(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240823BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021149608
(22)【出願日】2021-09-14
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【氏名又は名称】鈴木 順生
(72)【発明者】
【氏名】倪 放
(72)【発明者】
【氏名】進 博正
(72)【発明者】
【氏名】志賀 慶明
(72)【発明者】
【氏名】柿元 満
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-109381(JP,A)
【文献】国際公開第2020/203854(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1時刻を基準として気象予測データの取得対象となる対象時刻を示す第1情報に基づき、気象予測により前記気象予測データを生成する予測装置により前記気象予測が開始される第2時刻を基準として前記対象時刻を示す第2情報を算出する第1処理部
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記予測装置は、複数の前記第2時刻で前記気象予測を行うことにより複数の予測期間の気象予測データを生成し、
前記第1処理部は、複数の前記第2時刻のうち前記対象時刻が前記予測期間内で最も前記第1時刻に近い前記第2時刻を検出し、
前記第2情報は、検出した前記第2時刻を基準として前記対象時刻を示す
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記予測装置は、複数の前記第2時刻で前記気象予測を行うことにより複数の予測期間の気象予測データを生成し、
前記第1処理部は、前記対象時刻が前記予測期間内に含まれる前記第2時刻が2つ以上存在する場合に、2つ以上の前記第2時刻を検出し、検出した前記第2時刻ごとに、前記第2情報を生成する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記予測装置を示す情報と、前記第2時刻と、前記第2情報とを含む出力情報を端末に送信する出力処理部
を備えた請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数の前記予測装置は、前記気象予測データとして、1つ以上の気象変数を算出し、
前記気象変数に関する第1条件を満たす予測装置を、複数の前記予測装置から1つ以上選択する第2処理部を備え、
前記
出力処理部は、選択された前記予測装置に対する前記出力情報を送信する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1条件は、第3情報により指定される1つ以上の気象変数のうちの少なくとも1つを前記予測装置が算出する
ものであり、
前記出力情報は、前記第3情報により指定された1つ以上の気象変数のうち、選択した前記予測装置が算出する前記気象変数を示す情報を含む
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
複数の前記予測装置は、1つ以上の地点を対象として前記1つ以上の気象変数を算出し、
前記第2処理部は、前記地点に関する第2条件を満たす前記予測装置を選択する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第2条件は、第4情報により指定される1つ以上の地点のうち1つ以上の地点を前記予測装置が対象としていることであり、
前記出力情報は、前記第4情報により指定された1つ以上の地点のうち、選択した前記予測装置が対象とする前記地点を示す情報を含む
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記出力処理部は、前記第1条件を満たす前記気象変数として同じ気象変数を2つ以上の前記予測装置で算出される前記気象変数が含む場合、前記同じ気象変数について2つ以上の前記予測装置のうちいずれの予測装置が算出した気象変数を用いるかの選択依頼を端末に送信する
を備えた請求項5~8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
2つ以上の前記予測装置のうち推薦する予測装置を、2つ以上の前記予測装置のメタ情報に基づき決定する予測装置推薦部を備え、
前記選択依頼は、前記決定した予測装置を推薦する推薦情報を含む
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記メタ情報は、
前記予測装置が対象とする地点のメッシュサイズ、
前記予測装置が対象とする予測期間の長さ、及び、
前記予測装置が生成する前記気象予測データの出力時間間隔、
のうちの少なくとも1つを含む
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
複数の前記予測装置が、前記第2時刻で前記気象予測を開始してから前記気象予測データを生成するまでにそれぞれデータ生成時間を必要とし、
前記第1処理部は、複数の前記予測装置のうち、前記第2時刻を基準として前記
第1時刻が前記データ生成時間より後に位置する予測装置を選択し、選択した前記予測装置を対象として前記第2情報を算出する
請求項1~11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
複数の前記予測装置は、複数の前記予測装置に対応する複数の予測期間における前記気象予測データを生成し、
複数の前記予測装置のうち、前記第2時刻を基準として前記対象時刻が前記予測期間に含まれる前記予測装置を選択し、選択した前記予測装置を対象として前記第2情報を算出する
請求項1~12のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
複数の前記予測装置に対応する複数のデータ存在期間の前記気象予測データが存在し、
前記第1処理部は、前記気象予測データの取得対象となる期間を含む前記データ存在期間を有する前記予測装置を選択し、
前記第2処理部は、選択された前記予測装置を対象に処理を行う
請求項5~11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記対象時刻における前記気象予測データは、前記第1時刻を基準として前記対象時刻における第1事象に関する予測モデルの実行又は生成に用いられる
請求項1~12のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記予測装置により生成される前記気象予測データを記憶する記憶部と、
前記対象時刻の前記気象予測データを前記記憶部から取得し、取得した前記気象予測データを端末に送信する出力処理部
を備えた請求項1~13のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記第1時刻と、前記第1情報と、前記第3情報と、前記第4情報とを含む入力情報を端末から受信する受信部
を備えた請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記第3情報は、ユーザによって指定された気象変数を示し、
前記第4情報は、前記ユーザによって指定された地点を示す
請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記第1情報は、複数の対象時刻を含む
請求項1~18のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項20】
第1時刻を基準として気象予測データの取得対象となる対象時刻を示す第1情報に基づき、気象予測により前記気象予測データを生成する予測装置により前記気象予測が開始される第2時刻を基準として前記対象時刻を示す第2情報を算出する
、
コンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項21】
第1時刻を基準として気象予測データの取得対象となる対象時刻の位置を示す第1情報に基づき、気象予測により前記気象予測データを生成する予測装置により前記気象予測が開始される第2時刻を基準として前記対象時刻の位置を示す第2情報を算出するステップ をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電量予測、エネルギー需要予測、又は災害予測など、ある基準時刻から任意の時間後の事象を予測することを目的とするオンライン予測がある。オンライン予測において、気象に関連する特徴量を説明変数として機械学習を行うことが有効である。機械学習により生成された予測モデルに気象予測値を入力し、事象を予測することができる。機械学習により予測モデルを構築する際、過去の気象予測データを使用する。機械学習モデル構築時には、過去の最適な気象予測データを使用することが理想であるが、気象専門家以外の者が、モデル学習に最適な過去の気象予測データを特定することは専門知識の不足のため難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許登録第6164872号公報
【文献】特開2007-122203号公報
【文献】特許登録第4892145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、気象予測データを容易に取得可能にする情報処理装置、情報処理方法、コンピュータプログラム及び情報処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る情報処理装置は、第1時刻を基準として気象予測データの取得対象となる対象時刻を示す第1情報に基づき、気象予測により前記気象予測データを生成する予測装置により前記気象予測が開始される第2時刻を基準として前記対象時刻を示す第2情報を算出する処理部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る情報処理システムのブロック図。
【
図2】本実施形態で用いる各種時刻又は時間に関する情報を示した図。
【
図3】メタデータ記憶部に各予測プロダクトに対して記憶されているメタ情報の例を示す図。
【
図4】
図1のシステムの第1使用例を説明するための図。
【
図5】
図1のシステムの第1使用例を説明するための図。
【
図6】
図1のシステムの第2使用例を説明するための図。
【
図7】
図1のシステムの第2使用例を説明するための図。
【
図8】
図1のシステムの第3使用例を説明するための図。
【
図9】
図1のシステムの第3使用例を説明するための図。
【
図10】
図1のシステムの第3使用例を説明するための図。
【
図11】ユーザが取得する気象予測データの例を示す図。
【
図12】第1実施形態に係るシステムの全体の動作の一例を示すフローチャート。
【
図13】第2実施形態に係る情報処理システムのブロック図。
【
図14】第2実施形態に係るシステムの使用例を説明するための図。
【
図15】第2実施形態に係るシステムの使用例を説明するための図。
【
図16】第2実施形態に係るシステムの全体の動作の一例を示すフローチャート。
【
図17】本発明の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1実施形態に係る情報処理システムのブロック図である。
図1のシステムは、本実施形態に係る情報処理装置である配信サーバ100と、クライアント端末400とを備える。配信サーバ100とクライアント端末400は、有線又は無線の通信ネットワークを介して互いにデータ又は情報を通信可能である。通信ネットワークは、インターネット等の広域ネットワークでも、無線LAN(Local Area Network)等のローカルネットワークでもよい。配信サーバ100及びクライアント端末400は、入力機能、出力機能、制御機能、記憶機構及び通信機能を備えた一般的なコンピュータを用いて構成されることができる。配信サーバ100からクライアント端末400からデータ又は情報を受信する受信部、クライアント端末400にデータ又は情報を送信する送信部を備えている。
【0008】
配信サーバ100は、気象予測DB管理部10、気象条件抽出部20、出力処理部30を備える。気象予測DB管理部10は、気象予測データ生成部11、気象予測データDB登録部12、メタデータ入力部13、メタデータ記憶部14、気象予測DB15を備える。気象条件抽出部20は、時刻処理部21(第1処理部)、気象条件処理部22(第2処理部)、予測プロダクト推薦部23(予測装置推薦部)を備える。
【0009】
クライアント端末400は、入力部40を備える。入力部40は、時刻入力部41、気象条件入力部42、予測プロダクト選択部43を備えている。
【0010】
本実施形態における基本的な処理の流れを説明する。クライアント端末400の操作者であるユーザは、入力部40を用いて、過去の気象予測データを取得するために必要な各種情報又は条件等を入力する。入力された情報又は条件等は、入力情報としてクライアント端末400から配信サーバ100に送信される。配信サーバ100は、クライアント端末400から受信した入力情報と、メタデータ記憶部14に記憶された1つ又は複数の予測プロダクトに関するメタ情報に基づき処理アルゴリズムに従って処理を行う。予測プロダクトは、メタ情報に従った気象予測により気象予測データを生成する製品、サービス、プログラム等であり、気象予測により気象予測データを生成する予測装置の一例である。処理の結果として、配信サーバ100は、ユーザに提供する気象予測データを生成する予測プロダクトの情報、予測プロダクトが生成する気象予測データのうちユーザに提供するデータ部分を特定する出力情報をクライアント端末400送信する。出力情報は、例えば気象予測データを取得する時間の範囲(位置)、気象変数、及び地点などを識別する情報を含む。ユーザは、出力情報に従って、気象予測データを配信サーバ100から取得し、取得した気象予測データを事象(第1事象)の予測モデルの入力データとして用いて事象を予測する。気象予測データを用いて、事象に関する予測モデルを機械学習により生成し、生成した予測モデルを用いて事象を予測してもよい。事象の例として、発電量、エネルギー需要、あるいは、災害の発生有無又は可能性などがある。予測モデルとして、例えば、ニューラルネットワーク、重回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、決定木など、任意の回帰モデルを用いることができる。
【0011】
配信サーバ100の気象予測データ生成部11は、各予測プロダクトのメタ情報(後述する
図3参照)に従って気象予測を実行することにより、予測プロダクトごとに気象予測データを生成する。
【0012】
気象予測データDB登録部12は、生成された気象予測データを気象予測開始時刻(後述する
図3参照)に関連付けて気象予測DB15に格納する。気象予測DB15は、各予測プロダクトについて生成された気象予測データを気象予測開始時刻に関連付けて記憶する。
【0013】
メタデータ入力部13は、メタデータ記憶部14に登録する各予測プロダクトのメタ情報を入力する。メタデータ記憶部14は、メタデータ入力部13から入力されたメタ情報を予測プロダクトごとに記憶する。
【0014】
メタデータ記憶部14及び気象予測DB15は、メモリ装置、ハードディスク装置などデータ又は情報を一時的又は永続的に記憶する記憶装置である。
【0015】
図2は、本実施形態で用いる各種時刻又は時間に関する情報を示した図である。
図2を参照して、クライアント端末400の時刻入力部41から入力する情報について説明する。
【0016】
時刻入力部41から入力する情報の例は、以下の情報を含む。
・基準時刻t
0(基準となる第1時刻)
入力形式は、例えば時分(HH:MM)である。あるいは、時、又は時分秒でもよい。
・基準時刻からの予測先時間[t
i, t
f](第1時刻を基準とした対象時間又は対象時刻)。
tiは予測先時間の開始時刻(予測先時刻)、t
fは予測先時間幅の終了時刻である。 予測先時間(対象時間)が1つの時刻(すなわち対象時刻)の場合は、t
i=t
fとすればよい。以下では主に対象時間の場合を記載するが、対象時刻の場合も対象時間を対象時刻に読み替えることで同様に解釈可能である。対象時間は複数の対象時刻を含む。
・準備時間t
ML
準備時間は、例えば、事象の予測モデルの実行に要する時間(予測モデルの実行開始から予測結果が出力されるまでに要する時間)である(
図2において図示せず)。予測モデルの生成を行う場合は、予測モデルの生成に要する時間も準備時間に含めてよい。準備時間の入力がない場合は、準備時間は0とすればよい。
【0017】
図2を参照して、メタデータ記憶部14に記憶されているメタ情報のうち、時刻処理部21で用いる情報について説明する。時刻処理部21は時刻入力部41から入力された情報を処理する第1処理部である。メタデータ記憶部14には、各予測プロダクトのメタ情報が記憶されている。時刻処理部21で用いるメタ情報として、以下の情報が記憶されている
・気象予測開始時刻t
w
0(気象予測を開始する第2時刻)
例えば、毎日21時、又は、1時間ごと、などである。
・気象予測の予測先時間t
w(気象予測を行う予測期間)
例えば気象予測開始から168時間の気象を予測する場合、168時間である
・予測時間間隔δ(周期。予測頻度の逆数。日単位の予測頻度は整数と仮定)
気象予測開始時刻の時間間隔に対応する。例えば24時間ごとに予測を行うのであれば、予測時間間隔は、24時間である。
・気象予測データのデータ生成時間t
w
r (気象予測開始前後の処理時間・生成された気象予測データのデータ転送時間などを含む)
気象予測開始時刻から気象予測データが生成されるまでに要する時間である。例えば、気象予測開始時刻から30分後に、予測先時間の気象予測データが生成される場合、データ生成時間は30分である。
【0018】
図3は、メタデータ記憶部14に記憶されている各予測プロダクトのメタ情報の例を示す。上述した気象予測開始時刻(図では予測開始時刻と表記)、予測先時間、予測時間間隔(図では予測頻度)、気象予測データ生成時間(図ではデータ生成時間)が記憶されている。その他の情報については後述する。
【0019】
時刻処理部21は、時刻入力部41の入力情報、及びメタデータ記憶部14のメタ情報に基づき、以下の4つのステップX1~X4の処理を行う。
【0020】
(ステップX1)
基準時刻t0と気象予測開始時刻tw
0のズレを規格化する。具体的には、t0-tw
0が周期δを有するように規格化する。このため、t0+ti-tw
0が区間[0, δ]に属するように、t0にδの整数倍を加える。この操作によって、t0+ti-tw
0(t0は元々のt0にδの整数倍が加算された値である)が、直近の気象予測開始時刻から見た予測先時刻tiを意味する。
【0021】
(ステップX2)
各予測プロダクトに対して、使用可能な予測開始時刻のリストを生成する。具体的には、
【数1】
を満たす整数nのリストを求める。
左側の不等式は、気象予測データが、ユーザの使用時刻(基準時刻)までに取得可能であることを意味する。右側の不等式は基準時刻からの予測先時間内に気象予測データ(気象予測値)が存在することを意味する。換言すれば、ユーザ指定の予測先時間が気象予測の予測先時間(予測期間)に含まれることを意味する。なお、本実施形態では、予測先時間における事象の予測を行うために、当該予測先時間内の気象予測データを必要とする場合を想定している。
【0022】
(ステップX3)
各予測プロダクトに対して、最適な気象予測開始時刻を特定する。具体的には、ステップX2で求めた整数nのリストから、最小のnを抽出する。最小のnは、例えば複数のnに対応する複数の予測開始時刻のうち基準時刻に最も近い予測開始時刻に対応する。当該予測開始時刻を用いることで、最も直近の気象予測値を用いることができ、事象の予測精度の向上が期待できる。このように時刻処理部21は、複数の予測開始時刻(第2時刻)のうち、ユーザが指定する予測先時間が気象予測の予測先時間(予測期間)内で最も基準時刻に近い予測開始時刻を検出する。時刻処理部21は検出した予測開始時刻に基づき、次のステップX4で気象予測先開始時刻を基準とした予測先時間(予測期間)を算出する。
【0023】
(ステップX4)
ステップX3で抽出した最小のnに対して、気象予測開始時刻からの予測先時間[t
w
i, t
w
f](第2時刻を基準とする対象時間又は対象時刻)を求める。t
w
i、t
w
fの算出式は、以下の通りである。
【数2】
である。
以上、各予測プロダクトに対して算出したt
w
i、t
w
fを、配信サーバ100内の任意の記憶部又は配信サーバ100からアクセス可能な外部の記憶装置に、一時的又は永続的に記憶する。
【0024】
気象条件入力部42から入力する情報は、気象予測データを取得する期間に関する条件、対象とする気象変数に関する条件(第1条件)、対象とする地点に関する条件(第2条件)などを含む。ユーザは、第1条件として、対象とする気象変数を指定する情報(第3情報)を入力してもよい。また、ユーザは、第2条件として、対象とする地点を指定する情報(第4情報)を入力してもよい。第1条件及び第2条件は他の例でもよい。
本実施形態では、気象条件入力部42から入力する情報の例は、具体的には以下の情報を含む。
・過去の気象予測データを取得する対象となる期間(入力期間又は対象期間)
入力期間は、例えば、開始年月日と終了年月日によって指定される。ただし、年月日時、又は、年月によって指定するなど、他の形式も可能である。
・対象とする気象変数
気象変数の例は、気温又は湿度などを含む。気象変数を1つ又は複数入力する。
・対象とする地点
地点の例は、東京又は横浜などを含む。地点を複数入力することも可能である。地点ごとに、気象変数を指定してもよい。複数の地点に共通に、気象変数を指定してもよい。
【0025】
なお、対象とする気象変数又は地点が事前に決められている場合は、対象とする気象変数又は地点の入力を省略する場合もあり得る。
【0026】
図3を参照して、メタデータ記憶部14に記憶されている各予測プロダクトのメタ情報のうち、気象条件処理部22で用いる情報の例を示す。気象条件処理部22は気象条件入力部42から入力された情報を処理する第2処理部である。
・気象予測データの存在期間(過去に予測した気象データが取得された期間又は気象予測を行った期間)。なお、気象予測データは予測開始時刻に関連付けて気象予測DB15に保存されており、予測先時間が重複する場合は、同じ時刻に対して複数の気象予測値が存在する。
・1つ以上の気象変数(気象変数リスト)
・1つ以上の地点(地点リスト)
【0027】
気象条件処理部22は、時刻処理部21の出力情報である各予測プロダクト毎のtw
i、tw
fと、気象条件入力部42の入力情報とに基づき、以下の2つのステップY1、Y2を行う。ステップY1、Y2の順序は逆でもい。
【0028】
(ステップY1)
入力期間(気象予測データの取得対象となる期間)が、気象予測データの存在期間に含まれているかどうかをチェックする。具体的には、t
w
i、t
w
fを用いて、1つ以上の予測開始時刻を含む対象期間を、下記の式(3)で算出する。算出は、各予測プロダクトについて行う。
【数3】
となる。式(3)で算出した対象期間(気象予測データの取得対象となる期間)が、気象予測データの存在期間に含まれていれば、対象期間を示す情報を一時的又は永続的に記憶する。記憶場所は、配信サーバ100内の任意の記憶部又は配信サーバ100からアクセス可能な外部の記憶装置である。式(3)で算出した対象期間が、気象予測データの存在期間に含まれていなければ、当該予測プロダクトで生成される気象予測データは、取得対象外とする。
【0029】
(ステップY2)入力された地点及び気象変数に基づき、気象変数に関する第1条件及び地点に関する第2条件を満たす予測プロダクトを特定する。具体的には、入力された地点及び気象変数を、地点リスト及び気象変数リストにおいて検索する。具体的には、ステップY1で対象期間が記憶された各予測プロダクトに対して、ユーザの入力した気象変数及び地点が、地点リスト・気象変数リストに含まれているかを判断する。含まれていれば、該当する予測プロダクトを示す情報と、該当する1つ以上の地点・1つ以上の気象変数を示す情報とを、一時的又は永続的に記憶する。該当する地点・気象変数を示す情報の記憶場所は、配信サーバ100内の任意の記憶部、又は配信サーバ100からアクセス可能な外部の記憶装置などである。
【0030】
以上のように、各予測プロダクトに対して、対象期間を示す情報と、地点リスト及び気象変数リストから検索された地点・気象変数を示す情報とを、配信サーバ100等に一時的に記憶する。
【0031】
図3を参照して、メタデータ記憶部14には、予測プロダクト推薦部23で用いるメタ情報として、各予測プロダクトに対して、以下の情報を記憶している。
・メッシュサイズ
・予測先時間
・出力値の時間間隔(気象予測データの時間間隔)
【0032】
気象条件処理部22で生成される情報(検索結果情報)は、上述したように各予測プロダクトに対する以下の情報を含む。
・対象期間
・1つ以上の地点
・1つ以上の気象変数
【0033】
予測プロダクト推薦部23は、同一地点かつ同一気象変数に対して、該当の予測プロダクトが2つ以上存在するかを判断し、存在しない場合は、気象条件処理部22で生成された情報を出力処理部30に提供する。一方、同一地点かつ同一気象変数に対して、該当の予測プロダクトが2つ以上場合、予測プロダクト推薦部23は、以下の処理を行う。
【0034】
まず、同一地点かつ同一気象変数の組を、各予測プロダクトに対してリスト化し、リストを一時的に記憶する。リストの記憶場所は配信サーバ100内の任意の記憶部でも、配信サーバ100からアクセス可能な外部の記憶装置でもよい。
【0035】
次に、リスト内の各組に対して、以下の関数f()を計算する。
【数4】
f()は、メッシュサイズ、予測先時間、出力値の時間間隔のうちの少なくとも1つを変数とする関数である。例えばf()は、メッシュサイズを変数とする関数であり、メッシュサイズが小さいほど小さい値を出力する。あるいは、f()は、予測先時間を変数とする関数であり、予測先時間が小さいほど小さい値を出力する。あるいは、f()は、出力値の時間間隔を変数とする関数であり、出力値の時間間隔が小さいほど小さい値を出力する。
【0036】
予測プロダクト推薦部23は、各組について、関数の計算値が最小の予測プロダクトを特定し、特定した予測プロダクトを、各組に対して推薦する予測プロダクトとする。
【0037】
予測プロダクト推薦部23は、例えば、メッシュサイズが最小の予測プロダクトを推薦することを決定する。もし候補が複数候補がある場合、候補中から予測先時間が最小の予測プロダクトを推薦することを決定する。それでも候補が複数候補がある場合、出力値の時間間隔が最小の予測プロダクトを推薦することを決定する。
【0038】
予測プロダクト推薦部23は、上記の各組についていずれの予測プロダクトを選択するか選択を依頼する選択依頼をクライアント端末400に送信する。予測プロダクト推薦部23は、送信する選択依頼に、各組についていずれの予測プロダクトを推薦するかの推薦情報を含める。なお選択依頼に、推薦情報を含めないことも可能である。この場合、ユーザが、推薦情報を用いずに、自分の判断でいずれか予測プロダクトを選択すればよい。予測プロダクト推薦部23又は配信サーバ100は、選択依頼を送信する送信部を含む。
【0039】
出力処理部30は、選択依頼が送信されない場合は、気象条件処理部22で生成された情報(検索結果情報)をクライアント端末400に送信する。選択依頼が送信された場合、出力処理部30は、クライアント端末400から選択応答を受信し、受信した選択応答に基づき、気象条件処理部22で生成された情報を変更する。すなわち、予測プロダクト間で同一地点及び同一気象変数の組の重複を解消する。出力処理部30は、変更後の情報を検索結果情報として、クライアント端末400に送信する。選択応答には、同一地点及び同一気象変数の組について、いずれの予測プロダクトを選択するかの情報が含まれる。出力処理部30は、例えば情報又はデータを送信する送信部、情報又はデータを受信する受信部を含む。
【0040】
出力処理部30は、クライアント端末400から気象予測データの取得要求を受けた場合に、要求された気象予測データを気象予測DB15から取得し、取得した気象予測データをクライアント端末400に送信する。気象予測データの取得要求には、例えば検索結果情報で通知された情報、すなわち取得すべき気象予測データを特定する情報が含まれている。気象予測データは、例えば、予測プロダクト別かつ地点別かつ気象変数別にファイルの形式で提供されてもよい。
【0041】
以下、メタデータ記憶部14に記憶されているメタ情報が
図3に示した内容である場合を想定して、本システムの使用例を説明する。
【0042】
<第1使用例>
毎日の17時にXX地点の翌日1日(24時間)分の風力発電量(事象)の予測を行う予測モデルへの入力データ又は予測モデル生成用のデータとして、ユーザが過去の気象予測データを取得する場合を考える。
【0043】
図4は、
図1のシステムの第1使用例における時刻入力部41及び時刻処理部21の動作を説明するための図である。
【0044】
図4(A)には、時刻入力部41でユーザが、基準時刻と、予測先時間とを入力する画面が示される。時間の単位を1時間(h)とする。ユーザはクライアント端末400における入力部(キーボード、マウス、タッチパネル等)を用いて、基準時刻と、予測先時間等の情報を入力し、送信ボタンを押下すると、当該情報が配信サーバ100に送信される。配信サーバ100の時刻処理部21は、ユーザからの入力情報に基づき、基準時刻t
0=17、予測先時間の範囲[t
i, t
f]=[7, 31]、t
ML=0を設定する。17:00の時点から見て翌日の開始時刻は00:00であり、7時間後であるから、t
i=7である。t
i =7から24時間後は、t
f=31である。
【0045】
予測プロダクトAについて、時刻処理部21の上述のステップX1~X4の処理の具体例を示す。
【0046】
図3において気象予測開始時刻t
w
0=21、周期(予測頻度)δ=24であるからt
0+t
i-t
w
0(=17+7-21=3)であり、この値は、区間[0,δ)に属する。よって、この例ではt
0にδの整数倍を加える必要は無い。なお、t
0にδの0倍を加えると考えることも可能である。
【0047】
式(1)を満たすnの解を求める。
図3における気象予測データの生成時間t
w
r=6、気象予測の予測先時間t
w=168であるから、6<=17-21+n*24<=168-31となり、整理すると、6<= n*24-4<=137となる。よってn=1,2,3,4,5である。
予測プロダクトCについても同様にして、n=1,2,3,4,5が求まる。予測プロダクトBについてはnの解は存在しない。例えば、
図3に示すように、予測プロダクトBでは予測先時間が短い(6時間)ため、予測プロダクトBではユーザが入力した条件に対応できない。
【0048】
予測プロダクトAとCに対して最小のnを求めるとn=1となる。n=1に対して、予測開始時刻からの予測先時間[tw
i, tw
f]を、式(2a)及び式(2b)から求めると、以下のようになる。
tw
i=1*24+17+7-21=27
tw
f=1*24+17+31-21=51
【0049】
図4(B)には予測プロダクトAとCに対して、n=1について算出した予測先時間が示され、さらにn=2~5について算出した予測先時間も示される。配信サーバ100には少なくとも予測プロダクトA、Cに対してそれぞれ算出したn=1又は予測先時間[27, 51]を一時的に記憶する。
【0050】
図5は、
図1のシステムの第1使用例における気象条件処理部22、予測プロダクト推薦部23及び出力処理部30の動作を説明するための図である。
【0051】
図5(A)には、気象条件入力部42でユーザが、予測モデルの入力に用いる過去の気象予測データの対象期間、対象とする地点、及び対象とする気象変数を入力する画面が示される。本例では、ユーザが入力した期間は2015/1/1~2019/12/31である。また、ユーザの入力した地点(XX地点又はその近傍の地点)はアメダス地点(阿久津)である。ユーザの入力した気象変数(気温、風速、風向、乱流強度、気圧)である。ユーザが送信ボタンを押下すると、
図5(A)の画面に示される情報が配信サーバ100に送信される。
【0052】
図5(B)には、気象条件処理部22の処理結果として出力される情報(検索結果情報)の例が示される。以下、気象条件処理部22の処理により当該情報を生成する例を示す。
【0053】
tw
iの値(=27)と、上述の式(3)から、予測プロダクトAとCの予測開始時刻の範囲(期間)がともに2014/12/30 21:00~2019/12/29 21:00となる。すなわち、2015/1/1の27時間前は2014/12/30 21:00であり、2019/12/31(0時)の27時間前は2019/12/29 21:00である。
【0054】
上記期間(2014/12/30 21:00~2019/12/29 21:00)は、予測プロダクトAとCのデータ存在期間(
図3参照)に含まれているため、予測プロダクトAとCは、候補として維持される。
【0055】
次に、ユーザが入力した気象変数(気温、風速、風向、乱流強度、気圧)は予測プロダクトAの気象変数リスト(
図3参照)に含まれており、一方、予測プロダクトCの気象変数リストには含まれていないため、予測プロダクトCを候補から除外する。
【0056】
以上により、ユーザが取得すべき過去の気象予測データが一意に定まった(予測プロダクト間で同一地点及び同一気象変数の重複がない)。このため、予測プロダクト推薦部23は、ユーザへ予測プロダクトの選択依頼を行わない。出力処理部30は、予測プロダクトAから抽出された予測開始の期間(2014/12/30 21:00~2019/12/29 21:00)・予測先時間(27h~51h)・地点(阿久津)・気象変数(気温、風速、風向、乱流強度、気圧)を示すメタ情報を検索結果情報として出力する。
【0057】
この後、ユーザの指示に基づき、クライアント端末400又はコンピュータが、以下の処理を行ってもよい。例えば、クライアント端末400が、検索結果としてのメタ情報が示す期間内の各日の21:00で予測された予測先時間(27h~51h)内の地点(阿久津)における気象変数(気温、風速、風向、乱流強度、気圧)の気象予測データを配信サーバ100から取得する。クライアント端末400は、取得した気象予測データを、予測モデルの入力データとして用いて、翌日1日(24時間)分の風力発電量の予測を行う。クライアント端末400は、取得した気象予測データの一部と、風力発電量の実績データとに基づき予測モデルを生成してもよい。クライアント端末400は、生成した予測モデルと、取得した気象予測データの残りの一部とに基づき、翌日1日(24時間)分の風力発電量の予測を行ってもよい。予測モデルを用いた予測を行うこと、及び予測モデルを生成することは、以下の他の使用例でも同様に可能である。
【0058】
<第2使用例>
毎日の朝6時にYYダムの90時間先までのダム流入量予測を行う予測モデルの入力データ又は予測モデル生成用のデータとして、ユーザが過去の気象予測データを取得する場合を考える。
【0059】
図6は、
図1のシステムの第2使用例における時刻入力部41及び時刻処理部21の動作を説明するための図である。
図6(A)には、時刻入力部41でユーザが、基準時刻と、予測先時間とを入力する画面が示される。ユーザが送信ボタンを押下すると、
図6(A)に示す画面内の入力情報が配信サーバ100に送信される。配信サーバ100の時刻処理部21は、ユーザからの入力情報に基づき、基準時刻t
0=6、予測先時間の範囲[t
i, t
f]=[0, 90]、t
ML =0を設定する。
【0060】
予測プロダクトAについて、時刻処理部21の上述のステップX1~X4の処理の具体例を示す。
図3において気象予測開始時刻t
w
0 =21、周期(予測頻度)δ=24である
t
0 + t
i - t
w
0 (=6+0-21=-15)<0であり、この値は、区間[0,δ)に属さない。t0にδの整数倍を加える補正を行い、t0を30にする(t0+δ=30)。
【0061】
補正後のt0(=30)に基づき、式(1)を満たすnの解を、使用例1と同様にして求める。気象予測データの生成時間tw
r=6、気象予測の予測先時間tw=168であるから、6<=30-21+n*24<=168-90となり、整理すると、6<=9+ n*24<=78となる。よって、n=0,1,2である。
【0062】
予測プロダクトCについても同様にして、n=0,1,2が求まる。予測プロダクトBについてはnの解は存在しない。
【0063】
予測プロダクトAとCに対して最小のnを求めるとn=0となる。n=0に対して、気象予測開始時刻からの予測先時間[tw
i, tw
f]を、式(2a)及び式(2b)から求めると、以下のようになる。
tw
i=0*24+30+0-21=9
tw
f=0*24+30+90-21=99
【0064】
図6(B)には予測プロダクトAとCに対して、n=0について算出した予測先時間が示され、さらにn=1,2について算出した予測先時間も示される。配信サーバ100には少なくとも予測プロダクトA、Cに対してそれぞれ算出したn=1又は予測先時間[9,99]を一時的に記憶する。
【0065】
図7は、
図1のシステムの第2使用例における気象条件処理部22、予測プロダクト推薦部23及び出力処理部30の動作を説明するための図である。
【0066】
図7(A)には、気象条件入力部42でユーザが、予測モデルの入力に用いる過去の気象予測データの対象期間、対象とする地点、及び対象とする気象変数を入力する画面が示される。本例では、ユーザが入力した期間は2015/1/1~2019/12/31である。また、ユーザの入力した地点(YY地点又はその近傍の地点)は神岡(アメダス地点)、中山橋(河川観測地点)である。ユーザの入力した気象変数(降水量、気温、日射量、河川流量、河川水位)である。ユーザが送信ボタンを押下すると、
図7(A)に示す画面内の入力情報が配信サーバ100に送信される。
【0067】
図7(B)に、気象条件処理部22の処理結果として出力される情報(検索結果情報)の例を示す。以下、気象条件処理部22の処理により当該情報を生成する例を示す。
【0068】
twiの値(=9)と、上述の式(3)から、予測プロダクトAとCの予測開始時刻の範囲(期間)がともに2014/12/31 21:00~2019/12/30 21:00となる。
【0069】
上記期間(2014/12/31 21:00~2019/12/30 21:00)は、予測プロダクトAとCのデータ存在期間(
図3参照)に含まれているため、予測プロダクトAとCは、候補として維持される。
【0070】
次に、ユーザが入力した地点・気象変数のうち、神岡地点の降水量、気温、日射量は予測プロダクトAの地点リスト及び気象変数リスト(
図3参照)にのみ含まれている。一方、中山橋地点の河川流量、河川水位は、予測プロダクトCの地点リスト及び気象変数リストにのみ含まれている。2つの予測プロダクトAとCが候補として存在するが、ユーザが取得すべき気象予測データが一意に定まったため(両者間に同一地点及び同一気象変数の組の重複がないため)、予測プロダクト推薦部23は、ユーザへ予測プロダクトの選択依頼を行わない。
【0071】
出力処理部30は、予測プロダクトAに対して抽出された予測開始の期間・予測先時間・地点・気象変数を示すメタ情報と、予測プロダクトCに対して抽出された予測開始の期間・予測先時間・地点・気象変数を示すメタ情報とを、検索結果情報として出力する(
図7(B)参照)。
【0072】
<第3使用例>
毎時00分にYYダムの3時間先までのダム流入量予測を行う予測モデルの入力データ又は予測モデル生成用のデータとして、ユーザが過去の気象予測データを取得する場合を考える。
【0073】
図8は、
図1のシステムの第3使用例における時刻入力部41及び時刻処理部21の動作を説明するための図である。
【0074】
図8(A)には、時刻入力部41でユーザが、基準時刻と、予測先時間とを入力する画面が示される。なお、ユーザは実際には00分を入力したが、図では、基準時刻として0:00と表記している。00分を入力した場合、0時~23時の計24通りを考慮する必要があるが、ここでは基準時刻が0時の場合のみ説明するためである。ユーザが送信ボタンを押下すると、
図8(A)に示す画面内の入力情報が配信サーバ100に送信される。配信サーバ100の時刻処理部21は、ユーザからの入力情報に基づき、基準時刻t
0=0、予測先時間の範囲[t
i, t
f]=[0, 3]、t
ML=0を設定する。
【0075】
予測プロダクトAについて、時刻処理部21の上述のステップX1~X4の処理の具体例を示す。
図3において気象予測開始時刻t
w
0 =21、周期(予測頻度)δ=24である。
t
0+ t
i- t
w
0(=0+0-21=-21)<0であり、この値は、区間[0,δ)に属さない。t
0にδの整数倍を加える補正を行い、t
0を24にする(t
0+δ=24)。
【0076】
補正後のt0 (=24)に基づき、式(1)を満たすnの解を、使用例1又は2と同様にして求める。気象予測データの生成時間tw
r=6、気象予測の予測先時間tw=168であるから、6<=24-21+n*24<=168-3となり、整理すると、6<=3+ n*24<=165となる。よって、n=1,2,3,4,5,6である。
【0077】
予測プロダクトCについても同様にして、n=1,2,3,4,5,6が求まる。
【0078】
予測プロダクトBについてはn=1,2,3が求まる。なお、予測プロダクトBの場合、
図3において気象予測開始時刻t
w
0=00分であり、周期(予測頻度)δ=1である。また、t
0の補正は不要であるため、t
0=0である。
【0079】
予測プロダクトAとBとCに対して最小のnを求めると、それぞれn=1となる。
【0080】
予測プロダクトAとCに対して、n=1において、気象予測開始時刻からの予測先時間[tw
i, tw
f]を、式(2a)及び式(2b)から求めると、以下のようになる。
tw
i=nδ+t0+ti-tw
0=1*24+24+0-21=27
tw
f = nδ+t0+tf-tw
0=1*24+24+3-21=30
【0081】
予測プロダクトBに対して、n=1において、気象予測開始時刻からの予測先時間[tw
i, tw
f]を、式(2a)及び式(2b)から求めると、以下のようになる。
tw
i=nδ+t0+ti-tw
0=1*1+0+0-0=1
tw
f = nδ+t0+tf-tw
0=1*1+0+3-0=4
【0082】
図8(B)には予測プロダクトAとCに対して、n=1について算出した予測先時間が示され、さらにn=2について算出した予測先時間も示される(n=3以降の予測先時間の図示は省略)。
また予測プロダクトBに対して、n=1について算出した予測先時間が示され、さらにn=2,3について算出した予測先時間も示される。
配信サーバ100には少なくとも予測プロダクトA、Cに対してそれぞれ算出したn=1又は予測先時間[27,30]を一時的に記憶する。同様に、配信サーバ100には少なくとも予測プロダクトBに対してそれぞれ算出したn=1又は予測先時間[1,4]を一時的に記憶する。
【0083】
図9(A)は、気象条件入力部42でユーザが、予測モデルの入力として取得する過去の気象予測データの対象期間、対象とする地点、及び対象とする気象変数を入力する画面が示される。どの気象変数が必要かは事前にユーザは知っているものとする。本例では、ユーザが入力した期間は2015/1/1~2015/12/31である。また、ユーザの入力した地点(YY地点又はその近傍の地点)は神岡(アメダス地点)、中山橋(河川観測地点)である。ユーザの入力した気象変数(降水量、気温、日射量、河川流量、河川水位)である。ユーザが送信ボタンを押下すると、
図9(A)に示す画面内の入力情報が配信サーバ100に送信される。
【0084】
図9(B)は、気象条件処理部22の処理結果として出力される情報(検索結果情報)の例を示す。以下、気象条件処理部22の処理により当該情報を生成する例を示す。
【0085】
tw
iの値(=27)と、上述の式(3)から、予測プロダクトAとCの予測開始時刻の範囲(期間)がともに2014/12/30 21:00~2015/12/29 21:00となる。
【0086】
上記期間(2014/12/30 21:00~2015/12/29 21:00)は、予測プロダクトAとCのデータ存在期間(
図3参照)に含まれているため、予測プロダクトAとCは、候補として維持される。
【0087】
tw
i値(=1)と、上述の式(3)から、予測プロダクトBの予測開始時刻の範囲(期間)が2014/12/31 23:00~~2015/12/30 23:00となる。
【0088】
上記期間(2014/12/31 23:00~~2015/12/30 23:00)は、予測プロダクトBのデータ存在期間(
図3参照)に含まれているため、予測プロダクトBは、候補として維持される。
【0089】
次に、ユーザが入力した地点・気象変数から、神岡地点の気温、日射量は予測プロダクトAの地点リスト・気象変数リスト(
図3参照)にのみ含まれている。また中山橋地点の河川流量、河川水位は予測プロダクトCのの地点リスト・気象変数リストにのみ含まれている。また、神岡地点の降水量は予測プロダクトAとBの双方の地点リスト・気象変数リストに含まれている。
【0090】
神岡地点の降水量データが一意に定まらないため、予測プロダクト推薦部23がクライアント端末400に予測プロダクトAとBのうちのいずれかの選択依頼を送信する。予測プロダクト推薦部は、いずれの予測プロダクトを推薦するかの推薦情報を選択依頼に含める。一例として、予測プロダクト推薦部23は、予測プロダクトAとBのメタ情報を比較し、予測プロダクトBのメッシュサイズが予測プロダクトのメッシュサイズより小さいため、予測プロダクトBを推薦することを決定する。神岡地点の降水量について予測プロダクトAとBのいずれを選択するかの選択依頼に推薦情報(予測プロダクトB)を含めて、選択依頼をクライアント端末400に送信する。
【0091】
図10(A)はクライアント端末400に送信される選択依頼の例を示す。選択依頼の内容がクライアント端末400の画面に表示される。神岡地点の降水量を、予測プロダクトAとBのいずれから取得するか、ユーザに選択を要求している。画面には予測プロダクトを推薦することを示す推薦情報が表示されている。
【0092】
予測プロダクト選択部43は、ユーザにより選択された予測プロダクトを示す情報をユーザの操作に基づき取得する。予測プロダクト選択部43が、ユーザにより選択された予測プロダクトを識別する情報を含む選択応答(選択結果情報)を、配信サーバ100に送信する。
【0093】
出力処理部30は、神岡地点の降水量について、ユーザの選択結果情報に基づき予測プロダクトA又はBを選択する。出力処理部30は、気象条件処理部22の生成した情報(検索結果情報)のうち予測プロダクトAについて気象変数から降水量を削除することにより重複を解消する。
【0094】
図10(B)は、気象条件処理部22の生成した情報から、予測プロダクトAに関する降水量の気象変数を削除した例を示す。出力処理部30は、削除後の検索結果情報をクライアント端末400に出力する。
【0095】
図11は、出力処理部の検索結果情報(出力情報)に基づき、ユーザが気象予測データを取得する例を示す。この例は、第3使用例の検索結果情報に基づき取得する気象予測データの一例である。
【0096】
ユーザがクライアント端末400を用いて検索結果情報に基づく気象予測データの取得要求を配信サーバ100に送信し、配信サーバ100が、クライアント端末400から要求された気象予測データをクライアント端末400に送信する。
【0097】
気象予測データは、一例として、地点・気象変数毎にファイルとして提供される。具体的には、神岡地点の降水量の予測データのファイル、神岡地点の日射量の予測データのファイル、神岡地点の気温の予測データのファイル、中山橋地点の河川流量の予測データのファイル、中山橋地点の河川水位の予測データのファイルが提供される。各ファイルにおいて、予測プロダクトのメタ情報と、ユーザ視点の基準時刻と、基準時刻からの予測先時間とを列として、気象予測データが格納されている。
図11の例では、神岡地点の気温の予測データのファイルの内容が示されている。
【0098】
ユーザは
図11に示す5つのファイルのデータを、予測モデルの入力データとして用いてコンピュータに任意の事象の予測処理を実行させることができる。災害の例として、神岡地点における洪水の可能性の予測などがある。
【0099】
また、ユーザは、
図11に示す5つのファイルのデータを用いて、任意の事象の予測モデルの生成をコンピュータに行わせることもできる。予測モデルの生成に当たり、ユーザは、任意の事象の過去の実績データ(例えば神岡地点の洪水の発生履歴、過去の気象実績データ)は別途入手可能であるとする。過去の実績データと5つのファイルのデータを用いて、例えば、神岡地点における洪水の可能性を予測する予測モデルを機械学習により生成できる。
【0100】
図12は、第1実施形態に係るシステムの全体の動作の一例を示すフローチャートである。クライアント端末400における時刻入力部41がユーザから入力される時刻情報(基準時刻、予測先時間等)を取得し(S101)、気象条件入力部42は、ユーザから入力される気象条件(入力期間(対象期間)、地点、気象変数等)を取得する(S102)。クライアント端末400は、時刻情報と気象条件を配信サーバ100に送信する。
【0101】
時刻処理部21は、上述のステップX1~X4の処理を行い、各予測プロダクトに対して最小のn、及びtw
i、tw
fを算出する(S103)。気象条件処理部22は、最小のn、及びtw
i、tw
fに基づき、上述のステップY1、Y2の処理を行い、各予測プロダクトに対して、対象期間、対象とする地点及び気象変数を特定する(S104)。
【0102】
予測プロダクト推薦部23は、複数の予測プロダクト間で、同一地点及び同一気象変数の組に重複があるかを判断する(S105)。重複が存在しない場合は、出力処理部30は、各予測プロダクトに対して得られた対象期間、地点及び気象変数を示す情報(メタ情報)を、検索結果情報(出力情報)として出力する。出力処理部30は、検索結果情報をクライアント端末400の画面に表示させてもよい。出力処理部30は、検索結果情報が示す気象予測データを気象予測DB15から取得して、取得した気象予測データをクライアント端末400に送信してもよい。気象予測データの取得及び送信は、クライアント端末400から気象予測データの取得要求を受信した場合に行ってもよいし、取得要求を受信せずに自律的に行ってもよい。
【0103】
予測プロダクト推薦部23は、複数の予測プロダクト間で、同一地点及び同一気象変数の組に重複がある場合は、複数の予測プロダクトのメタ情報(例えば、メッシュサイズ等)に基づき、いずれの予測プロダクトを推薦するかを決定する(S106)。同一地点及び同一気象変数の組が複数存在する場合は、組ごとに予測プロダクトを推薦する。予測プロダクト推薦部23は、当該組について、複数の予測プロダクトのいずれを選択するかを要求するかの選択を依頼する選択依頼に、決定した予測プロダクトを推薦する推薦情報を含めて、選択依頼をクライアント端末400に送信する(同S106)。
【0104】
クライアント端末400における予測プロダクト選択部43は、推薦情報を含む選択依頼の内容を画面に表示し、ユーザから予測プロダクトを選択する指示を受ける(S107)。同一地点及び同一気象変数の組が複数存在する場合は、ユーザは、組ごとに予測プロダクトを選択する。予測プロダクト選択部43は、少なくとも1つの組に対してユーザにより選択された予測プロダクトを示す情報を配信サーバ100に送信する(同S107)。
【0105】
出力処理部30は、重複する組についてはユーザにより選択された予測プロダクトを選択することで予測プロダクト間での上記組の重複を解消した上、各予測プロダクトについて生成した出力情報(検索結果情報)を、クライアント端末400に送信する。
【0106】
上述のステップS106において、予測プロダクト推薦部23は、推薦情報を選択依頼に含めないことも可能である。あるいは、予測プロダクト推薦部23は、推薦情報及び選択依頼の両方とも送信せず、推薦することを決定した予測プロダクトをユーザに確認せずに採択してもよい。
【0107】
以上、本実施形態によれば、事象の予測に必要な気象予測データを、気象予測プロダクトに関する専門知識を有さなくても容易に取得することが可能になる。すなわち、通常、ユーザが、過去の気象予測データを取得しようとする時、主に以下の2点の困難を伴う。
【0108】
気象予測プロダクトにおける予測先時間は、ユーザが指定する基準時刻からの予測先予測先時間と定義が異なる。また、気象予測プロダクトでは、気象予測データを生成するための処理時間(前後処理・実行・データ転送など)も必要である。つまり気象予測プロダクトは気象予測開始から処理時間の間は気象予測データを生成し、提供することはできない。したがって、通常、ユーザが、最適な予測先時間の気象予測データを取得するには、気象予測特有の予測先時間及び処理時間に関連する知識を有している必要がある。
【0109】
また気象予測プロダクトが複数存在する場合、ユーザは事象の予測に最適な気象予測プロダクトを選択したいことが多い。また、ユーザが選択する地点・気象変数の組み合わせによって、複数の気象予測プロダクトの組み合わせが必要となる場合もある。複数の気象予測プロダクトから1つの気象予測プロダクトを選択する必要となった場合、ユーザは各予測プロダクトが対象とする地点・気象変数や予測プロダクトの性質(メッシュサイズ等)をあらかじめ理解しなければならない。
【0110】
気象専門家から適切な助言が受けられないユーザは、上記の2点の問題を意識しにくいうえ、意識できた場合でも理解が困難である。理解不足のため、実際、ユーザーはオンライン予測で不適切な気象予測データや、最適でない気象予測データを使用する恐れがある。
【0111】
本実施形態では、ユーザの入力情報に基づき適切又は最適な気象予測データを提供可能とする気象予測プロダクトのメタ情報を、出力情報(検索結果情報)としてユーザに提供する。これにより、ユーザは、気象予測プロダクトに関する専門知識を有さなくても、事象の予測に最適な気象予測データを容易に取得することが可能になる。
【0112】
<第2実施形態>
図13は、第2実施形態に係る情報処理システムのブロック図である。
図1と同じ又は同等部分には同一の符号を付して、変更又は拡張された処理を除き、説明を省略する。
【0113】
第1実施形態との相違点として、配信サーバ100から予測プロダクト推薦部23が除去され、クライアント端末400から予測プロダクト選択部43が除去され、クライアント端末400にアンサンブル条件入力部44が追加されている。
【0114】
時刻処理部21は、第1実施形態の4つのステップX1~X4のうち、ステップX1(ずれの規格化)、ステップX2(nのリスト化)については第1実施形態と同様にして行い、ステップX3(最小のnの抽出)は省略する。また時刻処理部21は、ステップX4では、式(1)で得られたすべてのnに対して、気象予測開始時刻からの予測先時間幅[tw
i,tw
f]をそれぞれ(2)式から求める。すべてのnに対して算出したtw
i,tw
fを配信サーバ100内の任意の記憶部又は配信サーバ100からアクセス可能な外部の記憶装置で一時的に記憶する。
【0115】
気象条件処理部22は、ステップY1及びステップY2ともに第1実施形態と同様に行う。時刻処理部21では、各予測プロダクトに対して、tw
i,tw
fの複数の組が得られる場合がある。この場合も、tw
i,tw
fの各組に対して、気象条件処理部22ではそれぞれ処理を行う。
【0116】
気象条件処理部22は、ステップY1及びステップY2の処理で得られた気象予測データのメタ情報(対象期間、地点、気象変数)を、出力情報(検索結果情報)として出力処理部30に出力する。
【0117】
時刻処理部21において、最小のnを抽出する(つまり最適な気象予測データのみ抽出する)か、すべてのnを用いる(つまり使用可能な気象予測データを全て抽出する)かをユーザが選択可能にしてもよい。このように抽出するnに関する条件をアンサンブル条件と呼ぶ。時刻処理部21は、nが2個以上の場合、すなわち、予測開始時刻(第2時刻)が2つ以上存在する場合に、2つ以上の予測開始時刻を検出し、検出した予測開始時刻ごとに、処理を行う。
【0118】
<使用例>
第1実施形態の第3使用例と同様、毎時00分にYYダムの3時間先までのダム流入量予測を行う予測モデルの入力データとして、予測に必要な過去の気象予測データをユーザが取得する場合を考える。
【0119】
図14は、第2実施形態における時刻入力部41及び時刻処理部21の動作を説明するための図である。
【0120】
図14(A)には、時刻入力部41でユーザが、基準時刻と、予測先時間とを入力する画面が示される。ユーザは実際には00分を入力したが、基準時刻は0:00と表記している。00分を入力した場合、0時~23時の計24通りを考慮する必要があるが、ここでは基準時刻が0時の場合のみ、説明するためである。また、また時刻入力部41において最小のnを抽出する(つまり最適な気象予測データのみ抽出する)か、すべてのnを用いる(つまり使用可能な気象予測データを全て抽出する)かのアンサンブル条件をユーザが入力(選択)可能になっている。本例ではユーザは、すべてのnを用いる(つまり使用可能な気象予測データを全て抽出する)ことを選択している。ユーザが送信ボタンを押下すると、
図14(A)に示す画面内の入力情報が配信サーバ100に送信される。配信サーバ100の時刻処理部21は、ユーザからの入力情報に基づき、基準時刻t
0 =0、予測先時間[t
w
i,t
w
f]=[0, 3]、t
ML=0を設定する。
【0121】
式(1)を満たすnを求めると、第1実施形態の第3使用例と同様に、予測プロダクトAとCはともにn=1,2,3,4,5,6となり、予測プロダクトBは、n=1,2,3となる。
【0122】
次に、すべてのnに対して、気象予測開始時刻からの予測先時間幅を式(2a)及び式(2b)から求める。この結果、予測プロダクトAとCでは、n=1のとき、tw
i=27, tw
f=30であり、n=2のとき、tw
i=51, tw
f=54となる。n=3以降も同様して、算出される。
【0123】
予測プロダクトBでは、n=1のときtw
i =1, tw
f =4となり、n=2のとき、tw
i =2, tw
f =5となる。n=3についても同様にして算出される。
【0124】
図14(B)には予測プロダクトAとCに対して、n=1~6について算出した予測先時間が示されている。また予測プロダクトBに対して、n=1~3について算出した予測先時間が示されている。配信サーバ100には予測プロダクトA、Cに対してそれぞれ算出したn=1~6、又はn=1~6に対応する予測先時間を一時的に記憶する。同様に、配信サーバ100には予測プロダクトBに対して算出したn=1~3、又はn=1~3に対応する予測先時間を一時的に記憶する。
【0125】
図15(A)には、気象条件入力部42でユーザが、予測モデルの入力として取得する過去の気象予測データの対象期間、対象とする地点、及び対象とする気象変数を入力する画面が示される。どの気象変数が必要かは事前にユーザは知っているものとする。ユーザが入力した情報は第1実施形態の第3使用例と同様である。すなわち、ユーザが入力した期間は2015/1/1~2015/12/31である。また、ユーザの入力した地点(YY地点又はその近傍の地点)は神岡(アメダス地点)、中山橋(河川観測地点)である。ユーザの入力した気象変数(降水量、気温、日射量、河川流量、河川水位)である。ユーザが送信ボタンを押下すると、
図15(A)に示す画面内の入力情報が配信サーバ100に送信される。
【0126】
図15(B)に、気象条件処理部22の処理結果として出力される情報(出力情報又は検索結果情報)の例を示す。以下、気象条件処理部22の処理により当該情報を生成する例を示す。
【0127】
各nに対するtw
iの値と、式(3)とに基づき、予測プロダクトAとCの予測開始時刻の範囲(期間)はともにn=1のとき2014/12/30 21:00~2015/12/29 21:00となる。また、n=2のとき2014/12/29 21:00~2015/12/28 21:00となる。n=3~6のときも同様にして、算出される。
予測プロダクトBの予測開始時刻の範囲(期間)は、n=1のとき2014/12/31 23:00~2015/12/30 23:00、n=2のとき2014/12/31 22:00~2015/12/30 22:00となる。n=3の場合も同様にして算出される。
【0128】
予測プロダクトAとCについてn=1~6に対して算出した期間と、予測プロダクトBについてn=1~3に対して算出した期間は、全て各予測プロダクトのデータ存在期間(
図3参照)に含まれている。よって、予測プロダクトAとCはn=1~6の全てに対して候補として維持され、予測プロダクトBはn=1~3に対して候補として維持される。
【0129】
次に、ユーザが入力した地点・気象変数に基づき、予測プロダクトAの神岡地点の降水量、気温、日射量、予測プロダクトBの神岡地点の降水量、予測プロダクトCの中山橋地点の河川流量、河川水位が特定される。特定されたこれらの情報が、地点・気象変数に関する検索結果情報となる。
【0130】
以上、予測プロダクトAとCについては、n=1~6に対して抽出された期間・予測先時間・地点・気象変数を示すメタ情報が検索結果情報(出力情報)としてクライアント端末400に出力(送信)される。予測プロダクトBについてn=1~3に対して抽出された期間・予測先時間・地点・気象変数を示すメタ情報が検索結果情報(出力情報)としてクライアント端末400に出力)(送信)される。
【0131】
図16は、第2実施形態に係るシステムの全体の動作の一例を示すフローチャートである。第1実施形態と同様の説明は適宜省略する。クライアント端末400における時刻入力部41が、ユーザから入力される時刻情報を取得する(S201)。また、アンサンブル条件入力部44が、ユーザから入力されるアンサンブル条件を取得し(S202)、気象条件入力部42は、ユーザから入力される気象条件を取得する(S203)。クライアント端末400は、ユーザから入力された時刻情報とアンサンブル条件と気象データ条件とを、配信サーバ100に送信する。アンサンブル条件は、式(1)を満たすnが複数存在する場合、式(1)を満たすすべてのnを対象とするか、あるいは、最小のnを選択するかなど、選択すべきnに関する条件を含む。
【0132】
時刻処理部21は、アンサンブル条件が式(1)を満たすすべてのnを対象とすることを示す場合、上述のステップX1、X2、X4の処理を行い、最小のnを対象とすることを示す場合、第1実施形態と同様に、ステップX1~X4を行う(S204)。
【0133】
気象条件処理部22は、各予測プロダクトに対して、上述のステップY1、Y2の処理を行い、各予測プロダクトに対して、予測開始時刻の対象期間、取得対象とする地点及び気象変数を特定する(S205)。式(1)を満たすすべてのnを対象とする場合は、nごとに、予測開始時刻の対象期間、取得対象とする地点及び気象変数を特定する。
【0134】
出力処理部30は、気象条件処理部22で生成された情報(予測プロダクトごとかつnごとの対象期間、地点、気象変数)を、検索結果情報としてクライアント端末400に出力する(S206)。
【0135】
(ハードウェア構成)
図17は、本発明の実施形態に係る情報処理装置200のハードウェア構成を示す。
図1の配信サーバ100又はクライアント端末400は、コンピュータ装置200により構成される。コンピュータ装置200は、CPU201と、入力インタフェース202と、表示装置203と、通信装置204と、主記憶装置205と、外部記憶装置206とを備え、これらはバス207により相互に接続されている。
【0136】
CPU(中央演算装置)201は、主記憶装置205上で、コンピュータプログラムである情報処理プログラムを実行する。情報処理プログラムは、本装置の上述の各機能構成を実現するプログラムのことである。情報処理プログラムは、1つのプログラムではなく、複数のプログラムやスクリプトの組み合わせにより実現されていてもよい。CPU201が、情報処理プログラムを実行することにより、各機能構成は実現される。
【0137】
入力インタフェース202は、キーボード、マウス、およびタッチパネルなどの入力装置からの操作信号を、本装置に入力するための回路である。入力インタフェース202はユーザの操作装置に対応する。
【0138】
表示装置203は、本装置から出力されるデータを表示する。表示装置203は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、CRT(ブラウン管)、又はPDP(プラズマディスプレイ)であるが、これに限られない。コンピュータ装置200から出力されたデータは、この表示装置203に表示することができる。
【0139】
通信装置204は、本装置が外部装置と無線又は有線で通信するための回路である。データは、通信装置204を介して外部装置から入力することができる。外部装置から入力したデータを、主記憶装置205や外部記憶装置206に格納することができる。
【0140】
主記憶装置205は、情報処理プログラム、情報処理プログラムの実行に必要なデータ、および情報処理プログラムの実行により生成されたデータなどを記憶する。情報処理プログラムは、主記憶装置205上で展開され、実行される。主記憶装置205は、例えば、RAM、DRAM、SRAMであるが、これに限られない。
図1の各記憶部又はデータベースは、主記憶装置205上に構築されてもよい。
【0141】
外部記憶装置206は、情報処理プログラム、情報処理プログラムの実行に必要なデータ、および情報処理プログラムの実行により生成されたデータなどを記憶する。これらの情報処理プログラムやデータは、情報処理プログラムの実行の際に、主記憶装置205に読み出される。外部記憶装置206は、例えば、ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、及び磁気テープであるが、これに限られない。
図1の各記憶部又はデータベースは、外部記憶装置206上に構築されてもよい。
【0142】
なお、情報処理プログラムは、コンピュータ装置200に予めインストールされていてもよいし、CD-ROMなどの記憶媒体に記憶されていてもよい。また、情報処理プログラムは、インターネット上にアップロードされていてもよい。
【0143】
また、本装置は、単一のコンピュータ装置200により構成されてもよいし、相互に接続された複数のコンピュータ装置200からなるシステムとして構成されてもよい。
【0144】
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0145】
10 気象予測DB管理部
11 気象予測データ生成部
12 気象予測データDB登録部
13 メタデータ入力部
14 メタデータ記憶部
20 気象条件抽出部
21 時刻処理部
22 気象条件処理部
23 予測プロダクト推薦部
30 出力処理部
41 時刻入力部
42 気象条件入力部
43 予測プロダクト選択部
44 アンサンブル条件入力部
100 配信サーバ
200 情報処理装置(コンピュータ装置)
201 CPU
202 入力インタフェース
203 表示装置
204 通信装置
205 主記憶装置
206 外部記憶装置
207 バス
400 配信サーバ
400 クライアント端末