(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】加熱調理システム及びアプリケーションプログラム
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20240823BHJP
F24C 15/00 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
F24C3/12 E
F24C3/12 Z
F24C15/00 Z
F24C15/00 M
(21)【出願番号】P 2021048273
(22)【出願日】2021-03-23
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡田 宏直
(72)【発明者】
【氏名】稲熊 富世
(72)【発明者】
【氏名】池田 さゆり
(72)【発明者】
【氏名】榊原 隆文
(72)【発明者】
【氏名】上野 貴大
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-203570(JP,A)
【文献】特開2015-164494(JP,A)
【文献】特開2014-233557(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0042453(US,A1)
【文献】特開2013-215420(JP,A)
【文献】特開2019-080708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00-3/14
F24C 9/00-15/14
H05B 6/12
A47J 27/00-27/13
A47J 27/20-29/06
A47J 33/00-36/42
A47J 37/00-37/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を加熱する加熱部と、該被調理物の温度又は該加熱部の周辺の温度を検出する温度センサと、該加熱部の作動制御を行う機能を有する制御装置とを有する加熱調理器と、該加熱調理器と通信可能に構成されると共に、ユーザが前記加熱部の所定種類の運転を実行させるための指示情報の入力操作である運転指示操作を実行し得るように構成された外部端末と、該外部端末、又は該外部端末及び前記加熱調理器と通信可能な外部機器に設けられ、該外部端末で実行された前記運転指示操作に対応する前記加熱部の制御用データを前記加熱調理器に送信する制御用データ送信部とを備える加熱調理システムであって、
前記制御装置は、前記制御用データを受信したとき、前記温度センサよる温度検出値が所定の第1閾値温度よりも低い温度である場合には、該制御用データに基づく前記加熱部の作動制御を開始し得る状態である制御運転可能状態になるように構成されていると共に、前記制御用データを受信したとき、前記温度センサによる温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度である場合には、該制御用データに基づく前記加熱部の作動制御を開始することが禁止された状態である高温時制御運転不可状態になる
とともに、その後、該温度検出値が該第1閾値温度以下の温度である所定の第2閾値温度以下の温度に低下するまでの期間で前記高温時制御運転不可状態になり、該期間の経過後に前記制御運転可能状態になるように構成されており、
前記加熱調理器は、前記温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度である場合に、その旨、又は前記制御装置が前記高温時制御運転不可状態である旨を示す第1情報を前記外部端末に送信する情報送信処理部を有するように構成され、
前記外部端末は、前記第1情報を受信したとき、該第1情報に応じた報知をユーザに対して行う報知処理部を有するように構成されてお
り、
前記情報送信処理部は、さらに、前記第1情報の送信後に前記温度検出値が前記第2閾値温度以下の温度に低下した場合に、その旨、又は前記制御装置の前記高温時制御運転不可状態が解除された旨を示す第2情報を前記外部端末に送信するように構成されており、
前記報知処理部は、さらに、前記第2情報をそれぞれ受信したとき、該第2情報に応じた報知をユーザに対して行うように構成されており、
前記制御用データ送信部は、前記温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度である場合に、その後、前記温度検出値が前記第2閾値温度以下の温度に低下するまでの期間では、前記制御用データを前記加熱調理器に送信することが禁止された状態になり、該期間の経過後に、前記制御用データの前記加熱調理器への送信の禁止が解除された状態になるように構成されていることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項2】
請求項
1記載の加熱調理システムにおいて、
前記加熱調理器は、複数の前記加熱部を備えており、前記外部端末は、前記複数の加熱部のそれぞれ毎に、ユーザによる前記運転指示操作と、前記第1情報及び前記第2情報のそれぞれに応じた報知とを実行し得るように構成されており、前記制御用データ送信部は、前記複数の加熱部のそれぞれ毎に、前記制御用データの送信の禁止と、その解除とを行い得るように構成されていることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項3】
請求項
1又は2記載の加熱調理システムにおいて、
前記外部端末又は前記外部機器は、前記外部端末で前記運転指示操作が実行されたとき、前記温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度である場合には、前記制御用データ送信部が、前記制御用データの送信の禁止の解除後に該制御用データの送信を実行するときまで、前記外部端末で実行された運転指示操作の内容を示す運転指示操作情報、又は該運転指示操作に対応する前記制御用データを記憶保持するように構成されていることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項4】
請求項
3記載の加熱調理システムにおいて、
前記制御用データ送信部は、前記制御用データの送信の禁止の解除後に、前記記憶保持した運転指示操作情報により示される運転指示操作に対応する制御用データ、又は前記記憶保持した制御用データを前記加熱調理器に自動送信するように構成されていることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項5】
被調理物を加熱する加熱部と、該被調理物の温度又は該加熱部の周辺の温度を検出する温度センサと、該加熱部の作動制御を行う機能を有する制御装置とを有する加熱調理器と、該加熱調理器と通信可能に構成されると共に、ユーザが前記加熱部の所定種類の運転を実行させるための指示情報の入力操作である運転指示操作を実行し得るように構成された外部端末と、該外部端末、又は該外部端末及び前記加熱調理器と通信可能な外部機器に設けられ、該外部端末で実行された前記運転指示操作に対応する前記加熱部の制御用データを前記加熱調理器に送信する制御用データ送信部とを備える加熱調理システムであって、
前記制御装置は、前記制御用データを受信したとき、前記温度センサよる温度検出値が所定の第1閾値温度よりも低い温度である場合には、該制御用データに基づく前記加熱部の作動制御を開始し得る状態である制御運転可能状態になるように構成されていると共に、前記制御用データを受信したとき、前記温度センサによる温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度である場合には、該制御用データに基づく前記加熱部の作動制御を開始することが禁止された状態である高温時制御運転不可状態になるとともに、その後、該温度検出値が該第1閾値温度以下の温度である所定の第2閾値温度以下の温度に低下するまでの期間で前記高温時制御運転不可状態になり、該期間の経過後に前記制御運転可能状態になるように構成されており、
前記加熱調理器は、前記温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度である場合に、その旨、又は前記制御装置が前記高温時制御運転不可状態である旨を示す第1情報を前記外部端末に送信する情報送信処理部を有するように構成され、
前記外部端末は、前記第1情報を受信したとき、該第1情報に応じた報知をユーザに対して行う報知処理部を有するように構成されており、
前記情報送信処理部は、さらに、前記第1情報の送信後に前記温度検出値が前記第2閾値温度以下の温度に低下した場合に、その旨、又は前記制御装置の前記高温時制御運転不可状態が解除された旨を示す第2情報を前記外部端末に送信するように構成されており、
前記報知処理部は、さらに、前記第2情報をそれぞれ受信したとき、該第2情報に応じた報知をユーザに対して行うように構成されており、
前記加熱調理器は、前記温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い状態で、前記制御用データ送信部から制御用データを受信したとき、その後、該温度検出値が前記第2閾値温度以下の温度に低下した後に、該制御用データに基づく前記加熱部の作動制御を前記制御装置により実行するときまで記憶保持するように構成されていることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項6】
被調理物を加熱する加熱部と、該被調理物の温度又は該加熱部の周辺の温度を検出する温度センサと、該加熱部の作動制御を行う機能を有する制御装置とを有する加熱調理器と、該加熱調理器と通信可能に構成されると共に、ユーザが前記加熱部の所定種類の運転を実行させるための指示情報の入力操作である運転指示操作を実行し得るように構成された外部端末と、該外部端末、又は該外部端末及び前記加熱調理器と通信可能な外部機器に設けられ、該外部端末で実行された前記運転指示操作に対応する前記加熱部の制御用データを前記加熱調理器に送信する制御用データ送信部とを備える加熱調理システムであって、
前記制御装置は、前記制御用データを受信したとき、前記温度センサよる温度検出値が所定の第1閾値温度よりも低い温度である場合には、該制御用データに基づく前記加熱部の作動制御を開始し得る状態である制御運転可能状態になるように構成されていると共に、前記制御用データを受信したとき、前記温度センサによる温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度である場合には、該制御用データに基づく前記加熱部の作動制御を開始することが禁止された状態である高温時制御運転不可状態になるとともに、その後、該温度検出値が該第1閾値温度以下の温度である所定の第2閾値温度以下の温度に低下するまでの期間で前記高温時制御運転不可状態になり、該期間の経過後に前記制御運転可能状態になるように構成されており、
前記加熱調理器は、前記温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度である場合に、その旨、又は前記制御装置が前記高温時制御運転不可状態である旨を示す第1情報を前記外部端末に送信する情報送信処理部を有するように構成され、
前記外部端末は、前記第1情報を受信したとき、該第1情報に応じた報知をユーザに対して行う報知処理部を有するように構成されており、
前記情報送信処理部は、さらに、前記第1情報の送信後に前記温度検出値が前記第2閾値温度以下の温度に低下した場合に、その旨、又は前記制御装置の前記高温時制御運転不可状態が解除された旨を示す第2情報を前記外部端末に送信するように構成されており、
前記報知処理部は、さらに、前記第2情報をそれぞれ受信したとき、該第2情報に応じた報知をユーザに対して行うように構成されており、
前記加熱調理器と前記制御用データ送信部との間の通信を中継する中継器をさらに備えており、該中継器は、前記温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い状態で、前記制御用データ送信部から制御用データを受信したとき、その後、該温度検出値が前記第2閾値温度以下の温度に低下した後に、前記加熱調理器から該制御用データの送信を要求する信号である送信要求信号を受信するまで、該制御用データを記憶保持するように構成されていることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項7】
請求項
1~6のいずれか1項に記載の加熱調理システムにおいて、
前記外部端末は、前記温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度であるか否かを判定する処理を前記加熱調理器に要求する信号である温度判定要求信号を該加熱調理器に送信してから、ユーザによる前記運転指示操作を受け付け得る状態になるように構成されており、
前記制御装置は、前記温度判定要求信号を受信したとき、前記温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度であるか否かを判定する処理を実行し、その判定結果が肯定的である場合に前記第1情報を前記外部端末に送信するように構成されていることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項8】
請求項
1~7のいずれか1項に記載の加熱調理システムにおいて、
前記制御用データ送信部は、前記外部端末に設けられていることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項9】
請求項
1~7のいずれか1項に記載の加熱調理システムにおいて、
前記外部機器は、前記加熱調理器及び前記外部端末と外部ネットワークを介して通信可能な外部サーバであり、前記制御用データ送信部は、該外部サーバに設けられていることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項10】
請求項
1~9のいずれか1項に記載の加熱調理システムの前記外部端末に実装されるアプリケーションプログラムであって、
前記外部端末に、前記運転指示操作を受け付ける処理と、前記制御用データ送信部としての処理、又は前記外部機器に設けられた前記制御用データ送信部の処理の実行を該外部機器に要求する処理と、前記報知処理部としての処理とを実行する機能を付与するように構成されていることを特徴とするアプリケーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理システムとこれに用いるアプリケーションプログラムとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に見られるように、加熱調理器のグリルで自動調理を行う場合に、グリル庫の温度が所定温度よりも高温になっている状態では、その高温状態から自動調理を開始すると、調理が適切に行われない虞があることから、自動調理の設定の受付を禁止し、グリル庫の温度が低下してから、自動調理を行い得るようにした加熱調理器が知られている。
【0003】
また、従来、例えば特許文献2に見られるように、コンロやグリルでの自動調理に関する設定操作をスマートフォン等の携帯情報端末で行って、その設定情報を携帯情報端末から加熱調理器に送信し、該設定情報を受信した加熱調理器で、該設定情報に従って自動調理を行うことができるようにしたシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-164494号公報
【文献】特開2015-158344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に見られるように、グリル庫等の加熱部の周辺の温度、あるいは該加熱部により加熱される被調理物の温度が高温になっているときに、該加熱部での自動調理等の所定種類の運転を実行するための設定の受付を禁止する状態(以降、高温時制御運転不可状態ということがある)になる加熱調理器に対して、特許文献2に見られるように携帯情報端末を使用して、自動調理を行わせる場合、次のような不都合を生じることが本願発明者の検討により判明した。
【0006】
すなわち、特許文献2に見られるシステムでは、携帯情報端末での自動調理に関する設定操作は、加熱調理器の状態によらずに行い得る操作であると共に、該操作は加熱調理器から離れた場所で行い得るものであるため、加熱調理器が上記高温時制御運転不可状態になっていても、ユーザは、そのことに気付かずに、自動調理の設定操作を携帯情報端末で行ってしまいやすい。
【0007】
そして、この場合、ユーザは、自動調理の設定操作を携帯情報端末で完了した後、加熱調理器の加熱部の運転開始のために、該加熱調理器の近くまで行ったときに、自動調理の設定が受け付けられなかったことを認識できない場合がある。そして、その場合、ユーザが加熱部の運転を開始させても、ユーザが所望する自動調理は実行されない。
【0008】
また、自動調理の設定が受け付けられなかったことを、加熱調理器での報知出力等により認識できた場合でも、ユーザは、その後、加熱調理器の高温時制御運転不可状態が解除された後に、自動調理の設定操作を該加熱調理器の操作部又は携帯情報端末で改めて実行しなければならない。
【0009】
また、加熱部の周辺や被調理物の温度低下の形態は、環境条件等に応じて変化するので、ユーザは、加熱調理器の高温時制御運転不可状態が解除されるタイミングを予想しにくい。ひいては、ユーザは、自動調理の設定操作を何度も繰り返すことになりやすい。
【0010】
このように、加熱調理器が高温時制御運転不可状態になっているときに、自動調理等の所定種類の運転の設定操作を携帯情報端末等の外部端末で行う場合、その設定操作に手間がかかってしまう場合がある。また、加熱調理器と外部端末との無駄な通信による電力消費が増加しやすい。
【0011】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、高温時制御運転不可状態を有する加熱調理器に対して外部端末を使用して自動調理等の運転に関する所要の操作を行う場合に、その操作に係る利便性を高めることができる加熱調理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の加熱調理システムは、上記の目的を達成するために、被調理物を加熱する加熱部と、該被調理物の温度又は該加熱部の周辺の温度を検出する温度センサと、該加熱部の作動制御を行う機能を有する制御装置とを有する加熱調理器と、該加熱調理器と通信可能に構成されると共に、ユーザが前記加熱部の所定種類の運転を実行させるための指示情報の入力操作である運転指示操作を実行し得るように構成された外部端末と、該外部端末、又は該外部端末及び前記加熱調理器と通信可能な外部機器に設けられ、該外部端末で実行された前記運転指示操作に対応する前記加熱部の制御用データを前記加熱調理器に送信する制御用データ送信部とを備える加熱調理システムであって、
前記制御装置は、前記制御用データを受信したとき、前記温度センサよる温度検出値が所定の第1閾値温度よりも低い温度である場合には、該制御用データに基づく前記加熱部の作動制御を開始し得る状態である制御運転可能状態になるように構成されていると共に、前記制御用データを受信したとき、前記温度センサによる温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度である場合には、該制御用データに基づく前記加熱部の作動制御を開始することが禁止された状態である高温時制御運転不可状態になるとともに、その後、該温度検出値が該第1閾値温度以下の温度である所定の第2閾値温度以下の温度に低下するまでの期間で前記高温時制御運転不可状態になり、該期間の経過後に前記制御運転可能状態になるように構成されており、
前記加熱調理器は、前記温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度である場合に、その旨、又は前記制御装置が前記高温時制御運転不可状態である旨を示す第1情報を前記外部端末に送信する情報送信処理部を有するように構成され、 前記外部端末は、前記第1情報を受信したとき、該第1情報に応じた報知をユーザに対して行う報知処理部を有するように構成されており、
前記情報送信処理部は、さらに、前記第1情報の送信後に前記温度検出値が前記第2閾値温度以下の温度に低下した場合に、その旨、又は前記制御装置の前記高温時制御運転不可状態が解除された旨を示す第2情報を前記外部端末に送信するように構成されており、
前記報知処理部は、さらに、前記第2情報をそれぞれ受信したとき、該第2情報に応じた報知をユーザに対して行うように構成されており、
前記制御用データ送信部は、前記温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度である場合に、その後、前記温度検出値が前記第2閾値温度以下の温度に低下するまでの期間では、前記制御用データを前記加熱調理器に送信することが禁止された状態になり、該期間の経過後に、前記制御用データの前記加熱調理器への送信の禁止が解除された状態になるように構成されていることを特徴とする(第1発明)。
【0013】
かかる第1発明によれば、前記温度センサによる温度検出値が、第1閾値温度よりも高い温度である場合に、第1情報が加熱調理器から外部端末に送信され、該第1情報に応じた報知が外部端末からユーザに対して行われる。これにより、ユーザは、温度検出値が高温であるために、加熱調理器の加熱部での所定種類の運転を実行できないこと(換言すれば、制御装置が高温時制御運転不可状態であること)を認識できる。
【0014】
これにより、前記制御装置が高温時制御運転不可状態である状況で、加熱部の所定種類の運転に関する運転指示操作を含む所要の操作をユーザが無駄に繰り返すような事態が生じるのを防止することが可能となる。よって、第1発明によれば、高温時制御運転不可状態を有する加熱調理器に対して外部端末を使用して自動調理等の運転に関する所要の操作を行う場合に、その操作に係る利便性を高めることができる。
【0016】
これによれば、前記温度センサによる温度検出値が、第1閾値温度よりも高い温度である場合に、その後、該温度検出値が第2閾値温度以下の温度に低下すると、第2情報が加熱調理器から外部端末に送信され、該第2情報に応じた報知が外部端末からユーザに対して行われる。これにより、ユーザは、温度検出値が低下したために、加熱調理器の加熱部での所定種類の運転を開始できる状態になったこと(換言すれば、制御装置の高温時制御運転不可状態が解除されたこと)を認識できる。
【0017】
これにより、ユーザは、加熱部での所定種類の運転を適切に行うことができるようになってから、該所定種類の運転を開始させることができる。また、第2情報に応じた報知が外部端末で行われる前に、ユーザが加熱部での所定種類の運転に関する無駄な操作を行うのを効果的に防止することが可能となる。よって、外部端末を使用して、加熱部での所定種類の運転を行う場合の利便性を効果的に高めることが可能となる。
【0019】
これによれば、上記期間(制御装置が前記高温時制御運転不可状態になる期間)で制御用データ送信部から加熱調理器への前記制御用データの送信が行われることが無いので、制御用データ送信部から加熱調理器への制御用データの無駄の送信に伴う電力消費を削減できる。
【0020】
上記第1発明では、前記加熱調理器は、複数の前記加熱部を備えており、前記外部端末は、前記複数の加熱部のそれぞれ毎に、ユーザによる前記運転指示操作と、前記第1情報及び前記第2情報のそれぞれに応じた報知とを実行し得るように構成されており、前記制御用データ送信部は、前記複数の加熱部のそれぞれ毎に、前記制御用データの送信の禁止と、その解除とを行い得るように構成され得る(第2発明)。
【0021】
これよれば、複数の加熱部のそれぞれ毎に、ユーザによる運転指示操作、第1情報及び第2情報のそれぞれに応じた報知、制御用データ送信部から加熱調理器への制御用データの送信の禁止及びその解除を行うことができるので、加熱調理器のいずれかの加熱部で所定種類の運転を行わせる場合の利便性を高めることができる。
【0022】
上記第1発明又は第2発明では、前記外部端末又は前記外部機器は、前記外部端末で前記運転指示操作が実行されたとき、前記温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度である場合には、前記制御用データ送信部が、前記制御用データの送信の禁止の解除後に該制御用データの送信を実行するときまで、前記外部端末で実行された運転指示操作の内容を示す運転指示操作情報、又は該運転指示操作に対応する前記制御用データを記憶保持するように構成され得る(第3発明)。
【0023】
これによれば、制御用データの送信の禁止の解除後に、ユーザが改めて運転指示操作を行うことを必要とせずに、先に記憶保持した運転指示操作情報により示される運転指示操作に対応する制御用データ、あるいは、先に記憶保持した制御用データを制御用データ送信部から加熱調理に送信することができるので、加熱部で所定種類の運転を行うときのユーザによる操作に関する利便性をより一層高めることができる。
【0024】
上記第3発明では、前記制御用データ送信部は、前記制御用データの送信の禁止の解除後に、前記記憶保持した運転指示操作情報により示される運転指示操作に対応する制御用データ、又は前記記憶保持した制御用データを前記加熱調理器に自動送信するように構成され得る(第4発明)。
【0025】
これによれば、制御用データの送信の禁止の解除後に、先に記憶保持した運転指示操作情報により示される運転指示操作に対応する制御用データ、あるいは、先に記憶保持した制御用データが自動的に、制御用データ送信部から加熱調理に送信されるので、加熱部で所定種類の運転を行うときのユーザによる操作に関する利便性をさらに高めることができる。
【0026】
本発明の加熱調理システムは、前述した目的を達成するために、被調理物を加熱する加熱部と、該被調理物の温度又は該加熱部の周辺の温度を検出する温度センサと、該加熱部の作動制御を行う機能を有する制御装置とを有する加熱調理器と、該加熱調理器と通信可能に構成されると共に、ユーザが前記加熱部の所定種類の運転を実行させるための指示情報の入力操作である運転指示操作を実行し得るように構成された外部端末と、該外部端末、又は該外部端末及び前記加熱調理器と通信可能な外部機器に設けられ、該外部端末で実行された前記運転指示操作に対応する前記加熱部の制御用データを前記加熱調理器に送信する制御用データ送信部とを備える加熱調理システムであって、
前記制御装置は、前記制御用データを受信したとき、前記温度センサよる温度検出値が所定の第1閾値温度よりも低い温度である場合には、該制御用データに基づく前記加熱部の作動制御を開始し得る状態である制御運転可能状態になるように構成されていると共に、前記制御用データを受信したとき、前記温度センサによる温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度である場合には、該制御用データに基づく前記加熱部の作動制御を開始することが禁止された状態である高温時制御運転不可状態になるとともに、その後、該温度検出値が該第1閾値温度以下の温度である所定の第2閾値温度以下の温度に低下するまでの期間で前記高温時制御運転不可状態になり、該期間の経過後に前記制御運転可能状態になるように構成されており、
前記加熱調理器は、前記温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度である場合に、その旨、又は前記制御装置が前記高温時制御運転不可状態である旨を示す第1情報を前記外部端末に送信する情報送信処理部を有するように構成され、
前記外部端末は、前記第1情報を受信したとき、該第1情報に応じた報知をユーザに対して行う報知処理部を有するように構成されており、
前記情報送信処理部は、さらに、前記第1情報の送信後に前記温度検出値が前記第2閾値温度以下の温度に低下した場合に、その旨、又は前記制御装置の前記高温時制御運転不可状態が解除された旨を示す第2情報を前記外部端末に送信するように構成されており、
前記報知処理部は、さらに、前記第2情報をそれぞれ受信したとき、該第2情報に応じた報知をユーザに対して行うように構成されており、
前記加熱調理器は、前記温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い状態で、前記制御用データ送信部から制御用データを受信したとき、その後、該温度検出値が前記第2閾値温度以下の温度に低下した後に、該制御用データに基づく前記加熱部の作動制御を前記制御装置により実行するときまで記憶保持するように構成されていることを特徴とする(第5発明)。
【0027】
これによれば、加熱調理器の制御装置は、前記温度検出値が前記第2閾値温度以下の温度に低下した後(制御装置の高温時制御運転不可状態が解除された後)に、制御用データ送信部が加熱調理器に改めて制御用データを送信することを必要とせずに(ひいては、ユーザが外部端末で改めて運転指示操作を行うことを必要とせずに)、該加熱調理器で先に記憶保持した制御用データに基づいて加熱部の所定種類の運転を実行できるので、加熱部で所定種類の運転を行うときのユーザによる操作に関する利便性をより一層高めることができる。
【0028】
本発明の加熱調理システムは、前述した目的を達成するために、被調理物を加熱する加熱部と、該被調理物の温度又は該加熱部の周辺の温度を検出する温度センサと、該加熱部の作動制御を行う機能を有する制御装置とを有する加熱調理器と、該加熱調理器と通信可能に構成されると共に、ユーザが前記加熱部の所定種類の運転を実行させるための指示情報の入力操作である運転指示操作を実行し得るように構成された外部端末と、該外部端末、又は該外部端末及び前記加熱調理器と通信可能な外部機器に設けられ、該外部端末で実行された前記運転指示操作に対応する前記加熱部の制御用データを前記加熱調理器に送信する制御用データ送信部とを備える加熱調理システムであって、
前記制御装置は、前記制御用データを受信したとき、前記温度センサよる温度検出値が所定の第1閾値温度よりも低い温度である場合には、該制御用データに基づく前記加熱部の作動制御を開始し得る状態である制御運転可能状態になるように構成されていると共に、前記制御用データを受信したとき、前記温度センサによる温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度である場合には、該制御用データに基づく前記加熱部の作動制御を開始することが禁止された状態である高温時制御運転不可状態になるとともに、その後、該温度検出値が該第1閾値温度以下の温度である所定の第2閾値温度以下の温度に低下するまでの期間で前記高温時制御運転不可状態になり、該期間の経過後に前記制御運転可能状態になるように構成されており、
前記加熱調理器は、前記温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度である場合に、その旨、又は前記制御装置が前記高温時制御運転不可状態である旨を示す第1情報を前記外部端末に送信する情報送信処理部を有するように構成され、
前記外部端末は、前記第1情報を受信したとき、該第1情報に応じた報知をユーザに対して行う報知処理部を有するように構成されており、
前記情報送信処理部は、さらに、前記第1情報の送信後に前記温度検出値が前記第2閾値温度以下の温度に低下した場合に、その旨、又は前記制御装置の前記高温時制御運転不可状態が解除された旨を示す第2情報を前記外部端末に送信するように構成されており、
前記報知処理部は、さらに、前記第2情報をそれぞれ受信したとき、該第2情報に応じた報知をユーザに対して行うように構成されており、
前記加熱調理器と前記制御用データ送信部との間の通信を中継する中継器をさらに備え得る。この場合、該中継器は、前記温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い状態で、前記制御用データ送信部から制御用データを受信したとき、その後、該温度検出値が前記第2閾値温度以下の温度に低下した後に、前記加熱調理器から該制御用データの送信を要求する信号である送信要求信号を受信するまで、該制御用データを記憶保持するように構成されていることを特徴とする(第6発明)。
【0029】
これによれば、加熱調理器の制御装置は、前記温度検出値が前記第2閾値温度以下の温度に低下した後(制御装置の高温時制御運転不可状態が解除された後)に、制御用データ送信部が改めて制御用データを送信することを必要とせずに(ひいては、ユーザが外部端末で改めて運転指示操作を行うことを必要とせずに)、中継器で先に記憶保持した制御用データを該中継器から取得して、該制御用データに基づいて加熱部の所定種類の運転を実行できるので、加熱部で所定種類の運転を行うときのユーザによる操作に関する利便性をより一層高めることができる。
【0030】
上記第1~第6発明では、前記外部端末は、前記温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度であるか否かを判定する処理を前記加熱調理器に要求する信号である温度判定要求信号を該加熱調理器に送信してから、ユーザによる前記運転指示操作を受け付け得る状態になるように構成されており、前記制御装置は、前記温度判定要求信号を受信したとき、前記温度検出値が前記第1閾値温度よりも高い温度であるか否かを判定する処理を実行し、その判定結果が肯定的である場合に前記第1情報を前記外部端末に送信するように構成されているという態様を採用することもできる(第7発明)。
【0031】
これによれば、ユーザが外部端末で運転指示操作を行おうとするタイミングで、加熱調理器で温度判定処理が実行され、その判定結果に応じて第1情報が加熱調理器から外部端末に送信されるので、好適なタイミングで第1情報に応じた報知を外部端末からユーザに対して行うことができる。また、加熱調理器から外部端末への第1情報の送信を必要最小限に留めることができるので、該第1情報の送信に伴う電力消費を抑制できる。
【0032】
上記第1~第7発明では、前記制御用データ送信部は、前記外部端末に設けられているという態様を採用し得る(第8発明)。
これによれば、加熱調理システムの構成要素を少なくして、該加熱調理システムを簡易な構成で構築できる。
【0033】
上記第1~第7発明では、前記外部機器は、前記加熱調理器及び前記外部端末と外部ネットワークを介して通信可能な外部サーバであり、前記制御用データ送信部は、該外部サーバに設けられているという態様を採用することもできる(第9発明)。
これによれば、外部端末から加熱調理器への制御用データの送信を行う必要が無いので、外部端末の電力消費を抑制することができる。
【0034】
また、本発明のアプリケーションプログラムは、前記第1~第9発明のうちのいずれかの発明に係る加熱調理システムの前記外部端末に実装されるアプリケーションプログラムであって、 前記外部端末に、前記運転指示操作を受け付ける処理と、前記制御用データ送信部としての処理、又は前記外部機器に設けられた前記制御用データ送信部の処理の実行を該外部機器に要求する処理と、前記報知処理部としての処理とを実行する機能を付与するように構成されていることを特徴とする(第10発明)。
これによれば、スマートフォン、タブレット端末、フィーチャフォン、パソコン等の汎用的な端末に上記アプリケーションプログラムをインストールすることで、これらの端末を前記加熱調理システムの外部端末として使用することが可能となる。ひいては、低コストな加熱調理システムを構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】第1~第5実施形態における加熱調理システムの全体構成を示す図。
【
図2】
図1に示す加熱調理器及び外部端末の機能的な構成を示すブロック図。
【
図3】第1~第4実施形態における加熱調理器の制御装置の処理を示すフローチャート。
【
図4】第1実施形態における外部端末の制御部の処理を示すフローチャート。
【
図7】第2実施形態における外部端末の制御部の処理を示すフローチャート。
【
図8】第3実施形態における外部端末の制御部の処理を示すフローチャート。
【
図9】第4実施形態における外部端末の制御部の処理を示すフローチャート。
【
図10】第5実施形態における加熱調理器の制御装置の処理を示すフローチャート。
【
図11】第5実施形態における外部端末の制御部の処理を示すフローチャート。
【
図12】第6実施形態における加熱調理システムの全体構成を示す図。
【
図13】第7実施形態における加熱調理システムの全体構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を
図1~
図6Cを参照して以下に説明する。
図1及び
図2を参照して、本実施形態の加熱調理システム1は、加熱調理器2と外部端末30とを含む。加熱調理器2は、本実施形態では、例えばガスコンロであり、被調理物を加熱する加熱部として、複数の(例えば4つの)バーナ3a,3b,3c,3dを備える。
【0037】
これらのバーナ3a~3dのうち、バーナ3a,3b,3cは、コンロ用バーナであり、加熱調理器2の上面に配置されている。図示例の加熱調理器2では、例えば、その上面のうちの左前部、右前部、及び後中央部に、バーナ3a,3b,3cがそれぞれ配置されている。そして、バーナ3a,3b,3cのそれぞれの周囲に調理容器を載せるための五徳4a,4b,4cが設置されている。
【0038】
また、バーナ3a,3b,3cのそれぞれの中央部には、温度センサ6a,6b,6cがそれぞれ配置されている。これらの温度センサ6a,6b,6cのそれぞれは、バーナ3a,3b,3cのそれぞれに対応する五徳4a,4b,4c上に調理容器が載置されたとき、該調理容器の底面に接するように設けられており、該調理容器の温度を該調理容器内に収容された被調理物の温度として検出可能である。
【0039】
バーナ3dは、グリル用バーナであり、詳細な図示は省略するが、加熱調理器2の前面で開閉可能に該加熱調理器2の筐体内に形成されたグリル庫5の内部に配置されている。そして、グリル庫5の内部(又は該グリル庫5に連通する図示しない排気路)には、バーナ3dの周辺の温度に相当するグリル庫5内の温度を検出可能な温度センサ6dが配置されている。
【0040】
加熱調理器2の前面には、該加熱調理器2の電源のオン・オフ操作を行うための電源スイッチ10と、バーナ3a,3b,3c,3dのそれぞれの点火、消火及び火力調整を行うための操作ボタン11a,11b,11c,11dとが設けられている。この場合、例えば、操作ボタン11a~11dのそれぞれの押し操作により、それぞれに対応するバーナ3a~3dの点火又は消火が行われ、操作ボタン11a~11dのそれぞれの回転操作により、それぞれに対応するバーナ3a~3dの火力調整が行われる。なお、各バーナ3a~3dのそれぞれの点火及び消火用の操作部と、火力調整用の操作部とは各別の操作部であってもよい。また、それらの操作部の操作形態は、様々な形態を採用し得る。
【0041】
加熱調理器2の前面には、さらに、プッシュオープン式のコンロ用操作部12とグリル用操作部14とが設けられている。この場合、コンロ用操作部12を押し操作すると該コンロ用操作部12が開いてコンロ用操作パネル13が操作可能に露出するようになっている。該コンロ用操作パネル13は、バーナ3a,3b,3cのそれぞれ用の操作パネル13a,13b,13cを各別に備えている。
【0042】
また、グリル用操作部14を押し操作すると該グリル用操作部14が開いてグリル用操作パネル15が操作可能に露出するようになっている。なお、操作パネル13,15のそれぞれは、加熱調理器2の外面部(前面又は上面等)に露出した状態で備えられていてもよい。
【0043】
コンロ用操作パネル13は、バーナ3a,3b,3cのそれぞれの作動制御等に関する操作(例えば湯沸かし運転もしくは炊飯運転等の自動調理運転に関する設定操作、タイマー運転時のタイマー時間の設定操作、加熱温度の設定操作等)をユーザが行い得るように構成されていると共に、バーナ3a,3b,3cのそれぞれの作動に関する様々な情報を表示し得るように構成されている。このことはグリル用操作パネル15についても同様である。
【0044】
加熱調理器2は、上記の構成のほか、さらに
図2に示すように、加熱調理器2の全体の作動制御を行う機能を有する制御装置20を備える。該制御装置20は、例えばマイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ、インターフェース回路、通信装置等を含む1つ以上の電子回路ユニットにより構成される。
【0045】
この制御装置20には、加熱調理器2に搭載された複数のセンサ(前記温度センサ6a~6dを含む)のそれぞれの検出信号と、操作ボタン11a~11d及び操作パネル13,15のそれぞれの操作信号とが入力される。そして、制御装置20は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)により実現される機能として、各バーナ3a~3dの作動制御(詳しくは、点火、消火、火力調整に係る作動制御)を行う機能や、操作パネル13,15の表示制御を行う機能を有する。
【0046】
なお、各バーナ3a~3dの作動制御は、より詳しくは、各バーナ3a~3dに対応する図示しない燃料供給路に設けられた開閉弁及び火力調整弁、並びに、図示しない点火装置の作動制御を通じてなされる。
【0047】
また、制御装置20は、前記外部端末30とBluetooth(登録商標)もしくはWi-Fi(登録商標)等の無線通信方式で通信を行うことが可能である。そして、制御装置20は、本発明における情報送信処理部20aとしての機能を含む。
【0048】
前記外部端末30は、例えば、加熱調理器2のユーザが使用するスマートフォン、タブレット端末、フィーチャフォン、もしくはパソコン等により構成され、
図2に示すように、液晶表示器等により構成された表示部31と、スピーカ等により構成された発音部32と、複数の操作スイッチ等により構成される操作部33と、外部端末30の作動制御を行う制御部34とを備える。なお、操作部33は、表示部31に表示されるタッチスイッチ、あるいは、マイク等の音声入力部を含み得る。
【0049】
制御部34は、例えばマイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ、インターフェース回路、通信装置等を含む1つ以上の電子回路ユニットにより構成され、操作部33の操作信号が入力される。また、制御部34には、加熱調理器2を使用した調理に関する所定のアプリケーションプログラム(以降、調理用アプリケーションという)があらかじめインストールされている。
【0050】
そして、制御部34は、実装されたプログラム(調理用アプリケーションを含む)により実現される機能として、表示部31の表示を制御する機能、発音部32の作動制御を行う機能、外部端末30と他の機器との間の通信を制御する機能等を有する。
【0051】
この場合、外部端末30は、調理用アプリケーションを起動した状態で、加熱調理器2の制御装置20と無線通信を行い得るように、該加熱調理器2の制御装置20との接続設定が事前になされている。さらに、外部端末30は、調理用アプリケーションを起動した状態で、インターネット等により構成される広域ネットワークである外部ネットワークNW(
図1に示す)を介して外部サーバ40と通信を行うことが可能である。
【0052】
該外部サーバ40は、例えば加熱調理器2のメーカ、あるいは、該メーカの委託業者等が運営するサーバであり、加熱調理器2で実行し得る複数の自動調理メニューのそれぞれに関するレシピ情報のデータベースを保有する。該レシピ情報には、各バーナ3a~3dで実行可能な各種類の自動調理のための、各バーナ3a~3dの制御用データ(各バーナ3a~3dの火力の変化パターンや燃焼運転時間等を規定する制御用データ)等により構成される自動調理データが含まれる。該自動調理データは、各バーナ3a~3dの制御用データの他、自動調理の実行中に加熱調理器2で適宜出力させる案内情報等の報知情報や、その出力タイミングを規定するデータ等も含み得る。
【0053】
そして、上記調理用アプリケーションを起動した外部端末30は、該調理用アプリケーションに基づく制御部34の制御処理により実現される機能として、ユーザによる外部端末30の操作(操作部33での操作)に応じて、外部サーバ40から自動調理メニューのリストを取得して表示部31に表示する機能、ユーザが外部端末30で選定した自動調理メニューに係るレシピ情報を外部サーバ40から取得する機能、取得したレシピ情報に含まれる自動調理データを加熱調理器2の制御装置20に送信し、該自動調理データに基づく自動調理の実行を該制御装置20に指令する機能、加熱調理器2から受信する後述の第1情報及び第2情報に応じた報知をユーザに対して行う機能等を有する。
【0054】
補足すると、本実施形態では、各バーナ3a~3dで実行可能な自動調理に係る運転(自動調理運転)が本発明における所定種類の運転に相当する。また、調理用アプリケーションを起動した外部端末30の制御部34は、各バーナ3a~3dの制御用データを含む自動調理データを加熱調理器2に送信する機能によって、制御用データ送信部34aとしての機能を含むと共に、後述の第1情報及び第2情報に応じた報知をユーザに対して行う機能によって、報知処理部34bとしての機能を含む。
【0055】
次に、外部端末30を使用して、自動調理を行う場合の加熱調理システム1の作動を説明する。なお、以降の説明では、温度センサ6a~6dのそれぞれで検出される温度(温度検出値)をセンサ温度という。
【0056】
加熱調理器2では、該加熱調理器2と外部端末30とが通信を行い得る状態で、制御装置20が、
図3のフローチャートに示す処理をバーナ3a~3dのそれぞれ毎に実行する。以降、バーナ3a~3dのうちの任意の1つのバーナをバーナ3x(x=a又はb又はc又はd)と表記し該バーナ3xに対応する温度センサおよび操作ボタンのそれぞれを温度センサ6x、操作ボタン11xと表記する。
【0057】
STEP1において、制御装置20は、バーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度を取得し、そのセンサ温度が、該バーナ3xに対応してあらかじめ定められた所定の第1閾値温度TH1以下の温度であるか否かを判断する。該第1閾値温度TH1は、温度センサ6xのセンサ温度が該第1閾値温度TH1よりも高い温度であるときに、バーナ3xで実行可能な自動調理を開始すると、該自動調理の実行中のバーナ3xの火力の大きさや、その変化のタイミング、該バーナ3xの消火タイミング等が不適切なものとなって、適切な自動調理がなされない虞があるという観点で、バーナ3a~3dのそれぞれ毎にあらかじめ設定された閾値温度である。
【0058】
なお、STEP1の判断処理(温度判定処理)は、例えば、加熱調理器2と外部端末30との通信接続が確立した直後に制御装置20が実行してもよいが、当該通信接続の確立後、外部端末30からの要求に応じて(STEP1の温度判定処理の実行を要求するために外部端末30から送信される信号の受信に応じて)、制御装置20が実行してもよい。
【0059】
STEP1の判断結果が肯定的である場合(センサ温度≦TH1である場合)には、制御装置20は、STEP2において、外部端末30から自動調理データを受信したか否かを判断する処理をその判断結果が肯定的になるまで実行する。
【0060】
そして、制御装置20は、自動調理データを受信することによって、STEP2の判断結果が肯定的になると、STEP3において、操作ボタン11xでバーナ3xの点火操作がなされたか否かを判断する処理をその判断結果が肯定的になるまで実行する。
【0061】
そして、制御装置20は、操作ボタン11xでバーナ3xの点火操作がなされることによって、STEP3の判断結果が肯定的になると、STEP4において、バーナ3xを点火する処理(バーナ3xへの燃料供給の開始と、図示しない点火装置の駆動)を実行し、該バーナ3xの燃焼運転を開始させる。
【0062】
次いで、STEP5において、制御装置20は、受信した自動調理データに含まれる制御用データに基づいて、バーナ3xの燃焼運転を制御することで、バーナ3xでの自動調理を開始させる。この場合、バーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が第1閾値温度TH1以下となっている状態で、バーナ3xでの自動調理が開始されるので、該自動調理を適切に実行できる。
【0063】
なお、STEP3において、バーナ3xの点火操作が所定時間以上、なされない場合には、バーナ3xでの自動調理(受信した自動調理データに基づく自動調理)の実行がユーザによりキャンセルされたものとみなして、制御装置20が該自動調理の実行を自動的にキャンセルするようにしてもよい。
【0064】
一方、STEP1の判断結果が否定的である場合(センサ温度>TH1である場合)には、制御装置20は、STEP6において、バーナ3xでの自動調理の実行が禁止される状態である自動調理不可状態をON(有効状態)にする。この自動調理不可状態では、加熱調理器2は、制御装置20が外部端末30から自動調理データを受信しても、該自動調理データを受け付けず、該自動調理データに基づく自動調理をバーナ3xで実行することがない状態に維持される。なお、自動調理不可状態は、本発明における高温時制御運転不可状態に相当する。
【0065】
制御装置20は、さらに、STEP7において、温度センサ6xのセンサ温度が第1閾値温度TH1よりも高い温度であること(又は、バーナ3xが自動調理不可状態であること)を示す第1情報を外部端末30に送信する。該第1情報は、換言すれば、温度センサ6xのセンサ温度が第1閾値温度TH1よりも高い温度であるために、バーナ3xでの自動調理を実行できない(自動調理の実行が禁止される)状態であるということを示す情報である。
【0066】
次いで、制御装置20は、STEP8において、温度センサ6xのセンサ温度が第1閾値温度よりも所定量だけ低い温度にあらかじめ定められた所定の第2閾値温度TH2以下の温度まで低下したか否かを判断する処理をその判断結果が肯定的になるまで実行する。なお、第2閾値温度TH2は、第1閾値温度TH1よりも低い温度に限らず、第1閾値温度TH1と同じ温度であってもよい。
【0067】
そして、制御装置20は、STEP8の判断結果が肯定的になった場合(センサ温度≦TH2になった場合)には、STEP9において、バーナ3xに関する前記自動調理不可状態をOFF(無効状態)にする。これにより、制御装置20は、外部端末30から送信される自動調理データを受け付け得る状態(該自動調理データに基づくバーナ3xでの自動調理を行い得る状態)になる。
【0068】
制御装置20は、さらにSTEP10において、温度センサ6xのセンサ温度が第2閾値温度TH2以下の温度まで低下したこと(又は自動調理不可状態が解除されたこと)を示す第2情報を外部端末30に送信し、その後、前記したSTEP2からの処理を実行する。該第2情報は、換言すれば、温度センサ6xのセンサ温度が第2閾値温度TH2以下の温度まで低下したことによって、自動調理実行不可状態が解除され、ひいては、外部端末30から送信される自動調理データに基づく自動調理をバーナ3xで実行し得る状態になったことを示す情報である。
【0069】
加熱調理器2の制御装置20による処理は、以上の如く実行される。なお、本実施形態では、STEP7,10の処理が情報送信処理部20aによる処理に相当する。
上記のように制御装置20の処理が実行されるので、加熱調理器2と外部端末30との通信接続の確立後、温度センサ6xのセンサ温度が第1閾値温度TH1以下の温度であれば、加熱調理器2は、外部端末30から受信する自動調理データに応じてバーナ3xでの自動調理を実行し得る。
【0070】
一方、温度センサ6xのセンサ温度が第1閾値温度TH1よりも高い温度である場合には、加熱調理器2は、該センサ温度が第2閾値温度TH2以下の温度に低下するまでの期間で自動調理不可状態に維持され、外部端末30から受信する自動調理データに応じてバーナ3xでの自動調理を実行することが禁止される。そして、加熱調理器2は、該期間の経過後に、外部端末30から受信する自動調理データに応じてバーナ3xでの自動調理を実行し得る状態になる。
【0071】
また、外部端末30では、加熱調理器2の制御装置20と通信を行い得る状態で、制御部34が、
図4のフローチャートに示す処理を実行する。STEP20において、制御部34は、ユーザが所望する自動調理の選定操作(外部端末30での選定操作)を行ったか否かを判断する処理を、その判断結果が肯定的になるまで逐次実行する。
【0072】
該選定操作は、詳しくは、ユーザが前記調理用アプリケーションを起動した外部端末30の操作部33の操作によって、外部サーバ40から取得した複数の自動調理メニューのリストの中から、所望の自動調理メニューを選択して確定する操作である。本実施形態では、この選定操作が本発明における運転指示操作に相当する操作である。なお、ユーザが所望する自動調理メニューが、加熱調理器2のコンロ用バーナ3a~3cのそれぞれで実行し得る自動調理である場合には、上記選定操作には、該自動調理の実行対象のコンロ用バーナ(3a又は3b又は3c)を選定するための操作をさらに含み得る。
【0073】
ユーザによる自動調理の選定操作が完了することによってSTEP20の判断結果が肯定的になると、制御部34は、加熱調理器2のバーナ3a~3dのうち、選定された自動調理の対象のバーナ3xに関して、STEP21からの処理を実行する。STEP21では、制御部34は、対象のバーナ3xについて、前記第1情報を加熱調理器2から受信したか否かを判断する。
【0074】
なお、例えば、外部端末30と加熱調理器2との通信接続の確立後、外部端末30で、自動調理の選定操作を行うための動作モードがユーザの操作等に応じて起動した時に、対象のバーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が前記第1閾値温度TH1以下の温度であるか否かを判定する処理(温度判定処理)を加熱調理器2の制御装置20に要求する信号を、制御部34が、外部端末30から加熱調理器2に送信するようにしてもよい。そして、その要求後に、外部端末30が、ユーザによる前記選定操作を受け付ける状態になるようにしてもよい。
【0075】
STEP21の判断結果が否定的である場合(外部端末30がバーナ3xについての第1情報を受信していない場合)、換言すれば、バーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が第1閾値温度TH1以下の温度になっている場合には、制御部34は、STEP22において、該バーナ3xについての自動調理データの送信操作(自動調理データを加熱調理器2の制御装置20に送信することを要求する操作)が外部端末30でユーザにより実行されたか否かを判断する処理を、その判断結果が肯定的になるまで実行する。
【0076】
そして、ユーザが自動調理データの送信操作を外部端末30で実行することによってSTEP22に判断結果が肯定的になると、制御部34は、STEP23において、バーナ3xで実行させる自動調理に関して、外部サーバ40から取得した自動調理データを加熱調理器2の制御装置20に送信する。
【0077】
一方、STEP21の判断結果が肯定的である場合(外部端末30がバーナ3xについての第1情報を受信した場合)、換言すれば、バーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が第1閾値温度TH1よりも高い温度になっている場合には、制御部34は、STEP24において、加熱調理器2のバーナ3xが前記自動調理不可状態である旨(詳しくは、バーナ3xに対応するセンサ温度が高温であるために、バーナ3xでの自動調理を行うことができない状態である旨)を外部端末30からユーザに報知する処理を実行する。この報知は、例えば、外部端末30の表示部31での報知情報の表示、あるいは、外部端末30の発音部32からの音声情報の出力により行われ得る。この報知により、ユーザはバーナ3xでの自動調理を現在は実行できないことを認識できる。
【0078】
さらに、制御部34は、STEP25において、対象のバーナ3xについての自動調理データの送信操作が外部端末30でユーザにより実行されたか否かを判断する処理(前記STEP22と同じ判断処理)を実行し、その判断結果が肯定的である場合には、STEP26において、バーナ3xで実行させる自動調理に関して、外部サーバ40から取得した自動調理データを加熱調理器2の制御装置20に送信する。ただし、この場合、加熱調理器2のバーナ3xが自動調理不可状態であるので、送信された自動調理データは、加熱調理器2の制御装置20で受け付けられない(該自動調理データに基づくバーナ3xでの自動調理は実行されない)。
【0079】
STEP25の判断結果が否定的である場合、あるいは、STEP26の処理を実行した後、制御部34は、さらにSTEP27において、対象のバーナ3xについての前記第2情報を受信したか否かを判断し、その判断結果が否定的である場合には、STEP25からの処理を繰り返す。
【0080】
そして、外部端末30が加熱調理器2の制御装置20から送信された第2情報を受信することによって、STEP27の判断結果が肯定的になると、制御部34は、STEP28において、対象のバーナ3xが自動調理可能状態(自動調理を実行し得る状態)なった旨を外部端末30からユーザに報知する処理を実行する。この報知は、STEP24での報知と同様に、例えば、外部端末30の表示部31での報知情報の表示、あるいは、外部端末30の発音部32からの音声情報の出力により行われ得る。この報知により、ユーザは、バーナ3xでの自動調理を行うことができる状態になったことを認識することができる。
【0081】
次いで、制御部34は、STEP29において、ユーザが所望する自動調理の選定操作(外部端末30での選定操作)を行ったか否かを判断する処理(STEP20と同じ判断処理)を、その判断結果が肯定的になるまで実行する。
【0082】
この場合、STEP28での報知を受けたユーザが、改めて、バーナ3xでの自動調理の選定操作を行うと、STEP29の判断結果が肯定的になる。そして、STEP29の判断結果が肯定的になると、制御部34は、前記したSTEP22からの処理を実行する。
【0083】
外部端末30の制御部34による処理は、以上の如く実行される。なお、本実施形態では、STEP23,26の処理が制御用データ送信部34aによる処理に相当し、STEP24,28の処理が報知処理部34bによる処理に相当する。
【0084】
ここで、
図5A~
図5C及び
図6A~
図6Cを参照して、自動調理の設定操作、自動調理不可状態の報知等のより具体的な一例の形態を説明する。
図5A及び
図6Aは、ユーザが所望の自動調理の選定操作を完了する直前の状態における外部端末30の表示部31の表示画面を例示している。図示例では、外部端末30の表示部31に、例えば、ユーザが選択した1つの調理メニューの名称と、調理物の完成画像の例と、調理メニューの説明とが表示されると共に、「自動調理スタート」ボタンが表示されている。
【0085】
この場合、表示部31に表示されている調理メニューが、加熱調理器2のバーナ3a~3dのうちの特定のバーナでのみ実行可能な自動調理のメニュー(例えばグリル用の調理メニュー)である場合には、ユーザが「自動調理スタート」ボタンをタッチ操作すると、該調理メニューがユーザが所望する自動調理として確定する(制御部34が自動調理の選定操作の完了を認識する)。
【0086】
一方、表示部31に表示されている調理メニューが、加熱調理器2のバーナ3a~3dのうちの複数のバーナ(コンロ用バーナ3a~3c)で実行可能な自動調理のメニューである場合には、ユーザが「自動調理スタート」ボタンをタッチ操作すると、自動調理の選定操作は完了せず、制御部34は、
図5B又は
図6Bに例示する如く、自動調理の対象のバーナ(3a~3cのうちのいずれか)を選定するための画面を外部端末30の表示部31に表示させる。
【0087】
図5B又は
図6Bでは、表示部31には、加熱調理器2における各コンロ用バーナ3a~3cの配置を概略的に示す画像と、自動調理データの送信先のコンロを選択すべき旨の案内文章とが表示されている。なお、「送信先のコンロ」というのは、コンロ用バーナ3a~3cのうち、自動調理を実行する対象のコンロ用バーナを意味する。
【0088】
ここで、
図5Bに例示した表示画面は、コンロ用バーナ3a,3b,3cのいずれについても、第1情報が受信されていない場合の表示画面の例である。この場合、ユーザが、各コンロ用バーナ3a~3cの配置を概略的に示す画像のうち、バーナ3a~3cのうちの任意の1つのバーナに対応する画像部分をユーザがタッチ操作することで、制御部34が、当該タッチ操作が行われた画像部分に対応するバーナが「送信先のコンロ」(自動調理の対象のバーナ)として選定されたことを認識する(ひいては、自動調理の選定操作が完了する)。なお、グリル用の調理メニューが選定された場合に、「自動調理スタート」ボタンがタッチ操作された後に、バーナ3a~3cと同様にバーナ3dを選定できるようにしてもよい。
【0089】
また、この場合、ユーザが選定したコンロ用バーナに対応する上記画像部分のタッチ操作は、選定された自動調理に関する自動調理データの送信操作を兼ねており、該タッチ操作に応じて、制御部34は、自動調理データを加熱調理器2の制御装置20に送信する(前記STEP23の処理を実行する)。
【0090】
さらに、制御部34は、当該タッチ操作に応じて、外部端末30の表示部31に
図5Cに例示する如き画面を表示させる。この
図5Cに例示する表示画面は、
図5Bに示す表示画面において、ユーザが、例えば加熱調理器2の後部のコンロ用バーナ3cに対応する画像部分をタッチ操作した場合の例である。
【0091】
この場合、
図5Cに例示する表示画面では、自動調理を開始する準備ができ、後コンロ(バーナ3c)に対応する五徳4c上に調理器具(調理容器)を載せて、後コンロ(バーナ3c)の点火操作を行うべき旨の報知情報(文章情報)と、バーナ3cに対応する操作ボタン11cを押し操作すべき旨を示す画像とが表示部31に表示されている。なお、
図5Cに例示する表示画面では、「自動調理を取り消す」ボタンも表示されており、このボタンをタッチ操作することで、自動調理の実行を取り消すことも可能である。
【0092】
また、
図6Bに例示した表示画面は、コンロ用バーナ3a,3b,3cのうちのバーナ3cについて、第1情報が受信された場合の表示画面の例である。この場合、各コンロ用バーナ3a~3cの配置を概略的に示す画像のうち、第1情報が受信されたバーナ3cに対応する画像部分が所定色(例えばグレー色)で表示されている。そして、ユーザが、例えばバーナ3cを自動調理の対象のバーナとして選定しようとして、該バーナ3cに対応する所定色の画像部分をタッチ操作すると、制御部34は、当該タッチ操作が行われた画像部分に対応するバーナ3cが「送信先のコンロ」(自動調理の対象のバーナ)として選定されたことを認識する(ひいては、自動調理の選定操作が完了する)。
【0093】
ただし、この場合、該バーナ3cについての第1情報が外部端末30で受信されているので前記STEP21の判断結果が肯定的になる。このため、制御部34は
図6Bの表示画面でバーナ3cに対応する画像部分がタッチ操作された場合、前記STEP24の処理として、
図6Cに例示する表示画面を外部端末30の表示部31に表示させる。この例では、後コンロの温度(温度センサ6cのセンサ温度)が高くなっているので、冷めるまで待ってから、改めて、コンロ(バーナ3c)を自動調理の対象のバーナとして選定すべき旨の報知情報(文章情報)が表示部31に表示されている。なお、
図6Cに例示する表示画面では、
図5Cの表示画面と同様に「自動調理を取り消す」ボタンも表示されている。
【0094】
また、この場合、
図6Bの表示画面での上記のタッチ操作は、
図5Bでの前記したタッチ操作と同様に、選定された自動調理に関する自動調理データの送信操作を兼ねており、該タッチ操作に応じて、制御部34は、自動調理データを加熱調理器2の制御装置20に送信する(前記STEP26の処理を実行する)。ただし、該自動調理データは、加熱調理器2の制御装置20で受け付けられない(該自動調理データの基づくバーナ3cでの自動調理は実行されない)。
【0095】
なお、図示は省略するが、
図6Cの表示画面で上記の如く報知情報を出力した後、外部端末30が加熱調理器2からバーナ3cに関する第2情報を受信すると、制御部34は、後コンロ(バーナ3c)での自動調理を開始できる状態になった旨の報知情報を表示部31に表示させ、あるいは、音声情報として、発音部32から出力させる。
【0096】
補足すると、
図5A~
図6Cを参照して説明した上記の例では、自動調理を行う対象のバーナの選定操作が、自動調理データの送信操作を兼ねているが、バーナの選定操作と、自動調理データの送信操作とは各別の操作であってもよい。
【0097】
また、例えば
図5B、
図5C、
図6B、
図6Cに例示した文章情報を表示部31に表示させる代わりに、あるいは、該文章情報の表示に加えて、該文章情報と同様の内容の音声情報を外部端末30の発音部32から出力するようにしてもよい。
【0098】
また、
図5A又は
図6Aの表示画面で選択された調理メニューがバーナ3a~3dの特定のバーナでのみ実行可能な自動調理のメニューである場合には、
図5A又は
図6Aの表示画面における「自動調理スタート」ボタンのタッチ操作が、自動調理の選定を確定する操作だけでなく、自動調理データの送信操作とを兼ねる操作であってもよい。ただし、この場合、自動調理の選定を確定する操作と、自動調理データを送信する操作とが各別の操作であってもよい。
【0099】
また、自動調理の選定操作、あるいは、バーナの選定操作、あるいは、自動調理データの送信操作は、外部端末30に対する音声入力操作で行い得るようにしてもよい。
【0100】
以上説明した第1実施形態の加熱調理システム1によれば、ユーザが外部端末30を使用して所望の自動調理を加熱調理器2で開始しようとしたとき、該自動調理の対象のバーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が該バーナ3xに対応する第1閾値温度TH1よりも高い温度である場合に、前記第1情報が加熱調理器2から外部端末30に送信される。そして、外部端末30では、第1情報の受信に応じて、対象のバーナ3xが自動調理不可状態である旨を示す報知情報が外部端末30からユーザに対して出力されるので、ユーザは、加熱調理器2から離れていても、対象のバーナ3xでの自動調理を実行できないことを認識できる。
【0101】
そして、その後、対象のバーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が該バーナ3xに対応する第2閾値温度TH2以下の温度に低下すれば、前記第2情報が加熱調理器2から外部端末30に送信される。そして、外部端末30では、第2情報の受信に応じて、対象のバーナ3xが自動調理可能状態になった旨を示す報知情報が外部端末30からユーザに対して出力されるので、ユーザは、加熱調理器2から離れていても、対象のバーナ3xでの自動調理を実行できるようになったことを認識できる。ひいては、加熱調理器2で対象のバーナ3xの点火操作を行うことで、所望の自動調理を該バーナ3xで開始させることができる。
【0102】
また、第1情報に対応する報知が外部端末30で行われた後、第2情報に対応する報知が外部端末30で行われるまでの期間(換言すれば、自動調理の対象のバーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が第1閾値温度TH1よりも高い温度から第2閾値温度以下の温度に低下するまでの期間)で、ユーザが自動調理のための無駄な操作を外部端末30で実行するのが防止されると共に、加熱調理器2で受け付けられない自動調理データが外部端末30から加熱調理器2に繰り返し送信されてしまうようなことが生じるのが防止される。ひいては、外部端末30と加熱調理器2との間での送受信に伴う電力消費を抑制できる。
【0103】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を
図7を参照して説明する。なお、本実施形態は、外部端末30の一部の処理だけが第1実施形態と相違するものである。このため、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0104】
本実施形態では、外部端末30の制御部34は、加熱調理器2の制御装置20との通信接続が確立した状態で、
図7のフローチャートに示す処理を実行する。この場合、STEP30~33のそれぞれの処理は、第1実施形態のSTEP20~23のそれぞれの処理と同じである。
【0105】
一方、STEP31の判断結果が肯定的である場合(外部端末30が自動調理の対象のバーナ3xについての第1情報を受信した場合)、換言すれば、バーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が第1閾値温度TH1よりも高い温度になっている場合には、制御部34は、STEP34において、外部端末30から加熱調理器2への自動調理データの送信が禁止される状態である送信不可状態をON(有効状態)にする。この送信不可状態では、外部端末30は、自動調理データの送信操作が行われても、該自動調理データを送信しない状態に維持される。
【0106】
次いで、制御部34は、STEP35において、外部端末30が、自動調理の対象のバーナに関する自動調理データの送信不可状態である旨の情報を外部端末30からユーザに報知する処理を実行する。この報知は、例えば、外部端末30の表示部31での報知情報の表示、あるいは、外部端末30の発音部32からの音声情報の出力により行われ得る。
【0107】
例えば、前記した
図6Bの表示画面において、バーナ3cに対応する画像部分をユーザがタッチ操作すると、後コンロの温度(バーナ3cに対応する温度センサ6cのセンサ温度が高温になっているために、後コンロの自動調理データを送信できないことや、後コンロの温度が下がってから、後コンロの自動調理データを送信すべきことを示す報知情報が表示部31に表示され、あるいは、音声情報として発音部32から出力される。そして、この場合は、自動調理データは、加熱調理器2の制御装置20に送信されない。なお、STEP35で外部端末30から出力する報知情報は、第1実施形態のSTEP24で出力する報知情報と同じ内容の報知情報であってもよい。
【0108】
次いで、制御部34は、STEP36において、対象のバーナ3xについての第2情報を受信したか否かを判断する処理を、その判断結果が肯定的になるまで繰り返す。そして、外部端末30が加熱調理器2の制御装置20から送信された第2情報を受信することによって、STEP36の判断結果が肯定的になると、制御部34は、STEP37において、自動調理データの送信不可状態をOFF(無効状態)にする。これにより、外部端末30は、該自動調理データを送信し得る状態になる。
【0109】
次いで、制御部34は、STEP38において、対象のバーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が下がったために、外部端末30が自動調理データの送信可能状態になった旨を外部端末30からユーザに報知する処理を実行する。この報知は、例えば、外部端末30の表示部31での報知情報の表示、あるいは、外部端末30の発音部32からの音声情報の出力により行われ得る。なお、STEP38で外部端末30から出力する報知情報は、第1実施形態のSTEP28で出力する報知情報と同じ内容の報知情報であってもよい。
【0110】
次いで、制御部34は、STEP39において、ユーザが所望する自動調理の選定操作(外部端末30での選定操作)を行ったか否かを判断する処理(STEP30と同じ判断処理)を、その判断結果が肯定的になるまで実行する。
【0111】
この場合、STEP38での報知を受けたユーザが、改めて、バーナ3xでの自動調理の選定操作を行うと、STEP39の判断結果が肯定的になる。そして、STEP39の判断結果が肯定的になると、制御部34は、前記したSTEP32からの処理を実行する。
本実施形態では、外部端末30の制御部34の処理は以上の如く実行される。なお、本実施形態では、STEP33の処理が制御用データ送信部34aの処理に相当し、STEP35,38の処理が報知処理部34bによる処理に相当する。
【0112】
以上説明した第2実施形態の加熱調理システムでも、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。そして、本実施形態では、第1情報に対応する報知が外部端末30で行われた後、第2情報に対応する報知が外部端末30で行われるまでの期間(換言すれば、自動調理の対象のバーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が第1閾値温度TH1よりも高い温度から第2閾値温度以下の温度に低下するまでの期間)で、外部端末30から加熱調理器2への自動調理データの送信が行われないので、その送信に伴う外部端末30の電力消費を低減することができる。
【0113】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を
図8を参照して説明する。なお、本実施形態は、外部端末30の一部の処理だけが第1実施形態又は第2実施形態と相違するものである。このため、第1実施形態又は第2実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0114】
本実施形態では、外部端末30の制御部34は、加熱調理器2の制御装置20との通信接続が確立した状態で、
図8のフローチャートに示す処理を実行する。この場合、STEP40~43のそれぞれの処理は、第1実施形態のSTEP20~23のそれぞれの処理と同じである。
【0115】
また、STEP41の判断結果が肯定的である場合(外部端末30が自動調理の対象のバーナ3xについての第1情報を受信した場合)、換言すれば、バーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が第1閾値温度TH1よりも高い温度になっている場合には、制御部34は、STEP44,45において、第2実施形態のSTEP34,35と同じ処理を実行する。すなわち、制御部34は、STEP44において、送信不可状態をON(有効状態)にし、さらに、STEP45において、外部端末30が、自動調理の対象のバーナに関する自動調理データの送信不可状態である旨の情報を外部端末30からユーザに報知する処理を実行する。
【0116】
本実施形態ではさらに、STEP46において、制御部34は、対象のバーナ3xについてユーザにより選定された自動調理に関する自動調理データを記憶保持する。
【0117】
次いで、制御部34は、STEP47において、対象のバーナ3xについての第2情報を受信したか否かを判断する処理を、その判断結果が肯定的になるまで逐次繰り返す。そして、外部端末30が加熱調理器2の制御装置20から送信された第2情報を受信することによって、STEP47の判断結果が肯定的になると、制御部34は、STEP48において、対象のバーナ3xについての自動調理データの送信不可状態をOFF(無効状態)にする。これにより、制御部34は、該自動調理データを加熱調理器2の制御装置20に送信し得る状態になる。
【0118】
さらに、制御部34は、STEP49において、対象のバーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が下がったために、外部端末30が自動調理データの送信可能状態になった旨を外部端末30からユーザに報知する処理を実行する。この報知は、第2実施形態のSTEP38と同様に行われる。
【0119】
その後、制御部34は、STEP42からの処理を実行する。これにより、ユーザが外部端末30で、対象のバーナ3xについての自動調理データの送信操作を実行すると、STEP46で記憶保持された自動調理データが外部端末30から加熱調理器2の制御装置20に送信される。
本実施形態では、外部端末30の制御部34の処理は以上の如く実行される。なお、本実施形態では、STEP43の処理が制御用データ送信部34aの処理に相当し、STEP45,49の処理が報知処理部34bによる処理に相当する。
【0120】
以上説明した第3実施形態の加熱調理システムでは、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を奏することができる。そして、本実施形態では、自動調理の対象のバーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が第1閾値温度TH1よりも高い場合に、ユーザにより選定された自動調理に関する自動調理データが、該センサ温度が第2閾値温度TH2以下の温度に低下して、外部端末30が第2情報を受信した後(STEP43での報知が行われた後)に、ユーザが送信操作を実行するだけで加熱調理器2の制御装置20に送信される。このため、ユーザは、外部端末30で改めて自動調理を選定する操作を省略することができ、利便性を高めることができる。
【0121】
なお、STEP46では、ユーザにより選定された自動調理に対応する自動調理データを記憶保持する代わりに、選定された自動調理の種類(自動調理メニュー)を記憶保持してもよい。この場合、該自動調理の種類は、本発明における運転指示操作情報に相当する。そして、その後、STEP43において、制御部34が、記憶保持された自動調理の種類に対応する自動調理データを外部サーバ40から取得して、加熱調理器2に送信してもよい。
【0122】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を
図9を参照して説明する。なお、本実施形態は、外部端末30の一部の処理だけが第3実施形態と相違するものである。このため、第3実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0123】
本実施形態では、外部端末30の制御部34は、加熱調理器2の制御装置20との通信接続が確立した状態で、
図9のフローチャートに示す処理を実行する。この場合、STEP50~58のそれぞれの処理は、第3実施形態のSTEP40~48のそれぞれの処理と同じである。
【0124】
一方、本実施形態では、外部端末30の制御部34は、STEP58で自動調理データの送信不可状態をOFF(無効状態)にした後、STEP59において、対象のバーナ3xに関してSTEP56で記憶保持した自動調理データを、加熱調理器2の制御装置20に自動的に送信する。そして、制御部34は、STEP60において、対象のバーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が下がったので、加熱調理器2への自動調理データの送信を完了した旨を外部端末30からユーザに報知する処理を実行する。この報知は、例えば、外部端末30の表示部31での報知情報の表示、あるいは、外部端末30の発音部32からの音声情報の出力により行われ得る。なお、この場合、前記した
図5Cと同様の内容の報知を行ってもよい。
【0125】
本実施形態では、外部端末30の制御部34の処理は以上の如く実行される。なお、本実施形態では、STEP53,59の処理が制御用データ送信部34aの処理に相当し、STEP55,60の処理が報知処理部34bによる処理に相当する。
【0126】
以上説明した第4実施形態の加熱調理システムでは、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を奏することができる。そして、本実施形態では、自動調理の対象のバーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が第1閾値温度TH1よりも高い場合に、ユーザにより選定された自動調理に関する自動調理データが、該センサ温度が第2閾値温度TH2以下の温度に低下して、外部端末30が第2情報を受信した後に、ユーザが送信操作を行わずとも、加熱調理器2の制御装置20に自動送信される。このため、利便性をより一層高めることができる。
【0127】
なお、STEP56では、ユーザにより選定された自動調理に対応する自動調理データを記憶保持する代わりに、選定された自動調理の種類(自動調理メニュー)を記憶保持してもよい。この場合、該自動調理の種類は、本発明における運転指示操作情報に相当する。そして、その後、STEP59において、制御部34が、記憶保持された自動調理の種類に対応する自動調理データを外部サーバ40から取得して、加熱調理器2に送信してもよい。
【0128】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態を
図10及び
図11を参照して説明する。なお、本実施形態は、加熱調理器2の制御装置20の処理と外部端末30の処理とが第1実施形態と相違するものである。このため、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0129】
本実施形態では、加熱調理器2の制御装置20と、外部端末30の制御部34とは、これらの間の通信接続が確立した状態で、
図10のフローチャートに示す処理と
図11のフローチャートに示す処理とを各々実行する。
【0130】
まず、外部端末30側の処理を
図11を参照して説明すると、STEP90~94のそれぞれの処理は、第1実施形態のSTEP20~24のそれぞれの処理と同じである。そして、本実施形態では、STEP94に続くSTEP95において、対象のバーナ3xについての自動調理データの送信操作が外部端末30でユーザにより実行されたか否かを判断する処理を、その判断結果が肯定的になるまで繰り返す。
【0131】
そして、自動調理データの送信操作が行われることによって、STEP95の判断結果が肯定的になると、制御部34は、STEP96において、バーナ3xで実行させる自動調理に関して、外部サーバ40から取得した自動調理データを加熱調理器2の制御装置20に送信する。
【0132】
次いで、制御部34は、STEP97において、対象のバーナ3xについての前記第2情報を受信したか否かを判断する処理を、その判断結果が肯定的になるまで繰り返し、その判断結果が肯定的になると、STEP98において、対象のバーナ3xが自動調理可能状態(自動調理を実行し得る状態)なった旨を外部端末30からユーザに報知する処理を実行する。この報知は、第1実施形態におけるSTEP28と同様に行われる。なお、このとき、
図5Cに例示した表示情報と同様の内容の報知情報を外部端末30から出力させてもよい。
【0133】
本実施形態では、外部端末30の制御部34の処理は以上の如く実行される。なお、本実施形態では、STEP93,96の処理が制御用データ送信部34aの処理に相当し、STEP94,98の処理が報知処理部34bの処理に相当する。
【0134】
以上の如く、本実施形態では、ユーザにより選定された自動調理に関する自動調理データは、外部端末30での第1情報の受信の有無によらずに(対象のバーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が第1閾値温度TH1よりも高いか否かによらずに)、ユーザによる送信操作に応じて外部端末30から加熱調理器2の制御装置20に送信される。
【0135】
次に、加熱調理器2の制御装置20の処理を
図10を参照して説明する。制御装置20は、STEP70において、外部端末30から自動調理データを受信したか否かを判断する処理をその判断結果が肯定的になるまで繰り返す。
【0136】
ここで、外部端末30で自動調理の選定後、自動調理データの送信操作が行われると、前記した如く該自動調理データが外部端末30から加熱調理器2の制御装置20に送信され、これに応じてSTEP70の判断結果が肯定的になる。
【0137】
そして、STEP70の判断結果が肯定的になると、制御装置20は、STEP71において、受信した自動調理データを記憶保持すると共に、該自動調理データの受信後の経過時間を計時するタイマーによる計時を開始する。
【0138】
次いで、制御装置20は、STEP72において、自動調理の対象のバーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度を取得し、そのセンサ温度が、該バーナ3xに対応する前記第1閾値温度TH1以下の温度であるか否かを判断する。
【0139】
そして、STEP72の判断結果が肯定的である場合(センサ温度≦TH1である場合)には、制御装置20は、STEP73において、STEP71で計時を開始したタイマーの計時値が、あらかじめ定められた所定時間ta以下の時間であるか否かを判断する。該所定時間taとしては、例えば180秒を採用し得る。
【0140】
そして、制御装置20は、STEP73の判断結果が肯定的である場合(タイマーの計時値≦taである場合)には、さらに、STEP74において、対象のバーナ3xについての点火操作(操作ボタン11xでの点火操作)がなされたか否かを判断し、このSTEP74の判断結果が否定的でる場合には、STEP73からの処理を繰り返す。
【0141】
ここで、STEP72の判断結果が肯定的である場合、外部端末30は、前記第1情報を受信しない(ひいては、前記STEP94での報知が外部端末30で行われない)ので、自動調理データの送信操作を行ったユーザは、一般には比較的速やかに、対象のバーナ3xでの自動調理を開始させようとする。従って、この場合には、通常、前記タイマーの計時値が所定時間taに達する前に、対象のバーナ3xについての点火操作が行われ、STEP74の判断結果が肯定的になる。そして、この場合には、制御装置20は、STEP75において、バーナ3xを点火する処理(バーナ3xへの燃料供給の開始と、図示しない点火装置の駆動)を実行し、該バーナ3xの燃焼運転を開始させる。
【0142】
さらに、STEP76において、制御装置20は、STEP71で記憶した自動調理データに含まれる制御用データに基づいて、バーナ3xの燃焼運転を制御することを開始することで、バーナ3xでの自動調理を開始させる。この場合、バーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が第1閾値温度TH1以下となっている状態で、バーナ3xでの自動調理が開始されるので、該自動調理を適切に実行できる。
【0143】
また、バーナ3xについての点火操作がなされることなく、タイマーの計時値が所定時間taを越えると、STEP73の判断結果が否定的になる。この場合、ユーザがバーナ3xでの自動調理を実行することをキャンセルしたとみなし得る。
【0144】
そこで、制御装置20は、STEP77において、バーナ3x以外の他の加熱部(バーナ)の作動中であるか否かを判断し、その判断結果が否定的である場合(すべてのバーナ3a~3dが運転停止状態である場合)には、STEP78において、加熱調理器2の電源をOFFにし、さらに、STEP79において、STEP71で記憶保持した自動調理データを消去する。
【0145】
また、STEP77の判断結果が肯定的である場合(バーナ3x以外の他の1つ以上のバーナの燃焼運転が行われている場合)には、制御装置20は、加熱調理器2の電源をOFFにすることなく、STEP79において、STEP71で記憶保持した自動調理データを消去する。
【0146】
また、STEP72の判断結果が否定的である場合(対象のバーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が第1閾値温度TH1より高い場合)には、制御装置20は、STEP80からの処理を実行する。この場合、STEP80~84のそれぞれの処理は、第1実施形態におけるSTEP6~10のそれぞれの処理と同じである。従って、第1情報及び第2情報を外部端末30に送信する処理が順次実行される。また、対象のバーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が第2閾値温度TH2以下の温度に低下するまで、対象のバーナ3xが自動調理不可状態になる。
【0147】
そして、制御装置20は、STEP84で第2情報を外部端末30に送信した後、STEP85において、対象のバーナ3xについての点火操作(操作ボタン11xでの点火操作)がなされたか否かを判断する処理をその判断結果が肯定的になるまで繰り返す。
【0148】
ここで、STEP72の判断結果が否定的である場合、対象のバーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度が第2閾値温度TH2以下の温度に低下するまで、対象のバーナ3xが自動調理不可状態になるので、第2情報を外部端末30に送信しても、ユーザは、別の用事等で、加熱調理器2に直ぐには近づけないか、あるいは、外部端末30を直ぐには確認できない状態になっている場合もある。
【0149】
このため、本実施形態では、制御装置20は、STEP85において、前記タイマーの計時値によらずに、対象のバーナ3xについての点火操作がなされたか否かを判断する処理を繰り返すようにしている。そして、STEP85の判断結果が肯定的になると、制御装置20は、STEP74の判断結果が肯定的になった場合と同様に、対象のバーナ3xを点火し(STEP86)、さらに、自動調理を開始させる(STEP87)。
本実施形態では,加熱調理器2の制御装置20の処理は以上の如く実行される。なお、本実施形態では、STEP81,84の処理が情報送信処理部20aの処理に相当する。
【0150】
以上説明した第5実施形態の加熱調理システムでは、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を奏することができる。そして、本実施形態では、自動調理の対象のバーナ3xに対応する温度センサ6xのセンサ温度によらずに、ユーザにより選定された自動調理に関する自動調理データが加熱調理器2に送信され、該加熱調理器2の制御装置20に記憶保持されるので、該センサ温度が第2閾値温度TH2以下の温度に低下して、外部端末30が第2情報を受信した後に、ユーザが外部端末30の操作を行うことを必要とせずに、加熱調理器2での自動調理を開始することができる。このため、利便性をより一層高めることができる。
【0151】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態を
図12を参照して説明する。なお、本実施形態は、加熱調理システム1の一部の構成と処理だけが、第5実施形態と相違するものである。このため、第5実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0152】
図12を参照して、本実施形態の加熱調理システム1は、加熱調理器2と外部端末30との間の通信を中継する中継器50を備える。該中継器50は、例えば加熱調理器2が設置された住宅に構築されたホームネットワークに組み込まれた通信機であり、例えば、該住宅に設置される給湯装置の台所リモコン(台所に設置されるリモコン)、ルータ等により構成され得る。なお、中継器50と加熱調理器2との間の通信経路、あるいは、中継器50と外部端末30との間の通信経路は、無線に限らず、有線の通信経路を含み得る。
【0153】
そして、本実施形態では、外部端末30は、前記第5実施形態で説明した
図11のフローチャート同様の処理を実行する。ただし、この場合、STEP93又は96で外部端末30から送信される自動調理データは、中継器50で、図示しない記憶部に一時的に記憶保持される。そして、該中継器50は、自動調理データを受信した旨の情報を加熱調理器2の制御装置20に通知する。その後、中継器50は、記憶保持した自動調理データを、加熱調理器2の制御装置20からの送信要求を示す信号を受信するまで記憶保持する。
【0154】
加熱調理器2の制御装置20は、
図10のフローチャート同様の処理を実行する。ただし、加熱調理器2の制御装置20は、STEP71では、自動調理データを記憶せず、STEP72の判断結果が肯定的である場合に、中継器50に自動調理データの送信を要求して、該自動調理データを中継器50から取得する。また、STEP72の判断結果が否定的である場合には、制御装置20は、その後、STEP82の判断結果が肯定的になると、中継器50に自動調理データの送信を要求して、該自動調理データを中継器50から取得する。本実施形態は以上説明した事項以外は、前記第5実施形態と同じである。
以上説明した本実施形態においても、前記第5実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0155】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態を
図13を参照して説明する。なお、本実施形態は、加熱調理システム1の一部の構成と処理だけが、前記第1~第5実施形態のうちの任意の1つの実施形態と相違するものである。このため、第1~第5実施形態のいずれかの実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0156】
図13を参照して、本実施形態の加熱調理システム1では、加熱調理器2は、外部端末30だけでなく、外部サーバ40と、図示しないルータ(もしくは該ルータを含むホームネットワーク)と、外部ネットワークNWとを介して通信を行うことが可能である。なお、加熱調理器2と外部ネットワークNWとの間の通信経路は、無線に限らず、有線の通信経路を含み得る。
【0157】
そして、本実施形態では、外部サーバ40は、本発明における外部機器に相当するものであり、外部端末30からの要求に応じて自動調理データを加熱調理器2に送信する機能(制御用データ送信部40aとしての機能)を含む。
【0158】
そして、本実施形態では、外部端末30は、前記した第1~第5実施形態のいずれかの実施形態と同様の処理を実行する。ただし、本実施形態では、例えば前記第1実施形態に係る
図4のフローチャートの処理のうちのSTEP23,26において、あるいは、前記第2実施形態に係る
図7のフローチャートの処理のうちのSTEP33において、あるいは、前記第3実施形態に係る
図8のフローチャートの処理のうちのSTEP43において、あるいは、前記第4実施形態に係る
図9のフローチャートの処理のうちのSTEP53,59において、あるいは、前記第5実施形態に係る
図11のフローチャートの処理のうちのSTEP93,96において、外部端末30は、外部サーバ40に自動調理データ(ユーザにより選定された自動調理に関する自動調理データ)の送信要求を示す信号を送信する。これに応じて、外部サーバ40が、制御用データ送信部40aとしての機能によって、該自動調理データを加熱調理器2に送信する。
【0159】
なお、この場合において、
図8のフローチャートの処理のうちのSTEP46、あるいは、
図9のフローチャートの処理のうちのSTEP56では、外部端末30は、ユーザにより選定された自動調理の種別を示す情報を記憶保持すればよい。
【0160】
本実施形態は、以上説明した事項以外は、前記第1~第5実施形態のうちの任意の1つの実施形態と同じである。かかる本実施形態においても、前記第1~第5実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、加熱調理器2と外部サーバ40との間の通信経路に中継器が介在する場合には、前記第6実施形態と同様に、該中継器に自動調理データを一時的に記憶保持させてもよい。これにより第6実施形態に類似する加熱調理システムを構築できる。
【0161】
なお、以上説明した第1~第7実施形態では、加熱調理器2としてガスコンロを例示したが、本発明における加熱調理器は、ガスコンロに限らず、例えばIHクッキングヒータ、あるいは、電熱式のヒータを加熱部として備える加熱調理器、あるいは、オーブン、トースターであってもよい。
【0162】
また、前記第1~第7実施形態では、加熱調理器2から外部端末30に第1情報と第2情報とを順次送信する場合について例示したが、外部端末30への第2情報の送信を省略することも可能である。この場合であっても、ユーザは第1情報に応じた報知が外部端末で行われることで、加熱調理器2が自動調理不可状態になっていることを認識できる。ひいては、加熱調理器2が自動調理不可状態になっているのに、ユーザがそのことに気付かずに、外部端末30で自動調理に関する無駄な操作を行ったり、あるいは、自動調理を開始するための操作を加熱調理器2で行ってしまうのを防止できる。
【符号の説明】
【0163】
1…加熱調理システム、2…加熱調理器、3a~3d…バーナ(加熱部)、6a~6d…温度センサ、20…制御装置、20a…情報送信処理部、30…外部端末、34a,40a…制御用データ送信部、34b…報知処理部、40…外部サーバ(外部機器)。