(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】荷物受取り収納装置及び荷物受取り配送システム
(51)【国際特許分類】
A47G 29/12 20060101AFI20240823BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20240823BHJP
E05B 37/00 20060101ALI20240823BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20240823BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20240823BHJP
G06Q 10/083 20240101ALI20240823BHJP
【FI】
A47G29/12 A
E05B65/00 D
E05B37/00
E05B49/00 J
B65G61/00 550
G06Q10/083
(21)【出願番号】P 2022071942
(22)【出願日】2022-04-08
【審査請求日】2022-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】522165256
【氏名又は名称】竹田 正美
(72)【発明者】
【氏名】竹田 正美
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-192241(JP,A)
【文献】特開平10-276893(JP,A)
【文献】特開平07-011850(JP,A)
【文献】特開平11-270249(JP,A)
【文献】特開2020-084496(JP,A)
【文献】特開2019-208589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/12
E05B 65/00
E05B 37/00
E05B 49/00
B65G 61/00
G06Q 10/083
(57)【特許請求の範囲】
【請求項4】
請求項3の装置及びシステムにおいて、前記表面ドアとして
既存ドアを用い、該
既存ドアの奥側に、出入
り用ドア奥側後付け式折り畳み収納庫と、
該収納庫に電源部、通信部、制御部、記憶部、アクチュエータ駆動部からなる無線施解錠機構部を設け、
該無線施解錠機構部を介して遠隔操作で固定位置切替え可能な可動フックと、遠隔操作で前記
既存ドアのサムターンを切替え可能な遠隔サムターン切替え手段を設け、
前記既存ドアの奥側左右壁面に建物側着脱用フック受け座部付きフレーム板と、前記
既存ドアの内表面にドア側着脱用フック受け座部材
を設け、
前記
既存ドアのドアノブを前記分割式ドアノブに交換し、
出入り時には、
前記後付け式折り畳み収納庫の前記可動フックを前記ドア側着脱用フック受け座部材に固定するよう切り替えて前記既存ドアに前記後付け式折り畳み収納庫を一体化させ、前記
分割式ドアノブを一体化させて前記
既存ドアを解錠して出入りし、
荷物
収納時には
前記後付け式折り畳み収納庫の前記可動フックを前記フレーム板の建物側着脱用フック受け座部側に固定するよう切り替えて、
前記後付け式折り畳み収納庫を前記
既存ドアの奥側左右壁面に固定し、前記配送業者に前記荷物受取用ドアの解錠手段として前記遠
隔サムターン切替え手段を用いて前記
既存ドアを解錠させ、前記分割式ドアノブを分離させて表面側ドアノ
ブのみで前記
既存ドアを開閉させることを特徴とする荷物受取り収納装置及び荷物受取り配送システム。
【請求項8】
請求項1の装置及びシステムにおいて、前記配送業者用解錠手段として、電源部、通信部、制御部、記憶部、アクチュエータ駆動部を有する無線施解錠手段を設け、該無線施解錠手段の操作と前記撮像手段の撮作、配送業者に対して荷物の撮影画像の輪郭画像処理または文字部のモザイク処理が可能なアプリをインターネット上に配布し、前記配送サービス利用者と前記配送業者の双方で所有する位置情報検出手段と遠距離または近距離通信手段または遠距離と近距離両方の通信手段付き通信端末に前記アプリを登録させ、前記配送サービス利用者が前記アプリに解錠コードを登録した後、前記配送業者が、
荷物
配送前に前記アプリで前記撮影画像を表示させて前記収納庫の荷物収納状態を確認してから配送先に出向き、配送先に到着した後、前記アプリに前記配送業者の前記通信端末の位置情報が荷物配送先住所と一致することを認識させたうえで、前記配送サービス利用者の電話番号か追跡番号を打ち込むと、前記アプリが前記配送サービス利用者に前記コードに応じた解錠信号送信を要求して遠距離通信手段で直接前記配送サービス利用者に解錠させるか、
または予め荷物に前記配送サービス利用者と荷物に関する情報をコード化して表記しておいたコード情報を前記通信端末でその場で撮影して読み取らせて前記アプリに認識させて、前記アプリが、荷物情報と位置情報と配送サービス利用者の注文情報を自動照合し、各情報が一致した際に自動的に前記解錠信号を遠距離通信手段で送信して解錠するか、
または前記解錠信号を前記配送業者に伏せたまま前記配送業者の前記通信端末の近距離通信手段を介して送信して解錠した後、前記解錠信号情報を前記配送業者の通信端末から消去するか、
または前記アプリが前記遠距離通信手段を介して時間制限付き解錠コードを前記無線施解錠手段と前記荷物配送業者の通信端末の双方に送信し、制限時間内に双方の解錠コードが一致した場合のみ前記解錠信号を発生させて前記無線施解錠手段が前記荷物受取用ドアを解錠するか、
のいずれかの方法で、前記荷物配送業者が前記荷物受取用ドアを開けて荷物の収納を終えて前記荷物受取用ドアを閉じると自動的に施錠され、同時に受け取り完了通知が前記アプリを介して配送サービス利用者に通知されることを特徴とする荷物受取り収納装置及び荷物受取り配送システム。
【請求項10】
請求項1から9の各装置及びシステムにおいて、前記配送サービス利用者が発送したい荷物を、前記収納庫内に収納して施錠した後、
機械式ダイヤルまたはテンキー錠を用いた際には、電話またはメールなどの連絡手段を用いて可変機械ダイヤルまたはテンキー錠の解錠コードを前記配送業者に伝えておくか、
または、前記無線施解錠手段を用いた際には、前記専用アプリを介して事前に前記配送業者に荷物引取り依頼件を登録した後、引取り場所に到着した前記配送業者から該配送業者情報と現在地情報を含む前記荷物受取り用ドア解錠要求信号の送信を受けて前記専用アプリが自動で前記配送業者の通信手段に解錠コードを送信し、前記専用アプリが前記配送業者の通信手段の短距離通信手段を介して解錠コードを前記無線施解錠手段に送信して解錠させるか、
のいずれかの方法で前記配送業者に前記荷物受取用ドアを開錠可能にし、前記配送業者による自宅発送の荷物の受け取りを可能にすることを特徴とする荷物受取り収納装置及び荷物受取りシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアを用いた荷物収納装置及び施解錠システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビやネットなどの通販による商品購入が増えており、昨今の感染症の影響もあり、対面形式の買い物の減少や在宅勤務増大による外出機会自体の減少など、通販による配送業者を介した商品購入は益々増加する傾向にある。
【0003】
このため、配送業者の業務稼働率は高まる一方で、注文者不在の際、配送業者が荷物を一旦持ち帰った後に改めて配送し直す再配達問題も増加しており、配送業者の負担が益々増えるうえ、感染対策上、対面機会を増やしたくないという問題も新たに発生しており、これらの問題解決策が求められている。
【0004】
このような問題解決策として、従来、宅配ボックスが考案されており、宅配ボックス内に印鑑を内蔵させておく方法から自動押印機能や音声入力機能まで装備するものまで提案されていた。(参考文献1)
【0005】
また、通常の住宅で玄関周辺に大きな宅配ボックスを設置するスペースを確保することは難しく、門扉がある場合に大きめのボックスを設けることはできるが、門扉から玄関まで荷物を運ぶ手間が掛かり、雨天時には不便となるため、玄関周辺部に邪魔にならないボックス設置実現策として、使用しない時にボックスを玄関ドアに折り畳んで取り付け、受け取り予定日に組み立てた状態で待機させておくという方法の提案がある。(参考文献2)
【0006】
また、従来配送サービス利用者は、宅配ボックスの受け取り口を解錠したまま外出し、配送業者に受け取り口を開けて荷物を収納させ、配送業者による施錠や自動施錠させた後、受取り人が自分の鍵等で解錠して受け取る方法が基本的であったため、解錠状態で待機中に第3者による異物投入などのいたずら防止が困難であり、1日に複数回の荷物の受け取ることもできなかった。
【0007】
上記のいたずらや複数受取りの課題に関しては、近年いわゆるスマートフォン(以下「スマホ」と称する)の普及に伴い、これを利用して、宅配ボックスの受け取り口を遠隔で解錠、施錠する技術が提案されている。(参考文献3)
【0008】
この提案では、まず宅配ボックスに「電話で解錠要請するよう指示するメモ」を貼っておき、現場に到着した配送業者から電話連絡を受けた配送サービス利用者が遠隔操作でボックスを解錠するというもので、セキュリティー対策としてボックスにカメラを設け、作業を監視しながら荷物を受け取る製品もある。
【0009】
このような製品は、配送サービス利用者が自宅にインターネット接続可能な環境があることを前提として、そのスマホを用いた監視カメラ等に利用可能なホームネットワークシステムを構築している場合に、宅配ボックスをシステムの一端末として組み入れて使用しており、ルータとホームネットワークシステム用の中継器をWi-Fi(登録商標)などの無線LANで接続し、さらにこの中継器からDECT(DigitalEnhancedCordlessTelecomuinications)通信を介して70m先までの宅配ボックスの通信端末段と接続して遠隔操作の施解錠や荷物受け取りの遠隔監視を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平06-345185号広報
【文献】特開平08-182604号広報
【文献】実用新案登録第3235404号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、以上の各改善提案内容及び改良製品においても尚、以下のような課題が残されていた。
【0012】
ア.玄関周辺部の設置スペースが少なく、大きな荷物の受取りが困難
例えボックスを折り畳み式にしても、組み立てと解体折り畳み作業スペースが必要なうえ、作業負担が増えるため重くできず、従来の宅配ボックスから大型化することが困難であり、そもそも荷物を持ち上げて上から投入する構成のため、利用できる荷物側の重さや高さにも制約があり、特にスキー板、ゴルフバッグ、釣り竿などの長尺物の収納は困難なままである。
【0013】
イ.ボックスの大型化及び設置工事に伴うコスト増大
玄関周辺スペースに例え余裕があっても、宅配ボックスのサイズや構成要素の増大に伴って費用が増大し、大きな容器を安全に保持するために基礎工事を含む取り付け工事が必要となり、コストが増大する。
【0014】
ウ.配送業者以外の人物が勝手に開けるいたずら防止策が困難
上記の機械錠式では、荷物配送予定日に宅配ボックスを解錠状態で待機させるしかなく、この間のいたずらを防止することが困難なままである。
【0015】
エ.1日に一度しか受けとれない
機械錠式では、一度荷物を受け取ると施錠され、次の荷物は受け取れない。
【0016】
オ.電子錠の遠隔操作で複数回施解錠できても、毎回配送業者対応が必要となる
宅配ボックス側に無線施解錠手段とカメラを追加し、スマホで遠隔操作可能にすれば、いたずら防止と複数回の荷物受取りはできるが、外出中に配送業者に対応する必要があるため仕事中に受け取れず、そもそも不在中に非対面で荷物が受け取れるという宅配ボックス本来の利便性が失われる。
【0017】
カ.複数回受け取りできても、満杯後に配送された荷物の配送が無駄になる
遠隔操作で複数回の受け取りが可能となると、逆に何度も受け取る間に宅配ボックスが満杯になっても配送業者が気づけず、再配達が必要となる。
【0018】
キ.荷物発送時には配送業者まで出向くか自宅で対面で荷物を渡す必要がある
逆に荷物を発送したい場合、配送サービス利用者は「配送業者や配送業者と提携するコンビニなどまで荷物を持ち込む」か、「配送業者に連絡して自宅に集荷に来てもらうまで待機する」かのいずれかの負担が必要で、さらに対面で荷物の受け渡しをするしかない。
などの課題が残り続けていた。
【0019】
本発明は、以上の各課題を改善し、玄関周辺のスペースを有効利用して、「少なくとも荷物受け取りが無い場合は無駄なスペースを占拠しない」、「玄関ドアに近いサイズと間口幅に近い奥行を有する大型収納庫をドアの交換または取り付け作業程度で実現できる」、「組み立てや解体作業不要で、押し出しまたは引き出し操作のみで収納庫を展開可能」、「機械錠でも荷物受け取り待機中のいたずら防止や複数回受取りが可能」、「電子錠にしても不在中に非対面で複数回の荷物受取りが可能」。「配送業者に再配達させる無駄を防止」、「逆に荷物を自宅から発送したい場合も対面せずに荷物受け渡しが可能」という従来の課題解決に加えて新たなサービス利用形態を開拓可能にする荷物受取り収納装置及び荷物受取りシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記各課題を解決するため、本発明は、出入用ドアに、荷物受取用ドアと、該荷物受取用ドアの背部に押し出しまたは引き出し動作で収納庫を展開可能な折り畳み収納手段を設け、荷物受け取り時に、前記出入用ドアを施錠したまま、配送業者に前記荷物受取用ドアを解錠させ、前記収納手段を展開させて形成される前記収納庫に荷物を収納させることを特徴とする。
【0021】
また、本発明によれば、前記荷物受取用ドアが、荷物受取用ドアノブと、荷物受取用施解錠手段と、荷物受取用ヒンジ部を有し、前記収納庫が前記出入用ドアの高さと幅から該出入用ドアの施解錠部とドア枠部を除く高さと幅を有し、該幅以上の奥行を形成可能であることを特徴とする。
【0022】
また、本発明によれば、前記荷物受取用ドアを前記出入用ドアの表層ドアで兼用し、ドアノブとして内ノブが固定状態で外ノブを引くと内外の2体に分離する分離型ドアノブ、前記表層ドアの背部に前記収納手段を有する出入り規制板を設け、出入り時には該出入り規制板用の施解錠手段と前記表層ドアの両方を解錠して前記外ノブと前記内ノブを一体化して出入りし、荷物受取り時には前記出入り規制板を施錠し、前記表層ドアを解錠して分離された前記外ノブ付き前記表層ドアを開けて、露出する前記折り畳み収納手段を展開して荷物を収納することを特徴とする。
【0023】
また、本発明によれば、前記既存ドアの室内側に後付け用収納手段付き出入り規制板を設け、該後付け用出入り規制板を、
建物側左右ドア枠に固定するための建物側固定部材と、
前記既存ドア側に固定するための既存ドア側固定部材と、
を各々設けて前記出入り規制板内部に固定先接合切替え手段を設け、
既存ドアノブをラッチボルトへの回転力伝達替え機能を有する可変ダイヤル錠付き分離型ドアノブに交換し、
前記出入り規制板の前記既存ドア対向面に既存サムターンのツマミ部を挟んで回転可能な爪部材を当接し、
前記出入り規制板の室内面側から前記爪部材を延長回転する機能と前記出入り規制板の固定先接合切替え機能を有する第2サムターンを設けたことを特徴とする。
【0024】
また、本発明によれば、上記各装置において、前記荷物受取用ドアの折り畳み収納手段展開後の収納庫壁の内、奥側壁板に室内側からのみ開閉可能な室内側開閉手段を設けたことを特徴とする。
【0025】
また、本発明によれば、前記荷物受取用ドアは、前記既存ドアの外側に、引き出し展開型折り畳み式収納手段を内蔵する荷物受取用ドアを、接着、ネジ止め、ベルト固定、既存ドアノブへの連結固定のいずれかまたはこれらを組み合わせて後付け固定したものであることを特徴とする荷物受取り収納装置。
【0026】
また、本発明によれば、配送業者による前記荷物受取用ドア解錠手段として、注文時に発行された追跡番号または配送サービス利用者の電話番号の所定桁位置から所定桁方向に対する所定桁数の番号を解錠コードとして可変型機械錠に設定してから施錠した後、前記配送業者に荷物のラベルに付与された追跡番号または配送サービス利用者の電話番号の所定桁位置から所定桁方向に対する所定桁数の番号を暗証番号として入力するよう指示した指示部を設け、前記配送業者は前記指示部の指示に沿って前記コード入型機械錠を解錠して荷物を収納した後、ドアを閉めると自動ロックされることを特徴とする。
【0027】
また、本発明によれば、上記各装置において、電源部、通信部、制御部、記憶部、アクチュエータ駆動部を有する無線施解錠手段を設け、該無線施解錠手段操作専用アプリをインターネット上に配布し、配送サービス利用者と前記配送業者の双方で遠距離通信手段付き通信端末を用いて前記専用アプリを登録し、配達先に到着した前記配送業者が前記アプリを介して、
必要情報を打ち込むか、または荷物に付与されたコード情報を前記通信端末で読み取るか、のいずれかの方法で入力すると、
前記アプリが前記荷物受取用ドア解錠要求信号を自動的に前記遠距離通信手段を介して前記配送サービス利用者の通信端末に送信し、受信した前記配送サービス利用者が、前記アプリを介して解錠信号を送信するか、
または前記アプリが、荷物情報と位置情報と配送サービス利用者の注文情報を自動照合し、必要な情報が一致した際に自動的に前記解錠信号を送信するか、
のいずれかで、前記配送業者の通信端末に前記遠距離通信手段を介して解錠信号を送信した後、前記専用アプリが前記配送業者の通信端末の前記近距離通信手段によって前記荷物受取用ドアに解錠コードを送信して荷物受取ドアを解錠した後、前記解錠信号データを前記配送業者の通信端末から消去するか、
または無線施解錠手段の通信部にも遠距離通信手段を追加し、前記アプリが前記遠距離通信手段を介して疑似乱数などを用いて差鵜性した時間制限付き解錠コードを前記無線施解錠手段と前記荷物配送人の通信端末の双方に送信し、制限時間内に双方の解錠コードが一致した場合のみ前記無線施解錠手段が前記荷物受取用ドアを解錠するか、
のいずれかの方法で荷物を収納した後、前記荷物受け取り用ドアを閉じると自動的に施錠され、同時に受け取り完了通知が前記アプリを介して配送サービス利用者に通知されることを特徴とする。
【0028】
また、本発明によれば、前記各装置において前記収納手段上部に照明手段と、撮像手段または撮像手段と測距センサを設け、前記アプリを介して、前記配送業者による荷物収納時の画像情報を前記配送サービス利用者に配信しつつ、前記通信端末またはクラウドサーバー上に画像を保存するとともに、前記配送業者も、荷物配送準備時に前記アプリを介して逐次配送先収納庫内の画像情報を入手可能とし、該画像情報を基に、
前記配送業者自身に前記収納庫内の既存荷物による占有空間を認識させて次回配送予定荷物が追加収納可能なサイズかどうかを判断させるか、
または画像情報または画像情報と測距情報を基に、前記専用アプリの演算機能または該アプリ開発管理者の演算装置を用いて、前記収納庫内の既存荷物による占有空間と追加収納可能な荷物サイズを通知させるか、
のいずれかの方法で、配送前に新規の荷物が追加収納可能かどうかの判断情報を前記専用アプリを介して前記配送業者に提供可能にすることを特徴とする。
【0029】
また、本発明によれば、上記各装置において、前記配送サービス利用者が発送したい荷物を、前記収納庫内に収納した後、
前記配送サービス利用者が可変ダイヤル錠またはテンキー錠などの機械錠で施錠した際には、電話や電子メールなどで前記機械錠の解錠コードを前記配送業者に伝えておいて解錠させる、
前記配送サービス利用者が前記無線施解錠手段を用いた際には、前記専用アプリを介して事前に前記配送業者に荷物引き取り依頼件を登録した後、引き取り先に到着した前記配送業者から該配送業者情報と現在地情報を含む前記荷物受取用ドア解錠要求信号の送信を受けて、前記専用アプリが自動で前記配送業者の通信手段に解錠コードを送信し、前記専用アプリが前記配送業者の通信手段の短距離通信手段を介して解錠コードを前記無線施解錠手段に送信して解錠させる、
のいずれかの方法で自宅発送の荷物の引き渡しを可能にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明を用いることにより、配送された荷物の受け取り収納手段として、玄関周辺のスペースを有効利用を促進し、「少なくとも荷物受け取りが無い場合は無駄なスペースの犠牲を強いること」なく、「玄関ドアに近い高さと幅と幅と同等の奥行きを有する大型収納庫をドアの交換または取り付け作業程度」だけで実現し、「複雑な組み立て作業不要で、押し出しまたは引き出し操作のみで収納庫を展開可能」とし、「機械錠でも荷物受け取り待機中にいたずらされること無く」、「不在中に複数回の荷物受取りを非対面で行うこと」も可能とし、「配送業者の無駄な再配達を防止」でき、「逆に自宅から荷物を発送する際も非対面で不在中に配送業者に集荷させる」ことを可能にするなど、従来の宅配ボックスの課題解決に加えて新たなサービス利用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の第1の実施の形態における荷物受取り収納装置の構成と使用方法を示す図であり、
図1(A)は施錠状態の出入用ドアを開けようとしている状態斜視図、
図1(B)は出入用ドアを開けた後の斜視図、
図1(C)は出入用ドアを閉めた状態で配送業者が荷物受取用ドアを開けようとしている状態斜視図、
図1(D)は遠隔施解錠装置の構成ブロック図、
図1(E)は荷物受取用ドアを開けた後の斜視図、
図1(F)は折り畳み収納手段を押し出して展開させた状態の斜視図、
図1(G)は荷物受取用ドアを閉じた状態の施解錠手段の水平断面位置における上面図、
図1(H)は荷物受取用ドアを開いた状態の施解錠手段の水平断面位置における上面図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態における荷物受取り収納装置をネットワーク接続された通信端末を用いて配達先に到着した配送業者が解錠する際に必要な各種構成要素と環境を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態における荷物受取り収納装置をネットワーク接続された通信端末を用いて配達先に荷物を配送しようとする配送業者が配送前に配送先の収納庫の状態を把握するために必要な各種構成要素と環境を示す図である。
【
図4】本発明の第2の実施の形態における荷物受取り収納装置の構成と使用方法を示す図であり、
図4(A)は引き出し型荷物受取用ドアを手前方向引き出す直前の斜視図、
図4(B)は荷物受取用ドアを出入用ドアから外すためのドアノブの回転方向説明図、
図4(C)は折り畳み収納手段に天板と床板を追加した場合の状態の背面から見た状態と展開方向説明図、
図4(D)は荷物受取用ドアを引き出した状態の斜視図、
図4(E)及び
図4(F)は各々外部展開後の荷物受取用ドアノブの防止性を高めるために蛇腹状カバーと袋状カバーを追加した場合の斜視図である。
【
図5】本発明の第3の実施の形態における荷物受取り収納装置の構成と使用方法を示す図であり、
図5(A)は既存の出入用ドア表面に引き出し型荷物受取用ドアユニットを後付けしようとしている状態斜視図、
図5(B)は既存の出入用ドア表面に引き出し型荷物受取用ドアユニットを後付けして固定した状態の斜視図である。
【
図6】本発明の第4の実施の形態における荷物受取り収納装置の構成と使用方法を示す図であり、
図6(A)は出入用ドア兼荷物受取用ドアを配送サービス利用者が出入り用に開けようとしている状態斜視図、
図6(B)はドアを閉じた状態の施解錠手段の水平断面位置における上面図、
図6(C)は出入用ドアを開いた状態の施解錠手段の水平断面位置における上面図である。
図6(D)は出入用ドア兼荷物受取用ドアを配送業者が荷物収納用に開けようとしている状態斜視図、
図6(E)は荷物受取用ドアを開いた状態の施解錠手段の水平断面位置における上面図、
図6(F)は荷物受取用ドアを開けて折り畳み収納手段を露出させた状態の斜視図である。
【
図7】本発明の第4の実施の形態における荷物受取り収納装置の構成と使用方法を示す図であり、
図7(A)は既存の出入用ドアノブの外ノブを可変ダイヤル錠に交換する直前の状態斜視図、
図7(B)は既存の出入用ドアを開けて建物側左右ドア枠及び既存ドア裏面に後付け部品を追加している状態の斜視図、
図7(C)は後付け部品追加後の入用ドアを開けた状態の斜視図、
図7(D)は更に折り畳み収納手段を押し出し展開した後の入用ドアを開けた状態の斜視図、
図7(E)はダイヤル錠付きドアノブ周辺部の上断面図、
図7(F)は第2サムターンの3状態切替得位置説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明に係る荷物受取り収納装置及び荷物受取りシステムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により、本発明に係る荷物受取り収納装置及び荷物受取りシステムが限定されるものではない。
【0033】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態における荷物受取り収納装置の概要を
図1(A)から(F)の6通りの使用状態差及び観察方向に応じて各々示した図であり、以下、
図1(A)から(F)の各図に沿って詳細に説明を進める。
【0034】
<出入ドアの開閉>
図1(A)は、本発明の荷物受取り収納装置である荷物受取り収納庫付きドアを閉めた状態の斜視図であり、出入ドア1を開ける際には、物理鍵6’を鍵穴4’に差して解錠させ、ドアノブ4を回しながら引いてか開く方法の他、配送サービス利用者の通信端末(以下スマホ6と称する)を用いて、施解錠装置4c(本図面では破線枠内に内蔵)内の
図1(D)の電源部4d1、制御部4d2、通信部4d3、データ記憶部4d4、施解錠駆動部4d5などで構成された遠隔施解錠装置4dに対する通信手段としてBluetooth(登録商標)などの無線PAM系の短距離通信手段4eを用い、配送サービス利用者が予めスマホ6内にインターネットなどからダウンロードしたドア施解錠専用アプリ50(本装置及びシステム用に事前に開発しておく)を用いて、まず出入りドア解錠コードを送信し、通信部4d3で受信して制御部4d2を介して記憶部4d4に解錠コード信号を登録しておく。
【0035】
その後、解錠時にも専用アプリ50を用いて、出入ドア解錠コード信号を出入ドア1付近でスマホ6の画面に表示される解錠ボタンを押すと、スマホ6から通信部に解錠信号が送信され、制御部が記憶部の登録済み解錠コードと照合したうえで施解錠駆動部を起動してモータやソレノイドなどのアクチュエーターを駆動してドア内のデッドボルト位置を解錠位置に戻して解錠し、同時にドア側から完了信号を受信してスマホ6の専用アプリ50の表示画面に「解錠完了」が表示される。
【0036】
逆に、電子錠で施錠する時は、同様に登録済みの出入ドア施錠コード信号を施錠出入ドア1付近で送信したり、オートロック機構(機械式と電子式のいずれでもよい)で施錠したりすると、施錠と同時に施錠確認信号が上記の解錠時と同様の手順でスマホ6に伝送されて、施錠を確認することができる。
【0037】
図1(B)は、解錠された出入ドア1を開いて玄関内側スペース13を露出させた状態であり、建物側ドア枠1’から開けられた出入ドア1の背面に、出入ドア施解錠部枠2の室内側面にドアノブ4とサムターン12、側面に出入ドア用ノッチボルト4aとデッドボルト4b、内面中央部に折り畳み収納手段7の奥側仕切り板7e、その側部端部に磁性金属板8と、その対向面の出入ドア施解錠部枠2の内面に磁石板9(ここでは磁力を用いた簡易な構成で奥側仕切り板7eを出入ドア施解錠部枠2の室内側面と磁気的に接着させることで、展開時と収納時の作業性を容易にしているが、より安定させるために左右に設けたり、四隅に配置しても良く、磁力以外の他の機械的な弱固定保持機構を用いても良いことは言うまでも無い)を設けており、さらに奥側仕切り板7e中央部には左右の7e1と7e2に開閉可能にするためのロックレバー10とフック11が設けられている。
(尚、本構成では専用ドアを既存ドアに置き換えて使用することが前提のため、強度の強いヒンジ部を用いているが、仕切り板下部にキャスターを設けて荷重を床に分散させ、既存ドアヒンジ部の負担を軽減させる構成にしても良いている)
【0038】
<荷物受取ドアの開閉>
荷物受取ドア3の開閉について、まず配送サービス利用者本人が施解錠する際は、物理鍵、可変ダイヤル錠、無線通信のいずれでも可能である。
次に、本発明の特徴となる、
「配送業者に、ドアに内蔵させた荷物受取ドアを開けさせ、さらにその内部の折り畳み収納手段を展開させて荷物を収納させる」
という目的達成のために、配送業者に荷物受取ドア3を開けさせる場合、主にダイヤル式やテンキー式などの機械錠を用いる場合と、電子錠を用いる場合の2通りがあり、
図1(C)の前記出入ドア1を閉じて施錠した状態から、配達先に到着した配送業者が荷物受取ドア3を開ける手順を以下に説明していく。
【0039】
A:暗証番号を随時書き換え可能な機械錠を用いる場合
配送サービス利用者が、暗証番号を随時書き換え可能な機械錠として左端部に物理議穴を有する4桁の可変ダイヤル錠5’(桁数は4桁に限らず、セキュリティー向上のためテンキー式の機械錠で桁数を増やしてもよい)を用い、事前に解錠用暗証番号を入力させる方法として、以下の2通りがある。
【0040】
a.当日の荷物配送予定が1件しかない場合
商品注文時に通販業者が作成し、配送サービス利用者に事前通知され、配送荷物のラベルに記載される「商品追跡番号(問い合わせ伝票番号)」の内、
「何桁目の番号から桁の上または下方向に何桁分のコード」
を予め登録して施錠し、配送業者に荷物のラベルを基に解錠させるため、このコード入力を指示した指示書を機械錠の周囲に表示しておく。
【0041】
b.当日の荷物配送予定が複数ある場合
荷物ラベルに記載される配送サービス利用者情報として電話番号を用い、
「電話番号の何桁目の番号から桁の上または下方向に何桁分のコード」
を予め登録して施錠し、配送業者に荷物のラベルを基に解錠させるために、このコード力を指示した指示書を機械錠の周囲に表示しておく。
など方法で、配達人が荷物を収納してドアを閉じるとオートロックされるため、常に荷物受取ドア3を施錠したまま受取り待機できる。
【0042】
B:近距離無線通信による電子錠を用いる場合
上記の機械錠式ではセキュリティー上の不安が残る場合(特に電話番号を基に複数回荷物を受け取る場合)には電子錠式が有効であり、そのために、出入ドアと同様、ドア内部の施解錠装置4c内の遠隔施解錠装置4dの通信部のBluetoothなどの短距離通信手段4eを用い、
a.駆動部で荷物受取ドア3のデッドボルトも駆動可能にしておく
b.その記憶装置部と専用アプリ50の両方に荷物受け取りドア3の解錠コードを登録しておく
などの準備をしておく必要がある。
(このコード登録作業性向上のため、ドア付近で専用アプリ50に解錠コードを登録すると近距離通信で自動的にドア内部の遠隔施解錠装置4d内の記憶装置部に記憶されるように設定しておくことが望ましい)
【0043】
次に、配送業者のスマホ14などの通信端末にも荷物受取ドア解錠専用アプリ50をダウンロードさせたうえで、
図2の左上部に示すように、
ア.アプリ50の指示に従って、スマホに荷物に貼られたラベルの追跡番号を入力する(配送業者のスマホ14にカメラ機能が無い場合)
イ.アプリ50の指示に従って、スマホのカメラを用いて配達情報を暗号化されたバーコードまたはQRコードをスマホに読み取らせる
のいずれかの方法で、ラベルの追跡番号を専用アプリ50に認識させる。
【0044】
すると、専用アプリ50は配送業者のスマホ14から
図2のIPネットワーク網23を介して、配送サービス利用者のスマホ6に荷物情報を送信し、注文情報登録済みの専用アプリ50が、
ウ.ラベルの追跡番号がアプリに登録された追跡番号と一致するか?
エ.追跡番号に関連付けられた荷物配達予定日情報が配送業者のスマホ14の現在の日付けと一致するか?
オ.追跡番号に関連付けられた配達先住所が配送業者のスマホ14の現在地情報と一致するか?
などの照合を自動的に行う。
【0045】
上記各条件が全て一致した場合、
カ.配送業者のスマホ14の専用アプリ50が解錠ボタンを表示し、配送業者にボタンを押させて荷物受取ドア3を解錠させる
キ.上記情報の一致を確認した専用アプリ50が自動的に解錠コードを荷物受取ドア3に送信して解錠させる
のいずれかを配達人に選択(事前に、配送業者がアプリに安全性と作業性のいずれを優先するかを設定可能にしておく)させて、荷物受取ドア3を開けて折り畳み収納手段を展開させ、荷物を収納させた後、ドアを閉めると自動的に施錠されるように設定しておく。(通常の機械オートロック機構でも電子式オートロック機構のいずれの方式でもよい)
【0046】
オートロック機構が動作すると短距離通信手段4eが配送業者のスマホ14の専用アプリ50に荷物受け取り完了を通知し、IPネットワーク網23を介して配送サービス利用者のスマホ6の専用アプリ50に転送され、荷物受け取り完了を確認する。尚、以上において、荷物収納完了後は配送業者のスマホ14から解錠コードの痕跡が自動的に消去されるように専用アプリ50で設定されている。
【0047】
C:IPネットワークを介した時間制限付きコードで電子錠を解錠する場合
更に、セキュリティーを向上させたい場合、各解錠時のみに一時的に使用可能なパスワードをドア側と配達人側の双方に発行して解錠させる時間制限付き解錠コード方式が有効である。
【0048】
この方式を利用する場合、配送サービス利用者は、予め自宅パソコンとインターネット接続する環境を有していることを前提とし、自宅内通信に使用するルータとWi-Fiなどの無線LANで無線通信でドア側の遠隔施解錠装置4dの通信装置と接続することで、IPネットワークを介してドア側に時間制限付き解錠コードを設定することができる。
【0049】
本発明においては、遠隔施解錠装置4dの通信装置部に短距離通信手段4eに加えて他の追加通信手段4fを増設可能な構成にしてあり、
a.追加通信手段4fとしてWi-Fiなどの無線LAN通信端末を取り付けてルータと直接接続する
b.ドアとそこより室内側のルータに近い位置との間に短距離通信中継器を設け、既存の短距離通信手段4eでルータと接続する
のいずれかの装置及び関連設備を選ぶことが可能なため、消費電力やルータとの距離などの条件に応じて変更でき、配線工事が困難で電池駆動させたい場合やルータとの距離が近い場合などには後者のbを選ぶことが望ましい。
【0050】
一方、時間制限付き解錠コードをドア側に一時記憶させるための追加通信手段4fとして前記従来例の市販製品で使用されてるDECT通信端末を用い、DECT通信中継器を設けてルータとWi-Fiなどの無線LAN接続させることも可能であり、それによって前記従来例で市販されている「通信可能な宅配ボックス」と同様、他の監視カメラなどの装置とともに本発明のドアを既存製品のホームネットワークに組み込むことも可能である。
【0051】
また、建物側に適当な通信環境が無く、ドアを直接IPネットワークに接続させたい場合、追加通信手段4fとしてSIMカード用通信端末を増設して、専用SIMカードを用いて他のスマホと直接通信可能にしても良い。
【0052】
以上のような各種通信手段を介して時間制限付きコードによって無線解錠させる構成では、具体的に以下のような手順と機構で解錠が実行される
(1)配達先に到着した配送業者が、荷物のラベルのQRコードを配送業者のスマホ14で撮影するなどの方法で、少なくともラベルに付与された追跡番号(12桁のお問い合わせ伝票番号など)の情報を専用アプリ50に取り込むと、専用アプリ50(または荷物受取り代行業者)が発生させた時間制限付き解錠コードを配達先住所のドアの遠隔施解錠装置4dとルータを介して遠隔施解錠装置4dの記憶装置部に一時記憶させる。
(この時点から所要時間のカウントを開始し、所定時間を過ぎると逆に記憶装置からこの時間制限付き解錠コードを消去させる信号を送信する)
【0053】
(2)専用アプリ50は同時に、配達人のスマホ14にも同じ時間制限付き解錠コードを送信し、
ア.配達人がスマホに表示される解錠ボタンを押して解錠する場合:
(セキュリティー性を重視し、念のために配送業者にドアの解錠を認識させて、開錠させたい場合に事前に設定)
【0054】
イ.専用アプリ50が自動的に解錠する場合:
(配達人の作業効率を重視し、荷物のラベルを撮影すると専用アプリ50が時間制限付き解錠コードをIPネットワークを介してドア側とに受診すると同時にドアに対してそのまま解錠コードを送信させて、ドアを自動的に解錠できるように事前に設定しておく。
【0055】
以上の機械錠式と電子錠式の2通りの方法のいずれかの方法で、配送サービス利用者が対面することなく、配達先に到着した配送業者によって荷物受取ドア3を解錠して荷物受取ドアノブ5を回してラッチボルト5aを引き込んでドアを開いた状態の斜視図が
図1(D)であり、荷物受取ドア3には専用施解錠部15がある。
【0056】
この開いた状態では荷物受取ドアラッチボルト5aが露出しているが、デッドボルトはこの専用施解錠部15側には無く、その受け座部5bが設けられており、これはロック機構部を出入ドア側に集約させて小型化とコストダウンを促進するためである。
(尚、以上における「専用アプリ50」は、配送サービス利用者、配送業者、通販業者などに有償で販売するか、インターネット上で無料配布後にその都度の利用料請求、定期定額制で料金請求などの各方法で利用可能とする)
【0057】
<荷物受取ドア裏の収納庫展開と荷物収納>
一方、荷物受取ドア裏の収納側には、この斜視図では出入ドア枠の横に折りたたまれた状態の収納手段16における4枚の側面隔離板の内の7aと7b及びそれらのヒンジ部17(ここでは上下2ヶ所に設定)、中央部に奥側隔離板7eの一部と押し出しや引き戻し操作用の収納手段把手18が露出している。
(ここでは、隔離板として左右奥側の計6枚の板と荷物受取ドア裏面で収納庫を構成しているが、これらの板の枚数に制限されるものではなく、枚数をさらに増やしたり、スライド可能にして収納庫のサイズをさらに拡張させたり、上下方向に天板や巻取り式の天幕、床板や巻取り式の床シートなどを追加したり、布を用いた袋状やジャバラ状の折り畳み式収納庫にしても良く、その材質としてアルミ、ステンレスなどの金属板の他、薄型化と軽量化のためにガラス、炭素繊維、セルロースナノファイバー等の繊維強化樹脂を用いても良い)
【0058】
出入ドア施解錠部枠2のドアノブ周辺には配送業者への荷物の収納方法説明として、
「正面の収納手段把手を押して左右の折り畳み隔離板を玄関内に展開して収納庫を完成させた後に荷物を収納し、荷物受取ドア3を閉める」
という作業指示部を設けておき、配送業者が作業を終了すると、荷物受取ドア3は自動的に施錠され、配送サービス利用者のスマホ6の専用アプリ50に「荷物受け取り完了」が通知される。
【0059】
以上の各ドアの開閉動作及び収納庫展開動作を
図1(E)と(F)のデッドボルト4bの中央部の水平切断上面図を用いて補足説明すると、
A.
図1(A)の状態では、
図1(F)のように各ドアとデッドボルト及び収納手段が配置されており、
(1)施解錠装置4c内の出入ドア用デッドボルト4bは、受け座部4b’に侵入する位置で固定
(2)荷物受取ドア用デッドボルト5bは、荷物受取ドア側の受け座部5b’に侵入する位置で固定
【0060】
B.
図1(E)の収納庫展開後の状態では、
図1(G)のように各ドアとロックト及び収納手段が配置されており、
(1)荷物受取ドア用デッドボルト5bは、施解錠装置4c内に移動して荷物受取ドア3が解錠されて開く
(押し出し展開に必要な力は20N~40Nの間で調整)
(2)配送業者が正面に露出した収納手段把手18を押して各ヒンジ部17を介した開閉動作によって玄関奥方向に7aから7eまでの5枚の隔離板で囲まれた収納庫を展開させる
という各動作でこれらの状態を維持している。
【0061】
<荷物収納作業の監視と収納庫内の状態通知>
以上で説明した
図1(D)で荷物受取ドアの裏に露出した収納手段の上部には照明付きカメラ20も設けられている。(ここでは奥側隔離板7eの上部に斜め下方向を撮影可能に設置しているが、カメラの種類としては全天球型カメラが望ましく、また、設置位置として出入ドアの上フレーム部に設けても良い)
【0062】
このカメラによって、
(ア)まず、
図2の左上部に示すように、施錠状態の出入ドア1に到着した配送業者が、その配送業者のスマホ14で、通販業者や配送業者によって荷物21に貼られたラベルのQRコード21’(バーコードでもよい)を専用アプリ50で撮影する。
【0063】
(イ)専用アプリ50はQRコード21’の注文または配送情報から配達先住所を認識し、
図2の中央上部のGPS衛星22のGPS信号で検出されるスマホの現在地情報と照合する。
【0064】
(ウ)配達先住所とスマホの現在地が一致すると、配送業者のスマホ14が遠距離通信手段によってIPネットワーク網に「配送業者到着」との情報を専用ア プリ50を介して発信し、同時に荷物受取ドア3解錠要求信号を送信する。
【0065】
(エ)これらの信号を配送サービス利用者のスマホ6の通信端末が専用アプリ50を介して受診し、
A.配送サービス利用者が専用アプリ50を介して配送業者のスマホ14に、荷物受取りドア3の解錠信号を送信するか?
B.専用アプリ50が自動的に事前に登録済みの荷物受取ドア3の解錠信号を直接配送業者のスマホ14に送信するか?
のいずれかの方法(荷物の重要度などに応じて配送サービス利用者が任意で選択可能)で、配送業者のスマホ14に送信し、専用アプリ50を介して、配送業者が「荷物受取ドア解錠ボタン」を押すと、配送業者のスマホ14と出入ドア1の短距離通信手段4eを介して荷物受取ドア3を解錠する。
(または、これらの工程を専用アプリ50に全て任せることに同意しておくと、配送業者がスマホ14で荷物21に貼られたラベルのQRコード21’を撮影して専用アプリ50に取り込んだ後の作業はすべて省略可能となり、瞬時荷物受け取りドア3が解錠されるようにしておくことも可能である)
【0066】
(オ)配送業者が、上記の開錠後に露出した折り畳み収納部を把手18を押し出し展開して玄関内部に収納庫19を形成してから荷物を収納する。
【0067】
(カ)荷物を収納後、配送業者が荷物受取ドア3を閉じると、ドアは自動的に施錠され、同時に「荷物受取完了&施錠完了」信号が出入ドア1の遠隔施解錠装置4dから配送業者のスマホ14に短距離通信で送信される。
【0068】
(キ)「荷物受取り完了&施錠完了」信号は、専用アプリ50によってスマホ14からIPネットワーク網23を介して、配送サービス利用者のスマホ6の通信種端末に送信される。
【0069】
などの手順で荷物受取り完了が確認されるが、この時の収納庫内の状況は
図2の左下の上面図のようにカメラ20で、(1)のように荷物収納後の状態監視と、(2)のように荷物受取ドア3が開いた時から再び(1)のように施錠されるまでの状況をリアルタイムで監視することも可能なうえ、配送サービス利用者のスマホ6内の記憶装置やそのクラウドサーバ25にこの間の画像が保存され、後で確認することも可能となる。
【0070】
また、以上の荷物受取り工程において、配送サービス利用者が外出先で多忙な場合、予め委託契約した荷物受取り代行業者24(専用アプリ開発業者や警備会社等)に荷物受け取り作業を監視させ、既存の荷物を抜き取るような不審な行動を検知した場合にすぐに対処可能にしておくことも可能である。
【0071】
<自宅からの非対面式の荷物引き渡し作業サービス対応の実現>
更に本発明では、上記の内蔵カメラを用いて、この画像情報を専用アプリ50を介して配送業者にも随時提供可能とすることで、収納庫内に保存された荷物の状態を把握した効率的配送を促進することも以下のように可能となる。
【0072】
(1)カメラの照明機能によって、荷物受取ドアを閉めた状態の収納庫内部の状態観察も可能となるため、この画像情報を専用アプリ50を介して配送業者に随時提供可能にしておく。
(プライバシー保護のため、生の画像ではなく、荷物の輪郭画像のみに制限したり、文字部にモザイク処理するなどの加工を施しても良い)
【0073】
(2)配送業者が新規の荷物配送準備をする際、事前に配送予定先の荷物のラベルをスマホ14で撮影して専用アプリ50に入力すると、予め設定された項目の中から「配送先収納庫の収納状況」という項目を選ぶことで、入力した配送策の収納庫のリアルタイム画像(上記の制限付き画像になる場合もある)を確認でき、その後これを基に、
ア.配送業者者が目視で配送予定の荷物が入る空き容量を推定する。
(このため、予め収納庫内の縦横に寸法推定用目盛りを付与しておく)
イ.専用アプリが画像解析及び測距センサの測定データを基に空き容量を演算して参考情報として画面に表示する。
等の情報から、配送業者が対象の荷物を、
A.すぐに配送するか?
B.次回の空きスペースがあるときまで延期するか?
を判断可能にする。
以上の方法により、配送業者の無駄な再配達を防止するという新たな効果を得ることができるようになる。
【0074】
<自宅からの非対面式の荷物引き渡し作業サービス対応の実現>
また、以上の本装置及びシステムを活用することにより、配送サービス利用者が逆に自分が配送業者に配送を依頼したい荷物の集荷を、不在中に非対面で実現する新たなサービスの利用形態を開拓することも可能となる。
【0075】
即ち、配送サービス利用者が予め配送業者に自宅からの荷物の集荷を依頼をするとともに、自宅の荷物受取ドア3に、
a.機械錠の解錠コードを新たに設定し、そのコードを配送業者に伝えておく
b.事前に電子錠に解錠コードを登録した後に、専用アプリ50にも登録した後、現場に到着した配送業者のスマホ14から、専用アプリ50にスマホ14の現在地情報を確認させたうえで「集荷用ドア解錠要求信号」ボタンを押すと記憶させておいた解錠コードをスマホ14の短距離通信手段を介して荷物受取ドア3の短距離通信手段4eに送信して解錠する
という機械錠か電子錠のいずれかの方法を用いて、現場についた配送業者が荷物受取ドア3を開いて、中に収納された荷物を配送サービス利用者と非対面で集荷することが可能となる。(この際、配送代金の決済は注文時にクレジットカードなどで行っておく)
【0076】
以上の第1の発明の新規構成の特徴とシステムの特徴により、「玄関周辺スペースの有効利用促進」、「荷物受け取りが無い場合に無駄なスペースを生じない」、「玄関ドアとほぼ同じ高さと間口幅及び加口幅と同等の奥行を有する大型収納庫をドアの交換作業だけで実現」、「複雑な組み立て作業不要で、押し出しまたは引き出し操作のみで収納庫を展開可能」、「荷物受け取り待機中にいたずらされること無く」、「不在中に複数回の荷物受取りを非対面で行うことも可能」、「配送業者に無駄な配送をさせ、再配達させる無駄を防止可能」、「自宅から集荷する際も非対面で、不在中に実現可能」など、従来の宅配ボックスの課題解決に加えて新たなサービスも利用可能になる。
【0077】
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施の形態における荷物受取り収納装置の概要を
図4(A)から(F)の使用状態差と構造説明及び防水対策強化構成に応じて各々示す図であり、第1の実施の形態で折り畳み収納部を前方に押し出して使用した構成に対し、逆に手前に引き出して使用する形態を特徴としており、前者が比較的日本に多い外開き戸に好適に用いられるべきものであったのに対し、本実施の形態の構成は比較的欧米に多い内開き戸に好適に用いられるべきものであり(その他の左右方向にスライドさせる引き戸に対しては、戸袋部に余裕があれば内外のどちらに設けても良い)、以下、
図4(A)から(F)の各図に沿って詳細に説明を進める。
【0078】
<出入ドアの開閉>
図4(A)は、本発明の荷物受取り収納装置である引き出し型の荷物受取り収納庫付きドアを閉めた状態の斜視図であり、出入ドア1を開ける際の操作内容は第1の実施形態と同じため省略する。
【0079】
<荷物受取ドアの開閉>
本実施の形態における荷物受取ドアの開閉には引出し型荷物受取ドア26を用いており、第1の実施の形態の施解錠装置4cに加えて別途荷物受取ドア用の施解錠装置4c’が必要となるが、配送サービス利用者本人が施解錠する際は、物理鍵、可変ダイヤル錠、無線通信のいずれでも可能である。
【0080】
しかしながら、本実施の形態では荷物受取ドアを解錠する前にまず、先に荷物受取ドアを展開して収納庫状態にしておく必要があり、そのために
図4(B)のドアノブ拡大図のように、荷物受取ドア分離兼用出入り用ドアノブ27を用いており、出入のために出入ドアを開く時にはノブを右回転させて出入ドア用ラッチボルト27aを図の右矢印方向に格納させて出入ドアを開け、現場に到着した配送業者に荷物を収納させる際には、まず配送業者に引出し型荷物受取ドア26を出入りドア1から分離させるために、荷物受取ドア分離兼用出入り用ドアノブ27を左回転させて、図の左矢印方向に格納させてドア分離用ラッチボルト27bを格納し、出入りドア1から分離可能にしたうえで把手18’を手前に引いて引出し型荷物受取ドア26を
図4(C)のように展開させておかなければならず、この作業を容易にするためドアヒンジ部の重量負担を軽減す売るために、本実施の形態では収納庫の前フレーム下部にキャスター29が設けられている。(以上の作業内容を説明した表紙部もドア表面に設けておく)
【0081】
この時、本実施の形態では屋外に荷物受取り収納庫を形成させるため、
図4(C)では左右に折り畳み板を展開させる他に、上部に雨が上部から侵入することを伏せためのジャバラ収納型防水カバー28が引き出し動作に伴って展開可能に設定されており、この他にも外部からの強風に耐えられるよう収納庫としての剛性を高めるために、
図4(D)の折り畳み収納部の背面斜視図に示すように、左右の折り畳み板のに加えて上下方向にも白矢印方向に展開可能な天板7fと床板7gが設けられており、各回転軸7hと7iを中心に不図示のねじリコイルばねなどの加圧部材によって、左右の隔離板が手前に展開する間に上下に展開され、最終的に左右の隔離板上端部及び荷物受取ドア手前側の上下フレーム端部と、天板と床板の左右及び前部の各端部との間に設けられた不図示の突起部と溝部が勘合することによって一体化され、箱型形状を形成することで剛性を確保する構成となっている。
【0082】
次に、本発明の特徴となる、
「配送業者に、ドアに内蔵させた荷物受取ドアを開けさせ、さらにその内部の折り畳み収納手段を展開させて荷物を収納させる」
という目的達成のために、配送業者に展開後の荷物受取ドアを開けさせる場合、第1の実施の形態と同様、ダイヤル式やテンキー式などの機械錠を用いる場合と、電子錠を用いる場合の2通りあり、本実施の形態では展開後の荷物受取りドア側に設けられた施解錠装置4c’に対して行う点が異なるが、基本的に類似作でいずれも解錠することができる。
【0083】
尚、本実施の形態では、引出し型荷物受取ドア26の表面ドアの種類として図に示した通り、開錠したドアノブをそのまま右方向にスライドさせて表面のドア板を4分割に折り畳んで開く折り戸式を用いており、これは玄関前のスペースに十分な余裕が無い場合、通常の片持ちヒンジ式で開くドアでは開閉可能な角度が制限され、荷物収納作業のために十分な間口が確保できなくなることを避けるためであり、この図のような折り戸以外にも左右方向に巻取りやスライドさせるシャッタ式ドアにしても良いことは言うまでも無い。
【0084】
また、本実施の形態では屋外に展開する収納庫の防水対策として、天井部とその周辺側面の一部を覆うジャバラ収納型防水カバー28を設けているが、
図4(F)のように収納庫側面部全体を覆うジャバラ状収納庫30を用いても良く、更にジャバラ式の他に
図4(G)のように隔離板との間に布状の部材を収納可能なスペースを設けた袋状30’にしても良く、これらの場合、内部の折り畳み収納部材は必ずしも板状である必要はなく、パイプフレーム状の折り畳み収納部材で構成しても良いことは言うまでも無い。
【0085】
[第3の実施形態]
図5は、第2の実施の形態と同じ引出し型荷物受取ドアの機能を既存ドアの表面に後付けで実現することを目的とする本発明の第3の実施の形態における荷物受取り収納装置の概要を
図5(A)と(B)の後付けドア装着前と装着後の各状態説明図で示したものであり、第2の実施の形態における荷物受取ドア部の基本構成を独立した荷物受取ドアユニットに集約させて、既存ドアを残したまま、同じ機能を後付けで実現可能にした後付け用引出し型荷物受取ドア32を別途作成したことを特徴としている。
【0086】
本実施の形態では、
図5(A)のように既存ドア31の表面から、後付け用引出し型荷物受取ドア32を当接し、
(1)まず、既存ドア31のドアノブ4に、ドアノブ挟み込み固定部材33の上固定部材33aと下固定部材33bを上下左右に位置調整しながら、ドアノブの軸径に対する調整(複数の外径を有するアタッチメントを用意しておくなど)も行った上で挟み込む
(2)次に後付け用引出し型荷物受取ドア32の裏面の少なくとも四隅部に設けられた不図示の両面テープで既存ドアに後付け用引出し型荷物受取ドア32の裏面を当接させる
(3)密着度が不十分な場合さらに後付け用引出し型荷物受取ドア32の上部に設けられたねじ穴32aを介して
図5(B)のように固定ねじ32bを用いてねじ止め固定しても良い(本実施の形態では構成内容をわかりやすくするために外部からねじ止めする構成を示しているが、実際には荷物受取ドアを展開してドアを開けた状態で内部からねじ止めすることが防犯上も外観上も好ましく、同様に前記ドアノブ挟み込み固定部材33の固定時もドアを開けた状態で内部から行うことが好ましい)
(4)密着した後、後付け用引出し型荷物受取ドア32の左上部に設けられた引き出し部固定用レバー34aと引き出し部固定用フック34bで構成された引き出し部固定手段34のレバー34aを右に回してフック34bから外して、把手18’を白矢印方向に引いて折り畳み収納部を展開させる。
という流れで、以降は第2の実施の形態と同様の作業で配送業者に荷物を収納させることを可能としており、本実施の形態では既存ドア31に後付け固定し、既存ドアを残したまま、より安価に、後付けで第2の実施の形態と同じ機能を有する荷物取り手段を実現することが可能となる。
(但し、第2の実施の形態では第1の実施の形態と同様、在宅中に、配送業者と非対面で荷物を受け取った後、外に出ることなく室内側の隔離板のドアを開けて荷物にアクセスできたが、本実施の形態でこの機能を追加するためには内開き戸に特殊な脱着手段を用いる必要があるため省略する)
【0087】
[第4の実施形態]
図6は、本発明の第4の実施の形態における荷物受取り収納装置の概要を
図1(A)から(F)の6通りの使用状態差及び観察方向に応じて各々示した図であり、以下、
図6(A)から(F)の各図に沿って詳細に説明を進める。
【0088】
<出入ドアの開閉>
図6(A)は、本発明の荷物受取り収納装置である荷物受取り収納庫付きドアが閉じられており、配送サービス利用者が出入りのために出入ドア1を開こうとしている状態の斜視図であり、上記の各実施の形態と同じ内容部は省略するが、本実施の形態ではドアの開閉機構としてこれまでの2つのドアを1つで済ませる新たな構成を用いているため、出入りドア1の開閉に対してその施解錠部のデッドボルトの中央部で水平に切断した際の上面断面図である
図6(B)(C)を用いて以下に説明する。
【0089】
図6(B)は、ドアを閉じて施錠された状態を示しており、第1の実施の形態と異なる主な点としては、
(1)表面のドアが出入兼用となる全面荷物受取ドア35の1枚しかない
(2)ドアノブも一つのうえ、その中央部で外ノブ4soと内ノブ4siに分割可能で中央部に設けられた不図示の磁石の作用のみで弱結合している分離型ドアノブ4sに交換している
(3)実際の出入り機能はその背部の収納手段付き出入り規制板35aが果たすなどであり、これらの変更に伴って、
ア.ドア板とドアノブが一つで済む
イ.施解錠装置部を一箇所に集約できる
というコスト及び外観上のメリットを得ることができる。
【0090】
従って、本実施の形態で出入りするためには、
図6(B)で、全面荷物受取ドア35を施錠しているデッドボルト5bと収納手段付き出入り規制板35aを施錠しているデッドボルト4bを同時に機械錠または電子錠を用いてドア枠1’内の共有デッドボルト受け座45b’から両ドア側に格納するよう駆動してドアノブ4sを回してラッチボルト(本実施の形態では表面ドア側のラッチボルト5a一つで兼用している)を外して
図6(C)のように両ドアを一体化して開いて出入りすることが可能となる。
【0091】
<荷物受取ドアの開閉>
次に配送先に到着した荷物配送業者に全面荷物受取ドア35を解除させる時には、前記各実施の形態と同様に機械式または電子式に解錠させて、
(1)デッドボルト5bだけを共有デッドボルト受け座45b’から全面荷物受取ドア35側に格納するよう駆動し、
(2)配送業者がドアノブ4soを回してラッチボルト5aを外して手前に引く
(3)デッドボルト4bは共有デッドボルト受け座45b’に残ったまま固定されているため、中央部の磁力で結合している分離型ドアノブ4sは中央部で外れてドアノブ4soのみが全面荷物受取ドア35とともに移動して
図6(E)のように開く
という工程を経て、
図6(F)の斜視図に示すように内部の折り畳み収納手段を露出させ、その横に内側ドアノブの先端部とその下部にどわ葉面度蒼からの性解錠機構部を収納するための溝部がの穴とその後の作業内容は第1の実施の形態と同様であるため省略する。
【0092】
以上のようにして、ドアノブを一つにできる本実施の形態では、ドアノブが一体のままでは全面荷物受取ドア35だけを開いた際に、残された収納手段付き出入り規制板35aの施錠部周辺にドアノブの穴が空いてしまい、搬送業者から玄関内部が見えてしまうため、中央部で分離して穴が生じないような構成にしており、その分離機能を付与する手段として内外のドアノブの結合部に磁石を取り付けて磁力で着脱自在となるよう結合させ、その引き離しに必要な力の強度範囲はは、軽過ぎると出入り時にも分離する危険があり、強過ぎると荷物収納時のドア開閉に無駄な労力を消費させて作業負担が増えてしまうなどの不具合が生じるため、本実施の形態では約20N~40Nの間に設定している。(但し、本発明の目的達成のためには、磁力で結合させる以外の結合方法を用いても良く、そもそもドアノブを分離可能にせず、ドアノブの穴を塞ぐ構造を別途追加しても良いことは言うまでもない)
【0093】
[第5の実施形態]
図7は、第3の実施の形態と同様、既存ドア31を残したまま、荷物受取収納機能を新たに既存ドアの内側に後付けするための本発明の第5の実施の形態における荷物受取り収納装置の概要を
図7(A)から(D)の4通りの使用状態で説明し、
図7(E)と(F)で追加部材の構造を説明を各々示した図であり、以下、
図6(A)から(F)の各図に沿って詳細に説明を進める。
【0094】
<事前準備>
本実施の形態では、既存ドア31の内側に後付けで荷物受取収納機能を追加するため、まず
図7(A)のように、既存ドアのドアノブ4を第4の実施の形態と同様、中央部で分割可能且つ外ノブに可変ダイヤル錠付き外ノブ36o、内ノブに3状態切替え専用鍵穴付き内ノブ36iを用いたダイヤル錠付き分離型ドアノブ36に交換しておく。
【0095】
ここで、可変ダイヤル錠付き外ノブ36oの主な内部構造は
図7(E)の(1)のダイヤル錠部の上断面図に示す通り、既存ドア31の加圧ばね4a1によって常に外に飛び出す状態に保持されたラッチボルト4a、これを格納方向に押戻すための回転アーム4a2、この回転アームに回転力を伝えるための回転軸4a4、回転軸4a4の穴溝に差し込んで回転力を作用させるための可変ダイヤル錠ピン36aと、解錠コード設定用コマ36cと、解錠用ガイド溝36dなどで構成される可変ダイヤル把手部、正面端部に鍵穴4a5を有して可変ダイヤル錠と回転軸を内包するドアノブシリンダー4a3などで構成されている。
【0096】
<配送業者によるダイヤル錠の解錠操作>
加圧ばね4a1の反力によって水平位置に保持されるダイヤル部に対し、
図7(E)の(2)のようにダイヤル内部に放射状に形成された仕切り溝(本実施の形態では便宜上8方向に分割し、対応するダイヤル表面には「0~7」の番号が刻まれており、
(ア)事前に、可変ダイヤル錠ピン36aを右側に戻した状態で、解錠コード設定用コマ36cが解錠用ガイド溝36dの形状に一致するようにダイヤルを解錠コードに合わせておく
(イ)この状態で可変ダイヤル錠ピン36aを左方向に押し出すと
図7(E)の(1)の状態になり、解錠コード設定用コマ36cが解錠用ガイド溝36dをすり抜けてピン全体が左にスライドする
(ウ)スライドしたピンが回転軸4a4の溝に刺し込まれ、回転軸とピンが一体化する
(エ)その後、ダイヤルが形成された把手全体を水平位置から下方に向けて回すと内部の回転軸がラッチボルト4aを右方向に押し出すように回転アーム4a1が回転し、ドアのラッチボルトが外れてドアが開閉可能になる
(尚、この回転軸4a4は当然ながら内ノブ36iにも接続されている)
という工程を経て、配送業者が前記各実施の形態と同様に配送サービス利用者の指示に沿って解錠コードにダイヤルを合わせたうえ、可変ダイヤル錠ピン36aを左方向に白井ドさせ、ダイヤルハンドル部を回してドアを開くことができる。
(但し、本構成においてもドアを閉めると同時に可変ダイヤル錠を「0000」などの初期位置に自動的に戻させるような複雑な機構を内蔵させるにはドアノブサイズの大型化が懸念されるため、配送人に対して「荷物収納後にドアを締めた後は、スライドピンを元に戻すとともにダイヤル位置も「0000」に戻す」という操作指示書を表示しておくことが好ましい)
【0097】
<収納手段付き出入り規制板の後付け手順>
次に
図7(B)のように、建物側ドア枠1’の左右の枠部に後付け収納医手段付き出入り規制板40を建物側に固定するための建物側固定部材38が左右上端部に設けられた左右建物後付け板37を建物側の左右のドア枠に接着またはねじ止め、または上下方向に加圧するばね圧で固定し、既存ドア裏の左右上部に後付け折り畳み収納手段ドア40を既存ドア31側に固定するためのドア側固定部材39をねじ止めし、ドアノブ4を外して内側のみ内ノブ4siに交換しておく。
【0098】
さらに、後付け折り畳み収納手段ドア40を既存ドア側に取り付けるため、
図7(B)の状態から白矢印方向に移動させつつ、裏返して、
a.既存ドアに固定したドア側固定穴41をドア側固定部材39に差し込む
b.後付け折り畳み収納手段ドア左右上端部の着脱切替フック43を内側に回転させてドア側固定部材39に接合させる
c.この時、同時に内ノブ36iを折り畳み収納手段ドア40に設けられたドアノブ用貫通穴4shに通して固定す
d.この時既存ドアのサムターン12は、後付け折り畳み収納手段ドア40の対向面に設けられたサムターン受け溝12‘にはめ込む
という手順で既存ドア側に後付け折り畳み収納手段ドア40を固定した結果が
図7(C)の斜視図である。
【0099】
図7(C)の斜視図では、既存ドアの裏側に固定された後付け折り畳み収納手段ドア40の室内側表面が露出しており、基本的に第1の実施の形態と同様に室内側からも荷物を受け取り可能なドアが形成されているが、内側のドアノブは可変ダイヤル錠用内ノブ36i、サムターン部も既存サムターンの表面から当接して、後付け折り畳み収納手段ドア40の内面からの操作で延長して既存サムターンにおける施錠と解錠の2状態の切り替えを延長操作で可能にしたうえ、さらに後付け折り畳み収納手段ドア40を、
A:既存ドア側に固定するか?
B:建物側に固定するか?
(左右の着脱切替フック43を建物側固定部材38の溝部に差し込むように回転させる)
の2状態も選択可能としており、これらの組み合わせによって、従来の既存ドアの施解錠の2状態に加えて、既存ドアは解錠しても後付け折り畳み収納手段ドア40を建物側に固定して出入り不可能とする第3の状態を実現可能となり既存ドアを荷物受取ドアとして機能させることが可能となる。
【0100】
この時に使用する3状態切替サムターン42は、
図7(F)の(1)の側面米断面図に示すように既存サムターン12の表面側から当接して、既存サムターン12のツマミ突起部12aを2つの爪42aで挟み込んで、後付け折り畳み収納手段ドア40の室内側に設けられた3状態切替サムターン42を回して延長操作可能としており延長操作可能としており、本実施の形態で延長したサムターンの操作抵抗を軽減するために、その回転受け部にベアリング42bを介在させる構成にしており、この3状態切替サムターン42の周囲には、
図7(F)の(2)で示すような3状態切り替え位置を示すラベルを付与しておき、やや複雑となる施解錠を誤操作しないようにしている。
【0101】
この3状態において左側に回し切った時の「全解錠」の意味は、建物側に固定した後付け折り畳み収納手段ドア40を着脱切替フック43を回転させて既存ドア側に固定した状態を示しており、その前に既存サムターンを解錠状態にする中央位置まで回した時点で荷物受取ドアとして機能する既存ドアが解錠状態にあり、そこからさらに3状態切替サムターン42を左に回転させようとすると、爪42aは既存サムターンがそれ以上回転できないためそこで停止し、3状態切替サムターン42の表面ユニット部が爪42aから切り離されて、表面ユニット部のみが回転し、その回転動作に伴って、機械式の場合にはワイヤーやリンク機構などを介して、着脱切替フック43を回転させて建物側固定部材38から外れてドア側固定部材39に固定されるため、両ドアが一体となって出入り可能な全解錠状態になるという意味である。
【0102】
従って、本実施の形態では、配送サービス利用者が荷物受け取り予定がある日に外出する際、3状態切替サムターン42を一旦全解錠位置にしてドアの外に出た後、後付け折り畳み収納手段ドア40表面のドアノブ穴位置に露出する内ノブ可変ダイヤル錠用内ノブ36iの表面側に露出する3状態切替鍵穴36kに専用鍵を差し込んで回すかまたは電磁錠を用いて、3状態の内の中央位置の「荷物受取ドア解錠」位置に設定(即ち、既存ドアのサムターンは解錠状態になっている)して、既存ドアを閉めた後、可変ダイヤル錠付きドアノブ36の後付け折り畳み収納手段ドア40を建物側ドア枠に固定した後、
(1)機械錠を用いる場合には既存ドアのは解錠状態にしたまま、ドアノブのダイヤルで配送業者と共有の解錠コードを設定して外出する
(この時、前記の可変ダイヤル錠の機能により、解錠オードが一致しないとドアノブの回転力がラッチボルトに伝達されないため、ラッチボルトをドア側に格納できず、デッドボルトとして機能のするようになる)
(2)電子錠を用いる場には、上記の可変ダイヤル錠は使用せず、既存のデッドボルトと着脱切替フック43を無線操作で施解錠できるようにすることで、同様の荷物受取りが可能となる。
(可変ダイヤル錠を無線操作することも可能であるが、ドアノブ内にその構成要素を設けるとドアノブのサイズ大型化を招くため、採用していない)
などいずれの方法でも前期の各実施の形態と同様の荷物受取における利便性向上と無駄の削減効果を得ることが可能となる。
【0103】
以上のとおり、本発明の装置を用いることにより、配送された荷物の受け取り収納手段として、玄関周辺のスペースを有効利用を促進し、少なくとも荷物受け取りが無い場合は無駄なスペースの犠牲を強いることなく、玄関ドアに近い高さと幅と該幅と同等の奥行きを有する大型収納庫をドアの交換または取り付け作業程度だけで実現し、複雑な組み立て作業不要で、押し出しまたは引き出し操作のみで収納庫を展開可能とし、機械錠でも荷物受け取り待機中にいたずらされること無く、不在中に複数回の荷物受取りを非対面で行うことも可能となる。
【0104】
また、大型荷物を収納可能とする本発明の装置を最大限活用するために、本発明の通信手段とアプリを活用したシステムを用いることで、配送業者の無駄な再配達を防止でき、逆に自宅から荷物を発送する際も非対面で不在中に配送業者に集荷させることを可能にするなど、従来の宅配ボックスの課題解決に加えて新たなサービス利用を実現することもできる。
【符号の説明】
【0105】
1 出入りドア
4 ドアノブ
4d 遠隔施解錠装置
4d3 通信部
5 荷物受取ドアノブ
5’可変ダイヤル錠
6 配送サービス利用者のスマホ
7e 奥側隔離板
8 磁性金属板
9 磁石板
10 ロックレバー
11 フック
14 配送業者のスマホ
20 照明付きカメラ
21’QRコード
23 IPネットワーク網
25 クラウドサーバー
50 専用アプリ