(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】ハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0232 20140101AFI20240823BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240823BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20240823BHJP
H01L 33/48 20100101ALI20240823BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H01L31/02 D
G02B5/20
H01L31/10 D
H01L33/48
H01L27/146 D
H01L27/146 C
(21)【出願番号】P 2021544448
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(86)【国際出願番号】 EP2020050284
(87)【国際公開番号】W WO2020156767
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】102019102176.6
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521336141
【氏名又は名称】ゼノリクス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ブリュックナー・ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヤーネル・マティアス
(72)【発明者】
【氏名】レーオ・カール
(72)【発明者】
【氏名】ティムレック・ロニー
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-165242(JP,A)
【文献】特表2013-515405(JP,A)
【文献】特開2015-023259(JP,A)
【文献】特開2015-037121(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0182811(US,A1)
【文献】特開2017-108062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/0392
H01L 31/08-31/119
H01L 31/18-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の表面と第二の表面を有し、前記第二の表面が前記第一の表面に対して逆側に有る基板と、
第一の波長領域の光の検出又は放射に適した第一の機能層を備えた少なくとも一つの第一の機能素子であって、前記基板の前記第一の表面上に配置された少なくとも一つの第一の機能素子と、
前記第一の波長領域と異なる第二の波長領域の光の検出又は放射に適した第二の機能層を備えた少なくとも一つの第二の機能素子であって、前記基板の前記第二の表面上に配置された少なくとも一つの第二の機能素子と、
を有するハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネントにおいて、
前記少なくとも一つの第一の機能素子が、本マルチスペクトルコンポーネントの少なくとも一つの第一の側方領域に配置され、前記少なくとも一つの第二の機能素子が、本マルチスペクトルコンポーネントの少なくとも一つの第二の側方領域に配置され、これらの少なくとも一つの第一の側方領域と少なくとも一つの第二の側方領域は、前記第一の機能層を通過すること無く、前記第二の波長領域の光が前記少なくとも一つの第二の機能素子に到達するか、或いは前記少なくとも一つの第二の機能素子から放射された前記第二の波長領域の光が
前記基板の第一の表面から本マルチスペクトルコンポーネントを出て行くように、互いに側方にずらして配置されていて、
前記の基板が一つの接合基板であり、一つの材料又は異なる材料から成る複数の層を有する、
ことを特徴とするハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
【請求項2】
前記基板の前記第一の表面及び/又は前記第二の表面上には、少なくとも一つの光学フィルター層が前記の少なくとも一つの第二の側方領域に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
【請求項3】
前記第一の表面の側における前記の少なくとも一つの第二の側方領域が光学ブラインド層によって包囲されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
【請求項4】
前記基板の前記第一の表面に面しない側の前記第一の機能層上には、光学フィルター、ミラー又はDBRとして使用される別の層が配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
【請求項5】
前記の基板が、集積された能動部品又は回路素子を有するが、それらの部品又は素子が前記の少なくとも一つの第二の側方領域の外に配置されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
【請求項6】
前記の基板が一つの半導体層を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
【請求項7】
前記の第一の機能層が一つの無機層を有することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
【請求項8】
前記の第二の機能層が一つの有機層を有することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
【請求項9】
前記の接合基板は、前記の少なくとも一つの第一の機能素子を上に形成した一つの半導体層と、前記の少なくとも一つの第二の機能素子を上に形成し一つのガラス基板又はプラスチック基板とを有し、これらの半導体層とガラス又はプラスチック基板がボンディング層、接着層又はそれ以外の接合層を用いて互いに接合されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
【請求項10】
本マルチスペクトルコンポーネントが、更に、前記第一の波長領域及び前記第二の波長領域と異なる第三の波長領域の光の検出又は放射に適した第三の機能層を備えた少なくとも一つの第三の機能素子を有し、この少なくとも一つの第三の機能素子が、前記基板の前記第一の表面又は前記基板の前記第二の表面上における、前記第二の側方領域と異なる側方領域に配置されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
【請求項11】
前記の第三の機能素子は、前記第一の機能層を通過した後に、前記第三の波長領域の光が前記の少なくとも一つの第三の機能素子に到達するか、或いは前記の少なくとも一つの第三の機能素子から放射された第三の波長領域の光が前記基板の前記第一の表面から本マルチスペクトルコンポーネントを出て行くように、前記の少なくとも一つの第一の側方領域に配置されており、前記の第一の機能層が前記第三の波長領域の光に対して透明であることを特徴とする請求項10に記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
【請求項12】
少なくとも
前記第一の機能素子又は
前記第二の機能素子が光の検出に適しており、1よりも多い数で本マルチスペクトルコンポーネントに存在することを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
【請求項13】
光の検出に適した異なる
前記第一の機能素子及び/又は光の検出に適した異なる
前記第二の機能素子が、
前記第一
の波長領域又は
前記第二の波長領域の互いに異なる波長の光の検出に適していることを特徴とする請求項12に記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
【請求項14】
本マルチスペクトルコンポーネントが複数の
前記第一の側方領域と複数の
前記第二の側方領域とを有し、これらの
前記第一の側方領域と
前記第二の側方領域が格子状、ライン状又は同心円状に分散して配置されていることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なるスペクトル領域の光の検出及び/又は放射に適したハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
光の異なるスペクトル領域、例えば、可視光、赤外線領域の光及び/又はUV領域の光を一つの光検出器部品により検出できるようにするために、異なる機能層を有する、そのため、異なるスペクトル領域の光を検出する複数のセンサーを備えた部品が知られている。例えば、特許文献1は、そのように一方の側に第一の波長領域の光を検出する第一の機能層を配置し、他方の側に第二の波長領域の光を検出する第二の機能層を配置した基板を備えたコンポーネントを記載している。その場合、個々の機能層は、常に互いに上下に設置され、それによって、高い充填率、即ち、面積当たりの多数のセンサー素子が実現可能となっている。第一の機能層と基板が、第二の波長領域の光に対して透明に形成されている。
【0003】
特許文献2は、異なる波長の光、特に、可視領域の赤、緑及び青の光を検出する色検知装置を記載している。その装置は、第一の波長領域の光の検出に適した第一の受光部分と、第二の波長領域の光の検出に適した第二の受光部分とを有する。それらの第一と第二の部分は、入射光が第一の部分を通過した後、第二の部分によって受信されるように配置されている。その場合、第一の波長領域の中心波長は、第二の波長領域の中心波長よりも長い。
【0004】
機能層と基板の材料及び第二の波長領域の光に対して必要な第一の機能層と基板の透明性のために波長領域の選定が制限されることと、スペクトル分解能が限定されることとが、その構造の欠点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】ドイツ特許公開第102015109044号明細書
【文献】米国特許公開第2003/0209651号明細書
【文献】欧州特許第3152785号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のことから、本発明の課題は、従来技術の欠点を軽減したハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1に基づくハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネントによって解決される。有利な実施構成は、従属請求項に提示されている。
【0008】
本発明によるハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネントは、一つの基板、少なくとも一つの第一の機能素子及び少なくとも一つの第二の機能素子を有する。この場合、第一の機能素子は、基板の第一の表面上に配置された、第一の波長領域の光の検出又は放射に適した第一の機能層を有する。第二の機能素子は、基板の第一の表面に対して逆側に有る、基板の第二の表面上に配置された、第二の波長領域の光の検出又は放射に適した第二の機能層を有する。この場合、第二の波長領域は、第一の波長領域と異なるが、第一の波長領域と部分的に重なり合うこともできる。本発明の意味において、光とは、両方のケースにおいて、250nm(UV領域)~約10μm(赤外線領域)の範囲内の波長の電磁放射線であると理解する。第一の波長領域と第二の波長領域は、それぞれこの範囲の部分範囲である。自明のことながら、第一の機能素子と第二の機能素子は、第一又は第二の機能層の外に、別の層、例えば、電極層も有する。更に、第一及び/又は第二の機能層は、複数の層から成る層構造であるとすることもできる。
【0009】
「表面上に配置され」とは、機能素子が各表面と直に境界を接すること、或いは機能素子の一つ又は複数の層が全体的又は部分的に表面と境界を接する基板領域に形成されていることを意味する。更に、機能素子と各表面の間に別の層を配置することもできる。
【0010】
本発明では、第一の機能素子が本マルチスペクトルコンポーネントの第一の側方領域に配置される一方、第二の機能素子が、本マルチスペクトルコンポーネントの第二の側方領域に配置される。この場合、第一の側方領域と第二の側方領域は、第二の波長領域の光が第二の機能素子を通過すること無く第二の機能素子に到達するように、互いに側方にずらして配置される。言い換えると、第二の機能素子に到達した光は、第二の機能素子までの経路において、基板と、(後で説明する)場合によっては存在する別の層とを通過したが、第一の機能素子の第一の機能層と、場合によっては存在する別の層とを通過していない。
【0011】
この場合、基板と、場合によっては、第二の機能素子の別の層とが、その光学特性によって入射光の所定の波長成分を反射又は吸収する一方、第二の波長領域内に有る別の波長成分を僅かに変化させて、或いはほぼ変化させずに通過させる光学フィルターとして作用する。これは、基板の材料、場合によっては第二の機能層と放射光源の間に存在する別の層及びその厚さを選定する際に留意すべきである。しかし、有利には、第二の機能素子の検出結果又は第二の機能素子から放出される光は、第一の機能層と、第一の機能素子の場合によっては存在する別の層とによって影響されない。
【0012】
本発明によるマルチスペクトルコンポーネントを用いて、二つの異なる波長領域の光の成分を同時に、並びにスペクトル的に選択して検出及び/又は放射することができ、第一及び/又は第二の機能素子で検出される、或いはその素子から放射される光が、それぞれ本コンポーネントの同じ側に当たるか、或いは同じ側から出て行く。この場合、本発明によるマルチスペクトルコンポーネントを構成する手法が次の通り存在し、第一の手法では、第一の機能素子が放射素子であり、第二の機能素子が検出素子であり、第二の手法では、第一の機能素子が検出素子であり、第二の機能素子が放射素子であり、第三の手法では、第一と第二の機能素子が両方とも検出素子であり、第四の手法では、第一と第二の機能素子が両方とも放射素子である。
【0013】
少なくとも第一又は第二の機能素子が検出素子である場合、その機能素子で検出される光は、一つの光源又は複数の異なる光源から放射することができ、第二の場合には、異なる光源の光が重なり合って、或いは時間的に順番にマルチスペクトルコンポーネントに入射することができる。以下において、複数の光源が存在する場合でも、短縮して一つの光源について述べる。検出素子としての役割を果たさない第一の機能素子又は第二の機能素子も、それに対応する機能素子が放射素子として構成される場合には、光を提供することができ、その際、検出すべき光は、検査すべき試料によって反射される。以降において、そのような反射する試料は、それがそれ自体で全く光を発生させず、(変化させて、或いは変化させずに)光を反射するだけである場合でも、光源であると理解する。そのような検出部品は、例えば、保健衛生、薬剤、食品技術の領域における食料品又は別の材料の内容物の定性的及び定量的計測、並びに産業分野での設備又はエンジンの監視に使用することができる。
【0014】
第一の機能素子又は第二の機能素子、或いは第一の側方領域及び第二の側方領域に関する全ての記述は、そのような複数の第一及び/又は第二の機能素子が存在する場合に、全ての第一の機能素子又は全ての第二の機能素子に対して有効である。
【0015】
有利には、基板の第一の表面及び/又は基板の第二の表面上の第二の側方領域、即ち、第二の機能層と、例えば、光源との間に、少なくとも一つの光学フィルター層が配置される。これは、第二の機能層に入射する光の波長領域を更に制御する役割を果たし、有利には、例えば、有機材料、フッ化物、二酸化珪素(SiOx)や二酸化チタン(TiOx)などの、各スペクトル領域において十分に透明である一つ又は複数の誘電材料から、或いは光学フィルターのために吸収特性を利用できる材料から構成される。
【0016】
それに代わって、或いはそれに追加して、有利には、基板の第一の表面の側の第二の側方領域が、光学ブラインド層によって包囲される。これは、例えば、基板の第一の表面上の第一の側方領域に配置された、第一の機能素子の層が側方ブラインド層を配備されることを意味する。しかし、この光学ブラインド層は、少なくとも一つの側の第二の側方領域が第一の側方領域と境界を接しない場合、単独で、或いは、場合によっては第二の側方領域に存在する光学フィルター層の側に形成することもできる。この場合、ブラインド層は、例えば、第一の側方領域の第一の機能層からの散乱光が第二の側方領域に入射することを低減するか、或いはそれを完全に防止する。このブラインド層は、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、タングステン又は同様のCMOS互換材料から構成される。
【0017】
両方の措置によって、第二の機能素子のスペクトル分解能を改善することができる。更に、光学フィルター層と光学ブラインド層の好適な材料選定によって、第一の機能層の材料と関係無く、基板の光学効果、特に、フィルター効果を目的通り一層増強することができる。更に、これらの層は、基板の第二の側方領域と異なる側方領域に存在する可能性の有る、能動的な集積部品又は回路素子を意図しない散乱光から保護する役割も果たす。
【0018】
有利には、基板の第一の表面に対して逆側の第一の機能層の上に、光学フィルター、ミラー又はDBR(分布型ブラッグ反射器、ブラッグミラー)としての役割を果たす別の層が配置される。それによって、光源から入射する光又は第一の機能層から放射される光から、第一の機能層に適合する所定の波長領域をフィルターにより取り出して、第一の機能素子のスペクトル分解能を改善することができる。
【0019】
有利には、例えば、トランジスタなどの能動的な集積部品又は回路素子が基板に含まれ、これらの部品又は素子は、光の検出時には第一及び/又は第二の機能素子から受信する信号を処理又は再処理する役割及び/又は光を放射する機能素子の場合には第一及び/又は第二の機能素子を駆動する役割を果たす。この場合、配線及びスルーホール鍍金、さもなければ抵抗などの受動的な部品が回路素子であると理解される。その結果、例えば、CMOS技術又は薄膜技術により複雑なデジタル又はアナログ回路を基板に形成することができる。この場合、ここで述べた部品又は回路素子は、基板の中において、第二の側方領域に相当しない、或いはその一部を含まない一つ又は複数の側方領域に配置される。言い換えると、ここで述べた素子は、第二の側方領域の外に、特に有利には、第一の側方領域に配置される。
【0020】
有利には、基板は、一つの半導体層を有する。特に有利には、基板は、一つの半導体層である。この半導体層又は半導体層は、有利には、単結晶又は多結晶シリコン、アモルファスシリコン又はインジウムガリウム錫酸化物(IGZO)から構成される。有利には、この半導体層又は半導体層には、前に述べた能動的な集積部品又は回路素子が少なくとも部分的に形成される。
【0021】
本発明の実施構成では、基板は、一つの接合基板であり、一つ又は異なる材料から成る複数の層を有する。そのように、例えば、基板は、ボンディング、接着又はそれ以外の好適な結合方法によって互いに接合された二つの半導体層から、さもなければ一つの絶縁体に取り付けられた、或いは好適な結合方法によってその絶縁体と接合された一つの半導体層(シリコン・オン・インシュレータ:SOI)から構成することができる。更に、シリコン貫通ビア技術(TSV)又はボンディングによって、接合基板の異なる層における接点、部品及び回路素子又は回路を互いに接合することができる。TSV接合用の材料は、例えば、タンタル(Ta)、タングステン(W)及び金(Au)である。自明のことながら、ガラス、プラスチックやブラスチックフォイルなどのそれ以外の材料も接合基板又は接合基板の層として用いることができる。
【0022】
有利には、第一の機能層は、無機層を有するか、或いはそのような無機層から構成される。この無機層の例は、例えば、シリコン、アルミニウムガリウム砒化物、ガリウム燐化物、炭化珪素、セレン化亜鉛や窒化インジウムガリウムから成る半導体層であるとすることができる。それによって、従来技術で周知の半導体製フォトダイオード(検出器)又は半導体製発光ダイオード(LED:light emitting diode)を第一の機能素子として使用することができる。
【0023】
有利には、第二の機能層は、有機層、ナノ材料から成る層又は量子ナノ粒子から成る層を有するか、或いはそのような層から構成される。そのような機能層は、同じく従来技術で周知であり、それに対応する機能素子は、例えば、特許文献3において、有機光検出器又は電荷移動光検出器(CT光検出器)として記載されている。放射機能素子として、既知の有機発光ダイオード(OLED)を用いることができる。光活性層の外に、有機機能層の中に、追加の回路を可能とする、トランジスタや抵抗などの別の電子部品を形成することもできる。
【0024】
本発明によるハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネントの実施構成では、基板が、半導体層と、ガラス基板又はプラスチック基板とから成る接合基板として形成され、これらの半導体層とガラス基板又はプラスチック基板は、ボンディング層、接着層又はそれ以外の結合層を用いて互いに接合される。半導体層の上又は中には、第一の機能素子が形成され、第一の機能層が無機層を有する。ガラス又はプラスチック基板の上には、第二の機能素子が形成され、第二の機能層が、有機層、ナノ材料から成る層又は量子ナノ粒子から成る層を有する。
【0025】
自明のことながら、基板は、厚い絶縁体層を一方の表面に成膜した一つの半導体層だけから構成することもできる。この場合、第一の機能素子が半導体層の上又は中に形成され、第一の機能層が無機層を有する一方、第二の機能素子が絶縁体層の上に形成され、第二の機能層が有機層、ナノ材料から成る層又は量子ナノ粒子から成る層を有する。
【0026】
有利な実施構成において、本発明によるマルチスペクトルコンポーネントは、第一及び第二の機能素子に追加して、更に、第三の機能層を備えた少なくとも一つの第三の機能素子を有する。この第三の機能層は、第一及び第二の波長領域と異なる第三の波長領域の光の検出又は放射に適している。この第三の機能素子は、基板の第一の表面又は基板の第二の表面上において、第二の側方領域と異なる側方領域に配置される。
【0027】
有利には、第三の機能素子は、第一の機能層を通過した後に、第三の波長領域の光が第三の機能素子に到達するか、或いは第三の機能素子から放射された第三の波長領域の光がマルチスペクトルコンポーネントから出て行くように第一の側方領域に配置される。言い換えると、第三の機能素子は、第一の機能素子の光源に対して逆側又は基板の方を向いた側の第一の側方領域に配置される。この場合、第一の機能層は、第三の波長領域の光に対して透明である。自明のことながら、本マルチスペクトルコンポーネントの全ての第一の側方領域に第三の機能素子を形成することは、必ずしも必要でない。
【0028】
それに代わって、或いはそれに追加して、第三の機能層を備えた第三の機能素子を第一及び第二の側方領域と異なる第三の側方領域に形成することもでき、その際、第三の機能層に当たる光がその前に第一の機能層を通過しないか、或いは第三の機能層から放射された光が、本マルチスペクトルコンポーネントから出て行く前に第一の機能層を通過しない。
【0029】
幾つかの実施構成において、少なくとも第一の機能素子又は第二の機能素子が光の検出に適しており、1よりも多い数で本マルチスペクトルコンポーネントに存在する。この場合、有利には、光の検出に適した異なる第一の機能素子及び/又は光の検出に適した異なる第二の機能素子が第一又は第二の波長領域の互いに異なる波長の光の検出に適している。それによって、第一又は第二の波長領域の更なるスペクトル分解能を実現することができ、異なる第一の機能素子又は異なる第二の機能素子が、例えば、UV領域、可視領域又は赤外線領域の異なる波長に関して、10nm以下の帯域幅の光を検出することができる。そのような第一又は第二の波長領域の異なる区域の光の検出は、例えば、各機能層の厚さ、或いは、例えば、構造化により実現され、光学的な取り囲み又は光学的な包囲と呼ばれる、各機能層の側方の拡がりの制限によって設定することができる。側方の拡がりを制限する場合、機能層の厚さに対して直角の平面内を延びる一つ又は複数の側方方向における機能層の拡がりが機能層によって検出又は放射される光の波長の規模の値に制限される。この場合、波長の半分と波長の50倍の間の値が「波長の規模」と見做される。そのように、例えば、検出又は放射される1μmの波長に関して側方方向における機能層の側方の拡がりは、0.5μm~50μmの範囲内に有ることができるが、0.5μmを下回る、或いは50μmを上回る範囲内にはない。
【0030】
既に述べた通り、本発明によるマルチスペクトルコンポーネントは、有利には、多数の第一の機能素子と多数の第二の機能素子、即ち、多数の第一の側方領域と多数の第二の側方領域を有する。この場合、第一の側方領域と第二の側方領域は、本マルチスペクトルコンポーネントの面に渡って格子状に、ライン状に、或いは同心円状に分散して配置される。
【0031】
本発明の意味において、マルチスペクトルコンポーネントの実施形態に関する実施構成又はそれらの個々の特徴は、互いに排除しない限り、互いに組み合わせることもできる。
【0032】
以下において、図面に基づき本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明による半導体層を備えたマルチスペクトルコンポーネントの第一の実施構成の断面図
【
図2】本発明による接合基板を備えたマルチスペクトルコンポーネントの第二の実施構成の断面図
【
図3】本発明による第三の機能素子を備えたマルチスペクトルコンポーネントの第三の実施構成の断面図
【
図4A】基板の表面上における第一と第二の機能素子の配置構成例の平面図
【
図4B】基板の表面上における第一と第二の機能素子の配置構成例の平面図
【
図4C】基板の表面上における第一と第二の機能素子の配置構成例の平面図
【
図5A】検出及び放射用機能素子に関する本発明によるマルチスペクトルコンポーネントの考え得る実施構成の模式図
【
図5B】検出及び放射用機能素子に関する本発明によるマルチスペクトルコンポーネントの考え得る実施構成の模式図
【
図5C】検出及び放射用機能素子に関する本発明によるマルチスペクトルコンポーネントの考え得る実施構成の模式図
【
図5D】検出及び放射用機能素子に関する本発明によるマルチスペクトルコンポーネントの考え得る実施構成の模式図
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明によるハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネントの第一の実施構成1を図示している。このマルチスペクトルコンポーネントは、例えば、四つの第一の機能素子10a~10d、三つの第二の機能素子20a~20c及び一つの基板100を有する。この基板100は、第一の表面101と、第一の表面101に対して逆側に有る第二の表面102とを有する。これらの第一の機能素子10a~10dは、第一の表面101上に配置される一方、第二の機能素子20a~20cは、第二の表面102上に配置されている。第一の機能素子10a~10dは、例えば、光電変換による、第一の波長領域λ1の光の検出に適した第一の機能層11を有する。第二の機能素子20a~20cは、第一の波長領域λ1と異なる第二の波長領域λ2の光の検出に適した第二の機能層21を有する。ここでも、例えば、エネルギーの光電変換を使用することができる。第一の機能層11は、例えば、UV領域又は可視領域の光を検出できる半導体層、例えば、シリコンから成る半導体層であるとすることができる一方、第二の機能層21は、例えば、赤外線領域の光を検出できる有機層であるとすることができる。
図1に矢印で表示された光は、一つの光源30又は異なる光源から放射されて、常に第一の表面101と境界を接する、マルチスペクトルコンポーネント1の側でマルチスペクトルコンポーネント1に当たる。第一の機能層11の入射光の方を向いた側、即ち、基板100の第一の表面101と境界を接しない側には、例えば、第一のDBR層12である光学機能層を配置することができる。この光学機能層は、異なる第一の機能素子10a~10d毎に異なるようにして、異なるフィルター機能を実現することができ、その結果、例えば、第一の機能素子の中の第一の素子10aにおいて、入射光の青色成分だけ、即ち、380nm≦λ11≦490nmの波長領域の光だけが検出される一方、第一の機能素子の中の第二の素子10bにおいて、入射光の赤色成分だけ、即ち、585nm≦λ12≦750nmの波長領域の光だけが検出される。自明のことながら、それ以外の波長領域も選定することができる。光学機能層は、周知の析出方法を用いて、一つ又は複数の第一の機能素子10a~10dに直に成膜することができる。それに代わって、個々、複数又は全ての第一の機能素子に関する光学機能層を別個の基板上に配置するか、或いはその基板内に形成することが可能であり、その際、別個の基板は、結合方法、例えば、ボンディング又は接着により、一つ又は複数の第一の機能素子と接合される。
【0035】
第二の機能素子20a~20cは、第二の機能層21の外に、二つの電極層22及び23を有し、その中の一方の電極23が、第二の機能層21の基板100の第二の表面102の方を向いた側に配置されて、第二の波長領域λ2の光に対して透明である一方、他方の電極は、第二の機能層21の第二の表面102に対して逆側に配置されて、第二の波長領域λ2に対して不透明であるとすることができる。
【0036】
本発明では、第一の機能素子10a~10dが基板100の第一の側方領域110に配置される一方、第二の機能素子20a~20cは、第一の側方領域110と異なる、基板100の第二の側方領域120に配置される。これらの第一の側方領域110と第二の側方領域120は、重なり合わず、その結果、第一の機能素子10a~10dと第二の機能素子20a~20cは、互いに側方にずらして配置されている。これは、第二の機能素子20a~20cに到達した光が第一の機能層11を通過しなかったことを意味する。第一及び第二の側方領域110及び120は、任意の形状(輪郭)と任意の側方の大きさを有することができ、xy方向における基板100の拡がりに渡って任意に分散させることができ、これらの形状と大きさは、それぞれ基板100の第一又は第二の表面101又は102の平面、即ち、xy平面に関して決定される。この場合、第一及び第二の側方領域110及び120の全体は、基板100の側方の拡がりに対して直角に、即ち、z方向に沿ってマルチスペクトルコンポーネント1の拡がり全体に渡って拡がるとともに、側方に対して互いに境界を接するか、或いは互いに間隔を開けることができる。
【0037】
図示された第一の実施構成1において、第一の側方領域110には、それぞれ集積された能動部品103が、例えば、シリコンベースの半導体層である基板100に形成されている。これらは、例えば、第一及び/又は第二の機能素子10a~10d又は20a~20cからの信号を処理する役割又は異なる機能素子を駆動する役割を果たす。
【0038】
第二の側方領域120において、基板100は、少なくとも第二の波長領域λ2の入射光に対して透明である。従って、そこには、集積された能動部品103が形成されていない。しかし、第一のフィルター層24を第一の表面101上の第二の側方領域120に配置する一方、第二のフィルター層25を第二の表面102上の第二の表面102と第二の機能素子20a~20cの間に配置することができる。この第二のフィルター層25は、第二の側方領域120に渡って拡がる、例えば、第二の表面102の全体又はほぼ全体に配置することもできる。これらの第一及び第二のフィルター層24及び25は、少なくとも第二の波長領域λ2の部分領域における入射光に対して透明である。自明のことながら、第一のフィルター層24及び/又は第二のフィルター層25は、異なる第二の側方領域120において異なる形態で形成することができ、その結果、異なる第二の機能素子20a~20cにおいて、第二の波長領域λ2の異なる成分を検出することができる。第二のフィルター層25は、基板100から電極23を電気的に絶縁する役割も果たす。
【0039】
第二の側方領域120は、マルチスペクトルコンポーネント1の第一の表面101と境界を接する側において、例えば、第一の側方領域110からの光の散乱による、第二の機能素子20a~20cに入射する光の影響を低減するために、ブラインド層40によって側方方向に対して、即ち、xy平面の全ての方向に対して包囲されている。このブラインド層40は、
図1に図示されている通り、基板100を貫通して第二の表面102にまで拡がることもできる。更に、このブラインド層40は、第二の側方領域120が配置されていない側においても、第一の側方領域110を、即ち、第一の機能素子10a~10d、集積された能動部品103及び第一のDBR層12を完全に包囲することもできる。それによって、第一の機能素子10a~10dにおける散乱光による損失が低減される。
【0040】
第二の機能素子20a~20cは、それぞれ接点50、例えば、電気スルーホール鍍金を介して集積された能動部品103と接続することができ、その際、接点50は、それぞれ電極23と境界を接するとともに、第二のフィルター層25を貫通する。
【0041】
第二の機能素子20a~20cは、第二のフィルター層25又は基板100の第二の表面102と境界を接する筐体60によって包囲されて、その包囲部に対して境界を画定されている。それに代わって、第二の機能素子20a~20cは、例えば、ガラスから成る薄い層やポリマー、酸化物又は同様の材料から成る交番する薄い層による解決策などの好適なカプセル材料のコーティングによって、周囲環境からの影響に対して保護することもできる。この筐体60は、有利には、ガラス又は空洞ガラスから構成されるが、薄い層の接合体の形の異なるフォイル及びポリマーから構成することもできる。
【0042】
図2に図示されたマルチスペクトルコンポーネントの第二の実施構成2は、基板100’が、ボンディング又は接着方法により互いに結合された、半導体層104とガラス基板105から成る接合基板として実現されていることが第一の実施構成1と異なる。自明のことながら、ガラス基板105の代わりに、それ以外の基板、例えば、プラスチック基板を使用することもできる。ここで、基板100’の光学特性が基板100の光学特性と異なるので、第一及び第二のフィルター層24’及び25’も、第一の実施構成1のそれに対応するフィルター層24及び25と異なることができるか、或いは個別又は全体的に省略することもできる。ここで、接点50は、電極23と半導体層104内に集積された電気部品103の間の電気的な接触を構築するために、ガラス基板105をも貫通する。
【0043】
図3は、第一及び第二の機能素子10a~10d及び20a~20cの外に、第三の機能素子70a~70dを有するマルチスペクトルコンポーネントの第三の実施構成3を図示している。これらの第三の機能素子70a~70dは、それぞれマルチスペクトルコンポーネント3の第一の表面101を含む側に形成されており、第三の機能素子70b~70dに関して図示されている通り、第一の機能素子10a~10dの入射光に対して逆側の第一の側方領域110に配置されるか、或いは第三の機能素子70aに関して図示されている通り、第三の側方領域130に配置されている。それによって、第二の側方領域120がこれまでの実施構成1及び2と比べて変わらないままである。第三の機能素子70a~70dは、第三の波長領域λ3の光を検出できる第三の機能層71を有し、第三の波長領域λ3は、第一及び第二の波長領域λ1及びλ2と異なる。第三の機能素子70a~70dにおいて、第一の機能素子10a~10cの第一の機能層11を既に通過した光が評価される。第一の機能層11と第三の機能層71の間に、電極80又は別の中間層を配置することができる。しかし、これは、必ずしも必要でない。第三の側方領域130には、光学的な機能層、例えば、第一のDBR層12と異なることができる第二のDBR層72が配置されている。更に、この第三の領域においても、集積された能動部品103を基板100内に形成することができる。
【0044】
しかし、第三の機能素子は、基板100の第二の表面102上の第一の側方領域100又は第三の側方領域130に配置することもできる。しかし、この場合、この領域において、基板100は、第三の波長領域λ3の光に対して透明に形成され、その結果、例えば、この側方領域には、集積された能動部品103が存在してはならない。
【0045】
図4A~4Cには、例えば、第一及び第二の機能素子10又は20の異なる配置構成が基板の第一の表面101に関する平面図で図示されている。基板が可視光領域において透明でない場合、第二の機能素子20は、それが基板の第二の表面上に配置されているために、場合によっては、視覚的に見えなくなるので、第二の機能素子20は、破線の輪郭だけで表示されている。これらの図面では、第一の機能素子10又は第二の機能素子20上に配置される可能性の有るフィルター層は、見易さを向上させるために図示されていない。しかし、
図4Aの中央の第一及び第二の機能素子10及び20に対して、第一の機能素子10を包囲するとともに、第二の機能素子20が形成された第二の側方領域を取り囲むブラインド層40が部分的に図示されている。
【0046】
図4Aには、行毎と列毎に第一及び第二の機能素子10又は20が交番する、第一及び第二の機能素子10及び20の格子状の配置構成が図示されている。
【0047】
それに対して、
図4Bには、各ラインに第一の機能素子10又は第二の機能素子20だけが配置され、境界を接するラインには、異なる機能素子が形成されている、ライン状の配置構成が図示されている。
【0048】
図4Cには、中心の第一の機能素子10aの周りの第一の円に第二の機能素子20が存在し、第二の円に再び第一の機能素子10が存在する、機能素子の同心円状の配置構成が図示されている。二つの円は、同じ中心点を有し、第二の円は第一の円よりも大きな半径を有する。
【0049】
図4Aと4Bには、輪郭が正方形の機能素子10又は20が図示される一方、
図4Cの機能素子10又は20は、円形の輪郭を有する。しかし、これは単なる例である。別の考え得る輪郭は、卵形、楕円形、縦長の穴の形、三角形、それ以外の四角形、多角形であり、これらの形状は、それぞれ規則的又は不規則であるとすることができる。更に、異なる第一及び/又は第二の機能素子は、異なる輪郭を有することもできる。同様に、機能素子の大きさが互いに異なることができる。典型的には、一つの機能素子が5μm
2~100μm
2の範囲内の面積を有する。
【0050】
図1~3には、全ての機能素子が検出素子として形成された、本発明によるマルチスペクトルコンポーネントの実施構成が図示されている。ここで、
図5A~5Dには、第一及び第二の機能素子の実施形態の基本的に考え得る全ての変化形態が模式的に図示されている。この場合、矢印が光の方向を表す、即ち、光が機能素子に入射するのか、或いは機能素子から放出されるのかを表す。自明のことながら、例えば、検出用の第一の機能素子及び放射用の第一の機能素子と、検出用の第二の機能素子又は第三の機能素子の異なる実施形態との組み合わせによる別の実施構成も可能である。
【0051】
図5Aは、第一の機能素子10a~10cと第二の機能素子20a及び20bの両方が検出素子である、
図1~3の実施構成を模式的に図示している。
【0052】
図5Bに図示されたケースでは、第一の機能素子10a~10cが光を放射する素子である一方、第二の機能素子20a~20cが光を検出する素子である。
【0053】
光を検出する素子としての第一の機能素子10a~10cと光を放射する素子としての第二の機能素子20a~20cの実施形態が
図5Cに図示されている。
【0054】
最後に、
図5Dは、第一の機能素子10a~10cと第二の機能素子20a及び20bの両方が光を放射する素子として形成された実施構成を図示している。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下を含む。
1.
第一の表面と第二の表面を有し、第二の表面が第一の表面に対して逆側に有る基板と、 第一の波長領域の光の検出又は放射に適した第一の機能層を備えた少なくとも一つの第一の機能素子であって、基板の第一の表面上に配置された少なくとも一つの第一の機能素子と、
第一の波長領域と異なる第二の波長領域の光の検出又は放射に適した第二の機能層を備えた少なくとも一つの第二の機能素子であって、基板の第二の表面上に配置された少なくとも一つの第二の機能素子と、
を有するハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネントにおいて、
この少なくとも一つの第一の機能素子が、本マルチスペクトルコンポーネントの少なくとも一つの第一の側方領域に配置され、この少なくとも一つの第二の機能素子が、本マルチスペクトルコンポーネントの少なくとも一つの第二の側方領域に配置され、これらの少なくとも一つの第一の側方領域と少なくとも一つの第二の側方領域は、第一の機能層を通過すること無く、第二の波長領域の光がこの少なくとも一つの第二の機能素子に到達するか、或いはこの少なくとも一つの第二の機能素子から放射された第二の波長領域の光が基板の第一の表面から本マルチスペクトルコンポーネントを出て行くように、互いに側方にずらして配置されていることを特徴とするハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
2.
基板の第一の表面及び/又は第二の表面上には、少なくとも一つの光学フィルター層が前記の少なくとも一つの第二の側方領域に配置されていることを特徴とする上記1に記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
3.
第一の表面の側における前記の少なくとも一つの第二の側方領域が光学ブラインド層によって包囲されていることを特徴とする上記1又は2に記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
4.
基板の第一の表面に面しない側の第一の機能層上には、光学フィルター、ミラー又はDBRとして使用される別の層が配置されていることを特徴とする上記1~3のいずれか1つに記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
5.
前記の基板が、集積された能動部品又は回路素子を有するが、それらの部品又は素子が前記の少なくとも一つの第二の側方領域の外に配置されていることを特徴とする上記1~4のいずれか1つに記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
6.
前記の基板が一つの半導体層を有することを特徴とする上記1~5のいずれか1つに記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
7.
前記の基板が一つの接合基板であり、一つの材料又は異なる材料から成る複数の層を有することを特徴とする上記1~6のいずれか1つに記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
8.
前記の第一の機能層が一つの無機層を有することを特徴とする上記1~7のいずれか1つに記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
9.
前記の第二の機能層が一つの有機層を有することを特徴とする上記1~8のいずれか1つに記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
10.
前記の接合基板は、前記の少なくとも一つの第一の機能素子を上に形成した一つの半導体層と、前記の少なくとも一つの第二の機能素子を上に形成し一つのガラス基板又はプラスチック基板とを有し、これらの半導体層とガラス又はプラスチック基板がボンディング層、接着層又はそれ以外の接合層を用いて互いに接合されていることを特徴とする上記7~9に記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
11.
本マルチスペクトルコンポーネントが、更に、第一及び第二の波長領域と異なる第三の波長領域の光の検出又は放射に適した第三の機能層を備えた少なくとも一つの第三の機能素子を有し、この少なくとも一つの第三の機能素子が、基板の第一の表面又は基板の第二の表面上における、第二の側方領域と異なる側方領域に配置されていることを特徴とする上記1~10のいずれか1つに記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
12.
前記の第三の機能素子は、第一の機能層を通過した後に、第三の波長領域の光が前記の少なくとも一つの第三の機能素子に到達するか、或いは前記の少なくとも一つの第三の機能素子から放射された第三の波長領域の光が基板の第一の表面から本マルチスペクトルコンポーネントを出て行くように、前記の少なくとも一つの第一の側方領域に配置されており、前記の第一の機能層が第三の波長領域の光に対して透明であることを特徴とする上記11に記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
13.
少なくとも第一の機能素子又は第二の機能素子が光の検出に適しており、1よりも多い数で本マルチスペクトルコンポーネントに存在することを特徴とする上記1~12のいずれか1つに記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
14.
光の検出に適した異なる第一の機能素子及び/又は光の検出に適した異なる第二の機能素子が、第一又は第二の波長領域の互いに異なる波長の光の検出に適していることを特徴とする上記13に記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
15.
本マルチスペクトルコンポーネントが複数の第一の側方領域と複数の第二の側方領域とを有し、これらの第一の側方領域と第二の側方領域が格子状、ライン状又は同心円状に分散して配置されていることを特徴とする上記1~14のいずれか1つに記載のハイブリッド式マルチスペクトルコンポーネント。
【符号の説明】
【0055】
1 マルチスペクトルコンポーネントの第一の実施構成
2 マルチスペクトルコンポーネントの第二の実施構成
3 マルチスペクトルコンポーネントの第三の実施構成
10,10a~10d 第一の機能素子
11 第一の機能層
12 第一のDBR層
20,20a~20c 第二の機能素子
21 第二の機能層
22,23 電極
24,24’ 第一のフィルター層
25,25’ 第二のフィルター層
30 光源
40 ブラインド層
50 接点
60 筐体
70a~70d 第三の機能素子
71 第三の機能層
72 第二のDBR層
80 電極
100,100’ 基板
101 基板の第一の表面
102 基板の第二の表面
103 集積された能動部品
104 半導体層
105 ガラス基板
110 第一の側方領域
120 第二の側方領域
130 第三の側方領域