(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】不正検知システム、不正検知方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/24 20120101AFI20240823BHJP
【FI】
G06Q20/24
(21)【出願番号】P 2023107855
(22)【出願日】2023-06-30
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 聖人
(72)【発明者】
【氏名】青柳 友佳
【審査官】和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-170462(JP,A)
【文献】特開2021-111261(JP,A)
【文献】特開2017-091516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済サービスの初期審査を通過した加盟店であって、不正検知の対象となる前記加盟店である対象加盟店に関する対象加盟店情報を取得する対象加盟店情報取得部と、
訓練用の前記加盟店である訓練加盟店に関する訓練加盟店情報と、前記訓練加盟店の不正の有無と、の関係が学習された加盟店不正検知モデルを記憶する加盟店不正検知モデル記憶部と、
前記対象加盟店情報と、前記加盟店不正検知モデルと、に基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する加盟店不正検知部と、
を含む不正検知システム。
【請求項2】
前記不正検知システムは、
前記対象加盟店で行われた決済である対象決済に関する対象決済情報を取得する対象決済情報取得部と、
前記訓練加盟店で行われた決済である訓練決済に関する訓練決済情報と、前記訓練決済の不正の有無と、の関係が学習された決済不正検知モデルを記憶する決済不正検知モデル記憶部と、
前記対象決済情報と、前記決済不正検知モデルと、に基づいて、前記対象決済の不正を検知する決済不正検知部と、
を更に含み、
前記加盟店不正検知モデルには、前記決済不正検知モデルよりも、前記訓練加盟店に関する特徴が学習されている、
請求項1に記載の不正検知システム。
【請求項3】
前記対象加盟店情報は、前記決済不正検知モデルにより行われた前記対象決済の不正検知の結果に関する対象結果情報を含み、
前記訓練加盟店情報は、前記決済不正検知モデルにより行われた前記訓練決済の不正検知の結果に関する訓練結果情報を含み、
前記加盟店不正検知部は、前記対象結果情報を含む前記対象加盟店情報と、前記加盟店不正検知モデルと、に基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する、
請求項2に記載の不正検知システム。
【請求項4】
前記不正検知システムは、前記決済不正検知モデルの処理対象となる処理対象条件を前記対象決済が満たすか否かを判定する条件判定部を更に含み、
前記決済不正検知部は、前記処理対象条件を満たす前記対象決済を、前記決済不正検知モデルの処理対象とし、
前記加盟店不正検知部は、前記処理対象条件に関係なく、前記対象決済が行われた前記対象加盟店を、前記加盟店不正検知モデルの処理対象とする、
請求項2又は3に記載の不正検知システム。
【請求項5】
前記加盟店不正検知部は、
前記加盟店不正検知モデルにより出力された、前記対象加盟店の不正に関する対象加盟店スコアを取得し、
前記決済不正検知モデルにより出力された、前記対象決済の不正に関する対象決済スコアを取得し、
前記対象加盟店スコアと、前記対象決済スコアと、に基づいて、前記対象加盟店及び前記対象決済の不正に関する総合スコアを計算し、
前記総合スコアに基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する、
請求項2又は3に記載の不正検知システム。
【請求項6】
前記対象加盟店情報は、前記対象加盟店により登録された前記対象加盟店の情報である対象登録情報を含み、
前記訓練加盟店情報は、前記訓練加盟店により登録された前記訓練加盟店の情報である訓練登録情報を含み、
前記加盟店不正検知部は、前記対象登録情報を含む前記対象加盟店情報と、前記加盟店不正検知モデルと、に基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する、
請求項1~3の何れかに記載の不正検知システム。
【請求項7】
前記対象加盟店情報は、前記対象加盟店で行われた複数の決済である複数の対象決済の差分に関する対象差分情報を含み、
前記訓練加盟店情報は、前記訓練加盟店で行われた複数の決済である複数の訓練決済の差分に関する訓練差分情報を含み、
前記加盟店不正検知部は、前記対象差分情報を含む前記対象加盟店情報と、前記加盟店不正検知モデルと、に基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する、
請求項1~3の何れかに記載の不正検知システム。
【請求項8】
前記不正検知システムは、
前記加盟店不正検知モデルにより検知された前記対象加盟店の不正に基づいて、前記決済サービスへの加盟を申請した申請者に対する初期審査に関する初期審査モデルを作成する初期審査モデル作成部と、
前記初期審査モデルに基づいて、前記申請者に対する初期審査に関する初期審査処理を実行する初期審査処理実行部と、
を更に含む請求項1~3の何れかに記載の不正検知システム。
【請求項9】
前記加盟店不正検知部により前記対象加盟店の不正が検知された場合に、前記決済サービスの管理者による前記対象加盟店の審査が実施され、
前記不正検知システムは、
前記管理者による審査結果に基づいて、前記決済サービスへの加盟を申請した申請者に対する初期審査に関する初期審査モデルを作成する初期審査モデル作成部と、
前記初期審査モデルに基づいて、前記申請者に対する初期審査に関する初期審査処理を実行する初期審査処理実行部と、
を更に含む請求項1~3の何れかに記載の不正検知システム。
【請求項10】
前記対象加盟店情報は、前記決済サービスへの加盟を申請した申請者に対する初期審査に関する初期審査モデルによる前記対象加盟店の処理結果に関する対象初期審査情報を含み、
前記訓練加盟店情報は、前記初期審査モデルによる前記訓練加盟店の処理結果に関する訓練初期審査情報を含み、
前記加盟店不正検知部は、前記対象初期審査情報を含む前記対象加盟店情報と、前記加盟店不正検知モデルと、に基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する、
請求項1~3の何れかに記載の不正検知システム。
【請求項11】
前記加盟店不正検知部は、
前記加盟店不正検知モデルにより出力された、前記対象加盟店の不正に関する対象加盟店スコアを取得し、
前記決済サービスへの加盟を申請した申請者に対する初期審査に関する初期審査モデルにより出力された、前記対象加盟店の初期審査に関する初期審査スコアを取得し、
前記対象加盟店スコアと、前記初期審査スコアと、に基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する、
請求項1~3の何れかに記載の不正検知システム。
【請求項12】
前記加盟店不正検知部は、前記対象加盟店スコアと、前記初期審査スコアと、に基づいて、前記対象加盟店の総合的なスコアである総合スコアを計算し、当該総合スコアに基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する、
請求項11に記載の不正検知システム。
【請求項13】
前記加盟店不正検知部は、
前記加盟店不正検知モデルにより出力された、前記対象加盟店の不正に関する対象加盟店スコアを取得し、
過去の前記対象加盟店スコアと、今回の前記対象加盟店スコアと、に基づいて、最終的な前記対象加盟店スコアを計算し、
前記最終的な対象加盟店スコアに基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する、
請求項1~3の何れかに記載の不正検知システム。
【請求項14】
コンピュータが、
決済サービスの初期審査を通過した加盟店であって、不正検知の対象となる前記加盟店である対象加盟店に関する対象加盟店情報を取得する対象加盟店情報取得ステップと、
訓練用の前記加盟店である訓練加盟店に関する訓練加盟店情報と、前記訓練加盟店の不正の有無と、の関係が学習された加盟店不正検知モデルと、前記対象加盟店情報と、に基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する加盟店不正検知ステップと、
を
実行する不正検知方法。
【請求項15】
決済サービスの初期審査を通過した加盟店であって、不正検知の対象となる前記加盟店である対象加盟店に関する対象加盟店情報を取得する対象加盟店情報取得部、
訓練用の前記加盟店である訓練加盟店に関する訓練加盟店情報と、前記訓練加盟店の不正の有無と、の関係が学習された加盟店不正検知モデルと、前記対象加盟店情報と、に基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する加盟店不正検知部、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、不正検知システム、不正検知方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、決済サービスの初期審査を通過した加盟店の不正を検知する技術が知られている。例えば、特許文献1には、クレジットカードを利用した決済サービスにおいて、決済サービスの加盟店と、加盟店を利用したユーザと、の間で行われた取引に関する取引情報をユーザ端末から取得し、取引情報が所定の条件を満たすか否かを判定することによって、加盟店の不正を検知するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、加盟店が自身のクレジットカードで不正を行う場合には、不正を行う加盟店のユーザ端末から、不正な取引情報が送信される可能性がある。この場合、特許文献1の技術では、取引情報が所定の条件を満たさないと判定されることがある。この点は、特許文献1のようなクレジットカード以外の決済手段が利用される他の決済サービスについても同様である。従来の技術では、加盟店の不正を検知する精度が十分ではなかった。
【0005】
本開示の目的の1つは、決済サービスにおける不正検知の精度を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る不正検知システムは、決済サービスの初期審査を通過した加盟店であって、不正検知の対象となる前記加盟店である対象加盟店に関する対象加盟店情報を取得する対象加盟店情報取得部と、訓練用の前記加盟店である訓練加盟店に関する訓練加盟店情報と、前記訓練加盟店の不正の有無と、の関係が学習された加盟店不正検知モデルを記憶する加盟店不正検知モデル記憶部と、前記対象加盟店情報と、前記加盟店不正検知モデルと、に基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する加盟店不正検知部と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、決済サービスにおける不正検知の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】不正検知システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図2】決済サービスで行われる審査の一例を示す図である。
【
図3】不正検知システムで実現される機能の一例を示す図である。
【
図4】対象決済データベースの一例を示す図である。
【
図5】対象加盟店データベースの一例を示す図である。
【
図6】訓練決済データベースの一例を示す図である。
【
図7】訓練加盟店データベースの一例を示す図である。
【
図8】管理者端末に表示される通知の一例を示す図である。
【
図9】不正検知システムで実行される処理の一例を示す図である。
【
図10】変形例の不正検知システムで実現される機能の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1.不正検知システムのハードウェア構成]
本開示に係る不正検知システムの実施形態の一例である実施形態を説明する。
図1は、不正検知システムのハードウェア構成の一例を示す図である。例えば、不正検知システム1は、サーバ10、加盟店端末20、及び管理者端末30を含む。サーバ10、加盟店端末20、及び管理者端末30の各々は、インターネット又はLAN等のネットワークNに接続される。
【0010】
サーバ10は、決済サービスの管理者(提供者)が管理するサーバコンピュータである。決済サービスは、電子決済(キャッシュレス決済)に関するサービスである。例えば、決済サービスは、クレジットカード決済、デビットカード決済、電子マネー決済、バーコード決済、二次元コード決済、NFC(Near Field Communication)決済、又は暗号資産決済に関するサービスである。例えば、決済サービスの管理者は、クレジットカード会社、銀行又は証券会社等の金融機関、又は電子決済等代行業者である。
【0011】
例えば、サーバ10は、制御部11、記憶部12、及び通信部13を含む。制御部11は、少なくとも1つのプロセッサを含む。記憶部12は、RAM等の揮発性メモリと、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリと、の少なくとも一方を含む。通信部13は、有線通信用の通信インタフェースと、無線通信用の通信インタフェースと、の少なくとも一方を含む。
【0012】
加盟店端末20は、決済サービスに加盟する加盟店のコンピュータである。加盟店は、決済サービスに加盟するために、所定の申請手続きを済ませている。例えば、加盟店は、飲食店又は小売店等の店舗、医療機関、公共施設、イベント施設、又はその他の施設である。加盟店を利用する利用者は、先述したクレジットカード決済等の決済により、商品を購入したり、サービスを利用したりすることができる。
【0013】
例えば、加盟店端末20は、POS端末、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレットである。加盟店端末20は、制御部21、記憶部22、通信部23、操作部24、及び表示部25を含む。制御部21、記憶部22、及び通信部23の物理的構成は、それぞれ制御部11、記憶部12、及び通信部13と同様であってよい。操作部24は、キーボード、マウス、又はタッチパネル等の入力デバイスである。表示部25は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等のディスプレイである。加盟店端末20は、決済に必要な読取装置等のハードウェアも含むものとする。
【0014】
管理者端末30は、管理者が操作するコンピュータである。例えば、管理者端末30は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレットである。例えば、管理者端末30は、制御部31、記憶部32、通信部33、操作部34、及び表示部35を含む。制御部31、記憶部32、通信部33、操作部34、及び表示部35の物理的構成は、それぞれ制御部11、記憶部12、通信部13、操作部24、及び表示部25と同様であってよい。
【0015】
なお、記憶部12,22,32に記憶されるプログラムは、ネットワークNを介して、サーバ10、加盟店端末20、又は管理者端末30に供給されてもよい。また、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に記憶されたプログラムが、情報記憶媒体を読み取る読取部(例えば、光ディスクドライブやメモリカードスロット)、又は、外部機器とデータの入出力をするための入出力部(例えば、USBポート)を介して、サーバ10、加盟店端末20、又は管理者端末30に供給されてもよい。
【0016】
また、不正検知システム1は、少なくとも1つのコンピュータを含めばよく、
図1の例に限られない。例えば、不正検知システム1は、加盟店端末20を含まずに、サーバ10及び管理者端末30だけを含んでもよい。不正検知システム1は、加盟店端末20及び管理者端末30を含まずに、サーバ10だけを含んでもよい。不正検知システム1は、サーバ10、加盟店端末20、及び管理者端末30を含まずに、他のコンピュータを含んでもよい。
【0017】
[2.不正検知システムの概要]
本実施形態では、不正検知システム1は、決済サービスにおける不正を検知する。不正とは、決済サービスの利用規約に違反する行為、法律に違反する行為、又はその他の迷惑行為である。不正の検知とは、不正な行為の検知、又は、不正の疑いがある行為の検知である。不正の検知は、不正の推定ということもできる。このため、本実施形態で検知と記載した箇所は、推定と読み替えることもできる。不正検知システム1は、加盟店、加盟店の利用者、又はその他の者によって行われる不正を検知する。
【0018】
本実施形態では、主に、加盟店による不正を例に挙げる。例えば、加盟店は、クレジットカード決済が禁止されている商品又はサービスであることを知りながら、クレジットカード決済を許可することによって、不正を行う。他にも例えば、加盟店は、自身のクレジットカードを利用して、不正な現金化を行う。加盟店は、他の不正を行うこともある。決済サービスの管理者は、これらの不正を防止するために、加盟店に関する審査やモニタリングを行う。
【0019】
図2は、決済サービスで行われる審査の一例を示す図である。例えば、決済サービスへの加盟を申請する申請者は、決済サービスの管理者に対し、所定の申請を行う。申請方法は、公知の決済サービスで採用されている流れに沿って行われるようにすればよい。例えば、申請者は、インターネットを介して、屋号、業種、商材、サービス内容、資本金、営業時間、オーナーの氏名、住所、電話番号、FAX番号、メールアドレス、及びその他の情報を送信することによって、申請を行う。申請は、書面で行われてもよい。
【0020】
例えば、決済サービスの管理者は、申請者からの申請内容に基づいて、初期審査を行う。初期審査は、申請者による決済サービスへの加盟を許可するか否かを判定することである。初期審査は、公知の決済サービスで採用されている基準に沿って行われてよい。申請者が初期審査を通過すると、申請者は、決済サービスの加盟店になる。加盟店を訪れた利用者は、決済サービスが対応する各種決済を利用できるようになる。
【0021】
例えば、初期審査で不正な加盟店の全てを管理者が防止することは、実際には難しいので、不正検知システム1は、加盟店で行われた決済をモニタリングする。不正検知システム1は、モニタリングによって、個々の決済の不正と、加盟店全体の不正と、の各々を検知する。本実施形態のモニタリングでは、機械学習の手法を利用して作成された不正検知モデルが利用される。機械学習の手法の一例は、後述する。
【0022】
以降、個々の決済の不正を検知するための不正検知モデルを、決済不正検知モデルM1という。加盟店全体の不正を検知するための不正検知モデルを、加盟店不正検知モデルM2という。決済不正検知モデルM1には、過去に行われた個々の決済の不正の特徴が学習されている。加盟店不正検知モデルM2には、過去に不正な決済が発生した加盟店自体の特徴が学習されている。決済不正検知モデルM1及び加盟店不正検知モデルM2の各々に学習される訓練データの詳細は、後述する。
【0023】
なお、不正検知の対象となる決済を、対象決済という。決済サービスでは、全ての決済が対象決済になってもよいし、所定の条件を満たした決済だけが対象決済になってもよい。また、不正検知の対象となる加盟店を、対象加盟店という。決済サービスでは、全ての決済が対象加盟店になってもよいし、所定の条件を満たした加盟店だけが対象加盟店になってもよい。対象決済及び対象加盟店の少なくとも一方は、決済サービスの管理者によって指定されてもよいし、ランダムに選択されてもよい。
【0024】
例えば、サーバ10は、対象決済に関する対象決済情報を、決済不正検知モデルM1に入力する。対象決済情報は、対象決済の特徴を示す情報である。例えば、対象決済情報は、決済金額、決済日時、決済で利用されたクレジットカード等のカードの情報、決済で利用された利用者の端末の情報、利用者自身の情報、利用者が購入した商品の情報、及び利用者が利用したサービスの情報の少なくとも1つを示す。対象決済情報は、対象決済が行われた対象加盟店の情報を含んでもよい。
【0025】
例えば、決済不正検知モデルM1は、事前の学習によって調整された自身のパラメータに基づいて、対象決済情報の特徴量を計算する。決済不正検知モデルM1は、対象決済情報の特徴量に基づいて、対象決済が不正であるか否かの推定結果(ラベリング結果)を出力する。本実施形態では、決済不正検知モデルM1は、対象決済が不正であることを示す値(例えば、1)、又は、対象決済が不正ではないことを示す値(例えば、0)の何れかを出力する。
【0026】
例えば、サーバ10は、対象加盟店に関する対象加盟店情報を、加盟店不正検知モデルM2に入力する。対象加盟店情報は、対象加盟店の特徴を示す情報である。例えば、対象加盟店情報は、対象加盟店の屋号、業種、商材、サービス内容、資本金、営業時間、オーナーの氏名、住所、電話番号、FAX番号、及びメールアドレスの少なくとも1つを示す。対象加盟店情報は、対象加盟店で行われた対象決済の情報を含んでもよい。
【0027】
例えば、加盟店不正検知モデルM2は、事前の学習によって調整された自身のパラメータに基づいて、対象加盟店情報の特徴量を計算する。加盟店不正検知モデルM2は、対象加盟店情報の特徴量に基づいて、対象加盟店が不正であるか否かの推定結果(ラベリング結果)を出力する。本実施形態では、加盟店不正検知モデルM2は、対象加盟店が不正であることを示す値(例えば、1)、又は、対象決済が不正ではないことを示す値(例えば、0)の何れかを出力する。
【0028】
例えば、サーバ10は、管理者端末30に対し、決済不正検知モデルM1により不正が検知された対象決済と、加盟店不正検知モデルM2により不正が検知された対象加盟店と、を通知する。管理者は、決済不正検知モデルM1により不正が検知された対象決済が発生した対象加盟店と、加盟店不正検知モデルM2により不正が検知された対象加盟店と、の各々の売上調査を行う。管理者は、売上調査の結果に基づいて、対象加盟店の途上審査を行う。売上調査及び途上審査は、管理者が定めた基準によって行われるようにすればよい。
【0029】
従来の決済サービスでは、初期審査、モニタリング、売上調査、及び途上審査の各々が、互いに分断されており、互いに独立して行われていた。本実施形態では、初期審査、モニタリング、売上調査、及び途上審査の各々が、互いに関連し、
図2の流れが全体的に考慮された総合的な審査が可能になっている。不正検知システム1は、このような総合的な審査において、決済不正検知モデルM1及び加盟店不正検知モデルM2を利用することによって、決済サービスにおける不正検知の精度を高めるようになっている。以降、不正検知システム1の詳細を説明する。
【0030】
[3.不正検知システムで実現される機能]
図3は、不正検知システム1で実現される機能の一例を示す図である。
【0031】
[3-1.サーバで実現される機能]
例えば、サーバ10は、データベース記憶部100、決済不正検知モデル記憶部101、加盟店不正検知モデル記憶部102、学習部103、受信部104、対象決済情報取得部105、決済不正検知部106、対象加盟店情報取得部107、加盟店不正検知部108、及び通知部109を含む。データベース記憶部100、決済不正検知モデル記憶部101、及び加盟店不正検知モデル記憶部102は、記憶部12により実現される。学習部103、受信部104、対象決済情報取得部105、決済不正検知部106、対象加盟店情報取得部107、加盟店不正検知部108、及び通知部109は、制御部11により実現される。
【0032】
[データベース記憶部]
データベース記憶部100は、不正検知に必要なデータベースを記憶する。例えば、データベース記憶部100は、対象決済データベースDB1、対象加盟店データベースDB2、訓練決済データベースDB3、及び訓練加盟店データベースDB4を記憶する。
【0033】
図4は、対象決済データベースDB1の一例を示す図である。対象決済データベースDB1は、対象決済に関する各種情報が格納されたデータベースである。例えば、対象決済データベースDB1には、対象決済が実行された加盟店を識別可能な加盟店識別情報と、対象決済情報と、が格納される。対象決済データベースDB1には、任意の情報が格納されてよく、対象決済データベースDB1に格納される情報は、
図4の例に限られない。例えば、対象決済データベースDB1には、決済不正検知モデルM1による不正検知の結果を示す情報が格納されてもよい。
【0034】
例えば、サーバ10は、決済サービスへの加盟を希望する申請者が初期審査を通過して新たな加盟店として認められると、当該新たな加盟店に対し、加盟店識別情報を発行する。サーバ10は、他の加盟店の加盟店識別情報と重複しないように、新たな加盟店の加盟店識別情報を発行すればよい。加盟店識別情報は、任意の形式であってよく、例えば、数字、文字、その他の記号、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0035】
対象決済情報は、対象決済に関する任意の情報を含んでよい。
図4の例では、対象決済情報は、対象決済で利用された決済手段を識別可能な決済手段識別情報、対象決済の決済金額、及び対象決済の決済日時を含む。決済手段識別情報は、決済サービスで取り扱い可能な決済手段を識別可能な情報である。決済手段識別情報は、任意の情報であってよく、例えば、クレジットカード番号、デビットカード番号、電子マネーのID、利用者のアカウント情報、銀行口座、又はその他の情報であってよい。決済金額は、加盟店端末20から取得される。決済日時は、サーバ10又は他のサーバコンピュータで決済が実行された場合の日時である。決済サービスで何らかの決済が実行されるたびに、対象決済データベースDB1に新たなレコードが作成されて、当該決済のデータが格納されてもよい。
【0036】
図5は、対象加盟店データベースDB2の一例を示す図である。対象加盟店データベースDB2は、対象加盟店に関する各種情報が格納されたデータベースである。例えば、対象加盟店データベースDB2には、加盟店識別情報と、対象加盟店情報と、が格納される。対象加盟店データベースDB2には、任意の情報が格納されてよく、対象加盟店データベースDB2に格納される情報は、
図5の例に限られない。例えば、対象加盟店データベースDB2には、加盟店不正検知モデルM2による不正検知の結果を示す情報が格納されてもよい。
【0037】
対象加盟店情報は、対象加盟店に関する任意の情報を含んでよい。
図5の例では、対象加盟店情報は、対象加盟店の屋号、業種、住所、商材、サービス内容、資本金、営業時間、及びオーナーの氏名を示す。本実施形態では、決済サービスの全ての加盟店が対象加盟店になる場合を例に挙げるが、一部の加盟店だけが対象加盟店になってもよい。対象加盟店情報は、対象加盟店により登録されてもよいし、決済サービスの管理者によって登録されてもよい。例えば、対象加盟店情報は、初期審査の時に対象加盟店が入力した情報を含む。対象加盟店情報は、初期審査を通過した後に対象加盟店が入力した情報を含んでもよい。なお、対象加盟店情報に含まれる個々の情報は、テキストであってもよいし、テキストが何らかの形で数値化(例えば、業種を示す数値等)されていてもよい。
【0038】
図6は、訓練決済データベースDB3の一例を示す図である。訓練決済データベースDB3は、決済不正検知モデルM1に学習させる訓練データが格納されたデータベースである。例えば、訓練決済データベースDB3には、複数の訓練データが格納される。個々の訓練データは、入力部分と、出力部分と、のペアである。訓練データの入力部分及び出力部分は、原則として、推定時における決済不正検知モデルM1の入力及び出力と同じ形式である。出力部分は、学習時における正解ということもできる。例えば、訓練データは、管理者により手動で作成されてもよいし、何らかの作成ツールが利用されてもよい。
【0039】
例えば、決済不正検知モデルM1の訓練データの入力部分は、訓練用の加盟店である訓練加盟店で行われた決済である訓練決済に関する訓練決済情報である。訓練決済情報は、訓練加盟店で行われた決済の情報という意味で、対象決済情報とは異なるが、情報の内容としては、対象決済情報と同様である。決済不正検知モデルM1の訓練データの出力部分は、訓練決済の不正の有無に関する情報である。本実施形態では、決済不正検知モデルM1の訓練データの出力部分は、訓練決済が不正であるか否かを示すラベルである場合を説明するが、当該出力部分は、不正の疑いを示すスコアであってもよい。
【0040】
図7は、訓練加盟店データベースDB4の一例を示す図である。訓練加盟店データベースDB4は、加盟店不正検知モデルM2に学習させる訓練データが格納されたデータベースである。例えば、訓練加盟店データベースDB4には、複数の訓練データが格納される。個々の訓練データは、入力部分と、出力部分と、のペアである。訓練データの入力部分及び出力部分は、原則として、推定時における加盟店不正検知モデルM2の入力及び出力と同じ形式である。出力部分は、学習時における正解ということもできる。例えば、訓練データは、管理者により手動で作成されてもよいし、何らかの作成ツールが利用されてもよい。
【0041】
例えば、加盟店不正検知モデルM2の訓練データの入力部分は、訓練加盟店に関する訓練加盟店情報である。訓練加盟店情報は、訓練加盟店の情報という意味で、対象加盟店情報とは異なるが、情報の内容としては、対象加盟店情報と同様である。加盟店不正検知モデルM2の訓練データの出力部分は、訓練加盟店の不正の有無に関する情報である。本実施形態では、加盟店不正検知モデルM2の訓練データの出力部分は、訓練加盟店が不正であるか否かを示すラベルである場合を説明するが、当該出力部分は、不正の疑いを示すスコアであってもよい。
【0042】
なお、データベース記憶部100が記憶するデータは、上記の例に限られない。データベース記憶部100は、任意のデータを記憶可能である。例えば、データベース記憶部100は、決済サービスにおける不正検知に必要なデータベース又はその他のデータを記憶すればよい。以降では、対象決済情報及び訓練決済情報を区別しないときは、単に決済情報ということがある。同様に、対象加盟店情報及び訓練加盟店情報を区別しないときは、単に加盟店情報ということがある。
【0043】
[決済不正検知モデル記憶部]
決済不正検知モデル記憶部101は、訓練加盟店で行われた決済である訓練決済に関する訓練決済情報と、訓練決済の不正の有無と、の関係が学習された決済不正検知モデルM1を記憶する。決済不正検知モデルM1は、特徴量の計算等を実行するプログラム部分と、プログラム部分によって参照されるパラメータ部分と、を含む。この特徴量は、埋め込み表現と呼ばれることもある。学習によって、パラメータ部分が変更される。学習部103による学習が完了すると、学習前の決済不正検知モデルM1のパラメータ部分が上書きされる。
【0044】
なお、決済不正検知モデルM1は、任意の機械学習手法のモデルであってよい。例えば、決済不正検知モデルM1は、教師有り学習又は半教師有り学習のモデルに限られず、教師無し学習のモデルであってもよい。例えば、決済不正検知モデルM1は、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰、又はその他の手法のモデルであってもよい。決済不正検知モデル記憶部101は、決済不正検知モデルM1の学習に必要なプログラムを記憶してもよい。
【0045】
[加盟店不正検知モデル記憶部]
加盟店不正検知モデル記憶部102は、訓練用の加盟店である訓練加盟店に関する訓練加盟店情報と、訓練加盟店の不正の有無と、の関係が学習された加盟店不正検知モデルM2を記憶する。加盟店不正検知モデルM2は、特徴量の計算等を実行するプログラム部分と、プログラム部分によって参照されるパラメータ部分と、を含む。この特徴量は、埋め込み表現と呼ばれることもある。学習によって、パラメータ部分が変更される。学習部103による学習が完了すると、学習前の加盟店不正検知モデルM2のパラメータ部分が上書きされる。加盟店不正検知モデル記憶部102は、加盟店不正検知モデルM2の学習に必要なプログラムを記憶する。
【0046】
なお、加盟店不正検知モデルM2は、任意の機械学習手法のモデルであってよい。例えば、加盟店不正検知モデルM2は、教師有り学習又は半教師有り学習のモデルに限られず、教師無し学習のモデルであってもよい。例えば、加盟店不正検知モデルM2は、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰、又はその他の手法のモデルであってもよい。加盟店不正検知モデル記憶部102は、加盟店不正検知モデルM2の学習に必要なプログラムを記憶してもよい。
【0047】
[学習部]
学習部103は、訓練決済データベースDB3に格納された訓練データに基づいて、決済不正検知モデルM1の学習を実行する。決済不正検知モデルM1の学習は、決済不正検知モデルM1のパラメータを調整することである。例えば、学習部103は、訓練決済データベースDB3に格納された複数の訓練データの全部又は一部を、決済不正検知モデルM1に学習させる。決済不正検知モデルM1の学習自体は、公知の機械学習の手法を利用可能であり、例えば、誤差逆伝播法又は勾配降下法を利用してもよい。決済不正検知モデルM1の学習で用いられる損失関数等も、公知の手法であってよい。学習部103は、訓練決済データベースDB3に格納された訓練データの入力部分が入力された場合に、当該訓練データの出力部分が出力されるように、決済不正検知モデルM1の学習を実行する。
【0048】
例えば、訓練決済データベースDB3に格納された訓練データに、ある特定の決済金額の決済、又は、ある特定の決済日時の決済で不正が多発する傾向が示されていたとする。この場合、学習部103による学習によって、決済不正検知モデルM1には、当該特定の決済金額の決済、又は、当該特定の決済日時の決済であれば、不正の疑いがあることが学習される。この点は、決済金額及び決済日時以外の他の特徴が決済不正検知モデルM1に学習された場合も同様である。決済不正検知モデルM1には、当該他の特徴の決済であれば、不正の疑いがあることが学習される。
【0049】
学習部103は、訓練加盟店データベースDB4に格納された訓練データに基づいて、加盟店不正検知モデルM2の学習を実行する。加盟店不正検知モデルM2の学習は、加盟店不正検知モデルM2のパラメータを調整することである。例えば、学習部103は、訓練加盟店データベースDB4に格納された複数の訓練データの全部又は一部を、加盟店不正検知モデルM2に学習させる。加盟店不正検知モデルM2の学習自体は、公知の機械学習の手法を利用可能であり、例えば、誤差逆伝播法又は勾配降下法を利用してもよい。加盟店不正検知モデルM2の学習で用いられる損失関数等も、公知の手法であってよい。学習部103は、訓練加盟店データベースDB4に格納された訓練データの入力部分が入力された場合に、当該訓練データの出力部分が出力されるように、加盟店不正検知モデルM2の学習を実行する。
【0050】
例えば、訓練加盟店データベースDB4に格納された訓練データに、ある特定のエリアの加盟店、又は、ある特定の業種の加盟店で不正が多発する傾向が示されていたとする。この場合、学習部103による学習によって、加盟店不正検知モデルM2には、当該特定のエリアの加盟店、又は、当該特定の業種の加盟店であれば、不正の疑いがあることが学習される。この点は、エリア及び業種以外の他の特徴が加盟店不正検知モデルM2に学習された場合も同様である。加盟店不正検知モデルM2には、当該他の特徴の加盟店であれば、不正の疑いがあることが学習される。
【0051】
本実施形態では、加盟店不正検知モデルM2には、決済不正検知モデルM1よりも、訓練加盟店に関する特徴が学習されている。例えば、訓練決済データベースDB3に格納された訓練データには、訓練加盟店の特徴が示されておらず、訓練決済の特徴だけが示されていてもよい。訓練加盟店データベースDB4に格納された訓練データには、訓練加盟店の特徴が示されている。
【0052】
なお、訓練決済データベースDB3に格納された訓練データには、訓練加盟店の特徴が示されていてもよい。この場合、訓練加盟店データベースDB4に格納された訓練データには、訓練決済データベースDB3に格納された訓練データに示された訓練加盟店の特徴よりも、訓練加盟店の多くの特徴が示されている。例えば、訓練決済データベースDB3に格納された訓練データに、訓練加盟店の特徴がn(nは自然数)項目示されていたとすると、訓練加盟店データベースDB4に格納された訓練データには、訓練加盟店の特徴がm(mは、nよりも大きい整数)項目示されている。
【0053】
[受信部]
受信部104は、加盟店端末20から、決済情報及び加盟店情報を取得する。受信部104は、決済不正検知モデルM1に学習させる決済情報を受信すると、当該決済情報を訓練決済情報として、訓練決済データベースDB3に格納する。受信部104は、決済不正検知モデルM1に推定させる決済情報を受信すると、当該決済情報を対象決済情報として、訓練決済データベースDB3に格納する。受信部104は、加盟店不正検知モデルM2に学習させる加盟店情報を受信すると、当該加盟店情報を訓練加盟店情報として、訓練加盟店データベースDB4に格納する。受信部104は、加盟店不正検知モデルM2に推定させる加盟店情報を受信すると、当該加盟店情報を対象加盟店情報として、訓練加盟店データベースDB4に格納する。
【0054】
[対象決済情報取得部]
対象決済情報取得部105は、対象加盟店で行われた決済である対象決済に関する対象決済情報を取得する。本実施形態では、対象決済データベースDB1に対象決済情報が格納されているので、対象決済情報取得部105は、対象決済データベースDB1に格納された全部又は一部の対象決済情報を取得する。サーバ10以外の他のコンピュータ又は外部記憶媒体に対象決済情報が記録されている場合には、対象決済情報取得部105は、他のコンピュータ又は外部記憶媒体から、対象決済情報を取得する。例えば、対象決済情報取得部105は、加盟店端末20又は管理者端末30から、対象決済情報を取得してもよい。
【0055】
[決済不正検知部]
決済不正検知部106は、対象決済情報取得部105により取得された対象決済情報と、決済不正検知モデルM1と、に基づいて、対象決済の不正を検知する。例えば、決済不正検知部106は、学習済みの決済不正検知モデルM1に対し、対象決済情報を入力する。決済不正検知部106は、対象決済情報に対し、正規化又は集計といった前処理を実行し、学習済みの決済不正検知モデルM1に対し、前処理が実行された対象決済情報を入力してもよい。
【0056】
例えば、決済不正検知モデルM1は、学習部103によって調整されたパラメータに基づいて、対象決済情報の特徴量を計算する。決済不正検知モデルM1は、当該計算された特徴量に基づいて、対象決済が不正であるか否かを推定する。決済不正検知モデルM1は、対象決済が不正であるか否かの推定結果を出力する。別の言い方をすれば、決済不正検知モデルM1は、対象決済が不正であるか否かのラベリングを実行する。推定結果は、不正であるか否かを示すラベルということもできる。決済不正検知モデルM1は、対象決済の不正の疑いを示すスコアを出力してもよい。
【0057】
例えば、決済不正検知部106は、決済不正検知モデルM1の処理対象となった複数の対象決済のうち、決済不正検知モデルM1が不正と推定した対象決済を、不正な対象決済として検知する。決済不正検知モデルM1がスコアを出力する場合には、決済不正検知部106は、決済不正検知モデルM1の処理対象となった複数の対象決済のうち、決済不正検知モデルM1が出力したスコアが閾値以上の対象決済を、不正な対象決済として検知する。決済不正検知部106は、閾値を利用せずに、複数の対象決済をスコアの降順に並べたときの所定順位以上の対象決済を、不正な対象決済として検知してもよい。
【0058】
なお、決済不正検知部106は、加盟店端末20から決済の要求がサーバ10に送信された場合に、当該決済を対象決済として、不正の有無を判定してもよい。決済不正検知部106は、実際の決済時には不正の有無を判定せずに、事後的に不正の有無を判定してもよい。例えば、決済不正検知部106は、日時等のバッチ処理によって、ある期間内に実行された複数の決済を対象決済として、不正の有無を判定してもよい。
【0059】
[対象加盟店情報取得部]
対象加盟店情報取得部107は、決済サービスの初期審査を通過した加盟店であって、不正検知の対象となる加盟店である対象加盟店に関する対象加盟店情報を取得する。本実施形態では、対象加盟店データベースDB2に対象加盟店情報が格納されているので、対象加盟店情報取得部107は、対象加盟店データベースDB2に格納された全部又は一部の対象加盟店情報を取得する。サーバ10以外の他のコンピュータ又は外部記憶媒体に対象加盟店情報が記録されている場合には、対象加盟店情報取得部107は、他のコンピュータ又は外部記憶媒体から、対象加盟店情報を取得する。例えば、対象加盟店情報取得部107は、加盟店端末20又は管理者端末30から、対象加盟店情報を取得してもよい。
【0060】
[加盟店不正検知部]
加盟店不正検知部108は、対象加盟店情報取得部107により取得された対象加盟店情報と、加盟店不正検知モデルM2と、に基づいて、対象加盟店の不正を検知する。例えば、加盟店不正検知部108は、学習済みの加盟店不正検知モデルM2に対し、対象加盟店情報を入力する。加盟店不正検知部108は、対象加盟店情報に対し、正規化又は集計といった前処理を実行し、学習済みの加盟店不正検知モデルM2に対し、前処理が実行された対象加盟店情報を入力してもよい。
【0061】
例えば、加盟店不正検知モデルM2は、学習部103によって調整されたパラメータに基づいて、対象加盟店情報の特徴量を計算する。加盟店不正検知モデルM2は、当該計算された特徴量に基づいて、対象加盟店が不正であるか否かを推定する。加盟店不正検知モデルM2は、対象加盟店が不正であるか否かの推定結果を出力する。別の言い方をすれば、加盟店不正検知モデルM2は、対象加盟店が不正であるか否かのラベリングを実行する。推定結果は、不正であるか否かを示すラベルということもできる。加盟店不正検知モデルM2は、対象加盟店の不正の疑いを示すスコアを出力してもよい。
【0062】
例えば、加盟店不正検知部108は、加盟店不正検知モデルM2の処理対象となった複数の対象加盟店のうち、加盟店不正検知モデルM2が不正と推定した対象加盟店を、不正な対象加盟店として検知する。加盟店不正検知モデルM2がスコアを出力する場合には、加盟店不正検知部108は、加盟店不正検知モデルM2の処理対象となった複数の対象加盟店のうち、加盟店不正検知モデルM2が出力したスコアが閾値以上の対象加盟店を、不正な対象加盟店として検知する。加盟店不正検知部108は、閾値を利用せずに、複数の対象加盟店をスコアの降順に並べたときの所定順位以上の対象加盟店を、不正な対象加盟店として検知してもよい。
【0063】
なお、加盟店不正検知部108は、ある加盟店の加盟店端末20から決済の要求がサーバ10に送信された場合に、当該加盟店を対象加盟店として、不正の有無を判定してもよい。加盟店不正検知部108は、実際の決済時には不正の有無を判定せずに、事後的に不正の有無を判定してもよい。例えば、加盟店不正検知部108は、日時等のバッチ処理によって、ある期間内に決済が実行された複数の加盟店を対象加盟店として、不正の有無を判定してもよい。
【0064】
[通知部]
通知部109は、管理者端末30に対し、決済サービスで検知された不正を通知する。通知部109は、予め定められた通知手段に基づいて、不正を通知すればよい。例えば、通知部109は、電子メール、メッセンジャー、チャット、又はその他のツールに基づいて、管理者端末30に通知を行う。管理者用のアプリケーションが管理者端末30にインストールされている安倍には、通知部109は、当該アプリケーション上で通知を行なってもよい。
【0065】
図8は、管理者端末30に表示される通知の一例を示す図である。例えば、通知部109は、決済不正検知モデルM1により不正と推定された対象決済情報の詳細を、管理者端末30に通知する。通知部109は、加盟店不正検知モデルM2により不正と推定された対象加盟店情報の詳細を、管理者端末30に通知する。通知部109は、管理者端末30に対し、
図8の通知を示すデータを送信することによって、通知を行う。
【0066】
例えば、管理者は、
図8の通知を確認し、不正が検知された対象決済及び対象加盟店の売上調査及び途上審査を行う。管理者は、
図8の通知から、不正が検知された対象決済及び対象加盟店の詳細を確認する。管理者は、最終的に不正と判断した対象決済をキャンセルしたり、当該対象決済で利用されたクレジットカード等の決済手段の利用を一時停止したりするための手続きを行う。管理者は、最終的に不正と判断した対象加盟店の決済サービスの利用を一時停止したり、当該対象加盟店を決済サービスから脱退させたりするための手続きを行う。
【0067】
[3-2.加盟店端末で実現される機能]
加盟店端末20は、データ記憶部200及び送信部201を含む。データ記憶部200は、記憶部22により実現される。送信部201は、制御部21により実現される。
【0068】
[データ記憶部]
データ記憶部200は、加盟店が決済サービスを利用するために必要なデータを記憶する。例えば、データ記憶部200は、決済サービスの加盟店向けのアプリケーションを記憶する。当該アプリケーションには、加盟店端末20が決済情報を生成するためのコードと、加盟店端末20が加盟店情報を生成するためのコードと、が含まれている。
【0069】
[送信部]
送信部201は、サーバ10に対し、種々の情報を送信する。例えば、送信部201は、加盟店で決済が実行されると、サーバ10に対し、当該決済の決済情報を送信する。送信部201は、加盟店の担当者が加盟店情報を編集すると、サーバ10に対し、当該編集された加盟店情報を送信する。
【0070】
[3-3.管理者端末で実現される機能]
管理者端末30は、データ記憶部300、表示制御部301、及び操作受付部302を含む。データ記憶部300は、記憶部32により実現される。表示制御部301及び操作受付部302は、制御部31により実現される。
【0071】
[データ記憶部]
データ記憶部300は、決済サービスにおける管理者の業務に必要なデータを記憶する。例えば、データ記憶部300は、管理者用のアプリケーションを記憶する。
【0072】
[表示制御部]
表示制御部301は、種々の画面を表示部35に表示させる。例えば、表示制御部301は、管理者用のアプリケーションに基づいて、
図8の通知を表示部35に表示させる。
【0073】
[操作受付部]
操作受付部302は、操作部34から行われた種々の操作を受け付ける。例えば、操作受付部302は、
図8の通知又はその他の画面に対する操作を受け付ける。操作受付部302により受け付けられた操作内容は、サーバ10に送信される。
【0074】
[4.不正検知システムで実行される処理]
図9は、不正検知システム1で実行される処理の一例を示す図である。
図9の処理は、制御部11,21,31がそれぞれ記憶部12,22,32に記憶されたプログラムに従って動作することによって実行される。
【0075】
図9のように、サーバ10は、訓練決済データベースDB3に格納された訓練データに基づいて、決済不正検知モデルM1の学習を行う(S1)。サーバ10は、訓練加盟店データベースDB4に格納された訓練データに基づいて、加盟店不正検知モデルM2の学習を行う(S2)。加盟店端末20は、サーバ10に対し、対象決済情報及び対象加盟店情報の少なくとも一方を送信する(S3)。加盟店端末20は、加盟店で決済が実行されるたびに、対象決済情報をサーバ10に送信してもよい。加盟店端末20は、加盟店が対象加盟店情報を更新する操作を行うたびに、対象加盟店情報をサーバ10に送信してもよい。
【0076】
サーバ10は、対象決済情報及び対象加盟店情報の少なくとも一方を受信すると(S4)、当該受信した対象決済情報を、対象決済データベースDB1に格納する(S5)。サーバ10は、当該受信した対象加盟店情報を、対象加盟店データベースDB2に格納する(S6)。サーバ10が対象決済情報を受信しなかった場合には、S5の処理は実行されない。サーバ10が対象加盟店情報を受信しなかった場合には、S6の処理は実行されない。
【0077】
サーバ10は、対象決済データベースDB1に格納された対象決済の対象決済情報と、決済不正検知モデルM1と、に基づいて、対象決済の不正検知を実行する(S7)。サーバ10は、対象加盟店データベースDB2に格納された対象加盟店の対象加盟店情報と、加盟店不正検知モデルM2と、に基づいて、対象加盟店の不正検知を実行する(S8)。サーバ10は、S7における不正検知の実行結果と、S8における不正検知の実行結果と、に基づいて、管理者端末30への通知を行う(S9)。管理者端末30は、サーバ10から通知を受信すると(S10)、サーバ10から受信した通知を表示部35に表示させ(S11)、本処理は終了する。
【0078】
[5.実施形態のまとめ]
本実施形態の不正検知システム1は、対象加盟店情報と、加盟店不正検知モデルM2と、に基づいて、対象加盟店の不正を検知する。不正検知システム1は、対象加盟店の不正を検知できるので、決済サービスにおける不正検知の精度を高めることができる。例えば、対象加盟店が、クレジットカード決済が禁止されている商品又はサービスに対し、意図的にクレジットカード決済を実行することがある。このような不正は、ある特定の特徴を有する対象加盟店で多発することがある。このような加盟店による不正の傾向が加盟店不正検知モデルM2に学習されていれば、不正検知システム1は、このような加盟店による不正を検知できる。更に、決済不正検知モデルM1は、個々の対象決済に着目した不正検知なので、局所的な特徴を考慮して不正を検知するのに適しているが、加盟店不正検知モデルM2は、対象加盟店に着目した不正検知なので、より長期間発生する不正を検知するのに適している。例えば、不正検知システム1は、不正が多発する対象加盟店を、より長期的な特徴を考慮して検知できる。
【0079】
また、不正検知システム1は、対象決済情報と、決済不正検知モデルM1と、に基づいて、対象決済の不正を検知する。加盟店不正検知モデルM2には、決済不正検知モデルM1よりも、訓練加盟店に関する特徴が学習されている。不正検知システム1は、決済不正検知モデルM1によって個々の決済の不正を検知しつつ、加盟店不正検知モデルM2によって加盟店自体の不正を検知できるので、決済サービスにおける不正検知の精度を高めることができる。
【0080】
[6.変形例]
なお、本開示は、実施形態に限定されはない。本開示は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【0081】
図10は、変形例の不正検知システム1で実現される機能の一例を示す図である。例えば、サーバ10は、条件判定部110、初期審査モデル作成部111、初期審査モデル記憶部112、及び初期審査処理実行部113を含む。初期審査モデル記憶部112は、記憶部12により実現される。条件判定部110、初期審査モデル作成部111、及び初期審査処理実行部113の各々は、制御部11により実現される。
【0082】
[6-1.変形例1]
例えば、対象加盟店情報は、決済不正検知モデルM1により行われた対象決済の不正検知の結果に関する対象結果情報を含んでもよい。変形例1では、対象結果情報が、過去に対象加盟店で実行された複数の対象決済のうち、決済不正検知モデルM1により不正が検知された対象決済の数を示す場合を例に挙げる。サーバ10は、ある対象加盟店で実行された対象決済が決済不正検知部106により処理された場合に、当該対象決済の不正検知の結果に基づいて、当該対象加盟店の対象結果情報を更新する。対象結果情報は、対象加盟店情報として、対象加盟店データベースDB2に格納されている。
【0083】
なお、対象結果情報は、対象加盟店で実行された対象決済の不正検知の結果に基づく情報であればよく、上記の例に限られない。例えば、対象結果情報は、直近の所定期間(例えば、過去3ヶ月)の間に、決済不正検知モデルM1により不正が検知された対象決済の数を示してもよい。対象結果情報は、直近の所定期間の間に、決済不正検知モデルM1により不正が検知された対象決済の割合又は頻度を示してもよい。サーバ10は、ある対象加盟店で実行された対象決済が決済不正検知部106により処理された場合に、当該対象決済の不正検知の結果に基づいて、これらの対象結果情報を集計すればよい。
【0084】
変形例1の訓練加盟店情報は、決済不正検知モデルM1により行われた訓練決済の不正検知の結果に関する訓練結果情報を含む。訓練結果情報は、加盟店不正検知モデルM2の訓練用の情報という点で対象結果情報とは異なるが、他の点は、対象結果情報と同様である。変形例1では、訓練結果情報が、過去に訓練加盟店で実行された複数の訓練決済のうち、不正が検知された訓練決済の数を示す場合を例に挙げる。訓練決済の不正は、実施形態で説明した訓練データ(訓練結果情報を含まない訓練データ)に基づいて、ひとまず作成された決済不正検知モデルM1により検知されてもよいし、管理者が人手でアノテーションしてもよい。
【0085】
変形例1の加盟店不正検知部108は、対象結果情報を含む対象加盟店情報と、加盟店不正検知モデルM2と、に基づいて、対象加盟店の不正を検知する。例えば、加盟店不正検知部108は、学習済みの加盟店不正検知モデルM2に対し、対象結果情報を含む対象加盟店情報を入力する。加盟店不正検知モデルM2に対して入力された対象加盟店情報の内容が実施形態とは異なるが、加盟店不正検知モデルM2が実行する処理は、実施形態と同様である。
【0086】
変形例1の対象加盟店情報は、対象結果情報を含む。訓練加盟店情報は、訓練結果情報を含む。不正検知システム1は、対象結果情報を含む対象加盟店情報と、加盟店不正検知モデルM2と、に基づいて、対象加盟店の不正を検知する。これにより、加盟店不正検知モデルM2が、決済不正検知モデルM1による推定結果も考慮して、対象加盟店の不正を検知できるようになるので、決済サービスにおける不正検知の精度が高まる。例えば、個々の決済の不正の有無と、対象加盟店の不正の有無と、の間に因果関係が存在することがあるので、このような因果関係を学習した加盟店不正検知モデルM2が、加盟店の不正を検知できる。
【0087】
[6-2.変形例2]
例えば、対象加盟店情報は、対象加盟店自体の情報だけを含んでもよいが、多少の対象決済の情報を含んでもよい。変形例2では、対象加盟店情報は、対象加盟店の住所等の静的な情報だけではなく、直近3ヶ月に対象加盟店で実行された対象決済の平均金額と、今回の対象決済(ある特定の対象決済)の決済金額と、の差も含む場合を例に挙げる。対象加盟店情報は、当該差ではなく、今回の対象決済の決済金額等の他の情報を含んでもよい。
【0088】
同様に、訓練加盟店情報は、訓練加盟店自体の情報だけを含んでもよいが、多少の訓練決済の情報を含んでもよい。変形例2では、訓練加盟店情報は、訓練加盟店の住所等の静的な情報だけではなく、直近3ヶ月に訓練加盟店で実行された訓練決済の平均金額と、今回の訓練決済(ある特定の訓練決済)の決済金額と、の差も含む場合を例に挙げる。訓練加盟店情報は、当該差ではなく、今回の訓練決済の決済金額等の他の情報を含んでもよい。
【0089】
ある対象加盟店における全ての決済が対象決済となってもよいが、変形例2では、ある特定の条件を満たした決済だけが対象決済になるものとする。以降、当該条件を、処理対象条件という。処理対象条件は、決済情報に基づいて判定可能な条件であればよい。変形例2では、決済金額が閾値以上であることが処理対象条件である場合を例に挙げる。処理対象条件は、他の条件であってもよく、例えば、決済日時、対象加盟店で利用者が購入した商品、対象加盟店で利用者が利用したサービス、又はその他の条件であってもよい。処理対象条件は、データベース記憶部100に予め記憶されているものとする。管理者は、処理対象条件を変更してもよい。
【0090】
変形例2の不正検知システム1は、条件判定部110を含む。条件判定部110は、決済不正検知モデルM1の処理対象となる処理対象条件を対象決済が満たすか否かを判定する。条件判定部110は、ある対象決済の対象決済情報に基づいて、当該対象決済が処理対象条件を満たすか否かを判定する。変形例2では、ある対象決済の対象決済情報が示す決済金額が閾値以上であるか否かを判定する。処理対象条件が他の条件である場合には、条件判定部110は、他の条件に応じた処理を実行することによって、対象決済が処理対象条件を満たすか否かを判定すればよい。
【0091】
変形例2の決済不正検知部106は、処理対象条件を満たす対象決済を、決済不正検知モデルM1の処理対象とする。即ち、決済不正検知部106は、対象加盟店で実行された複数の決済のうち、処理対象条件を満たす決済を対象決済として決定する。決済不正検知部106は、当該対象決済の対象決済情報と、決済不正検知モデルM1と、に基づいて、当該対象決済の不正を検知する。決済不正検知部106は、処理対象条件を満たさなかった対象決済を、決済不正検知モデルM1の処理対象とはしない。なお、決済不正検知モデルM1の訓練データは、処理対象条件に関係なく作成されてもよいし、処理対象条件を満たす訓練決済の訓練決済情報に基づいて作成されてもよい。
【0092】
変形例2の加盟店不正検知部108は、処理対象条件に関係なく、対象決済が行われた対象加盟店を、加盟店不正検知モデルM2の処理対象とする。例えば、加盟店不正検知部108は、対象加盟店で決済が実行されるたびに、当該対象加盟店の対象加盟店情報と、加盟店不正検知モデルM2と、に基づいて、当該対象加盟店の不正を検知する。加盟店不正検知部108は、対象加盟店の全ての決済が実行された場合に対象加盟店の不正を推定するのではなく、一部の決済が実行された場合にだけ、対象加盟店の不正を推定してもよい。この場合、一部の決済は、処理対象条件とは異なる条件(例えば、ランダムに選択される等)に基づいて決定されるものとする。
【0093】
変形例2の不正検知システム1は、決済不正検知モデルM1の処理対象となる処理対象条件を対象決済が満たすか否かを判定する。不正検知システム1は、処理対象条件を満たす対象決済を、決済不正検知モデルM1の処理対象とする。不正検知システム1は、処理対象条件に関係なく、対象決済が行われた対象加盟店を、加盟店不正検知モデルM2の処理対象とする。これにより、全ての対象決済が決済不正検知モデルM1の処理対象になるわけではないため、サーバ10の処理負荷を軽減できる。更に、加盟店不正検知モデルM2は、処理対象条件に関係なく処理対象が決まるので、決済不正検知モデルM1では検知できないような加盟店自体の不正を検知できる。
【0094】
[6-3.変形例3]
例えば、加盟店不正検知部108は、加盟店不正検知モデルM2により出力された、対象加盟店の不正に関する対象加盟店スコアを取得してもよい。変形例3では、対象加盟店スコアが数値で表現される場合を説明するが、対象加盟店スコアは、文字又は記号といった他の形式で表現されてもよい。対象加盟店スコアは、加盟店不正検知モデルM2が推定した不正の疑いの程度を示す。当該程度は、蓋然性と言われることもある。例えば、対象加盟店スコアは、0以上1以下の数値で表現される。対象加盟店スコアの数値が高いほど、対象加盟店が不正である疑いが高い。対象加盟店スコアは、加盟店不正検知モデルM2の推定結果の精度ということもできる。
【0095】
例えば、加盟店不正検知部108は、決済不正検知モデルM1により出力された、対象決済の不正に関する対象決済スコアを取得する。変形例3では、対象決済スコアが数値で表現される場合を説明するが、対象決済スコアは、文字又は記号といった他の形式で表現されてもよい。対象決済スコアは、決済不正検知モデルM1が推定した不正の疑いの程度を示す。当該程度は、蓋然性と言われることもある。例えば、対象決済スコアは、0以上1以下の数値で表現される。対象決済スコアの数値が高いほど、対象決済が不正である疑いが高い。対象決済スコアは、決済不正検知モデルM1の推定結果の精度ということもできる。
【0096】
例えば、加盟店不正検知部108は、対象加盟店スコアと、対象決済スコアと、に基づいて、対象加盟店及び対象決済の不正に関する総合スコアを計算する。変形例3では、加盟店不正検知部108が、対象加盟店スコアと、対象決済スコアと、の合計を、総合スコアとして計算する場合を例に挙げるが、加盟店不正検知部108は、所定の計算方法に基づいて、総合スコアを計算すればよい。例えば、加盟店不正検知部108は、対象加盟店スコアと、対象決済スコアと、の平均を、総合スコアとして計算してもよい。加盟店不正検知部108は、対象加盟店スコアと、対象決済スコアと、所定の重み付け係数を含む計算式と、に基づいて、総合スコアを計算してもよい。加盟店不正検知部108は、対象加盟店スコアと、対象決済スコアと、サポートベクターマシン等の機械学習のモデルと、に基づいて、総合スコアを計算してもよい。
【0097】
例えば、加盟店不正検知部108は、総合スコアに基づいて、対象加盟店の不正を検知する。加盟店不正検知部108は、総合スコアが閾値以上であるか否かを判定する。加盟店不正検知部108は、総合スコアが閾値未満であると判定された場合には、対象加盟店が不正であると判定せず、総合スコアが閾値以上であると判定された場合に、対象加盟店が不正であると判定する。加盟店不正検知部108が不正を検知した後の処理は、実施形態と同様であってよい。
【0098】
変形例3の不正検知システム1は、対象加盟店スコアと、対象決済スコアと、に基づいて、対象加盟店及び対象決済の不正に関する総合スコアを計算し、総合スコアに基づいて、対象加盟店の不正を検知する。不正検知システム1は、決済不正検知モデルM1と、加盟店不正検知モデルM2と、の両方の推定結果を総合的に考慮して、対象加盟店の不正を検知できる。また、決済サービスの管理者は、総合スコアといった分かりやすい指標に基づいて、対象加盟店の不正を判断できる。
【0099】
[6-4.変形例4]
例えば、実施形態でも多少説明したが、対象加盟店情報は、対象加盟店により登録された対象加盟店の情報である対象登録情報を含んでもよい。対象登録情報は、対象加盟店が申請者として決済サービスへの加盟を申請した時に入力した情報と、対象加盟店が決済サービスの初期審査を通過した後に入力した情報と、の少なくとも一方である。訓練加盟店情報は、訓練加盟店により登録された訓練加盟店の情報である訓練登録情報を含む。訓練登録情報は、加盟店不正検知モデルM2の訓練用の情報という点で対象登録情報とは異なるが、他の点は、対象登録情報と同様である。
【0100】
加盟店不正検知部108は、対象登録情報を含む対象加盟店情報と、加盟店不正検知モデルM2と、に基づいて、対象加盟店の不正を検知する。例えば、加盟店不正検知部108は、学習済みの加盟店不正検知モデルM2に対し、対象登録情報を含む対象加盟店情報を入力する。加盟店不正検知モデルM2に対して入力された対象加盟店情報の内容が実施形態とは異なるが、加盟店不正検知モデルM2が実行する処理は、実施形態と同様である。
【0101】
変形例4の対象加盟店情報は、対象登録情報を含む。訓練加盟店情報は、訓練登録情報を含む。加盟店不正検知部108は、対象登録情報を含む対象加盟店情報と、加盟店不正検知モデルM2と、に基づいて、対象加盟店の不正を検知する。これにより、加盟店不正検知モデルM2が、対象加盟店が自ら登録した対象登録情報に基づいて、対象加盟店の不正を検知できるようになるので、決済サービスにおける不正検知の精度が高まる。例えば、対象加盟店が登録した対象登録情報と、対象加盟店の不正の有無と、の間に因果関係が存在することがあるので、このような因果関係を学習した加盟店不正検知モデルM2が、加盟店の不正を検知できる。
【0102】
[6-5.変形例5]
例えば、変形例2でも多少説明したが、対象加盟店情報は、対象加盟店で行われた複数の決済である複数の対象決済の差分に関する対象差分情報を含んでもよい。差分は、相違又は違いということもできる。変形例5では、対象差分情報が、直近3ヶ月に対象加盟店で実行された対象決済の平均金額と、今回の対象決済の決済金額と、の差を示す場合を例に挙げる。対象差分情報は、金額の差以外の差を示してもよい。例えば、対象差分情報は、1日の中で最も対象決済の数が多い時間帯の差、対象決済の頻度の差、対象決済で購入された商品の差、対象決済で利用されたサービスの差、又はその他の差であってもよい。
【0103】
変形例5の訓練加盟店情報は、訓練加盟店で行われた複数の決済である複数の訓練決済の差分に関する訓練差分情報を含む。例えば、訓練差分情報は、直近3ヶ月に訓練加盟店で実行された訓練決済の平均金額と、今回の訓練決済の決済金額と、の差を示す。訓練差分情報は、金額の差以外の差を示してもよい。例えば、訓練差分情報は、1日の中で最も訓練決済の数が多い時間帯の差、訓練決済の頻度の差、訓練決済で購入された商品の差、訓練決済で利用されたサービスの差、又はその他の差であってもよい。
【0104】
変形例5の加盟店不正検知部108は、対象差分情報を含む対象加盟店情報と、加盟店不正検知モデルM2と、に基づいて、対象加盟店の不正を検知する。例えば、加盟店不正検知部108は、学習済みの加盟店不正検知モデルM2に対し、対象差分情報を含む対象加盟店情報を入力する。加盟店不正検知モデルM2に対して入力された対象加盟店情報の内容が実施形態とは異なるが、加盟店不正検知モデルM2が実行する処理は、実施形態と同様である。
【0105】
変形例5の対象加盟店情報は、対象差分情報を含む。訓練加盟店情報は、訓練差分情報を含む。不正検知システム1は、対象差分情報を含む対象加盟店情報と、加盟店不正検知モデルM2と、に基づいて、対象加盟店の不正を検知する。これにより、加盟店不正検知モデルM2が、複数の対象決済の差分も考慮して、対象加盟店の不正を検知できるようになるので、決済サービスにおける不正検知の精度が高まる。例えば、対象加盟店における対象差分情報と、対象加盟店の不正の有無と、の間に因果関係が存在することがあるので、このような因果関係を学習した加盟店不正検知モデルM2が、加盟店の不正を検知できる。
【0106】
[6-6.変形例6]
例えば、
図2で説明した総合的な審査をより強固にするために、加盟店不正検知モデルM2による不正検知の結果が、初期審査にフィードバックされてもよい。初期審査は、決済サービスの管理者による手動で行われてもよいが、変形例6では、加盟店不正検知モデルM2による不正検知の結果に基づいて、初期審査のためのモデルが作成される場合を説明する。以降、当該モデルを、初期審査モデルM3という。初期審査モデルM3は、初期審査モデル記憶部112に記憶される。
【0107】
不正検知システム1は、初期審査モデル作成部111及び初期審査処理実行部113を含む。初期審査モデル作成部111は、加盟店不正検知モデルM2により検知された対象加盟店の不正に基づいて、決済サービスへの加盟を申請した申請者に対する初期審査に関する初期審査モデルM3を作成する。初期審査モデルM3は、特徴量の計算等を実行するプログラム部分と、プログラム部分によって参照されるパラメータ部分と、を含む。この特徴量は、埋め込み表現と呼ばれることもある。学習によって、パラメータ部分が変更される。初期審査モデル作成部111による学習が完了すると、学習前の初期審査モデルM3のパラメータ部分が上書きされる。
【0108】
なお、初期審査モデルM3は、任意の機械学習手法のモデルであってよい。例えば、初期審査モデルM3は、教師有り学習又は半教師有り学習のモデルに限られず、教師無し学習のモデルであってもよい。例えば、初期審査モデルM3は、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰、又はその他の手法のモデルであってもよい。
【0109】
例えば、初期審査モデル作成部111は、加盟店不正検知モデルM2により検知された対象加盟店の不正に基づいて、初期審査モデルM3の訓練データを作成する。訓練データの入力部分及び出力部分は、原則として、推定時における初期審査モデルM3の入力及び出力と同じ形式である。出力部分は、学習時における正解ということもできる。例えば、訓練データは、管理者により手動で作成されてもよいし、何らかの作成ツールが利用されてもよい。
【0110】
なお、初期審査モデル作成部111は、決済不正検知モデルM1により検知された決済が行われた対象加盟店の情報に基づいて、初期審査モデルM3の訓練データを作成してもよい。初期審査モデル作成部111は、決済不正検知モデルM1及び加盟店不正検知モデルM2の少なくとも一方の検出結果に基づいて、初期審査モデルM3の訓練データを作成すればよい。
【0111】
例えば、初期審査モデルM3の訓練データの入力部分は、訓練用の申請者である訓練申請者に関する訓練申請者情報である。訓練申請者情報は、加盟店不正検知モデルM2により不正が検知された対象加盟店が申請者として入力した情報であってもよい。訓練申請者情報は、加盟店不正検知モデルM2により不正が検知された対象加盟店が事後的に登録した情報であってもよい。変形例6では、初期審査モデルM3の訓練データの出力部分は、訓練申請者が不正であるか否かを示すラベルである場合を説明するが、当該出力部分は、不正の疑いを示すスコアであってもよい。
【0112】
例えば、初期審査モデル作成部111は、ある訓練申請者が加盟店として決済サービスに加盟した後に、当該訓練申請者が不正な対象加盟店として加盟店不正検知モデルM2により検知されたか否かを示すラベルを、初期審査モデルM3の訓練データの出力部分として決定する。初期審査モデル作成部111は、
図8の通知を見た管理者によるアノテーション結果を、初期審査モデルM3の訓練データの出力部分として決定してもよい。初期審査モデル作成部111は、初期審査モデルM3の訓練データを次々と作成し、データベース記憶部100に記録する。
【0113】
例えば、初期審査モデル作成部111は、初期審査モデルM3の複数の訓練データの全部又は一部を、初期審査モデルM3に学習させる。初期審査モデルM3の学習は、初期審査モデルM3のパラメータを調整することである。初期審査モデルM3の学習自体は、公知の機械学習の手法を利用可能であり、例えば、誤差逆伝播法又は勾配降下法を利用してもよい。初期審査モデルM3の学習で用いられる損失関数等も、公知の手法であってよい。初期審査モデル作成部111は、訓練データの入力部分が入力された場合に、当該訓練データの出力部分が出力されるように、初期審査モデルM3の学習を実行する。初期審査モデル作成部111は、学習済みの初期審査モデルM3を、初期審査モデル記憶部112に記録する。
【0114】
初期審査処理実行部113は、初期審査モデルM3に基づいて、申請者に対する初期審査に関する初期審査処理を実行する。例えば、初期審査処理実行部113は、初期審査モデルM3による処理対象となる申請者である対象申請者が入力した対象申請者情報を取得する。対象申請者情報は、訓練申請者の情報という意味で訓練申請者情報とは異なるが、情報の内容は、訓練申請者情報と同様である。例えば、初期審査処理実行部113は、学習済みの初期審査モデルM3に対し、対象申請者情報を入力する。初期審査処理実行部113は、対象申請者情報に対し、正規化又は集計といった前処理を実行し、学習済みの初期審査モデルM3に対し、前処理が実行された対象申請者情報を入力してもよい。
【0115】
例えば、初期審査モデルM3は、初期審査モデル作成部111によって調整されたパラメータに基づいて、対象加盟店情報の特徴量を計算する。初期審査モデルM3は、当該計算された特徴量に基づいて、対象申請者が加盟店になった後に不正を働くか否かを推定する。初期審査モデルM3は、対象申請者が不正であるか否かの推定結果を出力する。別の言い方をすれば、初期審査モデルM3は、対象申請者が不正であるか否かのラベリングを実行する。推定結果は、不正であるか否かを示すラベルということもできる。初期審査モデルM3は、対象申請者の不正の疑いを示すスコアを出力してもよい。初期審査モデルM3による出力は、管理者に通知される。管理者は、初期審査モデルM3による出力を参考にして、対象申請者を決済サービスに加盟させるか否かを審査する。
【0116】
変形例6の不正検知システム1は、加盟店不正検知モデルM2により検知された対象加盟店の不正に基づいて、初期審査モデルM3を作成する。不正検知システム1は、初期審査モデルM3に基づいて、申請者に対する初期審査に関する初期審査処理を実行する。不正検知システム1は、加盟店不正検知モデルM2の推定結果がフィードバックされた初期審査モデルM3によって、初期審査の精度を高めることができる。例えば、従来の初期審査では通過してしまう不正な加盟店が初期審査で通過するといったことを防止できる。
図2のような審査の例であれば、モニタリング以降の審査で得られた知見を、初期審査にフィードバックできる。
【0117】
[6-7.変形例7]
例えば、実施形態で説明したように、加盟店不正検知部108により対象加盟店の不正が検知された場合に、決済サービスの管理者による対象加盟店の審査(
図2では、売上調査及び途上審査)が実施される。このため、当該審査の結果が、初期審査にフィードバックされてもよい。変形例7の初期審査モデル作成部111は、管理者による審査結果に基づいて、決済サービスへの加盟を申請した申請者に対する初期審査に関する初期審査モデルM3を作成する。
【0118】
例えば、初期審査モデル作成部111は、
図2の売上調査及び途上審査の少なくとも一方の結果に基づいて、初期審査モデルM3の訓練データを作成する。売上調査及び途上審査の少なくとも一方の結果は、訓練加盟店が不正であるかを示すラベルである。このラベルは、売上調査及び途上審査の少なくとも一方を行った管理者により指定されるものとする。初期審査モデルM3の訓練データの入力部分は、変形例6と同様である。変形例7では、初期審査モデルM3の訓練データの出力部分は、
図2の売上調査及び途上審査の少なくとも一方の結果を示す。当該出力部分は、不正の疑いを示すスコアであってもよい。初期審査モデルM3の訓練データが作成された後の処理は、変形例6と同様であってよい。
【0119】
変形例7の初期審査処理実行部113は、初期審査モデルM3に基づいて、申請者に対する初期審査に関する初期審査処理を実行する。初期審査モデルM3の作成方法が変形例6とは異なるが、初期審査処理実行部113が実行する初期審査処理は、変形例6と同様であってよい。
【0120】
変形例7の不正検知システム1は、管理者による審査結果に基づいて、初期審査モデルM3を作成する。不正検知システム1は、初期審査モデルM3に基づいて、申請者に対する初期審査に関する初期審査処理を実行する。不正検知システム1は、管理者による審査結果がフィードバックされた初期審査モデルM3によって、初期審査の精度を高めることができる。例えば、従来の初期審査では通過してしまう不正な加盟店が初期審査で通過するといったことを防止できる。
図2のような審査の例であれば、モニタリング以降の審査で得られた知見を、初期審査にフィードバックできる。
【0121】
[6-8.変形例8]
例えば、対象加盟店情報は、決済サービスへの加盟を申請した申請者に対する初期審査に関する初期審査モデルM3による対象加盟店の処理結果に関する対象初期審査情報を含んでもよい。初期審査モデルM3は、変形例6又は変形例7の初期審査モデル作成部111により作成されてもよいし、他の作成方法によって作成されてもよい。例えば、他の作成方法としては、管理者が手動でアノテーションした訓練データに基づいて、初期審査モデルM3が作成される方法であってもよい。
【0122】
例えば、対象初期審査情報は、対象加盟店が申請者として決済サービスへの加盟を申請した時の初期審査モデルM3の推定結果を示す。初期審査モデルM3の推定結果が不正である申請者だったとしても、管理者により不正と判断されなかった場合には、初期審査を通過することがある。このため、対象初期審査情報は、初期審査で不正であることを示すこともある。対象初期審査情報は、初期審査モデルM3が出力したスコアを示してもよい。
【0123】
訓練加盟店情報は、初期審査モデルM3による訓練加盟店の処理結果に関する訓練初期審査情報を含む。訓練初期審査情報は、加盟店不正検知モデルM2の訓練用の情報という点で対象初期審査情報とは異なるが、他の点は、対象初期審査情報と同様である。変形例8では、訓練初期審査情報が、訓練加盟店が申請者として決済サービスへの加盟を申請した時の初期審査モデルM3の推定結果を示す。
【0124】
変形例8の加盟店不正検知部108は、対象初期審査情報を含む対象加盟店情報と、加盟店不正検知モデルM2と、に基づいて、対象加盟店の不正を検知する。例えば、加盟店不正検知部108は、学習済みの加盟店不正検知モデルM2に対し、対象初期審査情報を含む対象加盟店情報を入力する。加盟店不正検知モデルM2に対して入力された対象初期審査情報の内容が実施形態とは異なるが、加盟店不正検知モデルM2が実行する処理は、実施形態と同様である。
【0125】
変形例8の対象加盟店情報は、対象初期審査情報を含む。訓練加盟店情報は、訓練初期審査情報を含む。不正検知システム1は、対象初期審査情報を含む対象加盟店情報と、加盟店不正検知モデルM2と、に基づいて、対象加盟店の不正を検知する。これにより、加盟店不正検知モデルM2が、初期審査モデルM3による推定結果も考慮して、対象加盟店の不正を検知できるようになるので、決済サービスにおける不正検知の精度が高まる。例えば、対象加盟店の初期審査の結果と、対象加盟店の不正の有無と、の間に因果関係が存在することがあるので、このような因果関係を学習した加盟店不正検知モデルM2が、加盟店の不正を検知できる。
【0126】
[6-9.変形例9]
例えば、変形例3と同様に、加盟店不正検知部108は、加盟店不正検知モデルM2により出力された、対象加盟店の不正に関する対象加盟店スコアを取得してもよい。変形例9では、総合スコアは、変形例3のような対象決済スコアではなく、初期審査モデルM3により出力されたスコアに基づいて計算される。以降、当該スコアを、初期審査スコアという。
【0127】
変形例9の加盟店不正検知部108は、決済サービスへの加盟を申請した申請者に対する初期審査に関する初期審査モデルM3により出力された、対象加盟店の初期審査に関する初期審査スコアを取得する。変形例9では、初期審査スコアが数値で表現される場合を説明するが、初期審査スコアは、文字又は記号といった他の形式で表現されてもよい。初期審査スコアは、初期審査モデルM3が推定した不正の疑いの程度を示す。当該程度は、蓋然性と言われることもある。例えば、初期審査スコアは、0以上1以下の数値で表現される。初期審査スコアの数値が高いほど、申請者が不正である疑いが高い。初期審査スコアは、初期審査モデルM3の推定結果の精度ということもできる。
【0128】
変形例9の加盟店不正検知部108は、対象加盟店スコアと、初期審査スコアと、に基づいて、対象加盟店の不正を検知する。例えば、加盟店不正検知部108は、対象加盟店スコアと、初期審査スコアと、に基づいて、対象加盟店の総合的なスコアである総合スコアを計算する。
【0129】
変形例9では、加盟店不正検知部108が、対象加盟店スコアと、初期審査スコアと、の合計を、総合スコアとして計算する場合を例に挙げるが、加盟店不正検知部108は、所定の計算方法に基づいて、総合スコアを計算すればよい。例えば、加盟店不正検知部108が、対象加盟店スコアと、初期審査スコアと、の平均を、総合スコアとして計算してもよい。加盟店不正検知部108は、対象加盟店スコアと、初期審査スコアと、所定の重み付け係数を含む計算式と、に基づいて、総合スコアを計算してもよい。加盟店不正検知部108は、対象加盟店スコアと、初期審査スコアと、サポートベクターマシン等の機械学習のモデルと、に基づいて、総合スコアを計算してもよい。
【0130】
例えば、加盟店不正検知部108は、総合スコアに基づいて、対象加盟店の不正を検知する。加盟店不正検知部108は、総合スコアが閾値以上であるか否かを判定する。加盟店不正検知部108は、総合スコアが閾値未満であると判定された場合には、対象加盟店が不正であると判定せず、総合スコアが閾値以上であると判定された場合に、対象加盟店が不正であると判定する。加盟店不正検知部108が不正を検知した後の処理は、実施形態と同様であってよい。
【0131】
なお、加盟店不正検知部108は、総合スコアを計算することなく、対象加盟店スコアと、初期審査スコアと、に基づいて、対象加盟店の不正を検知してもよい。例えば、加盟店不正検知部108は、対象加盟店スコアが閾値以上であり、かつ、初期審査スコアが閾値以上である場合に、対象加盟店を不正と推定してもよい。他にも例えば、加盟店不正検知部108は、初期審査スコアに基づいて、対象加盟店スコアの閾値を決定し、対象加盟店スコアが当該閾値以上であるか否かを判定することによって、対象加盟店の不正を検知してもよい。
【0132】
変形例9の不正検知システム1は、対象加盟店スコアと、初期審査スコアと、に基づいて、対象加盟店の不正を検知する。不正検知システム1は、初期審査モデルM3と、加盟店不正検知モデルM2と、の両方の推定結果を総合的に考慮して、対象加盟店の不正を検知できる。
【0133】
また、不正検知システム1は、対象加盟店スコアと、初期審査スコアと、に基づいて、対象加盟店の総合的なスコアである総合スコアを計算し、当該総合スコアに基づいて、対象加盟店の不正を検知する。不正検知システム1は、初期審査モデルM3と、加盟店不正検知モデルM2と、の両方の推定結果を総合的に考慮して、対象加盟店の不正を検知できる。また、決済サービスの管理者は、総合スコアといった分かりやすい指標に基づいて、対象加盟店の不正を判断できる。
【0134】
[6-10.変形例10]
例えば、変形例3,9のように、加盟店不正検知部108は、加盟店不正検知モデルM2により出力された、対象加盟店の不正に関する対象加盟店スコアを取得してもよい。この場合に、加盟店不正検知部108は、過去の対象加盟店スコアと、今回の対象加盟店スコア(最新の対象加盟店情報に基づいて計算された対象加盟店スコア)と、に基づいて、最終的な対象加盟店スコアを計算してもよい。なお、変形例10では、加盟店不正検知部108は、実施形態及び変形例1~9で説明した処理を定期的又は不定期的に実行し、対象加盟店の不正を検知するものとする。加盟店不正検知部108は、対象加盟店データベースDB2に対象加盟店スコアを格納する。対象加盟店データベースDB2には、対象加盟店スコアの履歴が格納される。
【0135】
変形例10では、加盟店不正検知部108が、過去の対象加盟店スコアと、今回の対象加盟店スコアと、の合計を、最終的な対象加盟店スコア(最新の対象加盟店スコア)として計算する場合を例に挙げるが、加盟店不正検知部108は、所定の計算方法に基づいて、最終的な対象加盟店スコアを計算すればよい。例えば、加盟店不正検知部108は、対象加盟店スコアと、今回の対象加盟店スコアと、所定の重み付け係数を含む計算式と、に基づいて、最終的な対象加盟店スコアを計算してもよい。加盟店不正検知部108は、対象加盟店スコアと、今回の対象加盟店スコアと、サポートベクターマシン等の機械学習のモデルと、に基づいて、最終的な対象加盟店スコアを計算してもよい。
【0136】
変形例10の加盟店不正検知部108は、最終的な対象加盟店スコアに基づいて、対象加盟店の不正を検知する。加盟店不正検知部108は、最終的な対象加盟店スコアが閾値以上であるか否かを判定する。加盟店不正検知部108は、最終的な対象加盟店スコアが閾値未満であると判定された場合には、対象加盟店が不正であると判定せず、最終的な対象加盟店スコアが閾値以上であると判定された場合に、対象加盟店が不正であると判定する。加盟店不正検知部108が不正を検知した後の処理は、実施形態と同様であってよい。
【0137】
変形例10の不正検知システム1は、過去の対象加盟店スコアと、今回の対象加盟店スコアと、に基づいて、最終的な対象加盟店スコアを計算する。不正検知システム1は、最終的な対象加盟店スコアに基づいて、対象加盟店の不正を検知する。不正検知システム1は、過去の加盟店不正検知モデルM2の推定結果と、今回の加盟店不正検知モデルM2の推定結果と、の両方の推定結果を総合的に考慮して、対象加盟店の不正を検知できる。
【0138】
[6-11.その他の変形例]
例えば、上記説明した変形例を組み合わせてもよい。
【0139】
例えば、サーバ10で実現されるものとして説明した機能は、不正検知システム1における少なくとも1つのコンピュータにより実現されるようにすればよく、複数のコンピュータで機能が分担されてもよい。この場合、複数のコンピュータの各々が、他のコンピュータに対し、自身の処理結果を送信することによって、機能の分担が実現されるようにすればよい。例えば、サーバ10で実現されるものとして説明した機能は、管理者端末30により実現されてもよい。
【0140】
[7.付記]
例えば、本開示に係る不正検知システムは、下記のような構成も可能である。
(1)
決済サービスの初期審査を通過した加盟店であって、不正検知の対象となる前記加盟店である対象加盟店に関する対象加盟店情報を取得する対象加盟店情報取得部と、
訓練用の前記加盟店である訓練加盟店に関する訓練加盟店情報と、前記訓練加盟店の不正の有無と、の関係が学習された加盟店不正検知モデルを記憶する加盟店不正検知モデル記憶部と、
前記対象加盟店情報と、前記加盟店不正検知モデルと、に基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する加盟店不正検知部と、
を含む不正検知システム。
(2)
前記不正検知システムは、
前記対象加盟店で行われた決済である対象決済に関する対象決済情報を取得する対象決済情報取得部と、
前記訓練加盟店で行われた決済である訓練決済に関する訓練決済情報と、前記訓練決済の不正の有無と、の関係が学習された決済不正検知モデルを記憶する決済不正検知モデル記憶部と、
前記対象決済情報と、前記決済不正検知モデルと、に基づいて、前記対象決済の不正を検知する決済不正検知部と、
を更に含み、
前記加盟店不正検知モデルには、前記決済不正検知モデルよりも、前記訓練加盟店に関する特徴が学習されている、
(1)に記載の不正検知システム。
(3)
前記対象加盟店情報は、前記決済不正検知モデルにより行われた前記対象決済の不正検知の結果に関する対象結果情報を含み、
前記訓練加盟店情報は、前記決済不正検知モデルにより行われた前記訓練決済の不正検知の結果に関する訓練結果情報を含み、
前記加盟店不正検知部は、前記対象結果情報を含む前記対象加盟店情報と、前記加盟店不正検知モデルと、に基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する、
(2)に記載の不正検知システム。
(4)
前記不正検知システムは、前記決済不正検知モデルの処理対象となる処理対象条件を前記対象決済が満たすか否かを判定する条件判定部を更に含み、
前記決済不正検知部は、前記処理対象条件を満たす前記対象決済を、前記決済不正検知モデルの処理対象とし、
前記加盟店不正検知部は、前記処理対象条件に関係なく、前記対象決済が行われた前記対象加盟店を、前記加盟店不正検知モデルの処理対象とする、
(2)又は(3)に記載の不正検知システム。
(5)
前記加盟店不正検知部は、
前記加盟店不正検知モデルにより出力された、前記対象加盟店の不正に関する対象加盟店スコアを取得し、
前記決済不正検知モデルにより出力された、前記対象決済の不正に関する対象決済スコアを取得し、
前記対象加盟店スコアと、前記対象決済スコアと、に基づいて、前記対象加盟店及び前記対象決済の不正に関する総合スコアを計算し、
前記総合スコアに基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する、
(2)~(4)の何れかに記載の不正検知システム。
(6)
前記対象加盟店情報は、前記対象加盟店により登録された前記対象加盟店の情報である対象登録情報を含み、
前記訓練加盟店情報は、前記訓練加盟店により登録された前記訓練加盟店の情報である訓練登録情報を含み、
前記加盟店不正検知部は、前記対象登録情報を含む前記対象加盟店情報と、前記加盟店不正検知モデルと、に基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する、
(1)~(5)の何れかに記載の不正検知システム。
(7)
前記対象加盟店情報は、前記対象加盟店で行われた複数の決済である複数の対象決済の差分に関する対象差分情報を含み、
前記訓練加盟店情報は、前記訓練加盟店で行われた複数の決済である複数の訓練決済の差分に関する訓練差分情報を含み、
前記加盟店不正検知部は、前記対象差分情報を含む前記対象加盟店情報と、前記加盟店不正検知モデルと、に基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する、
(1)~(6)の何れかに記載の不正検知システム。
(8)
前記不正検知システムは、
前記加盟店不正検知モデルにより検知された前記対象加盟店の不正に基づいて、前記決済サービスへの加盟を申請した申請者に対する初期審査に関する初期審査モデルを作成する初期審査モデル作成部と、
前記初期審査モデルに基づいて、前記申請者に対する初期審査に関する初期審査処理を実行する初期審査処理実行部と、
を更に含む(1)~(7)の何れかに記載の不正検知システム。
(9)
前記加盟店不正検知部により前記対象加盟店の不正が検知された場合に、前記決済サービスの管理者による前記対象加盟店の審査が実施され、
前記不正検知システムは、
前記管理者による審査結果に基づいて、前記決済サービスへの加盟を申請した申請者に対する初期審査に関する初期審査モデルを作成する初期審査モデル作成部と、
前記初期審査モデルに基づいて、前記申請者に対する初期審査に関する初期審査処理を実行する初期審査処理実行部と、
を更に含む(1)~(8)の何れかに記載の不正検知システム。
(10)
前記対象加盟店情報は、前記決済サービスへの加盟を申請した申請者に対する初期審査に関する初期審査モデルによる前記対象加盟店の処理結果に関する対象初期審査情報を含み、
前記訓練加盟店情報は、前記初期審査モデルによる前記訓練加盟店の処理結果に関する訓練初期審査情報を含み、
前記加盟店不正検知部は、前記対象初期審査情報を含む前記対象加盟店情報と、前記加盟店不正検知モデルと、に基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する、
(1)~(9)の何れかに記載の不正検知システム。
(11)
前記加盟店不正検知部は、
前記加盟店不正検知モデルにより出力された、前記対象加盟店の不正に関する対象加盟店スコアを取得し、
前記決済サービスへの加盟を申請した申請者に対する初期審査に関する初期審査モデルにより出力された、前記対象加盟店の初期審査に関する初期審査スコアを取得し、
前記対象加盟店スコアと、前記初期審査スコアと、に基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する、
(1)~(10)の何れかに記載の不正検知システム。
(12)
前記加盟店不正検知部は、前記対象加盟店スコアと、前記初期審査スコアと、に基づいて、前記対象加盟店の総合的なスコアである総合スコアを計算し、当該総合スコアに基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する、
(11)に記載の不正検知システム。
(13)
前記加盟店不正検知部は、
前記加盟店不正検知モデルにより出力された、前記対象加盟店の不正に関する対象加盟店スコアを取得し、
過去の前記対象加盟店スコアと、今回の前記対象加盟店スコアと、に基づいて、最終的な前記対象加盟店スコアを計算し、
前記最終的な対象加盟店スコアに基づいて、前記対象加盟店の不正を検知する、
(1)~(12)の何れかに記載の不正検知システム。
【符号の説明】
【0141】
1 不正検知システム、N ネットワーク、10 サーバ、11,21,31 制御部、12,22,32 記憶部、13,23,33 通信部、20 加盟店端末、30 管理者端末、24,34 操作部、25,35 表示部、M1 決済不正検知モデル、M2 加盟店不正検知モデル、M3 初期審査モデル、100 データベース記憶部、101 決済不正検知モデル記憶部、102 加盟店不正検知モデル記憶部、103 学習部、104 受信部、105 対象決済情報取得部、106 決済不正検知部、107 対象加盟店情報取得部、108 加盟店不正検知部、109 通知部、110 条件判定部、111 初期審査モデル作成部、112 初期審査モデル記憶部、113 初期審査処理実行部、200 データ記憶部、201 送信部、300 データ記憶部、301 表示制御部、302 操作受付部、DB1 対象決済データベース、DB2 対象加盟店データベース、DB3 訓練決済データベース、DB4 訓練加盟店データベース。
【要約】
【課題】決済サービスにおける不正検知の精度を高める。
【解決手段】不正検知システム(1)の対象加盟店情報取得部(107)は、決済サービスの初期審査を通過した加盟店であって、不正検知の対象となる前記加盟店である対象加盟店に関する対象加盟店情報を取得する。加盟店不正検知モデル記憶部(102)は、訓練用の加盟店である訓練加盟店に関する訓練加盟店情報と、訓練加盟店の不正の有無と、の関係が学習された加盟店不正検知モデル(M2)を記憶する。加盟店不正検知部(108)は、対象加盟店情報と、加盟店不正検知モデル(M2)と、に基づいて、対象加盟店の不正を検知する。
【選択図】
図3