IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アーの特許一覧

特許7542530緩衝塩及びアミノ酸を含有する粉末、そのような粉末の栄養製品への再構成、並びにそのような栄養製品を使用する方法
<>
  • 特許-緩衝塩及びアミノ酸を含有する粉末、そのような粉末の栄養製品への再構成、並びにそのような栄養製品を使用する方法 図1
  • 特許-緩衝塩及びアミノ酸を含有する粉末、そのような粉末の栄養製品への再構成、並びにそのような栄養製品を使用する方法 図2
  • 特許-緩衝塩及びアミノ酸を含有する粉末、そのような粉末の栄養製品への再構成、並びにそのような栄養製品を使用する方法 図3
  • 特許-緩衝塩及びアミノ酸を含有する粉末、そのような粉末の栄養製品への再構成、並びにそのような栄養製品を使用する方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】緩衝塩及びアミノ酸を含有する粉末、そのような粉末の栄養製品への再構成、並びにそのような栄養製品を使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/17 20160101AFI20240823BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20240823BHJP
   A23L 2/39 20060101ALI20240823BHJP
   A23L 2/66 20060101ALI20240823BHJP
   A23L 2/68 20060101ALI20240823BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240823BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20240823BHJP
   A61K 31/355 20060101ALI20240823BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20240823BHJP
   A61K 31/525 20060101ALI20240823BHJP
   A61K 33/04 20060101ALI20240823BHJP
   A61K 33/30 20060101ALI20240823BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240823BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240823BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 1/08 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 17/18 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20240823BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
A23L33/17
A23L2/00 F
A23L2/00 Q
A23L2/52
A23L2/52 101
A23L2/66
A23L2/68
A61K9/14
A61K31/198
A61K31/355
A61K31/375
A61K31/525
A61K33/04
A61K33/30
A61K45/00
A61K47/04
A61K47/12
A61P1/08
A61P1/16
A61P3/00
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/10
A61P9/00
A61P9/10
A61P9/12
A61P13/12
A61P17/18
A61P19/10
A61P21/00
A61P25/28
A61P27/16
A61P29/00
A61P31/18
A61P35/00
A61P39/06
A61P43/00 105
A61P43/00 121
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2021519833
(86)(22)【出願日】2019-11-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 EP2019079947
(87)【国際公開番号】W WO2020089447
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-19
(31)【優先権主張番号】62/754,918
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ジェミリ, セイフン
【審査官】二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-106217(JP,A)
【文献】特開2001-048797(JP,A)
【文献】特開平06-335364(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103976023(CN,A)
【文献】特表2016-516439(JP,A)
【文献】国際公開第2017/120597(WO,A1)
【文献】米国特許第04784865(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0077303(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0132440(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0269535(US,A1)
【文献】国際公開第2012/013975(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/033183(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/064714(WO,A1)
【文献】特表2018-516280(JP,A)
【文献】特開2014-209929(JP,A)
【文献】特開2007-070403(JP,A)
【文献】特表2011-509286(JP,A)
【文献】特表2015-518038(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0342923(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0256760(US,A1)
【文献】国際公開第2004/107881(WO,A1)
【文献】米国特許第05629023(US,A)
【文献】米国特許第06368617(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0265505(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/39 - 33/17
A61K 9/14 - 47/04
A61P 1/08 - 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緩衝塩及びアミノ酸を含む、タンパク質含有液体において再構成される粉末であって、
記アミノ酸は、遊離型、ジペプチド、トリペプチド、及びこれらの混合物からなる群から選択される形態のアミノ酸を少なくとも部分的に含む量で存在し、
前記緩衝塩が、リン酸二ナトリウム及び二塩基性リン酸カリウムを含み、
前記アミノ酸が、N-アセチルシステイン及びグリシンを含み、
前記タンパク質が、乳タンパク質を含む、粉末。
【請求項2】
前記粉末における酵素及び抗体の含有量が0重量%以上1.0重量%未満である、請求項1に記載の粉末。
【請求項3】
少なくとも1種のビタミン又はミネラルを更に含む、請求項1又は2に記載の粉末。
【請求項4】
前記アミノ酸が、グルタチオンに由来するL-システイン、グリシン、及びL-グルタメートを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項5】
前記アミノ酸が、L-システインを更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項6】
前記アミノ酸が、グリシンの機能性誘導体を更に含み
前記機能性誘導体が、L-グリシンエチルエステル、D-アリルグリシン、N-[ビス(メチルチオ)メチレン]グリシンメチルエステル、Boc-アリル-Gly-OH(ジシクロヘキシルアンモニウム)塩、Boc-D-Chg-OH、Boc-Chg-OH、(R)-N-Boc-(2’-クロロフェニル)グリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、(R)-N-Boc-4-フルオロフェニルグリシン、Boc-D-プロパルギルグリシン、Boc-(S)-3-チエニルグリシン、Boc-(R)-3-チエニルグリシン、D-a-シクロヘキシルグリシン、L-a-シクロプロピルグリシン、N-(2-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、N-(4-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、Fmoc-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-Gly-OH、N-(2-フロイル)グリシン、L-a-ネオペンチルグリシン、D-プロパルギルグリシン、サルコシン、Z-a-ホスホノグリシントリメチルエステル、及びこれらの混合物から選ばれる、請求項1~のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項7】
タボリックシンドローム、加齢に伴う代謝調節の低下、及び筋肉インディケーションからなる群から選択される少なくとも1つの状態の治療をする、発生率を低下させる、又は重症度を低減するのに用いられる単位剤形である、請求項に記載の粉末。
【請求項8】
i)酸化ストレス、酸化ストレスに関連する状態、グルタチオンレベルの減少、グルタチオンレベルの減少に関連する状態からなる群から選択される少なくとも1つの身体状態を治療若しくは予防すること、又は(ii)肥満、前糖尿病及び/若しくは糖尿病の将来の発症を予防するための胎児代謝プログラミング、妊娠糖尿病における母体及び胎児の健康、運動能力及び身体機能、生活の質、寿命、記憶、認知、外傷後の回復及び生存、若しくは外傷及び手術からの回復のうちの1つ以上を改善すること、のうちの少なくとも1つに用いられる単位剤形である、請求項に記載の粉末。
【請求項9】
化の悪影響、筋力低下、前糖尿病、妊娠糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、糖尿病合併症、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、脂質異常症、過体重、肥満、コレステロールレベルの上昇、トリグリセリドレベルの上昇、脂肪酸レベルの増大、脂肪性肝疾患、腎疾患、心血管疾患、神経変性疾患、認知機能の低下、ミオパチー、非アルコール性脂肪性肝炎、耳鳴、めまい、アルコールによる二日酔い、難聴、骨粗鬆症、高血圧、アテローム性動脈硬化症/冠動脈疾患、ストレス後の心筋損傷、外傷性脳損傷、嚢胞性線維症、炎症、がん、及びHIV感染からなる群から選択される少なくとも1つの身体状態を治療又は予防するのに用いられる単位剤形である、請求項に記載の粉末。
【請求項10】
少なくとも4つのアミノ酸残基を有するタンパク質の含有量が0重量%以上1.0重量%未満である、請求項1~のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項11】
タンパク質を含む液体における粉末の再構成によって生じる、タンパク質の変性及び/又はタンパク質の凝固を減少させる又は予防する方法であって、
前記粉末が緩衝塩及びアミノ酸を含み、
前記方法が、(i)前記緩衝塩を前記アミノ酸と乾燥混合する工程と、(ii)前記緩衝塩と前記アミノ酸とを含む水溶液を乾燥させる工程と、からなる群から選択される工程を含み、
前記粉末において、前記アミノ酸は、遊離型、ジペプチド、トリペプチド、及びこれらの混合物からなる群から選択される形態のアミノ酸を少なくとも部分的に含む量で存在し、
前記緩衝塩が、リン酸二ナトリウム及び二塩基性リン酸カリウムを含み、
前記アミノ酸が、N-アセチルシステイン及びグリシンを含み、
前記タンパク質が、乳タンパク質を含む、方法。
【請求項12】
前記粉末における酵素及び抗体の含有量が0重量%以上1.0重量%未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アミノ酸が、L-システインを更に含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記アミノ酸が、グリシンの機能性誘導体を更に含み
前記機能性誘導体が、L-グリシンエチルエステル、D-アリルグリシン、N-[ビス(メチルチオ)メチレン]グリシンメチルエステル、Boc-アリル-Gly-OH(ジシクロヘキシルアンモニウム)塩、Boc-D-Chg-OH、Boc-Chg-OH、(R)-N-Boc-(2’-クロロフェニル)グリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、(R)-N-Boc-4-フルオロフェニルグリシン、Boc-D-プロパルギルグリシン、Boc-(S)-3-チエニルグリシン、Boc-(R)-3-チエニルグリシン、D-a-シクロヘキシルグリシン、L-a-シクロプロピルグリシン、N-(2-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、N-(4-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、Fmoc-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-Gly-OH、N-(2-フロイル)グリシン、L-a-ネオペンチルグリシン、D-プロパルギルグリシン、サルコシン、Z-a-ホスホノグリシントリメチルエステル、及びこれらの混合物から選ばれる、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記粉末が、少なくとも1種のビタミン又はミネラルを更に含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
緩衝塩と、アミノ酸と、タンパク質を含む材料とを含む液体栄養製品であって、
前記栄養製品が、前記緩衝塩と前記アミノ酸とを含む粉末を、前記材料を含む液体により再構成する工程を含む方法によって製造され、
前記粉末において、前記アミノ酸は、遊離型、ジペプチド、トリペプチド、及びこれらの混合物からなる群から選択される形態のアミノ酸を少なくとも部分的に含む量で存在
前記緩衝塩が、リン酸二ナトリウム及び二塩基性リン酸カリウムを含み、
前記アミノ酸が、N-アセチルシステイン及びグリシンを含み、
前記タンパク質が、乳タンパク質を含む、栄養製品。
【請求項17】
前記粉末における酵素及び抗体の含有量が0重量%以上1.0重量%未満である、請求項16に記載の栄養製品。
【請求項18】
飲料である、請求項16又は17に記載の栄養製品。
【請求項19】
前記液体が、ジュース又はポリフェノールのうちの少なくとも1つである酸性成分を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の栄養製品。
【請求項20】
前記液体が、物タンパク質、コラーゲン、及びこれらのブレンドからなる群から選択されるタンパク質を更に含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の栄養製品。
【請求項21】
前記アミノ酸が、L-システインを更に含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の栄養製品。
【請求項22】
液体により再構成して栄養製品を形成するために配合された粉末を製造する方法であって、
前記液体が、タンパク質を含み
前記粉末が、緩衝塩及びアミノ酸を含み、
前記方法が、(i)前記緩衝塩を前記アミノ酸と乾燥混合する工程と、(ii)前記緩衝塩と前記アミノ酸とを含む水溶液を乾燥させる工程と、からなる群から選択される工程を含み、
前記粉末において、前記アミノ酸は、遊離型、ジペプチド、トリペプチド、及びこれらの混合物からなる群から選択される形態のアミノ酸を少なくとも部分的に含む量で存在
前記緩衝塩が、リン酸二ナトリウム及び二塩基性リン酸カリウムを含み、
前記アミノ酸が、N-アセチルシステイン及びグリシンを含み、
前記タンパク質が、乳タンパク質を含む、方法。
【請求項23】
前記粉末における酵素及び抗体の含有量が0重量%以上1.0重量%未満である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記アミノ酸が、L-システインを更に含む、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記アミノ酸が、グリシンの機能性誘導体を更に含み
前記機能性誘導体が、L-グリシンエチルエステル、D-アリルグリシン、N-[ビス(メチルチオ)メチレン]グリシンメチルエステル、Boc-アリル-Gly-OH(ジシクロヘキシルアンモニウム)塩、Boc-D-Chg-OH、Boc-Chg-OH、(R)-N-Boc-(2’-クロロフェニル)グリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、(R)-N-Boc-4-フルオロフェニルグリシン、Boc-D-プロパルギルグリシン、Boc-(S)-3-チエニルグリシン、Boc-(R)-3-チエニルグリシン、D-a-シクロヘキシルグリシン、L-a-シクロプロピルグリシン、N-(2-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、N-(4-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、Fmoc-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-Gly-OH、N-(2-フロイル)グリシン、L-a-ネオペンチルグリシン、D-プロパルギルグリシン、サルコシン、Z-a-ホスホノグリシントリメチルエステル、及びこれらの混合物から選ばれる、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
リン酸塩と、アミノ酸と、ビタミンEと、ビタミンCと、ビタミンB2と、亜鉛とを含む、タンパク質含有液体において再構成される粉末であって、
前記粉末において、前記アミノ酸が、遊離型、ジペプチド、トリペプチド、及びこれらの混合物からなる群から選択される形態のアミノ酸を少なくとも部分的に含む量で存在し、
前記リン酸塩が、リン酸二ナトリウム及び二塩基性リン酸カリウムを含み、
前記アミノ酸が、N-アセチルシステイン及びグリシンを含み、
前記タンパク質が、乳タンパク質を含む、粉末。
【請求項27】
前記粉末における酵素及び抗体の含有量が0重量%以上1.0重量%未満である、請求項26に記載の粉末。
【請求項28】
前記アミノ酸がグリシンの機能性誘導体を更に含み、前記機能性誘導体が、L-グリシンエチルエステル、D-アリルグリシン、N-[ビス(メチルチオ)メチレン]グリシンメチルエステル、Boc-アリル-Gly-OH(ジシクロヘキシルアンモニウム)塩、Boc-D-Chg-OH、Boc-Chg-OH、(R)-N-Boc-(2’-クロロフェニル)グリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、(R)-N-Boc-4-フルオロフェニルグリシン、Boc-D-プロパルギルグリシン、Boc-(S)-3-チエニルグリシン、Boc-(R)-3-チエニルグリシン、D-a-シクロヘキシルグリシン、L-a-シクロプロピルグリシン、N-(2-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、N-(4-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、Fmoc-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-Gly-OH、N-(2-フロイル)グリシン、L-a-ネオペンチルグリシン、D-プロパルギルグリシン、サルコシン、Z-a-ホスホノグリシントリメチルエステル、及びこれらの混合物から選ばれる、請求項26又は27に記載の粉末
【請求項29】
前記アミノ酸が、L-システインを更に含む、請求項26~28のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項30】
前記粉末が、1日当たりの推奨栄養摂取量以内の量で、前記ビタミンE、前記ビタミンC、前記ビタミンB2、及び前記亜鉛の各々を含む単位剤形である、請求項26~29のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項31】
セレンを更に含有する、請求項26~30のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項32】
リン酸塩と、アミノ酸と、ビタミンEと、ビタミンCと、ビタミンB2と、亜鉛と、タンパク質を含む材料とを含む液体栄養製品であって、
前記栄養製品が、前記リン酸塩と、前記アミノ酸と、前記ビタミンEと、前記ビタミンCと、前記ビタミンB2と、前記亜鉛とを含む粉末を、前記材料を含む液体により再構成する工程を含む方法によって製造され、
前記粉末において、前記アミノ酸が、遊離型、ジペプチド、トリペプチド、及びこれらの混合物からなる群から選択される形態のアミノ酸を少なくとも部分的に含む量で存在し、
前記リン酸塩が、リン酸二ナトリウム及び二塩基性リン酸カリウムを含み、
前記アミノ酸が、N-アセチルシステイン及びグリシンを含み、
前記タンパク質が、乳タンパク質を含む、液体栄養製品
【請求項33】
前記粉末における酵素及び抗体の含有量が0重量%以上1.0重量%未満である、請求項32に記載の液体栄養製品。
【請求項34】
前記アミノ酸がグリシンの機能性誘導体を更に含み、前記機能性誘導体が、L-グリシンエチルエステル、D-アリルグリシン、N-[ビス(メチルチオ)メチレン]グリシンメチルエステル、Boc-アリル-Gly-OH(ジシクロヘキシルアンモニウム)塩、Boc-D-Chg-OH、Boc-Chg-OH、(R)-N-Boc-(2’-クロロフェニル)グリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、(R)-N-Boc-4-フルオロフェニルグリシン、Boc-D-プロパルギルグリシン、Boc-(S)-3-チエニルグリシン、Boc-(R)-3-チエニルグリシン、D-a-シクロヘキシルグリシン、L-a-シクロプロピルグリシン、N-(2-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、N-(4-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、Fmoc-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-Gly-OH、N-(2-フロイル)グリシン、L-a-ネオペンチルグリシン、D-プロパルギルグリシン、サルコシン、Z-a-ホスホノグリシントリメチルエステル、及びこれらの混合物から選ばれる、請求項32又は33に記載の液体栄養製品
【請求項35】
前記アミノ酸が、L-システインを更に含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の液体栄養製品。
【請求項36】
前記粉末が、1日当たりの推奨栄養摂取量以内の量で、前記ビタミンE、前記ビタミンC、前記ビタミンB2、及び前記亜鉛の各々を含む単位剤形から再構成された、請求項32~35のいずれか一項に記載の液体栄養製品。
【請求項37】
セレンを更に含有する、請求項32~36のいずれか一項に記載の液体栄養製品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]本開示は、概して、緩衝塩、アミノ酸、並びに任意選択的にビタミン及び/又はミネラルを使用する組成物及び方法に関する。非限定的な実施形態では、組成物は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1種のN-アセチル-システイン、L-システイン、又はこれらの機能性誘導体と、緩衝塩とを含む粉末であり、この粉末を液体において再構成して栄養製品を形成することができる。
【0002】
[0002]人口の高齢化は人口動態の面で特筆すべき事象である。寿命が延長されていることに起因して、中高年者人口の増加が集団全体の増加よりも大きくなっていることから、中高年者人口のその他の人口に対する割合は大幅に増加している。例えば、1950年代には60歳以上の高齢者は12人に1人であったのが、2000年代の終わりには60歳以上の高齢者は10人に1人となった。2050年代の終わりまでには、世界的に5人に1人が60歳以上の高齢者になると予測されている。
【0003】
[0003]中高年では、加齢に伴い進行する認知機能の低下を含むある程度の認知障害になることが多く、脳形態及び脳血管機能の加齢による変化が一般に観察される。認知機能の低下は、処理速度、注意、エピソード記憶、空間能力及び遂行機能などを含む広範な認知領域の老化と併せて報告されている。脳の画像解析により、これらの通常の加齢に伴う認知機能の低下は、脳の灰白質及び白質の両方の容積の減少と関連しており、加齢に伴って最も重く損傷を受けるのは前頭線条体系であることが判明している。このような皮質容積の減少は、例えば、酸化的損傷をもたらすフリーラジカルによる長期にわたる損傷の蓄積、慢性的な軽度の炎症、ホモシステインの蓄積(これが増加した場合は、認知障害及び認知症のリスク因子となる)、及びミトコンドリア機能の低下などの、通常の加齢に伴う多くの有害な細胞プロセスに起因する可能性がある。直接的な細胞の損傷に加え、脳は、微小血管構造の傷害からも間接的な損傷を受ける。
【0004】
[0004]老化、更には認知症の病理が、互いに関連し合うこれらの因子間の複雑な相互作用を内包することは明らかである。例えば、ミトコンドリアの機能不全は結果として酸化ストレスを増加させ、酸化ストレスは炎症及び血管損傷のトリガーとなり得る。
【0005】
[0005]更に、認知機能の低下は、アルツハイマー病の早期予測因子であり、認知症の発症前に始まる。この場合、認知機能についての総合得点が、認知症より前に起こる認知機能の低下を評価するにあたって信頼性の高い手段となる。多くのエビデンスから、脳の健康を維持し、加齢による認知機能の低下を予防することで、アルツハイマー病及び他の加齢に伴う神経病理による認知症の進行を予防すること又は遅らせることができることが示唆されている。
【0006】
[0006]生物学及び心理学において、用語「ストレス」は、実際のものであるのか又は想像上のものであるのかにかかわらず、生理学的、感情的、又は身体的脅威に、ヒト又は他の動物が適切に応答できずに生じる結果を指す。ストレスの特徴は、精神生物学的には、酸化ストレスの発現として、すなわち、活性酸素種の産生及び発現と、生体システムが活性中間体を速やかに解毒する能力又はもたらされた損傷を速やかに修復する能力との釣り合いが取れなくなっている状態として現れる場合がある。組織の正常なレドックス状態が乱れると、タンパク質、脂質、及びDNAなどといった細胞のあらゆる成分を損傷させる、過酸化物及びフリーラジカルの産生により、毒性作用が引き起こされることがある。いくつかの活性酸化種は、「レドックスシグナル」と呼ばれる現象によりメッセンジャーとしても作用することがある。
【0007】
[0007]ヒトでは、酸化ストレスは多くの疾患に関与する。例としては、アテローム性動脈硬化症、パーキンソン病、心不全、心筋梗塞、アルツハイマー病、統合失調症、双極性障害、脆弱X症候群、及び慢性疲労症候群が挙げられる。
【0008】
[0008]ヒトにおける通常の条件下での活性酸素源の1つには、酸化的リン酸化中の、ミトコンドリアからの活性酸素の漏出がある。スーパーオキシド(O2-)を産生し得る他の酵素には、キサンチンオキシダーゼ、NADPHオキシダーゼ、及びシトクロムP450がある。別の強力な酸化剤である過酸化水素は、いくつかのオキシダーゼを含む多様な酵素によって産生される。活性酸素種は、レドックスシグナルと呼ばれる細胞のシグナル伝達プロセスにおいて重要な役割を果たす。したがって、適切な細胞恒常性を維持するために、活性酸素の産生と消費との間で均衡をはかる必要がある。
【0009】
[0009]酸化ストレスは、紫外線照射及び酸素過剰後の組織障害の一因となる。また、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、及びハンチントン病を始めとする神経変性疾患において重要であると推測される。
【0010】
[0010]血管内皮における低密度リポタンパク質(LDL)の酸化はプラーク形成の前兆であることから、酸化ストレスは特定の心血管疾患にも関連していると考えられている。酸化ストレスはまた、低酸素状態後の酸素の再潅流による障害に起因する虚血のカスケードでも働く。このカスケードには、脳卒中及び心臓発作の両方を含む。酸化ストレスはまた、慢性疲労症候群にも関わっている。
【0011】
[0011]更に、老化に関するフリーラジカル理論は、老化の生物学的プロセスは高齢者における酸化ストレスの増大により生じると示唆している。酸化ストレスにより生じ得る損傷に細胞が抵抗する能力は、生体における、酸化体フリーラジカルの生成と、当該細胞が利用することのできる数々の防御的な抗酸化物質とのバランスによって決まる。複数の抗酸化防御系の中でも、グルタチオン(GSH)は、総合的な抗酸化防御に関係し最も豊富な細胞内成分である。トリペプチドであるGSHは、前駆体アミノ酸であるグルタミン酸塩、システイン、及びグリシンから、グルタミン酸システインリガーゼ(GCL、γ-グルタミルシステイン合成酵素としても知られる、EC 6.3.2.2)及びγ-L-グルタミル-L-システイン:グリシンリガーゼ(グルタチオン合成酵素としても知られる、EC 6.3.2.3)により触媒される2つの工程で合成され、細胞内で新たにGSH合成が起こる。
【0012】
[発明の概要]
[0012]N-アセチルシステイン(NAC)などの酸性アミノ酸は、液体中のタンパク質を変性させ得る。従来では、タンパク質含有液体のpHを増加させるために、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムなどの塩基性添加剤を溶液に使用している。しかしながら、本発明者らは、タンパク質含有溶液のpHが増加するとタンパク質構造の立体配置が変化する可能性があり、これにより、酸性アミノ酸の添加前に変性又はゲル化に至る場合があることに注目した。
【0013】
[0013]本発明者らは、驚くべきことに、リン酸二ナトリウム及び/又は二塩基性リン酸カリウムなどの緩衝塩を酸性アミノ酸とブレンドし、次いで、乳タンパク質、植物タンパク質、コラーゲン、又はこれらのブレンドなどのタンパク質を含有する液体に添加することができることを見出した。したがって、液体の安定したpHを確立及び/又は維持することにより、様々な濃度及び条件でのタンパク質の変性を回避することができる。
【0014】
[0014]実際、タンパク質は液体環境のpH変化に敏感であり、pHがわずかに変化しただけでタンパク質構造の破壊が生じる場合があり、ゲル化、沈殿、及び凝集につながり得る変性が生じる場合がある。環境pHの変化を生じる仕組みの1つには、酸性成分又は塩基性成分の添加がある。例えば、アミノ酸は、pHの増加又は減少をもたらし得る化学構造を有する。したがって、これらのアミノ酸をタンパク質含有液体製品に添加することで、pHの増加又は減少に起因する変性が生じ得る。本明細書で後述するように、本発明者らは、緩衝塩の添加がタンパク質含有液体におけるpHの劇的な変化を回避することを評価した。本発明者らは、これらの緩衝塩が、緩衝塩を使用しなかった場合と比較してpHの変化を最小化し、かつタンパク質の沈殿を減少させたことを見出した。
【0015】
[0015]したがって、一般的な実施形態では、本開示は、緩衝塩とアミノ酸とを含む粉末を提供する。粉末は、(i)アミノ酸は、遊離型、ジペプチド、トリペプチド、及びこれらの混合物からなる群から選択される形態のアミノ酸を少なくとも部分的に含む量で存在する、並びに、(ii)粉末は酵素及び抗体を実質的に含まない、からなる群から選択される少なくとも1つの特徴を有する。
【0016】
[0016]一実施形態では、アミノ酸は酸性アミノ酸を含む。
【0017】
[0017]一実施形態では、粉末は、少なくとも1種のビタミン又はミネラルを更に含む。
【0018】
[0018]一実施形態では、粉末は、カルシウム、ナトリウム、又はカリウムのうちの少なくとも1つを更に含む。
【0019】
[0019]一実施形態では、アミノ酸は、粉末中のグルタチオンによって提供されるL-システイン、グリシン、及びL-グルタメートを含む。
【0020】
[0020]一実施形態では、アミノ酸は、少なくとも1種のN-アセチル-システイン又はその機能性誘導体を含む。
【0021】
[0021]一実施形態では、アミノ酸は、少なくとも1種のN-アセチル-システイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体との組み合わせを含む。
【0022】
[0022]粉末は、少なくとも1種のN-アセチル-システイン、L-システイン、又はこれらの機能性誘導体と、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体との組み合わせを、メタボリックシンドローム、加齢に伴う代謝調節の低下、及び筋肉インディケーション(muscle indications)からなる群から選択される少なくとも1つの状態の治療をする、発生率を低下させる、又は重症度を低減するのに効果的な量で含む、単位剤形とすることができる。
【0023】
[0023]粉末は、少なくとも1種のN-アセチル-システイン、L-システイン、又はこれらの機能性誘導体と、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体との組み合わせを、(i)酸化ストレス、酸化ストレスに関連する状態(例えば、皮膚の老化などといった老化とその影響)、グルタチオンレベルの減少、グルタチオンレベルの減少に関連する状態からなる群から選択される少なくとも1つの身体状態を治療若しくは予防すること、又は(ii)肥満、前糖尿病及び/若しくは糖尿病の将来の発症を予防するための胎児代謝プログラミング、妊娠糖尿病における母体及び胎児の健康、運動能力及び身体機能、生活の質、寿命、記憶、認知、外傷後の回復及び生存、若しくは外傷及び手術からの回復のうちの1つ以上を改善すること、のうちの少なくとも1つに有効な量で含む、単位剤形とすることができる。
【0024】
[0024]粉末は、少なくとも1種のN-アセチル-システイン又はその機能性誘導体と、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体との組み合わせを、老化の悪影響、筋力低下、前糖尿病、妊娠糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、糖尿病合併症、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、脂質異常症、過体重、肥満、コレステロールレベルの上昇、トリグリセリドレベルの上昇、脂肪酸レベルの増大、脂肪性肝疾患、腎疾患、心血管疾患、神経変性疾患、認知機能の低下、スタチン誘発性ミオパチーなどのミオパチー、非アルコール性脂肪性肝炎、耳鳴、めまい、アルコールによる二日酔い、難聴、骨粗鬆症、高血圧、アテローム性動脈硬化症/冠動脈疾患、ストレス後の心筋損傷、外傷性脳損傷、嚢胞性線維症、炎症、がん、及びHIV感染からなる群から選択される少なくとも1つの身体状態を治療又は予防するのに有効な量で含む、単位剤形とすることができる。
【0025】
[0025]一実施形態では、粉末は、少なくとも4つのアミノ酸残基を有するタンパク質を実質的に含まない。
【0026】
[0026]別の実施形態では、本開示は、タンパク質、酸性成分、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含む液体において粉末を再構成することで生じるタンパク質の変性及び/又はタンパク質の凝固を、減少させる又は予防する方法を提供する。本方法は、(i)緩衝塩をアミノ酸と乾燥混合する工程と、(ii)緩衝塩とアミノ酸とを含む水溶液を乾燥させる工程と、からなる群から選択される工程を含む。粉末は、(i)アミノ酸は、遊離型、ジペプチド、トリペプチド、及びこれらの混合物からなる群から選択される形態のアミノ酸を少なくとも部分的に含む量で存在する、並びに、(ii)粉末は酵素及び抗体を実質的に含まない、からなる群から選択される少なくとも1つの特徴を有する。
【0027】
[0027]一実施形態では、アミノ酸は、少なくとも1種のN-アセチル-システイン又はその機能性誘導体を含む。
【0028】
[0028]一実施形態では、アミノ酸は、少なくとも1種のN-アセチル-システイン、L-システイン、又はこれらの機能性誘導体と、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体との組み合わせを含む。
【0029】
[0029]一実施形態では、粉末は、少なくとも1種のビタミン又はミネラルを更に含む。
【0030】
[0030]別の実施形態では、本開示は、緩衝塩と、アミノ酸と、酸性成分、タンパク質、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料とを含む液体栄養製品を提供する。栄養製品は、緩衝塩とアミノ酸とを含む粉末を、材料を含む液体により再構成する工程を含む方法によって製造される。粉末は、(i)アミノ酸は、遊離型、ジペプチド、トリペプチド、及びこれらの混合物からなる群から選択される形態のアミノ酸を少なくとも部分的に含む量で存在する、並びに、(ii)粉末は酵素及び抗体を実質的に含まない、からなる群から選択される少なくとも1つの特徴を有する。
【0031】
[0031]一実施形態では、栄養製品は飲料である。
【0032】
[0032]一実施形態では、液体は、ジュース又はポリフェノール(例えば、フラボノイド)のうちの少なくとも1つである酸性成分を含む。
【0033】
[0033]一実施形態では、液体は、乳タンパク質、植物タンパク質、コラーゲン、及びこれらのブレンドからなる群から選択されるタンパク質を含む。
【0034】
[0034]別の実施形態では、本開示は、液体により再構成して栄養製品を形成するために配合された粉末を製造する方法を提供する。液体は、タンパク質、酸性成分、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含む。本方法は、(i)緩衝塩をアミノ酸と乾燥混合する工程と、(ii)緩衝塩とアミノ酸とを含む水溶液を乾燥させる工程と、からなる群から選択される工程を含む。粉末は、(i)アミノ酸は、遊離型、ジペプチド、トリペプチド、及びこれらの混合物からなる群から選択される形態のアミノ酸を少なくとも部分的に含む量で存在する、並びに、(ii)粉末は酵素及び抗体を実質的に含まない、からなる群から選択される少なくとも1つの特徴を有する。
【0035】
[0035]一実施形態では、アミノ酸は、少なくとも1種のN-アセチル-システイン、L-システイン、又はこれらの機能性誘導体を含む。
【0036】
[0036]一実施形態では、アミノ酸は、少なくとも1種のN-アセチル-システイン、L-システイン、又はこれらの機能性誘導体と、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体との組み合わせを含む。
【0037】
[0037]一実施形態では、粉末は、少なくとも1種のビタミン又はミネラルを更に含む。
【0038】
[0038]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の利点は、ジュース若しくはポリフェノール(例えば、フラボノイド)のうちの少なくとも1つである酸性成分を含有する液体、及び/又は乳タンパク質、植物タンパク質、コラーゲン、若しくはこれらのブレンドなどのタンパク質を含有する液体などといった、それによりアミノ酸を再構成する液体中での、タンパク質の変性及び凝固を最小化又は予防することにより、N-アセチルシステイン、L-システイン、及び/又はグリシンなどのアミノ酸の再構成を促進することである。
【0039】
[0039]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、ビタミン及び/又は沈殿を増加させ得るナトリウム、カリウム、又はカルシウムなどのミネラルを含有する粉末の再構成を、液体への粉末の溶解における、かかる化合物の悪影響を最小化又は予防することにより促進することである。
【0040】
[0040]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の更に別の利点は、年齢とともに減少するグルタチオンプールを補充することである。
【0041】
[0041]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の利点は、加齢に伴う代謝遅延を相殺するのを助けることである。
【0042】
[0042]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、脂肪酸代謝を高めるのを助けることである。
【0043】
[0043]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の利点は、血中の健康なLDLコレステロールレベル及び脂肪酸レベルの維持を助けることである。
【0044】
[0044]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、加齢に伴い細胞において十分な量では利用できなくなる重要なアミノ酸を補うことである。
【0045】
[0045]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の更に別の利点は、細胞機能及び細胞保護にとって重要なグルタチオン産生の前駆体であるアミノ酸を提供することである。
【0046】
[0046]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の利点は、細胞内のグルタチオンレベルの増加を助けることである。
【0047】
[0047]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、年齢とともに低下するグルタチオンレベルの濃度を改善することである。
【0048】
[0048]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の更に別の利点は、健康な筋肉量を維持するのを助けることである。
【0049】
[0049]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の利点は、身体への酸化ストレスの低減を助けることである。
【0050】
[0050]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、グルタチオンの調節を介して正常な免疫系を支援することである。
【0051】
[0051]更なる特徴及び利益が本明細書において記述されており、以下の図面、及び発明を実施するための形態から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
[0052]
図1】本明細書に記載されるように、緩衝塩を含まない粉末N-アセチル-システイン(NAC)の、乳製品ベースの液体への室温での溶解を試験的に実験したものを示す。
図2】本明細書に記載されるように、緩衝塩を含む粉末NACの、乳製品ベースの液体への室温での溶解を試験的に実験したものを示す。
図3】本明細書に記載されるように、緩衝塩を含まない粉末NAC及び粉末グリシンの、乳製品ベースの液体への室温での溶解を試験的に実験したものを示す。
図4】本明細書に記載されるように、緩衝塩を含む粉末NAC及び粉末グリシンの、乳製品ベースの液体への室温での溶解を試験的に実験したものを示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
[0056]定義
[0057]以下、いくつかの定義を示す。しかしながら定義が以下の「実施形態」の項にある場合もあり、上記の見出し「定義」は、「実施形態」の項におけるそのような開示が定義ではないことを意味するものではない。
【0054】
[0058]本明細書に記載する全ての百分率は、別途記載のない限り、組成物の総重量によるものである。本明細書で使用するとき、「約」、「およそ」、及び「実質的に」は、数値範囲内、例えば、参照数字の-10%から+10%の範囲内、好ましくは-5%から+5%の範囲内、より好ましくは、参照数字の-1%から+1%の範囲内、最も好ましくは参照数字の-0.1%から+0.1%の範囲内の数を指すものと理解される。本明細書における全ての数値範囲は、その範囲内の全ての整数又は分数を含むと理解されるべきである。更に、これらの数値範囲は、この範囲内の任意の数又は数の部分集合を対象とする請求項を支持すると解釈されたい。例えば、1~10という開示は、1~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9などの範囲を支持するものと解釈されたい。
【0055】
[0059]本開示及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「1つの」、すなわち「a」、「an」及び「the」には、別段の指示がない限り、複数の参照物も含まれる。したがって、例えば、「1つの構成成分(a component)」又は「その構成成分(the component)」についての言及は、2つ以上の構成成分を含む。
【0056】
[0060]用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含んでいる(comprising)」は、排他的にではなく包含的に解釈されるべきである。同様にして、用語「含む(include)」、「含む(including)」及び「又は(or)」は全て、このような解釈が文脈から明確に妨げられない限りは包括的なものであると解釈される。しかしながら、本明細書に開示されている組成物は、本明細書において具体的に開示されていない要素を含まない場合がある。したがって、「含む/備える(comprising)」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている構成成分「から本質的になる(consisting essentially of)」実施形態、及び「からなる(consisting of)」実施形態の開示を含む。「から本質的になる」組成物とは、参照された構成成分を少なくとも50重量%、好ましくは参照された構成成分を少なくとも75重量%、より好ましくは参照された構成成分を少なくとも85重量%、最も好ましくは参照された構成成分を少なくとも95重量%含むことをいう。
【0057】
[0061]「X及び/又はY」の文脈で使用される用語「及び/又は」は、「X」若しくは「Y」又は「X及びY」として解釈されるべきである。同様に、「X又はYのうちの少なくとも1つ」は、「X」若しくは「Y」又は「X及びY」として解釈されるべきである。例えば、「少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体」は、「グリシン」又は「グリシンの機能性誘導体」又は「グリシン及びグリシンの機能性誘導体の両方」として解釈されるべきである。
【0058】
[0062]本明細書において使用する場合、用語「例」及び「例えば~など(such as)」は、その後に用語の列挙が続くときは特に、単に例示的かつ説明的なものにすぎず、排他的又は網羅的なものとみなされるべきではない。本明細書で使用するとき、別の状態「に関連する/伴う(comprises)」又は「と関連付けられる(linked with)」状態は、これらの状態が同時に起こることを意味し、好ましくは、これらの状態が同じ基礎症状によって引き起こされることを意味し、最も好ましくは、特定されている状態のうちの一方が他方の特定されている状態によって引き起こされることを意味する。
【0059】
[0063]本明細書で使用するとき、用語「栄養製品」は、ヒトなどの個体による摂取を意図した、かかる個体に少なくとも1種の栄養素を与える組成物を意味する。本明細書に記載される多くの実施形態を含む本開示の栄養製品は、本明細書に開示される要素、更には本明細書に記載の、又はそうでなくとも食生活に有用な、あらゆる追加の又は任意の材料、成分、若しくは要素を含み得る、これらからなり得る、又はこれらから本質的になり得る。
【0060】
[0064]本明細書で使用するとき、用語「単離された」は、単離されていない場合に、例えば自然界において、その化合物と一緒に見られ得る、1種以上の別の化合物又は成分から取り出されていることを意味する。好ましくは、例えば「単離された」は、特定されている化合物が、自然界で典型的に一緒に見られる細胞材料の少なくとも一部から分離されることを意味する。一実施形態では、単離された化合物は純粋なものであり、すなわち、他の化合物を含まない。
【0061】
[0065]「予防」は、状態又は疾患のリスク及び/又は重症度を低減させることを含む。用語「処置/治療」及び「処置/治療する」には、抑止的又は予防的治療(対象とする病的状態又は障害を予防する及び/又は発症を遅らせる治療)と、治癒的、治療的、又は疾患改質的治療との両方が含まれ、例えば、診断された病的状態又は障害の治癒、遅延、症状の軽減、及び/又は進行の停止のための治療的手段、並びに、疾患に罹患する危険性がある患者、又は疾患に罹患した疑いのある患者、及び体調不良の患者、又は疾患若しくは医学的状態に罹患していると診断された患者の治療が含まれる。用語「処置/治療」及び「処置/治療する」は、対象が全快するまで治療することを必ずしも意味するものではない。「処置/治療」及び「処置/治療する」という用語はまた、疾患に罹患してはいないが不健康な状態を発症しやすい可能性のある個体の健康を維持及び/又は促進することも指す。用語「処置/治療」及び「処置/治療する」はまた、1つ又は複数の主たる予防又は治療手段の相乗作用、又はそうでない場合強化を含むことも目的としている。非限定的な例として、処置/治療は、患者、介護者、医師、看護師、又は別の医療専門家によって行うことができる。
【0062】
[0066]本明細書で使用するとき、用語「単位剤形」は、ヒト及び動物対象に対する投与量の単位として好適な物理的に個別の単位を指し、各単位は、本明細書に記載される所定量の化合物を、所望の効果をもたらすのに十分な量で、好ましくは薬学的に許容可能な希釈剤、キャリア、又は媒体とともに含有する。単位剤形の仕様は、使用される具体的な化合物、達成しようとする効果、及びホスト体内の各化合物に関連する薬力学によって決まる。一実施形態では、単位剤形は、サッシェ内の所定量の粉末であり得る。
【0063】
[0067]「対象」又は「個体」は、哺乳動物、好ましくはヒトである。用語「高齢」は、ヒトに関連して、少なくとも60歳、好ましくは63歳超、より好ましくは65歳超、最も好ましくは70歳超の年齢を意味する。ヒトの文脈での「中高年者(older adult)」という用語は、45歳以上、好ましくは50歳より上、より好ましくは55歳より上の出生後年齢を意味し、高齢の個体を含む。
【0064】
[0068]本明細書で使用するとき、「有効量」とは、欠乏を予防する、個体の疾患若しくは医学的状態を治療する、又はより一般的には、症状を軽減させる、疾患の進行を管理する、又は個体に対して栄養学的、生理学的若しくは医学的利益をもたらす、量である。相対的な用語「改善された」、「増加した」、「強化された」などは、本明細書に開示される組成物、具体的には、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1種のN-アセチルシステイン、L-システイン、又はこれらの機能性誘導体と、緩衝塩とを含む組成物の効果を、これらの化合物のうちの1つ以上を不含であるがそれ以外は同一である組成物と比較して指す。本明細書で使用するとき、「促進すること」は、本明細書に開示される組成物を投与する前のレベルと比較して、特定のレベルを強化又は誘導することを指す。
【0065】
[0069]サルコペニアは、加齢に伴う筋肉量及び筋機能(筋力及び歩行速度を含む)の低下として定義される。本明細書で使用するとき、「フレイル」は、加齢に伴い複数の生理学的システムにわたって予備能及び機能が低下することに起因して、脆弱性が高まった結果、日常的又は急性のストレッサーに対処する能力が損なわれる、臨床的に認識可能な状態として定義される。確立された定量的な指標がない中で、Friedらにより、フレイルは、エネルギーが損なわれることを示す表現型の評価基準(phenotypic criteria):(1)虚弱(性別及び体格指数で調整したベースラインにて、握力が母集団の下位20%)、(2)持久力とエネルギーの低下(VOmaxに関連した自己申告による疲労)、(3)緩慢さ(性別及び身長で調整したベースラインにて、15フィート歩行する時間に基づき、母集団の下位20%)、(4)身体活動度の低下(ベースラインでの週当たりの消費キロカロリーを重み付けしたスコアで、各性別に関して特定される身体活動度の下位五分位、例えば、男性については383kcal/週未満、女性については270kcal/週未満)、並びに/又は意図しない体重減少(過去1年間で10ポンド)の、5つのうち3つを満たすものとして運用上定義されている。Fried LP,Tangen CM,Walston J,et al.,「Frailty in older adults:evidence for a phenotype.」J.Gerontol.A.Biol.Sci.Med.Sci.56(3):M146-M156(2001)。これらの基準のうちの1つ又は2つが存在するプレフレイル段階は、フレイルに進行するリスクが高いものとして特定される。
【0066】
[0070]「悪液質」は、著しい体重減少、食欲不振、無力症及び貧血を特徴とする重度の身体衰弱状態である。悪液質は、がん、敗血症、慢性心不全、関節リウマチ、及び後天性免疫不全症候群(AIDS)などの多くの病気によく見られる特徴である。
【0067】
[0071]「過体重」は、ヒトに関しては、体格指数(BMI)が25~30kg/mであることと定義される。「肥満」は、ヒトに関しては、BMIが少なくとも30kg/m、例えば30~39.9kg/mであることと定義される。「減量/体重減少」は、総体重の減少である。減量は、例えば、健康、フィットネス、又は外観のうちの1つ以上を改善するための総体重の減少を指し得る。
【0068】
[0072]「糖尿病」は、この疾患のI型及びII型の両方を包含する。糖尿病の危険因子の非限定的な例としては、男性で40インチ超若しくは女性で35インチ超の胴回り、130/85mmHg以上の血圧、150mg/dL超のトリグリセリド、100mg/dL超の空腹時血糖、又は男性で40mg/dL未満若しくは女性で50mg/dL未満の高密度リポタンパク質が挙げられる。
【0069】
[0073]本明細書で使用するとき、「メタボリックシンドローム」という用語は、併せて発生する場合に心血管疾患及び糖尿病を発症するリスクを増加させる内科的異常の組み合わせを指す。メタボリックシンドロームは、米国において5人に1人が罹患しており、有病率は年齢とともに増加する。米国における有病率は人口の25%であるとする推定を示す研究もある。国際糖尿病連合(International Diabetes Foundation)の世界共通定義(consensus worldwide definition、2006)に従って、メタボリックシンドロームは、中心性肥満に、以下のうちのいずれか2つを併せ持っているものである:
[0074]トリグリセリドの上昇:150mg/dL(1.7mmol/L)超、又はこの脂質異常を対象とする治療;
[0075]HDLコレステロールの低下:男性で40mg/dL(1.03mmol/L)未満、女性で50mg/dL(1.29mmol/L)未満、又はこの脂質異常を対象とする治療;
[0076]血圧の上昇:収縮期BPが130超若しくは拡張期BPが85mmHg超、又は以前に診断された高血圧の治療;及び
[0077]空腹時血漿グルコースの上昇:(FPG)が100mg/dL(5.6mmol/L)超、又は以前に2型糖尿病であると診断されている。
【0070】
[0078]本明細書で使用するとき、「神経変性疾患」又は「神経変性障害」は、中枢神経系において機能性ニューロンが徐々に減少する任意の状態を指す。一実施形態では、神経変性疾患は、加齢性の細胞死に関連する。神経変性疾患の非限定的な例としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS及びルーゲーリック病としても知られる)、AIDS認知症、副腎白質ジストロフィー、アレキサンダー病、アルパース病、毛細血管拡張性運動失調症、バッテン病、ウシ海綿状脳症(BSE)、カナバン病、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、レヴィ小体型認知症、致死性家族性不眠症、前頭側頭葉変性症、ケネディー病、クラッベ病、ライム病、マシャド・ジョセフ病、多発性硬化症、多系統萎縮症、神経有棘赤血球症、ニーマン・ピック病、ピック病、原発性側索硬化症、進行性核上性麻痺、レフサム病、サンドホフ病、びまん性髄鞘破壊性硬化症、脊髄小脳失調症、亜急性連合性脊髄変性症、脊髄癆(せきずいろう)、テイ・サックス病、中毒性脳症、伝染性海綿状脳症、及びハリネズミふらつき症候群が挙げられる。
【0071】
[0079]本明細書で使用するとき、「認知能力」は、対象が1つ以上の認知機能を十分に発揮する程度を指す。本明細書で使用するとき、「認知機能」は、ヒトがそれによりアイデアを認識、知覚、又は理解するようになる任意の精神的プロセスを指す。認知機能は、象徴的な操作、例えば、知覚、思考、推理、及び思い出すことの全ての側面を伴い、例えば、好ましくは、知覚、記憶、注意、言語理解、言語表出、読解力、イメージ想起、学習、及び推理を含む。通常、認知機能は、少なくとも記憶を指す。
【0072】
[0080]認知機能を測定するための方法は周知であり、例えば、認知機能の任意の特徴に関する個別テスト又はバッテリーテストを含むことができる。そのような試験の1つには、Margallo-LanaらによるPrudhoe認知機能検査(Prudhoe Cognitive Function Test)がある(2003)J.Intellect.Disability Res.47:488-492。別のそのような試験には、ミニメンタルステート検査(Mini Mental State Exam)(MMSE)があり、これは、時間及び場所に対する見当識、記銘、注意及び計算、再生、言語使用及び理解、復唱、並びに複雑な命令を評価するように設計されている。Folsteinら(1975)J.Psych.Res.12:189-198。認知機能を測定するのに有用な他の試験としては、アルツハイマー病評価スケール-認知(ADAS-Cog)(Rosen et al.(1984)AM.J.Psychinatry.141(11):1356-64)、及びCANTAB(Cambridge Neuropsychological Test Automated Battery)(Robbins et al.(1994) Dementia.5(5):266-81)が挙げられる。このような試験を使用して、認知機能を客観的に評価することができ、その結果、例えば、本明細書に開示されている方法による処置に応じた、認知機能の変化を測定及び比較することができる。
【0073】
[0081]本明細書で使用するとき、「認知障害」は、認知機能を低下させる任意の状態を指す。認知障害の非限定的な例としては、せん妄、認知症、学習障害、注意欠陥障害(ADD)、及び注意欠陥多動障害(ADHD)が挙げられる。
【0074】
[0082]本明細書で使用するとき、「アミノ酸」は、標準(タンパク質原性)アミノ酸を含み、かつアミノ酸のアミノ基、カルボキシ基、若しくは側鎖官能基での反応から生じる化合物、又は任意の水素をヘテロ原子で置換して生じる化合物などの、標準アミノ酸の誘導体もまた含む。本開示による好適なアミノ酸誘導体の非限定的な例としては、メチルエステル、アミノ酸tert-ブチルエステル、ベンジルエステル、及びエチルエステルなどのアミノ酸エステルが挙げられる。「酸性」アミノ酸は、ヒドロン(プロトン若しくは水素イオンH+)を供与することができる、又は電子対と共有結合を形成することができる任意のアミノ酸又はその誘導体である。
【0075】
[0083]本明細書で使用するとき、「粉末」は、任意の水分が組成物の6重量%以下である組成物である。
【0076】
[0084]実施形態
[0085]本開示の一態様は、液体において再構成して栄養製品を形成するために配合された粉末であり、粉末は、緩衝塩、アミノ酸、及び任意選択的に少なくとも1種のビタミン又はミネラルを含む。一実施形態では、アミノ酸は、(i)少なくとも1種のグリシン若しくはその機能性誘導体、又は(ii)少なくとも1種のN-アセチルシステイン、L-システイン、若しくはこれらの機能性誘導体のうちの1つ又は両方を含む。一実施形態では、アミノ酸は、粉末中のグルタチオンによって提供されるL-システイン、L-グルタミン酸、及びグリシンを含む。
【0077】
[0086]好適なビタミンの非限定的な例としては、ビタミンC及びビタミンB群が挙げられ、好適なビタミンの他の非限定的な例としては、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ビタミンB1、B2、B6、B12、及びナイアシン(B3)、又はこれらの組み合わせが挙げられる。ビタミンとしてはまた、ビタミンA、D、E及びK、並びに酸ビタミン、例えばパントテン酸、葉酸、及びビオチンを挙げることもできる。ビタミンAは、ビタミンAパルミテート及び/又はβ-カロテンとして存在してもよい。ビタミンD3は、好適な形態のビタミンDの例であり、いくつかの実施形態では、ビタミンD2もまた使用することができる。
【0078】
[0087]好適なミネラルの非限定的な例としては、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、銅、リン、マンガン、カリウム、クロム、モリブデン、セレン、ニッケル、スズ、ケイ素、バナジウム、及びホウ素が挙げられる。
【0079】
[0088]粉末は、粉末中のビタミン及び/又はミネラルの1日当たりの推奨量(recommended daily requirement、RDA)を与える量で投与することができる。いくつかの実施形態では、粉末の単位剤形は、ビタミン及び/又はミネラルに関するRDAの所定の一部、例えば、RDAの約50%、RDAの約75%、RDAの約100%、又はこれらの間の値を含有する。例えば、粉末の単位剤形は、1日に2つの単位剤形を投与することで、対応するビタミン及び/又はミネラルのRDAをほぼ完全に与えるように、RDAの約50%のビタミン及び/又はミネラルを含有することができる。別の例として、粉末の単位剤形は、1つの単位剤形を投与することで、対応するビタミン及び/又はミネラルのRDAをほぼ完全に与えるように、RDAの100%のビタミン及び/又はミネラルを含有することができる。
【0080】
[0089]ビタミンとミネラルとの好ましい混合物は、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンB2、及び亜鉛を含む。したがって、粉末の好ましい実施形態は、緩衝塩と、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1種のN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、ビタミンEと、ビタミンCと、ビタミンB2と、亜鉛とを含み、最も好ましくは、RDA内の量で投与される、かつ/又はRDA内の量で粉末中に存在するビタミン及びミネラルを含む。
【0081】
[0090]粉末の特に好ましい実施形態は、少なくとも1種のリン酸塩を含む緩衝塩を含み、粉末は、少なくとも1種のグリシン若しくはその機能性誘導体、少なくとも1種のN-アセチルシステイン若しくはその機能性誘導体、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンB2、及び亜鉛、並びに/又はセレンを更に含み、最も好ましくは、RDA内の量で投与される、かつ/又はRDA内の量で粉末中に存在するビタミン及びミネラルを含む。
【0082】
[0091]非限定的な例として、粉末の単位剤形は、約600mgのN-アセチルシステイン(NAC)、約600mgのグリシン、1種以上のリン酸塩(例えば、総リン酸塩が約500mg)、並びにビタミンE、ビタミンC、ビタミンB2、及び亜鉛の各々のRDAを含むことができる。
【0083】
[0092]別の非限定的な例として、粉末の単位剤形は、約485mgのN-アセチルシステイン(NAC)、約485mgのグリシン、1種以上のリン酸塩(例えば、総リン酸塩が約500mg)、並びにビタミンE、ビタミンC、ビタミンB2、セレン、及び亜鉛の各々のRDAを含むことができる。
【0084】
[0093]好適な緩衝塩の非限定的な例としては、クエン酸塩;一リン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩、及びポリリン酸塩(例えば、リン酸マグネシウム及びリン酸三ナトリウム)などのリン酸塩;ヘキサメタリン酸塩;炭酸塩及び重炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、及び炭酸カリウム)などのモノカーボネート;並びにこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、緩衝塩は、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸カリウム、リン酸二カリウム、一塩基性リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、又はリン酸三カルシウムのうちの少なくとも1つを含み;最も好ましくは、リン酸二ナトリウム又は二塩基性リン酸カリウムのうちの少なくとも1つである。本開示は緩衝塩の具体的な実施形態に限定されず、緩衝塩は、化合物が分散している水性媒体に酸又はアルカリを添加した際のpH変化を最小化又は予防することができる任意の化合物であり得る。
【0085】
[0094]粉末は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1種のN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、緩衝塩と、任意選択的に少なくとも1種のビタミン又はミネラルと、を含む液体を乾燥させることにより形成することができる。乾燥は、噴霧乾燥、凍結乾燥、又は当該技術分野において既知の任意の他の乾燥手順を含み得る。本開示は、粉末を製造する乾燥の具体的な実施形態に限定されず、乾燥は、水分を減少させて、例えば固体組成物を形成する任意の方法であり得る。追加的に又は代替的に、粉末は、乾燥混合によって製造することができる。
【0086】
[0095]好ましい実施形態では、粉末は、(i)アミノ酸は、遊離型、ジペプチド、トリペプチド、及びこれらの混合物からなる群から選択される形態のアミノ酸を少なくとも部分的に含む量で存在する、並びに、(ii)粉末は酵素及び抗体を実質的に含まない、からなる群から選択される少なくとも1つの特徴を有する。例えば、アミノ酸の少なくとも一部は遊離型であり得る、すなわち、他の任意の化合物に共有結合しない。追加的に又は代替的に、アミノ酸の少なくとも一部は、ジペプチド;トリペプチド;より大きなペプチド(すなわち、ペプチド中に少なくとも4つのアミノ酸残基)、又はインタクトなタンパク質のうちの1つ以上に存在することができる。しかしながら、好ましい実施形態では、粉末は酵素及び/又は抗体などの治療用タンパク質を実質的に含まず、特定の実施形態では、酵素及び/又は抗体などの治療用タンパク質を全く含まない。いくつかの実施形態では、粉末は、4つ以上のアミノ酸残基からなるタンパク質を実質的に含まない(又は全く含まない)。「実質的に含まない」は、1.0重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.2重量%未満、更により好ましくは0.1重量%未満、最も好ましくは0.01重量%未満を意味する。いくつかの実施形態では、粉末は、任意の残留水(例えば、乾燥後)、緩衝塩、アミノ酸、及び任意選択的に少なくとも1種のビタミン若しくはミネラルから本質的になる(又はそれらからなる)。
【0087】
[0096]粉末は、好ましくは室温でかつ/又は熱を加えずに、水などの液体において再構成して飲料などの栄養製品を形成することができる。好ましい実施形態では、粉末は、酸性成分(例えば、ジュース及び/又はフラボノイドなどのポリフェノール)並びにタンパク質(例えば、カゼイン及び/又はホエイなどの乳タンパク質;植物タンパク質;コラーゲン;並びにこれらのブレンド)からなる群から選択される成分を含む液体において再構成することができる。例えば、粉末は、市販の製品であるMERITENE(登録商標)、BOOST(登録商標)、NUTREN(登録商標)、及びSUSTAGEN(登録商標)などの経口栄養補給剤(oral nutrition supplement、ONS)により再構成することができる。しかしながら、本開示は、粉末を再構成する液体の具体的な実施形態に限定されず、液体は、動物又はヒトによる摂取に好適な任意の液体であり得る。
【0088】
[0097]更にこの関連で、本開示は、液体中の酸性成分の具体的な実施形態に限定されず、酸性成分は、液体に酸度を与える任意の化合物であり得る。また更に、本開示は、液体中のタンパク質の具体的な実施形態に限定されず、タンパク質は、任意のタンパク質、特に、pHの増加時に変性又はゲル化を受ける種類のものであり得る。
【0089】
[0098]粉末は、容器中で再構成するために、及び/又は使用者が容器から、粉末を再構成する飲用受容器中に粉末を移すことができるように、容器(例えば、密封容器)に入れて消費者に提供することができる。好適な容器の非限定的な例としては、袋、箱、カートン、ボトル、又はこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい容器としては、サッシェ/スティックパック、すなわち、典型的にはセロファン又は紙などの曲げやすいフィルムの、好ましくは一端又は両端を引き裂いて開けることができ、粉末の1つ分の単位剤形(すなわち、1回分の粉末)を含有する、小さな使い捨てパウチが挙げられる。
【0090】
[0099]少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1種のN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体との組み合わせは、それぞれ「Increasing glutathione levels for therapy,」を発明の名称とする、米国特許第8,362,080号、同第8,802,730号、及び同第9,084,760号、並びに「Benefits of Supplementation with N-Acetylcysteine and Glycine to Improve Glutathione Levels,」を発明の名称とする、米国特許出願公開第2018/0161297号により開示される組成物のいずれかによって提供することができ、このそれぞれは、本明細書の一部を構成するものとしてその全体を本願に援用する。
【0091】
[0100]一実施形態では、粉末の単位剤形は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1種のN-アセチル-システイン、L-システイン、又はこれらの機能性誘導体との組み合わせを、老化の悪影響、筋力低下(少なくともサルコペニア、HIV感染、老化、悪液質、無重力の悪影響を始めとする任意の理由で)、前糖尿病、妊娠糖尿病、糖尿病(I型又はII型)、糖尿病合併症(例えば、糖尿病性脂質異常症、並びに/又は腎症、網膜症、及び/若しくは神経障害などの糖尿病合併症の細小血管症)、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、脂質異常症、過体重、肥満、コレステロールレベルの上昇、トリグリセリドレベルの上昇、脂肪酸レベルの増大、脂肪性肝疾患(例えば、炎症を伴う又は伴わない、非アルコール性脂肪性肝疾患)、腎疾患、心血管疾患(例えば、例えば心不全を治療すること及び/又は心不全の重症度若しくは発生度を低下させることによる、心不全及び/又は心収縮機能障害)、神経変性疾患(例えば、老化によるもの)、認知機能の低下、スタチン誘発性ミオパチーなどのミオパチー、非アルコール性脂肪性肝炎、耳鳴、めまい、アルコールによる二日酔い、難聴、骨粗鬆症、高血圧、アテローム性動脈硬化症/冠動脈疾患、ストレス後の心筋損傷(例えば、火傷又は外傷によるもの)、外傷性脳損傷(脳震盪を含む)、嚢胞性線維症、炎症、がん、並びにHIV感染からなる群から選択される少なくとも1つの状態を治療又は予防するのに有効な量で含む。更に、老化に関しては、グルタチオンの減少が加齢に付随し得ることが注目されている。更に心血管疾患(CVD)に関して、ホモシステインの増加は、CVDについて検証されたリスク因子であることが注目される。
【0092】
[0101]本開示の別の態様は、緩衝塩と、アミノ酸と、酸性成分、タンパク質、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料とを含む液体栄養製品であり、栄養製品は、緩衝塩とアミノ酸とを含む粉末を、材料を含む液体により再構成する工程を含む方法によって製造される。好ましくは、液体栄養製品は飲料である。再構成は、室温で、かつ/又は熱を加えずに行うことができる。
【0093】
[0102]本開示の別の態様は、粉末から再構成された栄養製品を個体に投与する工程を含む、前出の状態のうちの少なくとも1つを治療する方法であって、粉末は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と少なくとも1種のN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体との組み合わせを含み、かつ更に緩衝塩を含み、栄養製品は、治療に有効量での前記組み合わせを含む。本開示の別の態様は、粉末から再構成された栄養製品を、少なくとも1つの状態のリスクがある個体に投与する工程を含む、前出の状態のうちの少なくとも1つを予防する方法であって、粉末は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と少なくとも1種のN-アセチルシステイン、L-システイン、又はこれらの機能性誘導体との組み合わせを含み、かつ更に緩衝塩を含み、栄養製品は、予防に有効量での前記組み合わせを含む。
【0094】
[0103]粉末及び/又は得られる栄養製品は、サルコペニア、サルコペニア肥満、若しくは悪液質、例えば、慢性疾患、HIV、がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの基礎疾患による悪液質、及び/又はその他の場合には、健康な個体における老化を治療又は予防することができる。この関連で、老化はグルタチオン(GSH)の減少を伴い得る。
【0095】
[0104]粉末及び/又は得られる栄養製品は、グルタチオンが豊富であることが知られている目の水晶体での低レベルを始めとする、GSHレベルの低さから直接的又は間接的に生じる目の状態を、治療又は予防することができる。このような状態の非限定的な例としては、白内障及び/又は緑内障、老視(拡大鏡を必要とする、加齢に伴う近見視力の低下)、及び老人性難聴(補聴器を必要とする、加齢に伴う聴力低下)が挙げられる。
【0096】
[0105]一実施形態では、粉末及び/又は得られる栄養製品は、筋パフォーマンス、又は運動に関連する筋ストレス(muscle stress)を始めとする筋ストレスなどからの筋肉の回復のうちの少なくとも1つを改善する。運動は、例えば、有酸素運動(カーディオ・エクササイズ)及び/又はウェイトトレーニングを含む任意の種類のものであってよい。栄養製品は、運動前(例えば、運動前1時間以内)、運動中、及び運動後(例えば、運動後1時間以内)からなる群から選択される少なくとも1期間に投与することができる。
【0097】
[0106]本開示の更に別の態様は、健康な中高年者において、代謝低下の最初を遅らせる、筋肉量を維持する、酸化ストレスを減少させる、免疫機能を維持する、及び/又は認知機能を維持する方法である。本方法は、粉末から再構成された栄養製品を、健康な中高年者に投与する工程を含み、粉末は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1種のN-アセチルシステイン、L-システイン、又はこれらの機能性誘導体との組み合わせを含み、かつ更に緩衝塩を含み、栄養製品は、有効量で組み合わせを含む。
【0098】
[0107]本開示の別の態様は、サルコペニアを有する個体においてミトコンドリア機能を改善する方法である。本方法は、粉末から再構成された栄養製品を個体に投与する工程を含み、粉末は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と少なくとも1種のN-アセチルシステイン、L-システイン、又はこれらの機能性誘導体との組み合わせを含み、かつ更に緩衝塩を含み、栄養製品は、有効量で組み合わせを含む。
【0099】
[0108]本開示の更に別の態様は、肥満、前糖尿病、又は糖尿病のうちの少なくとも1つを有する個体において、活性酸素種の代謝を強化する、グルコースの調節を改善する、及び/又は筋機能を改善する方法である。本方法は、粉末から再構成された栄養製品を個体に投与する工程を含み、粉末は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と少なくとも1種のN-アセチルシステイン、L-システイン、又はこれらの機能性誘導体との組み合わせを含み、かつ更に緩衝塩を含み、栄養製品は、有効量で組み合わせを含む。
【0100】
[0109]本開示の別の態様は、サルコペニアを有する個体においてミトコンドリア機能を改善する(好ましくは代謝又は筋力のうちの少なくとも1つに有益なものとする)方法である。本方法は、粉末から再構成された栄養製品を個体に投与する工程を含み、粉末は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と少なくとも1種のN-アセチルシステイン、L-システイン、又はこれらの機能性誘導体との組み合わせを含み、かつ更に緩衝塩を含み、栄養製品は、有効量で組み合わせを含む。
【0101】
[0110]別の態様では、本開示は、認知機能を改善する方法を提供する。本方法は、粉末から再構成された栄養製品を個体に投与する工程を含み、粉末は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と少なくとも1種のN-アセチルシステイン、L-システイン、又はこれらの機能性誘導体との組み合わせを含み、かつ更に緩衝塩を含み、栄養製品は、有効量で組み合わせを含む。認知機能は、知覚、記憶、注意、言語理解、言語表出、読解力、イメージ想起、学習、推理、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。一実施形態では、個体は認知障害を有さず、あるいは、個体は認知障害を有する。個体は高齢者であってもよく、及び/又は加齢に伴う認知機能の低下を有していてもよい。
【0102】
[0111]本開示の更に別の態様は、肥満、前糖尿病、及び/又は糖尿病の将来の発症を予防するための胎児代謝プログラミング、妊娠糖尿病における母体及び胎児の健康、運動能力及び身体機能、生活の質、寿命、記憶、認知、外傷後(例えば手術後、敗血症後、又は事故若しくは身体的暴力による穿通性損傷後)の回復及び生存、又は外傷及び手術からの回復のうちの1つ以上を改善する方法を提供する。本方法は、粉末から再構成された栄養製品を個体に投与する工程を含み、粉末は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と少なくとも1種のN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体との組み合わせを含み、かつ更に緩衝塩を含み、栄養製品は、有効量で組み合わせを含む。
【0103】
[0112]別の態様では、本開示は、(i)老化の影響の重症度及び/又は発生率を低下させること、(ii)細胞機能及び/又は健康全般を維持又は改善すること、(iii)正常なミトコンドリア機能、細胞保護、又はエネルギー代謝のうちの少なくとも1つを支援すること、(iv)日常的なエネルギーレベルを増加させること、(v)疲労を軽減すること、(vi)身体エネルギー及び/又は認知能力を維持又は改善すること、(vii)健康な又は正常な細胞機能を促進することにより健康な老化を促進すること、(viii)健康な皮膚をサポートすること、(ix)心不全を治療すること及び/又は心不全の重症度若しくは発生度を低下させること、(x)集中治療室(ICU)での滞在を含む期間に経験した酸化ストレス及び/又はグルタチオン(GSH)減少の治療をすること、発生率を低下させること、又は重症度を低減すること、(xi)酸化ストレス及びGSH減少に関連する別の状態(例えば、老化及び皮膚の老化などのその影響)の治療をすること、発生率を低下させること、又は重症度を低減すること、(xii)例えば、外傷性脳損傷又は脳卒中などの神経性の状態に特有のリハビリテーションなど、損傷、病気、又は手術からのリハビリテーションを促進すること、(xiii)がん患者又はがん寛解中の患者のグルタチオンレベルを調節すること、(xiv)減量手術による症状の治療をすること、発生率を低下させること、又は重症度を低減すること、(xv)非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の治療をすること、発生率を低下させること、又は重症度を低減すること、(xvi)ヒト免疫不全ウイルス感染症(HIV)の治療をすること、発生率を低下させること、又は重症度を低減すること、並びに(xvii)これらの組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも1つの結果を達成する方法を提供し、本方法は、粉末から再構成された栄養製品を個体に投与する工程を含み、粉末は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と少なくとも1種のN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体との組み合わせを含み、かつ更に緩衝塩を含み、栄養製品は、有効量で組み合わせを含む。
【0104】
[0113]特に好ましい実施形態は、メタボリックシンドローム、加齢に伴う代謝調節の低下、及び筋肉インディケーションからなる群から選択される少なくとも1つの状態の治療をする、発生率を低下させる、又は重症度を低減する方法であって、本方法は、粉末から再構成された栄養製品を、当該状態の処置を必要とする個体、又は当該状態のリスクのある個体に投与する工程を含み、粉末は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と少なくとも1種のN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体との組み合わせを含み、かつ更に緩衝塩を含み、栄養製品は、有効量で組み合わせを含む。
【0105】
[0114]本開示の別の態様は、過体重及び肥満の治療をする、発生率を低下させる、重症度を低減する、及び/又は予防をする方法であって、本方法は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1種のN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、緩衝塩と、タンパク質、酸性成分、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料とを含む、有効量の栄養製品を個体に経口投与する工程を含み、栄養製品は、材料を含む液体により粉末を再構成する工程を含む方法により、投与前に作製され、粉末は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1種のN-アセチルシステイン、L-システイン、又はこれらの機能性誘導体と、緩衝塩とを含む。
【0106】
[0115]本開示の別の態様は、皮膚の老化の治療をする、発生率を低下させる、重症度を低減する、及び/又は予防をする方法であって、本方法は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1種のN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、緩衝塩と、タンパク質、酸性成分、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料とを含む、有効量の栄養製品を、中高年者又は高齢の個体に経口投与する工程を含み、栄養製品は、材料を含む液体により粉末を再構成する工程を含む方法により、投与前に作製され、粉末は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1種のN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、緩衝塩とを含む。
【0107】
[0116]本開示の別の態様は、健康な皮膚を促進する方法、並びに/又は皮膚の状態若しくは皮膚疾患の治療をする、発生率を低下させる、重症度を低減する、及び/若しくは予防をする方法であって、本方法は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1種のN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、緩衝塩と、タンパク質、酸性成分、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料とを含む、有効量の栄養製品を、45歳未満のヒトに経口投与する工程を含み、栄養製品は、材料を含む液体により粉末を再構成する工程を含む方法により、投与前に作製され、粉末は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1種のN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、緩衝塩とを含む。
【0108】
[0117]本開示の別の態様は、健康な高齢者において少なくとも1つの結果を達成する方法であって、少なくとも1つの結果は、(i)遊離還元型グルタチオンレベルを増加させること、(ii)遊離還元型グルタチオンの酸化型グルタチオンに対する比率を増加させること、(iii)グリシン及びシステインの全血濃度を調節すること、(iv)脂質の酸化を最小化又は予防すること、(v)酸化的損傷のマーカーを減少させること、並びに(vi)燃料の酸化を脂肪酸へとシフトさせること、からなる群から選択され、本方法は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1種のN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、緩衝塩と、タンパク質、酸性成分、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料とを含む、有効量の栄養製品を、健康な高齢者に経口投与する工程を含み、栄養製品は、材料を含む液体により粉末を再構成する工程を含む方法により、投与前に作製され、粉末は、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1種のN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と、緩衝塩とを含む。
【0109】
[0118]いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、再構成工程を含む。これらの実施形態では、再構成工程は、好ましくは、投与を受ける個体及び/若しくは投与を行う個体、並びに/又は投与を受ける個体及び/若しくは投与を行う個体の指示の下に行動する別の個体により行われる。粉末を再構成する液体は、好ましくは、酸性成分(例えば、ジュース及び/若しくはフラボノイドなどのポリフェノール)、並びに/又はタンパク質(例えば、ホエイ及び/若しくはカゼインなどの乳タンパク質;植物タンパク質;コラーゲン;並びにこれらのブレンド)を含有する。
【0110】
[0119]本開示はまた、1つ以上の容器中に、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1種のN-アセチルシステイン、L-システイン、又はこれらの機能性誘導体と、緩衝塩と、を含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、これらの化合物のうちの1つ以上は、単離された化合物であってもよい。キットは、好ましくは、酸性成分(例えば、ジュース及び/若しくはフラボノイドなどのポリフェノール)、又はタンパク質(例えば、ホエイ及び/若しくはカゼインなどの乳タンパク質;植物タンパク質;コラーゲン;並びにこれらのブレンド)のうちの少なくとも1つを含む液体において混合物を再構成するための、使用扱説明書を含む。
【0111】
[0120]キットの一実施形態では、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体と、少なくとも1種のN-アセチルシステイン、L-システイン又はこれらの機能性誘導体と、緩衝塩とが、1つ以上の予めパッケージされた単位剤形として、例えば、各容器が1つの予めパッケージされた単位剤形を含有するように各々が乾燥粉末を含む別々の容器として、ともに提供され得る。
【0112】
[0121]別の実施形態では、キットは、ともに混和して本明細書に開示される粉末のうちの1つ以上を形成するための、複数の組成物を含むことができる。例えば、キットは、互いに関係のある別々の容器中に2つ以上の乾燥粉末を収容することができ、この別々の粉末は各々、最終的な単位剤形の一部を含有する。
【0113】
[0122]このような実施形態の非限定的な例として、キットは、少なくとも1種のグリシン又はその機能性誘導体を収容した1つ以上の第1の容器を含むことができ、更に、少なくとも1種のN-アセチルシステイン又はその機能性誘導体を収容した1つ以上の第2の容器を含むことができる。第1の容器のうちの1つの内容物を第2の容器のうちの1つと混和して、組成物の単位剤形の少なくとも一部を形成することができる。このような実施形態では、キットは、(i)緩衝塩が、選択された第1の容器により提供される、(ii)緩衝塩が、選択された第2の容器により提供される、(iii)選択された第1の容器により緩衝塩の一部が提供され、選択された第2の容器により緩衝塩の別の部分が提供される、かつ(iv)緩衝塩が、複数の第3の容器のうちの少なくとも1つにより提供される、からなる群から選択される構成を有することができる。
【0114】
[0123]本明細書で使用するとき、グリシンの「機能性誘導体」は、個体において、N-アセチルシステイン又はその機能性誘導体と併用して細胞内のGSHレベルを増加させるのに有効なグリシン誘導体である。N-アセチルシステインの「機能性誘導体」は、個体において、それ自体で又はグリシン(若しくはその機能性誘導体)と併用して、細胞内のGSHレベルを増加させるのに有効なN-アセチルシステイン誘導体である。
【0115】
[0124]グリシンは、好ましくは、L-グリシン及び/又はL-グリシンエチルエステルである。好適なグリシンの機能性誘導体の非限定的な例としては、D-アリルグリシン、N-[ビス(メチルチオ)メチレン]グリシンメチルエステル、Boc-アリル-Gly-OH(ジシクロヘキシルアンモニウム)塩、Boc-D-Chg-OH、Boc-Chg-OH、(R)-N-Boc-(2’-クロロフェニル)グリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、Boc-L-シクロプロピルグリシン、(R)-N-Boc-4-フルオロフェニルグリシン、Boc-D-プロパルギルグリシン、Boc-(S)-3-チエニルグリシン、Boc-(R)-3-チエニルグリシン、D-a-シクロヘキシルグリシン、L-a-シクロプロピルグリシン、N-(2-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、N-(4-フルオロフェニル)-N-(メチルスルホニル)グリシン、Fmoc-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-Gly-OH、N-(2-フロイル)グリシン、L-a-ネオペンチルグリシン、D-プロパルギルグリシン、サルコシン、Z-a-ホスホノグリシントリメチルエステル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0116】
[0125]粉末及び/又は得られる栄養製品は、週に少なくとも1日、好ましくは週に少なくとも2日、より好ましくは週に少なくとも3日又は4日(例えば、1日おき)、最も好ましくは週に少なくとも5日、週に6日、又は週に7日投与することができる。投与期間は、少なくとも1週間、好ましくは少なくとも1カ月間、より好ましくは少なくとも2カ月間、最も好ましくは少なくとも3カ月間、例えば、少なくとも4カ月間であり得る。一実施形態では、投与は少なくとも毎日であり、例えば、対象に1日に1回以上投与され得る。いくつかの実施形態では、投与は、個体の残りの寿命にわたって継続される。別の実施形態では、投与は、医学的状態について検出可能な症状がなくなるまで行われる。具体的な実施形態において、投与は、少なくとも1つの症状について検出可能な改善が見られるまで行われ、更なる場合においては、寛解を維持するために継続される。
【0117】
[0126]グリシン及びN-アセチルシステイン若しくはL-システイン、又は官能性誘導体は、特定の比率で配合されてもよい。いくつかの実施形態では、配合物は、これらの成分を、以下の例示的な比率、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:100、1:150、1:200、1:300、1:400、1:500、1:600、1:750、1:1000、及び1:10,000で含んでもよく、これらの比率の各々は、いくつかの実施形態ではGLY:NACであり得、かつ他の実施形態ではNAC:GLYであり得る。特定の実施形態では、配合物は、これらの成分を、以下の重量百分率(グリシンとN-アセチルシステインとのいずれについても量百分率は同じである、又はそれぞれについて重量百分率は異なる)、例えば、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、12重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、97重量%、又は99重量%で含んでもよい。
【0118】
[0127]N-アセチルシステイン又はその機能性誘導体は、対象の体重1キログラム(kg)当たり約0.1~100ミリグラム(mg)のN-アセチルシステイン(NAC)又はその機能性誘導体の量で投与することができる。グリシン(GLY)又はその機能性誘導体は、対象の体重1キログラム(kg)当たり約0.1~100ミリグラム(mg)のグリシン又はその機能性誘導体の量で投与することができる。いくつかの実施形態では、これらの量は、N-アセチルシステイン又はその機能性誘導体とグリシン又はその機能性誘導体との両方を含むジペプチドによって少なくとも部分的に提供される。
【0119】
[0128]特定の非限定的な例では、60kgの対象の1日用量は、以下のとおりであってもよい。
NAC又はその機能性誘導体:6~6,000mg/日
GLY又はその機能性誘導体:6~6,000mg/日
【0120】
[0129]緩衝塩のアミノ酸に対する比率は、得られる製品の具体的な用途(例えば、再構成した液体が飲料であるか、又は何らかの他組成物のカテゴリーであるか)、得られる製品の1回分のサイズ、及び得られる製品のタンパク質含有量によって異なり得る。しかしながら、当業者であれば、これらの因子を考慮することにより、本明細書の開示を使用して、緩衝塩のアミノ酸に対する適切な比率を決定することができるであろう。
【0121】
[0130]本明細書に開示される粉末及び/又は得られる栄養製品は、好ましくは、対象に経口投与される。このように、組成物の形態の非限定的な例としては、自然食品、加工食品、天然ジュース、濃縮物及び抽出物、リポソーム、並びに徐放性製剤が挙げられる。
【0122】
[0131]本明細書に開示される粉末及び/又は得られる栄養製品は、治療用の投与のための様々な配合物のいずれかを使用することができる。より詳細には、医薬組成物は、薬学的に許容可能な適切なキャリア又は希釈剤を含むことができ、固体状、半固体状、液体状、又は気体状の製剤に配合され得る。このように、組成物の投与は様々な方法で実現することができるが、好ましくは経口である。
【0123】
[0132]医薬剤形では、化合物は、薬学的に許容可能な塩として投与されてもよい。これらはまた、別の薬学的に活性な化合物と適切に関連させて使用してもよい。以下の方法及び賦形剤は、単なる例示であり、決して限定するものではない。
【0124】
[0133]経口製剤では、化合物を単独で、又は適切な添加剤、例えば、ラクトース、マンニトール、マルトデキストリン、トウモロコシデンプン、若しくはバレイショデンプンなどの従来の添加剤と;結晶セルロース、セルロースの機能性誘導体、アラビアゴム、トウモロコシデンプン、若しくはゼラチンなどの結合剤と;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、若しくはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの崩壊剤と;タルク若しくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤と;並びに所望であれば、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、及び香味剤と組み合わせて使用して、錠剤、散剤、又は顆粒剤を製造することができる。
【0125】
[0134]実施例
[0135]本発明者らによって実施された以下の非限定的な例は、本明細書に開示される化合物、組成物、及び方法を更にサポートする。
【0126】
[0136]背景技術
[0137]粉末形態の標準的なタンパク質又はアミノ酸は、酵素又は抗体などの「治療/活性」タンパク質を除き緩衝塩を有さない。例えば、これらの個別の化合物は純粋な形態では安定ではなく、したがって、安定化するために追加の塩を必要とする。対照的に、アミノ酸は緩衝塩を添加せずに提供される。
【0127】
[0138]レディ・トゥ・ドリンク飲料は典型的には熱処理されることから、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムなどの塩基性溶液を追加で用いる多くのレディ・トゥ・ドリンクのタンパク質用途でも、緩衝塩は一般的である。しかしながら、摂取の直前に室温又は低温の液体で再構成される粉末製品は、緩衝塩とともには提供されない。
【0128】
[0139]したがって本発明者らは、グリシン及び/又はNACなどのアミノ酸を、酸性である、かつ/又はタンパク質を含有する液体において再構成するため、例えば、アミノ酸粉末を自宅で再構成するため、溶液を調査した。
【0129】
[0140]実験
[0141]本発明者らは、熱処理せず室温でさまざまなアミノ酸粉末の再構成を行った。緩衝塩を添加して又は緩衝塩は非添加でアミノ酸をブレンドした後、飲み物に注ぎ入れた。
【0130】
[0142]具体的には、600mgのN-アセチルシステイン(NAC)及び600mgのグリシンを100mLの水に添加し、混合した。次いで、乳タンパク質を含有しており香味付けはしていない粉末27.5gを添加して混合した。別のサンプルでは、200mgのリン酸二ナトリウム及び300mgの二塩基性リン酸カリウムを、600mgのNAC及び600mgのグリシンとブレンドした。次いで、ブレンドを100mLの水に添加して混合した。この後、乳タンパク質を含有しており香味付けはしていない粉末27.5グラムを添加して混合した。リン酸二ナトリウム及び二塩基性リン酸カリウムの使用により、タンパク質の変性及び沈殿が有意に減少した。
【0131】
[0143]これに関連して、図1~4の写真はカップの底部を示す。図1は、緩衝塩を含まないNAC粉末の再構成の結果を示し、図2は、緩衝塩を含むNAC粉末の再構成の結果を示し、図3は、緩衝塩を含まないNAC粉末及びグリシン粉末の再構成の結果を示し、図4は、緩衝塩を含むNAC粉末及びグリシン粉末の再構成の結果を示す。図に示すように、緩衝塩が存在しない場合には残渣が存在し、緩衝塩の存在により沈殿が回避される。
【0132】
[0144]本明細書で説明されている現在の好ましい実施形態に対する様々な変更及び改変が、当業者には明らかとなる点を理解されたい。かかる変更及び改変は、本発明の主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつ意図される利点を損なわずに、行うことができる。それゆえ、そのような変更及び改変は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。

図1
図2
図3
図4