(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】エアロゾル供給デバイス
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20240823BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240823BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023101904
(22)【出願日】2023-06-21
(62)【分割の表示】P 2021551784の分割
【原出願日】2020-03-09
【審査請求日】2023-06-21
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】サイエド, アシュレイ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】トールセン, ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン, ルーク ジェームズ
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-180393(JP,A)
【文献】特表2016-511724(JP,A)
【文献】特表2019-518429(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0216961(US,A1)
【文献】米国特許第02558607(US,A)
【文献】国際公開第2017/194762(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/195687(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成材料を受容するように構成された開口を一端に定めたハウジングと、
前記開口が露出する開放位置から前記開口が覆われる閉鎖位置まで、中間位置を介して移動可能な蓋と、
ばねと、
を備え、
前記ばねの第1の端部が、第1の枢動点で前記蓋に接続され、前記第1の端部が、前記蓋が前記開放位置と前記閉鎖位置との間で移動する際に、前記第1の枢動点の周りに回転可能であり、前記第1の枢動点が、前記蓋に接続され前記蓋から下方に延びている第1の突出アセンブリを備え、
前記ばねの第2の端部が、第2の枢動点で前記ハウジングに接続され、前記第2の端部が、前記蓋が前記開放位置と前記閉鎖位置との間で移動する際に、前記第2の枢動点の周りに回転可能であり、
前記ばねが、
前記蓋が前記開放位置と前記中間位置との間にある場合に、前記蓋を前記開放位置に向かって付勢することと、
前記蓋が前記中間位置と前記閉鎖位置との間にある場合に、前記蓋を前記閉鎖位置に向かって付勢することと、
を行うように構成された、エアロゾル供給デバイス。
【請求項2】
前記ばねが、圧縮ばねである、請求項
1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項3】
前記ばねが、
前記蓋が前記開放位置から前記中間位置まで動かされる際、及び
前記蓋が前記閉鎖位置から前記中間位置まで動かされる際、
に圧縮されるように構成された、請求項
1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項4】
前記ばねが、長さに沿って一連のループを含む、ある長さのワイヤを備え、前記ループのサイズが、前記ばねが圧縮された際に大きくなる、請求項
1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項5】
前記ばねが、ジグザグばねである、請求項
1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項6】
前記第1の枢動点を規定する第1の突出アセンブリ及び前記第2の枢動点を規定する第2の突出アセンブリを備え、
前記第1の突出アセンブリが、前記蓋に対して所定の位置に固定され、前記ハウジングに向かって延び、
前記第2の突出アセンブリが、前記ハウジングに対して所定の位置に固定され、前記蓋に向かって延びた、請求項
1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項7】
前記第1の突出アセンブリと関連付けられ、前記蓋に対して回転する第1のブッシングと、
前記第2の突出アセンブリと関連付けられ、前記ハウジングに対して回転する第2のブッシングと、
を備えた、請求項
6に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項8】
前記ハウジングが、レセプタクルを備え、前記第2のブッシングが、前記レセプタクル内に配設された、請求項
7に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項9】
前記ハウジングが、凹部を規定し、前記蓋が、前記凹部内に少なくとも部分的に配設された、請求項
1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項10】
前記凹部が、ガイドレールを規定する内壁内に配設されたキャビティを備え、前記蓋が、前記ガイドレールに係合するように構成された、請求項
9に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項11】
前記ばねが前記開放位置よりも前記閉鎖位置において大きな力を及ぼすように、前記第2の枢動点が、前記開放位置よりも前記閉鎖位置に近く配置された、請求項
1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項12】
請求項
1に記載のエアロゾル供給デバイスと、
エアロゾル生成材料を含む物品と、
を備えたエアロゾル供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル供給デバイスに関する。
【背景】
【0002】
シガレット、シガー等の喫煙品は、使用中にタバコを燃焼させて、タバコ煙を生成する。燃焼なしに化合物を放出する製品の創出によって、これらタバコを燃焼させる物品の代替物を提供しようとする試みがなされている。このような製品の例は、材料を燃焼させずに加熱することによって化合物を放出する加熱デバイスである。この材料は、例えばタバコ又は他の非タバコ製品が考えられ、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【概要】
【0003】
本開示の第1の態様によれば、
エアロゾル生成材料を受容するように構成された開口を一端に定めたハウジングと、
開口が露出する開放位置から開口が覆われる閉鎖位置まで、中間位置を介して移動可能な蓋と、
ばねと、
を備え、
ばねの第1の端部が、第1の枢動点で蓋に接続され、当該第1の端部が、蓋が開放位置と閉鎖位置との間で移動する際に、第1の枢動点の周りに回転可能であり、
ばねの第2の端部が、第2の枢動点でハウジングに接続され、当該第2の端部が、蓋が開放位置と閉鎖位置との間で移動する際に、第2の枢動点の周りに回転可能であり、
ばねが、
蓋が開放位置と中間位置との間にある場合に、蓋を開放位置に向かって付勢することと、
蓋が中間位置と閉鎖位置との間にある場合に、蓋を閉鎖位置に向かって付勢することと、
を行うように構成された、エアロゾル供給デバイスが提供される。
【0004】
本発明のさらなる特徴及び利点については、本発明の好適な実施形態に関する以下の説明から明らかとなるであろうが、これは、添付の図面を参照しつつ、一例として示しているに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】エアロゾル供給デバイスの一例の正面図である。
【
図2】外カバーを取り外した
図1のエアロゾル供給デバイスの正面図である。
【
図3】
図1のエアロゾル供給デバイスの断面図である。
【
図4】
図2のエアロゾル供給デバイスの分解図である。
【
図5】Fig.5Aは、エアロゾル供給デバイス内の加熱アセンブリの断面図である。Fig.5Bは、Fig.5Aの加熱アセンブリの一部の拡大図である。
【詳細な説明】
【0006】
本明細書において、用語「エアロゾル生成材料(aerosol generating material)」は、通常はエアロゾルの形態で、加熱時に揮発成分を与える材料を含む。エアロゾル生成材料には、任意のタバコ含有材料を含み、例えば、タバコ、タバコ派生物、拡張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数が挙げられる。また、エアロゾル生成材料としては、他の非タバコ製品も挙げられ、製品によっては、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。エアロゾル生成材料は、例えば固体、液体、ゲル、ワックス等の形態であってもよい。また、エアロゾル生成材料は、例えば材料の組み合わせ又は混合であってもよい。また、エアロゾル生成材料は、「喫煙材」として知られる場合もある。
【0007】
エアロゾル生成材料を加熱して当該エアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させることにより、通常はエアロゾル生成材料の燃焼(burning又はcombusting)なく吸引可能なエアロゾルを形成する装置が知られている。このような装置は、「エアロゾル生成デバイス」、「エアロゾル供給デバイス」、「非燃焼加熱式デバイス」、「タバコ加熱製品デバイス」、又は「タバコ加熱デバイス」又は同様のものとして記載される場合がある。同様に、通常は液体の形態のエアロゾル生成材料(ニコチンを含む場合もあれば、含まない場合もある)を気化させる、いわゆるeシガレットデバイスが存在する。エアロゾル生成材料は、装置に挿入可能なロッド、カートリッジ、又はカセット等の一部の形態であってもよいし、一部として提供されるようになっていてもよい。エアロゾル生成材料を加熱して揮発させる加熱器は、装置の「永久」部品として設けられていてもよい。
【0008】
エアロゾル供給デバイスは、エアロゾル生成材料を含む物品を受容して加熱することができる。これに関連して、「物品」は、使用時にエアロゾル生成材料を具備又は含有し、加熱されてエアロゾル生成材料及び任意選択として使用中の他の構成要素を揮発させる構成要素である。ユーザが物品をエアロゾル供給デバイスに挿入した後、当該エアロゾル供給デバイスが加熱されて、ユーザが後で吸引するエアロゾルが生成されるようになっていてもよい。物品は、例えば当該物品を受容するようにサイズ規定されたデバイスの加熱チャンバ内に配置されるように構成された所定又は特定サイズであってもよい。
【0009】
本開示の第1の態様は、移動可能な蓋(蓋アセンブリとしても知られる)及びばねを備えたエアロゾル供給デバイスを規定する。ばねは、その一端でデバイスのハウジングに固定可能であるとともに、その別の端で蓋に固定可能である。ハウジングは、ユーザがエアロゾル生成材料を挿入及び取り出し可能な開口を規定する。蓋は、(開口が蓋に覆われない)開放位置から(開口が蓋に覆われる)閉鎖位置まで移動可能である。ユーザ又は他の機構により蓋が動かされる場合、ばねは、より圧縮される位置とより弛緩される位置との間で移動する。蓋が動かされる場合、ばねは、蓋及びハウジングに対して回転可能である。例えば、ばねは、蓋に接続された点の周りに回転可能であるとともに、ハウジングに接続された点の周りに回転可能である。ばねは、蓋を開放位置に向かって付勢するようにしてもよく、蓋が中間位置に向かって動かされる際には、より圧縮された状態となり得る。ばねは、中間位置において、最も圧縮された状態となっていてもよい。この点を越えて蓋を移動させると、ばねは、弛緩可能であり、次いで蓋を閉鎖位置に向かって付勢可能となる位置まで回転する。このため、蓋が中間位置を越えて移動すると、ばねが向きを変える。したがって、この機構によれば、ばねは、蓋の移動に起因する回転によって、蓋を閉鎖位置及び開放位置に向かって付勢可能となる。
【0010】
この機構は、既存の機構と比較した場合に、動作に要する力が小さくて済むことが見出されている。このことは、可動部品が比較的少ないため、機構に働く摩擦力が小さくなることにより実現される。さらに、可動部品が比較的少ないことで、機構の信頼性が高くなるとともに、不具合の傾向が抑えられる。
【0011】
したがって、第1の態様は、エアロゾル生成材料を受容するように構成された開口を一端に定めたハウジングと、開口が露出する開放位置から開口が覆われる閉鎖位置まで、中間位置を介して移動可能な蓋と、を備えたエアロゾル供給デバイスを規定する。このデバイスは、ばねをさらに備えており、ばねの第1の端部は、第1の枢動点で蓋に接続され、当該第1の端部は、例えばガイドレールに沿って蓋が開放位置と閉鎖位置との間で移動する際に、第1の枢動点の周りに回転可能である。ばねの第2の端部は、第2の枢動点でハウジングに接続され、当該第2の端部は、例えばガイドレールに沿って蓋が開放位置と閉鎖位置との間で移動する際に、第2の枢動点の周りに回転可能である。ばねは、蓋が開放位置と中間位置との間にある場合に、蓋を開放位置に向かって付勢することと、蓋が中間位置と閉鎖位置との間にある場合に、蓋を閉鎖位置に向かって付勢することと、を行うように構成されている。
【0012】
いくつかの例において、このデバイスは、ガイドレールを備えており、このガイドレールが軸を規定していてもよく、蓋は、軸と平行な方向に移動する。第1の枢動点は、軸と垂直な方向に第2の枢動点からオフセットしていてもよい。いくつかの例においては、2つのガイドレールが互いに平行に配置されている。蓋は、当該蓋を1つ又は複数のガイドレールに接続する1つ又は複数のガイドレール取り付けアセンブリを備えていてもよい。特定の一例において、ハウジングは、2つのガイドレールを規定する2つの細長いキャビティを備える。蓋は、ガイドレール取り付けアセンブリを規定する2つの突起部材を備えていてもよい。突起部材は、細長いキャビティに受容されて、蓋がガイドレールに沿って動かされる際に、細長いキャビティの長さに沿って移動するものとする。
【0013】
第1の枢動点は、蓋とともに移動可能である。
【0014】
ばねは、鋼等の金属又は合金を含んでいてもよい。
【0015】
ばねは、圧縮ばねであってもよい。ばねは、蓋が開放位置から中間位置まで動かされる際に圧縮されるとともに、蓋が閉鎖位置から中間位置まで動かされる際に圧縮されるように構成されていてもよい。このため、ばねは、これらの位置間でこの方向に動かされる際に圧縮されることになる。ばねは、蓋が中間位置から開放位置まで動かされる(これにより、開放位置に向かって付勢される)際に弛緩されるとともに、蓋が中間位置から閉鎖位置まで動かされる際に弛緩されるように構成されていてもよい。
【0016】
ばねは、長さに沿って一連のループを含む、ある長さのワイヤを備えることができ、ループのサイズは、ばねが圧縮された際に大きくなる。このようなばねは、低プロファイルであるため、機構がよりコンパクトになる。いくつかの例において、ループの形状は、実質的に円形である。ループは、クロソイドループであってもよい。ばねが弛緩状態の場合、一連のループは、完全には重なり合わない(すなわち、同軸配置されていない)。ばねがさらに圧縮されると、ループは、互いに近づくように移動する一方、同軸ではなくてもよい。
【0017】
代替例において、ばねは、ジグザグばねであってもよいし、大略蛇行形状を有していてもよい。
【0018】
いくつかの例において、ばねは、ばね定数がおよそ63~およそ189N/mである。この範囲内のばね定数であれば、容易で滑らかな動作と、機構に対する心地よい触感とが可能になることが見出されている。
【0019】
このデバイスは、第1の枢動点を規定する第1の突出アセンブリ及び第2の枢動点を規定する第2の突出アセンブリを有していてもよい。第1の突出アセンブリは、蓋に対して所定の位置に固定され、ハウジングに向かって延びていてもよく、第2の突出アセンブリは、ハウジングに対して所定の位置に固定され、蓋に向かって延びていてもよい。したがって、突出アセンブリは、ばねが周りを回転し得る回転軸を提供する。これにより、ばねは、第1及び第2の突出アセンブリ間に延びる。
【0020】
このデバイスは、第1の突出アセンブリと関連付けられ、蓋に対して回転する第1のブッシングと、第2の突出アセンブリと関連付けられ、ハウジングに対して回転する第2のブッシングと、を備えていてもよい。第1及び第2のブッシングは、円筒状であるのが好ましい。ブッシングは、回転可能であるとともに、軸に直接接触したばねと比較した場合に、受ける摩擦力が小さくなり得る。ばねの両端は、第1及び第2のブッシングに対して(回転方向に)固定されていてもよい。これにより、ばねが回転すると、ブッシングも回転する。
【0021】
第1及び第2のブッシングは、各軸に対して回転するようになっていてもよい。一例においては、第1のブッシングのみが軸に対して回転する。ハウジングは、レセプタクルを備えていてもよく、第2のブッシングは、レセプタクル内に配設されていてもよい。これにより、ブッシングは、レセプタクル内で回転可能となる。ただし、いくつかの例において、第2のブッシングは、レセプタクル内に配設された軸の周りに回転するようになっていてもよい。レセプタクルによれば、不具合になりやすい可能性があるコネクタ構成要素の追加なく、ばねの第2の端部をハウジングに接続可能となる。また、レセプタクルは、小さな摩擦力で第2のブッシングを回転させ得る。レセプタクルは、蓋が開放位置と閉鎖位置との間で動かされる際に当該レセプタクルの上方を移動するように、ハウジング上に配置されていてもよい。
【0022】
ハウジングは、凹部を規定していてもよく、蓋は、凹部内に少なくとも部分的に配設されていてもよい。したがって、蓋は、凹部により保護可能である。例えば、蓋は、破壊又はハウジングからの離脱に至る衝撃力を受ける可能性が低くなる。
【0023】
一例において、凹部は、内壁内に配設されたキャビティを備える。キャビティは、ガイドレールを規定可能であり、蓋は、ガイドレールに係合するように構成されている。(例えば、隆起したレールではなく)キャビティの形態のガイドレールを有することにより、機構全体が低プロファイルとなり得る。また、キャビティは、必要な部品数が抑えられることを意味し、これによって、デバイスが軽くなるとともに、製造コストが低くなる。また、不具合の傾向がある部品の数が少なくなる。
【0024】
ばねが開放位置よりも閉鎖位置において大きな力を及ぼすように、第2の枢動点は、開放位置よりも閉鎖位置に近く配置されていてもよい。これは、蓋の閉鎖を維持するのに役立つ。言い換えると、ハウジングの上面が第1の端部と第2の端部との間の長さを有し、開口が第2の端部側に配置され、第2の枢動点は、上面の中間点から第2の端部側に近く変位していてもよい。
【0025】
特定の一構成において、ハウジングの上面は、長さがおよそ40mmであり、第2の枢動点は、中間点からおよそ5mm~およそ10mmだけ開口側に変位している。特定の一例において、第2の枢動点は、およそ7mmだけ開口側に変位しているため、ハウジングの第2の端部からは、およそ13mmだけ変位している。ばねは、蓋が閉鎖位置にある場合よりも閉鎖位置にある場合に、大きく圧縮されていてもよい。
【0026】
図1は、エアロゾル生成媒体/材料からエアロゾルを生成するエアロゾル供給デバイス100の一例を示している。概略として、デバイス100は、エアロゾル生成媒体を含む交換式物品110を加熱して、当該デバイス100のユーザが吸引するエアロゾル又はその他の吸引可能媒体を生成するのに用いられるようになっていてもよい。
【0027】
デバイス100は、当該デバイス100の様々な構成要素を囲んで収容する(外カバーによって少なくとも部分的に規定された)ハウジング102を備える。デバイス100は、物品110を挿通して加熱アセンブリにより加熱可能な開口104をハウジング102の一端に有する。使用時、物品110は、加熱アセンブリに全部又は一部が挿入され、加熱アセンブリの1つ又は複数の構成要素により加熱されるようになっていてもよい。
【0028】
本例のデバイス100は、物品110が所定の位置にない場合に、第1の端部材106に対する移動によって開口104を閉鎖し得る蓋108を備えた第1の端部材106を備える。
図1において、蓋108は、開放構成にて示しているが、蓋108は、閉鎖構成へと移動することも可能である。例えば、ユーザが蓋108を矢印「A」の方向にスライドさせるようにしてもよい。
【0029】
また、デバイス100は、ボタン又はスイッチ等、押された場合にデバイス100を動作させるユーザ操作可能な制御要素112を具備していてもよい。例えば、ユーザは、スイッチ112の操作によって、デバイス100をオンするようにしてもよい。
【0030】
また、デバイス100は、ソケット/ポート114等、ケーブルを受容して当該デバイス100のバッテリを充電可能な電気的コネクタ/構成要素を備えていてもよい。例えば、ソケット114は、USB充電ポート等の充電ポートであってもよい。いくつかの例において、ソケット114は、上記の追加又は代替として、デバイス100とコンピュータデバイス等の別のデバイスとの間のデータの転送に用いられるようになっていてもよい。
【0031】
図2は、外カバー102を外すとともに物品110が存在しない状態の
図1のデバイス100を示している。デバイス100は、長手方向軸134を規定する。
【0032】
図2に示すように、第1の端部材106は、デバイス100の一端に配置されており、デバイス100の反対端には第2の端部材116が配置されている。第1及び第2の端部材106、116は一体的に、デバイス100の端面を少なくとも部分的に規定する。例えば、第2の端部材116の底面は、デバイス100の底面を少なくとも部分的に規定する。また、外カバー102の縁部が端面の一部を規定していてもよい。また、本例において、蓋108は、デバイス100の上面の一部を規定する。
【0033】
開口104に最も近いデバイスの端部は、使用時にユーザの口に最も近いため、デバイス100の近位端(又は、口端)として知られていると考えられる。使用時、ユーザは、物品110を開口104に挿入し、ユーザ制御112を操作してエアロゾル生成材料の加熱を開始し、デバイス中で生成されたエアロゾルを利用する。これにより、流路に沿ってデバイス100の近位端に向かって、エアロゾルがデバイス100を流れる。
【0034】
開口104から最も遠いデバイスの他端は、使用時にユーザの口から最も遠くなる端部であるため、デバイス100の遠位端として知られていると考えられる。デバイス中で生成されたエアロゾルをユーザが利用する場合、エアロゾルは、デバイス100の遠位端から離れる方向に流れる。
【0035】
デバイス100は、電源118をさらに備える。電源118は、例えば充電式バッテリ又は非充電式バッテリ等のバッテリであってもよい。好適なバッテリの例としては、例えばリチウムバッテリ(リチウムイオンバッテリ等)、ニッケルバッテリ(ニッケルカドミウムバッテリ等)、及びアルカリバッテリが挙げられる。バッテリは、加熱アセンブリに対して電気的に結合され、必要に応じて電力を供給するとともに、制御装置(図示せず)の制御下でエアロゾル生成材料を加熱する。本例において、バッテリは、当該バッテリ118を所定の位置に保持する中央支持部120に接続されている。中央支持部120は、バッテリ支持部又はバッテリ担体としても知られる場合がある。
【0036】
デバイスは、少なくとも1つの電子機器モジュール122をさらに備える。電子機器モジュール122は、例えばプリント配線板(PCB)を備えていてもよい。PCB122は、プロセッサ等の少なくとも1つの制御装置及びメモリを支持していてもよい。また、PCB122は、デバイス100の様々な電子的構成要素を電気的に一体接続する1つ又は複数の電気的トラックを備えていてもよい。例えば、電力をデバイス100全体に配分可能となるように、バッテリ端子がPCB122に対して電気的に接続されていてもよい。また、ソケット114は、電気的トラックを介して、バッテリに対して電気的に結合されていてもよい。
【0037】
例示的なデバイス100において、加熱アセンブリは、誘導加熱アセンブリであり、誘導加熱プロセスによって物品110のエアロゾル生成材料を加熱する様々な構成要素を備える。誘導加熱は、電磁誘導によって導電体(サセプタ等)を加熱するプロセスである。誘導加熱アセンブリは、誘導要素(例えば、1つ又は複数のインダクタコイル)と、交流等の変動電流を誘導要素に通過させるデバイスとを備えていてもよい。誘導要素中の変動電流は、変動磁場を生成する。変動磁場は、誘導要素に対して好適に配置されたサセプタに侵入して、サセプタの内側に渦電流を生成する。サセプタは、渦電流に対する電気抵抗を有するため、この抵抗に対する渦電流の流れによって、サセプタがジュール加熱により加熱される。また、サセプタが鉄、ニッケル、又はコバルト等の強磁性材料を含む場合は、サセプタ中の磁気ヒステリシス損すなわち変動磁場との位置合わせの結果としての磁性材料中の磁気双極子の変動配向によっても熱が生成されてもよい。誘導加熱においては、例えば伝導による加熱と比較して、サセプタの内側で熱が生成されるため、急速加熱が可能となる。さらに、誘導加熱器とサセプタとの間の物理的な接触が一切不要なため、構成及び用途の自由度が増す。
【0038】
例示的なデバイス100の誘導加熱アセンブリは、サセプタ構成体132(本明細書においては、「サセプタ」と称する)、第1のインダクタコイル124、及び第2のインダクタコイル126を備える。第1及び第2のインダクタコイル124、126は、導電材料により構成されている。本例において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、螺旋状に巻回されてヘリカルインダクタコイル124、126を提供するリッツ線/ケーブルにより構成されている。リッツ線は、個別に絶縁され、一体的な撚り合わせによって単一のワイヤを構成する複数の個々のワイヤを備える。リッツ線は、導電体の表皮効果損を抑えるように設計されている。例示的なデバイス100において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、断面が矩形の銅リッツ線により構成されている。他の例において、リッツ線は、円形等、他の形状の断面を有し得る。
【0039】
第1のインダクタコイル124は、サセプタ132の第1の部分を加熱する第1の変動磁場を生成するように構成され、第2のインダクタコイル126は、サセプタ132の第2の部分を加熱する第2の変動磁場を生成するように構成されている。本例において、第1のインダクタコイル124は、デバイス100の長手方向軸134に沿った方向で第2のインダクタコイル126に隣り合っている(すなわち、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、重なり合わない)。サセプタ構成体132は、単一のサセプタを備えていてもよいし、2つ以上の別個のサセプタを備えていてもよい。第1及び第2のインダクタコイル124、126の端部130は、PCB122に接続可能である。
【0040】
当然のことながら、いくつかの例において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、互いに異なる少なくとも1つの特性を有していてもよい。例えば、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なる少なくとも1つの特性を有していてもよい。より具体的に、一例において、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なるインダクタンスの値を有していてもよい。
図2において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、第1のインダクタコイル124がサセプタ132に巻回される部分が第2のインダクタコイル126よりも小さくなるように、異なる長さを有する。このため、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なる巻回数を有していてもよい(個々の巻回の間隔は実質的に同じと仮定する)。さらに別の例において、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なる材料により構成されていてもよい。いくつかの例において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、実質的に同一であってもよい。
【0041】
本例において、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、反対方向に巻回されている。これは、両インダクタコイルが異なるタイミングで作動する場合に有用となり得る。例えば、最初に第1のインダクタコイル124が物品110の第1の部分を加熱するように動作した後、第2のインダクタコイル126が物品110の第2の部分を加熱するように動作していてもよい。コイルを反対方向に巻回することは、特定種類の制御回路と併せて使用される場合に非作動のコイルに誘導される電流を抑えるのに役立つ。
図2においては、第1のインダクタコイル124が右手螺旋であり、第2のインダクタコイル126が左手螺旋である。ただし、別の実施形態においては、インダクタコイル124、126が同じ方向に巻回されていてもよいし、第1のインダクタコイル124が左手螺旋、第2のインダクタコイル126が右手螺旋であってもよい。
【0042】
本例のサセプタ132は中空であるため、エアロゾル生成材料が受容されるレセプタクルを規定する。例えば、物品110はサセプタ132に挿入可能である。本例において、サセプタ120は、断面が円形の管状である。
【0043】
図2のデバイス100は、大略管状で、少なくとも部分的にサセプタ132を囲み得る断熱部材128をさらに備える。断熱部材128は、例えばプラスチック等の如何なる断熱材料により構成されていてもよい。この特定の例において、断熱部材は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)により構成されている。断熱部材128は、サセプタ132において生成された熱からデバイス100の様々な構成要素を断熱するのに役立ち得る。
【0044】
また、断熱部材128は、第1及び第2のインダクタコイル124、126の全部又は一部を支持可能である。例えば、
図2に示すように、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、断熱部材128の周りに配置され、断熱部材128の半径方向外方面と接触している。いくつかの例において、断熱部材128は、第1及び第2のインダクタコイル124、126に隣接しない。例えば、断熱部材128の外側面と第1及び第2のインダクタコイル124、126の内側面との間には、小さな間隙が存在していてもよい。
【0045】
特定の一例においては、サセプタ132、断熱部材128、並びに第1及び第2のインダクタコイル124、126がサセプタ132の中央長手方向軸の周りに同軸である。
【0046】
図3は、デバイス100の一部断面側面図である。本例においては、外カバー102が存在する。第1及び第2のインダクタコイル124、126の矩形断面形状がより明確に可視化されている。
【0047】
デバイス100は、サセプタ132の一端に係合してサセプタ132を所定の位置に保持する支持部136をさらに備える。支持部136は、第2の端部材116に接続されている。
【0048】
また、デバイスは、制御要素112内に関連付けられた第2のプリント配線板138を備えていてもよい。
【0049】
デバイス100は、デバイス100の遠位端に向かって配置された第2の蓋/キャップ140及びばね142をさらに備える。ばね142は、第2の蓋140の開放によって、サセプタ132へのアクセスを提供可能とする。ユーザは、第2の蓋140を開けることにより、サセプタ132及び/又は支持部136を清掃するようにしてもよい。
【0050】
デバイス100は、サセプタ132の近位端から当該デバイスの開口140に向かって延びる拡張チャンバ144をさらに備える。拡張チャンバ144内には、デバイス100内に受容された物品110に隣接して保持する保持クリップ146の少なくとも一部が配置されている。拡張チャンバ144は、端部材106に接続されている。
【0051】
図4は、外カバー102を省略した
図1のデバイス100の分解図である。
【0052】
図5(Fig.5A)は、
図1のデバイス100の一部の断面を示している。
図5(Fig.5B)は、
図5(Fig.5A)の一領域を拡大して示している。
図5(Fig.5A)及び
図5(Fig.5B)は、サセプタ132内に受容された物品110を示しているが、この物品110は、その外側面がサセプタ132の内側面に隣接するように寸法を定められている。これにより、加熱が最も効率的になる。本例の物品110は、エアロゾル生成材料110aを含む。エアロゾル生成材料110aは、サセプタ132内に配置されている。また、物品110は、フィルター、包装材、及び/又は冷却構造等の他の構成要素を備えていてもよい。
【0053】
図5(Fig.5B)は、サセプタ132の長手方向軸158と垂直な方向に測定して、サセプタ132の外側面がインダクタコイル124、126の内側面から距離150だけ離隔することを示している。特定の一例において、距離150は、およそ3mm~4mm、およそ3mm~3.5mm、又はおよそ3.25mmである。
【0054】
図5(Fig.5B)は、サセプタ132の長手方向軸158と垂直な方向に測定して、断熱部材128の外側面がインダクタコイル124、126の内側面から距離152だけ離隔することを示している。特定の一例において、距離152は、およそ0.05mmである。別の例においては、インダクタコイル124、126が断熱部材128に隣接して接触するように、距離152が実質的に0mmである。
【0055】
一例において、サセプタ132は、壁厚154がおよそ0.025mm~1mm又はおよそ0.05mmである。
【0056】
一例において、サセプタ132は、長さがおよそ40mm~60mm、およそ40mm~45mm、又はおよそ44.5mmである。
【0057】
一例において、断熱部材128は、壁厚156がおよそ0.25mm~2mm、およそ0.25mm~1mm、又はおよそ0.5mmである。
【0058】
図6は、デバイス100の上部の分解図である。簡単に前述した通り、
図6は、第1の端部材106と、エアロゾル生成材料を受容可能な開口104とを示している。第1の端部材106は、デバイス100のハウジング102の一部を構成し得る。本例において、蓋108(蓋アセンブリとしても知られる)は、少なくとも1つの第1の部分108a及び第2の部分108bを備える。第1の部分108aは、第2の部分108bに接続され、その少なくとも一部を覆っている。第1及び第2の部分108a、108bは、ユーザが蓋108を動かす際に、一体的に移動する。
図6において、蓋108は、開口104が完全に露出する(すなわち、蓋108が開口104を覆わない)開放位置に配置されている。蓋は、矢印Aの方向に動かされると、開口104が覆われる閉鎖位置へと移動可能になる。蓋108は、第1の端部材106又はハウジング102により規定された凹部200内で移動可能である。凹部200は、蓋108を損傷から保護し得る。
【0059】
図7は、デバイス100の上部の別の分解図である。ここでは、蓋108の第2の部分108bがハウジング102から取り外されている。凹部200の内壁には、キャビティ202の形態のガイドレール202を備える。凹部200の反対の内壁には、第2のキャビティの形態の第2のガイドレールを備えていてもよい。第2のキャビティは、
図7では見えなくなっている。蓋108(又は、より詳細には、第2の部分108b)は、1つ又は複数のキャビティ202内に受容される1つ又は複数の突起部材204の形態の1つ又は複数のガイドレール取り付けアセンブリ204を備えていてもよい。各突起部材204は、蓋108が動かされる際に、キャビティ202に沿ってその内部で移動する。また、突起部材204は、蓋108がデバイス100から外れないようにする。
【0060】
また、
図7は、一端が第1の枢動点208に接続され、別の端が第2の枢動点210に接続された低プロファイル圧縮ばね等のばね206を示している。第1の枢動点208は、蓋108に接続されているため、蓋108とともに移動する。本例において、第1の枢動点208は、回転軸の周りで蓋に対して回転する第1のブッシング212の形態の第1の突出アセンブリを備える。第1の突出アセンブリは、蓋108からハウジング102及び第1の端部材106に向かって下方に延びている。また、本例の第2の枢動点210は、回転軸の周りでハウジング102及び第1の端部材106に対して回転し得る第2のブッシング214の形態の第2の突出アセンブリを備える。第1の突出アセンブリは、ハウジング102及び第1の端部材106から蓋108に向かって上方に延びている。第2の枢動点210は、ハウジング102に接続可能である。例えば、第2のブッシング212は、レセプタクル216内に受容可能である。また、第2のブッシング212は、レセプタクル216内で回転可能である。
【0061】
図8は、蓋108の第2の部分108bの下面を示している。また、第2の部分108bの下面から延びた第1の突出アセンブリ212を示している。第2のブッシング214は、レセプタクル216内に含まれる軸/ペグ(図示せず)に差し込まれるようになっていてもよい。他の例においては、軸が存在せず、第2のブッシング214がレセプタクル216内で自由に回転する。
【0062】
また、
図8は、圧縮ばね206の形状をより鮮明に示している。ばね206は、長さに沿って一連のループを含む、ある長さのワイヤを備える。ばね206は、当該ばね206が圧縮された際に、ループのサイズが大きくなるように構成されていてもよい。例えば、各ループ内のエリアのサイズが大きくなる。各ループのサイズが大きくなるということは、ばね206が圧縮された際に、ループが互いに近づくことを意味する。ばね206が十分に圧縮されると、ループの一部は重なり合う可能性もある。また、蓋108がガイドレール202に沿って動かされる際には、ばね206が屈曲し得る。
図8は、非圧縮(すなわち、弛緩)状態のばね206を示している。
【0063】
他の例において、ばね206は、異なる形状を有していてもよい。例えば、ばねは、ジグザグ形状を有していてもよいし、蛇行形状を有していてもよい。
【0064】
図9A~
図9Eは、蓋108が開放位置と閉鎖位置との間で動かされる際の様々な段階における蓋機構の概略図である。
【0065】
図9Aは、開放位置の蓋108を示している。開口104が露出し、蓋は、ハウジングの上部の第1の端部218側に配置されている。
図9Aにおいては、第1及び第2の枢動点208、210の相対位置をより明確に示すため、ばね206を省略している。
【0066】
図9Bは、第1の枢動点208で蓋108に接続され、第2の枢動点210でハウジングに接続されたばね206を示している。ばね206は、完全に弛緩した状態であってもよいし、わずかに圧縮されていてもよい。蓋108は、依然として開放位置にある。矢印220は、ばね206が与える付勢力の方向を示している。したがって、ばね206は、蓋を開放位置に向かって付勢している。矢印Aの方向に蓋を移動させるため、ユーザは、ばね206の付勢力よりも大きな力を加えることが必要となる。蓋108が1つ又は複数のガイドレールに沿って移動し始める際、ばねが蓋を開放位置に向かって付勢する。
【0067】
図9Cは、その後の蓋108を示している。ここで、ばね206は、
図9Bよりも圧縮された状態となっている。ばね206内のループは大きくなり、互いに近づいている。また、ばね206は、屈曲する場合もある。
図9Bに示す位置と
図9Cに示す位置との間を蓋108が移動する際、ばね206は、2つの枢動点208、210の周りで部分的に回転している。
図9Cにおいて、蓋108は、中間位置に達していないため、依然として矢印220の方向に、開放位置に向かって付勢されている。
【0068】
図9Dは、その後の蓋108を示している。ここで、蓋108は中間位置を越えて移動しており、ばね206は、第1の枢動点208が第2の枢動点210よりも開口104に近づく範囲において、2つの枢動点208、210の周りに回転し続けている。したがって、ばね206は、矢印222の方向に、蓋108を閉鎖位置に向かって付勢している。中間位置は、ばね206が蓋108を開放位置に向かって付勢することと、蓋108を閉鎖位置に向かって付勢することの境界である。これは、ばね206の構成及び形状に応じて、ガイドレールが規定する軸と垂直な軸に沿って第1及び第2の枢動点208、210が位置合わせされる点(すなわち、第1及び第2の枢動点208、210が開口104から同じ距離となる点)であってもよい。蓋108の中間位置は、
図9C及び
図9Dに示す蓋108の位置間に存在する。
【0069】
図9Eは、閉鎖位置の蓋108を示している。したがって、蓋108は、開口104を完全に覆っている。この位置において、ばね206は、
図9Dよりも圧縮されていない状態となっている。矢印222は、ばね206が与える付勢力の方向を示している。したがって、ばね206は、蓋を閉鎖位置に向かって付勢している。蓋108を開けるには、ユーザは、矢印Bの方向に蓋108を移動させる必要がある。
【0070】
図9Aは、第1の端部218と第2の端部226との間に測定される長さ224を有するハウジングの上面を示している。上面の中間点228は、第1及び第2の端部218、226間の途中にある。開口104は、第2の端部226側に配置されている。
【0071】
いくつかの例において、第2の枢動点210は、開放位置よりも閉鎖位置に近く配置されている。言い換えると、第2の枢動点210は、第1の端部218よりも第2の端部226に近く配置されている。したがって、第2の枢動点は、上面の中間点228から第2の端部226側寄りに変位している。特定の一構成において、ハウジングの上面の長さ224は、およそ40mmであり、第2の枢動点210は、中間点から距離330だけ開口104(又は、第2の端部)側に変位している。本例において、距離330は、およそ5mm~およそ10mmである。例えば、距離330は、およそ7mmであってもよく、したがって、ハウジングの第2の端部226からおよそ13mmに配置されていてもよい。このため、ばね206は、蓋108が閉鎖位置にある場合(
図9Bに示す)よりも閉鎖位置(
図9Eに示す)にある場合に、大きく圧縮されていてもよい。
【0072】
上記実施形態は、本発明の説明に役立つ実例として理解されるものとする。本発明の他の実施形態も考えられる。任意の一実施形態に関して記載の任意の特徴は、単独又は他の記載特徴との組み合わせで使用可能であり、また、実施形態のその他いずれか又はその任意の組み合わせの1つ又は複数の特徴との組み合わせで使用可能であることが了解されるものとする。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲に規定の上述していない同等物及び改良も採用可能である。
【0073】
本明細書には以下の実施形態1~12が開示される。
(実施形態1)
エアロゾル生成材料を受容するように構成された開口を一端に定めたハウジングと、
前記開口が露出する開放位置から前記開口が覆われる閉鎖位置まで、中間位置を介して移動可能な蓋と、
ばねと、
を備え、
前記ばねの第1の端部が、第1の枢動点で前記蓋に接続され、前記第1の端部が、前記蓋が前記開放位置と前記閉鎖位置との間で移動する際に、前記第1の枢動点の周りに回転可能であり、
前記ばねの第2の端部が、第2の枢動点で前記ハウジングに接続され、前記第2の端部が、前記蓋が前記開放位置と前記閉鎖位置との間で移動する際に、前記第2の枢動点の周りに回転可能であり、
前記ばねが、
前記蓋が前記開放位置と前記中間位置との間にある場合に、前記蓋を前記開放位置に向かって付勢することと、
前記蓋が前記中間位置と前記閉鎖位置との間にある場合に、前記蓋を前記閉鎖位置に向かって付勢することと、
を行うように構成された、エアロゾル供給デバイス。
(実施形態2)
前記ばねが、圧縮ばねである、実施形態1に記載のエアロゾル供給デバイス。
(実施形態3)
前記ばねが、
前記蓋が前記開放位置から前記中間位置まで動かされる際、及び
前記蓋が前記閉鎖位置から前記中間位置まで動かされる際、
に圧縮されるように構成された、実施形態1又は2に記載のエアロゾル供給デバイス。
(実施形態4)
前記ばねが、長さに沿って一連のループを含む、ある長さのワイヤを備え、前記ループのサイズが、前記ばねが圧縮された際に大きくなる、実施形態1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
(実施形態5)
前記ばねが、ジグザグばねである、実施形態1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
(実施形態6)
前記第1の枢動点を規定する第1の突出アセンブリ及び前記第2の枢動点を規定する第2の突出アセンブリを備え、
前記第1の突出アセンブリが、前記蓋に対して所定の位置に固定され、前記ハウジングに向かって延び、
前記第2の突出アセンブリが、前記ハウジングに対して所定の位置に固定され、前記蓋に向かって延びた、実施形態1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
(実施形態7)
前記第1の突出アセンブリと関連付けられ、前記蓋に対して回転する第1のブッシングと、
前記第2の突出アセンブリと関連付けられ、前記ハウジングに対して回転する第2のブッシングと、
を備えた、実施形態6に記載のエアロゾル供給デバイス。
(実施形態8)
前記ハウジングが、レセプタクルを備え、前記第2のブッシングが、前記レセプタクル内に配設された、実施形態7に記載のエアロゾル供給デバイス。
(実施形態9)
前記ハウジングが、凹部を規定し、前記蓋が、前記凹部内に少なくとも部分的に配設された、実施形態1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
(実施形態10)
前記凹部が、ガイドレールを規定する内壁内に配設されたキャビティを備え、前記蓋が、前記ガイドレールに係合するように構成された、実施形態9に記載のエアロゾル供給デバイス。
(実施形態11)
前記ばねが前記開放位置よりも前記閉鎖位置において大きな力を及ぼすように、前記第2の枢動点が、前記開放位置よりも前記閉鎖位置に近く配置された、実施形態1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
(実施形態12)
実施形態1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイスと、
エアロゾル生成材料を含む物品と、
を備えたエアロゾル供給システム。