(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】監視盤、監視状況提示方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20240823BHJP
【FI】
G07B15/00 B
(21)【出願番号】P 2021048135
(22)【出願日】2021-03-23
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】兼平 捷矢
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-182775(JP,A)
【文献】特開2006-209661(JP,A)
【文献】特開2016-157277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅務機器と、前記駅務機器の処理に必要な機能を実行する
複数のサーバー装置と、の間の通信状態を取得する状態把握部と、
前記状態把握部が取得した前記通信状態についての情報を、複数の前記駅務機器の各々について表示する表示部と、
を備える監視盤
であり、
前記駅務機器は、複数の前記サーバー装置のそれぞれとの間で通信を行うものであり、
前記複数のサーバー装置は、前記駅務機器の処理に必要な複数の種類の機能をそれぞれ提供するものであり、
前記状態把握部は、各々の前記駅務機器ごとに、当該駅務機器と、前記複数のサーバー装置のそれぞれと、の間の通信状態を取得し、
前記表示部は、各々の前記駅務機器ごとに、当該駅務機器と、前記複数のサーバー装置のそれぞれと、の間の通信状態を、画面上の互いに異なる位置に表示する、
監視盤。
【請求項2】
前記駅務機器は、シンクライアントとして前記サーバー装置との間での通信を行うことによって機能するものである、
請求項1に記載の監視盤。
【請求項3】
前記表示部は、前記複数のサーバー装置のそれぞれの前記種類を区別可能な態様で、前記通信状態を表示する、
請求項
1または2に記載の監視盤。
【請求項4】
前記表示部は、複数の前記駅務機器の各々について前記駅務機器の号機識別情報を表示するとともに、画面上の前記号機識別情報の表示位置の近傍に前記通信状態を表示する、
請求項
1から3までのいずれか一項に記載の監視盤。
【請求項5】
前記表示部は、複数の前記駅務機器の各々についての状態の情報であって、前記通信状態以外の状態の情報、をも、前記通信状態と同時に表示する、
請求項
1から4までのいずれか一項に記載の監視盤。
【請求項6】
前記状態把握部は、前記通信状態を、前記駅務機器から取得する、
請求項1から
5までのいずれか一項に記載の監視盤。
【請求項7】
状態把握部が、駅務機器と、前記駅務機器の処理に必要な機能を実行する
複数のサーバー装置と、の間の通信状態を取得する過程と、
表示部が、前記状態把握部が取得した前記通信状態についての情報を、複数の前記駅務機器の各々について表示する過程と、
を含む監視状況提示方法
であって、
前記駅務機器は、複数の前記サーバー装置のそれぞれとの間で通信を行うものであり、
前記複数のサーバー装置は、前記駅務機器の処理に必要な複数の種類の機能をそれぞれ提供するものであり、
前記状態把握部は、各々の前記駅務機器ごとに、当該駅務機器と、前記複数のサーバー装置のそれぞれと、の間の通信状態を取得し、
前記表示部は、各々の前記駅務機器ごとに、当該駅務機器と、前記複数のサーバー装置のそれぞれと、の間の通信状態を、画面上の互いに異なる位置に表示する、
監視状況提示方法。
【請求項8】
駅務機器と、前記駅務機器の処理に必要な機能を実行する
複数のサーバー装置と、の間の通信状態を取得する状態把握部と、
前記状態把握部が取得した前記通信状態についての情報を、複数の前記駅務機器の各々について表示する表示部と、
を備える監視盤、としてコンピューターを機能させるためのプログラム
であって、
前記駅務機器は、複数の前記サーバー装置のそれぞれとの間で通信を行うものであり、
前記複数のサーバー装置は、前記駅務機器の処理に必要な複数の種類の機能をそれぞれ提供するものであり、
前記状態把握部は、各々の前記駅務機器ごとに、当該駅務機器と、前記複数のサーバー装置のそれぞれと、の間の通信状態を取得し、
前記表示部は、各々の前記駅務機器ごとに、当該駅務機器と、前記複数のサーバー装置のそれぞれと、の間の通信状態を、画面上の互いに異なる位置に表示する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、監視盤、監視状況提示方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の駅に設置される自動改札機等の駅務機器を、通信回線を介してサーバー装置に接続する形態の改札システムが検討されている。従来技術の改札システムにおいて、複数の自動改札機と、複数の精算機と、複数の券売機とが、通信ネットワークを介して、サーバー装置に接続される。このような改札システムでは、自動改札機等の動作において必要となるデータを保持したり判定処理を行ったりする機能が、サーバー装置側に設けられる。
【0003】
従来技術では、改札システムの状態を監視できるようにするために、監視盤が設けられる。監視盤は情報を画面に出力する機能を備えている。監視盤は、サーバー装置と監視盤との間の通信状態や、改札機と監視盤との間の通信状態を、画面に表示する。
【0004】
しかしながら、従来技術による監視盤は、改札機の状態を1種類しか表示することができない。また、従来技術による監視盤は、改札機とサーバー装置との間の通信状態を把握したり、通信状態の情報を表示したりすることはできない。
【0005】
上記のような改札システムでは、改札機は、上位システム(サーバー装置等)との間での通信の接続状態に応じて、機能の縮退を行う。したがって、監視盤において、改札機とサーバー装置等との間の通信状態を把握できることが望ましいが、従来技術ではそれが不可能であった。
【0006】
また、今後の改札機の高機能化により、二次元コード(光学的パターンによるコード)の情報に基づいて入出場を管理したり、利用者の顔の認識結果に基づいて入出場を管理したりするようになっていく可能性がある。そのような場合には、改札機が接続するサーバー装置の種類が増えることも予想される。そういった状況において、改札機と、複数のサーバー装置それぞれとの間の通信状態を、駅務員等にわかりやすい形(ヒューマンインターフェース)で提示することが、今後重要になってくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、改札機等の駅務機器とサーバー装置等の上位装置との間の通信状況を駅務員らが容易に且つきめ細かく把握することのできる監視盤、監視状況提示方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の監視盤は、状態把握部と、表示部とを持つ。状態把握部は、駅務機器と、前記駅務機器の処理に必要な機能を実行するサーバー装置と、の間の通信状態を取得する。表示部は、前記状態把握部が取得した前記通信状態についての情報を、複数の前記駅務機器の各々について表示する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態の駅務システムの概略構成を示すブロック図。
【
図2】実施形態の監視盤の概略機能構成を示すブロック図。
【
図3】実施形態の監視盤が表示する画面の構成の例を示す概略図。
【
図4】実施形態の監視盤や、改札機や、サーバー装置といった装置を実現するための内部のコンピューターの構成の例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態の監視盤、監視状況提示方法、およびプログラムを、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態による駅務システムの概略構成を示すブロック図である。図示するように、駅務システム1は、改札機2と、サーバー装置7と、監視盤3とを含んで構成される。
【0013】
改札機2は、鉄道の駅等に設置される機器である。改札機2は、駅務機器の一種である。改札機2は、鉄道等の交通機関の利用者が持つ切符(乗車券類)の情報を読み取って、利用者が改札を通過してよいかどうかを判定した結果に基づいて、ゲートの扉の開閉等を制御する。切符は、例えば、磁気コードが書き込まれた紙等であってもよいし、ICカードであってもよいし、光学的に読み取り可能なパターン(2次元コード等)を表示している状態の携帯型端末装置であってもよいし、その他の形態であってもよい。
【0014】
本実施形態における改札機2は、いわゆるシンクライアント(thin client)型の改札機である。即ち、改札機2は、シンクライアントとしてサーバー装置7との間での通信を行うことによって機能するものである。言い換えれば、改札機2は、主に情報の入出力(扉等の制御信号の出力を含む)の役割を担い、CPUバウンダリーな処理やデータの保持・管理の機能についてはサーバー装置7に依存する。つまり、改札機2は、切符等の媒体の情報を読み取ったり、液晶パネルを用いて構成される表示装置に情報を表示したり、ゲートの扉の開閉を行ったりする機能を持つ。一方で、改札機2は、切符の有効性(利用者が改札機を通過してよいか否か)を判定したり、ICカード型の切符から引き去る金額を計算したり、それらの処理のために必要なデータを管理したり、といった機能を持たない。これらの、改札機2が持たない機能を提供するのは、後述するサーバー装置7である。
【0015】
なお、改札機2は、2次元コードを読み取るための読取装置や、切符を保持する利用者の顔を撮影するためのカメラを備えているものであってよい。使用される2次元コードは、例えば、QRコード(登録商標)である。
【0016】
駅務システム1が、改札機2以外の駅務機器を含むように構成されてもよい。改札機2以外の駅務機器は、例えば、券売機、精算機、ストアドフェアカード(ICカード)のチャージ用機器、駅務員が操作するための発券端末などを含んでよい。
【0017】
サーバー装置7は、例えばデータセンターに設置される大型のコンピューターである。サーバー装置7は、改札機2等の駅務機器が機能するために必要な処理を行う。また、サーバー装置7は、そのような処理を行うために必要なデータを管理する。サーバー装置7には、役割の異なる複数種類のサーバー装置7が存在する。例えば、シンクライアント用(運賃処理用)のサーバーの機能と、2次元コード処理用のサーバーの機能と、顔認識用のサーバーの機能との、それぞれの役割のサーバー装置7が存在する。
【0018】
シンクライアント用(運賃処理用)のサーバー装置7は、切符から読み取られた情報を基に、利用者の改札通過の可否を判断する。改札通過は、駅への入場の場合と、駅からの出場の場合とを含む。改札通過の判断を行ったり、ICカード型の切符から運賃を引き去ったりするために、運賃を計算する。
【0019】
2次元コード処理用のサーバー装置7は、2次元コードを用いた切符の処理や、2次元コードを用いた運賃決済の処理を行う。
【0020】
顔認識用のサーバー装置7は、改札機2から送信される顔画像に基づいて、顔の認識処理を行う。例えば、記名式の切符等や、特定のメンバーシップの会員のみが使用できる切符等を処理するために、顔の認識結果が使用される。
【0021】
1台の改札機2が、1件の改札処理のために、複数のサーバー装置7と連携する場合がある。例えば、利用者が2次元コードを用いるタイプの切符を用いて改札機2を通る場合に、その改札機2は、運賃計算等の処理のためには上記シンクライアント用のサーバー装置7にアクセスし、2次元コードによる決済のためには上記2次元コード処理用のサーバー装置7にアクセスする。また、利用者が、顔認識を必要とする切符を用いて改札機2を通る場合に、その改札機2は、運賃計算等の処理のためには上記シンクライアント用のサーバー装置7にアクセスし、顔認識処理のためには上記顔認識用のサーバー装置7にアクセスする。
【0022】
改札機2やサーバー装置7は、通信ネットワーク9に接続される。改札機2やサーバー装置7は、通信ネットワーク9を介して自装置以外の装置と通信を行うことができる。通信ネットワーク9では、例えば、インターネットプロトコル(IP)を用いた通信が行われる。ただし、通信ネットワーク9上での通信方法は、これに限定されない。
【0023】
なお、1台のサーバー装置7は、複数の駅に設置された多数の駅務機器(改札機2等)のための処理を行うように構成してよい。
【0024】
図1においては、3台のサーバー装置7と、3台の改札機2とを示している。実際には、駅務システム1は、任意の数のサーバー装置7と、任意の数の改札機とを含んでいてよい。
【0025】
監視盤3は、駅務システム1の状況を監視するための装置である。監視盤3は、例えば、各駅の駅務員室等に設置される。駅務員は、適宜、監視盤の3の画面を見て駅務システム1の状況を確認することができる。本実施形態の監視盤3は、各々の改札機2の状況を把握して表示する。特に、監視盤3は、各々の改札機2とそれぞれのサーバー装置7との間の通信の状況を把握して表示する。なお、監視盤3が、駅務システム1におけるその他の情報をも表示するようにしてもよい。
【0026】
監視盤3は、当該駅に設置された改札機2のそれぞれに、当該監視専用の通信線で接続される。監視盤3は、それぞれの改札機2から、情報を受信する。監視盤3がそれぞれの改札機2から受け取る情報は、その改札機2と各サーバー装置7との間での通信が、正常状態か異常状態かを表す情報を含む。また、監視盤3は、それぞれの改札機2からその他の情報を受信する場合がある。改札機2と監視盤3との間の通信には、例えば、インターネットプロトコルが使用される。ただし、改札機2と監視盤3との間の通信の方法は、これに限定するものではない。
【0027】
図2は、監視盤3の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、監視盤3は、状態把握部31と、表示部33とを含んで構成される。これらの各機能部は、例えば、電子回路を用いて実現される。また、各機能部は、必要に応じて、半導体メモリーや磁気ハードディスク装置などといった記憶手段を内部に備えてよい。また、各機能を、コンピューターおよびソフトウェアによって実現するようにしてもよい。監視盤3は、情報を表示するための表示装置(液晶ディスプレイ等)を備える。
【0028】
状態把握部31は、通信により、改札機2から情報を受信する。状態把握部31が受信する情報は、改札機2自体の状況を表す情報と、改札機2とサーバー装置7との間の通信の状態(正常または異常などといった状態)を表す情報と、を含む。つまり、状態把握部31は、改札機2(駅務機器)と、駅務機器の処理に必要な機能を実行するサーバー装置7と、の間の通信状態を取得する。なお、状態把握部31が、その他の情報を受信して把握するようにしてもよい。
【0029】
表示部33は、状態把握部31が取得した状態等に関する表示を行う。具体的には、表示部33は、状態把握部31が取得した通信状態についての情報を、複数の改札機2(駅務機器)の各々について表示する。表示部33は、例えば、液晶ディスプレイ装置等の表示手段に視覚的な情報を出力する。表示部33が出力する画面構成の例については、後で説明する。
【0030】
図3は、監視盤3が表示する画面構成の例を示す概略図である。図示するように、監視盤3は、駅に設置される複数の改札機2のそれぞれについての情報を表示する。図示する例では、第1号機から第11号機までの11台の改札機の情報が表示されている。なお、監視盤3への表示対象とする改札機2の台数や、各々の改札機2の号機番号は、例えば駅ごとに設定可能である。
【0031】
同図において、301は、改札機2の状況を表示するための改札機状況表示領域である。また、302は、改札機の号機番号を表示するための号機番号を表示するための号機番号表示領域である。また、303A,303B,303Cのそれぞれは、改札機2とサーバー装置7それぞれとの通信状況の情報を表示するためのサーバー通信状況表示領域である。サーバー通信状況表示領域303A,303B,303Cのそれぞれには、サーバー装置7の種別を区別したアイコンを表示することが可能である。
【0032】
図示する例では、号機番号表示領域302には、「1」から「11」までの数値が表示されている。表示されているこれらの数値は、号機番号である。各々の改札機用の号機番号表示領域302の近傍に、改札機状況表示領域301と、サーバー通信状況表示領域303A,303B,303Cとが、配置されている。具体的には、号機番号表示領域302の上側に、改札機状況表示領域301が配置されている。また、号機番号表示領域302の下側に、サーバー通信状況表示領域303Aと303Bと303Cとが配置されている。このように、号機番号表示領域302の近傍にサーバー通信状況表示領域303A,303B,303Cを配置することにより、各改札機のサーバーとの通信の状況が視認しやすくなっている。
【0033】
図示する表示例では、改札機2の第1号機の改札機状況表示領域301には、「IC無効」と表示されている。これは、ICカード型の切符が無効であるという事象が当該改札機において生じていることを表している。改札機2の第4号機の改札機状況表示領域301には、「通信」と表示されている。これは、当該改札機と監視盤3との間の通信に異常が生じていることを表している(当該改札機とサーバー装置7との間の通信の異常ではない)。改札機2の第6号機の改札機状況表示領域301には、「立上中」と表示されている。これは、当該改札機が立ち上げ中、即ち、電源オンの後に各種初期化処理を行っている途中(まだ、稼働状態に到達していない)であることを表している。改札機2の第9号機の改札機状況表示領域301には、「無札」と表示されている。これは、交通機関の利用者が、切符を投入したり読み取らせたりすることなく、当該改札機を通り抜けようとした事象を表している。他の改札機2の改札機状況表示領域301には、文字が表示されていない。これは、それらの改札機2に表示すべき事象が生じておらず、正常に稼働中であることを表している。
【0034】
このように、監視盤3が、改札機状況表示領域301に各改札機の状況を表示することにより、駅務員等は、そのときに生じている状況を適切に把握することができる。なお、監視盤3が、改札機状況表示領域301に、上に例示した事象以外の状況を表示するようにしてもよい。
【0035】
また、図示する表示例では、改札機2の第2号機のサーバー通信状況表示領域303Aと、303Bと、303Cと、のそれぞれには、「シ」、「Q」、「顔」の文字の入ったアイコンが表示されている。これらのアイコンは、それぞれ、当該改札機と、シンクライアント用(運賃処理用)のサーバー装置7との間、2次元コード用のサーバー装置7との間、顔認識用のサーバー装置7との間において、通信異常が生じていることを表すものである。つまり、この場合、改札機2の第2号機は、これらすべてのサーバー装置7との通信を行うことができない。つまり、監視盤3に表示された情報により、改札機2の第2号機は、サーバー装置7に依存する機能に関して稼働することができないことを表されている。
【0036】
また、改札機2の第8号機のサーバー通信状況表示領域303Bには、「Q」の文字の入ったアイコンが表示されている。このアイコンは、当該改札機と、2次元コード用のサーバー装置7との間において、通信異常が生じていることを表すものである。サーバー通信状況表示領域303Aや303Cには、通信異常を示すアイコンは表示されていない。この場合、改札機2の第8号機は、2次元コード用のサーバー装置7による決済の機能を提供することはできない。ただし、この改札機2の第8号機は、他のサーバー装置7を用いることによる機能については、提供することができる。つまり、改札機2の第8号機は、この通信状態において縮退稼働(縮退運転)することができる。
【0037】
また、改札機2の第11号機のサーバー通信状況表示領域303Cには、「顔」の文字の入ったアイコンが表示されている。このアイコンは、当該改札機と、顔認識用のサーバー装置7との間において、通信異常が生じていることを表すものである。サーバー通信状況表示領域303Aや303Bには、通信異常を示すアイコンは表示されていない。この場合、改札機2の第11号機は、顔認識用のサーバー装置7による顔の認識処理に基づくサービスを提供することはできない。ただし、この改札機2の第11号機は、他のサーバー装置7を用いることによる機能については、提供することができる。つまり、改札機2の第11号機は、この通信状態において縮退稼働(縮退運転)することができる。
【0038】
他の改札機2については、通信異常を示すアイコンは表示されていない。つまり、それらの改札機2は、サーバー装置7との間の通信を正常に行うことができる。
【0039】
以上のように、本実施形態の監視盤3は、それぞれの改札機ごとに、各サーバー装置との間の通信の状態が、正常であるか異常であるかを示す情報を提示(表示)する。また、監視盤3は、これらの通信の状態は、改札機状況表示領域301とは異なる場所に、改札機状況表示領域301における表示とは独立に、提示する。
【0040】
言い換えれば、監視盤3の表示部33は、各々の駅務機器(改札機2)ごとに、当該駅務機器と、複数のサーバー装置7のそれぞれと、の間の通信状態を、画面上の互いに異なる位置に表示する。その前提として、駅務機器は、複数のサーバー装置7のそれぞれとの間で通信を行うものである。また、これら複数のサーバー装置7は、駅務機器の処理に必要な複数の種類の機能(前述の、シンクライアント用、2次元コード用、顔認識用など)をそれぞれ提供するものである。監視盤3の状態把握部31は、各々の駅務機器ごとに、当該駅務機器と、複数のサーバー装置7のそれぞれと、の間の通信状態を取得し、表示部33に渡す。
【0041】
また、監視盤3の表示部33は、複数のサーバー装置7のそれぞれの種類(例えば、シンクライアント用、2次元コード用、顔認識用など)を区別可能な態様(即ち、異なるアイコン)で、通信状態を表示する。
【0042】
また、監視盤3の表示部33は、複数の駅務機器の各々について駅務機器の号機識別情報(例として、図にも示した号機番号)を表示するとともに、画面上の号機識別情報の表示位置の近傍に上記の通信状態を表示する。
【0043】
また、監視盤3の表示部33は、複数の駅務機器の各々についての状態の情報であって、通信状態以外の状態の情報(
図3では、改札機状況表示領域301に表示される情報)、をも、通信状態と同時に表示する。
【0044】
上記の実施形態の変形例を実施するようにしてもよい。以下において、複数の変形例を説明する。複数の変形例を、組み合わせることが可能な限りにおいて、組み合わせて実施してもよい。
【0045】
上記実施形態では、監視盤3は、改札機2とサーバー装置7との間の通信状態の情報を表示するものであった。監視盤3は、さらに改札機2以外の駅務機器とサーバー装置7との間の通信状態の情報をも表示するものであってもよい。改札機2以外の駅務機器とは、例えば、券売機、精算機、ストアドフェアカード(ICカード)のチャージ用機器、駅務員が操作するための発券端末などである。この場合、それぞれの駅務機器は、上記実施形態における改札機2の動作と同様の方法で、動作し、通信状態の情報を監視盤3に対して送信する。
【0046】
上記実施形態では、監視盤3が表示する画面において、改札機2とサーバー装置7との間の通信状態を表すアイコンは、サーバー装置7の機能の種別を表す文字を含むアイコンであった。アイコンのデザインは、文字を用いるものには限らず、図形のみを用いたデザインのアイコンであってもよい。また、アイコンが文字を含む場合に、必ずしもその文字はサーバー装置7の機能の種別を表す文字ではなくてもよい。
【0047】
上記実施形態では、監視盤3が表示する画面において、改札機2とサーバー装置7との間の通信状態が「異常」である場合にアイコンを表示し、「正常」である場合には何も表示しないという表示方法を用いていた。例えばこれが逆でもよい。つまり、改札機2とサーバー装置7との間の通信状態が「正常」である場合にアイコンを表示し、「異常」である場合には何も表示しないという表示方法を用いてもよい。また、さらに異なる表示方法を用いてもよい。つまり、通信状態の「正常」と「異常」とが区別できる表示方法であれば、駅務員等は、監視盤3の画面を見て、その状況を的確に把握することができる。
【0048】
上記実施形態では、監視盤3は、改札機2から、改札機2とサーバー装置7との間の通信状態の情報を取得していた。代わりに、監視盤3が、改札機2以外の装置等から、改札機2とサーバー装置7との間の通信状態の情報を取得するようにしてもよい。監視盤3は、一例として、サーバー装置7から、改札機2とサーバー装置7との間の通信状態の情報を取得するようにしてもよい。
【0049】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、駅務機器(改札機2)とサーバー装置との間の通信状態を取得する状態把握部31と、その通信状態についての情報を、複数の駅務機器の各々について表示する表示部33とを持つことにより、監視盤3において各駅務機器における通信状況を容易に把握することができるようになる。
【0050】
また、実施形態によれば、駅務機器とサーバー装置との間の通信状態の情報を、駅務機器に関する他の情報とは独立に、常に、監視盤に表示する。これにより、駅務員等は、監視盤の画面を見ることにより、駅務機器と各サーバー装置との間の通信状況を常に把握することができる。
【0051】
図4は、監視盤3や、改札機2や、サーバー装置7といった装置を実現するための内部のコンピューターの構成の例を示すブロック図である。図示するように、そのコンピューターは、中央処理装置901と、RAM902と、入出力ポート903と、入出力デバイス904や905等と、バス906と、を含んで構成される。コンピューター自体は、既存技術を用いて実現可能である。中央処理装置901は、RAM902等から読み込んだプログラムに含まれる命令を実行する。中央処理装置901は、各命令にしたがって、RAM902にデータを書き込んだり、RAM902からデータを読み出したり、算術演算や論理演算を行ったりする。RAM902は、データやプログラムを記憶する。RAM902に含まれる各要素は、アドレスを持ち、アドレスを用いてアクセスされ得るものである。なお、RAMは、「ランダムアクセスメモリー」の略である。入出力ポート903は、中央処理装置901が外部の入出力デバイス等とデータのやり取りを行うためのポートである。入出力デバイス904や905は、入出力デバイスである。入出力デバイス904や905は、入出力ポート903を介して中央処理装置901との間でデータをやりとりする。バス906は、コンピューター内部で使用される共通の通信路である。例えば、中央処理装置901は、バス906を介してRAM902のデータを読んだり書いたりする。また、例えば、中央処理装置901は、バス906を介して入出力ポートにアクセスする。
【0052】
なお、上述した実施形態における監視盤3や、改札機2や、サーバー装置7の機能をコンピューターおよびプログラムで実現することが可能である。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリー等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。つまり、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、非一過性の(non-transitory)コンピューター読み取り可能な記録媒体であってよい。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0054】
1…駅務システム、2…改札機(駅務機器)、3…監視盤、7…サーバー装置、9…通信ネットワーク、31…状態把握部、33…表示部、301…改札機状況表示領域、302…号機番号表示領域、303A,303B,303C…サーバー通信状況表示領域、901…中央処理装置、902…RAM、903…入出力ポート、904,905…入出力デバイス、906…バス