(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】サポート装置用の位置表示装置
(51)【国際特許分類】
F16L 3/20 20060101AFI20240823BHJP
G01B 5/00 20060101ALI20240823BHJP
F16L 3/205 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
F16L3/20 A
G01B5/00 A
F16L3/205
(21)【出願番号】P 2022578575
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2021053994
(87)【国際公開番号】W WO2021254666
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】102020116261.8
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514312549
【氏名又は名称】リゼガ エスエー
【氏名又は名称原語表記】LISEGA SE
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(72)【発明者】
【氏名】ラルマン,エルベ
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-211705(JP,A)
【文献】特表2009-509105(JP,A)
【文献】特表2010-513814(JP,A)
【文献】特開平02-011987(JP,A)
【文献】特開昭60-100008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/20
G01B 5/00
F16L 3/205
G01D 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サポート装置の固定部に対して移動可能な前記サポート装置の可動部の移動を表示するための位置表示装置(10)であって、
前記サポート装置は、スプリングハンガー装置、コンスタントハンガー装置、スナバー装置(5)、振動ダンパー装置、及び、間接接続型ストラット装置のうちのいずれかであり、
前記位置表示装置(10)は、
前記サポート装置に入力側を取り付けて、前記サポート装置の可動部(5a)の移動を伝達するための機械的な移動伝達器と、
前記サポート装置の可動部(5a)の移動を表示するための表示器(20)と、
を備え、
前記移動伝達器の出力側は、前記表示器(20)に接続され、
前記表示器(20)は、中空シリンダー(21)と、前記中空シリンダー内に移動可能に取り付けられ、前記移動伝達器に動的に接続されている運動要素(30)と、を有し、
前記中空シリンダー(21)は、縦方向スロット(22)と横方向ピン(40)を備え、前記横方向ピン(40)は、前記縦方向スロット(22)内において半径方向外向きに延びていて、前記運動要素(30)と一緒に移動して、少なくとも1つの極値インジケータを変位させるように設計されて、前記極値インジケータは、前記中空シリンダー(21)の半径方向外側に配置されることを特徴とする位置表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位置表示装置(10)において、
前記横方向ピン(40)は、前記運動要素(30)に締結されている、
ことを特徴とする位置表示装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の位置表示装置(10)において、
前記中空シリンダー(21)が、前
記縦方向スロット(22)の半径方向反対側に配置された
別の縦方向スロット(23)を有し、
前記横方向ピン(40)は、前記両方の縦方向スロット(22、23)を通って半径方向に延びている、ことを特徴とする位置表示装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の位置表示装置(10)において、
前記移動伝達器が、前記サポート装置の可動部に締結されるように設計されている、
ことを特徴とする位置表示装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の位置表示装置(10)において、
前記移動伝達器は、入力側でピックアップした並進移動を出力側の並進移動に伝達するように構成される、ことを特徴とする位置表示装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の位置表示装置(10)において、
前記移動伝達器は、引張力および圧縮力を伝達するように設計された機械要素として、前記引張力および前記圧縮力を伝達するボーデンケーブル(50)を備える、
ことを特徴とする位置表示装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の位置表示装置(10)において、
前記極値インジケータは、前記中空シリンダー(21)を取り囲んで前記中空シリンダー(21)の内側面を軸方向に変位するように配置された少なくとも1つの
第1リング要素(42a)を備える、ことを特徴とする位置表示装置。
【請求項8】
請求項7記載の位置表示装置(10)において、
前記極値インジケータは、前記中空シリンダー(21)を取り囲んで配置され、前記中空シリンダー(21)の軸方向に前記第1リング要素(42a)とは独立して変位する、少なくとも1つの第2リング要素(42b)を備える、
ことを特徴とする位置表示装置。
【請求項9】
請求項7または8記載の位置表示装置(10)において、
前記第1リング要素(42a)および/または第2リング要素(42b)は、前記運動要素(30)に面する端面に軸方向凹部(43a、43b)を有し、当該軸方向凹部(43a、43b)は、前記横方向ピン(40)の少なくとも一部分を軸方向に受ける、
ことを特徴とする位置表示装置。
【請求項10】
請求項9記載の位置表示装置(10)において、
前記第1リング要素(42a)の前記軸方向凹部(43a)の底部および/または前記第2リング要素(4
2b)の前記軸方向凹部(43b)の底部は、前記横方向ピン(40)の軸方向への停止面を提供する、ことを特徴とする位置表示装置。
【請求項11】
請求項7から10のいずれかに記載の位置表示装置(10)において、
前記第1リング要素(42a)および/または第2リング要素(42b)は、前記中空シリンダー(21)に対して当該リング要素を支持するために、当該リング要素の半径方向内側に配置されたすべり軸受要素(44a、44b、45a、45b)を備える、
ことを特徴とする位置表示装置。
【請求項12】
請求項11記載の位置表示装置(10)において、
前記第1リング要素(42a)および/または第2リング要素(42b)は、当該リング要素の半径方向内側に配置されたすべり軸受要素(44a、44b、45a、45b)を備え、
前記軸方向に離間した少なくとも2つのすべり軸受要素のうちの少なくとも1つは、汚れ除去ワイパー機能を有する、ことを特徴とする位置表示装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の位置表示装置(10)において、
前
記運動要素(30)を
内部に収容している前記中空シリンダー(21)と前記極値インジケータは、透明な保護管(48)内に配置されている、ことを特徴とする位置表示装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の位置表示装置(10)において、
前記運動要素(30)の前記移動伝達器に面する端面上には、前記移動伝達器と締結するための締結要素を取り付けるための円筒状の外面が形成され、
前記横方向ピン(40)は、前記移動伝達器とは反対側の端面に配置されている、
ことを特徴とする位置表示装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の位置表示装置(10)において、
前記中空シリンダー(21)の一方の端面は、前記位置表示装置(10)を構造要素に締結するためのサポート部と一体化していることを特徴とする位置表示装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかに記載の位置表示装置(10)において、
前記中空シリンダーの一方の端面に、貫通孔を備えたエンドプレートが配置され、
前記エンドプレートの端面は、前記中空シリンダーの空洞を閉じて、
前記移動伝達器は、設置位置において前記貫通孔を通って延在している、
ことを特徴とする位置表示装置。
【請求項17】
請求項1
3記載の位置表示装置(10)において、
前記中空シリンダー(21)の一方の端面は、前記位置表示装置(10)を構造要素に締結するためのサポート部と一体化していて、
前記中空シリンダー(21)の他方の端面に、貫通孔を備えたエンドプレートが配置され、前記エンドプレートの端面は、前記中空シリンダーの空洞を閉じて、前記移動伝達器は、設置位置において前記貫通孔を通って延在していて、
前記保護管は、前記サポート部の端面および前記エンドプレートに支持されて、前記サポート部の端面および前記エンドプレートと共に空洞を形成している、
ことを特徴とする位置表示装置。
【請求項18】
固定された支持位置に対して構造要素を動的にサポートするためのサポート装
置であって、請求項1から17のいずれかに記載の位置表示装置(10)を備える、
ことを特徴とするサポート装置。
【請求項19】
サポート装置の固定部に対する前記サポート装置の可動部の移動を表示する方法であって、請求項1から17のいずれかに記載の位置
表示装置を使用し、前記サポート装置は、スプリングハンガー装置、コンスタントハンガー装置、スナバー装置(5)、振動ダンパー装置、及び、間接接続型ストラット装置のうちのいずれかであることを特徴とする表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定部に対して移動可能なサポート装置の可動部の移動を表示するための位置表示装置に関し、及び、スプリングハンガー装置又はコンスタントハンガー装置、スナバー装置、振動ダンパー装置などのサポート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スプリングハンガー装置又はコンスタントハンガー装置は、パイプライン、タンク、およびシステムのその他の部分の重量の支持に使用され、振動ダンパー装置は、発生する振動の低減に使用される。スナバー装置は、地震、ウォーターハンマー、パイプ破裂、又は、配管内の圧力サージからシステムを保護するために使用される。しかし、保護すべきコンポーネントのゆっくりとした移動、特に熱による変位については妨げることができない。
【0003】
場合によっては、規格は、サポート装置の可動部の現在の位置を示す変位/位置インジケータを有するような従来のサポート装置を必要とする。サポート装置の用途または設置位置によっては、ユーザーが位置インジケータを読み取る可能性が制限される場合がある。例えば原子力、化学、その他の爆発性のある設置位置である。さらに、スナバー装置などのサポート装置を使用する場合、パイプライン等のサポートすべきコンポーネントの現在の移動のふるまいを表示するだけでなく、サポートすべきコンポーネントの基本的な移動パターンや移動のふるまいを表示することも要求される。上述の用途の多くで、従来の電子位置表示器は技術的に実現することが困難であるか、または、電子的監視または電子的位置表示に必要な技術的努力には、例えば原子力発電所では半導体に損傷を与える放射線があるため、および/または、他のプラントでは防爆の必要性があるため、コストがかかる。
公開実用昭57-14803号公報は、支持要素の固定部分に対する支持要素の一部の移動を表示するための支持装置用の位置表示装置に関する。この位置表示装置は、支持要素の固定部分に固定され、ピポット可能なポインターを有するポインターインジケータをもっている。ここで、支持要素の可動部分に配置されたドグは、ポインタと係合し、支持要素の2つの部分が互いに対して移動するとき、ポインタをその現在の位置から引きずるようになっている。
ペソラ社(登録商標)の製品データシート「スプリングバランス マクロライン8005」は、スプリングバランスに関するもので、中空円筒部分で、天秤の使用時に固定され、ハンドルが付いていて、円筒部分を受け取り、可動であり、機械的スプリングによって天秤の固定部分に取り付けられている。固定された中空円筒部分は、可動部分上で半径方向外向きに延びるポインターネジが通って配置される長手方向スロットを有し、このポインターネジは、円筒形スリーブのスロットを通って半径方向に延び、固定部分と可動部分が互いに対して相対的に変位した場合、重りが取り外された後でも、スプリングの可動部分に取り付けられた重りを恒久的に表示するために、円筒形のスリーブの外側に配置されたドラグポインターを伴っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、サポート装置の可動部の位置を示すための従来の位置表示装置の機能改良、および、位置表示装置のサイズダウンである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では請求項1の特徴を有する位置表示装置を用いる。すなわち、本発明に係る位置表示装置は、サポート装置に入力側を取り付けて、サポート装置の可動部の移動を伝達するための機械的な移動伝達器と、サポート装置の可動部の移動を表示するための表示器とを備え、ここで、移動伝達器の出力側は、表示器に接続され、表示器は、中空シリンダーと、中空シリンダー内に移動可能に取り付けられ、移動伝達器に動的に接続されている運動要素と、を有し、中空シリンダーは、縦方向スロットと横方向ピンを備え、横方向ピンは、縦方向スロット内において半径方向外向きに延びていて、運動要素と一緒に移動して、少なくとも1つの極値インジケータ又はその一部を、特に軸方向に変位させるように設計されて、前記極値インジケータは、中空シリンダーの半径方向外側に配置されている。
【0007】
本発明は、特に指定された重要な応用分野のために、スプリングハンガー装置若しくはコンスタントハンガー装置、スナバー装置、又は、振動ダンパーなどのサポート装置のための位置表示装置を提供するという基本的な考えに基づいており、位置表示装置は、本発明によれば、サポート装置の可動部の現在位置、すなわち瞬間位置の表示に加えて、サポート装置の可動部の過去の期間での移動によって想定された、または、現在想定されている、少なくとも1つの極値位置を表示するように設計されている。そのような極値表示は、例えば、可動部が外部励起の結果として移動を実行する場合の、サポート装置の振幅値表示を表すことができ、この場合の静止位置からの瞬間的な変動は伸びとして表される。好都合なことに、本発明による位置表示装置は、現在位置が過去の極値を超えたときに極値表示の指示値が変更されるように設計される。半径方向外向きに延びる横方向ピンは、一方では極値インジケータに対する駆動機能を有し、他方ではサポート装置の可動部の瞬間位置を表示するように設計されている。しかしながら、中空シリンダー内で動かされる運動要素が、サポート装置の可動部の瞬間位置を示すように設計されてもよい。実施形態に応じて、横方向ピンは、棒状、例えば特に円筒状、または、その長手方向に垂直な断面が矩形であってもよい。
【0008】
本発明による位置表示装置は、純粋に機械的な構成要素、特に電子的な構成要素なしで設計できるという事実は、この位置表示装置を、上述の重要な応用分野に特に適したものにする。すなわち、位置表示装置の移動伝達器を、その全長において、その応用分野に関連する方法で設計できる。例えば、上記の重要な応用領域の外側に、位置または移動の表示を提供することができる。特に、爆発の危険を回避するため、および/または、信頼性を高めるために、特に原子力施設内などで、電子部品の使用を避けることができる。
【0009】
本発明による位置表示装置のさらなる特徴およびさらなる展開は、以下の一般的な説明、図、図の説明、および従属請求項に記載されている。
【0010】
便宜上、横方向ピンが運動要素に固定され、特に運動要素に堅固に固定されるようにしてもよい。例えば、横方向ピンは、運動要素の移動方向に対して直角方向に、特に運動要素を貫通して延びるように取り付けることができる。
【0011】
中空シリンダーの半径方向外側に配置された極値表示器に対して、運動要素から可能な限りの対称的な力が作用するように、中空シリンダーが別の縦方向スロットを有することが好都合である。このさらなる縦方向スロットは、第1縦方向スロットの半径方向反対側に配置することができ、運動要素は、両方の縦方向スロットを通って半径方向外向きに延びるように半径方向延長部を有することができ、運動要素の両方の半径方向端部は、前記極値インジケータに当接することで、当該インジケータを、特に軸方向、すなわち、運動要素の移動方向に移動させるように設計することができる。これにより、本発明による位置表示装置の機構の傾きを回避することができる。
【0012】
移動伝達器を表示器に接続するために、移動伝達器はサポート装置の可動部に取り付けるように設計することができる。別の実施形態では、特に、表示器がサポート装置の可動部に取り付けられて、その可動部とともに移動するように設計することもできる。移動伝達器がサポート装置の固定部に取り付けられるように設計することもできる。
【0013】
簡単な構成の実施形態としては、移動伝達器が、入力側でピックアップした並進移動を出力側の並進移動に伝達するように構成されることが想定される。移動伝達器の入力側をサポート装置の可動部または固定部に取り付け、移動伝達器の出力側を表示器に取り付けることができる。実施形態に応じて、移動伝達器は、入力側でピックアップした並進移動を、出力側の並進移動において1対1で伝達するように設計してもよい。しかし、異なる伝達比、特に異なる変換/変更を提供するように移動伝達器を設計することも、本発明の範囲内である。例えば、1対2の変換では、入力側の並進移動を、2倍の値(距離)の並進移動に変換できる。入力側でピックアップした並進移動が、移動伝達器の出力側で回転移動に変換されるように、移動伝達器を設計することも可能である。
【0014】
特に、本発明による位置表示装置を介して、サポート装置の動きが表示され、その動きが前後の動きを示すような用途では、移動伝達器は、引張力と圧縮力を伝達するように設計された機械要素として、特に引張力と圧縮力を伝達するボーデンケーブルを備えることができる。好ましくは、そのようなボーデンケーブルは、引張力および圧縮力を伝達するワイヤーコア、特に金属製のワイヤーコアを備えているとよい。
【0015】
中空シリンダーに対して半径方向外側に配置され、中空シリンダーに対して軸方向に変位可能に支持された極値インジケータは、中空シリンダーを取り囲む第1リング要素を備え、中空シリンダーは、第1リング要素を貫通して延びるように設けられ、リング要素は、中空シリンダーに対して軸方向に変位可能に配置することができる。中空シリンダー内の軸方向位置に応じて、運動要素が、中空シリンダー上で軸方向に移動可能なリング要素を移動させるように、リング要素および運動要素を構成することができる。サポート装置の可動部の往復運動中に両方向のそれぞれの極値表示を可能にするために、極値インジケータが、中空シリンダーを取り囲む少なくとも第2リング要素を、特に第1リング要素と同様に有することが好ましく、第2リング要素は、第1のリング要素とは独立して中空シリンダーに対して軸方向に変位可能に構成されているとよい。
【0016】
少なくとも1つのリング要素に対して横方向ピンの少なくとも一部が軸方向に受け入れられるように、少なくとも1つのリング要素が、運動要素に面する端面上に、横方向ピンを受容するための軸方向凹部を有していることが好ましい。少なくとも軸方向の一部に、特に極値インジケータのゼロ位置を決定できるように、軸方向凹部が設けられているとよい。同様に、第1リング要素および第2リング要素の両方が、運動要素に面するそれぞれの端面に、横方向ピンを少なくとも軸方向の部分で受け入れるための軸方向凹部を有することが好ましい。これによって、本発明の位置表示装置の極値インジケータの一部として、第1リング要素および/または第2リング要素のゼロ位置または開始位置を設定するために、特に、リング要素を関連する端面上の所定の動作位置に配置するという方法、特に、互いに接触するように移動させるという方法で、動作位置を設定することができる。
【0017】
第1リング要素および/または第2リング要素を中空シリンダーに対して軸方向に駆動または前進させるために、第1リング要素および/または第2リング要素の軸方向凹部の底部に、横方向ピン用の軸方向停止面を形成することができる。運動要素に依存する位置にそれぞれのリング要素が移動して新しい極値を表示できるように、この軸方向停止面は、運動要素の横方向ピン用の接触面として形成されている。
【0018】
中空シリンダー上でそれぞれのリング要素を支持するために、特に、リング要素と外側面との間の摩擦を低く維持して中空シリンダー上のそれぞれのリング要素の容易な変位ができるように、第1リング要素および/または第2リング要素は、中空シリンダーのそれぞれの半径方向内側にすべり軸受要素を有することができる。好都合なことに、リング要素は、中空シリンダーを支持するためのシリンダージャケットの形態の接触面を提供することができる。しかし、リング要素と中空シリンダーの他の適合する関連面、特に、関連する角接触面を提供することは、本発明の範囲内である。中空シリンダーに対して軸方向に移動する際にそれぞれのリング要素が傾斜するのを避けるために、第1リング要素および/または第2リング要素がそれぞれの半径方向内側に少なくとも2つの軸方向に離間したすべり軸受要素を有することが好しい。軸方向に離間した少なくとも2つのすべり軸受要素のうちの少なくとも1つは、装置の全動作時間にわたってそれぞれのリング要素と中空シリンダーとの間の所定の低い摩擦係数を維持するために、汚れ除去ワイパー機能を有することができる。
【0019】
中空シリンダーまたは極値インジケータに対して半径方向外側に配置された少なくとも1つのリング要素を、外部の影響例えば汚れから保護してそれらの機能を維持するために、内部に収納した運動要素を有する中空シリンダーと極値インジケータとは、透明シリンダー内に配置されている。この点で、保護管として機能するこの透明シリンダーは、前記コンポーネントの半径方向外側に配置され、それらを収容している。例えば、保護管は、透明なプラスチックまたはガラス材料で作ることができる。
【0020】
原則として、運動要素の外側面は、中空シリンダー内での運動要素の容易な移動性を保証するために、特に隙間嵌めの方法で、中空シリンダーの内側面に幾何学的に適合させて最適化することができる。好都合なことに、運動要素は円筒状の外側面を有するように設計することができ、移動伝達器に面する運動要素の端面上に当該運動要素を移動伝達器に締結するための締結要素を設けることができ、また、移動伝達器とは反対側の運動要素の端面に、横方向ピンを配置することができる。例えば、締結要素は、移動伝達器として例えばボーデンケーブルを、運動要素の端部に締結するために、横方向または半径方向に延びるクランプネジとして設計することができる。本発明によれば、移動伝達器を運動要素に締結するために、他の締結方法、例えば溶接、はんだ付け又は接着を使用することもできる。中空シリンダー、リング要素、および/または透明シリンダーは、すべての実施形態において円形断面を有する必要はなく、代わりに、本発明の範囲内で矩形断面または湾曲形状の断面を有するようにしてもよい。
【0021】
エンドプレートを用いて、一方または両方の端面で中空シリンダーおよび/または保護管を終端するように設けることができる。中空シリンダーは、本発明による位置表示装置を構造要素に締結するために、中空シリンダーの端面の1つにあるサポート部と一体化するように設計されてもよい。例えば、このサポート部は、ネジピンまたはネジ付きピン部材とすることができ、それを介して位置表示装置をナットを用いて構造部品に締結することができる。
【0022】
運動要素に取り付けるために中空シリンダーの内部に移動伝達器を導入するために、中空シリンダーの一方の端面に、中空シリンダーの中空をその端面で閉鎖する貫通孔付きエンドプレートを配置することが好しい。設置位置では、移動伝達器としての特にボーデンケーブルがトラフホールを通って延びている。
【0023】
好都合なことに、透明シリンダーおよび保護管はそれぞれ、特にすでに説明した1つまたは複数のエンドプレートまたはサポート部によって、端面で閉鎖され、その結果、内部に実質的に閉鎖された空洞が形成されるようにすることができる。その空洞には、中空シリンダー、中空シリンダーの内側に軸方向に移動可能な運動要素、および中空シリンダーの外側に半径方向に配置されて軸方向に移動可能な極値インジケータ、特に第1リング要素および/または第1リング要素を配置することができる。
【0024】
本発明による位置表示装置の開放プロセスの実行を表示するために、中空シリンダーおよび/または透明シリンダーの端面に安全要素を配置することが好ましい。この安全要素は、例えば、2つの取付孔を備えた安全リングであり、その両方の取付孔に密封ワイヤが通されている。このようにして密封ワイヤが、本発明による位置表示装置におけるいかなる無許可な開放を可視化することができる。
【0025】
ゼロ位置表示を提供するために、対応するインジケータを取り付けることができ、例えば、ステッカーとして、保護管または透明シリンダーに、特に透明シリンダーの外側面に取り付けることができる。
【0026】
本発明は、添付の図面を参照して変形と共に一実施形態を説明することによって以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】離間配置されたスナバー装置と共に使用される本発明に係る位置表示装置を示す図である。
【
図3】
図1に示す位置表示装置を、
図2に示す図を90°回転させた縦断面図で示す図である。
【
図4】
図3の断面図において保護管を取り除いて、接触状態になるように移動されてゼロ位置を表示しているリング要素を示す図である。
【
図5】
図1に示す位置表示装置付きのスナバー装置の別の実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、この場合スナバー装置5として設計されたサポート装置の可動部の移動を表示するように設計された本発明に係る位置表示装置10を示す。このようなスナバー装置5は、例えばプラントシステムで使用され、故障の際に、固定されるべき構造部分、例えばパイプラインと周囲の構造物との間に、ほぼ堅固な接続を即座に確立するとともに、衝撃のような運動エネルギーを吸収してパイプラインに損傷を与えることなく散逸させるために使用される。ただし、スナバー装置は、特に温度による変位を防止できない。このため、スナバー装置の特別な動作モードにより、システムの通常の動作中の熱変位に大きな抵抗がないように設計されている。例えば、油圧ピストン内に軸方向に配置された主制御弁によってその機能が制御される油圧サージブレーキが知られている。熱変位などによりピストンがゆっくりと動くと、バルブはばね力によって開いたままになり、作動油はあるシリンダーチャンバーから別のシリンダーチャンバーに妨げられずに流れることができる。ピストンが制限速度を超えて高速で移動すると、たとえば、地震によってスナバー装置の可動部が衝撃のように動くと、弁体で発生する背圧によってバルブが閉じ、油圧の流れが 中断され、動きが停止する。このタイプの液圧作用スナバー装置(緩衝器)は、例えば、公開された欧州特許出願公開第0342405号明細書に記載されている。
【0029】
図1に示されるスナバー装置5において、符号5aで示される部分は、固定部5aに対して縦軸(長尺方向の軸)に対して変位可能に配置され、パイプラインを固定するための例示的な用途において、2つの部分のうちの1つは、パイプラインに接続され、他の部分は、それぞれの締結用取手を介して支持構造に接続される。
図1のスナバー装置5の動作において、記載された実施形態では、可動部5aの外側スリーブは、この場合、固定された円筒部分5bと同軸に移動する。
【0030】
互いに移動可能なスナバー装置5の2つの部分5a、5bの相対位置を表示するために、本発明に従って設計された位置表示装置10が設けられ、この位置表示装置10は、ワイヤーコアを有するボーデンケーブル50を介して、スナバー装置5の可動部5aへのクランプ接続によって、スナバー装置5の可動部5aに動的に接続される表示器20を有する。この目的のために、記載された実施形態では、例えばホースクランプ51a等の締結要素が、可動部5aのスリーブの周りに非積極的に取り付けられ、クランプ要素52が締結要素上に配置され、ボーデンケーブル50のコアがクランプ要素にクランプされるので、ボーデンケーブルは可動部5aに動的に接続されている。本実施形態では、ボーデンケーブル50のシースは、スナバー装置5の固定部5bに取り付けられたガイド要素53に案内されて移動する。この目的のために、今度は、ホースクランプ51bが、スナバー装置5の固定部5bの円筒状外側ジャケットの周りに非積極的に取り付けられている。スナバー装置の固定部5bに対して可動部5aが相対移動する場合、クランプ要素52とガイド要素53との間のボーデンケーブルの長手方向の伸びが変化し、この伸びの変化が、移動伝達器すなわちボーデンケーブルと表示器20上の運動要素との間の動的接続によって表示される。
【0031】
この目的のために、ボーデンケーブル50に連結された表示器は、本発明に従って設計することができ、これについては、
図2から
図4の図を参照して以下に説明する。
図2は、ボーデンケーブル50が連結された
図1の表示器20を縦断面図で示す。この実施形態では、表示装置20は中空円筒21を備え、この中空円筒21は、内側側面および外側側面の両方で円形または円筒形である。中空シリンダーは、本質的に、表示装置20の長手方向の範囲全体にわたって延在する。中空シリンダー21の内部には円筒状の運動要素30が配置され、運動要素30の外径は中空シリンダー21の内径に適合していて、運動要素30は例えば隙間嵌めの範囲内で中空シリンダー内を軸方向に変位可能であるように配置されている。運動要素30は、ボーデンケーブル50に面する縦方向部分30aを有し、縦方向部分30aは、中空シリンダー21の内部に延在するボーデンケーブル50のコアを、例えば、図には示されていない半径方向に延在するグラブネジによってクランプすることができる。
【0032】
この実施形態では、先に述べた縦方向部分30aとは反対側にある運動要素30の縦方向部分30b上で、運動要素30は、横方向ピン40を備え、横方向ピン40は、運動要素30を貫通する半径方向通路を通って両方向に延在し、ボーデンケーブル50のコアによって伝達される移動の中、運動要素30によって運ばれる。
【0033】
本実施形態では、中空シリンダー21は、ボーデンケーブル50が通過するための孔25を有するエンドプレート24によって、ボーデンケーブルに面する端面で閉じられているが、中空シリンダー21の反対側の端面に、さらなるエンドプレートを有する。このエンドプレートは、中空シリンダーとは別に製造されるか、または、前述の実施形態のように、中空シリンダー21と一体的に形成されるエンドプレート26である。例えば、
図2から分かるように、本実施形態では、この一体型エンドプレート26は、締結ナット28と、関連する締結要素またはフランジ要素29とによって、表示器を締結するために使用されるネジピン27とも一体化されている。
【0034】
さらに、例えば
図2から分かるように、表示器20は、2つのリング要素42a、42bをさらに含み、これらは、運動要素30の長手方向の両側に配置され、中空シリンダー21の外側面上で変位可能である。リング要素42a、42bは、以下に説明する方法で、表示器20内部の極値インジケータとして配置されている。
【0035】
運動要素30と2つのリング要素42a、42bとの相互作用のために、リング要素42a、42bのそれぞれの設置位置において運動要素に面する端面に、停止面46a、46bが形成されている。本実施形態では、停止面46a、46bは、軸方向凹部43a、43bの底面である。運動要素30の変動に応じて、これらの停止面46a、46bは、運動要素30の関連する停止面または軸方向面41a、41bと協働して、位置の極値を表示するリング要素42a、42bを変位させる。軸方向凹部43a、43bの軸方向延長部は、2つのリング要素42a、42bが相互に面する端面が接触するまで互いに接近するとき、横方向ピン40が接触するように、横方向ピン40の軸方向延長部と適合する。横方向ピン40は、2つの凹部43a、43bの中に完全に収容されて、上記の動作状態で空洞を形成する。これについては、以下で再度論じる。
【0036】
本発明による位置表示装置10の表示器20全体を埃などの外的影響から保護するために、さらに、操作の試みから保護するために、本発明による位置表示装置に次の配置をすることができる。つまり、透明な中空シリンダーまたは保護シリンダー、ここではガラスシリンダー48であり、その中に運動要素が配置され、そこから半径方向に突出する横方向ピンがあり、中空シリンダーに対して半径方向外側に配置されたリング要素42aおよび42bを透明シリンダーの半径方向内側に収容している。そして、リング要素42aおよび42bは、透明シリンダーに対して変位可能になっている。この場合、エンドプレート24、26は、ボーデンケーブル50によって移動可能であるように配置された上述のインジケータ要素が移動可能に配置される実質的に閉鎖された空洞が存在するように、ガラスシリンダー48への接触面を提供している。ボーデンケーブル50によって、直接(運動要素)または前記運動要素(リング要素)を介して間接的に行うこともできる。
【0037】
図3は、
図2に示した表示器20を、棒状の横方向ピン40が図の平面に対して垂直方向に延びるように、中空シリンダー21の軸に対して90°回転させたものを示す。
図3は、隠された縦方向スロット22(
図2参照)の半径方向反対側に配置された縦方向スロット23の完全な図を提供する。本実施形態では、横方向ピンは断面が円形であるが、別の形状、特に矩形形状でもよい。
【0038】
表示器20を固定するために、説明した実施形態では、スナップリング49を配置し、エンドプレート24に形成された半径方向の溝に挿入して、スナップリングがガラスシリンダー48の軸方向への引き抜きを阻止するようにすることができる。例えば、図示しないロッキングリングの取付孔にロッキングワイヤを通し、シールすることにより、表示器の操作を防止することができる。
【0039】
中空シリンダーの外側面上でのリング要素42a、42bの傾きを防止するために、環状すべり軸受要素44a、45aおよび44b、45bをそれぞれ設けることができ、これらは互いに軸方向に離間して形成され、これらは中空シリンダーの外側面と接触することができる。この場合、2つのすべり軸受要素45a、45bのうちの少なくとも1つは、中空シリンダー21の外側面上の可能な堆積物を拭き取るかまたは回避するために、汚れ除去ワイパーとして設計することができる。
【0040】
図4は、サポート装置の可動部、この場合はスナバー装置5の位置が休止位置にあると仮定して、本発明による位置表示装置が設定またはゼロに設定される状況を示す。この場合、スナップリング49を取り外し、保護管48を引き抜くことによって、スナバー装置の可動部5aにボーデンケーブルを適切に取り付けることができ(
図1参照)、また、運動要素30または横方向ピン40が、スナバー装置の現在の位置に対応する表示器20の位置になるように、ボーデンケーブルを運動要素に固定することができる。
図2を参照すると、2つのリング要素42a、42bは、端面で互いに接触するまで運動要素30に向かって動かされ、それによって横方向ピン40は軸方向凹部43a、43bによって完全に収容される。したがって、
図4に示される、運動要素の動きの極値を示す運動要素30とリング要素42a、42bの相互位置は、サポート装置、この場合はスナバー装置が取り付けられている初期位置またはゼロ位置を表示することになる。その後、保護管48を再び取り付け、スナップリング49をクランプすることによって保護管48を固定することができる。このゼロ位置をマークするために、例えば接着によって透明な保護管48に適切なマークを付けることができる。同様に、瞬時位置および/または極値位置を読み取るために、目盛りを保護管に取り付けることができる。本実施形態の調整を実行した後、本発明による位置表示装置は使用できる状態になる。
【0041】
図5は、
図1の実施形態とは対照的に、位置表示装置が、同一構造のスナバー装置5から離れて配置されるのではなく、スナバー装置5上に直接配置される別の使用例を示す。ここで、位置表示装置の表示器20の位置表示のために、位置表示装置は、スナバー装置5の可動部または固定部のいずれかに締結され、また、ボーデンケーブルのコアの端側は、スナバー装置5のそれぞれ他方の部分にクランプされる。
【符号の説明】
【0042】
10 位置表示装置
5 スナバー装置
5a 可動部
5b 固定部
20 表示器
21 中空シリンダー
22 縦方向スロット
23 縦方向スロット
24 エンドプレート
25 孔
26 エンドプレート
27 ネジピン
28 締結ナット
29 フランジ要素、締結要素
30 運動要素
30a 縦方向部分
30b 縦方向部分
31 クランプ孔
40 横方向ピン40
41a,41b 停止面
42a,42b リング要素
43a,43b 軸方向凹部
44a,44b 環状すべり軸受要素
45a,45b 環状すべり軸受要素
46a,46b 下方停止面
48 ガラスシリンダー、保護管
49 スナップリング
50 ボーデンケーブル
51a,51b ホースクランプ
52 クランプ要素
53 ガイド要素