(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】バッテリーパック、電子デバイス、及び自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20240823BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20240823BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240823BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20240823BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240823BHJP
H01M 50/291 20210101ALN20240823BHJP
H01M 50/293 20210101ALN20240823BHJP
【FI】
H01M50/204 401D
G01K1/14 E
H01M10/48 301
H01M50/213
H01M50/249
H01M50/291
H01M50/293
(21)【出願番号】P 2022538451
(86)(22)【出願日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 KR2021007297
(87)【国際公開番号】W WO2021256779
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0072513
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-スク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソグ-ジン・ユン
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-171697(JP,A)
【文献】特開2013-171699(JP,A)
【文献】特開2004-014171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/298
H01M10/42-10/48
G01K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルと、
前記複数の電池セルのうちのいずれか一つ以上の温度を測定するように構成された温度センサと、
前記複数の電池セルを内部に収容するように構成されており、前記温度センサを収容するように凹んだ空間が設けられた収容部を備えるモジュールケースと、
前記収容部の凹んだ空間に挿入されて前記凹んだ空間の少なくとも一部を満たす大きさを有し、前記温度センサを支持するように構成されたホルダーと、
を含み、
前記ホルダーは、前記ホルダーの本体の一部が凹んだ挿入溝の一部に、前記収容部の凹んだ空間に充填される接着剤が流れ込むように、前記温度センサと離隔した空間を形成するように構成された切欠が備えられ
、
前記挿入溝に前記温度センサの少なくとも一部が挿入されて固定される、バッテリーパック。
【請求項2】
複数の電池セルと、
前記複数の電池セルのうちのいずれか一つ以上の温度を測定するように構成された温度センサと、
前記複数の電池セルを内部に収容するように構成されており、前記温度センサを収容するように凹んだ空間が設けられた収容部を備えるモジュールケースと、
前記収容部の凹んだ空間に挿入されて前記凹んだ空間の少なくとも一部を満たす大きさを有し、前記温度センサを支持するように構成されたホルダーと、
を含み、
前記ホルダーは、前記収容部の凹んだ空間に充填される接着剤の一部が前記ホルダーの内部に流れ込むように、内側に貫通した貫通孔を備える、バッテリーパック。
【請求項3】
複数の電池セルと、
前記複数の電池セルのうちのいずれか一つ以上の温度を測定するように構成された温度センサと、
前記複数の電池セルを内部に収容するように構成されており、前記温度センサを収容するように凹んだ空間が設けられた収容部を備えるモジュールケースと、
前記収容部の凹んだ空間に挿入されて前記凹んだ空間の少なくとも一部を満たす大きさを有し、前記温度センサを支持するように構成されたホルダーと、
を含み、
前記収容部は、前記ホルダーの位置をガイドするように突出した固定リブを備え、
前記ホルダーは、前記固定リブが挿入されるように、一部が前記固定リブと対応する大きさで凹んだ固定溝を備える、バッテリーパック。
【請求項4】
前記ホルダーは、
前記温度センサの少なくとも一部が挿入されて固定されるように、本体の一部が凹んだ挿入溝を備える、請求項
2または3に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記収容部の凹んだ空間に充填されるように構成された接着剤をさらに含む、請求項3に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記ホルダーは、
弾性復元可能な素材を含み、
前記収容部の凹んだ空間に圧着された状態で挿入された後、弾性復元力によって前記温度センサを前記電池セルに向かって押し付けるように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記固定リブは、前記ホルダーの一部を加圧することで、前記ホルダーに固定された前記温度センサが前記電池セルに密着するように前記温度センサに向かって突出している、
請求項3に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のバッテリーパックを少なくとも一つ含む、電子デバイス。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載のバッテリーパックを少なくとも一つ含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパック、電子デバイス、及び自動車に関し、より詳しくは、複数の電池セルに対する温度測定の高信頼性を通じて安全性を高めたバッテリーパックに関する。
【0002】
本出願は、2020年6月15日付け出願の韓国特許出願第10-2020-0072513号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
近年、ノートパソコン、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急激に伸び、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化されるにつれて、繰り返して充放電可能な高性能二次電池に対する研究が活発に行われている。
【0004】
現在、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などの二次電池が商用化しているが、中でもリチウム二次電池はニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果が殆ど起きず充放電が自在であって、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は、主に、リチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として使用する。また、このようなリチウム二次電池は、正極活物質が塗布された正極板と負極活物質が塗布された負極板とがセパレータを介在して配置された電極組立体と、このような電極組立体を電解液とともに封止収納する外装材、例えば電池ケースを備える。
【0006】
そして、リチウム二次電池は、外装材の形状に応じて、電極組立体が金属缶に収納されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに収納されているパウチ型二次電池とに分類され得る。
【0007】
そのうち、缶型二次電池は、電極組立体が収納される金属缶を円筒型に製作する場合がある。このような缶型二次電池は、複数の二次電池を収容するモジュールケース、及び複数の二次電池を電気的に接続するように構成されたバスバーを備えたバッテリーパックの構成に用いられ得る。
【0008】
一方、従来のバッテリーパックは、電池の作動状態や寿命を把握するため、基本的に複数の二次電池の充放電に応じた温度変化を測定する。
図1を参照すると、従来のバッテリーパックは、複数の二次電池10と、このような複数の二次電池10を収容する空間Hを有するモジュールケース30と、このような二次電池10の温度を測定する温度センサ40とを含み、このような温度センサ40を固定するため接着剤20が付け加えられる。
【0009】
しかし、従来のように、手動で温度センサをモジュールケースの収容空間に直接挿入すると、その挿入位置が変わり易い。さらに、温度センサを固定するために接着剤のみを用いる場合、接着剤が塗布されてから硬化するまで、外部衝撃が加えられると温度センサの位置が動き易い。したがって、従来のバッテリーパックを製造する度に、温度センサと二次電池との距離を一定に設け難いという問題がある。これにより、従来のバッテリーパックは、二次電池の実際温度と温度センサを通じて測定された温度とに大きい差が生じるおそれがある。これにより、バッテリーパックの温度測定を通じて二次電池の寿命または安全を管理することが困難であるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の問題点を解決するために創案されたものであって、複数の電池セルに対する温度測定の高信頼性を通じて安全性を高めたバッテリーパックを提供することを目的とする。
【0011】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施形態によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様によるバッテリーパックは、
複数の電池セルと、
複数の電池セルのうちのいずれか一つ以上の温度を測定するように構成された温度センサと、
複数の電池セルを内部に収容するように構成され、温度センサを収容するように凹んだ空間が設けられた収容部を備えるモジュールケースと、
収容部の凹んだ空間に挿入されて凹んだ空間の少なくとも一部を満たす大きさを有し、温度センサを支持するように構成されたホルダーと、を含む。
【0013】
また、ホルダーは、
温度センサの少なくとも一部が挿入されて固定されるように、本体の一部が凹んだ挿入溝を備え得る。
【0014】
さらに、収容部の凹んだ空間に充填されるように構成された接着剤をさらに含み得る。
【0015】
そして、ホルダーは、
挿入溝の一部に、接着剤が流れ込むように、温度センサと離隔した空間を形成するように構成された切欠が備えられ得る。
【0016】
さらに、ホルダーは、
接着剤の一部がホルダーの内部に流れ込むように、内側に貫通した貫通孔を備え得る。
【0017】
また、ホルダーは、
弾性復元可能な素材を含み、
収容部の凹んだ空間に圧着された状態で挿入された後、弾性復元力によって温度センサを電池セルに向かって押し付けるように構成され得る。
【0018】
さらに、収容部は、ホルダーの位置をガイドするように突出した固定リブを備え、
ホルダーは、固定リブが挿入されるように、一部が固定リブと対応する大きさで凹んだ固定溝を備え得る。
【0019】
そして、固定リブは、ホルダーの一部を加圧することで、ホルダーに固定された温度センサが電池セルに密着するように温度センサに向かって突出し得る。
【0020】
さらに、上記の目的を達成するため、本発明の他の一態様による電子デバイスは、上述したバッテリーパックを少なくとも一つ含む。
【0021】
また、上記の目的を達成するため、本発明のさらに他の一態様による自動車は、上述したバッテリーパックを少なくとも一つ含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、収容部を備えたモジュールケース及び収容部に挿入されるホルダーを備えることで、温度センサを収容部内の一定位置に安定的に固定することができる。これにより、本発明のバッテリーパックは、電池セルと温度センサとの離隔距離が一定になるように製造でき、BMS(Battery Management System:バッテリー管理システム)が電池セルの温度を信頼性高く測定することができる。すなわち、電池セルと温度センサとの離隔距離が一定であるため、BMSは所定の温度偏差を考慮して実際の二次電池の温度を信頼性高く推定することができる。
【0023】
また、本発明の一態様によれば、ホルダーが弾性復元可能な素材、すなわち弾性素材を含むことで、収容部の凹んだ空間に圧着された状態で挿入された後、弾性復元力によって温度センサを電池セルに向かって押し付けることができるため、温度センサが電池セルに密着した状態を効果的に維持することができる。これにより、本発明は、電池セルの実際の温度と温度センサを通じて測定された温度との温度偏差を効果的に減らすことができる。これにより、本発明のバッテリーパックは、反応が速くて信頼性が高い温度測定を通じてバッテリーパックの安全性を効果的に高めることができる。
【0024】
さらに、本発明の一態様によれば、収容部に固定リブが備えられ、ホルダーは固定溝を備えることで、ホルダーが収容部に挿入された位置を固定できるだけでなく、温度センサの位置を一定にするため、ホルダーが回転せず正位置に挿入されるようにガイドする役割を果たすことができる。したがって、複数のバッテリーパックを製造する過程で、ホルダーの挿入位置が揃わず、温度センサの位置が不均一になる問題を防止することができる。これにより、信頼性の高い温度測定を通じてバッテリーパックの安全性を効果的に高めることができる。
【0025】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】従来のバッテリーパックの一部を概略的に示した部分断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーパックを概略的に示した斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるバッテリーパックの電池セルを概略的に示した断面図である。
【
図4】
図2のバッテリーパックのA領域を拡大して概略的に示した部分透視図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるバッテリーパックのホルダーを概略的に示した斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるバッテリーパックのホルダーと温度センサの一部を概略的に示した部分斜視図である。
【
図7】
図4のC-C’線に沿って切断した、他の一実施形態によるバッテリーパックの内部を概略的に示した一部断面図である。
【
図8】本発明のさらに他の一実施形態によるバッテリーパックのホルダーを概略的に示した斜視図である。
【
図9】本発明の実施例、比較例1及び比較例2に対して温度を測定した結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0028】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0029】
図2は本発明の一実施形態によるバッテリーパックを概略的に示した斜視図であり、
図3は本発明の一実施形態によるバッテリーパックの電池セルを概略的に示した断面図であり、
図4は
図2のバッテリーパックのA領域を拡大して概略的に示した部分透視図である。
図4では、説明の便宜上、温度センサ230が外部に露出するように、温度センサ230を覆っているモジュールケースの一部Cを省略して示した。
【0030】
図2~
図4を参照すると、本発明のバッテリーパック200は、複数の電池セル100、モジュールケース210、及びホルダー220を含む。
【0031】
ここで、複数の電池セル100は、充放電が可能な二次電池であり得る。電池セル100は、缶型の電池セル100であり得る。ここで、電池セル100は、電極組立体110、円筒型の電池缶112、及びキャップ組立体113を備え得る。
【0032】
電極組立体110は、正極板と負極板との間にセパレータが介在された状態で巻き取られた構造を有し得、正極板には正極タブ114が取り付けられてキャップ組立体113に接続され、負極板には負極タブ115が取り付けられて電池缶112の下端に接続され得る。
【0033】
電池缶112は、内部に空いた空間が形成され、電極組立体110を収納することができる。特に、電池缶112は、円筒型または角形であって、上端が開放された形態で構成され得る。また、電池缶112は、剛性などを確保するため、スチールやアルミニウムのような金属材質で構成され得る。そして、電池缶112は、下端に負極タブが取り付けられ、電池缶112の下部は勿論、電池缶112自体が負極端子として機能することができる。
【0034】
キャップ組立体113は、電池缶112の上端開放部に結合され、電池缶112の開放部を密閉させることができる。このようなキャップ組立体113は、電池缶112の形態に応じて、円形または角形などの形態を有し得、トップキャップC1、安全ベントC2、及びガスケットC3などの下位構成を含み得る。
【0035】
ここで、トップキャップC1は、キャップ組立体113の最上部に位置し、上方に突出した形態で構成され得る。特に、このようなトップキャップC1は、電池セル100において正極端子として機能することができる。したがって、トップキャップC1は、外部装置、例えば、バスバー250などを通じて他の電池セル100と電気的に接続され得る。このようなトップキャップC1は、例えばステンレス鋼やアルミニウムのような金属材質で形成され得る。
【0036】
安全ベントC2は、電池セル100の内圧、すなわち、電池缶112の内圧が一定水準以上に増加する場合、構造が変形されるように構成され得る。また、ガスケットC3は、トップキャップC1及び安全ベントC2の周縁部が電池缶112と絶縁されるように、電気絶縁性を有する材質で構成され得る。
【0037】
一方、キャップ組立体113は、電流遮断部材C4をさらに含み得る。電流遮断部材C4は、CID(Current Interrupt Device)とも呼ばれ、ガスの発生によって電池の内圧が増加し、安全ベントC2の形状が逆さまになれば、安全ベントC2と電流遮断部材C4との接触が切断されるか又は電流遮断部材C4が破損されることで、安全ベントC2と電極組立体110との電気的接続を遮断することができる。
【0038】
このような電池セル100の構成は、本発明の出願時点で当業者に周知されているため、本明細書では詳細な説明を省略する。また、
図3に電池セル100の一例を示したが、本発明によるバッテリーパック200は、特定の形態の電池セル100の構成に限定されない。すなわち、本発明の出願時点で公知の多様な電池セル100が本発明によるバッテリーパック200に採用され得る。
【0039】
また、本発明のバッテリーパック200は、複数のバスバー250をさらに含み得る。バスバー250は、複数の円筒型電池セル100同士を電気的に接続するように構成され得る。バスバー250は、伝導性金属を含み得る。バスバー250は、例えば、銅、ニッケル及びアルミニウムのうち少なくとも一つを含み得る。
【0040】
さらに、バスバー250は、モジュールケース210の左側または右側に取り付けられ得る。例えば、
図2に示されたように、バッテリーパック200の右側には4個のバスバーが取り付けられ得る。図示していないが、バッテリーパック200の左側及びモジュールケース210の内部にも複数のバスバーが取り付けられ得る。
【0041】
図4は、
図2のバッテリーパックの一部を拡大して概略的に示した部分透視図である。
【0042】
図2~
図4をさらに参照すると、温度センサ230は、熱を電気的信号に変換するセンサの役割を果たすことができる。温度センサ230は、例えば、温度に応じて抵抗値が変化するサーミスタ(thermistor)であり得る。サーミスタは、電気絶縁性の被覆材を備え得る。
【0043】
さらに、モジュールケース210は、電気絶縁性の素材を含み得る。例えば、モジュールケース210は、ポリ塩化ビニルを含み得る。モジュールケース210は、全体的に箱状の本体を有し得る。そして、モジュールケース210は、複数の電池セル100を内部に収容するように、本体に複数の中空を有し得る。さらに、モジュールケース210は、温度センサ230を収容するように、凹んだ空間を有する収容部212を備え得る。例えば、収容部212は、
図4に示されたように、円筒状の内部空間を有し得る。
【0044】
さらに、ホルダー220は、収容部212の凹んだ空間に挿入されるように構成され得る。ホルダー220は、収容部212の凹んだ空間の少なくとも一部を満たすほどの大きさを有し得る。
【0045】
そして、ホルダー220は、温度センサ230を支持するように構成され得る。すなわち、ホルダー220は、温度センサ230の一部を掴み得る。すなわち、ホルダー220は、温度センサ230が動くか又は離脱しないように、温度センサ230を固定するように構成され得る。ホルダー220には、温度センサ230の形態に応じて、温度センサ230を固定する多様な支持構造が適用され得る。
【0046】
したがって、本発明のこのような構成によれば、収容部212を備えたモジュールケース210及び収容部212に挿入されるホルダー220を備えることで、温度センサ230を収容部212内の一定位置に安定的に固定することができる。これにより、本発明のバッテリーパック200は、電池セル100と温度センサ230との離隔距離が一定になるように製造でき、BMS280が電池セル100の温度を信頼性高く測定することができる。すなわち、電池セル100と温度センサ230との離隔距離が一定であるため、BMS280は、所定の温度偏差を考慮して実際の二次電池の温度を信頼性高く推定することができる。
【0047】
図5は本発明の一実施形態によるバッテリーパックのホルダーを概略的に示した斜視図であり、
図6は本発明の一実施形態によるバッテリーパックのホルダーと温度センサの一部を概略的に示した部分斜視図である。
【0048】
図3~
図6を参照すると、ホルダー220は、温度センサ230を固定するように構成された挿入溝H1を備え得る。挿入溝H1は、温度センサ230の少なくとも一部が挿入されるように、本体の一部が内側に凹んだ形態を有し得る。例えば、
図5に示されたように、挿入溝H1は、温度センサ230の本体に沿って一方向(バッテリーパックの内側中央に向かって)に長く延びた溝状であり得る。
【0049】
したがって、本発明のこのような構成によれば、温度センサ230の少なくとも一部が挿入されて固定されるように、本体の一部が凹んだ挿入溝H1を備えることで、電池セル100の長手方向に沿って電池セル100と一定距離を維持するように温度センサ230を位置させることができる。結果的に、本発明は、バッテリーパックを製造する度に温度センサ230の位置が一定にならず、それによって測定温度と電池セル100の実際の温度とに差が発生する問題を解決することができる。
【0050】
図7は、
図4のC-C’線に沿って切断した、他の一実施形態によるバッテリーパックの内部を概略的に示した一部断面図である。
【0051】
図4~
図7を参照すると、他の一実施形態によるバッテリーパックの収容部212は、モジュールケース210に収容された電池セル100の一部が露出するように、一部が開放された形態を有し得る。すなわち、収容部212は、挿入された温度センサ230の一部と電池セル100とが接触するように、電池セル100が位置した側の内部空間の壁の一部が開放された形態であり得る。
【0052】
また、本発明の他の一実施形態によるバッテリーパックは、収容部212の凹んだ空間に充填されるように構成された接着剤240をさらに含み得る。具体的には、接着剤240は、収容部212の内部空間に注入された後、固化した接着剤240であり得る。接着剤240は、透明性及び電気絶縁性を有し得る。接着剤240は、グルー(glue)またはホットメルト樹脂(hot-melt resin)であり得る。例えば、接着剤240は、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、及びアクリル系樹脂のうちの少なくとも一つを含み得る。
【0053】
また、接着剤240は、温度センサ230及びホルダー220の位置を固定するように構成され得る。すなわち、接着剤240は、温度センサ230の一部及びホルダー220の一部を固定することができる。
【0054】
したがって、本発明のこのような構成によれば、接着剤240を備えることで、温度センサ230及びホルダー220の位置を堅固に固定できるため、バッテリーパック200の使用中に外部衝撃が加えられて温度センサ230の位置が変わるか又は離脱することを防止することができる。これにより、バッテリーパック200は、信頼性高く電池セル100の温度を測定でき、バッテリーパック200の安全性を効果的に高めることができる。
【0055】
図8は、本発明のさらに他の一実施形態によるバッテリーパックのホルダーを概略的に示した斜視図である。
【0056】
図4~
図8を参照すると、本発明のさらに他の一実施形態によるバッテリーパックのホルダー220Aは、
図5のホルダー220と比べて、切欠Nをさらに備え得る。すなわち、
図8のホルダー220Aは、
図5のホルダー220と同様に、挿入溝H1に温度センサ230が固定されるように構成され得る。
【0057】
また、切欠Nは、接着剤240が流れ込むように、温度センサ230と離隔した空間を形成し得る。切欠Nは、挿入溝H1の一部に形成され得る。切欠Nは、温度センサ230の本体に沿って長く延び得る。すなわち、切欠Nは、三角形の断面を有し、温度センサ230の本体に沿って長く内側に延びた溝状であり得る。
【0058】
また、接着剤240は、切欠Nの内部空間に沿ってホルダー220の内部へと流れ込み得る。切欠Nの内部空間に流れ込んだ接着剤240は、温度センサ230の外面と接触するように構成され得る。そして、接着剤240は、液体状態で切欠Nに流れ込んだ後、一定時間後に硬化するように構成され得る。
【0059】
したがって、本発明のこのような構成によれば、ホルダー220Aが切欠Nをさらに備えることで、接着剤240が切欠Nに沿って流れ込んで温度センサ230と接触することができる。すなわち、接着剤240が切欠Nを通じてホルダー220Aの内部に流れ込んで、温度センサ230のより広い面積を固定することができる。
【0060】
これにより、本発明は、ホルダー220Aの挿入溝H1に挿入された温度センサ230の部分も接着剤240によって固定することができ、バッテリーパック200の使用中に外部衝撃が加えられて温度センサ230の位置が変わるか又は外部に離脱することを防止することができる。これにより、バッテリーパック200は、信頼性高く電池セル100の温度を測定でき、バッテリーパック200の安全性を効果的に高めることができる。
【0061】
さらに
図4~
図8を参照すると、本発明のさらに他の一実施形態によるバッテリーパックのホルダー220Aは、
図5のホルダー220と比べて、貫通孔H2をさらに備え得る。
【0062】
また、貫通孔H2は、接着剤240の一部がホルダー220Aの内部に流れ込むように構成され得る。貫通孔H2は、ホルダー220Aの本体の一部が内側に(バッテリーパックの内側中央に向かって)貫通した形態を有し得る。すなわち、接着剤240は、貫通孔H2を通じてホルダー220Aの外側一面から反対側の他面まで移動し得る。例えば、
図8に示されたように、ホルダー220Aは、二つの貫通孔H2を備え得る。二つの貫通孔H2は、それぞれ、
図8に示されたホルダー220Aを基準にして、上面から下面まで貫通した形態を有し得る。
【0063】
したがって、本発明のこのような構成によれば、ホルダー220Aに貫通孔H2を備えることで、接着剤240が貫通孔H2に沿ってホルダー220Aの内部に流れ込むことができる。ホルダー220Aの内部に流れ込んだ接着剤240は、ホルダー220Aを固定できるだけでなく、接着剤240が届き難いホルダー220Aの内側(モジュールケース210の中心を基準にして)部分にも接着剤240が流れ込んで、ホルダー220Aの位置を安定的に固定することができる。
【0064】
これにより、バッテリーパック200の使用中に外部衝撃が加えられ、収容部212内でホルダー220Aの位置が変わるか又は収容部212の外部に離脱することを防止することができる。これにより、バッテリーパック200は、安定的に温度センサ230を収容部212内に固定でき、信頼性高く電池セル100の温度を測定することができる。
【0065】
図5~
図7をさらに参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーパック200のホルダー220は、収容部212の凹んだ空間の一部に十分に満たされるように、弾性変形力または弾性復元力を有する素材を含み得る。素材は、例えば、シリコーン、ウレタン、ゴム、及びスポンジのうちいずれか一つ以上であり得る。
【0066】
また、ホルダー220は、収容部212の凹んだ空間に圧着された状態で挿入され得る。ホルダー220は、収容部212の凹んだ空間に挿入された後、弾性復元力によって温度センサ230を電池セル100に向かって押し付けるように構成され得る。例えば、ホルダー220は、ウレタン素材を含み得る。ホルダー220は、挿入溝H1に固定された温度センサ230をウレタン素材の弾性復元力で電池セル100に密着させることができる。すなわち、ホルダー220は、収容部212にホルダー220が挿入された状態で、電池セル100に向かって温度センサ230を圧着するように構成され得る。
【0067】
したがって、本発明のこのような構成によれば、ホルダー220が弾性復元可能な素材、すなわち弾性素材を含むことで、収容部212の凹んだ空間に圧着された状態で挿入された後、弾性復元力によって温度センサ230を電池セル100に向かって押し付けることができるため、温度センサ230が電池セル100に密着した状態を効果的に維持することができる。
【0068】
これにより、本発明は、電池セル100の実際の温度と温度センサ230を通じて測定された温度との温度差を効果的に減らすことができる。これにより、本発明のバッテリーパック200は、反応が速くて信頼性が高い温度測定を通じてバッテリーパック200の安全性を効果的に高めることができる。
【0069】
図5~
図7をさらに参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーパック200の収容部212は、ホルダー220の位置をガイドするように突出した固定リブRを備え得る。固定リブRは、収容部212の凹んだ空間の一部がホルダー220に向かって突出した形態を有し得る。固定リブRは、ホルダー220の一部に挿入されて、ホルダー220の位置を固定するように構成され得る。
【0070】
また、ホルダー220は、固定リブRが挿入されるように構成された固定溝H3を備え得る。固定溝H3は、ホルダー220の一部が本体の内側に凹んだ形態を有し得る。固定溝H3は、固定リブRと対応する大きさの凹んだ空間を有し得る。
【0071】
さらに、固定リブRは、収容部212の内側に行くほど突出した大きさが徐々に大きくなる形状を有し得る。例えば、固定リブRが楔状である場合、楔の大きさが収容部212の凹んだ空間の内側に行くほど徐々に大きくなるように構成され得る。これにより、固定リブRの徐々に大きくなる形状によって、ホルダー220が収容部212に挿入されるほど、固定リブRによってホルダー220が温度センサ230をより強く圧着させることができる。
【0072】
したがって、本発明のこのような構成によれば、収容部212に固定リブRが備えられ、ホルダー220は固定溝H3を備えることで、ホルダー220が収容部212に挿入された位置を固定できるだけでなく、ホルダー220を挿入するとき、ホルダー220の位置が回転せず正位置に挿入されるようにガイドする役割を果たすことができる。これにより、複数のバッテリーパック200を製造する過程で、ホルダー220の挿入位置が揃わず、温度センサ230の位置が不均一になる問題を防止することができる。これにより、バッテリーパック200は、信頼性の高い温度測定を通じてバッテリーパック200の安全性を効果的に高めることができる。
【0073】
また、固定リブRは、ホルダー220の一部を加圧して、ホルダー220に固定された温度センサ230が電池セル100に向かって密着するように構成され得る。すなわち、固定リブRは、温度センサ230に向かって突出した形態を有し得る。すなわち、固定リブRの温度センサ230に向かって突出した末端は、ホルダー220を温度センサ230が位置した方向に押し付け、押し付けられたホルダー220によって温度センサ230が電池セル100の外面に密着し得る。
【0074】
したがって、本発明のこのような構成によれば、温度センサ230に向かって突出した固定リブRを備えることで、温度センサ230が電池セル100の外面に密着した状態を安定的に維持することができる。これにより、バッテリーパック200は、信頼性の高い温度測定を通じてバッテリーパック200の安全性を効果的に高めることができる。
【0075】
一方、本発明の一実施形態によるバッテリーパック200は、バッテリーパック200の充放電を制御するための各種の装置(図示せず)、例えばBMS(
図2のBMS280)、電流センサ、温度センサ230、ヒューズなどをさらに含み得る。
【0076】
一方、本発明の一実施形態による電子デバイス(図示せず)は、上述したバッテリーパック200を少なくとも一つ含む。電子デバイスは、バッテリーパック200を収納するための収納空間が備えられたデバイスハウジング(図示せず)、及びユーザがバッテリーパック200の充電状態を確認できる表示部をさらに含み得る。
【0077】
また、本発明の一実施形態によるバッテリーパック200は、電気自動車やハイブリッド自動車のような自動車に含まれ得る。すなわち、本発明の一実施形態による自動車は、車体内に上述した本発明の一実施形態によるバッテリーパック200が搭載され得る。
【0078】
なお、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は説明の便宜のためのものであるだけで、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、当業者にとって自明である。
【0079】
以下、実施例及び実験例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明がこれら実施例及び実験例によって制限されることはない。本発明による実施例は多くの他の形態に変形され得、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0080】
<比較例1>
本発明のバッテリーパックは、モジュールケースの内部に総84個の円筒型電池セルが収容されている。このような84個の円筒型電池セルは、電気的に直列で接続された14個の円筒型電池セルを一つのグループにして、6個のグループが電気的に並列で接続されている。このようなモジュールケースに収容された電池セルのうち、モジュールケースの内部温度を確認するため、モジュールケースの中央、外郭などに位置した20個の電池セルの温度を温度測定機(thermal coupler)を用いて直接測定した。測定された温度の最高値と平均値を
図9のグラフに示した。
【0081】
<比較例2>
比較例1と同じバッテリーパックの収容部に、ホルダーなしに温度センサ(NTC thermistor)を挿入した後、温度センサを通じて測定される電池セルの温度をBMSを通じて算定した。測定された温度を
図9のグラフに示した。
【0082】
<実施例>
比較例1と同じバッテリーパックの収容部に、温度センサ(NTC thermistor)を固定したホルダーを、温度センサが円筒型電池セルの外面に密着するように挿入した後、温度センサを通じて測定される電池セルの温度をBMSを通じて算定した。測定された温度を
図9のグラフに示した。
【0083】
測定の結果、ホルダーがない比較例2のバッテリーパックは、比較例1で温度測定機を用いて直接測定した20個の電池セルのうち、最高温度値を基準にして、4℃程度の差を見せた。一方、本発明の実施例のバッテリーパックは、2℃程度の相対的に少ない差を見せた。したがって、本発明のバッテリーパックは、電池セルの実際の温度と温度センサを通じて測定された温度との温度差を効果的に減らすことができる。これにより、本発明のバッテリーパックは、信頼性の高い温度測定を通じてバッテリーパックの安全性を効果的に高めることができる。
【0084】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0085】
100 電池セル
200 バッテリーパック
210 モジュールケース
212 収容部
220 ホルダー 230 温度センサ