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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】医薬品の温度制御された搬送用断熱容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20240823BHJP
   B65D 81/18 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
B65D81/38 A
B65D81/18 C
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021205232
(22)【出願日】2021-12-17
(65)【公開番号】P2022096656
(43)【公開日】2022-06-29
【審査請求日】2022-03-15
(31)【優先権主張番号】20 2020 107 340.0
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520366880
【氏名又は名称】ファ-クー-テック アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ヨーナス ミヒェル
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス エントレス
(72)【発明者】
【氏名】アードリアン レッシュ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス タラシェブスキー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ゴラン
【審査官】武井 健浩
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106945905(CN,A)
【文献】特開2014-000993(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0177071(US,A1)
【文献】特開2010-006403(JP,A)
【文献】特開2007-126188(JP,A)
【文献】特開2013-082482(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0174648(US,A1)
【文献】米国特許第06910582(US,B2)
【文献】米国特許第08938986(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/38
B65D 81/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品の温度制御された搬送のための断熱容器(1)において、
前記断熱容器(1)は、一方の側で開口した収容空間部(33)を形成するように互いに接続された、外側容器底部(31)及び外側容器壁(32)を有する、外側容器(3)を備え、
前記断熱容器(1)は、前記外側容器(3)上に蓋(4)を配置することにより、前記収容空間部(33)を完全に覆うように設計された蓋(4)を有し、
前記断熱容器(1)は、前記収容空間部(33)に挿入されたときに、前記収容空間部(33)を中央区画部(22)と複数の周辺区画部(23)とに分離するように設計されている区画構造部(2)を更に有し、前記複数の周辺区画部(23)は、前記中央区画部(22)を完全に包囲して配置されており、
前記断熱容器(1)は、前記外側容器底部(31)と前記区画構造部(2)との間に配置されておりかつ窪み部を有する、底部挿入体(5)を備え、
前記底部挿入体(5)が、閉鎖表面を有する第1層(5a)と、前記第1層(5a)上に配置された、横断方向に向けられた凹部を有する第2層(5b)と、前記第2層(5b)上に配置された、長手方向に向けられた凹部を有する第3層(5c)とを備え、
前記区画構造部(2)はいくつかの平坦なフレーム要素(21)を備え、前記いくつかの平坦なフレーム要素(21)は、前記いくつかの平坦なフレーム要素(21)が前記第2層(5b)の前記凹部及び前記第3層(5c)の前記凹部に入るように設計された複数の開口部(212)を備える、医薬品の温度制御された搬送のための断熱容器(1)。
【請求項2】
前記区画構造部(2)は、少なくとも3つの平坦なフレーム要素(21)を備える、請求項1に記載の断熱容器(1)。
【請求項3】
前記少なくとも3つの平坦なフレーム要素(21)は、それぞれに、隆起部(211)同士の係合により2つの前記フレーム要素(21)を各々の場合に接続するように設計された隆起部(211)を有する、請求項に記載の断熱容器(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの前記フレーム要素(21)の前記隆起部(211)は、別の前記フレーム要素(21)を収容する、一方の側で開口した複数の凹部(213)を複数の位置で有する、請求項3に記載の断熱容器(1)。
【請求項5】
前記区画構造部(2)のフレーム要素(21)は、矩形の格子を形成するように配置されている、請求項2に記載の断熱容器(1)。
【請求項6】
前記複数の周辺区画部(23)は、通路によって互いに接続されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の断熱容器(1)。
【請求項7】
前記複数の周辺区画部(23)は、それぞれ、幅B及び長さLの矩形開口断面(A)を有し、B≦Lであり、1cm≦B≦10cmである、請求項1~5のいずれか一項に記載の断熱容器(1)。
【請求項8】
固体集合状態のCO2(ドライアイス)及び/又は複数の蓄冷要素が前記複数の周辺区画部(23)内に配置される、請求項1~7のいずれか一項に記載の断熱容器(1)。
【請求項9】
前記区画構造部(2)は複数の蓄冷要素で形成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の断熱容器(1)。
【請求項10】
前記断熱容器(1)は、固体集合状態のCO2(ドライアイス)及び/又は複数の蓄冷要素を収容するための少なくとも1つの蓋区画部(61)を備えた蓋挿入体(6)を備え、前記蓋挿入体(6)は前記収容空間部(33)を覆うように設計されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の断熱容器(1)。
【請求項11】
蓋区画部(61)の容積に対する周辺区画部の容積が、80:20~50:50の範囲の容積比を有する、請求項10に記載の断熱容器(1)。
【請求項12】
前記断熱容器(1)は、少なくとも1つの蓋区画部(61)を備えた蓋挿入体(6)を備え、前記底部挿入体(5)は、前記蓋区画部(61)の容積よりも小さいか又は等しい容積を備える、請求項1に記載の断熱容器(1)。
【請求項13】
前記蓋区画部(61)がカバー要素(62)で覆われている、請求項10に記載の断熱容器(1)。
【請求項14】
前記蓋区画部(61)は、複数の区画部が通気性があるように互いに接続されるように設計された、複数の開口部(212)を備える、請求項10に記載の断熱容器(1)。
【請求項15】
フレーム要素(21)と、前記区画構造部(2)と、底部挿入体(5)と、蓋挿入体(6)と、蓋区画部(61)と、カバー要素(62)は、厚紙又はプラスチックを備える、請求項1~14のいずれか1項に記載の断熱容器(1)。
【請求項16】
前記断熱容器(1)は、前記収容空間部(33)を少なくとも部分的に包囲するように前記断熱容器(1)内に配置された、少なくとも1つの真空断熱要素(7)を備える、請求項1~15のいずれか1項に記載の断熱容器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項に係る医薬品の温度制御された搬送用断熱容器に関する。
【0002】
本発明は、温度変動のない搬送、特に臨床医学産業における搬送のための熱搬送の解決策の技術分野に関する。
【背景技術】
【0003】
温度制御された搬送の範囲には、搬送される物品によっては、北極の深部凍結度や、春のような18℃が含まれる。薬品及び化粧品、塗料及びワニス、菓子類、食品など、あらゆる種類の物流サービスは、製品の要求に応じるように均一に温度制御された、専門的に組織された継続的なサプライチェーンに依存している。新たな搬送の解決策を実施することは、効果的に実践されなければ、困難で費用がかかる可能性がある。製品やサービスの搬送の非効率性は、時間や資源の深刻な損失につながる可能性がある。
【0004】
医薬品の温度制御された搬送のための容器を提供することは、従来技術から知られている。このような断熱容器は、下面と壁を備え、下面と壁から形成される内部空間部内でドライアイス及び搬送品を保持する、外側容器が装備されている。内部空間は、内部空間又は内部をそれぞれ完全に覆う蓋で閉じられる。このような容器は、例えば、モジュール式設計とすることができ、耐湿性及び耐温度性の表面を備えた軽量構造材料から構成されうる。貯蔵されたドライアイスは、内部の中の温度を数日間一定に保つ。これは、繊細な薬品の世界的な出荷に理想的である。また、外側容器は、容器の内部空間部の中の温度を安定したレベルに保つために、絶縁材料を有する。このような容器は、非常に繊細な医薬品などの、温度に敏感な貴重な製品のための優れた熱的不活性の単一方向及び多方向の出荷保護を提供する。これは、例えばワクチンを搬送するための基準が非常に高く、搬送チェーン全体を通じて実証的に維持されなければならないため、特に重要である。
【0005】
ドライアイスは、固形の二酸化炭素(CO2)であり、約1気圧(約1013mbar)の大気圧で融解しないが、気体の二酸化炭素に直接的に変わり、昇華して直接的に気体となり、元の体積の760倍に膨張する。常圧下では、ドライアイスは-78.4℃より高温になることはない。保護されていない皮膚にドライアイスを直接的に接触させると、凍傷又は冷熱傷を引き起こす。
【0006】
ここで課題となるのは、周囲の空気からの水分と反応することにより、ドライアイスが容器の壁に付着したり、搬送中の製品に凍結したりすることである。これにより、臨床医薬品搬送品は、例えば、もはや使用できなくなったり、限られた範囲しか使用できなくなったりする。
【0007】
更に、特許文献1(米国特許出願公開第2019/0177071号明細書)及び特許文献2(中国実用新案第208731523号明細書)が従来技術から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2019/0177071号明細書
【文献】中国実用新案第208731523号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来技術の欠点を克服しかつドライアイスの凍結及び/又は固着を伴わずに医薬品の搬送を可能にする、断熱容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は、独立請求項1の特徴を有する医薬品を温度制御された搬送するための断熱容器によって達成される。有利な実施形態は、関連する従属請求項の主題を形成する。
【0011】
本発明は、一方側で開口した収容空間部を形成するように互いに接続された、外側容器底部と外側容器壁を有する(真空断熱された)外側容器を備えた、医薬品を温度制御して搬送するための断熱容器に関する。断熱容器は、蓋を外側容器上に配置することによって収容空間部を完全に覆うように設計された蓋(蓋要素又はドア要素)を有する。断熱容器は、収容空間部に挿入された区画構造部であって、収容空間部を複数の別個の区画部に分離する区画構造部をさらに備える。区画構造部を設けることにより、ドライアイスと搬送製品を別々に貯蔵することができる。これにより、ドライアイスが凍結したり、製品に固着したりすることなく搬送することができる。
【0012】
区画構造部は、少なくとも3つ(有利的には4つ)の平坦なフレーム要素を備えることが好ましい。
【0013】
有利な態様によれば、断熱容器は、さらに、収容空間内に配置された外側シェルであって、区画構造部によって形成された複数の区画を外側容器壁から分離するように区画構造部を包囲する外側シェルを備える。これにより、外側容器壁の真空断熱パネルがドライアイスへの有害な露出から保護されることを保証する。
【0014】
フレーム要素が、隆起部同士の係合によってそれぞれに2つのフレーム要素を互いに接続するように形成された隆起部を各々有する場合に特に有利である。フレーム要素の上側リムにおける隆起部は、それぞれにおいて、上昇部及びへこみ部によって特徴付けられる。
【0015】
好ましい態様によれば、少なくとも1つのフレーム要素の隆起部は、複数の位置にさらなるフレーム要素を収容するために一方側で開口した複数の凹部を備える。このように、異なる寸法の区画部を形成することができる。
【0016】
有利な一態様によれば、区画構造部の複数のフレーム要素は、矩形の格子を形成するように配置される。矩形の配置のため、区画構造部のより高い安定性が得られる。
【0017】
区画構造部が、収容空間部内に挿入されたときに、収容空間部を中央区画と複数の周辺区画部とに分離し、周辺区画部が中央区画を完全に又は部分的に包囲するように配置されるように設計されている場合には、特に有利である。これにより、中央区画部内の搬送品を全側面から均一に温度制御することが可能となる。
【0018】
有利的には、複数の周辺区画部は、通路によって互いに接続される。これにより、複数の周辺区画部の間の媒体の交換が可能になる。
【0019】
好ましい態様によれば、複数の周辺区画部は、それぞれ、幅B及び長さLの矩形開口断面を有し、B≦Lであり、1cm≦B≦10cmであり、特に2cm≦B≦6cmである。これにより、十分な量の搬送品やドライアイスを無事に導入することができる。
【0020】
固体集合状態(ドライアイス)のCO2及び/又は蓄冷要素が複数の周辺区画部内に配置されれば有利であることが証明されている。蓄冷要素は、例えば、(相変化又は相変化材料(PCM)蓄熱装置としても知られる)潜熱蓄熱装置とすることができ、これは、そこに供給される熱エネルギーの大部分を(例えば、固体状態から液体状態への相変化のための)潜熱の形態で貯蔵する特殊なタイプの蓄熱器である。相変化物質は融解中に熱を吸収し、結晶化/凍結中に再び放出する。これにより、搬送期間中、必要な貯蔵温度を維持することができる。これにより、PCMとドライアイスを互いに組み合わせることができるという利点が得られる。
【0021】
区画構造部が蓄冷要素で形成されている場合には特に有利である。これにより、フレーム要素を省略することができ、ドライアイスのための周辺区画部を特別に設計された蓄熱装置シェルで形成することができる。
【0022】
有利的には、断熱容器は、外側容器底部と区画構造部との間に配置された底部挿入体であって、底部挿入体窪み部を有する底部挿入体を備える。これにより、断熱容器の内部空間部の中に均一な温度分布が保証される。
【0023】
好ましい態様によれば、底部挿入体は、閉鎖表面を有する第1層と、第1層上に配置された、横断方向に向けられた凹部を有する第2層と、第2層上に配置された、長手方向に向けられた凹部を有する第3層とを有する。その結果、底部挿入体は製造が容易であり、製品は良好に通気されている。
【0024】
有利な態様によれば、断熱容器は、固体集合状態(ドライアイス)のCO2及び/又は蓄冷要素を収容するための少なくとも1つの蓋区画部を有する蓋挿入体であって、収容空間部を完全に覆うように設計されている、蓋挿入体を備える。これにより、ドライアイスも上から供給することができる。
【0025】
周辺区画部の容積は、80:20~50:50の範囲の蓋区画部(61)の容積に対する容積比を有する。
【0026】
好ましくは、底部挿入体は、蓋区画部の容積よりも小さいか又は等しい容積を備える。
【0027】
有利的には、ハンドルが蓋区画部上に配置される。これにより、製品を便利かつ無事に取り外すことができる。
【0028】
蓋区画部がカバー要素で覆われている場合、特に有利である。これにより、ドライアイスと外側容器壁の真空断熱パネルとの直接的な接触を防止する。
【0029】
フレーム要素及び蓋区画部が、これらが互いに通気性があるように互いに接続されるように設計された複数の開口部を有する場合に有利であることが証明されている。これにより、断熱容器の内部空間部の中の均一な温度分布が保証される。
【0030】
好ましい態様によれば、フレーム要素は、厚紙(段ボール)又はプラスチック、特にクラフトライナー又は双壁シートを備える。これにより、区画部は耐湿性があり、取り扱いが容易で、安価に製造でき、リサイクルが容易になる。
【0031】
有利的には、断熱容器は、収容空間部を少なくとも部分的に包囲するように断熱容器内に配置される、少なくとも1つの真空断熱要素を備える。真空断熱要素は、例えば、シリカシート又はシリカ粉末、又は、ガラス繊維シート又はポリウレタンシートを有する。
【0032】
断熱材が真空断熱要素同士の間に配置される場合には特に有利である。これにより、内部空間部の中の温度を搬送時間全体にわたって一定に保つことを保証する。
【0033】
以下、図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、挿入された区画構造部を有する、本発明による断熱容器を通る部分断面図である。
図2図2は、挿入された区画構造部を有する、(上方から見た)本発明による断熱容器の上面図である。
図3図3は、本発明による断熱容器の分解図である。
図4図4は、本発明による断熱容器の側壁を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本発明による医薬品の温度制御された搬送用断熱容器1を示す図である。断熱容器1は、外側容器底部31と外側容器壁32とを備えた外側容器3を備える。例示的な実施形態では、外側容器壁32は、外側容器壁32上に垂直に設置された4つの部分であって、一方の側で開口した正方形の収容空間部33が形成されるように互いに接続された、4つの部分からなる。さらに、図1には、外側容器3及び収容空間部33を完全に覆う、断熱容器1上に配置するための蓋4が示されている。区画構造部2は、断熱容器1の収容空間部33内に挿入され、少なくとも3つの平坦なフレーム要素21からなる。これらのフレーム要素21は、区画構造部2が自立して収容空間部33を複数の別個の区画部に分離するように互いに接続されている。断熱容器1のフレーム要素21は、例えば、厚紙又はプラスチックで作ることができる。
【0036】
図1は、さらに、外側容器底部31と区画構造部2との間に配置される窪み部を有する、断熱容器1の底部挿入体5を示す。
【0037】
図1から、真空断熱要素7が断熱容器1の収容空間部33の周囲に挿入されており、少なくとも部分的に収容空間部33を包囲していることが分かる。例えば、真空断熱要素7同士の間に断熱材を挿入することができる。
【0038】
図2は、挿入された区画構造部2を有する、(上方から見た)本発明の断熱容器1の上面図を示す。この図から、区画構造部2の複数のフレーム要素21は、矩形の格子が形成されるように配置されていることが分かる。区画構造部2を収容空間部33の中に挿入することにより、収容空間部33は中央区画部22と複数の周辺区画部23に分離される。これにより、中央区画部22は、周辺区画部23によって完全に包囲される。周辺区画部23は、それぞれ、矩形の開口断面Aと、幅Bと、長さLとを有する。例えば、B≦Lであり、B≦Lであり、1cm≦B≦10cm、特に2cm≦B≦6cmである。ドライアイス(固体集合状態のCO2)及び/又は蓄冷要素は、搬送品を温度制御するために周辺区画部23に導入することができる。
【0039】
図3は、外側シェル8を有する本発明の断熱容器1の分解図を示す。外側シェル8は、収容空間部33及びその中に位置する区画構造部2の周囲に、区画構造部2によって形成された区画部が外側容器壁32から分離されるように配置される。
【0040】
図3に示すように、底部挿入体5は、閉鎖した表面を有する第1層5aと、第1層5aの上にある第2層5bとを有する。第2層5bの上方には第3層5cが配置されている。第2層5b、第3層5cの凹部は、互いに横断方向に向けられている。
【0041】
また、図3は、蓋区画部61を有する、断熱容器1の蓋挿入体6を示す。例えば、ドライアイス(固体集合状態のCO2)又は蓄冷要素は、搬送品を温度制御するために、この蓋区画部61の中に導入することができる。蓋区画部61は、カバー要素62によって覆われている。蓋挿入体6は、収容空間部33を完全に覆うという目的を果たす。
【0042】
図4は、本発明による断熱容器の側壁を示す。断熱容器1のフレーム要素21は、それぞれ、隆起部211を有しており、この隆起部211は、隆起部211同士の係合により2つのフレーム要素21を互いに接続できるように設計されている。このために、隆起部211は、一方の側で開口した複数の凹部213を有し、さらなるフレーム要素21を複数の位置でそれぞれに設けることができる。複数の開口部212は、区画部同士が通気性があるように互いに接続されることを保証するようにフレーム要素21上に設けられている。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
医薬品の温度制御された搬送のための断熱容器(1)において、
前記断熱容器(1)は、一方の側で開口した収容空間部(33)を形成するように互いに接続された、外側容器底部(31)及び外側容器壁(32)を有する、外側容器(3)を備え、
前記断熱容器(1)は、前記外側容器(3)上に蓋(4)を配置することにより、前記収容空間部(33)を完全に覆うように設計された蓋(4)を有し、
前記断熱容器(1)は、前記収容空間部(33)内に挿入されかつ前記収容空間部(33)を複数の別個の区画部に分離する区画構造部(2)を更に有する、医薬品の温度制御された搬送のための断熱容器(1)である。
第2の態様は、
前記区画構造部(2)は、少なくとも3つの平坦なフレーム要素(21)を備える、第1の態様における断熱容器(1)である。
第3の態様は、
前記収容空間部(33)内に配置された外側シェル(8)であって、前記区画構造部(2)によって形成された前記複数の別個の区画部を外側容器壁(32)から分離するように前記区画構造部(2)を包囲する外側シェル(8)をさらに備える、第1の態様又は第2の態様における断熱容器(1)である。
第4の態様は、
前記少なくとも3つの平坦なフレーム要素(21)は、それぞれに、隆起部(211)同士の係合により2つの前記フレーム要素(21)を各々の場合に接続するように設計された隆起部(211)を有する、第2の態様又は第3の態様における断熱容器(1)である。
第5の態様は、
少なくとも1つの前記フレーム要素(21)の前記隆起部(211)は、別の前記フレーム要素(21)を収容する、一方の側で開口した複数の凹部(213)を複数の位置で有する、第4の態様における断熱容器(1)である。
第6の態様は、
前記区画構造部(2)のフレーム要素(21)は、矩形の格子を形成するように配置されている、第1の態様~第5の態様のいずれか1つにおける断熱容器(1)である。
第7の態様は、
前記区画構造部(2)は、前記収容空間部(33)に挿入されたときに、前記収容空間部(33)を中央区画部(22)と複数の周辺区画部(23)とに分離するように設計されており、前記複数の周辺区画部(23)は、前記中央区画部(22)を完全に又は部分的に包囲して配置される、第1の態様~第6の態様のいずれか1つにおける断熱容器(1)である。
第8の態様は、
前記複数の周辺区画部(23)は、通路によって互いに接続されている、第7の態様における断熱容器(1)である。
第9の態様は、
前記複数の周辺区画部(23)は、それぞれ、幅B及び長さLの矩形開口断面(A)を有し、B≦Lであり、1cm≦B≦10cmであり、特に2cm≦B≦6cmである、第7の態様における断熱容器(1)である。
第10の態様は、
固体集合状態のCO 2 (ドライアイス)及び/又は複数の蓄冷要素が前記複数の周辺区画部(23)内に配置される、第7の態様、第8の態様又は第9の態様における断熱容器(1)である。
第11の態様は、
前記区画構造部(2)は複数の蓄冷要素で形成されている、第1の態様~第10の態様のいずれか1つにおける断熱容器(1)である。
第12の態様は、
前記断熱容器(1)は、前記外側容器底部(31)と前記区画構造部(2)との間に配置されておりかつ窪み部を有する、底部挿入体(5)を備える、第1の態様~第11の態様のいずれか1つにおける断熱容器(1)である。
第13の態様は、
前記底部挿入体(5)が、閉鎖表面を有する第1層(5a)と、前記第1層(5a)上に配置された、横断方向に向けられた凹部を有する第2層(5b)と、前記第2層(5b)上に配置された、長手方向に向けられた凹部を有する第3層(5c)とを備える、第10の態様における断熱容器(1)である。
第14の態様は、
前記断熱容器(1)は、固体集合状態のCO 2 (ドライアイス)及び/又は複数の蓄冷要素を収容するための少なくとも1つの蓋区画部(61)を備えた蓋挿入体(6)を備え、前記蓋挿入体(6)は前記収容空間部(33)を覆うように設計されている、第1の態様~第13の態様のいずれか1つにおける断熱容器(1)である。
第15の態様は、
蓋区画部(61)の容積に対する周辺区画部の容積が、80:20~50:50の範囲の容積比を有する、第14の態様における断熱容器(1)である。
第16の態様は、
前記底部挿入体(5)は、前記蓋区画部(61)の容積よりも小さいか又は等しい容積を備える、第12の態様及び第14の態様における断熱容器(1)である。
第17の態様は、
前記蓋区画部(61)がカバー要素(62)で覆われている、第14の態様における断熱容器(1)である。
第18の態様は、
前記少なくとも3つの平坦なフレーム要素(21)及び前記蓋区画部(61)は、複数の前記区画部が通気性があるように互いに接続されるように設計された、複数の開口部(212)を備える、第12の態様又は第14の態様における断熱容器(1)である。
第19の態様は、
前記フレーム要素(21)と、前記外側シェル(8)と、前記区画構造部(2)と、前記底部挿入体(5)と、前記蓋挿入体(6)と、前記蓋区画部(61)と、前記カバー要素(62)は、厚紙又はプラスチック、特にクラフトライナー又は双壁シートを備える、第1の態様~第18の態様のいずれか1つにおける断熱容器(1)である。
第20の態様は、
前記断熱容器(1)は、前記収容空間部(33)を少なくとも部分的に包囲するように前記断熱容器(1)内に配置された、少なくとも1つの真空断熱要素(7)を備える、第1の態様~第19の態様のいずれか1つにおける断熱容器(1)である。
図1
図2
図3
図4