(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント及びこのインプラントを使用して骨構成要素を癒合する方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/42 20060101AFI20240823BHJP
A61B 17/82 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
A61F2/42
A61B17/82
(21)【出願番号】P 2022547847
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(86)【国際出願番号】 US2021016817
(87)【国際公開番号】W WO2021158913
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-10-18
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513055492
【氏名又は名称】トライメッド インク.
【氏名又は名称原語表記】TriMed Inc.
【住所又は居所原語表記】27533 Avenue Hopkins Santa Clarita, California 91355 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【氏名又は名称】藤田 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100135839
【氏名又は名称】大南 匡史
(72)【発明者】
【氏名】ロバート メドフ
【審査官】松山 雛子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-509109(JP,A)
【文献】特表2005-533565(JP,A)
【文献】特表2012-502753(JP,A)
【文献】国際公開第2019/162091(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/42
A61B 17/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラントであって、
前記少なくとも2つの骨構成要素は、第1の骨構成要素と、前記第1の骨構成要素とは別個の第2の骨構成要素とを含み、
第1及び第2の係留部分を有する本体を備えており、
前記第1の係留部分は、前記第1の係留部分が作用位置にある状態で
前記第1の骨構成要素内に導かれるように構成されたステムを備えており、
前記第1の係留部分は、前記第1の係留部分がその作用位置にある状態で前記ステムを前記第1の骨構成要素に対して固定させるために使用可能な少なくとも第1の締結具と協働するように構成されており、
前記第2の係留部分は、少なくとも
前記第2の骨構成要素に固定されるように構成されており、
前記第2の係留部分は、作用位置にある状態で前記第2の係留部分の少なくとも一部分が前記少なくとも第2の骨構成要素に形成されたくぼみ内にあるように構成されており、
前記第2の係留部分は、前記第2の係留部分をその作用位置に維持するために使用可能な少なくとも第2の締結具と協働して、前記第2の係留部分の一部を前記第2の骨構成要素に対して固定するようにさらに構成された、インプラント。
【請求項2】
前記第1の骨構成要素と前記第2の骨構成要素は、それぞれ、橈骨と手根骨、脛骨と足根骨、又は中足骨と足根骨である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記ステムは、開口部を内部に有しており、
前記開口部は、前記第1の係留部分をその作用位置に維持するために使用可能な前記第1の締結具と協働し、前記ステムを前記第1の骨構成要素に対して固定し、前記第1の係留部分をその作用位置に維持する、請求項1
又は2に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項4】
前記第1の締結具とさらに組み合わされており、
前記第1の締結具は、前記第1の骨構成要素内と前記ステムの開口部内とに延び、前記ステムを前記第1の骨構成要素に対して固定するように構成されている、請求項
3に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項5】
前記第2の係留部分は、内部に開口部を有し、
前記第2の締結具は、前記開口部を通って延び、前記第2の骨構成要素内に導かれ、前記第2の係留部分の一部を前記第2の骨構成要素に対して固定することができる、請求項1
又は2に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項6】
前記第2の締結具とさらに組み合わされており、
前記第2の締結具は、前記第2の係留部分の前記開口部を通って前記第2の骨構成要素内に延び、前記第2の係留部分の一部を前記第2の骨構成要素に対して固定するように構成されている、請求項
5に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項7】
前記本体は、前記第1及び第2の係留部分を画定する単一の剛性ピースを含む、請求項1
又は2に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項8】
前記本体は、第1の端部と第2の端部との間の長さ及び幅を備えた細長い形状を有し、
前記ステムは前記第1の本体端部まで延び、前記第2の係留部分は前記第2の本体端部にある、請求項1
又は2に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項9】
前記第2の係留部分は、その作用位置にある状態で前記くぼみ内に延びており、
前記第2の係留部分の表面は、少なくとも凸状部分を有する、請求項1
又は2に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項10】
前記第2の係留部分はカップ状面を有する、請求項1
又は2に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項11】
前記カップ状面は、中心軸線を有し、
前記本体は、前記ステムを画定する細長い部分を備え、
前記細長い部分は、前記第2の係留部分の一部から遠ざかるように延び、長さ方向の中心線を有し、前記長さ方向の中心線が前記中心軸線からずれている、請求項
10に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項12】
前記カップ状面はリムまで延び、前記リムを通る個別の切欠きが存在する、請求項
10に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項13】
前記第2の係留部分の少なくとも一部は、カップ状壁を有する、請求項1
又は2に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項14】
前記カップ状壁は、中心軸線と、前記くぼみ内に延びる前記第2の係留部分の前記表面を画定する凸状の外面とを有し、
前記凸状の外面は、前記中心軸線の周りで対称であり、軸線方向に先細になる、請求項
13に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項15】
前記カップ状壁は、さまざまな角度で締結具を導くことができる複数の開口部を有する、請求項
14に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項16】
前記カップ状壁は、ある量の骨移植片材料のための個別レセプタクルを内部に有する、請求項
14に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項17】
前記カップ状壁は、少なくとも1つの実質的に平坦な部分を有し、
前記個別レセプタクルは、前記実質的に平坦な壁部分に形成されている、請求項
16に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項18】
前記本体はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から作製されている、請求項1
又は2に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項19】
前記本体は、金属又は非金属のいずれかである非PEEK材料から作製されている、請求項1
又は2に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項20】
前記本体は、第1の端部と第2の端部との間の長さ及び幅を備えた細長い形状を有し、
前記第2の係留部分の少なくとも一部は、カップ形状を有し、
前記ステムは、前記カップ形状を備えた前記第2の係留部分の一部から遠ざかるように前記第1の本体端部まで延び、
本体の別の一部は、前記ステムがカップ形状を備えた前記第2の係留部分の一部から離れるように延びる位置から離間した位置において、カップ形状を有する前記第2の係留部分の一部から離れるように延びている、請求項1
又は2に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項21】
前記本体の前記別の一部は、前記第1の本体端部から遠ざかる方向に、カップ形状を備えた前記第2の係留部分の一部から遠ざかるように延びている、請求項
20に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項22】
前記ステムは、中心軸線を備えた細長い形状と、前記中心軸線を含む基準面によって近似される平坦な断面とを有し、
前記第2の係留部分は、前記第2の係留部分がその作用位置にある状態で前記第2の骨構成要素に当接する実質的に平坦な面を備えたカップ状壁を有し、
前記カップ状壁の前記平坦な面は、前記基準面に対して2次元に傾斜している、請求項1
又は2に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項23】
前記第2の係留部分は、少なくとも凸状部分を備えた表面を有しており、
前記凸状部分を備えた表面は、少なくとも第2の骨構成要素の前記くぼみ内に導かれて、前記くぼみを境界付ける前記少なくとも第2の骨構成要素の表面の少なくとも一部と並置される、請求項1
又は2に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項24】
前記第2の係留部分の少なくとも一部は、軸線を備えたカップ状面を有しており、
前記凸状部分は、前記軸線の周りに少なくとも部分的に延びる円弧形状である、請求項
23に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項25】
前記第2の係留部分は、カップ状壁を備えており、
前記カップ状壁を貫いて、前記第2の締結具を受け入れる開口部が画定される、請求項
23に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項26】
前記第2の係留部分は、第1のコネクタが設けられる底壁部分を有するカップ状壁を備えており、
第2のコネクタを有する第1のブレーシングコンポーネントとさらに組み合わされており、
前記第1及び第2のコネクタは、接合可能に構成されていて、前記第1のブレーシングコンポーネントを前記インプラント上の作用位置に着脱可能に維持することが可能である、請求項
23に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項27】
前記カップ状壁は軸線を有し、前記第1のブレーシングコンポーネントは長さがあって細長く、前記第1のブレーシングコンポーネントがその作用位置にある状態で、前記第1のブレーシングコンポーネントの前記長さは前記カップ状壁の前記軸線と整列する、請求項
26に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項28】
カッティングツールと組み合わされており、
前記カッティングツールは、少なくとも前記第2の骨構成要素に所定のくぼみを形成するように操作されるものであり、
前記第2の係留部分がその作用位置にある状態で、前記くぼみ内に延びている前記第2の係留部分の表面の少なくとも一部は、前記くぼみを境界付ける前記少なくとも第2の骨構成要素の表面の少なくとも一部と並置される、請求項1
又は2に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項29】
前記カッティングツールは、シャフトを備えたリーマを含み、
前記シャフトを回転させて、前記リーマの切削面が前記少なくとも第2の骨構成要素内に前記所定のくぼみの形状を生成するように構成された、請求項
28に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項30】
前記所定のくぼみ形状はカップ形状である、請求項
28に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項31】
前記ステムは、複数の開口部を内部に有しており、
前記複数の開口部の各々は、前記第1の骨構成要素に対して前記ステムを固定するために使用可能な締結具と協働するように構成されており、
アウトリガ・ガイド・アセンブリとさらに組み合わされており、
前記アウトリガ・ガイド・アセンブリは、前記インプラントに着脱可能に装着することが可能であり、
前記アウトリガ・ガイド・アセンブリは、前記第1の骨構成要素内における複数の開口部の制御された形成を容易にする複数のガイド開口部を有し、前記複数のガイド開口部の各々は前記ステムの開口部のうちの1つと位置合わせ可能である、請求項1
又は2に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項32】
前記ステムの開口部のうちの1つは細長い、請求項
31に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項33】
ブレーシングコンポーネントとさらに組み合わされており、
前記アウトリガ・ガイド・アセンブリは、前記複数の開口部のうちの第1の開口部の形成を容易にするように構成されており、
結果として、前記ブレーシングコンポーネントは、前記第1の開口部及び前記1つの細長いステムの開口部の一端に導かれ、
それによって、前記インプラントが前記ブレーシングコンポーネントに対して移動し、前記細長いステムの1つの開口部の反対端に配置される、請求項
32に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項34】
前記ステムは、前記第1の骨構成要素に前記ステムを固定するために使用可能な締結具とそれぞれ協働する複数の開口部を内部に有しており、
前記ステムの前記開口部のうちの1つは細長い、請求項1
又は2に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項35】
前記ステムは、前記第1の骨構成要素に前記ステムを固定するために使用可能な締結具とそれぞれ協働する複数の開口部を内部に有しており、
アウトリガ・ガイド・アセンブリとさらに組み合わされており、
前記アウトリガ・ガイド・アセンブリは、前記インプラントに着脱可能に装着することが可能であり、
前記アウトリガ・ガイド・アセンブリは、前記第1の骨構成要素内における複数の開口部の制御された形成を容易にする複数のガイド開口部を有し、前記複数のガイド開口部の各々は前記ステムの開口部のうちの1つと位置合わせ可能である、請求項
28に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項36】
前記第1の骨構成要素に接続されるように構成された第2のブレーシングコンポーネントとさらに組み合わされた、請求項
26に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項37】
前記ステムは、前記第2のブレーシングコンポーネントを通すことができる細長い開口部を有する、請求項
36に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【請求項38】
前記第1及び第2のブレーシングコンポーネントに係合し、前記第1及び第2のブレーシングコンポーネントを互いに向かって付勢するためのツールとさらに組み合わされた、請求項
37に記載の少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用インプラントに関し、より詳細には、別個の骨/骨構成要素を癒合するためのインプラントに関する。本発明はまた、骨構成要素の癒合を行うためにこのインプラントを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関節炎は、可動域制限、疼痛、及び機能障害をもたらし、人体のあらゆる関節に影響を及ぼし得る。疼痛を治療するための選択肢の1つは、骨表面を粗面化し、治癒するまで別個の骨構成要素を並置で堅く固定された状態に単一ブロックとして保持するために、ある種の固定を施すことを含む、関節癒合術である。成功した癒合は、関節における骨構成要素/骨の間の相対運動を排除するが、この処置は、関節痛のすべてではないにしても大部分を解決するのに非常に効果的であり得る。
【0003】
本発明は、1つの骨が管状部分を有する体内の任意の関節に適用することができる。例示の目的のために、従来技術及び本発明を説明するという観点で、この文書全体を通して手首が使用されるが、手首は単なる例示として提供されるものであり、解剖学的限定を意味するものではない。
【0004】
手首は複数の小さな骨を含み、その結果、これらの骨を個別に固定して適切なねじ固定を提供することは困難である。さらに、手首は、この領域の骨に近接して複数の腱を有する。インプラントはこれらの構造を刺激又は損傷する可能性があり、硬直、疼痛、炎症、さらには破裂の原因となる。手首は非常に可動性の高い関節であり、関節を横切る腱の引っ張りにより、大きな曲げ荷重を発生する可能性がある強い力を受ける。
【0005】
一般に、関節癒合術を行うときに固定を提供するために使用される現代のインプラントは大きく4タイプ(外固定、スパンニングプレート、髄内釘、及び円形カップ)がある。
【0006】
外固定は、関節の両側の骨に配置された1つ以上のピンのクラスタに固定された外部バーで関節を固定する。この方法は、通常、起こり得る感染、腱の刺激、ピンクラスタ間に骨を堅く固定できないこと、疼痛、偽関節等を含むいくつかの理由で好ましくない。
【0007】
スパンニングプレートは、関節の両側の骨、時には関節内の中間骨にねじ止めをする内部インプラントである。手首癒合のために最も一般的に受け入れられているプレートは、前腕の橈骨から手の中手骨の1つに跨るものである。このタイプのプレートは、骨の中心の中立軸線からずれており、それにより、機械的にかなり不利な状況に置かれる。通常のトルク及び曲げモーメントに耐えるためにプレートをかなり厚くする必要があるが、その結果、しばしば軟部組織の刺激、美容上の突出、さらには腱の断裂の原因となり得るかさばった表面インプラントとなる。骨表面の湾曲形状のために、インプラントが遠位橈骨から手根骨を横切って延びるとき、これらのプレートは、通常、プレートの長さにわたって骨に対するハードウェアの並置を維持するために複雑な曲線形状で形成される。多くの場合、これらの形状は特定の解剖学的構造に正確に適合せず、隆起したり、広範囲の骨表面修正が必要となったりすることがある。プレートは狭い骨である中手骨に固定されるため、骨のねじ穴が二次骨折を招き、病的状態や二次的な外科処置に至る可能性がある。さらに、中手骨への固定は、通常は損傷しておらず癒合を必要としない手根中手関節にプレートが跨ることになる。中間手根骨の中にはプレートの外側境界を越えて位置するものがあるため、これらのプレートは中間手根骨への固定を含むことができないか、又は無効である。このタイプのインプラントでは、癒合に関与する各手根骨の下にねじ穴が最適に配置されることを保証することは不可能に近い。重い表面プレートは応力遮蔽やプレートのいずれか端部における骨折を招くことがある廃用性骨粗しょう症の原因となる。最後に、プレートが隆起して美容上の問題を引き起こす可能性がある。
【0008】
スパンニングプレートに代わるものは、非スパンニングプレートである。このタイプの装置はスパンニングプレートに類似しているが、手根中手関節を横切らず、それによって中手骨固定によって引き起こされる問題を回避する。その代わりに、このプレートはその遠位端で広がり、いくつかの手根骨にねじが入れられる。しかしながら、このタイプのプレート設計には、骨の中心の中立軸からの固定のずれ、曲げ荷重を克服するのに十分な板の嵩と厚さの必要性、表面隆起と軟部組織刺激、腱の問題など、スパンニングプレートに関連する他の欠点が依然として存在する。また一方で、それに加えてさらに他の問題を抱えている。
【0009】
この設計は中手骨まで延在しないため、癒合塊の遠位支持部には、限られたレバーアーム長しかなく、このため、スパンニングプレートよりも大きな荷重を受ける。ほとんどの設計は、複数の平面内のねじが様々な手根骨を支持できるようにするためにフレア状の広がった遠位端を提供する。しかしながら、ねじ穴が、手根骨上の最適な支持位置と整列しない場合がある。このインプラントでは、癒合を促進するための豊富な若い骨層を確保するために、依然として外科医が両方の関節表面及び表層骨面を丁寧に皮質剥離する必要がある。これらのプレートは骨の表面に適用され、ある程度の表面隆起があり、依然として軟部組織の刺激を引き起こし得る。最後に、これらのプレートのほとんどで、依然として、骨表面に合わせるための複雑な湾曲を必要としたり、外科医が事実上熟練した大工となって、プレートを骨内にはめ込むことができるようにプレートの輪郭に合わせるための平らな溝を正確に切り出す必要がある。
【0010】
手首癒合のためのさらに別のインプラント選択肢は、遠位橈骨の髄内管から手根骨を横切って1つの中手骨の髄内管に延びる髄内装置である。この概念は、骨の表面からハードウェアを取り除き、インプラントを骨の中心の中立軸の近くに配置するという理論上の利点を有するが、臨床使用への受け入れを著しく制限する相当数の他の問題を抱えている。
【0011】
第1に、中手骨の管は非常に細く、インプラントのサイズ及びインプラントを固定するために使用されるインターロックねじのサイズの両方を制限し、その両方がインプラント破損のリスクを高める。この細い髄内釘にスクリュを追加すると、インプラントがさらに弱くなる。第2に、解剖学的構造のために、手首を横切って一体型髄内釘を配置することは不可能である。手首は通常0°~30°の伸展で癒合されるので、この位置に釘を埋め込むには、別個の髄内コンポーネントを関節の両側に埋め込んでから互いに結合される2つのピースが必要である。結合機構は扱いにくく、小さな中間コンポーネントが加わってデバイスを脆弱化し、適用が難しく、強度不足で失敗する可能性があり、外科医が癒合しようとしている骨の間にさらなる嵩を追加する。第3に、手首が癒合されると、骨を広範囲に破壊せずにこれらのインプラントを除去することはほぼ不可能である。手首が感染し、インプラントの除去が必要とされる場合、外科医は、インプラントを除去するために骨管の切開を迫られる。このインプラントの手術手技は難しく、技術的に困難である。
【0012】
手根骨の数を限定する部分的な手根間癒合には、金属製又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製の円形又は部分円形のカップが成功裡に使用されてきた。例として、有頭骨、有鉤骨、月状骨、及び三角骨を癒合する四隅固定、舟状骨大菱形骨小菱形骨間癒合、中手根間癒合、橈骨を舟状骨及び月状骨に癒合する橈骨舟状骨月状骨間癒合などが挙げられる。これらは、足の骨に対しても同様に行われる。この処置では、他の癒合術と同様に、最初に関節表面の皮質剥離を行う。次いで、半球状に湾曲したパワーリーマを使用して、骨の表面に窪んだカップ状の凹部を形成する。これにより、関節全体に新生骨の癒合塊を形成するのに適した未加工の血管性骨床が簡単かつ迅速に形成され、カップ湾曲の少なくとも一部分に適合して、固定安定性を向上させる。さらに、PEEKカップは、他のいくつかの利点を有する。PEEKカップは剛性が皮質骨と等弾性であるため、金属プレートよりも応力遮蔽が少ない。カップ状の設計は自然な剛性を有し、より薄いインプラントの使用を可能にしながら、三次元構造形態によって耐曲げ荷重を効果的に改善する。いくつかのデザインでは、プレート固定用の多軸ロッキングスクリュが提供される。これにより、様々な角度で方向を変えることが可能となり、剛性と安定性を向上する角度ロックがプレートに形成される。このタイプの設計により、外科医が各スクリュを下にある手根骨に最適な方向で導くことが容易になる。また、PEEKカップはX線透過性があるため、外科医はスクリューの位置、インプラントと骨の位置、骨の位置の精度をX線で確認することができる。
【0013】
現在、PEEKカップは、主に部分的手首癒合に使用されている。手首での高い曲げ荷重のために、PEEKカップは、手首全体癒合又は橈骨への近位手根列の癒合に適用される場合は限定的に使用されていた。円形カップは限られた距離にしか及ばず、手首にかかる大きな曲げ荷重に抵抗するレバーアーム長は短い。また、手首全体の癒合を考慮すると、円形カップの直径をかなり大きくする必要がある。これは、適用が困難であろう扱いにくくかさばるインプラントを作成することに加えて、インプラントのスパンを物理的に延長し、下橈尺骨関節の動きに干渉する原因となる。
【0014】
医療業界は、上記の問題又は欠点の1つ以上に対処するための別のインプラント設計及び別の癒合方法を模索し続けている。
【発明の概要】
【0015】
一形態では、本発明は、少なくとも2つの骨構成要素を癒合するためのインプラントに関する。インプラントは第1及び第2の係留部分を有する本体を備える。第1の係留部分は、第1の係留部分が作用位置にある状態で第1の骨構成要素内に導かれるように構成されたステムを備える。第1の係留部分は、第1の係留部分がその作用位置にある状態でステムを第1の骨構成要素に対して固定させるために使用可能な少なくとも第1の締結具と協働するように構成されている。第2の係留部分は、少なくとも第2の骨構成要素に固定されるように構成される。第2の係留部分は、作用位置にある状態で第2の係留部分の少なくとも一部分が少なくとも第2の骨構成要素に形成されたくぼみ内にあるように構成されている。第2の係留部分は、第2の係留部分の一部を第2の骨構成要素に対して固定することによって第2係留部分をその作用位置に維持するために使用可能な少なくとも第2の締結具と協働するようにさらに構成されている。
【0016】
一形態では、前記ステムは、開口部を内部に有しており、前記開口部は、前記第1の係留部分をその作用位置に維持するために使用可能な前記第1の締結具と協働し、前記ステムを前記第1の骨構成要素に対して固定し、前記第1の係留部分をその作用位置に維持する。
【0017】
一形態では、前記インプラントは、前記第1の骨構成要素内と前記ステムの開口部内とに延び、前記ステムを前記第1の骨構成要素に対して固定するように構成された第1の締結具と組み合せて提供される。
【0018】
一形態では、前記第2の係留部分は、内部に開口部を有し、前記第2の締結具は、前記開口部を通って延び、前記第2の骨構成要素内に導かれ、前記第2の係留部分の一部を前記第2の骨構成要素に対して固定することができる。
【0019】
一形態では、前記インプラントは、前記第2の係留部分の前記開口部を通って前記第2の骨構成要素内に延び、前記第2の係留部分の一部を前記第2の骨構成要素に対して固定するように構成された第2の締結具とさらに組み合せて提供される。
【0020】
一形態では、前記本体は、前記第1及び第2の係留部分を画定する単一の剛性ピースを含む。
【0021】
一形態では、前記本体は、第1の端部と第2の端部との間の長さ及び幅を備えた細長い形状を有する。前記ステムは前記第1の本体端部まで延び、前記第2の係留部分は前記第2の本体端部にある。
【0022】
一形態では、前記第2の係留部分は、その作用位置にある状態で前記くぼみ内に延びており、前記第2の係留部分の表面は、少なくとも凸状部分を有する。
【0023】
一形態では、前記第2の係留部分はカップ状面を有する。
【0024】
一形態では、前記カップ状面は、中心軸線を有する。前記本体は、前記ステムを画定する細長い部分を備える。前記細長い部分は、前記第2の係留部分の一部から遠ざかるように延び、長さ方向の中心線を有する。前記長さ方向の中心線が前記中心軸線からずれている。
【0025】
一形態では、前記カップ状面はリムまで延びている。前記リムを通る個別の切欠きが存在する。
【0026】
一形態では、前記第2の係留部分の少なくとも一部は、カップ状壁を有する。
【0027】
一形態では、前記カップ状壁は、中心軸線を有する。凸状の外面は、前記くぼみ内に延びる前記第2の係合部分の前記表面を画定する。前記凸状の外面は、前記中心軸線の周りで対称であり、軸線方向に先細になる。
【0028】
一形態では、前記カップ状壁は、さまざまな角度で締結具を導くことができる複数の開口部を有する。
【0029】
一形態では、前記カップ状壁は、ある量の骨移植片材料のための個別レセプタクルを内部に有する。
【0030】
一形態では、前記カップ状壁は、少なくとも1つの実質的に平坦な部分を有する。前記個別レセプタクルは、前記実質的に平坦な壁部分に形成されている。
【0031】
一形態では、前記本体はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から作製されている。
【0032】
一形態では、前記本体は、金属又は非金属のいずれかである非PEEK材料から作製されている。
【0033】
一形態では、前記本体は、第1の端部と第2の端部との間の長さ及び幅を備えた細長い形状を有する。前記第2の係留部分の少なくとも一部は、カップ形状を有する。前記ステムは、前記カップ形状を備えた前記第2の係留部分の一部から遠ざかるように前記第1の本体端部まで延びている。本体の別の一部は、前記ステムがカップ形状を備えた前記第2の係留部分の一部から離れるように延びる位置から離間した位置において、カップ形状を有する前記第2の係留部分の一部から離れるように延びている。
【0034】
一形態では、前記本体の前記別の一部は、前記第1の本体端部から遠ざかる方向に、カップ形状を備えた前記第2の係留部分の一部から遠ざかるように延びている。
【0035】
一形態では、前記ステムは、中心軸線を備えた細長い形状と、前記中心軸線を含む基準面によって近似される平坦な断面とを有する。前記第2の係留部分は、前記第2の係留部分がその作用位置にある状態で前記第2の骨構成要素に当接する実質的に平坦な面を備えたカップ状壁を有する。前記カップ状壁の前記平坦な面は、前記基準面に対して2次元に傾斜している。
【0036】
一形態では、前記第2の係留部分は、少なくとも凸状部分を備えた表面を有しており、前記凸状部分を備えた表面は、少なくとも第2の骨構成要素の前記くぼみ内に導かれて、前記くぼみを境界付ける前記少なくとも第2の骨構成要素の表面の少なくとも一部と並置される。
【0037】
一形態では、前記第2の係留部分の少なくとも一部は、軸線を備えたカップ状面を有する。前記凸状部分は、前記軸線の周りに少なくとも部分的に延びる円弧形状である。
【0038】
一形態では、前記第2の係留部分は、カップ状壁を備えており、前記カップ状壁を貫いて、前記第2の締結具を受け入れる開口部が画定される。
【0039】
一形態では、前記第2の係留部分は、第1のコネクタが設けられる底壁部分を有するカップ状壁を備えている。前記インプラントは、第2のコネクタを有する第1のブレーシングコンポーネントとさらに組み合わせて提供される。前記第1及び第2のコネクタは、接合可能に構成されていて、前記第1のブレーシングコンポーネントを前記インプラント上の作用位置に着脱可能に維持することが可能である。
【0040】
一形態では、前記カップ状壁は軸線を有する。前記第1のブレーシングコンポーネントは長さがあって細長い。前記第1のブレーシングコンポーネントがその作用位置にある状態で、前記第1のブレーシングコンポーネントの前記長さは前記カップ状壁の前記軸線と整列する。
【0041】
一形態では、前記インプラントは、少なくとも前記第2の骨構成要素に所定のくぼみを形成するように操作されるカッティングツールと組み合わせて提供される。前記第2の係留部分がその作用位置にある状態で、前記くぼみ内に延びている前記第2の係留部分の表面の少なくとも一部は、前記くぼみを境界付ける前記少なくとも第2の骨構成要素の表面の少なくとも一部と並置される。
【0042】
一形態では、前記カッティングツールは、シャフトを備えたリーマを含み、前記シャフトを回転させて、前記リーマの切削面が前記少なくとも第2の骨構成要素内に前記所定のくぼみの形状を生成するように構成されている。
【0043】
一形態では、前記所定のくぼみ形状はカップ形状である。
【0044】
一形態では、前記ステムは、複数の開口部を内部に有しており、前記複数の開口部の各々は、前記第1の骨構成要素に対して前記ステムを固定するために使用可能な締結具と協働するように構成されている。前記インプラントは、前記インプラントに着脱可能に装着することが可能なアウトリガ・ガイド・アセンブリとさらに組み合わせて提供される。
前記アウトリガ・ガイド・アセンブリは、前記第1の骨構成要素内における複数の開口部の制御された形成を容易にする複数のガイド開口部を有し、前記複数のガイド開口部の各々は前記ステムの開口部のうちの1つと位置合わせ可能である。
【0045】
一形態では、前記ステムの開口部のうちの1つは細長い。
【0046】
一形態では、上述の組合せは、ブレーシングコンポーネントとさらに組み合わせて提供される。前記アウトリガ・ガイド・アセンブリは、前記複数の開口部のうちの第1の開口部の形成を容易にするように構成されており、結果として、前記第1のブレーシングコンポーネントは、前記第1の開口部及び前記1つの細長いステムの開口部の一端に導かれ、それによって、前記インプラントが前記第1のブレーシングコンポーネントに対して移動し、前記細長いステムの1つの開口部の反対端に配置される。
【0047】
一形態では、前記ステムは、前記第1の骨構成要素に前記ステムを固定するために使用可能な締結具とそれぞれ協働する複数の開口部を内部に有する。前記ステムの前記開口部のうちの1つは細長い。
【0048】
一形態では、前記ステムは、前記第1の骨構成要素に前記ステムを固定するために使用可能な締結具とそれぞれ協働する複数の開口部を内部に有する。前記インプラントは、アウトリガ・ガイド・アセンブリとさらに組み合わせて提供され、前記アウトリガ・ガイド・アセンブリは、前記インプラントに着脱可能に装着することが可能であり、前記アウトリガ・ガイド・アセンブリは、前記第1の骨構成要素内における複数の開口部の制御された形成を容易にする複数のガイド開口部を有し、前記複数のガイド開口部の各々は前記ステムの開口部のうちの1つと位置合わせ可能である。
【0049】
一形態では、上述の組合せは、前記第1の骨構成要素に接続されるように構成された第2のブレーシングコンポーネントとさらに組み合わせて提供される。
【0050】
一形態では、前記第2のブレーシングコンポーネントを通すことができる細長い開口部を有する。
【0051】
一形態では、上述の組合せは、前記第1及び第2のブレーシングコンポーネントに係合し、前記第1及び第2のブレーシングコンポーネントを互いに向かって付勢するためのツールとさらに組み合わせて提供される。
【0052】
一形態では、本発明は、骨構成要素を癒合する方法に関する。前記方法は、上述のインプラントを取得する工程と、前記第1の係留コンポーネントをその作用位置に配置するように前記ステムを前記第1の骨構成要素内に導く工程と、少なくとも第1の締結具を使用して前記ステムをその作用位置に固定する工程と、前記第2の係留部分の配置位置にくぼみを画定するために少なくとも第2の骨構成要素から骨を戦略的に除去する工程と、前記第2の係留部分をその作用位置に配置する工程とを含み、前記第2の係留部分の少なくとも一部は、前記配置位置で前記少なくとも1つの骨の上に重なるように配置され、前記方法は、さらに、少なくとも第2の締結具を使用して前記第2の係留部分を前記作用位置に固定する工程を含む。
【0053】
一形態では、前記第1の骨構成要素が橈骨であり、前記第2の骨構成要素が手根骨である。
【0054】
一形態では、前記少なくとも第2の骨構成要素が複数の手根骨を含む。
【0055】
一形態では、骨を戦略的に除去する前記工程は、回転切削面を備えたリーマを使用して骨を除去することを含む。
【0056】
一形態では、前記方法は、前記配置位置において前記第2の係留部分と骨との間に骨移植片材料を配置する工程をさらに含む。
【0057】
一形態では、骨を戦略的に除去する前記工程は、別の配置位置において前記第1の骨構成要素から骨を除去することを含む。前記第2の係留部分がその作用位置にある状態で、前記第2の係留部分が前記別の配置位置の上に重なる。
【0058】
一形態では、前記第1の骨構成要素が脛骨であり、前記第2の骨構成要素が足根骨である。
【0059】
一形態では、前記第1の骨構成要素は脛中足骨であり、前記第2の骨構成要素は足根骨である。
【0060】
一形態では、骨を戦略的に除去する前記工程は、前記配置位置の上に重なる前記第2の係留部分の一部と相補的な形状で前記配置位置に前記くぼみを画定するように骨を除去することを含む。
【0061】
一形態では、骨を戦略的に除去する前記工程は、前記配置位置の上に重なる前記第2の係留部分の一部を前記配置位置のくぼみに嵌めることができるように骨を除去することを含む。
【0062】
一形態では、リーマを使用する前記工程は、前記回転切削面が複数の骨構成要素から同時に骨を除去するように前記リーマを使用することを含む。
【0063】
一形態では、前記配置位置の前記くぼみはテーパ形状を有する。第2の係留部分を配置する前記工程は、前記くぼみを取り囲む少なくとも1つの骨表面が前記第2の係留部分の一部と協働して前記第2の係留部分を一貫してその作用位置に導くように、前記第2の係留部分の一部を前記くぼみ内に導くことを含む。
【0064】
一形態では、前記第2の係留部分はカップ状壁を有する。前記第2の係留部分を固定する前記工程は、複数の締結具を前記カップ状の壁を通して異なる骨構成要素に導くことを含む。
【0065】
一形態では、前記複数の締結具のうちの少なくとも2つは、異なる角度で異なる骨構成要素に導かれる。
【0066】
一形態では、前記第2の係留部分は内部に個別の切欠きを有する。前記方法は、インプラントによる橈尺骨関節との衝突を回避するように配置された状態で、前記第2の係留部分をその作用位置に固定する工程をさらに含む。
【0067】
一形態では、前記方法は、前記インプラントに第1のブレーシングコンポーネントを接続する工程と、前記第1の係留部分の細長い開口部を通して前記第1の骨構成要素内に第2のブレーシングコンポーネントを導く工程と、前記第1の係留部分と前記第2の係留部分とを引き寄せる傾向がある力をかける工程と、をさらに含み、これらの結果として、前記第2のブレーシングコンポーネントが前記細長い開口部内を移動し、前記第1の骨構成要素と少なくとも第2の骨構成要素とが互いに向かって所望の関係になるように付勢される。
【0068】
一形態では、前記ステムをその作用位置に固定する前記工程は、前記第1の骨構成要素と少なくとも第2の骨構成要素とが前記所望の関係に配置された後に、前記第1の締結具を前記第1の骨構成要素及び前記ステム内に導くことを含む。
【0069】
一形態では、前記方法は、前記第1の骨構成要素をブローチングツールでブローチングする工程と、前記第1の骨構成要素をブローチングした後に、前記ブローチングツールを前記第1の骨構成要素から分離する工程と、前記ステムを前記第1の骨構成要素内に導く工程と、をさらに含む。
【0070】
一形態では、前記回転切削面は、カップ状のくぼみを形成するように構成され、パイロット延長部を有する。
【0071】
一形態では、前記方法は、少なくとも第2の骨構成要素にパイロットボアを形成する工程をさらに含む。
【0072】
一形態では、前記方法は、第2の係留部分にガイドを着脱可能に接続する工程をさらに含む。前記第2の係留部をその作用位置に配置する前記工程は、前記第2の係留部分をその作用位置に一貫して導くために前記ガイドの一部を前記パイロットボア内に導くことを含む。
【0073】
一形態では、前記方法は、前記少なくとも第1の締結具を使用する前に、前記第2の係留部分をその作用位置に一時締結具で仮固定する工程をさらに含む。
【0074】
一形態では、前記方法は、前記少なくとも第2の骨構成要素から骨を戦略的に除去する工程の前に、前記第1の骨構成要素及び前記第2の骨構成要素を安定化する工程をさらに含む。
【0075】
一形態では、前記方法は、前記少なくとも第2の骨構成要素にパイロットボアを形成するために前記ブローチングツールをガイドとして使用する工程をさらに含む。
【0076】
一形態では、前記第2の係留部分がその作用位置にある状態で、第2の係留部分の表面が、前記くぼみを境界付ける表面と並置になるように配置される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】本発明による、別個の骨構成要素を癒合するためのインプラントの概略図である。
【
図2】
図1のインプラント上の本体のさらなる詳細を示す概略図である。
【
図3】
図1及び
図2の本体のさらなる詳細と選択的に追加されたインプラント本体部を示す概略図である。
【
図4】
図1~
図3に概略的に示すインプラントの具体的な例示形態の側面図である。
【
図7】
図4~
図6のインプラントの端面図であり、インプラントの一部分が1つ以上の締結具を介して固定される関連する骨構成要素の概略図と共に示されている。
【
図8】
図6と同様の図であり、1つ以上の締結具を使用してインプラントのもう一つの部分が固定される骨構成要素の概略図が示されている。
【
図9】
図8の線9-9に沿って切ったインプラントの断面図である。
【
図10】
図1~
図9のインプラントにある本体の多軸開口部の概略図である。
【
図11】
図4~9のインプラントに示されるカップ状部分の別の実施形態の断面図である。
【
図13】手首癒合が行われ、橈骨の髄内管にブローチングツールが挿入された状態の、ヒトの手及び前腕部の描写である。
【
図16】本発明のインプラントの一部分を受け入れるためのくぼみを形成するために使用可能なカッティングツールの概略図である。
【
図17】
図16に概略的に示すカッティングツールの例示的形態の斜視図である。
【
図18】手首領域の骨を安定化させるために挿入されたKワイヤを示す、
図13と同様の図である。
【
図20】本発明のインプラントの一部分を受け入れるくぼみを形成するようにカッティングツールが操作される、
図18と同様の図である。
【
図22】カッティングツール及びKワイヤが取り外され、本発明のインプラントが作用位置に、即ちKワイヤによって仮保持された作用位置に配置されている、
図20と同様の図である。
【
図24】締結具がインプラントの一部分に導かれている、
図22と同様の図である。
【
図26】本発明のインプラントに関連するアウトリガ・ガイド・アセンブリの分解図である。
【
図27】
図26のアウトリガ・ガイド・アセンブリが作用位置に配置されている、
図24と同様の図である。
【
図29】骨構成要素の一方に導かれる係留部を追加した、
図27と同様の図である。
【
図31】
図29に対応する図であって、癒合される骨構成要素を所望の関係に移動させるために、アウトリガ・ガイド・アセンブリの各部が互いに向かって付勢されている。
【
図33】
図31と同様の図であり、癒合された骨構成要素の所望の関係を維持するために追加の締結具が使用されている。
【
図35】アウトリガ・ガイド・アセンブリを取り外した状態の、
図33と同様の図である。
【
図37】
図4~
図9と同様に、本発明のインプラントの斜視図であり、アウトリガ・ガイド・アセンブリに関連するブレーシングコンポーネントが着脱可能に結合されている。
【
図38】
図4~
図9の本発明のインプラントの側面図であり、アウトリガ・ガイド・アセンブリがインプラントと動作関係にある。
【
図39】脛骨及び足根骨を癒合するために使用される本発明のインプラントの別の使用の概略図である。
【
図40】中足骨及び足根骨を癒合するために使用される本発明のインプラントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
最初に
図1を参照すると、本発明による、少なくとも2つの骨/骨構成要素を癒合するためのインプラントの好ましい形態が10で示されている。インプラント10は、第1の係留部分14と第2の係留部分16を備えた本体12から成る。第1の係留部分14は、第1の骨構成要素内に導かれて第1の係留部分14を作用位置に配置するように構成されたステム18を有する。第1の係留部分14は、ステム18を第1の骨構成要素に固定させてそれによって第1の係留部分14をその作用位置に維持するために使用可能である、少なくとも第1の締結具20と、協働するようにさらに構成される。
【0079】
第2の係留部分16は、第2の係留部分16が作用位置にある状態で少なくとも第2の骨構成要素の上に重なるように構成され、また、第2の係留部分の一部を第2の骨構成要素に固定し、それによって第2の係留部分16をその作用位置に維持するために、使用可能な少なくとも第2の締結具20と、協働するようにさらに構成される。
【0080】
第1及び第2の係留部分14,16のための締結具20は同じであっても異なっていてもよく、任意の既知の形態をとってもよい。
【0081】
本体12は、複数のピースで構成されてもよいが、好ましい形態では、第1及び第2の係留部分14、16を画定する単一の剛性ピースを有する。
【0082】
図2に示すように、本体12は第1の端部22と第2の端部24の間の長さを有する。好ましい一形態では、ステム18は、第1の本体端部22まで完全に延びている。
【0083】
図3では、第1及び第2の係留部分14、16からなる本体12が、より詳細に、さらにはオプションの変更を行った形態とともに示されている。この一般的な形態では、第2の係留部分16は、本体部28が延出するカップ状部26を有する。本体部28と第1の係留部分14は、通常、カップ状部26上の異なる位置から突出する。
図3の構造では、第2の係留部分16は、それ自体で、第2の本体端部24まで完全に延びていてもよい。あるいは、本体部28は、それ自体で第2の本体端部24を画定するように、カップ状部26の端部まで及び第2の本体端部24まで又はそれを越えて、延びていてもよい。
【0084】
複数のカップ状部26を本体12に組み込むことができることを理解されたい。
【0085】
図1~
図3の構成要素の概略表示は、以下の具体的な形態で示される構成要素、ならびに、実質的に無制限の数のこのような構成要素及びその連携による変形例を包含することを意図している。
【0086】
ここで
図4~
図9を参照して、インプラント10の具体的な形態について説明する。インプラント10は、第1の端部22と第2の端部24との間の長さLと、主要な幅Wとを備えた前述の本体12を有する。
【0087】
第1の係留部分14は、少なくとも第1の骨構成要素30内に導かれるように構成されるステム18を画定する。ステム18は細長い形状であり、骨構成要素30に対する作用位置にステム18を固定するために使用可能な締結具20をそれぞれ受け入れるための、長さ方向に離間した複数の開口部32a、32b、32c、32dを有する。開口部32cは、この開口部32cを通って、第1の骨構成要素30内に導かれる締結具20に対して、ステム18を長さ方向にシフトさせることができるように、細長い。
【0088】
第2の係留部分16は、少なくとも第2の骨構成要素34の上に重なるように構成され、また、第2の係留部分16が作用位置にある状態で第2の係留部分16を第2の骨構成要素34の少なくとも1つに直接固定するために使用可能な締結具20をそれぞれ受け入れる複数の開口部38a~38tを備えた、前述のカップ状部26に対応するカップ状壁36を有する。
【0089】
上述したように、特定の締結具20の性質は、本発明にとって重要ではない。通常、ねじ付き締結具20が、開口部32、38を介して又は開口部32、38内に導かれて、固定を行うように骨を支持する。
【0090】
上述したように、
図3を参照すると、第2の係留部分16は、通常はカップ状部26を有しているが、広範囲のさまざまな形状を有し得る。対応するカップ状壁36は、
図4~9でカップ状壁として図示されているように、中心軸線40を中心に対称であってもよいし、非対称な形状を有していてもよい。
【0091】
図示のように、カップ状壁36は、カップ状凹面42と、反対向きのカップ状凸面44とを有する。図示のように、面42、44は、厚さが均一な壁36を間に備える、相補的な形状をしている。しかしながら、面42、44の形状は著しく異なってもよく、これは要件ではない。
【0092】
第2の係留部分16の少なくとも一部は、このカップ形状を有する。図示のように、カップ状壁36は、第2の係留部分16の実質的に全体を構成している。
【0093】
図示の形態では、凸面44が中心軸線40の周りに延在し、上端リム46と平坦な底壁部分48との間で先細になる軸方向幅AWを有する。
図9の断面図に示すように、底壁部分は実際には「W」の形状を有するが、実質的に平坦である。そのように考えられるのは、底壁部分の下向きの表面50が平坦な骨表面に安定的に着座するからである。
【0094】
面44は、
図9のような断面及び軸方向から見るという、2つの異なる視点から、凸状である。
【0095】
「W」形状は、骨移植片材料54を受け入れるために底壁部分48に個別のレセプタクル52を形成する。
【0096】
凸面44は、第2の係留部分16がその作用位置にある状態で、少なくとも1つの第2の骨構成要素34の表面と並置になるように構成される。骨移植材54は、レセプタクル52と底壁部48が重なる骨領域との境界面上でカップ状壁36と接触している。底壁面50は、第2の骨構成要素34のうちの少なくとも1つに当接してもよいが、適切な体積の骨移植片材料54を収容するために第2の骨構成要素上方に離間されてもよい。骨移植片材料54は不要、又は、底壁部分48以外に配置されてもよく、それによって、底壁部分48が第2の骨構成要素34のうちの少なくとも1つと直接接触できるようにしてもよい。
【0097】
レセプタクル52は、数多くのさまざまな形態をとり得る。また、複数のレセプタクルが異なる位置に形成されてもよい。
【0098】
図示の形態では、第1の係留部分14は細長く、長さ方向の中心線56を有する。中心線56は、
図6に最も明確に示されるように、カップ状壁36の中心軸線40からずれている。
【0099】
本体部28が設けられる場合は、本体部28は、第1の係留部分14がカップ状壁36から遠ざかるように突出する58の位置から周方向に離間した位置において、カップ状壁36から遠ざかるように延びていることが好ましい。
【0100】
ほとんどの構造において、本体部28は、本体12の第1の端部22から遠ざかる方向に、カップ状壁36から遠ざかるように突出する。上述したように、本体部28は、第2の本体端部24まで完全に延びていてもよい。カップ状部26は、同様に、第2の本体端部24まで完全に延びてもよいし、これと隣接していても、離間していてもよい。
【0101】
一つの変更実施形態では、以下に説明するように、特定の接合部位での干渉を回避するために、
図5に点線で示されるオプションの個別の切欠き59がリム46を貫通して形成される。
【0102】
ステム18は、ステム18の長さに直交する断面で見たときに、長円形状を有する。矩形、楕円形などの他の断面形状も考えられる。長円形断面形状の長軸に沿ったステム18の幅は、第1の本体端部22からカップ状壁36まで増加する。
【0103】
本体12は、数多くのさまざまな材料のいずれから作られてもよい。一つの実施形態では、本体は金属から作製される。
【0104】
より好ましい形態では、本体12は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又は他の医療グレードのプラスチックなどの非金属材料から作製される。PEEK材料の使用により、
図10において60で一般的に識別されるような多軸開口部を本体12上の各場所に形成することが容易となり、ここでは、締結具20をさまざまな角度で各そのような開口部60に螺入できることが望ましい。
【0105】
上述したように、第2の係留部分16のカップ状部26の特定の「カップ形状」はかなりの程度変化させてもよい。
図11に示すように、カップ状部26’は、中心軸線40’を有する球体の中空セグメントとして形成されている。
【0106】
図12には、軸線40’’に直交して見たときにカップ状部26’が異なる長さの半径を有する部分からなる凸面42’’を有する変形例が示されている。
【0107】
これらは、第2の係留部分16の少なくとも一部を構成するカップ状部26が取り得る多数のさまざまな実施形態の例に過ぎず、それぞれの軸線40の周りに対称性は必要ではなく、カップ状壁36が均一な厚さを有する必要がないことに留意されたい。
【0108】
図13~
図36に、ヒトの手首での骨構成要素を癒合する方法が記載されている。これは、上述したインプラントの1つの例示的な応用例にすぎない。
【0109】
手首が露出され、関節炎の関節表面の皮質剥離が行われ、残留軟骨が除去される。橈骨64の遠位端が露出され、橈骨の長手方向軸線を決定するためにドリルが中央の髄内管に配置される。
【0110】
図13~
図15に示すように、橈骨管68を準備するためにブローチングツール66が使用され、橈骨64の関節端から管68の中心に挿入される。ブローチングツール66による穿孔部分70は、ステム18の輪郭に一致することが好ましい。図示の形態では、ブローチングツールのハンドル72は、
図13及び
図14のようにブローチングツール66が完全に着座したときに関節面の整復が可能であるようにオフセットされている。
【0111】
必須ではないが、インプラント10を使用する1つの好ましい方法は、
図16の74に一般的に示されているように、カッティングツールの助けを借りて実施される。
【0112】
カッティングツール74は、カッティングツール74が操作されると所定の形状のくぼみを形成できるように構成された少なくとも1つの切削面76を有する。カッティングツール74は、一貫して所定の形状のくぼみを形成できる限り、その構成又は動作方法について限定されるものではない。
【0113】
例示的な実施形態では、
図17に示すように、カッティングツール74は、複数の切削面76を備えたリーマの形態である。リーマ74は、適切な駆動装置80を介して軸線78の周りで回転し、それに付随して、切削面76が、軸線78の周りで対称的なパターンで骨を徐々に除去できる。
【0114】
図示の切削面76は、カップ状のくぼみを生成するように構成される。リーマ74は切削面76を越えて軸方向に突出するパイロット延長部82を有する。
【0115】
カッティングツール/リーマ74は、特定のインプラント構成と癒合対象の所望数の骨構成要素に基づいて選択されたフットプリント径Dを有する。図示の特定の手首用途では、インプラント10は、5つの手根骨-舟状骨84、有頭骨86、有鉤骨88、三角骨90、及び月状骨92-を互いに及び橈骨64に癒合できるように構成及び寸法設定される。
【0116】
リーマ74の使用の準備として、
図13、
図14、
図18、及び
図19のようにブローチングツールが所定の位置にある状態で、特に舟状骨84、有頭骨86、有鉤骨88、三角骨90、及び月状骨92、からなる、94の手根骨が、手根骨94の骨を介して橈骨64内に導かれた従来のKワイヤ96を使用することにより、橈骨64に対して安定化される。これにより、手首が好ましい背屈角度で癒合されることを保証する。
【0117】
領域が安定すると、手根骨94にパイロットボア98が形成される。ブローチングツール66は、第2の係留部分16をその作用位置に配置する領域内の目標位置に導かれるボーリングツール102のためのガイド開口部100を有する。ボーリングツール102は、手動で操作されてもよいし、適切な駆動装置104を介して回転されてもよい。
【0118】
図20及び
図21に示すように、手根骨94の領域がKワイヤ96によって安定化された状態で、ブローチングツール66が取り外され、その直後にパイロット延長部82をパイロットボア98内に導くことによって、カッティングツール/リーマ74が手根骨領域及び橈骨64の遠位端の上に戦略的に配置される。
【0119】
カッティングツール/リーマ74を操作することにより、所望量の表面皮質骨を除去して、少なくとも手根骨94、及び、図示のように橈骨64に、くぼみ106を形成することができる。
【0120】
カップ状のくぼみ106全体は、第2の係留部分、より詳細には、凹面42ならびに潜在的に底壁部分48の表面50と、形状が相補的である。
【0121】
カッティングツール/リーマ74のための切削経路は、所望される特定の癒合によって規定される。インプラント10を使用するために、橈骨64から表面皮質骨を除去する必要はない。切削面76の有効切削径を表す直径Dは、また、治療される手根骨の数ならびにその上の配置位置の特定領域を決定する。リーマ/カッティングツール74は、皮質骨表面を戦略的かつ正確に除去して効果的に癒合するためのベッドを提供するために簡単かつ便利に操作できる。
【0122】
図22及び
図23に示すように、カッティングツール/リーマ74による骨処理が完了すると、骨移植片材料をカップ状壁36上のレセプタクル52内に適用できる。ステム18は橈骨管68に挿入され、そこでカップ状壁36はくぼみ106に押し込まれる。
【0123】
ガイド/インサータバー108は、底壁部分48に着脱可能に接続することができ、底壁部分48を越えて突出してパイロットボア98に進入する先導部110を備えてもよい。手根骨94及び橈骨64の両者によって画定されるくぼみ106を境界付ける表面114と、これと相補的な凸面44との位置合わせをしやすくするために、先導部110を用いてカップ状壁36の再方向付けを容易にできるように、ガイド108は把持することが可能な構成としている。
【0124】
図22と
図23において、第1の係留部分14と第2の係留部分16は、凸面44がくぼみ106を境界付ける表面114と並置になるそれぞれの作用位置に配置されていることが示されている。底壁部分48の表面50は、同様に、くぼみ106を境界付ける底面領域116と並置とされてもよい。
【0125】
第1及び第2の係留部分14、16がそれぞれの作用位置にある状態で、インプラント10の仮固定を、この場合はカップ状壁36のリム46を介して開口部120を介して手根骨94及び橈骨64に導かれる細いKワイヤ118を用いて、行うことができる。
【0126】
図24及び
図25に示すように、インプラント10を
図22及び
図23のように仮固定した状態で、カップ状壁36の開口部38を介して導かれた締結具20を受け入れるように手根骨94の骨に戦略的に穴122を形成することができる。
【0127】
締結具20が
図24及び
図25のように固定されると、ガイド/インサータバー108がカップ状壁36から分離される。
【0128】
締結具のさまざまな配置が考えられるが、適切なサイズの締結具20が、舟状骨84、有頭骨86、有鉤骨88、三角骨90、及び月状骨92の各々の中に導かれ、これらはカップ状壁36が重なる配置位置を集合的に画定する。
【0129】
この実施形態では、カップ状壁36が橈骨64の上に重なる第2の配置位置125にカップ状壁36が着座するように橈骨64の背側リム124からの皮質骨も除去される。必須ではないが、この実施形態では、これはカッティングツール/リーマ74を介して再構成される。
図25に示すように、仮Kワイヤ118の1つが橈骨64内に導かれる。
【0130】
次いで、
図26~30に示すように、カップ状壁36に着脱可能に接続された第1のブレーシングコンポーネント128と第2のブレーシングコンポーネント130とからなる、アウトリガ・ガイド・アセンブリ126を利用してもよい。あるいは、ガイドアセンブリ126は、インプラント本体12上の任意の他の部位に装着されてもよい。前述のガイド108と第1のブレーシングコンポーネント128は、異なるように示されているが、同じものであってもよい。第1のブレーシングコンポーネント128は、カップ状壁36の軸線40と整列可能な長さを備えた細長いスリーブ132からなる。係留部134は、カップ状壁36上のコネクタ138に着脱可能に係合できるコネクタ136を有する。コネクタ136、138は、ねじ式の係合を行ってもよいし、又はそれ以外で構成されてもよい。ねじ付きの構成では、手動把持用の拡大ヘッド140を利用して係留部134を回転させてコネクタ136、138と係合及び係合解除してもよい。コネクタ136、138と係合された状態で、スリーブ132及び係留部134は、その長さ部分を軸線40と整列した状態で固定される。
【0131】
コネクタ138は、
図23に模式的に示すように、前述のガイド/インサータバー108上のコネクタ142を着脱可能に係合させて、それと着脱可能に接続するためにも使用可能であることに留意されたい。
【0132】
スリーブ132は、形状及び位置においてステム開口部32a、32b、32c、32dに対応する開口部32a’、32b’、32c’、32d’を有する細長いガイドバー144に対して固定されている。それによって、細長いガイド144が、これらの構成要素が長さ方向に整列した状態でステム18に重なった状態で、開口部32a’、32b’、32c’、32d’は、
図28に最も明確に示されているように、開口部32a、32b、32c、32dに対応付けられる。
【0133】
次に、第2のブレーシングコンポーネント130が、開口部32c’を介して橈骨64内及びステム開口部32cに導かれる。第2のブレーシングコンポーネント130は、細長いガイド144及びステム18のスロット32c、32c’の各々の中で長さ方向にスライドできるように構成される。第2のブレーシングコンポーネント130は、本体12の端部22及び細長いガイド144の端部148に最も近い縁部146、146’にある又はそれに隣接するように、開口部32c’、32c内に導かれる。
【0134】
図31及び
図32に示すように、クランピングツール150は、矢印156で示すように第1及び第2のブレーシングコンポーネント128、130を互いに引き寄せるように、第1及び第2のブレーシングコンポーネント128、130をそれぞれ圧迫することができるジョー152、154を有するものが採用される。これは、開口部32c、32c’の細長い構成によって可能になる。これが起こると、カップ状壁36に固定された手根骨の骨構成要素が、両矢印158の線に沿って橈骨64に向かって所望の関係に導かれ、係合された手根骨の少なくとも一方が橈骨64の遠位端に対して加圧される。鋏タイプのクランピングツール150が描かれているが、この加圧動作を癒合部位で行うために、任意のタイプの1つ又は複数のデバイスを利用できる。
【0135】
図33及び34に示すように、手根骨と橈骨64との間に所望の関係が確立されると、ドリル159をドリルスリーブ160を通して配置し、ステム18の開口部32a、32b、32dと位置が合う橈骨64を通る開口部162a、162b、162dを形成するために使用することができ、その際、締結具20を用いてステム18を橈骨64に固定することができる。
【0136】
図35及び
図36では、ユーザの手首領域が、すべての締結具20が固定され、アウトリガ・ガイド・アセンブリ126が取り外された状態で示されている。
【0137】
図37及び
図38において、アウトリガ・ガイド・アセンブリ126の追加の詳細が、インプラント10との関係について、より明確に示されている。
【0138】
図37において、アウトリガ・ガイド・アセンブリ126の一体部品である第1のブレーシングコンポーネント128が、係留部134を介し、上に細長いガイド144がない状態でインプラントの所定の位置に着脱可能に固定されて示されている。
【0139】
図38に示されるように、細長いガイド144は、ステム18とカップ状壁36とが接続する場所に隣接する領域で開口部166を介して導かれた締結具20を受け入れるために、橈骨64に開口を形成するように整列されたガイド通路164を有する。
【0140】
図38はまた、締結具20を受け入れるためにコントロールされた骨穿孔を容易にするためのデプスガイド168、170を示す。
【0141】
上述したように、本体12は、1つ以上の中手骨に適切に固定されて得る本体部28を含んでもよい。本体部28は、1つ以上の中手骨に重なってもよく、及び/又は、挿入されてもよい。
【0142】
上記のように、本発明のインプラントは、手首癒合用途での使用に限定されない。他の解剖学的位置で癒合を行うために、同じ概念を採用できる。単なる例として、
図39に示されるように、脛骨172と足根骨174との間の癒合を行うためにインプラント10を使用してもよい。
【0143】
あるいは、
図40に示されるように、中足骨176と足根骨178との間の癒合を行うためにインプラント10を使用してもよい。
【0144】
これらの特定用途では、カップ状壁36が足根骨に固定された状態で、ステム18が脛骨又は中足骨に挿入されてもよい。
【0145】
図4、
図7、及び
図9に示されるように、底壁部分48の平坦な表面50は、ステム18の中心の長さ方向の軸線180を通って延びるステム18の扁平な断面に近似する基準面Pに対して2次元に傾斜している。換言すれば、カップ状壁36は、患者の前腕の平面に対して背側に傾斜し、仰臥位で回転方向に傾斜している。
【0146】
図4、7、及び9に見られるように、平面Pは、底壁面50を含む基準平面P1に対して角度αであり、底壁面は、リム46の縁部を横切る基準平面P2に対して実質的に平行である。好ましい一形態では、角度αは少なくとも10°程度である。
【0147】
締結具がインプラント10を癒合部位の両側の複数の骨構成要素に固定することにより、インプラント10が、関節を横切る大きなモーメントアームによる力に抵抗できる。同時に、手首用途では、橈骨管内のステム18の状況は、複雑な湾曲したインプラントを必要とするプレートを固定する必要性、プレートのための溝切り、及び、かさばる表面プレートの使用を不要とする。手根骨は遠位橈骨の接合面上の中心にあるので、ステム18はカップ状壁36と直接整列する。
【0148】
例示的な
図36に示されるように、第2の係留部分16は、軟部組織の刺激により不快感を引き起こしたり、及び/又は、腱断裂や美容上の変形などの潜在的損傷を患者に与えたりする可能性のある突出質量を追加しないように、そのフットプリント全体にわたって効果的に凹んでいる。
【0149】
締結具をさまざまな角度でカップ状壁36に導く機能により、複数の骨構成要素間の接続が強化される。
【0150】
カップ状壁36及びくぼみ106に相補的なテーパ付きカップ状を有することにより、カップ状壁36がくぼみ106内に導かれると、凸面44とくぼみ106を境界付ける表面とが協働し、一貫してカップ状壁36をくぼみ106内に誘導し、第2の係留部分16はその作用位置を見出す。
【0151】
例示的な橈骨の中立軸線に近接して中心に配置されるインプラントを提供することにより、このインプラントにかかる曲げ荷重は、従来の他のインプラントと比較して低減され得る。
【0152】
本発明のインプラントは、髄内構造を使用し、第2の係留部分16を少なくともある程度陥凹させることにより、インプラントの突出、美容上の変形、軟部組織の刺激、及び腱の問題、の軽減を可能にする。
【0153】
本発明の構造により、骨への血液供給を抑えられる比較的短い外科的切開を提供することが可能である。
【0154】
上述のように、本発明のインプラントは、広範囲の骨造形やインプラントの曲げを必要とせず、広範囲の用途に適合するように複雑な形状なしに作製することができ、手術部位のインプラント隆起を回避する。同時に、軟部組織の隆起を回避しながら曲げ強度及び剛性を提供できるように、方向の厚みをもつインプラントとして、作製できる。
【0155】
本発明の構造により、手根中手関節を横切ること、及び、中手骨内へのスクリュ配置を必要とすることなどのさらなる付加的な固定の追加、並びにこれに付随する無関係な領域への合併症リスクへの配慮とを必要としない信頼性の高い固定を提供することが可能である。
【0156】
さらに、本明細書に記載の特定の設計は、本質的に例示的なものにすぎず、本発明は、十分に多数の締結具開口部、並びに、手根骨などが癒合塊の一部であり得る小さな骨に対する締結具についての調節可能な角度配置範囲とを提供する。
【0157】
締結具の戦略的使用及び配置は、また、広範囲の骨破壊をすることなしに、締結具を取り外すことを可能にするものである。
【0158】
上記で開示した特定の実施形態は、本発明によって理解される広い概念を例示すること、を意図している。