(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】燃料電池ユニットおよびシステムの熱管理
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240823BHJP
F28D 1/06 20060101ALI20240823BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20240823BHJP
H01M 8/04029 20160101ALI20240823BHJP
H01M 8/249 20160101ALI20240823BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20240823BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20240823BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
F28D1/06 B
H01M8/04 J
H01M8/04014
H01M8/04029
H01M8/249
H01M8/10 101
H01M8/12 101
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022023209
(22)【出願日】2022-02-17
(62)【分割の表示】P 2017514600の分割
【原出願日】2015-09-21
【審査請求日】2022-03-17
(32)【優先日】2014-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516013321
【氏名又は名称】ワット フュエル セル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フィナティー,ケイン
(72)【発明者】
【氏名】デワルト,ポール
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-178923(JP,A)
【文献】特開2005-100821(JP,A)
【文献】特開2007-012313(JP,A)
【文献】特開2010-040270(JP,A)
【文献】特開2008-198423(JP,A)
【文献】特開2008-251495(JP,A)
【文献】特開2005-183309(JP,A)
【文献】国際公開第2012/004963(WO,A1)
【文献】特開2007-317544(JP,A)
【文献】特開2013-161748(JP,A)
【文献】特開2005-158501(JP,A)
【文献】特開2009-099437(JP,A)
【文献】特開2013-168264(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0006063(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04- 8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1燃料電池ユニットと第2燃料電池ユニットとを含む燃料電池システムであって、各燃料電池ユニットが独立して、
改質器と、
前記改質器と動作可能に流体連通している燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックと動作可能に流体連通しているアフターバーナと、
前記アフターバーナと熱連通および動作可能に流体連通している排気導管と、
を含み、
各燃料電池ユニットの前記排気導管は、加熱されたアフターバーナ燃焼生成物をそれぞれのアフターバーナから前記第1燃料電池ユニットと前記第2燃料電池ユニットとの間のチャネルに排気するように構成され
、
各燃料電池ユニットが独立して、
各燃料電池ユニットからの排気流と動作可能に流体連通する正のガス圧源を前記第1燃料電池ユニットと前記第2燃料電池ユニットとの間に更に備え、それにより、前記排気流は移動され得る、燃料電池システム。
【請求項2】
前記排気導管および前記チャネルと流体連通し、前記排気導管からの排気流の前記チャネル内への送達を制御するように独立して構成されている、2つ以上の正のガス圧源をさらに含む、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
蒸発器、共通の燃料源導管、共通のカソード空気導管、及び水源の少なくとも一つは、前記チャネルに位置している、請求項
1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記チャネルは、前記第1燃料電池ユニットと前記第2燃料電池ユニットとの間に、前記第1燃料電池ユニットと前記第2燃料電池ユニットとにより形成されている、請求項
1乃至3のうち何れか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
独立して前記第1燃料電池ユニットおよび前記第2燃料電池ユニットの各々の前記改質器、前記燃料電池スタックおよび前記アフターバーナの1つまたは複数と熱連通している液体熱交換板または液体熱交換ジャケットを含む、請求項
1乃至4のうち何れか1項に記載燃料電池システム。
【請求項6】
燃料電池システムを熱的に管理する方法であって、
第1燃料電池ユニットから第2燃料電池ユニットに向かって、加熱されたアフターバーナ燃焼流体を排出するステップと、
前記第2燃料電池ユニットから前記第1燃料電池ユニットに向かって、加熱されたアフターバーナ燃焼流体を排出するステップと、
前記第1燃料電池ユニット及び前記第2燃料電池ユニットから排出された、加熱されたアフターバーナ燃焼流体を前記第1燃料電池ユニットと前記第2燃料電池ユニットとの間のチャネルに向けるステップ
であって、前記向けることは、前記第1燃料電池ユニットと前記第2燃料電池ユニットとの間に位置する正のガス圧源を使用することを含み、その正のガス圧源は、各燃料電池ユニットからの排気流と動作可能に流体連通し、それにより、前記排気流は移動され得る、ステップと、
を含む方法。
【請求項7】
前記第1燃料電池ユニット及び前記第2燃料電池ユニットから排出された加熱された流体を、前記チャネルに位置している蒸発器、共通の燃料源導管、共通のカソード空気導管及び水源の少なくとも一つに向けるステップを更に含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記チャネルは、前記第1燃料電池ユニットと前記第2燃料電池ユニットとの間に、前記第1燃料電池ユニットと前記第2燃料電池ユニットとにより形成されている、請求項
6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記加熱された流体を排出するステップは、前記第1燃料電池ユニットおよび前記第2燃料電池ユニットの各々のアフターバーナからの加熱された流体を、独立して、排出することを含む、請求項
6乃至
8のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1燃料電池ユニットおよび前記第2燃料電池ユニットの各々は、独立して、遮熱ゾーン内にある、請求項
6乃至
9のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記加熱された流体を排出するステップは、前記第1燃料電池ユニットおよび前記第2燃料電池ユニットの各々のアフターバーナからの加熱された流体を、独立して、それぞれ前記第1燃料電池ユニットおよび前記第2燃料電池ユニットの各々の前記遮熱ゾーンの外側に排出することを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
流体源は水源であり、および前記方法は、水蒸気改質で使用するために水を加熱するステップを含む、請求項
6乃至
11のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
第1燃料電池ユニットの面または表面から優先的に熱を伝達するステップと、
第2燃料電池ユニットの面または表面から優先的に熱を伝達するステップと、
を含み、
低レベルの断熱材が、前記第1燃料電池ユニットの前記面または前記表面、または前記第2燃料電池ユニットの前記面または前記表面に接触し、隣接し、および/または熱連通しており、それにより、前記低レベルの断熱材を含む、前記第1燃料電池ユニットの前記面または前記表面、および前記第2燃料電池ユニットの前記面または前記表面を通したおよび/またはそれからの熱伝達を増大させ、
低レベルの断熱材は、前記第1燃料電池ユニットおよび前記第2燃料電池ユニットの他の面、又は他の表面に接触し、隣接し、及び/又は熱連通している断熱材と比較して低レベルである、請求項
6乃至
12のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記低レベルの断熱材に関連付けられている、前記第1燃料電池ユニットおよび前記第2燃料電池ユニットの前記面または前記表面の少なくとも1つに熱連通している熱交換液を循環させ、それにより、前記面または前記表面から前記熱交換液に優先的に熱を伝達するステップを含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1燃料電池ユニットから第2燃料電池ユニットに向かって、加熱された熱交換液を循環させて、前記第1燃料電池ユニットからの前記加熱された熱交換液の恩恵なしに前記第2燃料電池ユニットにおいて化学反応または起動を開始する時間と比較して、前記第2燃料電池ユニットにおいて化学反応または起動を開始する時間を短縮するステップをさらに含む、請求項
14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、概して、燃料電池ユニットおよびシステムに関する。より詳細には、本教示は、燃料電池ユニットおよび燃料電池システムの熱管理に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムまたは(1つもしくは複数の燃料電池ユニットを含む)熱電供給(「CHP」)システムの熱管理は、それらの設計において電気および/または熱の効率的な運用および発生のために重要な考慮事項である。燃料電池システムを熱的に管理するには、通常、空気流を使用して、燃料電池スタック(セルスタック)の通気孔を通す等、燃料電池ユニットおよびシステムを通して、加熱された空気および他の流体を移動させる。しかしながら、燃料電池システムを熱的に管理するために空気流を使用することにより、システムを通して望ましくない圧力低下と関連する流体流分布異常とがもたらされ、システムの動作が影響を受けるおそれがある。
【0003】
複数の燃料電池スタックが存在し、アレイに位置合せされる燃料電池システムの場合、冷気が頻繁に一端から他端までアレイにわたって直線状に送達されて、燃料電池スタックの温度を制御するのに役立つ。しかしながら、こうした構成では、アレイにおける第1燃料電池ユニットは十分に冷却するかまたは温度調節することができるが、「冷」気を最後に受ける燃料電池ユニットは十分に温度調節されないことが多く、それは、送達される空気がシステムを通って移動する際に加熱され、集電および他の温度の影響を受けやすい構造または電子回路が位置しているおそれがある後方の燃料電池ユニットの温度を調節するのに不十分となることが多い。さらに、こうした動作時の構成により、システム内の温度が可変になるおそれがあり、たとえば、空気流が熱制御の不足を補償しようとして増大するため、「ホットスポット」および/または「コールドスポット」が生成されるおそれがある。
【0004】
さらに、燃料電池および/またはヒータからの排気流は、排気ガスの熱を、熱交換器を介して循環する水に伝達してガス-液体熱伝達を行う。こうした場合、排気流における水を沸騰させないように、通常、排気流を、その温度を低下させるように希釈する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、燃料電池またはCHPシステムのより効率的で一貫した動作のため、当技術分野では、燃料電池ユニットの周囲および/または燃料電池もしくはCHPシステム内の熱環境をより良く、より効率的に管理することができる、燃料電池ユニットならびに燃料電池およびCHPシステムの新たな設計および構成と、こうしたユニットおよびシステムを動作させる方法とが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本教示は、上で概説したものを含む従来技術のさまざまな欠点および短所に対処することができる、燃料電池ユニット、燃料電池システム、およびCHPシステムとしてのまたはCHPシステムに組み込まれた燃料電池ユニットとともに、こうしたユニットおよびシステムを熱的に管理する方法を提供する。より具体的には、本教示による燃料電池ユニット、燃料電池システム、および燃料電池ユニットを含むCHPシステムの設計および構成と、方法の実施とは、燃料電池システムまたはCHPシステムにおけるものを含む燃料電池ユニットのより効率的な熱管理を可能にすることができる。
【0007】
たとえば、本教示の1つの特徴は、燃料電池システムの個々の燃料電池ユニットが遮熱ゾーン内にあり得ることである。各遮熱ゾーンは、温度調節流体入口と1つまたは複数の排気流体出口とを含むことができ、それにより、燃料電池システムの制御を強化するために各燃料電池ユニットに対する熱環境の独立したモニタリングおよび管理を可能にする。ファンまたはブロワ等、正のガス圧源は、温度調節流体入口と動作可能に流体連通して、遮熱ゾーン内の移動および熱伝達を容易にすることができる。こうした構成では、燃料電池ユニットは、より迅速、および効率的に冷却することができる。さらに、燃料電池またはCHPシステムは、より小さい設置面積またはパッケージを有することができ、それは、燃料電池ユニットおよび/またはヒータユニットが熱を外側に制御不能に放射していないためである。
【0008】
別の特徴は、本教示の燃料電池システムが、燃料電池ユニットからの排気からの熱を利用するように設計され得ることである。加熱された排気流体が遮熱ゾーン内に放出されると、遮熱ゾーン内の燃料電池ユニットの構成要素を加熱するためにその熱を使用することができる。たとえば、燃料電池ユニットは、遮熱ゾーン内に位置する蒸発器を有することができ、遮熱ゾーン内の排気流体の熱は、蒸発器に導入される前の液体改質可能流体および流体流を予熱するのに役立つとともに、蒸発器の動作温度を維持するのに役立つことができる。加熱された排気流体が遮熱ゾーンの外側に放出される場合、2つ以上の燃料電池ユニットからの排気流を結合し、たとえば互いに向けさせ、燃料電池ユニットの遮熱ゾーン間に存在する構成要素等、燃料電池またはCHPシステムの他の構成要素を加熱するために使用することができる。換言すれば、加熱された排気流体は、結合され、2つ以上の燃料電池ユニット間に加熱ゾーンを生成することができる。さらに、加熱された排気流体を、燃料電池ユニットまたはシステムに関連付けられた液体熱交換板または液体熱交換ジャケットに接触させて、熱環境を取り込みつつ制御することができる。
【0009】
さらに別の特徴は、本教示の燃料電池ユニットが、燃料電池ユニットの少なくとも1つの面、または少なくとも1つの面のセグメント、または1つの表面を通しておよび/またはそれから優先的に熱を伝達するように設計することができ、そこでは、低レベルの断熱材が、燃料電池ユニットの少なくとも1つの面または少なくとも1つの面のセグメントまたは1つの表面に接触し、隣接し、および/または熱連通することができる。保持構造が、低レベルの断熱材を含む断熱材を必要に応じて燃料電池ユニットの周囲に固定することができる。保持構造は、通常、熱伝導性材料であり、金属シート、すなわち「板金」等のシートの形態であり得る。保持構造は、炭素繊維であるかまたはそれを含むことができる。断熱材および/または保持構造を含む燃料電池ユニットを、熱調節ゾーンまたは遮熱ゾーンに配置することができる。同様に、燃料電池ユニットまたは熱調節ゾーンの2つ以上の面または2つ以上の面のセグメントまたは1つの表面を、低レベルの断熱材に関連付けることができる。
【0010】
同様に、燃料電池および/または熱調節ゾーンのアレイは、低レベルの断熱材に関連付けられたそれらの面または面のセグメントまたは表面の1つまたは複数を有し、それにより、燃料電池ユニットのアレイ間に熱を優先的に伝達することができる。たとえば、2つ以上の燃料電池ユニットおよび/または熱調節ゾーンからの熱は、互いに向かって、または燃料電池ユニットおよび/もしくは熱調節ゾーン間に優先的に伝達して、ユニットおよび/またはゾーン間に加熱ゾーンを生成することができる。断熱材は、固体断熱材および/または流体断熱材を含むことができる。熱調節ゾーンは、温度調節流体入口および1つまたは複数の排気出口を含むことができる。正のガス圧源は、温度調節流体入口、ならびに改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの1つまたは複数と動作可能に流体連通することができる。
【0011】
本教示のさらに別の特徴は、燃料電池スタックおよび/またはアフターバーナ等、燃料電池ユニットの1つまたは複数の構成要素が、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットと熱連通して、燃料電池ユニットのこれらの構成要素からの熱伝達を促進し、その熱管理および燃料電池システムの熱管理に役立ち得ることである。特定の実施形態では、液体熱交換ジャケットまたは液体熱交換板は、燃料電池ユニットおよびその関連する断熱材用の保持構造であり得る。たとえば、レベルが低下した断熱材等の断熱材は、液体熱交換ジャケットまたは液体熱交換板に接触することができる。
【0012】
本教示の追加の特徴および利益は、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットから出る加熱された熱交換液が、種々の目的で送られるかまたは送達されることができ、そうした加熱された熱交換液が、効率的に使用されるためにシステムのエネルギーを保存し得ることである。一例として、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットを用いて燃料電池ユニットを冷却することにより、低減した量、すなわちより少ないカソード(空気極)空気がシステムを通して流れるかまたは送達されるのを可能にすることができ、それは、排気流がより低温になり希釈を不要とすることができるためである。
【0013】
さらに、本教示の特徴の組合せは、低レベルの断熱材に関連付けられた燃料電池ユニットの1つまたは複数の面または表面に関連付けられている、たとえば熱連通している液体熱交換板または液体熱交換ジャケットを含むことができ、それにより、(低レベルの断熱材に関連付けられた1つまたは複数の面または表面からまたはそれを通して)燃料電池ユニットから熱交換液に熱を優先的に伝達することができる。こうした構成により、本明細書に記載する他の構成とともに、電子回路および周辺機器等の熱に弱い構成要素および構造を、燃料電池またはCHPシステムのより温度が低い(より低温の)ゾーンに配置することができる。
【0014】
本教示の他の特徴は、複数の燃料電池ユニット、たとえばそれらの改質器および/または蒸発器が接続されるかまたは結合されるのを可能にする共通の(改質可能)燃料源導管、および/または個々の燃料電池ユニットの複数の熱交換板またはジャケットが接続されるかまたは結合されるのを可能にする共通の液体熱交換導管を含む。こうした設計では、交換可能なヒータユニットを含む、多燃料電池ユニットシステムまたはCHPシステムにおいて、燃料電池ユニットを容易に交換することができる。さらに、弁アセンブリ、センサアセンブリ、および/またはコントローラを含む制御システムは、互いに通信して、起動モードおよび運転停止モードとともに、燃料電池ユニットまたはヒータユニットの共通の燃料源導管および/または共通の液体熱交換導管への結合および分離を含むことができる特定の用途に対して望まれるように、燃料電池システムおよび/またはCHPシステムの各燃料電池ユニットおよび/またはヒータユニットに対して個々に流体の流路を論理的に制御することができる。
【0015】
したがって、本教示の一態様は、燃料電池システムであって、システムのより効率的な熱管理を可能にする構成および/または特徴を含む燃料電池システムである。さまざまな実施形態において、燃料電池システムは、1つまたは複数の燃料電池ユニットを含み、燃料電池ユニットは、改質器と、改質器と動作可能に流体連通している燃料電池スタックと、燃料電池スタックと動作可能に流体連通しているアフターバーナとを含む。燃料電池ユニットは、遮熱ゾーンまたは熱調節ゾーン内にあり得る。遮熱ゾーンおよび熱調節ゾーンは、温度調節流体入口および1つまたは複数の排気流体出口を含むことができる。ファンまたはブロワ等の正のガス圧源が、温度調節流体入口、ならびに改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの1つまたは複数と動作可能に流体連通することができる。
【0016】
さまざまな実施形態では、燃料電池システムは、改質器と、改質器と動作可能に流体連通している燃料電池スタックと、燃料電池スタックと動作可能に流体連通しているアフターバーナと、アフターバーナと熱連通し、また改質器と動作可能に流体連通している蒸発器とを含む、1つまたは複数の燃料電池ユニットを含む。燃料電池ユニットは、遮熱ゾーンまたは熱調節ゾーン内にあり得る。遮熱ゾーンおよび熱調節ゾーンは、温度調節流体入口および1つまたは複数の排気流体出口を含む。正のガス圧源が、温度調節流体入口、ならびに改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの1つまたは複数と動作可能に流体連通することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、本教示の燃料電池システムは、少なくとも第1燃料電池ユニットと第2燃料電池ユニットとを含むことができる。各燃料電池ユニットは、改質器と、改質器と動作可能に流体連通している燃料電池スタックと、燃料電池スタックと動作可能に流体連通しているアフターバーナとを含むことができる。燃料電池ユニットの周りに、固体断熱材および/または流体断熱材等の断熱材を分散されることができる。低レベルの断熱材が、第1燃料電池ユニットおよび/または第2燃料電池ユニットの少なくとも1つの面、または少なくとも1つの面のセグメント、または1つの表面に接触し、隣接し、および/または熱連通し、たとえば、第1燃料電池ユニットの改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナ、ならびに/または第2燃料電池ユニットの改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの少なくとも1つの上にあるかまたはそれに隣接することができ、それにより、低レベルの断熱材に関連付けられた少なくとも1つの面、少なくとも1つの面のセグメントまたは1つの表面を通したおよび/またはそれからの熱伝達を増大させることができる。低レベルの断熱材に関連付けられるか、またはそれを有する燃料電池ユニットは、遮熱ゾーンまたは熱調節ゾーン内にあり得る。遮熱ゾーンおよび熱調節ゾーンは、1つまたは複数の温度調節流体入口と、1つまたは複数の排気流体出口とを含むことができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、少なくとも第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットの各々は、独立して、改質器と、改質器と動作可能に流体連通している燃料電池スタックと、燃料電池スタックと動作可能に流体連通しているアフターバーナと、アフターバーナと熱連通および動作可能に流体連通している排気導管とを含み、排気導管が上流端部と下流端部とを含む。第1燃料電池ユニットの排気導管の下流端部は、第2燃料電池ユニットの排気導管の下流端部の方に向けることができ、それにより、各燃料電池ユニットからの排気流が、たとえば2つの燃料電池ユニット間のチャネル内で結合し、それにより「加熱ゾーン」をもたらすことができる。
【0019】
特定の実施形態では、本教示の燃料電池システムは、燃料電池ユニット、または独立して第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットの改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの1つまたは複数と熱連通している液体熱交換板または液体熱交換ジャケットを含むことができる。液体熱交換ジャケットは、改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの1つもしくは複数の1つもしくは複数の面、または1つもしくは複数の面のセグメント、または表面と熱連通し、たとえば接触することができ、および/または改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの1つまたは複数の円周または部分的外周部等、露出した外周部を取り囲んで接触し、それに隣接し、および/または熱連通することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットは、低レベルの断熱材に関連付けられている、改質器、燃料電池スタックおよび/またはアフターバーナ等、燃料電池ユニットの少なくとも1つの面、または少なくとも1つの面のセグメント、または1つの表面と熱連通し、それにより、低レベルの断熱材に関連付けられた少なくとも1つの面または1つの表面を通したおよび/またはそれからの循環する熱交換液に対する熱伝達を優先的に増大させることができる。液体熱交換板または液体熱交換ジャケットは、断熱材、たとえば低レベルの断熱材に接触している改質器、燃料電池スタックおよび/またはアフターバーナに接触し、隣接し、および/もしくは熱連通しているか、または燃料電池ユニットの保持構造に接触もしくは隣接している等、改質器、燃料電池スタックおよび/またはアフターバーナの1つまたは複数に隣接することができる。こうした構成では、断熱材および/または保持構造は、改質器、燃料電池スタックおよび/またはアフターバーナと液体熱交換板または液体熱交換ジャケットとの間にあり得る。液体熱交換板または液体熱交換ジャケットは、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットを燃料電池システムの共通の液体熱交換導管に接続するように構成されたインタフェースを含むことができる。
【0021】
さまざまな実施形態では、本教示は、本教示の燃料電池システムと、燃料電池ユニット、または第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットの少なくとも一方に隣接して配置されたヒータユニットとを含むCHPシステムを提供する。
【0022】
いくつかの実施形態では、燃料電池システムまたはCHPシステムは、共通の(改質可能)燃料源導管を含むことができる。共通の燃料源導管は、燃料電池ユニットの改質器および蒸発器の一方または両方と動作可能に流体連通することができる。
【0023】
別の態様では、本教示は、燃料電池ユニットを含む燃料電池システムを熱的に管理する方法を提供する。さまざまな実施形態では、燃料電池システムを熱的に管理する方法は、遮熱ゾーンまたは熱調節ゾーンの温度調節流体入口を通して温度調節流体を送達するステップと、遮熱ゾーンまたは温度調節ゾーンの1つまたは複数の排気流体出口を通して、加熱された排気流体を排出するステップとを含む。燃料電池ユニットは、遮熱ゾーンまたは熱調節ゾーン内にあり得る。加熱された排気流体は、加熱された温度調節流体を含むことができる。加熱された排気流体は、加熱されたアフターバーナ燃焼生成物を含むことができる。
【0024】
さまざまな実施形態では、燃料電池システムを熱的に管理する方法は、第1燃料電池ユニットから第2燃料電池ユニットに向かって、たとえば排気導管から、加熱された流体を排出するステップと、第2燃料電池ユニットから第1燃料電池ユニットに向かって、加熱された流体を排出するステップとを含むことができる。第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットの各々が、独立して、遮熱ゾーンまたは熱調節ゾーン内にあり得る。たとえば、第1燃料電池ユニットはそれ自体の遮熱ゾーン内にあり得、第2燃料電池ユニットはそれ自体の遮熱ゾーン内にあり得、それにより、第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットは互いから遮熱される。
【0025】
いくつかの実施形態では、燃料電池システムを熱的に管理する方法は、第1燃料電池ユニットの面または表面から優先的に熱を伝達するステップを含み、低レベルの断熱材が、第1燃料電池ユニットの面、面のセグメントまたは表面の上にあり、それに隣接し、および/または熱連通しており、それにより、低レベルの断熱材に関連付けられた第1燃料電池ユニットの面、面のセグメントまたは表面を通したおよび/またはそれからの熱伝達を増大させることができる。本方法はまた、同様に第2燃料電池ユニットの面または表面から優先的に熱を伝達するステップも含むことができる。本明細書に記載するような優先的熱伝達を用いる方法では、燃料電池ユニットおよび/またはヒータユニットの1つまたは複数は、遮熱ゾーンまたは熱調節ゾーン内にあり得る。遮熱ゾーンまたは熱調節ゾーンは、1つまたは複数の温度調節流体入口と排気流体出口とを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、本教示の方法は、燃料電池ユニット、または独立して第1燃料電池ユニットおよび/または第2燃料電池ユニットの改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの1つまたは複数と熱連通している熱交換液を循環させて、改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの1つまたは複数から循環する熱交換液への熱伝達を促進するステップを含むことができる。本方法は、たとえば、燃料電池ユニットの1つまたは複数の面または表面に接触し、隣接し、および/または熱連通している低レベルの断熱材に関連付けられた燃料電池ユニットの1つまたは複数の面または表面から、循環する熱交換液に優先的に熱を伝達するステップを含むことができる。熱交換液を循環させるステップは、水および/またはグリコールを含む熱交換液を循環させることを含むことができる。本方法は、燃料電池ユニット、または独立して第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットを燃料電池システムの共通の液体熱交換導管に接続するステップを含むことができる。本方法は、加熱された熱交換液を、液体-液体熱交換器、液体-ガス熱交換器および空調ユニットまたはシステムの1つまたは複数に送達するステップを含むことができる。
【0027】
特定の実施形態では、本教示の方法は、燃料電池ユニットおよび/もしくはヒータユニット、または独立して第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットを燃料電池システムの共通の燃料源導管に接続するステップを含むことができる。
【0028】
本教示の上述した特徴および利点ならびに他の特徴および利点は、以下の図、説明、例および特許請求の範囲からより詳細に理解されるであろう。
【0029】
図面の簡単な説明
以下に記載する図面は単に例示を目的とするものであることが理解されるべきである。同様の数字は、概して、同様の部分を指す。図面は、必ずしも正確な尺度になっておらず、概して、本教示の原理を例示することに重点が置かれている。図面は、本教示を決して限定するように意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1A】本教示の燃料電池システムの実施形態の側断面図の概略図であり、燃料電池ユニットは遮熱ゾーン内にあり、アフターバーナからの排気導管の下流端部は遮熱ゾーンの外側で終端している。
【
図1B】
図1Aに示すものと同様の燃料電池ユニットを示す本教示の燃料電池システムの実施形態の側断面図の概略図であるが、アフターバーナからの排気導管の下流端部は遮熱ゾーン内で終端している。
【
図1C】
図1Bのものと同様の4つの燃料電池ユニットを示す本教示の燃料電池システムの実施形態の上面図の概略図であるが、燃料電池ユニットのアノード(燃料極)反応物導管は、共通の燃料源導管に結合されるように、燃料電池ユニットの反対側に配置されている。
【
図1D】
図1Bのものと同様の4つの燃料電池ユニットを示す本教示の燃料電池システムの実施形態の上面図の概略図であり、燃料電池ユニットのカソード空気導管は、共通のカソード空気導管に結合され、隣接する燃料電池ユニットの排気導管は、互いの方に、および燃料電池ユニット間に形成されたチャネル内に向けられている。
【
図1E】
図1Aと同様の本教示の燃料電池システムの実施形態の側断面図の概略図であるが、燃料電池ユニットは、排気導管を有する燃料電池ユニットの面のセグメントに隣接する低レベルの断熱材を有する熱調節ゾーン内にある。
【
図2A】
図1Aに示すものと同様の燃料電池ユニットを示す本教示の燃料電池システムの実施形態の側断面図の概略図であるが、アフターバーナ、燃料電池スタックおよび改質器は、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットに接触している。
【
図2B】
図1Bに示すものと同様の燃料電池ユニットを示す本教示の燃料電池システムの実施形態の側断面図の概略図であるが、アフターバーナ、燃料電池スタックおよび改質器は、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットに接触している。
【
図2C】
図2Bに示すものと同様の燃料電池ユニットを示す本教示の燃料電池システムの実施形態の側断面図の概略図であるが、アフターバーナおよび燃料電池スタックのみが液体熱交換板または液体熱交換ジャケットに接触しており、アフターバーナの面の少なくとも2つおよび燃料電池スタックの1つの面は、液体熱交換液への優先的な熱伝達のために低レベルの断熱材を含む点が異なる。
【
図2D】
図2Aのものと同様の2つの燃料電池ユニットを示す本教示の燃料電池システムの実施形態の上面図の概略図であるが、各液体熱交換板または液体熱交換ジャケットは、共通の液体熱交換導管に結合されている。
【
図3】本教示の燃料電池システムの実施形態の側断面図の概略図であり、蒸発器を含む燃料電池ユニットは遮熱ゾーン内にあり、アフターバーナからの排気導管の下流端部は遮熱ゾーン内で終端する。
【
図4A】本教示のCHPシステムの実施形態の上面図の概略図であり、CHPシステムは、5つの燃料電池ユニットと、ヒータユニットと、2つの燃料電池ユニット間のチャネル内の蒸発器と、排気を燃料電池ユニットおよびヒータから移動させて、方向付ける複数の正のガス圧源と、共通の燃料源導管とを含む。
【
図4B】
図4Aの線A-Aに沿った2つの例示的な燃料電池ユニットの側断面図の概略図である。
【
図5A】本教示の燃料電池システムのさまざまな構成の概略図である。各燃料電池ユニットおよびその断熱材は、正方形または矩形によって表されており、断熱材は、正方形または矩形内の燃料電池ユニットの外周部において各面または表面に関連付けられている。低レベルの断熱材に関連付けられた燃料電池ユニットの面または表面は、太い線で表されている他の面または表面と比較して細い線で表されている。
【
図5B】本教示の燃料電池システムのさまざまな構成の概略図である。各燃料電池ユニットおよびその断熱材は、正方形または矩形によって表されており、断熱材は、正方形または矩形内の燃料電池ユニットの外周部において各面または表面に関連付けられている。低レベルの断熱材に関連付けられた燃料電池ユニットの面または表面は、太い線で表されている他の面または表面と比較して細い線で表されている。
【
図5C】本教示の燃料電池システムのさまざまな構成の概略図である。各燃料電池ユニットおよびその断熱材は、正方形または矩形によって表されており、断熱材は、正方形または矩形内の燃料電池ユニットの外周部において各面または表面に関連付けられている。低レベルの断熱材に関連付けられた燃料電池ユニットの面または表面は、太い線で表されている他の面または表面と比較して細い線で表されている。
【
図5D】本教示の燃料電池システムのさまざまな構成の概略図である。各燃料電池ユニットおよびその断熱材は、正方形または矩形によって表されており、断熱材は、正方形または矩形内の燃料電池ユニットの外周部において各面または表面に関連付けられている。低レベルの断熱材に関連付けられた燃料電池ユニットの面または表面は、太い線で表されている他の面または表面と比較して細い線で表されている。
【
図5E】本教示の燃料電池システムのさまざまな構成の概略図である。各燃料電池ユニットおよびその断熱材は、正方形または矩形によって表されており、断熱材は、正方形または矩形内の燃料電池ユニットの外周部において各面または表面に関連付けられている。低レベルの断熱材に関連付けられた燃料電池ユニットの面または表面は、太い線で表されている他の面または表面と比較して細い線で表されている。
【
図5F】本教示の燃料電池システムのさまざまな構成の概略図である。各燃料電池ユニットおよびその断熱材は、正方形または矩形によって表されており、断熱材は、正方形または矩形内の燃料電池ユニットの外周部において各面または表面に関連付けられている。低レベルの断熱材に関連付けられた燃料電池ユニットの面または表面は、太い線で表されている他の面または表面と比較して細い線で表されている。
【
図6A】燃料電池ユニットの2つの面のセグメントの上にまたはそれに隣接して低レベルの断熱材を有する燃料電池ユニットの側断面図の概略図である。低レベルの断熱材に関連付けられた燃料電池ユニットの面または表面のセグメントは、3本の線で表されている面または表面の他のセグメントと比較して1本の線で表されている。
【
図6B】
図6Aと同様の燃料電池ユニットの側断面図の概略図であり、低レベルの断熱材に関連付けられたアフターバーナおよび/または燃料電池スタックの表面または面に隣接して1つまたは複数の液体熱交換板またはジャケットを含む。
【
図6C】
図6Bの燃料電池ユニットの側断面図の概略図であり、液体熱交換液のための追加の熱源に対して、1つまたは複数の液体熱交換板またはジャケットに接触または隣接する2つのアフターバーナ排気導管を含む。
【
図6D】燃料電池ユニットの外周部の周囲に断熱材を含む燃料電池ユニットの上面図の概略図であり、燃料電池ユニットの電子回路および/または電力変換構成要素は、低レベルの断熱材を有していない燃料電池ユニットの面、面のセグメントまたは表面の上にまたはそれに隣接して位置している。低レベルの断熱材に関連付けられた燃料電池ユニットの面または表面は、太い線によって表されている他の面または表面と比較して細い線で表されている。
【
図7】改質器から燃料電池スタック、アフターバーナまで水平方向に配置された2つの燃料電池ユニットを有する燃料電池システムの上面図の概略図であり、燃料電池ユニットは共通の燃料源導管を共有し、燃料電池ユニットの熱および排気は、共通の燃料源導管の起点から離れる方向に優先的に伝達される。レベルが低下した断熱材に関連付けられた燃料電池ユニットの面または表面は、太い線によって表されている他の面または表面と比較して細い線で表されている。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明
ここで、本教示の実施により、燃料電池ユニット、燃料電池システムおよび熱電供給(「CHP」)システムを改善し得ることが分かった。より具体的には、本教示は、ユニットまたはシステムの1つまたは複数の構成要素によって発生する熱を有利に取り込んで使用し、および/または燃料電池ユニットの周囲および/または燃料電池もしくはCHPシステム内の環境、たとえば熱環境の調節を可能にする、さまざまな構成および特徴を備えた燃料電池ユニットを提供する。
【0032】
本教示の燃料電池ユニットおよびシステムの構成および設計により、燃料電池ユニットを包囲する熱環境の調節および制御を強化することができる。たとえば、燃料電池システムまたはCHPシステムにおける各個々の燃料電池ユニットは、システムの各燃料電池ユニットの効率的な動作に対して、各燃料電池の熱環境を制御することができるように遮熱ゾーン内にあり得る。こうした制御は、温度調節流体入口を通して遮熱ゾーンの内部と動作可能に流体連通している、ファンまたはブロワ等の正のガス圧源を使用することによって達成することができる。正のガス圧源は、遮熱ゾーン(または熱調節ゾーン)に存在することによって、たとえば、ファンまたはブロワが存在し、温度調節流体入口が不要であるようにそのゾーン内の燃料電池ユニットの構成要素と直接流体連通することによって、遮熱ゾーンの内部と流体連通することができる。
【0033】
遮熱ゾーンは、たとえば、温度調節流体入口を通過するガスを含む、加熱された流体を排出する1つまたは複数の排気流体出口を含むことができる。動作時、燃料電池ユニットの周囲の遮熱ゾーン内の温度をモニタリングすることができ、熱循環および/または熱交換の適切なバランスを達成するように正のガス圧源からの空気等のガスの流れを調整して、それに従って燃料電池の周囲の温度を調節することができる。システムの各燃料電池ユニットに対して独立して同じプロセスを行うことができ、それにより、燃料電池システムのより効率的な熱管理が可能になり、従来技術のいくつかの不都合が対処される。
【0034】
本教示は、燃料電池ユニットの動作中に発生する熱を利用し、燃料電池ユニットまたは燃料電池システムもしくはCHPシステムの1つまたは複数の流体流を加熱(または予熱)するためにその熱を使用することができる。たとえば、発生した熱を使用して、たとえば蒸発器に送達する前に、カソード空気流アノード反応物または燃料流および液体改質可能流体の1つまたは複数を加熱することができる。発生した熱を使用して、気化した液体改質可能流体を、蒸発器から改質器に送達されている間にガス状態に維持することができる。蒸発器は、遮熱ゾーン内に存在することができる。したがって、蒸発器と熱連通している燃料電池ユニットによって発生する熱は、蒸発器と蒸発器を出入りしている流体とを加熱するのに役立つことができる。
【0035】
発生した熱は、たとえば、改質器、燃料電池スタックおよび/またはアフターバーナ等、燃料電池ユニットの熱発生構成要素と熱連通している液体熱交換板または液体熱交換ジャケットにおける、水および/またはグリコール等の熱交換液に伝達することができる。燃料電池ユニットの熱負荷が増大する場合、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットは、燃料電池ユニットのより多くの面または表面上に存在することができ、すなわち、熱交換のために増大したより多くの利用可能な表面積を有することができる。加熱された熱交換液は、加熱された熱交換液を、たとえばポンプを使用して、1つまたは複数の流路を介して、以下の例とともに本明細書に記載する他の例を含むさまざまな目的でさまざまなデバイスに向けることができる、流体または液圧回路パネルに送るかまたは送達することができる。
【0036】
第1に、加熱された熱交換液は、熱交換液の温度を低下させおよび/または熱交換液に対して適切な温度の範囲を維持するのに役立つように、排熱シンクまたはループとして作用することができる、液体-液体熱交換器または液体-ガス熱交換器に送達することができる。すなわち、たとえば、(燃料電池ユニットまたはシステムが定常状態モードで動作しているようになるまで熱の追加を必要とするおそれがある)適切な熱交換器とともにこの流路または回路に関連付けられたサーモスタットコントローラを用いることにより、循環する熱交換液を一定温度範囲内に維持することができる。いくつかの実施形態、特に、高い熱出力を有するそれらの応用では、熱交換液がその沸点に達しないように熱交換液の温度を制御するのに役立つように、燃料電池ユニットまたはその構成要素の特定のものと液体熱交換板または液体熱交換ジャケットとの間に追加の断熱材を設けることができる。
【0037】
第2に、加熱された熱交換液は、たとえば、ベースボードヒートを提供するために、または温水で他の構成要素または材料を加熱するために、効率的な液体-液体熱伝達を容易にするように、水タンク等の液体-液体熱交換器に送達することができる。
【0038】
第3に、加熱された熱交換液が、熱伝導性フィン内にまたは熱伝導性表面積が広い構成要素にわたって存在することができ、空気等のガスを、フィンまたは広い表面積にわたって吹き付けて、たとえば車室内空気として有用であり得るガスまたは空気を加熱することができる場合等、加熱された熱交換液を液体-ガス(たとえば、液体-空気)熱交換器に送達することができる。
【0039】
最後の例では、アンモニア系空調ユニット、またはすでに発生した廃熱を熱源として使用することができるシステム等、空調システムに加熱された熱交換液を送達することができる。加熱された水および/またはグリコール等の加熱された熱交換流体はまた、CHPシステムにおける熱源として使用することも可能である。
【0040】
いくつかの設計および構成では、たとえば、アフターバーナからの排気導管が遮熱ゾーンまたは熱調節ゾーン内で終端する場合、加熱されたアフターバーナ燃焼生成物からの熱も遮熱または熱調節ゾーン内において、蒸発器、その関連する流体、ならびに他の構成要素および流体流を加熱するのに役立つことができる。これらの構成では、加熱された温度調節流体および加熱されたアフターバーナ燃焼生成物は、遮熱ゾーンの1つまたは複数の排気流体出口を通して排出することができ、または燃料電池ユニットおよび/または熱調節ゾーンの1つまたは複数の面または表面を通して優先的に伝達することができる。
【0041】
本教示の燃料電池システムは、燃料電池ユニットからの排気流を利用するように構成することができる。たとえば、隣接する燃料電池ユニットからの加熱されたアフターバーナ燃焼生成物流等の排気流を互いに向かって、および/または燃料電池ユニット間に存在するチャネル内に向けることができる。熱を必要とする燃料電池システムの構成要素および流体流をチャネル内に配置しまたは位置決めして、対向する排気流からの熱を利用することができる。燃料電池システムに3つ以上の燃料電池ユニットが存在する場合、必要に応じて、追加の燃料電池ユニットを、それらの排気流を互いに結合するように適切に配置しまたは位置決めすることができる。
【0042】
これらの設計および構成では、燃料電池ユニットは遮熱ゾーンまたは熱調節ゾーン内にあり得るが、それは必須ではない。本教示の燃料電池ユニットは遮熱ゾーンを画定することができ、たとえば、その場合、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットが、燃料電池ユニットの外側の面または表面等、実質的な部分を取り囲み、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットの入口および出口が、遮熱ゾーンのそれぞれ温度調節流体入口および排気流体出口として機能する。本教示の燃料電池ユニットは熱調節ゾーンを画定することができ、たとえば、その場合、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットが、燃料電池ユニットのその外側の面または表面等、実質的な部分を取り囲む。液体熱交換ジャケットは、燃料電池ユニット用の保持構造となることができ、その場合、液体熱交換ジャケットにより、改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの周囲の断熱材を適所に維持することができる。液体熱交換板または液体熱交換ジャケットは、特定の用途に対して望まれる熱制御のレベルに応じて、燃料電池ユニットの1つまたは複数の構成要素にさまざまな程度で熱接触することができる。
【0043】
本教示の燃料電池ユニットは、燃料電池ユニットの1つもしくは複数の面および/または1つもしくは複数の表面から熱を優先的に伝達するように設計および構成することができる。たとえば、燃料電池ユニットの周囲にまたは実質的に周囲に断熱材が存在する(たとえば、遮熱ゾーンであり得る熱ゾーンが生成される)場合、低レベルの断熱材が、燃料電池ユニットの面または表面に接触し、隣接し、および/または熱連通し、それにより、その面またはその表面を通してまたはそれから熱伝達を増大させることができる。燃料電池システムおよび燃料電池ユニットのアレイの設計および構成において、低レベルの断熱材は、燃料電池ユニットの適切な面または表面の上にあり、それに隣接し、および/または熱連通して、ユニットのアレイ間の効率的で有効な熱伝達を達成することができる。場合により、燃料電池ユニットは、燃料電池ユニットの形状および/または設計に応じて、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれより多くの面または表面を有することができ、そうした面、面のセグメントまたは表面は、このように優先的に熱を伝達することができる。
【0044】
実際には、本教示の燃料電池ユニットおよびシステムの設計により、さまざまな組合せで、本明細書に記載した熱管理特徴の多くの利用が可能になり、それにより、システム全体の設置面積またはパッケージを低減させることができる。たとえば、燃料電池ユニットの(たとえば、燃料電池スタックおよび/またはアフターバーナの)少なくとも1つの面または1つの表面に接触し、隣接し、および/または熱連通する低レベルの断熱材を、たとえば液体熱交換板または液体熱交換ジャケットに関連付け、たとえば熱連通させ、それにより、燃料電池ユニットの少なくとも1つの面または1つの表面から熱交換液に熱を優先的に伝達することができる。さらに、燃料電池ユニットの構成要素から熱を放射することに加えて、たとえばアフターバーナからの加熱された排気流を、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットの上に、それに隣接しておよび/またはそれに(熱)接触させて、熱交換液のための2つの熱源を提供することができる。こうした配置または構成により、熱伝達および熱管理を増大させるかまたは最大限にしながら、空間要件を低減させるかまたは最小限にすることができる。
【0045】
本明細書に記載する燃料電池システムはまた、CHPシステムとして動作させることができ、CHPシステムには、燃料電池ユニットおよびヒータユニットが含まれる。ヒータユニットは、一貫した熱および電力の出力を維持するのに役立つことができる触媒バーナとして構想することができる。すなわち、燃料電池ユニットと同様に、ヒータユニットは、ガス状改質可能燃料を熱に、ただし電気を生成することなく変換することができる。燃料電池とともにヒータを用いることにより、CHPシステムの電気出力から熱出力を分離することができる。燃料電池ユニットおよびヒータユニットを、ユーザインタフェースを介して独立して動作させて、所望の出力レベルで熱出力のみを生成し、追加の熱出力なく電力を生成し、または所望の出力レベルにおける追加の熱出力を伴って電気出力を生成することができる。したがって、システムのさまざまな構成要素を所望のバランスを維持する必要に応じて動作および調整することができるため、CHPシステムによってより一貫した熱および電力の出力を実現することができる。
【0046】
本教示は、単一の固定構造として設計および構築することができる燃料電池システムおよびCHPシステムに焦点を置き、それについて記載しているが、本教示はまた、設計がモジュール式であり得る燃料電池システムおよびCHPシステムも包含する。すなわち、燃料電池システムは、たとえば電力出力を増大または低減させるために、特定の用途に対するシステムの設計自由度および適合性のためにシステムに対して追加または取り除くことができる、個々の燃料電池ユニットおよび/またはヒータユニットを含むことができる。たとえば、共通の(改質可能)燃料源導管および共通の液体熱交換導管等、1つまたは複数の共通の導管を含むことができる既存の支持構造に、燃料電池ユニットおよび/またはヒータユニットを接続しまたはそれから分離することができ、こうした共通の導管は、燃料電池ユニットおよび/またはヒータユニットの迅速な接続および分離のための複数のポートまたはインタフェースを有することができる。本明細書に記載するシステムの設計により、適切な場合、個々の燃料電池ユニットを含むシステム全体を通して、流体の流路の論理的制御も可能にすることができる。すなわち、個々の燃料電池ユニットおよび/またはヒータユニットとともに燃料電池システムおよびCHPシステムにおける流体回路を、燃料電池ユニットのアレイ間の単一の燃料電池ユニットの起動または運転停止等、特定の用途または状況に対してカスタマイズすることができる。
【0047】
本出願を通して、構成物が具体的な構成要素を有し、包含し、または含むものとして記載されている場合、またはプロセスが具体的なプロセスステップを有し、包含し、または含むものとして記載されている場合、本教示の構成物はまた、列挙された構成要素から本質的に構成されるかまたは構成され、本教示のプロセスはまた、列挙されたプロセスステップから本質的に構成されるかまたは構成されることが企図される。
【0048】
本出願において、要素または構成要素が、列挙された要素または構成要素のリストに含まれおよび/またはそれから選択されると言う場合、要素または構成要素が、列挙された要素もしくは構成要素の任意の1つであり得るか、または要素もしくは構成要素を、列挙された要素もしくは構成要素の2つ以上からなる群から選択し得ることが理解されるべきである。
【0049】
さらに、本明細書において明示的であっても暗示的であっても、本教示の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の方法で、本明細書に記載する構成物、装置または方法の要素および/または特徴を組み合わせ得ることが理解されるべきである。たとえば、特定の構造について言及する場合、その構造は、文脈から他に理解されない限り、本教示の装置のさまざまな実施形態において、および/または本教示の方法において使用することができる。換言すれば、本出願において、実施形態は、明らかで簡潔な出願が記述および描写されるのを可能にするように記載され、示されているが、本教示および発明から逸脱することなく実施形態を種々に結合または分離することができるように意図されており、そのように理解されよう。たとえば、本明細書に記載され。示されるすべての特徴が、本明細書に記載され、示される本発明のすべての態様に適用可能であり得ることが理解されよう。
【0050】
「~の少なくとも1つ」という表現は、文脈および使用から他に理解されない限り、個々にその表現の前の列挙された対象の各々と、列挙された対象の2つ以上のさまざまな組合せとを含むことが理解されるべきである。3つ以上の列挙された対象に関連する「および/または」という表現は、文脈から他に理解されない限り、同じ意味を有するように理解されるべきである。たとえば、「~に接触し、隣接し、および/または熱連通する」とは、「~に接触する」または「~と隣接する」または「~と熱連通する」または「~に接触し、熱連通する」または「~と隣接し、熱連通する」または「~に接触し、隣接する」を意味することができるが、最後の表現の最後の句は冗長であるとみなされる場合がある。
【0051】
「含む(include)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(have)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」、または「含有している(containing)」という用語(その文法的同義語を含む)の使用は、文脈から他に具体的に述べられるかまたは理解されない限り、オープンエンドで非限定的であるものとして、たとえば、追加の列挙されていない要素またはステップを排除しないものとして理解されるべきである。
【0052】
本明細書における単数形、たとえば「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」の使用は、具体的に別段の定めのない限り、複数を含む(その逆もある)。
【0053】
「約」という用語の使用が量的値の前にある場合、本教示はまた、具体的に別段の定めのない限り、具体的な量的値自体も含む。本明細書で用いる「約」という用語は、別段の指示または暗示のない限り、名目値から±10%の変動を指す。
【0054】
本教示が動作可能であり続ける限り、ステップの順序またはいくつかの動作を行う順序は重要ではないことが理解されるべきである。さらに、2つ以上のステップまたは動作が同時に行われる場合もある。
【0055】
本明細書のさまざまな箇所において、値は群または範囲で開示される。本明細書は、こうした群および範囲の要素のあらゆる個々の部分的組合せと、こうした群または範囲のさまざまな端点の任意の組合せとを含むことが特に意図されている。たとえば、0~40の範囲の整数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39および40を個々に開示するように具体的に意図されており、1~20の範囲の整数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20を個々に開示するように具体的に意図されている。
【0056】
本明細書におけるあらゆる例または例示的な文言、たとえば「等」、「含む」または「たとえば」の使用は、単に、本教示をより良く例示するように意図されたものであり、請求項に記載されていない限り、本発明の範囲に対して限定を課すものではない。本明細書におけるいかなる文言も、いかなる非請求要素も本教示の実施に対して必須であることを示すものとして解釈されるべきではない。
【0057】
「上部」、「下部」、「頂部」、「底部」、「水平」、「垂直」等の空間的向きまたは高さを示す用語および表現は、それらの文脈上の使用が別段示さない限り、本明細書では、構造的、機能的または動作上の重要性を有していないものとして、添付の図のいずれかに示されている可能性がある本教示の装置、デバイス、構成要素および特徴のさまざまな図の任意の選択された向きを単に反映しているものとして理解されるべきである。
【0058】
本明細書で用いる「液体改質可能燃料」は、改質が起こると水素リッチ改質油に変換される、標準温度および圧力(STP)状態では液体である改質可能炭素および水素含有燃料、たとえば、メタノール、エタノール、ナフサ、蒸留液、ガソリン、灯油、ジェット燃料、ディーゼル、バイオディーゼル等を指し、含む。「液体改質可能燃料」という表現は、液体状態であってもガス状態であってもこうした燃料、すなわち水蒸気を含むようにさらに理解されるべきである。
【0059】
本明細書で用いる「ガス状改質可能燃料」は、改質が起こると水素リッチ改質油に変換される、STP状態ではガスである改質可能炭素および水素含有燃料、たとえば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ジメチルエーテル、主にメタンである天然ガスおよび液化天然ガス(LNG)等、それらの混合物、ならびに主にプロパンまたはブタンであるが、主にプロパン、ブタン等から構成されるすべての混合物を含む石油ガスおよび液化石油ガス(LPG)等を指し、含む。ガス状改質可能燃料はまた、他のガス状改質可能燃料のように液体として貯蔵することができるアンモニアも含む。
【0060】
本明細書で用いる「改質可能燃料」は、液体改質可能燃料および/またはガス状改質可能燃料を指す。
【0061】
本明細書で用いる「燃料電池スタック」は、電気化学反応が発生して水素または電気化学的に酸化可能な種を電気に変換する、燃料電池ユニットまたは燃料電池システムの構成要素を指す。燃料電池スタックは、層で形成されることが多いアノード、カソードおよび電解質を含む。動作時、たとえば本教示の改質器および/または流体混合デバイスから燃料電池スタックに入る改質油の水素および他の任意の電気化学的に酸化可能な成分は、燃料電池スタックのアノード層内の酸素アニオンと結合して、水および/または二酸化炭素ならびに電子を生成する。アノード層内で発生する電子は、外部負荷を通って移動してカソード層に戻り、カソード層では、酸素が電子と結合して、電解質層およびアノード層を選択的に通過する酸素アニオンを提供する。
【0062】
本明細書で用いる「燃料電池ユニット」は、概して、燃料電池スタックと動作可能に流体連通する改質器と、燃料電池スタックと、燃料電池スタックからの排気と動作可能に流体連通するアフターバーナとを指す。燃料電池ユニットは蒸発器を含むことができ、蒸発器の出口は、改質器および/または燃料電池スタックの入口と動作可能に流体連通している。燃料電池ユニットは、さまざまな弁アセンブリ、センサアセンブリ、導管、およびこうしたユニットに関連する他の構成要素を含むことができる。「燃料電池システム」は、概して、燃料電池ユニットおよび周辺機器を指す。燃料電池システムは、複数の燃料電池ユニットを含むことが多い。複数の燃料電池ユニットが周辺機器を共有することができる。しかしながら、「燃料電池ユニット」および「燃料電池システム」は、本明細書では、文脈において別段の指示がない限り、同義で用い得ることが理解されるべきである。さらに、既知で従来の燃料電池は、リン酸形燃料電池(PAFC)、アルカリ形燃料電池(AFC)、固体高分子膜(またはプロトン交換膜)燃料電池(PEMFC)および固体酸化物形燃料電池(SOFC)を含む、種々のタイプおよび構成であり得る。
【0063】
本明細書で用いる「熱電供給システム」または「CHP」システムは、概して、電気および使用可能な熱を発生するシステムを指す。CHPシステムは、電気を発生し、その際に廃熱として廃棄するのではなく種々の方法で取り込んで使用することができる熱を生成し得る。いくつかのタイプの燃料電池システムは、改質、電気化学および他の化学反応が熱を発生する、すなわち発熱性であるか否かに応じて、CHPシステムであり得る。こうしたシステムでは、熱出力は、通常、燃料電池ユニットの電気出力によって決まる。CHPシステムは、1つまたは複数の燃料電池ユニットを含むことができる。CHPシステムは、1つまたは複数のヒータユニットと一体化された1つまたは複数の燃料電池ユニットと周辺機器とを含むことができる。1つまたは複数のヒータユニットが存在するこうしたシステムでは、熱出力は、電気出力から独立することができる。したがって、こうしたCHPシステムは、所望のレベルで、熱出力のみ、電気出力のみ、または熱出力および電気出力の両方を提供することができる。
【0064】
本明細書で用いる「遮熱ゾーン」は、周囲環境および/または遮熱ゾーンの外側の隣接する空間とは無関係に熱的に制御することができる空間を指す。遮熱ゾーンは、「断熱ゾーン」を含むことができるが、遮熱ゾーンは、典型的には、1つまたは複数の温度調節流体入口と1つまたは複数の排気流体出口とを有し、それらの入口および出口は、熱ゾーンの内部と外部との間の動作可能な流体連通等の流体連通を提供し、それにより、遮熱ゾーンは、周囲環境から完全には断熱されない。遮熱ゾーンは、1つまたは複数の温度調節流体入口、1つまたは複数の排気流体出口、ならびに燃料電池ユニットおよび関連する構成要素との間で流体を送達する、遮熱ゾーンにわたる他の任意の導管を通す以外は、遮熱ゾーンを画定する構造の面または表面を通しておよび/またはそれから熱伝達を発生させないかまたは実質的に発生させず、それにより、たとえば、アノード反応物導管、カソード空気導管および排気導管等、燃料電池ユニットの動作を可能にする。
【0065】
遮熱ゾーンは、燃料電池ユニットの上にボックスまたはボックス状構造によって生成することができ、ボックスまたはボックス状構造は、1つまたは複数の温度調節流体入口と1つまたは複数の排気流体出口とを有することができる。こうした場合、ボックスまたはボックス状構造の障壁または壁は、遮熱ゾーンを画定することができる。さまざまな実施形態では、温度調節流体入口および排気流体出口を除いて周囲環境から遮熱される空間を形成し画定するように、非熱伝導性材料、たとえば、固体断熱材料のシート等の断熱材料を用いて、遮熱ゾーンをさまざまな形状および/または構成で生成することができる。いくつかの実施形態では、たとえば、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットが燃料電池ユニットと熱連通している場合、燃料電池ユニット自体によって遮熱ゾーンを画定することができる。これらの場合、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットは、典型的には、燃料電池ユニット全体または実質的に全体と熱連通し、たとえば、燃料電池ユニットの少なくともその露出した垂直面を包囲するかまたは取り囲む。
【0066】
本明細書で用いる「熱調節ゾーン」は、周囲環境および/または熱調節ゾーンの外側の他の隣接する空間とは独立して熱的に制御することができる空間を指すが、それに対して、熱調節ゾーンの面、面のセグメントまたは表面を通しておよび/またはそれから熱伝達が発生する可能性がある。熱調節ゾーンは、1つまたは複数の温度調節流体入口と1つまたは複数の排気流体出口とを有することができる。さまざまな実施形態では、熱調節ゾーンは、たとえば、熱調節ゾーンを画定する異なる量またはレベルの断熱材が存在することにより、熱調節ゾーンから優先的な熱伝達を発生させることができる。たとえば、熱調節ゾーンを画定する1つまたは複数の面または表面のいくつかの部分または領域は、本明細書に記載するような優先的熱伝達を可能にするように低レベルの断熱材を含むことができる。
【0067】
熱調節ゾーンの1つまたは複数の温度調節流体入口と動作可能に流体連通している正のガス圧源によって、優先的な熱伝達を容易にすることができる。こうした場合、ファン、ブロワまたは圧縮機等の正のガス圧源は、熱調節ゾーン内で排気流体出口および/または低下した断熱材の領域まで空気を移動させることができる。熱調節ゾーンは、遮熱ゾーンの生成と同様に生成することができるが、熱調節ゾーンの表面または面または面のセグメントを通したおよび/またはそれからの熱伝達を防止するための要件はそれほど厳密ではない。すなわち、燃料電池ユニットの面または面のセグメントまたは表面、ならびに熱調節ゾーンを画定する構造(たとえば、固体断熱材)の隣接する面、セグメントまたは表面からの優先的な熱伝達は、熱調節ゾーンによる望ましい結果である。
【0068】
本明細書で用いる「動作可能に流体連通している」は、作動もしくは動作状態または位置にあるときのさまざまな構成要素および/または構造間における流体連通を指すが、構成要素および/または構造が非作動もしくは非動作状態または位置にあるとき、流体連通は遮断され得る。動作可能に流体連通は、構成要素および/または構造間に配置された弁アセンブリによって制御することができる。たとえば、Aが、弁アセンブリを介してBと動作可能に流体連通している場合、弁アセンブリが「開いている」とき、流体はAからBに流れるかまたは送達されることが可能であり、それにより、AとBとの間の流体連通が可能になる。しかしながら、弁アセンブリが「閉じられている」とき、AとBとの間の流体連通は遮断されるかまたは中断されることが可能である。換言すれば、弁アセンブリは、AとBとの間の流体連通を提供するように動作可能である。流体連通は、流体流のさまざまな程度および流量ならびに関連する特性を含み得ることが理解されるべきである。たとえば、完全に開いた弁アセンブリは、部分的に閉じているときの弁アセンブリが可能であるように、構成要素および/または構造間の流体連通を提供することができるが、流量等の流体流特性は、弁アセンブリの種々の位置によって影響を受ける可能性がある。本明細書で用いる「動作可能に流体連通している」および「流体連通している」は、文脈において別段の指示がない限り、同義で使用することができる。
【0069】
本明細書で用いる「熱連通している」は、さまざまな構成要素および/または構造間の、それらの間に熱伝達が発生することができるような熱連通を指す。通常熱連通している構成要素および構造は熱連通したままであるが、たとえば、加熱された流体の構成要素および/または構造への流れを中断するか、または構成要素および/または構造間に断熱障壁または構造を配置して、熱連通を遮断することができる場合、「動作可能熱熱連通している」が、「動作可能連通している」の表現および意味と同様により適切な表現であり得る。しかしながら、本明細書で用いる「熱連通している」および「動作可能熱連通している」は、文脈において別段の指示がない限り、同義で使用することができる。
【0070】
本明細書で用いる流体の「流れを制御する」、「送達を制御する」、「流れを調整する」および「送達を調整する」こと(文法的同義語ならびに同義の表現および文言を含む)は、流体の流れまたは送達を増大させること、流体の流れまたは送達を低減させること、流体の実質的に一定の流れまたは送達を維持すること、および/または流体の流れまたは送達を遮断または中断することであり得る。
【0071】
同様に、「圧力を制御する」、および「圧力を調節する」こと(文法的同義語ならびに同義の表現および文言を含む)は、圧力を上昇させること、圧力を低下させること、実質的に一定の圧力を維持すること、および/または圧力を遮断もしくは中断することであり得る。多くの状況では、「流れを制御する」および「流れを調整する」ことは、「圧力を制御する」および「圧力を調整する」こととすることができ、その逆も可能であることが理解されるべきである。さらに、燃料電池ユニット、ヒータユニット、燃料電池システムまたはCHPシステムの構成要素、たとえば弁アセンブリまたは正のガス圧源を「制御すること」、「調整すること」および「操作すること」(文法的同義語ならびに同義の表現および文言を含む)は、上述したものと同じ変化および/または定常動作をもたらすことができる。
【0072】
本明細書で用いる「弁アセンブリ」は、構成要素および/または構造間の流体連通および流体流特性、たとえば、改質器への改質可能燃料の送達、または液体熱交換板もしくは液体熱交換ジャケットを通る熱交換液の流れをモニタリングおよび/または制御することができる1つの構造または複数の構造をまとめて指す。弁アセンブリは、単一の弁であるか、または複数の弁および関連構造を含むことができ、いくつかの構造は直列であり得る。弁アセンブリは、圧力計測アセンブリであるかまたはそれを含むことができる。たとえば、弁アセンブリは、計量弁であるかまたはそれを含むことができ、それにより、流体の流れおよび送達のデジタル制御が可能になる。弁アセンブリは、ピッコロ配置、たとえば、各々が比例弁に関連する一連のオリフィスでの弁であるかまたはそれを含むことができる。弁アセンブリは、比例電磁弁等の比例弁、または一連の比例電磁弁等の一連の比例弁を含むことができる。弁アセンブリは、電磁弁等のオン/オフ弁、または一連のオン/オフ弁、たとえば一連のオン/オフ電磁弁を含むことができる。弁アセンブリは、三方弁、一連の三方弁、逆止弁、一連の逆止弁、オリフィス、一連のオリフィス、ならびにそれらの組合せおよび本明細書に記載する他の弁および弁アセンブリの組合せ(弁および弁アセンブリのいくつかは直列であり得る)を含むことができる。構造または構成要素が直列であるものとして示されている場合、構成要素は、並列直列にあるか、または連続した直列(たとえば、同一線上)にある場合がある。
【0073】
本明細書で用いる「センサアセンブリ」は、モニタリングされ、測定され、および/または求められている動作パラメータに対する、任意の好適なセンサもしくは検知デバイスまたはセンサもしくは検知デバイスの組合せを指す。たとえば、燃料流量は、任意の好適な流量計でモニタリングすることができ、圧力は、任意の好適な圧力検知または圧力調節デバイスでモニタリングすることができ、温度は、任意の好適な温度センサでモニタリングすることができる。したがって、センサデバイスの例としては、流量計、圧力計、熱電対、サーミスタおよび測温抵抗体が挙げられる。センサまたは検知デバイスとしては、はかり、ばねばかり等の重量計、または物体の重量をモニタリングし、測定し、および/または求める他のデバイスが挙げられる。センサアセンブリは、任意選択的に、コントローラと通信するトランスデューサを含むことができる。
【0074】
本明細書で用いる「正のガス圧源(source of positive gaseous pressure)」または「正のガス圧源(source of positive gas pressure)」は、正のガス圧を生成するかまたはガス移動をもたらすことができるデバイスまたは装置を指す。正のガス圧源は、容積式ブロワ、ポンプもしくは圧縮機、またはダイナミックブロワ、ポンプまたは圧縮機であり得る。正のガス圧源の例としては、ファン、複数のもしくは一連のファン、ロータリベーンポンプもしくは圧縮機等のロータリポンプもしくは圧縮機、複数のもしくは一連のロータリポンプもしくは圧縮機、ダイヤフラムポンプもしくは圧縮機等の往復動ポンプもしくは圧縮機、または複数のもしくは一連のダイヤフラムポンプもしくは圧縮機、ブロワ、たとえば遠心ブロワもしくは圧縮機、複数のもしくは一連のブロワ、複数のもしくは一連の遠心ブロワもしくは圧縮機、空気ポンプ、空気もしくは不活性ガスのタンク等、圧縮ガスの容器、およびそれらの組合せが挙げられる。「正のガス圧」は、これらの正のガス圧源および当業者に既知である他の正のガス圧源の任意のものから具現化することができる。
【0075】
動作時、液体ポンプまたは燃料ポンプ等のポンプは、燃料電池システムまたはCHPシステムを通して液体および/または改質可能燃料を循環させることができる。たとえば、ポンプは、改質可能燃料を燃料電池ユニットの蒸発器および/または改質器まで流すことができる。ポンプを用いて、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットを通して、液体、たとえば水および/またはグリコールを循環させることができる。液体ポンプまたは燃料ポンプ等のポンプの例としては、計量ポンプ、ロータリポンプ、インペラポンプ、ダイヤフラムポンプ、蠕動ポンプ、容積式ポンプ、ギアポンプ、圧電ポンプ、動電学的ポンプ、電気浸透ポンプおよびキャピラリポンプが挙げられる。ポンプは、燃料電池システムまたはCHPシステムを通して液体および/または改質可能燃料の流量を制御することができる。
【0076】
図に示す例示的な燃料電池システムおよびCHPシステムは、さまざまな導管、たとえばカソード空気導管、アノード反応物導管、アフターバーナ排気導管等を含む。本教示の燃料電池システムまたはCHPシステムは、複数の導管、たとえば、燃料電池システムまたはCHPシステムの構成要素間で動作可能な流体連通を提供するように配置された2つ以上の導管を含むことができる。複数の導管はまた、燃料電池ユニットまたは燃料電池システムもしくはCHPシステムをたとえば、蒸発器および/または改質可能燃料源等、燃料電池システムまたはCHPシステムに共通の構成要素に結合することも可能である。すなわち、周辺構成要素およびデバイスを含む、本教示の燃料電池システムまたはCHPシステムの構成要素および方法は、構成要素、たとえば、蒸発器、(炭化水素燃料)改質器、ならびに弁アセンブリ、ポンプおよびセンサアセンブリ等の関連する機器を接続または連結する導管を含むことができる。これらの構成要素および他の構成要素の各々は、流体連通、たとえば動作可能に流体連通が構成要素間で確立されるのを可能にするように、入口、出口およびポートの1つまたは複数を含むことができる。導管は、それに関連する他の構成要素およびデバイス、たとえば弁アセンブリ、ポンプ、正のガス圧源およびセンサアセンブリを含み得ることも理解されるべきである。
【0077】
導管または導管システムは、多くの要素、たとえば、特定の用途、改質可能燃料、および燃料電池システムまたはCHPシステム全体の設置面積サイズに応じて、多くの具体的な設計、構成、配置および接続を有することができる。したがって、本明細書に記載および/または図示する導管システムは、単に例示を目的とするものであり、本教示を決して限定するようには意図されていいない。さらに、2つ以上の導管が、1つまたは複数の構成要素、たとえば、弁アセンブリおよび改質可能燃料源に接続、結合または他に接合するように記載されている場合、単一の導管も同じ設計および/または目的を達成するものとして構想することができ、そこでは、弁アセンブリ等の構成要素は、単一導管と「一列である」、単一導管「内に位置する」、または単一導管に「関連付けられる」ものとして記載することができる。さらに、2つ以上の構成要素または構造に「結合され」、「接続され」、または他に接合されるとは、1つの構成要素または構造が、別の構成要素または構造に直接または間接的に結合、接続または接合されることを意味することができる。
【0078】
導管は、ダクト、たとえば、流体を搬送するチャネル、チューブまたは通路であり得る。たとえば、温度調節流体導管を用いて、温度調節流体、たとえば、燃料電池ユニットまたはシステムの外部の周囲空気を、温度調節流体入口を通して遮熱ゾーンまたは熱調節ゾーン内の燃料電池ユニットに搬送または送達することができる。別の例としては、排気導管を用いて、排気流体を燃料電池ユニットから、たとえばアフターバーナから燃料電池の外部、遮熱ゾーンもしくは熱調節ゾーン内、またはこうしたゾーンの外側もしくは外部に搬送または送達することができる。導管は、マニホールド、たとえば、流体を収集または分配するために使用される複数の入口または出口を備えたチャンバ、パイプまたはダクトであり得る。本明細書で用いる「共通の導管」は、概して、所定の場所におよび/または所定の場所から流体を送達するための多ポート導管を指す。
【0079】
本教示の燃料電池ユニット、燃料電池システム、ヒータユニットおよびCHPシステムは、個々のユニット、その構成要素、および/またはシステム全体の動作を自動化する制御システムを含むことができる。制御システムは、制御構成要素、たとえば、制御電子回路、アクチュエータ、弁アセンブリ、センサアセンブリ、ならびに個々の燃料電池ユニットまたはヒータユニットと、蒸発器、改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナ等、その1つまたは複数の構成要素と、燃料電池システムまたはCHPシステムと、周辺機器、たとえば正のガス圧源等、その1つまたは複数の構成要素との動作をモニタリング、制御および/または調整する他の構造およびデバイスを含むことができる。
【0080】
制御システムは、さまざまな制御構成要素、ならびに各燃料電池ユニットおよび/またはヒータユニットの構成要素と通信することができるコントローラを含むことができる。制御システムおよび/またはコントローラは、燃料電池ユニットまたはヒータユニットの個々の構成要素を通して、個々の燃料電池ユニットまたはヒータユニットを通して、燃料電池システムまたはCHPシステムを通して、流体(たとえば、改質可能燃料、酸素含有ガスおよび水蒸気等の液体およびガス状反応物、温度調節空気、放射される加熱空気およびカソード空気等の空気、排気流ならびに熱交換液)の流路をモニタリングし、論理的に制御することができる。換言すれば、制御システムを用いて、燃料電池システムまたはCHPシステムにおいてカスタム流体回路を達成することができる。
【0081】
たとえば、さまざまな実施形態では、共通の燃料源導管および/または共通の液体熱交換導管に燃料電池ユニットを結合することができる。こうした結合は、燃料電池システムが動作していない間に行うことができる。しかしながら、こうした結合は、たとえば、非効率的に機能している燃料電池ユニットを取り除くために、燃料電池システムが動作しているときに行うことができる。後者の場合、結合は、望まれるまで燃料および/または熱交換液体の新たに結合された燃料電池ユニットへの送達を開始することなく、共通の導管に対して行うことができる。
【0082】
さらに、新たに結合された燃料電池ユニットは周囲温度であるため、その燃料電池ユニットに対する起動モードは、たとえば、動作中の燃料電池ユニットからの熱の放散を回避するために、定常モードで動作している他の燃料電池ユニットの動作と独立して動作させることができる。したがって、新たに結合された燃料電池ユニットを起動モードで実行させることができ、その場合、制御システムは、その燃料電池ユニットが定常モードで動作するようになる(必要に応じて、その動作をすでに動作している燃料電池ユニットの動作と結合することができるとき)まで、その燃料電池ユニットに対する燃料、空気、他の流体および熱の送達のための弁アセンブリおよび他の構成要素を独立して制御する。同様に、燃料電池システムの個々の燃料電池ユニットは、他の動作している燃料電池ユニットと独立して運転停止モードになることができ、それにより、特定の燃料電池ユニットを交換している間に燃料電池システムは発電し続けることができる。
【0083】
本教示のいくつかの方法では、1つまたは複数の動作している燃料電池ユニットによって発生する、こうしたユニットと熱連通している加熱された熱交換液等の加熱された流体流を、燃料電池システムまたはCHPシステムにおける新たに結合された燃料電池ユニット等の「低温の」燃料電池ユニットに送達して、「低温の」燃料電池ユニットの起動を容易にすることができる。すなわち、起動モードにある間、燃料電池ユニットのさまざまな構成要素、たとえば、改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの1つまたは複数を加熱するのに役立つように、動作している燃料電池ユニットからの加熱された流体流を「低温パッケージ」に向けるか、または部分的に分岐させることができる。同様に、燃料電池ユニットの1つまたは複数の構成要素の外側に熱を提供するように、低温の燃料電池ユニットの1つまたは複数の構成要素と熱連通している液体熱交換板または液体熱交換ジャケットに、動作している燃料電池ユニットに関連する加熱された熱交換液を向けるかまたは部分的に分岐させることができる。加熱されたガス流および/または加熱された熱交換液であっても、動作ユニットからの熱の使用は、低温の燃料電池ユニットに対する起動時間を短縮させることができ、たとえば、燃料電池ユニットの1つまたは複数の構成要素内で触媒作用を開始させるのに役立つことができる。
【0084】
上述したことから推測することができるように、燃料電池ユニットは、燃料電池ユニット内での動作を通信し制御するように構成または適合させることができる燃料電池ユニット制御構成要素を含むことができる。燃料電池システムまたはCHPシステムは、それぞれ、燃料電池システム制御構成要素またはCHPシステム制御構成要素を含むことができ、それらは、個々の燃料電池ユニットおよび存在する場合はヒータユニット間で通信し、燃料電池システムまたはCHPシステムの動作を制御するように構成または適合させることができる。燃料電池システム制御構成要素およびCHPシステム制御構成要素は、個々の燃料電池ユニットおよび存在する場合はヒータユニットと通信することができる。
【0085】
制御システムは、コントローラと通信する1つもしくは複数のセンサまたはセンサアセンブリを含むことができる。センサアセンブリからの入力信号、ユーザ入力デバイスからのユーザコマンド、および/またはプログラムされたサブルーチンおよびコマンドシーケンスに応じて、コントローラは、1つもしくは複数の燃料電池ユニットおよび/またはヒータユニット、または燃料電池システムもしくはCHPシステム全体の動作を独立して管理することができる。コントローラは、プロセッサで操作するソフトウェアであり得る。しかしながら、1つまたは複数のデジタル回路もしくはアナログ回路、またはそれらの組合せで実装されるコントローラを採用することは本教示の範囲内にある。
【0086】
センサアセンブリは、コントローラと通信するトランスデューサを含むことができるが、それは必須ではない。通信経路は、通常、有線電気信号となるが、他の任意の好適な形態の通信経路も採用することができる。すなわち、本明細書におけるセンサアセンブリ、制御信号受信デバイスおよび通信経路は、任意の好適な構造であり得る。Bluetooth(登録商標)接続等の無線通信経路を使用することができる。無線通信経路は、ネットワークノードを接続する無線データ接続を使用する無線ネットワークの一部であり得る。有線通信経路および無線通信経路の組合せを使用することができる。
【0087】
燃料電池ユニットは、通常、燃料電池スタックの電気出力を燃料電池ユニットの調節された電気出力に変換するように構成しまたは適合させることができる電力変換構成要素を含む。電力変換構成要素は、電力処理構成要素または電力管理構成要素と呼ぶことができ、燃料電池スタックから電流を運び出し、燃料電池ユニットの外部に送達することができる、集電板および/またはバスバーを含むことができる。電力変換構成要素は、通常、電気が発生する燃料電池スタックに近接して位置している。したがって、電力変換構成要素は、燃料電池スタックおよび燃料電池の高い動作温度に曝されるおそれがある。それにも関わらず、燃料電池ユニットに隣接するかまたはその周囲で、および/または少なくとも電力変換構成要素に隣接して液体熱交換板または液体熱交換ジャケットを使用すること等によるこうした構成要素からの熱伝達により、電気抵抗損失を低減させることができる。
【0088】
対照的に、燃料電池ユニット、燃料電池システムおよび/またはCHPシステムのさまざまな構成要素をモニタリングし動作させる、制御システムならびにコントローラ、センサアセンブリおよび/または弁アセンブリに関連する燃料電池システムの電子回路は、通常、熱に弱い。したがって、こうした電子回路は、通常、たとえば燃料電池ユニットを含む遮熱ゾーンの外側に、および/または固体断熱材および/または液体断熱材等の十分な断熱材に隣接するか、もしくはそれによって取り囲まれた熱的に保護された場所または環境にある。
【0089】
したがって、本教示は、燃料電池ユニットを含むことができる燃料電池システムを提供する。燃料電池ユニットは、改質器と、改質器と動作可能に流体連通している燃料電池スタックと、燃料電池スタックと動作可能に流体連通しているアフターバーナとを含むことができる。燃料電池ユニットは、遮熱ゾーン内にあり得る。遮熱ゾーンは、固体断熱材、流体断熱材またはその組合せ等の断熱材を含むことができる。遮熱ゾーンは、固体断熱材、流体断熱材またはその組合せ等の断熱材によって画定することができる。各遮熱ゾーンは、温度調節流体入口と1つまたは複数の排気流体出口とを含むことができる。正のガス圧源が、温度調節流体入口、ならびに改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの1つまたは複数と動作可能に流体連通することができる。
【0090】
燃料電池システムは、第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットを含むことができる。第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットは、独立して、本教示の燃料電池ユニットであり得る。燃料電池システムは、3つ以上の燃料電池ユニット、たとえば、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれより多くの燃料電池ユニットを含むことができる。
【0091】
燃料電池ユニット、または独立して第1燃料電池ユニット、第2燃料電池ユニットおよび任意のより高次の燃料電池ユニットの各々が、燃料電池スタックのカソードと動作可能に流体連通しているカソード空気導管を含むことができ、それは、カソードにカソード空気(酸素含有ガス)を送達するように構成されている。燃料電池ユニット、または独立して第1燃料電池ユニット、第2燃料電池ユニットおよび任意のより高次の燃料電池ユニットの各々が、燃料電池スタックのアノードと動作可能に流体連通しているアノード反応物導管を含むことができ、それは、アノード空気、水蒸気等の酸化剤および(改質された)改質可能燃料の1つまたは複数をアノードに送達するように構成されている。いくつかの実施形態では、改質可能燃料は、改質される前に燃料電池スタックのアノードに直接送達することができる。こうした場合、改質触媒は、「オンセル」改質が発生することができるように、燃料電池スタックのアノード(燃料)電極内に組み込まれている。燃料電池ユニット、または独立して第1燃料電池ユニット、第2燃料電池ユニットおよびより高次の燃料電池ユニットの各々が、アフターバーナと熱連通および動作可能に流体連通している排気導管を含むことができ、それは、アフターバーナからの加熱された燃焼生成物を排出するように構成されている。
【0092】
排気導管は、上流端部および下流端部を含む。排気導管の下流端部は、遮熱ゾーン内で終端することができる。こうした実施形態および本教示の他の実施形態では、燃料電池ユニット、または独立して第1燃料電池ユニット、第2燃料電池ユニットおよび任意のより高次の燃料電池ユニットの各々が、加熱されたアフターバーナ燃焼生成物と熱連通し、改質器と動作可能に流体連通している蒸発器を含むことができる。
【0093】
さまざまな実施形態において、排気導管の下流端部は、遮熱ゾーンの外側で終端することができる。これらの実施形態および関連する実施形態では、燃料電池システムが少なくとも第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットを含む場合、第1燃料電池ユニットの排気導管の下流端部は、第2燃料電池ユニットの排気導管の下流端部の方に向けることができ、それにより、各燃料電池ユニットからの排気流は、結合するように構成される。排気導管からの加熱されたアフターバーナ燃焼生成物は、遮熱ゾーンの外側の燃料電池システムの他の構成要素、たとえば、蒸発器、改質可能燃料、カソード空気およびアノード空気を加熱するように向けることができる。排気導管からの加熱されたアフターバーナ燃焼生成物は、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットにおける熱交換液等、熱交換液に向けられ、および/または熱連通することができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、燃料電池システムは、第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットを含むことができ、そこでは、各燃料電池ユニットは、改質器と、改質器と動作可能に流体連通している燃料電池スタックと、燃料電池スタックと動作可能に流体連通しているアフターバーナとを含むことができる。
【0095】
固体断熱材および/または流体断熱材等の断熱材を燃料電池ユニットの周りに、低レベルの断熱材が、第1燃料電池ユニットの少なくとも1つの面、面のセグメントまたは1つの表面に接触し、隣接し、および/または熱連通する、たとえば、第1燃料電池ユニットの少なくとも燃料電池スタックおよび/または第2燃料電池ユニットの燃料電池スタックに隣接することができるように分散されることができ、それにより、低レベルの断熱材に関連付けられた少なくとも1つの面、面のセグメントまたは1つの表面を通したおよび/またはそれからの熱伝達を増大させることができる。低レベルの断熱材は、改質器、燃料電池スタック、アフターバーナおよび存在する場合は蒸発器の1つまたは複数の1つまたは複数の面または表面に接触し、隣接し、および/または熱連通して存在することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、低レベルの断熱材に関連付けられた第1燃料電池ユニットの少なくとも1つの面または1つの表面を、低レベルの断熱材に関連付けられた第2燃料電池ユニットの少なくとも1つの面または1つの表面と対向させることができる。
【0097】
燃料電池システムが、第3燃料電池ユニットをさらに含み、第1燃料電池ユニット、第2燃料電池ユニットおよび第3燃料電池ユニットが直列である、特定の実施形態では、低レベルの断熱材に関連付けられた第1燃料電池ユニットの少なくとも1つの面または1つの表面を、低レベルの断熱材に関連付けられた第2燃料電池ユニットの少なくとも1つの面または1つの表面と対向させることができ、低レベルの断熱材に関連付けられた第2燃料電池ユニットの第2面または第2表面を、低レベルの断熱材に関連付けられた第3燃料電池ユニットの少なくとも1つの面または1つの表面に対向させることができる。
【0098】
本教示のこうした実施形態および他の実施形態では、第2燃料電池ユニットは、低レベルの断熱材に関連付けられた第3面または第3表面を含むことができ、すなわち、低レベルの断熱材は、第2燃料電池ユニットの第3面または第3表面に接触し、隣接し、および/または熱連通することができる。
【0099】
上述した構成を含むいくつかの実施形態では、第1、第2および第3燃料電池ユニットは、燃料電池ユニットの第1組を画定することができ、燃料電池システムは、燃料電池ユニットの第2組を含むことができる。燃料電池ユニットの第2組は、燃料電池ユニットの第1組と実質的に同様とすることができ、燃料電池の第1組の第2燃料電池ユニットの第3面が燃料電池ユニットの第2組の第2燃料電池ユニットの第3面と対向するように配置することができる。
【0100】
燃料電池ユニットの1つまたは複数の面、面のセグメントまたは表面の上またはそれに隣接する低レベルの断熱材を含む設計および実施形態では、燃料電池ユニットは熱調節ゾーン内にあり得る。熱調節ゾーンは、温度調節流体入口と1つまたは複数の排気流体出口とを含むことができる。熱調節ゾーンは、温度調節流体入口、ならびに改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの1つまたは複数と動作可能に流体連通する正のガス圧源を含むことができる。熱調節ゾーンは、固体断熱材、流体断熱材またはそれらの組合せを含むことができる。熱調節ゾーンは、固体断熱材、流体断熱材またはそれらの組合せによって画定することができる。
【0101】
第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットの各々は、独立して、燃料電池スタックのカソードと動作可能に流体連通しているカソード空気導管を含むことができ、それは、カソードにカソード空気を送達するように構成されている。第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットの各々は、独立して、燃料電池スタックのアノードと動作可能に流体連通しているアノード反応物導管を含むことができ、それは、アノード空気、酸化剤および改質可能燃料の1つまたは複数をアノードに送達するように構成されている。第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットの各々は、独立して、アフターバーナと熱連通および動作可能に流体連通している排気導管を含むことができ、それは、アフターバーナから加熱されたアフターバーナ燃焼生成物を排出するように構成されている。
【0102】
さまざまな実施形態では、排気導管は、上流端部と下流端部とを含み、排気導管の下流端部は熱調節ゾーン内で終端する。いくつかの実施形態では、排気導管は、上流端部と下流端部とを含み、排気導管の上流端部は熱調節ゾーンの外側で終端する。いくつかの実施形態では、第1燃料電池ユニットの排気導管の下流端部は、第2燃料電池ユニットの排気導管の下流端部の方に向けることができ、それにより、各燃料電池ユニットからの排気流は結合するように構成され、それは燃料電池ユニット間のチャネル内にあり、それにより「加熱ゾーン」をもたらすことができる。
【0103】
第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットの各々は、独立して、加熱されたアフターバーナ燃焼生成物と熱連通し、それらのそれぞれの改質器と動作可能に流体連通している蒸発器を含むことができる。
【0104】
さまざまな実施形態では、本教示の燃料電池システムは、少なくとも第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットを含み、各燃料電池ユニットは、独立して、改質器と、改質器と動作可能に流体連通している燃料電池スタックと、燃料電池スタックと動作可能に流体連通しているアフターバーナと、アフターバーナと熱連通および動作可能に流体連通している排気導管とを含む。排気導管は、上流端部および下流端部を含む。第1燃料電池ユニットの排気導管の下流端部は、第2燃料電池ユニットの排気導管の下流端部の方に向けることができ、それにより、各燃料電池ユニットからの排気流は結合するように構成される。
【0105】
正のガス圧源が、第1燃料電池ユニットと第2燃料電池ユニットとの間に、各燃料電池ユニットからの排気導管および排気流と動作可能に流体連通して位置することができ、それにより、たとえば加熱されたアフターバーナ燃焼生成物を含有する排気流を、燃料電池システムの他の構成要素まで移動させるかまたは向け、および/または燃料電池システムから排出することができる。燃料電池システムは、燃料電池システムの熱環境をより良く制御するように、排気導管と流体連通している2つ以上の正のガス圧源をさらに含むことができる。
【0106】
たとえば、各燃料電池ユニットの排気導管は、アフターバーナからの加熱されたアフターバーナ燃焼生成物等の加熱された流体を、蒸発器、共通の(改質可能)燃料源導管、共通のカソード空気導管、および液体改質可能燃料または(水蒸気を発生させるための)水等の液体源の少なくとも1つに排出するように構成することができる。蒸発器、共通の(改質可能)燃料源導管、共通のカソード空気導管、および液体源の少なくとも1つは、第1燃料電池ユニットと第2燃料電池ユニットとの間のチャネル内に配置することができ、排気導管は、アフターバーナからの加熱された流体(燃焼生成物)をチャネル内に排出するように構成することができる。燃料電池ユニット間のチャネル内に排出された加熱された流体は、「加熱ゾーン」をもたらすことができ、それにより、その熱を用いて、蒸発器、共通の(改質可能)燃料源導管、共通のカソード空気導管、および液体源の1つまたは複数を加熱することができる。さらに、燃料電池ユニットは、チャネル内への熱伝達を増大させるようにチャネルに面している面、面のセグメントまたは表面に低レベルの断熱材を含むことができる。いくつかの実施形態では、液体改質可能燃料リザーバまたは他の構造等、共通の燃料源導管または液体源は、加熱ゾーンまたはチャネルを通過する(改質可能)燃料からの硫黄等の汚染物質を除去するために、熱活性化吸収材を含むことができる。
【0107】
燃料電池システムは、排気導管およびチャネルと流体連通している2つ以上の正のガス圧源をさらに含むことができる。2つ以上の正のガス圧源は、独立して、排気導管からの加熱された流体のチャネル内への送達を制御するように構成することができる。
【0108】
さまざまな実施形態では、本教示の燃料電池ユニットは、改質器と、改質器と動作可能に流体連通している燃料電池スタックと、燃料電池スタックと動作可能に流体連通しているアフターバーナと、アフターバーナと熱連通しており、改質器と動作可能に流体連通している蒸発器とを含むことができる。燃料電池ユニットは、遮熱ゾーン内にあり得る。遮熱ゾーンは、温度調節流体入口と1つまたは複数の排気流体出口とを含むことができる。正のガス圧源が、温度調節流体入口、ならびに蒸発器、改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの1つまたは複数と動作可能に流体連通することができる。
【0109】
燃料電池ユニットは、燃料電池スタックのカソードと動作可能に流体連通しているカソード空気導管と、蒸発器と動作可能に流体連通しているアノード空気導管と、蒸発器と動作可能に流体連通している改質可能燃料導管とを含むことができる。
【0110】
燃料電池ユニットは、アフターバーナと熱連通および動作可能に流体連通している排気導管を含むことができる。排気導管は、アノード空気導管と熱連通することができる。排気導管は、蒸発器と熱連通することができる。
【0111】
本教示のさまざまな燃料電池システムおよび燃料電池ユニットは、燃料電池ユニット、または第1燃料電池ユニット、第2燃料電池ユニットおよび任意のより高次の燃料電池ユニットの改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの1つまたは複数と熱連通している、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットを含むことができる。液体熱交換ジャケットは、1つまたは複数の燃料電池ユニットの改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの1つまたは複数を取り囲むことができる。液体熱交換板または液体熱交換ジャケットは、低レベルの断熱材に関連付けられた1つまたは複数の燃料電池ユニットの面または面のセグメントまたは表面と熱連通することができ、それにより、面、面のセグメントまたは表面から熱交換計に優先的に熱を伝達することができる。
【0112】
本明細書において燃料電池ユニットまたは他の構造の面について言及するとき、文脈から別段の定めまたは示唆のない限り、燃料電池ユニットまたは他の構造の面のセグメントが含まれ得るように意図されていることが理解されるべきである。たとえば、燃料電池ユニットの面は、改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナを、多くの場合にこうした一連の順序で含む可能性がある。燃料電池ユニットの面のセグメントは、改質器または改質器の一部、燃料電池スタックまたは燃料電池スタックの一部、およびアフターバーナまたはアフターバーナの一部を含むことができる。さらに、燃料電池スタックのセグメントは、本明細書において「1つの(a)」という語が定義されるように、1つまたは複数のセグメントを含むことができる。すなわち、燃料電池スタックの面のセグメントは、改質器およびアフターバーナを指すことができ、燃料電池スタックは排除されセグメントの一部ではない。
【0113】
液体熱交換板または液体熱交換ジャケットは、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットを燃料電池システムの共通の液体熱交換導管に接続するように構成されたインタフェースを含むことができる。液体熱交換板または液体熱交換ジャケットと共通の液体熱交換導管との間のインタフェースは、弁アセンブリを含むことができる。弁アセンブリは、クイックコネクト弁、固定オリフィスおよび比例弁の1つまたは複数を含むことができる。クイックコネクト弁、固定オリフィスおよび比例弁の各々は、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットと共通の液体熱交換導管との間に動作可能な流体連通を提供することができる。
【0114】
燃料電池ユニットが改質器を含む本教示のさまざまな燃料電池システムでは、燃料電池システムの共通の燃料源導管に改質器を接続するように、インタフェースを構成することができる。改質器と共通の燃料源導管との間のインタフェースは、弁アセンブリを含むことができる。弁アセンブリは、クイックコネクト弁、固定オリフィスおよび比例弁の1つまたは複数を含むことができる。クイックコネクト弁、固定弁および比例弁の各々は、改質器と共通のガス燃料源導管との間に動作可能な流体連通を提供するように構成することができる。
【0115】
本教示の燃料電池システムおよび燃料電池ユニットは、独立して各燃料電池ユニットおよび/またはその構成要素、たとえば正のガス圧源および/または液体熱交換板もしくは液体熱交換ジャケット等、燃料電池システムの動作を自動化する制御システムを含むことができる。制御システムは、正のガス圧源および/または液体熱交換板もしくは液体熱交換ジャケットに関連付けられた1つまたは複数のセンサアセンブリおよび/または1つまたは複数の弁アセンブリ、それに関連付けられた導管、および/または各燃料電池ユニットの構成要素と通信するコントローラを含むことができる。1つまたは複数のセンサアセンブリは、独立して、温度センサおよび/または圧力センサを含むことができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、燃料電池ユニットの電子回路は、遮熱ゾーンの外側または熱調節ゾーンの外側に位置することができる。いくつかの実施形態では、燃料電池ユニットの電子回路は、低レベルの断熱材に関連付けられていない燃料電池ユニットの面または表面(たとえば、レベルの低下していない断熱材を有する面、面のセグメントまたは表面)の上にまたはそれに隣接して位置することができる。特定の実施形態では、燃料電池ユニットの電子回路は、排気導管の下流端部の対向する面または表面の上にまたはそれに隣接して位置することができる。
【0117】
本教示はまた、CHPシステムも含む。CHPシステムは、本教示の1つまたは複数の燃料電池システムまたは燃料電池ユニットと、燃料電池ユニットに隣接して配置されたヒータユニットとを含むことができる。CHPシステムは、CHPシステムの個々の燃料電池ユニットおよびヒータユニットの動作を独立して自動化する制御システムを含むことができる。制御システムは、1つもしくは複数のセンサアセンブリおよび/または1つもしくは複数の弁アセンブリと通信するコントローラを含むことができ、1つもしくは複数のセンサアセンブリおよび/または1つもしくは複数の弁アセンブリは、燃料電池ユニットおよび/またはヒータユニットと独立して関連付けられている。
【0118】
本教示の別の態様は、燃料電池システム、燃料電池ユニットおよび/またはCHPシステムを熱的に管理する方法に関する。燃料電池システムを熱的に管理する方法は、遮熱ゾーンの温度調節流体入口を通して温度調節流体を送達するステップと、遮熱ゾーンの1つまたは複数の排気流体出口を通して、加熱された排気流体を排出するステップとを含むことができる。燃料電池ユニットは、遮熱ゾーン内にあり得る。加熱された排気流体は、加熱された温度調節流体を含むことができる。すなわち、加熱された排気流体は、温度調節流体入口を通って導入され、排出される前に遮熱ゾーンを通って移動する際に加熱される、温度調節流体を含むことができる。
【0119】
さまざまな実施形態では、燃料電池ユニット温度調節流体入口を通して温度調節流体を送達するステップは、第1燃料電池ユニットの温度調節流体入口を通して、第2燃料電池ユニットの温度調節流体入口を通して、温度調節流体を独立して送達することを含むことができる。いくつかの実施形態では、燃料電池ユニットの1つまたは複数の排気流体出口を通して、加熱された排気流体を排出するステップは、第1燃料電池ユニットの1つまたは複数の排気流体出口を通して、第2燃料電池ユニットの1つまたは複数の排気流体出口を通して、加熱された排気流体を独立して排出することを含むことができる。第1燃料電池ユニットを、第2燃料電池ユニットから遮熱することができる。加熱された排気流体は、加熱された温度調節流体を含むことができる。
【0120】
特定の実施形態では、本方法は、遮熱ゾーン内において、燃料電池ユニットのアフターバーナから、加熱されたアフターバーナ燃焼生成物を排出するステップを含むことができる。加熱された排気流体は、燃料電池ユニットのアフターバーナからの加熱されたアフターバーナ燃焼生成物を含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法は、燃料電池ユニットのアフターバーナからの加熱されたアフターバーナ燃焼生成物により、蒸発器を加熱するステップを含むことができる。本方法は、燃料電池ユニットのアフターバーナからの加熱されたアフターバーナ燃焼生成物により、蒸発器に送達される前のアノード空気を加熱するステップを含むことができる。本方法は、燃料電池ユニットのアフターバーナからの加熱されたアフターバーナ燃焼生成物により、蒸発器に送達される前の改質可能燃料を加熱するステップを含むことができる。本方法は、アフターバーナからの熱により燃料電池ユニットのカソードに送達する前のカソード空気を加熱するステップを含むことができる。最後の方法では、カソード空気は、カソードに送達される前にアフターバーナを通過することができる。
【0121】
さまざまな実施形態では、燃料電池システムを熱的に管理する方法は、第1燃料電池ユニットから第2燃料電池ユニットに向かって、加熱された流体を排出するステップと、第2燃料電池ユニットから第1燃料電池ユニットに向かって、加熱された流体を排出するステップとを含むことができる。
【0122】
こうした構成は、燃料電池システムの複数の燃料電池ユニットの段階的な起動において有用であり得る。たとえば、用途の電源要件のために、1つの燃料電池ユニットのみが最初に運転または作動しているが、追加の電力が必要である場合、第2燃料電池ユニットを始動させることができる。(第1)動作中燃料電池ユニットは、第2(非動作中)燃料電池ユニットに向かってその加熱された流体を排出しているため、第2燃料電池ユニットは、少なくとも部分的にすでに加熱されており、その起動を容易にし、第2燃料電池ユニットが定常動作に達する時間を短縮する。
【0123】
いくつかの実施形態では、加熱された流体を排出するステップは、第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットの各々のアフターバーナから、加熱されたアフターバーナ燃焼生成物を独立して排出することを含む。いくつかの実施形態では、第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットの各々は、独立して、遮熱ゾーン内にあり得る。特定の実施形態では、加熱された流体を排出するステップは、第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットの各々のアフターバーナからの加熱されたアフターバーナ燃焼生成物を、独立して、それぞれ第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットの各々の遮熱ゾーンの外側に排出することを含むことができる。
【0124】
本方法は、第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットから、第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットによって、それらの間に形成されたチャネルに、排出された加熱された流体を向けるステップを含むことができる。特定の実施形態では、排出された加熱された流体を向けるステップは、加熱されたアフターバーナ燃焼生成物等の排出された加熱された流体を、チャネル内に位置する蒸発器および流体源の少なくとも一方に向けることを含むことができる。流体源は水源であり得る。こうした実施形態では、本方法は、水蒸気改質で使用するために水を加熱するステップを含むことができる。
【0125】
燃料電池システムを熱的に管理する方法は、第1燃料電池ユニットから第2燃料電池ユニットに向かって加熱された流体を排出し、第1燃料電池ユニットからの排出された加熱された流体の恩恵なしに第2燃料電池ユニットにおいて化学反応または起動を開始する時間と比較して、第2燃料電池ユニットにおける化学反応または起動を開始する時間を短縮するステップを含むことができる。
【0126】
さまざまな実施形態では、燃料電池システムを熱的に管理する方法は、燃料電池ユニットの面、面のセグメントまたは表面から優先的に熱を伝達するステップを含むことができ、低レベルの断熱材が、燃料電池ユニットの面、面のセグメントまたは表面、たとえば、アフターバーナ、燃料電池スタック、改質器および蒸発器に関連付けられた面、面のセグメントまたは表面に接触し、隣接し、および/または熱連通することができ、それにより、低レベルの断熱材に関連付けられた面、面のセグメントまたは表面を通したおよび/またはそれからの熱伝達を増大させることができる。いくつかの実施形態では、本方法は、第1燃料電池ユニットの面または表面から優先的に熱を伝達するステップと、第2燃料電池ユニットの面または表面から優先的に熱を伝達するステップとを含むことができ、低レベルの断熱材は、低レベルの断熱材を含む第1燃料電池ユニットの面、面のセグメントもしくは表面、および/または低レベルの断熱材を含む第2燃料電池ユニットの面、面のセグメントもしくは表面に、接触し、隣接し、および/または熱連通することができる。低レベルの断熱材を、第1燃料電池ユニットおよび第2燃料電池ユニットの改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの1つまたは複数の面、面のセグメントまたは表面に関連付けることができる。
【0127】
本方法は、第1燃料電池ユニットの面または表面から第1燃料電池ユニットと第2燃料電池ユニットとの間のチャネルに優先的に熱を伝達するステップと、第2燃料電池ユニットの面または表面からチャネルに優先的に熱を伝達するステップとを含むことができる。
【0128】
いくつかの実施形態では、本方法は、第3燃料電池ユニットの面または面のセグメントまたは表面から優先的に熱を伝達するステップを含むことができ、低レベルの断熱材が、第3燃料電池ユニットの面または面のセグメントまたは表面、たとえば、第3燃料電池ユニットの少なくともアフターバーナに接触し、隣接し、および/または熱連通することができる。特定の実施形態では、低レベルの断熱材は、第2燃料電池ユニットの第2面または第2面のセグメントまたは第2表面に、たとえば、第2燃料電池ユニットの少なくともアフターバーナに接触し、隣接し、および/または熱連通することができる。いくつかの実施形態では、第1、第2および第3燃料電池ユニットをそれぞれ直線に配置することができ、第1燃料電池ユニットの面または面のセグメントまたは表面を第2燃料電池ユニットの面または面のセグメントまたは表面に対向させることができ、第2燃料電池ユニットの第2面または第2面のセグメントまたは第2表面を第3燃料電池ユニットの面または面のセグメントまたは表面と対向させることができる(本明細書における他の実施形態を記述する燃料電池ユニットまたはヒータユニットの「面」、「面のセグメント」または「表面」に対する他の言及に対して理解されるように、上述した「面」、「面のセグメント」または「表面」を低レベルの断熱材に関連付けることができる)。
【0129】
低レベルの断熱材を使用して優先的に熱を伝達するステップを含む方法では、燃料電池ユニットの1つまたは複数は、遮熱ゾーン内にあり得る。遮熱ゾーンは、温度調節流体入口を含むことができる。こうした場合、優先的に熱を伝達するステップは、遮熱ゾーンの温度調節流体入口を通して温度調節流体を送達することを含むことができる。
【0130】
本教示のさまざまな方法は、燃料電池ユニットの改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの1つまたは複数と熱連通している熱交換液を循環させて、改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの1つまたは複数から循環する熱交換液への熱伝達を促進するステップを含むことができる。熱交換液は、水および/またはグリコールを含むことができる。グリコールの使用により、熱交換液の沸点を上昇させることができ、それにより、熱交換液の体積に対してより多くの熱を伝達することができる。グリコールは、グリコールの熱伝導性を上昇させるナノサイズの金属粒子等の金属を含むことができる。熱交換液を循環させる方法により、燃料電池ユニットの構成要素の温度を低減または制限することにより、劣化を制限することができる。たとえば、動作している燃料電池ユニットの改質器、燃料電池スタックおよび/またはアフターバーナの温度は、特に、高燃料流量動作状態中に制御することができ、それにより、それらの構成要素に存在する触媒および他の材料の劣化を制限または低減することができる。
【0131】
本教示のいくつかの方法は、燃料電池ユニット、または独立して第1燃料電池ユニットおよび/もしくは第2燃料電池ユニットの面または面のセグメントまたは表面の少なくとも1つと熱連通している熱交液を循環させるステップであって、面または面のセグメントまたは表面が低レベルの断熱材に関連付けられ、それにより、面または面のセグメントまたは表面を通しておよび/またはそれから熱交換液に熱を優先的に伝達する、ステップを含むことができる。
【0132】
本方法は、燃料電池ユニットを燃料電池システムの液体熱交換導管に接続するステップを含むことができる。本教示の方法は、たとえば、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットが、燃料電池ユニットの少なくとも1つの面または面のセグメントまたは表面に接触し、隣接し、および/または熱連通している低レベルの断熱材と熱連通している場合、燃料電池ユニットの少なくとも1つの面または1つの表面から循環している熱交換液に優先的に熱を伝達するステップを含むことができる。
【0133】
液体熱交換板または液体熱交換ジャケット内のまたはそれから出る加熱された熱交換液を、本明細書に記載するようにさまざまなデバイスにおよび/または種々の使用に対して送るかまたは送達することができる。たとえば、切換弁等を使用すること等により、加熱された熱交換液を1つまたは複数の他のデバイスに向けることができる流体または液圧回路パネルに、加熱された熱交換液を送るかまたは送達することができる。こうした構成または設計により、水タンク等の液体ヒートシンクリザーバへの効率的な液体-液体熱伝達を促進することができる。液体改質可能燃料のリザーバまたはガス状改質可能燃料のタンクもしくは容器等の改質可能燃料源と熱連通するように、加熱された熱交換液を送るかまたは送達することにより、改質可能燃料を予熱することができる。たとえば、加熱された熱交換液を用いて、液体改質可能燃料を気化するために必要な熱を低減させることができる。加熱された熱交換液を水のタンクまたは容器と熱連通するように送るかまたは送達して、燃料電池ユニットの動作に使用されるように水蒸気を形成または生成する前の水を予熱することができる。いくつかの実施形態では、第1燃料電池ユニットから第2燃料電池ユニットに加熱された熱交換液を循環させることにより、第1燃料電池ユニットからの加熱された熱交換液の恩恵なしに第2燃料電池ユニットの化学反応または起動を開始する時間と比較して、第2燃料電池ユニットにおける化学反応または起動を開始する時間を短縮することができる。
【0134】
本教示のさまざまな方法は、燃料電池ユニットを燃料電池システムの共通の(改質可能)燃料源導管に接続するステップを含むことができる。
【0135】
本教示の方法は、関連する1つまたは複数の正のガス圧源、改質器、燃料電池スタック、アフターバーナ、蒸発器、さまざまな弁アセンブリおよびセンサアセンブリを独立して含む、燃料電池システム、燃料電池ユニット、CHPシステムおよびそれらの1つまたは複数の構成要素の動作を、具体的に特定しない他の構成要素とともに、独立してモニタリングおよび制御するステップを含むことができる。
【0136】
燃料電池ユニット、その構成要素、構成および/または動作について言及する場合、燃料システムの他の燃料電池ユニット、たとえば、第1燃料電池ユニット、第2燃料電池ユニット、第3燃料電池ユニット等に対して、同じ構成要素、構成および/または動作を適用し得ることが理解されるべきである。
【0137】
図1Aは、本教示の燃料電池システムの実施形態の側断面図の概略図であり、燃料電池ユニットは遮熱ゾーン内にあり、アフターバーナからの排気導管の下流端部は遮熱ゾーンの外側で終端する。
【0138】
図1Aを参照すると、燃料電池システム100は、改質器104、燃料電池スタック106およびアフターバーナ108を含む燃料電池ユニット102を含む。燃料電池ユニットは、遮熱ゾーン110内にある。遮熱ゾーン110は、1つの温度調節流体入口112と1つまたは複数の排気流体出口114とを含む。正のガス圧源116が、温度調節流体入口112と動作可能に流体連通している。
【0139】
燃料電池システム100または燃料電池ユニット102は、アフターバーナ108を通して燃料電池スタック106のカソード(図示せず)にカソード空気を送達するカソード空気導管118と、改質器104にアノード空気、酸化剤および改質可能燃料の1つまたは複数を送達するアノード反応物導管120と、アフターバーナ108からの加熱されたアフターバーナ燃焼生成物等の加熱された流体を排出する排気導管122とを含む。排気導管122は、アフターバーナ108と流体連通している上流端部124と、遮熱ゾーン110の外側で終端する下流端部126とを含む。
【0140】
したがって、図示するような動作時、ファンまたはブロワ等の正のガス圧源は、温度調節流体、たとえば新鮮な周囲空気を、燃料電池ユニットおよびその構成要素の温度を調節するのに役立つように、温度調節流体入口を通して燃料電池ユニットを下って送達することができる。温度調節流体の移動は、矢印により、正のガス圧源を通り、遮熱ゾーン内の燃料電池ユニットの右側および左側を下り、遮熱ゾーンの底部近くの右側および左側において排気流体出口から出るように示されている。温度調節流体は、遮熱ゾーンを通って流れる際、燃料電池ユニットによって発生する熱によって温度が上昇する可能性があり、それにより、1つまたは複数の排気流体出口から流出する加熱された排気流体は、加熱された温度調節流体を含む。
【0141】
図1Bは、
図1Aの燃料電池システムと同様の本教示の燃料電池システムの実施形態の側断面図の概略図であるが、アフターバーナからの排気導管の下流端部は遮熱ゾーン内で終端する。図の同様の構成要素は、同じであるかまたは異なる場合があり、たとえば、構造の材料、センサアセンブリ、弁構成、導管接続および配置等、関連するさまざまな変更を有する場合がある。
【0142】
図1Bを参照すると、燃料電池システム100’は、改質器104’、燃料電池スタック106’およびアフターバーナ108’を含む燃料電池ユニット102’を含む。燃料電池ユニットは、遮熱ゾーン110’内にある。遮熱ゾーン110’は、2つ以上の温度調節流体入口112’と1つまたは複数の排気流体出口114’とを含む。正のガス圧源116’が、複数の温度調節流体入口112’と動作可能に流体連通している。
【0143】
燃料電池システム100’または燃料電池ユニット102’は、アフターバーナ108’を通して燃料電池スタック106’のカソード(図示せず)にカソード空気を送達するカソード空気導管118’と、改質器104’に、その後、燃料電池スタック106’のアノード(図示せず)にアノード空気、酸化剤および改質可能燃料の1つまたは複数を送達するアノード反応物導管120’と、アフターバーナ108’からの加熱されたアフターバーナ燃焼生成物等の加熱された流体を排出する排気導管122’とを含む。排気導管122’は、アフターバーナ108’と流体連通している上流端部124’と、遮熱ゾーン110’の内側で終端する下流端部126’とを含む。
【0144】
図示するような動作時、ファンまたはブロワ等の正のガス圧源は、温度調節流体、たとえば新鮮な周囲空気を、燃料電池ユニットおよびその構成要素の温度を調節するのに役立つように、温度調節流体入口を通して燃料電池ユニットを下って送達することができる。温度調節流体は、遮熱ゾーンを通って流れる際、燃料電池ユニットによって発生する熱によって温度が上昇する可能性があり、それにより、1つまたは複数の排気流体出口から流出する加熱された排気流体は、加熱された温度調節流体を含む。さらに、加熱されたアフターバーナ燃焼生成物は、温度調節流体の流れとともに正のガス圧源から下方に移動する。加熱されたアフターバーナ燃焼生成物は、温度調節流体の温度を上昇させるとともに、遮熱ゾーン内の温度を上昇させることができる。したがって、各遮熱ゾーン内の温度が、たとえば一部には正のガス圧源からの温度調節流体の流れの量によって制御されて、燃料電池ユニットの動作温度を維持するのに役立つように、アフターバーナからの排気を効率的に使用することができる。すなわち、たとえば、遮熱ゾーン内、したがって燃料電池ユニットの周囲の温度を低下させるために、温度調節流体の流れを増大させることができ、それにより、遮熱ゾーン内の加熱された流体は、1つまたは複数の排気流体出口を通って遮熱ゾーンからより迅速に噴出または排出される。
【0145】
図1Cは、4つの燃料電池ユニットを含む燃料電池システム100’’の上面図の概略図を示し、燃料電池ユニットの各々は遮熱ゾーン内にある(図示し標識するように、1つの燃料電池ユニットは第1遮熱ゾーン110’’内にあり、別の燃料電池ユニットは第2遮熱ゾーン110’’’内にある)。
図1Cの燃料電池ユニットの各々は、
図1Bに示す燃料電池ユニットと同様である。正のガス圧源116’’が、各遮熱ゾーンの上部に存在し、燃料電池ユニットの排気導管(図示せず)は、遮熱ゾーン内で終端する。しかしながら、
図1Cに示すように、アノード反応物導管120’’は、カソード空気導管118’’の反対側において遮熱ゾーン110’’から出ている。こうした構成により、各燃料電池ユニットのアノード反応物導管120’’を、インタフェース130を介して共通の(改質可能)燃料源導管128に接続または結合することができる。こうした構成は、発生しおよび/または燃料電池ユニット間のチャネルに向けられた熱を有益に使用して、共通の燃料源導管およびその中身を加熱することができる。
【0146】
図1Dは、4つの燃料電池ユニットを含む燃料電池システム100’’’の上面図の概略図を示し、燃料電池ユニットの各々は遮熱ゾーン内にある(図示し標識するように、1つの燃料電池ユニットは第1遮熱ゾーン110
iv内にあり、別の燃料電池ユニットは第2遮熱ゾーン110
v内にある)。
図1Dの燃料電池ユニットの各々は、
図1Aに示す燃料電池ユニットと同様である。正のガス圧源116’’’が、各遮熱ゾーンの上部に存在している。排気導管122’’の下流端部126’’は、遮熱ゾーン110
ivの外側で終端する。カソード空気導管118’’’は、インタフェース131を介して共通のカソード空気導管129に接続されるかまたは結合されている。アノード反応物導管(上面図ではカソード空気導管によって隠されているため図示せず)を共通の燃料源導管(同様に、上面図では共通のカソード空気導管によって隠されているため図示せず)に接続または結合することができる。反対側にまたは燃料電池ユニット間のチャネルにわたって、すなわち、遮熱ゾーン110
vが位置する場所において、別の共通のカソード空気導管129’が存在し、その共通のカソード空気導管は、第1の上述した共通のカソード空気導管129と同じ流体流を共有することができ、またはそれから独立していることができる。こうした構成により、燃料入口流から熱排気流を分離することができる。
【0147】
図1Eは、
図1Aと同様の本教示の燃料電池システムの実施形態の側断面図の概略図であるが、燃料電池ユニットは、排気導管を有する燃料電池ユニットの面のセグメントに隣接して低レベルの断熱材を有する熱調節ゾーン内にある。
【0148】
図1Eを参照すると、燃料電池システム100
ivは、改質器104’’、燃料電池スタック106’’およびアフターバーナ108’’を含む燃料電池ユニット102’’を含む。燃料電池ユニットは熱調節ゾーン111内にある(これが、
図1Aに示す燃料電池システムと
図1Bに示す燃料電池システムとの間の主な相違である)。熱調節ゾーン111は、燃料電池ユニットの面のセグメントに隣接し、それと熱連通している低レベルの断熱材113を含み、そのセグメントは、改質器の面または表面、燃料電池スタックの面または表面、およびアフターバーナ108’’の面のセグメントまたは表面を含む。したがって、熱調節ゾーンからの熱は、「H」と標識された大きい矢印の方向において、それらの面、セグメントおよび表面を通ってまたはそれから優先的に伝達され得る。熱調節ゾーン111は、2つ以上の温度調節流体入口112’’と1つまたは複数の排気流体出口114’’とを含む。正のガス圧源(ブロワ)116
ivが、導管117を介して温度調節流体入口112’’と動作可能に流体連通している。
【0149】
燃料電池システム100ivまたは燃料電池ユニット102’’は、アフターバーナ108’’を通して燃料電池スタック106’’のカソード(図示せず)までカソード空気を送達するカソード空気導管118ivと、改質器104’’に、その後、燃料電池スタック106’’のアノード(図示せず)にアノード空気、酸化剤および改質可能燃料の1つまたは複数を送達するアノード反応物導管120’’と、アフターバーナ108’’からの加熱されたアフターバーナ燃焼生成物等の加熱された流体を排出する排気導管122’’とを含む。排気導管122’’は、アフターバーナ108’’と流体連通している上流端部(標識せず)と、熱調節ゾーン111の外側で終端する下流端部126’’’とを含む。
【0150】
図1Eに示す燃料電池システムの動作は、
図1Aに示し、上述し本明細書に記載する燃料電池システムの動作と同様であり得る。しかしながら、燃料電池ユニットの1つまたは複数の構成要素の面、面のセグメントまたは表面の上にまたは隣接して低レベルの断熱材が存在することにより、追加熱伝達、管理および制御を達成することができる。本明細書に記載する本教示の他の特徴と組み合わせて、特に、燃料電池システムの複数の燃料電池ユニットの設計および構成に関連して、燃料電池ユニットおよび他の構成要素によって発生する熱は、燃料電池システムの動作中にエネルギーおよび熱を保存し、そのエネルギーの損失を低減させるように他の目的に使用することができ、それにより、より効率的に動作する燃料電池ユニットおよび燃料電池システムをもたらすことができる。
【0151】
図2Aは、
図1Aに示すものと同様の燃料電池ユニットを示す本教示の燃料電池システムの実施形態の側断面図の概略図であるが、アフターバーナ、燃料電池スタックおよび改質器は、液体熱交換ジャケットに接触している。
【0152】
図2Aを参照すると、燃料電池システム200は、改質器204、燃料電池スタック206およびアフターバーナ208を含む燃料電池ユニット202を含む。燃料電池ユニットは、遮熱ゾーン210内にある。遮熱ゾーン210は、温度調節流体入口212と1つまたは複数の排気流体出口214とを含む。正のガス圧源216が、温度調節流体入口212と動作可能に流体連通している。
【0153】
燃料電池システム200または燃料電池ユニット202は、アフターバーナ208を通して燃料電池スタック206のカソード(図示せず)にカソード空気を送達するカソード空気導管218と、改質器204に、その後、燃料電池スタック206のアノード(図示せず)にアノード空気、酸化剤および改質可能燃料の1つまたは複数を送達するアノード反応物導管220と、アフターバーナ208からの加熱されたアフターバーナ燃焼生成物等の加熱された流体を排出する排気導管222とを含む。排気導管222は、アフターバーナ208と流体連通している上流端部224と、遮熱ゾーン210の外側で終端する下流端部226とを含む。
【0154】
液体熱交換ジャケット232が存在し、改質器204、燃料電池スタック206およびアフターバーナ208と熱連通している。液体熱交換ジャケット232は、液体熱交換出口234および液体熱交換入口236を有する。液体熱交換ジャケットは、典型的には、燃料電池ユニットの1つまたは複数の構成要素、たとえば、アフターバーナ、燃料電池スタックおよび改質器の1つまたは複数の外周部、たとえば円周を取り囲み、それと熱連通している。液体熱交換板が典型的に存在し、燃料電池ユニットの1つまたは複数の構成要素の1つまたは複数の面、面のセグメントまたは表面と熱連通しているが、燃料電池ユニットの形状に応じて、外周部または円周を完全には包囲していない。しかしながら、他の変形形態、たとえば、導管および燃料電池ユニットに出入りする他の構成要素を除き燃料電池ユニット全体(すなわち、頂部、底部および側部)を取り囲む液体熱交換ジャケットを用いることができ、そうした変形形態は本教示に含まれる。
【0155】
動作時、液体熱交換入口を通して熱交換液を送達し、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットを通して循環させて、アフターバーナ、燃料電池スタックおよび改質器の1つまたは複数からの熱交換液に対して、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットと燃料電池ユニットのそれらの構成要素との間の熱連通に応じて、熱伝達を促進することができる。液体熱交換出口を介して液体熱交換板または液体熱交換ジャケットから、加熱された熱交換液を取り除くことができる。その後、液体-液体熱交換器、液体-ガス熱交換器、空調ユニットもしくはシステム、および/または本明細書に記載するかもしくは当技術分野においてもしくは他に既知であるような、加熱された熱交換液からの熱を取りこんで使用するかまたは他に噴出するのに適している他のデバイス等、1つまたは複数の他のデバイスに加熱された熱交換液を送ることができる。熱交換液は、水および/またはグリコールを含むことができる。グリコールを使用することにより、熱交換液の沸点を上昇させることができ、それにより、熱交換液の体積に対してより多くの熱を伝達することができる。
【0156】
他の点では、
図2Aの燃料電池ユニットの動作は、
図1Aの燃料電池ユニットの動作と同様であるが、液体熱交換ジャケットによって追加の熱伝達能力が与えられることが異なり、それは、たとえば、温度調節流体入口と流体連通している正のガス圧源とともに、遮熱ゾーン内の熱環境を調節するのに役立つことができる。液体熱交換板または液体熱交換ジャケットは、遮熱ゾーンまたは熱調節ゾーン内に存在しない燃料電池ユニットとともに使用されるかまたはその一部であり得ることが理解されるべきである。すなわち、本教示の遮熱ゾーンおよび熱調節ゾーンとは無関係に、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットを使用することができる。さらに、適切に設計および構成されている場合、液体熱交換ジャケットは、燃料電池ユニットの遮熱ゾーンまたは熱調節ゾーンを画定することができ、および/または存在する場合、任意の断熱材および/または低レベルの断熱材を含む燃料電池ユニットの保持構造であり得る。
【0157】
図2Bは、
図1Bに示すものと同様の燃料電池ユニットを示す本開示の燃料電池システムの実施形態の側断面図の概略図であるが、アフターバーナ、燃料電池スタックおよび改質器は液体熱交換ジャケットに接触している。
【0158】
図2Bを参照すると、燃料電池システム200’は、改質器204’、燃料電池スタック206’およびアフターバーナ208’を含む燃料電池ユニット202’を含む。燃料電池ユニットは、遮熱ゾーン210’内にある。遮熱ゾーン210’は、温度調節流体入口212’と1つまたは複数の排気流体出口214’とを含む。正のガス圧源216’が温度調節流体入口212’と動作可能に流体連通している。
【0159】
燃料電池システム200’または燃料電池ユニット202’は、アフターバーナ208’を通して燃料電池スタック206’のカソード(図示せず)にカソード空気を送達するカソード空気導管218’と、改質器204’に、その後、燃料電池スタック206’のアノード(図示せず)にアノード空気、酸化剤および改質可能燃料の1つまたは複数を送達するアノード反応物導管220’と、アフターバーナ208’からの加熱されたアフターバーナ燃焼生成物等の加熱された流体を排出する排気導管222’とを含む。排気導管222’は、アフターバーナ208’と流体連通している上流端部224’と、遮熱ゾーン210’の内側で終端する下流端部226’とを含む。
【0160】
液体熱交換板または液体熱交換ジャケット232’が存在し、改質器204’、燃料電池スタック206’およびアフターバーナ208’と熱連通している。液体熱交換ジャケット232’は、液体熱交換出口234’および液体熱交換入口236’を有する。この場合にも、
図2Bに示す燃料電池システムおよび燃料電池ユニットの動作は、
図1Bに示す燃料電池ユニットの動作と同様であるが、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットが追加されており、その動作について本明細書に記載する。
【0161】
図2Bの構成要素の設計および配置の1つの利点は、熱伝達が、液体熱交換ジャケットに接触または隣接する燃料電池ユニットの構成要素の外側の面または表面から発生するだけではなく、遮熱ゾーン内のアフターバーナからの排気も液体熱交換ジャケットの上に、それに接触して流れているか、送達されているかまたは移動して、遮熱ゾーンから熱交換液への熱伝達をさらに促進することである。燃料電池ユニットの排気から熱交換液への熱伝達を利用する他の設計および構成、たとえば、熱調節ゾーン内の燃料電池ユニット、または遮熱ゾーンもしくは熱調節ゾーン内に存在しないが、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットに関連付けられている燃料電池ユニットが、本教示に基づいて構想される。
【0162】
図2Cは、
図2Bに示すものと同様の燃料電池ユニットを示す本教示の燃料電池システムの実施形態の側断面図の概略図であるが、アフターバーナおよび燃料電池スタックのみが液体熱交換板または液体熱交換ジャケットに接触しており、アフターバーナの面の少なくとも2つと燃料電池スタックの1つの面とが、液体熱交換液への優先的な熱伝達のために、低レベルの断熱材を含む点が異なる。
【0163】
図2Cを参照すると、燃料電池システム200’は、改質器204’’、燃料電池スタック206’’およびアフターバーナ208’’を含む燃料電池ユニット202’’を含む。燃料電池ユニットは、遮熱ゾーン210’’内にある。遮熱ゾーン210’’は、温度調節流体入口212’’と1つまたは複数の排気流体出口214’’とを含む。正のガス圧源216’’が、温度調節流体入口212’’と動作可能に流体連通している。
【0164】
燃料電池システム200’’または燃料電池ユニット202’’は、アフターバーナ208’’を通して燃料電池スタック206’’のカソード(図示せず)にカソード空気を送達するカソード空気導管218’’と、改質器204’’に、その後、燃料電池スタック206’’のアノード(図示せず)にアノード空気、酸化剤および改質可能燃料の1つまたは複数を送達するアノード反応物導管220’’と、アフターバーナ208’’からの加熱されたアフターバーナ燃焼生成物等の加熱された流体を排出する排気導管222’’とを含む。排気導管222’’は、遮熱ゾーン210’’の内側で終端する下流端部226’’を含む。
【0165】
液体熱交換板または液体熱交換ジャケット232’が存在し、改質器204’’の少なくとも2つの面または2つの表面、および燃料電池スタック206’’の少なくとも1つの面または1つの表面と熱連通している。液体熱交換ジャケット232’’は、液体熱交換出口234’’および液体熱交換入口236’’を有する。
【0166】
アフターバーナおよび燃料電池スタックの面または表面に対応する燃料電池ユニットの1つの面に沿って低レベルの断熱材213が存在している(低レベルの断熱材は、燃料電池ユニットの外縁に沿って垂直な細い黒い線またはボックスによって示され、黒い線またはボックスは、概して断熱材を表す)。低レベルの断熱材213’はまた、アフターバーナの別の面または別の表面に沿っても存在する。
【0167】
この場合にも、
図2Bに示す燃料電池システムおよび燃料電池ユニットの動作は、
図1Bに示す燃料電池ユニットの動作と同様であるが、燃料電池ユニットの発熱構成要素および1つまたは複数の液体熱交換板もしくはジャケットに隣接する低レベルの断熱材が追加されており、その動作について本明細書に記載する。
【0168】
図2Cの構成要素の設計および配置の利点は、優先的な熱伝達が、低レベルの断熱材を有するアフターバーナおよび燃料電池スタックの外側の面または表面から発生し得ることである。したがって、燃料電池スタックおよびアフターバーナによって発生する放射熱等の熱を、それに接触しているかまたは隣接している液体熱交換ジャケットまたは液体熱交換板内の熱交換液に優先的に伝達することができ、それにより、燃料電池ユニットからの熱伝達をさらに促進し、燃料電池ユニットおよび/または遮熱ゾーンの熱環境の効率的な管理を可能にすることができる。
【0169】
低レベルの断熱材を用いて燃料電池ユニットからたとえば熱交換液および/または他の燃料電池ユニットへの優先的な熱伝達を利用する他の設計および構成が、本教示に基づいて構想され、本明細書では他の例を提供する。
【0170】
図2Dは、第1燃料電池ユニット202’’および第2燃料電池ユニット202’’を含む燃料電池システム200’’の上面図の概略図を示す。
図2Cの燃料電池ユニットの各々は、
図1Aに示す燃料電池ユニットと同様であり、第1燃料電池ユニットに対して標識されるように、正のガス圧源216’’が、各遮熱ゾーン210’’の上部に存在し、排気導管222’’は、遮熱ゾーン210’’の外側で終端する。しかしながら、
図2Cに示す燃料電池ユニットでは、各燃料電池ユニットの液体熱交換板または液体熱交換ジャケットは、共通の液体熱交換導管システム238に接続されるかまたは結合されている。
【0171】
共通の液体熱交換導管システムは、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットに新鮮な熱交換液を送達する共通の液体熱交換入口導管を含むことができる。共通の液体熱交換導管システムは、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットから加熱された熱交換液を取り除くように、共通の液体熱交換出口導管を含むことができる。共通の液体熱交換出口導管は、加熱された熱交換液から別の固体または流体媒体に熱を伝達するために、熱交換液のリザーバおよび/またはヒートシンクと熱連通することができる。
【0172】
より具体的には、再び
図2Cを参照すると、液体熱交換出口234’’は、出口インタフェース242を介して共通の液体熱交換出口導管240に接続されるかまたは結合され、液体熱交換入口236’’は、入口インタフェース244を介して共通の液体熱交換入口導管(共通の液体熱交換出口導管240の下に位置し、それが上に重なっているため図示せず)に結合されている。
【0173】
図3は、本教示の燃料電池システムの側断面図の概略図であり、燃料電池ユニットは、遮熱ゾーン内にある蒸発器を含み、アフターガーナからの排気導管の下流端部は、遮熱ゾーン内で終端する。
【0174】
図3を参照すると、燃料電池システム300は、改質器304、燃料電池スタック306およびアフターバーナ308を含む燃料電池ユニット302を含む。燃料電池ユニットは、遮熱ゾーン310内にある。遮熱ゾーン310は、温度調節流体入口312と1つまたは複数の排気流体出口314とを含む。正のガス圧源316が、温度調節流体入口312と動作可能に流体連通している。
【0175】
燃料電池システム300または燃料電池ユニット302は、遮熱ゾーン310内に位置する蒸発器346を含む。燃料電池システム300または燃料電池ユニット302は、アフターバーナ308を通して燃料電池スタック306のカソード(図示せず)にカソード空気を送達するカソード空気導管348と、蒸発器346および/または改質器304に、その後、燃料電池スタック306のアノード(図示せず)にアノード空気を送達するアノード空気導管350と、蒸発器346に液体改質可能流体を送達する改質可能燃料導管352と、アフターバーナ308からの加熱されたアフターバーナ燃焼生成物等の加熱された流体を排出する排気導管322とを含む。図示する排気導管322は、遮熱ゾーン310の内側で終端する。
【0176】
この場合にも、
図3に示す燃料電池システムおよび燃料電池ユニットの動作は、
図1Bおよび
図2Bに示す燃料電池ユニットの動作と同様であるが、遮熱ゾーン内に蒸発器が追加され、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットが排除されている(ただし、
図3に示す燃料電池システムおよび燃料電池ユニットで、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットを使用することができる)。燃料電池システムおよび燃料電池ユニットの動作は同様であるが、遮熱ゾーン内に蒸発器を含めることにより、燃料電池ユニットによって発生する熱、たとえば、アフターバーナの排気内の熱の使用を促進することができ、それは、アフターバーナの排気が、正のガス圧源の補助によって蒸発器に向けられるためである。アフターバーナの排気からの熱は、蒸発器に入る前のアノード空気を加熱する(または予熱する)ことができるとともに、蒸発器に送達される前に遮熱ゾーンの底部から入る改質可能燃料を予熱することができる。さらに、改質器および燃料電池スタックによって発生する熱を用いて、蒸発器およびさまざまな流体流を加熱することができる。
【0177】
図4Aは、CHPシステムの上面図の概略図であり、5つの例示的な燃料電池ユニットおよびヒータユニットが共通の燃料源導管に接続されており、燃料電池ユニットの対の間のチャネル内に蒸発器が存在している。
【0178】
図4Aを参照すると、CHPシステム454は、5つの燃料電池ユニット402、402’、402’’、402’’’、402’’’’とヒータユニット456とを含む。図示する燃料電池ユニットの各々は、燃料電池システムにおけるその配置を除いて実質的に同じであり、それは、個々の燃料電池ユニットおよびヒータユニットを取り除き、および/または同様に設計および構成されたユニットと交換することができる「プラグアンドプレイ」燃料電池システムを表すことができる。たとえば、燃料電池ユニット(およびヒータユニット)のアノード反応物導管の各々は、燃料電池ユニットの中心からずれているが、その位置にも関わらず、各燃料電池またはヒータユニットは、共通の燃料源導管に接続または結合されるように構成されている。燃料電池ユニットの各々は実質的に同じであるため、各々のすべての構成要素または特徴には標識していない。
【0179】
依然として
図4Aを参照すると、1つの燃料電池ユニット402’が、燃料電池ユニット402’、402’’の対の間に存在するチャネル458内に面している、その排気導管422’を有する。同様に、燃料電池ユニット402’’の対の他方は、チャネル458内に面し、第1燃料電池ユニット402’の排気導管402’に向かう、その排気導管422’’を有する。したがって、各燃料電池ユニットは、改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナ(ここには図示しないが
図4Bに図示する)の1つまたは複数から、燃料電池ユニットのこの対の間とともに他の燃料電池ユニットとヒータユニットとの間に存在するチャネル458内に、加熱された流体を排出し、および/または本明細書に記載するように熱を優先的に伝達することができる。
【0180】
チャネル458内に、共通の燃料源導管428が配置されており、それは、共通の燃料源導管と各燃料電池ユニットの改質器またはヒータユニットとの間に動作可能な流体連通を提供するように、複数のインタフェース(上面図では正のガス圧源によって隠されているため図示せず)を有する。チャネル458内にはまた、蒸発器446も位置しており、それは、システムを通る改質可能燃料の流れに応じて種々の構成で共通の燃料源導管428に接続することができる。図示するように、燃料電池ユニット402’は、燃料電池ユニットからの排気流、したがって熱が噴出されるチャネル458と反対側に位置する、その電子回路460’を有する。こうした配置は、電子回路が、燃料電池ユニットならびに燃料電池システムおよびCHPシステムによって発生するおそれがある過度に高い温度を回避するのに役立つことができる。
【0181】
図4Aはまた、上述した燃料電池ユニット402’、402’’の対の間のチャネル458に関連付けられた3つの正のガス圧源462、462’、462’’も含む。CHPシステムに対して見ることができるように、隣接する燃料電池ユニットの対または隣接する燃料電池ユニットおよびヒータユニットは、存在するこうした正のガス圧源を有する。1つの正のガス圧源のみを使用して、排気導管からの加熱された排気の方向性のある移動をもたらすことができるが、ユニットの各対の間の2つもしくは3つまたはそれより多くの正のガス圧源を使用することにより、チャネル内の加熱された排気および他の流体の流れに対してより優れた制御が可能になる。すなわち、各正のガス圧源は、それが有効である、それ自体の「ゾーン」、たとえば熱ゾーンを有するものしてみなすことができる。正のガス圧源の下の垂直に画定された熱ゾーンの各々を、独立してモニタリングすることができ、こうした熱ゾーン内の正のガス圧の送達速度を、各正のガス圧源に対して適切に制御することができる。
【0182】
たとえば、図示するシステムでは、排気導管422’、422’’の上方に位置する中心の正のガス圧源462’は、排気導管から集中した熱を下方に向けさせるようにより多くの正のガス圧を送達する必要がある場合があり、一方で、周辺の正のガス圧源462、462’’は、燃料電池システム内の熱環境の適切なバランスを維持するために、正のガス圧の強力なまたは高い流量としては不要である可能性がある。
【0183】
ここで、
図4Aの線A-Aに沿ったCHPシステム454の2つの例示的な燃料電池ユニット402’、402’’の側断面図の概略図である
図4Bを参照すると、チャネル458の上部の近くに正のガス圧源462’を見ることができ、それは、各燃料電池ユニット402’、402’’それぞれの排気出口422、’、422’’から排気を向けることができる。こうした配置は、燃料電池ユニットから排出される熱を効率的に使用して、チャネル内に位置する蒸発器446および共通の燃料源導管428を加熱することができる。さらに、1つの燃料電池ユニットからの排気ガスおよび熱を用いて、必要に応じて、他の燃料電池ユニット、ヒータユニットおよび/またはそれらの構成要素に熱を補給することができ、それにより、CHPシステム(または燃料電池システム)全体を熱的により効率的に管理することができる。その結果、CHPシステム(または燃料電池システム)内の熱環境を、システムの各構成要素に対してまたは各熱ゾーンに対して一定の動作温度または適切な動作温度を維持するように、モニタリングし調節することができる。
【0184】
図5A~
図5Eは、本教示の燃料電池システムのさまざまな構成の上面図の概略図である。各燃料電池ユニットおよびその断熱材は、正方形または矩形によって表されており、断熱材を燃料電池ユニットに分散させ、燃料電池ユニットの外周部の周囲の各面、面のセグメントまたは表面に関連付けることができる。(参照および理解を容易にするために、図示する正方形および矩形は燃料電池ユニットを指すが、燃料電池ユニット(管状または別の断面形状であり得る)は、正方形または矩形内にあり、必ずしも図示するように断熱材に接触していない。)燃料電池ユニットは、燃料電池ユニット間で優先的に熱を伝達するようにアレイで配置することができ、低レベルの断熱材が、燃料電池ユニットの1つまたは複数の面、面のセグメントまたは表面に接触し、隣接し、および/または熱連通している。低レベルの断熱材に関連付けられた燃料電池ユニットの面または表面は、太い線によって表されている他の面または表面と比較して細い線で表されている。低レベルの断熱材は、燃料電池ユニットの他の面、他の面のセグメントおよび/または他の表面に接触し、隣接し、および/または熱連通している断熱材と比較して低レベルの断熱材を指す。
【0185】
低レベルの断熱材は、燃料電池ユニットまたはヒータユニットの形状ならびに使用される断熱材のタイプ等、さまざまな考慮事項に応じて、多くの異なる設計および材料によって具現化することができる。たとえば、固体断熱材が、燃料電池ユニットの周囲に配置することができる固体断熱材料のシートまたは層を含む場合、レベルの低下した固体断熱材は、優先的な熱伝達が望まれる場所でより薄いシートまたは層を使用することによって具現化することができる。その目的で、いくつかの用途では、低レベルの断熱材は、断熱が存在しないことを意味する場合もある。流体断熱材、たとえば、空気または空気ブランケット等、ある体積のガスが使用される場合、レベルの低下した流体断熱材は、優先的な熱伝達が望まれる場所でより薄い体積のガスを使用することによって具現化することができる。さらに、低レベルの断熱材とともに液体熱交換板または液体熱交換ジャケットを使用することができ、または液体熱交換板または液体熱交換ジャケットが燃料電池ユニットの1つまたは複数の面または表面の上でより薄いかまたは存在しない可能性がある場合、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットを低レベルの断熱材を提供するために使用することができる。固体断熱材および流体断熱材の組合せは、本教示の断熱材に含まれる。
【0186】
低レベルの断熱材は、量の低減した断熱材を指すのみではなく、低減した熱障壁、または低減した熱保護もしくは保持も指し得ることが理解されるべきである。すなわち、異なる断熱係数を有する異なる固体断熱材および/または流体断熱材を使用することができ、低レベルの断熱材は、熱貫流(thermal transmission)(または熱伝達)を増大させることができる。換言すれば、同様の量であるが、異なるレベルの熱貫流および/または熱伝導率を有する断熱材が存在する場合があり、それにより、低レベルの断熱材が提供される。
【0187】
さらに、低レベルの断熱材は、燃料電池ユニットの1つまたは複数の面もしくは表面、または遮熱ゾーンもしくは熱調節ゾーンに沿った断熱材の勾配であり得る。たとえば、断熱のレベルは、燃料電池ユニットの面または表面の方向に沿って改質器からアフターバーナまで上昇または低下させることができる。低レベルの断熱材は、面または面全体ではなく面の一部(表面とみなすことができる)に接触し、隣接しおよび/または熱連通して存在することができる。たとえば、低レベルの断熱材は、改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナの1つまたは複数に接触し、隣接し、および/または熱連通して存在することができ、それにより、面のセグメントは、改質器、燃料電池スタック、アフターバーナ、改質器および燃料電池スタック、改質器およびアフターバーナ、または燃料電池スタックおよびアフターバーナであり得る。低レベルの断熱材は、面のセグメントに存在することができ、セグメント内で徐々に変化することができる。
【0188】
図5Aを参照すると、燃料電池ユニットおよびその断熱材503の正方形水平断面の上面図は、(例示された正方形または矩形断面での「側部」である)その面、面のセグメントまたは表面上に、太い線によって表されている燃料電池ユニットの他の側部に接触し、隣接し、および/または熱連通している断熱材と比較して、低レベルの断熱材を表す細い線を有する。
図5Aに示すように、低レベルの断熱材、すなわち、レベルの低下した固体断熱材および/または流体断熱材が、燃料電池ユニットの1つの面、面のセグメント、または1つの表面に接触し、隣接し、および/または熱連通している。したがって、「H」と標識された大きい矢印の方向において、燃料電池ユニットから熱を優先的に伝達することができる。
【0189】
図5Bは、第1燃料電池ユニットおよびその断熱材503と、第2燃料電池ユニットおよびその断熱材503’とを示し、レベルの低下した固体断熱材および/または流体断熱材が、第1燃料電池ユニットの1つの面または1つの表面に接触し、隣接し、および/または熱連通している。図示するように、第2燃料電池ユニットおよびその断熱材503’から優先的な熱伝達が発生しないため、第2燃料電池ユニットは、遮熱ゾーンまたは熱調節ゾーン内にあり得る。
【0190】
図5Cは、第1燃料電池ユニットおよびその断熱材503と、第2燃料電池ユニットおよびその断熱材503’’とを示し、レベルの低下した固体断熱材および/または流体断熱材が、第1燃料電池ユニットの1つの面または1つの表面、および第2燃料電池ユニットの1つの面または1つの表面に接触し、隣接し、および/または熱連通している。図示するように、一方の燃料電池から他方の燃料電池ユニットに向かって、優先的な熱伝達が発生することができ、その逆も可能である。こうした構成では、必要に応じて、必要な場合、各燃料電池ユニットの熱環境を他の燃料電池ユニットからの熱伝達の補助により維持することができる。
【0191】
図5Dは、第1燃料電池ユニットおよびその断熱材503と、第2燃料電池ユニットおよびその断熱材503’’と、第3燃料電池ユニットおよびその断熱材503’’’とを、直線上配置またはアレイで示す。図示するように、各燃料電池ユニットの(システムに対する)外側の面または表面は、断熱材を含む。しかしながら、レベルの低下した固体断熱材および/または流体断熱材は、燃料電池ユニットの(システムに対する)内側の面または表面に接触し、隣接し、および/または熱連通している。実際には、燃料電池ユニットおよびその断熱材503’’’は、優先的に他の燃料電池ユニットに熱を伝達するかまたは他の燃料電池ユニットから熱を受け取ることができる2つの面または表面を含む。
【0192】
図5Eは、燃料電池ユニットとそれらのそれぞれの断熱材503
iv、503
v、503
vi、503
vii、503
viii、503
ixとの2×3アレイを示す。
図5Dに示す1×3アレイと同様に、各燃料電池ユニットの(システムに対する)外側の面または表面は断熱材を含む。しかしながら、低レベルの固体断熱材および/または流体断熱材は、燃料電池ユニットの(システムに対する)内側の面または表面に接触し、隣接し、および/または熱連通している。この構成では、燃料電池ユニットは、各1×3アレイ間に熱を伝達することができるだけでなく、各1×3アレイによって形成されたチャネル内にそれにわたって熱を伝達することができる。
【0193】
最後に、
図5Fは、燃料電池ユニットとそれらのそれぞれの断熱材503
iv、503
v、503
vi、503
vii、503
viii、503
ixとの別の2×3アレイを示す。この変形形態では、低レベルの断熱材は、(システムに対する)外側の面または表面とともに、別の燃料電池ユニットに隣接する内側の面または表面の上にあるかまたはそれに隣接している。したがって、燃料電池ユニットによって発生する熱は、「H」で標識された大きい矢印によって示すように、燃料電池ユニットの各1×3アレイ間の内部チャネルから外側に、それから離れるように優先的に伝達することができる。小さい方の矢印によって示すように、熱はまた、燃料電池ユニット間で優先的に伝達することができる。こうした配置により、燃料電池システムの電子回路および他の熱に弱い構成要素または機器がチャネル(熱的に低温のゾーン)に存在することができ、それにより、各燃料電池ユニットに対して、たとえば配線および導管のためにより短い接続を可能にすることができる。
【0194】
図6Aは、改質器604、燃料電池スタック606およびアフターバーナ608を有する燃料電池ユニット602を含む燃料電池システム600の側断面図の概略図である。燃料電池システム600は、改質器、燃料電池スタックおよびアフターバーナを含む燃料電池ユニットの構成要素に接触しまたは隣接するが、少なくとも熱連通して位置する断熱材603、603’を含む。燃料電池システムは、燃料電池ユニット602の2つの面のセグメントの上にまたはそれに隣接して、ただし少なくとも熱連通して低レベルの断熱材613、613’を有する。
【0195】
図示するように、低レベルの断熱材に関連付けられた燃料電池ユニットの面または表面のセグメントは、3本の線によって表されている面または表面の他のセグメントと比較して1本の線で表されている。それらの線は、固体断熱材のシートを表すことができ、それにより、低レベルの断熱材は、燃料電池ユニットの他のセグメントの上または隣接している断熱材より約2/3薄い。しかしながら、厚さの描写および相違は、本明細書に記載するような断熱材の他の形態およびレベルを表すことができる。図示するように、低レベルの断熱材の特定の設計および配置は、たとえば「H」と標識された大きい矢印の方向において、燃料電池スタックの面または表面から離れるように、アフターバーナの反対側の面または反対側の表面から離れるように、優先的に熱を伝達することができる。したがって、燃料電池ユニットの個々の構成要素に関連して低レベルの断熱材を配置することによるとともに、燃料電池システム内に互いに隣接してこうした燃料電池ユニットを配置することにより、燃料電池システムの熱管理を制御することができる。
【0196】
図6Bは、
図6Aに示すものと同様の燃料電池システム600の側断面図の概略図であり、燃料電池システム600は、改質器604、燃料電池スタック606およびアフターバーナ608を有する燃料電池ユニット602を含む。燃料電池システム600は、燃料電池ユニット602の構成要素および隣接する断熱材603’’、603’’’を適所に維持することができる、板金または他の剛性熱伝導性材料等の保持構造633、633’を含む。燃料電池システムは、燃料電池ユニット602の2つの面、より具体的には、燃料電池スタック606の少なくとも1つの面または1つの表面、およびアフターバーナの少なくとも2つの面または2つの表面のセグメントの上にまたはそれに隣接して、ただし少なくとも熱連通して、低レベルの断熱材613’’、613’’を有する。
【0197】
燃料電池システムはまた、(図示する液体熱交換ジャケットまたはプレートが1つのユニットであるかまたは2つの別個のユニットであるかに応じて)1つまたは複数の液体熱交換ジャケットまたは液体熱交換板632、632’も含む。液体熱交換ジャケットまたは液体熱交換板632、632’は、燃料電池ユニット602の外側保持構造633、633に接触している。液体熱交換ジャケットまたは液体熱交換板632、632’は、低レベルの断熱材613’’、613’’’に関連付けられた燃料電池スタック606およびアフターバーナ608の面または表面に(熱伝導性保持構造を介して)隣接し、熱連通している。したがって、燃料電池スタックおよびアフターバーナによって発生する放射熱等の熱は、燃料電池ユニットおよび燃料電池システムの熱管理に役立つように、液体熱交換ジャケットまたは液体熱交換板内の液体に優先的に伝達することができる。
【0198】
図6Cは、
図6Bの燃料電池システム600の側断面図の概略図であるが、液体熱交換液のための追加の熱源のために、1つまたは複数の液体熱交換板または液体熱交換ジャケットに接触してまたは隣接して、2つのアフターバーナ排気導管622、622’が追加されている。たとえば、アフターバーナから排気ガスを排出しそれを冷却する前に、導管または他のチャネルは、液体熱交換板または液体熱交換ジャケットに接触または隣接するが、少なくとも熱連通して、本明細書の別の箇所に記載したかまたは当技術分野において既知であるように、循環する液体熱交換液を使用のための温度に維持するための別の熱源を提供することができる。
【0199】
図6Dは、燃料電池ユニットおよびその関連する断熱材603を表す矩形断面を示す燃料電池システム600’の上面図の概略図であり、断熱材は、
図5A~
図5Fと同様に燃料電池ユニットの外周部の周囲にある。燃料電池システムは、3つの面または表面に低レベルの断熱材を含み、断熱材は、1つの面613’’’にわたって存在しないかまたは最低もしくはより低レベルとすることができ、(適度に)低レベルの断熱材が、2つの面613
iv、613
vにわたって存在している。図示するように、「H」で標識された小さい方の矢印によって表されているように、高レベルの断熱材(ただし、依然として燃料電池ユニットに対しては低レベルの断熱材)を有する他の面613
iv、613
vと比較して、「H」で標識された大きい矢印によって表すように最も低レベルの断熱材を有する面613’’’から、量が増大した、すなわち高レベルの熱伝達が発生することができる。この配置では、燃料電池ユニットの電子回路および/または電力変換構成要素660は、低レベルの断熱材を有していない燃料電池ユニットの面、面のセグメントまたは表面の上にまたはそれに隣接して位置する。すなわち、電子回路、集電板、バスバーおよび他の熱に弱い構成要素を、より量の厚い固体断熱材等、高いレベルの断熱材の上にまたはそれに隣接して配置しまたは位置決めすることにより、こうした構成要素を熱伝達から遮蔽することができる。
【0200】
図7は、2つの燃料電池ユニット702、702’を有する燃料電池システム700の上面図の概略図であり、各燃料電池ユニット702、702’は、それらのそれぞれの改質器704、704’からそれらの燃料電池スタック706、706’、それらのアフターバーナ708、708’へ水平方向に配置されており、燃料電池ユニットは、弁アセンブリ729を介してそれらのそれぞれのアノード反応物導管720、720’に接続されるかまたは結合される共通の燃料源導管728を共有する。各燃料電池ユニットは、排気導管722、722と同じ面または表面に低レベルの断熱材713、713’を有する。各燃料電池ユニットはまた、改質器704、704’の面または表面のセグメント間に低レベルの断熱材713’’、713’’’を有する。各燃料電池ユニットは、カソード空気導管718、718’を含む。この配置では、燃料電池ユニットの熱および排気は、「H」で標識された大きい矢印によって示すように、共通の燃料源導管およびカソード空気導管の起点から離れる方向に優先的に伝達される。「H」で標識された小さい方の矢印によって示すように、熱は、燃料電池ユニット間で優先的に伝達される。こうした熱伝達は、反応物(たとえば、液体改質可能燃料等の改質可能燃料)を加熱し、および/または気化状態、すなわちガス状態に維持するのに役立つことができる。
【0201】
本教示は、本教示の趣旨または本質的な特徴から逸脱することなく他の具体的な形態の実施形態を包含する。したがって、上述した実施形態は、すべての点で、本明細書に記載した本教示に対して限定するものではなく例示するものとしてみなされるべきである。したがって、本発明の範囲は、上述した説明によるのではなく添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内にあるすべての変更形態がその中に包含されるように意図されている。