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  • 特許-加湿装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】加湿装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
F24F6/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021066057
(22)【出願日】2021-04-08
(65)【公開番号】P2022161330
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 直紀
(72)【発明者】
【氏名】阿部 利浩
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 隆宏
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-133942(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0080418(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0168973(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に装着され、水を貯える水槽部と、
前記水槽部の水から加湿空気を発生させる加湿手段と、
前記水槽部の水位を検知する水位検知部と、
前記水槽部を第一空間と、前記第一空間と連通する第二空間に区画する仕切板と、
前記仕切板と前記水位検知部とを連結してなる仕切部を前記水槽部に着脱自在とする着脱手段とを備え、
前記着脱手段は、磁石対または磁石と磁性体からなり、
前記着脱手段は、前記第一空間に設けられる第一着脱手段と、前記第二空間に設けられる第二着脱手段を有し、
前記第一着脱手段は、前記第二着脱手段よりも前記仕切板からの距離が大きく、吸着力が小さい加湿装置。
【請求項2】
前記第二着脱手段は、前記仕切板の水平方向の長さを二等分する直線に対し、対称となるように設けられる請求項に記載の加湿装置。
【請求項3】
前記着脱手段は前記磁石対であって複数設けられており、
前記磁石対のうち少なくとも一つは、他の磁石対と磁極が異なる請求項1または2に記載の加湿装置。
【請求項4】
前記着脱手段の吸着力は、前記水槽部の荷重より小さい請求項1に記載の加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空気の加湿を行う加湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、加湿装置は、一定量の水を貯留する水槽部を内部に備え、水槽部に貯えられた水を加湿手段によって気化させるなどして加湿空気を発生させるようになっている。水槽部には、貯留された水の水位を検知する水位検知部や、水槽部を区画する仕切板が設けられている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-146031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、水を貯える水槽部の底部は常に水に浸かった状態であり、水に浸かった部分には水垢などの汚れが付着する。この汚れを放置すると雑菌が繁殖して臭いが発生する原因になるため、水槽部を定期的にメンテナンスする必要がある。一般的に、水槽部は本体に着脱自在となっていて、水槽部をメンテナンスするときには本体から取り外して水洗いをするようになっている。
【0005】
しかしながら、特許文献1の構造では、水位検知部や仕切板などの水槽部に設けられた部品を取り外すことができないため、これらの部品の周辺は水洗いしにくく、汚れが残りやすい。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、水位検知部や仕切板などの水槽部に設けられている部品を着脱自在とすることで、メンテナンス性に優れた加湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、本体と、
前記本体に装着され、水を貯える水槽部と、
前記水槽部の水から加湿空気を発生させる加湿手段と、
前記水槽部の水位を検知する水位検知部と、
前記水槽部を第一空間と、前記第一空間と連通する第二空間に区画する仕切板と、
前記仕切板と前記水位検知部とを連結してなる仕切部を前記水槽部に着脱自在とする着脱手段とを備え、
前記着脱手段は、磁石対または磁石と磁性体からなり、
前記着脱手段は、前記第一空間に設けられる第一着脱手段と、前記第二空間に設けられる第二着脱手段を有し、
前記第一着脱手段は、前記第二着脱手段よりも前記仕切板からの距離が大きく、吸着力が小さい加湿装置である。
【発明の効果】
【0008】
上述のように構成することにより、水位検知部や仕切部を水槽部に容易に着脱することができるため、メンテナンス性に優れた加湿装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の加湿装置の外観斜視図である。
図2】本実施形態の加湿装置の構成を示す外観図である。
図3】貯水部を構成する部品を示す分解図である。
図4】本実施形態の貯水部の上面図である。
図5】着脱手段の配置の別実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0011】
本発明は、本体に装着されて水を貯える水槽部と、この水槽部の水から加湿空気を発生させる加湿手段と、水槽部の水位を検知する水位検知部と、水位検知部を前記水槽部に着脱自在とする着脱手段と、を備えた加湿装置であって、着脱手段が磁石対または磁石と磁性体からなる。これにより、水位検知部を水槽部から容易に取り外すことができ、水槽部の水洗いがしやすくなる。また、水位検知部を水槽部に取り付けるときは、水位検知部は磁石の引力により正しい取り付け位置に誘導されるため、位置ずれなども起こらず正確に水位を検知することができる。
【0012】
本発明は、本体に装着されて水を貯える水槽部と、この水槽部の水から加湿空気を発生させる加湿手段と、水槽部の水位を検知する水位検知部と、水槽部を第一空間と、第一空間と連通する第二空間に区画する仕切板と、仕切板と水位検知部とを連結してなる仕切部を水槽部に着脱自在とする着脱手段と、を備えた加湿装置であって、着脱手段が磁石対または磁石と磁性体からなる。これにより、仕切部を水槽部から容易に取り外すことができ、水槽部の水洗いがしやすくなる。また、仕切部を水槽部に取り付けるときは、仕切部は磁石の引力により正しい取り付け位置に誘導されるため、位置ずれなども起こらず正確に水位を検知することができる。
【0013】
また、着脱手段は、第一空間に設けられる第一着脱手段と、第二空間に設けられる第二着脱手段を有し、第一着脱手段は、第二着脱手段よりも仕切板からの距離が大きく、かつ吸着力が小さい。第一着脱手段と第二着脱手段を設けることで、仕切板を水槽部に安定して立設させられる。また、仕切板を第二空間側へ倒すと、第一着脱手段が容易に外れるため、着脱手段を複数設けても仕切部が取り外しやすい。
【0014】
また、第二着脱手段は、仕切板の水平方向の長さを二等分する直線に対し、対称となるように設けられる。これにより、第一着脱手段を外した後、仕切部を上方に持ち上げて水槽部から外すとき、仕切板が水槽部の側壁にぶつかりにくくなり、仕切部が取り外しやすい。
【0015】
また、着脱手段は磁石対であって複数設けられており、磁石対のうち少なくとも一つは、他の磁石対と磁極が異なる。これにより、水位検知部や仕切部を誤った向きで取り付けようとすると、磁石の斥力により取り付けられないため、誤組を防止することができる。
【実施例
【0016】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。
【0017】
図1は本実施形態の加湿装置の外観斜視図であり、図2は本実施形態の加湿装置の構成を示す外観図である。加湿装置の本体1の上面には、加湿装置の動作を指示するためのスイッチや運転状態を表示するランプ等が複数設けられた表示操作部2と、加湿空気を吹き出す吹出口3が設けられている。また、本体1の側面には室内の空気を本体1に取り入れるための吸込口4が設けられ、後述する水槽部7に水を供給する給水タンク5が本体1に着脱自在に設けられている。本実施形態の加湿装置では、給水タンク5として、第一給水タンク5a、第二給水タンク5bの2つのタンクを備えているが、給水タンク5は1つでもよい。そして本体1の正面には、給水タンク5内の水量を確認することのできる水量窓6が設けられている。
【0018】
また、本体1の底部には、給水タンク5(第一給水タンク5a、第二給水タンク5b)から水が供給されて一定量の水を貯える水槽部7を備えている。この水槽部7内には、加湿手段として吸水性を有する気化フィルタ8(8a、8b)が配置されていて、気化フィルタ8は一部が水槽部7内の水に浸漬されており、この水を吸い上げることにより湿潤している。水槽部7は天面が開口した箱形状であり、2つの給水タンク5a、5bを取り外すと本体1の挿入口1aから引出せるように摺動可能に設けられている。
【0019】
図3は、貯水部を構成する部品を示す分解図である。貯水部9は、上述の水槽部7と、水槽部7に立設する仕切板12と、水槽部7内の水位を検知する水位検知部13とを備えている。仕切板12と水位検知部13とは連結されて仕切部11を成し、水槽部7に着脱自在に設けられている。
【0020】
本実施形態では、水位検知部13と仕切板12は別の部材で構成されていて、分解することができるが、水位検知部13はねじ止めにより仕切板12に連結されている。なお、水位検知部13と仕切板12は連結せずに別部品としてもよい。
【0021】
水槽部7は仕切板12によって第一空間14と第二空間15に区画されており(図4参照)、本実施形態では第一空間14に給水タンク5が収容され、第二空間15には気化フィルタ8が収容される。そして、この仕切板12には、第一空間14と第二空間15とを連通する連通孔12aが設けられていて、給水タンク5から水槽部7に供給された水は、第一空間14からこの連通孔12aを介して第二空間15に流入し、水槽部7には一定量の水が貯えられて定水面が形成される。
【0022】
水位検知部13は、水槽部7内の水位に応じて上下に回動するフロート16と、フロート16が装着される枠体17を備えている。枠体17には磁石が設けられており、水槽部7に設けられた図示しない磁石と対を成し、水位検知部13を水槽部7に着脱自在とする着脱手段20となっている。なお、着脱手段20は磁石と磁性体の組合せとしてもよい。
【0023】
上記構成の加湿装置では、表示操作部2の運転スイッチを操作して運転開始の指示を行うと、図示しない送風機が駆動される。送風機が駆動されると、室内の空気が吸込口4から本体1内に取り入れられ、取り入れられた空気は気化フィルタ8を通過する際に加湿空気となって吹出口3から排出されて加湿運転が行われる。
【0024】
なお、加湿運転を長期に亘って行うと、水槽部7には水垢やスケールなどの汚れが付着するので、加湿装置は水槽部7の清掃時期を判断して、使用者に報知するようになっている。例えば、加湿装置の稼働時間を計測し、稼動時間が所定時間に達すると表示操作部2のランプを点灯したり、警報音を出すなどして使用者に報知する。使用者はこの報知に基づき、水槽部7のメンテナンスを行う。水槽部7のメンテナンスとは、具体的には水槽部7内に溜まっている水を捨て、水槽部7を水洗いすることにより行われる。
【0025】
水槽部7を水洗いするとき、仕切部11は水槽部7に磁力により着脱自在とされているため、水槽部7から容易に取り外すことができる。仕切部11を取り外すと、水槽部7の凹凸が少なくなるため水槽部7の水洗いが容易になり、かつ、取り外した仕切部11も水洗いすることで汚れを容易に落とすことができる。また、使用者が誤って仕切部11を持って貯水部9を持ち上げようとした場合、仕切部11が容易に外れるため、着脱手段20に力が集中して破損することがない。
【0026】
なお、着脱手段20の吸着力は、水槽部7の荷重より小さいものにしてもよい。仕切部11を持って水槽部9を持ち上げようとしても、水槽部9の荷重がかかることで仕切部11が外れて持ち上げることはできない。よって、水槽部7が落下して破損するのを防ぐことができる。
【0027】
仕切部11を水槽部7に取り付けるときには、正確な水位を検知するために正しい位置に取り付ける必要があるが、仕切部11は磁石の引力により正しい取り付け位置に誘導される。そのため、位置ずれなども起こらず正確に水位を検知することができる。
【0028】
なお、本実施形態では水位検知部13と仕切板12が連結されている構造にもとづき説明したが、仕切板12を備えず水位検知部13のみが水槽部7に着脱自在に設けられていてもよい。
【0029】
次に、着脱手段20の配置について説明する。図4は、本実施形態の貯水部の上面図である。図において、仕切板12の水平方向の長さを二等分する直線Lを一点鎖線で示している。水位検知部13の枠体17は上面視で略長方形となっており、仕切板12の水平方向(長手方向)の略中央部分で仕切板12と連結している。枠体17の両端にはそれぞれ磁石が設けられており、第一空間14に設けられた磁石が第一着脱手段20aを成し、第二空間15に設けられた磁石が第二着脱手段20bを成している。第一着脱手段20aと第二着脱手段20bを設けたことで、仕切板12を水槽部7に安定して立設させられる。なお、着脱手段20の数は本実施形態に限定されず、複数設けられていればよい。
【0030】
このとき、複数設けられた着脱手段20を磁石対とし、そのうち少なくとも一つは、他の磁石対と磁極が異なるようにしてもよい。本実施形態では、第一着脱手段20aは仕切部側磁石がS極で、水槽部側磁石がN極である。一方、第二着脱手段20bは仕切部側磁石がN極で、水槽部側磁石がS極である。
【0031】
また、第一着脱手段20aを、第二着脱手段20bよりも仕切板12からの距離が大きくなる位置に設けて、かつ、第二着脱手段20bよりも磁石の吸着力が小さくなるようにしてもよい。なお、本実施形態では、仕切板12と第一着脱手段20aの間にフロート16を配置したが、フロート16の位置はこれに限定されない。
【0032】
さらに、第二着脱手段20bは、直線Lに対して対称となるように設けてもよい。ここでは、第二着脱手段20bの中心が直線L上にある場合も対称に含める。また、本実施形態では、直線Lに対して第一着脱手段20aも対称となっているが、第一着脱手段20aは対称でなくてもよい。
【0033】
なお、着脱手段20は、水位検知部13にだけでなく、仕切板12に設けることもできる。図5は、着脱手段の配置の別実施例を示す図である。なお、図5において、図4と同様に仕切板12の水平方向の長さを二等分する直線Lを一点鎖線で示している。別実施例においては、第二着脱手段20bを成す磁石が仕切板12に二つ設けられている。このように、第二着脱手段20bを複数設け、直線Lに対して対称となるように配置することもできる。また、第一着脱手段20aを成す磁石は、水位検知部13の枠体17の一端に設けられており、枠体17の他端には仕切板12が連結されている。
【0034】
図4および図5の構成において、上述の仕切部11を取り外すときには、まずは水槽部7に立設した仕切板12に手をかけて、第二空間15側に倒す。このとき、第一着脱手段20aを第二着脱手段20bよりも仕切板12からの距離が大きくなる位置に設けたことで、視覚的に仕切板12を倒す方向を認知させることができる。また、第一着脱手段20aの吸着力を第二着脱手段20bよりも小さくしているため、仕切板12を傾けることで第一着脱手段20aを容易に外すことができる。続けて、仕切部11を上方へ持ち上げて第二着脱手段20bを外し、仕切部11を水槽部7から取り外す。このとき、第二着脱手段20bが直線Lに対して対称となっていることで、仕切部11が傾くことなく、真っすぐ引き抜けるため、仕切部11を取り外しやすい。
【0035】
また、複数設けられた磁石対のうち少なくとも一つは、他の磁石対と磁極が異なるようにしたことで、磁石の斥力により、仕切部11を取り付けるときに誤った向きでは取り付けられない。これにより、誤組を防止することができる。なお、水位検知部13を複数の磁石対で着脱自在とした場合も同様に誤組を防止できる。
【符号の説明】
【0036】
1 本体
7 水槽部
8 加湿手段(気化フィルタ)
11 仕切部
12 仕切板
13 水位検知部
14 第一空間
15 第二空間
20 着脱手段
20a 第一着脱手段
20b 第二着脱手段
図1
図2
図3
図4
図5