(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】容器と球状内容物とからなる製品
(51)【国際特許分類】
B65D 83/04 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
B65D83/04 H
(21)【出願番号】P 2021048610
(22)【出願日】2021-03-23
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 将行
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-043773(JP,U)
【文献】実公昭39-008591(JP,Y1)
【文献】特開2011-131931(JP,A)
【文献】特開2017-013841(JP,A)
【文献】特開2020-164213(JP,A)
【文献】米国特許第02960259(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0377286(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110182475(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と球状内容物とからなる製品であって、
前記容器は、スクイズ可能な容器本体と該容器本体に連設された先端開口部を有する口首部とを備え、該容器本体内に該球状内容物が収容されており、該球状内容物が該口首部を通過して外部へ取り出されるようになされており、
前記口首部は、該口首部に設けられた吐出口が、前記球状内容物の球径よりも小径となっている小径部を備えて
おり、
前記球状内容物が吐出される際に、前記球状内容物の吐出によって生じる感覚フィードバックを使用者に提供する、容器と球状内容物とからなる製品。
【請求項2】
前記吐出口が筒状である、請求項1に記載の容器と球状内容物とからなる製品。
【請求項3】
前記吐出口が前記容器本体よりも下方に位置するように、前記容器を傾けると、前記球状内容物が移動し、前記吐出口において停止して、前記吐出口を閉塞し、
前記球状内容物が前記吐出口を閉塞した状態下で、前記容器本体をスクイズ変形させて該容器本体の内圧を上昇させることによって、前記球状内容物及び前記吐出口の少なくとも一方が変形することで、前記球状内容物が吐出される、請求項1又は2に記載の容器と球状内容物とからなる製品。
【請求項4】
前記感覚フィードバックは、前記球状内容物が吐出され前記吐出口を通過する際に発せられる音及び振動の少なくともいずれかである、
請求項1~3のいずれか1項に記載の容器と球状内容物とからなる製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器と球状内容物とからなる製品に関し、特に、球状内容物を吐出させる際に、使用者に感覚フィードバックを提供する、容器と球状内容物とからなる製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容器を傾けて球状の内容物を1つずつ取り出すことができるようにするために、内容物の最大径部分における断面積よりも小さな開口面積の開孔と、開口の内周縁から径方向外側に向けて設けられて開孔を内容物が通過可能な大きさまで変形可能とする少なくとも1本のスリットと、を備えたフィルム体と、を有する球状物用容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の容器では、球状内容物を1つずつ取り出すことはできるが、球状内容物を取り出す際の手応えが分かりづらかった。これに起因して、球状内容物を取り出す操作不良が生じ易くなるとともに、内容物の取り出し操作に伴う使用感が得られ難かった。
【0005】
したがって、本発明の課題は、球状内容物を取り出す際の手応えが分かり易く、取り出し操作に伴う使用感が得られる、容器と球状内容物とからなる製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、容器と球状内容物とからなる製品に関する。
前記容器は、スクイズ変形可能な容器本体と、該容器本体に連設された先端開口部を有する口首部とを備えていることが好ましい。
前記容器本体内に球状内容物が収容されており、該球状内容物が該口首部を通過して外部へ取り出されるようになされていることが好ましい。
前記口首部は、該口首部に設けられた吐出口の直径が、前記球状内容物の球径よりも小径となっている小径部を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の容器と球状内容物とからなる製品によれば、内容物を取り出す際の手応えが分かり易く、取り出し操作に伴う使用感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の容器と球状内容物とからなる製品を示す一実施形態を示す図であって、該製品の全体構成を説明するための図である。
【
図2】
図2は、本発明の好ましい実施形態における口首部及び吐出口の構成を説明するための部分拡大断面模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の好ましい実施形態における球状内容物の吐出の仕組みを説明するための(a)~(b)模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の好ましい実施形態における吐出口の変形例を説明するための(a)~(d)断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている、構成、数値などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0010】
図1には、本発明の容器と球状内容物とからなる製品の一実施形態が示されている。斯かる製品は、球状内容物が収容された、内容物入りスクイズ容器である。以下、内容物入りスクイズ容器1(製品)を単に容器1ともいう。
本実施形態の容器1は、容器本体10と口首部11とを備えている。容器本体10は、スクイズ変形可能な容器となっている。容器本体10の内部には、球状内容物20が収容されている。本実施形態の容器1はチューブ容器であり、容器本体10は、合成樹脂製の筒状のチューブ体からなる胴部18と、該チューブ体の長手方向の一端における内面間を熱融着や超音波等の公知の方法によって形成したエンドシール部19とを有している。
【0011】
本実施形態の容器本体10は、スクイズ可能なチューブ形態である。これに代えて、容器本体10は、スクイズ可能なブローボトル、ブローチューブ等のブロー成形体であってもよい。
【0012】
本実施形態の容器本体10は、一方向に長い形状を有しており、その長手方向と、球状内容物20が外部へ吐出される吐出方向Vとが一致している。
図1では、吐出方向が符号Vで表されている。
【0013】
口首部11は、容器本体10に連設されており、容器本体10と連設されている部分とは反対側に先端開口部12を有している。球状内容物20は、口首部11を通過して容器1の外部へ取り出されるようになっている。
【0014】
そして、
図2を参照すると、口首部11には、吐出口13が設けられている。吐出口13は、全体としては、筒状の形状となっているが、先端開口部12側に向けて、吐出口13の直径が漸次減少して先細りする先細り形状となっており、最も先端部分は筒状となっている。口首部11全体も、容器1の先端側に向かって先細りする先細り形状となっている。
【0015】
本明細書において「先端」は、口首部11においては開口部12側であり、容器本体10とは反対側である。また「先端」は、容器本体10においてはエンドシール部19とは反対側である。逆に「末端」は、口首部11においては容器本体10側であり、容器本体10においてはエンドシール部19側である。
また、本明細書において「上側」及び「上方」、並びに「下側」及び「下方」は、容器1を以下に説明する状態としたときの向きとする。エンドシール部19を鉛直方向の上側に向けて、胴部18及び口首部11の中心軸を鉛直方向と平行な状態としたとき、「上側」及び「上方」は鉛直上側及び鉛直上方であり、「下側」及び「下方」は鉛直下側及び鉛直下方である。「上側」及び「上方」は、口首部11においては容器本体10側となり、「下側」及び「下方」は、容器本体10とは反対側となる。
【0016】
容器1において球状内容物20は、吐出口13を通過して外部に取り出されるが、球状内容物20が、吐出口13において停止して、吐出口13を閉塞することが可能となっている。つまり、口首部11は、吐出口13の直径が、球状内容物20の球径(直径)よりも小径となっている部分を備えている。斯かる部分を、「小径部16」ともいう。吐出口13の小径部16では、球状内容物20の通路幅が狭くなっていることにより、吐出方向Vにおいて球状内容物20が停止するようになる。球状内容物20が、吐出口13において停止することにより、蓋(又は栓)の役割を果たし、該吐出口13を閉塞することによって、容器本体10の内部を密閉可能になされている。
本実施形態において、先端開口部12及び小径部16を含む吐出口13の断面形状は、円形形状となっている。
【0017】
球状内容物20を外部へ取り出す操作性をより向上させる観点から、小径部16の直径は、球状内容物20の球径に対して、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上であり、また好ましくは90%以下、より好ましくは95%以下であり、また好ましくは75%以上95%以下、より好ましくは80%以上90%以下である。斯かる小径部16の直径は、球状内容物20が小径部16を通過する前の状態の直径である。「小径部16を通過する前の状態」には、球状内容物20が小径部16を通過する最中の状態は含まれない。
小径部16は、通常、口首部11において吐出口13の直径が最小となる部分である。本実施形態のように、吐出方向Vにおいて吐出口13の直径が変化している場合、小径部16は、口首部11において該吐出口13の直径が最小となる位置の部分である。
【0018】
また、
図2に示すように、本実施形態の口首部11には、容器本体10側に螺条17を内周面に有する連設部15が設けられている。この連設部15を介して、容器本体10と口首部11とが接続される。なお、口首部11は、容器本体10に着脱可能に固定されていてもよく、あるいは、容器本体10に着脱不能に固定されていてもよい。
着脱可能である場合、内容物を補充(詰め替え)可能となる。
【0019】
容器本体10は、スクイズ変形可能であり、胴部18を手で把持して押圧(スクイズ)することにより、容器本体10内に収容された球状内容物20が外部へ取り出されるようになされている。
スクイズによる変形及び容器本体10の内圧上昇をより容易にし、且つ該変形後に容器本体10の形状をより効率的に復元させる観点から、容器本体10は以下の物性を具備することが好ましい。
容器本体10の内部体積は、好ましくは30mL以上、より好ましくは50mL以上であり、また好ましくは600mL以下、より好ましくは500mL以下であり、また好ましくは30mL以上600mL以下、より好ましくは50mL以上500mL以下である。
【0020】
上記と同様の観点から、容器本体10の形成材料の厚みは、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、また好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。
【0021】
本実施形態の容器1は、球状の内容物を収容するとともに、この球状の内容物を外部へ取り出すことができるようにしたものである。球状内容物20の取り出しの際には、先ず、使用者30が、吐出口13が容器本体10よりも下方に位置するように、容器1を傾けると、例えば、複数ある球状内容物20が吐出口13側に向かって移動し、そのうちの1つが、吐出口13(小径部16)において停止して、吐出口13を閉塞する。これにより、容器本体10が密閉される。
【0022】
そして、球状内容物20が吐出口13を閉塞した状態下で、使用者30が、容器本体10を手で把持して押圧(スクイズ)すると、容器本体10が変形(スクイズ変形)して、容器本体10の内部の圧力(内圧)が上昇する。そして、押圧(スクイズ)が進行すると、球状内容物20が吐出口13から飛び出すように、吐出される。球状内容物20の吐出後、吐出口13の閉塞が開放されるので、容器本体10内は減圧され、容器本体10の形状が復元される。
このように、本実施形態の容器1は、容器本体10をスクイズ変形させ、且つ該容器本体10における内圧の上昇を利用して、球状内容物20を取り出すので、該容器本体10における内圧の変動が、取り出す際の手応えとして使用者に伝わり易い。これにより、球状内容物20を容器1から確実に取り出すことができ、操作不良が生じ難い。また、吐出口13の直径が、球状内容物20の球径よりも小径となっているので、球状内容物20を1個ずつ取り出すことができる上、球状内容物20を取り出す毎に前記手応えが得られるので、取り出し操作に伴う使用感が使用者に得られ易い。
【0023】
ここで、吐出口13(先端開口部12)が容器本体10に対して下方に位置するような状態の場合、すなわち、吐出口13が下方を向いている(水平よりも下向きの)場合、球状内容物20の吐出方向Vは、上方から下方に向かう方向となる。吐出口13が、容器本体10に対して下方に位置している状態であれば、吐出口13(小径部16)において停止している球状内容物20の停止状態を容易に維持することができる。
【0024】
また、先端開口部12が容器本体10に対して上方に位置するように、容器1を立てた状態とした場合であっても、球状内容物20が吐出口13において停止した状態、すなわち球状内容物20が吐出口13を閉塞した状態を維持できれば、球状内容物20を上方(水平よりも上向き)に向けて吐出させることも可能である。容器1においては、下方はもとより、上方に向けても球状内容物20を吐出させることができるようになされている。
【0025】
このように、使用者30が、容器本体10を押圧(スクイズ)すると、球状内容物20が吐出されるが、その際、本実施形態の容器1は、使用者30に対して、球状内容物20の吐出によって生じる感覚フィードバックを提供する。感覚フィードバックは、使用者30の五感に訴えかけるフィードバックである。具体的には、容器1から球状内容物20を取り出す際に使用者に付与される感覚刺激であって、主に聴覚及び触覚のいずれかの感覚刺激である。例えば、球状内容物20が吐出口13の先端開口部12を通過する際に生じる音及び振動の少なくともいずれかが、感覚刺激となって使用者に付与される。
感覚フィードバックが音である場合、先端開口部12を通過する際に球状内容物20が吐出される際の気圧の変化で音が発生することにより、使用者に感覚フィードバックが提供される。斯かる音は特に限定されないが、例えば「ポン」等といった、球状内容物20による吐出口13の閉塞が開放されたときに生じる音である。
感覚フィードバックが振動である場合、球状内容物20が先端開口部12を通過する際に、口首部11における先端開口部12側の部分が振動し、該振動が使用者の手に伝わることで、使用者に感覚フィードバックが提供される。
音や振動等の感覚フィードバックを知覚することで、使用者は、球状内容物20を外部へ取り出す操作の完了をより実感することができ、達成感や、高揚感、心地良さ(爽快感)等の感情が喚起され易くなる。
【0026】
前述の手応え又は感覚フィードバックをより得易くする観点から、スクイズ変形させた容器本体10の最大内圧は、好ましくは0.5kPa以上、より好ましくは1kPa以上であり、また好ましくは4kPa以下、より好ましくは3kPa以下であり、また好ましくは0.5kPa以上4kPa以下、より好ましくは1kPa以上3kPa以下である。斯かる最大内圧は、球状内容物20が吐出されずに吐出口13を閉塞し得る最大内圧である。
【0027】
前記最大内圧は、以下の方法により測定される。
先ず、容器1において、球状内容物20が吐出口13を閉塞した状態とする。斯かる容器1を卓上型物性測定機(山電社製、型番TPU-2D)にセットする。容器1は、卓上型物性測定機の圧縮方向と吐出方向Vとが直交する状態でセットする。容器本体10の胴部18を卓上型物性測定機にて圧縮する。圧縮速度は、5mm/秒とする。圧縮は、容器1から球状内容物20が吐出するまで行い、その圧縮過程で測定された胴部18の最大内圧を求める。以上の操作を同じ容器1について5回繰り返し、その平均値を容器本体10の最大内圧とする。
【0028】
また、口首部11の外周面には、溝状の切欠き部14が設けられていることが好ましい。切欠き部14は、小径部16と吐出方向Vにおいて重なる位置及び該重なる位置の近傍の一方又は双方に設けられることが好ましい。切欠き部14は、吐出口13の周方向に沿って外周面の全周にわたって設けることが好ましいが、外周面の一部であってもよい。切欠き部14の吐出方向Vにおける長さや、該吐出方向Vに直交する断面方向における長さは、特に限定されず、先端開口部12や吐出口13、小径部16の直径などに応じて設定される。また、
図2には、切欠き部14が1本設けられた例を示したが、切欠き部14は、2本以上設けられていてもよい。切欠き部14を複数本設ける場合の、切欠き部14それぞれの間の間隔(距離)は、特に限定されないが、先端開口部12や吐出口13、小径部16の直径などに応じて設定される。切欠き部14を設けると、後述するように、口首部11が弾性変形する材質からなる場合に、口首部11が弾性変形し易くなり、先端開口部12の開口径や小径部16の直径を容易に広げることが可能となる。
【0029】
次に、
図3(a)及び(b)を参照して、球状内容物20が吐出口13から吐出されるメカニズムについて説明する。
図3(a)は、口首部11が弾性変形せず、球状内容物20が弾性変形する場合を示し、
図3(b)は、口首部11が弾性変形して、球状内容物20が弾性変形しない場合を示している。以下、「弾性変形する」を「弾性を有する」ともいう。
【0030】
先ず、
図3(a)を参照して、口首部11(吐出口13)が弾性変形しない部材からなる場合について説明する。ここで、吐出口13の直径(小径部16の直径)は、球状内容物20の球径よりも小径となっているため、仮に、球状内容物20も弾性変形しない場合には、吐出口13を通過することができず、球状内容物20を取り出すことができない。
【0031】
容器1に収容される球状内容物20が、弾性変形する場合、球状内容物20が変形しながら吐出口13を通過するので、球状内容物20を外部へ取り出すことが可能となる。口首部11が弾性変形しない部材からなる場合、成形性が高く、口首部11の形状の自由度を高め易い上、感覚フィードバックを含む前記手応えを容易に制御できる。
【0032】
次に、
図3(b)を参照して、口首部11(吐出口13)が弾性変形する部材からなる場合について説明する。容器1に収容される球状内容物20が、弾性変形しない内容物であっても、口首部11における吐出口13を画成する部分が弾性変形するので、球状内容物20の通過に伴って、吐出口13が外側に向かって広がるように変形する。これにより、吐出口13の直径が、球状内容物20の球径よりも小径となっていても、球状内容物20を取り出すことができるようになる。なお、球状内容物20は、変形可能であるものであってもよい。
【0033】
このように、吐出口13が外側へ向かって広がるように変形するので、容器1の外部に球状内容物20を取り出すことが可能となる。以上説明したように、本実施形態に係る容器1においては、球状内容物20及び吐出口13の少なくとも一方が変形することにより、球状内容物20が吐出されるようになっている。また、球状内容物20及び吐出口13の少なくとも一方が変形することで、容器本体10内がより気密状態となり、容器本体10の内圧をより変動し易くなる。これにより、前記の手応え及び感覚フィードバックをより容易に提供できる。
【0034】
前記の「弾性を有する」とは、以下の方法で測定される測定片の破断時の伸び量が200%以上であることを意味する。測定片は、口首部11の先端開口部12側の部分から、周方向に10mm、吐出方向Vに40mmの大きさで切り出したシート片である。
先ず、チャック間距離を10mmとし、前記測定片を引張試験機(例えば株式会社 島津製作所製、機種「AUTOGRAPH AG-X」)のチャックに取り付ける。次いで、測定片を、200mm/minの引張速度で且つ該測定片が破断するまで引っ張り、その伸長過程における、引張距離に伴って変化する引張強度(N)を測定する。この伸長過程において、引張距離に伴って変化する引張強度の最大値を、破断強度とし、該破断強度を示した時点を伸長部の「破断時」とする。この破断時における測定片のチャック間の距離を、破断時の伸び量とする。「破断時の伸び量が200%以上」とは、破断時の測定片のチャック間距離が、伸長前のチャック間距離(10mm)の200%以上、すなわち20mm以上であることを意味する。
【0035】
感覚フィードバックをより得易くする観点から、口首部11が弾性を有する場合、口首部11は以下の物性を具備することが好ましい。
口首部11の引張伸び(%)は、好ましくは150%以上、より好ましくは170%以上であり、また好ましくは300%以下、より好ましくは250%以下であり、また好ましくは150%以上300%以下、より好ましくは170%以上250%以下である。
引張伸び(%)は、JISK71247:1999(ISO527-3)に準拠して測定できる。具体的には、前述した破断強度の測定方法と同様の方法により、前記測定片を引張試験機によって引っ張り、引張強度(引張荷重値を測定片の断面積で除した値)が最大となった時点における、チャック間の距離Lを測定し、次式によって、引張伸び(%)を算出する。
引張伸び(%)=100×(L-Lo)/Lo
Lo:伸長前のチャック間の距離
L:破断時のチャック間の距離
【0036】
上記と同様の観点から、口首部11における吐出口13を画成する部分の厚みは、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、また好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.5mm以下であり、また好ましくは0.3mm以上3.0mm以下、より好ましくは0.5mm以上2.5mm以下である。
吐出口13を画成する部分の厚みが位置によって異なる場合、当該部分の最小厚み及び最大厚みが上述した範囲内であることが好ましい。特に口首部11が弾性を有する場合において、前記部分の厚みが上述した範囲内であることが好ましい。
【0037】
前述したように、口首部11が弾性を有しない場合、球状内容物20には変形可能なものを用いる。「変形可能」とは、以下の方法で測定されるヤング率が、100Pa以上であるものを意味し、好ましくは100Pa以上、より好ましくは1kPa以上であり、また好ましくは100kPa以下、より好ましくは80kPa以下であり、また好ましくは100Pa以上100kPa以下、より好ましくは1kPa以上80kPa以下である。
【0038】
球状内容物20のヤング率は、やわらかさ計測機(株式会社テック技販製、型番YWS-5N-1)を用いて測定する。測定は、測定対象物(球状内容物20)に圧子を押し当てて、該球状内容物20を圧縮して行う。圧縮速度は、1mm/秒とする。当該圧縮は、球状内容物20の変化量が2mmとなるまで行い、その圧縮過程で測定された球状内容物20のヤング率を求める。以上の操作を同じ球状内容物20について5回繰り返し、その平均値を球状内容物20のヤング率とする。
【0039】
球状内容物20が変形可能である形態としては、(a1)弾性又は柔軟性を有する固体、(a2)粉体、液体、又は固体が内容物として充填されたソフトカプセル等が挙げられる。
前記(a1)の形態としては、グミ等といった菓子やタブレット型栄養補助食品等の食品、シリコン製又はゴム製ボール等の玩具、吸水性ポリマーからなるゼリーボールに香気成分を含ませた芳香剤(吸水ビーズ型)芳香剤等が挙げられる。
【0040】
前記(a2)における前記内容物としては、例えば、化粧水、乳液、美容液、日焼け止め、メイク落とし等の化粧料、シャンプー、リンス、染毛剤、整髪剤、育毛剤等のヘアケア剤、ボディソープやハンドソープ等の石鹸、食品洗剤や洗濯洗剤等の洗剤、歯磨き粉等の口腔内洗浄剤、柔軟剤、漂白剤、アロマオイル等の芳香剤、入浴剤、目薬等の液状の医薬品、サプリメント、バスやトイレ、床洗浄用の洗浄剤、スープ、ソース、ドレッシング等の液状食品、香辛料、粉末調味料等の粉末食品等が挙げられる。
前記(a2)におけるソフトカプセルは、水溶性ポリマーにより形成できる。水溶性ポリマーとしては、プルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ-γ-グルタミン酸、変性コーンスターチ、β-グルカン、グルコオリゴ糖、ヘパリン、及びケラト硫酸のムコ多糖、セルロース、ペクチン、キシラン、リグニン、グルコマンナン、ガラクツロン酸、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、アラビアガム、トラガントガム、大豆水溶性多糖、アルギン酸、カラギーナン、ラミナラン、寒天(アガロース)、フコイダン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの天然高分子、部分鹸化ポリビニルアルコール(架橋剤と併用しない場合)、低鹸化ポリビニルアルコール、及びポリビニルピロリドン(PVP)、並びにポリエチレンオキサイド、及びポリアクリル酸ナトリウムの合成高分子から選ばれる一種又は二種以上である。
【0041】
前述したように、口首部11が弾性を有する場合、球状内容物20には変形可能でないものを用いてもよい。球状内容物20が変形可能でない形態としては、(b1)弾性又は柔軟性を有しない固体、(b2)粉体、液体、固体、又は半固体が内容物として充填されたハードカプセル等が挙げられる。
【0042】
前記(b1)の形態としては、飴、ガム等といった菓子や錠剤、サプリメント等の食品、玩具用鉄砲等の玩具、粉体を球状に固めた入浴剤や洗剤等が挙げられる。
前記(b2)における前記内容物としては、前記(a2)の内容物として挙げたものを用いることができる。
前記(b2)におけるハードカプセルは、ゼラチン、デンプン、寒天、プルラン、セルロース、カラギーナン等により形成できる。前記(b2)の形態としては、錠剤、サプリメント等の食品、医薬品等が挙げられる。また食品及び医薬品以外に、例えば、肥料や飼料を前記ハードカプセルに内包させた、園芸肥料や養魚飼料等が挙げられる。
【0043】
上述した球状内容物20の球径は、特に制限されないが、例えば好ましくは5mm以上20mm以下であり、より好ましくは10mm以上15mm以下である。球状内容物20が変形可能でない場合、該内容物の球径は、変形前の球径である。なお、球状内容物20の球径とは、その最小径をいう。
球状内容物20の形状は、略真球であってもよく、楕円球であってもよい。球状内容物20が楕円球である場合、楕円球をその長手方向(長軸方向)に沿って視たとき、該楕円球の短手方向(短軸方向)断面のうち、直径が最大となる断面の直径を、球状内容物20の球径とする。また、容器1内に吐出方向Vに延びる配列構造(ガイド)を設け、楕円球の長手方向と吐出方向が一致するように、吐出される楕円球の向きを整えることが好ましい。
【0044】
次に、本実施形態に係る容器1の各構成部材の形成材料について説明する。
スクイズによる変形性の観点から、容器本体10は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の柔軟な樹脂により形成されていることが好ましい。また、容器本体10は、これらの樹脂層、アルミニウム箔やバリア性樹脂や吸着剤等によるバリア層を一種以上用いた積層体又は複合体から構成されていてもよい。
【0045】
口首部11は、弾性を有する場合、弾性樹脂により形成されている。弾性樹脂としては、例えば、SBS(スチレン-ブタジエン-スチレン)、SIS(スチレン-イソプレン-スチレン)、SEBS(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン)、SEPS(スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン)等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー(エチレン系のα-オレフィンエラストマー、エチレン・ブテン・オクテン等を共重合したプロピレン系エラストマー)、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、シリコーンゴム、EPDM(エチレン-プロピレンゴム)等が挙げられ、これらの一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。前述した物性を得る観点から、口首部11の形成材料としては、スチレン系エラストマーあるいはオレフィン系エラストマーが好ましい。
【0046】
口首部11が弾性を有しない場合、口首部11の形成材料としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)等のポリオレフィン、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ乳酸等の合成樹脂、金属等が挙げられる。
【0047】
次に本実施形態の容器1の製造方法について説明する。
容器本体10は、胴部18等を構成するチューブ体が、合成樹脂の押出成形により形成されている。これに代えて、容器本体10は、シート状の成形体を円筒状に丸めて重ねた側縁同士を融着させて形成されてもよい。
【0048】
本実施形態の容器1は、容器本体10の先端側の端部に、該容器本体10とは別体の口首部11を接合することで、形成されている。これに代えて、容器1は、容器本体10と口首部11とが一体成形されていてもよい。
【0049】
次に、
図4(a)~(d)を参照して、吐出口13の変形例について説明する。
図4(a)に示したように、吐出口13の形状は、筒形状であってもよい。つまり、吐出口13は、吐出口13の容器本体10との連設部分から先端開口部12に至るまで、吐出口13の直径が変わらない(直径が一定の)形状であってもよい。このように、吐出口13が、筒形状である場合、吐出口13の直径が一定で変わらないので、吐出口13の全体が小径部16ともなる。
【0050】
図4(b)に示したように、吐出口13の形状は、先細り形状と逆先細り形状とを結合したような形状であってもよい。すなわち、吐出口13は、吐出口13の容器本体10との連設部分から所定位置までは、吐出口13の直径が徐々に減少していく先細り形状となっており、その先は、吐出口13の直径が最も小さくなった位置(小径部16)から、反対に、吐出口13の直径が徐々に増加していく逆先細り形状となっている。このように、吐出口13の途中(経路途中)に小径部16が存在しているような形状、すなわち、先端開口部12が、必ずしも小径部16とはならないような形状であってもよい。なお、ここに示した吐出口13は、先細り形状と逆先細り形状とが一体的に形成されたものであっても、当該2つの部材を連結して形成されたものであってもよい。
【0051】
図4(c)に示したように、吐出口13の形状は、先細り形状と筒形状とを結合したような形状であってもよい。すなわち、吐出口13は、吐出口13の容器本体10との連設部分から所定位置までは、吐出口13の直径が徐々に減少していく先細り形状となっており、その先は、吐出口13の直径が最も小さくなった位置(小径部16)から吐出口13の直径が一定で変化しない筒形状となっている。なお、ここに示した吐出口13は、先細り形状と筒形状とが一体的に形成されたものであっても、当該2つの部材を連結して形成されたものであってもよい。
【0052】
図4(d)に示したように、吐出口13の形状は、容器本体10との連設部分から直径がなめらかに減少し、全高の約半分の高さ位置から直径がなめらかに増加する、内側に向けて湾曲した形状であってもよい。この場合、吐出口13の全高の約半分の高さ位置に小径部16が形成される。
【0053】
本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。本発明の効果が奏される限りにおいて、本発明の容器と球状内容物とからなる製品は、球状内容物を収容する容器としての用途の他に、例えば、おもちゃ、リフレッシュグッズとしても使用することができる。また、先端開口部の面積を変えることで、音(高音や低音など)や振動(短く強い振動、長く緩やかな振動など)を変えることができる。さらに、球状内容物20や口首部11(吐出口13)に用いる材質や、先端開口部12の形状、大きさにより、感覚フィードバックを変えることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 容器
10 容器本体
11 口首部
12 先端開口部
13 吐出口
14 切欠き部
15 連設部
16 小径部
17 螺条
18 胴部
19 エンドシール部
20 球状内容物
30 使用者