(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】ばね付きてんぷの軸を案内するための機器
(51)【国際特許分類】
G04B 31/00 20060101AFI20240823BHJP
G04B 17/06 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
G04B31/00 Z
G04B17/06 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023033406
(22)【出願日】2023-03-06
【審査請求日】2023-03-06
(32)【優先日】2022-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ティエリ・コニュ
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル・クルヴォワジエ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-リュック・エルフェ
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァン・ユオー-マルシャン
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-200303(JP,A)
【文献】特開2018-185293(JP,A)
【文献】国際公開第2021/121707(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 31/00 - 31/08
G04B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ばね付きてんぷの回転軸(6)を案内するための機器(1)であって、少なくとも前記回転軸(6)と、端部、または前記ばね付きてんぷの前記回転軸(6)の端部に締結された枢軸(6’)を案内するための少なくとも1つの案内軸受(2)とを備え、前記案内軸受は、少なくとも1つのブレード(3)と、前記端部、または前記ばね付きてんぷの前記回転軸(6)の前記枢軸(6’)と接触するようになって保持するための少なくとも1つの支持部(5)とを備える機器(1)において、前記回転軸(6)の少なくとも一方の端部部分もしくは前記枢軸(6’)の少なくとも一方の端部部分、または前記案内軸受(2)の接触部(3、5)は、ヤング率が100GPa以下の、および/または前記接触する部分の間の材料の摩擦係数もしくは前記接触する部分の間のコーティングの摩擦係数が少なくとも0.15以下の材料から作られ、
前記支持部(5)は
支持表面(5)であり、
前記支持表面(5)は、V字形であり、前記支持表面(5)の二等分平面上で前記回転軸(6)の回転の軸を中心合わせするように設けられることを特徴とする機器(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの前記ブレード(3)または前記支持部(5)は、前記回転軸(6)または前記枢軸(6’)との単一接点だけを有するように形成された、前記回転軸(6)または前記枢軸(6’)と接触する接触部分を備えることを特徴とする、請求項1に記載の機器(1)。
【請求項3】
各前記ブレード(3)は、摩擦を低減するために単一接点だけを有するように形成された、前記回転軸(6)または前記枢軸(6’)と接触する接触部分を備えることを特徴とする、請求項1に記載の機器(1)。
【請求項4】
前記回転軸(6)の接触部、前記ブレード(3)、および前記支持部(5)は同じセラミック、ガラス、または充填ポリマーもしくは非充填ポリマーの材料から作られることを特徴とする、請求項1に記載の機器(1)。
【請求項5】
前記回転軸(6)の前記接触部、前記ブレード(3)、および前記案内軸受(2)の前記支持部(5)は2つの異なるセラミック、ガラス、または充填ポリマーもしくは非充填ポリマーの材料から作られることを特徴とする、請求項1に記載の機器(1)。
【請求項6】
前記案内軸受(2)の要素は一体で作られることを特徴とする、請求項4に記載の機器(1)。
【請求項7】
前記接触する部分の間の前記材料の摩擦係数または前記接触する部分の間の前記コーティングの摩擦係数は、少なくとも0.1以下または少なくとも0.05以下である、または前記回転軸(6)の少なくとも端部部分もしくは前記枢軸(6’)の少なくとも端部部分、または前記案内軸受(2)の少なくとも前記接触部(3、5)は、100GPa以下のヤング率を有する材料から作られることを特徴とする、請求項1に記載の機器(1)。
【請求項8】
請求項1に記載される機器(1)を装備する計時器のムーブメントまたは腕時計。
【請求項9】
請求項1に記載される機器(1)を装備するムーブメントを具備する計時器または腕時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計時器のばね付きてんぷの回転軸を案内するための機器に関する。
【0002】
本発明はさらに、ばね付きてんぷの回転軸を案内するためのそのような機器をそれぞれ備える時計のムーブメントおよび計時器に関する。
【背景技術】
【0003】
機械的振動子を構成するばね付きてんぷを使用することは、時計の分野で公知であり、機械的振動子の振動周波数は、香箱に接続された前方輪列により電気的または機械的に調節できる。軸の一方の端部にある枢軸は一般に、一定程度のあそびを伴うことを除き円形案内開口部を通過することにより案内できる。これらの条件下で、位置決めはかなり不正確であり、高レベルの摩擦が観察され、この摩擦はウオッチの位置に依存し、前記枢軸に摩耗を急速に引き起こす可能性があり、ウオッチのクロノメータの精度に影響を与える可能性があり、これは欠点となっている。
【0004】
スイス国特許発明第239786号明細書は、ばね付きてんぷの回転軸の一方の端部で枢軸を案内するための機器を開示している。機器は、オリーブストーン(olive stone)、およびてんぷの軸に対して傾いた停止具を用いて配列される。軸は、あそびなしに案内される。その結果、摩擦はウオッチの位置と無関係である。その結果、ウオッチの水平位置では、オリーブストーンに接触する枢軸の円筒状部分に追加摩擦が生じ、これは垂直位置で受ける摩擦に類似する。しかしながら、振幅はすべての位置で、小さくなり、これは精度制御の観点から欠点になる。
【0005】
セラミック材料から作られたばね付きてんぷの回転軸の製造はまた、欧州特許出願公開第3258325(B1)号明細書、および案内部材で回転軸の両端部であまりにも急速な摩耗を防止することを目的とするスイス国特許発明第269552号明細書により公知である。
【0006】
欧州特許出願公開第3382472(A1)号明細書は、計時器のばね付きてんぷの回転軸の枢動用案内軸受を開示している。案内軸受は、回転軸の端部のどちらの側にも設置できる。一実施形態では、案内軸受は、等間隔に配置された3つのらせん形湾曲ブレードから構成でき、これらのブレードの各ブレードの第1の端部は、回転軸と同軸のリングに締結されるのに対して、各ブレードの第2の端部は、てんぷの回転軸の一方の端部と接触するようになって回転軸を半径方向に保持する。案内軸受は金属材料から作られる。金属材料から作られた案内軸受は軸と、または軸上の枢軸と接触するときに力を十分に低減するわけではない。これらの条件下では、摩擦がもはやウオッチの配向に実際に依存しない場合でさえ、主に枢軸の端部や回転軸の端部との摩擦に起因するあまりにも大きいエネルギ損失が発生し、欠点となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】スイス国特許発明第239786号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3258325(B1)号明細書
【文献】スイス国特許発明第269552号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3382472(A1)号明細書
【文献】スイス国特許出願公開第716957(A2)号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3396470(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、重力に起因する軸のあそびが制限され、軸受加重を受けた結果発生する摩擦力を低減するように選択された材料および幾何形状を案内部材の接触部が有する、ばね付きてんぷの回転軸を案内するための機器を設置することにより、従来技術の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明は、独立請求項1で規定される特徴を備える、ばね付きてんぷの回転軸を案内するための機器に関する。
【0010】
さらにまた、ばね付きてんぷの回転軸を案内するための機器の特有の実施形態について従属請求項2~13に記述する。
【0011】
有利には軸の、または軸に締結された枢軸の、および軸用案内軸受の、少なくとも接触する部分は、
-摩擦力を低減するように100GPa以下のヤング率を有する材料から作られる、および/または
-0.15未満、または0.1未満、またはさらには0.05未満の、接触する部分の間の摩擦係数を有する材料を用いて作られる、またはコーティングされる。
【0012】
好ましくは、材料は、詳細にはばね付きてんぷの回転軸の一方の端部または回転軸の端部枢軸の一方の端部と接触する機器の案内軸受を案内および保持するための1つまたは複数のブレードを製造するために、セラミックもしくはガラス、またはさらに充填ポリマーもしくは非充填ポリマーとすることができる。選択された材料に加えて、規定された許容差範囲内の機械加工精度を依然として得られなければならない。また、1つまたは複数のブレードの幾何形状は、軸の端部または軸上の枢軸の端部と接触する領域を最小となるように適合できる。
【0013】
本発明はさらに、請求項14に規定されるような機器を備える時計のムーブメントに関する。
【0014】
本発明はさらに、請求項15に規定されるようなそのような機器を備える計時器に関する。
【0015】
ばね付きてんぷの回転軸を案内するための機器の目的、利点、および特徴は、詳細には図面を参照して以下の記述でより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1a】ばね付きてんぷの回転軸を案内するための機器を伴うばね付きてんぷの上方からの3次元図を示す。
【
図1b】本発明による、回転軸を案内するための機器を伴うばね付きてんぷの垂直側面図を示す。
【
図2】本発明による、回転軸を案内するための機器の案内軸受の第1の実施形態の簡略化した上面図を示す。
【
図3】本発明による、回転軸を案内するための機器の案内軸受の第2の実施形態の簡略化した上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の記述では、ばね付きてんぷの回転軸を案内するための機器のすべての構成要素または要素は一般に公知である。したがって、これらの要素または構成要素については、簡潔に記述する。最初に、ばね付きてんぷの回転軸を案内するための機器は、この軸の案内要素、および重力の影響を回避するための手段と共に全体の一部を形成する前記軸をさらに備えることに留意されたい。少なくとも1つの案内軸受と、ばね付きてんぷの回転軸を案内するための機器を画定するばね付きてんぷの回転軸とを備える組立体についてさらにまた言及できることは言うまでもない。
【0018】
ばね付きてんぷの回転軸を案内するための機器についての以下の記述では、たとえばばね付きてんぷの軸を位置決めするための可撓性ブレードなどの接触部から構成できる案内軸受を設置できる。これにより、詳細にはムーブメントが水平位置にあるときにばね付きてんぷの寄生的な動きが制限される。一般に、発生した動きは、クロノメータの誤差の原因になる。可撓性ブレードを伴う一実施形態では、これらのブレードは、ばね付きてんぷの回転の軸を中心に合わせる効果を及ぼす。
【0019】
時計のムーブメントの水平位置と垂直位置の間の摩擦力もまた、本発明に従って均衡させることができる。摩擦損失は、一般に振幅低減の原因になり、その結果、ばね付きてんぷシステムの固有の非等時性(anisochronism)に起因してクロノメータ速度の差の原因になる。水平位置または垂直位置と無関係に等しい損失が観察される場合、ムーブメントの空間位置と無関係にムーブメントに関して良好な精度が得られる。
【0020】
本発明によれば、一般に潤滑材が使用できない、いわゆる開放システムを使用する従来技術で記述される枢軸システムとは対照的に、閉空間内の枢軸システムもまた考案することができ、潤滑剤を使用できるようになる。潤滑剤を追加することにより、摩擦損失が最小限に抑えられ、結果として構成要素を組み立てるときにより取り扱い易い、より硬度な案内軸受ブレードを組み入れできるようになるという利点がある。
【0021】
本発明に従って本明細書で以下に記述するように、ポリマー材料から作られた構成要素を使用することは有利である。これらの構成要素は、たとえば案内軸受内で可撓性ブレードまたは弾性ブレードのために、またはさらにそのような案内軸受の接触部をコーティングするために製造される。考えられる限りでは、可撓性ブレードもしくは弾性ブレードまたは接触部の代わりに、適切な挿入物との摩擦に、よりよく適合した材料から作られた摩擦表面を有するエラストマーもまた使用できる。
【0022】
図1aおよび
図1bは、ばね付きてんぷを示し、前記ばね付きてんぷの回転軸6組立体を案内するための機器1を伴う。ばね付きてんぷは、たとえば3つのアーム15により回転軸6に接続されたリム12、および第1の端部がてんぷのコックのスタッド(図示せず)に接続されたひげぜんまい13により形成される。ひげぜんまい13の第2の端部は、ひげ玉を介して直接に、または間接的にばね付きてんぷの回転軸6に締結される。
【0023】
ばね付きてんぷの回転軸6を案内するための機器1は、前記回転軸6と、好ましくは回転軸6の一方の端部に配置された少なくとも1つの案内軸受2とを備える。詳細には、中心軸ACに沿って回転軸6を中心合わせするために、回転軸の2つの端部に配置された、回転軸用の2つの案内軸受2の配置を考慮できることは言うまでもない。
【0024】
案内軸受2は有利には、たとえば文字板側で回転軸6の上端部に搭載できる。しかしながら、回転軸6の各端部にそれぞれ搭載された2つの案内軸受2の設置を考慮できる。
図2および
図3を参照して本明細書で以下により詳細に記述する各案内軸受2は、ばね付きてんぷに接続された回転軸が、調節部材(図示せず)の中または上に固定して搭載された案内軸受2に対して、交替する回転運動を正常動作で常に受けているので、回転軸の端部または回転軸の端部枢軸の端部と接触するようになって保持するための接触部を備える。
【0025】
案内軸受2の接触する部分および回転軸6の接触する部分、または回転軸の端部枢軸と接触する部分の少なくともすべては、有利には100GPa以下の弾性率(ヤング率)および/またはできるだけ低い、たとえば少なくとも0.15以下の摩擦係数を有する材料から作られる。好ましくは、材料はセラミック、ガラス、または充填ポリマーもしくは非充填ポリマーから選択でき、これらの材料のリストを、発明を実施するための形態の後半部分に、より詳細に示す。
【0026】
図2は、ばね付きてんぷに接続された回転軸6を案内するための案内軸受2の第1の実施形態を示す。案内軸受2の全体形状は、はめ込み台または取付板(図示せず)内の開口部の内側に収容および締結されるように周囲が全体的に円筒状である。回転軸6の案内および保持が行われる、案内軸受2の中央部では、回転軸6の端部4の一方で、回転軸6と接触するために、または枢軸とすることができる、回転軸に追加された部分の上で接触するために、少なくとも1つの案内ブレード3が設置される。
【0027】
本発明によれば、この第1の実施形態では、少なくとも1つの案内軸受2は、中心軸ACの第1の側に、回転軸6または回転軸に搭載された枢軸と単一接点または接触線を作るように適合された任意の幾何学的形状の支持表面5である支持部5を含む。支持表面はまた、V字形または軸受などとすることができ、支持表面5の二等分平面上で回転軸6の回転の軸を中心合わせするように配列される。この支持表面5は対称である。同じ案内軸受2は、第1の側の反対側にある、回転の軸の第2の側に、支持表面5の、実質的に直径の反対側に配置された案内ブレード3の自由端に少なくとも1つの保持要素4を含む。自身の二等分平面に対して対称な支持表面5は、2つの基本支持表面、この場合V字形表面を含むことが理解される。
【0028】
本発明によれば、接触表面40との接触を保持するための保持要素3、4はすべて、中心軸ACに向けられた結果として得られる弾性戻し力を回転軸6に加えて、この案内軸受2内の回転の軸の方向に軸方向に挿入された回転軸6がこの案内軸受2から半径方向に出るのを防止するように配列される。
【0029】
しかしながら、V字形表面5に接して回転軸を保持する接触表面40を伴う単一ブレード3は、計時器の配向に応じて、ばね付きてんぷが重すぎて、設置された唯一のブレードにより保持できないことを理由に、製造するのが困難であることを留意されたい。
【0030】
図2および
図3では、ブレード3は、その自由端まで、接触線上で回転軸6の、または枢軸6’の端部と接触する平面である接触表面40を有するように長方形の横断面を有する。あるいは、ブレード3の少なくとも自由端は、回転軸6の端部または回転軸6に搭載された枢軸の端部と接触するときに摩擦を低減するために、平面である接触表面40上に1つの接点だけを有するようにレンズ状横断面幾何形状を有する。
【0031】
回転軸6または枢軸と接点または接触線の形を取る1つまたは複数の支持部5との間の接触を考え出すことができることに留意されたい。接点の場合、各支持部5は、たとえばドーム形構造またはボール部分の形で作ることができる。しかしながら、そのような接点を得るために多くの他の構造を考案することができる。接触線に沿った接触については、この構造はまた円筒状部分、または回転軸の回転の軸もしくは任意の他の構造の回転の軸に並行な軸に沿って配置された支持部の構造とすることができる。このように、接点または接触線の組合せを考案することが可能となる。更に、任意の幾何学的形状を提案して、回転軸または回転軸に搭載された枢軸との接点または接触線を作ることができる。
【0032】
この第1の実施形態に関するこれ以上の情報について、スイス国特許出願公開第716957(A2)号明細書を、詳細には時間インジケータ軸用案内軸受について記述している段落[0021]から段落[0027]までを参照できる。
【0033】
図3は、ばね付きてんぷの回転軸6を案内するための機器1の案内軸受2の第2の実施形態を示す。この案内軸受2は、少なくとも1つの接触ブレード3と、好ましくは2つの他の接触ブレード3である2つの支持部5とを備えることができる。その結果、案内軸受2は、周辺リングと、回転軸6に向けて動いて回転軸6と接触するようになって中心軸ACに沿って回転軸6を保持および案内するためにコイルの形を取る3つのブレード3とからなる。各ブレード3の自由端4は、回転軸6と直接に接触するようになって中心軸ACに沿って回転軸を保持し、中心を合わせることで、案内する。3つのブレード3は、コイルと異なる形状とすることができ、長方形ではない横断面を有することができる。たとえば、各ブレードは、直線構成であり、角をなして配置され、各々が一様に回転軸に接触するために互いに等間隔に120°の間隔を置いて配置されることができる。4つ以上のブレードが回転軸と接触することもまた考え出すことができる。
【0034】
この第2の実施形態の案内軸受2は一体のセラミック、ガラス、または充填ポリマーもしくは非充填ポリマーの材料から、詳細には、100GPa以下の弾性率限界以下で、および/または最低の可能な摩擦係数、たとえば0.15以下である。その上、案内軸受2の部分と接触する回転軸6の部分は、弾性率しきい値により規定される、または最低の可能な摩擦係数、たとえば少なくとも0.15以下を有する条件を満たす同じまたは異なる材料またはコーティングから作られる。
【0035】
この第2の実施形態に関するこれ以上の情報について、欧州特許出願公開第3396470(A1)号明細書の段落[0018]から段落[0022]を参照できる。
【0036】
案内軸受および/または回転軸のために使用するセラミックのタイプは酸化物系セラミック、主としてアルミナおよびジルコニア、またはシリカとすることができる。
【0037】
酸化ジルコニウム(ZrO2)は、イットリア安定化ジルコニア(ZrO2+Y2O3)の形で使用でき、イットリア安定化ジルコニアは、準安定正方結晶構造を有し、結晶流サイズが0.50μm未満であり、密度が6.00g/cm3よりも高く、硬度が約1,200HVである。ジルコニアはまた、所望の最終材料の性質に応じて酸化セリウム(ZrO2+CeO2)または酸化マグネシウム(ZrO2+MgO)を用いて安定化できる。
【0038】
ジルコニアアルミナに関しては、合成物は、一般に80%の3Y-TZP/20%のAl2O3(ATZ)または90%のAl2O3/10%の3Y-TZP(ZTA)であり、高純度のジルコニアおよびアルミナの性質を組み合わせて、各材料の最もよい点を提供する最終的な性質を獲得する。
【0039】
さらにまた、硬い材料を使用することにより、接触する材料の接触摩擦力を下げる、または低減することができるようになることに留意されたく、これについてはまた、追求できる。
【0040】
今ここに示した記述に基づき、当業者は、特許請求の範囲により規定される本発明の範囲を逸脱することなく、ばね付きてんぷの回転軸を案内するための機器の多数の代替実施形態を考え出すことができる。
【符号の説明】
【0041】
1 機器
2 案内軸受
3 案内ブレード、保持要素、接触ブレード、ブレード
4 端部、保持要素、自由端
5 支持部、支持表面、V字形表面
6 回転軸
6’ 枢軸
12 リム
13 ひげぜんまい
15 アーム
40 接触表面
AC 中心軸