリル」又は「8~30員炭素多環(carbopolycycle)」は、8~30個の環原子を有し、2つの隣接する環が少なくとも1個の環原子を共有している、2環以上の環状部分構造であって、最大数までの二重結合(完全に飽和されている、部分的に飽和されている、又は不飽和である、芳香族又は非芳香族環)を含有することができる環状部分構造を意味する。好ましくは、8~30員カルボポリシクリルは、2、3、4又は5環、より好ましくは2、3又は4環の環状部分構造を意味する。
【0079】
本明細書において使用する用語「3~10員ヘテロシクリル」又は「3~10員複素環」は、3、4、5、6、7、8、9又は10個の環原子を有し、少なくとも1個の環原子、最大で4個までの環原子が、硫黄(-S(O)-、-S(O)2-を含む)、酸素、及び窒素(=N(O)-を含む)からなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられている環であって、最大数までの二重結合(完全に飽和されている、部分的に飽和されている、又は不飽和である、芳香族又は非芳香族環)を含有することができ、炭素又は窒素原子によって分子の残部に結合している環を意味する。3~10員複素環の例としては、アジリジン、オキシラン、チイラン、アジリン、オキシレン、チイレン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、オキサゾール、オキサゾリン、イソオキサゾール、イソオキサゾリン、チアゾール、チアゾリン、イソチアゾール、イソチアゾリン、チアジアゾール、チアジアゾリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、チアジアゾリジン、スルホラン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、イミダゾリジン、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、テトラゾール、トリアゾ-ル、トリアゾリジン、テトラゾリジン、ジアゼパン、アゼピン及びホモピペラジンが挙げられるが、これらに限定されない。3~10員ヘテロシクリル又は3~10員複素環式基の各水素原子は、下で定義するような置換基によって場合により置き換えられていてもよい。
【0080】
本明細書において使用する用語「8~11員ヘテロビシクリル」又は「8~11員複素二環」は、8~11個の環原子を有し、最大数までの二重結合(完全に飽和されている、部分的に飽和されている、又は不飽和である、芳香族又は非芳香族環)を含有することができる、2環の複素環式部分構造であって、少なくとも1個の環原子が、両方の環によって共有されており、少なくとも1個の環原子、最大で6個までの環原子が、硫黄(-S(O)-、-S(O)2-を含む)、酸素、及び窒素(=N(O)-を含む)からなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられており、前記環が、炭素又は窒素原子によって分子の残部に結合している、複素環式部分構造を意味する。8~11員複素二環の例は、インドール、インドリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾリン、キノリン、キナゾリン、ジヒドロキナゾリン、キノリン、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、デカヒドロキノリン、イソキノリン、デカヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロイソキノリン、ベンザゼピン、プリン及びプテリジンである。用語8~11員複素二環は、1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.5]デカンのような2環のスピロ構造、又は8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタンのような架橋複素環も含む。8~11員ヘテロビシクリル又は8~11員複素二環炭素の各水素原子は、下で定義するような置換基によって場合により置き換えられていてもよい。
【0081】
同様に、用語「8~30員ヘテロポリシクリル」又は「8~30員複素多環(heteropolycycle)」は、8~30個の環原子を有し、最大数までの二重結合(完全に飽和されている、部分的に飽和されている、又は不飽和である、芳香族又は非芳香族環)を含有することができる、2つより多くの環、好ましくは3、4又は5環の複素環式部分構造であって、2つの隣接する環が、少なくとも1個の環原子を共有しており、少なくとも1個の環原子、最大で10個までの環原子が、硫黄(-S(O)-、-S(O)2-を含む)、酸素、及び窒素(=N(O)-を含む)の群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられており、前記環が、炭素又は窒素原子によって分子の残部に結合している、複素環式部分構造を意味する。
【0082】
構造:
【化8】
の部分構造に関して、「ペアRx/Ryは、それらが結合している原子と一緒になって、C3-10シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクリルを形成する」という句は、Rx及びRyが、下記構造を形成することを意味することが理解される:
【化9】
(式中、Rは、C3-10シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクリルである)。
【0083】
構造:
【化10】
の部分構造に関して、「ペアRx/Ryは、それらが結合している原子と一緒になって、環Aを形成する」という句は、Rx及びRyが、下記構造を形成することを意味することも理解される:
【化11】
【0084】
本明細書において使用する「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味する。ハロゲンはフルオロ又はクロロであることが一般に好ましい。
【0085】
一般に、用語「含む」又は「含むこと」は、「からなる」又は「からなること」も包含する。
【0086】
ある特定の実施形態において、開始用量は、0.8~4.9nmol/日、好ましくは1~4.8nmol/日、より好ましくは1.2~4.7nmol/日、さらにより好ましくは1.5~4.6nmol/日、さらにより好ましくは1.8~4.5nmol/日及び最も好ましくは2~4.4nmol/日、の範囲である。
【0087】
ある特定の実施形態において、開始用量は、0.8~3.9nmol/日、好ましくは1~3.7nmol/日、さらにより好ましくは1.5~3.4nmol/日、さらにより好ましくは2~3.2nmol/日及び最も好ましくは2.5~3nmol/日、の範囲である。
【0088】
ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも0.8nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも1.0nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも1.2nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも1.4nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも1.6nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも1.8nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも1.9nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも2.0nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも2.1nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも2.2nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも2.3nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも2.4nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも2.5nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも2.6nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも2.7nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも2.8nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも2.9nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも3.0nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも3.1nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも3.2nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも3.3nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも3.4nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも3.5nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも3.6nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも3.7nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも3.8nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも3.9nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は少なくとも4.0nmol/日である。
【0089】
ある特定の実施形態において、開始用量は最大で4.9nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は最大で4.8nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は最大で4.7nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は最大で4.6nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は最大で4.5nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は最大で4.4nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は最大で4.3nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は最大で4.2nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は最大で4.1nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は最大で4.0nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は最大で3.9nmol/日である。
【0090】
ある特定の実施形態において、開始用量は、少なくとも2.9nmol/日であり、最大で4.9nmol/日である。ある特定の実施形態において、開始用量は、少なくとも2.9nmol/日であり、最大で4.5nmol/日である。
【0091】
一実施形態において、開始用量は、1.5±0.3nmol/日、好ましくは1.5±0.2nmol/日、さらにより好ましくは1.5±0.1nmol/日である。別の実施形態において、開始用量は、1.7±0.3nmol/日、好ましくは1.7±0.2nmol/日、さらにより好ましくは1.7±0.1nmol/日である。別の実施形態において、開始用量は、2±0.3nmol/日、好ましくは2±0.2nmol/日、さらにより好ましくは2±0.1nmol/日である。別の実施形態において、開始用量は、2.3±0.3nmol/日、好ましくは2.3±0.2nmol/日、さらにより好ましくは2.3±0.1nmol/日である。別の実施形態において、開始用量は、2.5±0.3nmol/日、好ましくは2.5±0.2nmol/日、さらにより好ましくは2.5±0.1nmol/日である。別の実施形態において、開始用量は、2.7±0.3nmol/日、好ましくは2.7±0.2nmol/日、さらにより好ましくは2.7±0.1nmol/日である。別の実施形態において、開始用量は2.9±0.3nmol/日、好ましくは2.9±0.2nmol/日、さらにより好ましくは2.9±0.1nmol/日である。別の実施形態において、開始用量は、3.2±0.3nmol/日、好ましくは3.2±0.2nmol/日、さらにより好ましくは3.2±0.1nmol/日である。別の実施形態において、開始用量は、3.5±0.3nmol/日、好ましくは3.5±0.2nmol/日、さらにより好ましくは3.5±0.1nmol/日である。別の実施形態において、開始用量は、3.7±0.3nmol/日、好ましくは3.7±0.2nmol/日、さらにより好ましくは3.7±0.1nmol/日である。別の実施形態において、開始用量は、3.8±0.3nmol/日、好ましくは3.8±0.2nmol/日、さらにより好ましくは3.8±0.1nmol/日である。別の実施形態において、開始用量は3.9±0.3nmol/日、好ましくは3.9±0.2nmol/日、さらにより好ましくは3.9±0.1nmol/日である。別の実施形態において、開始用量は4.0±0.3nmol/日、好ましくは4.0±0.2nmol/日であり、さらにより好ましくは、4.0±0.1nmol/日である。別の実施形態において、開始用量は4.1±0.3nmol/日、好ましくは4.1±0.2nmol/日、さらにより好ましくは4.1±0.1nmol/日である。別の実施形態において、開始用量は4.2±0.3nmol/日、好ましくは4.2±0.2nmol/日、さらにより好ましくは4.2±0.1nmol/日である。別の実施形態において、開始用量は4.2±0.3nmol/日、好ましくは4.2±0.2nmol/日、さらにより好ましくは4.2±0.1nmol/日である。別の実施形態において、開始用量は4.3±0.3nmol/日、好ましくは4.3±0.2nmol/日、さらにより好ましくは4.3±0.1nmol/日である。別の実施形態において、開始用量は、4.4±0.3nmol/日、好ましくは4.4±0.2nmol/日、さらにより好ましくは4.4±0.1nmol/日である。別の実施形態において、開始用量は、4.5±0.3nmol/日、好ましくは4.5±0.2nmol/日、さらにより好ましくは4.5±0.1nmol/日である。別の実施形態において、開始用量は、4.6±0.3nmol/日、好ましくは4.6±0.2nmol/日、さらにより好ましくは4.6±0.1nmol/日である。
【0092】
PTHで治療し、管理し、遅延させ又は予防することができる疾患は、好ましくは、副甲状腺機能低下症、高リン血症、骨粗鬆症、骨折修復、骨軟化症、低ホスファターゼ症を有する患者における骨軟化症及び骨粗鬆症、ステロイド誘発性骨粗鬆症、男性骨粗鬆症、関節炎、変形性関節症、骨形成不全症、線維性異形成、関節リウマチ、パジェット病、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、骨減少症、歯周病、骨折、脱毛症、化学療法誘発性脱毛症、並びに血小板減少症からなる群から選択される。最も好ましくは、前記疾患は、副甲状腺機能低下症である。
【0093】
好ましくは、本発明のPTHコンジュゲート若しくはその医薬的に許容される塩又は本発明の少なくとも1つのPTHコンジュゲートを含む医薬組成物で治療されることになる疾患は、哺乳動物患者において、より好ましくはヒト患者において起こる。同様に、PTHで治療し、管理し、遅延させ又は予防することができる疾患に罹患している患者は、好ましくは哺乳動物患者、より好ましくはヒト患者である。
【0094】
好ましくは、PTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩、又は前記PTHコンジュゲート若しくはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、患者に連日、すなわち毎日1回投与される。さらにより好ましくは、PTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩又は前記PTHコンジュゲート若しくはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、患者に24時間毎に1回投与される。
【0095】
好ましくは、本発明のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩又は本発明の前記PTHコンジュゲート若しくはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物は、PTHで治療することができる疾患の治療に使用するためのものである。
【0096】
好ましくは、本発明の方法は、PTHで治療することができる疾患に罹患している患者を治療する方法である。
【0097】
PTHコンジュゲートは、半減期が、6時間~1週間、より好ましくは12時間~6日、さらにより好ましくは1日~5日、さらにより好ましくは2日~4日、さらにより好ましくは2日~3日の範囲で、生理条件(pH7.4の水性緩衝液、37℃)下、PTHを放出する。
【0098】
好ましくは、本発明のPTHコンジュゲートの総質量は、少なくとも10kDa、例えば少なくとも12kDa、例えば少なくとも15kDa、例えば少なくとも20kDa、又は例えば少なくとも30kDaである。本発明のPTHコンジュゲートの総質量は、好ましくは、最大で250kDa、例えば、最大で200kDa、最大で180kDa、最大で150kDa、最大で100kDa、最大で80kDa又は最大で60kDaである。
【0099】
好ましくは、PTHコンジュゲートは、式(Ia)又は(Ib)
【化12】
(式中、
-Dは、PTH部分構造であり、
-L1-は、-Dに共有結合で及び可逆的に結合されているリンカー部分であり、
-L2-は、化学結合であり又はスペーサー部分であり、
-Zは、ポリマー系部分構造又は置換されている脂肪酸系部分構造であり、
xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16からなる群から選択される整数であり、
yは、2、3、4及び5からなる群から選択される整数である)
を有する。
【0100】
好ましくは、-Dは、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114又は配列番号115の配列を有する。より好ましくは、-Dは、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号110、配列番号111又は配列番号112の配列を有する。
【0101】
一実施形態において、-Dは、配列番号50の配列を有する。
【0102】
別の実施形態において、-Dは、配列番号52の配列を有する。
【0103】
別の実施形態において、-Dは、配列番号110の配列を有する。
【0104】
別の実施形態において、-Dは、配列番号111の配列を有する。
【0105】
別の実施形態において、-Dは、配列番号112の配列を有する。
【0106】
最も好ましくは、-Dは、配列番号51の配列を有する。
【0107】
部分構造-L1-は、-Dのアミノ酸残基の側鎖の官能基に、-DのN末端アミン官能基若しくはC末端カルボキシル官能基に、又は-Dの骨格ポリペプチド鎖中の窒素原子にコンジュゲートしている。N末端又はC末端への結合は、対応するアミン若しくはカルボキシル官能基それぞれによって直接的であってもよく、又は間接的であってもよく、この場合、スペーサー部分構造が先ずアミン若しくはカルボキシル官能基にコンジュゲートし、その官能基にスペーサー部分構造-L1-がコンジュゲートしている。
【0108】
好ましくは、-L1-がコンジュゲートしているPTHのアミノ酸残基は、カルボン酸、一級及び二級アミン、マレイミド、チオール、スルホン酸、カーボネート、カルバメート、ヒドロキシル、アルデヒド、ケトン、ヒドラジン、イソシアネート、イソチオシアネート、リン酸、ホスホン酸、ハロアセチル、ハロゲン化アルキル、アクリロイル、フッ化アリール、ヒドロキシルアミン、スルフェート、ジスルフィド、ビニルスルホン、ビニルケトン、ジアゾアルカン、オキシラン、グアニジン並びにアジリジンからなる群から選択される官能基を含む。より一層好ましくは、-L1-がコンジュゲートしているPTHのアミノ酸残基は、ヒドロキシル、一級及び二級アミン並びにグアニジンからなる群から選択される官能基を含む。より一層好ましくは、-L1-がコンジュゲートしているPTHのアミノ酸残基は、一級及び二級アミン官能基を含む。最も好ましくは、-L1-がコンジュゲートしているPTHのアミノ酸残基は、一級アミン官能基を含む。
【0109】
部分構造-L1-が、PTHのアミノ酸残基の側鎖の官能基にコンジュゲートしている場合、前記アミノ酸残基は、タンパク質構成アミノ酸残基及び非タンパク質構成アミノ酸残基からなる群から選択され得る。
【0110】
一実施形態において、-L1-は、PTHの非タンパク質構成アミノ酸残基の側鎖の官能基にコンジュゲートしている。そのような非タンパク質構成アミノ酸は、天然PTHの配列又はその断片には見られず、PTHのバリアント、アナログ、オルソログ、ホモログ及び誘導体中にのみ存在することが理解される。
【0111】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのタンパク質構成アミノ酸残基の側鎖の官能基にコンジュゲートしている。好ましくは、前記アミノ酸は、ヒスチジン、リシン、トリプトファン、セリン、トレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸及びアルギニンからなる群から選択される。より一層好ましくは、前記アミノ酸は、リシン、アスパラギン酸、アルギニン及びセリンからなる群から選択される。より一層好ましくは、前記アミノ酸は、リシン、アルギニン及びセリンからなる群から選択される。
【0112】
一実施形態において、-L1-は、PTHのヒスチジンの側鎖の官能基にコンジュゲートしている。
【0113】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのリシンの側鎖の官能基にコンジュゲートしている。
【0114】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのトリプトファンの側鎖の官能基にコンジュゲートしている。
【0115】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのセリンの側鎖の官能基にコンジュゲートしている。
【0116】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのトレオニンの側鎖の官能基にコンジュゲートしている。
【0117】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのチロシンの側鎖の官能基にコンジュゲートしている。
【0118】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのアスパラギン酸の側鎖の官能基にコンジュゲートしている。
【0119】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのグルタミン酸の側鎖の官能基にコンジュゲートしている。
【0120】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのアルギニンの側鎖の官能基にコンジュゲートしている。
【0121】
全てのPTH部分構造は、これらのアミノ酸残基の全てを含むことができるとは限らないことが理解される。
【0122】
好ましい実施形態において、-L1-は、PTHのN末端アミン官能基に、対応するアミン官能基によって直接的にコンジュゲートしているか、又は間接的にコンジュゲートしており、この場合、スペーサー部分構造が先ずアミン官能基にコンジュゲートし、その官能基にスペーサー部分構造-L1-がコンジュゲートしている。より一層好ましくは、-L1-は、PTH、好ましくはPTH 1-34、すなわち配列番号51の配列を有するPTH、のN末端アミン官能基と直接的にコンジュゲートしている。
【0123】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのC末端アミン官能基に、対応するカルボキシル官能基によって直接的にコンジュゲートしているか、又は間接的にコンジュゲートしており、この場合、スペーサー部分構造が先ずカルボキシル官能基にコンジュゲートし、その官能基にスペーサー部分構造-L1-がコンジュゲートしている。
【0124】
最も好ましくは、L1-は、PTHのN末端アミン官能基と直接的にコンジュゲートしている。
【0125】
部分構造-L1-は、可逆的であることを条件にいずれのタイプの結合によって-Dと連結されていてもよい。好ましくは、-L1-は、アミド、エステル、カルバメート、アセタール、アミナール、イミン、オキシム、ヒドラゾン、ジスルフィド及びアシルグアニジンからなる群から選択される結合によって、-Dと連結されている。より一層好ましくは、-L1-は、アミド、エステル、カルバメート及びアシルグアニジンからなる群から選択される結合によって、-Dと連結されている。これらの結合の一部は、それ自体は可逆的でないこと、しかし、本発明では-L1-に含まれる隣接基がこれらの結合を可逆的にさせることが理解される。
【0126】
一実施形態において、-L1-は、エステル結合によって-Dと連結されている。
【0127】
別の実施形態において、-L1-は、カルバメート結合によって-Dと連結されている。
【0128】
別の実施形態において、-L1-は、アシルグアニジンによって-Dと連結されている。
【0129】
好ましい実施形態において、-L1-は、アミド結合によって-Dと連結されている。
【0130】
部分構造-L1-は、薬物、すなわちPTHがその遊離形態で放出される可逆的リンカーであり、すなわち、痕跡を残さないリンカーである。好適な可逆的リンカー、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO 2005/099768 A2、WO 2006/136586 A2、WO 2011/089216 A1及びWO 2013/024053 A1に開示されている可逆的リンカー部分構造などは、当技術分野において公知である。
【0131】
別の実施形態において、-L1-は、参照により本明細書に組み込まれるWO 2011/012722 A1、WO 2011/089214 A1、WO 2011/089215 A1、WO 2013/024052 A1及びWO 2013/160340 A1に記載されているような可逆的リンカーである。
【0132】
特に好ましい部分構造-L1-は、WO 2009/095479 A2に開示されている。したがって、好ましい実施形態において、部分構造-L1-は、式(II):
【化13】
(式中、
破線は、PTH部分構造である-Dのアミン、ヒドロキシル又はチオールへの結合を示し、
-X-は、-C(R4R4a)-、-N(R4)-、-O-、-C(R4R4a)-C(R5R5a)-、-C(R5R5a)-C(R4R4a)-、-C(R4R4a)-N(R6)-、-N(R6)-C(R4R4a)-、-C(R4R4a)-O-、-O-C(R4R4a)-、又は-C(R7R7a)-であり、
X1は、C、又はS(O)であり、
-X2-は、-C(R8R8a)-、又は-C(R8R8a)-C(R9R9a)-であり、
=X3は、=O、=S、又は=N-CNであり、
-R1、-R1a、-R2、-R2a、-R4、-R4a、-R5、-R5a、-R6、-R8、-R8a、-R9、-R9aは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
-R3、-R3aは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、但し、-R3、-R3aの一方又は両方が-H以外である場合、それらは、それらが結合しているNに、SP3混成炭素原子によって連結され、
-R7は、-N(R10R10a)、又は-NR10-(C=O)-R11であり、
-R7a、-R10、-R10a、-R11は、互いに独立して、-H、又はC1-6アルキルであり、
場合により、ペア-R1a/-R4a、-R1a/-R5a、-R1a/-R7a、-R4a/-R5a、-R8a/-R9aのうちの1つ以上は、化学結合を形成し、
場合により、ペア-R1/-R1a、-R2/-R2a、-R4/-R4a、-R5/-R5a、-R8/-R8a、-R9/-R9aのうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、C3-10シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクリルを形成し、
場合により、ペア-R1/-R4、-R1/-R5、-R1/-R6、-R1/-R7a、-R4/-R5、-R4/-R6、-R8/-R9、-R2/-R3のうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、環Aを形成し、
場合により、R3/R3aは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3~10員複素環を形成し、
Aは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から選択される)を有し、
-L1-が、-L2-Zで置換されており、場合により、-L1-がさらに置換されており、但し式(II)中のアスタリスクが付いている水素は、-L2-Z又は置換基によって置き換えられず、
-L2-が、単一の化学結合又はスペーサーであり、
-Zが、ポリマー系部分構造又は脂肪酸系部分構造である。
【0133】
好ましくは、式(II)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Zで置換されている。
【0134】
一実施形態において、式(II)の-L1-は、さらに置換されていない。
【0135】
式(II)の-R3/-R3aが、それらが結合している窒素原子と一緒になって3~10員複素環を形成する場合、窒素に直接結合している原子がSP3混成炭素原子である、そのような3~10員複素環のみが形成されうることが理解される。言い換えると、-R3/-R3aとそれらが結合している窒素原子とによって形成されるそのような3~10員複素環は、以下の構造を有する:
【化14】
(式中、
破線は、-L1-の残部への結合を示し、
環は、少なくとも1個の窒素原子を含む、3~10個の原子を含み、並びに
R#及びR##は、SP3混成炭素原子を表す)。
【0136】
3~10員複素環がさらに置換されていてもよいことも理解される。
【0137】
式(II)の-R3/-R3aとそれらが結合している窒素原子とによって形成される好適な3~10員複素環の例示的実施形態は、下記のものである:
【化15】
(式中、
破線は、分子の残部への結合を示し、
-Rは、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択される)。
【0138】
場合により、式(II)の-L1-はさらに置換されていてもよい。一般に、切断の原則に影響を与えない限りいずれの置換基を使用してもよく、すなわち、式(II)中のアスタリスクが付いている水素は置き換えられず、式(II)の部分構造
【化16】
の窒素は、一級、二級又は三級アミンの一部のままであり、すなわち、-R3及び-R3aは、互いに独立して-Hであるか、又はSP3混成炭素原子によって-N<と連結されている。
【0139】
一実施形態において、式(II)の-R1又は-R1aは、-L2-Zで置換されている。別の実施形態において、式(II)の-R2又は-R2aは、-L2-Zで置換されている。別の実施形態において、式(II)の-R3又は-R3aは、-L2-Zで置換されている。別の実施形態において、式(II)の-R4は、-L2-Zで置換されている。別の実施形態において、式(II)の-R5又は-R5aは、-L2-Zで置換されている。別の実施形態において、式(II)の-R6は、-L2-Zで置換されている。別の実施形態において、式(II)の-R7又は-R7aは、-L2-Zで置換されている。別の実施形態において、式(II)の-R8又は-R8aは、-L2-Zで置換されている。別の実施形態において、式(II)の-R9又は-R9aは、-L2-Zで置換されている。別の実施形態において、-R10は、-L2-Zで置換されている。別の実施形態において、-R11は、-L2-Zで置換されている。
【0140】
好ましくは、式(II)の-X-は、-C(R4R4a)-、-N(R4)-及び-C(R7R7a)-からなる群から選択される。
【0141】
一実施形態において、式(II)の-X-は、-C(R4R4a)-である。
【0142】
1つの好ましい実施形態において、式(II)の-X-は、-C(R7R7a)-である。
【0143】
好ましくは、式(II)の-R7は、-NR10-(C=O)-R11である。
【0144】
好ましくは、式(II)の-R7aは、-H、メチル及びエチルから選択される。最も好ましくは、式(II)の-R7aは、-Hである。
【0145】
好ましくは、-R10は、-H、メチル及びエチルから選択される。最も好ましくは、-R10は、メチルである。
【0146】
好ましくは、-R11は、-H、メチル及びエチルから選択される。最も好ましくは、-R11は、-Hである。
【0147】
好ましくは、-R11は、-L2-Zで置換されている。
【0148】
別の好ましい実施形態において、式(II)の-X-は、-N(R4)-である。
【0149】
好ましくは、-R4は、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。好ましくは、-R4は、-Hである。
【0150】
好ましくは、式(II)のX1は、Cである。
【0151】
好ましくは、式(II)の=X3は、=Oである。
【0152】
好ましくは、式(II)の-X2-は、-C(R8R8a)-である。
【0153】
好ましくは、式(II)の-R8及び-R8aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(II)の-R8及び-R8aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(II)の-R8と-R8aの両方が-Hである。
【0154】
好ましくは、式(II)の-R1及び-R1aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。
【0155】
1つの好ましい実施形態において、式(II)の-R1及び-R1aの少なくとも一方は、-Hであり、より好ましくは、式(II)の-R1と-R1aの両方が-Hである。
【0156】
別の好ましい実施形態において、式(II)の-R1及び-R1aの少なくとも一方はメチルであり、より好ましくは、式(II)の-R1と-R1aの両方がメチルである。
【0157】
好ましくは、式(II)の-R2及び-R2aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(II)の-R2及び-R2aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(II)の-R2と-R2aの両方がHである。
【0158】
好ましくは、式(II)の-R3及び-R3aは、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群から選択される。
【0159】
1つの好ましい実施形態において、式(II)の-R3及び-R3aの少なくとも一方はメチルであり、より好ましくは、式(II)の-R3は、メチルであり、式(II)の-R3aは、-Hである。
【0160】
別の好ましい実施形態において、式(II)の-R3と-R3aの両方が-Hである。
【0161】
好ましくは、-Dは、アミド結合を形成することにより、アミンによって-L1-と連結されている。
【0162】
好ましい実施形態において、部分構造-L1-は、式(IIb-i):
【化17】
(式中、
破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dのアミンへの結合を示し、
-R1、-R1a、-R2、-R2a、-R3、-R3a、-R4、及び-X2は、式(II)に関して定義した通りに使用している)
を有し、
前記-L1-は、-L2-Zで置換されており、前記-L1-は、場合によりさらに置換されており、但し式(IIb-i)中のアスタリスクが付いている水素が-L2-Z又は置換基によって置き換えられない。
【0163】
好ましくは、式(IIb-i)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Zで置換されている。
【0164】
好ましくは、式(IIb-i)の部分構造-L1-は、さらに置換されていない。
【0165】
好ましくは、式(IIb-i)の-R1及び-R1aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIb-i)の-R1及び-R1aの少なくとも一方は、メチルである。より一層好ましくは、式(IIb-i)の-R1と-R1aの両方がメチルである。
【0166】
好ましくは、式(IIb-i)の-R4は、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIb-i)の-R4は、-Hである。
【0167】
好ましくは、式(IIb-i)の-X2-は、-C(R8R8a)-である。
【0168】
好ましくは、式(IIb-i)の-R8及び-R8aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIb-i)の-R8及び-R8aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIb-i)の-R8と-R8aの両方が-Hである。
【0169】
好ましくは、式(IIb-i)の-R2及び-R2aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIb-i)の-R2及び-R2aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIb-i)の-R2と-R2aの両方がHである。
【0170】
好ましくは、式(IIb-i)の-R3及び-R3aは、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群から選択される。より一層好ましくは、式(IIb-i)の-R3及び-R3aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIb-i)の-R3と-R3aの両方が-Hである。
【0171】
好ましくは、式(IIb-i)の-R3又はR3aは、-L2-Zで置換されている。
【0172】
より好ましくは、部分構造-L1-は、式(IIb-ii):
【化18】
(式中、
破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dのアミンへの結合を示し、
-R2、-R2a、-R3、-R3a及び-X2-は、式(II)に関して定義した通りに使用している)
を有し、
前記-L1-は、-L2-Zで置換されており、場合により、前記-L1-は、さらに置換されており、但し式(IIb-ii)中のアスタリスクが付いている水素は、-L2-Z又は置換基によって置き換えられない。
【0173】
好ましくは、式(IIb-ii)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Zで置換されている。
【0174】
好ましくは、式(IIb-ii)の部分構造-L1-は、さらに置換されていない。
【0175】
好ましくは、式(IIb-ii)の-X2-は、-C(R8R8a)-である。
【0176】
好ましくは、式(IIb-ii)の-R8及び-R8aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIb-ii)の-R8及び-R8aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIb-ii)の-R8と-R8aの両方が-Hである。
【0177】
好ましくは、式(IIb-ii)の-R2及び-R2aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIb-ii)の-R2及び-R2aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIb-ii)の-R2と-R2aの両方がHである。
【0178】
好ましくは、式(IIb-ii)の-R3及び-R3aは、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群から選択される。より一層好ましくは、式(IIb-ii)の-R3及び-R3aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIb-ii)の-R3と-R3aの両方が-Hである。
【0179】
好ましくは、式(IIb-ii)の-R3又はR3aは、-L2-Zで置換されている。
【0180】
より一層好ましくは、部分構造-L1-は、式(IIb-ii'):
【化19】
(式中、
印の付いていない破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dのアミンへの結合を示し、且つアスタリスクが付いている破線は、-L2-への結合を示し、
-R2、-R2a、-R3、-R3a及び-X2-は、式(II)に関して定義した通りに使用している)
を有し、
前記-L1-は、示されているように1つの部分構造-L2-Zで置換されており、場合により、前記-L1-は、さらに置換されており、但し式(IIb-ii')中のアスタリスクが付いている水素は、置換基によって置き換えられない。
【0181】
好ましくは、式(IIb-ii')の部分構造-L1-は、さらに置換されていない。
【0182】
好ましくは、式(IIb-ii')の-X2-は、-C(R8R8a)-である。
【0183】
好ましくは、式(IIb-ii')の-R8及び-R8aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIb-ii')の-R8及び-R8aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIb-ii')の-R8と-R8aの両方が-Hである。
【0184】
好ましくは、式(IIb-ii')の-R2及び-R2aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIb-ii')の-R2及び-R2aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIb-ii')の-R2と-R2aの両方が-Hである。
【0185】
好ましくは、式(IIb-ii')の-R3及び-R3aは、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群から選択される。より一層好ましくは、式(IIb-ii')の-R3及び-R3aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIb-ii')の-R3と-R3aの両方が-Hである。
【0186】
より一層好ましくは、部分構造-L1-は、式(IIb-iii):
【化20】
(式中、
破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dのアミンへの結合を示す)
を有し、
前記-L1-は、-L2-Zで置換されており、場合により、前記-L1-は、さらに置換されており、但し式(IIb-iii)中のアスタリスクが付いている水素は、-L2-Z又は置換基によって置き換えられない。
【0187】
好ましくは、式(IIb-iii)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Zで置換されている。
【0188】
好ましくは、式(IIb-iii)の部分構造-L1-は、さらに置換されていない。
【0189】
好ましくは、式(IIb-iii)の-R3又はR3aは、-L2-Zで置換されている。
【0190】
最も好ましくは、部分構造-L1-は、式(IIb-iii'):
【化21】
(式中、
破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dのアミンへの結合を示し、且つアスタリスクが付いている破線は、-L2-への結合を示し、
-R2、-R2a、-R3、-R3a、及び-X2-は、式(II)に関して定義した通りに使用している)
を有し、
前記-L1-は、示されているように-L2-Zで置換されており、場合により、前記-L1-は、さらに置換されており、但し式(IIb-iii')中のアスタリスクが付いている水素は、置換基によって置き換えられない。
【0191】
好ましくは、式(IIb-iii')の部分構造-L1-は、さらに置換されていない。
【0192】
別の好ましい部分構造-L1-は、WO2016/020373A1に開示されている。したがって、別の好ましい実施形態において、部分構造-L1-は、式(III):
【化22】
(式中、
破線は、それぞれ、PTH部分構造である-Dの一級若しくは二有アミン又はヒドロキシルへのアミド又はエステル結合を形成することによる結合を示し、
-R1、-R1a、-R2、-R2a、-R3及び-R3aは、互いに独立して、-H、-C(R8R8aR8b)、-C(=O)R8、-C≡N、-C(=NR8)R8a、-CR8(=CR8aR8b)、-C≡CR8及び-Tからなる群から選択され、
-R4、-R5及び-R5aは、互いに独立して、-H、-C(R9R9aR9b)及び-Tからなる群から選択され、
a1及びa2は、互いに独立して、0又は1であり、
各-R6、-R6a、-R7、-R7a、-R8、-R8a、-R8b、-R9、-R9a、-R9bは、互いに独立して、-H、ハロゲン、-CN、-COOR10、-OR10、-C(O)R10、-C(O)N(R10R10a)、-S(O)2N(R10R10a)、-S(O)N(R10R10a)、-S(O)2R10、-S(O)R10、-N(R10)S(O)2N(R10aR10b)、-SR10、-N(R10R10a)、-NO2、-OC(O)R10、-N(R10)C(O)R10a、-N(R10)S(O)2R10a、-N(R10)S(O)R10a、-N(R10)C(O)OR10a、-N(R10)C(O)N(R10aR10b)、-OC(O)N(R10R10a)、-T、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、及びC2-20アルキニルからなる群から選択され、ここで、前記-T、C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-R11で場合により置換されており、C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R12)-、-S(O)2N(R12)-、-S(O)N(R12)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R12)S(O)2N(R12a)-、-S-、-N(R12)-、-OC(OR12)(R12a)-、-N(R12)C(O)N(R12a)-、及び-OC(O)N(R12)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各-R10、-R10a、-R10bは、独立して、-H、-T、C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルからなる群から選択され、前記-T、C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-R11で場合により置換されており、前記C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R12)-、-S(O)2N(R12)-、-S(O)N(R12)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R12)S(O)2N(R12a)-、-S-、-N(R12)-、-OC(OR12)(R12a)-、-N(R12)C(O)N(R12a)-、及び-OC(O)N(R12)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各Tは、互いに独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から選択され、前記各Tは、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-R11で場合により置換されており、
各-R11は、互いに独立して、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COOR13、-OR13、-C(O)R13、-C(O)N(R13R13a)、-S(O)2N(R13R13a)、-S(O)N(R13R13a)、-S(O)2R13、-S(O)R13、-N(R13)S(O)2N(R13aR13b)、-SR13、-N(R13R13a)、-NO2、-OC(O)R13、-N(R13)C(O)R13a、-N(R13)S(O)2R13a、-N(R13)S(O)R13a、-N(R13)C(O)OR13a、-N(R13)C(O)N(R13aR13b)、-OC(O)N(R13R13a)、及びC1-6アルキルから選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-R12、-R12a、-R13、-R13a、-R13bは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
場合により、ペア-R1/-R1a、-R2/-R2a、-R3/-R3a、-R6/-R6a、-R7/-R7aのうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、C3-10シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクリルを形成し、
場合により、ペア-R1/-R2、-R1/-R3、-R1/-R4、-R1/-R5、-R1/-R6、-R1/-R7、-R2/-R3、-R2/-R4、-R2/-R5、-R2/-R6、-R2/-R7、-R3/-R4、-R3/-R5、-R3/-R6、-R3/-R7、-R4/-R5、-R4/-R6、-R4/-R7、-R5/-R6、-R5/-R7、-R6/-R7のうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、環Aを形成し、
Aは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から選択される)
を有し、
前記-L1-は、-L2-Zで置換されており、場合により、前記-L1-はさらに置換されており、
-L2-は、単一の化学結合又はスペーサーであり、
-Zは、ポリマー系部分構造又は脂肪酸系部分構造である。
【0193】
式(III)の-L1-の任意選択のさらなる置換基は、好ましくは、上に記載した通りである。
【0194】
好ましくは、式(III)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Zで置換されている。
【0195】
一実施形態において、式(III)の-L1-は、さらに置換されていない。
【0196】
-L1-についてのさらなる好ましい実施形態は、欧州特許第1536334号B1、WO2009/009712A1、WO2008/034122A1、WO2009/143412A2、WO2011/082368A2、及び米国特許第8,618,124号B2に開示されており、前記特許文献は、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【0197】
-L1-についてのさらなる好ましい実施形態は、米国特許第8,946,405号B2及び米国特許第8,754,190号B2に開示されており、前記特許文献は、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。したがって、好ましい部分構造-L1-は、式(IV):
【化23】
(式中、
破線は、PTH部分構造である-Dへの結合を示し、前記結合は、-OH、-SH及び-NH2からなる群から選択される-Dの官能基によるものであり、
mは、0又は1であり、
-R1及び-R2の少なくとも一方又は両方は、互いに独立して、-CN、-NO2、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、-C(O)R3、-S(O)R3、-S(O)2R3、及び-SR4からなる群から選択され、
-R1及び-R2の一方及び一方のみは、-H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアリールアルキル、及び場合により置換されているヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
-R3は、-H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアリールアルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアリールアルキル、-OR9及び-N(R9)2からなる群から選択され、
-R4は、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアリールアルキル、場合により置換されているヘテロアリール、及び場合により置換されているヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
各-R5は、独立して、-H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニルアルキル、場合により置換されているアルキニルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアリールアルキル、場合により置換されているヘテロアリール、及び場合により置換されているヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
-R9は、-H及び場合により置換されているアルキルからなる群から選択され、
-Y-は、存在せず、及び-X-は、-O-若しくは-S-であり、又は
-Y-は、-N(Q)CH2-であり、-X-は、-O-であり、
Qは、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアリールアルキル、場合により置換されているヘテロアリール、及び場合により置換されているヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
場合により、-R1とR2が一緒になって、3~8員環を形成することもあり、並びに
場合により、両方の-R9は、それらが結合している窒素と一緒になって、複素環式環を形成する)
を有し、
前記-L1-は、-L2-Zで置換されており、場合により、前記-L1-はさらに置換されており、
-L2-は、単一の化学結合又はスペーサーであり、
-Zは、ポリマー系部分構造又は脂肪酸系部分構造である。
【0198】
専ら式(IV)との関連で使用する用語は、以下の意味を有する:
ここで使用する用語「アルキル」は、炭素原子1~8個、又は一部の実施形態では炭素原子1~6個又は1~4個の直鎖状、分岐又は環状飽和炭化水素基を含む。
【0199】
用語「アルコキシ」は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、シクロプロポキシ、シクロブトキシ及びこれらに類するものをはじめとする、酸素に結合しているアルキル基を含む。
【0200】
用語「アルケニル」は、炭素-炭素二重結合を有する非芳香族不飽和炭化水素を含む。
【0201】
用語「アルキニル」は、炭素-炭素三重結合を有する非芳香族不飽和炭化水素を含む。
【0202】
用語「アリール」は、フェニル、ナフチル及びアントラセニルなどの基をはじめとする、炭素6~18個、好ましくは炭素6~10個の芳香族炭化水素基を含む。用語「ヘテロアリール」は、ピロリル、ピリジル、ピリミジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、キノリル、インドリル、インデニル及びこれらに類するものなどの基をはじめとする、3~15個の炭素原子を含み、少なくとも1個のN、O又はS原子を含有する、好ましくは、3~7個の炭素原子を含み、少なくとも1個のN、O又はS原子を含有する、芳香族環を含む。
【0203】
場合によっては、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリール部分構造は、アルキレン結合によって分子の残部にカップリングされていることもある。これらの状況下の置換基をアルケニルアルキル、アルキニルアルキル、アリールアルキル又はヘテロアリールアルキルと呼ぶことになり、これらは、アルキレン部分構造が、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリール部分構造と、該アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールがカップリングされている分子との間にあることを示す。
【0204】
用語「ハロゲン」は、ブロモ、フルオロ、クロロ及びヨードを含む。
【0205】
用語「複素環式環」は、3~7個の炭素原子と少なくとも1個のN、O又はS原子とを含む、4~8員芳香族又は非芳香族環を指す。例は、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジン及びテトラヒドロフラニル、並びに用語「ヘテロアリール」について上で提供した好例の基である。
【0206】
環系が場合により置換されているとき、好適な置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル又はさらなる環からなる群から選択され、これらの各々は、場合によりさらに置換されている。上記のものを含むいずれかの基に対する任意選択の置換基としては、ハロ、ニトロ、シアノ、-OR、-SR、-NR2、-OCOR、-NRCOR、-COOR、-CONR2、-SOR、-SO2R、-SONR2、-SO2NR2が挙げられ、ここで各Rは、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくはヘテロアリールであるか、又は2つのR基は、それらが結合している原子と協働して環を形成する。
【0207】
好ましくは、式(IV)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Zで置換されている。
【0208】
-L1-についてのさらなる好ましい実施形態は、WO2013/036857A1に開示されており、この特許文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。したがって、好ましい部分構造-L1-は、式(V):
【化24】
(式中、
破線は、PTH部分構造である-Dへの結合を示し、前記結合は、-Dのアミン官能基によるものであり、
-R1は、場合により置換されているC1-C6直鎖状、分岐又は環状アルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、アルコキシ、及び-NR5 2からなる群から選択され、
-R2は、-H、場合により置換されているC1-C6アルキル、場合により置換されているアリール、及び場合により置換されているヘテロアリールからなる群から選択され、
-R3は、-H、場合により置換されているC1-C6アルキル、場合により置換されているアリール、及び場合により置換されているヘテロアリールからなる群から選択され、
-R4は、-H、場合により置換されているC1-C6アルキル、場合により置換されているアリール、及び場合により置換されているヘテロアリールからなる群から選択され、
各-R5は、互いに独立して、-H、場合により置換されているC1-C6アルキル、場合により置換されているアリール、及び場合により置換されているヘテロアリールからなる群から選択され、又は協働する場合、2つの-R5がシクロアルキル若しくはシクロヘテロアルキルになりうる)
を有し、
前記-L1-は、-L2-Zで置換されており、場合により、前記-L1-はさらに置換されており、
-L2-は、単一の化学結合又はスペーサーであり、
-Zは、ポリマー系部分構造又は脂肪酸系部分構造である。
【0209】
専ら式(V)との関連で使用する用語は、以下の意味を有する:
「アルキル」、「アルケニル」及び「アルキニル」は、アルキルが飽和炭化水素であり、アルケニルが1つ以上の炭素-炭素二重結合を含み、及びアルキニルが1以上の炭素-炭素三重結合を含む、炭素1~8個、又は1~6個、又は1~4個の直鎖状、分岐又は環状炭化水素基を含む。別段の指定がない限り、これらは1~6個のCを含有する。
【0210】
「アリール」は、フェニル、ナフチル及びアントラセニンなどの基をはじめとする、炭素6~18個、好ましくは炭素6~10個の芳香族炭化水素基を含む。「ヘテロアリール」は、ピロリル、ピリジル、ピリミジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、キノリル、インドリル、インデニル及びこれらに類するものなどの基をはじめとする、3~15個の炭素を含み、少なくとも1個のN、O又はS原子を含有する、好ましくは、3~7個の炭素を含み、少なくとも1個のN、O又はS原子を含有する、芳香族環を含む。
【0211】
用語「置換されている」は、1個以上の水素原子の代わりに1つ以上の置換基を含む、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリール基を意味する。置換基は、一般に、ハロゲン(F、Cl、Br及びIを含む)、低級アルキル(直鎖状のもの、分岐したもの及び環状のものを含む)、低級ハロアルキル(フルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル及びヨードアルキルを含む)、OH、低級アルコキシ(直鎖状のもの、分岐したもの及び環状のものを含む)、SH、低級アルキルチオ(直鎖状のもの、分岐したもの及び環状のものを含む)、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シリル(アルキルシリル、アルコキシシリル及びアリールシリルを含む)、ニトロ、シアノ、カルボニル、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、アミノカルボニル、アミノアシル、カルバメート、尿素、チオカルバメート、チオ尿素、ケテン、スルホン、スルホンアミド、アリール(フェニル、ナフチル及びアントラセニルを含む)、ヘテロアリール(ピロール、イミダゾール、フラン、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、オキサジアゾール及びテトラゾールをはじめとする5員ヘテロアリール、ピリジン、ピリミジン及びピラジンをはじめとする6員ヘテロアリール、並びにベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、インドール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソオキサゾール及びベンゾイソチアゾールをはじめとする縮合ヘテロアリールを含む)から選択され得る。
【0212】
好ましくは、式(V)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Zで置換されている。
【0213】
-L1-についてのさらなる好ましい実施形態は、米国特許第7,585,837号B2に開示されており、この特許文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。したがって、好ましい部分構造-L1-は、式(VI):
【化25】
(式中、
破線は、PTH部分構造である-Dへの結合を示し、前記結合は、-Dのアミン官能基によるものであり、
R1及びR2は、独立して、水素、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリール、アルカリル、アラルキル、ハロゲン、ニトロ、-SO3H、-SO2NHR5、アミノ、アンモニウム、カルボキシル、PO3H2及びOPO3H2からなる群から選択され、
R3、R4及びR5は、独立して、水素、アルキル及びアリールからなる群から選択される)を有し、
前記-L1-は、-L2-Zで置換されており、場合により、前記-L1-はさらに置換されており、
-L2-は、単一の化学結合又はスペーサーであり、
-Zは、ポリマー系部分構造又は脂肪酸系部分構造である。
【0214】
式(VI)の好適な置換基は、アルキル(例えば、C1-6アルキル)、アルケニル(例えば、C2-6アルケニル)、アルキニル(例えば、C2-6アルキニル)、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール(例えば、芳香族4~7員複素環)又はハロゲン部分構造である。
【0215】
専ら式(VI)との関連で使用する用語は、以下の意味を有する:
用語「アルキル」、「アルコキシ」、「アルコキシアルキル」、「アリール」、「アルカリル」及び「アラルキル」は、炭素原子1~8個、好ましくは1~4個のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びブチル、並びに炭素原子6~10個のアリール基、例えば、フェニル及びナフチルを意味する。用語「ハロゲン」は、ブロモ、フルオロ、クロロ及びヨードを含む。
【0216】
好ましくは、式(VI)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Zで置換されている。
【0217】
-L1-についてのさらなる好ましい実施形態は、WO2002/089789A1に開示されており、この特許文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。したがって、好ましい部分構造-L1-は、式(VII):
【化26】
(式中、
破線は、PTH部分構造である-Dへの結合を示し、前記結合は、-Dのアミン官能基によるものであり、
L1は、二官能性結合基であり、
Y1及びY2は、独立して、O、S又はNR7であり、
R2、R3、R4、R5、R6及びR7は、独立して、水素、C1-6アルキル、C3-12分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、フェノキシ及びC1-6ヘテロアルコキシからなる群から選択され、
Arは、式(VII)に含まれる場合、多置換芳香族炭化水素又は多置換複素環式基を形成する部分構造であり、
Xは、化学結合、又は標的細胞に能動輸送される部分構造、疎水性部分構造、又はこれらの組合せであり、
Yは、0又は1である)
を有し、
前記-L1-は、-L2-Zで置換されており、場合により、前記-L1-はさらに置換されており、
-L2-は、単一の化学結合又はスペーサー部分構造であり、
-Zは、ポリマー系部分構造又は脂肪酸系部分構造である。
【0218】
専ら式(VII)との関連で使用する用語は、以下の意味を有する:
用語「アルキル」は、例えば、アルコキシ、C3-8シクロアルキル又は置換シクロアルキルなどをはじめとする直鎖状、分岐、置換C1-12アルキルを含むと解されるものとする。
【0219】
用語「置換されている」は、官能基又は化合物に含有される1個以上の原子を付加させること及び1個以上の異なる原子で置き換えることを含むと解されるものとする。
【0220】
置換アルキルは、カルボキシアルキル、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、ヒドロキシアルキル及びメルカプトアルキルを含み、置換シクロアルキルは、4-クロロシクロヘキシルなどの部分構造を含み、アリールは、ナフチルなどの部分構造を含み、置換アリールは、3-ブロモ-フェニルなどの部分構造を含み、アラルキルは、トルイルなどの部分構造を含み、ヘテロアルキルは、エチルチオフェンなどの部分構造を含み、置換ヘテロアルキルは、3-メトキシチオフェンなどの部分構造を含み、アルコキシは、メトキシなどの部分構造を含み、及びフェノキシは、3-ニトロフェノキシなどの部分構造を含む。ハロ-は、フルオロ、クロロ、ヨード及びブロモを含むと解されるものとする。
【0221】
好ましくは、式(VII)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Zで置換されている。
【0222】
別の好ましい実施形態において、-L1-は、式(VIII)のサブ構造
【化27】
(式中、
アスタリスクが付いている破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
印の付いていない破線は、-L1-の残部への結合を示す)
を含み、
前記-L1-は、-L2-Zで置換されており、場合により、前記-L1-はさらに置換されており、ここで、
-L2-は、単一の化学結合又はスペーサーであり、
-Zは、ポリマー系部分構造又は脂肪酸系部分構造である。
【0223】
好ましくは、式(VIII)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Zで置換されている。
【0224】
一実施形態において、式(VIII)の-L1-は、さらに置換されていない。
【0225】
別の好ましい実施形態において、-L1-は、式(IX)のサブ構造
【化28】
(式中、
アスタリスクが付いている破線は、PTH部分構造である-Dの窒素へのカルバメート結合を形成することによる結合を示し、
印の付いていない破線は、-L1-の残部への結合を示す)
を含み、
前記-L1-は、-L2-Zで置換されており、場合により、前記-L1-はさらに置換されており、
-L2-は、単一の化学結合又はスペーサーであり、
-Zは、ポリマー系部分構造又は脂肪酸系部分構造である。
【0226】
好ましくは、式(IX)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Zで置換されている。
【0227】
一実施形態において、式(IX)の-L1-は、さらに置換されていない。
【0228】
本発明のコンジュゲートにおいて、-L2-は、化学結合又はスペーサー部分構造である。
【0229】
一実施形態において、-L2-は、化学結合である。
【0230】
別の実施形態において、-L2-は、スペーサー部分構造である。
【0231】
-L2-が単一の化学結合以外である場合、-L2-は、好ましくは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry1)-、-S(O)2N(Ry1)-、-S(O)N(Ry1)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry1)S(O)2N(Ry1a)-、-S-、-N(Ry1)-、-OC(ORy1)(Ry1a)-、-N(Ry1)C(O)N(Ry1a)-、-OC(O)N(Ry1)-、C1-50アルキル、C2~50アルケニル、及びC2~50アルキニルからなる群から選択され、ここで、
-T-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry3)-、-S(O)2N(Ry3)-、-S(O)N(Ry3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry3)S(O)2N(Ry3a)-、-S-、-N(Ry3)-、-OC(ORy3)(Ry3a)-、-N(Ry3)C(O)N(Ry3a)-、及び-OC(O)N(Ry3)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
-Ry1及び-Ry1aは、互いに独立して、-H、-T、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、前記-T、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、前記C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry4)-、-S(O)2N(Ry4)-、-S(O)N(Ry4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry4)S(O)2N(Ry4a)-、-S-、-N(Ry4)-、-OC(ORy4)(Ry4a)-、-N(Ry4)C(O)N(Ry4a)-、及び-OC(O)N(Ry4)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各Tは、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、前記各Tは、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、
各Ry2は、独立して、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORy5、-ORy5、-C(O)Ry5、-C(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2N(Ry5Ry5a)、-S(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2Ry5、-S(O)Ry5、-N(Ry5)S(O)2N(Ry5aRy5b)、-SRy5、-N(Ry5Ry5a)、-NO2、-OC(O)Ry5、-N(Ry5)C(O)Ry5a、-N(Ry5)S(O)2Ry5a、-N(Ry5)S(O)Ry5a、-N(Ry5)C(O)ORy5a、-N(Ry5)C(O)N(Ry5aRy5b)、-OC(O)N(Ry5Ry5a)、及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-Ry3、-Ry3a、-Ry4、-Ry4a、-Ry5、-Ry5a及び-Ry5bは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されている。
【0232】
-L2-が単一の化学結合以外である場合、-L2-は、より一層好ましくは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry1)-、-S(O)2N(Ry1)-、-S(O)N(Ry1)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry1)S(O)2N(Ry1a)-、-S-、-N(Ry1)-、-OC(ORy1)(Ry1a)-、-N(Ry1)C(O)N(Ry1a)-、-OC(O)N(Ry1)-、C1-50アルキル、C2~50アルケニル、及びC2~50アルキニルから選択され、ここで、 -T、C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry3)-、-S(O)2N(Ry3)-、-S(O)N(Ry3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry3)S(O)2N(Ry3a)-、-S-、-N(Ry3)-、-OC(ORy3)(Ry3a)-、-N(Ry3)C(O)N(Ry3a)-、及び-OC(O)N(Ry3)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
-Ry1及び-Ry1aは、互いに独立して、-H、-T、C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルからなる群から選択され、前記-T、C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、前記C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry4)-、-S(O)2N(Ry4)-、-S(O)N(Ry4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry4)S(O)2N(Ry4a)-、-S-、-N(Ry4)-、-OC(ORy4)(Ry4a)-、-N(Ry4)C(O)N(Ry4a)-、及び-OC(O)N(Ry4)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各Tは、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、前記各Tは、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、
-Ry2は、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORy5、-ORy5、-C(O)Ry5、-C(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2N(Ry5Ry5a)、-S(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2Ry5、-S(O)Ry5、-N(Ry5)S(O)2N(Ry5aRy5b)、-SRy5、-N(Ry5Ry5a)、-NO2、-OC(O)Ry5、-N(Ry5)C(O)Ry5a、-N(Ry5)S(O)2Ry5a、-N(Ry5)S(O)Ry5a、-N(Ry5)C(O)ORy5a、-N(Ry5)C(O)N(Ry5aRy5b)、-OC(O)N(Ry5Ry5a)、及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-Ry3、-Ry3a、-Ry4、-Ry4a、-Ry5、-Ry5a及び-Ry5bは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されている。
【0233】
-L2-が単一の化学結合以外である場合、-L2-は、より一層好ましくは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry1)-、-S(O)2N(Ry1)-、-S(O)N(Ry1)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry1)S(O)2N(Ry1a)-、-S-、-N(Ry1)-、-OC(ORy1)(Ry1a)-、-N(Ry1)C(O)N(Ry1a)-、-OC(O)N(Ry1)-、C1-50アルキル、C2~50アルケニル、及びC2~50アルキニルからなる群から選択され、ここで、
-T-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry3)-、-S(O)2N(Ry3)-、-S(O)N(Ry3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry3)S(O)2N(Ry3a)-、-S-、-N(Ry3)-、-OC(ORy3)(Ry3a)-、-N(Ry3)C(O)N(Ry3a)-、及び-OC(O)N(Ry3)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
-Ry1及び-Ry1aは、独立して、-H、-T、C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルからなる群から選択され、
各Tは、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、及び8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、
-Ry2は、独立して、ハロゲン及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
各-Ry3、-Ry3a、-Ry4、-Ry4a、-Ry5、-Ry5a及び-Ry5bは、互いに独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されている。
【0234】
より一層好ましくは、-L2-は、-O-、-T-及び-C(O)N(Ry1)-から独立して選択される1つ以上の基が場合により割り込んでいるC1-20アルキル鎖であり、該C1-20アルキル鎖は、-OH、-T及び-C(O)N(Ry6Ry6a)から独立して選択される1つ以上の基で場合により置換されており、前記-Ry1、-Ry6、-Ry6aは、独立して、H及びC1-4アルキルからなる群から選択され、前記Tは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、及び8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択される。
【0235】
好ましくは、-L2-は、14g/mol~750g/molの範囲内の分子量を有する。
【0236】
好ましくは、-L2-は、以下のものから選択される部分構造を含む:
【化29】
(式中、
破線は、-L2-、-L1-、及び/又は-Zの残部への結合をそれぞれ示し、
-R及び-Raは、互いに独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択される)。
【0237】
1つの好ましい実施形態において、-L2-は、1~20原子の鎖長を有する。
【0238】
部分構造-L2-に関して本明細書において使用する用語「鎖長」は、-L1-と-Z間の最短連結部に存在する-L2-の原子数を指す。
【0239】
好ましくは、-L2-は、式(i)
【化30】
(式中、
アスタリスクが付いている破線は、-L1-への結合を示し、
印の付いていない破線は、-Zへの結合を示し、
nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17及び18からなる群から選択される)
を有し、場合により、この式(i)の部分構造はさらに置換されている。
【0240】
好ましくは、式(i)のnは、3、4、5、6、7、8、及び9からなる群から選択される。より一層好ましくは、式(i)のnは、4、5、6又は7である。一実施形態において、式(i)のnは、4である。別の実施形態では、式(i)のnは、5である。別の実施形態では、式(i)のnは、6である。
【0241】
1つの好ましい実施形態において、部分構造-L1-L2-は、
【化31】
(式中、
印の付いていない破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
アスタリスクが付いている破線は、-Zへの結合を示す)
からなる群から選択される。
【0242】
1つの実施形態において、部分構造-L1-L2-は、式(IIcb-i)を有する。
【0243】
別の実施形態において、部分構造-L1-L2-は、式(IIcb-ii)を有する。
【0244】
別の実施形態において、部分構造-L1-L2-は、式(IIcb-iii)を有する。
【0245】
-Zは、ポリマー系部分構造又は脂肪酸系部分構造である。1つの実施形態において、-Zは、脂肪酸系部分構造である。別の実施形態において、-Zは、ポリマー系部分構造であり、好ましくは、2-メタクリロイル-オキシエチルホスホリルコリン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アルキルオキシ)ポリマー、ポリ(アミド)、ポリ(アミドアミン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(酸無水物)、ポリ(アスパルトアミド)、ポリ(酪酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチルホスフェート)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチル-オキサゾリン)、ポリ(ヒドロキシメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルオキサゾリン)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(メチルオキサゾリン)、ポリ(オルガノホスファゼン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(シロキサン)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルピロリドン)、シリコーン、セルロース、カルボメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キチン、キトサン、デキストラン、デキストリン、ゼラチン、ヒアルロン酸及び誘導体、官能化ヒアルロン酸、マンナン、ペクチン、ラムノガラクツロナン、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン及び他の炭水化物系ポリマー、キシラン、並びにこれらのコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む、ポリマー系部分構造である。
【0246】
好ましくは、-Zは、5~200kDaの範囲の分子量を有する。より一層好ましくは、-Zは、8~100kDaの範囲の、より一層好ましくは10~80kDa、より一層好ましくは12~60kDa、より一層好ましくは15~40kDaの範囲の分子量を有し、最も好ましくは、-Zは、約20kDaの分子量を有する。別の同様に好ましい実施形態において、-Zは、約40kDaの分子量を有する。
【0247】
一実施形態において、そのような-Zは、タンパク質を含む。好ましいタンパク質は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2012/0035101号A1に記載されているような絨毛性ゴナドトロピンのカルボキシル末端ポリペプチド、アルブミン、参照により本明細書に組み込まれるWO 2011123813 A2に記載されているようなXTEN配列、参照により本明細書に組み込まれるWO 2011/144756 A1に記載されているようなプロリン/アラニンランダムコイル配列、参照により本明細書に組み込まれるWO 2008/155134 A1及びWO 2013/024049 A1に記載されているようなプロリン/アラニン/セリンランダムコイル配列、並びにFc融合タンパク質からなる群から選択される。
【0248】
一実施形態において、-Zは、ポリサルコシンである。
【0249】
別の実施形態において、-Zは、ポリ(N-メチルグリシン)を含む。
【0250】
別の実施形態において、-Zは、ランダムコイルタンパク質部分構造を含む。
【0251】
1つの実施形態において、そのようなランダムコイルタンパク質部分構造は、少なくとも25個のアミノ酸残基、最大で2000個のアミノ酸を含む。好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分構造は、少なくとも30個のアミノ酸残基、最大で1500個のアミノ酸残基を含む。より一層好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分構造は、少なくとも50個のアミノ酸残基、最大で500個のアミノ酸残基を含む。
【0252】
1つの実施形態において、-Zは、ランダムコイルタンパク質部分構造を形成するアミノ酸の総数の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より一層好ましくは少なくとも90%、より一層好ましくは少なくとも95%、より一層好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%がアラニン及びプロリンから選択される、前記ランダムコイルタンパク質部分構造を含む。より一層好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分構造のアミノ酸残基の総数の少なくとも10%、しかし75%未満、好ましくは65%未満は、プロリン残基である。好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分構造は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO 2011/144756 A1に記載されているようなものである。より一層好ましくは、-Zは、参照により本明細書に組み込まれるWO 2011/144756に開示されている配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号51及び配列番号61からなる群から選択される少なくとも1つの部分構造を含む。
【0253】
別の実施形態において、-Zは、ランダムコイルタンパク質部分構造を形成するアミノ酸の総数の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より一層好ましくは少なくとも90%、より一層好ましくは少なくとも95%、より一層好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%がアラニン、セリン及びプロリンから選択される、前記ランダムコイルタンパク質部分構造を含む。より一層好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分構造のアミノ酸残基の総数の少なくとも4%、しかし40%未満は、プロリン残基である。好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分構造は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO 2008/155134 A1に記載されているようなものである。より一層好ましくは、-Zは、参照により本明細書に組み込まれるWO 2008/155134 A1に開示されている配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号50、配列番号52、配列番号54及び配列番号56からなる群から選択される少なくとも1つの部分構造を含む。
【0254】
別の実施形態において、-Zは、ランダムコイルタンパク質部分構造を形成するアミノ酸の総数の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より一層好ましくは少なくとも90%、より一層好ましくは少なくとも95%、より一層好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%がアラニン、グリシン、セリン、トレオニン、グルタメート及びプロリンから選択される、前記ランダムコイルタンパク質部分構造を含む。好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分構造は、参照により本明細書に組み込まれるWO 2010/091122 A1に記載されているようなものである。より一層好ましくは、-Zは、参照により本明細書に組み込まれるWO2010/091122A1に開示されている配列番号182、配列番号183、配列番号184; 配列番号185、配列番号186、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号192、配列番号193、配列番号194、配列番号195、配列番号196、配列番号197、配列番号198、配列番号199、配列番号200、配列番号201、配列番号202、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、配列番号207、配列番号208、配列番号209、配列番号210、配列番号211、配列番号212、配列番号213、配列番号214、配列番号215、配列番号216、配列番号217、配列番号218、配列番号219、配列番号220、配列番号221、配列番号759、配列番号760、配列番号761、配列番号762、配列番号763、配列番号764、配列番号765、配列番号766、配列番号767、配列番号768、配列番号769、配列番号770、配列番号771、配列番号772、配列番号773、配列番号774、配列番号775、配列番号776、配列番号777、配列番号778、配列番号779、配列番号1715、配列番号1716、配列番号1718、配列番号1719、配列番号1720、配列番号1721及び配列番号1722からなる群から選択される少なくとも1つの部分構造を含む。
【0255】
別の実施形態において、-Zは、脂肪酸系部分構造を含む。好ましい脂肪酸系部分構造は、参照により本明細書に組み込まれるWO 2005/027978 A2及びWO 2014/060512 A1に開示されているものである。
【0256】
別の実施形態において、-Zは、ヒアルロン酸系ポリマーである。
【0257】
一実施形態において、-Zは、参照により本明細書に組み込まれるWO 2012/02047 A1に開示されているような担体である。
【0258】
別の実施形態において、-Zは、参照により本明細書に組み込まれるWO 2013/024048 A1に記載されているような担体である。
【0259】
別の好ましい実施形態において、-Zは、PEG系ポリマー、例えば、直鎖、分岐又はマルチアームPEG系ポリマーである。
【0260】
一実施形態において、-Zは、直鎖状PEG系ポリマーである。
【0261】
別の実施形態において、-Zは、マルチアームPEG系ポリマーである。好ましくは、-Zは、少なくとも4本のPEG系アームを有するマルチアームPEG系ポリマーである。
【0262】
好ましくは、そのようなマルチアームPEG系ポリマー-Zは、多数の部分構造-L2-L1-Dと連結されており、好ましくは、各々の部分構造-L2-L1-Dは、アームの末端と、好ましくはアームの末端と連結されている。好ましくは、そのようなマルチアームPEG系ポリマー-Zは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16の部分構造-L2-L1-Dと連結されている。より一層好ましくは、そのようなマルチアームPEG系ポリマー-Zは、2、3、4、6又は8つの部分構造-L2-L1-Dと連結されている。より一層好ましくは、そのようなマルチアームPEG系ポリマー-Zは、2、4又は6つの部分構造-L2-L1-Dと連結されており、より一層好ましくは、そのようなマルチアームPEG系ポリマー-Zは、4又は6つの部分構造-L2-L1-Dと連結されており、最も好ましくは、そのようなマルチアームPEG系ポリマー-Zは、4つの部分構造-L2-L1-Dと連結されている。
【0263】
好ましくは、そのようなマルチアームPEG系ポリマー-Zは、例えばJenKem Technology、USAの製品リスト(2014年12月18日にhttp://www.jenkemusa.com/Pages/PEGProducts.aspxからのダウンロードにより入手したもの)に列挙されているような、マルチアームPEG誘導体、例えば、4アーム-PEG誘導体、特にペンタエリトリトールコアを含む4-アーム-PEG、ヘキサグリセリンコアを含む8アーム-PEG誘導体、及びトリペンタエリトリトールコアを含む8アーム-PEG誘導体である。より好ましくは、水溶性PEG系担体-Zは、
ペンタエリトリトールコアを含む4アームPEGアミン:
【化32】
(nは、20~500の範囲である)、
ヘキサグリセリンコアを含む8アームPEGアミン:
【化33】
(nは、20~500の範囲であり、
R=ヘキサグリセリン又はトリペンタエリトリトールコア構造)、及び
ソルビトール又はジペンタエリトリトールコアを含む6アームPEGアミン:
【化34】
(nは、20~500の範囲であり、
R=ソルビトール又はジペンタエリトリトールコアを含むこと)
から選択される部分構造を含み、これらの式中の破線は、PTHコンジュゲートの残部への結合を示す。
【0264】
好ましい実施形態において、-Zは、分岐PEG系ポリマーである。一実施形態において、-Zは、1、2、3、4、5又は6つの分岐点を有する分岐PEG系ポリマーである。好ましくは、-Zは、1、2又は3つの分岐点を有する分岐PEG系ポリマーである。一実施形態において、-Zは、1つの分岐点を有する分岐PEG系ポリマーである。別の実施形態において、-Zは、2つの分岐点を有する分岐PEG系ポリマーである。別の実施形態において、-Zは、3つの分岐点を有する分岐PEG系ポリマーである。
【0265】
分岐点は、好ましくは、-N<、-CH<及び>C<からなる群から選択される。
【0266】
好ましくは、そのような分岐PEG系部分構造-Zは、少なくとも10kDaの分子量を有する。
【0267】
一実施形態において、そのような分岐部分構造-Zは、10kDa~500kDaの範囲、より好ましくは、10kDa~250kDaの範囲、より一層好ましくは、10kDa~150kDaの範囲、より一層好ましくは、12kDa~100kDaの範囲、最も好ましくは、15kDa~80kDaの範囲の分子量を有する。
【0268】
好ましくは、そのような分岐部分構造-Zは、10kDa~80kDaの範囲の分子量を有する。一実施形態において、分子量は、約10kDaである。別の実施形態において、そのような分岐部分構造-Zの分子量は、約20kDaである。別の実施形態において、そのような分岐部分構造-Zの分子量は、約30kDaである。別の実施形態において、そのような分岐部分構造-Zの分子量は、約40kDaである。別の実施形態において、そのような分岐部分構造-Zの分子量は、約50kDaである。別の実施形態において、そのような分岐部分構造-Zの分子量は、約60kDaである。別の実施形態において、そのような分岐部分構造-Zの分子量は、約70kDaである。別の実施形態において、そのような分岐部分構造-Zの分子量は、約80kDaである。最も好ましくは、そのような分岐部分構造-Zは、約40kDaの分子量を有する。
【0269】
好ましくは、-Zは、下記の部分構造を含む:
【化35】
【0270】
同様に好ましい実施形態において、-Zは、アミド結合を含む。
【0271】
好ましくは、-Zは、式(a)の部分構造を含む:
【化36】
(式中、
破線は、-L2-への又は-Zの残部への結合を示し、
BPaは、-N<、-CR<及び>C<からなる群から選択される分岐点であり、
-Rは、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
aは、BPaが-N<又は-CR<である場合0であり、nは、BPaが>C<である場合1であり、
-Sa-、-Sa'-、-Sa''-及び-Sa'''-は、互いに独立して、化学結合であり、又はC1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、前記C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-R1で場合により置換されており、前記C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R2)-、-S(O)2N(R2)-、-S(O)N(R2)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R2)S(O)2N(R2a)-、-S-、-N(R2)-、-OC(OR2)(R2a)-、-N(R2)C(O)N(R2a)-、及び-OC(O)N(R2)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各-T-は、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、前記各-T-は、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-R1で場合により置換されており、
各-R1は、独立して、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COOR3、-OR3、-C(O)R3、-C(O)N(R3R3a)、-S(O)2N(R3R3a)、-S(O)N(R3R3a)、-S(O)2R3、-S(O)R3、-N(R3)S(O)2N(R3aR3b)、-SR3、-N(R3R3a)、-NO2、-OC(O)R3、-N(R3)C(O)R3a、-N(R3)S(O)2R3a、-N(R3)S(O)R3a、-N(R3)C(O)OR3a、-N(R3)C(O)N(R3aR3b)、-OC(O)N(R3R3a)、及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-R2、-R2a、-R3、-R3a及び-R3bは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
-Pa'、-Pa''及び-Pa'''は、独立して、ポリマー系部分構造である)。
【0272】
一実施形態において、式(a)のBPaは、-N<である。
【0273】
別の実施形態において、式(a)のBPaは、>C<である。
【0274】
好ましい実施形態において、式(a)のBPaは、-CR<である。好ましくは、-Rは、-Hである。したがって、式(a)のaは、好ましくは0である。
【0275】
一実施形態において、式(a)の-Sa-は、化学結合である。
【0276】
別の実施形態において、式(a)の-Sa-は、C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルからなる群から選択され、前記C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R4)-、-S(O)2N(R4)-、-S(O)N(R4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R4)S(O)2N(R4a)-、-S-、-N(R4)-、-OC(OR4)(R4a)-、-N(R4)C(O)N(R4a)-、及び-OC(O)N(R4)-からなる群から選択される1つ以上の化学基が場合により割り込んでおり、ここで、-T-は、3~10員ヘテロシクリルであり、-R4及び-R4aは、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群から選択される。
【0277】
好ましくは、式(a)の-Sa-は、C1-10アルキルからなる群から選択され、これには、-T-、-C(O)-及び-O-からなる群から選択される1つ以上の化学基が場合により割り込んでいる。
【0278】
一実施形態において、式(a)の-Sa'-は、化学結合である。
【0279】
別の実施形態において、式(a)の-Sa'-は、C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルからなる群から選択され、このC1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルには、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R4)-、-S(O)2N(R4)-、-S(O)N(R4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R4)S(O)2N(R4a)-、-S-、-N(R4)-、-OC(OR4)(R4a)-、-N(R4)C(O)N(R4a)-、及び-OC(O)N(R4)-からなる群から選択される1つ以上の化学基が場合により割り込んでおり、前記-R4及び-R4aは、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群から選択される。好ましくは、式(a)の-Sa'-は、メチル、エチル、プロピル、ブチルからなる群から選択され、これらには、-O-、-C(O)-及び-C(O)N(R4)-からなる群から選択される1つ以上の化学基が場合により割り込んでいる。
【0280】
一実施形態において、式(a)の-Sa''-は、化学結合である。
【0281】
別の実施形態において、式(a)の-Sa''-は、C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルからなる群から選択され、このC1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルには、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R4)-、-S(O)2N(R4)-、-S(O)N(R4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R4)S(O)2N(R4a)-、-S-、-N(R4)-、-OC(OR4)(R4a)-、-N(R4)C(O)N(R4a)-、及び-OC(O)N(R4)-からなる群から選択される1つ以上の化学基が場合により割り込んでおり、前記-R4及び-R4aは、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群から選択される。好ましくは、式(a)の-Sa''-は、メチル、エチル、プロピル、ブチルからなる群から選択され、これらには、-O-、-C(O)-及び-C(O)N(R4)-からなる群から選択される1つ以上の化学基が場合により割り込んでいる。
【0282】
一実施形態において、式(a)の-Sa'''-は、化学結合である。
【0283】
別の実施形態において、式(a)の-Sa'''-は、C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルからなる群から選択され、このC1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルには、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R4)-、-S(O)2N(R4)-、-S(O)N(R4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R4)S(O)2N(R4a)-、-S-、-N(R4)-、-OC(OR4)(R4a)-、-N(R4)C(O)N(R4a)-、及び-OC(O)N(R4)-からなる群から選択される1つ以上の化学基が場合により割り込んでおり、前記-R4及び-R4aは、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群から選択される。好ましくは、式(a)の-Sa'''-は、メチル、エチル、プロピル、ブチルからなる群から選択され、これらには、-O-、-C(O)-及び-C(O)N(R4)-からなる群から選択される1つ以上の化学基が場合により割り込んでいる。
【0284】
好ましくは、式(a)の-Pa'、-Pa''及び-Pa'''は、独立して、2-メタクリロイル-オキシエチルホスホリルコリン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アルキルオキシ)ポリマー、ポリ(アミド)、ポリ(アミドアミン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(酸無水物)、ポリ(アスパルトアミド)、ポリ(酪酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチルホスフェート)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチル-オキサゾリン)、ポリ(ヒドロキシメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルオキサゾリン)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(メチルオキサゾリン)、ポリ(オルガノホスファゼン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(シロキサン)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルピロリドン)、シリコーン、セルロース、カルボメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キチン、キトサン、デキストラン、デキストリン、ゼラチン、ヒアルロン酸及び誘導体、官能化ヒアルロン酸、マンナン、ペクチン、ラムノガラクツロナン、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン及び他の炭水化物系ポリマー、キシラン、並びにこれらのコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む。
【0285】
より好ましくは、式(a)の-Pa'、-Pa''及び-Pa'''は、独立して、PEG系部分構造を含む。より一層好ましくは、式(a)の-Pa'、-Pa''及び-Pa'''は、独立して、少なくとも20%PEG、より一層好ましくは少なくとも30%、より一層好ましくは少なくとも40%PEG、より一層好ましくは少なくとも50%PEG、より一層好ましくは少なくとも60%PEG、より一層好ましくは少なくとも70%PEG、より一層好ましくは少なくとも80%PEG、最も好ましくは少なくとも90%PEGを含む、PEG系部分構造を含む。
【0286】
好ましくは、式(a)のPa'、-Pa''及び-Pa'''は、独立して、5kDa~50kDaの範囲の分子量、より好ましくは、5kDa~40kDaの範囲、より一層好ましくは、7.5kDa~35kDaの範囲、より一層好ましくは、7.5~30kDaの範囲、より一層好ましくは、10~30kDaの範囲の分子量を有する。
【0287】
一実施形態において、式(a)のPa'、-Pa''及び-Pa'''は、約5kDaの分子量を有する。
【0288】
別の実施形態において、式(a)のPa'、-Pa''及び-Pa'''は、約7.5kDaの分子量を有する。
【0289】
別の実施形態において、式(a)のPa'、-Pa''及び-Pa'''は、約10kDaの分子量を有する。
【0290】
別の実施形態において、式(a)のPa'、-Pa''及び-Pa'''は、約12.5kDaの分子量を有する。
【0291】
別の実施形態において、式(a)のPa'、-Pa''及び-Pa'''は、約15kDaの分子量を有する。
【0292】
別の実施形態において、式(a)のPa'、-Pa''及び-Pa'''は、約20kDaの分子量を有する。
【0293】
一実施形態において、-Zは、式(a)の部分構造を1つ含む。
【0294】
別の実施形態において、-Zは、式(a)の部分構造を2つ含む。
【0295】
別の実施形態において、-Zは、式(a)の部分構造を3つ含む。
【0296】
好ましくは、-Zは、式(a)の部分構造である。
【0297】
より好ましくは、-Zは、式(b)の部分構造を含む:
【化37】
(式中、
破線は、-L2-への又は-Zの残部への結合を示し、
m及びpは、互いに独立して、150~1000の範囲の整数、好ましくは150~500の範囲の整数、より好ましくは200~500の範囲の整数、最も好ましくは400~500の整数である)。
【0298】
好ましくは、式(b)のm及びpは、同じ整数である。
【0299】
最も好ましくは、式(b)のm及びpは、約450である。
【0300】
好ましくは、-Zは、式(b)の部分構造である。
【0301】
好ましい実施形態において、本発明のPTHコンジュゲートは、式(IIe-i)を有する:
【化38】
(式中、
印の付いていない破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
アスタリスクが付いている破線は、部分構造
【化39】
への結合を示し、式中、
m及びpは、独立して、400~500の範囲の整数である)。
【0302】
好ましくは、-Dは、PTH部分構造のN末端アミン官能基によって式(IIe-i)のPTHコンジュゲートに結合されている。
【0303】
別の好ましい実施形態において、本発明のPTHコンジュゲートは、式(IIf-i)を有する:
【化40】
(式中、
印の付いていない破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
アスタリスクが付いている破線は、部分構造
【化41】
への結合を示し、式中、
m及びpは、独立して、400~500の範囲の整数である)。
【0304】
好ましくは、-Dは、PTH部分構造のN末端アミン官能基によって式(IIf-i)のPTHコンジュゲートに結合されている。
【0305】
PTHコンジュゲートが医薬組成物中に存在する場合、そのような医薬組成物は、本発明の少なくとも1つのPTHコンジュゲート及び少なくとも1つの賦形剤を含む。
【0306】
一実施形態において、医薬組成物は乾燥製剤である。そのような乾燥製剤は、患者に投与する前に再構成を必要とすることが理解される。別の実施形態において、医薬組成物は液体製剤である。
【0307】
そのような液体又は乾燥医薬組成物は、少なくとも1つの賦形剤を含む。非経口製剤に使用される賦形剤は、例えば、緩衝剤、等張性調節剤、保存薬、安定剤、吸収抑制剤、酸化防御剤、増粘剤/粘度増加剤、又は他の助剤として分類されうる。しかし、場合によっては、1つの賦形剤が二重又は三重機能を有することもある。好ましくは、本発明の医薬組成物に含まれる少なくとも1つの賦形剤は、以下のものからなる群から選択される:
(i)緩衝剤:pHを所望の範囲内で維持するための生理学的に許容される緩衝剤、例えば、リン酸ナトリウム、重炭酸塩、コハク酸塩、ヒスチジン、クエン酸塩及び酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、ピルビン酸塩。抑酸剤、例えばMg(OH)2又はZnCO3も使用されることがある;
(ii)等張性調節剤:注射デポーでの浸透圧差に起因する細胞損傷の結果として生じうる疼痛を最小にするためのもの。グリセリン及び塩化ナトリウムが例である。有効濃度は、血清についての285~315mOsmol/kgの仮定モル浸透圧濃度を使用して浸透圧測定により決定することができる;
(iii)保存薬及び/又は抗菌薬:複数回投与用非経口製剤には注射によって感染する患者のリスクを最小にするために十分な濃度の保存薬の添加が必要であり、対応する規制要件は確立されている。典型的な保存薬としては、m-クレゾール、フェノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメロサール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、クロロクレゾール及び塩化ベンザルコニウムが挙げられる;
(iv)安定剤:安定化は、タンパク質安定化力の強化によって、変性状態の不安定化によって、又は賦形剤とタンパク質の直接結合によって達成される。安定剤は、アミノ酸、例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グリシン、ヒスチジン、リシン、プロリン;糖、例えば、グルコース、スクロース、トレハロース;ポリオール、例えば、グリセロール、マンニトール、ソルビトール;塩、例えば、リン酸カリウム、硫酸ナトリウム;キレート剤、例えば、EDTA、六リン酸塩;配位子、例えば、二価金属イオン(亜鉛、カルシウムなど);他の塩又は有機分子、例えば、フェノール系誘導体でありうる。加えて、オリゴマー又はポリマー、例えば、シクロデキストリン、デキストラン、デンドリマー、PEG若しくはPVP又はプロタミン若しくはHSAが使用されることもある;
(v)吸収抑制剤:主としてイオン性若しくは非イオン性界面活性剤又は他のタンパク質若しくは可溶性ポリマー、例えば、ポロキサマー(Pluronic F-68)、PEGドデシルエーテル(Brij 35)、ポリソルベート20及び80、デキストラン、ポリエチレングリコール、PEG-ポリヒスチジン、BSA及びHSA並びにゼラチンが、製剤容器の内面の被覆又は該内面への競合的吸着のために使用される。選択される賦形剤濃度及びタイプは、回避すべき作用に依存するが、典型的には、CMC値直上で界面活性剤の単層が界面に形成される;
(vi)酸化防御剤:酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、エクトイン、メチオニン、グルタチオン、モノチオグリセロール、モリン、ポリエチレンイミン(PEI)、没食子酸プロピル及びビタミンE。キレート剤、例えば、クエン酸、EDTA、六リン酸塩、及びチオグリコール酸も使用されることがある;
(vii)増粘剤又は粘度増加剤:懸濁液の場合、バイアル及び注射器内での粒子の沈降を遅延させるものであり、粒子の混合及び再懸濁を助長するために並びに懸濁剤をより注射しやすく(すなわち、注射器プランジャーに対して小さい力に)するために使用される。好適な増粘剤又は粘度増加剤は、例えば、カルボマー増粘剤、例えば、Carbopol 940、Carbopol Ultrez 10;セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース、HPMC)又はジエチルアミノエチルセルロース(DEAE若しくはDEAE-C);コロイド状ケイ酸マグネシウム(Veegum)又はケイ酸ナトリウム;ヒドロキシアパタイトゲル;リン酸三カルシウムゲル;キサンタン;カラギーナン、例えば、Satia gum UTC 30;脂肪族ポリ(ヒドロキシ酸)、例えば、ポリ(D,L-又はL-乳酸)(PLA)及びポリ(グリコール酸)(PGA)並びにこれらのコポリマー(PLGA)、D,L-ラクチドとグリコリドとカプロラクトンのターポリマー;ポロキサマー;ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)のトリブロック(例えば、Pluronic(登録商標))を構成するための親水性ポリ(オキシエチレン)ブロック及び疎水性ポリ(オキシプロピレン)ブロック;ポリエーテルエステルコポリマー、例えば、ポリエチレングリコールテレフタレート/ポリブチレンテレフタレートコポリマー;ショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB);デキストラン又はその誘導体;デキストランとPEGの組合せ;ポリジメチルシロキサン;コラーゲン;キトサン;ポリビニルアルコール(PVA)及び誘導体;ポリアルキルイミド;ポリ(アクリルアミド-co-ジアリルジメチルアンモニウム(DADMA));ポリビニルピロリドン(PVP);グリコサミノグリカン(GAG)、例えば、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロナン;疎水性Aブロック、例えばポリラクチド(PLA)又はポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)と親水性Bブロック、例えばポリエチレングリコール(PEG)又はポリビニルピロリドンとで構成されている、ABAトリブロック又はABブロックコポリマーである。そのようなブロックコポリマー及び上述のポロキサマーは、逆熱ゲル化挙動(投与を助長するように室温では流動状態、及び注射後に体温でのゾル-ゲル転移温度より高い温度ではゲル状態)を示し得る;
(viii)展着又は拡散剤:間質腔内の細胞外マトリックスの成分(例えば、これに限定されるものではないが、結合組織の細胞間空間において見いだされる多糖類であるヒアルロン酸)の加水分解により結合組織の透過性を調節する。展着剤、例えば、これに限定されるものではないが、ヒアルロニダーゼは、細胞外マトリックスの粘度を一時的に減少させ、注射された薬物の拡散を促進する;及び
(ix)他の助剤:湿潤剤、粘度調節剤、抗生物質、ヒアルロニダーゼなど。ヒアルロン酸及び水酸化ナトリウムなどの酸及び塩基は、製造中のpH調整に必要な助剤である。
【0308】
少なくとも1つのPTHコンジュゲートを含む医薬組成物は、様々な投与方法によって、例えば、局所、経腸又は非経口投与によって、並びに関節内、関節周囲、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、骨内、腹腔内、髄腔内、嚢内、眼窩内、硝子体内、鼓室内、膀胱内、心臓内、経気管、表皮下、嚢下、クモ膜下、脊髄内、脳室内、胸骨内注射及び注入、脳組織又は脳液への本発明などの送達を可能にする埋め込み型デバイス(例えば、オンマヤリザーバー(Ommaya Reservoir))による脳への直接送達、直接脳室内注射又は注入、脳又は脳関連領域への注射又は注入、脈絡膜下腔への注射、後眼窩注射及び点眼を含む、外用、注射又は注入方法によって、患者に投与することができる。好ましくは、少なくとも1つのPTHコンジュゲートを含む医薬組成物は、皮下注射によって投与される。
【0309】
好ましくは、全開始用量は、1つのステップで、好ましくは1回の皮下注射として患者に投与される。
【0310】
皮下注射は、好ましくは、針付き注射器を用いて、又はペン型注射器を用いて、より一層好ましくはペン型注射器を用いて行われる。
【0311】
別の態様において、本発明は、PTHで治療し、管理し、遅延させ、又は予防することができる疾患の治療、管理、遅延又は予防のための薬剤の製造のための、PTH部分がポリマー系部分構造又は脂肪酸系部分構造に可逆的にコンジュゲートされているPTHコンジュゲート、若しくはその医薬的に許容される塩、又は前記PTHコンジュゲート若しくはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物の使用であって、前記薬剤の開始用量が0.8~4.9nmol/日の範囲である、使用に関する。ある特定の実施形態において、そのような薬剤のうちの開始用量は0.8~3.9nmol/日の範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0312】
図1図1は、試験した各用量レベルに対してプロットした最大PTH(1-84)抑制の平均を示す。
【0313】
材料及び方法
以下に示す化合物1
【化42】
は、WO2017/148883A1の実施例18の化合物18について説明した通りに合成することができる。
【実施例
【0314】
[実施例1]
副甲状腺機能低下症に罹患している患者を治療するための安全な開始用量を特定するために、長時間作用型PTH分子の単回及び反復の連日投薬の薬力学的効果を調査した。
【0315】
化合物1の安全性、有効性、及び薬物動態について、健常なボランティアで第1相試験において試験した。この試験では、ランダム化プラセボ対照試験デザインにおいて、単回及び頻回の漸増投与後の効果を調査した。各コホートは、10人の対象(8人の実薬、2人のプラセボ)からなり、TransCon PTHの単回投与又は10回の連日投与のいずれかを投与された。単回投与コホートは0.8~30.1nmolの範囲で単回投与を投与され、一方、頻回投与コホートは0.8~5.8nmolの範囲で10日間1日当たり1回投与を施された。
【0316】
化合物1は全体として十分に耐容され、薬物関連の深刻な又は重度の有害事象はなかった。有効性の主要評価項目は、アルブミン調整血清カルシウム及び内因性分泌インタクトPTH(1-84)を含んだ。
【0317】
最大耐量(MTD)は、化合物1の4.9nmol/日であった。5.8nmol/日で化合物1を施された複頻回漸増投与コホート参加者(全員女性)の8人のうち5人、及び女性プラセボ対象の両人、は起立性低血圧、動悸、及び/又は頻脈を有し、1人は失神を有した。3人の男性のうち2人は無症候性の高カルシウム血症を有した。MTDを導く観察された有害作用は、既知のPTH薬理学を反映していた
【0318】
総カルシウムは、2,2'-[1,8-ジヒドロキシ-3,6-ジスルホナフチレン-2,7-ビスアゾ]-ビスベンゼンアルソン酸(Arsenazo III、Beckman Coulter, Inc、USA)を使用して複合体化によって及び600/700nMでの二色吸光度による検出によって血清中で測定した。アルブミンは、5,5-ジブロモ-o-クレゾールスルホンフタレイン(Bromocresol Purple、Randox Laboratories、UK)を使用して色素結合方法によって及び600/700nmでの二色吸光度による検出によって測定した。
【0319】
アルブミン調整血清カルシウムは、総カルシウム(mg/dL)+0.8(4-アルブミンg/dL表示)として計算した。インタクトPTH(1-84)は、Abbott Laboratories製の「Architect Intact PTH」アッセイ、ヒト血清及び血漿中のインタクト副甲状腺ホルモン(PTH)を定量的に決定するためのin vitro化学発光微粒子イムノアッセイ(CMIA)、で測定した。すべての分析方法は、製造業者によって記載の通りに基本的に行った。
【0320】
頻回投与コホートにおいて、アルブミン調整血清カルシウムを、初回投薬前の2日間連日、初回投与前、及び初回投与後2週間連日測定した。インタクトPTH(1-84)を、投薬の前日、初回投与前、及び初回投与の1、2、3、4、9、11、及び13日後に測定した。
【0321】
化合物1の効果を、図1及び下の表に提示したように有効性パラメーターの用量依存応答によって実証した。
【0322】
最大PTH(1-84)抑制を、試料採取期間中のベースラインからの最高変化と、対象のベースラインとアッセイの定量下限(3pg/mL)の間の差との比(パーセントで)として、個々の対象について計算した。ベースラインは、初回投与前のPTH(1-84)測定値として定義した。次いで、最大PTH(1-84)抑制の平均を各用量レベルに対してプロットした(図1)。0.8~3.9nmolの範囲の連日投与によって、PTH(1-84)分泌の線形型抑制が誘発され、内因性PTH(1-84)分泌は3.9nmol超の用量で最大抑制に達した。
【0323】
アルブミン調整血清カルシウムのベースラインからの最大増加を、個々の対象の試料採取期間中のベースラインからの最高変化として当該対象について計算した。ベースラインを、投薬前に収集した試料の平均(n=3)として計算した。最大増加の平均を、各用量レベルについて計算し、下の表に提示した。
【0324】
【表1】
【0325】
驚くべきことに、PTHコンジュゲートについて副甲状腺機能低下症患者向けの開始用量は、健常な対象において用量を徐々に増やすことによって特定できる、ことが判明した。開始用量の範囲とは、健常な対象のベースラインから血清カルシウムを約0.3~0.4mg/dLだけ増加させる最低用量であり、上限用量範囲とは、内因性PTH(1-84)分泌を抑制し、健常な対象において高カルシウム血症を引き起こさない、最高用量となる。
【0326】
略語
HP 副甲状腺機能低下症
PTH 副甲状腺ホルモン
本発明は、以下の態様及び実施形態を包含する。
(実施形態1)
開始用量が0.8~4.9nmol/日の範囲であり、PTHで治療し、管理し、遅延させ、又は予防することができる疾患の治療、管理、遅延又は予防に使用するための、PTH部分がポリマー系部分構造又は脂肪酸系部分構造に可逆的にコンジュゲートされているPTHコンジュゲート、若しくはその医薬的に許容される塩、又は前記PTHコンジュゲート若しくはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物。
(実施形態2)
開始用量が2.9~4.5nmol/日の範囲である、実施形態1に記載のPTHコンジュゲート。
(実施形態3)
開始用量が3.6~4.4nmol/日の範囲である、実施形態1に記載のPTHコンジュゲート。
(実施形態4)
開始用量が0.8~3.9nmol/日の範囲である、実施形態1に記載のPTHコンジュゲート。
(実施形態5)
開始用量が1.5~3.4nmol/日の範囲である、実施形態1又は4に記載のPTHコンジュゲート。
(実施形態6)
開始用量が2.9±0.3nmol/日である、実施形態1、4又は5に記載のPTHコンジュゲート。
(実施形態7)
PTHで治療し、管理し、遅延させ又は予防することができる疾患が、副甲状腺機能低下症、高リン血症、骨粗鬆症、骨折修復、骨軟化症、低ホスファターゼ症を有する患者における骨軟化症及び骨粗鬆症、ステロイド誘発性骨粗鬆症、男性骨粗鬆症、関節炎、変形性関節症、骨形成不全症、線維性異形成、関節リウマチ、パジェット病、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、骨減少症、歯周病、骨折、脱毛症、化学療法誘発性脱毛症、並びに血小板減少症からなる群から選択される、実施形態1から6のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート。
(実施形態8)
PTHで治療し、管理し、遅延させ又は予防することができる疾患が副甲状腺機能低下症である、実施形態1から7のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート。
(実施形態9)
開始用量が1回の皮下注射として患者に投与される、実施形態1から8のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート。
(実施形態10)
式(Ia)又は(Ib)
【化43】
(式中、
-Dは、PTH部分であり、
-L 1 -は、-Dに共有結合で及び可逆的に結合されているリンカー部分であり、
-L 2 -は、化学結合であり又はスペーサー部分であり、
-Zは、ポリマー系部分構造又は置換されている脂肪酸系部分構造であり、
xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16からなる群から選択される整数であり、
yは、2、3、4及び5からなる群から選択される整数である)
を有する、
実施形態1から9のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート。
(実施形態11)
-Dが、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114又は配列番号115の配列を有する、実施形態10に記載のPTHコンジュゲート。
(実施形態12)
部分-L 1 -が、式(II)
【化44】
(式中、
破線は、PTH部分である-Dのアミン、ヒドロキシル又はチオールへの結合を示し、
-X-は、-C(R 4 R 4a )-、-N(R 4 )-、-O-、-C(R 4 R 4a )-C(R 5 R 5a )-、-C(R 5 R 5a )-C(R 4 R 4a )-、-C(R 4 R 4a )-N(R 6 )-、-N(R 6 )-C(R 4 R 4a )-、-C(R 4 R 4a )-O-、-O-C(R 4 R 4a )-、又は-C(R 7 R 7a )-であり、
X 1 は、C、又はS(O)であり、
-X 2 -は、-C(R 8 R 8a )-、又は-C(R 8 R 8a )-C(R 9 R 9a )-であり、
=X 3 は、=O、=S、又は=N-CNであり、
-R 1 、-R 1a 、-R 2 、-R 2a 、-R 4 、-R 4a 、-R 5 、-R 5a 、-R 6 、-R 8 、-R 8a 、-R 9 、-R 9a は、-H及びC 1-6 アルキルからなる群から独立して選択され、
-R 3 、-R 3a は、-H及びC 1-6 アルキルからなる群から独立して選択され、但し-R 3 、-R 3a の一方又は両方が-H以外である場合、それらは、それらが結合しているNに、SP 3 混成炭素原子によって連結され、
-R 7 は、-N(R 10 R 10a )、又は-NR 10 -(C=O)-R 11 であり、
-R 7a 、-R 10 、-R 10a 、-R 11 は、互いに独立して、-H、又はC 1-6 アルキルであり、
場合により、ペア-R 1a /-R 4a 、-R 1a /-R 5a 、-R 1a /-R 7a 、-R 4a /-R 5a 、-R 8a /-R 9a のうちの1つ以上は、化学結合を形成し、
場合により、ペア-R 1 /-R 1a 、-R 2 /-R 2a 、-R 4 /-R 4a 、-R 5 /-R 5a 、-R 8 /-R 8a 、-R 9 /-R 9a のうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、C 3-10 シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクリルを形成し、
場合により、ペア-R 1 /-R 4 、-R 1 /-R 5 、-R 1 /-R 6 、-R 1 /-R 7a 、-R 4 /-R 5 、-R 4 /-R 6 、-R 8 /-R 9 、-R 2 /-R 3 のうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、環Aを形成し、
場合により、R 3 /R 3a は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3~10員複素環を形成し、
Aは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C 3-10 シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から選択される)
を有し、
-L 1 -が、-L 2 -Zで置換されており、場合により、-L 1 -がさらに置換されており、但し式(II)中のアスタリスクが付いている水素は、-L 2 -Z又は置換基によって置き換えられず、
-L 2 -が、単一の化学結合又はスペーサーであり、
-Zが、ポリマー系部分構造又は脂肪酸系部分構造である、
実施形態10又は11に記載のPTHコンジュゲート。
(実施形態13)
-Zがポリマー系部分構造である、実施形態10から12のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート。
(実施形態14)
-Zが、2-メタクリロイル-オキシエチルホスホリルコリン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アルキルオキシ)ポリマー、ポリ(アミド)、ポリ(アミドアミン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(酸無水物)、ポリ(アスパルトアミド)、ポリ(酪酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチルホスフェート)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチル-オキサゾリン)、ポリ(ヒドロキシメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルオキサゾリン)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(メチルオキサゾリン)、ポリ(オルガノホスファゼン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(シロキサン)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルピロリドン)、シリコーン、セルロース、カルボメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キチン、キトサン、デキストラン、デキストリン、ゼラチン、ヒアルロン酸及び誘導体、官能化ヒアルロン酸、マンナン、ペクチン、ラムノガラクツロナン、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン及び他の炭水化物系ポリマー、キシラン、並びにこれらのコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む、ポリマー系部分構造である、実施形態10から13のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート。
(実施形態15)
-ZがPEG系ポリマーである、実施形態10から14のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート。
(実施形態16)
-Zが分岐PEG系ポリマーである、実施形態10から15のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート。
(実施形態17)
PTHで治療し、管理し、遅延させ又は予防することができる疾患に罹患している患者において治療し、管理し、遅延させ又は予防する方法であって、
PTH部分がポリマー系部分構造又は脂肪酸系部分構造に可逆的にコンジュゲートされているPTHコンジュゲート、
若しくはその医薬的に許容される塩、又は
前記PTHコンジュゲート若しくはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物、
の有効量を、0.8~4.9nmol/日の範囲にある開始用量で患者に投与することを含む、
方法。
図1
【配列表】
0007542442000001.app