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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】締結構造
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/02 20060101AFI20240823BHJP
   F16B 43/00 20060101ALI20240823BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
F16B5/02 B
F16B43/00 Z
F16B5/06 Q
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021078290
(22)【出願日】2021-05-06
(65)【公開番号】P2022172501
(43)【公開日】2022-11-17
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100088708
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大輔
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-155235(JP,U)
【文献】特表2006-509972(JP,A)
【文献】特開2019-044892(JP,A)
【文献】特開2013-024255(JP,A)
【文献】実開昭62-137743(JP,U)
【文献】特開2012-052599(JP,A)
【文献】特開2017-025989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/00- 5/12
F16B 23/00- 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトやクリップ等の締結手段を介し本体部を取付部材に固定する締結構造において、
前記本体部は、前記取付部材に設けられた取付孔に対する締結部として、挿入孔を有したプレートと、前記プレートを本体部配置面に沿って移動可能に支持する保持部とを備え、また、前記保持部は、前記プレートを間に挟持するよう複数設けられ、かつ前記本体部に一体化された連結部から前記プレートの周縁に沿って両側に延出した部分で前記プレートを挟持可能であり、
前記締結手段による締結時に前記プレートが前記保持部を介し前記プレートの挿入孔と前記取付孔との整合位置まで移動されることにより前記挿入孔と前記取付孔の位置寸法の誤差を吸収することを特徴とする締結構造。
【請求項2】
前記保持部は弾性変位するよう設けられていることを特徴とする請求項1に記載の締結構造。
【請求項3】
前記保持部は、前記プレートの周縁と嵌合する嵌合爪を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の締結構造。
【請求項4】
前記保持部は、前記プレートを本体部配置面の初期位置にセンタリングする機能を有し、前記初期位置から前記締結手段により前記挿入孔と前記取付孔とを同軸にする操作で前記プレートを移動して前記挿入孔と前記取付孔の位置寸法の誤差を吸収することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の締結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、締結手段により本体部を取付部材に固定する際に本体部の挿入孔と取付部材の取付孔がずれてもその寸法公差を吸収可能にした締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は特許文献1に開示の締結構造を示し、(a)は本体部(支持部材)の斜視図、(b)は本体部の正面視方向の断面図、(c)は本体部の側面視方向の断面図である。この締結構造では、ボルト40を介して樹脂製の本体部20を取付部材(ボディ)50に固定するものであり、本体部20に設けられた装着部23、及び装着部23に配置されるプレート60を備えている。プレート60は金属製であり、ボルト40を挿通する挿入孔63と、平板の一方側縁から立ち上げられた立上片62とを有している。装着部23は、一方側壁25に突設されて装着部23からプレート60の抜け出しを規制する弾性ロック部34と、他方側壁24に設けられて立上片62と遊嵌するガイド溝28及びガイド溝28の上側に突出して立上片62の抜け出しを規制する上側覆い部31とを有している。
【0003】
この締結構造では、プレート60が装着部23にあって両側壁24,25間に左右方向に遊びを持って配置される。すなわち、プレート60の配置状態では、弾性ロック部34がプレートの側縁部に対し隙間を保って対向し、隙間内でプレート60の動きを許容しつつプレートの抜け出しをロック部下端の係止面37及び上側覆い部31で規制する。そして、本体部20を取付部材50に取り付けるに際し、取付部材50のボス部51の上端面に装着部23が載置され、ボス部のねじ孔52にプレート60の挿入孔63が連通するよう位置合わせされる。
【0004】
以上の効果としては、プレートと弾性ロック部との間に生じ得るガタ付きの範囲内でプレートが動き得るため、樹脂製の本体部と金属製のプレートとの間の熱膨張差を吸収することができる。また、プレートの一方側をガイド溝側に位置させ、プレートの他方側を弾性ロック部側に位置させるようにして、プレートの取り付けを行うことができるため、弾性ロック部から過大な弾性反力を受けるのを防止することができ、取り付けの操作性に優れると記載されている(段落0007)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許6481860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1の構造では、プレートの移動が装着部を区画している両側壁(24,25)及び端壁(26)により規制されるため、取付部材のボス部に設けられたねじ孔に対するプレートの挿入孔の寸法誤差が大きくなると、寸法誤差を吸収できなくなる懸念がある。また、プレートは、ボルトで固定されるまで任意の位置に配置されるため、プレートの初期位置が定まっておらず作業性や取扱性に欠ける。
【0007】
そこで、本発明の目的は、以上のような課題を解消して、取付部材の取付孔に対するプレートの挿入孔の位置寸法の誤差が大きくても、その誤差をプレートを介して許容して締結手段により固定できる締結構造を提供することにある。他の目的は以下の内容説明の中で明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、図面を参照して特定すると、ボルトやクリップ等の締結手段(F)を介し本体部(2)を取付部材(1)に固定する締結構造において、前記本体部(2)は、前記取付部材(1)に設けられた取付孔(1c)に対する締結部として、挿入孔(4c)を有したプレート(4)と、前記プレートを本体部配置面(2a)に沿って移動可能に支持する保持部(3)とを備え、また、前記保持部(3)は、前記プレート(4)を間に挟持するよう複数設けられ、かつ前記本体部に一体化された連結部から前記プレートの周縁に沿って両側に延出した部分(3b)で前記プレートを挟持可能であり、前記締結手段による締結時に前記プレートが前記保持部を介し前記挿入孔(4c)と前記取付孔(1c)との整合位置まで移動されることにより前記挿入孔と前記取付孔の位置寸法の誤差を吸収することを特徴としている。
【0009】
以上の本発明において、締結手段としては、図5に例示したようなボルトや図6に例示したクリップ、それらに類似の部材を含む。また、ボルトに用いられるナットは、取付孔に対応して取付部材に溶着等により予め装着される構成、更に特許文献1のごとく取付部材にボルト用のねじ孔を形成する構成でもよい。クリップは、単一構成に限られず例えば雄・雌部材構成であっても差し支えない。
【0010】
以上の本発明は請求項2から6のごとく具体化されることがより好ましい。すなわち、
(ア)、請求項1において、前記保持部は弾性変位するよう設けられている構成である(請求項2)。
【0011】
(イ)、請求項1又は2において、前記保持部は、前記プレートの周縁と嵌合する嵌合爪(3c)を有している構成である(請求項3)
(ウ)、請求項1から3の何れかにおいて、前記プレートを本体部配置面の初期位置にセンタリングする機能を有し、前記初期位置から前記締結手段により前記挿入孔と前記取付孔とを同軸にする操作で前記プレートを移動して前記挿入孔と前記取付孔の位置寸法の誤差を吸収する構成である(請求項4)
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明は、本体部が取付部材に設けられた取付孔に対する締結部として、挿入孔を有したプレートとプレートを本体部配置面に沿って移動可能に支持する保持部とを備え、締結手段による締結時にプレートが保持部を介し挿入孔と取付孔との整合位置まで移動されることにより挿入孔と取付孔の位置寸法の誤差を吸収するため、特許文献1の締結構造に比べ、締結操作時、取付部材の取付孔と、本体部の挿入孔の位置寸法の誤差が大きくても、その誤差をプレートを介して許容して締結手段で固定できる。この利点は、特に本体部及び取付部材が多数の箇所で締結する場合に便利なものとなる。
【0013】
また、本発明では、保持部がプレートを間に挟持する複数で構成されていると、形態例のごとくプレートを安定支持できる。また、本発明では、保持部が本体部との連結部からプレートの周縁に沿って両側に延出した部分でプレートを挟持するため、プレートを両側に延出した部分でより安定支持できる。
【0014】
請求項2の発明では、保持部が本体部に対し弾性変位するため、例えば図2のごとくプレートを保持部を介して初期位置に弾性支持したり初期位置から移動するときに保持部の弾性変位を伴うことでプレートのがたつき発生を防ぐことができる。
【0015】
請求項3の発明では、保持部がプレートの周縁と嵌合する嵌合爪を有しているため、プレートから不用意に外れるという虞がなくなり、プレートを本体部配置面に沿って動かす際に嵌合爪の存在によりプレートを確実に調整位置まで移動し易くなる。
【0016】
請求項4の発明では、保持部がプレートを本体部配置面の初期位置にセンタリングする機能を有し、図2に例示されるごとく初期位置から図5に例示されるごとく締結手段により挿入孔と取付孔とを同軸にする操作でプレートを移動して挿入孔と取付孔の位置寸法の誤差を吸収する。この構成では、組付け時にプレートの位置が初期位置に決まっているため作業性及び取扱性に優れており、初期位置から挿入孔と取付孔の必要公差分動かすことで位置寸法の誤差を効率よく吸収可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】発明形態の締結構造として、(a)はプレートを配置しない状態を示す上面図、(b)はプレートを保持部に支持した状態を示す上面図である。
図2】(a)は図1のA-A線拡大断面図、(b)は図1のB-B線拡大断面図である。
図3】(a)はプレート配置前の本体部上面側模式図、(b)はプレート配置後の本体部上面側模式図、(c)はその本体部下面側模式図である。
図4】(a)はプレートの挿入孔が取付部材の取付孔に対しX2方向へL寸法ずれている態様での本体部上面側模式図、(b)は(a)のA1-A1線拡大断面図である。
図5】(a)は図4(a)から締結手段であるボルトにより本体部を取付部材に固定した態様での本体部上面側模式図、(b)は(a)のA2-A2線拡大断面図である。
図6】締結手段としてクリップを用いた2つの変形例を示し、(a)は単一クリップにより本体部を取付部材に固定した態様での拡大断面図、(b)は雄雌クリップにより本体部を取付部材に固定した態様での拡大断面図である。
図7】特許文献1の締結構造を示し、(a),(b),(c)は特許文献1に開示の図1図3及び図5を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の最適な形態を図面を参照しながら説明する。この説明では、締結構造の形態例とその要部作動、変形例1と2の順に詳述する。
【0019】
(形態例)この締結構造は、図1図3に示されるように、締結手段Fを介し本体部2を取付部材1に固定するものである。発明の動機付けは、取付部材1である車両用バッテリーケースに対し本体部2であるバッテリーカバーを複数のボルト等の締結手段Fにより固定する場合、本体部2に設けられた不図示の複数の挿入孔が寸法誤差によって取付部材1の対応する各取付孔1cに同軸に重ねられないようなとき、その対策として工夫されたものである。要部は、本体部2に対し挿入孔4cを有したプレート4を全方向に所定寸法だけ動くように保持部3で保持しておき、挿入孔4cが目的の取付孔1cに重ねられない場合、本体部2に対してプレート4を保持部3を介して動かすことで寸法公差を吸収可能にしたものである。以下、これらの細部を明らかにする。
【0020】
なお、この締結構造は、取付部材1及び本体部2がバッテリーケースとバッテリーカバーのような比較的大きなもので、特に本体部2が取付部材1に対し複数の締結手段Fにより固定される場合に好適である。
【0021】
ここで、取付部材1は、樹脂成形品であるが、樹脂以外でも差し支えない。取付部材1には、締結手段Fを貫通させる取付孔1cが設けられている。取付孔1cは円形孔であり、図では一個しか図示していないが、実際には複数箇所に設けられている。符号1aと1bは取付部材の上面と下面である。
【0022】
本体部2は、樹脂成形品であり、取付孔1cと対応する箇所に設けられて取付孔1cより一回り大きな挿入孔2cと、上面2aにあって挿入孔2cより一回り外側に突設された複数の保持部3とを有している。上面2aはプレート4を配置する本体部配置面となる。符号2bは取付部材1に重ねられる下面である。なお、挿入孔2c及び複数の保持部3は、取付孔1cと同様に図示を省略しているが、実際には複数箇所に設けられている。
【0023】
挿入孔2cは、プレート4を所定距離だけ全方向へ移動可能に配置する大きさの円形孔である。各保持部3は、プレート4を間に挟み込むよう設けられており、本体部上面2aに一体化した連結部3aから両側へ延出した部分3b,3bと、各部分3bの先端に設けられた嵌合爪3cとを有している。また、各保持部3は、連結部3a及び連結部両側の延出した部分3bで概略円弧状となっている。符号3dは各保持部3の外周側にあって連結部3aに接合した状態に設けられた補強リブである。
【0024】
部分3b、3bは、図1のごとく連結部3aの両側に位置しプレート4の円周とほぼ同じ曲率の円弧に延びていると共に、図2のごとく上面2aと隙間Gを保っている。このため、各部分3bは、プレート4から応力を受けると連結部3aを支点として弾性変位可能となっている(図5を参照)。嵌合爪3cは、各部分3bの先端内周側に設けられてプレート4の外周縁部を上面2aとの間に挟み込む凸形状となっている。そして、各嵌合爪3cは、プレート4の移動を部分3bの弾性変位により許容し、かつ、プレート4を複数箇所で拘束して上面2aから浮き上がったり外れないよう拘束する。
【0025】
プレート4は、金属製であり、本体部の挿入孔2cより外径の大きい径大部4aと、挿入孔2cより外径の小さい径小部4bとからなり、全体が二段の円盤状となっている。そして、プレート4は、径大部4aが本体部の上面2aに当接するまで、径小部4bが本体部2の挿入孔2cに対し全方向に所定距離だけ移動自在に挿入される。なお、プレートは、金属製に限られず例えば硬質樹脂製等でもよい。
【0026】
以上のプレート4は、対向配置された保持部3同士の間に各嵌合爪3cを介して挟持されている。つまり、保持部3,3同士は、連結部3aから両側へ延出した部分3b,3bの先端側でプレートの径大部4aを間に挟み込み、かつ各延出した部分3bの先端の嵌合爪3cでプレートの径大部4aの外周と嵌合している。付言すると、プレート4は、挿入孔2cに径小部4bを遊嵌した状態で、挿入孔2cの孔径と径小部4bの外径の差寸法Mだけ移動自在に支持される。そして、プレート4は、図1(b)及び図2に示されるごとく対向している嵌合爪3c同士の間でセンタリングされている。
【0027】
従って、図1(b)及び図2では、取付部材1(の取付孔1c)と本体部2(の挿入孔2c)とが位置ずれしていない例を示し、取付孔1cとプレートの挿入孔4cは同軸上に配置されている。これに対し、図4及び図5は、取付部材1(の取付孔1c)と本体部2(の挿入孔2c)とがL寸法だけ位置ずれしている例を示している。この場合は、締結手段であるボルト5を挿入孔4cから取付孔1cに差し込むとき、本体部2に対するプレート4の保持部3の弾性に抗した移動を伴って位置ずれを吸収し、その状態でナット6で締め付けられることになる。
【0028】
(要部作動)以上の締結構造では、以下のような優れた作用効果を有している。
(1)、本体部2が取付部材1に設けられた取付孔1aに対する締結部として、挿入孔4cを有したプレート4と、プレート4を上面2aである本体部配置面に沿って移動可能に支持する保持部3とを備え、締結作業時にプレート4が保持部3の弾性変位を伴って挿入孔4cと取付孔1cとの整合位置まで移動されることにより挿入孔4cと取付孔1cの位置寸法の誤差を吸収する。このため、この締結構造は、特許文献1の締結構造に比べ、締結操作時、取付部材の取付孔1cと、本体部2の挿入孔2cないしはプレート4の挿入孔4cの位置寸法の誤差が大きくても、その誤差をプレート4の本体部2に対する全方向の移動を介し許容して締結手段Fにより固定できる。このような締結構造は、特に本体部2及び取付部材1が多数の箇所で締結する場合に有効に機能し便利なものとなる。
【0029】
(2)、この締結構造では、上記したようにプレート4を上面2aである本体部配置面の初期位置にセンタリングする機能を有し、図2に示される初期位置から締結手段Fにより挿入孔4cと取付孔1cとを同軸にする操作で図5に例示されるごとくプレート4を保持部3の弾性力に抗し移動して挿入孔4cと取付孔1cの位置寸法の誤差を吸収できる。このため、この締結構造は、位置寸法の誤差が大きくても確実にその誤差をプレート4の移動により吸収可能となる。換言すると、組付け時にプレート4の位置が初期位置に定まっているため作業性及び取扱性に優れており、しかも初期位置から挿入孔4cと取付孔1cの必要公差分動かすことで位置寸法の誤差を効率よく吸収可能となる。
【0030】
(3)、この締結構造では、各保持部3の延出した部分3bが本体部2に対し弾性変位するため、例えば図2のごとくプレート4を保持部3を介し初期位置に弾性支持したり初期位置から移動するときに保持部3の弾性変位を伴うことでプレート4のがたつき発生を防ぐことができる。また、この締結構造では、保持部3がプレート4を間に挟持する2つで構成されているため、形態例のごとくプレート4を安定支持できる。但し、形態例では、対向した一対の保持部3からなるが、例えば、保持部3を連結部3aで2分割することで、合計4つの保持部構成とすることも可能である。
【0031】
(4)、この締結構造では、保持部3が本体部2との連結部3aからプレート4の周縁に沿って両側に延出した部分3bでプレートを挟持するためプレート4をより安定支持できる。また、保持部3がプレート4の周縁と嵌合する嵌合爪3cを有しているため、プレート4から不用意に外れるという虞がなくなり、しかもプレート4を上面2aである本体部配置面に沿って動かす際に嵌合爪3cの存在によりプレート4を確実に調整位置まで移動し易くなる。
【0032】
(変形例)図6は、締結手段Fとして以上のボルトに代えてクリップを用いた2例を図5(b)に対応して示している。この説明では、変更した部材に新たな符号を付けて変更した構成のみ詳述する。
【0033】
図6(a)は単一クリップを用いた構成である。すなわち、このクリップ7は、傘状の頭部7aと、頭部7aの内側中央部に突設されてプレートの挿入孔4cに嵌合する胴部7bと、胴部7bに下設された脚部7cと、脚部7cの先端から両側に折り返された錨状の係止片部7d,7dとからなる。そして、クリップ7は、各係止片部7dが挿入孔4cから取付孔1cに差し込まれ、その差込過程でプレート4の位置を移動して最終的に取付孔1cを縮径しつつ通過し、通過と同時に同図のごとく取付孔1cの下縁部に係合して本体部2を取付部材1に固定する。
【0034】
図6(b)は締結手段Fが雄雌部材からなるクリップを用いた構成である。すなわち、この締結手段Fにおいて、雄部材8は、頭部8a及び頭部から垂設された支柱8b並びに支柱に設けられた不図示の係止突起を有している。雌部材9は、支柱8bを挿入する筒部9b及び筒部9bの上外周に張り出したフランジ9a並びに筒部9bに連設されスリットを介して拡開可能な係止脚9c,9cとを有している。
【0035】
そして、このクリップでは、雄部材の支柱8bが雌部材の筒部9bに所定寸法だけ挿入された仮止め状態から、筒部9bが挿入孔4cから取付孔1cに差し込まれ、その差込過程でプレート4の位置を移動して最終的に取付孔1cを縮径しつつ通過し、通過と同時に同図のごとく各係止脚9cを取付孔1cの下縁部に係合して本体部2を取付部材1に固定する。細部は特開2015-72036号公報を参照されたい。
【0036】
以上のように、本発明は、請求項で特定される構成を備えておればよく、細部は変形例のごとく必要に応じて種々変更可能なものである。例えば、締結手段により本体部を取付部材に固定する場合は必要に応じて座金やパッキンを追加するようにしてもよい。また、図5のナットに代えて特許文献1のように取付部材の取付孔を雌ねじ形成する構成でもよい。また、保持部としては、断面コ字形ないしは逆L字形の片部同士の間にプレートを挟み込んだり断面ハ字形の保持部同士の間にプレートを挟み込む構成、更にヒンジ蓋構成、つまりプレートを内側に収まる大きさの開口を有した蓋を本体部に片側ヒンジを介して連結しておき、本体部上面に重ねる閉位置と立ち上げられる開位置とに切り換えるようにする構成でもよい。
【符号の説明】
【0037】
1・・・・・・・・取付部材(1cは取付孔)
2・・・・・・・・本体部(2cは挿入孔)
2a・・・・・・・上面(本体部配置面)
3・・・・・・・・保持部(3aは連結部)
3b・・・・・・・延出した部分
3c・・・・・・・嵌合爪
4・・・・・・・・プレート(4cは挿入孔)
4a・・・・・・・径大部
4b・・・・・・・径小部
5・・・・・・・・ボルト(締結手段)
6・・・・・・・・ナット
7・・・・・・・・クリップ(締結手段)
8・・・・・・・・クリップの雄部材(締結手段)
9・・・・・・・・クリップの雌部材(締結手段)
F・・・・・・・・締結手段
G・・・・・・・・隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7