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特許7542531切除ガイドを有する骨基礎ガイドシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】切除ガイドを有する骨基礎ガイドシステム
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20240823BHJP
   A61C 1/08 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
A61C1/08 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021525156
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2019080518
(87)【国際公開番号】W WO2020094781
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】16/183,986
(32)【優先日】2018-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521196833
【氏名又は名称】スイスメダ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュメルツレ ステファン
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0272778(US,A1)
【文献】特開2016-107059(JP,A)
【文献】特表2015-523893(JP,A)
【文献】特開2013-022378(JP,A)
【文献】特開2016-193181(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0071811(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
A61C 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨基礎ガイド(20)及び歯科インプラント手術ガイド(40)を備える、骨基礎ガイドシステム(10)を製造するためのコンピュータ実装方法であって、
患者の顎骨及び口腔についての3次元モデルのデータを収集するステップであって、次いで前記データをコンピュータメモリ内に記憶する、ステップと、前記3次元モデルデータ内に少なくとも2つのドリル穿孔位置(65)の位置及び向きを画定するステップであって、次いで前記データをコンピュータメモリ内に記憶する、ステップと、中央領域(61)を備え、ブリッジ端(23、24)に向かう側において傾斜領域(62)を接続する3次元モデルデータとして、骨基礎ガイド(20)と歯科インプラント手術ガイド(40)との間の分離表面を画定するステップであって、前記中央領域(61)の表面は、予め決定された前記ドリル穿孔位置(65)のインプラント深さ(150)に基づくパラメータに基づく切除又は増強を介して到達されるべき顎骨レベルとして画定され、前記中央領域(61)において接続する前記傾斜領域(62)は、前記傾斜領域(62)の長さ(254)、及び前記インプラント深さ(150)の上の又は前記中央領域(61)のレベルの上の高さ(252)に基づいて画定され、次いでこれらのデータをコンピュータメモリ内に記憶する、ステップと、前記骨基礎ガイドシステム(10)の製造のために、記憶された前記データをラピッドプロトタイピング装置又はフライス加工装置のような製造機械用の信号データに変換するステップと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記中央領域(61)及び前記傾斜領域(62)を備える前記分離表面(60)は、スプラインベースの計算の後に決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記骨基礎ガイド(20)は、基礎ガイド頬側壁(21)及び基礎ガイド舌側壁(22)を有する基礎ガイド本体を備え、前記基礎ガイド頬側壁(21)及び前記基礎ガイド舌側壁(22)は、さもなければ前記骨基礎ガイド(20)の挿入方向のアンダーカットを構成することになる切除表面の境界曲線の部分をフィルタで除去することによって、前記骨基礎ガイド(20)の挿入方向のバックカットが存在しないように予め決定されている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記骨基礎ガイドシステム(10)は、歯科インプラント手術部位(6)についてのものであって、骨基礎ガイド(20)及び歯科インプラント手術ガイド(40)を備え、前記骨基礎ガイド(20)は、基礎ガイド頬側壁(21)及び基礎ガイド舌側壁(22)を有する基礎ガイド本体を備え、前記基礎ガイド頬側壁(21)と前記基礎ガイド舌側壁(22)とは、前記基礎ガイド本体の最上部を前記基礎ガイド本体の底部と接続する開放手術空間(6)を形成する第1ブリッジ端(23)及び第2ブリッジ端(24)によって連続的に接続されており、前記基礎ガイド頬側壁(21)及び前記基礎ガイド舌側壁(22)は、前記基礎ガイド本体を前記歯科インプラント手術部位(6)における骨セグメント(7)の少なくとも一部分に可逆的に添付するためのアバットメント部分(27)を備え、前記基礎ガイド本体の最上部は、除去及び増強レベルを画定して、前記歯科インプラント手術部位(6)からの骨セグメントの除去若しくは増強又はその両方をガイドするだけでなく、前記歯科インプラント手術ガイド(40)の底面(49)を取り付けるための輪郭を付けられ、そのための上面(29)を備える骨基礎ガイドシステム(10)において、前記基礎ガイド本体の前記上面(29)と前記歯科インプラント手術ガイド(40)の下面(49)との間の分離表面(60)が、インプラントを定着させるための穿孔(65)に基づいて予め決定されたインプラント深さ(150)に基づいて予め決定された中央領域(61)を備え、前記中央領域(61)の全ての側端(129)から、前記骨セグメント(7)の前記除去及び増強レベルの上方に高くなる前記第1ブリッジ端(23)及び前記第2ブリッジ端(24)に向かって延在する傾斜領域(62)を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記歯科インプラント手術ガイド(40)は、手術ガイド頬側壁(41)及び手術ガイド舌側壁(42)を有する手術ガイド本体を備え、前記手術ガイド頬側壁(41)と前記手術ガイド舌側壁(42)とは、前記手術ガイド本体の最上部を前記手術ガイド本体の底部と接続する前記開放手術空間(6)の輪郭を付ける第3ブリッジ端(43)及び第4ブリッジ端(44)によって連続的に接続されており、前記分離表面は、それぞれのブリッジ端(23と43、24と44)の間だけでなく、それぞれの頬側壁(21、41)の間、それぞれの舌側壁(22、42)の間に提供されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記中央領域(61)の表面は、インプラントを定着させるための前記穿孔(65)のそれぞれの軸線に垂直であり、前記予め決定されたインプラント深さ(150)に対して予め決定されたオフセットだけ離れている、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記分離表面(60)は、前記傾斜領域(62)に隣接して、前記歯科インプラント手術ガイド(40)の前記側端(43、44)の位置を前記第1及び第2ブリッジ端(23、24)の中心に置くために前記傾斜領域(62)よりも大きい傾斜を有する移行性ブリッジング部分(63)を更に備える、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第1及び第2ブリッジ端(23、24)は、裏面にブリッジアバットメント部分(28)を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基礎ガイド本体の前記上面(29)と前記歯科インプラント手術ガイド(40)の前記下面(49)とは、相補的であり、各頬側壁(21、41)から各舌側壁(22、42)まで延在する同じ幅の前記分離表面(60)を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記分離表面(60)の前記幅が、前記骨の横断方向の幅、隣接する歯肉、及び各頬側壁(21、41)と各舌側壁(22、42)との幅に基づいて予め決定されることにより、前記骨基礎ガイドシステムのアンダーカットを回避する、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨基礎ガイドと歯科インプラント手術ガイドとを備える、歯科インプラント手術部位についての骨基礎ガイドシステムに関し、骨基礎ガイドは、基礎ガイド頬側壁及び基礎ガイド舌側壁を有する基礎ガイド本体を備え、これらの壁は、基礎ガイド本体の最上部を基礎ガイド本体の底部と接続する開放手術空間を形成する第1ブリッジ端及び第2ブリッジ端によって連続的に接続されており、基礎ガイド頬側壁及び基礎ガイド舌側壁は、基礎ガイド本体を歯科インプラント手術部位のところの骨セグメントの少なくとも一部分に可逆的に添付するアバットメント部分を備え、基礎ガイド本体の最上部は、除去及び増強レベルを画定するため及び歯科手術部位からの骨セグメントの除去若しくは増強又はその両方をガイドするだけでなく、歯科インプラント手術ガイドの底面を取り付けるための輪郭を付けられ、そのための上面を備える。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、歯科修復処置のための強固な定着を提供するかかる骨基礎ガイドシステムを開示する。それは、最初に、残っている歯が抜かれ、次いで、露出された骨が骨基礎ガイドの助けによって適切に調製されなければならない、特に、切除又は増強されなければならないという当業者の知識から始まる。次いで、歯科インプラント手術ガイドが、歯科手術部位の改造される骨の場所に続けて適合されて取り付けられる。従来、骨基礎ガイドと、インプラントのためのインプラント歯科手術ガイドとは、別個の器具であると考えられていた。特許文献1が、頬側壁及び舌側壁を有する本体を備える骨基礎ガイドを提供することを提案しており、該骨基礎ガイドは、本体の最上部を本体の底部と接続する開放手術空間を形成する第1端と第2端とによって連続的に接続される。底部は、歯科インプラント手術部位における骨セグメントの少なくとも一部分に可逆的に本体を添付するための輪郭を付けられ、一方、最上部は、歯科手術部位からの骨セグメントの除去若しくは増強又はその両方をガイドするだけでなく、歯科インプラント手術ガイドの底面を取り付けるための輪郭を付けられている。
【0003】
特許文献2は、歯科手術ドリルガイドアセンブリを開示し、該アセンブリは、歯肉組織と顎骨のいくつかの小さい領域の両方に適合することを目的とする無歯手術ガイドを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/069789号
【文献】米国特許出願公開第2013/0071811号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、骨基礎ガイドと相補的な歯科インプラント手術ガイドとを備える、歯科インプラント手術部位のための骨基礎ガイドシステムがインプラントに必要な骨レベルの迅速な達成の基本であるが、2つの相補的なテンプレートの製造プロセスが、義歯のためのインプラント部位が歯科医によって決定されるときの高度な安全性を伴って、より容易でより迅速でなければならないという考えに基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
骨基礎ガイドは、基礎ガイド頬側壁及び基礎ガイド舌側壁を有する基礎ガイド本体を備え、これらの壁は、基礎ガイド本体の最上部を基礎ガイド本体の底部と接続する開放手術空間を形成する第1ブリッジ端及び第2ブリッジ端によって連続的に接続され、基礎ガイド頬側壁と基礎ガイド舌側壁とは、基礎ガイド本体を歯科インプラント手術部位のところの骨セグメントの少なくとも一部分に可逆的に添付するアバットメント部分を備える。上記基礎ガイド本体及びアバットメント部分は、とりわけ出願人の欧州特許出願公開第2797547号に従って製造されてもよい。基礎ガイド本体の最上部は、除去及び増強レベルを画定するため、及び歯科手術部位からの骨セグメントの除去若しくは増強又はその両方をガイドするためだけでなく、歯科インプラント手術ガイドの底面を取り付けるための輪郭を付けられ、そのための上面を備える。言い換えると、この分離平面のレベルは、既存の骨材料の切除のレベルを画定する。しかし、この平面が、2つの要素、すなわちシステムの骨基礎ガイドと相補的な歯科インプラント手術ガイドとの間にあるので、この平面についての正確で迅速な決定を可能にすることが重要である。そのため、基礎ガイド本体の上面と歯科インプラント手術ガイドの下面との間の分離平面は、インプラントを定着させるための穿孔に基づく所定のインプラント深さに基づいて予め決定された中央領域を含み、そして、顎骨の除去及び増強レベルの上方に高くなる第1ブリッジ端及び第2ブリッジ端に向かって中央領域の全ての側端から延在する傾斜領域を更に含む。そのため、医師が2つのガイドを分離し、予め決定されたインプラント深さの上のオフセットを選ぶ平面についてのパラメータを画定するのが非常に容易であり、中央領域が、最も外側のインプラント部位を左右に覆っている。
【0007】
好ましくは、2つのガイドは、完全に相補的であり、すなわち、歯科インプラント手術ガイドは、手術ガイド頬側壁及び手術ガイド舌側壁を有する手術ガイド本体を備え、これらの壁は、骨基礎ガイドのそれぞれの頬側壁及び舌側壁の最上部の上に提供され、これらの壁は、骨基礎ガイドの第1及び第2ブリッジ端の中央に置かれる第3ブリッジ端及び第4ブリッジ端によって連続的に接続されている。したがって、手術ガイドは、また、手術ガイド本体の最上部を手術ガイド本体の底部と接続する上記開放手術空間の輪郭を付け、分離平面は、それぞれの頬側壁同士の間に、及びそれぞれの舌側壁同士の間に、並びにそれぞれのブリッジ端同士の間に提供される。
【0008】
基礎ガイド本体の上面と歯科インプラント手術ガイドの下面との間の分離平面は、インプラントを定着させるための穿孔のインプラント深さを画定するために予め決定された上記中心領域を含む。通常、2つの穿孔だけが存在するならば、中央領域はそれらの間に画定される。4つのインプラント場所、すなわち、2つの内側インプラント及び2つの外側インプラントが存在するならば、中央領域は、外側インプラント場所同士の間に延在させられることになる。領域は、平坦であってもよく、例えば、特に患者の下顎のように水平方向に向いていてもよいけれども、増強が可能でない又は計画されないところでの骨材料の切除を可能にする湾曲を備えてもよい。分離平面は、中央領域の全ての側端から顎骨の除去及び増強レベルの上方に高くなる第1ブリッジ端及び第2ブリッジ端に向かって延在する傾斜領域を更に備える。
【0009】
中央領域の平面は、好ましくは、インプラントを定着させるための上記穿孔のそれぞれの軸線に垂直であるように選ばれ、そして、予め決定されたインプラント深さに対して予め決定されたオフセットだけ離れている。そのため、中央領域は、通常、完全に平坦であるというわけではないけれども、インプラント部位の穿孔の軸線に垂直であって、平面部分を相互接続して連続的に接続するスプライン計算平坦セグメントを備える。
【0010】
分離平面は、傾斜平面領域に隣接して、歯科インプラント手術ガイドの側端の位置を第1ブリッジ端及び第2ブリッジ端の中心に置くために傾斜平面領域よりも大きい傾斜を有する移行性ブリッジング部分を更に備えてもよい。それで、第1傾斜の後に、骨基礎ガイド上にドリル手術ガイドをより容易に設置することを可能にするより急勾配の第2傾斜が続く。
【0011】
下側ガイドの第1及び第2ブリッジ端は、裏面上にブリッジアバットメント部分を有することにより、骨基礎ガイド上のアバットメント点の他に更なるアバットメント点を有してもよい。
【0012】
基礎ガイド本体の上面と歯科インプラント手術ガイドの下面とは、好ましくは互いに相補的であることにより、基礎ガイド本体及び歯科インプラント手術ガイドの外側壁と内側壁とが互いに同一平面上にあり、そのため、顎骨に沿ってそれの外側を、外面頬側壁から外面舌側壁まで延在する同じ幅の分離平面を画定する。
【0013】
システムの端から端まで変化している分離平面の上記幅が、骨の横断方向幅、骨の両側の隣接する歯肉、及びシステムの頬側壁と外面舌側壁との幅に基づいて予め決定されることにより、ガイドシステムのアンダーカットを回避する。
【0014】
骨基礎ガイドシステムを生成するためのコンピュータ実装方法が、患者の顎骨及び口腔の3次元モデルについてのデータを収集するステップであって、次いでこのデータをコンピュータメモリ内に記憶する、ステップと、3次元モデルデータ内に少なくとも2つのドリル穿孔位置の位置及び向きを画定するステップであって、次いでこのデータをコンピュータメモリ内に記憶する、ステップと、骨基礎ガイドと歯科インプラント手術ガイドとの間の分離平面を、中央領域を備えてブリッジ端に向かう側で傾斜領域を接続する3次元モデルデータとして画定するステップであって、中央領域平面は、ドリル穿孔位置のインプラント深さのパラメータに基づいて切除又は増強を介して到達されるべき顎骨レベルとして画定され、中央領域平面での傾斜平面領域接続は、傾斜平面領域の長さ、並びにインプラント深さの上の及び/又は中央領域のレベルの上の高さに基づいて画定され、次いでこれらのデータは、コンピュータメモリ内に記憶される、ステップと、記憶されたデータをラピッドプロトタイピング装置又はフライス加工装置のような製造機械用の信号データに変換するステップと、含む。
【0015】
中央領域と傾斜平面領域とを備える分離平面は、好ましくは、スプラインベースの計算の後に決定される。
【0016】
言い換えると、計画された最終的なインプラント位置は、構造の切除面を構成するために用いられる。切除面は、処理の所望の骨レベルを画定するために用いられ、そして、テンプレートを骨基礎又は切除テンプレート及びインプラントガイドテンプレートに分割するために用いられる。切除面は、インプラント位置、及び切除面の形状を記述する予め決定された浮動小数点数から導き出される。最初に、オフセットパラメータがあり、これは、インプラントの骨レベルまでの切除面の距離、すなわち高さパラメータを記述する。更に、値の対があり、これらは、「骨の外の」最遠位のインプラントから領域内の切除面の形状を記述する。
【0017】
切除面の幅は、骨切除及び表面を分割するテンプレートとして用いられるべき切除面の要件に適合するように調節される。骨基礎ガイドの表面は、さもなければテンプレートの挿入方向のバックカットを構成することになる、切除面の境界曲線の部分をフィルタで除去することによってテンプレートの挿入方向のバックカットが全く存在しないように計算される。本発明の更なる実施形態が、従属請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の好ましい実施形態が、図を参照して以下に記述されており、これらの図は、本発明の好ましい実施形態を示すことを目的とし、それを限定することを目的としていない。
図1】本発明の実施形態に従う骨基礎ガイドシステムが固定されている歯科手術部位についての概略斜視図である。
図2図1の歯科インプラント手術ガイドについての概略斜視図である。
図3図1の骨基礎ガイドについての概略斜視図である。
図4】歯科手術部位での骨セグメントの切除前における、図3の骨基礎ガイドを有する、図2の歯科手術部位についての側面図である。
図5】本発明の実施形態に従う骨基礎ガイドと歯科インプラント手術ガイドとの間の分離平面を有する、図4の歯科手術部位についての斜視図である。
図6】ドリル位置を画定する4つの面方位を有する、図5の分離平面についての斜視図である。
図7】骨基礎ガイドシステム要素における上記分離平面の位置及び輪郭を画定するパラメータを有する、図5の歯科手術部位並びに図6の分離平面及びドリル穿孔についての斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の実施形態に従う骨基礎ガイドシステム10が固定されている歯科手術部位5についての概略斜視図である。図1に示す歯科手術部位5は下顎である。図2は、図1の歯科インプラント手術ガイド40についての概略斜視図であり、図3は、図1の骨基礎ガイド20についての概略斜視図である。
【0020】
骨基礎ガイドシステム10は、下側の骨基礎ガイド20と、上側の歯科インプラント手術ガイド40と、を備える。2つのガイド20と40とは、共通の表面を有し、この表面によって分離されており、この表面は、2つの上記ガイド20と40との間の1つの直線として示される分離平面60と呼ばれる。骨基礎ガイド20は、ガイド本体ファスナ26によって患者の顎骨7に固定され、該ガイド体ファスナは、骨基礎ガイド20材料内のアタッチメント開口25を通して設置される。アタッチメント開口25は、この場合、骨基礎ガイド20の頬側壁21の4つの異なる場所に提供されている。図3に示すような骨基礎ガイド20は、隆起部分23及び24を介して両端で接続された頬側壁21と舌側壁22とを備える。アバットメント部分27は、歯科手術システム10との、及びそこの顎骨7又は歯肉被覆領域のいずれかとの接点として、舌側壁22だけでなく頬面壁21の内壁に沿って、例えば、欧州特許出願公開第2797547号に示すような予め決定された態様で分布している。アバットメント部分27の2つの側面は、手術空間6を囲んでいる。図3から見てとれるように、骨基礎ガイド20の上面は、参照番号29を受けており、そして、以前は切歯及び角歯があった場所における頬側21又は舌側22の壁の直径を横切る顎の湾曲に追従する、わずかに曲がった手術空間6の長手方向にほとんど傾斜を有しない基本的に水平な平面として続いている。2つの壁21及び22のうちの一方が他方よりも高い状態で提供されるならば、水平平面は、頬側側面から舌側側面まででわずかに傾斜していてもよい。図1~3に見られるように、本明細書において後に説明される、自由端ブリッジ23及び24に向かう明瞭な傾斜変化が存在する。ブリッジ23及び24は、手術部位6の周囲をアバットメント部分28と接触させている。いくつかの設置孔31が、骨基礎ガイド20の本体内に提供されている。これらの孔31は、手術ドリルガイド40内の類似の要素51と相補的であるように意図されている。
【0021】
図2に示すような歯科インプラント手術ガイド40は、それの下に設置された骨基礎ガイド20と類似する頬側壁41及び舌側壁42を有し、そして、壁41及び42下の下面49は、骨基礎ガイド20の上面29と相補的である。アバットメント部分47は、同様に手術部位6上に基礎ガイド40を設置するために壁41及び42の内側に提供されている。頬側壁41と舌側壁42とは、開放手術空間6によって分離され、該空間は、骨基礎ガイド20に対するものと同じ空間である。この場合、ウェブ52が頬側壁41を舌側壁42と連絡させるために提供されることにより、構造を強化する。ドリルガイド55、例えば、中空スリーブが、顎骨7に向かって手術空間6を通して導かれる内側貫通孔56を備えており、該ドリルガイドは、この場合、ブリッジ23、43と24、44との間の手術空間6に沿って、頬側壁41又は舌側壁42の関連部分にそれぞれ取り付けられている4つの設置ウェブ57によって4つの異なる場所に設置される。
【0022】
ピン51が骨基礎ガイド20内の設置孔31と相補的な位置のところの歯科インプラント手術ガイド40の裏面に提供されることにより、図1に示すように、2つのガイド20と40とを装置10へと組み合わせる。インプラントロッド46が、ドリルガイド55の孔56内に設置された状態で示されている。
【0023】
図4は、歯科手術部位6での骨セグメント17の切除前における、図3の骨基礎ガイド20を有する、図2の歯科手術ガイド40についての側面図である。頬側壁21の上面29は、基本的に水平で平坦であり、そして、ブリッジ23の上端ブリッジ面39に向かう上向きの傾斜を伴うキンク129を有することがよく見て取れる。ブリッジ23部分への頬側壁21の端部の転換点128は、表面29の水平中央部分と比較してより急勾配の角度で傾斜している。頬側壁21と、図4では背景内にある舌側壁22との間の手術空間6は、既に無歯になっているけれども、依然として除去されるべき骨材料17で満たされている。これに関して、骨の部分が、見えない、すなわち、壁21及び22の表面29並びにそれらの間の仮想平面によって画定されるレベルよりも低いレベルを有するならば、壁21と22の両方における表面29は、除去されるべき材料又は増強されるべき材料の高さを基準にしている。
【0024】
図5は、本発明の実施形態に従う骨基礎ガイド20と歯科インプラント手術ガイド40との間に分離平面60を有する、図4の歯科手術部位6についての斜視図であり、図6は、ドリル位置65を画定する4つの面方位を有する、図5の分離平面60についての斜視図である。図5及び図6に示す分離平面60は、骨基礎ガイド20の上面29と歯科インプラント手術ガイド40の下面49での又はその間の平面である。この面60は、妥当な場合、例えば、主として角歯と第一大臼歯との間に基本的な水平レベルを有する患者の前歯又は将来の前換歯の前方及び後方に中央部分61を有する。そのとき、キンク129の後の中間空間平面62が、骨材料除去17のための手術空間を、わずかに増加する傾斜を既に有する更なる歯に連続的に提供する。そのとき、壁21、22、41、42がブリッジ部分23、24、43、44と一緒に接合されるところの区域における又はわずかにその前の転換線128の後方に移行部分63が存在し、移行は、表面60が、維持されるべき骨のレベルの下方に余地と、患者の口腔の背後に自然のままの顎骨7とを残すということから構成される。言い換えると、骨基礎ガイド20の上端ブリッジ面の表面39が、骨材料から外に高くなることができるように手術空間の見えるところで傾斜していることにより、接触アバットメント点28を有するブリッジ部分23、24が、自然のままの機械加工されていない顎骨材料上に設置される。
【0025】
本発明は、中央部分表面61から移行部分63に向かう傾斜を算出することを可能にするパラメータを提供することにより、中間領域内で骨材料を基本的に水平にカットし、そして、ブリッジ部分に向かう顎骨を残してもよい。そのため、図6に示すように、最も外側で後のインプラントロッド46について画定されたドリル位置65が基準にとられるが、その理由は、これらの最も外側のインプラントアバットメントは、骨材料を残すための平面60についての傾斜の変化がブリッジ部分に向かうこれらの領域の外側で始まってもよいように、予め決定されたインプラント深さ150のところで骨自体の中に定着されなければならないからである。インプラント深さ150は、図6内に画定されたドリル位置65として示されたネジ位置の最上面66と、分離平面60との間の距離、この場合、表面61の端のキンク129のところとの間の距離として医師によって予め決定される。
【0026】
上記のように、本発明は、歯科インプラント手術部位6に対して組み合わされた骨基礎ガイドシステム10を用い、該システムは、上記骨基礎ガイド20と、共通の分離平面60のところで接続された上記歯科インプラント手術ガイド40であって、間にある手術部位6のところの骨材料17を除去する又は増強するためのガイドを提供するレベルとして同時に役立つ歯科インプラント手術ガイド40と、を備える。骨基礎ガイド20と歯科インプラント手術ガイド40の両方は、患者の解剖学的構造に従ってガイドの輪郭を付けるために、例えばスプライン関数を用いる、欧州特許出願公開第2797547号において又はそれに従って開示された方法によって製造されてもよい。分離平面60は、以下のように低減された数のパラメータを用いて骨基礎ガイドシステムの2つの部分20及び40を製造するような方法において画定されてもよい。
【0027】
図7は、図5の歯科手術部位6、並びに骨基礎ガイドシステム要素20及び40における上記分離平面60の位置及び外形を画定するためのパラメータを有する、図6の分離平面60及びドリル穿孔65についての斜視図である。整合分離平面によって分離された骨基礎ガイド20と歯科インプラント手術ガイド40とを容易に製造するためには、本発明の実施形態に従って、部位61において機械加工されるべき又は増強されるべき骨レベルを残すのに必要な分離平面60の勾配だけでなく、ドリル穿孔65の上面66とインプラントの位置との間に意図される距離及び深さ150を画定することで十分である。そのため、二重矢印252が、部分62の勾配を提供する距離254にわたって到達されるべき高さの差を表わすのと同様に、二重矢印262は、ブリッジ端23及び24に向かう距離264にわたって到達されるべき高さの差を表わす。この場合、アバットメント部分28は、骨基礎ガイド20を手術部位6の側端に添付することが意図されている。
【符号の説明】
【0028】
5 歯科手術部位
6 手術空間
7 顎骨
10 骨基礎ガイドシステム
17 除去されるべき骨
20 骨基礎ガイド
21 頬側壁
22 舌側壁
23 ブリッジ部分
24 ブリッジ部分
25 アタッチメント開口
26 ガイド本体ファスナ
27 アバットメント部分
28 アバットメント部分
29 上面
31 設置孔
39 上端ブリッジ面
40 歯科インプラント手術ガイド
41 頬側壁
42 舌側壁
43 ブリッジ部分
44 ブリッジ部分
46 インプラントロッド
47 アバットメント部分
49 下面
51 ピン
52 ウェブ
55 ドリルガイド
56 孔
57 設置ウェブ
60 分離平面
61 中央部分
62 中間平面
63 移行部分
65 画定されたドリル位置
66 最上面
128 転換点
129 キンク
150 インプラント深さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7