(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】サービスを提供するためのシステム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/131 20220101AFI20240823BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240823BHJP
【FI】
H04L67/131
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021537760
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(86)【国際出願番号】 EP2019086958
(87)【国際公開番号】W WO2020136177
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-08
(31)【優先権主張番号】102018000021343
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】503148270
【氏名又は名称】テレコム・イタリア・エッセ・ピー・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】アルトゥーシオ,ルイージ
(72)【発明者】
【氏名】マンザリニ,アントニオ
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-528140(JP,A)
【文献】特開2003-188877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/131
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ(10)にサービスを提供するためのシステム(100)であって、
前記ユーザ(10)に関連付けられ、前記ユーザの代理で動作するように構成された第1のモジュール(VAHI)と、
複数の第2のモジュール(VAE)であって、前記第2のモジュール(VAE)のそれぞれは、それぞれの物理リソース(10’、20、30)に関連付けられ、前記それぞれの物理リソース(10’、20、30)を表すように構成される複数の第2のモジュール(VAE)と、
前記第1のモジュール(VAHI)および前記複数の第2のモジュール(VAE)を実行するためのランタイム分散実行環境であって、前記第1のモジュール(VAHI)および前記複数の第2のモジュール(VAE)による前記物理リソース(10’、20、30)へのアクセスをサポートする分散オペレーティングシステムを備えるランタイム分散実行環境と
を備え、
前記第1のモジュール(VAHI)は、
前記複数の第2のモジュール(VAE)との対話を持ち、前記対話の結果として、前記サービスの提供のための提案を前記ユーザ(10)に与え、
前記ユーザ(10)からの承認の受信時に、前記提案に従って前記サービスの少なくとも一部を提供するアクションを実施するよう関連する前記物理リソース(10’、20、30)に要求するように、前記複数の第2のモジュール(VAE)のうちの少なくとも1つに命令する
ように構成される、システム(100)。
【請求項2】
請求項1に記載のシステム(100)であって、前記第1のモジュール(VAHI)は、前記ユーザ(10)からのサービス要求の受信時に、または事前に、前記サービスの提供のための前記提案を生成することができる、システム(100)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステム(100)であって、前記複数の第2のモジュール(VAE)は、事前に前記サービスの提供のための前記提案を生成することができる、システム(100)。
【請求項4】
請求項1から3のうちのいずれか一項に記載のシステム(100)であって、
前記第1のモジュール(VAHI)および前記複数の第2のモジュール(VAE)によってアクセス可能であり、前記第1のモジュール(VAHI)の特徴に関する第1の情報を含む第1のディレクトリ(VAHI Directory)であって、前記第1のモジュール(VAHI)は、以前に提供されたサービスの結果に基づいて前記第1の情報を更新するように構成される、第1のディレクトリ(VAHI Directory)と、
前記第1のモジュール(VAHI)および前記複数の第2のモジュール(VAE)によってアクセス可能であり、前記複数の第2のモジュール(VAE)の特徴に関する第2の情報を含む第2のディレクトリ(VAE Directory)であって、前記第2のモジュール(VAE)は、以前に提供されたサービスの結果に基づいて前記第2の情報を更新するように構成される、第2のディレクトリ(VAE Directory)と
をさらに備え、
前記サービスの提供のための前記提案は、前記第1のディレクトリ(VAHI Directory)内に記憶された前記第1の情報および/または前記第2のディレクトリ(VAE Directory)内に記憶された前記第2の情報に基づいて策定される、
システム(100)。
【請求項5】
請求項1から4のうちのいずれか一項に記載のシステム(100)であって、前記第1のモジュール(VAHI)および前記複数の第2のモジュール(VAE)は、クラウドコンピューティング、エッジコンピューティング、またはローカル機器のいずれかで実行される人工知能技法に基づく、システム(100)。
【請求項6】
請求項1から5のうちのいずれか一項に記載のシステム(100)であって、前記第2のモジュール(VAE)のうちの少なくとも1つは、いくつかのモノリシック物理リソースによって構成された複合物理リソース(30)に関連付けられ、前記第2のモジュール(VAE)は、サブモジュールのセットによって形成され、各サブモジュールは、それぞれのモノリシックリソースに関連付けられ、それぞれの前記モノリシック物理リソースを表すように構成される、システム(100)。
【請求項7】
請求項1から6のうちのいずれか一項に記載のシステム(100)であって、前記第1のモジュール(VAHI)
のインスタンスおよび前記複数の第2のモジュール(VAE)
のインスタンスの作成と削除とを
繰り返すことができる、システム(100)。
【請求項8】
請求項1から7のうちのいずれか一項に記載のシステム(100)であって、前記第2のモジュール(VAE)のうちの少なくとも1つは、前記ユーザ(10)にも関連付けられ、前記第2のモジュール(VAE)のうちの前記少なくとも1つは、前記ユーザ(10)によって物理リソース(10’)として提供されるスキルおよびサービスのうちの一方または双方を表す、システム(100)。
【請求項9】
請求項1から8のうちのいずれか一項に記載のシステム(100)であって、前記ユーザ(10)に関連付けられ、前記ユーザの代理で動作するように構成された少なくとも1つの別の第1のモジュール(VAHI)を備えるシステム(100)。
【請求項10】
ユーザ(10)にサービスを提供するための方法であって、
前記ユーザ(10)に関連付けられ、前記ユーザの代理で動作するように構成された第1のモジュール(VAHI)を提供するステップと、
複数の第2のモジュール(VAE)を提供するステップであって、前記第2のモジュール(VAE)のうちのそれぞれは、それぞれの物理リソース(10’、20、30)に関連付けられ、前記物理リソース(10’、20、30)を表すように構成される、ステップと、
前記第1のモジュール(VAHI)および前記複数の第2のモジュール(VAE)を実行するためのランタイム分散実行環境を提供するステップであって、前記ランタイム分散実行環境は、前記物理リソース(10’、20、30)への前記第1のモジュール(VAHI)および前記複数の第2のモジュール(VAE)の制御されたアクセスをサポートする分散オペレーティングシステムを備える、ステップと
を含み、
前記第1のモジュール(VAHI)により、
前記複数の第2のモジュール(VAE)との対話を持ち、前記対話の結果として、前記サービスの提供のための提案を前記ユーザ(10)に与えるステップと、
前記ユーザ(10)からの承認の受信時に、前記提案に従って前記サービスの少なくとも一部を提供するアクションを実施するよう関連する前記物理リソース(10’、20、30)に要求するように、前記複数の第2のモジュール(VAE)のうちの少なくとも1つに命令するステップと
をさらに含む方法。
【請求項11】
請求項
10に記載の
方法であって、前記複数の第2のモジュール(VAE)
により、事前に前記サービスの提供のための前記提案を生成する
ステップをさらに含む方法。
【請求項12】
請求項
10または11に記載の
方法であって、
前記第1のモジュール(VAHI)により、以前に提供されたサービスの結果に基づいて、前記第1のモジュール(VAHI)の特徴に関する第1の情報を更新するステップであって、前記第1の情報は、前記第1のモジュール(VAHI)および前記複数の第2のモジュール(VAE)によってアクセス可能であ
る第1のディレクトリ(VAHI Directory)
に含まれる、ステップと、
前記第2のモジュール(VAE)により、以前に提供されたサービスの結果に基づいて、前記複数の第2のモジュール(VAE)の特徴に関する第2の情報を更新するステップであって、前記第2の情報は、前記第1のモジュール(VAHI)および前記複数の第2のモジュール(VAE)によってアクセス可能であ
る第2のディレクトリ(VAE Directory)
に含まれる、ステップと
をさらに
含み、
前記サービスの提供のための前記提案は、前記第1のディレクトリ(VAHI Directory)内に記憶された前記第1の情報および/または前記第2のディレクトリ(VAE Directory)内に記憶された前記第2の情報に基づいて策定される、
方法。
【請求項13】
請求項
10から
12のうちのいずれか一項に記載の
方法であって、前記第2のモジュール(VAE)のうちの少なくとも1つは、いくつかのモノリシック物理リソースによって構成された複合物理リソース(30)に関連付けられ、前記第2のモジュール(VAE)は、サブモジュールのセットによって形成され、各サブモジュールは、それぞれのモノリシックリソースに関連付けられ、それぞれの前記モノリシック物理リソースを表すように構成される、
方法。
【請求項14】
少なくとも1つのコンピュータに請求項10
から13のうちのいずれか一項に記載の方法のステップを
実行させるコンピュータプログラ
ム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気通信技術および情報通信技術の分野に関する。詳細には、本発明はサービスを提供するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、「ユビキタスコンピューティング」および「パーベイシブコンピューティング」という表現は、デジタル技術と物理空間との間の関係を大きく変えるコンピュータおよびコンピュータのネットワークの能力を示す。今日、いくつかの技術経済的推進力(たとえば、ウルトラブロードバンド固定モバイル接続性の普及、ソフトウェア定義ネットワーク、ネットワーク機能仮想化、マルチアクセスエッジコンピューティング、人工知能、ビッグデータなどの技術の進歩、コストの低下など)を結び付けることが、我々の社会の組織的デジタル転換のための条件を生み出している。
【0003】
たとえば、仮想現実(VR)システムが現実の環境または状況の人工的再創造/シミュレーションを実現している。VRは、ユーザが体験しており、シミュレートされた現実と直接に対話しているようにユーザに感じさせる。
【0004】
別の例は拡張現実(AR)である。ARは、現実の環境または状況を拡張し、知覚的に豊かな体験をユーザに提供するために使用される。AR技術は、現実世界の現実の環境または状況およびその物体についての情報を重ね合わせている。
【0005】
仮想アシスタントまたはインテリジェントパーソナルアシスタントも、今日非常に人気になりつつある。仮想アシスタントまたはインテリジェントパーソナルアシスタントは、ユーザのためにタスクまたはサービスを実施し得るソフトウェアエージェントである。
【0006】
いわゆる「デジタルツイン」も知られており、デジタルツインは、人工知能、機械学習、およびソフトウェア解析をデータと統合して、物理的な対応物が変化するときに更新および変化する、実物そっくりのデジタルシミュレーションモデルを作成することのできるソフトウェアエンティティである。
【0007】
デジタル技術と物理空間の大規模な統合は、現実の統一標準サイバー環境を生み出すことのできるパーベイシブなソフトウェア定義インフラストラクチャ(SDI)の存在を必要とする。SDIは、ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)やネットワーク機能仮想化(NFV)などの技術に基づく電気通信インフラストラクチャ(ネットワークとITリソースのどちらも含む)である。
【0008】
同時に、エッジおよびフォグコンピューティングへのクラウドコンピューティングの進化は、分散型のパーベイシブなSDIを生み出す際にSDNおよびNFVを阻止している別の技術トレンドを表す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本出願人は、我々の社会の進行中のデジタル転換が、ますます多くの量の利用可能な情報および対話機会をもたらしていることに気付いた。一方、このことは、日常生活の活動を管理する際の複雑さのレベルを増大させている。実際に、日常生活の活動は、人々が一般に日々通信し、行動し、労働し、移動し、考え、感じる方法を含む。この文脈では、人々の現実および仮想の生活はますます絡み合い、2つの次元(物理的および仮想的)がスムースに対話してハイブリッド体験をもたらす。
【0010】
したがって、本出願人は、そのようなシナリオで、ユーザの日常生活の活動でユーザをサポートすることのできるシステムを提供する必要性に気付いた。
この点で、本出願人は、前述のARおよびVRシステムがいくつかの欠点を示すことに注目した。具体的には、前述のARおよびVRシステムは、標準の相互運用可能なプラットフォームが欠けており、互いに相互動作する能力が限られており、現在のレガシー電気通信インフラストラクチャの上端で動作する、単に垂直なアプリケーションであり、「垂直」とは、そのユーザビリティが特定のアプリケーションエリア、特定のコミュニティなどに限られることを意味する。さらに、前述のARおよびVRシステムは、現実の環境または状況でリアルタイムアクションを取る可能性も限られている。この点で、現在のARおよびVRユーザ体験が分離され、汎用性(たとえばテレフォニーおよびウェブ)が欠けている。
【0011】
ARおよびVRシステムとしての、現在の仮想アシスタントまたはインテリジェントパーソナルアシスタントおよびデジタルツインに関して、現在の仮想アシスタントまたはインテリジェントパーソナルアシスタントおよびデジタルツインは垂直アプリケーションであり、SDI(ソフトウェア定義インフラストラクチャ)のようなパーベイシブな電気通信インフラストラクチャ上で動作する統一標準サイバー環境が欠けている。現在の仮想アシスタントまたはインテリジェントパーソナルアシスタントおよびデジタルツインはまた、現実の環境または状況でのアクションおよびサービスを提案するために事前の自律的判断を行うどんな能力も欠けている。さらに、現在のデジタルツインは主に、シミュレーションまたはエミュレーション環境専用であるので、現実世界での作動を行うどんな能力も欠けている。
【0012】
上記に鑑みて、本出願人は、前述の欠点のうちの1つまたは複数を克服する、サービスを提供するためのシステムを提供する問題に取り組んだ。
具体的には、本出願人は、ユーザの日常生活の活動でユーザをサポートし、すなわちユーザの代理をすることによってユーザの知性を拡張することができ、ユーザの代理ですべての物理的リソースに対する具体的な作動によって事前であっても動作することのできる、ユーザにサービスを提供するためのシステムを提供する問題に取り組んだ。
【0013】
本出願人は、上記の周知のシステムおよびアプリケーションの上記の制限を克服し、人間知性拡張のユニバーサルサービスを得る、ユーザにサービスを提供するためのシステムを提供する問題にも取り組み、「ユニバーサル」とは、完全に相互運用可能であることを意味し、すなわち任意のアプリケーションが、様々なハードウェアおよびソフトウェアプラットフォームに直面して、一貫した、効果的な方式でデータおよびサービスを交換することができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の実施形態によれば、上記の問題は、ユーザに関連付けられ、ユーザの代理で動作するように構成されたモジュール(以下では「仮想および拡張人間知性モジュール」、または簡潔にVAHIと呼ばれる)を備える、サービスを提供するためのシステムによって解決される。システムはまた、複数の第2のモジュール(以下では「仮想拡張エンティティモジュール」、または簡潔にVAEと呼ばれる)をも備え、それぞれは、それぞれの物理リソース(ハードウェアエンティティ、ソフトウェアエンティティ、または物理的物体、物理的物体のシステム、個人などの物理エンティティでよい)に関連付けられ、そのような物理リソースを表すように構成される。システムはまた、VAHIおよびVAEを実行するためのランタイム分散実行環境をも備え、ランタイム分散実行環境は、VAHIおよびVAEによる物理リソースへのアクセスをサポートする分散オペレーティングシステムを備える。VAHIに関連付けられるユーザからのサービス要求の受信時に、VAHIはVAEと対話し、対話の結果として、ユーザのサービス要求の履行のための提案をユーザに与える。次いで、ユーザからの承認の受信時に、VAHIは、提案に従ってサービス要求を少なくとも部分的に履行するアクションを実施するために、関連する物理リソースを要求するように1つまたは複数のVAEに命令する。
【0015】
周知のように、分散オペレーティングシステムは、SDIの処理リソース、記憶メモリリソース、およびネットワーキングリソースを含む、独立したネットワーク化された物理リソースの集合にわたってグローバルに分散したソフトウェアである。分散オペレーティングシステムは、すべての物理リソースの管理、制御、調整などの機能およびサービスを扱う。任意の個々の物理リソースは、グローバル分散オペレーティングシステムの特定のローカルソフトウェアを保持する。
【0016】
本発明の実施形態によるシステムは、現在の仮想アシスタントまたはインテリジェントパーソナルアシスタントおよびデジタルツインに勝るいくつかの利点を示す。
まず第1に、分散オペレーティングシステムによってサポートされるランタイム分散実行環境は、垂直アプリケーションと見なされ得る周知の仮想アシスタントまたはインテリジェントパーソナルアシスタントまたはデジタルツインには存在しないサービス汎用性を可能にする。周知のように、実際に、ITシステムでは、ランタイム環境は、オペレーティングシステムによってアプリケーションまたはソフトウェアに提供される実行環境と定義される。ランタイム環境では、アプリケーションは、命令またはコマンドをプロセッサに送り、他のITシステムリソース(RAMなど)にアクセスし得、そのことは普通なら、使用されるほとんどのプログラミング言語は高水準言語であるので不可能である。ランタイム環境内で実行されるときにプロセッサに命令またはコマンドを送り、他のITシステムリソースにアクセスすることを許されるアプリケーションと同様に、有利なことに、ランタイム環境内で実行されるVAHIおよびVAEは、物理リソースに命令またはコマンドを送ることを許される。
【0017】
VAHIおよびVAEはさらに、フィールドで取得および/または共有された知識を活用する事前対応能力を有し、学習システム管理機能ブロックによって決定され、学習システム管理機能ブロックは、周知の人工知能技法(たとえば、ニューラルネットワーク、最近隣、K-meansクラスタリング、Naive Bayes、回帰、デシジョンツリーなどの機械学習技法)に基づき得る。
【0018】
さらに、VAHIおよびVAEは、物理リソースに送るべき作動コマンドについての確認は別として、どんな人間の介在もないとしても、(フィールドで取得および/または共有された知識を活用して)自律的に推論し、決定を行うことができる。
【0019】
さらに、有利なことに、VAHIは、必要なときはいつでも、取得された知識を他のVAHIおよびVAEと共有することができる。
第1の態様によれば、本発明は、ユーザにサービスを提供するためのシステムを提供し、システムは、
ユーザに関連付けられ、ユーザの代理で動作するように構成された第1のモジュールと、
複数の第2のモジュールであって、第2のモジュールのそれぞれが、それぞれの物理リソースに関連付けられ、それぞれの物理リソースを表すように構成される複数の第2のモジュールと、
第1のモジュールおよび複数の第2のモジュールを実行するためのランタイム分散実行環境であって、第1のモジュールおよび複数の第2のモジュールによる物理リソースへのアクセスをサポートする分散オペレーティングシステムを備えるランタイム分散実行環境と
を備え、
第1のモジュールが、
複数の第2のモジュールとの対話を持ち、対話の結果として、サービスの提供のための提案をユーザに与え、
ユーザからの承認の受信時に、提案に従ってサービスの少なくとも一部を実現するアクションを実施するために、関連する物理リソースを要求するように複数の第2のモジュールのうちの少なくとも1つに命令する
ように構成される。
【0020】
第1のモジュールは、ユーザからのサービス要求の受信時に、または事前に、サービスの提供のための提案を生成することができ得る。
好ましくは、複数の第2のモジュールも、事前にサービスの提供のための提案を生成することができる。
【0021】
好ましくは、システムは、
第1のモジュールおよび複数の第2のモジュールによってアクセス可能であり、第1のモジュールの特徴に関する第1の情報を含む第1のディレクトリであって、第1のモジュールが、以前に提供されたサービスの結果に基づいて第1の情報を更新するように構成される、第1のディレクトリと、
第1のモジュールおよび複数の第2のモジュールによってアクセス可能であり、複数の第2のモジュールの特徴に関する第2の情報を含む第2のディレクトリであって、第2のモジュールが、以前に提供されたサービスの結果に基づいて第2の情報を更新するように構成される、第2のディレクトリと
をさらに備え、
サービスの提供のための提案が、第1のディレクトリ内に記憶された第1の情報および/または第2のディレクトリ内に記憶された第2の情報に基づいて策定される。
【0022】
好ましくは、第1のモジュールおよび複数の第2のモジュールは、クラウドコンピューティング、エッジコンピューティング、またはローカル機器のいずれかで実行される人工知能技法に基づく。
【0023】
第2のモジュールのうちの少なくとも1つは、いくつかのモノリシック物理リソースによって構成された複合物理リソースに関連付けられ得、第2のモジュールは、サブモジュールのセットによって形成され、各サブモジュールは、それぞれのモノリシックリソースに関連付けられ、それぞれのモノリシック物理リソースを表すように構成される。
【0024】
好ましくは、第1のモジュールおよび複数の第2のモジュールを反復的にインスタンス化することができる。
実施形態によれば、第2のモジュールのうちの少なくとも1つはユーザにも関連付けられ、第2のモジュールのうちのその少なくとも1つは、ユーザによって物理リソースとして提供されるスキルおよび/またはサービスを表す。
【0025】
システムは、ユーザに関連付けられ、ユーザの代理で動作するように構成された少なくとも1つの別の第1のモジュールを備え得る。
第2の態様によれば、本発明は、ユーザにサービスを提供するための方法を提供し、方法は、
ユーザに関連付けられ、ユーザの代理で動作するように構成された第1のモジュールを提供することと、
複数の第2のモジュールを提供することであって、第2のモジュールのうちのそれぞれが、それぞれの物理リソースに関連付けられ、物理リソースを表すように構成される、提供することと、
第1のモジュールおよび複数の第2のモジュールを実行するためのランタイム分散実行環境を提供することであって、ランタイム分散実行環境が、物理リソースへの第1のモジュールおよび複数の第2のモジュールの制御されたアクセスをサポートする分散オペレーティングシステムを備える、提供することと
を含み、
方法は、第1のモジュールにより、
複数の第2のモジュールとの対話を持ち、対話の結果として、サービスの提供のための提案をユーザに与えることと、
ユーザからの承認の受信時に、提案に従ってサービスの少なくとも一部を実現するアクションを実施するために、関連する物理リソースを要求するように複数の第2のモジュールのうちの少なくとも1つに命令することと
をさらに含む。
【0026】
第3の態様によれば、本発明は、プログラムが少なくとも1つのコンピュータによって実行されるとき、前述の方法のステップを少なくとも1つのコンピュータに実施させる命令を含むコンピュータプログラム製品を提供する。
【0027】
限定ではなく例として与えられる、添付の図面を参照して読まれるべき以下の詳細な説明から、本発明がより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施形態による、サービスを提供するためのシステムの構造を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、VAHIの構造をさらに詳細に示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、VAEの構造をさらに詳細に示す図である。
【
図4】本発明の実施形態によるシステム、人間のレベル、および物理レベルの間の対話をさらに詳細に示す図である。
【
図5】本発明の実施形態によるシステム、サービスを要求するユーザ、および要求されたサービスの提供に関係するいくつかの物理リソースの間のメッセージの例示的交換を示す図である。
【
図6】例示的使用事例での本発明の実施形態によるシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の実施形態による、サービスを提供するためのシステムを概略的に示す。
システム100は、以下では「仮想および拡張人間知性モジュール」(または簡潔にVAHI)とも呼ばれる1つまたは複数の第1のモジュールと、以下では「仮想拡張エンティティモジュール」(または簡潔にVAE)とも呼ばれる複数の第2のモジュールとを備える。
【0030】
各VAHIは、それぞれのユーザ10に関連付けられ、ユーザの代理で動作することができる。
各VAEはそれぞれの物理リソースに関連付けられる。物理リソースは、ハードウェアエンティティ(たとえば、ネットワーク装置などのSDIハードウェアリソース)、ソフトウェアエンティティ(たとえばSDIソフトウェアリソースまたは機能)、または物理的物体20(レストラン、商店、車など)などの物理エンティティ、物理的物体30のシステム(SDIハードウェアおよびソフトウェアリソースのネットワーク、スマートシティ、スマートファクトリなど)、または個人10’を含み得る。各VAEは、仮想空間内の関連する物理リソースを表すように構成され、VAHIはユーザ10を表す。
【0031】
SDIリソースが関係する限り、SDIは、基本的には、システム100が動作することを可能にするインフラストラクチャであることに留意されたい。SDIは、システム100などの分散アプリケーションをサポートするのに必要とされるすべての基本的接続性およびIT(処理、コンピューティング、記憶など)能力を提供するからである。SDIは、たとえば、URL:https://ec.europa.eu/digital-single-market/en/towards-5gで定義される5G(第5世代)電気通信インフラストラクチャであり得る。
【0032】
各VAHIは、基本的にはソフトウェアモジュールであり、より具体的には、ウェブをブラウズし、他のVAHIと対話および交渉を行い、監視地点(センサ、ウェブカメラなど)と連絡を取り、ビッグデータを作り上げ、記憶し、交換し、VAHIが表すユーザ10の希望および意思に従って決定を行うように構成された分散プロセス/アプリケーションである(非物質化され、分散したロボットとして見えることもある)。
【0033】
さらに、各VAEは、基本的にはソフトウェアモジュールであり、より具体的には、関連する物理リソースに関係するデータを提供および消費し、サービスを公開および消費するように構成されたプロセス/アプリケーションである。VAEはまた、関連する物理リソースに対して、公開されるサービスをサポートするコマンドのセットを作動させることができることになる。
【0034】
同じ個人がVAHIとVAEの両方に異なる目標で関連付けられ得ることに留意されたい:
ユーザとして、個人が、ユーザの日常生活の活動でユーザをサポートし、ユーザの知性を拡張し、ユーザの代理で動作することによってユーザの必要およびサービス要求を満足するVAHIに関連付けられ得る(消費者の役割);
同じ個人が、ユーザが提供し得るスキルおよび/またはサービス(たとえば、専門的サービス)を抽象化および仮想化するVAEにも関連付けられ得る(プロデューサの役割)。
【0035】
好ましくは、以下で詳細に説明されるように、VAHIおよびVAEの複数のインスタンスは、互いに対話することができ、ユーザ10の日常生活の活動でユーザ10をサポートするためのデータおよびサービスを提供および消費する。
【0036】
一般的に言えば、コンピューティングシステムでは、オペレーティングシステム(OS)の役割は、ハードウェアリソース(たとえば、メモリ、ストレージ、通信)および情報(たとえば、ファイル、ディレクトリ)についての高レベル抽象化への制御されたアクセスを提供することである。
【0037】
好ましくは、システム100は、VAHIおよびVAEを実行するためのランタイム分散実行環境を備える。VAHIおよびVAEによって仮想化されるすべての物理リソースの抽象化(SDIの抽象化を含む)を活用する前記ランタイム分散実行環境によってサービス汎用性が可能にされる。
【0038】
ランタイム分散実行環境は、VAHIおよびVAEによるすべての物理リソースへの制御されるアクセスをサポートする分散オペレーティングシステムによってVAHIおよびVAEに提供される。ランタイム分散実行環境では、VAHIおよびVAEは、情報を交換し、すべての物理リソースに命令またはコマンドを送り得る。
【0039】
たとえば、同一の出願人の名義の特許出願WO第2017/005329号に記載の分散OSがシステム100によって使用され得る。代替として、ONOS(https://onosproject.org/)や、URL:https://about.att.com/content/dam/innovationblogdocs/att-routing-nos-open-architecture_FINAL%20whitepaper.pdfで検索される「Towards an Open, Disaggregated Network Operating System(オープンな非集約ネットワークオペレーティングシステムに向けて)」という論文に記載の分散オペレーティングシステムなどの他の分散オペレーティングシステムが使用され得る。
【0040】
好ましくは、通信、記憶/メモリ、およびコンピューティングをサポートする物理インフラストラクチャは、高容量および低待ち時間(たとえば、5Gのように)の固定およびモバイル接続によって相互接続されるクラウドおよびエッジ/フォグコンピューティングリソースと共に高度に分散される。
【0041】
好ましくは、ランタイム分散実行環境は、VAHIおよびVAEと、やはりシステム100の部分であり、以下では「VAHIディレクトリ」および「VAEディレクトリ」と呼ばれるそれぞれのディレクトリのライフサイクルをサポートするように構成される。好ましくは、VAHIディレクトリおよびVAEディレクトリは、任意の端末で任意の場所から任意の時間にVAHIおよびVAEによってアクセス可能な方式で(たとえば、クラウドおよびエッジ/フォグコンピューティングリソース内に)記憶される。
【0042】
VAHIおよびVAEの抽象化モデルは、以下では「アーキタイプ」と呼ばれる。これらのアーキタイプは、プッシュモードを用いてVAHIおよびVAEのインスタンス化の初期段階の間に構成される。この段階の間、VAHIディレクトリおよびVAEディレクトリに静的および動的情報がポピュレートされる。
【0043】
前述のように、各VAEは、各VAEがAPI、メソッド、およびデータを公開することのできるその仮想抽象化を表す現実(ハードウェア、ソフトウェア、物理的)の物理リソース10’、20、30に一義的に関連付けられる。VAEは、任意のVAHIおよびVAEによってアクセスされ得る。
【0044】
各VAEは、関連するVAEアーキタイプを構成することにより、各VAEが表す物理リソース10’、20、30の所有者または責任者によってインスタンス化される。
次に
図2を参照すると、前述のように、システム100の各VAHIは、ユーザ10に一義的に関連付けられるソフトウェアであり、ソフトウェアは、このユーザ10を表すように構成され、ハイブリッド現実-仮想空間でユーザ10の代理で動作することができる。
【0045】
好ましくは、各VAHIは、クラウドコンピューティング、またはエッジコンピューティング、またはローカル機器(たとえば、固定端末または移動端末)のいずれかで実行される人工知能(AI)技法に基づく。たとえば、各VAHIは、ニューラルネットワーク、最近隣、K-meansクラスタリング、Naive Bayes、回帰、デシジョンツリーなどの機械学習技法を使用して開発され得る。各VAHIはまた、量子コンピューティング機能によって使用可能にされる量子機械学習技法に基づき得る。
【0046】
好ましくは、各VAHIの機能アーキテクチャは複数の機能ブロックを含む。
VAHIの第1の機能ブロックは、VAHIと関連するユーザ10との間の対話をサポートするように構成された人間-VAHI対話ブロックである。対話は、自然言語処理技法によってサポートされる音声対応のもの、またはテキストメッセージング(たとえば、チャットボット)を使用することによるテキストベースのもの、タッチ対話、または上記の組合せ、またはWolpaw, J.R.他、「Brain-Computer Interface Technology: A Review Of The First International Meeting(ブレインコンピュータインターフェース技術:第1回国際会議の検討)」、IEEE Transactions On Rehabilitation Engineering、Vol.8 NO.2、164~173頁で開示されているような任意の他の形態の対話(たとえば、ブレインコンピュータインターフェース)を介するものであり得る。
【0047】
好ましくは、ユーザ10とVAHIとの間の対話は、サービス要求の実行、またはVAHIに関連付けられるユーザ10を担当する制御および管理活動に関係付けられる。具体的には、好ましくは、人間-VAHI対話ブロックは、VAHIに関連付けられるユーザ10が、ユーザ10を担当するユーザプロファイルブロックおよび/またはVAHIディレクトリ内に記憶されたデータをVAHIのライフサイクル中に構成および更新することを可能にする機能をサポートする。
【0048】
さらに、機能ブロックは、ユーザプロファイルブロックに向かう、かつ/またはVAHIディレクトリ内のデータルーティングの任を担う。
VAHIの別の機能ブロックはサービス解釈および構成ブロックであり、好ましくは、サービス解釈および構成ブロックは、サービス要求の解釈およびサービスチェーンの後続の構成の任を担い、「サービスチェーン」という表現は、サービス要求を履行するために実行されるサービス構成要素のシーケンスを示す。
【0049】
好ましくは、この機能ブロックは、サービス要求を履行するために必要とされるVAHIおよびVAEを発見するためにVAHIディレクトリおよびVAEディレクトリと対話する。
【0050】
さらに、好ましくは、この機能ブロックは、ユーザプロファイル機能ブロック(以下で詳細に説明される)と対話して、サービス実行に関係する、ユーザ10の習慣、希望、特徴、および委任規則に関する情報を検索するように構成される。
【0051】
好ましくは、サービス解釈および構成ブロックは、以下の機能のうちの1つまたは複数をサポートする。
・人間-VAHI対話機能ブロックから受信したサービス要求のエンドツーエンド解析
・サービス履行に潜在的に関係する他のVAHIを特定するためのVAHI発見。好ましくは、この発見は、インスタンス化される他のVAHIに関する情報を記憶するVAHIディレクトリと対話することによって達成される(以下で詳細に説明されるXDインターフェース)
・サービス要求を履行するために実行すべきサービス構成要素をサポートするVAEを特定するためのVAE発見。好ましくは、この発見は、インスタンス化されるVAEに関する情報を記憶するVAEディレクトリと対話することによって達成される(以下で詳細に説明されるYDインターフェース)
・サービス実行に関係する、ユーザ10の習慣、希望、特徴、および委任規則に関する情報の検索。好ましくは、このアクションは、この情報を含むユーザプロファイル機能ブロックと対話することによって達成される
・発見されたVAHI、VAE、およびユーザプロファイルブロックから検索された情報に基づくサービスチェーンの構成
VAHIの別の機能ブロックは、サービスチェーンの実行の任を担うエンドツーエンドサービス実行ブロックである。好ましくは、この機能ブロックは、以下のうちの少なくとも1つと対話する。
【0052】
・サービスチェーンの受信のための前述のサービス解釈および構成機能ブロック
・サービスチェーン実行に関係する他のVAHI(以下で詳細に説明されるIIインターフェースを通じて)
・サービス要求を履行するために実行されるサービス構成要素をサポートするVAE(以下で詳細に説明されるVVインターフェースを通じて)
・サービス要求の実行に関する許可または確認をユーザに尋ね、サービスチェーンの実行を通じて得られた結果をユーザ10に送るための前述の人間-VAHI対話機能ブロック
好ましくは、エンドツーエンドサービス実行ブロックは、以下の機能のうちの1つまたは複数もサポートする。
【0053】
・好ましくは以下のステップを含むエンドツーエンド実現可能性検証
・サービスチェーンの実行に関係するVAHIの協調に対する可用性の検証(それが存在する場合)
・VAEによってサポートされるサービス構成要素の実行についての技術的実現可能性の検証
・上記の検証のエンドツーエンド収集、およびサービスチェーンの実行についての提案の準備
・サービスチェーンの実行のためのユーザ10による提案の承認の検証(必要な場合)
・サービスチェーンのサービス構成要素の実行についてのVAEの活動化
・サービス構成要素の実行の結果の収集、およびそれをユーザ10に送ること
別の機能ブロックとして、好ましくは、システム100の各VAHIは学習システム管理ブロックも備え、好ましくは、学習システム管理ブロックは、VAHIの自動および自己学習機能(たとえば、前述の人間-VAHI対話ブロック、サービス解釈および構成ブロック、ならびにエンドツーエンドサービス実行ブロック)をサポートする人工知能(AI)ツールを調整および管理する任を担う。
【0054】
好ましくは、学習システム管理ブロックは周知の人工知能技法に基づく。たとえば、学習システム管理ブロックは、ニューラルネットワーク、最近隣、K-meansクラスタリング、Naive Bayes、回帰、デシジョンツリーなどの機械学習技法を使用して開発され得る。学習システム管理ブロックはまた、量子コンピューティング機能によって使用可能にされる量子機械学習技法に基づき得る。
【0055】
好ましくは、学習システム管理ブロックは、フィールドで取得および/または共有された知識を活用する事前対応能力をVAHIに提供する。たとえば、学習システム管理ブロックは、注目のイベント(たとえば、ストライキ、悪天候)およびサービスについてユーザ10に警報するVAHI機能をサポートし得る。
【0056】
さらに、好ましくは、学習システム管理ブロックは、ユーザによる前の決定委任(委任規則)を別にして、どんな人間の介在もないとしても、(フィールドで取得および/または共有された知識を活用して)推論し、自動的に決定を行う機能をVAHIに提供する。
【0057】
好ましくは、学習システム管理ブロックは、以下の機能のうちの1つまたは複数をサポートする。
・AIアルゴリズムおよびモデルの初期トレーニングおよび調整
・サービスチェーンの実行の結果およびユーザ10によって受信されたフィードバックに基づくAIアルゴリズムおよびモデルの連続的自動調整
・(以下で詳細に説明されるXDインターフェースを通じた)ユーザプロファイルブロックおよびVAHIディレクトリに関係するデータの連続的かつ自動の更新
・ユーザ満足、すなわちユーザ10の期待に対するサービスチェーン実行の結果の準拠のレベルの点、および動作効率の点からの、VAHI性能に関するデータ解析
・自律的決定およびサービス提案
別の機能ブロックとして、好ましくは、システム100の各VAHIはまた、VAHI自体の制御および管理の任を担うVAHI制御および管理ブロックをも備える。
【0058】
好ましくは、この機能ブロックの機能のほとんどは、システム100の管理者のために予約される。しかしながら、そのサブセットが、VAHIが関連付けられるユーザ10に対して利用可能にされ得る。好ましくは、前記機能は以下のうちの1つまたは複数を含む。
【0059】
・VAHIのインターフェース上で公開されるメソッドおよびデータの、機密性に関する構成
・VAHIの排他的制御下のVAHIとVAEとの間の関係の構成
別の機能ブロックとして、好ましくは、システム100の各VAHIは、VAHIのセキュリティ管理の任を担うセキュリティブロックを備える。好ましくは、この機能ブロックは、以下の機能のうちの1つまたは複数をサポートする。
【0060】
・悪意のある攻撃(たとえば、サービス妨害、分散サービス妨害、フィッシング)を回避するための、公開されるインターフェースに関するセキュリティ管理
・別のVAHIの排他的制御下のVAHIによってVAEに送られる要求の実行のための同意の管理
別の機能ブロックとして、好ましくは、システム100の各VAHIはまた、VAHIに関連付けられるユーザ10に特有の習慣、選好、および特徴を示す情報の動的収集および記憶の任を担うユーザプロファイルブロックをも備える。
【0061】
好ましくは、ユーザプロファイルブロックは、サービス実行に関係するユーザ10の習慣、希望、特徴、および委任規則に関する情報を特定するために前述のサービス解釈および構成機能ブロックによって調査される。
【0062】
好ましくは、ユーザプロファイルブロックは当初、VAHIのアーキタイプのインスタンス化段階中に構成される。次いで、好ましくは、ユーザプロファイルブロックは、VAHIのライフサイクル全体の間に、前述の学習システム管理ブロック(すなわち、VAHIの学習スキル)およびユーザ10によって動的に更新される。
【0063】
初期構成段階の間、VAHIに関連付けられるユーザ10は、事前定義された一連の質問を述べる標準インターフェースを通じて、ユーザ10の習慣、希望、特徴、および委任規則に関する情報の明示的な供給について能動的な役割を果たし得る。
【0064】
そのような情報の例は、識別データ、性別、スキル、選好、趣味、写真、VAHI自動決定についての委任規則などである。
この情報は、ユーザ10の自由裁量で部分的に開示され得る。セキュリティの理由で、ユーザプロファイルブロックのいくつかの属性は、任意の治安当局によってアクセス可能にされなければならない。
【0065】
次に
図3を参照すると、前述のように、VAEは、VAEがAPI、メソッド、およびデータを公開することのできるその仮想抽象化を表す物理リソースハードウェア、ソフトウェア、または物理的(たとえば、物理的物体20、物理的物体30のシステム、または個人10’)に一義的に関連付けられる。言い換えれば、VAEは、関連する物理リソース10’、20、30が現実世界で実施し得るサービスおよび/または機能を表している。これは、個人10’についても適用可能である。たとえば、医師10’は、医師10’がコミュニティに提供し得る専門的サービスを表すように医師10’のVAEを構成し得る。別の例はレストランの所有者であり、レストランの所有者は、所有者のレストランのVAEアーキタイプを、レストランが見えるようにするように、サービスを提供するための条件で構成することを決定し得る。
【0066】
好ましくは、各VAEは、クラウドコンピューティング、エッジコンピューティング、またはローカル機器(たとえば、固定または移動端末)のいずれかで実行される人工知能(AI)メソッドに基づく。たとえば、各VAEは、ニューラルネットワーク、最近隣、K-meansクラスタリング、Naive Bayes、回帰、デシジョンツリーなどの機械学習技法を使用して開発され得る。各VAEはまた、量子コンピューティング機能によって使用可能にされる量子機械学習技法に基づき得る。
【0067】
物理リソースがモノリシックではないケース(たとえば、スマートファクトリまたはスマートシティのような複合システム30)では、好ましくは、物理リソース30に関連付けられるVAEは、VAEがそれから作成される、物理サブエンティティのそれぞれに関連付けられるVAEのセットに分解される(下位レベルVAE)。そのような種類のVAE(上位レベルVAE)は、少なくとも2つの下位レベルVAEが既にインスタンス化されている場合にのみインスタンス化され得る。たとえば、スマートシティについてのVAEは、都市交通管理システムについてのVAEと、都市廃棄物管理システムについてのVAEとが既に存在する場合にのみインスタンス化され得る。好ましくは、そのような規則は、モノリシックではない物理リソースに関連付けられるVAEのアーキタイプで実施される。好ましくは、上位レベルVAEと下位レベルVAEとの間の関係がVAE記述子に登録され、動的に変化し得る。
【0068】
好ましくは、各VAEの機能アーキテクチャは複数の機能ブロックを備える。
具体的には、好ましくは、システム100の各VAEは、VAEと、個人、通常はVAEに関連付けられる物理リソース10’、20、30の所有者または責任者との間の対話をサポートするように構成された人間-VAE対話ブロックを備える。対話は、自然言語処理技法によってサポートされる音声対応のもの、またはテキストメッセージング(たとえば、チャットボット)を使用することによるテキストベースのもの、または前述のような任意の他の形式の対話を介するものであり得る。タッチ対話も使用され得る。
【0069】
好ましくは、人間-VAE対話ブロックは、物理リソース10’、20、30の所有者または責任者が、前記エンティティを担当するエンティティプロファイルブロック(以下で詳細に説明される)および/またはVAEディレクトリ内に記憶されたデータをVAEのライフサイクル中に構成および更新することを可能にする機能をサポートするように構成される。
【0070】
さらに、好ましくは、人間-VAE対話ブロックは、エンティティプロファイルブロックに向かう、かつ/またはVAHIディレクトリ内のデータルーティングの任を担う。
別のブロックとして、好ましくは、システム100の各VAEは、サービス構成要素要求の解釈、およびVAEがモノリシックではない場合、サービスサブチェーンの可能な構成の任を担うサービス構成要素解釈および構成ブロックを備える。このケースでは、好ましくは、サービス構成要素解釈および構成ブロックは、サービス要求を履行するために使用される物理サブエンティティに関連付けられるVAEを発見するためにVAEディレクトリと対話する。
【0071】
必要な場合、サービス構成要素解釈および構成ブロックはエンティティプロファイル機能ブロックと対話して、サービス実行に関係するパラメータおよび情報を特定する。
VAEがモノリシックである(すなわち、関連する物理リソース10’、20、30がサービス構成要素要求の実行を完全にサポートすることができる)場合、好ましくは、サービス構成要素解釈および構成ブロックは、サービス構成要素要求の実行のためにエンドツーエンドサービス構成要素実行機能ブロックを活動化する。
【0072】
好ましくは、サービス構成要素解釈および構成は、以下の機能のうちの1つまたは複数をサポートする。
・VAHIから、または上位階層レベルに属するVAEから受信したサービス構成要素要求のエンドツーエンド解析
・サービスサブチェーン履行のために潜在的に関係するVAEを特定するためのVAE発見。この発見は、(以下で詳細に説明されるZDインターフェースを通じて)VAEディレクトリと対話することによって達成される
・サービスサブチェーン履行に潜在的に関係するVAHIを特定するためのVAHI発見。好ましくは、この発見は、(以下で詳細に説明されるKDインターフェースを通じて)インスタンス化されるVAHIに関する情報を記憶するVAHIディレクトリと対話することによって達成される
・サービス構成要素実行に関係する情報の検索。好ましくは、このアクションは、前記情報を含むエンティティプロファイル機能ブロックと対話することによって達成される
・発見されたVAEおよびVAHIに基づくサービスサブチェーンの構成
・エンドツーエンドサービス実行機能ブロックにサービスサブチェーンを送ること
・VAEがモノリシックである場合、エンドツーエンドサービス実行機能ブロックにサービス構成要素実行要求を送ること
別の機能ブロックとして、好ましくは、システム100の各VAEは、サービスサブチェーンおよびサービス構成要素実行要求(VAEがモノリシックである場合)の実行の任を担うエンドツーエンドサービス構成要素実行ブロックを備える。
【0073】
好ましくは、この機能ブロックは、以下のうちの1つまたは複数と対話する。
・サービスサブチェーンの受信のために、サービス構成要素解釈および構成ブロックと
・物理サブエンティティ(サービスサブチェーンの部分)に関連付けられる前記VAEによってサポートされるサービス構成要素の実行のために、EEインターフェース(以下で詳細に説明される)を通じて、他のVAEと
・VPインターフェース(以下で詳細に説明される)を通じて、アクション要求を送るために、関連する物理リソースと
さらに、好ましくは、エンドツーエンドサービス構成要素実行ブロックは、以下の機能のうちの1つまたは複数をサポートする。
【0074】
・好ましくは以下のステップを含むエンドツーエンド実現可能性検証
・サービスチェーンの実行に関係するVAHI、および潜在的にはVAHIの協調に対する可用性の検証(それが存在する場合)
・サービスサブチェーンの実行に関係するVAEによってサポートされるサービス構成要素の実行についての技術的実現可能性の検証(それが存在する場合)。VAEがモノリシックである(サービスサブチェーンなし)場合、好ましくは、この機能ブロックは、VAEディレクトリ(ステータス情報)と、技術的実現可能性を決定するのに有用なエンティティ属性を検証するためのエンティティプロファイルブロックとにZDインターフェース(以下で詳細に説明される)を通じてアクセスすることによってサービス構成要素実行要求の技術的実現可能性を検証する
・サービスサブチェーンの実行のための提案の検証および準備のエンドツーエンド収集(それが存在する場合)
・EEインターフェース(以下で詳細に説明される)を通じたサービスサブチェーンのサービス構成要素の実行のためのVAEの活動化
・関連する物理リソース10’、20、30(たとえば、作動、データおよび状態構成、プルモードでのデータ発見)に対するアクション要求を転送し、VAEがモノリシックであるケースでは、物理リソースに対するアクションの作動に関するアクション応答を受信すること
・サービス構成要素の実行の結果の収集、およびそれを要求側のVAHIまたはVAE申込者個人に送ること(サブチェーンのケース)
・アクション要求(たとえば、作動、データおよび状態構成、プルモードでのデータ発見)を送り、物理リソースに対するアクションの作動に関するアクション応答を受信すること
別の機能ブロックとして、好ましくは、システム100の各VAEは、物理リソースから受信したデータを収集し、作り上げ、ルーティングする任を担うVAEデータ収集および経路ブロックを備える(プッシュモード)。そのようなデータは、VAEディレクトリ(具体的にはVAE記述子)および/またはエンティティプロファイルブロック内に記憶され得る。
【0075】
別の機能ブロックとして、好ましくは、システム100の各VAEは、VAEの自動および自己学習機能をサポートする人工知能(AI)ツールを調整および管理する任を担う学習システム管理ブロックを備える。
【0076】
好ましくは、学習システム管理ブロックは周知の人工知能(AI)技法に基づく。たとえば、学習システム管理ブロックは、ニューラルネットワーク、最近隣、K-meansクラスタリング、Naive Bayes、回帰、デシジョンツリーなどの機械学習技法を使用して開発され得る。学習システム管理ブロックはまた、量子コンピューティング機能によって使用可能にされる量子機械学習技法に基づき得る。
【0077】
好ましくは、学習システム管理ブロックは、フィールドで取得および/または共有された知識を活用する事前対応能力をVAEに提供する。たとえば、学習システム管理ブロックは、VAHIに自律的にサービス提案を行う機能をVAEに提供し得る。
【0078】
さらに、学習システム管理ブロックは、物理リソースに送るべき作動コマンドについての確認を別にして、どんな人間の介在もないとしても、(フィールドで取得および/または共有された知識を活用して)推論し、自動的に決定を行う機能をVAEに提供し得る。
【0079】
好ましくは、学習システム管理ブロックは、以下の機能のうちの1つまたは複数をサポートする。
・AIアルゴリズムおよびモデルの初期トレーニングおよび調整
・サービス構成要素の実行の結果および(ユーザのフィードバックとして)VAHIによって受信されたフィードバックに基づくAIアルゴリズムおよびモデルの連続的自動調整
・エンティティプロファイルブロックおよびVAEディレクトリに関連するデータの連続的および自動更新
・VAHI満足、すなわちサービス構成要素の実行の結果および(ユーザのフィードバックとして)VAHIによって受信されたフィードバックの準拠のレベルの点、および動作効率の点からのVAE性能に関するデータ解析
・自律的決定およびサービス提案
別の機能ブロックとして、好ましくは、システム100の各VAEは、VAE自体の制御および管理の任を担うVAE制御および管理ブロックを備える。
【0080】
好ましくは、VAE制御および管理ブロックの機能のほとんどは、システム100の管理者のために予約される。しかしながら、そのような機能のサブセットが、VAEを構成した個人に対して利用可能にされ得る。好ましくは、前記機能は以下のうちの1つまたは複数を含む。
【0081】
・VAEインスタンスの作成および削除
・エンティティプロファイルブロック構成および更新
・VAEのインターフェース上で公開されるメソッドおよびデータの、機密性に関する構成
・VAEインスタンスとVAHIインスタンスとの間の関係の構成
別の機能ブロックとして、好ましくは、システム100の各VAEは、VAEインスタンスのセキュリティ管理の任を担うセキュリティブロックを備える。好ましくは、この機能ブロックは、以下の機能のうちの1つまたは複数をサポートする。
【0082】
・悪意のある攻撃(たとえば、サービス妨害、分散サービス妨害、フィッシング)を回避するための、公開されるインターフェースに関するセキュリティ管理
・要求の実行のための同意の管理
別の機能ブロックとして、好ましくは、システム100の各VAEは、VAEに関連付けられる物理リソース10’、20、30に関する静的および動的な情報を含むエンティティプロファイルブロックを備える。
【0083】
エンティティプロファイルブロックは当初、VAEアーキタイプのインスタンス化段階中に構成される。次いで、好ましくは、エンティティプロファイルブロックは、VAEのライフサイクル全体の間に、前述の学習システム管理ブロック(すなわち、VAEの学習スキル)および物理リソースの所有者または責任者によって動的に更新される。初期構成段階の間、物理リソース10’、20、30の所有者または責任者は、特定のインターフェースを通じてエンティティプロファイルブロックを充填する際に能動的な役割を果たし得る。
【0084】
そのような静的または動的な情報の例は、レストランのメニューおよび開店/閉店時刻、商品ブランド、価格および可用性、店舗またはオンラインeコマースについての倉庫在庫、顧客ブラック/ホワイトリストなどである。
【0085】
以下では、システム100のVAHIのVAHIディレクトリがさらに詳細に説明される。
好ましくは、VAHIディレクトリは、VAHIインスタンスに一意に関連付けられる記述子(「VAHI記述子」とも呼ばれる)の集合である。VAHI記述子は、VAHIのインスタンス化および初期構成に対して文脈的に作成される。
【0086】
好ましくは、VAHIディレクトリおよび関連するVAHI記述子は、VAHIインスタンスのライフサイクルに従って、関連するVAHIによってリアルタイムに動的に更新される。
【0087】
好ましくは、VAHI記述子は、関連するVAHIの特徴を記述する静的および動的な情報を含む。定義による静的な情報は、VAHIの安定した永続する側面および能力を決定する特徴に関係し、動的な情報は、継続的に進化する特徴を表すために経時的に変化し得る。
【0088】
非限定的な例として、静的な情報は、以下のうちの1つまたは複数を含み得る。
1.VAHIの一意識別子(たとえば、ウェブサイトについてのURL)
2.関連するユーザ10の名前または姓
3.別の任意選択的な情報(たとえばインスタンス化日付)
非限定的な例として、動的な情報は以下のうちの1つまたは複数を含む。
【0089】
1.VAHIのステータス(たとえば、オンライン/オフライン、ビジー/フリー)
2.ユーザ満足の点からのVAHI性能
3.ユーザ10に関連付けられるすべてのVAHIインスタンスのリスト
4.VAHIの排他的制御下のVAEインスタンスのリスト
好ましくは、VAHIディレクトリは、前述のように、サービス要求の解釈およびサービスチェーンの後続の構成の任を担うサービス解釈および構成機能ブロックによってアクセスされる。具体的には、これは、サービス要求を履行するために必要とされるVAHIを発見することを可能にする。
【0090】
以下では、システム100のVAEのVAEディレクトリがさらに詳細に説明される。
好ましくは、VAEディレクトリは、VAEインスタンスに一意に関連付けられる記述子(「VAE記述子」とも呼ばれる)の集合である。VAE記述子は、VAEのインスタンス化および構成に対して文脈的に作成される。
【0091】
VAEアーキタイプの各タイプ(たとえばレストラン、カーディーラ、オンライン銀行)について、好ましくは、VAE記述子の援助付きの標準生成を可能にするガイド付きメニューがある。
【0092】
好ましくは、VAEディレクトリおよび関連するVAE記述子は、VAEインスタンスのライフサイクルに従って、関連するVAEによってリアルタイムに動的に更新される。
VAE記述子は、関連するVAEの特徴および機能を記述する静的および動的な情報を含み得る。定義による静的な情報は、VAEの安定した永続する側面および能力を決定する特徴に関係し、動的な情報は、継続的に進化する特徴を表すために経時的に変化し得る。
【0093】
非限定的な例として、静的な情報は、以下のうちの1つまたは複数を含み得る。
1.VAEの一意識別子(たとえば、ウェブサイトについてのURL)
2.VAEが属するクラス(たとえば、レストラン、オンラインバンク、花屋、ビジネス活動、スマートシティなど)
3.モノリシックVAEか否か(複合システム30のケース)
4.命名および空間属性(たとえば、名前、国、都市、街路)
5.公開されるメソッドおよびデータ(たとえば、車販売、リースサービス、長期レンタル、車保守など)
非限定的な例として、動的情報は、以下のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0094】
1.同一の物理リソース10’、20、30に関連付けられるすべてのVAEインスタンスのリスト
2.VAE(上位レベル)が複合システム30に関連付けられるケースでの、関連するVAE(下位レベル)のリスト
3.VAEが属するのと同一の属性(たとえば、食品のタイプ、割引、評判、実績など)を有するグループ
4.ステータス(たとえば、オンライン/オフライン、ビジー/フリー)
5.VAEの実績(たとえば、首尾よく完了したサービス要求の数、公開されるデータの品質、可用性/非可用性の割合)
6.VAEの評判(たとえば、ユーザの満足レベル)
好ましくは、VAEディレクトリは、サービス要求の解釈およびサービスチェーンの後続の構成の任を担う、前述のサービス解釈および構成機能ブロックによってアクセスされる。具体的には、これは、サービス要求を履行するために必要とされるVAEを発見することを可能にする。好ましくは、VAEディレクトリは、サービス構成要素解釈および構成ブロックによってアクセスされ、サービスサブチェーン履行のために潜在的に必要とされるVAEが特定される。
【0095】
次に
図4を参照して、システム100と、人間レベル(ユーザ10)と、物理レベル(物理リソース10’、20、30)インターフェースとの間のインターフェースがさらに詳細に説明される。
【0096】
HV(人間-VAHI)インターフェースに関して、HVインターフェースは、ユーザ10とVAHIとの間の対話をサポートするように構成される。大部分は、限定はしないが、HVインターフェースは、以下のうちの1つまたは複数を含むサービス実行を可能にするメッセージの交換をサポートする。
【0097】
・サービス要求:このメッセージは、ユーザ10からのサービス要求についての詳細な情報を含む
・サービス実行提案:このメッセージは、サービス要求の最良の実行についてのVAHIからの提案を含む。提案は、場合によっては提案を承認するか否かをユーザ10が決定することを可能にする情報と共に、ユーザ10に宛てられ、ユーザ10の承認または不承認を得ることを目的とする
・確認応答:このメッセージは、VAHIの提案に対するユーザ10の承認(ok)または不承認(ko)を含む
・サービス実行確認:VAHIによってユーザ10に送られるこのメッセージは、サービス要求の実行を確認し、結果をレポートする
・サービス品質フィードバック:ユーザ10によってVAHIに送られるこのメッセージは、要求されたサービスの知覚される品質についてのユーザ10のフィードバックを含む
・サービス協調許可要求:VAHIによってユーザ10に送られるこのメッセージは、別のVAHIから受信されたサービス協調要求の受信に続いて、協調する許可を要求する
・サービス協調許可応答:このメッセージを用いて、ユーザ10は、そのVAHIから以前に受信したサービス協調許可要求を確認または拒絶する
・VAHI属性構成:このメッセージは、VAHIインスタンス化段階およびそのライフサイクルの両方の間に、ユーザ10がユーザプロファイルブロックおよびVAHIディレクトリ内に含まれる情報を構成および更新することを可能にする。好ましくは、ユーザ10は、事前定義された一連の質問を述べる標準インターフェースを通じて情報を供給する
・警報およびサービス提案:このメッセージを用いて、VAHIは、自律的かつ事前に、ユーザ10に警報またはサービス提案を送る。ユーザ10がサービス提案を気に入った場合、サービス要求がユーザ10によって作成される
VV(VAHI-VAE)インターフェースに関して、好ましくは、VVインターフェースは、VAHIとVAEとの間の対話をサポートする。大部分は、限定はしないが、VVインターフェースは、VAEによって公開されるデータおよびサービスの消費を可能にするメッセージの交換をサポートする。非限定的な例として、そのようなメッセージは、以下のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0098】
・サービス構成要素検証要求:このメッセージを用いて、VAHIは、サービス構成要素のインスタンスが実行され得るかどうかを検証するようにVAEに要求する
・サービス構成要素検証応答:このメッセージを用いて、VAEは、要求されたサービス構成要素のインスタンスを実行する可能性を確認または拒絶する。肯定のケースでは、メッセージは実現可能性提案を含む
・サービス構成要素実行要求:このメッセージを用いて、VAHIは、以前に検証されたサービス要求を実行するようにVAEに要求する
・サービス構成要素実行応答:VAEによってVAHIに送られるこのメッセージは、サービス構成要素実行要求の実行の結果を含む
・サービス構成要素実行品質フィードバック:このメッセージを用いて、VAHIは、(VAHIによって受信されるユーザ10からのフィードバックとして)要求されたサービス構成要素実行の知覚された品質についてのフィードバックをVAEに送る
・許可要求:このメッセージを用いて、プライベートVAEは(その階層レベルが何であっても)、別のVAHIから来るサービス構成要素検証要求に応答する許可をそのVAHIに要求する
・許可応答:このメッセージを用いて、VAHIは、そのプライベートVAEに対する許可要求を確認または拒絶する
・サービス協調要求:このメッセージは、サービスサブチェーンのサービス構成要素部分を実現するために協調するようにVAEが他のVAHIに要求することを可能にする
・サービス協調応答:このメッセージを用いて、VAHIは、VAEによって受信されたサービス協調要求に回答し得る
・サービス提案:このメッセージを用いて、VAEは、自律的かつ事前に、VAHIにサービス提案を送る。VAHIまたは関連するユーザ10が前記サービス提案を気に入った場合、サービス要求が(そのような決定が委任規則内に含まれるケースでは)VAHIによって、またはユーザ10によって自動的に作成される
VP(VAE-物理リソース)インターフェースに関して、好ましくは、VPインターフェースは、VAEと関連する物理リソース10’、20、30との間の対話をサポートする。たとえば、VPインターフェースは、物理リソース10’、20、30からのデータ収集と、物理リソース10’20、30に対するアクションの作動の両方についてのメッセージの交換をサポートし得る。そのようなメッセージは、以下のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0099】
・データ更新:このメッセージは、物理リソース10’、20、30が物理リソース10’、20、30およびそのライフサイクルに関するすべての関連するデータについての関連するVAEを更新することを可能にする(プッシュモード)
・アクション要求:このメッセージは、限定はしないが、サポートされる機能の実行、データおよび状態構成、データ発見のようなアクションを実行するようにVAEが物理リソース10’、20、30に要求することを可能にする(プルモード)
・アクション応答:物理リソース10’、20、30によって関連するVAEに送られるこのメッセージは、アクションの結果(okまたはko)を含む
II(VAHI-VAHI)インターフェースに関して、好ましくは、IIインターフェースはVAHI間の対話をサポートする。複数のユーザが関係するサービスを提供するためにVAHIの複数のインスタンス間の協調および調整が必要なとき、IIインターフェースはメッセージの交換をサポートし、そのような協調および調整を可能にする。非限定的な例として、そのようなメッセージは、以下のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0100】
・サービス協調要求:このメッセージは、前のVAHIに関連付けられるユーザによって要求されたサービスを供給するために協調するようにVAHIが別のVAHIに要求することを可能にする
・サービス協調応答:このメッセージはサービス協調要求に対する回答を含む
ユーザ10は、複数のVAHIを関連付けていることがある(たとえば、あるVAHIを労働時間用に、別のVAHIを自由時間用に)。そのケースでは、IIインターフェースは、それぞれのユーザプロファイルブロックの部分的共有または全共有をサポートする。
【0101】
EE(VAE-VAE)インターフェースに関して、好ましくは、EEインターフェースは、サービスサブチェーン実行のために必要とされるVAEの複数のインスタンス間の対話をサポートする。非限定的な例として、EEインターフェースを通じて交換されるメッセージは、以下のうちの1つまたは複数を含む。
【0102】
・サービス構成要素検証要求:このメッセージを用いて、上位レベルVAEは、サービス構成要素のインスタンスが実行され得るかどうかを検証するように下位レベルVAEに要求する
・サービス構成要素検証応答:このメッセージを用いて、下位レベルVAEは、要求されたサービス構成要素のインスタンスを実行する可能性を確認または拒絶する。肯定のケースでは、メッセージは実現可能性提案を含む
・サービス構成要素実行要求:このメッセージを用いて、上位レベルVAEは、以前に検証されたサービス要求を実行するように下位レベルVAEに要求する
・サービス構成要素実行応答:下位レベルVAEによって上位レベルVAEに送られるこのメッセージは、サービス構成要素実行要求の実行の結果を含む
・サービス構成要素実行品質フィードバック:このメッセージを用いて、上位レベルVAEは、(VAHIによって受信されるユーザのフィードバックとして)要求されたサービス構成要素実行の知覚された品質についてのフィードバックを下位レベルVAEに送る。
【0103】
HE(人間-VAE)インターフェースに関しては、好ましくは、HEインターフェースは、物理リソース10’、20、30についての所有者または責任者である個人と、そのような物理リソースに関連付けられるVAEとの間の対話をサポートする。非限定的な例として、HEインターフェースを通じて交換されるメッセージは以下を含む。
【0104】
・VAE属性構成メッセージ:このメッセージは、VAEインスタンス化段階およびそのライフサイクルの両方の間に、個人がエンティティプロファイルブロックおよびVAEディレクトリを構成および更新することを可能にする。個人は、事前定義された一連の質問を述べる標準インターフェースを通じて情報を供給する
XDインターフェースに関して、好ましくは、XDインターフェースは、VAHI記述子内に記録されたデータの構成および発見に関する、VAHIインスタンスとVAHIディレクトリとの間の対話をサポートする。好ましくは、サポートされるメッセージは、以下のうちの1つまたは複数を含む。
【0105】
・VAHIディレクトリデータ構成:このメッセージは、インスタンス化段階と、VAHIのライフサイクルの間の両方で、VAHI記述子内に記憶されたデータの構成をサポートする。これらのデータは、HVインターフェースを通じてユーザ10によって与えられる(前述のように、VAHIの人間-VAHI対話ブロックは、ユーザプロファイルブロックに向かう、かつ/またはVAHIディレクトリ内のデータルーティングの任を担う)
・VAHIディレクトリデータ発見:このメッセージは、VAHI記述子内に記憶されたデータの発見をサポートする
YDインターフェースに関して、好ましくは、YDインターフェースは、サービス要求を履行するために実行されるサービス構成要素をサポートするVAEの発見に関する、VAHIインスタンスとVAEディレクトリとの間の対話をサポートする。好ましくは、サポートされるメッセージは以下を含む。
【0106】
・VAEディレクトリデータ発見:このメッセージは、VAE記述子内に記憶されたデータの発見をサポートする
KDインターフェースに関して、好ましくは、KDインターフェースは、VAHI記述子内に記録されたデータの発見に関する、VAEインスタンスとVAHIディレクトリとの間の対話をサポートする。好ましくは、サポートされるメッセージは以下を含む。
【0107】
・VAHIディレクトリデータ発見:このメッセージは、VAHI記述子内に記憶されたデータの発見をサポートする
ZDインターフェースに関して、好ましくは、ZDインターフェースは、VAE記述子内に記録されたデータの構成および発見に関する、VAEインスタンスとVAEディレクトリとの間の対話をサポートする。好ましくは、サポートされるメッセージは以下を含む。
【0108】
・VAEディレクトリデータ構成:このメッセージは、インスタンス化段階と、VAEのライフサイクルの間の両方で、VAE記述子内に記憶されたデータの構成をサポートする。これらのデータは、HEインターフェースを通じて個人によって与えられる(前述のように、VAEの人間-VAE対話ブロックは、エンティティプロファイルブロックに向かう、かつ/またはVAEディレクトリ内のデータルーティングの任を担う)
・VAEディレクトリデータ発見:このメッセージは、VAE記述子内に記憶されたデータの発見をサポートする
図5は、ユーザ10、ユーザ10に関連付けられるVAHI、それぞれの物理リソース10’、20、30に関連付けられる1つまたは複数のVAE、および物理リソース10’、20、30自体の間のメッセージの例示的交換を概略的に示す。
【0109】
VAHIは、HVインターフェースを通じてサービス要求をユーザ10から受信し(ステップ1)、サービス要求は、要求するサービスについての詳細な情報を含む。
次いで、VVインターフェースを介して、好ましくは、VAHIは、要求されるサービスを供給するために恐らくは必要とされる物理リソース10’、20、30に関連付けられる1つまたは複数のVAEにそれぞれのサービス構成要素検証要求を送り(ステップ2)、それぞれのサービス構成要素検証要求によって、VAHIは、サービス構成要素のインスタンスが実行され得るかどうかを検証するようにVAEに要求する。
【0110】
次いで、好ましくは、VAEは、VVインターフェースを介して、それぞれのサービス構成要素検証応答をVAHIに送り(ステップ3)、それぞれのサービス構成要素検証応答によって、各VAEは、要求されたサービス構成要素のインスタンスを実行する可能性を確認または拒絶する。肯定のケースでは、メッセージは実現可能性提案を含む。
【0111】
次いで、HVインターフェースを通じて、好ましくは、VAHIは、要求されたサービスの最良の実行のためのVAHIからの提案を含むサービス実行提案をユーザ10に送る(ステップ4)。
【0112】
次いで、HVインターフェースを通じて、好ましくは、VAHIは、サービス提案に対するユーザ10の承認(ok)または不承認(ko)のどちらかを含む確認応答をユーザ10から受信する(ステップ5)。
【0113】
次いで、VVインターフェースを通じて、好ましくは、VAHIは、ユーザ10によって承認されるように、要求されたサービスを供給するために必要とされる物理リソース10’、20、30に関連付けられるVAEにそれぞれのサービス構成要素実行要求を送る(ステップ6)。そのようなメッセージにより、VAHIは、ユーザ10によって承認されるようにサービス要求を実行するようにVAEに要求する。
【0114】
次いで、好ましくは、それぞれのサービス構成要素実行要求を受信する各VAEは、そのVPインターフェースを介して、それぞれの物理リソース10’、20、30にアクション要求を送る(ステップ7)。そのようなメッセージにより、各VAEは、限定はしないが、サポートされる機能の実行、データおよび状態構成、データ発見のようなアクションを実行するようにそれぞれの物理リソース10’、20、30に要求する(プルモード)。
【0115】
次いで、好ましくは、各VAEは、VPインターフェースを介して、関連する物理リソース10’、20、30から、アクションの結果(okまたはko)を含むそれぞれのアクション応答を受信する(ステップ8)。
【0116】
次いで、VVインターフェースを介して、好ましくは、各VAEは、ステップ6で送られた、対応するサービス構成要素実行要求の実行の結果を含むそれぞれのサービス構成要素実行応答をVAHIに送る(ステップ9)。
【0117】
次いで、HVインターフェースを介して、好ましくは、VAHIは、サービス要求の実行を確認し、結果をレポートするサービス実行確認をユーザ10に送る(ステップ10)。
【0118】
次いで、HVインターフェースを介して、VAHIは、サービス品質フィードバックをユーザ10から受信し得(ステップ11)、サービス品質フィードバックにより、ユーザ10は、要求されたサービスの知覚された品質についてVAHIにフィードバックを送る。
【0119】
次いで、VVインターフェースを介して、VAHIは、(VAHIによって受信されるユーザのフィードバックとして)要求されたサービス構成要素実行の知覚される品質についてのフィードバックを含むそれぞれのサービス構成要素実行品質フィードバックを、供給されるサービスに関係するVAEに送り得る(ステップ12)。
【0120】
以下では、ユーザ(ボブ)が妻のアリスと結婚記念日を祝うことを望み、ボブがすべてのこと(たとえば、レストラン予約、花、カーレンタル、および最適化された経路選択)を手配するように自分のVAHIに依頼するという例示的状況を参照しながら使用事例が詳細に説明される。
【0121】
第1に、ボブのVAHIは、レストランを選択し、金曜日の晩にレストランを予約する。ボブのVAHIはアリスの選好(中華料理店)も認識している。ボブのVAHIは、(EEインターフェースを通じて)アリスのVAHIと対話することによってそのような種類の情報を以前に共有しているからである。ボブのVAHIは、夕食についての予算も考慮してレストランを選択する。
【0122】
第2に、ボブのVAHIは、アリスのために何らかの花を購入し、確実に花がレストランに送られるようにする。
第3に、ボブのVAHIは、(交通量および移動時間の点で)最適化された経路に沿ってボブおよびアリスをレストランに連れて行くためにレンタカーを予約しなければならない。この例では、好ましくは、前記経路は、都市交通管理VAEに関連付けられるVAEと対話することによってボブのVAHIによって特定される(代替として、この作業は、レンタカーオフィスに関連付けられるVAEにより、都市交通管理に関連付けられるVAEと直接的に対話することによって実施される)。
【0123】
図6は、ボブに上記のサービスを提供するためのシステム100を概略的に示す。具体的には、システム100は、ボブのVAHIと、アリスのVAHIと、ボブによって要求されたサービスを供給するために必要とされる各物理リソース、すなわちレストラン、花屋、カーレンタルオフィス、および都市交通管理システムについての4つの異なるVAEとを備える。システムはまた、VAHIディレクトリおよびVAEディレクトリおよびランタイム分散実行環境をも備える。
【0124】
図7を参照すると、システム100は、ボブのVAHIがそのHVインターフェースを介してボブからサービス要求を受信したときに開始する(ステップ1001)。サービス要求は、たとえば以下の詳細な要求を含む。
【0125】
1)夕食を手配すること
2)花を購入し、レストランに配達すること
3)車を借りること
4)車の経路を特定すること
ステップ1001で、ボブのVAHIの人間-VAHI対話ブロックがサービス要求を受信したとき、好ましくは、ボブのVAHIの人間-VAHI対話ブロックは、サービス要求をVAHIのサービス解釈および構成ブロックにルーティングされる内部メッセージに変換する。
【0126】
次いで、ボブのVAHIのサービス解釈および構成ブロックは、サービス要求を解釈し、恐らくは必要とされる各物理リソースについての4つのサービス構成要素にサービス要求を分解する(ステップ1002)。ステップ1002で、好ましくは、サービス解釈および構成ブロックは、サービス要求の履行のために必要とされるVAHIおよびVAEを発見するためにVAHIディレクトリおよびVAEディレクトリと対話する。具体的には、XDインターフェースを介して、好ましくは、サービス解釈および構成ブロックは、VAHIディレクトリから、アリスに関するVAHI記述子内に含まれる情報(たとえば、一意識別子およびステータス情報)を発見する。さらに、YDインターフェースを介して、好ましくは、サービス解釈および構成ブロックは、VAEディレクトリから、サービス構成要素(レストラン、花屋、レンタカーオフィス、および都市交通管理システム)の実行のための機能をサポートするVAEに関するVAE記述子内に含まれる情報を発見する。
【0127】
次いで、好ましくは、ボブのVAHIのサービス解釈および構成ブロックは、サービス実行に関連する、ボブの習慣、希望、特徴、および委任規則に関する情報(たとえば、好ましいレストラン、予算、好ましい車など)を検索するためにボブのVAHIのユーザプロファイルブロックと対話する(ステップ1003)。
【0128】
次いで、ボブのVAHIのサービス解釈および構成ブロックは、発見されたVAHI、VAE、およびユーザプロファイルブロックから検索された情報に基づいてサービスチェーンを構成し(ステップ1004)、エンドツーエンドサービス実行ブロックにサービスチェーンを送る。
【0129】
次いで、好ましくは、エンドツーエンドサービス実行ブロックはサービスチェーンを受信し、アリスのVAHIおよび発見されたVAEと対話して、エンドツーエンド実現可能性検証を開始する(ステップ1005)。
【0130】
次いで、好ましくは、エンドツーエンドサービス実行ブロックは、協調のために、たとえば予定を共有し、日付を阻止し、好ましい食品、花などのアリスの習慣を共有するために、アリスのVAHIと対話する(ステップ1006)。好ましくは、そのような対話は、ボブのVAHIとアリスのVAHIとの間のIIインターフェースを介する、サービス協調要求およびサービス協調応答の交換を含む。アリスのVAHIはまた、協調に対するアリスの許可を要求するためにアリスと対話し得る。そのような対話は、アリスのVAHIのHVインターフェースを介する、アリスのVAHIとアリスとの間のサービス協調許可要求およびサービス協調許可応答の交換を含み得る。
【0131】
次いで、好ましくは、ボブのVAHIのエンドツーエンドサービス実行ブロックは、以前に発見されたVAEと対話して、VAEによってサポートされるサービス構成要素の実行の技術的実現可能性を検証する(ステップ1007)。この目的で、好ましくは、ボブのVAHIのエンドツーエンドサービス実行ブロックは、レストラン、カーレンタルオフィス、花屋、および都市交通管理システムのVAEと対話する。好ましくは、そのような対話は、VVインターフェースを介するサービス構成要素検証要求およびサービス構成要素検証応答の交換を含む。
【0132】
より具体的には、たとえばレストランのVAEを参照すると、これはモノリシックVAEである。したがって、サービス構成要素解釈および構成ブロックは、VAEのエンドツーエンドサービス構成要素実行ブロックにサービス構成要素検証要求を送るだけである。好ましくは、VAEのエンドツーエンドサービス構成要素実行ブロックは、ZDインターフェースを通じてVAEディレクトリ(リソース可用性に関するステータス情報)にアクセスすることによってサービス構成要素実行要求の技術的実現可能性を検証する。このようにして、好ましくは、VAEディレクトリは、エンティティのステータスに関するレストランVAEに関するVAE記述子内に含まれる情報を提供する(たとえば、オンライン、フリー)。次いで、エンドツーエンドサービス構成要素実行は、技術的実現可能性を決定するために有用なエンティティ属性(たとえば、席の可用性、メニュー、開店/閉店時刻)を検証するためにエンティティプロファイルブロックにアクセスする。次いで、好ましくは、VAEのエンドツーエンドサービス構成要素実行ブロックは、サービス構成要素実行の技術的実現可能性の確認をボブのVAHIに送る。
【0133】
次いで、好ましくは、ボブのVAHIのエンドツーエンドサービス実行ブロックは、前述の検証の結果を収集し、サービスチェーンの実行のための提案を準備する(ステップ1008)。
【0134】
次いで、好ましくは、ボブのVAHIのエンドツーエンドサービス実行ブロックは、サービスチェーンの実行のための提案の、ボブの承認を検証する(ステップ1009)。この目的で、好ましくは、ボブのVAHIは、そのHVインターフェースを介してボブと対話する。好ましくは、そのような対話は、HVインターフェースを介する、サービス実行提案および確認応答の交換を含む。ボブが提案を気に入った場合、ボブは肯定応答(ok)を送る。
【0135】
次いで、好ましくは、ボブのVAHIのエンドツーエンドサービス実行ブロックは、サービスチェーンのサービス構成要素の実行のためにVAEを活動化する(ステップ1010)。この目的で、好ましくは、エンドツーエンドサービス実行ブロックは、VVインターフェースを介してVAEと再び対話する。好ましくは、そのような対話は、VVインターフェースを通じたサービス構成要素実行要求およびサービス構成要素実行応答の交換を含む。
【0136】
より具体的には、たとえばレストランのVAEを再び参照すると、ボブのVAHIからのサービス構成要素実行要求の受信時に、好ましくは、レストランのVAEのエンドツーエンドサービス構成要素実行ブロックは、レストランにアクション要求を送る。レストランは、ボブおよびアリスのための席を予約することを求める要求を受信し、指定の日付および時刻のために席を予約する。次いで、レストランは、予約を確認するために、VPインターフェースを介して、関連するVAEにアクション応答を送る。レストランからのアクション応答の受信時に、VAEのエンドツーエンドサービス構成要素実行ブロックは、物理的アクションの結果、すなわち所望の日付および時刻での2人用の席の予約の成功を含むサービス構成要素実行応答をボブのVAHIに送る。花屋、レンタカーオフィス、および都市交通管理システムのVAEによって類似のステップも実施される。
【0137】
次いで、好ましくは、ボブのVAHIのエンドツーエンドサービス実行ブロックは、サービス構成要素(レストラン、花屋、カーレンタルオフィス、都市交通管理システム)の実行の結果を収集し、それらをボブに送る(ステップ1011)。この目的で、好ましくは、ボブのVAHIのエンドツーエンドサービス実行ブロックは、HVインターフェースを介してボブにサービス実行確認を送る。
【0138】
次いで、ボブのVAHIは、知覚されるサービス品質に関するフィードバックをボブから受信し得る(ステップ1012)。好ましくは、フィードバックは、HVインターフェースを介して受信されるサービス品質フィードバックの形である。ステップ1012として、学習システム管理ブロックは、サービス品質フィードバック内に含まれる情報を使用して、ユーザプロファイルブロック内の関連するデータ(たとえば、プリファレンス)およびVAHIディレクトリ内の関連するデータ(たとえば、VAHI性能)を更新し得る。具体的には、学習システム管理ブロックは、XDインターフェースを介して、VAHIディレクトリにVAHIディレクトリデータ構成を送り得、VAHIディレクトリは、ユーザ満足の点からのVAHI性能に関する情報を更新する。
【0139】
次いで、ボブからのサービス品質フィードバックの受信時に、好ましくは、ボブのVAHIのエンドツーエンドサービス実行ブロックは、レストラン、花屋、カーレンタルオフィス、および都市交通管理システムのVAEにサービス構成要素実行品質フィードバックを送る(ステップ1013)。この目的で、好ましくは、ボブのVAHIは、VVインターフェースを介して各VAEにそれぞれのサービス構成要素実行品質フィードバックを送る。好ましくは、各VAEの学習システム管理は、受信したサービス構成要素実行品質フィードバック内に含まれる情報を使用して、エンティティプロファイルブロック内の関連するデータ(たとえば、顧客ホワイトリスト)およびVAEディレクトリ内の関連するデータ(たとえば、VAE性能、評判)を更新する。具体的には、学習システム管理ブロックは、ZDインターフェースを介してVAEディレクトリにVAEディレクトリデータ構成を送り得、VAEディレクトリは、ユーザ満足および評判の点からのVAE性能に関する情報を更新する。
【0140】
上記の例で、ユーザ10からのサービス要求の受信時にVAHIが提案を準備する場合であっても、これは限定ではない。本発明の実施形態によれば、VAHIは、VAHI自体のユーザプロファイル機能ブロック内で指定される、関連するユーザ10の選好および習慣に基づいて、関連するユーザ10に対するサービスについての提案を事前に策定することができる。ユーザ10に対するサービスについての提案は、ユーザ10の関連するVAHIのユーザプロファイル機能ブロックで指定されるユーザ10の選好および習慣に常に基づいて、物理リソース(たとえば、レストラン)を表すVAEによっても事前に策定され得る。
【0141】
システム100は、周知の仮想アシスタントまたはインテリジェントパーソナルアシスタント、およびデジタルツインに勝るいくつかの利点を示す。
まず第1に、分散オペレーティングシステムによってサポートされるランタイム分散実行環境は、垂直アプリケーションと見なされ得る周知の仮想アシスタントまたはインテリジェントパーソナルアシスタントまたはデジタルツインには存在しないサービス汎用性を可能にする。
【0142】
次いで、VAHIは、すべての他のVAHIおよびVAEが動作中である仮想空間にアクセスするためのユーザの(様々な可能なインターフェースを使用する)論理的に固有のインテリジェントタッチポイントである。同様に、各VAEは、すべての他のVAHIおよびVAEが動作中である仮想空間にアクセスするための物理リソースの(様々な可能なインターフェースを使用する)論理的に固有のインテリジェントタッチポイントである。
【0143】
さらに、VAHIおよびVAEは、フィールドで取得および/または共有された知識を活用する事前対応能力を有し、学習システム管理機能ブロックによって決定され、学習システム管理機能ブロックは、周知の人工知能技法(たとえば、ニューラルネットワーク、最近隣、K-meansクラスタリング、Naive Bayes、回帰、デシジョンツリーなどの機械学習技法)に基づく。
【0144】
さらに、VAHIおよびVAEは、物理リソースに送るべき作動コマンドについての確認は別として、どんな人間の介在もないとしても、(フィールドで取得および/または共有された知識を活用して)自律的に推論し、決定を行うことができる。
【0145】
さらに、VAHIおよびVAEは、VAHIおよびVAEが動作中の仮想空間内で(インスタンス化段階後に)VAHIおよびVAE自体を自動的に登録することができる。
さらに、各VAEは、複合システムのための再帰的構造を有し得る。さらに、VAHIは、人間のソーシャルコミュニティの集合的インテリジェンスを抽象化するためのいくつかのネストされた層を有する再帰的構造を有し得る。
【0146】
さらに、有利なことに、VAHIは、他のVAHIおよびVAEとの間で必要なときはいつでも、取得された知識を共有することができる。