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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】漏電検出装置、車両用電源システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/52 20200101AFI20240823BHJP
   G01R 31/64 20200101ALI20240823BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20240823BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240823BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240823BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20240823BHJP
【FI】
G01R31/52
G01R31/64
G01R31/00
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021561160
(86)(22)【出願日】2020-08-18
(86)【国際出願番号】 JP2020031045
(87)【国際公開番号】W WO2021106284
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】P 2019213255
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】中山 正人
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-151595(JP,A)
【文献】特開2007-163291(JP,A)
【文献】国際公開第2019/176173(WO,A1)
【文献】特開2017-142269(JP,A)
【文献】特開2016-024155(JP,A)
【文献】特開2013-195136(JP,A)
【文献】国際公開第2012/029214(WO,A1)
【文献】特開平03-209179(JP,A)
【文献】国際公開第2010/143534(WO,A1)
【文献】特開2005-114497(JP,A)
【文献】特開2007-163141(JP,A)
【文献】特開2009-053133(JP,A)
【文献】特開2014-098681(JP,A)
【文献】特開2009-085830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/50-31/74、
31/00-31/01、
31/24-31/25、
31/40-31/44、
B60L 1/00-3/12、
7/00-13/00、
15/00-58/40、
H02H 3/08-3/253
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシャーシアースと絶縁された状態で搭載され、前記車両内の負荷に電力を供給する蓄電部と、前記蓄電部と前記負荷を接続する配線に挿入されるスイッチと、を備える車両に搭載される漏電検出装置であって、
アースと絶縁された状態で、負荷に接続されている蓄電部の電流経路に一端が接続されるカップリングコンデンサと、
周期的に変化する周期電圧を生成して、前記カップリングコンデンサの他端に第1抵抗を介して印加する電圧出力部と、
前記カップリングコンデンサと前記第1抵抗との間の接続点と、所定の固定電位との間に直列に接続された第2抵抗および第3抵抗と、
前記第2抵抗と前記第3抵抗との間の分圧点の電圧を測定する電圧測定部と、
前記電圧出力部から前記周期電圧が出力されている状態において、前記電圧測定部により測定された電圧をもとに、前記蓄電部の電流経路と前記アース間の漏電の有無を判定する漏電判定部と、
前記電圧出力部から固定電圧が出力されている状態において、前記スイッチがターンオンされるときに、前記電圧測定部により測定される電圧をもとに、前記カップリングコンデンサが正常であるか否かを判定する診断部と、
を備えることを特徴とする漏電検出装置。
【請求項2】
車両のシャーシアースと絶縁された状態で搭載され、前記車両内の負荷に電力を供給する蓄電部と、前記蓄電部と前記負荷を接続する配線に挿入されるスイッチと、を備える車両に搭載される漏電検出装置であって、
アースと絶縁された状態で、負荷に接続されている蓄電部の電流経路に一端が接続されるカップリングコンデンサと、
周期的に変化する周期電圧を生成して、前記カップリングコンデンサの他端に抵抗を介して印加する電圧出力部と、
前記カップリングコンデンサと前記抵抗との間の接続点の電圧を測定する電圧測定部と、
前記電圧出力部から前記周期電圧が出力されている状態において、前記電圧測定部により測定された電圧をもとに、前記蓄電部の電流経路と前記アース間の漏電の有無を判定する漏電判定部と、
前記電圧出力部から前記電圧測定部の測定レンジの中心付近の値に設定された固定電圧が出力されている状態において、前記スイッチがターンオンされるときに、前記電圧測定部により測定される電圧をもとに、前記カップリングコンデンサが正常であるか否かを判定する診断部と、
を備えることを特徴とする漏電検出装置。
【請求項3】
前記診断部は、前記スイッチがターンオンされるときに、前記電圧測定部により測定された電圧の変動幅が規定値以下の場合、前記カップリングコンデンサを異常と判定することを特徴とする請求項1または2に記載の漏電検出装置。
【請求項4】
前記スイッチは、
前記蓄電部の正極と前記負荷の一端が接続されるプラス配線に挿入される正極リレーと、
前記蓄電部の負極と前記負荷の他端が接続されるマイナス配線に挿入される負極リレーと、
前記正極リレー又は前記負極リレーに並列に接続されたプリチャージリレーと、を含み、
前記診断部は、前記3つのリレーの1つがターンオンされてから、3つがオン状態になるまでの期間における前記測定された電圧の変動幅が、前記規定値以下の場合、前記カップリングコンデンサを異常と判定することを特徴とする請求項3に記載の漏電検出装置。
【請求項5】
車両のシャーシアースと絶縁された状態で搭載され、前記車両内の負荷に電力を供給する蓄電部と、
請求項1から4のいずれか1項に記載の漏電検出装置と、
を備えることを特徴とする車両用電源システム。
【請求項6】
前記診断部は、前記車両の起動後、最初に前記スイッチがターンオンされるとき、前記カップリングコンデンサが正常であるか否かを判定することを特徴とする請求項5に記載の車両用電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アースから絶縁された負荷の漏電を検出する漏電検出装置、車両用電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)が普及してきている。これらの電動車両には、補機電池(一般的に12V出力の鉛電池)と別に高電圧の駆動用電池(トラクションバッテリ)が搭載される。感電を防止するために、高電圧の駆動用電池、インバータ、走行用モータを含む強電回路と、車両のボディ(シャーシアース)間は絶縁される。
【0003】
強電回路の車両側のプラス配線とシャーシアース間、及び強電回路の車両側のマイナス配線とシャーシアース間には、それぞれYコンデンサが挿入され、高電圧の駆動用電池から車両側の負荷に供給される電源が安定化されている。強電回路とシャーシアース間の絶縁抵抗を監視して漏電を検出する漏電検出装置が搭載される。
【0004】
AC方式の漏電検出装置では、駆動用電池の正極端子または負極端子に、抵抗とカップリングコンデンサを介してパルス電圧を印加し、当該抵抗と当該カップリングコンデンサとの接続点の電圧を測定し、漏電の有無を検出する。
【0005】
AC方式の漏電検出装置において、カップリングコンデンサの故障を診断する方法として、電池側と車両側の間のリレー(コンタクタ)の開閉時における波高値の変動をもとに診断する方法がある。波高値の変動が規定値以下の場合、カップリングコンデンサに異常が発生していると判定する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-53367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したカップリングコンデンサの故障診断方法では、波高値の変動を測定する必要があるため、波高値の上側ピーク値を下側ピーク値の電圧を特定する必要がある。上側ピーク値または下側ピーク値の測定タイミングがずれると、正確な波高値を測定することができなくなる。また、上側ピーク値と下側ピーク値の両方を測定しないと波高値が確定しないため、波高値の測定周期に時間的な制約がある。複数回の判定を行う場合、時間がかかる。波高値の上側ピーク値の変動、又は波高値の下側ピーク値の変動をもとにカップリングコンデンサの故障を診断する場合も同様である。
【0008】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、漏電検出装置のカップリングコンデンサの故障診断を迅速かつ高精度に行う技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の漏電検出装置は、車両のシャーシアースと絶縁された状態で搭載され、前記車両内の負荷に電力を供給する蓄電部と、前記蓄電部と前記負荷を接続する配線に挿入されるスイッチと、を備える車両に搭載される漏電検出装置であって、アースと絶縁された状態で、負荷に接続されている蓄電部の電流経路に一端が接続されるカップリングコンデンサと、周期的に変化する周期電圧を生成して、前記カップリングコンデンサの他端に第1抵抗を介して印加する電圧出力部と、前記カップリングコンデンサと前記第1抵抗との間の接続点と、所定の固定電位との間に直列に接続された第2抵抗および第3抵抗と、前記第2抵抗と前記第3抵抗との間の分圧点の電圧を測定する電圧測定部と、前記電圧出力部から前記周期電圧が出力されている状態において、前記電圧測定部により測定された電圧をもとに、前記蓄電部の電流経路と前記アース間の漏電の有無を判定する漏電判定部と、前記電圧出力部から固定電圧が出力されている状態において、前記スイッチがターンオンされるときに、前記電圧測定部により測定される電圧をもとに、前記カップリングコンデンサが正常であるか否かを判定する診断部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、漏電検出装置のカップリングコンデンサの故障診断を迅速かつ高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】比較例に係る漏電検出装置を備える電源システムの構成を説明するための図である。
図2】印加パルス波形と測定電圧波形の一例を示す図である。
図3】比較例に係るカップリングコンデンサCcの故障診断時の測定波形の一例を示す図である。
図4】実施の形態に係る漏電検出装置を備える電源システムの構成を説明するための図である。
図5】実施の形態に係るカップリングコンデンサCcの故障診断時の測定波形の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(比較例)
図1は、比較例に係る漏電検出装置10を備える電源システム5の構成を説明するための図である。電源システム5は電動車両に搭載される。電源システム5は電動車両内において、補機電池(通常、12V出力の鉛電池が使用される)と別に設けられる。電源システム5は、高電圧の蓄電部20、及び漏電検出装置10を含む。蓄電部20は、直列接続された複数のセルE1-Enを含む。セルには、リチウムイオン電池セル、ニッケル水素電池セル、鉛電池セル、電気二重層キャパシタセル、リチウムイオンキャパシタセル等を用いることができる。以下、本明細書ではリチウムイオン電池セル(公称電圧:3.6-3.7V)を使用する例を想定する。
【0013】
電動車両は高電圧の負荷として、インバータ2及びモータ3を備える。蓄電部20の正極とインバータ2の一端がプラス配線Lpで接続され、蓄電部20の負極とインバータ2の他端がマイナス配線Lmで接続される。インバータ2と並列に大容量のコンデンサ4が接続される。プラス配線Lpに正側メインリレーMRpが挿入され、マイナス配線Lmに負側メインリレーMRmが挿入される。
【0014】
正側メインリレーMRpと並列に、直列接続されたプリチャージリレーMRppとプリチャージ抵抗Rpが接続される。正側メインリレーMRpがオン(クローズ)されるに先立ち、プリチャージリレーMRppがオン(クローズ)されることにより、コンデンサ4に、制限された電流でプリチャージすることができ、突入電流を抑制することができる。なお、直列接続されたプリチャージリレーとプリチャージ抵抗は、負側メインリレーMRmに対して並列に接続されてもよい。
【0015】
正側メインリレーMRp、プリチャージリレーMRpp及び負側メインリレーMRmは、蓄電部20と電動車両内の高電圧の負荷との間の導通/遮断を制御するコンタクタとして機能する。なおリレーの代わりに、高耐圧・高絶縁の半導体スイッチを使用することも可能である。
【0016】
インバータ2は、蓄電部20とモータ3の間に接続される双方向インバータである。インバータ2は力行時、蓄電部20から供給される直流電力を交流電力に変換してモータ3に供給する。回生時、モータ3から供給される交流電力を直流電力に変換して蓄電部20に供給する。モータ3には例えば、三相交流モータが使用される。モータ3は力行時、インバータ2から供給される交流電力に応じて回転する。回生時、減速による回転エネルギーを交流電力に変換してインバータ2に供給する。
【0017】
蓄電部20は、電動車両のシャーシアースと絶縁された状態で電動車両に搭載される。補機電池は、負極がシャーシアースと導通した状態で電動車両に搭載される。なお、正側メインリレーMRpよりインバータ2側のプラス配線Lpとシャーシアース間が正側YコンデンサCpを介して接続される。また、負側メインリレーMRmよりインバータ2側のマイナス配線Lmとシャーシアース間が負側YコンデンサCmを介して接続される。正側YコンデンサCp及び負側YコンデンサCmは、プラス配線Lpとシャーシアース間、及びマイナス配線Lmとシャーシアース間をそれぞれ直流的に絶縁するとともに、プラス配線Lp及びマイナス配線Lmの電圧を安定化させる作用を有する。
【0018】
蓄電部20がシャーシアースから理想的に絶縁されている場合、蓄電部20の中間電位がシャーシアースの電位近辺に維持される。例えば、蓄電部20の両端電圧が250Vの場合、蓄電部20の正極電位が+125V近辺、負極電位が-125V近辺に維持される。高電圧の蓄電部20とシャーシアース間が導通した状態で、人間が電動車両の露出した導電部に触れると感電する危険がある。そこで高電圧の蓄電部20を搭載した電動車両では、漏電検出装置10を搭載して、高電圧の車両負荷に接続されている蓄電部20の電流経路とシャーシアース間の絶縁状態を監視する必要がある。図1では、プラス配線Lpとシャーシアース間の絶縁状態を正側漏電抵抗Rlp、マイナス配線Lmとシャーシアース間の絶縁状態を負側漏電抵抗Rlmと表している。
【0019】
比較例では漏電検出装置10は、カップリングコンデンサCc、第1抵抗R1、第1オペアンプOP1、第2抵抗R2、平滑用コンデンサC1、第2オペアンプOP2及び制御部11を含む。制御部11は、発振部11a、電圧測定部11b、漏電判定部11c及び診断部11dを含む。制御部11は例えば、マイクロコンピュータ及び不揮発メモリ(例えば、EEPROM、フラッシュメモリ)により構成することができる。
【0020】
カップリングコンデンサCcは、蓄電部20の電流経路に一端が接続される。図1に示す例では蓄電部20の負極にカップリングコンデンサCcの一端が接続されている。なお、カップリングコンデンサCcの一端は、蓄電部20の正極に接続されてもよいし、蓄電部20内の複数のセルE1-Enのいずれかのノードに接続されてもよい。カップリングコンデンサCcの他端は、第1抵抗R1を介して電圧出力部の出力端に接続される。カップリングコンデンサCcの他端と第1抵抗R1との間の接続点が測定点Aとなる。なお、第1抵抗R1の代わりに他のインピーダンス素子を使用してもよい。
【0021】
図1ではカップリングコンデンサCcに、比較的安価に大容量化することができるアルミ電解コンデンサが使用されている。アルミ電解コンデンサは極性を有しており、図1ではアルミ電解コンデンサの正極が測定点Aに接続され、アルミ電解コンデンサの負極が蓄電部20の負極に接続されている。カップリングコンデンサCcは、複数のアルミ電解コンデンサが直列に接続されて構成されていてもよい。この場合、1つのコンデンサがショート故障しても、残りのコンデンサにより直流的な絶縁を維持することができる。
【0022】
上記の電圧出力部は、周期的に変化する周期電圧を生成して、生成した周期電圧をカップリングコンデンサCcの他端に第1抵抗R1を介して印加する。以下、本明細書では周期電圧として矩形波電圧を使用する例を想定する。
【0023】
電圧出力部は、発振部11a及び第1オペアンプOP1を含む。発振部11aは、マルチバイブレータや局部発振器を含み、予め設定された周波数の矩形波を発生させる。発振部11aにより生成された矩形波電圧は、第1オペアンプOP1の非反転入力端子に入力される。第1オペアンプOP1の出力端子は第1抵抗R1に接続される。第1オペアンプOP1の反転入力端子と出力端子が接続される。第1オペアンプOP1の正側電源端子は第1固定電位(電源電位Vcc)に接続され、第1オペアンプOP1の負側電源端子は第2固定電位(グラウンド電位GND)に接続される。以下、本明細書では電源電位Vccが5V、グラウンド電位GNDが0Vの例を想定する。
【0024】
第1オペアンプOP1は、増幅率が1倍でインピーダンス変換だけを行うボルテージフォロアとして機能する。なお、第1オペアンプOP1の代わりに、一方の入力端子が第1固定電位に接続されたANDゲート、又は一方の入力端子が第2固定電位に接続されたORゲートを使用してもよい。制御部11と測定点Aのインピーダンスを分離するバッファとして機能する素子であれば、第1オペアンプOP1を代替可能である。
【0025】
測定点Aは、第2抵抗R2を介して第2オペアンプOP2の非反転入力端子に接続される。第2オペアンプOP2の反転入力端子と出力端子が接続される。第2オペアンプOP2も、増幅率が1倍でインピーダンス変換だけを行うボルテージフォロアとして機能する。第2オペアンプOP2の非反転入力端子と第2固定電位(グラウンド電位GND)との間に平滑用コンデンサC1が接続される。平滑用コンデンサC1は、第2オペアンプOP2の非反転入力端子に入力される電圧のノイズを除去する。
【0026】
第2オペアンプOP2は、測定点Aの電圧を電圧測定部11bに出力する。電圧測定部11bは測定点Aの電圧を測定する。電圧測定部11bはA/Dコンバータを含み、当該A/Dコンバータは、発振部11aにより生成される矩形波電圧の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのタイミングに同期したタイミングで、測定点Aのアナログ電圧をサンプリングし、サンプリングしたアナログ電圧をデジタル値に変換する。矩形波電圧の立ち上がりエッジのタイミングでサンプリングされた電圧は、測定された電圧波形の下側ピーク値に相当し、矩形波電圧の立ち下がりエッジのタイミングでサンプリングされた電圧は、測定された電圧波形の上側ピーク値に相当する。なお、矩形波電圧の鈍りを考慮して、下側ピーク値をサンプリングすべきタイミングと、上側ピーク値をサンプリングすべきタイミングが調整されていてもよい。電圧測定部11bは、測定点Aの電圧を漏電判定部11cと診断部11dに出力する。
【0027】
漏電判定部11cは、電圧測定部11bにより測定された測定点Aの電圧をもとに、蓄電部20の電流経路とシャーシアース間の漏電の有無を判定する。漏電判定部11cは、上側ピーク値と下側ピーク値との差分で示されるピークピーク値が、設定値より小さい場合、蓄電部20の電流経路とシャーシアース間に漏電が発生していると判定する。当該設定値は、設計者による実験やシミュレーションにより予め導出された漏電発生時の測定電圧波形のピークピーク値をもとに決定される。蓄電部20の電流経路とシャーシアース間に漏電が発生している場合、第1オペアンプOP1から、検出抵抗として作用している第1抵抗R1を介してカップリングコンデンサCcに交流電流が流れる。第1抵抗R1に電流が流れると、電圧降下により測定点Aの電圧振幅が縮小する。
【0028】
図2は、印加パルス波形と測定電圧波形の一例を示す図である。電圧出力部から測定点Aに印加されるパルス波形は、ハイサイド電位が5Vでローサイド電位が0Vに設定されている。漏電判定部11cは、測定点Aにパルス電圧が印加されている期間に測定された電圧波形の上側ピーク値Vp1と下側ピーク値Vp2を特定し、上側ピーク値Vp1と下側ピーク値Vp2との差分で規定されるピークピーク値をもとに漏電の有無を判定する。
【0029】
図1に戻る。診断部11dは、電圧測定部11bにより測定された測定点Aの電圧をもとに、カップリングコンデンサCcが正常であるか否か故障診断する。具体的には、電圧出力部から測定点Aにパルス電圧が印加されている状態において、診断部11dは、正側メインリレーMRpのオン(クローズ)前後、正側メインリレーMRpのオフ(オープン)前後、負側メインリレーMRmのオン前後、又は負側メインリレーMRmのオフ前後における測定電圧の変化量をもとに、カップリングコンデンサCcを診断する。
【0030】
図3は、比較例に係るカップリングコンデンサCcの故障診断時の測定波形の一例を示す図である。図3は、正側メインリレーMRpのオン前後、及び正側メインリレーMRpのオフ前後における測定電圧の変化量をもとに、カップリングコンデンサCcを診断する例を示している。
【0031】
診断部11dは、正側メインリレーMRpのオン直後の測定電圧のピークピーク値Vppcの、オン直前の測定電圧のピークピーク値Vppr(規定値)からの低下量が規定値以下のときカップリングコンデンサCcを正常と判定し、当該規定値以下でないとき異常と判定する。カップリングコンデンサCcが正常に車両側に接続されていれば、正側メインリレーMRpのオンに伴い、車両側の漏電状態の変化が測定波形の低下として現れる。カップリングコンデンサCcが異常な場合、この測定波形の低下が現れない。
【0032】
また診断部11dは、正側メインリレーMRpのオフ時にカップリングコンデンサCcを診断してもよい。診断部11dは、正側メインリレーMRpのオフ直後の測定電圧のピークピーク値Vppoの、オフ直前の測定電圧のピークピーク値Vppr(基準値)からの上昇量が規定値以上のときカップリングコンデンサCcを正常と判定し、当該規定値以上でないとき異常と判定する。カップリングコンデンサCcが正常に車両側に接続されていれば、正側メインリレーMRpのオフに伴い、車両側の漏電状態の変化が測定波形の上昇として現れる。カップリングコンデンサCcが異常な場合、この測定波形の上昇が現れない。
【0033】
なお診断部11dは、正側メインリレーMRpのオン時とオフ時の両方で、それぞれの規定値以上の変動を検出したとき、カップリングコンデンサCcを正常と判定してもよい。なお図3では、正側メインリレーMRpのオン時またはオフ時のピークピーク値の測定電圧の変動をもとにカップリングコンデンサCcを診断したが、負側メインリレーMRmのオン時またはオフ時の測定電圧のピークピーク値の変動をもとにカップリングコンデンサCcを診断してもよい。
【0034】
(実施の形態)
図4は、実施の形態に係る漏電検出装置10を備える電源システム5の構成を説明するための図である。以下、図1に示した比較例に係る電源システム5の構成との相違点を説明する。実施の形態では第3抵抗R3及び第3オペアンプOP3が追加される。制御部11は、定電圧出力部11eをさらに含む。定電圧出力部11eは、第1基準電圧(本実施の形態では5V)と第2基準電圧(本実施の形態では0V)の少なくとも一方の固定電圧を出力することができる。
【0035】
本実施の形態では、発振部11a及び第1オペアンプOP1が第1電圧出力部を構成し、定電圧出力部11e及び第3オペアンプOP3が第2電圧出力部を構成する。本実施の形態では、第1電圧出力部からも、第1基準電圧と第2基準電圧の少なくとも一方の固定電圧を出力することができるように構成される。
【0036】
カップリングコンデンサCcと第1抵抗R1との間の接続点Aと、第2電圧出力部との間に直列に第2抵抗R2及び第3抵抗R3が接続される。より具体的には、定電圧出力部11eから出力される定電圧は、第3オペアンプOP3の非反転入力端子に入力される。第3オペアンプOP3の出力端子は第3抵抗R3に接続される。第3オペアンプOP3の反転入力端子と出力端子が接続される。第3オペアンプOP3も、増幅率が1倍でインピーダンス変換だけを行うボルテージフォロアとして機能する。
【0037】
本実施の形態では、第2抵抗R2と第3抵抗R3の分圧点電圧が第2オペアンプOP2の非反転入力端子に入力される。即ち、電圧測定部11bは、第2抵抗R2と第3抵抗R3の分圧点電圧を測定することにより、測定点Aの電圧を圧縮された電圧で測定する。漏電判定部11cは、電圧測定部11bにより測定された電圧の振幅値をもとに、漏電抵抗変換テーブルを参照して漏電抵抗値を算出し、蓄電部20の電流経路とシャーシアース間の漏電の有無を判定する。本実施の形態では、測定点Aの電圧を分圧して測定することにより、測定点Aの電圧が測定レンジ(本実施の形態では0~5V)から外れる期間を減少させることができる。即ち、漏電判定ができない期間を減少させることができる。
【0038】
診断部11dは、第1電圧出力部から固定電圧が出力されている状態において、正側メインリレーMRp、負側メインリレーMR及びプリチャージリレーMRppのオンシーケンス中に、電圧測定部11bにより測定される電圧をもとに、カップリングコンデンサCcが正常であるか否か診断する。具体的には診断部11dは、当該オンシーケンス中に測定される電圧の変動幅が規定値を超えるときカップリングコンデンサCcを正常と判定し、当該規定値以下のときカップリングコンデンサCcを異常と判定する。
【0039】
当該規定値は、設計者による実験やシミュレーションにより得られるデータに基づき設定される。
【0040】
診断部11dは車両の起動(キーオン)後、最初に正側メインリレーMRp、負側メインリレーMR及びプリチャージリレーMRppがターンオンされるときに、カップリングコンデンサCcの診断を行ってもよい。その場合、第1電圧出力部は車両の起動後、第1電圧出力部から固定電圧を出力する。車両側の図示しないECU(Electronic Control Unit)は、車両の起動から所定時間経過後に正側メインリレーMRp、負側メインリレーMRm及びプリチャージリレーMRppのオンシーケンスを開始する。診断部11dは当該オンシーケンス中に、カップリングコンデンサCcの診断を行う。当該オンシーケンスの終了後、第1電圧出力部は出力電圧を固定電圧からパルス電圧に切り替え、漏電判定部11cは漏電の監視を開始する。
【0041】
図5は、実施の形態に係るカップリングコンデンサCcの故障診断時の測定波形の一例を示す図である。第1電圧出力部は車両の起動後、固定電圧を出力する。例えば、第1抵抗R1の抵抗値が200kΩ、第2抵抗R2の抵抗値が1000kΩ、及び第3抵抗R3の抵抗値が1000kΩであり、第1電圧出力部から5V、第2電圧出力部から0Vを出力する場合、電圧測定部11bにより測定される固定電圧は、下記(式1)に示すように約2.27Vになる。同様の回路定数で、第1電圧出力部から0V、第2電圧出力部から5Vを出力する場合、電圧測定部11bにより測定される固定電圧は、下記(式2)に示すように約2.73Vになる。
【0042】
5×(1000/(200+1000+1000))≒2.27 ・・・(式1)
5×((200+1000)/(200+1000+1000))≒2.73 ・・・
(式2)
【0043】
図5に示す例では車両側のECUは、車両の起動から数百ms経過した後、正側メインリレーMRp、負側メインリレーMR及びプリチャージリレーMRppのオンシーケンスを開始する。この経過時間t1は、平滑用コンデンサC1による測定波形の鈍りの影響をなくすための時間であり、測定波形が安定するまでの時間である。
【0044】
図5に示す例では、オンシーケンス期間t2が数百msに設定されており、オンシーケンス期間t2中に車両側のECUは、負側メインリレーMRm、プリチャージリレーMRpp、正側メインリレーMRpの順番でターンオンする。なおプリチャージリレーが負極側に接続されている場合、ECUは、正側メインリレーMRp、プリチャージリレー、負側メインリレーMRmの順番でターンオンする。
【0045】
診断部11dは、オンシーケンス期間t2中における測定電圧の変動幅ΔVが規定値を超えるときカップリングコンデンサCcを正常と判定し、当該規定値以下のときカップリングコンデンサCcを異常と判定する。変動幅ΔVは、オンシーケンス期間t2中における測定電圧の最大値と最小値の差分で規定される。
【0046】
以上説明したように本実施の形態によれば、固定電圧が印加された状態で、オンシーケンス期間t2中における測定電圧の変動幅ΔVをもとにカップリングコンデンサCcの故障診断を行う。これにより、カップリングコンデンサCcの故障診断を迅速かつ高精度に行うことができる。
【0047】
本実施の形態では、第2抵抗R2と第3抵抗R3の分圧点の電圧を測定しているため、固定電圧が印加された場合、測定レンジの中間近傍で固定電圧を測定することができる。したがって、測定電圧が上昇しても低下しても、その変動を高精度に測定することができる。これに対し、図1に示した比較例に係る回路構成では、0Vの固定電圧が印加された場合、測定電圧の低下を検出することが困難であり、5Vの固定電圧が印加された場合、測定電圧の上昇を検出することが困難である。
【0048】
なお、パルス電圧を印加した状態で測定されるピークピーク値の上側ピーク値の変動、または下側ピーク値の変動をもとに、カップリングコンデンサCcの故障診断を行うことも考えられる。しかしながら通常、ピークピーク値は数百ms以上の周期で変動するため、上側ピーク値または下側ピーク値は、数百ms以上の周期でしか検出できず、複数点のピーク値をサンプリングするには時間がかかる。
【0049】
この点、固定電圧であれば、数十ms以下の周期で値を測定できるため、規定値を超える電圧変動の有無を迅速に確定させることができる。初期の安定化時間t1を含めても、1s以下でカップリングコンデンサCcの診断を完了させることができる。
【0050】
以上、本開示を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0051】
図1に示した回路構成において、電圧出力部が、電圧測定部11bの測定レンジの中心付近の値に設定された固定電圧を出力し、診断部11dが、コンタクタのオンシーケンス期間中に測定される電圧をもとに、カップリングコンデンサCcが正常であるか否かを判定してもよい。電圧測定部11bの測定レンジの中心付近の値は、測定レンジの中心電圧の±1Vの範囲内に設定された値であってもよい。例えば、測定レンジが0~5Vである場合、固定電圧は1.5~3.5Vの範囲内の値に設定される。なお、固定電圧の値は、測定電圧が上下の変動により測定レンジの上限または下限に張り付くことが抑制された値であれば、測定レンジの中心電圧の±1Vの範囲外に設定されてもよい。以上の方法でも、上記実施の形態と同様の効果が得られる。
【0052】
上記実施の形態では、車両の起動時にカップリングコンデンサCcの故障診断を行う例を説明した。この点、車両の駐車後にカップリングコンデンサCcの故障診断を行ってもよい。その場合、時間的に余裕があるため、コンタクタのオン/オフを複数回、繰り返し、複数回の判定結果をもとに最終的な診断を行ってもよい。
【0053】
上記実施の形態では、正側メインリレーMRpと並列に、プリチャージリレーMRppとプリチャージ抵抗Rpが接続されているが、負荷が小さい場合、プリチャージリレーMRppとプリチャージ抵抗Rpが省略された構成も可能である。
【0054】
上記実施の形態では、第1電圧出力部から第1抵抗R1を介してカップリングコンデンサCcに矩形波電圧を印加する例を説明した。この点、正弦波電圧をカップリングコンデンサCcに印加してもよい。この場合も漏電判定部11cは、測定点Aの電圧波形からピークピーク値を特定し、上記実施の形態と同様に漏電の有無を判定することができる。
【0055】
上記実施の形態では、漏電検出装置10を電動車両に搭載して使用する例を説明した。この点、上記実施の形態に係る漏電検出装置10は車載用途以外の用途にも適用できる。蓄電部20、及び蓄電部20から電力供給を受ける負荷がアースから絶縁されている構成であれば、負荷はどのような負荷であってもよい。例えば、鉄道車両内で使用される負荷であってもよい。
【0056】
なお、実施の形態は、以下の項目によって特定されてもよい。
【0057】
[項目1]
車両のシャーシアースと絶縁された状態で搭載され、前記車両内の負荷(2)に電力を供給する蓄電部(20)と、前記蓄電部(20)と前記負荷(2)を接続する配線に挿入されるスイッチ(MRp、MRm、MRpp)と、を備える車両に搭載される漏電検出装置(10)であって、
アースと絶縁された状態で、負荷(2)に接続されている蓄電部(20)の電流経路に一端が接続されるカップリングコンデンサ(Cc)と、
周期的に変化する周期電圧を生成して、前記カップリングコンデンサ(Cc)の他端に第1抵抗(R1)を介して印加する電圧出力部(11a、OP1)と、
前記カップリングコンデンサ(Cc)と前記第1抵抗(R1)との間の接続点と、所定の固定電位との間に直列に接続された第2抵抗(R2)および第3抵抗(R3)と、
前記第2抵抗(R2)と前記第3抵抗(R3)との間の分圧点の電圧を測定する電圧測定部(11b)と、
前記電圧出力部(11a、OP1)から前記周期電圧が出力されている状態において、前記電圧測定部(11b)により測定された電圧をもとに、前記蓄電部(20)の電流経路と前記アース間の漏電の有無を判定する漏電判定部(11c)と、
前記電圧出力部(11a、OP1)から固定電圧が出力されている状態において、前記スイッチ(MRp、MRm、MRpp)がターンオンされるときに、前記電圧測定部(11b)により測定される電圧をもとに、前記カップリングコンデンサ(Cc)が正常であるか否かを判定する診断部(11d)と、
を備えることを特徴とする漏電検出装置(10)。
これによれば、カップリングコンデンサ(Cc)の故障診断を迅速かつ高精度に行うことができる。
[項目2]
車両のシャーシアースと絶縁された状態で搭載され、前記車両内の負荷(2)に電力を供給する蓄電部(20)と、前記蓄電部(20)と前記負荷(2)を接続する配線に挿入されるスイッチ(MRp、MRm、MRpp)と、を備える車両に搭載される漏電検出装置(10)であって、
周期的に変化する周期電圧を生成して、前記カップリングコンデンサ(Cc)の他端に抵抗(R1)を介して印加する電圧出力部(11a、OP1)と、
前記カップリングコンデンサ(Cc)と前記抵抗(R1)との間の接続点の電圧を測定する電圧測定部(11b)と、
前記電圧出力部(11a、OP1)から前記周期電圧が出力されている状態において、前記電圧測定部(11b)により測定された電圧をもとに、前記蓄電部(20)の電流経路と前記アース間の漏電の有無を判定する漏電判定部(11c)と、
前記電圧出力部(11a、OP1)から前記電圧測定部(11b)の測定レンジの中心付近の値に設定された固定電圧が出力されている状態において、前記スイッチ(MRp、MRm、MRpp)がターンオンされるときに、前記電圧測定部(11b)により測定される電圧をもとに、前記カップリングコンデンサ(Cc)が正常であるか否かを判定する診断部(11d)と、
を備えることを特徴とする漏電検出装置。
これによれば、カップリングコンデンサ(Cc)の故障診断を迅速かつ高精度に行うことができる。
[項目3]
前記診断部(11d)は、前記スイッチ(MRp、MRm、MRpp)がターンオンされるときに、前記電圧測定部(11b)により測定された電圧の変動幅が規定値以下の場合、前記カップリングコンデンサ(Cc)を異常と判定することを特徴とする項目1または2に記載の漏電検出装置(10)。
これによれば、カップリングコンデンサ(Cc)の故障診断を迅速かつ高精度に行うことができる。
[項目4]
前記スイッチ(MRp、MRm、MRpp)は、
前記蓄電部(20)の正極と前記負荷(2)の一端が接続されるプラス配線に挿入される正極リレー(MRp)と、
前記蓄電部(20)の負極と前記負荷(2)の他端が接続されるマイナス配線に挿入される負極リレー(MRm)と、
前記正極リレー(MRp)又は前記負極リレー(MRm)に並列に接続されたプリチャージリレー(MRpp)と、を含み、
前記診断部(11d)は、前記3つのリレー(MRp、MRm、MRpp)の1つがターンオンされてから、3つがオン状態になるまでの期間における前記測定された電圧の変動幅が、前記規定値以下の場合、前記カップリングコンデンサ(Cc)を異常と判定することを特徴とする項目3に記載の漏電検出装置(10)。
これによれば、プリチャージリレーを含むコンタクタで車両側の負荷(2)と接続される構成において、カップリングコンデンサ(Cc)の故障診断を迅速かつ高精度に行うことができる。
[項目5]
車両のシャーシアースと絶縁された状態で搭載され、前記車両内の負荷(2)に電力を供給する蓄電部(20)と、
項目1から4のいずれか1項に記載の漏電検出装置(10)と、
を備えることを特徴とする車両用電源システム(5)。
これによれば、カップリングコンデンサ(Cc)の故障診断を迅速かつ高精度に行うことができる漏電検出装置(10)を備える車両用電源システム(5)を実現することができる。
[項目6]
前記診断部(11d)は、前記車両の起動後、最初に前記スイッチ(MRp、MRm、MRpp)がターンオンされるとき、前記カップリングコンデンサ(Cc)が正常であるか否かを判定することを特徴とする項目5に記載の車両用電源システム(5)。
これによれば、特別な診断期間を設定せずとも、カップリングコンデンサ(Cc)の故障診断を行うことができる。
【符号の説明】
【0058】
2 インバータ、 3 モータ、 4 コンデンサ、 Lp プラス配線、 Lm マイナス配線、 Cp 正側Yコンデンサ、 Cm 負側Yコンデンサ、 Rlp 正側漏電抵抗、 Rlm 負側漏電抵抗、 MRp 正側メインリレー、 MRm 負側メインリレー、 MRpp プリチャージリレー、 Rp プリチャージ抵抗、 5 電源システム、 20 蓄電部、 E1-En セル、 10 漏電検出装置、 11 制御部、
11a 発振部、 11b 電圧測定部、 11c 漏電判定部、 11d 診断部、
11e 定電圧出力部、 Cc カップリングコンデンサ、 R1 第1抵抗、 R2
第2抵抗、 R3 第3抵抗、 C1 平滑用コンデンサ、 OP1 第1オペアンプ、 OP2 第2オペアンプ、 OP3 第3オペアンプ。
図1
図2
図3
図4
図5