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特許7542625通信制御方法、ユーザ装置及びプロセッサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】通信制御方法、ユーザ装置及びプロセッサ
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/40 20180101AFI20240823BHJP
   H04W 4/06 20090101ALI20240823BHJP
   H04W 16/32 20090101ALI20240823BHJP
   H04W 48/00 20090101ALI20240823BHJP
   H04W 36/08 20090101ALI20240823BHJP
   H04W 48/10 20090101ALI20240823BHJP
【FI】
H04W76/40
H04W4/06
H04W16/32
H04W48/00 110
H04W36/08
H04W48/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022540260
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 JP2021027421
(87)【国際公開番号】W WO2022024945
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2020127751
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤代 真人
【審査官】中元 淳二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-033165(JP,A)
【文献】国際公開第2018/030385(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/145000(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0059835(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルよりも狭いゾーン単位でマルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムで用いる通信制御方法であって、
第1セルを管理する基地局が、前記第1セルと異なる第2セルに含まれるゾーンであって、MBS送信が行われるゾーンを示すゾーン情報を含むシステム情報を前記第1セルにおいてブロードキャストすることと、
前記第1セルに位置するユーザ装置が、前記システム情報を受信することと、
前記ユーザ装置が、前記システム情報に基づいて、前記ゾーン内でMBSデータを受信するための所定動作を行うことと、を有し、
前記所定動作を行うことは、RRC(Radio Resource Control)アイドル状態又はRRCインアクティブ状態にある前記ユーザ装置が、前記第1セルから前記第2セルへのセル再選択を行うための動作を行うことを含み、
前記セル再選択を行うための動作を行うことは、前記ユーザ装置が前記ゾーンに移動し、かつ前記ゾーンに対して送信されるMBSデータを前記ユーザ装置が受信する場合、前記ゾーンを含む前記第2セルを前記セル再選択の最高優先度に設定することを含み、
前記MBSデータは、前記ゾーンに固有のデータである
通信制御方法。
【請求項2】
前記システム情報は、前記ゾーン情報と対応付けられた識別子をさらに含み、
前記識別子は、前記第2セルを示す識別子、前記第2セルが属する周波数を示す識別子、及び前記ゾーンに対する前記MBS送信に用いられるMBSセッションを示す識別子のうちの少なくとも1つである
請求項1に記載の通信制御方法。
【請求項3】
前記所定動作を行うことは、コネクティッド状態にある前記ユーザ装置が、前記システム情報に基づいて、前記第1セルから前記第2セルへ接続を切り替えるための動作を行うことを含み、
前記接続を切り替えるための動作を行うことは、前記ユーザ装置が、前記ユーザ装置が前記ゾーンに移動し、かつ前記ゾーンに対して送信されるMBSデータを前記ユーザ装置が受信する場合、前記基地局に対して通知を送信することを含む
請求項1又は2に記載の通信制御方法。
【請求項4】
前記通知は、前記ユーザ装置が受信に興味を持つMBSデータに対応するゾーンのゾーン情報、前記ユーザ装置が現在位置するゾーンのゾーン情報、及び前記ユーザ装置が受信に興味を持つMBSセッションを示す識別子のうちの少なくとも1つである
請求項3に記載の通信制御方法。
【請求項5】
セルよりも狭いゾーン単位でマルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムにおけるユーザ装置であって、
第1セルを管理する基地局から前記第1セルにおいてブロードキャストされるシステム情報であって、前記第1セルと異なる第2セルに含まれるゾーンであって、MBS送信が行われるゾーンを示すゾーン情報を含むシステム情報を受信する受信部と、
前記システム情報に基づいて、前記ゾーン内でMBSデータを受信するための所定動作を行う制御部と、を備え、
前記所定動作は、RRC(Radio Resource Control)アイドル状態又はRRCインアクティブ状態にある前記ユーザ装置が、前記第1セルから前記第2セルへのセル再選択を行うための動作を含み、
前記セル再選択を行うための動作は、前記ユーザ装置が前記ゾーンに移動し、かつ前記ゾーンに対して送信されるMBSデータを前記ユーザ装置が受信する場合、前記ゾーンを含む前記第2セルを前記セル再選択の最高優先度に設定することを含み、
前記MBSデータは、前記ゾーンに固有のデータである
ユーザ装置。
【請求項6】
セルよりも狭いゾーン単位でマルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムにおけるユーザ装置を制御するためのプロセッサであって、
第1セルを管理する基地局から前記第1セルにおいてブロードキャストされるシステム情報であって、前記第1セルと異なる第2セルに含まれるゾーンであって、MBS送信が行われるゾーンを示すゾーン情報を含むシステム情報を受信する処理と、
前記システム情報に基づいて、前記ゾーン内でMBSデータを受信するための所定動作を行う処理と、を実行し、
前記所定動作を行う処理は、RRC(Radio Resource Control)アイドル状態又はRRCインアクティブ状態にある前記ユーザ装置が、前記第1セルから前記第2セルへのセル再選択を行うための動作を行う処理を含み、
前記セル再選択を行うための動作を行う処理は、前記ユーザ装置が前記ゾーンに移動し、かつ前記ゾーンに対して送信されるMBSデータを前記ユーザ装置が受信する場合、前記ゾーンを含む前記第2セルを前記セル再選択の最高優先度に設定する処理を含み、
前記MBSデータは、前記ゾーンに固有のデータである
プロセッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムで用いる通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、セルよりも狭いゾーン単位でマルチキャスト・ブロードキャストサービス(以下、適宜「MBS」と呼ぶ)を提供する移動通信システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2018/030385号
【発明の概要】
【0004】
第1の態様に係る通信制御方法は、セルよりも狭いゾーン単位でマルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムで用いる通信制御方法であって、第1セルを管理する基地局が、前記第1セルと異なる第2セルにおいてMBS送信が行われるゾーンを示すゾーン情報を含むシステム情報を前記第1セルにおいてブロードキャストすることと、前記第1セルに位置するユーザ装置が、前記システム情報を受信することと、前記ユーザ装置が、前記システム情報に基づいて、前記ゾーン内でMBSデータを受信するための所定動作を行うことと有する。
【0005】
第2の態様に係る通信制御方法は、セルよりも狭いゾーン単位でマルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムで用いる通信制御方法であって、セルにおいてRRCコネクティッド状態にあるユーザ装置が、前記セル内のゾーンに対して送信されるMBSデータを受信する場合、前記セルを管理する基地局に対して、前記MBSデータに関する通知を送信することを有し、前記送信することは、前記ユーザ装置が前記ゾーン外に位置するときに前記通知を送信せずに、前記ユーザ装置が前記ゾーン内に位置するときに前記通知を送信することを含む。
【0006】
第3の態様に係る通信制御方法は、セルよりも狭いゾーン単位でマルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムで用いる通信制御方法であって、第1セルを管理する第1基地局が、第2セルを管理する第2基地局に対して、前記第1セルにおいてコネクティッド状態にあるユーザ装置のハンドオーバを要求するハンドオーバ要求を送信することと、前記第2基地局が、前記ハンドオーバ要求に基づいて、前記ハンドオーバの受け入れ判断を行うことと、を有し、前記ハンドオーバ要求は、前記ユーザ装置がMBSデータを受信するゾーン又は前記ユーザ装置が位置するゾーンを示す情報を含む。
【0007】
第4の態様に係る通信制御方法は、セルよりも狭いゾーン単位でマルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムで用いる通信制御方法であって、セルを管理する基地局が、ユーザ装置がMBSデータの受信を要求することを示す通知を受信することと、前記基地局が、前記通知に基づいて、前記セルにおいて前記MBSデータを送信するためのMBSセッションの開始を決定することと、前記基地局が、前記MBSセッションの開始を要求する開始要求をネットワークノードに送信することとを有する。
【0008】
第5の態様に係る通信制御方法は、セルよりも狭いゾーン単位でマルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムで用いる通信制御方法であって、セルを管理する基地局が、前記セルにおいてMBSデータを送信するためのMBSセッションの開始を示す開始通知をネットワークノードから受信することと、前記基地局が、前記開始通知に基づいて、前記MBSセッションを用いて前記MBSデータを送信することと、を有し、前記開始通知は、前記MBSセッションを適用するゾーンを示すゾーン情報を含み、前記送信することは、前記ゾーン情報が示す前記ゾーンに対する前記MBSデータを送信することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
図2】実施形態に係るUE(ユーザ装置)の構成を示す図である。
図3】実施形態に係るgNB(基地局)の構成を示す図である。
図4】データを取り扱うユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
図5】シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
図6】実施形態に係る下りリンクの論理チャネル(Logical channel)とトランスポートチャネル(Transport channel)との対応関係を示す図である。
図7】実施形態に係る移動通信システムにおけるゾーンの構成例を示す図である。
図8】第1実施形態の動作例1を示す図である。
図9】第1実施形態の動作例2を示す図である。
図10】第2実施形態の動作例1を示す図である。
図11】第2実施形態の動作例2を示す図である。
図12】第3実施形態に係る動作を示す図である。
図13】第4実施形態に係る動作を示す図である。
図14】第5実施形態に係る動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特許文献1に記載の移動通信システムには、ゾーン単位で提供されるMBSを効率的に受信可能とする点において改善の余地がある。
【0011】
そこで、本開示は、ゾーン単位で提供されるMBSを効率的に受信可能とすることを目的とする。
【0012】
図面を参照しながら、一実施形態に係る移動通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0013】
(移動通信システム)
まず、一実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。図1は、一実施形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。この移動通信システムは、3GPP規格の第5世代システム(5GS:5th Generation System)に準拠する。以下において、5GSを例に挙げて説明するが、移動通信システムにはLTE(Long Term Evolution)システムが少なくとも部分的に適用されてもよい。
【0014】
図1に示すように、移動通信システムは、ユーザ装置(UE:User Equipment)100と、5Gの無線アクセスネットワーク(NG-RAN:Next Generation Radio Access Network)10と、5Gのコアネットワーク(5GC:5G Core Network)20とを有する。
【0015】
UE100は、移動可能な無線通信装置である。UE100は、ユーザにより利用される装置であればどのような装置であっても構わないが、例えば、UE100は、携帯電話端末(スマートフォンを含む)やタブレット端末、ノートPC、通信モジュール(通信カード又はチップセットを含む)、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置(Vehicle UE)、飛行体若しくは飛行体に設けられる装置(Aerial UE)である。
【0016】
NG-RAN10は、基地局(5Gシステムにおいて「gNB」と呼ばれる)200を含む。gNB200は、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して相互に接続される。gNB200は、1又は複数のセルを管理する。gNB200は、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。gNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。1つのセルは1つのキャリア周波数に属する。
【0017】
なお、gNBがLTEのコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)に接続することもできる。LTEの基地局が5GCに接続することもできる。LTEの基地局とgNBとが基地局間インターフェイスを介して接続されることもできる。
【0018】
5GC20は、AMF(Access and Mobility Management Function)及びUPF(User Plane Function)300を含む。AMFは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。AMFは、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信することにより、UE100のモビリティを管理する。UPFは、データの転送制御を行う。AMF及びUPFは、基地局-コアネットワーク間インターフェイスであるNGインターフェイスを介してgNB200と接続される。
【0019】
図2は、一実施形態に係るUE100(ユーザ装置)の構成を示す図である。
【0020】
図2に示すように、UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を備える。
【0021】
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。
【0022】
送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0023】
制御部130は、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPU(Central Processing Unit)と、を含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0024】
図3は、一実施形態に係るgNB200(基地局)の構成を示す図である。
【0025】
図3に示すように、gNB200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びバックホール通信部240を備える。
【0026】
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0027】
受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
【0028】
制御部230は、gNB200における各種の制御を行う。制御部230は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPUと、を含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0029】
バックホール通信部240は、基地局間インターフェイスを介して隣接基地局と接続される。バックホール通信部240は、基地局-コアネットワーク間インターフェイスを介してAMF/UPF300と接続される。なお、gNBは、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)とで構成され(すなわち、機能分割され)、両ユニット間はF1インターフェイスで接続されてもよい。
【0030】
図4は、データを取り扱うユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0031】
図4に示すように、ユーザプレーンの無線インターフェイスプロトコルは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤとを有する。
【0032】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤとgNB200のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0033】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMACレイヤとgNB200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。gNB200のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースブロックを決定する。
【0034】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤとgNB200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0035】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0036】
SDAPレイヤは、コアネットワークがQoS制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。なお、RANがEPCに接続される場合は、SDAPが無くてもよい。
【0037】
図5は、シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0038】
図5に示すように、制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックは、図4に示したSDAPレイヤに代えて、RRC(Radio Resource Control)レイヤ及びNAS(Non-Access Stratum)レイヤを有する。
【0039】
UE100のRRCレイヤとgNB200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態にある。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がない場合、UE100はRRCアイドル状態にある。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間の接続がサスペンドされている場合、UE100はRRCインアクティブ状態にある。
【0040】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。UE100のNASレイヤとAMF300のNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。
【0041】
なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。
【0042】
(MBS)
次に、一実施形態に係るMBSについて説明する。MBSは、NG-RAN10からUE100に対してブロードキャスト又はマルチキャスト、すなわち、1対多(PTM:Point To Multipoint)でのデータ送信を行うサービスである。MBSは、MBMS(Multimedia Broadcast and Multicast Service)と呼ばれることがある。
【0043】
MBSのユースケースとしては、公安通信、ミッションクリティカル通信、V2X(Vehicle to Everything)通信、IPv4又はIPv6マルチキャスト配信、IPTV、グループ通信、及びソフトウェア配信等がある。
【0044】
LTEにおけるMBSの送信方式には、MBSFN(Multicast Broadcast Single Frequency Network)送信及びSC-PTM(Single Cell Point To Multipoint)送信の2種類がある。図6は、一実施形態に係る下りリンクの論理チャネル(Logical channel)とトランスポートチャネル(Transport channel)との対応関係を示す図である。
【0045】
図6に示すように、MBSFN送信に用いる論理チャネルはMTCH(Multicast Traffic Channel)及びMCCH(Multicast Control Channel)であり、MBSFN送信に用いるトランスポートチャネルはMCH(Multicast Control Channel)である。MBSFN送信は、主にマルチセル送信用に設計されており、複数のセルからなるMBSFNエリアにおいて各セルが同じMBSFNサブフレームで同じ信号(同じデータ)の同期送信を行う。
【0046】
SC-PTM送信に用いる論理チャネルはSC-MTCH(Single Cell Multicast Traffic Channel)及びSC-MCCH(Single Cell Multicast Control Channel)であり、SC-PTM送信に用いるトランスポートチャネルはDL-SCH(Downlink Shared Channel)である。SC-PTM送信は、主に単一セル送信用に設計されており、セル単位でブロードキャスト又はマルチキャストでのデータ送信を行う。SC-PTM送信に用いる物理チャネルはPDCCH(Physical Downlink Control Channel)及びPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)であり、動的なリソース割当が可能になっている。以下において、SC-PTM伝送方式を用いてMBSが提供される一例について主として説明するが、MBSFN伝送方式を用いてMBSが提供されてもよい。
【0047】
一実施形態に係る移動通信システムは、セルよりも狭いゾーン単位でMBSを提供する。ゾーンとは、セルとは別に規定される地理的な小領域をいう。UE100は、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機を用いて得られる位置情報により、自身の位置及びそれに対応するゾーンを特定可能であるものとする。
【0048】
図7は、一実施形態に係る移動通信システムにおけるゾーンの構成例を示す図である。図7における各矩形の領域がゾーンである。以下において、各ゾーンが矩形の地理的領域である一例について主として説明するが、矩形に代えて円形又は楕円形の地理的領域であってもよい。ゾーンは、小領域、小エリア、サブ領域、又はサブエリアと呼ばれてもよい。
【0049】
各ゾーンは、直交座標系(x、y)により表現されてもよい。例えば、ゾーンは、ゾーンの長さ(Length)、ゾーンの幅(width)、及び参照点を示す情報を含んでいてもよい。参照点とは、矩形の1つの頂点(例えば、左上の頂点)をいい、地球上のある点を基準として参照点が表現される。各ゾーンは、矩形であるゾーンの4つの頂点のうち、対角に位置する2つの頂点の緯度・経度(例えば、北東の点の緯度・経度及び南西の点の緯度・経度)により表現されてもよい。各ゾーンは、極座標系(r、θ)により表現されてもよい。ゾーンを表現する情報を「ゾーン情報」という。
【0050】
図7において、セルC1を管理するgNB200A及びセルC2を管理するgNB200Bが例示されている。セルC2は、セルC1よりも狭いセルであって、セルC1の地理的領域に包含されている。但し、セルC1及びセルC2を1つのgNB200が管理する構成であってもよい。セルC1は周波数F1で運用され、セルC2は周波数F2で運用されている。すなわち、セルC1及びセルC2は互いに異なる周波数で運用されている。但し、セルC1及びセルC2が同じ周波数で運用されていてもよい。
【0051】
gNB200A及びgNB200Bのそれぞれは、自セルに属するゾーンごとにMBS送信を行う。MBS送信とは、マルチキャスト送信及びブロードキャスト送信のうち少なくとも一方をいうが、以下において、MBS送信がマルチキャスト送信である一例について主として説明する。また、MBS送信により送信されるデータをMBSデータと呼ぶことがある。
【0052】
各gNB200(gNB200A及びgNB200B)は、ゾーンごとにゾーン固有のデータを送信する。具体的には、ゾーンごとに異なるMBSセッションが割り当てられ、各gNB200がMBSセッションを用いてゾーン固有のデータを送信する。MBSセッションは、TMGI(Temporary Mobile Group Identity)、セッション識別子、及びG-RNTI(Group Cell Radio Network Temporary Identifier)のうち少なくとも1つにより識別される。以下において、これらの識別子のうち少なくとも1つをMBSセッション識別子と呼ぶ。
【0053】
ゾーンごとにゾーン固有のデータを送信するゾーン単位MBS送信は、セル単位でのMBS送信に比べてきめ細かなサービスを提供できる。例えば、V2Xを想定すると、交差点が属するゾーンに位置する各UE100に対して、この交差点の交通関連データを送信するといったサービスを提供可能になる。
【0054】
図7において、UE100は、セルC1のうちゾーンA内に位置している。UE100は、ゾーンBに向けて移動していてもよい。UE100は、ゾーンAにおいて、ゾーンA向けにマルチキャストされるデータを受信していてもよい。ゾーンA及びゾーンBにおいて同じデータがマルチキャストされていてもよい。
【0055】
UE100がゾーンAからゾーンBへ移動する際に、UE100がセルC2に移動する。この場合、セルAからセルBへのセル再選択又はハンドオーバを行う必要があり得る。セル再選択は、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態にあるUE100によるセル切替動作である。ハンドオーバは、RRCコネクティッド状態にあるUE100によるセル切替動作である。以下の各実施形態においては、このようなシナリオを主として想定する。なお、ゾーン単位でMBSを提供する基本的な動作については特許文献1(国際公開2018/030385号)に記載されている。
【0056】
(第1実施形態)
次に、上述の移動通信システム及びマルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を前提として、第1実施形態に係る動作について説明する。
【0057】
第1実施形態に係る通信制御方法は、セルよりも狭いゾーン単位でMBSを提供する移動通信システムで用いる方法である。第1実施形態に係る通信制御方法は、図7に示すように、セルC1を管理するgNB200Aが、セルC1と異なるセルC2においてMBS送信が行われるゾーンを示すゾーン情報を含むシステム情報をセルC1においてブロードキャストするステップと、セルC1に位置するUE100が、システム情報を受信するステップと、UE100が、システム情報に基づいて、当該ゾーン内でMBSデータを受信するための所定動作を行うステップと有する。これにより、UE100は、セルC1において受信したシステム情報に基づいて、セルC2のゾーンにおいてMBSデータを効率的に受信できる。
【0058】
システム情報は、システム情報ブロックと呼ばれることがある。システム情報は、MBS向けのシステム情報であってもよい。以下において、このようなシステム情報をMBSシステム情報と呼ぶ。MBSシステム情報は、ゾーン情報と対応付けられた識別子をさらに含む。この識別子は、セルC2を示す識別子(セル識別子)、セルC2が属する周波数を示す識別子(周波数識別子)、及びゾーンにおいてMBS送信に用いられるMBSセッションを示す識別子(MBSセッション識別子)のうちの少なくとも1つである。
【0059】
例えば、MBSシステム情報は、少なくとも1つの隣接セルのセル識別子と、各セル識別子と対応付けられたゾーン情報とを含んでもよい。MBSシステム情報は、少なくとも1つの隣接周波数の周波数識別子と、各周波数識別子と対応付けられたゾーン情報とを含んでもよい。隣接周波数とは、サービング周波数と異なる周波数をいう。MBSシステム情報は、少なくとも1つのMBSセッション識別子と、各セッション識別子と対応付けられたゾーン情報とを含んでもよい。
【0060】
(1)第1実施形態の動作例1
第1実施形態の動作例1において、セルC2のゾーン内でMBSデータを受信するための所定動作を行うステップは、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態にあるUE100が、セルC1からセルC2へのセル再選択を行うための動作を行うステップを含む。このステップは、UE100がセルC2のゾーンに移動し、かつ当該ゾーンに対して送信されるMBSデータをUE100が受信する場合、セルC2又はセルC2が属する周波数をセル再選択の最高優先度に設定するステップを含む。
【0061】
図8は、第1実施形態の動作例1を示す図である。動作例1において、UE100がRRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態にあるものとする。
【0062】
図8に示すように、ステップS101において、gNB200Aは、隣接セルであるセルC2(又は隣接周波数である周波数F2)のゾーン情報を含むMBSシステム情報をブロードキャストする。セルC1に位置するUE100は、gNB200AからMBSシステム情報を受信する。
【0063】
ステップS102において、UE100は、ステップS101で受信したMBSシステム情報に含まれるゾーン情報が示すゾーンに対して送信されるMBSデータ(すなわち、当該ゾーン向けのMBSデータ)を受信するか否かを判定する。ここで、UE100は、MBSシステム情報に含まれるMBSセッション識別子に基づいて、当該ゾーンに対して送信されるMBSデータを特定してもよい。なお、「MBSデータを受信する」とは、MBSデータを実際に受信している状態に限らず、MBSデータの受信がユーザ又はアプリケーションから要求されている状態(すなわち、MBSデータの受信に興味がある状態)も含むものとする。当該ゾーンに対して送信されるMBSデータを受信しない場合(ステップS102:No)、本動作が終了する。
【0064】
当該ゾーンに対して送信されるMBSデータを受信する場合(ステップS102:Yes)、ステップS103において、UE100は、自身が当該ゾーン(ステップS101で受信したMBSシステム情報に含まれるゾーン情報が示すゾーン)に移動したか否かを判定する。
【0065】
UE100が当該ゾーンに移動した場合(ステップS103:Yes)、ステップS104において、UE100は、ステップS101で受信したMBSシステム情報に含まれるセル識別子又は周波数識別子に基づいて、セルC2又はセルC2が属する周波数をセル再選択の最高優先度に設定する。言い換えると、UE100は、セルC1からセルC2へのセル再選択を優先的に行うようにセル再選択を制御する。
【0066】
ステップS105において、UE100は、セルC1からセルC2へのセル再選択を行う。
【0067】
ステップS106において、UE100は、ステップS101で受信したMBSシステム情報に含まれるMBSセッション識別子に基づいて、gNB200B(セルC2)が当該ゾーン向けに送信するMBSデータを受信する。UE100は、RRCコネクティッド状態に遷移したうえでMBSデータを受信してもよい。
【0068】
このように、第1実施形態の動作例1によれば、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態にあるUE100がMBSデータを効率的に受信できる。
【0069】
(2)第1実施形態の動作例2
第1実施形態の動作例2について、第1実施形態の動作例1との相違点を主として説明する。第1実施形態の動作例2において、所定動作を行うステップは、コネクティッド状態にあるUE100が、MBSシステム情報に基づいて、セルC1からセルC2へ接続を切り替えるための動作を行うステップを含む。このステップは、UE100がセルC2のゾーンに移動し、かつ当該ゾーンに対して送信されるMBSデータをUE100が受信する場合、gNB200Aに対して通知を送信するステップを含む。
【0070】
図9は、第1実施形態の動作例2を示す図である。動作例2において、UE100がRRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態にあるものとする。
【0071】
図9に示すように、ステップS201において、gNB200Aは、隣接セルであるセルC2(又は隣接周波数である周波数F2)のゾーン情報を含むMBSシステム情報をブロードキャストする。セルC1に位置するUE100は、gNB200AからMBSシステム情報を受信する。
【0072】
ステップS202において、UE100は、ステップS201で受信したMBSシステム情報に含まれるゾーン情報が示すゾーンに対して送信されるMBSデータ(すなわち、当該ゾーン向けのMBSデータ)を受信するか否かを判定する。当該ゾーンに対して送信されるMBSデータを受信しない場合(ステップS202:No)、本動作が終了する。
【0073】
当該ゾーンに対して送信されるMBSデータを受信する場合(ステップS202:Yes)、ステップS203において、UE100は、自身が当該ゾーン(ステップS201で受信したMBSシステム情報に含まれるゾーン情報が示すゾーン)に移動したか否かを判定する。
【0074】
UE100が当該ゾーンに移動した場合(ステップS203:Yes)、ステップS204において、UE100は、gNB200Aに対して通知を送信する。以下において、このような通知をMBSインディケーションと呼ぶ。この通知はMBSに対するUE100の興味を通知するインディケーションであり、MBS興味インディケーションと呼ばれてもよい。なお、gNB200Aは、このような通知をUE100に行わせるか否かの設定をUE100に対して事前に行っていてもよい。
【0075】
MBSインディケーションは、UE100が受信に興味を持つMBSデータ(MBSセッション)に対応するゾーンのゾーン情報、UE100が現在位置するゾーンのゾーン情報、UE100が受信に興味を持つMBSセッションのMBSセッション識別子、及びUE100の現在位置のGNSS位置情報(緯度・経度)のうち少なくとも1つの情報要素を含んでもよい。これらの情報要素は、MBSシステム情報に基づいていてもよい。
【0076】
なお、UE100は、当該ゾーンの中に居る場合に限り、当該ゾーンと紐づいたマルチキャストに関するMBSインディケーションの送信が可能であってもよい。UE100は、同一ゾーン内では同じ内容のMBSインディケーション(例えば、興味のあるセッション識別子が同じMBSインディケーション)の送信を行わないとしてもよい。UE100は、自身が属するゾーンが変わったときにMBSインディケーションを送信するとしてもよい。
【0077】
ステップS205において、ハンドオーバ準備動作が行われる。ハンドオーバ準備動作は、周波数F2に対する測定をgNB200AからUE100に設定する動作、周波数F2に対する測定結果をUE100からgNB200Aに報告する動作、gNB200AからgNB200Bに対してハンドオーバ要求を送信する動作、及びgNB200BからgNB200Aに対してハンドオーバ応答を送信する動作のうち少なくとも1つを含む。
【0078】
ステップS206において、gNB200Aは、セルC2へのハンドオーバを指示するハンドオーバ指示をUE100に送信する。UE100は、ハンドオーバ指示を受信する。
【0079】
ステップS207において、UE100は、ハンドオーバ指示の受信に応じてセルC1からセルC2へのハンドオーバを行う。
【0080】
ステップS208において、UE100は、ステップS201で受信したMBSシステム情報に含まれるMBSセッション識別子に基づいて、gNB200B(セルC2)が当該ゾーン向けに送信するMBSデータを受信する。
【0081】
このように、第1実施形態の動作例2によれば、RRCコネクティッド状態にあるUE100がMBSデータを効率的に受信できる。
【0082】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る動作について、上述の実施形態との相違点を主として説明する。
【0083】
第2実施形態に係る通信制御方法は、セルよりも狭いゾーン単位でMBSを提供する移動通信システムで用いる方法である。第2実施形態に係る通信制御方法は、セルにおいてRRCコネクティッド状態にあるUE100が、当該セル内のゾーンに対して送信されるMBSデータを受信する場合、当該セルを管理するgNB200に対して、当該MBSデータに関する通知を送信するステップを有する。送信するステップは、UE100が当該ゾーン外に位置するときに通知を送信せずに、UE100が当該ゾーン内に位置するときに通知を送信するステップを含む。通知は、上述のMBSインディケーション、MBSカウンティング応答、又はフィードバック情報である。
【0084】
セルよりも狭いゾーン単位でMBSが提供される前提下において、UE100がMBSデータを受信するゾーン以外の位置でMBSデータに関する通知を送信することは非効率である。このため、第2実施形態においては、UE100がMBSデータを受信するゾーン内にUE100が位置する場合に限り、MBSデータに関する通知をgNB200に送信することとしている。
【0085】
(1)第2実施形態の動作例1
第2実施形態の動作例1は、UE100が、対象MBSセッションを示す識別子(MBSセッション識別子)を含むカウンティング要求をgNB200から受信するステップをさらに有する。通知を送信するステップは、UE100がゾーン内で対象MBSセッションのMBSデータを受信する場合、通知としてカウンティング応答を送信するステップを含む。
【0086】
このように、第2実施形態の動作例1は、MBSカウンティングを想定した動作例である。MBSカウンティングは、あるMBSセッションのMBSデータを受信するUE100の数をネットワーク側で把握することでMBSを効率的に提供する動作である。MBSセッションがゾーンと対応付けられているため、このゾーン外では当該MBSセッションのMBSデータを受信不可である。このため、このゾーン内に位置するUE100のみが当該MBSセッションについてのカウンティング応答の送信を行うこととしている。
【0087】
図10は、第2実施形態の動作例1を示す図である。
【0088】
図10に示すように、ステップS301において、gNB200は、カウンティング要求をUE100に送信する。カウンティング要求は、対象MBSセッションのMBSセッション識別子を少なくとも1つ含む。カウンティング要求は、対象MBSセッションに対応するゾーンのゾーン情報を含んでもよい。UE100は、カウンティング要求を受信する。
【0089】
ステップS302において、UE100は、カウンティング要求に含まれるMBSセッション識別子に対応するゾーンに自身が位置しており、かつ自身が当該MBSセッション識別子のMBSデータを受信するか否かを判定する。上述のように、「MBSデータを受信する」とは、MBSデータを受信していること又はMBSデータの受信に興味を持つことをいう。
【0090】
ステップS302で「No」の場合、本動作が終了する。一方、ステップS302で「Yes」の場合、ステップS303において、UE100は、自身がMBSデータを受信するMBSセッションを示すカウンティング応答をgNB200に送信する。
【0091】
(2)第2実施形態の動作例2
第2実施形態の動作例2において、UE100が送信する通知は、ゾーン内でUE100が受信するMBSデータに対するフィードバック信号である。フィードバック信号は、ACK及びNACKのうち少なくとも一方を含む。フィードバック信号は、CSI(Channel State Information)であってもよい。
【0092】
図11は、第2実施形態の動作例2を示す図である。
【0093】
図11に示すように、ステップS401において、gNB200は、フィードバック信号に関する設定情報を含むRRCメッセージをUE100に送信する。但し、ステップS401は必須ではない。設定情報は、UE100がMBSデータを受信するゾーンに居る場合のみフィードバック送信を許可する旨の情報、当該ゾーン及びその隣接ゾーンに居る場合のみフィードバック送信を許可する旨の情報、ゾーンとは無関係にフィードバック送信を許可する旨の情報、又はフィードバック送信を許可しない旨の情報を含む。
【0094】
ステップS402において、UE100は、自身がMBSデータを受信するMBSセッションのMBSセッション識別子に対応するゾーンに自身が位置しているか否かを判定する。ステップS402で「No」である場合、本動作が終了する。
【0095】
ステップS402で「Yes」である場合、ステップS403において、UE100は、gNB200からMBSデータを受信する。
【0096】
ステップS404において、UE100は、フィードバック信号をgNB200に送信する。フィードバック信号は、MACレイヤのHARQのACK/NACKフィードバック及びRLCレイヤのARQのACK/NACKフィードバックのうち少なくとも一方であってもよい。HARQのACK/NACKフィードバックは、NACKのみのフィードバックであってもよい。gNB200は、UE100から受信するフィードバック信号に基づいて、再送処理、ユニキャストへの(からの)切替、又はMCSの調整などを行う。
【0097】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る動作について、上述の実施形態との相違点を主として説明する。
【0098】
第3実施形態に係る通信制御方法は、セルよりも狭いゾーン単位でMBSを提供する移動通信システムで用いる方法である。第3実施形態に係る通信制御方法は、図7に示すように、セルC1を管理するgNB200Aが、セルC2を管理するgNB200Bに対して、セルC1においてコネクティッド状態にあるUE100のハンドオーバを要求するハンドオーバ要求を送信するステップと、gNB200Bが、ハンドオーバ要求に基づいて、ハンドオーバの受け入れ判断を行うステップとを有する。ハンドオーバ要求は、UE100がMBSデータを受信するゾーン又はUE100が位置するゾーンを示す情報を含む。
【0099】
図12は、第3実施形態に係る動作を示す図である。図12に示す動作は、図9に示すステップS205及びS206に相当する動作であってもよい。
【0100】
図12に示すように、ステップS501において、gNB200Aは、UE100をセルC1からセルC2へハンドオーバすることを決定する。ここで、gNB200Aは、UE100がMBSデータを受信するゾーン又はUE100が現在位置するゾーンのゾーン情報を把握しているものとする。
【0101】
ステップS502において、gNB200Aは、UE100のハンドオーバの受け入れを要求するハンドオーバ要求を、Xnインターフェイス又はNGインターフェイスを介してgNB200Bに送信する。ここで、gNB200Aは、UE100がMBSデータを受信するゾーン又はUE100が現在位置するゾーンのゾーン情報をハンドオーバ要求に含める。gNB200Bは、ハンドオーバ要求を受信する。
【0102】
ステップS503において、gNB200Bは、ハンドオーバ要求に基づいて、ハンドオーバの受け入れ判断を行う。gNB200Bは、ハンドオーバ要求に含まれるゾーン情報が示すゾーンがセルC2内に無い場合、ハンドオーバの受け入れを拒否すると判断してもよい。
【0103】
ステップS504において、gNB200Bは、ハンドオーバの受け入れ判断の結果を示すハンドオーバ応答を、Xnインターフェイス又はNGインターフェイスを介してgNB200Aに送信する。gNB200Aは、ハンドオーバ応答を受信する。
【0104】
ハンドオーバ応答がハンドオーバ受け入れ可を示す場合、ステップS505において、gNB200Aは、セルC2へのハンドオーバを指示するハンドオーバ指示をUE100に送信する。
【0105】
gNB200Bは、ステップS503で受け入れ拒否と判断した場合、ステップS504において、ハンドオーバ要求に含まれるゾーン情報が示すゾーンを有するセルを示す識別子、当該セルを管理するgNB200の識別子、及び当該セルが属する周波数の識別子のうち少なくとも1つをハンドオーバ応答に含めてもよい。gNB200Aは、ハンドオーバ応答に含まれる識別子に基づいて、UE100に隣接周波数の測定を設定したり、ハンドオーバ対象とする他のセル(他のgNB200)を決定したりする。
【0106】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る動作について、上述の実施形態との相違点を主として説明する。
【0107】
第4実施形態に係る通信制御方法は、セルを管理するgNB200が、UE100がMBSデータの受信を要求することを示す通知を受信するステップと、gNB200が、通知に基づいて、セルにおいてMBSデータを送信するためのMBSセッションの開始を決定するステップと、gNB200が、MBSセッションの開始を要求する開始要求をネットワークノードに送信するステップとを有する。このように、第4実施形態では、MBSセッションの開始をgNB200が始動することを可能としている。なお、第4実施形態に係る通信制御方法は、セル単位でMBSを提供する移動通信システムにおいても用いることができる。
【0108】
図13は、第4実施形態に係る動作を示す図である。
【0109】
図13に示すように、ステップS601において、gNB200は、上述のMBSインディケーションをUE100から受信する。或いは、gNB200は、上述のハンドオーバ要求を他のgNB200から受信してもよい。MBSインディケーション又はハンドオーバ要求は、UE100がMBSデータを受信するゾーンのゾーン情報及びUE100がMBSデータを受信するMBSセッションのMBSセッション識別子のうち少なくとも一方を含んでもよい。
【0110】
ステップS602において、gNB200は、MBSインディケーション又はハンドオーバ要求により示される対象MBSセッションを自身が有しているか否か(すなわち、対象MBSセッションのMBSデータを送信しているか否か)を判定する。対象MBSセッションをgNB200が有している場合(ステップS602:Yes)、本動作が終了する。
【0111】
一方、対象MBSセッションをgNB200が有していない場合(ステップS602:No)、ステップS603において、gNB200は、対象MBSセッションの開始を決定する。ステップS604において、gNB200は、対象MBSセッションを受信するUE100がある一定数を上回った場合のみ、対象MBSセッションの開始を決定してもよい。一方、当該UE100数が少ない場合(例えば1又は2程度)、gNB200は、ユニキャストで当該サービスを提供すると決定してもよい。
【0112】
ステップS604において、gNB200は、対象MBSセッションの開始要求をネットワークノード500に送信する。ネットワークノード500は、コアネットワークに存在するノードであってもよく、例えば、AMF、SMF、又はUPFであってもよい。gNB200は、対象MBSセッションのMBSセッション識別子を開始要求に含めてもよい。開始要求を受信したネットワークノード500は、要求されたMBSセッションの準備を行い、gNB200とのMBSセッションを確立する。
【0113】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る動作について、上述の実施形態との相違点を主として説明する。
【0114】
第5実施形態に係る通信制御方法は、セルよりも狭いゾーン単位でMBSを提供する移動通信システムで用いる方法である。第5実施形態に係る通信制御方法は、セルを管理するgNB200が、セルにおいてMBSデータを送信するためのMBSセッションの開始を示す開始通知をネットワークノード500から受信するステップと、gNB200が、開始通知に基づいて、MBSセッションを用いてMBSデータを送信するステップとを有する。開始通知は、MBSセッションを適用するゾーンを示すゾーン情報を含む。MBSデータを送信するステップは、開始通知に含まれるゾーン情報が示すゾーンに対してMBSデータを送信するステップを含む。
【0115】
図14は、第5実施形態に係る動作を示す図である。第5実施形態に係る動作は、第4実施形態に係る動作の後に行われてもよい。
【0116】
図14に示すように、ステップS701において、gNB200は、ネットワークノード500から対象MBSセッションの開始通知を受信する。ここで、ネットワークノード500には、サービスレイヤのエンティティによりゾーン設定を含むMBS設定が事前になされてもよい。開始通知は、対象MBSセッションのMBSセッション識別子と、このMBSセッション識別子と対応付けられたゾーン情報とを含む。gNB200は、開始通知を受信する。
【0117】
ステップS702において、gNB200は、開始通知に含まれるゾーン情報(又はMBSセッション識別子とゾーン情報とのセット)をUE100に送信してもよい。但し、ステップS702は必須ではない。
【0118】
ステップS703において、gNB200は、ネットワークノード500から対象MBSセッションのMBSデータを受信する。
【0119】
ステップS704において、gNB200は、対象MBSセッションのMBSデータをUE100に送信する。
【0120】
(その他の実施形態)
上述の各実施形態は、別個独立に実施する場合に限らず、2以上の実施形態を組み合わせて実施可能である。
【0121】
UE100又はgNB200が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0122】
また、UE100又はgNB200が行う各処理を実行する回路を集積化し、UE100又はgNB200の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0123】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0124】
本願は、日本国特許出願第2020-127751号(2020年7月28日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。
図1
図2
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図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14