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特許7542518ミトコンドリア(mitochonrial)障害の処置のためのsGC刺激剤の使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】ミトコンドリア(mitochonrial)障害の処置のためのsGC刺激剤の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4985 20060101AFI20240823BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240823BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20240823BHJP
   A61K 31/403 20060101ALI20240823BHJP
   A61K 33/00 20060101ALI20240823BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
A61K31/4985
A61K31/437
A61P25/02
A61P25/00
A61P25/08
A61P27/02
A61P21/00
A61P1/00
A61P9/10
A61K31/40
A61K31/403
A61K33/00
A61K31/198
A61P43/00 121
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021500714
(86)(22)【出願日】2019-07-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 US2019041437
(87)【国際公開番号】W WO2020014504
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】62/697,671
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/696,582
(32)【優先日】2018-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523398868
【氏名又は名称】ティセント セラピューティクス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ハドコック,ジョン・アール
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/116776(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/136309(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/045276(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0256460(US,A1)
【文献】特表2007-508247(JP,A)
【文献】特表2013-526854(JP,A)
【文献】RHODES C J; ET AL,THERAPEUTIC TARGETS IN PULMONARY ARTERIAL HYPERTENSION,PHARMACOLOGY & THERAPEUTICS,英国,ELSEVIER,2009年,VOL:121, NR:1,,PAGE(S):69 - 88,http://dx.doi.org/10.1016/j.pharmthera.2008.10.002
【文献】DROGALIS-KIM DIANA; ET AL,RIGHT SIDED HEART FAILURE AND PULMONARY HYPERTENSION: NEW INSIGHTS INTO DISEASE MECHANISMS AND TREATMENT MODALITIES,PROGRESS IN PEDIATRIC CARDIOLOGY,2016年,VOL:43,,PAGE(S):71 - 80,http://dx.doi.org/10.1016/j.ppedcard.2016.05.002
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 45/00
A61K 31/00-31/327
A61K 31/33-33/44
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミトコンドリア障害の処置を必要とする患者を処置するための、sGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物であって、
ミトコンドリア障害が、Leigh病または症候群、LHON、LHON Plus、Luft病、MELAS(ミトコンドリア筋症、ミトコンドリア脳筋症、乳酸アシドーシス、卒中様症状)、赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)から選択され、および、
sGC刺激剤は、
i)式Cで示される化合物である:
【化1】
(式中、
各J は、ハロまたはC 1~4 アルキルから独立して選択され;
nは、0、1、2、または3であり;
11 は、1、2、もしくは3つのハロで置換されていてもよいC 1~4 アルキルである)
または、
ii)下式で示される化合物
【化2】
である、前記医薬組成物。
【請求項2】
単独療法として投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
治療的有効量の1つまたは複数のさらなる治療剤と組み合わせて投与される、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
さらなる治療剤が、エナラプリル、カプトプリル、ペリンドプリル、またはリシノプリルから選択される、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
さらなる治療剤が、一酸化窒素、アルギニン、およびシトルリンからなる群から選択される、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物であって、sGC刺激剤は式Cで示される化合物である:
【化3】
(式中、
各Jは、ハロまたはC1~4アルキルから独立して選択され;
nは、0、1、2、または3であり;
11は、1、2、もしくは3つのハロで置換されていてもよいC 1~4 アルキルである)。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物であって、sGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩は以下のうちの1つである、前記医薬組成物:
【化4】
【請求項8】
請求項に記載の医薬組成物であって、sGC刺激剤が以下の化合物である、前記医薬組成物:
【化5】
【請求項9】
請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物であって、sGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩は以下の化合物である、前記医薬組成物:
【化6】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、35 U.S.C.§119(e)に基づき、2018年7月11日出願の米国仮特許出願第62/696,582号、および2018年7月13日出願の米国仮特許出願第62/697,671号の出願日の利益を主張するものである。上記で参照される出願の各々の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ミトコンドリアは、正常な細胞機能に必要とされるアデノシン三リン酸(ATP)を産生するための酸化的リン酸化を通して細胞のためのエネルギーを生成する細胞小器官である。したがって、健康および生命を維持するために、適切なミトコンドリア機能は重要である。
【0003】
ミトコンドリア障害は、機能不全のミトコンドリアにより引き起こされる一群の障害である。ミトコンドリア障害は、ミトコンドリアDNAまたはミトコンドリア構成要素をコードする核遺伝子における変異(後天性または遺伝的)により引き起こされ得る。これらは、薬物、感染、または他の環境的要因の有害作用に起因する後天性ミトコンドリア障害の結果でもあり得る。これらの障害は、出生時に存在することがあり、または以後の人生で発症することがある。
【0004】
ミトコンドリア障害においては、ATP産生の減少に加えて、ピルビン酸のアセチルCoAへの変換の減少に起因する乳酸アシドーシス、一酸化窒素(NO)欠乏をもたらすNO合成の減少、活性酸素種の上昇に起因する細胞傷害の増大、および血管反応性の減少も観察される。これらは、成長不良を含む症状を伴う身体、発達、および認知障害の悪化;筋協調の喪失;筋肉の衰弱および疼痛;発作;視覚および/または聴覚の喪失;胃腸障害;学習障害;ならびに臓器不全を引き起こす。平均寿命は、大きく減少する。4,000人に1人が、ミトコンドリア障害を有すると推定される。ミトコンドリア障害は、通常進行性であり、不治であり承認された治療法も存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ミトコンドリア障害を処置する方法を開発する必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本発明は、ミトコンドリア障害を処置する方法であって、治療的有効量のsGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩を、単独で、または治療的有効量の1つもしくは複数のさらなる治療剤と組み合わせて、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法を提供する。
【0007】
別の態様では、本発明は、ミトコンドリア障害の処置を必要とする患者におけるミトコンドリア障害の処置における使用のための、sGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0008】
別の態様では、本発明は、ミトコンドリア障害の処置を必要とする患者におけるミトコンドリア障害の処置における使用のための、1つまたは複数のさらなる治療剤と組み合わせた、sGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】(A)ZSF1ラットの白色脂肪組織(WAT)中、(B)ZSF1ラットの肝組織中、および(C)食餌誘発性肥満(DIO)マウスの視床下部中の、PGC1αの遺伝子発現レベルのプロットである。
図1B】(A)ZSF1ラットの白色脂肪組織(WAT)中、(B)ZSF1ラットの肝組織中、および(C)食餌誘発性肥満(DIO)マウスの視床下部中の、PGC1αの遺伝子発現レベルのプロットである。
図1C】(A)ZSF1ラットの白色脂肪組織(WAT)中、(B)ZSF1ラットの肝組織中、および(C)食餌誘発性肥満(DIO)マウスの視床下部中の、PGC1αの遺伝子発現レベルのプロットである。
図2A】(A)DIOマウスのeWAT中のAMPKα1、(B)DIOマウスのeWAT組織中のPparα、および(C)四塩化炭素(CCl)ラットの肝組織中のPparαの遺伝子発現レベルのプロットである。
図2B】(A)DIOマウスのeWAT中のAMPKα1、(B)DIOマウスのeWAT組織中のPparα、および(C)四塩化炭素(CCl)ラットの肝組織中のPparαの遺伝子発現レベルのプロットである。
図2C】(A)DIOマウスのeWAT中のAMPKα1、(B)DIOマウスのeWAT組織中のPparα、および(C)四塩化炭素(CCl)ラットの肝組織中のPparαの遺伝子発現レベルのプロットである。
図3A図3Aは、DETAと組み合わせた化合物Eが、LHON患者の細胞GM11605中のcGMP形成を有意に活性化し、これらの患者の細胞中のsGCの機能発現を確認したことを示すグラフである。
図3B図3Bは、DETAと組み合わせた化合物Eが、LHON患者の細胞GM10742中のcGMP形成を有意に活性化し、これらの患者の細胞中のsGCの機能発現を確認したことを示すグラフである。
図3C図3Cは、DETAと組み合わせた化合物Eが、Leigh患者の細胞GM13740中のcGMP形成を有意に活性化し、これらの患者の細胞中のsGCの機能発現を確認したことを示すグラフである。
図4A】LHON患者の細胞GM11605およびGM10742、ならびにLeigh患者の細胞GM13740中のATPレベルが、正常細胞GM00333中よりも有意に低下したこと(A);化合物E(単独でまたはDETAとの組合せで)を用いたGM11605およびGM13740の刺激が、ATPレベルを有意に増大させたこと(B);化合物B(単独でまたはDETAとの組合せで)を用いたGM11605およびGM13740の刺激が、ATPレベルを増大させたこと(C)を示すプロットである。化合物Bは別のLHON患者の細胞GM10742でも試験され、GM11605と類似の結果が観察され(データは示さず);化合物D(単独でまたはDETAとの組合せで)を用いたGM13740細胞の刺激がATPレベルを有意に増大させた(D)。
図4B】LHON患者の細胞GM11605およびGM10742、ならびにLeigh患者の細胞GM13740中のATPレベルが、正常細胞GM00333中よりも有意に低下したこと(A);化合物E(単独でまたはDETAとの組合せで)を用いたGM11605およびGM13740の刺激が、ATPレベルを有意に増大させたこと(B);化合物B(単独でまたはDETAとの組合せで)を用いたGM11605およびGM13740の刺激が、ATPレベルを増大させたこと(C)を示すプロットである。化合物Bは別のLHON患者の細胞GM10742でも試験され、GM11605と類似の結果が観察され(データは示さず);化合物D(単独でまたはDETAとの組合せで)を用いたGM13740細胞の刺激がATPレベルを有意に増大させた(D)。
図4C】LHON患者の細胞GM11605およびGM10742、ならびにLeigh患者の細胞GM13740中のATPレベルが、正常細胞GM00333中よりも有意に低下したこと(A);化合物E(単独でまたはDETAとの組合せで)を用いたGM11605およびGM13740の刺激が、ATPレベルを有意に増大させたこと(B);化合物B(単独でまたはDETAとの組合せで)を用いたGM11605およびGM13740の刺激が、ATPレベルを増大させたこと(C)を示すプロットである。化合物Bは別のLHON患者の細胞GM10742でも試験され、GM11605と類似の結果が観察され(データは示さず);化合物D(単独でまたはDETAとの組合せで)を用いたGM13740細胞の刺激がATPレベルを有意に増大させた(D)。
図4D】LHON患者の細胞GM11605およびGM10742、ならびにLeigh患者の細胞GM13740中のATPレベルが、正常細胞GM00333中よりも有意に低下したこと(A);化合物E(単独でまたはDETAとの組合せで)を用いたGM11605およびGM13740の刺激が、ATPレベルを有意に増大させたこと(B);化合物B(単独でまたはDETAとの組合せで)を用いたGM11605およびGM13740の刺激が、ATPレベルを増大させたこと(C)を示すプロットである。化合物Bは別のLHON患者の細胞GM10742でも試験され、GM11605と類似の結果が観察され(データは示さず);化合物D(単独でまたはDETAとの組合せで)を用いたGM13740細胞の刺激がATPレベルを有意に増大させた(D)。
図5A図5Aは、LHON患者の細胞GM11605中のTFAM遺伝子の発現レベルに対する化合物Bの効果を示すプロットである。
図5B図5Bは、LHON患者の細胞GM11605中のDDAH2遺伝子の発現レベルに対する化合物Bの効果を示すプロットである。
図6A図6Aは、Leigh患者の細胞GM13740中のTFAM遺伝子の発現レベルに対する化合物Bの効果を示すプロットである。
図6B図6Bは、Leigh患者の細胞GM13740中のDDAH2遺伝子の発現レベルに対する化合物Bの効果を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、本発明のある特定の実施形態を詳細に参照し、その例は添付の構造および式に例示されている。本発明は列挙された実施形態と併せて説明されるが、これらは、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図するものではないことが理解されよう。むしろ、本発明は、特許請求の範囲により定義されているような本発明の範囲内に含まれ得る、すべての代替物、修正物および均等物を包含することを意図する。本発明は、本明細書において記載されている方法および材料に限定されるものではなく、本発明の実践において使用することができる、本明細書において記載されているものと類似または等価の任意の方法および材料を含む。限定されるものではないが、定義された用語、用語の用法、記載された技術等を含む、組み込まれた参考文献、特許または類似の材料のうちの1つまたは複数が、本出願と異なるまたは矛盾する場合、本出願が優先する。本明細書において記載されている化合物は、それらの化学構造および/または化学名により定義され得る。化合物が化学構造および化学名の両方により言及され、化学構造と化学名とが矛盾する場合、化学構造が化合物の種類を決定する。
【0011】
ミトコンドリアの生合成および機能は一酸化窒素(NO)により増強されることが、近年見出された。細胞中、NOは、多様な一酸化窒素シンターゼ(NOS)酵素により、および続いて起こる無機硝酸塩の還元により、アルギニンおよび酸素から合成される。可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)は、インビボでのNOの主要な受容体または標的である。sGCは、NO依存性およびNO非依存性機構を介して活性化することができる。この活性化に応答して、sGCは、グアノシン三リン酸(GTP)を、二次伝達物質である環状グアノシン一リン酸(cGMP)へと変換する。cGMPのレベルの増大は、次いで、タンパク質キナーゼ、ホスホジエステラーゼ(PDE)およびイオンチャネルを含む下流のエフェクターの活性を調節する。
【0012】
NO非依存性、ヘム依存性のsGC刺激剤は、他の種類のsGC調節剤と比較したとき、それらの活性に関する還元された補欠分子ヘム部分の存在への重大な依存性、NOと組み合わされた場合の強力な相乗的な酵素活性化、およびNO非依存性のsGCの直接刺激によるcGMP合成の刺激を含むいくつかの重要な区別される特徴を有する。
治療方法
一態様では、本発明は、ミトコンドリア障害を処置する方法であって、治療的有効量のsGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩を、単独で、または治療的有効量の1つもしくは複数のさらなる治療剤と組み合わせて、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法を提供する。
【0013】
別の態様では、本発明は、ミトコンドリア障害の処置を必要とする患者におけるミトコンドリア障害の処置における使用のための、sGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0014】
別の態様では、本発明は、ミトコンドリア障害の処置を必要とする患者におけるミトコンドリア障害の処置における使用のための、1つまたは複数のさらなる治療剤と組み合わせた、sGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0015】
「障害」という用語は、本明細書において使用される場合、症状および徴候の特徴的な組により呈され、その病因、病理、および予後が公知であり得るか不明であり得る、任意の身体部位、器官または系の正常な構造または機能の任意の逸脱または妨害を指す。障害という用語は、疾患および状態(または医学的状態)、ならびに単一の原因に起因する症状の組合せとして、または別個の臨床像を構成するように一般的に同時に発生するものとして定義される症候群のような、他の関連する用語を包含する。一部の実施形態では、障害という用語は、ミトコンドリア障害を指す。
【0016】
「ミトコンドリア障害」は、ミトコンドリア(エネルギー産生の要因となる、身体の各細胞中の構造)を侵す一群の状態を指す。該障害は、任意の年齢で存在し、脳、筋肉、心臓、肝臓、神経、眼、耳および腎臓を含むほぼすべての器官を侵すことがある。一部の障害は、1つの器官または組織のみを侵し、多くのものは、脳、筋肉、心臓、肝臓、神経、眼、耳および/または腎臓を含む複数の器官系に影響を及ぼす。
【0017】
一部の実施形態では、ミトコンドリア障害はミトコンドリア病であり、ミトコンドリアもしくは核DNAのいずれかによりコードされるミトコンドリア遺伝子またはタンパク質における変異、ミトコンドリアDNA欠失またはミトコンドリアDNA枯渇に起因し、ATP欠損および活性酸素種(ROS)過剰産生をもたらすミトコンドリアの機能障害をもたらす(Renkema GHら、2017年、human genetics;Chinnery PFおよびHudson G、2013年、british medical bulletin;Iizuka、2005年、Pitkanen、1996年、Esposito、1999年)。ミトコンドリア病は、主に、結果として多様な臨床表現型および症候学(syntomatology)をもたらす、細胞のATPの慢性的な低下に起因して現れる(Chinnery PFおよびHudson G、2013年、british medical bulletin)。したがって、ATP欠損は、複数のミトコンドリア病、例えばMERFF(Chang JCら、2013年)、KSS(Mahato Bら、2011年)、MELAS(Seo KSら、2018年;Uittenbogaard Mら、2019年)、レーベル遺伝性視神経症(LHON)(Van Bergen NJら、2015年;Zhang Jら、2016年およびUittenbogaard Mら、2019年)、複合体II欠損症(Mbaya Eら、2010年)、複合体III欠損症(Tegelberg, Sら、2017年)、ミトコンドリア脳筋症(encephalomyoptahy)(Gai, Xら、2013年、americal journal of human genetics)、Barth症候群(Dudek, Jら、2013年、stem cell research)、NARP(Rak, Mら、2007年、JBC)、Leigh症候群および複合体I欠損症(Moran, Mら、2010年、Biochimica et Biophysica Acta;Barca, Eら、2018年、Human molec genetics)において記載されている。ATPレベルの増大は、これらの障害にわたり疾患の症候学を改善すると考えられる(Webb Mら、2019年)。ATPを欠損しているミトコンドリア病患者の細胞の、sGC刺激剤(単独でまたはDETAと組み合わせて)を用いた処置は、異なるミトコンドリア病患者の細胞にわたりATPレベルを増大させる(図4A~D)。
【0018】
ATPクライシスに加えて、ミトコンドリア呼吸鎖機能不全は、細胞傷害をもたらす、過剰なROS産生および酸化ストレスの増大をも引き起こす(Iizukaら、2005年、Pitkanenら、1996年、Espositoら、1999年、Blankenberg, FG、2012年、Molecular genetics and metabolism、Turrens JFら、1997年)。グルタチオン(GSH)は、細胞を酸化ストレスから保護する重大な役割を果たし(Formanら、2008年、PMID 18796312)、GSHの減少またはGSH:GSSG(還元型グルタチオン:酸化型グルタチオン)比の減少は、酸化ストレスを示す(Ennsら(eta al)、2017年、J, Clin Medicine)。全身の酸化ストレスを示す低レベルのiGSHは、多様なミトコンドリア病、例えば:4例のtRNALeu3243AG、4例の複合体I欠損症、2例の複合体IV欠損症、2例の組み合わされた複合体I/III欠損症、1例の組み合わされた複合体I/IV欠損症(tRNALeu3243AT)、1例の組み合わされた複合体II/III欠損症、1例の複合体III欠損症、1例のmtDNA欠失症候群、1例のmtDNA枯渇症候群(TK2欠損症)、および定義不能な疾患であるが、Leigh症候群または多器官系の関与を含む臨床特性、およびミトコンドリア病と一致する生化学的知見を有する3例の疾患等の患者の血液細胞中に見出された(Atkuri, KRら、2009年)。したがって、酸化ストレスは多様なミトコンドリア病に関与し、酸化ストレスに対して保護する治療法は、ミトコンドリア病患者にとって望ましいであろう(Webb Mら、2019年)。mtDNAに非配列特異的な様式で結合することによりmtDNAを酸化ストレスから保護するタンパク質(Kankiら、2004年)をコードするTFAM mRNAのレベルは、sGC刺激剤の処置により増大される(図5Aおよび6A)。さらに、sGC刺激剤を用いたミトコンドリア病患者の細胞の処置は、DDAH2 mRNAのレベルを増大させる。DDAH経路の上方制御は、ミトコンドリア病患者におけるADMAレベルを減少させ、これらの患者における酸化ストレスの有害作用を低減させると予測される(図5Bおよび6B)。
【0019】
上述のように、ミトコンドリア遺伝子障害は、ミトコンドリアの機能不全および細胞のATPの不十分な産生をもたらすミトコンドリアDNAまたは核DNAのいずれかにおける変異により引き起こされることがある。ミトコンドリアDNAにおける変異により引き起こされるものは、母系遺伝により遺伝し、一方で核DNAにおける変異により引き起こされるものは、常染色体優性、常染色体劣性、またはX染色体連鎖パターンの遺伝に従い得る(https://rarediseases.info.nih.gov/diseases/7048/mitochondrial-genetic-disorders、最終訪問日2018年7月10日を参照、その教示が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0020】
本発明のsGC刺激剤(例えばsGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩)を投与することにより処置および/または予防することができる特定のミトコンドリア病には、限定されるものではないが:
アルパース病、常染色体優性視神経萎縮症(ADOA)、Barth症候群/LIC(致死性小児心筋症)、ベータ酸化欠損、全身性原発性カルニチン欠損症、長鎖脂肪酸輸送欠損症、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ欠損症、カルニチン/アシルカルニチントランスロカーゼ欠損症、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI(CPT I)欠損症、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼII(CPT II)欠損症、極長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(VLCAD)、長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(LCAD)、長鎖3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(LCHAD)、マルチプルアシルCoAデヒドロゲナーゼ欠損症(MAD/グルタル酸尿症II型)、ミトコンドリア三機能タンパク質欠損症、中鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ(MCAD)欠損症、短鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(SCAD)、グルタル酸尿症II型、(SCHAD)欠損症、短/中鎖3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ(S/MCHAD)、中鎖3-ケトアシル-CoAチオラーゼ欠損症、2,4-ジエノイル-CoAレダクターゼ欠損症、ミトコンドリアエノイルCoAレダクターゼタンパク質関連神経変性症(Mitochondrial Enoyl CoA Reductase Protein Associated Neurodegeneration)(MEPAN)、カルニチン欠損症、クレアチン欠損症候群、コエンザイムQ10欠損症、複合体I、II、III、IV、V欠損症、慢性進行性外眼筋麻痺(CPEO)、フリードライヒ運動失調症、カーンズ・セイヤー症候群、白質ジストロフィー、Leigh病または症候群、LHON、LHON Plus、Luft病、MELAS(ミトコンドリア筋症、ミトコンドリア脳筋症、乳酸アシドーシス、卒中様症状)、赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS)、ミトコンドリア細胞症、ミトコンドリアDNA枯渇症、ミトコンドリア脳症、ミトコンドリア筋症、多発性ミトコンドリア機能障害症候群、MNGIE(筋神経胃腸脳症(Myoneurogenic gastrointestinal encephalopathy))、NARP(ニューロパチー、運動失調症、網膜色素変性症、および眼瞼下垂症)、Pearson症候群、ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ欠損症またはピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体欠損症(PDCD/PDH)、およびPOLG変異
が含まれる。
【0021】
一実施形態では、ミトコンドリア病は、アルパース、カルニチン-アシル-カルニチン欠損症、カルニチン欠損症、複合体I、II、III、IV欠損症、CPEO、CPT II欠損症、クレアチン欠損症候群、KSS、LCHAD、Leigh症候群、白質ジストロフィー、LHON、MELAS、MEPAN、MERRF、MIRAS、ミトコンドリアDNA枯渇症、MNGIE、NARP、Pearson症候群、およびPOLG変異から選択される。
【0022】
上記の方法および使用の一部の実施形態では、sGC刺激剤は、ミトコンドリア機能不全または障害(またはミトコンドリア病)の症状が前記患者において完全に発症する前に投与される。上記の方法および使用の他の実施形態では、sGC刺激剤は、1つまたは複数のミトコンドリア障害(またはミトコンドリア病)の症状が前記患者において発症した後に投与される。
【0023】
別の態様では、本発明は、ミトコンドリア障害(またはミトコンドリア病)の処置を必要とする対象においてミトコンドリア障害(またはミトコンドリア病)を処置する方法であって、治療的有効量のsGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩を対象に単独でまたは組合せ療法において投与するステップを含む方法も提供する。
【0024】
本明細書において使用される場合、一部の実施形態では、「それを必要とする患者」という用語は、上述のミトコンドリア障害(またはミトコンドリア病)のうち1つを患う患者を指すために使用される。
【0025】
一部の実施形態では、「それを必要とする患者」という用語は、ミトコンドリア障害(またはミトコンドリア病)を有する、またはそれと診断された、または前記障害の発症の遺伝的素因がある患者である。他の実施形態では、それを必要とする患者は、障害(または疾患)のいかなる身体症状もまだ示し得ないが、遺伝子検査され、前記障害(または疾患)の発症の素因となる遺伝子中に変異を有すると判明した人である。また他の実施形態では、「それを必要とする患者」は、正式な診断がまだなされていないが、障害(または疾患)の症状を示す。ミトコンドリア障害(またはミトコンドリア病)の最も一般的な徴候および症状には:成長不良、筋協調の喪失、筋肉の衰弱、疲労、運動不耐性、乳酸アシドーシス、発作、認知機能不全、精神的疲労、自閉症、視覚および/または聴覚の障害、発達遅延、学習障害、心臓、肝臓、および/または腎臓の疾患、胃腸障害、糖尿病、感染のリスクの増大、甲状腺および/または副腎異常、自律神経機能不全、ならびに認知症が挙げられる。
【0026】
一部の実施形態では、ミトコンドリア病は、非ミトコンドリア病により引き起こされたミトコンドリア機能不全である。一部の実施形態では、それを必要とする患者は、非ミトコンドリア病を患っている、ミトコンドリア機能不全を有する患者である。一部の実施形態では、それを必要とする患者は、非ミトコンドリア病により引き起こされたミトコンドリア機能不全を有する患者である。ある特定の実施形態では、非ミトコンドリア病は、そのような疾患を患っている一部の患者においてミトコンドリア機能不全をもたらすことがある疾患である。ある特定の実施形態では、非ミトコンドリア病は、例えば、ALS、デュシェンヌ筋ジストロフィー、慢性疲労症候群、心筋症、サルコペニア、悪液質、運動失調障害、加齢および老化、鎌状赤血球症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、がん、多発性硬化症、海馬硬化/てんかん、てんかん、緑内障、Harding症候群、糖尿病(diabetes)(1型およびII型)、糖尿病(diabetes mellitus)および難聴(DAD)、認知症、双極性障害、統合失調症、不安障害、心血管疾患、ガラクトシアリドーシス、片頭痛、卒中、神経障害性疼痛、一過性脳虚血発作(transient schemic attack)、冠動脈疾患、線維筋痛症、網膜色素変性症、C型肝炎、原発性胆汁性肝硬変症(primary biliary cirrohosis)、ならびにX連鎖性副腎白質ジストロフィーから選択される。(Experimental and Molecular Pathology、83巻、1号、2007年8月、84~92頁を参照、その教示が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0027】
そのようなものとして、本発明の一態様は、ALS、デュシェンヌ筋ジストロフィー、慢性疲労症候群、心筋症、サルコペニア、悪液質、運動失調障害、加齢および老化、鎌状赤血球症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、がん、多発性硬化症、海馬硬化/てんかん、てんかん、緑内障、Harding症候群、糖尿病(diabetes)(I型およびII型)、糖尿病(diabetes mellitus)および難聴(DAD)、認知症、双極性障害、統合失調症、不安障害、心血管疾患、ガラクトシアリドーシス、片頭痛、卒中、神経障害性疼痛、一過性脳虚血発作(transient schemic attack)、冠動脈疾患、線維筋痛症、網膜色素変性症、C型肝炎、原発性胆汁性肝硬変症(primary biliary cirrohosis)、ならびにX連鎖性副腎白質ジストロフィーを有する、ミトコンドリア機能不全を患っている患者の処置であって、治療的有効量のsGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩を、単独で、または治療的有効量の1つまたは複数のさらなる治療剤と組み合わせて、それを必要とする患者に投与するステップを含む処置である。
【0028】
「治療的有効量」という用語は、本明細書において使用される場合、研究者、獣医、医師または他の臨床家により求められる、組織、系、動物またはヒトの生物学的または薬物応答を誘発する活性な化合物または薬剤の量を意味する。投与される化合物の治療的有効量は、そのような考察により決定され、障害もしくはその症状の1つもしくは複数を改善、治癒もしくは処置するために、または障害もしくは症状を獲得する機会を予防もしくは実質的に減少させるために、または障害もしくはその症状の1つもしくは複数の重症度を、それを獲得する前もしくは症状がさらに発症するもしくは完全に発症する前に減少させるために必要な最小量である。上記の方法、使用および組成物の一部の実施形態では、それを必要とする患者は、成人である。他の実施形態では、患者は、小児である。また他の実施形態では、それを必要とする患者は、乳児である。
【0029】
上記の方法、使用および組成物の一部の実施形態では、sGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩の、単独、または別の治療剤と組み合わせた投与は、測定可能な身体もしくは生理学的パラメータまたは両方の改善をもたらす。
【0030】
本明細書において使用される場合、「対象」および「患者」という用語は、互換的に使用される。「対象」および「患者」という用語は、動物(例えば鳥類、例えばニワトリ、ウズラ、もしくはシチメンチョウ、または哺乳類)を指し、具体的には、「哺乳類」には、非霊長類(例えばウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、モルモット、ラット、ネコ、イヌ、およびマウス)および霊長類(例えばサル、チンパンジーおよびヒト)、ならびにより具体的にはヒトが挙げられる。一部の実施形態では、対象は、非ヒト動物、例えば家畜動物(例えばウマ、ウシ、ブタまたはヒツジ)、または伴侶動物もしくはペット(例えば、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ハムスター、ジャービル、モルモットまたはウサギ)である。一部の実施形態では、対象はヒトである。
【0031】
本発明は、対象における上記のミトコンドリア障害のうちの1つを処置するための方法であって、治療的有効量のsGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩を、処置を必要とする対象に投与するステップを含む方法も提供する。代わりに、本発明は、処置を必要とする対象におけるこれらのミトコンドリア障害のうちの1つの処置における、sGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。処置を必要とする対象における上記のミトコンドリア障害のうちの1つの処置のための医薬の製造のための、sGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩の使用も、本発明に含まれる。本発明は、これらのミトコンドリア障害のうちの1つを処置するために有用な医薬を作製または製造する方法であって、sGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩を使用するステップを含む方法をさらに提供する。
【0032】
本明細書において記載されている化合物および医薬組成物は、sGC、cGMPおよび/またはNOにより媒介、制御または影響されるミトコンドリア障害の処置のために、単独でまたは組合せ療法において使用することができる。
【0033】
他の実施形態では、本発明は、生体試料におけるミトコンドリア機能を増大させる方法であって、前記生体試料を本発明の化合物または組成物と接触させるステップを含む方法を提供する。生体試料におけるsGC刺激剤の使用は、当業者に公知の多様な目的のために有用である。そのような目的の例には、限定されるものではないが、生物学的アッセイおよび生体標本保管が含まれる。
【0034】
「生体試料」という用語は、本明細書において使用される場合、インビトロまたはエクスビボの試料を指し、限定されるものではないが、細胞培養液もしくはその抽出物;哺乳類から得られた生検材料もしくはその抽出物;血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、リンパ液、眼液、硝子体液、脳脊髄液(CSF)、または他の体液もしくはその抽出物が挙げられる。
【0035】
障害に関して「処置する」、「処置すること」または「処置」は、障害の原因および/または作用を軽減または抑制することを指す。一実施形態では、「処置する」、「処置」および「処置すること」という用語は、障害の進行、重症度および/もしくは期間の減少もしくは改善、または障害の1つもしくは複数の症状の改善(すなわち、障害を「治癒すること」なく「管理すること」)を指す。特定の実施形態では、「処置する」、「処置」および「処置すること」という用語は、障害の少なくとも1つの測定可能な身体パラメータの改善を指す。他の実施形態では、「処置する」、「処置」および「処置すること」とう用語は、例えば認められる症状の安定による身体的な、または例えば生理学的パラメータの安定による生理学的なのいずれか、または両方での、障害の進行の阻止を指す。一部の実施形態では、「処置する」、「処置」および「処置すること」という用語は、症状もしくは症状のセットもしくは臨床所見の発症を遅延させること、またはある特定の身体機能の喪失の発症を遅延させることを指す。
【0036】
一部の実施形態では、処置は、ミトコンドリア障害の少なくとも1つの測定可能な身体パラメータの改善をもたらす。他の実施形態では、処置は、例えば測定可能な症状もしくは症状のセットの安定により身体的、または例えば測定可能なパラメータの安定により生理学的のいずれかに、または両方での、ミトコンドリア障害の進行の減少、阻止または鈍化をもたらす。ミトコンドリア障害を有する患者の脳内の測定可能な身体パラメータには、発達遅延、頭痛の頻度および重症度、片頭痛、発作、認知症、自閉症的特性、不定型脳性麻痺、精神神経障害、精神遅滞、脳病変、脳の神経代謝産物(neuromatalobite)の変化(例えばNAA、アミノ酸、および乳酸)、卒中様エピソードの頻度または重症度、脳血流、脳血管反応性、酸素摂取率、認知、ならびに脳疲労が挙げられる。ミトコンドリア障害を有する患者の神経系における測定可能な身体パラメータには、衰弱(間欠的であり得る)、失神、無反射、神経障害性疼痛、自立神経失調症、温度不安定性が挙げられる。ミトコンドリア障害を有する患者の筋肉における測定可能な身体パラメータには、疲労、持久力、衰弱、運動調整、運動失調、過敏性腸症候群、胃食道逆流症(gastroesophogeal reflux)、痙攣、下痢または便秘、緊張低下、胃腸障害、偽妨害、および運動不全が挙げられる。ミトコンドリア障害を有する患者の腎臓における測定可能な身体パラメータには、尿細管性アシドーシスまたは消耗が含まれる。ミトコンドリア障害を有する患者の心臓における測定可能な身体パラメータには、心伝導障害(心ブロック)および心筋症が挙げられる。ミトコンドリア障害を有する患者の肝臓における測定可能な身体パラメータには、低血糖(血糖が低いこと)および肝不全が挙げられる。ミトコンドリア障害を有する患者の血漿における測定可能な身体パラメータには、一酸化窒素および乳酸レベルが含まれる。ミトコンドリア障害を有する患者のCSFにおける測定可能な身体パラメータには、乳酸およびアミノ酸レベルが含まれる。当業者は、慣習的な手段(例えば限定されるものではないが、臨床検査、理学的検査、認知検査を含む)を使用して、測定可能な身体パラメータまたは身体パラメータのセットにおける改善を決定することができるであろう。
【0037】
他の実施形態では、処置は、少なくとも1つの測定可能なパラメータ(例えば身体または生理学的パラメータ)により、ミトコンドリア病の進行の減少、阻止または鈍化をもたらす。測定可能なパラメータには、限定されるものではないが、血漿、血液、脳、およびCSFのうちの1つまたは複数中の乳酸の減少;血漿およびCSFにおけるADMAのレベルの正常化;脳内のNAAレベルの増大;CSF中のピルビン酸の減少;CSF中の5-メチルテトラヒドロ葉酸の増大;卒中様エピソード(SLE)および/またはてんかんの重症度および/または頻度の低減;ミオクローヌスおよびてんかん事象の重症度および頻度の減少;SLEまたは発作を有したことのある患者におけるMRI異常の解決における改善;脳病変の範囲、重症度および進行の減少;精神疲労の減少および認知機能の改善または保存;頭痛/片頭痛および発作の頻度および重症度の減少;脳血流、酸素摂取率、脳血管反応性および末梢血管反応性の正常化;運動機能の改善または運動異常、例えば筋肉の衰弱、筋肉疲労、運動失調、痙縮またはミオクローヌス(myoclonous)等の減少;視力喪失の改善または減少;ならびに患者の生活の質の改善が挙げられる。特定の実施形態では、処置は、アルパース、カルニチン-アシル-カルニチン欠損症、カルニチン欠損症、複合体I、II、III、IV欠損症、CPEO、CPT II欠損症、クレアチン欠損症候群、KSS、LCHAD、Leigh症候群、白質ジストロフィー、LHON、MELAS、MEPAN、MERRF、MIRAS、ミトコンドリアDNA枯渇症、MNGIE、NARP、Pearson症候群、およびPOLG変異から選択されるミトコンドリア病を有する患者におけるものである。
sGC刺激剤
本発明の化合物は、本明細書において、それらの化学構造および/または化学名により定義される。化合物が化学構造および化学名の両方により言及され、化学構造と化学名とが矛盾する場合、化学構造が化合物の種類を決定する。
【0038】
本明細書に開示されている化合物は、任意選択で、1つまたは複数の置換基、例えば以下に全体的に例示されているもの等、または本発明の特定のクラス、サブクラスおよび種類により例示されているもの等と置換されていてもよい。「任意選択で置換されている」という句は、「置換または非置換である」という句と互換的に使用される。一般的に、「置換されている」という用語は、所与の構造中の1つまたは複数の水素ラジカルの、特定の置換基のラジカルによる置き換えを指す。別段の指示がない限り、任意選択で置換されている基は、基の各置換可能な位置に置換基を有し得る。所与の構造中の1つを超える位置が特定の基から選択された1つを超える置換基と置換することができるとき、置換基は、別段の指示がない限り、各位置で同じであるかまたは異なっているかのいずれかであり得る。当業者に明白であるように、-H、ハロゲン、-NO、-CN、-OH、-NHまたは-OCFのような基は、置換可能な基ではないであろう。
【0039】
「最大」という句は、本明細書において使用される場合、句に続く数と等しいかまたはそれ未満である、ゼロまたは任意の整数を指す。例えば、「最大3」は、0、1、2、または3のうちのいずれか1つを意味する。本明細書において記載されているように、原子の特定の数の範囲は、それらの中の任意の整数を含む。例えば、1~4つの原子を有する基は、1、2、3または4つの原子を有することができる。任意の位置で任意の変数が1回を超えて生じるとき、各発生に対するその定義は、他のすべての発生から独立する。
【0040】
本開示により想定される置換基および組合せの選択は、安定なまたは化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすもののみである。そのような選択および組合せは、当業者に明白であり、過度な実験を行うことなく決定することができる。「安定な」という用語は、本明細書において使用される場合、それらの製造、検出、ならびに一部の実施形態では、それらの回収、精製、および本明細書において開示されている目的のうち1つもしくは複数のための使用を可能とする状態に供されたときに、実質的に変化しない化合物を指す。一部の実施形態では、安定な化合物は、水分も他の化学反応性の状態もない場合、少なくとも1週間、25℃以下の温度に保たれたときに実質的に変化しないものである。化学的に実現可能な化合物は、当業者により、必要な場合、当該技術分野の関連する知識を補い、本明細書における開示を基にして、調製することのできる化合物である。
【0041】
1つのみの異性体が具体的に描写または命名されていない限り、本明細書において表される構造は、すべての立体異性(例えばエナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体(atropoisomeric)およびシス-トランス異性体)形態の構造;例えば各不斉中心についてのRおよびS配置、各不斉軸についてのRaおよびSa配置、(Z)および(E)二重結合配置、ならびにシスおよびトランス立体配座異性体を含むことも意味する。したがって、本化合物の単一の立体化学的異性体とラセミ体、ならびにエナンチオマー、ジアステレオマー、およびシス-トランス異性体(二重結合または立体配座異性体)の混合物は、本開示の範囲内にある。別段の記載がない限り、本開示の化合物のすべての互変異性形態も、本発明の範囲内にある。
【0042】
「脂肪族」または「脂肪族基」という用語は、本明細書において使用される場合、完全に飽和しているまたは1つもしくは複数の不飽和の単位を含有する、直鎖(すなわち、非分岐)または分岐の、置換または非置換の炭化水素基を意味する。別段の指示がない限り、脂肪族基は、1~20の脂肪族炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪族基は、1~10の脂肪族炭素原子を含有する。他の実施形態では、脂肪族基は、1~8つの脂肪族炭素原子を含有する。また他の実施形態では、脂肪族基は、1~6つの脂肪族炭素原子を含有する。他の実施形態では、脂肪族基は、1~4つの脂肪族炭素原子を含有し、さらに他の実施形態では、脂肪族基は、1~3つの脂肪族炭素原子を含有する。好適な脂肪族基には、限定されるものではないが、直鎖または分岐の、置換または非置換のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基が含まれる。脂肪族基の特定の例には、限定されるものではないが:メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、ビニル、sec-ブチル、tert-ブチル、ブテニル、プロパルギル、アセチレン等が挙げられる。完全に明らかなものとするために、「脂肪族鎖」という用語は、「脂肪族」または「脂肪族基」という用語と互換的に使用されてもよい。
【0043】
「アルキル」という用語は、本明細書において使用される場合、飽和した直鎖または分岐鎖の一価の炭化水素ラジカルを指す。別段の指示がない限り、アルキル基は1~20の炭素原子(例えば1~20の炭素原子、1~10の炭素原子、1~8つの炭素原子、1~6つの炭素原子、1~4つの炭素原子または1~3つの炭素原子)を含有する。アルキル基の例には、限定されるものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等が含まれる。
【0044】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの不飽和位置、すなわち、炭素-炭素、sp二重結合を有する直鎖または分岐鎖の一価の炭化水素ラジカルを指し、アルケニルラジカルには、「シス」および「トランス」配向、または代わりに「E」および「Z」配向を有するラジカルが含まれる。別段の指示がない限り、アルケニル基は2~20の炭素原子(例えば2~20の炭素原子、2~10の炭素原子、2~8つの炭素原子、2~6つの炭素原子、2~4つの炭素原子または2~3つの炭素原子)を含有する。例には、限定されるものではないが、ビニル、アリール等が含まれる。
【0045】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの不飽和位置、すなわち、炭素-炭素、sp三重結合を有する直鎖または分岐の一価炭化水素ラジカルを指す。別段の指示がない限り、アルキニル基は2~20の炭素原子(例えば2~20の炭素原子、2~10の炭素原子、2~8つの炭素原子、2~6つの炭素原子、2~4つの炭素原子または2~3つの炭素原子)を含有する。例には、限定されるものではないが、エチニル、プロピニル等が含まれる。
【0046】
「脂環式」(または「非芳香族炭素環」、「非芳香族カルボシクリル」、「非芳香族炭素環式」)という用語は、完全に飽和している、または1つもしくは複数の不飽和単位を含有するが芳香族ではなく、分子の残部に対する単一の付着点を有する環状炭化水素を指す。別段の指示がない限り、脂環式基は、単環式、二環式、三環式、縮合、スピロまたは架橋であってもよい。一実施形態では、「脂環式」という用語は、単環式のC~C12の炭化水素または二環式のC~C12の炭化水素を指す。一部の実施形態では、二環または三環系中の任意の別の環は、3~7員を有する。好適な脂環式基には、限定されるものではないが、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびシクロアルキニルが含まれる。脂肪族基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、ノルボルニル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシル等が含まれる。
【0047】
「脂環式」という用語には、ラジカルまたは付着点が非芳香族炭素環上にある限り、非芳香族炭素環が1つもしくは複数の芳香族もしくは非芳香族の炭素環もしくは複素環、またはそれらの組合せと「縮合」することができる、多環系も含まれる。
【0048】
「シクロアルキル」は、本明細書において使用される場合、完全に飽和し、分子の残部に対する単一の付着点を有する環系を指す。別段の指示がない限り、シクロアルキル基は、単環式、二環式、三環式、縮合、スピロまたは架橋であってもよい。一実施形態では、「シクロアルキル」という用語は、単環式のC~C12の飽和炭化水素または二環式のC~C12の飽和炭化水素を指す。一部の実施形態では、二環または三環系中の任意の別の環は、3~7員を有する。好適なシクロアルキル基には、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、ノルボルニル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシル等が含まれる。
【0049】
「複素環」(または「ヘテロシクリル」もしくは「複素環式」)は、本明細書において使用される場合、完全に飽和している、または1つもしくは複数の不飽和単位を含有するが芳香族ではなく、分子の残部に対する単一の付着点を有する、1つまたは複数の環員が独立して選択されたヘテロ原子である環系を指す。別段の指示がない限り、本開示を通して、複素環は「非芳香族複素環」の同義語として使用される。一部の事例では、該用語は「芳香族複素環」という句において使用されることがあり、この場合では、該用語は以下に定義されているような「ヘテロアリール基」を指す。複素環という用語は、縮合、スピロまたは架橋の複素環系も含む。別段の指示がない限り、複素環は、単環式、二環式または三環式であってもよい。一部の実施形態では、複素環は3~18の環員を有し、1つまたは複数の環員は、酸素、硫黄または窒素から独立して選択されたヘテロ原子であり、系中の各環は、3から7つの環員を含有する。他の実施形態では、複素環は、3~7つの環員(2~6つの炭素原子および1~4つのヘテロ原子)を有する単環であってもよく、または7~10の環員(4~9つの炭素原子および1~6つのヘテロ原子)を有する二環であってもよい。二環式複素環系の例には、限定されるものではないが、アダマンタニル、2-オキサ-ビシクロ[2.2.2]オクチル、1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクチルが含まれる。
【0050】
本明細書において使用される場合、「複素環」という用語には、ラジカルまたは付着点が複素環上にある限り、複素環が1つもしくは複数の芳香族もしくは非芳香族の炭素環もしくは複素環、またはそれらの組合せと縮合した、多環系も含まれる。
【0051】
複素環には、限定されるものではないが、以下の単環:2-テトラヒドロフラニル、3-テトラヒドロフラニル、2-テトラヒドロチオフェニル、3-テトラヒドロチオフェニル、2-モルホリノ、3-モルホリノ、4-モルホリノ、2-チオモルホリノ、3-チオモルホリノ、4-チオモルホリノ、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル、1-テトラヒドロピペラジニル、2-テトラヒドロピペラジニル、3-テトラヒドロピペラジニル、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、1-ピラゾリニル、3-ピラゾリニル、4-ピラゾリニル、5-ピラゾリニル、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-ピペリジニル、2-チアゾリジニル、3-チアゾリジニル、4-チアゾリジニル、1-イミダゾリジニル、2-イミダゾリジニル、4-イミダゾリジニル、5-イミダゾリジニル;ならびに以下の二環:3-1H-ベンゾイミダゾール-2-オン、3-(1-アルキル)-ベンゾイミダゾール-2-オン、インドリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾチオラン、ベンゾジチアン、および1,3-ジヒドロ-イミダゾール-2-オンが挙げられる。
【0052】
本明細書において使用される場合、単独でまたは「アラルキル」、「アラルコキシ」、「アリールオキシアルキル」におけるようなより大きな部分の一部として使用される、(「アリール環」または「アリール基」におけるような)「アリール」という用語は、系中の少なくとも1つの環が芳香族であり、分子の残部に対する単一の付着点を有する、炭素環系を指す。別段の指示がない限り、アリール基は、単環式、二環式または三環式であってもよく、6~18の環員を含有してもよい。該用語には、ラジカルまたは付着点がアリール環中にある限り、アリール環が1つもしくは複数の芳香族もしくは非芳香族の炭素環式もしくは複素環、またはそれらの組合せと縮合した、多環系も含まれる。アリール環の例には、限定されるものではないが、フェニル、ナフチル、インダニル、インデニル、テトラリン、フルオレニル、およびアントラセニルが含まれる。
【0053】
「アラルキル」という用語は、アルキレン基と置換されたアリール環を有するラジカルを指し、アルキレン基の開端は、アラルキルラジカルが化合物の別の部位に結合することを可能とする。アルキレン基は、2価、直鎖または分岐の飽和炭化水素基である。本明細書において使用される場合、「C7~12アラルキル」という用語は、組み合わされたアリール環およびアルキレン基中の炭素原子の総数が7から12であるアラルキルラジカルを意味する。「アラルキル」の例には、限定されるものではないが、C1~6アルキレン基により置換されたフェニル環、例えばベンジルおよびフェニルエチル、ならびにC1~2アルキレン基により置換されたナフチル基が含まれる。
【0054】
単独でまたは「ヘテロアラルキル」もしくは「ヘテロアリールアルコキシ」におけるようなより大きな部分の一部として使用される「ヘテロアリール」(または「ヘテロ芳香族」もしくは「ヘテロアリール基」または「芳香族複素環」)という用語は、系中の少なくとも1つの環が芳香族であり、1つまたは複数のヘテロ原子を含有し、系中の各環が3から7つの環員を含有し、分子の残部に対する単一の付着点を有する、環系を指す。別段の指示がない限り、ヘテロアリール環系は、単環式、二環式または三環式であってもよく、合計で5から14の環員を有してもよい。一実施形態では、ヘテロアリール系中のすべての環は、芳香族である。ラジカルまたは付着点がヘテロアリール環中にある限り、ヘテロアリール環が1つもしくは複数の芳香族もしくは非芳香族の炭素環式もしくは複素環、またはそれらの組合せと縮合したヘテロアリールラジカルも、この定義中に含まれる。二環式6,5ヘテロ芳香族系は、本明細書において使用される場合、例えば、第2の5員環と縮合した6員のヘテロ芳香族環であり、ラジカルまたは付着点は6員環上にある。
【0055】
ヘテロアリール環には、限定されるものではないが、以下の単環:2-フラニル、3-フラニル、N-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、N-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、ピリダジニル(例えば3-ピリダジニル)、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、テトラゾリル(例えば5-テトラゾリル)、トリアゾリル(例えば2-トリアゾリルおよび5-トリアゾリル)、2-チエニル、3-チエニル、ピラゾリル(例えば2-ピラゾリル)、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、ピラジニル、1,3,5-トリアジニル、ならびに以下の二環:ベンゾイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾピラジニル、ベンゾピラノニル、インドリル(例えば2-インドリル)、プリニル、キノリニル(例えば2-キノリニル、3-キノリニル、4-キノリニル)、およびイソキノリニル(例えば1-イソキノリニル、3-イソキノリニル、または4-イソキノリニル)が挙げられる。
【0056】
本明細書において使用される場合、「シクロ」(または「環式」もしくは「環式部分」)は、その各々が前に定義された、脂環式、複素環式、アリールまたはヘテロアリールを含む単環系、二環系、および三環系を包含する。
【0057】
「縮合した」二環系は、2つの接している環原子を共有する2つの環を含む。
【0058】
「架橋した」二環系は、3つまたは4つの隣接する環原子を共有する2つの環を含む。本明細書において使用される場合、「架橋」という用語は、分子の異なる2つの部位に接続する原子または原子鎖を指す。架橋を通して接続した2つの原子(常にではないが通常、2つの第3級炭素原子)は、「橋頭」と称される。架橋に加えて、2つの橋頭は、少なくとも2つの別の原子または原子鎖により接続する。架橋した二環系の例には、限定されるものではないが、アダマンタニル、ノルボルナニル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[3.2.3]ノニル、2-オキサ-ビシクロ[2.2.2]オクチル、1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクチル、3-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、および2,6-ジオキサ-トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニルが含まれる。「スピロ」二環系は、2つの環の間で1つの環原子(通常、第4級炭素原子)のみを共有する。
【0059】
「環原子」という用語は、芳香族環、脂環式環、複素環またはヘテロアリール環の環の部位である、C、N、OまたはSのような原子を指す。「置換可能な環原子」は、少なくとも1つの水素原子と結合した環炭素または窒素原子である。水素は、任意選択で好適な置換基により置き換えることができる。よって、「置換可能な環原子」という用語は、2つの環が縮合しているときに共有される環窒素または炭素原子を含まない。加えて、「置換可能な環原子」は、構造が、水素以外の1つまたは複数の部分に既に付着し、置換のために利用可能な水素がないことを表すとき、環炭素または窒素原子を含まない。
【0060】
「ヘテロ原子」は、酸素、硫黄、窒素、リンまたはケイ素のうちの1つまたは複数を指し、窒素、硫黄、リンもしくはケイ素の任意の酸化形態、任意の塩基性窒素の第4級形態、または複素環もしくはヘテロアリール環の置換可能な窒素、例えば(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルにおけるような)N、(ピロリジニルにおけるような)NHもしくは(N-置換ピロリジニルにおけるような)NRを含む。
【0061】
本明細書において使用される場合、「アルコキシ」または「アルキルチオ」という用語は、分子、または他の鎖もしくは環に、酸素(「アルコキシ」、すなわち-O-アルキル)または硫黄(「アルキルチオ」、すなわち-S-アルキル)原子を通して付着している、前に定義されたようなアルキル基を指す。
【0062】
本明細書において使用される場合、「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0063】
「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロ脂肪族」および「ハロアルコキシ」という用語は、場合によって、1つまたは複数のハロゲン原子と置換されている、アルキル、アルケニル、脂肪族またはアルコキシを意味する。例えばC1~3ハロアルキルは-CFHCHCHFであり得、C1~2ハロアルコキシは-OC(Br)HCHFであり得る。この用語は、過フッ素化アルキル基、例えば-CFおよび-CFCFを含む。
【0064】
本明細書において使用される場合、「シアノ」という用語は、-CNまたは-C≡Nを指す。
【0065】
「シアノアルキル」、「シアノアルケニル」、「シアノ脂肪族」および「シアノアルコキシ」という用語は、場合によって、1つまたは複数のシアノ基と置換されている、アルキル、アルケニル、脂肪族またはアルコキシを意味する。例えば、C1~3シアノアルキルは-C(CN)CHCHであり得、C1~2シアノアルケニルは=CHC(CN)Hであり得る。
【0066】
本明細書において使用される場合、「オキソ」は=Oを指し、オキソは、常にではないが通常、炭素原子と付着する(例えば、オキソは硫黄原子とも付着することができる)。脂肪族鎖は、任意選択でカルボニル基が挿入されることがあり、または任意選択でオキソ基により置換されることがあり、両方の式は同じもの:例えば-CH-C(O)-CHを指す。
【0067】
上記の方法、使用および医薬組成物の一部の実施形態では、sGC刺激剤は、特許出願公開
WO2013101830(例えば化合物1から122のいずれか1つ)、WO2012064559(例えば化合物I-1からI-68のいずれか1つ)、WO2012003405(例えば化合物I-1からI-312のいずれか1つ)、WO2011115804(例えば化合物I-1からI-63のいずれか1つ)、WO2014047111(例えば化合物I-1からI-5のいずれか1つ)、WO2014047325(例えば化合物I-1からI-10のいずれか1つ);WO2014144100(例えば化合物I-1からI-634のいずれか1つ);WO2015089182(例えば化合物I-1からI-72のいずれか1つ)、WO2016044447(例えば化合物1から217のいずれか1つ)、WO2016044446(例えば化合物I-1からI-94のいずれか1つ)、WO2016044445(例えば化合物I-1からI-39のいずれか1つ)、WO2016044441(例えば化合物I-1からI-20のいずれか1つ)、WO2018/009596(例えば化合物I-1からI-5のいずれか1つ)、WO2018045276(例えば化合物I-1からI-72のいずれか1つ)、WO2018/089328(例えば化合物I-1からI-16のいずれか1つ)、WO2018/089330(例えば化合物I-1からI-135のいずれか1つ)、WO2019/126354(例えば化合物I-1からI-16のいずれか1つ)
において記載されているものから選択されるもの、またはそれらの薬学的に許容される塩である。
【0068】
上記の方法、使用および医薬組成物の他の実施形態では、sGC刺激剤は、以下の公開:
WO2012165399およびWO2014084312
のうち1つまたは複数において記載されている化合物である。
【0069】
上記の方法、使用および医薬組成物の他の実施形態では、sGC刺激剤は、以下の公開:
WO9816507、WO9823619、WO9816223、WO2003004503、WO2003095451、WO2004009589、WO2004009590、WO2007124854、WO2008031513、WO2007128454、WO2008061657、WO2010078900、WO2010079120、WO2011147809、WO2011147810、WO2013104598、WO2012004259、WO2012059549、WO2012143510、WO2012004258、WO2012152629、WO2012152630、WO2012010577、WO2012028647、WO2013104597、WO2013131923、WO2013104703、WO2013004785、WO2013030288、WO2014068095、WO2014068099、WO2009025888、WO2014068104、WO2014131741、WO2014131760、WO2011064156、WO2011073118、WO1998023619、WO2000006567、WO2000006569、WO2000021954、WO2000066582、WO2001083490、WO2001083490、WO2002042300、WO2002042301、WO2002042302、WO2002092596、WO2003097063、WO2004031186、WO2004031187、WO2014195333、WO2015018814、WO2015082411、WO2015124544、WO0006568、WO2001017998、WO2001047494、WO2002036120、WO2011064171、WO2014128109、WO2012010578、WO2013076168、WO2015124544、WO2015150366、WO2015150364、WO2015150363、WO2015150362、WO2015140199、WO2015150350、およびWO2015140254のうち1つまたは複数において記載されている化合物である。
【0070】
上記の方法、使用および医薬組成物の他の実施形態では、sGC刺激剤は、以下の公開:
WO2009032249、WO2015088885、WO2015088886、WO2010065275、WO2009094242、WO2010099054、WO2010065275、WO2011119518、WO2011149921、およびWO2012058132
のうち1つまたは複数において記載されている化合物である。
【0071】
上記の方法、使用および医薬組成物の他の実施形態では、sGC刺激剤は、WO2013086935において記載されている化合物である。
【0072】
上記の方法、使用および医薬組成物の一部のさらなる実施形態では、sGC刺激剤は、以下の公開:WO2000006568、WO2001017998、WO2001047494およびWO2002036120のうち1つまたは複数において記載されている化合物である。
【0073】
上記の方法、使用および医薬組成物の一部のさらなる実施形態では、sGC刺激剤は、以下の公開:US20110131411、WO2011064156およびWO2011073118のうち1つまたは複数において記載されている化合物である。
【0074】
上記の方法、使用および医薬組成物の一部のさらなる実施形態では、sGC刺激剤は、以下の公開:US20140315926、WO2013076168 WO2003095451、WO2011064171、WO2013086935およびWO2014128109のうち1つまたは複数において記載されている化合物である。
【0075】
上記の方法、使用および医薬組成物の一部のさらなる実施形態では、sGC刺激剤は、以下の公開:WO2011147809、WO2011147810 WO2012010578、WO2012059549およびWO2013076168のうち1つまたは複数において記載されている化合物である。
【0076】
上記の方法、使用および医薬組成物の一部の実施形態では、sGC刺激剤は、式IAの化合物、またはその薬学的に許容される塩である
【0077】
【化1】
(式中、
Xは、N、CH、C(C1~4アルキル)、C(C1~4ハロアルキル)、CClおよびCFから選択され;
環Bは、フェニル、もしくは1もしくは2つの環窒素原子を含有する6員ヘテロアリール環であり、または環Bはチオフェンであり;
nは、0もしくは1から3から選択される整数であり;
各Jは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6脂肪族、-ORまたはC3~8脂環式環であり;前記C1~6脂肪族の各々および前記C3~8脂環式基の各々は、任意選択で最大3事例のハロゲンと置換されており;
各Rは、独立して、水素、C1~6脂肪族またはC3~8脂環式環であり;C1~6脂肪族である前記Rの各々およびC3~8脂環式環である前記Rの各々は、任意選択で最大3事例のハロゲンと置換されており;
は、水素、ハロゲン、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたは-NRであり、RおよびRは、各々独立して、水素、C1~6アルキルもしくは3~6シクロアルキル環から選択され;
は、水素、ハロゲン、-CN、-CF、メトキシ、トリフルオロメトキシ、ニトロ、アミノまたはメチルであり;
およびRは、それらが付着している窒素原子と一緒になって、4から8員の複素環もしくは5もしくは6員のヘテロアリール環を形成し;前記4から8員の複素環もしくは前記5もしくは6員のヘテロアリール環は、任意選択で、RおよびRが付着している窒素原子に加えて、N、OもしくはSから独立して選択される最大3事例の環ヘテロ原子を含有し、任意選択で最大5事例のRにより置換されており;または
代わりに、RおよびRは、各々独立して、水素、C1~6アルキル、C3~8シクロアルキル環、4から8員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリールおよびC1~6アルキル-Rからなる群から選択され;前記4から8員の複素環の各々および前記5もしくは6員のヘテロアリール環の各々は、N、OおよびSから独立して選択される最大3つの環ヘテロ原子を含有し;前記C1~6アルキルの各々、前記C3~8シクロアルキル環の各々、前記4から8員の複素環基の各々、前記5もしくは6員のヘテロアリールの各々および前記C1~6アルキル-Rの各々の前記C1~6アルキル部分の各々は、任意選択でおよび独立して、最大5事例のR5aで置換されているが;RおよびRが同時に水素でないことを条件とし;XがCH、C(C1~4アルキル)、C(C1~4ハロアルキル)、CClもしくはCFのうちの1つであるときにRおよびRのどちらもピリジンもしくはピリミジンでないことを条件とし(provided than);または
代わりに、JおよびRまたはRのうちの1つは、O、NおよびSから選択される最大2つのヘテロ原子を含有し、任意選択で最大3事例のオキソもしくは-(Y)-Rで置換されている5~6員の複素環を形成することができ;
Yは、非存在または任意選択で最大6事例のフルオロにより置換されているC1~6アルキル鎖の形態中の連結のいずれかであり;
各Rは、独立して、水素、フルオロ、-CN、-OR10、-SR10、-COR10、-OC(O)R10、-C(O)OR10、-C(O)N(R10、-C(O)N(R10)SO10、-N(R10)C(O)R10、-N(R10)C(O)OR10、-N(R10)C(O)N(R10、-N(R10、-SO10、-SON(R10、-SON(R10)COOR10、-SON(R10)C(O)R10、-N(R10)SO10、-(C=O)NHOR10、C3~6シクロアルキル環、4~8員の複素環および5~6員のヘテロアリール環からなる群から選択され;各前記4から8員の複素環および各前記5から6員のヘテロ芳香族環は、N、OもしくはSから独立して選択される最大4つの環へテロ原子を含有し;各前記C3~6シクロアルキル環、各前記4から8員の複素環および各前記5から6員のヘテロ芳香族環は、任意選択で最大3事例のR11と置換されており;
各R11は、独立して、ハロゲン、C1~6アルキル、-CN、-OR12、-SR12、-COR12、-OC(O)R12、-C(O)OR12、-C(O)N(R12、-C(O)N(R12)SO12、-N(R12)C(O)R12、-N(R12)C(O)OR12、-N(R12)C(O)N(R12、-N(R12、-SO12、-SON(R12、-SON(R12)COOR12、-SON(R12)C(O)R12、-N(R12)SO12および-N=OR12からなる群から選択され;前記C1~6アルキルの各々は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のフルオロ、-OH、-O(C1~4アルキル)、フェニルもしくは-O(C1~4フルオロアルキル)により置換されており
各R10は、独立して、水素、C1~6アルキル、フェニル、ベンジル、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環および5もしくは6員のヘテロアリール環からなる群から選択され、各5もしくは6員のヘテロアリール環および各前記4から7員の複素環は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環へテロ原子を含有し;前記C1~6アルキルの各々、各前記フェニル、各前記ベンジル、各前記C3~8シクロアルキル基、各前記4から7員の複素環および各5もしくは6員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のハロゲン、C1~4アルキル、C1~4(フルオロアルキル)、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4フルオロアルキル)もしくはオキソで置換されており;ならびに
各R12は、独立して、水素、C1~6アルキル、フェニル、ベンジル、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環および5もしくは6員のヘテロアリール環からなる群から選択され、各5もしくは6員のヘテロアリール環および各前記4から7員の複素環は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環へテロ原子を含有し;前記C1~6アルキルの各々、各前記フェニル、各前記ベンジル、各前記C3~8シクロアルキル基、各前記4から7員の複素環および各5もしくは6員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のハロゲン、C1~4アルキル、C1~4(フルオロアルキル)、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4フルオロアルキル)もしくはオキソと置換されており;
は、C3~8シクロアルキル環、4から8員の複素環、フェニル、および5から6員のヘテロ芳香族環からなる群から選択され;前記4から8員の複素環の各々および前記5から6員のヘテロ芳香族環の各々は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環へテロ原子を含有し;前記C3~8シクロアルキル環の各々、前記4から8員の複素環の各々、前記フェニルの各々、および前記5から6員のヘテロ芳香族環の各々は、任意選択で最大5事例のRcと置換されており;
各R5cは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、-OR6b、-SR6b、-COR6b、-OC(O)R6b、-C(O)OR6b、-C(O)N(R6b、-C(O)N(R6b)SO6b、-N(R6b)C(O)R6b、-N(R6b)C(O)OR6b、-N(R6b)C(O)N(R6b、-N(R6b、-SO6b、-SON(R6b、-SON(R6b)COOR6b、-SON(R6b)C(O)R6b、-N(R6b)SO6b、-(C=O)NHOR6b、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環、フェニル、ベンジル、オキソ基、および二環式基からなる群から選択され;前記5もしくは6員のヘテロアリール環の各々および前記4から7員の複素環の各々は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環ヘテロ原子を含有し;前記C1~6アルキルの各々、前記C3~8シクロアルキル環の各々、前記4から7員の複素環の各々、前記5もしくは6員のヘテロアリール環の各々、前記ベンジルの各々および前記フェニル基の各々は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のハロゲン、C1~4アルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)もしくはオキソで置換されており;前記二環式基は、縮合もしくは架橋関係の第1の環および第2の環を含有し、前記第1の環は4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環、フェニルもしくはベンジルであり、前記第2の環はフェニル環もしくはN、OおよびSから選択される最大3つの環ヘテロ原子を含有する5もしくは6員のヘテロアリール環であり;前記二環式基は、任意選択でおよび独立して、最大6事例のハロゲン、C1~4アルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)もしくはオキソにより置換されており;
各R6bは、独立して、水素、C1~6アルキル、フェニル、ベンジル、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環および5もしくは6員のヘテロアリール環からなる群から選択され、各5もしくは6員のヘテロアリール環および前記4から7員の複素環の各々は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環へテロ原子を含有し;前記C1~6アルキルの各々、各前記フェニル、各前記ベンジル、各前記C3~8シクロアルキル基、各前記4から7員の複素環および各5もしくは6員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のハロゲン、C1~4アルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)もしくはオキソと置換されており;または
の同じもしくは異なる環原子に付着している2事例のR5cは、前記環原子(複数可)と一緒になって、2つの環がスピロ、縮合もしくは架橋関係である二環系をもたらすC3~8シクロアルキル環、4から6員の複素環;フェニルもしくは5もしくは6員のヘテロアリール環を形成してもよく、前記4から6員の複素環もしくは前記5もしくは6員のヘテロアリール環は、N、OおよびSから独立して選択される最大3つのヘテロ原子を含有し;前記C3~8シクロアルキル環、4から6員の複素環、フェニルもしくは5もしくは6員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のC1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルコキシ、オキソ、-C(O)O(C1~4アルキル)、-C(O)OH、-NR”(CO)CO(C1~4アルキル)、-OHもしくはハロゲンにより置換されており;R”は、水素もしくはC1~2アルキルであり;
各R5aは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、-OR6a、-SR6a、-COR6a、-OC(O)R6a、-C(O)OR6a、-C(O)N(R6a、-C(O)N(R6a)SO6a、-N(R6a)C(O)R6a、-N(R6a)C(O)OR6a、-N(R6a)C(O)N(R6a、-N(R6a、-SO6a、-SON(R6a、-SON(R6a)COOR6a、-SON(R6a)C(O)R6a、-N(R6a)SO6a、-(C=O)NHOR6a、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環、フェニル、ベンジル、オキソ基および二環式基からなる群から選択され;各5もしくは6員のヘテロアリール環および前記4から7員の複素環の各々は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環へテロ原子を含有し、前記C1~6アルキル、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環、ベンジルもしくはフェニル基の各々は、任意選択でおよび独立して最大3事例のハロゲン、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)もしくはオキソと置換されており;前記二環式基は縮合もしくは架橋関係で環1および環2を含有し、前記環1は、4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環、フェニルもしくはベンジルであり、前記環2は、フェニル環もしくはN、OおよびSから選択される最大3つの環ヘテロ原子を含有する5もしくは6員のヘテロアリール環であり;前記二環式基は、任意選択でおよび独立して最大6事例のハロゲン、C1~4アルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)もしくはオキソにより置換されており;
各R6aは、独立して、水素、C1~6アルキル、フェニル、ベンジル、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環および5もしくは6員のヘテロアリール環からなる群から選択され、前記C1~6アルキルの各々、前記フェニルの各々、前記ベンジルの各々、前記C3~8シクロアルキル基の各々、前記4から7員の複素環の各々および前記5もしくは6員のヘテロアリール環の各々は、任意選択でおよび独立して最大3事例のハロゲン、C1~4アルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-C(O)NH、-C(O)N(C1~6アルキル)、-C(O)NH(C1~6アルキル)、-C(O)N(C1~6ハロアルキル)、-C(O)NH(C1~6ハロアルキル)、C(O)N(C1~6アルキル)(C1~6ハロアルキル)、-COO(C1~6アルキル)、-COO(C1~6ハロアルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)もしくはオキソと置換されており、前記5もしくは6員のヘテロアリール環もしくは4から7員の複素環の各々は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環へテロ原子を含有し;または
もしくはRのうちの1つが、C3~8シクロアルキル環、4から8員の複素環もしくは最大5事例のR5aと置換されている5もしくは6員のヘテロアリールであるとき、前記RもしくはRの同じもしくは異なる環原子に付着しているR5aの2事例は、前記原子(複数可)と一緒になって、任意選択で、2つの環がスピロ、縮合もしくは架橋関係である二環系をもたらすC3~8シクロアルキル環、4から6員の複素環、フェニルもしくは5もしくは6員の複素環を形成してもよく、前記4から6員の複素環もしくは前記5もしくは6員の複素環は、N、OおよびSから独立して選択される最大2つの環ヘテロ原子を含有し;前記C3~8シクロアルキル環、4から6員の複素環、フェニルもしくは5もしくは6員の複素環は、任意選択で最大2事例のC1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、オキソ、-(CO)CO(C1~4アルキル)、-NR’(CO)CO(C1~4アルキル)もしくはハロゲンにより置換されており;R’は、水素もしくはC1~2アルキルであり;
各Rは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、-OR、-SR、-COR、-OC(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-C(O)N(R)SO、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)N(R、-N(R、-SO、-SON(R、-SON(R)COOR、-SON(R)C(O)R、-N(R)SO、-(C=O)NHOR、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環、フェニル、ベンジル、オキソ基および二環式基からなる群から選択され;前記5もしくは6員のヘテロアリール環もしくは4から7員の複素環の各々は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環へテロ原子を含有し;前記C1~6アルキルの各々、前記C3~8シクロアルキル環の各々、前記4から7員の複素環の各々、前記5もしくは6員のヘテロアリール環の各々、各前記ベンジルもしくは各前記フェニル基は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のハロゲン、C1~4アルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)もしくはオキソと置換されており;前記二環式基は、縮合もしくは架橋関係で環1および環2を含有し、前記環1は、4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環、フェニルもしくはベンジルであり、前記環2は、フェニル環もしくはN、OおよびSから選択される最大3つの環ヘテロ原子を含有する5もしくは6員のヘテロアリール環であり;前記二環式基は、任意選択でおよび独立して最大6事例のハロゲン、C1~4アルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)もしくはオキソにより置換されており;
各Rは、独立して、水素、C1~6アルキル、フェニル、ベンジル、C3~8シクロアルキル環もしくは4から7員の複素環、および5もしくは6員のヘテロアリール環からなる群から選択され;前記5もしくは6員のヘテロアリール環の各々および前記4から7員の複素環の各々は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環へテロ原子を含有し;前記C1~6アルキルの各々、前記フェニルの各々、前記ベンジルの各々、前記C3~8シクロアルキル基の各々、前記4から7員の複素環の各々および前記5もしくは6員のヘテロアリール環の各々は、任意選択でおよび独立して最大3事例のハロゲン、C1~4アルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)もしくはオキソと置換されており;または
窒素原子に付着しているRおよびRが4から8員の複素環もしくは最大5事例のRと置換されている5もしくは6員のヘテロアリール環を形成するとき、前記環の同じもしくは異なる原子に付着しているRの事例の2つは、前記原子(複数可)と一緒になって、任意選択で、二環系の2つの環がスピロ、縮合もしくは架橋関係である二環系をもたらすC3~8シクロアルキル環、4から6員の複素環;フェニルもしくは5もしくは6員のヘテロアリール環を形成してもよく、前記4から6員の複素環もしくは前記5もしくは6員のヘテロアリール環はN、OおよびSから独立して選択される最大3つの環ヘテロ原子を含有し;前記C3~8シクロアルキル環、前記4から6員の複素環、前記フェニルもしくは前記5もしくは6員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して最大3事例のC1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルコキシ、オキソ、-C(O)O(C1~4アルキル)、-C(O)OH、-NR(CO)CO(C1~4アルキル)、-OHもしくはハロゲンにより置換されており;Rは、水素もしくはC1~2アルキルであり;
pは、0、1または2から選択される整数であり;
環Cは、N、OまたはSから選択される最大4つの環ヘテロ原子を含有する単環式の5員のヘテロアリール環であり;前記単環式の5員のヘテロアリール環は、1、3,5-トリアジニル環ではなく;
各Jは、独立して、ハロゲンまたは任意選択でおよび独立して最大3事例のC1~4アルコキシ、C1~4ハロアルコキシ、オキソ、-C(O)O(C1~4アルキル)、-C(O)OH、-NR(CO)CO(C1~4アルキル)、-OHもしくはハロゲンにより置換されているC1~4脂肪族である)。
【0078】
上記の方法、使用および組成物の他の実施形態では、sGC刺激剤は、式IBを有する化合物、またはその薬学的に許容される塩である
【0079】
【化2】
(式中、Jは、水素またはハロゲンであり;Jは、ハロゲンであり、および
およびRは、それらが付着している窒素原子と一緒になって、4から8員の複素環または5員のヘテロアリール環を形成し;前記4から8員の複素環または前記5員のヘテロアリール環は、任意選択で、RおよびRが付着している窒素原子に加えて、N、OおよびSから独立して選択される最大3つの環ヘテロ原子を含有し、任意選択で最大5事例のR5eにより置換されており;
各R5eは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、-(C1~4アルキル)-R、C3~8シクロアルキル環、C1~4シアノアルキル、-OR、-SR、-OCOR、-COR、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)R、-N(R、-SO、-SOOH、-SONHOH、-SON(R)COR、-SON(R、-N(R)SO、ベンジル、フェニルおよびオキソ基からなる群から選択され;各前記フェニル環および各前記ベンジル基は、任意選択でおよび独立して最大3事例のハロゲン、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、-O(C1~4アルキル)または-O(C1~4ハロアルキル)と置換されており;各前記C1~6アルキル、前記-(C1~4アルキル)-R部分の各C1~4アルキル部分、および各前記C3~8シクロアルキル環は、任意選択でおよび独立して最大3事例のハロゲンと置換されており;
各Rは、独立して、水素、C1~6アルキル、C2-4アルケニル、フェニル、ベンジル、およびC3~8シクロアルキル環からなる群から選択され;各前記C1~6アルキル、各前記C2~4アルケニル、各前記フェニル、各前記ベンジルおよび各前記C3~8シクロアルキル基は、任意選択でおよび独立して最大3事例のハロゲンと置換されており;
、R、ならびにRおよびRが付着している窒素により形成された前記環の同じまたは異なる原子に付着しているR5eの事例の2つは、前記原子(複数可)と一緒になって、任意選択で二環系の2つの環がスピロ、縮合または架橋関係である二環系をもたらすC3~8シクロアルキル環、4から6員の複素環;フェニルまたは5もしくは6員のヘテロアリール環を形成してもよく、前記4から6員の複素環または前記5もしくは6員のヘテロアリール環は、N、OおよびSから独立して選択される最大3つの環ヘテロ原子を含有し;前記C3~8シクロアルキル環、4から6員の複素環、フェニルまたは5もしくは6員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して最大3事例のC1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルコキシ、オキソ、-C(O)O(C1~4アルキル)、-C(O)OH、-C(O)NH、-NR(CO)O(C1~4アルキル)、-OHまたはハロゲンと置換されており;Rは、水素またはC1~2アルキルであり;
代わりに、RおよびRは、各々独立して、水素、C1~6アルキル、C3~8シクロアルキル環、4から10員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール、フェニルおよびC1~6アルキル-Rからなる群から選択され;前記4から10員の複素環の各々および前記5もしくは6員のヘテロアリール環の各々は、N、OおよびSから独立して選択される最大3つの環ヘテロ原子を含有し;前記C1~6アルキルの各々、各前記C1~6アルキル-R部分の前記C1~6アルキル部分の各々、前記C3~8シクロアルキル環の各々、前記4から10員の複素環基の各々、前記5もしくは6員のヘテロアリールの各々、前記フェニルの各々は、任意選択でおよび独立して最大5事例のR5fと置換されているが;RまたはRのどちらもピリジンまたはピリミジンではないことを条件とし;
は、C3~8シクロアルキル環、4から8員の複素環、フェニル、または5から6員のヘテロアリール環であり;前記4から8員の複素環の各々および前記5から6員のヘテロ芳香族環の各々は、N、OまたはSから独立して選択される1から4つの環ヘテロ原子を含有し;前記C3~8シクロアルキル環の各々、前記4から8員の複素環の各々、前記フェニルの各々、および前記5から6員のヘテロアリール環の各々は、任意選択で最大5事例のR5gと置換されており;
各R5fは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、-(C1~4アルキル)-R6a、C7-12アラルキル、C3~8シクロアルキル環、C1~4シアノアルキル、-OR6a、-SR6a、-OCOR6a、-COR6a、-C(O)OR6a、-C(O)N(R6a、-N(R6a)C(O)R6a、-N(R6a、-SO6a、-SON(R6a、-N(R6a)SO6a、-SOOH、-SONHOH、-SON(R6a)COR6a、フェニルおよびオキソ基からなる群から選択され;各前記フェニル基は、任意選択でおよび独立して最大3事例のハロゲン、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-NO、-CN、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、-O(C1~4アルキル)または-O(C1~4ハロアルキル)と置換されており;各前記C7~12アラルキル、各前記C1~6アルキル、各前記-(C1~4アルキル)-R6aの各前記C1~4アルキル部分および各前記C3~8シクロアルキル基は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のハロゲンと置換されており;
各R6aは、独立して、水素、C1~6アルキル、C2~4アルケニル、フェニル、ベンジル、またはC3~8シクロアルキル環であり;各前記C1~6アルキル、各前記C2~4アルケニル、各前記フェニル、各前記ベンジルおよび各前記C3~8シクロアルキル基は、任意選択でおよび独立して最大3事例のハロゲンと置換されており;
またはRのうちの1つが、C3~8シクロアルキル環、4から8員の複素環または最大5事例のR5fと置換されている5もしくは6員のヘテロアリールであるとき、前記RまたはRの同じまたは異なる環原子に付着しているR5fの事例の2つは、前記原子(複数可)と一緒になって、2つの環がスピロ、縮合または架橋関係である二環系をもたらすC3~8シクロアルキル環、4から6員の複素環、フェニルまたは5もしくは6員の複素環を形成し、前記4から6員の複素環または前記5もしくは6員の複素環は、N、OおよびSから独立して選択される最大2つの環ヘテロ原子を含有し;前記C3~8シクロアルキル環、4から6員の複素環、フェニルまたは5もしくは6員の複素環は、任意選択で最大2事例のC1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、オキソ、-(CO)O(C1~4アルキル)、-NR’(CO)O(C1~4アルキル)またはハロゲンにより置換されており;R’は、水素またはC1~2アルキルであり;
各R5gは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、-(C1~4アルキル)-R6b、ベンジル、C3~8シクロアルキル環、C1~4シアノアルキル、-OR6b、-SR6b、-OCOR6b、-COR6b、-C(O)OR6b、-C(O)N(R6b、-N(R6b)C(O)R6b、-N(R6b、-SO6b、-SON(R6b、-N(R6b)SO6b、-SOOH、-SONHOH、-SON(R6b)COR6b、フェニルおよびオキソ基からなる群から選択され;各前記フェニルおよび各前記ベンジル基は、任意選択でおよび独立して最大3事例のハロゲン、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-NO、-CN、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、-O(C1~4アルキル)または-O(C1~4ハロアルキル)と置換されており;各前記C1~6アルキル、各前記(C1~4アルキル)-R6b部分のC1~4アルキル部分および各前記C3~8シクロアルキル基は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のハロゲンと置換されており;
各R6bは、独立して、水素、C1~6アルキル、C2~4アルケニル、フェニル、ベンジル、およびC3~8シクロアルキル環からなる群から選択され;各前記C1~6アルキル、各前記C2~4アルケニル、各前記フェニル、各前記ベンジルおよび各前記C3~8シクロアルキル基は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のハロゲンと置換されており;
代わりに、Rの同じまたは異なる環原子に付着しているR5gの2事例は、前記環原子(複数可)と一緒になって、2つの環がスピロ、縮合または架橋関係である二環系をもたらすC3~8シクロアルキル環、4から6員の複素環;フェニルまたは5もしくは6員のヘテロアリール環を形成し、前記4から6員の複素環または前記5もしくは6員のヘテロアリール環は、N、OおよびSから独立して選択される最大3つのヘテロ原子を含有し;前記C3~8シクロアルキル環、4から6員の複素環、フェニルまたは5もしくは6員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のC1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルコキシ、オキソ、-C(O)O(C1~4アルキル)、-C(O)OH、-C(O)NH、-NR”(CO)O(C1~4アルキル)、-OHまたはハロゲンにより置換されており;ならびに
R”は、水素またはC1~2アルキルである)。
【0080】
上記の方法、使用および組成物の一部の実施形態では、sGC刺激剤は、式ICの化合物、またはその薬学的に許容される塩である:
【0081】
【化3】
(式中、Jはハロゲンであり;
は、水素またはC1~6アルキルであり;
は、任意選択でまたは独立して、最大3事例のR5aにより置換されているC1~6アルキル基であり、R5aは、式IAの説明の一部として前の段落において定義されている)。
【0082】
上記の方法、使用および組成物の一部の実施形態では、sGC刺激剤は、以下の式の化合物:
【0083】
【化4】
またはその薬学的に許容される塩であり、変数は式ICについて定義されているとおりである。
【0084】
一部の実施形態では、式IC、式IC-a、または式IC-bの化合物について、Rは水素である。
【0085】
一部の実施形態では、式IC、式IC-a、または式IC-bの化合物について、R5aは、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、-OH、または-C(=O)NHである。一部の実施形態では、式IC、式IC-a、または式IC-bの化合物について、R5aは、メチル、CF、-OHまたは-C(=O)NHである。
【0086】
上記の方法、使用および組成物の一部の実施形態では、sGC刺激剤は、以下に表すものから選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【0087】
【化5-1】
【0088】
【化5-2】
上記の方法、使用および組成物の一部の実施形態では、sGC刺激剤は、以下の式の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩である:
【0089】
【化6】
(式中、
Yは、独立して、NまたはCであり;
環Bは、フェニル、またはN、OもしくはSから独立して選択される1もしくは2つの環ヘテロ原子を含有する5もしくは6員ヘテロアリール環であり;
nは、0から3から選択される整数であり;各Jは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6脂肪族、-ORまたはC3~8脂環式環であり;
1~6脂肪族である各JおよびC3~8脂環式環である各Jは、任意選択でおよび独立して最大3事例のRと置換されており;
各Rは、独立して、水素、C1~6脂肪族またはC3~8脂環式環であり;前記Rは、任意選択でおよび独立して、最大3事例のR3aと置換されており;
各RおよびR3aは、各事例において、独立して、ハロゲン、-CN、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、-O(C1~4アルキル)または-O(C1~4ハロアルキル)であり;
Zは、水素、-P(O)(OH)、-P(O)(OH)O
-P(O)(O(M、-P(O)(O2+および-P(O)(O-ベンジル)からなる群から選択され;Mは、薬学的に許容される一価カチオンであり、D2+は、薬学的に許容される二価カチオンであり;
mは、0または1であり;
は、C1~4アルキル、C1~4フルオロアルキル、-C(O)NHまたは水素であり;ならびに
は、C1~4アルキル、C1~4フルオロアルキルまたは水素であり;
の両方の事例は同時に水素であり、またはRの両方の事例は、それが付着している炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成し;
は、水素、ハロゲン、メトキシまたは-CNであり
pは、1、2または3であり;ならびに
各Jは、独立して、水素、ハロゲン、C1~4脂肪族、C1~4アルコキシまたは-CNであり;各前記C1~4脂肪族および各前記C1~4アルコキシは、任意選択でおよび独立して、最大3事例のC1~4アルコキシ、C1~4ハロアルコキシ、-OHまたはハロゲンにより置換されている)。
【0090】
上記の方法、使用および組成物の一部の実施形態では、sGC刺激剤は、式IIAの化合物、またはその薬学的に許容される塩である:
【0091】
【化7】
式IIAについて、すべての変数の定義は、式IIについて提示されているものと同じである。
【0092】
上記の方法、使用および組成物の一部の実施形態では、sGC刺激剤は、式IIIA、式IIIB、式IVA、式IVB、式VA、式VB、式VIA、もしくは式VIBの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩である:
【0093】
【化8】
(式中、変数の定義は、式IIについて記載されているものと同じである)。
【0094】
上記の方法、使用および組成物の一部の実施形態では、sGC刺激剤は、式IIの化合物であり、以下の表に列挙したものから選択される。
【0095】
【化9-1】
【0096】
【化9-2】
上記の方法、使用および組成物の一部の実施形態では、sGC刺激剤は、以下の式の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩である:
【0097】
【化10】
(式中、
Xは、-P(O)(OH)、-P(O)(OH)O、-P(O)(O(Mまたは-P(O)(O2+から選択され;M+は、薬学的に許容される一価カチオンであり、D2+は、薬学的に許容される二価カチオンであり;
各Jは、ハロゲンから独立して選択され;
mは、0または1から選択され;
nは、0、1、2、3または4から選択され;
は、C1~4アルキル、C1~4フルオロアルキル、-C(O)NHもしくは水素から選択され;ならびに
は、C1~4アルキル、C1~4フルオロアルキルもしくは水素から選択され;または、代わりに、
およびRは、それらが付着している炭素原子と一緒になって、N、OまたはSから独立して選択される最大2つのヘテロ原子を含有する非置換のC3~7脂環式環または非置換の3から7員の複素環を形成し;
は、ハロゲン、水素、-CNまたは-NHから選択され;ならびに
の両方の事例は同時に水素であり、またはRの両方の事例は、それが付着している炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成し;ならびに
は、水素またはメチルから選択される)。
【0098】
上記の方法、使用および組成物の一部の実施形態では、sGC刺激剤は、式LAもしくはLBの化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩である:
【0099】
【化11】
(式中、RおよびRは異なり、変数の値は、式Lについて定義されているとおりである)。
【0100】
上記の方法、使用および組成物の一部の実施形態では、sGC刺激剤は、式LL、LLA、LLB、LLL、LLLA、もしくはLLLBの化合物、またはその薬学的に許容される塩であり:
【0101】
【化12】
変数の値は、式Lについて定義されているとおりである。
【0102】
上記の方法、使用および組成物の一部の実施形態では、sGC刺激剤は、式IIの化合物であり、以下の表に列挙したものから選択される。
【0103】
【化13-1】
【0104】
【化13-2】
上記の方法、使用および組成物の一部の実施形態では、sGC刺激剤は、式XZの化合物、またはその薬学的に許容される塩である:
【0105】
【化14】
(式中、
Wは、
i)非存在であり、Jは、2つのJ基を担持する炭素原子に直接接続し;各Jは、水素またはメチルから独立して選択され、nは1であり、Jは、任意選択で2から9事例のフッ素により置換されたC2~7アルキル鎖であり;任意選択で、前記C2~7アルキル鎖の1つの-CH-単位は、-O-または-S-により置き換えられていることがある。
【0106】
ii)フェニル、N、OおよびSから独立して選択される1つもしくは2つの環ヘテロ原子を含有する5または6員のヘテロアリール環、C3~7シクロアルキル環、ならびにO、NおよびSから独立して選択される最大3つのヘテロ原子を含有する4から7員の複素環化合物からなる群から選択される環B
のいずれかであり;
Wが環Bであるとき、
各Jは水素であり;
nは、0または1、2もしくは3から選択される整数であり;
各Jは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6脂肪族、-ORまたはC3~8脂環式基からなる群から選択され;各前記C1~6脂肪族および各前記C3~8脂環式基は、任意選択でおよび独立して最大3事例のRと置換されており;
各Rは、独立して、水素、C1~6脂肪族、またはC3~8脂環式環であり;C1~6脂肪族である前記Rの各々およびC3~8脂環式環である前記Rの各々は、任意選択および独立して最大3事例のR3aと置換されており;
各Rは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、-O(C1~4アルキル)または-O(C1~4ハロアルキル)であり;
各R3aは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、-O(C1~4アルキル)または-O(C1~4ハロアルキル)であり;
環D中のZは、CHまたはNであり;Zは、CまたはNであり;ZがCHである場合、ZはCでなければならず;ZがNである場合、ZはCまたはNであってもよく;
各Jは、独立して、J、-CN、-NO、-OR、-SR、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)R、-C(O)N(R、-N(R、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)N(R、-OC(O)N(R、-SO、-SON(R、-N(R)SO、-N(R)SONHR、-N(R)SONHC(O)OR、-N(R)SONHC(O)R、C1~6脂肪族、-(C1~6脂肪族)-R、C3~8脂環式環、6から10員のアリール環、4から8員の複素環および5から10員のヘテロアリール環からなる群から選択され;各前記4から8員の複素環および各前記5から10員のヘテロアリール環は、O、NおよびSから独立して選択される1から3つのヘテロ原子を含有し;各前記C1~6脂肪族、-(C1~6脂肪族)-R部分の各前記C1~6脂肪族部分、各前記C3~8脂環式環、各前記6から10員のアリール環、各前記4から8員の複素環および各前記5から10員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して最大5事例のR5dと置換されており;
は、窒素、水素、ハロゲン、オキソ、メチル、ヒドロキシル、メトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよび-NR上の孤立電子対からなる群から選択され;RおよびRは、各々独立して、水素、C1~6アルキルもしくは3~6シクロアルキル環であり;またはRおよびRは、それらが両方とも付着している窒素原子と一緒になって、4~8員の複素環、もしくは任意選択でN、OおよびSから選択される最大2つのさらなるヘテロ原子を含有する5員のヘテロアリール環を形成し;前記4~8員の複素環および5員のヘテロアリール環の各々は、任意選択でおよび独立して、最大6事例のフッ素により置換されており;
各Rは、独立して、水素、C1~6脂肪族、-(C1~6脂肪族)-R、C3~8脂環式環、4から10員の複素環、フェニルおよび5から6員のヘテロアリール環からなる群から選択され;各前記4から10員の複素環および各前記5から6員のヘテロアリール環は、O、NおよびSから独立して選択される1から3つのヘテロ原子を含有し;各前記C1~6脂肪族、-(C1~6脂肪族)-R部分の各前記C1~6脂肪族部分、各前記C3~8脂環式環、各前記4から10員の複素環、各前記フェニルおよび各前記5から6員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して最大5事例のR5aと置換されており;任意のRが、C1~6脂肪族または-(C1~6脂肪族)-R基のうちの1つであるとき、前記C1~6脂肪族鎖を形成する1つもしくは2つの-CH-単位は、任意選択で、独立して-N(R)-、-CO-または-O-である基により置き換えられていてもよく;
各Rは、独立して、水素、C1~6脂肪族、-(C1~6脂肪族)-R、C3~8脂環式環、4から8員の複素環、フェニルおよび5から6員のヘテロアリール環からなる群から選択され;各前記4から8員の複素環および各前記5から6員のヘテロアリール環は、O、NおよびSから独立して選択される1から3つのヘテロ原子を含有し;各前記C1~6脂肪族、-(C1~6脂肪族)-R部分の各前記C1~6脂肪族部分、各前記C3~8脂環式環、各前記4から8員の複素環、各前記フェニルおよび各前記5から6員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して最大5事例のR5bにより置換されており;任意のRが、C1~6脂肪族または-(C1~6脂肪族)-R基のうちの1つであるとき、前記C1~6脂肪族鎖を形成する1つもしくは2つの-CH-単位は、任意選択で、独立して-N(Rdd)-、-CO-または-O-から選択される基により置き換えられていてもよく;
各Rddは、独立して、水素、C1~6脂肪族、-(C1~6脂肪族)-R、C3~8脂環式環、4から8員の複素環、フェニルおよび5から6員のヘテロアリール環からなる群から選択され;各前記4から8員の複素環および各前記5または6員のヘテロアリール環は、O、NおよびSから独立して選択される1から3つのヘテロ原子を含有し;各前記C1~6脂肪族、-(C1~6脂肪族)-R部分の各前記C1~6脂肪族部分、各前記C3~8脂環式環、各前記4から8員の複素環、各前記フェニルおよび各前記5から6員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して最大5事例のR5bにより置換されており;
各Rは、独立して、C1~3アルキル、C3~8脂環式環、4から10員の複素環、フェニルまたは5から6員のヘテロアリール環からなる群から選択され;各前記4から10員の複素環および各前記5から6員のヘテロアリール環は、O、NおよびSから独立して選択される1から4つのヘテロ原子を含有し;各前記C3~8脂環式環、各前記4から10員の複素環、各前記フェニルおよび各前記5から6員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して最大5事例のR5cにより置換されており;
が、-C(O)N(R、-N(R、-N(R)C(O)N(R、-OC(O)N(Rまたは-SON(Rであるとき、2つのR基は、2つのR基に付着している窒素原子と一緒になって、4から8員の複素環または5員のヘテロアリール環を形成してもよく;各前記4から8員の複素環および各前記5員のヘテロアリール環は、2つのR基が付着している窒素原子に加えて、任意選択でN、OおよびSから独立して選択される最大3つのさらなるヘテロ原子を含有し;各前記4から8員の複素環および各前記5員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して最大5事例のRにより置換されており;
が-N(R)C(O)Rであるとき、R基は、R基に付着している炭素原子と一緒になって、R基に付着している窒素原子と一緒になって、およびR基と一緒になって、4から8員の複素環または5員のヘテロアリール環を形成してもよく;各前記4から8員の複素環および各前記5員のヘテロアリール環は、R基が付着している窒素原子に加えて、任意選択でN、OおよびSから独立して選択される最大2つのさらなるヘテロ原子を含有し;各前記4から8員の複素環および各前記5員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して最大5事例のRにより置換されており;
が-N(R)C(O)ORであるとき、R基は、R基に付着している酸素原子と一緒になって、-N(R)C(O)OR基の-C(O)-部分の炭素原子と一緒になって、R基に付着している窒素原子と一緒になって、および前記R基と一緒になって、4から8員の複素環を形成してもよく;前記4から8員の複素環は、任意選択で、N、OまたはSから独立して選択される最大2つのさらなるヘテロ原子を含有し、任意選択でおよび独立して最大5事例のRにより置換されており;
が-N(R)C(O)N(Rであるとき、窒素原子に付着しているR基のうちの1つは、前記窒素原子と一緒になって、およびR基に付着しているN原子および前記R基と一緒になって、4から8員の複素環を形成してもよく;前記4から8員の複素環は、任意選択で、N、OおよびSから独立して選択される最大2つのさらなるヘテロ原子を含有し、任意選択でおよび独立して最大5事例のRにより置換されており;
が-N(R)SOであるとき、R基は、R基に付着している硫黄原子と一緒になって、R基に付着している窒素原子と一緒になって、および前記R基と一緒になって、組み合わさって4から8員の複素環を形成してもよく;前記4から8員の複素環は、任意選択で、N、OおよびSから独立して選択される最大2つのさらなるヘテロ原子を含有し、任意選択でおよび独立して最大5事例のRにより置換されており;
各Rは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、-(C1~6アルキル)-R、-OR、-SR、-COR、-OC(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-C(O)N(R)SO、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)N(R、-N(R、-SO、-SOOH、-SONHOH、-SON(R、-SON(R)COOR、-SON(R)C(O)R、-N(R)SO、-(C=O)NHOR、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環、フェニル、ベンジル、オキソ基および二環式基からなる群から選択され;前記5もしくは6員のヘテロアリール環または4から7員の複素環の各々は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環へテロ原子を含有し;前記C1~6アルキル、-(C1~6アルキル)-R部分のC1~6アルキル部分、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環、ベンジルまたはフェニル基の各々は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のハロゲン、C1~4アルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-CONH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)またはオキソと置換されており;前記二環式基は、縮合または架橋関係で環1および環2を含有し、前記環1は、4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環、フェニルまたはベンジルであり、前記環2は、フェニル環またはN、OおよびSから選択される最大3つの環ヘテロ原子を含有する5もしくは6員のヘテロアリール環であり;前記二環式基は、任意選択でおよび独立して最大6事例のハロゲン、C1~4アルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-CONH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)またはオキソにより置換されており;
の同じまたは異なる原子に付着しているRの2事例は、それらが付着している前記原子(複数可)と一緒になって、任意選択で、二環系の2つの環がスピロ、縮合または架橋関係である二環系をもたらすC3~8シクロアルキル環、4から6員の複素環;フェニルまたは5もしくは6員のヘテロアリール環を形成してもよく、前記4から6員の複素環または前記5もしくは6員のヘテロアリール環は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環ヘテロ原子を含有し;前記C3~8シクロアルキル環、4から6員の複素環、フェニルまたは5もしくは6員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のC1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルコキシ、オキソ、-C(O)O(C1~4アルキル)、-C(O)OH、-NR(CO)O(C1~4アルキル)、-CONH、-OHまたはハロゲンにより置換されており;Rは、水素またはC1~2アルキルであり;
各R5aは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、-(C1~6アルキル)R6a、-OR6a、-SR6a、-COR6a、-OC(O)R6a、-C(O)OR6a、-C(O)N(R6a、-C(O)N(R6a)SO6a、-N(R6a)C(O)R6a、-N(R6a)C(O)OR6a、-N(R6a)C(O)N(R6a、-N(R6a、-SO6a、-SOOH、-SONHOH、-SON(R6a、-SON(R6a)COOR6a、-SON(R6a)C(O)R6a、-N(R6a)SO6a、-(C=O)NHOR6a、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環、フェニル、ベンジル、オキソ基および二環式基からなる群から選択され;各5もしくは6員のヘテロアリール環または4から7員の複素環は、N、OおよびSから選択される最大4つの環へテロ原子を含有し、前記C1~6アルキル、-(C1~6アルキル)R6a部分のC1~6アルキル部分、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環、ベンジルまたはフェニル基の各々は、任意選択でおよび独立して最大3事例のハロゲン、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-CONH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)またはオキソと置換されており;前記二環式基は縮合または架橋した関係で環1および環2を含有し、前記環1は、4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環、フェニルまたはベンジルであり、前記環2は、フェニル環またはN、OおよびSから選択される最大3つの環ヘテロ原子を含有する5もしくは6員のヘテロアリール環であり;前記二環式基は、任意選択でおよび独立して最大6事例のハロゲン、C1~4アルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-CONH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)またはオキソにより置換されており;
各R5bは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、-(C1~6アルキル)R6a、-OR6a、-SR6a、-COR6a、-OC(O)R6a、-C(O)OR6a、-C(O)N(R6a、-C(O)N(R6a)SO6a、-N(R6a)C(O)R6a、-N(R6a)C(O)OR6a、-N(R6a)C(O)N(R6a、-N(R6a、-SO6a、-SOOH、-SONHOH、-SON(R6a、-SON(R6a)COOR6a、-SON(R6a)C(O)R6a、-N(R6a)SO6a、-(C=O)NHOR6a、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環、フェニル、ベンジル、オキソ基および二環式基からなる群から選択され;各5もしくは6員のヘテロアリール環または4から7員の複素環は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環へテロ原子を含有し、前記C1~6アルキル、-(C1~6アルキル)R6a部分のC1~6アルキル部分、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環、ベンジルまたはフェニル基の各々は、任意選択でおよび独立して最大3事例のハロゲン、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-CONH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)またはオキソと置換されており;前記二環式基は縮合または架橋関係で環1および環2を含有し、前記環1は、4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環、フェニルまたはベンジルであり、前記環2は、フェニル環またはN、OおよびSから選択される最大3つの環ヘテロ原子を含有する5もしくは6員のヘテロアリール環であり;前記二環式基は、任意選択でおよび独立して最大6事例のハロゲン、C1~4アルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-CONH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)またはオキソにより置換されており;
もしくはRの同じもしくは異なる原子に付着しているR5aの2事例またはR5bの2事例は、それぞれ、それらが付着している前記原子(複数可)と一緒になって、任意選択で、二環系の2つの環が互いにスピロ、縮合または架橋関係である二環系をもたらすC3~8シクロアルキル環、4から6員の複素環;フェニルまたは5もしくは6員のヘテロアリール環を形成してもよく;前記4から6員の複素環または前記5もしくは6員のヘテロアリール環は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環ヘテロ原子を含有し;前記C3~8シクロアルキル環、4から6員の複素環、フェニルまたは5もしくは6員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のC1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルコキシ、オキソ、-C(O)O(C1~4アルキル)、-C(O)OH、-C(O)NH、-NR(CO)O(C1~4アルキル)、-OHまたはハロゲンにより置換されており;Rは、水素またはC1~2アルキルであり;
各R5cは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、-(C1~6アルキル)-R6b、-OR6b、-SR6b、-COR6b、-OC(O)R6b、-C(O)OR6b、-C(O)N(R6b、-C(O)N(R6b)SO6b、-N(R6b)C(O)R6b、-N(R6b)C(O)OR6b、-N(R6b)C(O)N(R6b、-N(R6b、-SO6b、-SOOH、-SONHOH、-SON(R6b、-SON(R6b)COOR6b、-SON(R6b)C(O)R6b、-N(R6b)SO6b、-(C=O)NHOR6b、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環、フェニル、ベンジル、オキソ基、および二環式基からなる群から選択され;前記5もしくは6員のヘテロアリール環の各々および前記4から7員の複素環の各々は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環ヘテロ原子を含有し;前記C1~6アルキル、前記-(C1~6アルキル)-R6b部分のC1~6アルキル部分の各々、前記C3~8シクロアルキル環の各々、前記4から7員の複素環の各々、前記5もしくは6員のヘテロアリール環の各々、前記ベンジルの各々および前記フェニル基の各々は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のハロゲン、C1~4アルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-CONH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)またはオキソで置換されており;前記二環式基は、縮合または架橋関係の第1の環および第2の環を含有し、前記第1の環は4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環、フェニルまたはベンジルであり、前記第2の環はフェニル環またはN、OおよびSから選択される最大3つの環ヘテロ原子を含有する5もしくは6員のヘテロアリール環であり;前記二環式基は、任意選択でおよび独立して、最大6事例のハロゲン、C1~4アルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-CONH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)またはオキソにより置換されており;
の同じまたは異なる原子に付着しているR5cの2事例は、それが付着している前記原子(複数可)と一緒になって、任意選択で、二環系の2つの環が互いにスピロ、縮合または架橋関係である二環系をもたらすC3~8シクロアルキル環、4から6員の複素環;フェニルまたは5もしくは6員のヘテロアリール環を形成してもよく、前記4から6員の複素環または前記5もしくは6員のヘテロアリール環は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環ヘテロ原子を含有し;前記C3~8シクロアルキル環、4から6員の複素環、フェニルまたは5もしくは6員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のC1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルコキシ、オキソ、-C(O)O(C1~4アルキル)、-C(O)OH、-CONH、-NR(CO)O(C1~4アルキル)、-OHまたはハロゲンにより置換されており;Rは、水素またはC1~2アルキルであり;
各R5dは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6アルキル、-(C1~6アルキル)-R、-OR、-SR、-COR、-OC(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)N(R、-N(R、-SO、-SOOH、-SONHOH、-SON(R)COR、-SON(R、-N(R)SO、C7~12アラルキル、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環、フェニルおよびオキソ基からなる群から選択され;各5もしくは6員のヘテロアリール環または4から7員の複素環は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環ヘテロ原子を含有し、前記C1~6アルキル、-(C1~6アルキル)-R部分のC1~6アルキル部分、C7~12アラルキル、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環、5もしくは6員のヘテロアリール環またはフェニル基の各々は、任意選択でおよび独立して最大3事例のハロゲン、C1~4アルキル、C1~4(ハロアルキル)、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-CONH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)またはオキソと置換されており;
の同じまたは異なる原子に付着しているR5dの2事例は、それらが付着しているJの前記原子(複数可)と一緒になって、任意選択で、二環系の2つの環が互いにスピロ、縮合または架橋関係である二環系をもたらすC3~8シクロアルキル環、4から6員の複素環;フェニルまたは5もしくは6員のヘテロアリール環を形成してもよく、前記4から6員の複素環または前記5もしくは6員のヘテロアリール環は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環ヘテロ原子を含有し;前記C3~8シクロアルキル環、4から6員の複素環、フェニルまたは5もしくは6員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のC1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルコキシ、オキソ、-C(O)O(C1~4アルキル)、-C(O)OH、-NR(CO)O(C1~4アルキル)、-C(O)NH、-OHまたはハロゲンにより置換されており;Rは、水素またはC1~2アルキルであり;
各Rは、独立して、水素、C1~6アルキル、フェニル、ベンジル、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環および5もしくは6員のヘテロアリール環からなる群から選択され、前記C1~6アルキルの各々、前記フェニルの各々、前記ベンジルの各々、前記C3~8シクロアルキル基の各々、前記4から7員の複素環の各々および前記5もしくは6員のヘテロアリール環の各々は、任意選択でおよび独立して最大3事例のハロゲン、C1~4アルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-C(O)NH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)またはオキソと置換されており、前記5もしくは6員のヘテロアリール環または4から7員の複素環の各々は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環へテロ原子を含有し;
各R6aは、独立して、水素、C1~6アルキル、フェニル、ベンジル、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環および5もしくは6員のヘテロアリール環からなる群から選択され、前記C1~6アルキルの各々、前記フェニルの各々、前記ベンジルの各々、前記C3~8シクロアルキル基の各々、前記4から7員の複素環の各々および前記5もしくは6員のヘテロアリール環の各々は、任意選択でおよび独立して最大3事例のハロゲン、C1~4アルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-C(O)NH、-C(O)N(C1~6アルキル)、-C(O)NH(C1~6アルキル)、-C(O)N(C1~6ハロアルキル)、-C(O)NH(C1~6ハロアルキル)、C(O)N(C1~6アルキル)(C1~6ハロアルキル)、-COO(C1~6アルキル)、-COO(C1~6ハロアルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)またはオキソと置換されており、前記5もしくは6員のヘテロアリール環または4から7員の複素環の各々は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環へテロ原子を含有し;
各R6bは、独立して、水素、C1~6アルキル、フェニル、ベンジル、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環または5もしくは6員のヘテロアリール環であり、前記C1~6アルキルの各々、前記フェニルの各々、前記ベンジルの各々、前記C3~8シクロアルキル基の各々、前記4から7員の複素環の各々および前記5もしくは6員のヘテロアリール環の各々は、任意選択でおよび独立して最大3事例のハロゲン、C1~4アルキル、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-C(O)NH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4ハロアルキル)またはオキソと置換されており、前記5もしくは6員のヘテロアリール環または4から7員の複素環の各々は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環へテロ原子を含有し;
またはR5dの同じ窒素原子に連結しているRの2事例は、それぞれ、前記RまたはR5dの窒素原子と一緒になって、5から8員の複素環または5員のヘテロアリール環を形成してもよく;各前記5から8員の複素環および各前記5員のヘテロアリール環は、任意選択でN、OおよびSから独立して選択される最大2つのさらなるヘテロ原子を含有し;
5aまたはR5bの窒素原子に連結しているR6aの2事例は、前記窒素原子と一緒になって、5から8員の複素環または5員のヘテロアリール環を形成してもよく;各前記5から8員の複素環および各前記5員のヘテロアリール環は、任意選択で、N、OおよびSから独立して選択される最大2つのさらなるヘテロ原子を含有し;
5cの窒素原子に連結しているR6bの2事例は、前記窒素原子と一緒になって、5から8員の複素環または5員のヘテロアリール環を形成してもよく;各前記5から8員の複素環および各前記5員のヘテロアリール環は、任意選択で、N、OおよびSから独立して選択される最大2つのさらなるヘテロ原子を含有し;
Yは、非存在または任意選択で最大6事例のフルオロにより置換されているC1~6アルキル鎖のいずれかであり;C1~6アルキル鎖である前記Y中、このアルキル鎖の最大3つのメチレン単位は、-O-、-C(O)-および-N((Y)-R90)-から選択される基により置き換えられていることがあり、
は、非存在または任意選択で最大6事例のフルオロにより置換されているC1~6アルキル鎖のいずれかであり:ならびに
が非存在であるとき、各R90は、独立して、水素、-COR10、-C(O)OR10、-C(O)N(R10、-C(O)N(R10)SO10、-SO10、-SON(R10、-SON(R10)COOR10、-SON(R10)C(O)R10、-(C=O)NHOR103~6シクロアルキル環、4~8員の複素環、フェニル環および5~6員のヘテロアリール環からなる群から選択され;各前記4から8員の複素環または5から6員のヘテロアリール環は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環ヘテロ原子を含有し;前記C3~6シクロアルキル環の各々、前記4から8員の複素環の各々、前記フェニルの各々、および前記5から6員のヘテロアリール環の各々は、任意選択でおよび独立して最大3事例のR11と置換されており;ならびに
が存在するとき、各R90は、独立して、水素、ハロゲン、-CN、-OR10、-COR10、-OC(O)R10、-C(O)OR10、-C(O)N(R10、-C(O)N(R10)SO10、-N(R10)C(O)R10、-N(R10)C(O)OR10、-N(R10)C(O)N(R10、-N(R10、-SO10、-SON(R10、-SON(R10)COOR10、-SON(R10)C(O)R10、-N(R10)SO10、-(C=O)NHOR10、C3~6シクロアルキル環、4~8員の複素環、フェニル環および5~6員のヘテロアリール環からなる群から選択され;各前記4から8員の複素環または5から6員のヘテロアリール環は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環へテロ原子を含有し;前記C3~6シクロアルキル環の各々、前記4から8員の複素環の各々、前記フェニルの各々および前記5から6員のヘテロアリール環の各々は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のR11と置換されており;
各Rは、独立して、水素、ハロゲン、C1~6アルキル、-CN、-OR10、-COR10、-OC(O)R10、-C(O)OR10、-C(O)N(R10、-C(O)N(R10)SO10、-N(R10)C(O)R10、-N(R10)C(O)OR10、-N(R10)C(O)N(R10、-N(R10、-SO10、-SON(R10、-SON(R10)COOR10、-SON(R10)C(O)R10、-N(R10)SO10、-(C=O)NHOR10、C3~6シクロアルキル環、4~8員の複素環、フェニル環および5~6員のヘテロアリール環からなる群から選択され;各前記4から8員の複素環または5から6員のヘテロアリール環は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環へテロ原子を含有し;前記C1~6アルキルの各々、前記C3~6シクロアルキル環の各々、前記4から8員の複素環の各々、前記フェニルの各々および前記5から6員のヘテロアリール環の各々は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のR11と置換されており;
各R10は、独立して、水素、C1~6アルキル、-(C1~6アルキル)-R13、フェニル、ベンジル、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環および5もしくは6員のヘテロアリール環からなる群から選択され、各5もしくは6員のヘテロアリール環または4から7員の複素環は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環ヘテロ原子を含有し;前記C1~6アルキル、前記-(C1~6アルキル)-R13部分のC1~6アルキル部分の各々、各前記フェニル、各前記ベンジル、各前記C3~8シクロアルキル基、各前記4から7員の複素環および各5もしくは6員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して最大3事例のR11aと置換されており;
各R13は、独立して、フェニル、ベンジル、C3~6シクロアルキル環、4から7員の複素環または5もしくは6員のヘテロアリール環であり、各5もしくは6員のヘテロアリール環または4から7員の複素環は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環ヘテロ原子を含有し;各前記フェニル、前記ベンジルの各々、各前記C3~8シクロアルキル基、各前記4から7員の複素環および各5もしくは6員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して最大3事例のR11bと置換されており;
各R11は、独立して、ハロゲン、オキソ、C1~6アルキル、-CN、-OR12、-COR12、-C(O)OR12、-C(O)N(R12、-N(R12)C(O)R12、-N(R12)C(O)OR12、-N(R12)C(O)N(R12、-N(R12、-SO12、-SON(R12および-N(R12)SO12からなる群から選択され;前記C1~6アルキルの各々は、任意選択でおよび独立して最大6事例のフルオロおよび/または3事例のR121により置換されており;
各R11aは、独立して、ハロゲン、オキソ、C1~6アルキル、-CN、-OR12、-COR12、-C(O)OR12、-C(O)N(R12、-N(R12)C(O)R12、-N(R12)C(O)OR12、-N(R12)C(O)N(R12、-N(R12、-SO12、-SON(R12および-N(R12)SO12からなる群から選択され;前記C1~6アルキルの各々は、任意選択でおよび独立して最大6事例のフルオロおよび/または3事例のR121により置換されており;ならびに
各R11bは、独立して、ハロゲン、C1~6アルキル、オキソ、-CN、-OR12、-COR12、-C(O)OR12、-C(O)N(R12、-N(R12)C(O)R12、-N(R12)C(O)OR12、-N(R12)C(O)N(R12、-N(R12、-SO12、-SON(R12および-N(R12)SO12からなる群から選択され;前記C1~6アルキルの各々は、任意選択でおよび独立して最大6事例のフルオロおよび/または3事例のR121により置換されており;
各R12は、水素、C1~6アルキル、フェニル、ベンジル、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環または5もしくは6員のヘテロアリール環からなる群から選択され、各5もしくは6員のヘテロアリール環および4から7員の複素環は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環へテロ原子を含有し;前記C1~6アルキルの各々、各前記フェニル、各前記ベンジル、各前記C3~8シクロアルキル基、各前記4から7員の複素環および各5もしくは6員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のハロゲン、C1~4アルキル、C1~4(フルオロアルキル)、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-CONH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4フルオロアルキル)またはオキソと置換されており;
各R121は、水素、C1~6アルキル、フェニル、ベンジル、C3~8シクロアルキル環、4から7員の複素環または5もしくは6員のヘテロアリール環からなる群から選択され、各5もしくは6員のヘテロアリール環および4から7員の複素環は、N、OおよびSから独立して選択される最大4つの環へテロ原子を含有し;前記C1~6アルキルの各々、各前記フェニル、各前記ベンジル、各前記C3~8シクロアルキル基、各前記4から7員の複素環および各5もしくは6員のヘテロアリール環は、任意選択でおよび独立して、最大3事例のハロゲン、C1~4アルキル、C1~4(フルオロアルキル)、-OH、-NH、-NH(C1~4アルキル)、-N(C1~4アルキル)、-CN、-COOH、-CONH、-COO(C1~4アルキル)、-O(C1~4アルキル)、-O(C1~4フルオロアルキル)またはオキソと置換されており;ならびに
各Jは、独立して、水素またはC1~6アルキルである)。
【0107】
上記の方法、使用および組成物の一部の実施形態では、sGC刺激剤は、式XYの化合物、またはその薬学的に許容される塩である:
【0108】
【化15】
(式中、
nは、0または1から3から選択される整数であり;
各Jは、独立して、ハロゲン、-CN、C1~6脂肪族、-ORまたはC3~8脂環式環であり;前記C1~6脂肪族の各々および前記C3~8脂環式基の各々は、任意選択で最大3事例のハロゲンと置換されており;
各Rは、独立して、水素、C1~6脂肪族またはC3~8脂環式環であり;C1~6脂肪族である前記Rの各々およびC3~8脂環式環である前記Rの各々は、任意選択で最大3事例のハロゲンと置換されており;
各Jは、存在する場合、独立してハロゲンであり;
は、水素またはC1~6アルキルであり;ならびに
は、C1~6アルキルである)。
【0109】
式XYの一部の実施形態では、nは、1または2である。一部の実施形態では、nは1である。
【0110】
式XYの一部の実施形態では、各Jは、ハロゲンである。一部のこれらの実施形態では、各Jは、フルオロである。式XYの一部の実施形態では、nは1であり、Jはフルオロである。
【0111】
式XYの一部の実施形態では、Jの1事例または2事例が存在する。他の実施形態では、Jの1事例のみが存在する。一部のこれらの実施形態では、Jは、フルオロである。
【0112】
式XYの一部の実施形態では、Rは、水素、メチルまたはエチルである。他の実施形態では、Rは水素である。また他の実施形態では、Rはメチルである。
【0113】
式XYの一部の実施形態では、Rは、メチルまたはエチルである。また他の実施形態では、Rはメチルである。
【0114】
式XYの一部の実施形態では、化合物は、
ベリシグアト
【0115】
【化16】
またはリオシグアト
【0116】
【化17】
である。
【0117】
一部の実施形態では、sGC刺激剤は、
【0118】
【化18】
から選択される。
【0119】
一部の実施形態では、sGC刺激剤は、式Aのうちの1つ、またはその薬学的に許容される塩である:
【0120】
【化19】
(式中、
各Yは、独立して、N、NJ、CH、またはCJから選択され;
各Xは、N、NJ、CH、またはCJのいずれかであり;
XおよびYの最大3事例は、同時にNまたはNJであり;
は、ハロ、CN、または任意選択で1から3つのハロで置換されているC1~3アルキルであり;
各Jは、ハロまたはC1~4アルキルから独立して選択され;
nは、0、1、2、または3であり;
10は、任意選択で、ハロ、
-C(O)Rb2、フェニル、および5もしくは6員のヘテロアリールから独立して選択される1、2、もしくは3つの基と置換されているC1~4アルキルであり、フェニルおよび5もしくは6員のヘテロアリールは、任意選択で1、2、もしくは3つのハロまたはC1~4アルキルと置換されており、ヘテロアリールは、N、O、およびSから独立して選択される1、2、もしくは3つのヘテロ原子を含み;
qは、0または1であり;
11は、H、ハロ、-NRa2b2、C1~4アルキル、5から6員のヘテロアリール、またはC3~6シクロアルキルであり、C1~4アルキル、5から6員のヘテロアリール、およびC3~6シクロアルキルは、各々任意選択で、独立してハロから選択される1、2、もしくは3つの基と置換されており、ヘテロアリールは、N、O、およびSから独立して選択される1、2、もしくは3つのヘテロ原子を含み;
a2は、水素またはC1~4アルキルであり;ならびに
b2は、水素またはC1~4アルキルである)。
【0121】
一部の実施形態では、sGC刺激剤は、式Bのうちの1つ、またはその薬学的に許容される塩である:
【0122】
【化20】
(式中、
Yは、NまたはCHであり;
各Jは、ハロまたはC1~4アルキルから独立して選択され;
nは、0、1、2、または3であり;
11は、H、ハロ、-NRa2b2、C1~4アルキル、5から6員のヘテロアリール、またはC3~6シクロアルキルであり、C1~4アルキル、5から6員のヘテロアリール、およびC3~6シクロアルキルは、各々任意選択で、独立してハロから選択される1、2、もしくは3つの基と置換されており;
a2は、水素またはC1~4アルキルであり;ならびに
b2は、水素またはC1~4アルキルである)。
【0123】
一部の実施形態では、sGC刺激剤は、式Cのうちの1つ、またはその薬学的に許容される塩である:
【0124】
【化21】
(式中、
Yは、NまたはCHであり;
各Jは、ハロまたはC1~4アルキルから独立して選択され;
nは、0、1、2、または3であり;
11は、H、ハロ、-NRa2b2、C1~4アルキル、5から6員のヘテロアリール、またはC3~6シクロアルキルであり、C1~4アルキル、5から6員のヘテロアリール、およびC3~6シクロアルキルは、各々任意選択で、独立してハロから選択される1、2、もしくは3つの基と置換されており;
a2は、水素またはC1~4アルキルであり;
b2は、水素またはC1~4アルキルである)。
【0125】
A、BおよびCの一部の実施形態では、R11は、任意選択で1、2、または3つのハロと置換されているC1~4アルキルである。
【0126】
一部の実施形態では、sGC刺激剤は、式A、BまたはCのものであり、以下のうちの1つである:
【0127】
【化22-1】
【0128】
【化22-2】
【0129】
【化22-3】
一部の実施形態では、式A、BまたはCの化合物は、その中性形態、または薬学的に許容される塩のいずれかである。
【0130】
上記の方法、使用および医薬組成物の一部の実施形態では、sGC刺激剤は、以下に表す化合物である:
リオシグアト(BAY 63-2521、Adempas(登録商標)、FDA承認薬、DE19834044において記載されている):
【0131】
【化23】
ネリシグアト(BAY 60-4552、WO2003095451において記載されている):
【0132】
【化24】
ベリシグアト(BAY 1021189):
【0133】
【化25】
BAY 41-2272(DE19834047およびDE19942809において記載されている):
【0134】
【化26】
BAY 41-8543(DE19834044において記載されている):
【0135】
【化27】
エトリシグアト(WO2003086407において記載されている):
【0136】
【化28】
または、
以下に表す、およびUS20130072492(WO2011149921)において記載されている化合物のうちの1つ:
【0137】
【化29】
薬学的に許容される塩
方法、使用および医薬組成物の一部の実施形態では、sGC刺激剤は、(i)化合物それ自体(例えば遊離塩基として);(ii)化合物の薬学的に許容される塩;または(iii)医薬組成物の一部として提供されてもよい。上記の方法、使用および医薬組成物の一部の実施形態では、さらなる治療剤は、(i)化合物それ自体(例えば遊離塩基として);(ii)化合物の薬学的に許容される塩;(iii)または医薬組成物の一部として提供されてもよい。
【0138】
本明細書において記載されている化合物の「薬学的に許容される塩」には、無機または有機の酸または塩基と混合されたときの、前記組成物に由来するものが含まれる。一部の実施形態では、塩は、化合物の最終単離または精製中に、インサイチュで調製することができる。他の実施形態では、塩は、別の合成ステップにおいて、化合物の遊離形態から調製することができる。上述の薬学的に許容される塩または他の典型的な薬学的に許容される塩の調製は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Bergら、「Pharmaceutical Salts」J. Pharm. Sci.、1977年:66巻:1~19頁により、より完全に記載されている。sGC刺激剤の薬学的に許容される塩は、医薬において使用することのできるものである。しかし、薬学的に許容されない塩は、sGC刺激剤またはそれらの薬学的に許容される塩の調製において有用であり得る。
【0139】
sGC刺激剤が酸性であるとき、好適な「薬学的に許容される塩」は、無機および有機塩基を含む薬学的に許容される非毒性塩基から調製される塩を指す。無機塩基に由来する塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第2鉄、第1鉄、リチウム、マグネシウム、第2マンガン、第1マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等が含まれる。特定の実施形態には、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩が含まれる。薬学的に許容される有機非毒性塩基に由来する塩には、第1級、第2級および第3級アミンの塩、天然に発生する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N、N-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等が含まれる。
【0140】
sGC刺激剤が塩基性であるとき、塩は、無機および有機酸を含む薬学的に許容される非毒性酸から調製されてもよい。そのような酸には、アセテート、酢酸、クエン酸、酸性ホスフェート(acid phosphate)、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホネート、安息香酸、ベンゾエート、臭化物、重硫酸、重酒石酸、カンファースルホン酸、塩化物、シトレート、クエン酸、エタンスルホネート、エタンスルホン酸、ギ酸、フマレート、フマル酸、ゲンチシネート(gentisinate)、グルコネート、グルコン酸塩、グルクロン酸、グルタメート、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化物、イセチオン酸、イソニコチン酸、ラクテート、乳酸、マレエート、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、メタンスルホネート、ムチン酸、ニトレート、硝酸塩、オレイン酸、シュウ酸、パモ酸、パモエート(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))、パントテン酸、パントテネート、ホスフェート、リン酸、サッカレート、サリチル酸、コハク酸、スクシネート、硫酸、スルフェート、タンニン酸、タルトレート、酒石酸、p-トルエンスルホネート、p-トルエンスルホン酸等が挙げられる。特定の実施形態には、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸が含まれる。
【0141】
sGC刺激剤に加えて、それらの薬学的に許容される塩は、本明細書において特定される障害を処置または予防するための組成物中にも利用することができる。
医薬組成物および投与の方法
本明細書にいて開示されている化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、医薬組成物または「製剤」として製剤化されてもよい。
【0142】
典型的な製剤は、sGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩と、担体、希釈剤または賦形剤とを混合することにより調製される。好適な担体、希釈剤または賦形剤は、当業者に既知であり、炭水化物、ワックス、水溶性および/または膨潤性ポリマー、親水性または疎水性材料、ゼラチン、油、溶媒、水等のような材料が挙げられる。使用される特定の担体、希釈剤または賦形剤は、sGC刺激剤が製剤化されている手段および目的に依存する。溶媒は、一般的に、当業者により、哺乳類に投与するのに安全(GRAS-一般に安全と認められる(Generally Regarded as Safe))として認識されている溶媒に基づいて選択される。一般的に、安全な溶媒は、水のような非毒性の水性溶媒、および水溶性または水に混和性である他の非毒性溶媒である。好適な水性溶媒には、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えばPEG400、PEG300)等、およびそれらの混合物が挙げられる。製剤には、他の種類の賦形剤、例えば1つまたは複数の緩衝剤、安定剤、抗粘着剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、吸着剤、コーティング(例えば腸溶性または徐放性)、保存剤、抗酸化剤、不透明化剤(opaquing agent)、滑剤、加工助剤、着色剤、甘味剤、芳香剤、香味料、および薬物(すなわち、sGC刺激剤またはその医薬組成物)の美しい外見をもたらすまたは医薬製品(すなわち、医薬)の製造を助ける他の周知の添加剤も挙げられる。
【0143】
許容される希釈剤、担体、賦形剤および安定剤は、利用される投与量および濃度でレシピエントに対して非毒性であるものであり、緩衝剤、例えばホスフェート、シトレートおよび他の有機酸等;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(例えば塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチルもしくはプロピルパラベン等;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール等);タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチンもしくはイムノグロブリン等;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン等;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリジン等;グルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む単糖、二糖および他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTA等;糖類、例えばスクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール等;塩形成対イオン、例えばナトリウム等;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)等が挙げられる。活性な医薬成分も、例えばコアセルベーション技術によりまたは界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中;コロイド状薬物送達システム(例えばリポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)中またはマクロエマルション中に捕捉されていてもよい。そのような技術は、Remington’s:The Science and Practice of Pharmacy、第21版、University of the Sciences in Philadelphia編、2005年(以降、「Remington’s」)に開示されている。
【0144】
製剤は、従来の溶解および混合手順を使用して調製してもよい。「治療的有効量」という用語は、本明細書において使用される場合、研究者、獣医、医師または他の臨床家により求められる、組織、系、動物またはヒトの生物学的または薬物応答を誘発する活性な化合物または薬剤の量を意味する。投与される化合物の治療的有効量は、そのような考察により決定され、障害、または1つもしくは複数のその症状を改善、治癒または処置するために必要な最小量である。
【0145】
本発明の化合物、組成物または剤形に関して「投与する」「投与すること」または「投与」という用語は、化合物を、処置を必要とする対象または患者の系中へと導入することを意味する。本発明の化合物が1つまたは複数の他の活性な薬剤と組み合わされて提供されるとき、「投与」およびその変形は、各々、化合物および他の活性な薬剤の同時のおよび/または連続的な導入を含むものと理解される。
【0146】
本明細書において記載されている組成物は、全身または局所的に、例えば経口(限定されるものではないが、硬もしくは軟カプセル剤(例えばゼラチンカプセル剤)、錠剤、丸薬、散剤、舌下錠、トローチ剤、ロゼンジ、および顆粒剤を含む固形剤形;および、限定されるものではないが、薬学的に許容されるエマルション、ミクロエマルション、水性もしくは油性溶液、懸濁液、シロップ剤およびエリキシル剤を含む液体剤形を含む)、吸入により(例えばエアロゾル、ガス、吸入器、ネブライザー等を用いる)、耳に対して(例えば点耳剤を使用する)、局所(例えばクリーム剤、ゲル剤、吸入剤、リニメント剤、ローション剤、軟膏剤、パッチ、パスタ剤、粉剤、溶液、スプレー剤、経皮パッチ等を使用する)、眼(例えば点眼剤、眼用ゲル剤、眼軟膏を用いる)、直腸(例えば浣腸もしくは坐剤を使用する)、経鼻、頬側、経膣(例えば圧注、子宮内デバイス、腟坐剤、膣リングもしくは錠剤等を使用する)、点耳剤を介して、埋め込み型リザーバ(implanted reservoir)等を介して、または非経口で、処置されている障害の重症度および種類に依存して投与されてもよい。「非経口で」という用語には、本明細書において使用される場合、限定されるものではないが、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内および頭蓋内への注入または点滴技術が含まれる。好ましくは、組成物は、経口、腹腔内または静脈内投与される。
【0147】
経口での使用を意図された化合物の製剤は、医薬組成物の製造のための当該技術分野において周知の任意の方法により調製されてもよい。
【0148】
固形剤形では、活性な化合物は、少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される賦形剤または担体、例えばクエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム等、ならびに/またはa)充填剤または増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸等、b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシア等、c)保水剤、例えばグリセロール等、d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム等、e)溶解遅延剤(solution retarding agent)、例えばパラフィン等、f)吸収促進剤(absorption accelerator)、例えば第4級アンモニウム化合物等、g)湿潤剤、例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール等、h)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイト粘土等、ならびにi)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム等、ならびにそれらの混合物と混合される。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、または、不快な風味を隠すために、もしくは胃腸管中の崩壊および吸収を遅延させ、それによってより長い期間にわたり持続作用をもたらすために、マイクロカプセル化を含む周知の技術により、コーティングされてもよい。例えば、時間遅延剤(time delay material)、例えばモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルは、単独で、またはワックスとともに、利用してもよい。水溶性の矯味料、例えばヒドロキシプロピル-メチルセルロースまたはヒドロキシプロピル-セルロースを利用してもよい。
【0149】
活性な化合物に加えて、液体剤形は、当該技術分野において一般的に使用される不活性な希釈剤、例えば水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿花、ピーナッツ、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシおよびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル等、ならびにそれらの混合物等を含有してもよい。不活性な希釈剤の他に、経口組成物は、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味料および芳香剤等も含むことができる。
【0150】
経口組成物(固形または液体のいずれか)は、賦形剤およびアジュバント、例えば分散剤または湿潤剤等、例えば天然に発生するホスファチド(例えばレシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレン)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)等;乳化剤および懸濁化剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロース、ポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴム等;甘味剤、香味料、および芳香剤;ならびに/または1つもしくは複数の保存剤、例えばエチルもしくはn-プロピルp-ヒドロキシ-ベンゾエート等、1つもしくは複数の着色剤、1つもしくは複数の香味料および1つもしくは複数の甘味剤、例えばスクロースもしくはサッカリン等も含むことができる。
【0151】
医薬組成物は、鼻エアロゾルまたは吸入によっても投与されてもよい。そのような組成物は、医薬製剤の技術分野において既知の技術により調製され、ベンジルアルコールもしくは他の好適な保存剤、バイオアベイラビリティを増強するための吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を利用した生理食塩水中の溶液として調製されてもよい。肺内または経鼻投与に好適な製剤は、例えば0.1ミクロン(micros)から500ミクロン(micros)の範囲(例えば0.5、1、30、35ミクロン等のミクロンのきざみで0.1から500ミクロンの範囲にある粒子を含む)の粒子径を有し、肺胞嚢に到達するように、鼻孔を通した急速吸入により、または経口での吸入により投与される。
【0152】
本明細書において記載されている医薬組成物はまた、特に処置の標的が、眼、耳、皮膚、または下部胃腸管の障害を含む、局所適用により容易に到達可能な領域または器官を含むとき、局所投与されてもよい。好適な局所用製剤は、これらの領域または器官の各々に対して容易に調製される。活性成分は、無菌条件下で、薬学的に許容される担体および必要とされる場合には任意の求められる保存剤または緩衝剤と混合される。
【0153】
局所適用のために、医薬組成物は、1つまたは複数の担体中に懸濁または溶解している活性成分を含有する好適な軟膏剤中に製剤化されてもよい。本発明の化合物の局所投与のための担体には、限定されるものではないが、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が含まれる。代わりに、医薬組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体中に懸濁または溶解している活性成分を含有する好適なローション剤またはクリーム剤中に製剤化されることができる。好適な担体には、限定されるものではないが、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が含まれる。
【0154】
代わりに、活性成分は、水中油型クリーム基剤を用いたクリーム剤中に製剤化されてもよい。所望の場合、クリーム基剤の水相は、多価アルコール、すなわち2つ以上のヒドロキシル基を有するアルコール、例えばプロピレングリコール、ブタン1,3-ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG400を含む)ならびにそれらの混合物を含んでもよい。局所用製剤は、望ましくは、活性成分の皮膚または他の罹患領域を通した吸収または浸透を増強する化合物を含んでもよい。そのような皮膚浸透増強剤の例には、ジメチルスルホキシドおよび関連する類似体が含まれる。
【0155】
sGC刺激剤を使用して調製されたエマルションの油相は、周知の成分から周知の様式で構成されてもよい。相は、単に乳化剤(他にエマルゲント(emulgent)としても周知である)のみを含んでもよいが、望ましくは、相は、脂肪または油または脂肪および油の両方を有する少なくとも1つの乳化剤の混合物を含む。親水性乳化剤を、安定剤として作用する親油性乳化剤と一緒に含めてもよい。一部の実施形態では、乳化剤は、油および脂肪の両方を含む。総合して、安定剤(複数可)を有するかまたは有しない乳化剤(複数可)は、いわゆる乳化ワックスを構成し、ワックスは、油および脂肪と一緒に、クリーム製剤の油分散相を形成するいわゆる乳化軟膏基剤を構成する。sGC刺激剤の製剤化における使用のために好適なエマルゲントおよびエマルション安定剤には、Tween(商標)-60、Span(商標)-80、セトステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリルおよびラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0156】
さらに、本発明は、経皮パッチの使用を意図し、経皮パッチは、化合物の身体への制御送達をもたらす追加の利益を有する。そのような剤形は、化合物を適当な媒体中に溶解または分注することにより作製することができる。吸収増強剤も、化合物の皮膚全体にわたる流動を増大させるために使用することができる。速度は、速度制御膜(rate controlling membrane)を用意することによる、または化合物をポリマーマトリックスまたはゲル中に分散させることによるいずれかで制御することができる。
【0157】
眼科的使用のために、医薬組成物は、等張のpH調節された滅菌生理食塩水中の微粒子化懸濁液として、または好ましくは、等張のpH調節された滅菌生理食塩水中の溶液として、保存剤、例えば塩化ベンザルコニウム(benzylalkonium chloride)等を伴うかまたは伴わずに製剤化されてもよい。代わりに、眼科的使用のために、医薬組成物は、軟膏剤、例えばワセリン等中に製剤化されてもよい。眼または他の外部組織、例えば口および皮膚の処置のために、製剤は、活性成分を例えば0.075から20%w/wの量で含有する局所軟膏剤またはクリーム剤として適用されてもよい。軟膏剤中に製剤化されるとき、活性成分は、油性の、パラフィン系の、または水混和性の軟膏基剤のいずれかとともに利用されてもよい。
【0158】
直腸または経膣投与のための組成物は、好ましくは坐剤であり、本明細書において記載されている化合物と、周囲温度で固形であるが体温では液体であり、したがって直腸または膣腔中で融解し活性な化合物を放出する好適な非刺激性の賦形剤または担体、例えばカカオバター、ミツロウ、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックス等と混合することにより調製することができる。経膣投与に好適な他の製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、パスタ剤、フォームまたはスプレー剤として提供されてもよい。
【0159】
本明細書において記載されている組成物の滅菌注射剤型(例えば非経口投与のための)は、水性または油質の懸濁液であってもよい。これらの懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤(先行する段落中に記載されているものを含む)を使用して、当該技術分野において周知の技術により製剤化されてもよい。滅菌注射調製物は、非毒性、非経口の許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射溶液または懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液としてもあってもよい。利用することのできる許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル液および等張の塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌不揮発油は、溶媒および懸濁媒体として従来利用されている。この目的のために、利用することのできる任意の無刺激不揮発油には、合成モノまたはジグリセリドが含まれる。脂肪酸、例えばオレイン酸等およびそのグリセリド誘導体は、注射剤の調製において、天然の薬学的に許容される油、例えば植物油、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油等、特にそれらのポリオキシエチル化されたバージョン、または鉱油、例えば液体パラフィン等として有用である。これらの油溶液または懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤または分散剤、例えばカルボキシメチルセルロース等、またはエマルションもしくは懸濁液を含む薬学的に許容される剤形の製剤化において一般的に使用される類似の分散剤をも含有してもよい。薬学的に許容される固形、液体または他の剤形の製造において一般的に使用される、他の一般的に使用される界面活性剤、例えばTween、Span等および他の乳化剤またはバイオアベイラビリティ増強剤も、注射製剤の目的のために使用されてもよい。油性懸濁液は、増粘剤、例えばミツロウ、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含有してもよい。甘味剤、例えば上記で述べられているもの等、および香味料は、口当たりが好い経口調製物を提供するために添加されてもよい。これらの組成物は、抗酸化剤、例えばブチル化ヒドロキシアニソールまたはアルファ-トコフェロール等の添加により、保存されてもよい。
【0160】
別の態様では、sGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩は、獣医用担体を含む獣医用組成物中に製剤化されてもよい。獣医用担体は、組成物を投与する目的のために有用な材料であり、そうでなければ獣医学分野において不活性であり活性成分と適合性のある固形、液体または気体の材料であってもよい。これらの獣医用組成物は、非経口、経口または任意の他の所望の経路により投与されてもよい。
組合せ療法
本明細書において使用される場合、「組み合わせて」または「同時投与」という用語は、1つを超える治療法(例えばsGC刺激剤および1つまたは複数のさらなる治療剤)の使用を指すために、互換的に使用することができる。該用語の使用は、治療法(例えばsGC刺激剤およびさらなる治療剤)が対象に投与される順序を制限するものではない。
【0161】
一部の実施形態では、sGC刺激剤は、別の治療剤を用いた処置の開始の前、それと同時、またはその後に投与される。
【0162】
上記の方法および使用の一部の実施形態では、さらなる治療剤およびsGC刺激剤は、同時に投与される。上記の方法および使用の他の実施形態では、さらなる治療剤およびsGC刺激剤は、連続的にまたは個々に投与される。
【0163】
一部の実施形態では、上記の医薬組成物は、(a)上記で論じられているようなsGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩、および(b)薬学的に許容される担体、ビヒクルまたはアジュバントを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、(a)上記で論じられているような1つもしくは複数のさらなる治療剤またはその薬学的に許容される塩、および(b)薬学的に許容される担体、ビヒクルまたはアジュバントを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、(i)上記で論じられているようなsGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩、(ii)上記で論じられているような1つもしくは複数のさらなる治療剤またはその薬学的に許容される塩、および(iii)薬学的に許容される担体、ビヒクルまたはアジュバントを含む。
【0164】
本明細書において記載されているsGC刺激剤および医薬組成物は、1つまたは複数のさらなる治療剤とともに組合せ療法において使用することができる。1つを超える活性な薬剤を用いた組合せ処置のために、さらなる活性な薬剤は、同じ剤形であってもよく、または別の剤形であってもよい。さらなる活性な薬剤が別の剤形で存在する場合、活性な薬剤は、個々にまたはsGC刺激剤と併せて投与されてもよい。加えて、1つの薬剤の投与は、他の薬剤の投与の前、それと同時、またはそれに続く。
【0165】
他の薬剤との組合せ療法において使用されるとき、sGC刺激剤および他の薬剤(複数可)の「治療的有効量」は、使用される薬物の種類に依存する。好適な投与量は、承認された薬剤について周知であり、当業者により、対象の状態、処置されている状態(複数可)の種類および使用されている本明細書において記載されている化合物の量に従って調節することができる。量が明白に言及されていない場合、有効量は推測されるべきである。
【0166】
一部の実施形態では、同時投与または組合せ療法は、第1および第2の量の化合物の、本質的に同時の様式で、例えば第1と第2の量との固定比を有する単一の医薬組成物、例えばカプセル剤もしくは錠剤等での、または各々について複数の別のカプセル剤もしくは錠剤等での投与を包含する。加えて、そのような同時投与は、いずれかの順序での、順次の各化合物の使用も包含する。
【0167】
同時投与が第1の量のsGC刺激剤および第2の量のさらなる治療剤の別の投与を伴うとき、化合物は、所望の治療効果を有するように、十分に近い時間で投与される。例えば、所望の治療効果をもたらすことのできる各投与間の期間は、数分から数時間の範囲にわたることができ、各化合物の特性、例えば作用強度、溶解度、バイオアベイラビリティ、血漿内半減期および動態プロファイル等を考慮して決定することができる。例えば、sGC刺激剤および第2の治療剤は、任意の順序で、互いに約24時間以内、互いに約16時間以内、互いに約8時間以内、互いに約4時間以内、互いに約1時間以内または互いに約30分間以内に投与することができる。
【0168】
sGC刺激剤またはその薬学的に許容される塩と組み合わせ、個々にまたは同じ医薬組成物中のいずれかで投与されることができる他の治療剤の例には、限定されるものではないが、以下が含まれる:
(1)血管内皮由来弛緩因子(EDRF)またはNOガス。
(2)NOドナー、例えばニトロソチオール、亜硝酸塩、シドノンイミン、NONOエート、N-ニトロソアミン、N-ヒドロキシルニトロソアミン、ニトロシミン(nitrosimine)、ニトロチロシン、ジアゼチンジオキシド(diazetine dioxide)、オキサトリアゾール5-イミン、オキシム、ヒドロキシルアミン、N-ヒドロキシグアニジン、ヒドロキシ尿素またはフロキサン等。これらの種類の化合物の一部の例には:グリセリルトリニトレート(GTN、ニトログリセリン(nitroglycerin)、ニトログリセリン(nitroglycerine)、およびトリニトログリセリン(trinitrogylcerin)としても周知)、グリセロールの硝酸エステル;ニトロプルシドナトリウム(SNP)、ここで一酸化窒素の分子が鉄金属に配位して四角両錐錯体を形成し;3-モルホリノシドノンイミン(SIN-1)、モルホリンとシドノンイミンとの組合せにより形成された双性イオン化合物;S-ニトロソ-N-アセチルペニシラミン(SNAP)、ニトロソチオール官能基を有するN-アセチル化アミノ酸誘導体;ジエチレントリアミン/NO(DETA/NO)、ジエチレントリアミンと共有結合した一酸化窒素の化合物;アセチルサリチル酸のm-ニトロキシメチルフェニルエステルが挙げられる。これらのクラスのNOドナーの一部のより特定の例には:古典的なニトロ血管拡張剤、例えば、ニトログリセリン、亜硝酸アミル、二硝酸イソソルビド、5-一硝酸イソソルビドおよびニコランジルを含む有機硝酸および亜硝酸エステル;イソソルビド(Dilatrate(登録商標)-SR、Imdur(登録商標)、Ismo(登録商標)、Isordil(登録商標)、Isordil(登録商標)、Titradose(登録商標)、Monoket(登録商標))、3-モルホリノシドノンイミン;リンシドミンクロロハイドレート(Linsidomine chlorohydrate)(「SIN-1」);S-ニトロソ-N-アセチルペニシラミン(「SNAP」);S-ニトロソグルタチオン(GSNO)、ニトロプルシドナトリウム、S-ニトロソグルタチオンモノエチルエステル(GSNOエステル)、6-(2-ヒドロキシ-1-メチル-ニトロソヒドラジノ)-N-メチル-1-ヘキサンアミンまたはジエチルアミンNONOエート等が挙げられる。
(3)cGMP濃度を増強させる他の物質、例えば、プロトポルフィリンIX、アラキドン酸およびフェニルヒドラジン誘導体等;
(4)一酸化窒素合成酵素基質:例えば、L-アルギニン、n-ヒドロキシグアニジン系類似体、例えばN[G]-ヒドロキシ-L-アルギニン(NOHA)、1-(3,4-ジメトキシ-2-クロロベンジリデンアミノ)-3-ヒドロキシグアニジンおよびPR5(1-(3,4-ジメトキシ-2-クロロベンジリデンアミノ)-3-ヒドロキシグアニジン);L-アルギニン誘導体(例えばホモ-Arg、ホモ-NOHA、N-tert-ブチルオキシ-およびN-(3-メチル-2-ブテニル)オキシ-L-アルギニン、カナバニン、イプシロングアニジン-カプロン酸(carpoic acid)、アグマチン、ヒドロキシル-アグマチンおよびL-チロシル-L-アルギニン等);N-アルキル-N’-ヒドロキシグアニジン(例えばN-シクロプロピル-N’-ヒドロキシグアニジンおよびN-ブチル-N’-ヒドロキシグアニジン等)、N-アリール-N’-ヒドロキシグアニジン(例えばN-フェニル-N’-ヒドロキシグアニジンおよび-F、-Cl、-メチル、-OH置換基をそれぞれ担持するそのパラ置換誘導体等);グアニジン誘導体、例えば、3-(トリフルオロメチル)プロピルグアニジン等。
(5)eNOS転写を増強する化合物。
(6)限定されるものではないが:
BAY 58-2667(特許公開DE19943635において記載されている);HMR-1766(アタシグアトナトリウム、特許公開WO2000002851において記載されている);S 3448(2-(4-クロロ-フェニルスルホニルアミノ)-4,5-ジメトキシ-N-(4-(チオモルホリン-4-スルホニル)-フェニル)-ベンズアミド(特許公開DE19830430およびWO2000002851において記載されている);および
HMR-1069(Sanofi-Aventis)を含む、NO非依存性ヘム非依存性sGC活性剤。
(7)限定されるものではないが:
YC-1(特許公開EP667345およびDE19744026を参照);リオシグアト(BAY 63-2521、Adempas(登録商標)、DE19834044において記載されている);ネリシグアト(BAY 60-4552、WO2003095451において記載されている);ベリシグアト(BAY 1021189);BAY 41-2272(DE19834047およびDE19942809において記載されている);BAY 41-8543(DE19834044において記載されている);エトリシグアト(WO2003086407において記載されている);CFM-1571(特許公開WO2000027394において記載されている);A-344905、そのアクリルアミド類似体A-350619およびアミノピリミジン類似体A-778935;
または、刊行物US20090209556、US8455638、US20110118282(WO2009032249)、US20100292192、US20110201621、US7947664、US8053455(WO2009094242)、US20100216764、US8507512、(WO2010099054)US20110218202(WO2010065275)、US20130012511(WO2011119518)、US20130072492(WO2011149921)、US20130210798(WO2012058132)、およびTetrahedron Letters(2003年)、44巻(48号):8661~8663頁;ならびに
IW-1973およびIW1701
のうちの1つにおいて記載されている他のsGC刺激剤
を含む、ヘム依存性NO非依存性sGC刺激剤。
(8)cGMPおよび/またはcAMPの分解を阻害する化合物、例えば:
PDE1阻害剤、PDE2阻害剤、PDE-3阻害剤、例えば、アムリノン、ミルリノン、エノキシモン、ベスナリノン、ピモベンダン、およびオルプリノン等、PDE4阻害剤、例えばロフルミラスト(rolumilast)等、PDE5阻害剤、例えば、シルデナフィル(Viagra(登録商標))および他の関連薬剤、例えばアバナフィル、ロデナフィル、ミロデナフィル、シルデナフィルクエン酸塩(Revatio(登録商標))、タダラフィル(Cialis(登録商標)またはAdcirca(登録商標))、バルデナフィル(Levitra(登録商標))およびウデナフィル等;アルプロスタジル;ジピリダモールおよびPF-00489791;PDE6阻害剤、PDE9阻害剤、例えばPF-04447943等、PDE10阻害剤、例えばPF-02545920(PF-10)等、ならびにPDE11阻害剤等。
(9)以下の種類のカルシウムチャネル遮断薬:
ジヒドロピリジンカルシウムチャネル遮断薬、例えばアムロジピン(asamlodipine)(Norvasc(登録商標))、アラニジピン(Sapresta(登録商標))、アゼルニジピン(Calblock(登録商標))、バルニジピン(HypoCa(登録商標))、ベニジピン(Coniel(登録商標))、シルニジピン(Atelec(登録商標)、Cinalong(登録商標)、Siscard(登録商標))、クレビジピン(Cleviprex(登録商標))、ジルチアゼム、エホニジピン(Landel(登録商標))、フェロジピン(Plendil(登録商標))、ラシジピン(Motens(登録商標)、Lacipil(登録商標))、レルカニジピン(Zanidip(登録商標))、マニジピン(Calslot(登録商標)、Madipine(登録商標))、ニカルジピン(Cardene(登録商標)、Carden SR(登録商標))、ニフェジピン(Procardia(登録商標)、Adalat(登録商標))、ニルバジピン(Nivadil(登録商標))、ニモジピン(Nimotop(登録商標))、ニソルジピン(Baymycard(登録商標)、Sular(登録商標)、Syscor(登録商標))、ニトレンジピン(Cardif(登録商標)、Nitrepin(登録商標)、Baylotensin(登録商標))、プラニジピン(Acalas(登録商標))、およびイスラジピン(Lomir(登録商標))等;
フェニルアルキルアミンカルシウムチャネル遮断薬、例えばベラパミル(Calan(登録商標)、Isoptin(登録商標));およびガロパミル(Procorum(登録商標)、D600)等;
ベンゾチアゼピン、例えば(such)ジルチアゼム(Cardizem(登録商標))等;ならびに
非選択的カルシウムチャネル阻害薬、例えばミベフラジル、ベプリジルおよびフルスピリレン、およびフェンジリン等。
(10)エンドセリン受容体アンタゴニスト(ERA)、例えば、二重(ETおよびET)エンドセリン受容体アンタゴニストボセンタン(Tracleer(登録商標)、シタキセンタン(Thelin(登録商標))またはアンブリセンタン(Letairis(登録商標))等。
(11)プロスタサイクリン誘導体または類似体、例えば、プロスタサイクリン(プロスタグランジンI)、エポプロステノール(合成プロスタサイクリン、Flolan(登録商標))、トレプロスチニル(Remodulin(登録商標))、イロプロスト(Ilomedin(登録商標))、イロプロスト(Ventavis(登録商標));開発中のRemodulin(登録商標)の経口および吸入形態等。
(12)抗高脂血症薬、例えば以下の種類:
胆汁酸捕捉剤、例えばコレスチラミン、コレスチポール、コレスチラン、コレセベラムまたはセベラマー;
スタチン、例えば、アトルバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチンおよびプラバスタチン;
コレステロール吸収阻害剤、例えば、エゼチミベ等;
他の脂肪低下剤、例えば、イコサペントエチルエステル、オメガ-3酸エチルエステル、レデュコール等;
フィブリン酸誘導体、例えば、クロフィブラート、ベザフィブラート、クリノフィブラート、ゲムフィブロジル、ロニフィブラート、ビニフィブラート、フェノフィブラート、シプロフィブラート、コリンフェノフィブラート等;
ニコチン酸誘導体、例えば、アシピモックスおよびナイアシン等;
スタチン、ナイアシンおよび腸コレステロール吸収阻害サプリメント(エゼチミベ等)およびフィブラートの組合せ;ならびに
抗血小板療法、例えば、クロピドグレル二硫酸塩等。
(13)抗凝固薬、例えば、以下の種類:
クマリン(ビタミンKアンタゴニスト)、例えばワルファリン(Coumadin(登録商標))、アセノクマロール(cenocoumarol)、フェンプロクモンおよびフェニンジオン等;
ヘパリンおよび誘導体、例えば低分子量ヘパリン、フォンダパリヌクスおよびイドラパリヌクス等;
直接トロンビン阻害薬、例えばアルガトロバン、レピルジン、ビバリルジンおよびダビガトランおよびキシメラガトラン(Exanta(登録商標))等;ならびに
血餅を溶解し、動脈から障害物を取り除くために使用される組織プラスミノーゲン活性化因子、例えば、アルテプラーゼ等。
(14)抗血小板薬、例えばクロピドグレル(topidogrel)、チクロピジン、ジピリダモールおよびアスピリン等。
(15)ACE阻害薬、例えば、以下の種類:
スルフヒドリル含有剤、例えばカプトプリル(Capoten(登録商標))およびゾフェノプリル等;
ジカルボキシレート含有剤、例えばエナラプリル(Vasotec/Renitec(登録商標);ラミプリル(Altace(登録商標)/Tritace(登録商標)/Ramace(登録商標)/Ramiwin(登録商標));キナプリル(Accupril(登録商標)、ペリンドプリル(Coversyl(登録商標)/Aceon(登録商標))、リシノプリル(Lisodur(登録商標)/Lopril(登録商標)/Novatec(登録商標)/Prinivil(登録商標)/Zestril(登録商標))およびベナゼプリル(Lotensin(登録商標));
ホスホネート含有剤、例えばホシノプリル;
天然に発生するACE阻害薬、例えば乳製品、特に発酵乳の摂取後に天然に発生するカゼインおよび乳清の分解産物であるカソキニンおよびラクトキニン;
同様にACE阻害および抗高血圧機能を有する、生菌のラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)によって産生されるまたはカゼインに由来するラクトトリペプチドVal-Pro-ProおよびIle-Pro-Pro;
他のACE阻害薬、例えばアラセプリル、デラプリル、シラザプリル、イミダプリル、トランドラプリル、テモカプリル、モエキシプリル、スピラプリル(pirapril)等。
(16)酸素補充療法。
(17)ベータ遮断薬、例えば、以下の種類:
非選択的薬剤、例えばアルプレノロール、ブシンドロール、カルテオロール、カルベジロール、ラベタロール、ナドロール、ペンブトロール、ピンドロール、オクスプレノロール、アセブトロール、ソタロール、メピンドロール、セリプロロール、アロチノロール、テルタトロール、アモスラロール、ニプラジロール、プロプラノロールおよびチモロール等;
β選択的薬剤、例えばアセブトロール(cebutolol)、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、セリプロロール、ドブタミン塩酸塩、イルソグラジンマレイン酸塩、カルベジロール、タリノロール、エスモロール、メトプロロールおよびネビボロール等;ならびに
β選択的薬剤、例えばブタキサミン等。
(18)抗不整脈薬、例えば、以下の種類:
I型(ナトリウムチャネル遮断薬)、例えばキニジン、リドカイン、フェニトイン、プロパフェノン等;
III型(カリウムチャネル遮断薬)、例えばアミオダロン、ドフェチリドおよびソタロール等;ならびに
V型、例えばアデノシンおよびジゴキシン等。
(19)利尿薬、例えばチアジド系利尿薬、例えばクロロチアジド、クロルタリドンおよびヒドロクロロチアジド、ベンドロフルメチアジド、シクロペンチアジド、メチクロチアジド、ポリチアジド、キネタゾン、キシパミド、メトラゾン、インダパミド、シクレタニン;ループ利尿薬、例えば、フロセミドおよびトレサミド等;カリウム保持性利尿薬、例えば、アミロリド、スピロノラクトン、カンレノ酸カリウム、エプレレノンおよびトリアムテレン等;これらの薬剤の組合せ;他の利尿薬、例えば、アセタゾラミドおよびカルペリチド等。
(20)直接作用性血管拡張薬、例えばヒドララジン塩酸塩、ジアゾキシド、ニトロプルシドナトリウム、カドララジン;他の血管拡張薬、例えば、二硝酸イソソルビドおよび5-一硝酸イソソルビド等。
(21)外因性血管拡張薬、例えばAdenocard(登録商標)およびアルファ遮断薬等。
(22)アルファ-1-アドレナリン受容体アンタゴニスト、例えばプラゾシン、インドラミン、ウラピジル、ブナゾシン、テラゾシンおよびドキサゾシン等;心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、エタノール、ヒスタミン誘発剤、テトラヒドロカンナビノール(THC)およびパパベリン等。
(23)以下の種類の気管支拡張薬:
短時間作用型βアゴニスト、例えばアルブタモールまたはアルブテロール(Ventolin(登録商標))およびテルブタリン等;
長時間作用型βアゴニスト(LABA)、例えばサルメテロールおよびホルモテロール等;
抗コリン薬、例えばイプラトロピウム(pratropium)およびチオトロピウム等;ならびに
テオフィリン、気管支拡張薬およびホスホジエステラーゼ阻害剤。
(24)副腎皮質ステロイド、例えばベクロメタゾン、メチルプレドニソロン、ベタメタゾン、プレドニソン、プレドニソロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、フルチカゾン、フルニソリド、ヒドロコルチゾン等、および副腎皮質ステロイド類似体、例えば、ブデソニド等。
(25)栄養補助食品、例えばオメガ-3油;葉酸、ナイアシン、亜鉛、銅、高麗人参根、イチョウ、マツ樹皮、ハマビシ(Tribulus terrestris)、アルギニン、エンバク(Avena sativa)、ホーニーゴートウィード、マカ球根、ムイラプアマ、ノコギリヤシおよびスウェーデンの花の花粉;ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK2;テストステロンサプリメント、テストステロン経皮パッチ;ゾラキセル、ナルトレキソン、ブレメラノチドおよびメラノタンII等。
(26)PGD2受容体アンタゴニスト。
(27)免疫抑制剤、例えばシクロスポリン(シクロスポリンA、Sandimmune(登録商標)、Neoral(登録商標))、タクロリムス(FK-506、Prograf(登録商標))、ラパマイシン(Sirolimus(登録商標)、Rapamune(登録商標))および他のFK-506型免疫抑制剤、ミコフェノール酸、例えば、ミコフェノール酸モフェチル(CellCept(登録商標))等。
(28)非ステロイド性抗喘息薬、例えば、β2-アゴニスト、例えば、テルブタリン、メタプロテレノール、フェノテロール、イソエタリン、アルブテロール、サルメテロール、ビトルテロールおよびピルブテロール等;β2-アゴニスト-副腎皮質ステロイドの組合せ、例えば、サルメテロール-フルチカゾン(Advair(登録商標))、ホルモテロール-ブデソニド(Symbicort(登録商標))、テオフィリン、クロモリン、クロモリンナトリウム、ネドクロミル、アトロピン、イプラトロピウム、イプラトロピウム臭化物、ロイコトリエン生合成阻害剤(ジロートン、BAY1005)等。
(29)非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、プロピオン酸誘導体、例えば、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキシ酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸およびチオキサプロフェン;酢酸誘導体、例えばインドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロジン酸、フェンチアザク、フロフェナク、イブフェナク、イソキセパック、オキシピナック、スリンダク、チオピナック、トルメチン、ジドメタシンおよびゾメピラック等;フェナム酸誘導体、例えば、フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルミン酸およびトルフェナム酸等;ビフェニルカルボン酸誘導体、例えばジフルニサルおよびフルフェニサル等;オキシカム、例えばイソキシカム、ピロキシカム、スドキシカムおよびテノキシカン等、サリチレート、例えばアセチルサリチル酸およびスルファサラジン等;ならびにピラゾロン、例えばアパゾン、ベズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾンおよびフェニルブタゾン等。
(30)シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬、例えば、セレコキシブ(Celebrex(登録商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(登録商標))、バルデコキシブ、エトリコキシブ、パレコキシブおよびルミラコキシブ等;オピオイド鎮痛薬、例えば、コデイン、フェンタニル、ヒドロモルフォン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルフォン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デゾシン、ナルブフィンおよびペンタゾシン等;
(31)抗糖尿病薬、例えば、インスリンおよびインスリン模倣体;スルホニル尿素、例えばグリブリド、グリベンクラミド、グリピジド、グリクラジド、グリキドン、グリメピリド、メグリナチド、トルブタミド、クロルプロパミド、アセトヘキサミドおよびトラザミド(olazamide)等;ビグアナイド、例えばメトホルミン(Glucophage(登録商標))等;α-グルコシダーゼ阻害剤、例えばアカルボース、エパルレスタット、ボグリボース、ミグリトール等;チアゾリジノン化合物、例えばロシグリタゾン(Avandia(登録商標))、トログリタゾン(Rezulin(登録商標))、シグリタゾン、ピオグリタゾン(Actos(登録商標))およびエングリタゾン等;インスリン抵抗性改善薬、例えばピオグリタゾンおよびロシグリタゾン等;インスリン分泌促進物質、例えば、レパグリニド、ナテグリニドおよびミチグリニド等;インクレチン模倣体、例えばエキセナチドおよびリラグルチド等;アミリン類似体、例えばプラムリンチド等;グルコース低下剤、例えばピコリン酸クロム等、任意選択でビオチンと組み合わせられる;ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、例えばシタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、アログリプチンおよびリナグリプチン等;グルカゴン様ペプチド1受容体アゴニスト、例えばリラグルチド(Victoza(登録商標)、Saxenda(登録商標))、セマグルチド(Ozempic(登録商標))、エキセナチド(Byetta(登録商標)/Bydureon(登録商標))、リキシセナチド(Lyxumia(登録商標))アルビグルチド(Tanzeum(登録商標))、デュラグルチド(Trulicity(登録商標))、およびタスポグルチド等。
(32)HDLコレステロール増加剤、例えば、アナセトラピブおよびダルセトラピブ等。
(33)抗肥満薬、例えばメタンフェタミン塩酸塩、アンフェプラモン塩酸塩(Tenuate(登録商標))、フェンテルミン(Ionamin(登録商標))、ベンズフェタミン塩酸塩(Didrex(登録商標))、酒石酸フェンジメトラジン(Bontril(登録商標)、Prelu-2(登録商標)、Plegine(登録商標))、マジンドール(Sanorex(登録商標))、オルリスタット(Xenical(登録商標))、シブトラミン塩酸塩一水和物(Meridia(登録商標)、Reductil(登録商標))、リモナバン(Acomplia(登録商標))、アンフェプラモン、ピコリン酸クロム;組合せ、例えばフェンテルミン/トピラマート、ブプロピオン/ナルトレキソン、シブトラミン/メトホルミン、ブプロピオンSR/ゾニサミドSR、サルメテロール、キシナホ酸塩/フルチカゾンプロピオン酸エステル;ロルカセリン塩酸塩、フェンテルミン/トピラマート、セチリスタット、エキセナチド、リラグルチド、セマグルチド、メトホルミン塩酸塩、シブトラミン/メトホルミン、ブプロピオンSR/ゾニサミドSR、CORT-108297、カナグリフロジン、ピコリン酸クロム、GSK-1521498、LY-377604、メトレレプチン、オビネピチド、P-57AS3、PSN-821、サルメテロールキシナホ酸塩/フルチカゾンプロピオン酸エステル、タングステン酸ナトリウム、ソマトロピン(組換え)、テサモレリン、テソフェンシン、ベルネペリト、ゾニサミド、ヘミシュウ酸ベロラニブ、インスリノトロピン、レスベラトロール、ソベチロム、テトラヒドロカンナビバリンおよびベータ-ラパコン等。
(34)アンジオテンシン受容体遮断薬、例えば、ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサラン、イルベサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン、メドキソミル、アジルサルタンおよびメドキソミル等。
(35)レニン阻害剤、例えばアリスキレンヘミフマル酸塩(fumirate)等。
(36)中枢性アルファ-2-アドレナリン受容体アゴニスト、例えばメチルドパ、クロニジン、およびグアンファシン等。
(37)アドレナリン作動性ニューロン遮断薬、例えばグアネチジンおよびグアナドレル等;
(38)イミダゾリンI-1受容体アゴニスト、例えばリメニジン二水素リン酸塩およびモキソニジン塩酸塩水和物等。
(39)アルドステロンアンタゴニスト、例えばスピロノラクトンおよびエプレレノン等。
(40)カリウムチャネル活性剤、例えばピナシジル等。
(41)ドパミンD1アゴニスト、例えばフェノルドパムメシル酸塩等;他のドパミンアゴニスト、例えばイボパミン、ドペキサミンおよびドカルパミン等。
(42)5-HT2アンタゴニスト、例えばケタンセリン等。
(43)バソプレッシンアンタゴニスト、例えばトルバプタン等。
(44)カルシウムチャネル感受性増強薬、例えばレボシメンダン等、または活性剤、例えばニコランジル等。
(45)アデニル酸シクラーゼ活性剤、例えばコルホルシンダロパート(dapropate)塩酸塩等。
(46)陽性変力薬、例えばジゴキシンおよびメチルジゴキシン等;代謝強心薬、例えばユビデカレノン等;脳性ナトリウム利尿ペプチド、例えばネシリチド等。
【0169】
(47)勃起不全の治療に使用される薬物、例えばアルプロスタジル、アビプタジル、およびフェントラミンメシル酸塩等。
【0170】
(48)肥満の処置において使用される薬物、限定されるものではないが、メタンフェタミン塩酸塩(Desoxyn(登録商標))、アンフェプラモン塩酸塩(Tenuate(登録商標))、フェンテルミン(Ionamin(登録商標))、ベンズフェタミン塩酸塩(Didrex(登録商標))、フェンジメトラジン塩酸塩(Bontril(登録商標)、Prelu-2(登録商標)、Plegine(登録商標))、マジンドール(Sanorex(登録商標))およびオルリスタット(Xenical(登録商標))を含む。
(49)アルツハイマー病および認知症の処置のために使用される薬物、例えば、以下の種類:ガランタミン(Razadyne(登録商標)、リバスチグミン(Exelon(登録商標))、ドネペジル(Aricept(登録商標))および、タクリン(Cognex(登録商標)))を含むアセチルコリンエステラーゼ阻害薬、;NMDA受容体アンタゴニスト、例えばメマンチン(Namenda(登録商標))等;ならびに酸化還元酵素阻害剤、例えばイデベノン等。
(50)抗精神病薬、例えば以下の種類:
ジプラシドン(Geodon(商標))、リスペリドン(Risperdal(商標))、オランザピン(Zyprexa(商標))、バルプロエート;
ドパミンD4受容体アンタゴニスト、例えばクロザピン等;
ドパミンD2受容体アンタゴニスト、例えばネモナプリド等;
混合型ドパミンD1/D2受容体アンタゴニスト、例えばズクロペンチキソール等;
GABA A受容体モジュレーター、例えばカルバマゼピン等;
ナトリウムチャネル阻害薬、例えばラモトリギン等;
モノアミンオキシダーゼ阻害薬、例えばモクロベミドおよびインデロキサジン等;ならびに
プリマバンセリン、およびペロスピロン等。
(51)運動障害または症状の処置のために使用される薬物、例えば以下の種類:
カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ阻害薬、例えばエンタカポン等;
モノアミンオキシダーゼB阻害薬、例えばセレギリン等;
ドパミン受容体モジュレーター、例えばレボドパ等;
ドパミンD3受容体アゴニスト、例えばプラミペキソール等;
デカルボキシラーゼ阻害薬、例えばカルビドパ等;
他のドパミン受容体アゴニスト、例えば、ペルゴリド、ロピニロール、カベルゴリン等;
リチゴニド、イストラデフィリン、タリペキソール;ゾニサミドおよびサフィナミド;ならびに
シナプス小胞アミントランスポーター阻害薬、例えばテトラベナジン等。
(52)気分的もしくは情動的障害またはOCDの処置のために使用される薬物、例えば以下の種類:
三環系抗うつ薬、例えば、アミトリプチリン(Elavil(登録商標))、デシプラミン(Norpramin(登録商標))、イミプラミン(Tofranil(登録商標))、アモキサピン(Asendin(登録商標))、ノルトリプチリンおよびクロミプラミン等;
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、例えば、パロキセチン(Paxil(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、セルトラリン(Zoloft(登録商標))、およびシトラロプラム(Celexa(登録商標));
ドキセピン(Sinequan(登録商標))、トラゾドン(Desyrel(登録商標))およびアゴメラチン等;
選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)、例えばベンラファキシン、レボキセチンおよびアトモキセチン等;ドパミン作動性抗うつ薬、例えばブプロピオンおよびアミネプチン等。
(53)シナプス可塑性の増強のための薬物、例えば以下の種類:
ニコチン性受容体アンタゴニスト、例えばメカミラミン等;および
混合5-HT、ドパミンおよびノルエピネフリン受容体アゴニスト、例えばルラシドン等。
(54)ADHDの処置のために使用される薬物、例えばアンフェタミン等;5-HT受容体モジュレーター、例えばボルチオキセチン等、およびアルファ-2-アドレナリン受容体アゴニスト、例えばクロニジン等。
(55)中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害薬、例えば、サクビトリル、オマパトリラート等;ならびにメチレンブルー(MB)。
(56)一酸化窒素合成酵素補因子、例えば:テトラヒドロビオプテリン、ジヒドロビオプテリンおよびサプロプテリン(Kuvan(登録商標))等。
(57)ミトコンドリア障害の処置、限定されるものではないが、コエンザイムQ10;ビタミンB複合体、特にチアミン(B1)およびリボフラビン(B2);アルファリポ酸;L-カルニチン(Carnitor);クレアチン;シトルリン、およびL-アルギニンを含む、ビタミンおよびサプリメントを含む。
(58)てんかんまたは発作の処置、限定されるものではないが、フェニトイン(Dilantin(登録商標))、バルプロ酸(Depakote(登録商標))、フェノバルビタール、ラモトリギン(Lamictal(登録商標))、カルバマゼピン(Tegretol(登録商標))、トピラマート(Topamax(登録商標))、オクスカルバゼピン(Trileptal(登録商標))、ゾニサミド(Zonegran(登録商標))、ガバペンチン(Neurontin(登録商標))、レベチラセタム(Keppra(登録商標))、プレガバリン(Lyrica(登録商標))、クロナゼパム(Klonopin(登録商標))、ラコサミド(Vimpat(登録商標))、ルフィナミド(Banzel(登録商標))、およびビガバトリン(Sabril(登録商標))を含む。
包装およびキット
使用のための医薬組成物(または製剤)は、薬物を投与するために使用される方法に依存して、多様な方法において包装されてもよい。一般的に、流通のための物品には、その中に医薬製剤を適切な形態で置いた容器を含む。好適な容器は、当業者に既知であり、ボトル(プラスチックおよびガラス)、小袋、アンプル、プラスチック袋、金属シリンダ等のような材料を含む。容器は、包装の内容への不用意な接近を予防するために、悪戯防止組立体(tamper-proof assemblage)をも含んでもよい。加えて、容器の上に、容器の内容物を記載するラベルが置かれる。ラベルは、適切な注意も含んでもよい。
【0171】
本明細書において記載されている化合物および医薬製剤は、キットを含有してもよい。キットは、各々個別に包装もしくは製剤化された単一用量もしくは2つ以上の薬剤の複数回用量、または組み合わせて包装または製剤化された単一用量もしくは2つ以上の薬剤の複数回用量を含んでもよい。よって、1つまたは複数の薬剤は、第1の容器中に存在することができ、キットは、任意選択で、第2の容器中に1つまたは複数の薬剤を含むことができる。容器(複数可)は、包装中に配置され、包装は、任意選択で、投与または投与量の説明書を含むことができる、キットは、さらなる構成要素、例えばシリンジまたは薬剤を投与するための他の手段、ならびに希釈剤または製剤化のための他の手段等を含むことができる。よって、キットは、a)本明細書において記載されている化合物および薬学的に許容される担体、ビヒクルまたは希釈剤を含む医薬組成物;およびb)容器または包装を含むことができる。キットは、任意選択で、本明細書において記載されている方法(例えば、本明細書において記載されている障害のうちの1つまたは複数を予防または処置する)のうちの1つまたは複数における、医薬組成物を使用する方法を記載している説明書を含んでもよい。キットは、任意選択で、併用療法での使用のための、本明細書において記載されている1つまたは複数のさらなる薬剤、薬学的に許容される担体、ビヒクルまたは希釈剤を含む、第2の医薬組成物を含んでもよい。本明細書において記載されている化合物を含む医薬組成物およびキット中に含有された第2の医薬組成物は、任意選択で、同じ医薬組成物中に合わされてもよい。
【実施例
【0172】
【表1-1】
【0173】
【表1-2】
実施例1.インビボモデル
ペルオキシゾーム増殖剤活性化受容体c活性化補助因子1α(PGC1α)は、ミトコンドリア生合成の主要制御因子であり、代謝およびミトコンドリア機能のメディエーターである(その教示が参照により本明細書に組み込まれる、Journal of Cell Science 125巻(21号)、4964~4971頁およびCardiovascular Research(2008年)79巻、208~217頁を参照)。さらに、PGC1αは、下流エフェクター、例えばPPARαおよびPPARγ等に対する作用を発揮し、多様な生理学的状態下でミトコンドリアのエネルギー代謝を修正する(Journal of Clinical Investigation(2006年)116巻(3号):615~622頁を参照)。ATP対AMP比の変化に際し、AMPKが活性化され、下流の標的をリン酸化し、異化の増大および同化の低減へと、代謝の再方向づけをもたらす。AMPKは、エネルギー性負荷およびミトコンドリア傷害に対する細胞応答の中心的なメディエーターとして機能し、自食作用およびミトコンドリア生物学の複数の特性を調整する(Nature Reviews Molecular Cell Biology 19巻、121~135頁(2018年)を参照)。ミトコンドリア密度および/または機能は、ミトコンドリア病およびミトコンドリア機能不全に関連する疾患において減少する。
【0174】
ミトコンドリア生合成のバイオマーカー(PGC1α)および機能のバイオマーカー(AMPK、PPARαおよびPPARγ)に対するsGC刺激剤の役割を、ミトコンドリア機能不全の3つの動物モデル、ZSF1ラット(JASN(2007年)18巻(11号、2945~2952頁を参照)、食餌誘発性肥満(DIO)マウス(PLoS ONE(2013年)8巻(12号):e81870頁を参照)、および四塩化炭素(CCl)ラット(Hepatology(1990年)、12巻(3号)526~532頁およびLiver International(2017年)37巻(7号)を参照)において評価した。ZSF1およびCCl動物モデルは、PGC1α、AMPK、PPARαおよびPPARγ遺伝子発現の異常なレベルを示し、それらのレベルは、sGC刺激剤を用いた処置により正常化された。これらのモデルの各々について、PCG1αは、疾患状態と比較して、化合物Bの処置で増大する。
方法:
モデル1:食餌誘発性肥満(DIO)マウスモデル
動物に、固形飼料または高脂肪食(Research Diets)を給餌した。痩せたマウスを、標準的な固形飼料食で維持した。肥満マウスに、60%高脂肪食(HFD)を、6週齢から開始して与えた。すべての動物に、飲水および固形飼料を自由摂取させた。試験は、マウスが12週齢であるときに開始し、4週間後(16週齢)に終了した。肥満対照群に、HFDを維持した。化合物処置を受けている群に、化合物A 90mg/食事のkg(およそ6mg/kgの用量)またはベルシグアト45mg/食事のkg(およそ3mg/kgの用量)を含有するHFDを給餌した。体重を週2回決定し、食物摂取を毎日、28日間測定した。最終日(28日)に、白色脂肪組織(WAT)および肝臓を回収し、秤量し、さらなる分析のために液体窒素中で急速凍結した(snap frozen)。
【0175】
DIOマウスモデルを用いた別の試験で、肥満マウスを、食事中に異なる用量の化合物Bを含有する(38.8mg、128.6mgまたは386.2mg/kgの食事、およそ.05mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kgの用量)HFDを用いて処置した。最終日、視床下部を回収し、さらなる分析のために液体窒素中で急速凍結した。
モデル2:ZSF1ラットモデル
試験設計中、4群の動物が存在する。
【0176】
1.ZSF1、痩せ-ビヒクル(n=6)
2.ZSF1、肥満-ビヒクル(n=9)
3.ZSF1肥満-化合物A 10mg/kg/日(n=9)
4.ZSF1肥満-エナラプリル3mg/kg/日+化合物A 10mg/kg/日(n=9)
群4の動物に、エナラプリルを含有する水を飲ませ、Purina 5008齧歯類固形飼料(C13000)を続けた。1~3群の動物に、Purina 5008齧歯類固形飼料および飲水を続けた。エナラプリル処置の開始の10日後、群3および4に、それぞれ、化合物Aを10mg/kg/日で11週間与えた(単独療法)。10日目に、群3および4の動物に、エナラプリルに加えて、化合物Aを10mg/kg/日でさらに11週間与えはじめた(組合せ療法)。
【0177】
ZSF1ラットを用いた別の試験では、肥満ラットを、化合物Dを単独で(単独療法)またはエナラプリルとの組合せで(組合せ療法)用いて、化合物Aを用いた上記の試験と同じプロトコルに従って処置した。
モデル3:四塩化炭素(CCl)ラットモデル
雄のSprague-Dawleyラットに、0.25ml/kgのCClを、経口で、週3回、トウモロコシ油中に希釈して、試験期間中(8週間)投与した。対照動物に、等体積のトウモロコシ油を与えた。CClの投与開始の2週間後、動物に、3mg/kg/日の用量を達成するように算出された化合物Aを含有する固形飼料混合物を与えた。
B-DNAアッセイ
遺伝子発現分析のために、ZSF1ラットの肝臓、CClラットの肝臓、もしくはDIOマウスの脳の視床下部由来の5~10mgの組織試料、またはZSF1ラット由来のおよそ50mgの白色脂肪組織(WAT)を均質化し、製造者の使用説明書(Affymatrix、Fremont、CA)に従って、QuantiGene試料処理キットを使用して処理した。組織試料中の遺伝子発現を、QuantiGene 2.0 Plexアッセイキット(Affymetrix)および製造物の使用説明書に従って特に各動物モデルのために設計されたマルチプレックス遺伝子パネルを使用して測定した。分析物を、Luminex MAGPIX(商標)(Bio-Rad、Hercules、CA)を使用して測定した。蛍光強度の中央値(MFI)を、各遺伝子標的について生成し、標的の転写産物量に適合するように選択された、選択されたハウスキーピング遺伝子の発現の幾何平均に対して正規化した。
インビボ動物モデルからの結果
B-DNAアッセイによる遺伝子発現プロファイル分析により、エネルギー代謝に関与する遺伝子の制御において「主要スイッチ」であるPGC1αは、疾患状態のZSF1ラットおよびDIOマウスにおいて有意に低減することが実証された(図1)。sGC刺激剤である10mg/kgの化合物A、または30mg/kgの化合物Dを、3mg/kgのエナラプリルと組み合わせて用いたZSF1肥満ラットの処置は、白色脂肪組織(WAT)および肝臓中のPGC1αの遺伝子発現レベルをそれぞれ増大させた(図1Aおよび1B)。加えて、化合物Bは、DIOマウスの視床下部中のPGC1α発現を有意に増大させた(図1C)。
【0178】
PGC1αの他に、ミトコンドリア生合成および機能に関与する3つの他の遺伝子であるAMPK、PPARαおよびPPARγも、疾患状態のDIOマウスおよびCCl4ラットで下方制御された(図2)。6mg/kgの化合物Aを用いたDIO誘導性肥満マウスまたはCCl処置されたラットの処置は、DIOマウスのWAT中のAMPKおよびPparαの遺伝子発現レベルを増大させ(図2Aおよび2B);化合物Aは、3mg/kgで、CClラットの肝臓中のPparγを増大させた(図2C)。
【0179】
結論:化合物A、B、およびDは、複数の前臨床動物モデルにおいて、ミトコンドリア生合成(PGC1α)および機能(AMPK、PparαおよびPparγ)に必要とされる遺伝子の遺伝子発現レベルを増大させ、このことは、sGC刺激剤の投与がミトコンドリア機能を改善するであろうことを示唆した。
【0180】
実施例2-ミトコンドリア患者の細胞
材料
細胞培養
LHON患者のリンパ芽球細胞(GM11605およびGM10742)ならびにLeigh患者のリンパ芽球細胞(GM13740)を、Coriell instituteから購入し、販売者から推奨された増殖条件に従って培養した。培養培地RPMI-1640(ATCC、カタログ番号30-2006)は、15%のウシ胎児血清(Corningカタログ番号35-015-CV)を含有していた。
方法:
cGMP測定
アッセイの日に、Coriell細胞を、96ウェルのV底培養プレート(Corningカタログ番号3894)上に、100ul培養培地中1ウェルあたり200,000個の細胞の密度でプレーティングした。アッセイの直前に、細胞を、300gで5分間、卓上遠心分離機(Beckmanモデル番号TJ-25)における遠心分離によりスピンダウンし、培地を除去し、細胞ペレットを、Ca2+およびMg2+を含有する200μLのHBSS(Gibcoカタログ番号14025-075)で1回慎重に洗浄した。細胞をスピンダウンし、次いで、0.5mM IBMXを含有する1ウェルあたり90μLのHBSSを細胞に添加し、37℃で15分間インキュベートした。次いで、IBMXに加えて異なる濃度のNOドナー、DETA(0、10μM、30μMの最終濃度)を含有するHBSS溶液中に希釈した1ウェルあたり10μLの10x化合物(その最終濃度で)を細胞に添加し、37℃でさらに20分間インキュベートした。細胞ペレットをスピンダウンし、0.1N HCl(100ul/ウェル)で溶解した。cGMPを、cGMP Biotrak EIAキット(GEカタログ番号RPN226)を使用して測定した。試料のcGMP濃度を、標準曲線から算出した。
ATPアッセイ
Corielll細胞を、96ウェルのV底培養プレート(Corningカタログ番号3894)上に、2% FBSを含有する90ulのRPMI-1640培地中1ウェルあたり200,000個の細胞の密度でプレーティングした。3時間後、2% FBSを含有するRPMI-1640培地中に希釈した、1ウェルあたり10μLの10x化合物(その最終濃度で)を細胞に添加し、37℃で24時間インキュベートした。次の日、細胞中のATPレベルを、ATPliteキット(PerkinElmerカタログ番号6016943)を使用して測定した。
bDNAアッセイ
Coriell細胞を、96ウェルのV底培養プレート(Corningカタログ番号3894)上に、2%FBSを含有する90ulのRPMI-1640培地中1ウェルあたり200,000個の細胞の密度でプレーティングした。3時間後、2% FBSを含有するRPMI-1640培地中に希釈した、1ウェルあたり10μLの10x化合物(その最終濃度で)を細胞に添加し、37℃で24時間インキュベートした。次の日、細胞を、300gで5分間、卓上遠心分離機(Beckmanモデル番号TJ-25)における遠心分離によりスピンダウンし、培地を除去し、細胞ペレットを、QuantiGene試料処理キット(Affymetrixカタログ番号QS010)により提供される溶解混合物(lysis mixture)とともに100μL/ウェルで溶解した。細胞溶解液中の遺伝子発現を、製造者のプロトコルに従って、QuantiGene 2.0 Plexアッセイキット(Affymetrixカタログ番号QP1013)およびマルチプレックス遺伝子パネル(Thermo/Fisher、プレックスセット番号QGP-150-M19022101)を使用して測定した。分析物を、Luminex MAGPIX(商標)(Bio-Rad、Hercules、CA)を使用して測定した。蛍光強度の中央値(MFI)を、各遺伝子標的について生成し、標的の転写産物量に適合するように選択された、3つのハウスキーピング遺伝子(Hprt1、PpibおよびPolr2a)の発現の幾何平均に対して正規化した。
結果
化合物EをDETAと組み合わせて用いた、LHONおよびLeigh患者由来の細胞の刺激は、cGMP形成を有意に活性化し、これらの細胞中のsGCの機能的発現、および化合物EがsGCに対する刺激剤として作用したことが確認された。(図3A~C)
ATPアッセイ
LHON患者の細胞であるGM11605およびGM10742、ならびにLeigh患者の細胞であるGM13740中のATPレベルは、正常細胞であるGM00333中よりも有意に低かった(図4A)。化合物E(単独でまたはDETAと組み合わせて)を用いたGM11605およびGM13740の刺激は、ATP産生を有意に増大させる(GM10742は試験されなかった)(図4B)。化合物B(単独でまたはDETAと組み合わせて)を用いたGM11605、GM10742、およびGM13740の刺激は、ATP産生を増大させる(図4C)。化合物Dは、GM13740細胞中でのみ試験され、ATPレベルを有意に増大させた(図4D)。これらの結果は、sGC刺激剤が、これらの患者の細胞におけるATPクライシスを改善することが可能であることを示唆する。PF-06409577はAMPK活性剤であり、アッセイにおいて陽性対照となった。FCCPは、電子伝達系(ETC)の化学的脱共役剤であり、アッセイにおいて陰性対照となった。
B-DNAアッセイ
B-DNAアッセイによる遺伝子発現プロファイル分析により、LHON患者の細胞(GM11605、図5A~B)およびLeigh患者の細胞(図6A~B)中の、TFAMおよびDDAH2を含む複数のミトコンドリア遺伝子の発現レベルを決定した。これらの遺伝子は、ATP産生の要因となる、ミトコンドリア中の必須の構成要素をコードする。
【0181】
TFAMは、ミトコンドリアの転写に必要でありmtDNAのコピー数を制御し、よってATP産生を維持するために重要である、ミトコンドリア中に存在する、多量に発現するタンパク質である(Alvarez, Vら、2008年 in intro)。TFAMはまた、非配列特異的な様式でmtDNAに結合することにより、mtDNAを酸化ストレスから保護する(Kankiら、2004年)。先行実験では、G11778A LHON変異を宿す細胞質雑種細胞中の組み換えTFAMの導入は、基礎呼吸を増大させることが見出された(Iyer, Sら、2009年 Mitochondrion)。さらに、インビボ試験では、Iyerらは、成体マウスの尾静脈中に組み換えTFAMを注入し、運動耐久性(motor endurance)およびミトコンドリア呼吸の増大についてアッセイした。脳および筋肉のミトコンドリアにおけるミトコンドリア複合体I呼吸における有意な増大が、処置されたマウスにおいて観察された(Iyer Sら、2009年)。
【0182】
ミトコンドリア病における酸化ストレスの増大の結果のうちの1つは、非対称性ジメチルアルギニン(ADMA)を分解する酵素であるDDAH2活性の阻害である(El-Hattab AWら、2012年のレビュー、molecular genetics、107巻)。ADMAの増大は、ミトコンドリア機能不全を引き起こすことがあり(Sud Nら、2008年)、ADMAのレベルの増大は、ミトコンドリア病の患者において認められた(El-Hattab, AWら、2012年、Mol Genet metabolism、105巻)DDAH2の阻害は、これらの患者において、ミトコンドリア病をさらに悪化させる。
結果
B-DNAアッセイによる遺伝子発現プロファイル分析により、LHON患者の細胞(GM11605)(図5A~B)およびLeigh患者の細胞(GM13740)(図6A~B)中、2つのミトコンドリア遺伝子であるTFAMおよびDDAH2の発現レベルが、有意に低減したことが実証された。
【0183】
TFAMは、LHON患者の細胞株中(図5A)、Leigh患者の細胞株中(図6A)、DETAの存在下での化合物Bの刺激により増大した。
【0184】
DDAH2は、LHON患者の細胞株中(図5B)、Leigh患者の細胞株中(図6B)、DETAの存在下での化合物Bの刺激により増大した。
結論。
【0185】
sGC刺激剤は、患者の細胞中のTFAM mRNAレベルを増大させる。図5Aおよび6Aは、TFAM mRNAがLeighおよびLHON患者の細胞中で低減し、sGC刺激剤を用いた処置が、これらの細胞中のTFAM mRNAのレベルを増大させることを示す。sGC刺激剤を用いて処置された患者の細胞中で測定されたTFAM mRNAの増大は、sGC刺激剤が、ミトコンドリア病患者の細胞中のTFAMレベルを増大させ、ミトコンドリア呼吸を改善することができる可能性が高いことを示す。これらのデータは、TFAMの増大が、ミトコンドリア呼吸を改善し、ミトコンドリア病の特徴であるエネルギークライシス(すなわちATPクライシス)を改善することができることを示す。
【0186】
sGC刺激剤は、患者の細胞中のDDAH2 mRNAレベルを増大させる。図6Bおよび6Bは、ミトコンドリア病患者の細胞において、sGC刺激剤の処置がDDAH2 mRNAのレベルを増大させることを示す。DDAH経路の上方制御は、ミトコンドリア病患者におけるADMAレベルを減少させ、これらの患者における酸化ストレスの有害作用を低減させると予測される。sGC刺激剤であるプラリシグアト(化合物A)の臨床試験の結果から、プラリシグアトを用いた糖尿病患者の処置が、循環ADMAのレベルを減少させることが見出された(Hanrahan JPら、Fourteen-day study of praliciguat, a soluble guanylate cyclase stimulator, in patients with diabetes and hypertension. Diabetes. 2018年7月;67巻(補遺1)、要約番号74-OR)。
他の実施形態
本開示において言及されているすべての刊行物および特許は、各個別の刊行物または特許出願が具体的および個別に参照により組み込まれることを示すように、同程度に本明細書に参照により組み込まれる。参照により組み込まれる特許または刊行物のいずれかにおける用語の意味が本開示において使用される用語の意味と矛盾する場合、本開示における用語の意味が優先されることが意図される。さらに、前述の議論は、本発明の単なる例示的な実施形態を開示および記載する。当業者は、そのような議論から、および添付の図面および特許請求の範囲から、以下の特許請求の範囲において定義されるような本発明の精神および範囲から逸脱することなく、この中で多様な変化、修正および変動を行うことができることを容易に認識するであろう。多数の実施形態が記載されている。それにもかかわらず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多様な修正が行われてもよいことが理解されるであろう。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B