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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
H05K13/02 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022576271
(86)(22)【出願日】2021-01-20
(86)【国際出願番号】 JP2021001859
(87)【国際公開番号】W WO2022157856
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 誠次
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-29282(JP,A)
【文献】特開平3-138207(JP,A)
【文献】特開2001-85889(JP,A)
【文献】特開2011-60816(JP,A)
【文献】特開2002-246791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装する部品実装機であって、
基板を部品装着位置に搬入すると共に、前記基板を前記部品装着位置から搬出する基板搬送ユニットと、
部品を収容する複数のトレイを備えるトレイマガジンを備えており、前記複数のトレイのそれぞれが格納位置と部品取出し位置との間を移動可能に構成されている部品供給ユニットと、
前記トレイが前記格納位置から前記部品取出し位置に移動した状態で、前記部品取出し位置に移動したトレイから前記部品を吸着し、その吸着した前記部品を前記部品装着位置に搬入された基板に実装する部品実装ユニットと、
前記基板搬送ユニットと前記部品供給ユニットと前記部品実装ユニットを制御する制御ユニットであって、当該制御ユニットは、
(1)前記トレイマガジンの第1段目~第n段目(nは2以上の整数)のそれぞれのトレイに収容される部品を前記基板に実装する第1実装処理であって、前記第1実装処理では、前記第1段目のトレイから前記第n段目のトレイまで昇順に、各トレイに収容される前記部品を前記基板に実装する、前記第1実装処理と、
(2)前記第1実装処理で部品を供給した前記トレイマガジンの前記第1段目~前記第n段目のそれぞれのトレイに収容される部品を前記基板に実装する第2実装処理であって、前記第2実装処理では、前記第n段目のトレイから前記第1段目のトレイまで降順に、各トレイに収容される前記部品を前記基板に実装する、前記第2実装処理と、
を前記部品装着位置に搬入される複数の基板に対して交互に実行するように構成されている、前記制御ユニットと、
を備える、部品実装機。
【請求項2】
前記第1実装処理を前記制御ユニットに実行させるための第1実装プログラムを入力する入力ユニットと、
前記入力ユニットから前記第1実装プログラムが入力されたときに、入力された前記第1実装プログラムに基づいて、前記第2実装処理を前記制御ユニットに実行させるための第2実装プログラムを生成する演算ユニットと、
をさらに備えている、請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記第1実装処理の中には、2以上の特定部品を前記基板の同一位置に実装する特定の第1実装処理が含まれており、
前記2以上の特定部品は、前記基板への実装順序が予め設定されており、
前記入力ユニットに前記特定の第1実装処理を前記制御ユニットに実行させるための第1実装プログラムが入力されたときに、前記演算ユニットは、前記特定の第1実装処理に対応する前記第2実装処理を前記制御ユニットに実行させるための第2実装プログラムを生成することができないことを出力する、請求項2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記部品供給ユニットは、部品を収容する複数のトレイを備える第1トレイマガジンと、部品を収容する複数のトレイを備える第2トレイマガジンと、を備えており、
前記格納位置と前記部品取出し位置は、退避位置にある前記第1トレイマガジンと退避位置にある前記第2トレイマガジンの間の位置に設けられており、
前記第1トレイマガジン及び前記第2トレイマガジンの複数のトレイのそれぞれは、前記格納位置と前記部品取出し位置との間を移動可能に構成されており、
前記退避位置にある前記第1トレイマガジンでは、前記第1段目のトレイより前記第n段目のトレイが前記部品取出し位置の近くに位置しており、
前記退避位置にある前記第2トレイマガジンでは、前記第n段目のトレイより前記第1段目のトレイが前記部品取出し位置の近くに位置しており、
前記制御ユニットは、
(1)前記第1トレイマガジンの第1段目~第n段目(nは2以上の整数)のそれぞれのトレイに収容される部品を前記基板に実装する第1実装処理であって、前記第1実装処理では、前記第1段目のトレイから前記第n段目のトレイまで昇順に、各トレイに収容される前記部品を前記基板に実装する、前記第1実装処理と、
(2)前記第1トレイマガジンの前記第1段目~前記第n段目のそれぞれのトレイに収容される部品を前記基板に実装する第2実装処理であって、前記第2実装処理では、前記第n段目のトレイから前記第1段目のトレイまで降順に、各トレイに収容される前記部品を前記基板に実装する、前記第2実装処理と、
(3)前記第2トレイマガジンの第1段目~第n段目(nは2以上の整数)のそれぞれのトレイに収容される部品を前記基板に実装する第3実装処理であって、前記第3実装処理では、前記第1段目のトレイから前記第n段目のトレイまで昇順に、各トレイに収容される前記部品を前記基板に実装する、前記第3実装処理と、
(4)前記第2トレイマガジンの前記第1段目~前記第n段目のそれぞれのトレイに収容される部品を前記基板に実装する第4実装処理であって、前記第4実装処理では、前記第n段目のトレイから前記第1段目のトレイまで降順に、各トレイに収容される前記部品を前記基板に実装する、前記第4実装処理と、
を、前記第1実装処理、前記第3実装処理、前記第4実装処理、前記第2実装処理の順番で繰り返し実行するように構成されている、請求項1に記載の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品を基板に実装する部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を実装する部品実装機では、トレイ型の部品供給ユニットが用いられる場合がある。トレイ型の部品供給ユニットを備えた部品実装機の一例が、特開2001-85889号公報に開示されている。トレイ型の部品供給ユニットは、部品を収容する複数のトレイと、複数のトレイを収容するストッカを備えている。複数のトレイのそれぞれは、その内部に同一種類の部品が収容されており、格納位置と部品取出し位置との間を移動可能となっている。基板に部品を実装する際は、まず、基板搬送ユニットが実装機内の部品装着位置に基板を搬入する。すると、1番目に装着する種類の部品が収容されたトレイ(以下、1番目のトレイということがある。)は、格納位置までストッカ内を上下方向に移動し、その後、格納位置から部品取出し位置に引き出される。次に、部品実装ユニットは、部品取出し位置に引き出されたトレイから部品を吸着し、吸着した部品を基板に実装する。部品が基板に実装されると、部品取出し位置に引き出された1番目のトレイが格納位置に移動する。次いで、2番目に装着する種類の部品が収容されたトレイ(以下、2番目のトレイということがある。)が、ストッカ内を格納位置まで上下方向に移動し、その後、格納位置から部品取出し位置に引き出される。2番目のトレイが部品取出し位置に引き出されると、1番目に装着する種類の部品と同様に、部品実装ユニットによって2番目に装着する種類の部品が基板に実装される。以下、同様の手順で最後に実装する種類の部品まで基板に実装される。全ての部品が実装されると、基板搬送ユニットが基板を部品装着位置から部品実装機外に搬出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したように、この種の部品実装機では、基板の生産が終了してから次の基板の生産を開始するまでに、最後に実装する種類の部品を収容するトレイ(以下、最後のトレイということがある。)を格納位置に格納すると共に、1番目のトレイを格納位置に移動されると共に格納位置から部品取出し位置に引き出さなければならない。一般的に、ストッカには1番目のトレイから最後のトレイまで実装順に収容されている。このため、最後のトレイを格納位置に格納した状態から1番目のトレイが格納位置に移動した状態となるまで、1番目のトレイがストッカ内を移動する距離が長くなる。その結果、1番目のトレイが部品取出し位置に引き出されるまでに時間を要し、部品実装ユニットに待機時間が発生することがあった。
【0004】
本明細書は、基板の生産が終了してから次の基板の生産を開始する際に、部品実装ユニットに待機時間が発生することを抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する部品実装機は、基板に部品を実装する部品実装機であって、基板搬送ユニットと、部品供給ユニットと、部品実装ユニットと、制御ユニットを備える。基板搬送ユニットは、基板を部品装着位置に搬入すると共に、基板を部品装着位置から搬出する。部品供給ユニットは、部品を収容する複数のトレイを備えるトレイマガジンを備えており、複数のトレイのそれぞれが格納位置と部品取出し位置との間を移動可能に構成されている。部品実装ユニットは、トレイが格納位置から部品取出し位置に移動した状態で、部品取出し位置に移動したトレイから部品を吸着し、その吸着した部品を部品装着位置に搬入された基板に実装する。制御ユニットは、基板搬送ユニットと部品供給ユニットと部品実装ユニットを制御する。制御ユニットは、第1実装処理と第2実装処理とを部品装着位置に搬入される複数の基板に対して交互に実行するように構成されている。ここで、第1実装処理では、トレイマガジンの第1段目~第n段目(nは2以上の整数)のそれぞれのトレイに収容される部品を基板に実装すると共に、第1段目のトレイから第n段目のトレイまで昇順に、各トレイに収容される部品を基板に実装する。第2実装処理では、第1実装処理で部品を供給したトレイマガジンの第1段目~第n段目のそれぞれのトレイに収容される部品を基板に実装すると共に、第n段目のトレイから第1段目のトレイまで降順に、各トレイに収容される部品を基板に実装する。また、第1実装処理と第2実装処理とを交互に実行するとは、第1実装処理が行われると、次の第1実装処理が実行される前に第2実装処理が実行されることを意味し、同様に、第2実装処理が行われると、次の第2実装処理が実行される前に第1実装処理が実行されることを意味する。したがって、第1実装処理と第2実装処理が交互に連続して行われる必要はなく、第1実装処理と次の第2実装処理の間に他の実装処理が実行されてもよいし、第2実装処理と次の第1実装処理の間に他の実装処理が実行されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施例の部品実装機の構成を模式的に示す側面図。
図2】実施例の部品実装機の制御系の構成を示すブロック図。
図3】実施例及び従来例の部品実装機により基板に部品を実装する手順を比較して説明する概略図。
図4】実施例及び従来例の部品実装機により基板に部品を実装する手順を比較して説明する概略図。
図5】2つのトレイマガジンを備える部品供給ユニットの構成を模式的に示す図。
図6図5に示す部品供給ユニットから供給される部品を基板に実装する手順を説明する概略図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に開示の部品実装機では、第1実装処理と第2実装処理とが、部品装着位置に搬入される複数の基板に対して交互に実行される。このため、例えば、1枚目の基板に対して第1実装処理が実行されると、2枚目の基板に対して第2実装処理が実行され、以下、第1実装処理と第2実装処理とが交互に実行される。したがって、基板の生産が終了したときに部品取出し位置に引き出されているトレイを入れ替えることなく、次の基板の生産を開始することができる。したがって、基板の生産が終了してから次の基板の生産を開始する際に、部品実装ユニットが待機する事態が生じることを抑制することができる。
【0008】
また、本明細書に開示の部品実装機では、第1段目のトレイから第n段目のトレイまで順に配置することで、第1実装処理と第2実装処理のいずれにおいても、直前のトレイから次のトレイまでの切り替え時間を短縮でき、部品実装ユニットに待機時間が発生することを抑制することができる。
【0009】
本明細書に開示する部品実装機では、第1実装処理を制御ユニットに実行させるための第1実装プログラムを入力する入力ユニットと、入力ユニットから第1実装プログラムが入力されたときに、入力された第1実装プログラムに基づいて、第2実装処理を制御ユニットに実行させるための第2実装プログラムを生成する演算ユニットをさらに備えていてもよい。このような構成によると、第1実装プログラムを入力すると、第2実装プログラムが自動的に生成される。このため、作業者が第2実装プログラムを生成する作業を行う必要がない。
【0010】
本明細書に開示する部品実装機では、第1実装処理の中には、2以上の特定部品を基板の同一位置に実装する特定の第1実装処理が含まれていてもよい。2以上の特定部品は、基板への実装順序が予め設定されていてもよい。この場合において、入力ユニットに特定の第1実装処理を制御ユニットに実行させるための第1実装プログラムが入力されたときに、演算ユニットは、特定の第1実装処理に対応する第2実装処理を制御ユニットに実行させるための第2実装プログラムを生成することができないことを出力してもよい。部品実装機で生産される基板の中には、基板の同一位置に複数の部品が実装され、これら複数の部品の実装順序が予め設定されることがある。例えば、基板に電子部品が実装され、この電子部品を覆うようにシールドカバーを基板に装着することがある。このような場合、必ず電子部品が先に実装され、その後にシールドカバーが装着される。このような処理を含む第1実装処理(すなわち、特定の第1実装処理)の場合、単純に基板への装着順を逆にすると、基板を生産することができない。上記の部品実装機では、特定の第1実装処理を実行する第1実装プログラムが入力ユニットに入力されたときに、演算ユニットは、特定の第1実装処理に対応する第2実装処理を実行することができないと判定し、第2実装プログラムを生成することができないことを出力する。これによって、誤って特定の第1実装処理に対応する第2実装処理が自動的に実行されることを防止することができる。
【実施例1】
【0011】
以下、図面を参照して実施例に係る部品実装機10について説明する。部品実装機10は、基板2の所定の位置に、あらかじめ定められた部品4を実装するための装置である。部品実装機10は、表面実装機やチップマウンタ等とも称される。部品実装機10は、はんだ印刷機、他の部品実装機および基板検査機と共に併設され、一連の実装ラインを構成する。図1に示すように、部品実装機10は、基板搬送ユニット20、部品供給ユニット30、部品実装ユニット40及び制御装置50を備える。
【0012】
基板搬送ユニット20は、部品実装機10の搬入口に供給された基板2をX方向(図1の紙面垂直方向)に移動させて部品装着位置P3に搬入する。また、基板搬送ユニット20は、部品実装済みの基板2を部品装着位置P3から搬出して、部品実装機10の搬出口まで移動させる。搬出口まで送られた部品実装済みの基板2は、最終製品として出荷され、あるいは半製品として後工程に送られる。基板搬送ユニット20としては従来公知の構成を採用することができる。例えば、一対のベルトコンベアと、ベルトコンベアに取り付けられると共に基板2を下方から支持する基板保持部とを含んだユニットを採用してもよいが、これに限定されない。
【0013】
部品供給ユニット30は、いわゆるトレイフィーダ(トレイ型の部品供給ユニット)である。部品供給ユニット30は、一側面にトレイステーション38が延設されたハウジング32を備えている。トレイステーション38の上面側領域とハウジング32の内部空間とは、ハウジング32に設けられた開口36を介して連通している。ハウジング32は、その内部に、複数のトレイTR(TR1、TR2、TR3…)と、複数のトレイTRを収容するためのストッカ34(請求項でいうトレイマガジンの一例)とを備えている。ストッカ34には複数段のスロット35が形成されている。各々のスロット35には、トレイTRが1枚ずつ横置きで収容されている。複数のトレイTRは、その内部に同一種類の部品CH(CH1、CH2、CH3…)を収容している。例えば、1番目のトレイTR1は1番目に装着する種類の部品CH(CH1)、2番目のトレイTR2は2番目に装着する種類の部品CH(CH2)、3番目のトレイTR3は3番目に装着する種類の部品CH(CH3)、n番目のトレイTRnはn番目に装着する種類の部品CH、をそれぞれ収容している。
【0014】
部品供給ユニット30における複数のトレイTRのそれぞれは、格納位置P1と部品取出し位置P2との間を移動可能となっている。格納位置P1は、ハウジング32の内部空間において開口36のある高さ位置に設定されている。部品取出し位置P2は、トレイステーション38の上面側領域に設定されている。部品供給ユニット30は、格納位置P1と部品取出し位置P2との間でトレイTRを水平方向(図1のY方向)に移動させる図示しないトレイ搬送装置を備えている。また、部品供給ユニット30は、ストッカ34を上下方向(図1のZ方向)に移動させる図示しない昇降装置を有している。昇降装置は、ストッカ34における特定の1つのトレイTRが引き出し可能となるように、そのトレイTRを収容するスロット35を格納位置P1まで上下移動させる。なお、図1に示す部品供給ユニット30の場合、ハウジング32及びトレイステーション38の両方が部品実装機10の内部に配置されているが、トレイステーション38のみを内部に配置してハウジング32を外部に配置してもよい。
【0015】
部品実装ユニット40は、トレイTRが格納位置P1から部品取出し位置P2に移動した状態で、部品取出し位置P2に移動したトレイTRから部品CHを吸着する。そして部品実装ユニット40は、その吸着した部品CHを部品装着位置P3に搬入された基板2に実装する。部品実装ユニット40は、 移動装置42、ヘッドユニット44、吸着ノズル46等を備えている。移動装置42は、ヘッドユニット44をX方向及びY方向に移動させる。移動装置42は、ヘッドユニット44を案内するガイドレールや、ヘッドユニット44をガイドレールに沿って移動させる移動機構や、その移動機構を駆動するモータ等によって構成されている。移動装置42は、部品供給ユニット30及び基板2の上方に配置されている。ヘッドユニット44は、移動装置42によって部品供給ユニット30の上方及び基板2の上方の空間を移動する。ヘッドユニット44は、部品CHの種類に応じた形状及びサイズの吸着ノズル46が装着可能となっていると共に、その装着した吸着ノズル46をZ方向に移動させる。吸着ノズル46はその先端に部品CHを吸着し、基板2の所定の位置にて部品CHを開放する。
【0016】
図2には、実施例の部品実装機10の制御系の構成が示されている。制御装置50は、CPU,ROM,RAMを備えたコンピュータを用いて構成されている。制御装置50は、基板搬送ユニット20、部品供給ユニット30、部品実装ユニット40、タッチパネル54(図1に図示)及び送受信回路58と通信可能に接続されている。タッチパネル54は、作業者に部品実装機10の各種の情報を提供する表示装置であると共に、作業者からの指示や情報を受け付ける入力装置である。送受信回路58は、部品実装機10を管理する生産管理コンピュータ52(図1に図示)と通信可能に接続されている。送受信回路58は、生産管理コンピュータ52と制御装置50との間に介在する入出力インターフェースとして機能する。送受信回路58は、生産管理コンピュータ52から送られてくる生産プログラムを受け付けて、制御装置50内に取り込む。取り込まれた生産プログラムは、制御装置50のRAMに格納され、必要に応じてそこから読み出される。なお、生産管理コンピュータ52が管理する部品実装機10の数は通常複数であって、その数は特に限定されるものではない。
【0017】
制御装置50は、生産プログラムに基づいて部品実装機10の各部の動作を制御することで、基板2への部品CHの実装を行う。すなわち、制御装置50は、基板搬送ユニット20、部品供給ユニット30、部品実装ユニット40等を制御する制御ユニットとして機能する。
【0018】
次に、制御装置50が実行する部品実装処理について説明する。制御装置50は、部品装着位置P3に搬入される複数の基板2に対して、第1実装処理と第2実装処理とを交互に実行するように構成されている。
【0019】
第1実装処理は、第1実装プログラムに基づいて実行される。第1実装処理は、第1段目~第n段目(nは2以上の整数)のそれぞれのトレイTRに収容される部品CHを基板2に実装する処理である。第1実装処理では、第1段目のトレイTR1から第n段目のトレイTRnまで昇順に、各トレイTRに収容される部品CHを基板2に実装する。第1実装プログラムは、生産管理コンピュータ52から送られてくる上記の生産プログラムの一種であり、第1実装処理を制御ユニットに実行させるためのプログラムである。第1実装プログラムは、入力ユニットである送受信回路58を介して制御装置50内に取り込まれる。制御ユニットとして機能する制御装置50は、第1実装プログラムをRAMから読み出すと共に、第1実装プログラムに基づいて第1実装処理を実行する。
【0020】
第2実装処理は、第2実装プログラムに基づいて実行される。第2実装処理は、第1段目~第n段目のそれぞれのトレイTRに収容される部品CHを基板2に実装する処理である。第2実装処理では、第n段目のトレイTRnから第1段目のトレイTR1まで降順に、各トレイTRに収容される部品CHを基板2に実装することを行う。第2実装プログラムは、第2実装処理を制御ユニットに実行させるためのプログラムであるが、生産管理コンピュータ52から送られてくる生産プログラム中には含まれていない。入力ユニットである送受信回路58から制御装置50に第1実装プログラムが入力されたときに、入力された第1実装プログラムに基づいて、演算ユニットとしても機能する制御装置50が第2実装プログラムを生成する。生成された第2実装プログラムは、第1実装プログラムと同様、制御装置50のRAM内に格納される。
【0021】
以下、本実施例の部品実装機10による部品実装処理の具体例を図3図4に基づいて説明する。なお、この例では2以上の特定部品(例えば、部品と、その部品を覆うカバー)を基板2の同一位置に実装することはないものとする。したがって、第1実装処理の中には、2以上の特定部品を基板2の同一位置に実装する特定の第1実装処理は含まれていない。それゆえ、この例では、特定の第1実装処理を実行しない通常の第1実装プログラムが入力ユニットに入力される。この入力に基づいて、演算ユニットは、通常の第1実装処理に対応する第2実装処理を実行することができると判定する。そして、演算ユニットである制御装置50は、第2実装プログラムを自動的に生成すると共に、第2実装プログラムが生成できたことをタッチパネル54に出力する。すると、タッチパネル54は、第2実装プログラムが生成できたことを表示する。この構成によると、第2実装プログラムが自動的に生成されるため、作業者が第2実装プログラムを生成する作業を行う必要がない。
【0022】
部品実装機10の起動ボタンがONされると、第1実装プログラムに基づいて第1実装処理が実行されることにより、1枚目の基板2に対して部品の実装が開始される。このとき、まず、基板搬送ユニット20が部品実装機10内の部品装着位置P3に基板2を搬入する。すると、部品供給ユニット30のストッカ34が駆動され、1段目のスロット35が格納位置P1に向けて移動を開始する(図3(a)、(b)参照)。第1のトレイTR1を収容した1段目のスロット35が格納位置P1に到ると、第1のトレイTR1が格納位置P1から引き出され、トレイステーション38上の部品取出し位置P2に載置される(図3(c)参照)。次に、部品実装ユニット40は、部品取出し位置P2に引き出された第1のトレイTR1から部品CH(CH1)を吸着し、吸着した部品CH(CH1)を基板2に実装する。部品CH(CH1)が基板2に実装されると、部品取出し位置P2に引き出された1番目のトレイTR1が格納位置P1に再び格納される(図3(d)参照)。
【0023】
次いで、部品供給ユニット30のストッカ34が駆動され、2番目のトレイTR2を収容した2段目のスロット35が格納位置P1まで移動する(図3(e)参照)。この後、第2のトレイTR2が格納位置P1から引き出され、トレイステーション38上の部品取出し位置P2に載置される(図3(f)参照)。部品実装ユニット40は、部品取出し位置P2に引き出された第2のトレイTR2から部品CH(CH2)を吸着し、吸着した部品CH(CH2)を基板2に実装する。部品CH(CH2)が基板2に実装されると、部品取出し位置P2に引き出された2番目のトレイTR2が格納位置P1に再び格納される(図3(g)参照)。
【0024】
次いで、部品供給ユニット30のストッカ34が駆動され、3番目のトレイTR3を収容した3段目のスロット35が格納位置P1まで移動する(図3(h)参照)。この後、第3のトレイTR3が格納位置P1から引き出され、トレイステーション38上の部品取出し位置P2に載置される(図4(a)参照)。部品実装ユニット40は、部品取出し位置P2に引き出された第3のトレイTR3から部品CH(CH3)を吸着し、吸着した部品CH(CH3)を基板2に実装する。以上の手順を実行することにより、全ての部品CH(CH1、CH2、CH3)が、「CH1→CH2→CH3」という順序で実装される。つまり、この例では第1段目のトレイTR1から第3段目のトレイTR3まで昇順に、各トレイTR1、TR2、TR3に収容される部品CH(CH1、CH2、CH3)が基板2に実装される。1枚目の基板2についての部品実装が完了すると、基板搬送ユニット20は、部品装着位置P3から部品実装済みの1枚目の基板2を搬出すると共に、2枚目の基板2を部品装着位置P3に搬入する。なお、ここまでの一連の手順は、実施例及び従来例において共通している。
【0025】
図4(b)~(d)は、実施例の部品実装機10による2枚目の基板2についての部品実装の手順を示している。1枚目の基板2の生産が終了した時点で、まだ、最後のトレイである第3のトレイTR3は、部品取出し位置P2に載置されている(図4(a)参照)。本実施例では、部品取出し位置P2に引き出されている第3のトレイTR3を入れ替えることなく、第2実装プログラムに基づいて第2実装処理を実行し、2枚目の基板2について部品の実装を開始する。まず部品実装ユニット40は、部品取出し位置P2に引き出された第3のトレイTR3から部品CH(CH3)を吸着し、吸着した部品CH(CH3)を基板2に実装する。部品CH(CH3)が基板2に実装されると、部品取出し位置P2に引き出された3番目のトレイTR3が格納位置P1に再び格納される(図4(b)参照)。
【0026】
次いで、部品供給ユニット30のストッカ34が駆動され、2番目のトレイTR2を収容した2段目のスロット35が格納位置P1まで移動する(図4(c)参照)。この後、第2のトレイTR2が格納位置P1から引き出され、トレイステーション38上の部品取出し位置P2に載置される(図4(d)参照)。部品実装ユニット40は、部品取出し位置P2に引き出された第2のトレイTR2から部品CH(CH2)を吸着し、吸着した部品CH(CH2)を基板2に実装する。部品CH(CH2)が基板2に実装されると、部品取出し位置P2に引き出された2番目のトレイTR2が格納位置P1に再び格納される。この後、同様の手順で第1のトレイTR1の引き出し、部品CH(CH1)の吸着・実装が行われる。以上の手順を実行することにより、全ての部品CH(CH3、CH2、CH1)が、「CH3→CH2→CH1」という順序で実装される。つまり、この例では第3段目のトレイTR3から第1段目のトレイTR1まで降順に、各トレイTR3、TR2、TR1に収容される部品CH(CH3、CH2、CH1)が基板2に実装される。その結果、2枚目の基板2についての部品実装が完了する。なお、奇数枚目の基板2は、上記した1枚目の基板2と同様に、第1実装プログラムに基づく第1実装処理を実行することによって生産される。偶数枚目の基板2は、上記した2枚目の基板2と同様に、第2実装プログラムに基づく第2実装処理を実行することによって生産される。
【0027】
これに対して、図4(e)~(g)は、従来例の部品実装機10による2枚目の基板2についての部品実装の手順を示している。従来例では、2枚目以降の基板2についても、第1実装プログラムに基づいて第1実装処理を実行し、部品CHの実装を行う。1枚目の基板2の生産が終了した時点では、まだ、最後のトレイである第3のトレイTR3が部品取出し位置P2に引き出されている。そのため、2枚目の基板2について部品実装を行う前に、部品取出し位置P2にある第3のトレイTR3を格納位置P1に格納する(図4(e)参照)。次に、部品供給ユニット30のストッカ34が駆動され、1段目のスロット35が格納位置P1に移動する(図4(f)参照)。すると、第1のトレイTR1が格納位置P1から引き出されて部品取出し位置P2に載置される(図4(g)参照)。次に、部品CH(CH1)の吸着・実装が行われた後、第1のトレイTR1が格納される。この後、同様の手順を実行することにより、全ての部品CH(CH1、CH2、CH3)が、「CH1→CH2→CH3」という順序で実装される。
【0028】
次に、第1実装処理の中に、2以上の特定部品を基板2の同一位置に実装する特定の第1実装処理が含まれている場合について説明する。本実施例の部品実装機10では、特定の第1実装処理を実行する第1実装プログラムが入力ユニットである送受信回路58を介して制御装置50に入力されることがある。このとき、制御装置50は、特定の第1実装処理に対応する第2実装処理を実行することができないと判定する。そして、制御装置50は、第2実装プログラムの生成を行わずに、第2実装プログラムを生成することができないことをタッチパネル54に出力する。すると、タッチパネル54は、第2実装プログラムが生成できないことを表示する。この表示により、作業者は第2実装処理が実行されないことを認識することができる。
【0029】
以上詳述したように、本実施例の部品実装機10では、第1実装処理と第2実装処理とが、部品装着位置P3に搬入される複数の基板2に対して交互に実行される。このため、例えば、1枚目の基板2に対して第1実装処理が実行されると、2枚目の基板2に対して第2実装処理が実行され、以下、第1実装処理と第2実装処理とが交互に実行される。したがって、基板2の生産が終了したときに部品取出し位置P2に引き出されているトレイTRを入れ替えることなく、次の基板2の生産を速やかに開始することができる。したがって、基板2の生産が終了してから次の基板2の生産を開始する際に、部品実装ユニット40が待機する事態が生じることを抑制することができる。ちなみに、本実施例では、図4において二点鎖線で囲んだ手順を省くことができるため、その分だけ1枚の基板2の生産に要する時間を短縮することができる。また、部品供給ユニット30における上下方向の動作及び水平方向への動作を削減することができる。したがって、部品供給ユニット30の寿命を延ばすことができる。
【0030】
また、本実施例では、基板搬送ユニット20を1台のみ備えるいわゆるシングルレーン仕様の部品実装機10を例示して説明したが、本明細書に開示の技術は、基板搬送ユニット20を2台備えるいわゆるダブルレーン仕様の部品実装機10に適用されてもよい。ダブルレーン仕様の部品実装機10の場合、一方のレーンにおいて部品2の実装をしている間に、他方のレーンにおいて基板2の搬入・搬出を行うことができる。そのような場合であっても、本明細書に開示の技術を用いると、第1実装処理と第2実装処理とが部品装着位置P3に搬入される複数の基板2に対して交互に実行される。このため、基板2の生産が終了してから次の基板2の生産を開始する際に、部品実装ユニット40が待機する事態が生じることを効果的に抑制することができる。
【0031】
なお、上記の実施例では、基板2に3種類の部品CH(CH1、CH2、CH3)を実装する例について説明したが、基板2に実装する部品の種類は3種類に限られない。例えば、基板2に4種類の部品CH(CH1、CH2、CH3、CH4)を実装する場合にも用いることができる。この場合、1枚目の基板2に対しては、CH1→CH2→CH3→CH4の順で部品を実装し、2枚目の基板2に対しては、CH4→CH3→CH2→CH1の順で部品を実装する。このような形態によっても、1枚目の最後に実装する部品の種類CH4と2枚目の最初に実装する部品の種類CH4とが同一となるため、基板の生産終了から次の基板の生産開始までの時間を短縮することができる。また、1枚目の基板2に部品CHを実装するときはストッカ34が上昇しながら隣接するスロット35から順にトレイTRを引き出し、また、2枚目の基板2に部品CHを実装するときはストッカ34が下降しながら隣接するスロット35から順にトレイTRを引き出すことになる。したがって、部品間のストッカ35の移動量を少なくすることができ、トレイTRを格納してから次のトレイTRを引き出すまでの時間を短縮することができる。
【0032】
また、上述した実施例では、部品供給ユニット30が1つのストッカ34を備えていた例であったが、本明細書に開示の技術は、部品供給ユニットが複数のストッカを備えるものに適用されてもよい。例えば、図5に示すように、部品供給ユニット60は、ハウジング66内に収容された第1ストッカ62(請求項でいう第1トレイマガジンの一例)と、第2ストッカ64(請求項でいう第2トレイマガジンの一例)と、を備えていてもよい。
【0033】
第1ストッカ62には複数段のスロットが形成されており、各々のスロットにはトレイ62a~62cが1枚ずつ横置きで収容されている。複数のトレイ62a~62cには、同一種類の部品が収容されている。例えば、1番目のトレイ62aは1番目に装着する種類の部品、2番目のトレイ62bは2番目に装着する種類の部品、3番目のトレイ62cは3番目に装着する種類の部品、をそれぞれ収容している。
【0034】
第2ストッカ64にも、第1ストッカ62と同様に、複数段のスロットが形成されており、各々のスロットにはトレイ64a~64cが1枚ずつ横置きで収容されている。複数のトレイ64a~64cには、第1ストッカ62と同様の順番で、第1段目から下段に向かって順に同一種類の部品が収容されている。例えば、1番目のトレイ64aは1番目に装着する種類の部品、2番目のトレイ64bは2番目に装着する種類の部品、3番目のトレイ64cは3番目に装着する種類の部品、をそれぞれ収容している。なお、図5では、各ストッカ62、64に3個のトレイ62a~62c、64a~64cのみが備えられているように図示されているが、トレイ62、64の数は3個に限られず、任意の数を採ることができる。
【0035】
ハウジング66の側面には、トレイステーション68が延設されている。トレイステーション68の上面には、部品取出し位置が設定されている。図5には図示されていないが、ハウジング66内には格納位置が設定されており、格納位置は部品取出し位置(トレイステーション68の上面)と略同一の高さに設定されている。各ストッカ62,64の各トレイ62a~62c、64a~64cは、ハウジング66内の格納位置からトレイステーション68の上面の部品取出し位置に移動可能となっている。すなわち、第1ストッカ62は、ハウジング66内を上下方向に昇降可能となっており、トレイ62a~62cのそれぞれを部品取出し位置に取出し可能となる位置と、トレイ62a~62cのそれぞれが部品取出し位置に取出し不能となる退避位置(図5に示すハウジングの上端の位置)との間を移動可能となっている。各トレイ62a~62cが格納位置となるように第1ストッカ62が上下方向に移動することで、各トレイ62a~62cをトレイステーション68の上面の部品取出し位置に移動させることができる。第2ストッカ64も、ハウジング66内を上下方向に昇降可能となっており、トレイ64a~64cのそれぞれを部品取出し位置に取出し可能となる位置と、トレイ64a~64cのそれぞれが部品取出し位置に取出し不能となる退避位置(図5に示すハウジング66の下端の位置)との間を移動可能となっている。各トレイ64a~64cが格納位置となるように第2ストッカ64が上下方向に移動することで、各トレイ64a~64cをトレイステーション68の上面の部品取出し位置に移動させることができる。
【0036】
なお、トレイステーション68の高さ方向の位置は、退避位置にある第1ストッカ62の位置と、退避位置にある第2ストッカ64の位置との中間に設定されている。これによって、後述する部品実装処理において、退避位置にある第1ストッカ62の3段目のトレイ62cを格納位置まで移動させる際や、退避位置にある第2ストッカ64の1段目のトレイ64aを格納位置まで移動させる際の各ストッカ62、64の移動量を少なくでき、例えば、第1ストッカ62の3段目のトレイ62cを格納してから、第2ストッカ64の1段目のトレイ64aを引き出すまでの時間の短縮が図られている。
【0037】
上述した部品供給ユニット60を用いた部品実装処理の具体例を図6に基づいて説明する。図6(a)に示すように、部品実装処理の開始時には第1ストッカ62及び第2ストッカ64はともに退避位置に位置しているものとする。まず、図6(b)に示すように、第1ストッカ62が下降し、第1ストッカ62の1段目のトレイ62aを格納位置に位置決めする。次に、第1ストッカ62の1段目のトレイ62aに収容された部品から昇順に、3段目のトレイ62cの部品までを基板に装着する(図6(b)→図6(c))。これにより、1枚目の基板への部品の実装が終了する。
【0038】
1枚目の基板への部品の実装が終了すると、次に、第1ストッカ62が退避位置に移動すると同時に、第2ストッカ64の1段目のトレイ64aを格納位置に移動させる(図6(d))。次いで、第2ストッカ64の1段目のトレイ64aに収容された部品から昇順に、3段目のトレイ64cの部品までを基板に装着する(図6(d)→図6(e))。これにより、2枚目の基板への部品の実装が終了する。
【0039】
2枚目の基板への部品の実装が終了すると、次に、第2ストッカ64の3段目のトレイ64cに収容された部品から降順に、1段目のトレイ64aの部品までを基板に装着する(図6(e)→図6(f))。これにより、3枚目の基板への部品の実装が終了する。
【0040】
3枚目の基板への部品の実装が終了すると、第2ストッカ64が退避位置に移動すると同時に、第1ストッカ62の3段目のトレイ62cを格納位置に移動させる(図6(g))。次に、第1ストッカ62の3段目のトレイ62cに収容された部品から降順に、1段目のトレイ62aの部品までを基板に装着する(図6(g)→図6(h))。これにより、4枚目の基板への部品の実装が終了する。以下、図6(b)から図6(h)までの実装処理を繰り返し実行する。このような例によっても、基板に最後に実装する部品と、その基板の次の基板に最初に実装する部品とが同一種類の部品となるため、生産する基板の切り替え時にトレイの入替えを無くすことができる。これによって、効率的に複数の基板を生産することができる。
【0041】
なお、上記の例では、第1ストッカ62の各トレイ62a~62cと第2ストッカ64の各トレイ64a~64cに、1段目から3段目まで同一の順序で部品が格納されていたが、このような例に限られない。例えば、第1ストッカ62では、1番目のトレイ62aに1番目に装着する種類の部品、2番目のトレイ62bに2番目に装着する種類の部品、3番目のトレイ62cに3番目に装着する種類の部品、をそれぞれ収容する一方で、第2ストッカ64では、1番目のトレイ62aに3番目に装着する種類の部品、2番目のトレイ64bに2番目に装着する種類の部品、3番目のトレイ64cに1番目に装着する種類の部品、をそれぞれ収容してもよい。この場合、例えば、図6の2枚目の基板を生産する場合(図(d)→図6(e))は、1段目のトレイ64aから3段目のトレイ64cに昇順に部品を装着するため、基板には3番目に装着される部品から1番目に装着される部品まで順に装着されることとなる。このような形態によっても、上記の例と同様の作用効果を奏することができる。
【0042】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0043】
2 基板
4、4A、4B、4C 部品
10 部品実装機
20 基板搬送ユニット
30 部品供給ユニット
40 部品実装ユニット
50 制御ユニット及び演算ユニットとして機能する制御装置
52 入力ユニットとしての送受信回路
P1 格納位置
P2 部品取出し位置
P3 部品装着位置
TR、TR1、TR2、TR3 トレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6