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特許7542607流体装飾カプセルのための熱補償システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】流体装飾カプセルのための熱補償システム
(51)【国際特許分類】
   A44C 25/00 20060101AFI20240823BHJP
   G04B 37/02 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
A44C25/00 Z
G04B37/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022510166
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(86)【国際出願番号】 IB2020055313
(87)【国際公開番号】W WO2020245786
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】62/857,317
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514022235
【氏名又は名称】プレシフレックス エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【弁理士】
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】ジャカール, アラン
(72)【発明者】
【氏名】ローネル, ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】バーク, トラルフ
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/055445(WO,A1)
【文献】特表2018-513375(JP,A)
【文献】特開2017-138169(JP,A)
【文献】特表2011-510337(JP,A)
【文献】特開2012-128414(JP,A)
【文献】特開2012-098718(JP,A)
【文献】実開平01-111869(JP,U)
【文献】特開2000-081503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 25/00
G04B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセルを含み、使用者/着用者が前記カプセル内を見通すことのできる少なくとも1つの透明部分を有する個人の装身具であって、前記カプセルは、少なくとも1つの液体を収容して該液体で満たされ、前記カプセルは、前記液体に浸漬している少なくとも1つの装飾要素を収容し、前記液体に浸漬している前記装飾要素の少なくとも1つの一部は、前記液体とほぼ同一、すなわち差異が10%未満の光屈折率を有し、前記装飾要素の前記一部が観察者に実質的に見えないようにされ、前記液体は、複数の物理的境界によってチャンバ内に封入され、少なくとも1つの物理的境界は、所定の温度範囲において温度変化により引き起こされる前記液体の熱膨張または熱収縮を収容するように移動可能で、それにより漏洩、破裂、および泡の発生を防ぎ、チャンバ体積を収容する前記液体を周囲温度に適応させ、
前記液体が、前記透明部分を有する第1の剛性チャンバと、流路を介して前記第1の剛性チャンバと流体連通する第2の剛性チャンバと、からなる流体密封カプセルに収容され、前記流路と前記第2の剛性チャンバは、前記透明部分を介して前記第1剛性チャンバを観察する者の視野外となるように配置され、前記第2の剛性チャンバは気体を収容し、前記流路は、前記第1剛性チャンバの前記液体と前記第2剛性チャンバの前記気体との間にメニスカスを発生させ、該メニスカスが移動可能な前記物理的境界となる個人の装身具。
【請求項2】
カプセルを含み、使用者/着用者が前記カプセル内を見通すことのできる少なくとも1つの透明部分を有する個人の装身具であって、前記カプセルは、少なくとも1つの液体を収容して該液体で満たされ、前記カプセルは、前記液体に浸漬している少なくとも1つの装飾要素を収容し、前記液体に浸漬している前記装飾要素の少なくとも1つの一部は、前記液体とほぼ同一、すなわち差異が10%未満の光屈折率を有し、前記装飾要素の前記一部が観察者に実質的に見えないようにされ、前記液体は、複数の物理的境界によってチャンバ内に封入され、少なくとも1つの物理的境界は、所定の温度範囲において温度変化により引き起こされる前記液体の熱膨張または熱収縮を収容するように移動可能で、それにより漏洩、破裂、および泡の発生を防ぎ、チャンバ体積を収容する前記液体を周囲温度に適応させ、
前記液体が、前記透明部分を有する第1の剛性チャンバと、流路を介して前記第1の剛性チャンバと流体連通する第2の剛性チャンバと、からなる流体密封カプセルに収容され、前記流路と前記第2の剛性チャンバは、前記透明部分を介して前記第1剛性チャンバを観察する者の視野外となるように配置され、前記第2の剛性チャンバは気体を収容し、前記液体と前記気体とが分離要素によって前記流路内で分離され、前記分離要素は、第2の液体、ゲルからなる分離要素の一覧から選択される個人の装身具。
【請求項3】
カプセルを含み、使用者/着用者が前記カプセル内を見通すことのできる少なくとも1つの透明部分を有する個人の装身具であって、前記カプセルは、少なくとも1つの液体を収容して該液体で満たされ、前記カプセルは、前記液体に浸漬している少なくとも1つの装飾要素を収容し、前記液体に浸漬している前記装飾要素の少なくとも1つの一部は、前記液体とほぼ同一、すなわち差異が10%未満の光屈折率を有し、前記装飾要素の前記一部が観察者に実質的に見えないようにされ、前記液体は、複数の物理的境界によってチャンバ内に封入され、少なくとも1つの物理的境界は、所定の温度範囲において温度変化により引き起こされる前記液体の熱膨張または熱収縮を収容するように移動可能で、それにより漏洩、破裂、および泡の発生を防ぎ、チャンバ体積を収容する前記液体を周囲温度に適応させ、
前記液体が、前記透明部分を有する第1の剛性チャンバと、流路を介して前記第1の剛性チャンバと流体連通する第2の剛性チャンバと、からなる流体密封カプセルに収容され、前記流路と前記第2の剛性チャンバは、前記透明部分を介して前記第1剛性チャンバを観察する者の視野外となるように配置され、前記第2の剛性チャンバは気体を収容し、前記液体と前記気体とが分離要素によって前記流路内で分離され、前記分離要素は、固体移動プラグ、回転膜からなる分離要素の一覧からなる分離要素の一覧から選択される個人の装身具。
【請求項4】
前記流路は、毛細管流路である請求項1~3のいずれか1項に記載の個人の装身具。
【請求項5】
前記装飾要素は、重力に応じて前記使用者/着用者が前記カプセルの向きを変える際は重力で、前記使用者/着用者の動きによる加速で、または手動もしくは自動作動機構によって作動する請求項1~4のいずれか1稿に記載の個人の装身具。
【請求項6】
前記装飾要素の少なくとも1つの一部は、前記液体の光屈折率と差異が5%未満の光屈折率を有する請求項1~5のいずれか1項に記載の個人の装身具。
【請求項7】
前記装飾要素の少なくとも1つの一部は、前記液体の光屈折率と差異が3%未満の光屈折率を有する請求項1~5のいずれか1項に記載の個人の装身具。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2019年6月5日に出願された米国仮出願第62/857,317号を参照として組み込むと共にそれに依拠し、保護を求めるものとされる特徴を定義するためにその内容はその全てが発明の根底にある技術的課題の解決に寄与するものと理解され、本文書で言及される特徴には特に重要なものもあるとされる。
【著作権および法的告知】
【0002】
本特許文書に開示されるものの一部には著作権保護の対象となる資料が含まれている。出願人は、特許商標庁の記録として特許開示されている特許文書に関しては第三者によるファクシミリ複製に異論はないが、そうでない場合はいかなる場合もすべての著作権を留保する。また、本願に記載される第三者の特許又は記事は、先行発明を理由として本発明がその資料を先行する権利がないことを承認するものとして考慮すべきでない。
【背景技術】
【0003】
本発明は、宝飾品、時計、衣服等の着用可能な装身具に関する。ほとんどの装身具が半永久的な形状および装飾を有する物体である。しかし、動く要素を含む宝飾品、時計、衣服(装身具ともいう)が存在し、動くとアニメーション効果を与える。また、装飾要素が流体に懸濁するものも存在する。しかし、こういった従来の装置は、液体中に泡を提供することで熱膨張を吸収していた。泡は低品質または漏洩の兆候であり、また望ましくもなく、使用者または着用者にとって見苦しくすらある。
【0004】
目に見える泡なしに熱変動を補償するシステム/装置および/または方法が必要とされている。
【0005】
所定の温度範囲において流体アニメーションの完全性を保証しつつ、流体アニメーションを含む装身具および/またはファッションアイテムの制作を可能にするシステム/装置および/または方法が必要とされている。
【0006】
公称温度上昇(nominal temperature increse)の場合に、漏洩または破損を生じさせることのないシステム/装置および/または方法が必要とされている。
【0007】
温度が下降する場合に、見苦しい気泡を出現させることのないシステム/装置および/または方法が必要とされている。
【0008】
液体アニメーションを用いて外観を変化させ、装身具をより生き生きとさせる新しい方法が必要とされている。
【発明の開示】
【0009】
個人の装身具のために、一目見て生き生きとした装飾を創出する方法を提供するシステム、装置、および方法を提供する。システムは、少なくとも1つの液体を収容するカプセルからなり、該液体内で装飾要素は動くことができ、アニメーションを提供する。一般に、液体の熱膨張/収縮率は、固体の熱膨張/収縮率よりも著しく高い。システムは、周囲温度の変化による、望ましくなく見苦しい気泡および/またはシステムの劣化もしくは破壊を回避しつつ、カプセルの可視部分を液体で完全に充填することのできる能力を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付の図面は、本発明の対象の異なる実施形態を例示するものである。
図1A】本発明の実施形態の断面側面図である。
図1B】カプセルの天板および底板が自由に相対移動できる、低温での図1Aの実施形態の断面側面図である。
図1C】カプセルの天板および底板が互いに対して固定されている、高温および低温での図1Aの実施形態の断面側面図である。
図2A】外部構造を介して、カプセルの天板および底板が互いに対して固定されている、高温での第2の実施形態の断面側面図である。
図2B】低温での図2Aの実施形態の断面図である。
図3A】本発明の第3の実施形態の断面側面図である。
図3B】高温での図3Aの実施形態の断面側面図である。
図4】本発明の第4の実施形態の断面側面図である。
図5A】本発明の第5の実施形態である図5BのB-B線による断面側面図である。
図5B】本発明の第5の実施形態である図5AのA-A線による断面側面図である。
図6】本発明の第6の実施形態の断面側面図である。
図7】本発明の第7の実施形態の断面側面図である。
図8】本発明の第8の実施形態の断面側面図である。
図9】本発明の第9の実施形態の断面側面図である。
【0011】
図面に示される要素は単純化及び明確性のために開示され、必ずしも正寸で描かれていないことは当業者には明らかである。例えば本発明の様々な実施形態の理解をより深めるために、図面のいくつかの要素の寸法はその他の要素に対して強調して描かれていることもある。さらに、本件で用いられる「第1」、「第2」やその類の用語はとりわけ類似する要素を区別するために使用され、必ずしも順次的または時系的な順番を示すものではない。また、明細書及び/又は請求項における「正面」、「背面」、「平面」、「底面」やその類の用語は便宜的な目的で使用され、必ずしも限定的な相対位置を総合的に表わすものではない。このような用語は例えば本願で開示される様々な実施形態が明確に図示又は説明される以外の配向でも操作可能であるような適切な状況下では置き換えられてもよいことを当業者は理解されたい。
【好適な実施形態の詳細な説明】
【0012】
以下の説明は本質的に例示的であり、本願が出願された時点で発明者が知り得た本発明の最良の態様を説明するもので、本発明の範囲をいかなる意味でも制限するものではない。その結果として、本願で開示される例示的な実施形態における全ての要素の配置及び/又は機能は、本願発明の精神および範疇から逸脱することなく変更を加えることが可能である。
【0013】
本発明のシステムは、少なくとも1つの液体を収容する少なくとも1つの流体カプセルを含み、装身具、宝飾品のアイテム、腕時計、またはその他のいかなるファッションアイテムとして、着用者/使用者によって着用される。
【0014】
次に図1A図1Cに示される流体カプセル100は、セミフレキシブルウォール114によって底板104に取り付けられている天板102からなり、少なくとも1つの液体106を収容する。図面には、底板104と同じ直径を有する天板102が示されているが、流体カプセル100は、底板104と異なる直径の天板102で構築されていてもよい。例えば、セミフレキシブルウォール114は、円筒形状の代わりに、球状円錐形状を有していてもよい。液体106は、粘度、濃度、熱膨張率、色、透明性、または光屈折率等の特性を発揮するよう選択される。また、カプセルは、装飾要素120または構造(図示されていない)を収容してもよく、重力に応じて使用者/着用者が流体カプセルの向きを変える際は重力で、使用者/着用者の動きによる加速で、または手動もしくは自動作動機構によって作動する視覚アニメーションを生成可能であり、それらは2019年4月17日に出願された米国仮出願第62/835,038号、または2019年10月2日に出願された国際出願第PCT/IB2019/058381号に記載され、その内容は参照として組み込まれ、装身具、宝飾品のアイテム、腕時計、またはその他のいかなるファッションアイテムに収容され、流体カプセル100は一体化される。装飾要素120を含むというこの特徴は、本明細書に開示される他の実施形態のいずれにおいても、はっきりと示されているわけではない。しかし、この特徴は、本明細書に開示される図1A図1C図2A図2B図3A図3B図4図5A図5B図6図9に示される実施形態のいずれかにおいて記載される。装飾要素120または構造(図示されていない)は、少なくとも1つの装飾要素の少なくとも一部が、濃度、透明性、色、反射率、濾過性能等の可視光特性、および/または屈折率等の特性を発揮するように選択されうる。流体106の屈折率と、装飾要素120の少なくとも一部の屈折率とは、ほぼ同一であるように選択されてもよく、例えば、液体106とは10%未満、好ましくは5%未満、理想的には3%未満の差異であり、装飾要素の任意の選択部分が、使用者/観察者/着用者に見えないようにする。装飾要素120は、重力に応じて使用者/着用者が流体カプセル100の向きを変える際は重力で、使用者/着用者による動きの加速で、または手動もしくは自動作動機構によって作動してもよく、それらは2019年4月17日に出願された米国仮出願第62/835,038号の例えば4ページ12~17行目、または2019年10月2日に出願された国際出願第PCT/IB2019/058381号の例えば5ページ19~22行目に記載される。図1Aには所定の温度の流体カプセル100が示されている一方で、図1Bには、より低温の同じ流体カプセル100が示されており、天板102および底板104が自由に相対移動し、カプセル100の収縮が明らかである。一般に、液体の熱膨張/収縮率は、固体の熱膨張/収縮率よりも著しく高い。天板102および底板104は、少なくとも1つの液体106の収縮と比べて熱収縮がほとんどないので、少なくとも1つの液体106の熱収縮による体積の差異はセミフレキシブルウォール114の変形により補償され、望ましくなく見苦しい気泡が少なくとも1つの液体106内で発生することなく、流体カプセル100は液体に満たされた状態のままにするようにする。
【0015】
次に、図1Cを参照すると、天板102と底板104とが互いに対して固定され、温度が異なる際のセミフレキシブルウォール114の挙動が示されている。この場合、より高温で、セミフレキシブルウォールは矢印110で示すように流体カプセル100の外部に延びていき、温度が下がると、セミフレキシブルウォールは矢印111で示すように流体カプセル100の内部に退避する。もちろん、天板102および底板104の相対移動と、流体カプセルの内部または外部に向かうセミフレキシブルウォール114のたわみとの組み合わせを、流体カプセル100の容積/体積118を高めるために用いて、望ましくなく見苦しい気泡、および/またはシステムの劣化もしくは破壊を回避しつつ、周囲温度変化に適応してもよい。天板102と底板104の間の動きの相対的自由度を用いて、セミフレキシブルウォール114の座屈を容易化してもよい。セミフレキシブルウォール114は、ポリマー、組成物、有機物、金属、またはそれらの組み合わせからなってもよく、装身具のケースそのものでもよく、該ケースにおいて部品が固定された領域が追加材料で単純強化され、たわみが発生する該材料は薄く作られる。図1Aの要素110への矢尻が位置する付近の変極点(または平面)は鋭く、丸みがなく、図面に示すよりもさらに外側に延在する。また、内側にも延在する。天板102は、単一材料から、または異なる材料の集合からなってもよく、また、使用者/着用者がカプセル内部を見ることができる、少なくとも1つの透明部分103を有してもよい。天板を含むというこの特徴は、単一材料から、または異なる材料の集合からなってもよく、また、本明細書に開示される他の実施形態のいずれにおいても、はっきりと示されているわけではないが、使用者/着用者がカプセル内部を見ることができる、少なくとも1つの透明部分を有してもよい。しかし、この特徴は、本明細書に開示される図1A図1C図2A図2B図3A図3B図4図5A図5B図6図9に示される実施形態のいずれかにおいて含まれうる。天板102の代表的な材料は、サファイア、ガラス、透明プラスチック等を含む。天板102は、カプセルを、当業界で公知の装身具の構造(図2Aおよび図2Bで130として例示される)に取り付け可能な、追加的な幾何学特徴を示しうる(図2Aおよび図2Bで132として例示される)。底板104は、単一材料から、または異なる材料の集合からなってもよく、また、不透明であるか、または使用者/着用者がカプセルを見通すことのできる、少なくとも1つの透明部分105を有してもよい。底板を含むというこの特徴は、単一材料から、または異なる材料の集合からなってもよく、また、不透明であるか、または本明細書に開示される他の実施形態のいずれにおいても、はっきりと示されているわけではないが、使用者/着用者がカプセルを見通すことのできる、少なくとも1つの透明部分105を有してもよい。しかし、この特徴は、本明細書に開示される図1A図1C図2A図2B図3A図3B図4図5A図5B図6図9に示される実施形態のいずれかにおいて含まれうる。(図1A図1Cに示される)一実施形態では、セミフレキシブルウォール114は、カプセル100の閉止を可能にする閉ループとして形成されるセミフレキシブルリボンからなる。セミフレキシブルウォール114は、ポリマー、ゴム、金属、またはその他のいかなる可撓性材料を主要成分としてもよく、指輪、メタリックケーブル、ガラス繊維、炭素繊維等、剛性または半剛性材料からなる構造112を収容してもよく、好ましくはオーバーモールドされる。セミフレキシブルウォールは、カプセル100に収容される少なくとも1つの液体106の体積118から独立して、天板102と底板104とがほぼ平行状態のままにすることを保証する予備形状屈曲を有してもよい。セミフレキシブルウォール114は、その液密性、および/またはその耐温度性、耐紫外線性等を向上させるために表面処理されてもよい。天板102および底板104は、セミフレキシブルウォール114の構造112が固定されうる少なくとも1つの特徴を有し、該組立体が液密性であるようにする。例えば、天板102および底板104は、セミフレキシブルウォール114の構造112がスナップ(snap)されうる少なくとも1つの溝を有し、該組立体が液密性であるようにする。
【0016】
図2A図2Bに示される)別の実施形態では、構造112は、セミフレキシブルウォール114のより厚いゾーンからなり、当業界で公知のOリングの取り付けと同様、天板102と装身具の構造130との間で、底板104と装身具の構造130との間でそれぞれ押し潰されて、固定される。また、糊付けといった封止工程を、組み立て後に施してもよい。こういった組み立ては、カプセル100内部で気泡が留まらないように、少なくとも1つの液体106内での浸漬が発生しうる。組み立て時は、カプセル100を過充填しないように周囲温度を考慮しなければならず、セミフレキシブルウォール114が拡張して、少なくとも1つの液体106の熱膨張を収容する温度範囲を可能にする。一方、温度が下がると、セミフレキシブルウォールは屈曲してカプセルの内部体積を減少させ、少なくとも1つの液体106内の気泡を発生させる沈下の出現を回避する。
【0017】
次に図3A図3Bに示される流体カプセル200は、ガスケット210を介して底板204に取り付けられている天板202を含み、少なくとも1つの液体206を収容する。ガスケット210は、装身具の構造220に取り付けられている。ガスケットの熱膨張/収縮率は、天板202、底板204、または構造220等の固体の熱膨張/収縮率よりも著しく高い。図3B図3Aに示すように、周囲温度の上昇によりガスケット210の膨張が発生し、カプセル200の内部体積218が増加し、カプセル200の完全性を損なうことなく、少なくとも1つの液体206の熱膨張を可能にする。
【0018】
次に、図4に示される流体カプセル300は、トップガスケット312を介して装身具の構造320に取り付けられている天板302と、ボトムガスケット314を介して装身具の構造320に取り付けられている底板304と、を含み、少なくとも1つの液体306を収容する。ガスケット312、314の熱膨張/収縮率は、天板302、底板304、または構造320等の固体の熱膨張/収縮率よりも著しく高い。周囲温度の上昇によりガスケット312、314の膨張が発生し、カプセル300の内部体積318が増加し、流体カプセル300の完全性を損なうことなく、少なくとも1つの液体306の熱膨張を可能にする。一実施形態では、板302または304の1つが構造320に固定されうる。その後、内部チャンバの拡張が、一方向のみにおいて発生する。
【0019】
次に、図5A図5Bに示される流体カプセル400は、剛性構造420によって底板404に取り付けられている天板402を含み、剛性主チャンバ408を形成し、少なくとも1つの液体406を収容する。底板404は、気体438で充填される拡張チャンバ432を収容し、微小流路434を介して剛性主チャンバ408に接続される。流路434の寸法は、毛細管力により、少なくとも1つの液体406と気体438との間のメニスカスを発生させるように定義される。気体438が少なくとも1つの液体406へ溶解する、または少なくとも1つの液体406が気体438で気化するのを防ぐために、追加の液体436は、気体438を少なくとも1つの液体406から分離する。追加の液体436は少なくとも1つの液体406と非混合性であり、気体438を吸収せず、気体438が追加の液体436で構成されたバリアを通過できないようにする。また、追加の液体436の機能と同様の機能が、少なくとも1つの液体406との非混合性かつ気体438の非吸収という同じ性質を備えるか、または移動固体プラグ436’’もしくはピストンをも備えるゲル436’を用いて実現されうる。システムが温度変化を受けると、例えば、温度が上昇すると、液体406は膨張し、気体438の体積を減少させる。流路434の長さは、2つの液体間の追加の液体436の場合、少なくとも1つの液体406と気体438との間のメニスカスが、定義された温度範囲において流路内部に留まるように定義される。流路434は、メニスカスの変位を助けるために表面処理されてもよい。図5Bに示すように、流路434は、底板が透明で、流路が流体カプセル400を見通す観察者の視野外になければならない際に、底板404周辺に、または構造420にさも、取り付けてもよい。
【0020】
次に、図6に示される流体カプセル500は、剛性構造520によって底板504に取り付けられている天板502を含み、剛性主チャンバ508を形成し、少なくとも1つの液体506を収容する。底板504は、気体538で充填される拡張チャンバ532を収容し、流路534を介して剛性主チャンバ508に接続される。回転膜536により、少なくとも1つの液体506と気体538との間の分離が発生する。少なくとも1つの液体506が温度変化により膨張または収縮すると、回転膜536が回転したり巻き戻したりして、少なくとも1つの液体506の体積変化に適応する。回転膜の正しい変位を保証するために、追加のガイドスライダ(図示されていない)を用いてもよい。
【0021】
次に、図7および図8に示される実施形態の流体カプセル600は、剛性構造620によって底板604に取り付けられている天板602を含み、剛性主チャンバ608を形成し、少なくとも1つの液体606を収容する。底板604は、膜636で形成される可撓性拡張チャンバ632に接続する流路634を収容し、周囲温度が変化すると、流体カプセルの体積618が流体606の熱膨張に適応できるようにする。代替的に、膜636は、剛性部分644と可撓性部分646との組み合わせという形式で構築されてもよい。
【0022】
次に、図9に示される流体カプセル700は、剛性構造720に取り付けられている天板702と、可撓性膜710を介して剛性構造720に取り付けられている底板704と、を含み、少なくとも1つの液体706を収容する。可撓性膜710は天板702に相対する底板704の移動を可能にし、周囲温度が変化すると、流体カプセルの体積718が流体706の熱膨張に適応できるようにする。
【0023】
流体カプセルは、装飾的な装身具以外の目的に用いてもよい。また、周囲温度が変化する際の漏洩または故障を回避するために、他の個人的な装身具、例えば、吸入器、Eベイピング装置、パフュームディフューザー等における流体の保存または搬送に用いてもよく、こういった場合、カプセルは透明部分を収容しなくてもよい。
【0024】
有利には、本発明のシステム、および方法/装置は、所定の温度範囲において流体アニメーションを収容し、流体アニメーションの完全性を保証する装身具および/またはファッションアイテムの制作を可能にする。
【0025】
また有利には、本発明のシステム/装置、および/または方法は、公称温度上昇の場合に、漏洩または故障を発生させない。
【0026】
また有利には、本発明のシステム/装置、および/または方法は、温度が下降する場合に、見苦しい気泡が出現することを回避する。
【0027】
本願で開示および説明される特定の実施形態は、本発明の代表的および最適な態様を示すものであって、本発明の範囲を制限することを意図したものでは決してないことを理解されたい。
【0028】
また、本願のシステムは、本願と同様の機能を有するすべての物品、サービス又は情報の使用、販売及び/又は流通を意図したものである。
【0029】
本願の明細書及び図面は限定するためではなく例示的なものとして理解されたく、本願で説明されるすべての改良は、本願の請求する発明の範囲に包含されることを意図される。従って、本願発明の範囲は、上記された単なる例示案からではなく、添付される請求項(現在の請求項、後で補正あるいは追加される請求項、又はそれに法的に相当する物)によって判断されるべきである。すべての方法又は工程で記載されるステップは、特に記載のない限りどの順番であっても実行可能であり、請求項に記載される特定の順番に限定されるものではない。さらに、装置の請求項で記載される要素及び/又は部品は、本願発明と本質的に同様の成果をもたらす様々な置換で組立又は操作的に構成されることも可能である。総じて、本願発明は請求項で記載される特定の構成に限定されるものではない。
【0030】
本願で記載される便益、利点や解決法は、任意又はすべての請求項の必須、必要あるいは不可欠な特徴又は要素であると考慮されるべきでない。
【0031】
本願で用いられる「からなる」、「から構成される」やその他の同様の言い回しは、要素の非限定的な一覧を表すために用いられ、その要素一覧から構成される本発明の装置、工程、方法、物品、又は構成は記載される要素のみを含むわけではなく、本明細書に記載されるその他の要素を含むことも可能である。また、「を含む」、「を含んでなる」または「本質的に含む」といった言い回しは、別段に指定のない限り、列挙される要素のみに発明の範囲を限定する意図で用いられるものではない。本発明の実施に用いられる上記された要素、材料又は構造の組み合わせまたは改良は、本発明の一般原則から逸脱することなく、当業者によってその他の設計に変更または適応することも可能である。
【0032】
上記で挙げられた特許及び文献は、別段の記載のない限り、本開示に反しない範囲において参照することにより本件に組み入れられる。
【0033】
本発明は、以下の特徴セットで要約できる。
1.少なくとも1つの液体106、206、306、406、506、606、706を含むシステムであって、該液体は、前記液体が不浸透である複数の物理的境界102、104、114、202、204、210、302、304、312、314、320、402、404、420、436、502、504、520、602、604、620、636、644、646、702、704、710、720によって封入され、少なくとも1つの物理的境界114、210、312、314、436、436’、436’’、536、636、646、710は、所定の温度範囲において温度変化により引き起こされる前記液体の熱膨張または熱収縮を収容するように移動可能で、それにより漏洩、破裂、および泡の発生を防ぎ、チャンバ体積を収容する前記液体を周囲温度に適応させる。
2.前記液体106、206、306、606、706は、少なくとも1つの剛性部分102、104、202、204、302、304、602、604、620、702、704、720と、少なくとも1つの可撓性部分114、210、312、314、636、646、710と、からなる流体密封カプセル100、200、300、600、700に収容される、特徴セット1に記載のシステム。
3.前記液体106、206、306、606、706は、少なくとも1つの可撓性部分114、210、312、314、636、646、710によって互いに密に接続される少なくとも2つの剛性部分102、104、202、204、302、304、602、604、620、702、704、720からなる流体密封カプセル100、200、300、600、700に収容される、特徴セット1に記載のシステム。
4.前記少なくとも1つの可撓性部分114、210、312、314、636、646、710により、前記少なくとも2つの剛性部分102、104、202、204、302、304、602、644、702、704の相対移動が可能になり、前記流体カプセル100、200、300、600、700の内部体積118、218、318、618、718を変化させる、特徴セット3に記載のシステム。
5.前記少なくとも2つの剛性部分102、104、202、204、602、604、620、702、720が固定され、前記少なくとも1つの可撓性部分114、210、636、646、710が変形して前記流体カプセル100、200、600、700の前記内部体積118、218、618、718を変化させる、特徴セット3に記載のシステム。
6.前記少なくとも2つの剛性部分102、104、202、204、602、604、620、702、720は相対移動が可能で、前記少なくとも1つの可撓性部分114、210、636、646、710が変形して前記流体カプセル100、200、600、700の前記内部体積118、218、618、718を変化させる、特徴セット3に記載のシステム。
7.前記液体206、306が、熱膨張率が低い剛性部分202、204、302、304と、熱膨張率が高い少なくとも1つの部分210、312、314と、からなる流体密封カプセル200、300に収容され、前記カプセル200、300の体積熱膨張率が、前記液体の体積熱膨張率と10%未満、好ましくは5%未満、理想的には3%未満等の差異であるようにする、特徴セット1に記載のシステム。
8.前記液体406、506が、第1の剛性チャンバ408、508と、毛細管流路434、534を介して前記第1のチャンバと流体連通する第2の剛性チャンバ432、532と、からなる流体密封カプセル400、500に収容され、前記第2の剛性チャンバ432、532は気体438、538を収容し、前記液体と前記気体とが分離要素436、436’、436’’によって前記流路内で分離され、任意で前記分離要素は、第2の液体436、ゲル436’、または固体移動プラグ436’’からなる分離要素の一覧から選択される、特徴セット1に記載のシステム。
9.前記液体506と前記気体538とが分離要素によって前記流路532内で分離され、前記分離要素が回転膜536である、特徴セット8に記載のシステム。
10.前記液体606が、第1の剛性チャンバ608と、毛細管流路634を介して前記第1のチャンバと流体連通する第2の半剛性チャンバ632と、からなる流体密封カプセル600に収容され、前記第2のチャンバ632は少なくとも1つの膜636、646によって形成され、前記第2のチャンバ632は前記液体606を収容する、特徴セット1に記載のシステム。
11.上記特徴セットのいずれかに記載のシステムを含む、個人の装身具。
12.前記カプセル100、200、300、400、500、600、700が、使用者/着用者が前記カプセル内部を見ることのできる少なくとも1つの透明部分103を有する、特徴セット11に記載の個人の装身具。
13.前記カプセル100、200、300、400、500、600、700が、前記液体106に浸漬している装飾要素120を収容する、特徴セット12に記載の個人の装身具。
14.前記液体106、206、306、406、506、606、706に浸漬している前記装飾要素120の1つの少なくとも一部が、10%未満、好ましくは5%未満、理想的には3%未満の差異等、前記液体106、206、306、406、506、606、706とほぼ同一の光屈折率を提示し、前記装飾要素120の1つの当該部分が観察者に見えないようにする、特徴セット13に記載の個人の装身具。
15.前記装飾要素120は、重力に応じて使用者/着用者が流体カプセル100、200、300、400、500、600、700の向きを変える際は重力で、前記使用者/着用者の動きによる加速で、または手動もしくは自動作動機構によって作動する、上記特徴セットのいずれかに記載の個人の装身具。
16.装身具に動きを付すための方法であって、以下のステップ:
a.特徴セット1の装身具を着用者/使用者に固定するステップと、
b.重力に関して前記装身具を動かすステップと、
c.アニメーション効果を観察するステップと、
から構成される方法。
【0034】
本発明の他の特徴及び実施形態は添付の請求項において説明される。
【0035】
本発明の実現のために用いられる材料は、適切で本発明の作業温度範囲に準拠するように選択される。当該材料は、例えば、金属、ポリマーまたはガラス、特にサファイアガラスである。同様に、本発明の実現のために用いられる構造、例えば、ベローズ、チップ、または真性膜等が、適切で本発明の作業温度範囲に準拠するように構成される。
【0036】
さらに、本発明は、新規性、進歩性及び産業上の利用性を具備すると考慮される本明細書、添付の請求項及び/又は図面において説明された全ての特徴の可能な全ての組み合わせから構成されることを考慮されたい。
【0037】
本発明の付加的な特徴及び機能性は、添付の請求項及び/又は要約書において説明される。それらの請求項は参照として本明細書にそのすべてが組み込まれ、提出された出願の一部と考慮されたい。
【0038】
上述された発明の実施形態において、様々な変更及び改良を加えることが可能である。本発明の特定の具体的な実施形態が開示及び説明されたが、幅広い改良、変更及び置換が上述の実施形態では考慮される。上記の説明には多くの特定事項が含まれるが、発明の範囲を限定するものとしてではなく、むしろ1つ又はその他の好適な実施形態の例示であると考慮されたい。場合によっては、本発明のいくつかの特徴は、対応する他の特徴を使用することなく用いられる。従って、上述の説明は広義に解釈され、単なる実例又は例示として理解され、本発明の精神及び範囲は本出願で最終的に発行される請求項によってのみ限定されるべきである。

図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9