(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】定電圧回路
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
G05F1/56 310D
(21)【出願番号】P 2021154698
(22)【出願日】2021-09-22
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 経
(72)【発明者】
【氏名】小倉 暁生
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-118452(JP,A)
【文献】特開2006-079517(JP,A)
【文献】特開2018-128868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力電圧の分圧と、参照電圧との差分を増幅した第1電圧を出力する第1利得段と、
一端が入力電圧端子に接続され、他端が出力電圧端子に接続され、ゲートに印加された前記第1電圧に基づいて、前記出力電圧を制御する第1トランジスタと、
前記第1利得段に流れる電流を制御する第2トランジスタと、
前記出力電圧の変動量を第1電流に変換する第1回路と、
前記第1電流に対応する第2電流に基づいて、前記第2トランジスタのゲート電圧を制御する第2回路と
を備え、
前記第2トランジスタの前記ゲート電圧が前記第2トランジスタの第1閾値電圧以下である場合、第1動作モードが選択されて、前記第1利得段には、第3電流が流れ、前記第2トランジスタの前記ゲート電圧が前記第1閾値電圧よりも大きい場合、第2動作モードが選択されて、前記第1利得段には、前記第3電流よりも大きい第4電流が流れる、
定電圧回路。
【請求項2】
前記第1回路は、
一端が前記入力電圧端子に接続され、他端及びゲートが前記出力電圧端子に接続され、前記第1電流を流す第3トランジスタ
を含み、
前記第2回路は、
一端が前記入力電圧端子に接続され、他端が前記第2トランジスタの前記ゲートに接続され、ゲートが前記出力電圧端子に接続され、前記第2電流を流す第4トランジスタと、
一端が前記第2トランジスタの前記ゲートに接続され、他端が接地電圧端子に接続され、第5電流を流す第5トランジスタと
を含み、
前記第2回路は、前記第2電流及び前記第5電流に基づいて、前記第2トランジスタの前記ゲート電圧を、前記第2トランジスタの前記第1閾値電圧よりも小さい第1論理レベル、または前記第2トランジスタの前記第1閾値電圧よりも大きい第2論理レベルとする、
請求項1記載の定電圧回路。
【請求項3】
前記第1トランジスタに流れる電流に対応する第6電流と閾値電流との電流差に基づいて、第2電圧を制御する第3回路
をさらに備え、
前記第4トランジスタの前記他端の電圧及び前記第2電圧が前記第1論理レベルの場合、前記第1動作モードが選択されて、前記第1利得段には、前記第3電流が流れ、
前記第4トランジスタの前記他端の電圧及び前記第2電圧の少なくとも1つが前記第2論理レベルの場合、前記第2動作モードが選択されて、前記第1利得段には、前記第4電流が流れる、
請求項2記載の定電圧回路。
【請求項4】
前記第1回路は、
一端が前記入力電圧端子に接続され、他端及びゲートが前記出力電圧端子に接続され、前記第1電流を流す第3トランジスタ
を含み、
前記第2回路は、
一端が前記入力電圧端子に接続され、他端が前記第2トランジスタの前記ゲートに接続され、ゲートが前記出力電圧端子に接続され、前記第2電流を流す第4トランジスタ
を含み、
前記第2回路は、前記第2電流に基づいて、前記第2トランジスタの前記ゲート電圧を、接地電圧と前記入力電圧端子の電圧との間の電圧値とする、
請求項1記載の定電圧回路。
【請求項5】
前記第2回路は、前記第2トランジスタの前記ゲート電圧を、前記出力電圧の前記変動量が大きいほど大きい電圧値とし、前記出力電圧の前記変動量が小さいほど小さい電圧値とする、
請求項4記載の定電圧回路。
【請求項6】
前記第1利得段に流れる電流を制御する第6トランジスタと、
前記出力電圧の変動量を第7電流に変換する第4回路と、
前記第7電流に対応する第8電流に基づいて、前記第6トランジスタのゲート電圧を制御する第5回路と
をさらに備え、
前記第6トランジスタの前記ゲート電圧が前記第6トランジスタの第2閾値電圧以下である場合、前記第1動作モードが選択されて、前記第1利得段には、前記第3電流が流れ、前記第6トランジスタの前記ゲート電圧が前記第2閾値電圧よりも大きい場合、前記第2動作モードが選択されて、前記第1利得段には、前記第3電流よりも大きい第9電流が流れる、
請求項1乃至5のいずれか1項記載の定電圧回路。
【請求項7】
前記第1回路は、前記出力電圧の低下量を前記第1電流に変換する、
請求項1乃至6のいずれか1項記載の定電圧回路。
【請求項8】
一方の電極が前記第1回路に接続され、他方の電極が前記出力電圧端子に接続された容量素子をさらに含む、
請求項1乃至7のいずれか1項記載の定電圧回路。
【請求項9】
出力電圧の分圧と、参照電圧との差分を増幅した第1電圧を出力する第1利得段と、
前記第1電圧を増幅した第2電圧を出力する第2利得段と、
一端が入力電圧端子に接続され、他端が出力電圧端子に接続され、ゲートに印加された前記第2電圧に基づいて、前記出力電圧を制御する第1トランジスタと、
前記第1利得段に流れる電流を制御する第2トランジスタと、
前記第2利得段に流れる電流を制御する第3トランジスタと、
前記出力電圧の変動量を第1電流に変換する第1回路と、
前記第1電流に対応する第2電流に基づいて、前記第2トランジスタ及び前記第3トランジスタのゲート電圧を制御する第2回路と
を備え、
前記第2トランジスタの前記ゲート電圧が前記第2トランジスタの第1閾値電圧以下である場合、第1動作モードが選択されて、前記第1利得段には、第3電流が流れ、前記第2トランジスタの前記ゲート電圧が前記第1閾値電圧よりも大きい場合、第2動作モードが選択されて、前記第1利得段には、前記第3電流よりも大きい第4電流が流れ、
前記第3トランジスタの前記ゲート電圧が前記第3トランジスタの第2閾値電圧以下である場合、前記第1動作モードが選択されて、前記第2利得段には、第5電流が流れ、前記第3トランジスタの前記ゲート電圧が前記第2閾値電圧よりも大きい場合、前記第2動作モードが選択されて、前記第2利得段には、前記第5電流よりも大きい第6電流が流れる、
定電圧回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、定電圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
定電圧回路の1つとして、リニアレギュレータが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-134743号公報
【文献】特許第4389681号公報
【文献】特許第6510165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高速応答及び低消費電流を実現できる定電圧回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る定電圧回路は、出力電圧の分圧と、参照電圧との差分を増幅した第1電圧を出力する第1利得段と、一端が入力電圧端子に接続され、他端が出力電圧端子に接続され、ゲートに印加された第1電圧に基づいて、出力電圧を制御する第1トランジスタと、第1利得段に流れる電流を制御する第2トランジスタと、出力電圧の変動量を第1電流に変換する第1回路と、第1電流に対応する第2電流に基づいて、第2トランジスタのゲート電圧を制御する第2回路とを備える。第2トランジスタのゲート電圧が第2トランジスタの第1閾値電圧以下である場合、第1動作モードが選択されて、第1利得段には、第3電流が流れ、第2トランジスタのゲート電圧が第1閾値電圧よりも大きい場合、第2動作モードが選択されて、第1利得段には、第3電流よりも大きい第4電流が流れる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る定電圧回路の一例を示す回路図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る定電圧回路のモード選択動作を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る定電圧回路のモード選択動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る定電圧回路の効果を説明する図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る定電圧回路の一例を示す回路図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る定電圧回路のモード選択動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る定電圧回路のモード選択動作を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第3実施形態に係る定電圧回路の一例を示す回路図である。
【
図9】
図9は、第4実施形態に係る定電圧回路の一例を示す回路図である。
【
図10】
図10は、第4実施形態に係る定電圧回路のモード選択動作を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第4実施形態に係る定電圧回路のモード選択動作を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、第5実施形態に係る定電圧回路の一例を示す回路図である。
【
図13】
図13は、第6実施形態に係る定電圧回路の一例を示す回路図である。
【
図14】
図14は、第7実施形態に係る定電圧回路の一例を示す回路図である。
【
図15】
図15は、第8実施形態に係る定電圧回路の一例を示す回路図である。
【
図16】
図16は、第8実施形態に係る定電圧回路のモード選択動作を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、第8実施形態に係る定電圧回路のモード選択動作を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、第8実施形態に係る定電圧回路の効果を説明する図である。
【
図19】
図19は、第9実施形態に係る定電圧回路の一例を示す回路図である。
【
図20】
図20は、第10実施形態に係る定電圧回路の一例を示す回路図である。
【
図21】
図21は、第11実施形態に係る定電圧回路の一例を示す回路図である。
【
図22】
図22は、第12実施形態に係る定電圧回路の一例を示す回路図である。
【
図23】
図23は、第13実施形態に係る定電圧回路の一例を示す回路図である。
【
図24】
図24は、第14実施形態に係る定電圧回路の一例を示す回路図である。
【
図25】
図25は、第15実施形態に係る定電圧回路の一例を示す回路図である。
【
図26】
図26は、第16実施形態に係る定電圧回路の一例を示す回路図である。
【
図27】
図27は、第17実施形態に係る定電圧回路の一例を示す回路図である。
【
図28】
図28は、第18実施形態に係る定電圧回路の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に実施形態が図面を参照して記述される。以下の記述において、略同一の機能及び構成を有する構成要素は同一符号を付され、繰り返しの説明は省略される場合がある。また、ある実施形態についての記述は全て、明示的にまたは自明的に排除されない限り、別の実施形態の記述としても当てはまる。
【0008】
各機能ブロックは、以下の例のように区別されていなくてもよい。例えば、一部の機能が例示の機能ブロックとは別の機能ブロックによって実行されてもよい。さらに、例示の機能ブロックがさらに細かい機能サブブロックに分割されていてもよい。どの機能ブロックによって特定されるかによって実施形態は限定されない。
【0009】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある第1要素が別の第2要素に「接続されている」とは、第1要素が直接的または常時あるいは選択的に導電性となる要素を介して第2要素に接続されていることを含む。
【0010】
1.第1実施形態
第1実施形態に係る定電圧回路について説明する。本実施形態では、定電圧回路としてリニアレギュレータを例に挙げて説明する。
【0011】
本実施形態の定電圧回路は、動作モードとして、低消費電流モードと高速応答モードとを有する。低消費電流モードは、例えば、負荷がないときに、消費電流を抑制する際に選択される。高速応答モードは、例えば、負荷が発生し出力電圧が変動したときに、定電圧回路を高速に動作させる際に選択される。
【0012】
1.1 定電圧回路の回路構成
本実施形態に係る定電圧回路の回路構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、定電圧回路の一例を示す回路図である。なお、以下の説明では、トランジスタのソース及びドレインを限定しない場合、トランジスタのソースまたはドレインのいずれか一方を「トランジスタの一端」と表記し、トランジスタのソースまたはドレインのいずれか他方を「トランジスタの他端」と表記する。
【0013】
定電圧回路1は、入力電圧端子T1、基準電圧端子T2、出力電圧端子T3、第1利得段10、出力段20、第1電圧モニタ回路30、抵抗素子RF及びRS、並びに容量素子CCを含む。
【0014】
入力電圧端子T1には、ノードND1(以下、「電源電圧配線」とも表記する)が接続され、外部から入力電圧VINが印加される。
【0015】
基準電圧端子T2には、ノードND2(以下、「接地電圧配線」とも表記する)が接続される。基準電圧端子T2は、例えば、接地されていてもよいし、接地電圧(VSS)が印加されていてもよい。
【0016】
出力電圧端子T3にはノードND8が接続される。出力電圧端子T3から出力電圧VOUTが出力される。例えば、定電圧回路1を使用する際には、出力電圧端子T3と定電圧回路1の外部に接続された負荷(Load)との間に、容量素子COUTが接続される。容量素子COUTは、出力コンデンサとして機能する。容量素子COUTは、例えば、出力電圧端子T3に接続された負荷(Load)の変動、定電圧回路1と負荷との間に生じる寄生インダクタンス等の影響による出力電圧VOUTの揺らぎ、発振等を抑制する。例えば、容量素子COUTの一方の電極は、出力電圧端子T3に接続され、他方の電極は、接地される(接地電圧配線に接続される)。
【0017】
抵抗素子RF及びRSは、出力電圧VOUTの分圧回路として機能する。抵抗素子RFの一端は、ノードND8に接続され、他端はノードND9に接続される。抵抗素子RSの一端は、ノードND9に接続され、他端はノードND2に接続される。ノードND9に印加される電圧をフィードバック電圧VFBとし、抵抗素子RFの抵抗値をrFとし、抵抗素子RSの抵抗値をrSとする。すると、出力電圧VOUTと電圧VFBとは、VOUT=VFB×(1+rF/rS)の関係にある。すなわち、電圧VFBは、出力電圧VOUTの分圧である。
【0018】
容量素子CCは、出力電圧VOUTの直流成分をカットするフィルタとして機能する。容量素子CCの一方の電極は、ノードND11に接続され、他方の電極は、ノードND8に接続される。
【0019】
第1利得段10は、差動増幅回路である。第1利得段10は、参照電圧VREFと電圧VFBとを比較し、その差分に応じた(増幅した)電圧を出力段20に出力する。第1利得段10は、pチャネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)(以下、「PMOSトランジスタ」とも表記する)P1及びP2、nチャネルMOSFET(以下、「NMOSトランジスタ」とも表記する)N1~N5、並びに電流源11及び12を含む。
【0020】
PMOSトランジスタP1の一端は、ノードND1に接続され、他端及びゲートは、ノードND3に接続される。
【0021】
PMOSトランジスタP2の一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND4に接続され、ゲートはノードND3に接続される。すなわち、PMOSトランジスタP1とP2とは、カレントミラーを構成している。
【0022】
NMOSトランジスタN1の一端は、ノードND3に接続され、他端はノードND5に接続される。NMOSトランジスタN1のゲートには、電圧VFBが印加される。
【0023】
NMOSトランジスタN2の一端は、ノードND4に接続され、他端はノードND5に接続される。NMOSトランジスタN2のゲートには、参照電圧VREFが印加される。参照電圧VREFは、温度または入力電圧VINに依存しない、一定の基準電圧である。
【0024】
電流源11の一端は、ノードND5に接続され、他端はノードND2に接続される。電流源11からノードND2に電流I1aが流れる。
【0025】
NMOSトランジスタN3の一端及びゲートは、ノードND6に接続され、他端はノードND2に接続される。
【0026】
電流源12の一端には、入力電圧VINが印加される。電流源12の他端は、ノードND6に接続される。電流源12からNMOSトランジスタN3を介してノードND2に電流I1cが流れる。
【0027】
NMOSトランジスタN4の一端は、ノードND7に接続され、他端はノードND2に接続され、ゲートはノードND6に接続される。すなわち、NMOSトランジスタN3とN4とは、カレントミラーを構成している。
【0028】
NMOSトランジスタN5の一端は、ノードND5に接続され、他端はノードND7に接続され、ゲートはノードND10に接続される。NMOSトランジスタN5は、ノードND10の電圧Vnd10に基づいて動作する。
【0029】
例えば、電圧Vnd10は、高速応答モードの場合に、“H”レベルとされ、低消費電流モードの場合に、“L”レベルとされる。例えば、NMOSトランジスタN5は、電圧Vnd10が“H”レベルの場合、オン状態(接続状態)とされ、電圧Vnd10が“L”レベルの場合、オフ状態(非接続状態)とされる。NMOSトランジスタN5がオン状態のとき、NMOSトランジスタN4及びN5に電流I1cに対応する電流I1bが流れる。例えば、電流I1bは、電流I1aよりも大きい電流である。例えば、電流I1bは、電流I1aの100倍であってもよい。低消費電流モードの場合、第1利得段10には動作電流I1aが流れ、高速応答モードの場合、第1利得段10には動作電流(I1a+I1b)が流れる。動作電流I1aよりも動作電流(I1a+I1b)の方が大きい。このため、低消費電流モードよりも高速応答モードの方が、次段の出力段20を高速に駆動させることができる。
【0030】
出力段20は、定電圧回路1の出力電圧VOUTを制御する。出力段20は、PMOSトランジスタPpを含む。
【0031】
PMOSトランジスタPpの一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND8に接続される。PMOSトランジスタPpのゲートには、ノードND4が接続される。換言すると、PMOSトランジスタPpのゲートには、第1利得段10の出力電圧V1が印加される。PMOSトランジスタPpは、定電圧回路1の出力ドライバとして機能する。出力電圧VOUTを一定にするために、出力電圧VOUTの変動に応じてPMOSトランジスタPpのゲート電圧が変動し、PMOSトランジスタPpのオン抵抗が調整される。
【0032】
例えば、参照電圧VREFと電圧VFBとの電圧差が無い場合、すなわち、VFB=VREFの場合、出力電圧VOUTは、VOUT=VREF×(1+rF/rS)となる。出力電圧VOUTを表す式には、入力電圧VINまたは負荷に流れる負荷電流の項が含まれていない。従って、出力電圧VOUTは、入力電圧VIN及び負荷が変動しても、一定電圧を維持できる。
【0033】
第1電圧モニタ回路30は、出力電圧VOUTの低下をモニタし、その低下に応じてノードND10の電圧Vnd10を制御する。第1電圧モニタ回路30は、第1電圧電流変換回路31、第1電流コンパレータ32、及びNMOSトランジスタTn2を含む。
【0034】
第1電圧電流変換回路31は、容量素子CCにより直流成分がカットされた出力電圧VOUTの交流成分の低下量を電流に変換する。第1電圧電流変換回路31は、PMOSトランジスタTp1を含む。
【0035】
PMOSトランジスタTp1の一端は、ノードND1に接続され、他端及びゲートはノードND11に接続される。例えば、出力電圧VOUTの交流成分の変動がない、または出力電圧VOUTの交流成分が緩やかに低下した場合、PMOSトランジスタTp1は、ゲート-ソース間の電圧差に基づいて、オフ状態またはオン状態とされる。このため、PMOSトランジスタTp1には電流I3aが流れない、または微小な電流I3aが流れる。他方で、出力電圧VOUTの交流成分が急峻に低下した場合、ノードND11の電圧が低下し、ゲート-ソース間の電圧差が大きくなるため、PMOSトランジスタTp1はオン状態とされる。このため、PMOSトランジスタTp1には電流I3aが流れる。なお、電流I3aは、容量素子CCの容量値が大きくなるほど大きくなる。
【0036】
第1電流コンパレータ32は、第1電圧電流変換回路31により変換された電流I3aに対応する電流と、後述する基準電流とを比較し、その電流差に応じて電圧Vnd10を制御する。第1電流コンパレータ32は、PMOSトランジスタTp2、及びNMOSトランジスタTn1を含む。
【0037】
PMOSトランジスタTp2の一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND10に接続され、ゲートはノードND11に接続される。すなわち、PMOSトランジスタTp1とTp2とは、カレントミラーを構成している。
【0038】
NMOSトランジスタTn1の一端は、ノードND10に接続され、他端はノードND2に接続され、ゲートはノードND6に接続される。すなわち、NMOSトランジスタN3とTn1とは、カレントミラーを構成している。
【0039】
例えば、出力電圧VOUTの交流成分の変動がない、または出力電圧VOUTの交流成分が緩やかに低下した場合、上述のように、PMOSトランジスタTp1に電流I3aが流れない、または微小な電流I3aが流れる。電流I3aが流れない場合、PMOSトランジスタTp2はオフ状態とされ、PMOSトランジスタTp2には電流I3aに対応する電流I3acが流れない。一方、NMOSトランジスタTn1には電流I1cに対応する電流I3bが流れる。また、電流I3aが流れる場合、PMOSトランジスタTp2はオン状態とされ、PMOSトランジスタTp2には瞬間的に電流I3acが流れる。一方、NMOSトランジスタTn1には電流I3bが流れる。なお、電流I3acと電流I3bとは、最終的に同じ電流値となる。
【0040】
他方で、出力電圧VOUTの交流成分が急峻に低下した場合、上述のように、PMOSトランジスタTp1に電流I3aが流れる。この場合、PMOSトランジスタTp2はオン状態とされ、PMOSトランジスタTp2には瞬間的に電流I3acが流れる。一方、NMOSトランジスタTn1には電流I3bが流れる。
【0041】
第1電流コンパレータ32は、電流I3acと電流I3bとを比較する。電流I3bは、電流I3acと比較するための基準電流として用いられる。
【0042】
電流I3acが流れない場合、電圧Vnd10は、電圧VSSに近い電圧とされる(“L”レベルとされる)。換言すると、第1電流コンパレータ32は、電圧Vnd10を“L”レベルとする。なお、電圧VSSに近い電圧とは、例えばNMOSトランジスタN5の閾値電圧よりも小さい電圧である。
【0043】
電流I3acが流れる場合、電流I3acが電流I3bよりも大きい場合には、電圧Vnd10が上がるため、電圧Vnd10は、電圧VINに近い電圧とされる(“H”レベルとされる)。換言すると、第1電流コンパレータ32は、電圧Vnd10を“H”レベルとする。これは、例えば出力電圧VOUTの交流成分が急峻に低下した場合である。なお、電圧VINに近い電圧とは、例えばNMOSトランジスタN5の閾値電圧よりも大きい電圧である。電流I3acが電流I3bよりも小さい場合には、電圧Vnd10が下がるため、電圧Vnd10は、電圧VSSに近い電圧とされる(“L”レベルとされる)。換言すると、第1電流コンパレータ32は、電圧Vnd10を“L”レベルとする。これは、例えば出力電圧VOUTの交流成分の変動がない、または出力電圧VOUTの交流成分が緩やかに低下した場合である。また、電流I3acが電流I3bと等しい場合、電圧Vnd10は、電圧VSSに近い電圧に維持される(“L”レベルに維持される)。換言すると、第1電流コンパレータ32は、電圧Vnd10を“L”レベルに維持する。
【0044】
NMOSトランジスタTn2は、電流I3aを調整するために設けられる。NMOSトランジスタTn2の一端は、ノードND11に接続され、他端はノードND2に接続され、ゲートはノードND6に接続される。すなわち、NMOSトランジスタN3とTn2とは、カレントミラーを構成している。NMOSトランジスタTn2には電流I1cに対応する電流I3cが流れる。このため、電流I3aは、電流I3cだけバイアスされた電流となる。なお、電流I3cの電流値は、レジスタやeFuseにより切り替えてもよい。
【0045】
1.2 モード選択動作
本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作について、
図2及び
図3を用いて説明する。
図2及び
図3は、定電圧回路1のモード選択動作を示すフローチャートである。以下では、定電圧回路1が低消費電流モードから高速応答モードに移行した後、高速応答モードから低消費電流モードに移行する場合を例に挙げて説明する。
【0046】
定電圧回路1は、低消費電流モードを実行する(S10)。S10の実行時、第1電圧モニタ回路30は、電圧Vnd10を“L”レベルとする。NMOSトランジスタN5は、“L”レベルの電圧Vnd10に基づいてオフ状態とされる。
【0047】
次に、第1電流コンパレータ32は、電流I3acと電流I3bとを比較する。第1電流コンパレータ32は、電流I3acが電流I3b以下である場合(S11_No)、電圧Vnd10を“L”レベルに維持する。すなわち、定電圧回路1は、低消費電流モードを維持する。他方で、第1電流コンパレータ32は、電流I3acが電流I3bよりも大きい場合(S11_Yes)、電圧Vnd10を“H”レベルとする(S12)。
【0048】
NMOSトランジスタN5は、“H”レベルの電圧Vnd10に基づいてオン状態とされる(S13)。この結果、定電圧回路1は、高速応答モードを実行する(S14)。
【0049】
次に、第1電流コンパレータ32は、電流I3acと電流I3bとを比較する。第1電流コンパレータ32は、電流I3acが電流I3bよりも大きい場合(S15_Yes)、電圧Vnd10を“H”レベルに維持する。すなわち、定電圧回路1は、高速応答モードを維持する。他方で、第1電流コンパレータ32は、電流I3acが電流I3b以下である場合(S15_No)、電圧Vnd10を“L”レベルとする(S16)。
【0050】
NMOSトランジスタN5は、“L”レベルの電圧Vnd10に基づいてオフ状態とされる(S17)。この結果、定電圧回路1は、低消費電流モードを実行する(S18)。
【0051】
1.3 効果
本実施形態に係る構成であれば、定電圧回路の高速応答及び低消費電流を実現できる。以下、本効果につき、
図4を用いて説明する。
図4は、本実施形態に係る定電圧回路1の効果を説明する図である。
【0052】
図4に示すように、本実施形態に係る定電圧回路1において、時刻t0~時刻t1の間、出力電圧VOUTは定常状態の電圧値であり、負荷はなく、第1利得段10の動作電流はI1aである。時刻t1において、負荷が発生したとする。この場合、時刻t1において、負荷電流が増加し、出力電圧VOUTは定常状態の電圧値から急峻に低下している。しかし、時刻t2において、出力電圧VOUTは、定常状態の電圧値に戻っている。これは、時刻t1において、第1電圧電流変換回路31が出力電圧VOUTの交流成分の急峻な低下量を電流I3aに変換し、第1電流コンパレータ32が電流I3aに対応する電流I3acに基づいてノードND10の電圧Vnd10を“H”レベルに制御し、NMOSトランジスタN5がオン状態とされることにより、動作電流がI1a+I1bに増加するためである。そして、時刻t2において、動作電流はI1aに戻っている。これは、時刻t2において、第1電流コンパレータ32がノードND10の電圧Vnd10を“L”レベルに制御し、NMOSトランジスタN5がオフ状態とされることにより、動作電流がI1aに減少するためである。
【0053】
このように、本実施形態に係る定電圧回路1は、出力電圧VOUTの交流成分が急峻に低下した場合、その低下量に基づいて、第1利得段10の動作電流を増加させることができる。このため、出力電圧VOUTが定常状態に戻るまでの時間を短縮できる。すなわち、本実施形態に係る定電圧回路1は、高速応答を実現できる。
【0054】
また、出力電圧VOUTの交流成分の変動がない、または出力電圧VOUTの交流成分が緩やかに低下した場合、本実施形態に係る定電圧回路1は、ノードND10の電圧Vnd10が“L”レベルに制御され、NMOSトランジスタN5がオフ状態とされるため、低消費電流を実現できる。
【0055】
さらに、本実施形態に係る定電圧回路1は、NMOSトランジスタTn2を含む。NMOSトランジスタTn2に電流I3cを流すことにより、PMOSトランジスタTp1に流れる電流I3aがバイアスされる。このため、PMOSトランジスタTp1のゲート-ソース間の電圧差が閾値電圧を超えてPMOSトランジスタTp1に電流I3aが流れ始めるまでの時間を短縮できる。すなわち、PMOSトランジスタTp1の応答速度を向上できる。よって、PMOSトランジスタTp2に電流I3acが流れ始めるまでの時間も短縮できる。
【0056】
また、本実施形態に係る定電圧回路1では、NMOSトランジスタTn1及びTn2が、NMOSトランジスタN3とカレントミラーを構成し、PMOSトランジスタTp1がPMOSトランジスタTp2とカレントミラーを構成している。カレントミラー回路は、レイアウト設計時にミスマッチを考慮したペア配置にすることが一般的である。このため、NMOSトランジスタTn1とNMOSトランジスタTn2により生成される電流I3bと電流I3cの電流値のばらつきを抑制できる。同様に、PMOSトランジスタTp1とPMOSトランジスタTp2により生成される電流I3aと電流I3acの電流値のばらつきも抑制できる。結果として、第1電流コンパレータ32のミスマッチとばらつきを抑制できる。
【0057】
2.第2実施形態
第2実施形態に係る定電圧回路1について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1は、電流モニタ回路40及びOR回路OR1を含む点で第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0058】
2.1 定電圧回路1の回路構成
本実施形態に係る定電圧回路1の回路構成について、
図5を用いて説明する。
図5は、定電圧回路1の一例を示す回路図である。
【0059】
定電圧回路1は、電流モニタ回路40及びOR回路OR1をさらに含む。
【0060】
電流モニタ回路40は、出力電圧端子T3に流れる出力電流に加えて抵抗素子RF及びRSに流れる電流、すなわち、PMOSトランジスタPpに流れる電流をモニタし、その電流値に応じた電圧Vrを出力する。電流モニタ回路40は、PMOSトランジスタPM及び比較器CM1を含む。
【0061】
PMOSトランジスタPMの一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND12に接続される。PMOSトランジスタPMのゲートには、ノードND4が接続される。換言すると、PMOSトランジスタPMのゲートには、第1利得段10の出力電圧V1が印加される。例えば、定電圧回路1の出力電流(負荷電流)の変動(上昇)により、電圧V1が変動した場合、ノードND1からPMOSトランジスタPMを介してノードND12に流れる電流(PMOSトランジスタPpに流れる電流に対応する電流。以下、「電流Ind12」と表記する)が変動(上昇)する。
【0062】
比較器CM1の反転入力端子には、閾値電流Ithが供給される。閾値電流Ithは、ノードND12に流れる電流Ind12の判定に用いられる電流である。比較器CM1の非反転入力端子は、ノードND12に接続される。比較器CM1の非反転入力端子には、ノードND12に流れる電流Ind12が供給される。比較器CM1の出力端子から電圧Vrが出力される。例えば、電流Ind12が閾値電流Ithよりも大きい期間、比較器CM1は、“H”レベルの電圧Vrを出力する。他方で、電流Ind12が閾値電流Ith以下である期間、比較器CM1は、“L”レベルの電圧Vrを出力する。
【0063】
OR回路OR1は、2つの入力端子を有する。OR回路OR1の一方の入力端子には、ノードND10の電圧Vnd10が印加され、他方の入力端子には電圧Vrが入力される。OR回路OR1は、電圧Vnd10及び電圧Vrに基づいて、OR演算を行う。OR回路OR1は、演算結果をモード信号MSとしてNMOSトランジスタN5のゲートに送信する。具体的には、電圧Vnd10及び電圧Vrの少なくとも一方が“H”レベルの場合、OR回路OR1は、“H”レベルのモード信号MSを送信する。また、電圧Vnd10及び電圧Vrの両方が“L”レベルの場合、OR回路OR1は、“L”レベルのモード信号MSを送信する。
【0064】
NMOSトランジスタN5は、OR回路OR1から受信するモード信号MSに基づいて動作する。
【0065】
定電圧回路1の他の構成は、第1実施形態の
図1と同様である。
【0066】
なお、例えば、出力電圧VOUTが低下しているときと、負荷電流が上昇しているときとで、加算される電流I1bの値を変えてもよい。
【0067】
2.2 モード選択動作
本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作について、
図6及び
図7を用いて説明する。
図6及び
図7は、定電圧回路1のモード選択動作を示すフローチャートである。第1実施形態の
図2及び
図3のS10~S18の動作に、S30~S35の動作が追加されている。S10~S18の動作は、第1実施形態の
図2及び
図3と同様である。以下では、S30~S35の動作を中心に説明する。
【0068】
S10~S12の実行後、電圧Vrは、“L”レベルになっている。
【0069】
電流モニタ回路40は、電流Ind12が閾値電流Ith以下である場合(S30_No)、電圧Vrを“L”レベルに維持する。他方で、電流モニタ回路40は、電流Ind12が閾値電流Ithよりも大きい場合(S30_Yes)、電圧Vrを“H”レベルとする(S31)。換言すると、比較器CM1において、非反転入力端子の電流Ind12が、反転入力端子の閾値電流Ithよりも大きい期間、比較器CM1は、“H”レベルの電圧Vrを出力する。
【0070】
NMOSトランジスタN5は、電圧Vnd10及び電圧Vrの両方が“L”レベルである場合(S32_No)、オフ状態が維持される。他方で、NMOSトランジスタN5は、電圧Vnd10及び電圧Vrの少なくとも一方が“H”レベルである場合(S32_Yes)、オン状態とされる(S13)。
【0071】
S13~S16の実行後、電圧Vrは、“H”レベルになっている。
【0072】
電流モニタ回路40は、電流Ind12が閾値電流Ithよりも大きい場合(S33_Yes)、電圧Vrを“H”レベルに維持する。他方で、電流モニタ回路40は、電流Ind12が閾値電流Ith以下である場合(S33_No)、電圧Vrを“L”レベルとする(S34)。換言すると、比較器CM1において、非反転入力端子の電流Ind12が、反転入力端子の閾値電流Ith以下である期間、比較器CM1は、“L”レベルの電圧Vrを出力する。
【0073】
NMOSトランジスタN5は、電圧Vnd10及び電圧Vrの少なくとも一方が“H”レベルである場合(S35_No)、オン状態が維持される。他方で、NMOSトランジスタN5は、電圧Vnd10及び電圧Vrの両方が“L”レベルである場合(S35_Yes)、オフ状態とされる(S17)。
【0074】
2.3 効果
本実施形態に係る構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0075】
また、本実施形態に係る構成であれば、電流モニタ回路40を含むため、出力電圧VOUTの変動の有無に関係なく、負荷電流が上昇しているときには高速応答を維持できる。
【0076】
3.第3実施形態
第3実施形態に係る定電圧回路1について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1は、第2利得段50を含む点で第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0077】
3.1 定電圧回路1の回路構成
本実施形態に係る定電圧回路1の回路構成について、
図8を用いて説明する。
図8は、定電圧回路1の一例を示す回路図である。
【0078】
定電圧回路1は、第2利得段50をさらに含む。
【0079】
第2利得段50は、第1利得段10の出力電圧V1を増幅し、増幅した電圧を出力段20に出力する。第2利得段50は、PMOSトランジスタP3、及びNMOSトランジスタN6~N8を含む。
【0080】
PMOSトランジスタP3の一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND13に接続される。PMOSトランジスタP3のゲートには、ノードND4が接続される。換言すると、PMOSトランジスタP3のゲートには、第1利得段10の出力電圧V1が印加される。
【0081】
NMOSトランジスタN6の一端は、ノードND13に接続され、他端はノードND2に接続され、ゲートはノードND6に接続される。すなわち、NMOSトランジスタN3とN6とは、カレントミラーを構成している。NMOSトランジスタN6には、電流I1cに対応する電流I5aが流れる。
【0082】
NMOSトランジスタN7の一端は、ノードND15に接続され、他端はノードND2に接続され、ゲートはノードND6に接続される。すなわち、NMOSトランジスタN3とN7とは、カレントミラーを構成している。
【0083】
NMOSトランジスタN8の一端は、ノードND13に接続され、他端はノードND15に接続され、ゲートはノードND10に接続される。NMOSトランジスタN8は、ノードND10の電圧Vnd10に基づいて動作する。
【0084】
例えば、NMOSトランジスタN8は、電圧Vnd10が“H”レベルの場合、オン状態とされ、電圧Vnd10が“L”レベルの場合、オフ状態とされる。NMOSトランジスタN8がオン状態のとき、NMOSトランジスタN7及びN8に電流I1cに対応する電流I5bが流れる。例えば、電流I5bは、電流I5aよりも大きい電流である。低消費電流モードの場合、第2利得段50には動作電流I5aが流れ、高速応答モードの場合、第2利得段50には動作電流(I5a+I5b)が流れる。動作電流I5aよりも動作電流(I5a+I5b)の方が大きい。このため、低消費電流モードよりも高速応答モードの方が、次段の出力段20を高速に駆動させることができる。
【0085】
出力段20のPMOSトランジスタPpのゲートには、ノードND13が接続される。換言すると、PMOSトランジスタPpのゲートには、第2利得段50の出力電圧V2が印加される。
【0086】
NMOSトランジスタN1のゲートには、参照電圧VREFが印加される。
【0087】
NMOSトランジスタN2のゲートには、電圧VFBが印加される。
【0088】
定電圧回路1の他の構成は、第1実施形態の
図1と同様である。
【0089】
なお、例えば、電圧Vnd10が“H”レベルの場合に、NMOSトランジスタN5及びN8のうちの一方だけオン状態とされてもよい。
【0090】
また、第2利得段50は、NMOSトランジスタN6が廃され、別の電流源及びNMOSトランジスタとNMOSトランジスタN7とによりカレントミラーを構成してもよい。この場合、第1電圧モニタ回路30のNMOSトランジスタTn1及びTn2は、第1利得段10のNMOSトランジスタとカレントミラーを構成してもよいし、第2利得段50のNMOSトランジスタとカレントミラーを構成してもよい。
【0091】
3.2 モード選択動作
本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作を示すフローチャートは、第1実施形態の
図2及び
図3において、S13及びS17の「N5」を「N5及びN8」に置き換えたものである。
【0092】
3.3 効果
本実施形態に係る構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。もちろん、本実施形態は、第2実施形態に適用することもできる。
【0093】
4.第4実施形態
第4実施形態に係る定電圧回路1について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1では、第1利得段10及び第1電圧モニタ回路30の構成が第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と区別するために、第1電圧モニタ回路30を、第1電圧モニタ回路30aと表記する。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0094】
4.1 定電圧回路1の回路構成
本実施形態に係る定電圧回路1の回路構成について、
図9を用いて説明する。
図9は、定電圧回路1の一例を示す回路図である。
【0095】
第1利得段10において、第1実施形態の
図1におけるNMOSトランジスタN3及びN4、並びに電流源12は廃されている。
【0096】
第1電圧モニタ回路30aは、NMOSトランジスタTn3、及び電流源33をさらに含む。
【0097】
NMOSトランジスタTn3の一端及びゲートは、ノードND16に接続され、他端はノードND2に接続される。NMOSトランジスタTn2のゲートは、ノードND16に接続される。すなわち、NMOSトランジスタTn3とTn2とは、カレントミラーを構成している。
【0098】
電流源33の一端には、入力電圧VINが印加される。電流源33の他端は、ノードND16に接続される。電流源33からNMOSトランジスタTn3を介してノードND2に電流I3dが流れる。NMOSトランジスタTn2には、電流I3dに対応する電流I3cが流れる。
【0099】
第1電流コンパレータ32において、第1実施形態の
図1におけるNMOSトランジスタTn1は廃されている。第1電流コンパレータ32は、NMOSトランジスタTn4-1~Tn4-m(mは1以上の整数)、Tn5-1~Tn5-m、及び電流源34をさらに含む。
【0100】
NMOSトランジスタTn4-1~Tn4-mは、直列接続される。直列接続されたNMOSトランジスタTn4-1~Tn4-mの一端は、ノードND17に接続される。直列接続されたNMOSトランジスタTn4-1~Tn4-mの他端は、ノードND2に接続される。NMOSトランジスタTn4-1~Tn4-mの各ゲートは、ノードND17に接続される。
【0101】
電流源34の一端には、入力電圧VINが印加される。電流源34の他端は、ノードND17に接続される。電流源34からNMOSトランジスタTn4-1~Tn4-mに電流I3eが流れる。
【0102】
NMOSトランジスタTn5-1~Tn5-mは、直列接続される。直列接続されたNMOSトランジスタTn5-1~Tn5-mの一端は、ノードND10に接続される。直列接続されたNMOSトランジスタTn5-1~Tn5-mの他端は、ノードND2に接続される。NMOSトランジスタTn5-1~Tn5-mの各ゲートは、ノードND17に接続される。すなわち、NMOSトランジスタTn4-1~Tn4-mと、NMOSトランジスタTn5-1~Tn5-mとは、カレントミラーを構成している。NMOSトランジスタTn5-1~Tn5-mには、電流I3eに対応する電流I3bが流れる。NMOSトランジスタTn5-1~Tn5-mは直列接続されているため、電流I3bは定電流性が高い。
【0103】
第1電流コンパレータ32において、PMOSトランジスタTp2は、PMOSトランジスタTp1と比べてゲート長Lを短くしている。この場合、PMOSトランジスタTp2のチャネル長変調効果により、電流I3acは、ゲート長Lが長い場合と比べて上昇する。電流I3acが上昇すると、ノードND10の電圧Vnd10が上昇する。一方、電圧Vnd10が上昇すると、電流I3bが上昇する。このため、電圧Vnd10は少しずつ上昇する。換言すると、第1電流コンパレータ32は、ノードND10の電圧Vnd10を緩やかに変化させる。よって、電圧Vnd10は、電圧VSSと電圧VINとの間の電圧値とされる。電圧Vnd10は、出力電圧VOUTの低下量が大きいほど大きくなり、出力電圧VOUTの低下量が小さいほど小さくなる。なお、電流I3acが流れない場合、電圧Vnd10は、電圧VSSに近い電圧とされる。
【0104】
NMOSトランジスタN5は、電圧Vnd10がNMOSトランジスタN5の閾値電圧Vth5を超えるとオン状態とされ、第1利得段10には電圧Vnd10に応じた電流I1bが流れる。
【0105】
定電圧回路1の他の構成は、第1実施形態の
図1と同様である。
【0106】
4.2 モード選択動作
本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作について、
図10及び
図11を用いて説明する。
図10及び
図11は、定電圧回路1のモード選択動作を示すフローチャートである。本実施形態では、出力電圧VOUTが低下した場合に、第1電流コンパレータ32がノードND10の電圧Vnd10を緩やかに変化させる。これにより、NMOSトランジスタN5がオフ状態からオン状態に緩やかに遷移する。換言すると、第1利得段10の動作電流が緩やかに変化する。このため、定電圧回路1が低消費電流モードから高速応答モードに緩やかに移行する。以下では、第1利得段10の動作電流が電流I1a(一定値)から電流I1a+I1b(可変値)に変化した後、電流I1a+I1bから電流I1aに変化する場合を例に挙げて説明する。
【0107】
定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を一定値(電流I1a)にする(S40)。S40の実行時、第1電圧モニタ回路30aは、電圧Vnd10を、出力電圧VOUTの低下量に応じた電圧とする。NMOSトランジスタN5は、電圧Vnd10に基づいてオフ状態とされる。
【0108】
NMOSトランジスタN5は、第1電流コンパレータ32により制御された電圧Vnd10がNMOSトランジスタN5の閾値電圧Vth5よりも大きい場合(S41_Yes)、オン状態とされる。この結果、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を可変値(電流I1a+I1b)にする(S42)。他方で、NMOSトランジスタN5は、電圧Vnd10が閾値電圧Vth5以下である場合(S41_No)、オフ状態を維持する。すなわち、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を一定値(電流I1a)に維持する。
【0109】
NMOSトランジスタN5は、第1電流コンパレータ32により制御された電圧Vnd10がNMOSトランジスタN5の閾値電圧Vth5よりも大きい場合(S43_Yes)、オン状態を維持する。すなわち、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を可変値(電流I1a+I1b)に維持する。他方で、NMOSトランジスタN5は、電圧Vnd10が閾値電圧Vth5以下である場合(S43_No)、オフ状態とされる。この結果、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を一定値(電流I1a)にする(S44)。
【0110】
4.3 効果
本実施形態に係る構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0111】
また、本実施形態に係る定電圧回路1では、第1電流コンパレータ32がノードND10の電圧Vnd10を、出力電圧VOUTの低下量が大きいほど大きい電圧値に制御し、出力電圧VOUTの低下量が小さいほど小さい値に制御することができる。このため、電圧Vnd10が閾値電圧Vth5を超え、NMOSトランジスタN5がオン状態とされた場合、NMOSトランジスタN5には電圧Vnd10に応じた電流が流れる。すなわち、出力電圧VOUTの低下量に応じて第1利得段10の動作電流を可変とすることができる。第1利得段10の動作電流は、出力電圧VOUTの低下量が大きいほど大きくなり、出力電圧VOUTの低下量が小さいほど小さくなる。
【0112】
5.第5実施形態
第5実施形態に係る定電圧回路1について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1では、第1利得段10及び第1電流コンパレータ32の構成が第4実施形態と異なる。なお、モード選択動作を示すフローチャートは、第4実施形態の
図10及び
図11と同様である。以下では、第4実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0113】
5.1 定電圧回路1の回路構成
本実施形態に係る定電圧回路1の回路構成について、
図12を用いて説明する。
図12は、定電圧回路1の一例を示す回路図である。
【0114】
第1利得段10において、第4実施形態の
図9におけるNMOSトランジスタN5は廃されている。第1利得段10は、NMOSトランジスタN5-1~N5-k(kは1以上の整数)をさらに含む。
【0115】
NMOSトランジスタN5-1~N5-kは、直列接続される。直列接続されたNMOSトランジスタN5-1~N5-kの一端は、ノードND5に接続される。直列接続されたNMOSトランジスタN5-1~N5-kの他端は、ノードND2に接続される。NMOSトランジスタN5-1~N5-kの各ゲートは、ノードND10に接続される。NMOSトランジスタN5-1~N5-kの各々は、ノードND10の電圧Vnd10に基づいて動作する。NMOSトランジスタN5-1~N5-kは直列接続されているため、電流I1bは低利得となる。すなわち、電流I1bは、直列接続されていない場合と比べて小さい電流となる。
【0116】
第1電流コンパレータ32において、第4実施形態の
図9におけるNMOSトランジスタTn4-1~Tn4-m、Tn5-1~Tn5-m、及び電流源34は、廃されている。第1電流コンパレータ32は、抵抗素子R1をさらに含む。
【0117】
抵抗素子R1の一端は、ノードND10に接続され、他端はノードND2に接続される。なお、抵抗素子R1は、可変抵抗であってもよい。
【0118】
第1電流コンパレータ32において、PMOSトランジスタTp2は、PMOSトランジスタTp1と比べてゲート長Lを短くしている。この場合、PMOSトランジスタTp2のチャネル長変調効果により、電流I3acは、ゲート長Lが長い場合と比べて上昇し、ノードND10の電圧Vnd10が上昇する。これにより、第1電流コンパレータ32は、ノードND10の電圧Vnd10を緩やかに変化させる。よって、電圧Vnd10は、電圧VSSと電圧VINとの間の電圧値とされる。電圧Vnd10は、出力電圧VOUTの低下量が大きいほど大きくなり、出力電圧VOUTの低下量が小さいほど小さくなる。
【0119】
NMOSトランジスタN5-1~N5-kの各々は、電圧Vnd10がNMOSトランジスタN5-1~N5-kの各々の閾値電圧Vth5を超えるとオン状態とされ、第1利得段10には電圧Vnd10に応じた電流I1bが流れる。
【0120】
定電圧回路1の他の構成は、第4実施形態の
図9と同様である。
【0121】
5.2 効果
本実施形態に係る構成によれば、第4実施形態と同様の効果を奏する。
【0122】
6.第6実施形態
第6実施形態に係る定電圧回路1について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1では、第1電流コンパレータ32の構成が第4実施形態と異なる。なお、モード選択動作を示すフローチャートは、第4実施形態の
図10及び
図11と同様である。以下では、第4実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0123】
6.1 定電圧回路1の回路構成
本実施形態に係る定電圧回路1の回路構成について、
図13を用いて説明する。
図13は、定電圧回路1の一例を示す回路図である。
【0124】
第1電流コンパレータ32において、第4実施形態の
図9におけるNMOSトランジスタTn4-1~Tn4-m、Tn5-1~Tn5-m、及び電流源34は、廃されている。第1電流コンパレータ32は、NMOSトランジスタTn6をさらに含む。
【0125】
NMOSトランジスタTn6の一端及びゲートは、ノードND10に接続され、他端はノードND2に接続される。NMOSトランジスタN5のゲートは、ノードND10に接続される。すなわち、NMOSトランジスタTn6とN5とは、カレントミラーを構成している。
【0126】
第1電流コンパレータ32において、電流I3acが流れると、ノードND10の電圧Vnd10は上昇し、NMOSトランジスタTn6に電流I3acが流れる。これにより、第1電流コンパレータ32は、ノードND10の電圧Vnd10を緩やかに変化させる。よって、電圧Vnd10は、電圧VSSと電圧VINとの間の電圧値とされる。電圧Vnd10は、出力電圧VOUTの低下量が大きいほど大きくなり、出力電圧VOUTの低下量が小さいほど小さくなる。
【0127】
NMOSトランジスタN5は、電圧Vnd10がNMOSトランジスタN5の閾値電圧Vth5を超えるとオン状態とされ、第1利得段10には電圧Vnd10に応じた電流I1b、すなわち電流I3acのミラー比倍の電流が流れる。
【0128】
定電圧回路1の他の構成は、第4実施形態の
図9と同様である。
【0129】
6.2 効果
本実施形態に係る構成によれば、第4実施形態と同様の効果を奏する。
【0130】
7.第7実施形態
第7実施形態に係る定電圧回路1について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1は、第2利得段50を含む点で第4実施形態と異なる。以下では、第4実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0131】
7.1 定電圧回路1の回路構成
本実施形態に係る定電圧回路1の回路構成について、
図14を用いて説明する。
図14は、定電圧回路1の一例を示す回路図である。
【0132】
定電圧回路1は、第2利得段50をさらに含む。
【0133】
第2利得段50において、第3実施形態の
図8におけるNMOSトランジスタN6及びN7は廃されている。第2利得段50は、電流源51をさらに含む。
【0134】
電流源51の一端は、ノードND13に接続され、他端はノードND2に接続される。電流源51からノードND2に電流I5aが流れる。
【0135】
第2利得段50の他の構成は、第3実施形態の
図8と同様である。
【0136】
定電圧回路1の他の構成は、第4実施形態の
図9と同様である。
【0137】
なお、第1電圧モニタ回路30aは、第5実施形態または第6実施形態の第1電圧モニタ回路30aであってもよい。
【0138】
7.2 モード選択動作
本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作を示すフローチャートは、第2利得段50の動作が追加された点で第4実施形態の
図10及び
図11と異なる。以下では、
図10及び
図11を用いて定電圧回路1のモード選択動作について説明する。
【0139】
図10のS40において、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を一定値(電流I1a)にし、第2利得段50の動作電流を一定値(電流I5a)する。
【0140】
図10のS41において、電圧Vnd10が、NMOSトランジスタN5の閾値電圧Vth5よりも大きい、またはNMOSトランジスタN8の閾値電圧Vth8よりも大きい場合(S41_Yes)、NMOSトランジスタN5及びN8のうちの閾値電圧を超えたトランジスタは、オン状態とされる。この結果、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を可変値(電流I1a+I1b)にし、第2利得段50の動作電流を可変値(電流I5a+I5b)にする(S42)。他方で、電圧Vnd10が閾値電圧Vth5以下且つ閾値電圧Vth8以下である場合(S41_No)、NMOSトランジスタN5及びN8は、オフ状態を維持する。すなわち、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を一定値(電流I1a)に維持し、第2利得段50の動作電流を一定値(電流I5a)に維持する。
【0141】
図11のS43において、電圧Vnd10が、NMOSトランジスタN5の閾値電圧Vth5よりも大きい、またはNMOSトランジスタN8の閾値電圧Vth8よりも大きい場合(S43_Yes)、NMOSトランジスタN5及びN8のうちの閾値電圧を超えたトランジスタは、オン状態を維持する。すなわち、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を可変値(電流I1a+I1b)に維持し、第2利得段50の動作電流を可変値(電流I5a+I5b)に維持する。他方で、電圧Vnd10が閾値電圧Vth5以下且つ閾値電圧Vth8以下である場合(S43_No)、NMOSトランジスタN5及びN8は、オフ状態とされる。この結果、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を一定値(電流I1a)にし、第2利得段50の動作電流を一定値(電流I5a)にする(S44)。
【0142】
7.3 効果
本実施形態に係る構成によれば、第4実施形態と同様の効果を奏する。
【0143】
8.第8実施形態
第8実施形態に係る定電圧回路1について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1は、第2電圧モニタ回路60を含む点で第1実施形態と異なる。また、本実施形態に係る定電圧回路1では、第1利得段10の構成が第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0144】
8.1 定電圧回路1の回路構成
本実施形態に係る定電圧回路1の回路構成について、
図15を用いて説明する。
図15は、定電圧回路1の一例を示す回路図である。なお、
図15において、第1実施形態の
図1における第1電圧モニタ回路30と、ノードND1及びND2との間の配線は省略されている。
【0145】
定電圧回路1は、第2電圧モニタ回路60をさらに含む。
【0146】
第2電圧モニタ回路60は、出力電圧VOUTの上昇をモニタし、その上昇に応じてノードND21の電圧Vnd21を制御する。第2電圧モニタ回路60は、第2電圧電流変換回路61、第2電流コンパレータ62、PMOSトランジスタTp4~Tp6、並びにNMOSトランジスタTn8及びTn10を含む。
【0147】
第2電圧電流変換回路61は、容量素子CCにより直流成分がカットされた出力電圧VOUTの交流成分の上昇量を電流に変換する。第2電圧電流変換回路61は、NMOSトランジスタTn7を含む。
【0148】
NMOSトランジスタTn7の一端及びゲートは、ノードND11に接続され、他端はノードND2に接続される。例えば、出力電圧VOUTの交流成分の変動がない、または出力電圧VOUTの交流成分が緩やかに上昇した場合、NMOSトランジスタTn7は、ゲート-ソース間の電圧差に基づいて、オフ状態またはオン状態とされる。このため、NMOSトランジスタTn7には電流I6aが流れない、または微小な電流I6aが流れる。他方で、出力電圧VOUTの交流成分が急峻に上昇した場合、ノードND11の電圧が上昇し、ゲート-ソース間の電圧差が大きくなるため、NMOSトランジスタTn7はオン状態とされる。このため、NMOSトランジスタTn7には電流I6aが流れる。なお、電流I6aは、容量素子CCの容量値が大きくなるほど大きくなる。
【0149】
PMOSトランジスタTp4の一端は、ノードND1に接続され、他端及びゲートはノードND22に接続される。
【0150】
NMOSトランジスタTn8の一端は、ノードND22に接続され、他端はノードND2に接続され、ゲートはノードND11に接続される。すなわち、NMOSトランジスタTn7とTn8とは、カレントミラーを構成している。
【0151】
PMOSトランジスタTp4、及びNMOSトランジスタTn8には、電流I6aに対応する電流I6ac’が流れる。
【0152】
第2電流コンパレータ62は、第2電圧電流変換回路61により変換された電流I6aに対応する電流と、後述する基準電流とを比較し、その電流差に応じて電圧Vnd21を制御する。第2電流コンパレータ62は、PMOSトランジスタTp3、及びNMOSトランジスタTn9を含む。
【0153】
PMOSトランジスタTp3の一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND21に接続され、ゲートはノードND22に接続される。すなわち、PMOSトランジスタTp4とTp3とは、カレントミラーを構成している。
【0154】
NMOSトランジスタTn9の一端は、ノードND21に接続され、他端はノードND2に接続され、ゲートはノードND6に接続される。すなわち、NMOSトランジスタN3とTn9とは、カレントミラーを構成している。
【0155】
例えば、出力電圧VOUTの交流成分の変動がない、または出力電圧VOUTの交流成分が緩やかに上昇した場合、上述のように、NMOSトランジスタTn7に電流I6aが流れない、または微小な電流I6aが流れる。電流I6aが流れない場合、PMOSトランジスタTp4、及びNMOSトランジスタTn8はオフ状態とされる。PMOSトランジスタTp3もオフ状態とされる。このため、PMOSトランジスタTp4、及びNMOSトランジスタTn8には、電流I6aに対応する電流I6ac’が流れない。PMOSトランジスタTp3には、電流I6ac’に対応する電流I6acが流れない。一方、NMOSトランジスタTn9には電流I1cに対応する電流I6bが流れる。また、電流I6aが流れる場合、PMOSトランジスタTp4、及びNMOSトランジスタTn8はオン状態とされる。PMOSトランジスタTp3もオン状態とされる。このため、PMOSトランジスタTp4、及びNMOSトランジスタTn8には、瞬間的に電流I6ac’が流れる。PMOSトランジスタTp3には瞬間的に電流I6acが流れる。一方、NMOSトランジスタTn9には電流I6bが流れる。なお、電流I6acと電流I6bとは、最終的に同じ電流値となる。
【0156】
他方で、出力電圧VOUTの交流成分が急峻に上昇した場合、上述のように、NMOSトランジスタTn7に電流I6aが流れる。この場合、PMOSトランジスタTp3はオン状態とされ、PMOSトランジスタTp3には瞬間的に電流I6acが流れる。一方、NMOSトランジスタTn9には電流I6bが流れる。
【0157】
第2電流コンパレータ62は、電流I6acと電流I6bとを比較する。電流I6bは、電流I6acと比較するための基準電流として用いられる。
【0158】
電流I6acが流れない場合、電圧Vnd21は、電圧VSSに近い電圧とされる(“L”レベルとされる)。換言すると、第2電流コンパレータ62は、電圧Vnd21を“L”レベルとする。
【0159】
電流I6acが流れる場合、電流I6acが電流I6bよりも大きい場合には、電圧Vnd21が上がるため、電圧Vnd21は、電圧VINに近い電圧とされる(“H”レベルとされる)。換言すると、第2電流コンパレータ62は、電圧Vnd21を“H”レベルとする。これは、例えば出力電圧VOUTの交流成分が急峻に上昇した場合である。なお、電圧VINに近い電圧とは、例えば後述するNMOSトランジスタN11の閾値電圧よりも大きい電圧である。電流I6acが電流I6bよりも小さい場合には、電圧Vnd21が下がるため、電圧Vnd21は、電圧VSSに近い電圧とされる(“L”レベルとされる)。換言すると、第2電流コンパレータ62は、電圧Vnd21を“L”レベルとする。これは、例えば出力電圧VOUTの交流成分の変動がない、または出力電圧VOUTの交流成分が緩やかに上昇した場合である。なお、電圧VSSに近い電圧とは、例えば後述するNMOSトランジスタN11の閾値電圧よりも小さい電圧である。また、電流I6acが電流I6bと等しい場合、電圧Vnd21は、電圧VSSに近い電圧に維持される(“L”レベルに維持される)。換言すると、第2電流コンパレータ62は、電圧Vnd21を“L”レベルに維持する。
【0160】
PMOSトランジスタTp5の一端は、ノードND1に接続され、他端及びゲートはノードND20に接続される。
【0161】
NMOSトランジスタTn10の一端は、ノードND20に接続され、他端はノードND2に接続され、ゲートはノードND6に接続される。すなわち、NMOSトランジスタN3とTn10とは、カレントミラーを構成している。
【0162】
PMOSトランジスタTp5、及びNMOSトランジスタTn10には、電流I1cに対応する電流I6dが流れる。
【0163】
PMOSトランジスタTp6は、電流I6aを調整するために設けられる。PMOSトランジスタTp6の一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND11に接続され、ゲートはノードND20に接続される。すなわち、PMOSトランジスタTp5とTp6とは、カレントミラーを構成している。PMOSトランジスタTp6には電流I6dに対応する電流I6cが流れる。このため、電流I6aは、電流I6cだけバイアスされた電流となる。
【0164】
第1利得段10は、NMOSトランジスタN10及びN11をさらに含む。
【0165】
NMOSトランジスタN10の一端は、ノードND19に接続され、他端はノードND2に接続され、ゲートはノードND6に接続される。すなわち、NMOSトランジスタN3とN10とは、カレントミラーを構成している。
【0166】
NMOSトランジスタN11の一端は、ノードND5に接続され、他端はノードND19に接続され、ゲートはノードND21に接続される。NMOSトランジスタN11は、ノードND21の電圧Vnd21に基づいて動作する。
【0167】
例えば、電圧Vnd21は、高速応答モードの場合に、“H”レベルとされ、低消費電流モードの場合に、“L”レベルとされる。例えば、NMOSトランジスタN11は、電圧Vnd21が“H”レベルの場合、オン状態とされ、電圧Vnd21が“L”レベルの場合、オフ状態とされる。NMOSトランジスタN11がオン状態のとき、NMOSトランジスタN10及びN11に電流I1cに対応する電流I1dが流れる。例えば、電流I1dは、電流I1aよりも大きい電流である。低消費電流モードの場合、第1利得段10には動作電流I1aが流れ、高速応答モードの場合、第1利得段10には動作電流(I1a+I1d)が流れる。動作電流I1aよりも動作電流(I1a+I1d)の方が大きい。このため、低消費電流モードよりも高速応答モードの方が、次段の出力段20を高速に駆動させることができる。
【0168】
8.2 モード選択動作
本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作について、
図16及び
図17を用いて説明する。
図16及び
図17は、定電圧回路1のモード選択動作を示すフローチャートである。第1実施形態の
図2及び
図3のS10~S18の動作に、S50~S56の動作が追加されている。S10~S18の動作は、第1実施形態の
図2及び
図3と同様である。以下では、S50~S56の動作を中心に説明する。
【0169】
S10の実行後、電圧Vnd10及びVnd21は、“L”レベルになっている。NMOSトランジスタN5及びN11は、オフ状態になっている。
【0170】
第2電流コンパレータ62は、電流I6acと電流I6bとを比較する。第2電流コンパレータ62は、電流I6acが電流I6b以下である場合(S50_No)、電圧Vnd21を“L”レベルに維持する。すなわち、定電圧回路1は、低消費電流モードを維持する。他方で、第2電流コンパレータ62は、電流I6acが電流I6bよりも大きい場合(S50_Yes)、電圧Vnd21を“H”レベルとする(S51)。
【0171】
NMOSトランジスタN11は、“H”レベルの電圧Vnd21に基づいてオン状態とされる(S52)。この結果、定電圧回路1は、高速応答モードを実行する(S53)。
【0172】
次に、第2電流コンパレータ62は、電流I6acと電流I6bとを比較する。第2電流コンパレータ62は、電流I6acが電流I6bよりも大きい場合(S54_Yes)、電圧Vnd21を“H”レベルに維持する。すなわち、定電圧回路1は、高速応答モードを維持する。他方で、第2電流コンパレータ62は、電流I6acが電流I6b以下である場合(S54_No)、電圧Vnd21を“L”レベルとする(S55)。
【0173】
NMOSトランジスタN11は、“L”レベルの電圧Vnd21に基づいてオフ状態とされる(S56)。この結果、定電圧回路1は、低消費電流モードを実行する(S18)。
【0174】
8.3 効果
本実施形態に係る構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0175】
また、本実施形態に係る構成であれば、出力電圧VOUTが上昇した場合にも高速応答を実現できる。以下、本効果につき、
図18を用いて説明する。
図18は、本実施形態に係る定電圧回路1の効果を説明する図である。なお、
図18において、時刻t0~時刻t2までの間は、第1実施形態の
図4と同様である。また、
図18は、一例として、電流I1bと電流I1dが同じ場合を示している。
【0176】
図18に示すように、本実施形態に係る定電圧回路1において、時刻t2~時刻t3の間、出力電圧VOUTは定常状態の電圧値であり、第1利得段10の動作電流はI1aである。時刻t3において、負荷電流が減少したとする。この場合、時刻t3において、出力電圧VOUTは定常状態の電圧値から急峻に上昇している。しかし、時刻t5において、出力電圧VOUTは、定常状態の電圧値に戻っている。これは、時刻t3において、第2電圧電流変換回路61が出力電圧VOUTの交流成分の急峻な上昇量を電流I6aに変換し、第2電流コンパレータ62が電流I6aに対応する電流I6acに基づいてノードND21の電圧Vnd21を“H”レベルに制御し、NMOSトランジスタN11がオン状態とされることにより、動作電流がI1a+I1dに増加するためである。そして、時刻t4において、動作電流はI1aに戻っている。これは、時刻t4において、第2電流コンパレータ62がノードND21の電圧Vnd21を“L”レベルに制御し、NMOSトランジスタN11がオフ状態とされることにより、動作電流がI1aに減少するためである。
【0177】
このように、本実施形態に係る定電圧回路1は、出力電圧VOUTの交流成分が急峻に上昇した場合、その上昇量に基づいて、第1利得段10の動作電流を増加させることができる。このため、出力電圧VOUTが定常状態に戻るまでの時間を短縮できる。すなわち、本実施形態に係る定電圧回路1は、高速応答を実現できる。もちろん、本実施形態は、第2実施形態に適用することもできる。
【0178】
9.第9実施形態
第9実施形態に係る定電圧回路1について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1では、第1利得段10及び第2電圧モニタ回路60の構成が第8実施形態と異なる。なお、第8実施形態と区別するために、第2電圧モニタ回路60を、第2電圧モニタ回路60aと表記する。以下では、第8実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0179】
9.1 定電圧回路1の回路構成
本実施形態に係る定電圧回路1の回路構成について、
図19を用いて説明する。
図19は、定電圧回路1の一例を示す回路図である。なお、
図19において、第1電圧モニタ回路30と、ノードND1及びND2との間の配線は省略されている。
【0180】
第1利得段10において、第8実施形態の
図15におけるNMOSトランジスタN10は廃されている。
【0181】
第2電流コンパレータ62において、第8実施形態の
図15におけるNMOSトランジスタTn9は廃されている。第2電流コンパレータ62は、NMOSトランジスタTn11-1~Tn11-q(qは1以上の整数)、Tn12-1~Tn12-q、及び電流源64をさらに含む。
【0182】
NMOSトランジスタTn11-1~Tn11-qは、直列接続される。直列接続されたNMOSトランジスタTn11-1~Tn11-qの一端は、ノードND23に接続される。直列接続されたNMOSトランジスタTn11-1~Tn11-qの他端は、ノードND2に接続される。NMOSトランジスタTn11-1~Tn11-qの各ゲートは、ノードND23に接続される。
【0183】
電流源64の一端には、入力電圧VINが印加される。電流源64の他端は、ノードND23に接続される。電流源64からNMOSトランジスタTn11-1~Tn11-qに電流I6eが流れる。
【0184】
NMOSトランジスタTn12-1~Tn12-qは、直列接続される。直列接続されたNMOSトランジスタTn12-1~Tn12-qの一端は、ノードND21に接続される。直列接続されたNMOSトランジスタTn12-1~Tn12-qの他端は、ノードND2に接続される。NMOSトランジスタTn12-1~Tn12-qの各ゲートは、ノードND23に接続される。すなわち、NMOSトランジスタTn11-1~Tn11-qと、NMOSトランジスタTn12-1~Tn12-qとは、カレントミラーを構成している。NMOSトランジスタTn12-1~Tn12-qには、電流I6eに対応する電流I6bが流れる。NMOSトランジスタTn12-1~Tn12-qは直列接続されているため、電流I6bは定電流性が高い。
【0185】
第2電流コンパレータ62において、PMOSトランジスタTp3は、PMOSトランジスタTp4と比べてゲート長Lを短くしている。この場合、PMOSトランジスタTp3のチャネル長変調効果により、電流I6acは、ゲート長Lが長い場合と比べて上昇する。電流I6acが上昇すると、ノードND21の電圧Vnd21が上昇する。一方、電圧Vnd21が上昇すると、電流I6bが上昇する。このため、電圧Vnd21は少しずつ上昇する。換言すると、第2電流コンパレータ62は、ノードND21の電圧Vnd21を緩やかに変化させる。よって、電圧Vnd21は電圧VSSと電圧VINとの間の電圧値とされる。電圧Vnd21は、出力電圧VOUTの上昇量が大きいほど大きくなり、出力電圧VOUTの上昇量が小さいほど小さくなる。なお、電流I6acが流れない場合、電圧Vnd21は、電圧VSSに近い電圧とされる。
【0186】
NMOSトランジスタN11は、電圧Vnd21がNMOSトランジスタN11の閾値電圧Vth11を超えるとオン状態とされ、第1利得段10には電圧Vnd21に応じた電流I1dが流れる。
【0187】
定電圧回路1の他の構成は、第8実施形態の
図15と同様である。
【0188】
9.2 モード選択動作
本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作を示すフローチャートは、第8実施形態の
図16及び
図17のS50~S56を、第4実施形態の
図10及び
図11のS40~S44に置き換え、且つS41及びS43の「Vnd10」を「Vnd21」に、S41及びS43の「Vth5」を「Vth11」に、それぞれ置き換えたものである。なお、S40及びS44において、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を一定値(電流I1a)にし、S42において、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を可変値(電流I1a+I1d)にする。また、定電圧回路1は、S44実行後、処理を終了する。
【0189】
9.3 効果
本実施形態に係る構成によれば、第8実施形態と同様の効果を奏する。
【0190】
また、本実施形態に係る定電圧回路1では、第2電流コンパレータ62がノードND21の電圧Vnd21を、出力電圧VOUTの上昇量が大きいほど大きい電圧値に制御し、出力電圧VOUTの上昇量が小さいほど小さい値に制御することができる。このため、電圧Vnd21が閾値電圧Vth11を超え、NMOSトランジスタN11がオン状態とされた場合、NMOSトランジスタN11には電圧Vnd21に応じた電流が流れる。すなわち、出力電圧VOUTの上昇量に応じて第1利得段10の動作電流を可変とすることができる。第1利得段10の動作電流は、出力電圧VOUTの上昇量が大きいほど大きくなり、出力電圧VOUTの上昇量が小さいほど小さくなる。
【0191】
10.第10実施形態
第10実施形態に係る定電圧回路1について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1は、第1電圧モニタ回路30を、第1電圧モニタ回路30aに置き換えた点で第9実施形態と異なる。また、本実施形態に係る定電圧回路1では、第1利得段10の構成が第9実施形態と異なる。以下では、第9実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0192】
10.1 定電圧回路1の回路構成
本実施形態に係る定電圧回路1の回路構成について、
図20を用いて説明する。
図20は、定電圧回路1の一例を示す回路図である。なお、
図20において、第1電圧モニタ回路30a及び第9実施形態の
図19における第2電圧モニタ回路60aと、ノードND1及びND2との間の配線は省略されている。
【0193】
第1利得段10において、第9実施形態の
図19におけるNMOSトランジスタN3及びN4、並びに電流源12は廃されている。
【0194】
第1電圧モニタ回路30aは、第4実施形態の
図9と同様である。なお、第1電圧モニタ回路30aは、第5実施形態または第6実施形態の第1電圧モニタ回路30aであってもよい。
【0195】
定電圧回路1の他の構成は、第9実施形態の
図19と同様である。
【0196】
10.2 モード選択動作
本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作を示すフローチャートは、第8実施形態の
図16及び
図17のS10~S18を、第4実施形態の
図10及び
図11のS40~S44に置き換えたものである。さらに、第8実施形態の
図16及び
図17のS50~S56を、第4実施形態の
図10及び
図11のS41~S43に置き換え、且つS41及びS43の「Vnd10」を「Vnd21」に、S41及びS43の「Vth5」を「Vth11」に、それぞれ置き換えたものである。
【0197】
10.3 効果
本実施形態に係る構成によれば、第4実施形態及び第9実施形態と同様の効果を奏する。
【0198】
11.第11実施形態
第11実施形態に係る定電圧回路1について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1では、第1利得段10の構成が第10実施形態と異なる。以下では、第10実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0199】
11.1 定電圧回路1の回路構成
本実施形態に係る定電圧回路1の回路構成について、
図21を用いて説明する。
図21は、定電圧回路1の一例を示す回路図である。なお、
図21において、第1電圧モニタ回路30a及び第2電圧モニタ回路60aと、ノードND1及びND2との間の配線は省略されている。
【0200】
第1利得段10において、第10実施形態の
図20における電流源11は廃されている。
【0201】
定電圧回路1の他の構成は、第10実施形態の
図20と同様である。
【0202】
11.2 モード選択動作
本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作を示すフローチャートは、第8実施形態の
図16及び
図17のS10~S18を、第4実施形態の
図10及び
図11のS41~S43に置き換えたものである。さらに、第8実施形態の
図16及び
図17のS50~S56を、第4実施形態の
図10及び
図11のS41~S43に置き換え、且つS41及びS43の「Vnd10」を「Vnd21」に、S41及びS43の「Vth5」を「Vth11」に、それぞれ置き換えたものである。なお、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を可変値(電流I1bまたは電流I1d)にする。
【0203】
11.3 効果
本実施形態に係る構成によれば、第10実施形態と同様の効果を奏する。
【0204】
また、本実施形態に係る定電圧回路1では、電流源11を用いずに第1利得段10の動作電流を可変とすることができる。
【0205】
12.第12実施形態
第12実施形態に係る定電圧回路1について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1では、第1利得段10の入力端子にPMOSトランジスタが用いられている点で第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0206】
12.1 定電圧回路1の回路構成
本実施形態に係る定電圧回路1の回路構成について、
図22を用いて説明する。
図22は、定電圧回路1の一例を示す回路図である。
【0207】
第1利得段10は、PMOSトランジスタP1、P2、及びP4~P6、NMOSトランジスタN1及びN2、並びに電流源11及び12を含む。
【0208】
NMOSトランジスタN1の一端及びゲートは、ノードND31に接続され、他端はノードND2に接続される。
【0209】
NMOSトランジスタN2の一端は、ノードND32に接続され、他端はノードND2に接続され、ゲートはノードND31に接続される。すなわち、NMOSトランジスタN1とN2とは、カレントミラーを構成している。
【0210】
PMOSトランジスタP1の一端は、ノードND30に接続され、他端はノードND31に接続される。PMOSトランジスタP1のゲートには、電圧VFBが印加される。
【0211】
PMOSトランジスタP2の一端は、ノードND30に接続され、他端はノードND32に接続される。PMOSトランジスタP2のゲートには、参照電圧VREFが印加される。
【0212】
電流源11の一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND30に接続される。電流源11からノードND30に電流I1aが流れる。
【0213】
PMOSトランジスタP4の一端は、ノードND1に接続され、他端及びゲートは、ノードND33に接続される。
【0214】
電流源12の一端は、ノードND33に接続され、他端はノードND2に接続される。電流源12から電流I1cが流れる。
【0215】
PMOSトランジスタP5の一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND34に接続され、ゲートはノードND33に接続される。すなわち、PMOSトランジスタP4とP5とは、カレントミラーを構成している。
【0216】
PMOSトランジスタP6の一端は、ノードND34に接続され、他端はノードND30に接続され、ゲートはノードND10に接続される。PMOSトランジスタP6は、ノードND10の電圧Vnd10に基づいて動作する。
【0217】
例えば、電圧Vnd10は、高速応答モードの場合に、“L”レベルとされ、低消費電流モードの場合に、“H”レベルとされる。例えば、PMOSトランジスタP6は、電圧Vnd10が“L”レベルの場合、オン状態とされ、電圧Vnd10が“H”レベルの場合、オフ状態とされる。PMOSトランジスタP6がオン状態のとき、PMOSトランジスタP5及びP6に電流I1cに対応する電流I1bが流れる。
【0218】
出力段20のPMOSトランジスタPpのゲートには、ノードND32が接続される。換言すると、PMOSトランジスタPpのゲートには、第1利得段10の出力電圧V1が印加される。
【0219】
第1電圧モニタ回路30は、第1電圧電流変換回路31、第1電流コンパレータ32、PMOSトランジスタTp7及びTp9、並びにNMOSトランジスタTn2、Tn14及びTn15を含む。
【0220】
PMOSトランジスタTp7の一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND36に接続され、ゲートはノードND11に接続される。すなわち、PMOSトランジスタTp1とTp7とは、カレントミラーを構成している。
【0221】
NMOSトランジスタTn14の一端及びゲートは、ノードND36に接続され、他端はノードND2に接続される。
【0222】
PMOSトランジスタTp7、及びNMOSトランジスタTn14には、電流I3aに対応する電流I3ac’が流れる。
【0223】
第1電流コンパレータ32は、PMOSトランジスタTp8、及びNMOSトランジスタTn13を含む。
【0224】
PMOSトランジスタTp8の一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND10に接続され、ゲートはノードND33に接続される。すなわち、PMOSトランジスタP4とTp8とは、カレントミラーを構成している。
【0225】
NMOSトランジスタTn13の一端は、ノードND10に接続され、他端はノードND2に接続され、ゲートはノードND36に接続される。すなわち、NMOSトランジスタTn14とTn13とは、カレントミラーを構成している。
【0226】
例えば、出力電圧VOUTの交流成分の変動がない、または出力電圧VOUTの交流成分が緩やかに低下した場合、PMOSトランジスタTp1に電流I3aが流れない、または微小な電流I3aが流れる。電流I3aが流れない場合、PMOSトランジスタTp7、及びNMOSトランジスタTn14はオフ状態とされる。NMOSトランジスタTn13もオフ状態とされる。このため、PMOSトランジスタTp7、及びNMOSトランジスタTn14には電流I3aに対応する電流I3ac’が流れない。NMOSトランジスタTn13には電流I3ac’に対応する電流I3acが流れない。一方、PMOSトランジスタTp8には電流I1cに対応する電流I3bが流れる。また、電流I3aが流れる場合、PMOSトランジスタTp7、及びNMOSトランジスタTn14はオン状態とされる。NMOSトランジスタTn13もオン状態とされる。このため、PMOSトランジスタTp7、及びNMOSトランジスタTn14には瞬間的に電流I3aに対応する電流I3ac’が流れる。NMOSトランジスタTn13には瞬間的に電流I3ac’に対応する電流I3acが流れる。一方、PMOSトランジスタTp8には電流I1cに対応する電流I3bが流れる。なお、電流I3acと電流I3bとは、最終的に同じ電流値となる。
【0227】
他方で、出力電圧VOUTの交流成分が急峻に低下した場合、PMOSトランジスタTp1に電流I3aが流れる。この場合、NMOSトランジスタTn13はオン状態とされ、NMOSトランジスタTn13には瞬間的に電流I3acが流れる。一方、PMOSトランジスタTp8には電流I3bが流れる。
【0228】
第1電流コンパレータ32は、電流I3acと電流I3bとを比較する。
【0229】
電流I3acが流れない場合、電圧Vnd10は、電圧VINに近い電圧とされる(“H”レベルとされる)。換言すると、第1電流コンパレータ32は、電圧Vnd10を“H”レベルとする。
【0230】
電流I3acが流れる場合、電流I3acが電流I3bよりも大きい場合には、電圧Vnd10が下がるため、電圧Vnd10は、電圧VSSに近い電圧とされる(“L”レベルとされる)。換言すると、第1電流コンパレータ32は、電圧Vnd10を“L”レベルとする。これは、例えば出力電圧VOUTの交流成分が急峻に低下した場合である。電流I3acが電流I3bよりも小さい場合には、電圧Vnd10が上がるため、電圧Vnd10は、電圧VINに近い電圧とされる(“H”レベルとされる)。換言すると、第1電流コンパレータ32は、電圧Vnd10を“H”レベルとする。これは、例えば出力電圧VOUTの交流成分の変動がない、または出力電圧VOUTの交流成分が緩やかに低下した場合である。また、電流I3acが電流I3bと等しい場合、電圧Vnd10は、電圧VINに近い電圧に維持される(“H”レベルに維持される)。換言すると、第1電流コンパレータ32は、電圧Vnd10を“H”レベルに維持する。
【0231】
PMOSトランジスタTp9の一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND35に接続され、ゲートはノードND33に接続される。すなわち、PMOSトランジスタP4とTp9とは、カレントミラーを構成している。
【0232】
NMOSトランジスタTn15の一端及びゲートは、ノードND35に接続され、他端はノードND2に接続される。NMOSトランジスタTn2のゲートは、ノードND35に接続される。すなわち、NMOSトランジスタTn15とTn2とは、カレントミラーを構成している。
【0233】
PMOSトランジスタTp9、及びNMOSトランジスタTn15には、電流I1cに対応する電流I3dが流れる。
【0234】
NMOSトランジスタTn2には電流I3dに対応する電流I3cが流れる。このため、電流I3aは、電流I3cだけバイアスされた電流となる。
【0235】
定電圧回路1の他の構成は、第1実施形態の
図1と同様である。
【0236】
12.2 モード選択動作
本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作を示すフローチャートは、第1実施形態の
図2及び
図3において、S12の「“H”レベル」を「“L”レベル」に、S13及びS17の「N5」を「P6」に、S16の「“L”レベル」を「“H”レベル」に、それぞれ置き換えたものである。
【0237】
12.3 効果
本実施形態に係る構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。もちろん、本実施形態は、第2実施形態に適用することもできる。
【0238】
13.第13実施形態
第13実施形態に係る定電圧回路1について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1は、第2利得段50を含む点で第12実施形態と異なる。以下では、第12実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0239】
13.1 定電圧回路1の回路構成
本実施形態に係る定電圧回路1の回路構成について、
図23を用いて説明する。
図23は、定電圧回路1の一例を示す回路図である。
【0240】
定電圧回路1は、第2利得段50をさらに含む。
【0241】
第2利得段50は、PMOSトランジスタP7~P9、及びNMOSトランジスタN12を含む。
【0242】
PMOSトランジスタP7の一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND39に接続され、ゲートはノードND33に接続される。すなわち、PMOSトランジスタP4とP7とは、カレントミラーを構成している。PMOSトランジスタP7には、電流I1cに対応する電流I5aが流れる。
【0243】
PMOSトランジスタP8の一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND38に接続され、ゲートはノードND33に接続される。すなわち、PMOSトランジスタP4とP8とは、カレントミラーを構成している。
【0244】
PMOSトランジスタP9の一端は、ノードND38に接続され、他端はノードND39に接続され、ゲートはノードND10に接続される。PMOSトランジスタP9は、ノードND10の電圧Vnd10に基づいて動作する。
【0245】
例えば、PMOSトランジスタP9は、電圧Vnd10が“L”レベルの場合、オン状態とされ、電圧Vnd10が“H”レベルの場合、オフ状態とされる。PMOSトランジスタP9がオン状態のとき、PMOSトランジスタP8及びP9に電流I1cに対応する電流I5bが流れる。
【0246】
NMOSトランジスタN12の一端は、ノードND39に接続され、他端はノードND2に接続される。NMOSトランジスタN12のゲートには、ノードND32が接続される。換言すると、NMOSトランジスタN12のゲートには、第1利得段10の出力電圧V1が印加される。
【0247】
出力段20のPMOSトランジスタPpのゲートには、ノードND39が接続される。換言すると、PMOSトランジスタPpのゲートには、第2利得段50の出力電圧V2が印加される。
【0248】
PMOSトランジスタP1のゲートには、参照電圧VREFが印加される。
【0249】
PMOSトランジスタP2のゲートには、電圧VFBが印加される。
【0250】
定電圧回路1の他の構成は、第12実施形態の
図22と同様である。
【0251】
なお、例えば、電圧Vnd10が“L”レベルの場合に、PMOSトランジスタP6及びP9のうちの一方だけオン状態とされてもよい。
【0252】
また、第2利得段50は、PMOSトランジスタP7が廃され、別の電流源及びPMOSトランジスタとPMOSトランジスタP8とによりカレントミラーを構成してもよい。この場合、第1電圧モニタ回路30のPMOSトランジスタTp8及びTp9は、第1利得段10のPMOSトランジスタとカレントミラーを構成してもよいし、第2利得段50のPMOSトランジスタとカレントミラーを構成してもよい。
【0253】
13.2 モード選択動作
本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作を示すフローチャートは、第1実施形態の
図2及び
図3において、S12の「“H”レベル」を「“L”レベル」に、S13及びS17の「N5」を「P6及びP9」に、S16の「“L”レベル」を「“H”レベル」に、それぞれ置き換えたものである。
【0254】
13.3 効果
本実施形態に係る構成によれば、第3実施形態と同様の効果を奏する。もちろん、本実施形態は、第2実施形態に適用することもできる。
【0255】
14.第14実施形態
第14実施形態に係る定電圧回路1について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1では、第1利得段10及び第1電圧モニタ回路30の構成が第12実施形態と異なる。なお、第12実施形態と区別するために、第1電圧モニタ回路30を、第1電圧モニタ回路30aと表記する。以下では、第12実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0256】
14.1 定電圧回路1の回路構成
本実施形態に係る定電圧回路1の回路構成について、
図24を用いて説明する。
図24は、定電圧回路1の一例を示す回路図である。
【0257】
第1利得段10において、第12実施形態の
図22におけるPMOSトランジスタP4及びP5、並びに電流源12は廃されている。
【0258】
第1電圧モニタ回路30aにおいて、第12実施形態の
図22におけるPMOSトランジスタTp9は廃されている。第1電圧モニタ回路30aは、電流源33をさらに含む。
【0259】
電流源33の一端には、電圧VINが印加される。電流源33の他端は、ノードND40に接続される。NMOSトランジスタTn15の一端及びゲートは、ノードND40に接続され、他端はノードND2に接続される。電流源33からNMOSトランジスタTn15を介してノードND2に電流I3dが流れる。NMOSトランジスタTn2のゲートは、ノードND40に接続される。すなわち、NMOSトランジスタTn15とTn2とは、カレントミラーを構成している。NMOSトランジスタTn2には、電流I3dに対応する電流I3cが流れる。
【0260】
第1電流コンパレータ32において、第12実施形態の
図22におけるPMOSトランジスタTp8は廃されている。第1電流コンパレータ32は、PMOSトランジスタTp10-1~Tp10-s(sは1以上の整数)、Tp11-1~Tp11-s、及び電流源34をさらに含む。
【0261】
PMOSトランジスタTp10-1~Tp10-sは、直列接続される。直列接続されたPMOSトランジスタTp10-1~Tp10-sの一端は、ノードND1に接続される。直列接続されたPMOSトランジスタTp10-1~Tp10-sの他端は、ノードND35に接続される。PMOSトランジスタTp10-1~Tp10-sの各ゲートは、ノードND35に接続される。
【0262】
電流源34の一端は、ノードND35に接続され、他端はノードND2に接続される。電流源34から電流I3eが流れる。
【0263】
PMOSトランジスタTp11-1~Tp11-sは、直列接続される。直列接続されたPMOSトランジスタTp11-1~Tp11-sの一端は、ノードND1に接続される。直列接続されたPMOSトランジスタTp11-1~Tp11-sの他端は、ノードND10に接続される。PMOSトランジスタTp11-1~Tp11-sの各ゲートは、ノードND35に接続される。すなわち、PMOSトランジスタTp10-1~Tp10-sと、PMOSトランジスタTp11-1~Tp11-sとは、カレントミラーを構成している。PMOSトランジスタTp11-1~Tp11-sには、電流I3eに対応する電流I3bが流れる。PMOSトランジスタTp11-1~Tp11-sは直列接続されているため、電流I3bは定電流性が高い。
【0264】
第1電流コンパレータ32において、NMOSトランジスタTn13は、NMOSトランジスタTn14と比べてゲート長Lを短くしている。この場合、NMOSトランジスタTn13のチャネル長変調効果により、電流I3acは、ゲート長Lが長い場合と比べて上昇する。電流I3acが上昇すると、ノードND10の電圧Vnd10が低下する。一方、電圧Vnd10が低下すると、電流I3bが低下する。このため、電圧Vnd10は少しずつ低下する。換言すると、第1電流コンパレータ32は、ノードND10の電圧Vnd10を緩やかに変化させる。よって、電圧Vnd10は電圧VSSと電圧VINとの間の電圧値とされる。電圧Vnd10は、出力電圧VOUTの低下量が大きいほど大きくなり、出力電圧VOUTの低下量が小さいほど小さくなる。なお、電流I3acが流れない場合、電圧Vnd10は、電圧VINに近い電圧とされる。
【0265】
PMOSトランジスタP6は、電圧Vnd10がPMOSトランジスタP6の閾値電圧Vth6を超えるとオン状態とされ、第1利得段10には電圧Vnd10に応じた電流I1bが流れる。
【0266】
定電圧回路1の他の構成は、第12実施形態の
図22と同様である。
【0267】
14.2 モード選択動作
本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作を示すフローチャートは、第4実施形態の
図10及び
図11において、S41及びS43の「Vth5」を「Vth6」に置き換えたものである。
【0268】
14.3 効果
本実施形態に係る構成によれば、第4実施形態と同様の効果を奏する。
【0269】
15.第15実施形態
第15実施形態に係る定電圧回路1について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1では、第1利得段10及び第1電流コンパレータ32の構成が第14実施形態と異なる。なお、モード選択動作を示すフローチャートは、第14実施形態と同様である。以下では、第14実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0270】
15.1 定電圧回路1の回路構成
本実施形態に係る定電圧回路1の回路構成について、
図25を用いて説明する。
図25は、定電圧回路1の一例を示す回路図である。
【0271】
第1利得段10において、第14実施形態の
図24におけるPMOSトランジスタP6は廃されている。第1利得段10は、PMOSトランジスタP6-1~P6-t(tは1以上の整数)をさらに含む。
【0272】
PMOSトランジスタP6-1~P6-tは、直列接続される。直列接続されたPMOSトランジスタP6-1~P6-tの一端は、ノードND1に接続される。直列接続されたPMOSトランジスタP6-1~P6-tの他端は、ノードND30に接続される。PMOSトランジスタP6-1~P6-tの各ゲートは、ノードND10に接続される。PMOSトランジスタP6-1~P6-tの各々は、ノードND10の電圧Vnd10に基づいて動作する。PMOSトランジスタP6-1~P6-tは直列接続されているため、電流I1bは低利得となる。すなわち、電流I1bは、直列接続されていない場合と比べて小さい電流となる。
【0273】
第1電流コンパレータ32において、第14実施形態の
図24におけるPMOSトランジスタTp10-1~Tp10-s、Tp11-1~Tp11-s、及び電流源34は、廃されている。第1電流コンパレータ32は、抵抗素子R1をさらに含む。
【0274】
抵抗素子R1の一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND10に接続される。なお、抵抗素子R1は、可変抵抗であってもよい。
【0275】
第1電流コンパレータ32において、NMOSトランジスタTn13には、NMOSトランジスタTn14を流れる電流I3ac’のミラー比倍の電流I3acが流れる。これにより、第1電流コンパレータ32は、ノードND10の電圧Vnd10を緩やかに変化させる。よって、電圧Vnd10は、電圧VSSと電圧VINとの間の電圧値とされる。電圧Vnd10は、出力電圧VOUTの低下量が大きいほど大きくなり、出力電圧VOUTの低下量が小さいほど小さくなる。
【0276】
PMOSトランジスタP6-1~P6-tの各々は、電圧Vnd10がPMOSトランジスタP6-1~P6-tの各々の閾値電圧Vth6を超えるとオン状態とされ、第1利得段10には電圧Vnd10に応じた電流I1bが流れる。
【0277】
定電圧回路1の他の構成は、第14実施形態の
図24と同様である。
【0278】
15.2 効果
本実施形態に係る構成によれば、第5実施形態と同様の効果を奏する。
【0279】
16.第16実施形態
第16実施形態に係る定電圧回路1について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1では、第1利得段10及び第1電圧モニタ回路30aの構成が第14実施形態と異なる。以下では、第14実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0280】
16.1 定電圧回路1の回路構成
本実施形態に係る定電圧回路1の回路構成について、
図26を用いて説明する。
図26は、定電圧回路1の一例を示す回路図である。
【0281】
第1電圧モニタ回路30aにおいて、第14実施形態の
図24における第1電流コンパレータ32、及びNMOSトランジスタTn14は廃されている。
【0282】
PMOSトランジスタTp7の一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND30に接続され、ゲートはノードND11に接続される。
【0283】
第1電圧モニタ回路30aにおいて、PMOSトランジスタTp7には、PMOSトランジスタTp1を流れる電流I3aのミラー比倍の電流I3acが流れる。電流I3acは、出力電圧VOUTの低下量が大きいほど大きくなり、出力電圧VOUTの低下量が小さいほど小さくなる。電流I3acは、ノードND1からPMOSトランジスタTp7を介してノードND30に流れる。すなわち、第1利得段10には電流I3aのミラー比倍の電流I3acが流れる。
【0284】
定電圧回路1の他の構成は、第14実施形態の
図24と同様である。
【0285】
16.2 モード選択動作
本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作を示すフローチャートは、S41及びS43を以下の動作に置き換えた点で第4実施形態の
図10及び
図11と異なる。以下では、
図10及び
図11を用いて定電圧回路1のモード選択動作について説明する。
【0286】
図10のS41において、PMOSトランジスタTp7がオン状態の場合(S41_Yes)、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を可変値(電流I1a+I3ac)にする(S42)。他方で、PMOSトランジスタTp7がオフ状態の場合(S41_No)、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を一定値(電流I1a)に維持する。
【0287】
図11のS43において、PMOSトランジスタTp7がオン状態の場合(S43_Yes)、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を可変値(電流I1a+I3ac)に維持する。他方で、PMOSトランジスタTp7がオフ状態の場合(S43_No)、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を一定値(電流I1a)にする(S44)。
【0288】
モード選択動作における他の動作は、第4実施形態の
図10及び
図11と同様である。
【0289】
16.3 効果
本実施形態に係る構成によれば、第6実施形態と同様の効果を奏する。
【0290】
17.第17実施形態
第17実施形態に係る定電圧回路1について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1は、第2利得段50を含む点で第14実施形態と異なる。以下では、第14実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0291】
17.1 定電圧回路1の回路構成
本実施形態に係る定電圧回路1の回路構成について、
図27を用いて説明する。
図27は、定電圧回路1の一例を示す回路図である。
【0292】
定電圧回路1は、第2利得段50をさらに含む。
【0293】
第2利得段50において、第13実施形態の
図23におけるPMOSトランジスタP7及びP8は廃されている。第2利得段50は、電流源51をさらに含む。
【0294】
電流源51の一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND39に接続される。電流源51からノードND39に電流I5aが流れる。
【0295】
第2利得段50の他の構成は、第13実施形態の
図23と同様である。
【0296】
定電圧回路1の他の構成は、第14実施形態の
図24と同様である。
【0297】
なお、第1電圧モニタ回路30aは、第15実施形態または第16実施形態の第1電圧モニタ回路30aであってもよい。
【0298】
17.2 モード選択動作
本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作を示すフローチャートは、第2利得段50の動作が追加された点で第4実施形態の
図10及び
図11と異なる。以下では、
図10及び
図11を用いて定電圧回路1のモード選択動作について説明する。
【0299】
図10のS40において、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を一定値(電流I1a)にし、第2利得段50の動作電流を一定値(電流I5a)する。
【0300】
図10のS41において、電圧Vnd10が、PMOSトランジスタP6の閾値電圧Vth6よりも大きい、またはPMOSトランジスタP9の閾値電圧Vth9よりも大きい場合(S41_Yes)、PMOSトランジスタP6及びP9のうちの閾値電圧を超えたトランジスタは、オン状態とされる。この結果、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を可変値(電流I1a+I1b)にし、第2利得段50の動作電流を可変値(電流I5a+I5b)にする(S42)。他方で、電圧Vnd10が閾値電圧Vth6以下且つ閾値電圧Vth9以下である場合(S41_No)、PMOSトランジスタP6及びP9は、オフ状態を維持する。すなわち、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を一定値(電流I1a)に維持し、第2利得段50の動作電流を一定値(電流I5a)に維持する。
【0301】
図11のS43において、電圧Vnd10が、PMOSトランジスタP6の閾値電圧Vth6よりも大きい、またはPMOSトランジスタP9の閾値電圧Vth9よりも大きい場合(S43_Yes)、PMOSトランジスタP6及びP9のうちの閾値電圧を超えたトランジスタは、オン状態を維持する。すなわち、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を可変値(電流I1a+I1b)に維持し、第2利得段50の動作電流を可変値(電流I5a+I5b)に維持する。他方で、電圧Vnd10が閾値電圧Vth6以下且つ閾値電圧Vth9以下である場合(S43_No)、PMOSトランジスタP6及びP9は、オフ状態とされる。この結果、定電圧回路1は、第1利得段10の動作電流を一定値(電流I1a)にし、第2利得段50の動作電流を一定値(電流I5a)にする(S44)。
【0302】
17.3 効果
本実施形態に係る構成によれば、第7実施形態と同様の効果を奏する。
【0303】
18.第18実施形態
第18実施形態に係る定電圧回路1について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1は、第2電圧モニタ回路60を含む点で第12実施形態と異なる。また、本実施形態に係る定電圧回路1では、第1利得段10の構成が第12実施形態と異なる。以下では、第12実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0304】
18.1 定電圧回路1の回路構成
本実施形態に係る定電圧回路1の回路構成について、
図28を用いて説明する。
図28は、定電圧回路1の一例を示す回路図である。なお、
図28において、第12実施形態の
図22における第1電圧モニタ回路30と、ノードND1及びND2との間の配線は省略されている。
【0305】
定電圧回路1は、第2電圧モニタ回路60をさらに含む。
【0306】
第2電圧モニタ回路60は、第2電圧電流変換回路61、第2電流コンパレータ62、PMOSトランジスタTp6を含む。
【0307】
第2電圧電流変換回路61は、NMOSトランジスタTn7を含む。
【0308】
NMOSトランジスタTn7の一端及びゲートは、ノードND11に接続され、他端はノードND2に接続される。
【0309】
第2電流コンパレータ62は、PMOSトランジスタTp3、及びNMOSトランジスタTn9を含む。
【0310】
PMOSトランジスタTp3の一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND21に接続され、ゲートはノードND33に接続される。すなわち、PMOSトランジスタP4とTp3とは、カレントミラーを構成している。
【0311】
NMOSトランジスタTn9の一端は、ノードND21に接続され、他端はノードND2に接続され、ゲートはノードND11に接続される。すなわち、NMOSトランジスタTn7とTn9とは、カレントミラーを構成している。
【0312】
例えば、出力電圧VOUTの交流成分の変動がない、または出力電圧VOUTの交流成分が緩やかに上昇した場合、NMOSトランジスタTn7に電流I6aが流れない、または微小な電流I6aが流れる。電流I6aが流れない場合、NMOSトランジスタTn9はオフ状態とされるため、NMOSトランジスタTn9には電流I6aに対応する電流I6acが流れない。一方、PMOSトランジスタTp3には電流I1cに対応する電流I6bが流れる。また、電流I6aが流れる場合、NMOSトランジスタTn9はオン状態とされるため、NMOSトランジスタTn9には瞬間的に電流I6acが流れる。一方、PMOSトランジスタTp3には電流I6bが流れる。なお、電流I6acと電流I6bとは、最終的に同じ電流値となる。
【0313】
他方で、出力電圧VOUTの交流成分が急峻に上昇した場合、NMOSトランジスタTn7に電流I6aが流れる。この場合、NMOSトランジスタTn9はオン状態とされ、NMOSトランジスタTn9には瞬間的に電流I6acが流れる。一方、PMOSトランジスタTp3には電流I6bが流れる。
【0314】
第2電流コンパレータ62は、電流I6acと電流I6bとを比較する。
【0315】
電流I6acが流れない場合、電圧Vnd21は、電圧VINに近い電圧とされる(“H”レベルとされる)。換言すると、第2電流コンパレータ62は、電圧Vnd21を“H”レベルとする。
【0316】
電流I6acが流れる場合、電流I6acが電流I6bよりも大きい場合には、電圧Vnd21が下がるため、電圧Vnd21は、電圧VSSに近い電圧とされる(“L”レベルとされる)。換言すると、第2電流コンパレータ62は、電圧Vnd21を“L”レベルとする。これは、例えば出力電圧VOUTの交流成分が急峻に上昇した場合である。電流I6acが電流I6bよりも小さい場合には、電圧Vnd21が上がるため、電圧Vnd21は、電圧VINに近い電圧とされる(“H”レベルとされる)。換言すると、第2電流コンパレータ62は、電圧Vnd21を“H”レベルとする。これは、例えば出力電圧VOUTの交流成分の変動がない、または出力電圧VOUTの交流成分が緩やかに上昇した場合である。また、電流I6acが電流I6bと等しい場合、電圧Vnd21は、電圧VINに近い電圧に維持される(“H”レベルに維持される)。換言すると、第2電流コンパレータ62は、電圧Vnd21を“H”レベルに維持する。
【0317】
PMOSトランジスタTp6の一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND11に接続され、ゲートはノードND33に接続される。すなわち、PMOSトランジスタP4とTp6とは、カレントミラーを構成している。
【0318】
PMOSトランジスタTp6には電流I1cに対応する電流I6cが流れる。このため、電流I6aは、電流I6cだけバイアスされた電流となる。
【0319】
第1利得段10は、PMOSトランジスタP11及びP12をさらに含む。
【0320】
PMOSトランジスタP11の一端は、ノードND1に接続され、他端はノードND42に接続され、ゲートはノードND33に接続される。すなわち、PMOSトランジスタP4とP11とは、カレントミラーを構成している。
【0321】
PMOSトランジスタP12の一端は、ノードND42に接続され、他端はノードND30に接続され、ゲートはノードND21に接続される。PMOSトランジスタP12は、ノードND21の電圧Vnd21に基づいて動作する。
【0322】
例えば、電圧Vnd21は、高速応答モードの場合に、“L”レベルとされ、低消費電流モードの場合に、“H”レベルとされる。例えば、PMOSトランジスタP12は、電圧Vnd21が“L”レベルの場合、オン状態とされ、電圧Vnd21が“H”レベルの場合、オフ状態とされる。PMOSトランジスタP12がオン状態のとき、PMOSトランジスタP11及びP12に電流I1cに対応する電流I1dが流れる。
【0323】
18.2 モード選択動作
本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作について説明する。本実施形態に係る定電圧回路1のモード選択動作を示すフローチャートは、第8実施形態の
図16及び
図17において、S12の「“H”レベル」を「“L”レベル」に、S13及びS17の「N5」を「P6」に、S16の「“L”レベル」を「“H”レベル」に、それぞれ置き換えたものである。さらに、第8実施形態の
図16及び
図17において、S51の「“H”レベル」を「“L”レベル」に、S52及びS56の「N11」を「P12」に、S55の「“L”レベル」を「“H”レベル」に、それぞれ置き換えたものである。
【0324】
18.3 効果
本実施形態に係る構成によれば、第8実施形態と同様の効果を奏する。もちろん、本実施形態は、第2実施形態に適用することもできる。
【0325】
19.変形例等
上記のように、実施形態に係る定電圧回路は、出力電圧(VOUT)の分圧(VFB)と、参照電圧(VREF)との差分を増幅した第1電圧(V1)を出力する第1利得段(10)と、一端が入力電圧端子(T1)に接続され、他端が出力電圧端子(T3)に接続され、ゲートに印加された第1電圧(V1)に基づいて、出力電圧(VOUT)を制御する第1トランジスタ(Pp)と、第1利得段(10)に流れる電流を制御する第2トランジスタ(N5/P6)と、出力電圧(VOUT)の変動量を第1電流(I3a)に変換する第1回路(31)と、第1電流(I3a)に対応する第2電流(I3ac)に基づいて、第2トランジスタ(N5/P6)のゲート電圧を制御する第2回路(32)とを備える。第2トランジスタ(N5/P6)のゲート電圧が第2トランジスタの第1閾値電圧以下である場合、第1動作モード(低消費電流)が選択されて、第1利得段(10)には、第3電流(I1a)が流れ、第2トランジスタのゲート電圧が第1閾値電圧よりも大きい場合、第2動作モード(高速応答)が選択されて、第1利得段には、第3電流よりも大きい第4電流(I1a+I1b)が流れる。
【0326】
なお、実施形態は上記説明した形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0327】
上記実施形態で説明したフローチャートは、その処理の順番を可能な限り入れ替えることができる。
【0328】
また、第18実施形態の第1電圧モニタ回路30は、第14実施形態、第15実施形態、または第16実施形態の第1電圧モニタ回路30aであってもよい。第18実施形態の第2電圧モニタ回路60は、第9実施形態の第2電圧モニタ回路60aと同様の構成であってもよい。
【0329】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0330】
1…定電圧回路、10…第1利得段、11、12、33、34、51、64…電流源、20…出力段、30、30a…第1電圧モニタ回路、31…第1電圧電流変換回路、32…第1電流コンパレータ、40…電流モニタ回路、50…第2利得段、60、60a…第2電圧モニタ回路、61…第2電圧電流変換回路、62…第2電流コンパレータ、N1~N8、N10~N12、P1~P9、P11、P12、Pp、PM、Tp1~Tp11、Tn1~Tn15…トランジスタ、RF、RS、R1…抵抗素子、COUT、CC…容量素子