(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】吹付機用の吹付領域を定義するための定義システム
(51)【国際特許分類】
E04G 21/02 20060101AFI20240823BHJP
E04G 21/18 20060101ALI20240823BHJP
E21D 11/10 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
E04G21/02 103B
E04G21/18 B ESW
E21D11/10 D
(21)【出願番号】P 2021558757
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(86)【国際出願番号】 FI2020050233
(87)【国際公開番号】W WO2020208305
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-02-08
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】519183519
【氏名又は名称】ノルメット オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】フットゥネン ヘイッキ
(72)【発明者】
【氏名】マーッタ カレ
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-270499(JP,A)
【文献】特開2017-142156(JP,A)
【文献】特開2000-213293(JP,A)
【文献】特開2005-113576(JP,A)
【文献】特開平11-152903(JP,A)
【文献】特開昭60-143860(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0330467(US,A1)
【文献】米国特許第05851580(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/00-21/10
E04G 21/14-21/22
E21D 11/00-19/06
E21D 23/00-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹付機(102)用の吹付領域(A1、A2、A3、A4)を定義するための定義システム(100)であって、
前記吹付機の吹付ブーム(1
08)と、
前記
吹付ブームのセンサ(430)と、
前記
吹付ブームを制御するための制御装置(120)と、を具備し、
前記センサは
、位置情報を取得(258、264、270、280
)するように構成される、定義システムにおいて、
前記吹付ブームのノズル先端(115)は、吹付対象面(104)上に前記吹付領域の境界を定義するために、数個の接点(P1、P2、P3、P4、P5、P6)に接触(258、264、270、280)するように構成され、かつ、前記センサは、各接点(P1、P2、P3、P4、P5、P6)における前記ノズル先端の位置情報を取得するように構成され、
前記制御装置は、前記取得された位置情報に基づいて、前記
吹付ブームの座標系(354)に、
前記各接点の位置(L1、L2、L3、L4、L5、L6)を定義(260、266、272、282
)するように構成され、
その結果、前記接点の定義された位置(L1、L2、L3、L4、L5、L6
)が使
用され、前記座標系に前記吹
付領域を形成(274、288)する、
ことを特徴とする、定義システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記
吹付ブームの取付機構(110)に位置する、原点(O)を有する3次元座標系(250)である前記座標系を示し(252)、それに基づいて、前記座標系の前記各接点は、前記取付機構に対して配置される、請求項1に記載の
定義システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記吹付対象面と前記ノズル先端との間の第1の距離を決定する、吹付距離(d)を、前記
吹付ブームの作業員から受信(290)し、それに基づいて、前記制御装置は、吹付動作(350)が計算される場合、
各吹付領域(A1、A2、A3、A4)の表面の形状と吹付距離を考慮する、請求項1又は2のいずれかに記載の
定義システム。
【請求項4】
前記制御装置は、少なくとも、前記座標系におけるコンクリート吹付に対する開始・停止位置と、前記
各吹付領域に対して、前記ノズル先端(115)の位置とを定義(290)する、請求項1~3のいずれかに記載の
定義システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記座標系における前
記吹付領域の表面の形状に基づいて、前記ノズル先端に対して、コンクリート吹付中、前記
吹付ブームの構造体(112、113、114)により実行される、吹付動作(350)を計算(294)する、請求項1~4のいずれかに記載の
定義システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記
吹付ブームの作業員が、吹付動作(250)中に前記
吹付ブームを制御すれば、前記吹付動作を再計算(294)し、制御装置が、前記
吹付領域の長さ(l1、l2)の方向に、この吹付動作を延長又は短縮する、請求項
3に記載の
定義システム。
【請求項7】
前記制御装置は、吹付材料の所望の層厚さにしたがって、前記吹付動作の速度を調整(296)する、請求項
3に記載の
定義システム。
【請求項8】
前記
吹付領域
の長さ(l1)は、第1及び第2の接点(P1、P2)に接触することで定義され、それに基づいて、これらの点の間の第2の距離は、
前記長さで
あり、該
吹付領域の幅(w1)は、第3の接点(P3)に接触することで定義され、それに基づいて、前記第3の接点と、前記第1及び第2の接点(P2、P3)との間の線との間の第3の距離は、該
吹付領域の前記幅(w1)である、請求項1~7のいずれかに記載の
定義システム。
【請求項9】
前記
吹付領域は、第1の部分領域(A1)で
あり、第2の部分領域(A2)の幅(w2)は、第4の接点(P4)に接触することで定義され、それに基づいて、前記第4の接点と前記第1の部分領域との間の第4の距離は、前記第2の部分領域の
前記幅で
あり、前記第2の部分領域の長さ(l2)は、前記第1の部分領域の長さに一致する、請求項6に記載の
定義システム。
【請求項10】
前記制御装置は、少なくとも前記第1及び第2の部分領域(A1、A2)を組み合わせることで、前記
吹付領域を形成(288)する、請求項9に記載の
定義システム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の
定義システム(100)により、
吹付機(102)用の吹付領域(A1、A2、A3、A4)を定義するための定義方法であって、
吹付対象の面(104)上に前記
吹付領域の境界を定義するために
、吹付ブーム(108)
のノズル先端(115)により
、数個の接点(P1、P2、P3、P4、P5、P6)に接触(258、264、270、280)するステップと、
前記
吹付ブーム
のセンサ(430)により
、各接点(P1、P2、P3、P4、P5、P6)
における前記ノズル先端の位置情報を取得(258、264、270、280)するステップと、及び
前記
吹付ブーム
の制御装置(120)により、前記取得位置情報に基づいて、前記
吹付ブームの座標系(354)に、前記各接点の位置(L1、L2、L3、L4、L5、L6)を定義(260、266、272、282)するステップであって、前記接点の定義された位置(L1、L2、L3、L4、L5、L6)を使用して、前記座標系に前記吹
付領域を形成(274、288)する、ステップと、を少なくとも含む、定義方法。
【請求項12】
吹付領域(A1、A2、A3、A4)を定義するための制御装置(120)であって、
プロセッサ部(422)と、
データ転送部(424)と、を具備し、
前記データ転送部
は、位置情報を受信(258、264、270、280
)するように構成される、制御装置において、
前記位置情報は、吹付機(102)の吹付ブーム(108)のセンサ(430)からの各接点(P1、P2、P3、P4、P5、P6)の位置情報であって、当該の接点(P1、P2、P3、P4、P5、P6)は、前記吹付領域の境界が吹付対象面(104)に定義された場合に、前記吹付ブームのノズル先端(115)が接触(258、264、270、280)した接点(P1、P2、P3、P4、P5、P6)であり、
前記プロセッサ部は、前記受信位置情報に基づいて、前記
吹付ブームの座標系(354)に、前記各接点の位置(L1、L2、L3、L4、L5、L6)を定義(260、266、272、282
)するように構成され、
その結果、前記接
点の定義された位置(L1、L2、L3、L4、L5、L6
)が使
用され、前記座標系に前記吹
付領域を形成
(274、288)する、
ことを特徴とする、制御装置。
【請求項13】
請求項12に記載の制御装置(120)により、吹付領域(A1、A2、A3、A4)を定義するための定義方法であって、
データ転送部(424)により、
吹付機(102)の吹付ブーム(108)のセンサ(430)からの各接点(P1、P2、P3、P4、P5、P6)の位置情報を受信(258、264、270、280)するステップであって、当該の接点(P1、P2、P3、P4、P5、P6)は、前記
吹付領域の境界
が吹付対象面(104)に定義された場合
に、前記吹付ブー
ムのノズル先端(115)
が接触(258、264、270、280)
した接点(P1、P2、P3、P4、P5、P6)
である、ステップと、
前記プロセッサ部(422)により、前記受信位置情報に基づいて、前記
吹付ブームの座標系(354)に、前記各接点の位置(L1、L2、L3、L4、L5、L6)を定義(260、266、272、282)するステップであって、
前記接
点の定義された位置(L1、L2、L3、L4、L5、L6)を使用して、前記座標系に前記吹
付領域を形成(274、288)する、ステップと、を少なくとも含む、定義方法。
【請求項14】
コンピュータプログラム(444)であって、前記プログラムが
、プロセッサ部(422)およびデータ転送部(424)を備える制御装置(120)により実行される場合、前記制御装置に、少なくとも請求項13に記載の方法のステップを実行させる、命令を含むコンピュータプログラム(444)。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラム(444)
を格納した、有形コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般的に、吹付機用の吹付領域を定義するための定義システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートは、採掘場やトンネル内の岩石構造を補強するために使用され、これらの構造体に、移動式コンクリート吹付機により、コンクリート層として吹付けられる。
【0003】
コンクリート吹付機は、可動で入れ子式の吹付ブームを有し、ブームは、湿ったコンクリートをブームのノズルヘッドに流れ込ませる、コンクリートホースを支持する。ノズル先端を備えたノズルヘッドは、ブーム端部に設置され、作業員は、ブームの移動機構と入れ子式構造体を使用して、ノズル先端を、コンクリート層により被覆される面近傍の所望位置まで駆動し、この面にコンクリートの吹付けを正確に向けることが可能である。
【0004】
吹付けプロセスをより正確に行い、吹付けコンクリートの使用量を低減する1つの解決法として、吹付対象領域の表面の形状を認識するための追加のスキャナを使用する。スキャナは、吹付領域の表面の画像を作成して、それに基づいて、作業員は、ノズルヘッドと先端の移動を制御し、スキャナ画像に基づいて、コンクリート吹付けの向きを決めることができる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の1つの目的は、公知の解決法の不具合を解消し、吹付領域を速やかに定義するための定義システムを提示することであって、該システムは、高価な追加のスキャナを使用する必要性がなく、吹付特性をより正確に実現し、吹付ブームの重力に基づいた曲げや使用に基づいた摩耗を考慮する。
【0006】
本発明の1つの目的は、独立請求項によれば、定義システム、制御装置、方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ可読媒体を提供することで果たされる。
【0007】
本発明の1つの実施形態は、吹付機用の吹付領域を定義するための定義システムである。該システムは、吹付機の吹付ブームと、ブームのセンサと、ブームを制御するための制御装置と、を具備する。ブームのノズル先端は、吹付領域の境界を定義するために、吹付対象面上の数個の接点に接触するように構成される。センサは、各接点の位置情報を取得する。制御装置は、取得された位置情報に基づいて、各接点の位置をブームの座標系に定義し、接点の定義された位置を使用して、該座標系に吹付対象領域を形成する。
【0008】
本発明の1つの実施形態は、該システムにより、吹付領域を定義するための定義方法であって、従来の定義システムの実施形態に合致する。該方法は、吹付領域の境界を定義するために、吹付ブームのノズル先端により、吹付対象面上の数個の接点に接触するステップを含む。該方法はまた、ブームのセンサにより、各接点の位置情報を取得するステップを含む。該方法はまた、ブームの制御装置により、取得された位置情報に基づいて、ブームの座標系に各接点の位置を定義するステップであって、接点の定義された位置を使用して、座標系に吹付対象領域を形成する、定義するステップを含む。
【0009】
本発明の1つの実施形態は、吹付領域を定義するための制御装置である。制御装置は、プロセッサ部とデータ転送部とを具備する。データ転送部は、吹付領域の境界が、吹付対象面上に定義された場合、吹付機の吹付ブームのノズル先端が接触した各接点の位置情報を受信する。プロセッサ部は、受信された位置情報に基づいて、ブームの座標系に各接点の位置を定義し、接点の定義された位置を使用して、座標系に吹付対象領域を形成する。
【0010】
本発明の1つの実施形態は、制御装置により、吹付領域を定義するための定義方法であって、従来の制御装置の実施形態に合致する。該方法は、制御装置のデータ転送部により、吹付領域の境界が、吹付対象面上に定義された場合、吹付機の吹付ブームのノズル先端が接触した各接点の位置情報を受信するステップを含む。該方法はまた、制御装置のプロセッサ部により、受信された位置情報に基づいて、ブームの座標系に各接点の位置を定義するステップであって、接点の定義された位置を使用して、座標系に吹付対象領域を形成する、定義するステップを含む。
【0011】
本発明の1つの実施形態は、従来の制御装置の実施形態に合致する、制御装置によりプログラムが実行される場合、制御装置に、従来の定義方法のステップを実行させる命令を含む、コンピュータプログラムである。プログラムは、制御装置のデータ転送部により、吹付領域の境界が、吹付対象面上に定義された場合、吹付機の吹付ブームのノズル先端が接触した各接点の位置情報を受信するためのコードを含む。プログラムはまた、制御装置のプロセッサ部により、受信された位置情報に基づいて、ブームの座標系に各接点の位置を定義するためのコードであって、接点の定義された位置を使用して、座標系に吹付対象領域を形成する、定義するためのコードを含む。
【0012】
本発明の1つの実施形態は、従来のコンピュータプログラムの実施形態に合致する、コンピュータプログラムを含む非法定の有形コンピュータ可読媒体である。
【0013】
本発明のさらなる実施形態は、独立請求項に規定される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
典型的な実施形態は、添付図面に準拠して記載される。
【0015】
【
図1】
図1は、吹付領域を定義するための定義システムの原理を示す。
【
図2】
図2は、定義及び吹付方法のフローチャートを示す。
【
図3a】
図3aは、吹付プロセス中の吹付ブームの計算された移動を示す。
【
図3b】
図3bは、吹付プロセス中の計算された動作の適合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、壁の面104及びトンネル側面106の屋根(ヴォールト)構造体等の上に支持コンクリート層を形成するために、少なくとも1つの吹付領域A1、A2、A3、A4を定義し、吹付機102により、定義領域A1、A2、A3、A4をコンクリートで吹付けるための定義システム100を示す。
【0017】
少なくとも1つの領域A1、A2、A3、A4は、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の領域を含む。
【0018】
吹付機102は、例えば、地下の採掘及びトンネル工において、トンネル側面106内で使用される移動式コンクリート吹付機である。吹付機102はまた、面104を洗浄するための水又は洗浄剤等の他の材料を吹付けることが可能で、同一目的で他の環境のトンネル側面106外で操作可能である。
【0019】
システム100は、吹付機102の構成部分であって、取付機構110により、吹付機102に取付けられる(設置される)、入れ子式吹付機ブーム等の吹付ブーム108を具備し、ブーム108を昇降させて、取付機構110に対し、その移動機構426により、ブームを旋回(回転)させることが可能である。
【0020】
ブーム108は、少なくとも、入れ子式ブーム構造体112、113と、コンクリートを入れ子式ブーム構造体113の端部で吹付けさせるノズルヘッド114と、を具備する。ノズルヘッド114、又は実際にはノズル先端115は、領域A1、A2、A3、A4の境界を定義するために、吹付対象面104上の接点P1、P2、P3、P4、P5、P6に接触するために使用される。
【0021】
接点P1、P2、P3、P4、P5、P6は、少なくとも3つの接点P1、P2、P3、P4、P5、P6、例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上の接点を含む。
【0022】
ブーム108はまた、ブーム108を制御するために使用される位置情報を取得するための数個の設置されたセンサ430を具備する。ブーム108の作業員(図示せず)は、そのノズル先端115が、接点P1、P2、P3、P4、P5、P6上の面104に接触するように、作業員がブーム108を駆動する場合、少なくとも、接点P1、P2、P3、P4、P5、P6の位置情報を取得するために、センサ430を使用する。
【0023】
システム100はまた、ブーム108の移動と操作を制御するための制御装置(制御部、制御ユニット)120を具備する。制御装置120は、作業員により操作される。
【0024】
図2及び
図3aは、吹付けプロセス中に定義領域A1、A2、A3、A4に基づいて、領域A1、A2、A3、A4の定義プロセスとブーム108の吹付動作350を示す。
【0025】
ステップ252では、制御装置120は、取付点、すなわち、ブーム108の取付機構110に位置する原点Oを有する3次元(3D)座標系354を表示・保持する。
【0026】
座標系354は、センサ430からの位置情報とともに、取付機構110に対してノズル先端115を配置し、吹付対象領域A1、A2、A3、A4を定義し、必要な動作350を計算して、面104上の定義領域A1、A2、A3、A4に吹付可能である。
【0027】
ステップ256では、吹付機102が停止されて、ブーム108の作業員が、ブーム108を安全に制御できるような態勢に入った場合、作業員は、遠隔制御装置428のユーザインターフェースにより制御装置120を操作し、制御装置120に、ノズル先端115を面104上の第1の点P1近傍に移動させるよう命令する。第1の点P1は、第1の境界(縁)、本実施例においては、面104上の領域A1、A2、A3、A4の、作業員から見て鉛直方向前部の(右の)縁を示すものと意図される。
【0028】
ステップ258では、作業員は、制御装置120に、ノズル先端115が、ノズルヘッド114の端部で、第1の点P1に接触するように、ブーム108を移動するよう命令する。ブーム108の移動中やブーム108が静止状態の場合は常時、センサ430は、位置情報を提供し、それにより、制御装置120は、ノズル先端115の位置を定義可能である。
【0029】
ステップ260では、ノズル先端115が、第1の点P1上の面104に接触する場合、制御装置120は、センサ430からの位置情報に基づいて、座標系354に対し第1の点P1の位置L1(x1、y1、z1)を提供し、作業員は、制御装置120に、この位置L1をそのメモリ部434に記憶するよう命令する。
【0030】
ステップ262では、位置L1を記憶後、作業員は、制御装置120に、略水平方向で、第1の点P1から面104に接触することなく、ノズル先端115を面104上の第2の点P2近傍に移動するよう命令する。第2の点P2は、第2の境界、本実施例においては、領域A1、A2、A3、A4の鉛直後部の(左の)縁を示すものと意図される。
【0031】
ステップ264では、作業員は、制御装置120に、ノズル先端115が、第2の点P2に接触するように、ブーム108を移動するよう命令する。
【0032】
ステップ266では、ノズル先端115が、第2の点P2上の面104に接触する場合、制御装置120は、第2の点P2の位置L2(x2、y2、z2)を提供し、作業員は、制御装置120に、この位置をメモリ部434に記憶するよう命令する。第1及び第2の点P1、P2との間の水平線P1-P2は、第3の境界、本実施例においては、吹付対象領域A1、A2、A3、A4に対する水平下縁、それと同時に、領域A1、A2、A3、A4の長さl1を形成する。
【0033】
ステップ268では、位置L2が記憶された場合、作業員は、制御装置120に、略鉛直方向で、第2の点P2から面104に接触することなく、ノズル先端115を面104上の第3の点P3近傍に移動するよう命令する。第3の点P3は、第4の境界、本実施例においては、領域A1に対する水平上縁、それと同時に、領域A1の幅w1を示すものと意図される。
【0034】
ステップ270では、作業員は、制御装置120に、ノズル先端115が、第3の点P3に接触するように、ブーム108を移動するよう命令する。
【0035】
ステップ272では、ノズル先端115が、第3の点P3上の面104に接触する場合、制御装置120は、第3の点P3の位置L3(x3、y3、z3)を提供し、作業員は、制御装置120に、この位置をメモリ部434に記憶するよう命令する。水平線は、第3の境界(水平下縁)に平行で、第3の点P3を逸脱し、第1及び第2の境界(前部及び後部縁)である点IS1、IS2で交わり、第4の境界、本実施例においては、領域A1に対する水平上縁を形成する。
【0036】
その代わりとして、作業員120は、制御装置120に、第2の点P2から他の方向に、ノズル先端115を移動し、記憶された位置L3’又はL3’’に相当して同様に生じる第3の点P3’又はP3’’上の面104と、ステップ268、270、272で上述されたのと同様に、領域A1に対する第4の境界及び幅w1に接触するように命令し得る。
【0037】
第3の点P3(P3’、P3’’)の目的は、幅w1を領域A1に定義することである。少なくとも3つの点P1、P2、P3(P3’、P3’’)の位置L1、L2、L3(L3’、L3’’)は、制御装置120が、領域A1を定義可能にするには十分である。
【0038】
ステップ274では、位置L3が記憶され、領域A1の少なくとも3つの点P1、P2、P3が、定義された場合、制御装置120は、第1の前部境界が、第1の点P1から上方に開始し、第1及び第2の点P1、P2との間の線P1-P2に垂直である線であるように、その4つの境界を定義することで、四つ角の正方形又は長方形形状の領域A1を形成する。第2の後部境界は、第2の点P2から上方に開始し、線P1-P2に垂直である線である。第3の下部境界は、線P1-P2であり、第4の上部境界は、上述の通り、第1及び第2の境界である点IS1、IS2で交わる線である。正方形形状又は長方形形状の領域A1は、特定の第1の表面領域を有し、点P1、P2、P3の間の距離に依存する。その表面は、座標系354において、トンネル側面106の床面に略一致する、XY平面上に特定の第1の角度を有する。最終的に、作業員は、制御装置120に、領域情報をメモリ部434に記憶するよう命令する。
【0039】
その代わりとして、領域A1、A2、A3、A4を平行四辺形として定義可能で、それに基づいて、第3の点P3’’は、平行四辺形形状の領域A1、A2、A3、A4の第3の角を定義する。第1の点P1と第2の点P2は、平行四辺形形状の領域A1、A2、A3、A4の第1及び第2の角、それと同時に、第3の境界としての線P1-P2を定義する。第2の境界は、P2-P3’’との間の線であり、それに基づいて、第1の境界は、第1の点P1から始まり、線P2-P3’’(第2の境界)に平行な線である。第4の境界は、第3の境界(線P1-P2)に平行で、第3の点P3’’を逸脱する線である。第4の境界は、第1及び第2の境界である点IS1’’、IS2’’で交わる。平行四辺形形状の領域A1、A2、A3、A4はまた、特定の第1の平面領域と、XY平面上に特定の第1の角度を有する。
【0040】
ステップ276では、領域A1の形成が完了後、作業員が、少なくとも1つ又はそれ以上の正方形、長方形、又は平行四辺形形状の領域A2、A3、A4の定義を望むならば、定義プロセスは、ステップ278で継続し、領域A1は、部分領域A1になる。その代わりとして、領域A1の定義が十分である場合、プロセスは、ステップ290で継続する。
【0041】
ステップ278では、位置を記憶後、作業員は、制御装置120に、略鉛直方向で、第3の点P3(P3’、P3’’)から面104に接触することなく、ノズル先端115を面104上の第4の点P4近傍に移動するよう命令する。第4の点P4は、第5の境界、本実施例においては、部分領域A2に対する水平上縁及び部分領域A2の幅w2を示すように意図される。
【0042】
第4の点P4の位置は、第3の点P3の場合と同様に、図示以外の記載があり得る。
【0043】
ステップ280では、作業員は、制御装置120に、ノズル先端115が、第4の点P4に接触するように、ブーム108を移動するよう命令する。
【0044】
ステップ282では、ノズル先端115が、第4の点P4上の面104に接触する場合、制御装置120は、第4の点P4の位置L4(x4、y4、z4)を提供し、作業員は、制御装置120に、この位置をメモリ部434に記憶するよう命令する。水平線は、第4の境界に平行で、第4の点P4を逸脱し、第1及び第2の境界(前部及び後部縁)である点IS3、IS4で交わり、第5の境界、本実施例においては、部分領域A2と幅w2に対する水平上縁を形成する。
【0045】
ステップ284では、位置L4が記憶され、部分領域A2の第4の点P4が、定義された場合、制御装置120は、本実施例において、その4つの境界を定義することで、四つ角の正方形又は長方形形状の部分領域A2を形成する。第1の点P1から上方に開始する(線P1-P2に垂直な)線は、第1の前部境界であり、第2の点P2から上方に開始する(線P1-P2に垂直な)線は、第2の後部境界であり、交点IS1、IS2との間の線IS1-IS2は、第3の下部境界であり、交点IS3、IS4との間の線IS3-IS4は、第4の上部境界である。部分領域A2はまた、特定の第2の表面領域を有し、点IS1、IS2、P4との間の距離に依存し、第1の表面領域と異なる場合がある。その表面は、XY平面上に特定の第2の角度を有し、第1の角度と異なる場合がある。最終的に、作業員は、制御装置120に、領域情報をメモリ部434に記憶するよう命令する。
【0046】
ステップ286では、部分領域A2の形成が完了後、作業員が、より多くの部分領域A3、A4の定義を望むならば、以下の部分領域A3、A4に対する定義プロセスは、それに応じて上述の通り、点P5、P6に接触し、位置L5、L6を提供し、部分領域A3、A4を形成することで、ステップ278で継続する。その代わりとして、必要なすべての部分領域A1、A2、A3、A4が定義されたら、定義プロセスは、ステップ288に継続する。
【0047】
ステップ288では、制御装置120は、定義された部分領域A1、A2、A3、A4から整合性のある領域(表面)A1、A2、A3、A4を、これらを座標系354において組み合わせることで形成する。
【0048】
ステップ290では、作業員は、制御装置120に、形成領域A1、A2、A3、A4の表面とノズル先端115との間の距離を定義する、吹付距離dについて命令する。吹付距離dは、制御装置120が計算する吹付動作350を生じるが、その理由は、ノズル先端115から放出する吹付が、円錐形状を有し、それに基づいて、吹付距離dが長いほど、吹付の衝突領域は広くなる。
【0049】
吹付距離dに基づいて、制御装置120は、形成領域A1、A2、A3、A4に基づいて、座標系354のノズル先端115に対する吹付けプロセスの開始及び停止位置と、形成領域A1、A2、A3、A4に対して(表面角度に基づいて)、各領域A1、A2、A3、A4に対するノズル先端115の位置を定義する。各領域A1、A2、A3、A4に対する位置は、ノズル先端115が、領域A1、A2、A3、A4の面104に略垂直であるように設定する。
【0050】
作業員はまた、制御装置120に、ノズル先端115の速度を調整し、可能であれば、吹付機102内のコンクリートポンプの出力を調整することで、取得される所望の層厚さについて命令する。層厚さは、10~150mm等、例えば、30、40、50、60、70、80、又は90mmでよい。
【0051】
ステップ292では、作業員は、制御装置120に、コンクリート又は他の材料の吹付を開始するよう命令し、それに基づいて、制御装置は、開始点を入力して、吹付を開始後に、計算された開始点に向けて、ブーム108(ノズル先端115)の駆動を開始する。
【0052】
ステップ294では、制御装置120は、領域A1、A2、A3、A4の表面の形状と命令された(受信された)吹付距離dを考慮することで、吹付をステップ毎に行う間、ブーム108の構造体112、113、114により行われる吹付動作350を計算する。制御装置120は、コンクリート吹付の衝突領域が、形成領域A1、A2、A3、A4の境界内部で保持するように、動作350を計算する。
【0053】
ステップ毎の計算により、制御装置120は、作業員が、吹付動作350中、制御装置120に、領域A1、A2、A3、A4の長さ方向にこの動作350を延長又は短縮するよう命令すれば、吹付動作350を再計算(適合)可能である。吹付動作350の適合は、以下の
図3bを参照すると、より正確に示される。
【0054】
ステップ296では、制御装置120は、計算された動作350にしたがって、定義領域A1、A2、A3、A4を吹付け、ブーム108が、定義された停止位置に入る場合、最終的に吹付を遮断するために、吹付機102とブーム108を制御する。
【0055】
作業員は、制御装置120に、所望の層厚さにしたがって、吹付動作350の速度を調整することで、吹付の前又は間に吹付けられた材料の層厚さを調整するよう命令する場合がある。
【0056】
図3bは、吹付中に吹付動作350の上記の適合を示す。本実施例において、以前の(左側の)領域A1、A2、A3、A4とその吹付動作350は、以前の図面で示された定義プロセスのステップ252、256、~、294、296にしたがって、すでに定義・吹付けられた。その後、次の隣接する(右側の)領域A1’、A2’、A3’、A4’とブーム108の吹付動作350はまた、同一の定義プロセスのステップ252、256、~、288、290にしたがって、定義された。
【0057】
本実施例において、トンネル側面106は、矢印B方向の左に延びている。右側の領域A1’、A2’、A3’、A4’の定義の結果、吹付けられた左側の領域A1、A2、A3、A4と、隣接する定義された右側の領域A1’、A2’、A3’、A4’は、トンネル側面106の1つの側面に接触し、それらは、トンネル側面106の別の側面でそれらの間に特定の距離Cを有し、それに基づいて、隣接する左側及び右側の領域A1、A2、A3、A4、A1’、A2’、A3’、A4’との間に狭い表面領域(ストリップ)Cが存在する。
【0058】
計算された吹付動作350とステップ292、294、296にしたがって、コンクリートの吹付開始後、作業員は、制御装置120によりブーム108を制御して、吹付中に、右側の領域A1’、A2’、A3’、A4’の定義がどの程度不完全かを認識、すなわち、作業員は、左側及び右側の領域A1、A2、A3、A4、A1’、A2’、A3’、A4’との間に狭い表面ストリップCを認識する。計算された吹付動作350によれば、この表面ストリップCは、非吹付領域として残留し得るが、作業員は、必要な場合、当初計算された吹付動作350を適合可能である。
【0059】
作業員は、制御装置120に、個々の吹付動作350中に、図中の吹付動作350、350bの最低の第1の回転にしたがって、延伸された吹付動作350bとして、右側の領域A1’、A2’、A3’、A4’の長さL1、L2の方向に、当初の吹付動作350aを延長(延伸)するよう命令可能である。その代わりとして、作業員は、制御装置120に、短縮された吹付動作350cとして、右側の領域A1’、A2’、A3’、A4’の長さL1、L2の方向に、当初の吹付動作350aを短縮するよう命令可能である。
【0060】
適合後、個々の吹付動作350、350a、350b、350cの延伸・短縮に関わらず、制御装置120は、適合された吹付動作350b、350cにしたがって、次の吹付動作350、350aを再計算し、次の(新規の)適合命令を作業員から受信する限り、該動作にしたがって継続する。
【0061】
本実施例において、表面ストリップCが狭くなり、トンネル側面106の床からの距離が長くなる場合、作業員は、制御装置120に、短縮された吹付動作350cとして吹付の間、以前適合された、個々の吹付動作350、350aを短縮するよう命令すべきである。左側の領域A1、A2、A3、A4を、不必要に二重に吹付けしないよう回避するのが必要な場合、個々の吹付動作350を、必ずしもすべてではないが、連続して短縮する。
【0062】
その代わりとして、制御装置120は、適合後、当初計算された吹付動作350、350aに戻り、該動作にしたがって継続するように、実行可能である。
【0063】
当然のことながら、隣接する領域A1、A2、A3、A4、A1’、A2’、A3’、A4’の縁が、少なくとも部分的に重なるならば、本実施例とは異なり、作業員は、個々の吹付動作350、350a、350bを必要な場合に短縮可能である。
【0064】
適合により、作業員は、あらゆる個々の吹付動作350、したがって、吹付中に領域A1、A2、A3、A4、A1’、A2’、A3’、A4’を適合して、最新の定義領域A1’、A2’、A3’、A4’を以前吹付された領域A1、A2、A3、A4に適合することができる。
【0065】
図4は、吹付ブーム104を制御するために使用される制御装置(制御部、制御ユニット)120を示す。
【0066】
制御装置120は、アプリケーションを起動させるために、作業員及び/又はコンピュータプログラム開始の命令を実行し、データを処理するプロセッサ部422を具備する。プロセッサ部422は、少なくとも1つのプロセッサ、例えば、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上のプロセッサを含む。
【0067】
制御装置120はまた、制御装置120が、コマンド、要求、及びデータを、移動機構426や無線遠隔制御装置428等のシステム100の他のコンポーネントに送信するために使用するデータ転送部424を具備し、制御装置120を使用し、ブーム108を制御するために、作業員にユーザインターフェースを提供する。データ転送部424はまた、移動機構426、遠隔制御装置428、及びセンサ430等の他のコンポーネントからコマンド、要求、及びデータを受信する。データ転送部424と、コンポーネント426、430との間の通信は、有線ケーブル接続により又は無線で、及びデータ転送部424と遠隔制御装置428との間を無線で提供され得る。
【0068】
制御装置120はまた、電源部432を具備する。電源部432は、制御装置120に電力供給するためのコンポーネント、例えば、制御装置120を吹付機102の電力供給システム又はそれ自身のバッテリに接続するためのコンポーネントを具備する。
【0069】
制御装置120はまた、データを記憶・保持するために、メモリ部434を具備する。データは、命令、コンピュータプログラム、及びデータファイルであり得る。メモリ部434は、少なくとも1つのメモリ、例えば、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上のメモリを含む。
【0070】
メモリ部434は、少なくとも、データ転送部424を操作(制御)するためのデータ転送アプリケーション436、ブーム108の移動機構426を操作するための移動アプリケーション438、センサ430を操作するためのセンサアプリケーション440、及び電源部432を操作するための電力供給アプリケーション442を記憶する。
【0071】
メモリ部434はまた、メモリ部がコンピュータ、例えば、制御装置120内でプロセッサ部424により稼働される場合、少なくとも、上記本明細書及び図面に記載の制御装置120の操作を行うために、構成部分424、426、430、432の少なくとも1つを使用する、コンピュータプログラム444(ソフトウェア、アプリケーション)を記憶する。
【0072】
コンピュータプログラム444は、例えば、コンパクトディスク(CD)又はユニバーサル・シリアル・バス(USB)型の記憶装置で記憶され得る。
【0073】
本発明は、上述の典型的な実施形態に準拠して、上記の通り記載され、そのいくつかの利点が示された。本発明は、明らかに、これらの実施形態に限定されないが、以下の特許請求の範囲内で可能なすべての実施形態を包含する。