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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】縦形製袋充填包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/213 20120101AFI20240823BHJP
【FI】
B65B9/213
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021016461
(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公開番号】P2022119388
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000151461
【氏名又は名称】株式会社東京自働機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 高志
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-006412(JP,A)
【文献】特開2019-189249(JP,A)
【文献】特開2019-151379(JP,A)
【文献】特開2008-087776(JP,A)
【文献】米国特許第05505040(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/213
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製袋チューブの回りに包材を筒状に成形し、この筒状包材を前記製袋チューブの長手方向に繰出しながら、前記製袋チューブの下方にて、前記筒状包材にその長手方向に所定の間隔を存して横シールを形成する一方、この横シールの形成と前記筒状包材内への充填物の充填を交互に行い、その内部に前記充填物が充填された袋を製造する縦形製袋充填包装機であって、
前記袋に角底を成形するために前記製袋チューブの下端に設けられ、前記筒状包材の内面を案内して前記筒状包材を角筒状包材に成形する角筒成形ガイド筒と、
前記角筒成形ガイド筒の下方に開閉作動可能に配置され、閉作動時に前記角筒成形ガイド筒の下方に位置した前記角筒状包材を挟み付けて扁平な筒状部位とすることで、この扁平な筒状部位の下端に前記横シールを形成し、この際、前記扁平な筒状部位の両側縁を前記角筒成形ガイド筒から前記横シールに向けて外側に拡開した傾斜フラップにそれぞれ形成する、横シーラと、
前記角筒成形ガイド筒と前記横シーラとの間にて前記角筒成形ガイド筒の両側にそれぞれ設けられ、前記横シールの形成時、前記扁平な筒状部位の前記両傾斜フラップを前記横シーラと協働して押し潰し、前記横シーラ上の三角フラップと、前記角筒状包材の側面に連なる平坦面とに変形させる一対の三角フラップ形成部材と、
前記角筒状包材を前記三角フラップ形成部材及び前記横シーラに向けて繰出す包材繰出し装置と、
前記包材繰出し装置を駆動することにより、前記角筒状包材内への前記充填物の充填時における前記角筒状包材の1次繰出しと、前記横シール時における前記角筒状包材の2次繰出しと、前記三角フラップ形成時における前記角筒状包材の3次繰出しとを実施する制御装置と
を備え
前記2次繰出しにおける前記角筒状包材の2次繰出し量は、前記横シール時に生じ得る前記角筒状包材及び前記袋の変形量に応じた長さに設定される、縦形製袋充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦形製袋充填包装機に係り、特に三角フラップ付き角底袋用の縦形製袋充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、製袋チューブの回りに包材を筒状に成形し、この筒状包材を製袋チューブの長手方向に繰出しながら、製袋チューブの下方にて、筒状包材にその長手方向に所定の間隔を存して横シールを形成する縦形製袋充填包装機が開示されている。この包装機は、横シールの形成と筒状包材内への充填物の充填を交互に行い、その内部に充填物が充填された袋を製造する
【0003】
包装機は、角筒成形ガイド筒、横シーラ、一対の三角フラップ形成部材、及び包材繰出し装置を備えている。角筒成形ガイド筒は、袋に角底を成形するために製袋チューブの下端に設けられ、筒状包材の内面を案内して筒状包材を角筒状包材に成形する。また、横シーラは、角筒成形ガイド筒の下方に開閉作動可能に配置され、閉作動時に角筒成形ガイド筒の下方に位置した角筒状包材を挟み付けて扁平な筒状部位とすることで、この扁平な筒状部位の下端に横シールを形成する。
【0004】
横シーラは、横シールを形成する際、扁平な筒状部位の両側縁を角筒成形ガイド筒から横シールに向けて外側に拡開した傾斜フラップにそれぞれ形成する。また、一対の三角フラップ形成部材は、角筒成形ガイド筒と横シーラとの間にて角筒成形ガイド筒の両側にそれぞれ設けられ、横シールの形成時、扁平な筒状部位の両傾斜フラップを横シーラと協働して押し潰し、横シーラ上の三角フラップと、角筒状包材の側面に連なる平坦面とに変形させる。
【0005】
そして、包材繰出し装置は、角筒状包材を三角フラップ形成部材及び横シーラに向けて繰出す。具体的には、包材繰出し装置は、角筒状包材内への充填物の充填時における角筒状包材の1次繰出しと、三角フラップ形成時における角筒状包材の2次繰出しとを実施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5231098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
横シール時、角筒状包材の横シーラの上下に扁平な筒状部位が拡張形成されるのに伴い、袋の角底が持ち上がるようにして若干上昇する。しかし、角筒状包材に充填された充填物の重量が大きい場合、充填物の重さによって角筒状包材が下側に引っ張られ、横シール時に必要な角筒状包材の扁平な筒状部位の繰出し方向における長さが不足する。この場合には、角底の上昇量が不十分となり、横シーラによる角筒状包材の挟み込みが適正に行われずに偏りが生じ得る。
【0008】
この結果、横シーラの上下に形成される角筒状包材の扁平な筒状部位や、横シール部位に皴や歪み等が生じてしまう。また、角底の上昇量が不足して意図しない状態で横シールが行われた結果、製造した袋自体が変形し、例えば袋の稜線部に皴や歪み等が生じ、袋を綺麗に形成できない虞がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、充填物の重量が大きくても綺麗な袋を形成することができる縦形製袋充填包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するべく、本発明の縦形製袋充填包装機は、製袋チューブの回りに包材を筒状に成形し、この筒状包材を製袋チューブの長手方向に繰出しながら、製袋チューブの下方にて、筒状包材にその長手方向に所定の間隔を存して横シールを形成する一方、この横シールの形成と筒状包材内への充填物の充填を交互に行い、その内部に充填物が充填された袋を製造する縦形製袋充填包装機であって、袋に角底を成形するために製袋チューブの下端に設けられ、筒状包材の内面を案内して筒状包材を角筒状包材に成形する角筒成形ガイド筒と、角筒成形ガイド筒の下方に開閉作動可能に配置され、閉作動時に角筒成形ガイド筒の下方に位置した角筒状包材を挟み付けて扁平な筒状部位とすることで、この扁平な筒状部位の下端に横シールを形成し、この際、扁平な筒状部位の両側縁を角筒成形ガイド筒から横シールに向けて外側に拡開した傾斜フラップにそれぞれ形成する、横シーラと、角筒成形ガイド筒と横シーラとの間にて角筒成形ガイド筒の両側にそれぞれ設けられ、横シールの形成時、扁平な筒状部位の両傾斜フラップを横シーラと協働して押し潰し、横シーラ上の三角フラップと、角筒状包材の側面に連なる平坦面とに変形させる一対の三角フラップ形成部材と、角筒状包材を三角フラップ形成部材及び横シーラに向けて繰出す包材繰出し装置と、包材繰出し装置を駆動することにより、角筒状包材内への充填物の充填時における角筒状包材の1次繰出しと、横シール時における角筒状包材の2次繰出しと、三角フラップ形成時における角筒状包材の3次繰出しとを実施する制御装置とを備え、2次繰出しにおける角筒状包材の2次繰出し量は、横シール時に生じ得る角筒状包材及び袋の変形量に応じた長さに設定される
【発明の効果】
【0010】
本発明の縦形製袋充填包装機によれば、充填物の重量が大きくても綺麗な袋を形成することができる縦形製袋充填包装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る縦形製袋充填包装機にて製造される(a):角底袋P、(b):角底袋Pを更に成形して得られる角底袋Qを示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る縦形製袋充填包装機を概略的に示す斜視図である。
図3図2の包装機の一部を具体的に示した正面図である。
図4図3の包装機の一部の側面図である。
図5】縦形製袋充填包装機のシステム構成の概略図である。
図6】角筒状包材への充填物の充填及び角筒状包材の1次繰出しが完了した直後の(a):包装機の正面から見た三角フラップ形成部材の作動位置、(b):包装機の側面から見た横シーラの作動位置を示す図である。
図7】角筒状包材の2次繰出しが完了する前後であって、(a):横シーラが閉位置にて角筒状包材を挟み込んだ状態を包装機の正面から見た三角フラップ形成部材の作動位置、(b):横シーラが開位置から閉作動を開始し角筒状包材に接触直前の状態を包装機の側面から見た横シーラの作動位置、及び(c):横シーラが閉位置にて角筒状包材を挟み込んだ状態を包装機の側面から見た図である。
図8】傾斜フラップの(a):変形前の状態、(b):変形後の状態を示す斜視図である。
図9】三角フラップ形成及び角筒状包材の3次繰出しが完了した直後の(a):包装機の正面から見た三角フラップ形成部材の作動位置、(b):包装機の側面から見た横シーラの作動位置を示す図である。
図10】ボトムシールフラップが折り倒されるときの(a):包装機の正面から見た三角フラップ形成部材の作動位置、(b):包装機の側面から見た横シーラの作動位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る縦形製袋充填包装機にて製造される(a):角底袋P、(b):角底袋Pを更に成形して得られる角底袋Qの斜視図を示す。角底袋Pの底は矩形をなし、角底袋Pの上部は扁平状に形成されている。角底袋Pの外面は、一対の三角フラップTF付きの矩形底B0、前面SF、背面SB及び左右の側面SSから形成され、矩形底B0はボトムシールフラップBFを更に有する。
【0013】
更に、角底袋Pの上端はトップシールTSにより閉じられ、角底袋Pの上端から矩形底B0に亘って縦シールフラップLFが形成されている。また、前面SF及び背面SBと、左右の側面SSとの間には、角底袋Pの上端から角底Bに亘ってそれぞれ稜線部Rが形成されている。角底袋Qは、角底袋Pの三角フラップTFがボトムシールフラップBFとともに矩形底B0に折込まれ、これらフラップが矩形底B0に重ね合わされた角底Bを有する。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態に係る縦形製袋充填包装機を概略的に斜視図で示す。この包装機は製袋チューブ2を備え、製袋チューブ2は上下方向に延びている。製袋チューブ2内には充填チューブ4が配置され、充填チューブ4は製袋チューブ2から上方に向けて突出する。充填チューブ4はその上端にホッパ6を有し、ホッパ6を通じて粉粒体などの充填物の供給を受けることができる。
【0015】
具体的には、包装機は充填供給装置を備え、充填供給装置は充填チューブ4内に配置されたオーガ(図示しない)を有し、オーガを回転させることで、充填チューブ4から製袋チューブ2内に所定量の充填物を供給することができる。一方、製袋チューブ2の上方で且つホッパ6の下側にはフォーマ8が取り付けられ、フォーマ8から包材ロールWrまで包材繰出し経路10が延びている。
【0016】
包材ロールWrからヒートシール可能なフィルム等の包材Wが繰出され、繰出された包材Wは包材繰出し経路10に沿って案内され、フォーマ8を経て製袋チューブ2の外周に導かれている。包材Wがフォーマ8を通過する際、包材Wはフォーマ8により製袋チューブ2を囲む筒状に形成され、この筒状包材Wcは製袋チューブ2に沿い下方に導かれている。また、フォーマ8を通過する際、筒状包材Wcの両側縁は所定の形態にて互いに重ね合わされたラップ部を形成する。
【0017】
製袋チューブ2の近傍には包材繰出し装置として一対の包材フィーダ12(図1には一方のみ図示)が設けられている。これら包材フィーダ12はフォーマ8の下方にて、製袋チューブ2の両側にそれぞれ配置されている。各包材フィーダ12は無端状のサクションベルト14を有し、サクションベルト14に筒状包材Wcを吸着させることができる。この吸着状態にて、包材フィーダ12のサクションベルト14が一方向に走行すると、筒状包材Wcは製袋チューブ2に沿い、その下方に向けて更に繰出される。
【0018】
更に、製袋チューブ2の近傍には開閉可能な縦シーラ16が設けられており、縦シーラ16は製袋チューブ2の周方向でみて一対の包材フィーダ12間に配置されている。縦シーラ16は筒状包材Wcのラップ部をヒートシールし、その両側縁を互いに接着させた前述の縦シールフラップLFを形成する。
【0019】
これにより、縦シーラ16を通過した後、筒状包材Wcは完全に両側縁が閉じた状態となる。なお、本実施形態の場合、縦シールフラップLFは所謂、合掌貼りの形態となっている。製袋チューブ2の下端には角筒成形ガイド筒18が設けられている。角筒成形ガイド筒18は、製袋チューブ2の下端から下方に向けて延び、筒状包材Wcが通過する際、その内面を案内し、筒状包材Wcを角筒状包材Wb(図6参照)に成形する。
【0020】
図3は、図2の包装機の一部を具体的に示した正面図を示し、図4は、図3の包装機の一部の側面図を示す。縦シーラ16の下端にはステー20を介して折込み部材22が取り付けられており、折込み部材22は、前述した縦シールフラップLFが通過する際、縦シールフラップLFを筒状包材Wcの外面に向けて折込み、筒状包材Wcと重ね合わせる。
【0021】
上述した角筒成形ガイド筒18の下方には所定の間隔を存して、開閉可能な横シーラ24が配置されており、横シーラ24は一対のヒータブロック26f,26rを有する。これらヒータブロック26f,26rは、角筒状包材Wbを横断する水平方向に延び、水平面内にて製袋チューブ2の直径方向に互いに接離する。これにより、横シーラ24の開閉がなされる。横シーラ24が閉作動したとき、一対のヒータブロック26f,26rは角筒状包材Wbをその前後から挟み付けることで、角筒状包材Wbに横シールを形成する。
【0022】
また、ヒータブロック26f,26rの一方にはヒータ及び突没可能な切断刃が内蔵されている。ヒータブロック26f,26rの他方にはヒータが内蔵されているとともに、ヒータブロック26f,26rの一方から突出した切断刃を受け入れる溝が形成されている。このような切断刃は横シールの形成後に突出し、この横シールをその上側部分からなる前述のボトムシールフラップBFと、その下側部分からなるトップシールTSとに分離する。なお、図3及び図4中、ヒータ及び切断刃は明確に示されていない。
【0023】
更にまた、横シーラ24の下側には一対のエアノズル32が配置されている。これらエアノズル32は圧縮空気源(図示しない)に接続され、横シーラ24の開閉方向に圧縮空気を噴出可能である。従って、前述したボトムシールフラップBFが横シーラ24の下側を通過する際、ボトムシールフラップBFは一対のエアノズル32から噴出された圧縮空気を受け、一方向に倒される。なお、一対のエアノズル32は横シーラ24のヒータブロック26fに取り付けられ、このヒータブロック26fとともに横シーラ24の開閉方向に移動する。
【0024】
一方、図3に示すように、横シーラ24の上方には一対の三角フラップ形成部材34が設けられ、これら三角フラップ形成部材34は角筒成形ガイド筒18の両側にそれぞれ配置されている。一対の三角フラップ形成部材34は横シーラ24に向けられた下端を有し、この下端はロッドにより形成されている。このロッドは円形断面を有し、横シーラ24の開閉方向に水平に延びている。具体的には、ロッドは耐熱性を有した硬質の弾性材料から形成されている。
【0025】
一対の三角フラップ形成部材34はエアシリンダ36にそれぞれ取り付けられており、これらエアシリンダ36は包装機のフレーム38に支持機構40を介して支持されている。この支持機構40は横シーラ24に対するエアシリンダ36の高さ位置、そして、角筒成形ガイド筒18に対するエアシリンダ36の離間位置をそれぞれ調整可能である。図3に示すように、エアシリンダ36は鉛直ではなく傾斜して配置され、これより、その伸縮により、対応する三角フラップ形成部材34を横シーラ24に対し斜め方向に接離させることができる。
【0026】
以下、図5から図10を参照しながら包装機の作動を説明する。図5は、包装機のシステム構成の概略図を示す。包装機は制御装置42を備え、制御装置42は、設定入力手段44、横シーラ開閉手段46、包材切断手段48、縦シーラ開閉手段50、サクションベルト駆動手段52、三角フラップ形成手段54、及び包材ロール駆動手段56などに電気的に接続されている。
【0027】
横シーラ開閉手段46は横シーラ24を開閉させる。包材切断手段は、横シーラ24を構成するヒータブロック26f,26rの一方に内蔵された切断刃を突出させて筒状包材Wcを切断する。サクションベルト駆動手段52は、一対の包材フィーダ12のサクションベルト14を駆動させる。三角フラップ形成手段54は、三角フラップTFを形成するために一対の三角フラップ形成部材34を作動させる。包材ロール駆動手段56は、包材ロールWrから包材Wを包材繰出し経路10に沿って繰り出す。
【0028】
設定入力手段44において前述した各手段の設定値を入力することにより、包装機において各手段を所望のタイミングで駆動させることができる。本実施形態においては、設定入力手段44に設定値を入力することにより、制御装置42が包材繰出し装置としての一対の包材フィーダ12を駆動し、サクションベルト14が適時に駆動され、三角フラップ形成部材34及び横シーラ24に向けての角筒状包材Wbの繰出しが1次繰出し、2次繰出し、3次繰出しと段階的に実施される。
【0029】
図6は、角筒状包材Wbへの充填物の充填及び角筒状包材Wbの1次繰出しが完了した直後の(a):包装機の正面から見た三角フラップ形成部材34の作動位置、(b):包装機の側面から見た横シーラ24の作動位置を示す。一対の包材フィーダ12による筒状包材Wc、即ち、角筒状包材Wbの1次繰出しが完了した直後の状態においては、角筒状包材Wbは角筒成形ガイド筒18の下方に角底袋Pの長さに対応した1次繰出し量(長さ)X1だけ繰出されている。
【0030】
角筒状包材Wbの下端は、前回の角底袋Pの製造プロセスにて、一対の三角フラップTF等を備えた矩形底B0に既に形成され、この矩形底B0により閉塞された状態にある。また、角筒状包材Wbの1次繰出しの開始と同時又はその前後から、充填供給装置は充填チューブ4、製袋チューブ2及び角筒成形ガイド筒18内を通じて角筒状包材Wb内に所定量の充填物を充填し、充填された充填物は矩形底B0上に堆積されている。
【0031】
このような充填物の充填中、充填物の舞い上がりが生じても、角筒成形ガイド筒18と角筒状包材Wbの内面との間に隙間が生じることはない。この結果、これら角筒成形ガイド筒18と角筒状包材Wbとの間に充填物が滞留することはなく、このような充填物の滞留に起因した不具合を確実に解消可能となる。
【0032】
図7は、角筒状包材Wbの2次繰出しが完了する前後であって、(a):横シーラ24が閉位置にて角筒状包材Wbを挟み込んだ状態を包装機の正面から見た三角フラップ形成部材34の作動位置、(b):横シーラ24が開位置から閉作動を開始し角筒状包材Wbに接触直前の状態を包装機の側面から見た横シーラ24の作動位置、及び(c):横シーラ24が閉位置にて角筒状包材Wbを挟み込んだ状態を包装機の側面から見た図を示す。
【0033】
角筒状包材Wb内への充填物の充填が完了し、角筒状包材Wbの2次繰出しが完了した後、図7(b)に示すように、横シーラ24は開位置から閉作動を開始する。そして、図7(c)に示すように、横シーラ24はその閉位置にてヒータブロック26f,26r間に角筒状包材Wbを挟み込む。ここでの挟み込みにて、角筒状包材Wbには横シールが形成される。
【0034】
また、横シーラ24はその切断刃により、横シールをボトムシールフラップBFとトップシールTSとに分離するが、この時点では、横シーラ24は閉位置に維持されているので、横シーラ24は製造された角底袋Pを保持した状態にある。一方、上述した横シールの形成は、角筒状包材Wbを横シーラ24で押し潰すことによってもたらされる。
【0035】
詳しくは、図7(a)に示すように、横シーラ24が閉位置にあるとき、角筒状包材Wbにおける横シーラ24の上側部位は横シーラ24で押し潰されて扁平な筒状部位に形成され、この扁平な筒状部位の幅は角筒成形ガイド筒18の幅よりも横シーラ24の上下にて拡張される。これにより、この扁平な筒状部位の両側部位は、角筒成形ガイド筒18の側方に張り出した、換言すると横シーラ24により形成された横シールに向けて外側に拡開した傾斜フラップEFにそれぞれ形成される。
【0036】
ここで、横シール時に角筒状包材Wbの横シーラ24の上下に扁平な筒状部位が拡張成形されるのに伴い、角筒状包材Wbの矩形底B0が持ち上がるようにして若干上昇しようとする。しかし、従来においては、角筒状包材Wbに充填された充填物の重量が大きい場合、充填物の重量によって角筒状包材Wbが下側に引っ張られ、横シーラ24による角筒状包材Wbの挟み込みを行っても矩形底B0が持ち上がらないことがあった。
【0037】
矩形底B0の上昇量が不十分になると、横シール時に必要な角筒状包材Wbの扁平な筒状部位の繰出し方向における長さが不足し、横シーラ24による角筒状包材Wbの挟み込みが横シール方向において適正に行われない。この結果、角筒状包材Wbの扁平な筒状部位や、横シール部位であるボトムシールフラップBF及びトップシールTSに皴や歪み等が生じ得る。また、製造した角底袋Pが所望の形状とならずに変形し、例えば角底袋Pの稜線部Rに皴や歪み等が生じて角底袋Pを綺麗に形成できない。
【0038】
これに対し本実施形態では、横シール時に角筒状包材Wbの2次繰出しを実施することにより、角筒状包材Wbに充填された充填物の重量が大きい場合であっても、横シール時に必要な角筒状包材Wbの扁平な筒状部位の繰出し方向の長さを過不足なく提供可能となる。これにより、横シーラ24による角筒状包材Wbの挟み込みは、充填物の重量に影響を受けることなく横シール方向において偏りなく適正に実施される。従って、前述した部位の皴や歪み等が抑制され、角底袋Pを所望の形状通り綺麗に形成可能となる。
【0039】
図7(c)に示す2次繰出しにおける角筒状包材Wbの2次繰出し量(長さ)X2は、横シール時に生じ得る角筒状包材Wb及び角底袋Pの変形量に応じた長さに設定される。詳しくは、図7(b)に示す状態においては、角筒状包材Wbは長さX1で垂直状に繰り出されている。
【0040】
しかし、横シーラ24が閉じた状態を示す図7(c)においては、角筒状包材Wbは横シーラ24に挟まれた部分が直線状になる一方、横シーラ24の上側では、角筒成形ガイド筒18の幅方向に沿いシール部に向かって斜面状になり、横シーラ24の下側では、シール部から矩形底B0に向かって斜面状になる。従って、角筒状包材Wbは、斜面状になる分だけ垂直方向の距離が短くなる。2次繰出し量X2は、この垂直方向の距離の減少分の大きさに設定される。
【0041】
更に詳しくは、2次繰出し量X2は、充填物の重量が小さい場合の横シール時に生じ得る角筒状包材Wbの矩形底B0の上昇量以上の長さに設定される。2次繰出し量X2をこの上昇量以上の長さとすることにより、横シーラ24による角筒状包材Wbの挟み込みを横シール方向においてより一層確実に偏りなく適正に行うことができる。2次繰出し量X2を前述した増長分や上昇量以上の長さに設定することにより、横シール時における角筒状包材Wb及び角底袋Pが充填物の重量によって変形することを効果的に抑制可能である。従って、角筒状包材Wbや角底袋Pに皴や歪み等を生じさせることなく、綺麗な角底袋Pを確実に形成することができる。
【0042】
図8は、傾斜フラップが如何に変形されるかを説明するための斜視図であり、傾斜フラップEFの(a):変形前の状態、(b):変形後の状態を示す。図8(a)に示すように、傾斜フラップEFは、角筒成形ガイド筒18により形成された角筒状包材WBの側面に連なり且つ下向きに傾斜した三角形状の上面Uと、この上面Uと横シーラ24(ボトムシールフラップBF)とを繋ぐ三角形状の前後の面とから形成される。
【0043】
図7(a)に示したように、各傾斜フラップEFの上面Uはその三角フラップ形成部材34、即ち、待機位置にある三角フラップ形成部材34の下端(ロッド)と当接し、この三角フラップ形成部材34により上方から押さえ込まれた状態にある。そして、横シーラ24が未だ閉位置に保持されている状態にて、一対の三角フラップ形成部材34はそのエアシリンダ36(図3参照)の伸長動作を受ける。
【0044】
図9は、三角フラップTF形成及び角筒状包材Wbの3次繰出しが完了した直後の(a):包装機の正面から見た三角フラップ形成部材34の作動位置、(b):包装機の側面から見た横シーラ24の作動位置を示す。図9(b)に示すように、横シーラ24はその切断刃により、横シールをボトムシールフラップBFとトップシールTSとに分離する。
【0045】
一方、図9(a)に示すように、一対の三角フラップ形成部材34の下端は、閉位置にある横シーラ24上の作動位置に達するまで斜めに下降し、この際、その下端にて傾斜フラップEFの上面Uを横シーラ24に向けて下方に押込む。三角フラップ形成部材34による押込みと同時に、角筒状包材WBは一対の包材フィーダ12により3次繰出しを受け、所定の長さだけ更に繰出される。
【0046】
これにより、三角フラップ形成部材34は、横シーラ24の上面と協働し、図8(a)の傾斜フラップEFを図8(b)に示す如く変形させる。具体的には、傾斜フラップEFから横シーラ24上に位置した三角フラップTFと、この三角フラップTFと角筒状包材WBの側面との間を繋ぐとともに当該側面に連なる平坦面FSとが形成される。この結果、横シーラ24の上面にて、一対の三角フラップTFを側方に突出させた状態の矩形底B0が形成される。
【0047】
ここで、平坦面FSの上下方向の長さLは角筒成形ガイド筒18と閉位置にある横シーラ24との間に確保された前記間隔に等しい。従って、3次繰出しにおける角筒状包材Wbの3次繰出し量(長さ)X3は、図8中、傾斜フラップEFにおける上面Uの斜辺の長さをY、三角フラップTFの斜辺の長さをZとすれば、次式から算出することができる。
X3=L-(Y-Z)
【0048】
前述した角筒状包材Wbの3次繰出しは、傾斜フラップEFを変形させる際、ここでの変形に必要な扁平な筒状部位の長さを過不足なく提供し、これにより、角筒状包材Wbの側面や三角フラップTFに折れ曲がりや二重折り等を生じさせることなく、綺麗な三角フラップTF及び平坦面FSの形成が可能となる。
【0049】
また、平坦面FSの長さL、即ち、角筒成形ガイド筒18と横シーラ24との間の間隔は、形成すべき三角フラップTFのサイズを考慮し、傾斜フラップEFの前述の変形が許容される程度に確保されていればよい。更に、三角フラップ形成部材34が待機位置にあるとき、三角フラップ形成部材34は前述したように傾斜フラップEFの上面Uを押さえ込んでいる。
【0050】
これにより、図7(a)に示したように、傾斜フラップEFの上面Uと三角フラップ形成部材34との接触位置と横シーラ24との間の距離、即ち、接触高さ位置を左右の傾斜フラップEFにて同一にすることができる。このことは、横シール時、傾斜フラップEFにおける上面Uの位置を正確に位置決めでき、また、上面Uの平坦性を担保できることを意味する。それ故、この後、三角フラップ形成部材34による傾斜フラップEFが三角フラップTF及び平坦面FSに変形される際には、三角フラップTF及び平坦面FSをより一層確実に綺麗に形成することができる。
【0051】
図10は、ボトムシールフラップBFが折り倒されるときの(a):包装機の正面から見た三角フラップ形成部材34の作動位置、(b):包装機の側面から見た横シーラ24の作動位置を示す。図10(a)、(b)に示すように、横シーラ24が開作動することで、横シーラ24は、トップシールTSを上部に有する角底袋Pを解放する。この際、解放された角底袋Pの矩形底B0からは未だ、一対の三角フラップTFが側方に突出した状態にある。
【0052】
そして、次の製造プロセスに係る角筒状包材Wbの1次繰出しが繰り返され、一対の三角フラップTFを備えた角筒状包材Wbの矩形底B0が下降する。この際、矩形底B0の下面から突出した状態にあるボトムシールフラップBFは、前述したエアノズル32(図3参照)からの圧縮空気の噴出を受けることで、矩形底B0の下面に向けて折り倒される。
【0053】
この後、三角フラップTFはボトムシールフラップBFとともに後段の折込み工程にて、矩形底B0の下面に折り込まれて接着される。これにより、図1(b)に示したような角底Bを有する角底袋Qが形成され、この際、ボトムシールフラップBFは矩形底B0と三角フラップTFとの間にて部分的に挟み込まれた状態となる。
【0054】
前述の後段の折込み工程は、横シーラ24の下方に配置した折込み機構(図示しない)にて実施されるか、又は、角底袋Pが包装機から排出された後、別の折込み装置にて実施される。折込み機構にて、三角フラップTFの折込みがなされる場合、折込まれた三角フラップTFは横シール時の予熱により矩形底B0に接着される。また、別の折込み装置にて三角フラップTFの折込みがなされる場合には、この折込みに先立ち、三角フラップTFにホットメルトが塗布され、三角フラップTFはホットメルトを介して矩形底B0に接着される。
【0055】
以上のように本実施形態の縦形製袋充填包装機は、角筒状包材Wbの横シール時に角筒状包材Wbの2次繰出しを実施する。これにより、角筒状包材Wbに充填された充填物の重量が大きい場合であっても、横シール時に必要な角筒状包材Wbの扁平な筒状部位の繰出し方向における長さを確保可能となる。
【0056】
このため、横シーラ24による角筒状包材Wbの挟み込みを横シール方向において偏りなく適正に行うことができる。従って、横シーラ24の上下に形成される角筒状包材Wbの扁平な筒状部位、横シール部位であるボトムシールフラップBF及びトップシールTS、及び角底袋Pの稜線部R等に皴や歪み等が生じることが抑制され、角底袋Pを綺麗に形成することができる。
【0057】
2次繰出し量X2は、角筒状包材Wbに横シール時に生じ得る角筒状包材Wb及び角底袋Pの変形量に応じた長さに設定される。より具体的には、横シール時に生じ得る角筒状包材Wbの包材繰出し経路10の増長分以上の長さ、すなわち、充填物の重量が小さい場合に横シール時に生じ得る角筒状包材Wbの矩形底B0の上昇量以上の長さに設定される。これにより、角筒状包材Wbや角底袋Pに皴や歪み等を生じさせることなく、綺麗な角底袋Pをより一層確実に形成することができる。
【0058】
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。例えば、本発明が適用される角底袋P、Qは、トップシールTSの下側に開閉可能なジッパを備えていてもよいし、角底袋P、Q内の排気をなすためのバルブを備えていてもよい。
【0059】
また、縦シールフラップLFやボトムシールフラップBFの折込みには図示のものに限らず、種々の折込み手段を適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
2 製袋チューブ
10 包材繰出し経路
12 包材フィーダ(包材繰出し装置)
18 角筒成形ガイド筒
24 横シーラ
34 三角フラップ形成部材
42 制御装置
B0 矩形底(角底)
B 角底
P、Q 角底袋(袋)
W 包材
Wc 筒状包材
Wb 角筒状包材
EF 傾斜フラップ
FS 平坦面
TF 三角フラップ
X2 2次繰出し量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10