(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】樹脂粒子及びその用途
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20240823BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240823BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240823BHJP
A61K 8/85 20060101ALI20240823BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240823BHJP
A61K 8/87 20060101ALI20240823BHJP
A61K 8/88 20060101ALI20240823BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240823BHJP
C08J 3/14 20060101ALI20240823BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20240823BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
C08J3/12 Z CER
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/85
A61K8/86
A61K8/87
A61K8/88
A61Q1/00
C08J3/12 CEP
C08J3/12 CET
C08J3/12 CEZ
C08J3/12 CFD
C08J3/12 CFG
C08J3/14
C09D7/65
C09D201/00
(21)【出願番号】P 2023149159
(22)【出願日】2023-09-14
【審査請求日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2022157292
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000188951
【氏名又は名称】松本油脂製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】徳村 幸子
【審査官】脇田 寛泰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/016080(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/195642(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/056908(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/074962(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/080530(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/189485(WO,A1)
【文献】特開2005-162842(JP,A)
【文献】特開2021-066704(JP,A)
【文献】特開2023-92604(JP,A)
【文献】特開2023-184047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
C08J3/00-3/28
99/00
C09D1/00-10/00
101/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を含み、体積平均粒子径が1~100μmであり、表面に凹凸部を有し、前記凹凸部が前記表面に沿って連続した形状を有し、前記凹凸部の深度が0.0001~0.05であり、オレイン酸吸油量が30~150mL/100gであ
り、
前記熱可塑性樹脂が、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂及びセルロース系樹脂から選ばれる少なくとも1種であり、
前記ポリエステル系樹脂が、脂肪族ポリエステル系樹脂及び脂肪族-芳香族ポリエステル系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む、樹脂粒子。
【請求項2】
真球度が0.7~1.0である、請求項1に記載の樹脂粒子。
【請求項3】
前記樹脂粒子が生分解性を有する、請求項1又は2に記載の樹脂粒子。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の樹脂粒子を含む、化粧料。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の樹脂粒子を含む、コーティング組成物。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の樹脂粒子を含む、光学部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂粒子及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子は、化粧品、塗料、光学用途、樹脂、建材などへ多く使用されている。粒子に求められる機能としては、光拡散性、隠蔽性、塗工性、感触付与などがある。粒子の素材としては、有機物、無機物など様々な素材からなる粒子があり、有機物からなる粒子は無機粒子と比較してソフトな感触を有することから、化粧品や塗料などにおいて、感触付与などの点で好ましく用いられている。また、粒子の光学特性を利用して、例えば化粧料では、毛穴やシワを目立たなくさせるソフトフォーカス効果や、明度を向上させることが検討されている。
有機物からなる粒子としては、例えば、アクリル系、スチレン系、ウレタン系、シリコーン系のポリマー粒子などが挙げられる。また、近年、環境への関心が高まる中で、環境への負荷の少ない粒子が求められており、特に生分解性を有する粒子が注目されている。
例えば特許文献1では、環境負荷低減の粒子として、非石油原料由来のポリ乳酸からなるポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法およびポリ乳酸系樹脂微粒子が記載されている。また特許文献2では、生分解性を有するポリエステル系熱可塑性樹脂からなる多孔質樹脂微粒子が、特許文献3では、真球度が0.90~1.00、かつ光散乱指数が0.5~1.0の略球状樹脂微粒子が記載されている。しかし、これらの粒子は、透明性及び光乱反射性を両立できてはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2012/105140号公報
【文献】WO2017/056908号公報
【文献】特開2016-222897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、透明性及び光乱反射性を両立できる樹脂粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者は、前記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、特定の表面状態であり、特定の性質を示す樹脂粒子であると、透明性及び光乱反射性を両立できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の樹脂粒子は、熱可塑性樹脂を含み、体積平均粒子径が1~100μmであり、表面に凹凸部を有し、前記凹凸部の深度が0.0001~0.05であり、オレイン酸吸油量が30~150mL/100gである。
【0006】
本発明の樹脂粒子は以下の1)~6)のうちの少なくとも1つを満たすと好ましい。
1)前記熱可塑性樹脂が、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂及びセルロース系樹脂から選ばれる少なくとも1種である。
2)前記熱可塑性樹脂が、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂及びセルロース系樹脂から選ばれる少なくとも1種である。
3)前記ポリエステル系樹脂が、脂肪族ポリエステル系樹脂及び脂肪族-芳香族ポリエステル系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む。
4)前記凹凸部が前記表面に沿って連続した形状を有する。
5)真球度が0.7~1.0である。
6)前記樹脂粒子が生分解性を有する。
【0007】
本発明の化粧料は、上記樹脂粒子を含む。
本発明のコーティング組成物は、上記樹脂粒子を含む。
本発明の光学部材は、上記樹脂粒子を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の樹脂粒子は、透明性及び光乱反射性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施例1の粒子1を含むシリコーンオイル塗膜を文字に重ねた写真である。
【
図7】比較例1の粒子を含むシリコーンオイル塗膜を文字に重ねた写真である。
【
図8】本発明の樹脂粒子の表面にある凹凸部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[樹脂粒子]
本発明の樹脂粒子は、熱可塑性樹脂を含み、体積平均粒子径が1~100μmであり、表面に凹凸部を有し、前記凹凸部の深度が0.0001~0.05であり、オレイン酸吸油量が30~150mL/100gである粒子であって、透明性及び光乱反射性に優れるものである。
以下に本発明の樹脂粒子について説明する。
【0011】
本発明の樹脂粒子の体積平均粒子径は1~100μmである。該平均粒子径が1μm未満であると、透明性に劣る。一方、100μm超であると、光乱反射性に劣る。該粒子径の下限は、好ましくは1.5μm、より好ましくは2.0μm、さらに好ましくは2.5μm、特に好ましくは3μmであり、該粒子径の上限は、好ましくは50μm、より好ましくは40μmが、さらに好ましくは30μm、特に好ましくは20μmである。さらに、例えば1~50μmが好ましく、1.5~30μmがより好ましい。なお、樹脂粒子の体積平均粒子径は、実施例に記載の方法によるものである。
【0012】
本発明の樹脂粒子の粒度分布の変動係数CVは、特に限定はないが、2~70%であると、光乱反射性が優れる点で好ましい。該変動係数CVの上限は、好ましくは65%以下、さらに好ましくは60%以下、より好ましくは55%以下、特に好ましくは50%以下である。該変動係数CVの下限は、好ましくは3%、より好ましくは5%、特に好ましくは7%である。さらに、例えば3~65%がより好ましく、5~60%がさらに好ましい。該変動係数CVは、以下に示す計算式(1)及び(2)で算出される。
【0013】
【数1】
(式中、sは粒子径の標準偏差、<x>は平均粒子径、x
iはi番目の粒子径、nは粒子の数である。)
【0014】
本発明の樹脂粒子は、表面に凹凸部を有し、その凹凸部の深度が0.0001~0.05と特定の表面状態を有するものである。樹脂粒子の表面に凹凸部を有し、さらに、凹凸部の深度が0.0001~0.05であることで、樹脂粒子表面で光が散乱され、光乱反射性に優れるとともに、光の乱反射が適正化され、樹脂粒子の透明性が損なわれず、透明性及び光乱反射性を両立できる樹脂粒子となる。
該深度が0.0001未満であると、光乱反射性に劣る。該深度が0.05超であると、透明性に劣る。該深度の下限は、(1)0.0002、(2)0.0003、(3)0.0004、(4)0.0005、(5)0.0008、(6)0.001、の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。一方、該深度の好ましい上限は(1)0.045、(2)0.043、(3)0.040、(4)0.038、(5)0.035、(6)0.030の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。さらに、例えば0.0003~0.040がより好ましく、0.001~0.030がさらに好ましい。なお、樹脂粒子の有する凹凸部の深度は、実施例に記載の方法によるものである。
【0015】
本発明の樹脂粒子が有する凹凸部は、特に限定はないが、球状、楕円状、不定形状等であってもよく、透明性及び光乱反射性が優れる点で、樹脂粒子の表面に沿って連続した形状を有していると好ましい。また、光乱反射性が優れる点で、凹凸部の連続した形状が不定形状または筋状であると好ましい。
本発明の樹脂粒子が有する凹凸部は、特に限定はないが、樹脂粒子表面全体に存在していると、光乱反射性が向上する点で好ましい。
【0016】
本発明の樹脂粒子のオレイン酸吸油量は、30~150mL/100gである。該吸油量が30mL/100g未満であると光乱反射性に劣る。150mL/100g超であると透明性に劣る。該吸油量が30mL/100g未満であると、樹脂粒子の表面の平滑性が高く、光乱反射性に劣ると考えられる。一方、該吸油量が150mL/100g超であると、樹脂粒子の表面の凹凸が大きすぎるため、透明性に劣ると考えられる。該吸油量の下限は、(1)35mL/100g、(2)40mL/100g、(3)45mL/100g、(4)50mL/100gの順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。一方、該吸油量の上限は、(1)130mL/100g、(2)120mL/100g、(3)110mL/100g、(4)100mL/100g、(5)95mL/100g、(6)90mL/100g、(7)85mL/100gの順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。さらに、例えば40~120mL/100gがより好ましく、45~100mL/100gがさらに好ましい。なお、樹脂粒子の吸油量は、実施例に記載の方法によるものである。
【0017】
本発明の樹脂粒子の吸水量は、特に限定されないが、20~150mL/100gであると、透明性及び光乱反射性が優れる点で好ましい。該吸水量の下限は、(1)25mL/100g、(2)30mL/100g、(3)35mL/100g、(4)40mL/100gの順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。一方、該吸水量の上限は(1)140mL/100g、(2)130mL/100g、(3)120mL/100g、(4)110mL/100g、(5)100mL/100g、(6)90mL/100g、(7)85mL/100gの順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。さらに、例えば30~120mL/100gがより好ましく、40~100mL/100gがさらに好ましい。なお、樹脂粒子の吸水量は、実施例に記載の方法によるものである。
【0018】
本発明の樹脂粒子の真球度は、特に限定はないが、0.7~1.0であると好ましい。真球度が0.7以上であると、透明性が向上する傾向がある。該真球度は、より好ましくは0.75~1.0、さらに好ましくは0.80~1.0、特に好ましくは0.85~1.0である。なお、樹脂粒子の真球度は、画像解析により算出されるものであると好ましく、走査型電子顕微鏡等で撮影した粒子の短径/長径から計算することができる。例えば、短径と長径の比が1の場合、真球度は1となる。
【0019】
本発明の樹脂粒子の真比重は、特に限定はないが、0.8~1.8g/cm3であると、透明性及び光乱反射性が優れる点で好ましい。該真比重の下限は、より好ましくは(1)0.85g/cm3、(2)0.90g/cm3、(3)0.93g/cm3、(4)0.95g/cm3、(5)0.98g/cm3、(6)1.0g/cm3、の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。一方、該真比重の好ましい上限は(1)1.7g/cm3、(2)1.6g/cm3、(3)1.55g/cm3、(4)1.5g/cm3、(5)1.45g/cm3、(6)1.4g/cm3の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。さらに、例えば0.90~1.55g/cm3がより好ましく、1.0~1.4g/cm3がさらに好ましい。
【0020】
本発明の樹脂粒子は、特に限定はないが、融点もしくは軟化点のいずれかが40~220℃であると、樹脂粒子の透明性が向上する点で好ましい。該融点もしくは軟化点の下限は、より好ましくは50℃、さらに好ましくは60℃、最も好ましくは70℃であり、該融点もしくは軟化点の上限は、より好ましくは200℃、さらに好ましくは190℃、特に好ましくは180℃、最も好ましくは165℃である。さらに、例えば60~200℃がより好ましく、60~180℃がさらに好ましい。なお、樹脂粒子の融点もしくは軟化点は、例えば、示差走査熱量計により測定することができる。
【0021】
本発明の樹脂粒子は、熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂を含むことで、透明性を有する樹脂粒子が得られやすい。
熱可塑性樹脂としては、特に限定はないが、例えば、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂及びセルロース系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は1種又は2種以上を併用してもよい。
これらの熱可塑性樹脂を含むことで、表面に凹凸部を有する樹脂粒子が得られやすく好ましい。また、熱可塑性樹脂の融点もしくは軟化点のいずれかが40~220℃であると、前記凹凸部の深度が0.0001~0.05の樹脂粒子が得られやすく好ましい。
【0022】
熱可塑性樹脂は特に限定はないが、生分解性を有する点で、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂及びセルロース系樹脂から選ばれる少なくとも1種であると好ましく、特にポリエステル系樹脂、及びセルロース系樹脂から選ばれる少なくとも1種であると好ましい。
【0023】
ポリビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
ポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル/スチレン共重合体、ポリスチレンエラストマー等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、低分子量ポリオレフィン、ポリオレフィンエラストマー等が挙げられる。
【0024】
ポリエステル系樹脂としては、多価アルコールと多価カルボン酸の重縮合物、多価アルコール、多価カルボン酸及びヒドロキシカルボン酸の重縮合物、ヒドロキシカルボン酸の重縮合物、及びそれらの誘導体の重縮合物が挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリ乳酸、ポリプロピオラクトン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトンブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートカプロラクトン、ポリブチレンサクシネートヒドロキシカプロエート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートカーボネート、ポリブチレンサクシネートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートラクテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート共重合体、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリテトラメチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアジペートテレフタレート、ポリテトラメチレンサクシネート、ポリプロピレンサクシネート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリヒドロキシブチレートバリレート、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバリレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシプロピオネート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシアシル)、ポリヒドロキシアシル、ポリグリコール酸、乳酸-グリコール酸共重合体、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。
【0025】
ポリエステル系樹脂としては、例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族-芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられ、生分解性に優れる点で脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族-芳香族ポリエステル系樹脂が好ましく、脂肪族ポリエステル系樹脂が特に好ましい。
【0026】
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリエステル系樹脂の構成成分である多価アルコール、多価カルボン酸、及びヒドロキシカルボン酸がそれぞれ脂肪族多価アルコール、脂肪族多価カルボン酸、及び脂肪族ヒドロキシカルボン酸であれば特に限定はない。
脂肪族多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール)、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらの脂肪族多価アルコールは1種又は2種以上を併用してもよい。
【0027】
脂肪族多価カルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンジカルボン酸、これらの無水物等が挙げられる。これらの脂肪族多価カルボン酸は、1種又は2種類以上を併用してもよい。
脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシジメチル酪酸、ヒドロキシメチル酪酸等が挙げられる。これらの脂肪族ヒドロキシカルボン酸は、1種又は2種以上を併用してもよい。
【0028】
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリカプロラクトンブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートカーボネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネートラクテート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリテトラメチレンサクシネート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリヒドロキシブチレートバリレート、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバリレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシプロピオネート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシアシル)、ポリヒドロキシアシル、ポリ乳酸等が挙げられる。
【0029】
脂肪族-芳香族ポリエステル系樹脂としては、ポリエステル系樹脂の構成成分である前記多価アルコール、多価カルボン酸、及びヒドロキシカルボン酸がそれぞれ前記脂肪族多価アルコール、脂肪族多価カルボン酸、及び脂肪族ヒドロキシカルボン酸を含み、さらに芳香族多価カルボン酸又はその誘導体を含むものであれば特に限定はない。
芳香族多価カルボン酸としては、例えば、o-フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。脂肪族-芳香族ポリエステル系樹脂の構成成分に占める芳香族多価カルボン酸由来の構成成分の割合は、生分解性の点で、40ユニットmol%以下であると好ましい。これらの芳香族多価カルボン酸は1種又は2種以上を併用してもよい。
脂肪族-芳香族ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリブチレンサクシネートテレフタレート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリテトラメチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレート等が挙げられる。
【0030】
熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂を含む場合、熱可塑性樹脂に占めるポリエステル系樹脂の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは1~100重量%である。該重量割合の下限は(1)5重量%、(2)10重量%、(3)20重量%、(4)30重量%、(5)40重量%、(6)50重量%、(7)60重量%の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。一方、該重量割合の上限は、99.9重量%がより好ましく、99.5重量%がさらに好ましく、99.0重量%が特に好ましい。さらに、透明性に優れる点で、例えば10~100重量%がより好ましく、30~100重量%がさらに好ましい。
【0031】
ポリエステル系樹脂が脂肪族ポリエステル系樹脂及び脂肪族-芳香族ポリエステル系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む場合、ポリエステル系樹脂に占める脂肪族ポリエステル系樹脂及び脂肪族-芳香族ポリエステル系樹脂の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは1~100重量%である。該重量割合の下限は、(1)3重量%、(2)5重量%、(3)10重量%、(4)20重量%、(5)30重量%、(6)40重量%、(7)50重量%の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。一方、該重量割合の上限は、より好ましくは99.9重量%、さらに好ましくは99.5重量%、特に好ましくは99.0重量%である。さらに、例えば5~100重量%がより好ましく、20~100重量%がさらに好ましい。
前記ポリエステル系樹脂に占める脂肪族ポリエステル系樹脂及び脂肪族-芳香族ポリエステル系樹脂の重量割合が50重量%以上であると、より高い透明性を有する樹脂粒子を得ることができ、また生分解性を有するため、特に好ましい。
【0032】
ポリエーテル系樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロン1、ナイロン3、ナイロン4、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリ-ω-アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ-9-アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ポリヘキサメチレンジアジパミド(ナイロン6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン10,6)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン10,10)、ポリドデカメチレンドデカミド(ナイロン12,12)、メタキシレンジアミン-6ナイロン(MXD6)等が挙げられる。
【0033】
熱可塑性ポリウレタン系樹脂としては、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
前記セルロース系樹脂としては、例えば、セルロースアセテート、エチルセルロース、セルロースエーテル誘導体、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース等が挙げられる。
【0034】
本発明の樹脂粒子に占める熱可塑性樹脂の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは10~100重量%である。該重量割合が10重量%以上であると、樹脂粒子の透明性が向上する点で好ましい。該重量割合の下限は、(1)30重量%、(2)40重量%、(3)50重量%、(4)60重量%、(5)70重量%、(6)80重量%、(7)90重量%の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。一方、該含有量の上限は、(1)99.999重量%、(2)99.99重量%、(3)99.9重量%、(4)99重量%、(5)98重量%の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。さらに、例えば30~100重量%がより好ましく、50~100重量%がさらに好ましい。
本発明の樹脂粒子は、特に限定はないが、透明性が向上する点で、熱可塑性樹脂を主成分とすることが好ましく、熱可塑性樹脂からなるものであるとより好ましい。また、熱可塑性樹脂を主成分とすることで、上述した特定の表面状態の樹脂粒子が得られやすく、好ましい。なお、本発明の樹脂粒子において、熱可塑性樹脂が主成分である場合、樹脂粒子に占める熱可塑性樹脂の重量割合が40重量%以上であることをいい、また、熱可塑性樹脂の重量割合の上限は、上記に記載の数値であるとよい。
【0035】
熱可塑性樹脂は、特に限定はないが、重量平均分子量が5×103~1×109であると、透明性が優れる点で好ましい。該平均分子量の下限は、(1)1×104、(2)2×104、(3)3×104、(4)5×104、(5)1×105、(6)2×105、(7)3×105の順で好ましい。一方、該平均分子量の上限は、(1)5×108(2)3×108、(3)1×108、(4)5×107、(5)3×107、(6)1×107の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。さらに、例えば2×104~5×108がより好ましく、3×104~5×108がさらに好ましい。
【0036】
本発明の樹脂粒子は、熱可塑性樹脂の他に熱硬化性樹脂やセルロース等の有機ポリマー、界面活性剤、有機ポリマー以外の有機物、無機物等を含んでいてもよい。
有機ポリマーとしては、例えば、熱硬化性樹脂、多糖類、パラフィン類、シリコーンオイル類、ポリアルキレンオキサイド及び水溶性高分子が挙げられ、具体的にはポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ゴム等の熱硬化性樹脂;セルロース、キチン、キトサン、澱粉等の多糖類;流動パラフィン等のパラフィン類;ジメチルシリコーン等のシリコーンオイル類;ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アラビアガム、タマリンドガム、ペクチン、プルラン、カゼイン、キサンタンガム、カラギナン、トラガントガム、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロプルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等の水溶性高分子等が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。
【0037】
界面活性剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤及びシリコーン系活性剤が挙げられ、具体的にはアルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、脂肪酸アルカリ金属塩(例えばラウリン酸カリウム、ミスチリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム)、アルキルスルホコハク酸エステル塩、N-アシルアミノ酸塩類等のアニオン界面活性剤;第4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩等のカチオン界面活性剤;ポリオキシアルキレンオキサイド付加アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル、多価アルコールと1価脂肪酸とのエステル化合物、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンひまし油、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、高級脂肪酸PEGグリセリル類、高級脂肪酸ソルビタン類、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリセリンエーテル、ポリオキシアルキレンコレステリルエーテル、アルキルポリグルコシド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート類等のノニオン界面活性剤;アミノ酸系、ベタイン型、水添レシチン、レシチン等の両性界面活性剤;変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤等が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。
【0038】
有機ポリマー以外の有機物としては、例えば、ワックス、オイル、脂肪酸金属塩及びアミノ酸系化合物等が挙げられ、具体的には、カルナバワックス、キャンデリラワックス、蜜蝋、高級アルコール等のワックス;アーモンド油、オリーブ油、コメヌカ油、スクワラン、ミネラルオイル、アルカン、安息香酸アルキル等のオイル;ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、セロチン酸等の脂肪酸;ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ミスチリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、12-ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12-ヒドロキシステアリン酸亜鉛、12-ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12-ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩;N-ラウロイル-L-アルギニン、N-ラウロイル-L-リジン、N-ヘキサノイル-L-リジン、N-オレイルイル-L-リジン、N-パルミトイル-L-リジン、N-ステアノイル-L-リジン、N-ヘキサノイル-L-リジン、N-ミリストノイル-L-リジン、N-カプリロイル-L-リジン、N-デカノイル-L-リジン等のアミノ酸系化合物等が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。
【0039】
無機物としては、例えば、ワラステナイト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、タルク、ベントナイト、スメクタイト、アルミナシリケート、パイロフィライト、モンモリロナイト、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、窒化ホウ素、炭化珪素、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、酸化チタン、シリカ、アルミナ、雲母、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ハイドロサルタイト、窒化ホウ素等が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。
【0040】
本発明の樹脂粒子は、特に限定はないが、生分解性を有すると、環境への負荷が低減されるため好ましい。粒子の生分解性は、粒子を構成する成分として、生分解性を有する化合物を含むことで発現できる。生分解性を有する化合物としては、上述した界面活性剤、セルロース、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、自然由来ワックス、自然由来油、多糖類、ポリビニルアルコール、ポリアルキレンオキサイド等が挙げられる。
本発明の樹脂粒子は、特に限定はないが、JIS K6950:2000に準拠した測定による10日後の生分解率が1%以上であると好ましい。該生分解率の下限は、(1)3%、(2)5%、(3)10%、(4)15%、(5)20%、(6)25%、(7)30%の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。
【0041】
本発明の樹脂粒子が生分解性を有する化合物を含む場合、樹脂粒子に占める生分解性を有する化合物の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは30~100重量%である。該重量割合の上限は、より好ましくは99.9重量%、さらに好ましくは99.5重量%、特に好ましくは99.0重量%であり、該重量割合の下限は、(1)40重量%、(2)50重量%、(3)60重量%、(4)65重量%、(5)70重量%、(6)75重量%、(7)80重量%の順で好ましい(括弧内の数値が大きくなるにつれ好ましい。)。
【0042】
本発明の樹脂粒子は、例えば、上述の熱可塑性樹脂と、界面活性剤と、水溶性高分子と、水とを混合し、予備混合液を得る工程1と、工程1で得られた予備混合液を加熱攪拌し、加熱分散液を得る工程2と、工程2で得られた加熱分散液を冷却する工程3と、工程3で得られた分散液をアルカリ処理する工程4を含む方法で製造することができる。
【0043】
本発明の樹脂粒子において、その製造時に有機溶剤を使用せずに行うと、透明性に優れる樹脂粒子を好適に作製できるため好ましい。有機溶剤を使用した場合には、樹脂粒子から有機溶剤を除去する際に、樹脂粒子中に気孔が形成され、得られた樹脂粒子の透明性が劣る傾向がある。また、有機溶剤を使用せずに、水を使用して樹脂粒子を作成することで、樹脂粒子形成時に界面活性剤や水溶性高分子が樹脂粒子と水との界面に存在しやすく、樹脂粒子の表面の形状に寄与すると考えている。そのため、上述した特定の表面状態を有し、特定のオレイン酸吸油量を有する樹脂粒子が得られやすい。また、界面活性剤の親油基が樹脂構造に影響を与え、上述した特定の表面状態を有する樹脂粒子が得られやすく、透明性に優れる樹脂粒子が得られると考えている。また、有機溶剤を使用しないことは、環境に優しく好ましい。
【0044】
界面活性剤は、特に限定はないが、本発明の効果を奏する範囲となるよう、樹脂粒子を構成する成分に応じて適宜選定することができる。界面活性剤は上述のものを使用することができる。
界面活性剤は、特に限定はないが、アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を使用すると、上述した特定の表面状態の樹脂粒子が得られやすくなり、透明性および光乱反射性が向上する点で好ましく、ノニオン界面活性剤を使用するとより好ましい。
アニオン界面活性剤としては、特に限定はないが、硫酸エステル塩及びスルホン酸塩から選ばれる少なくとも1種であると好ましく、スルホン酸塩がより好ましい。
ノニオン系面活性剤としては、特に限定はないが、多価アルコールと1価脂肪酸とのエステル化合物であると好ましく、グリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸ソルビタン類から選ばれる少なくとも1種であるとより好ましい。
【0045】
界面活性剤としては、特に限定はないが、HLB値が1~13のノニオン界面活性剤を使用すると好ましい。該HLB値はより好ましくは1~11、さらに好ましくは1~10、特に好ましくは1.5~10である。
また、界面活性剤としてはエステル型やエステル塩型のものを使用すると、得られる樹脂粒子の透明性が優れるため、好ましい。
HLB値は、例えば、下記のグリフィン法による計算式(3)から算出することができる。
HLB=20×(親水基の分子量/全体の分子量) (3)
【0046】
界面活性剤は、最終的に粒子中に含まれていてもよい。界面活性剤が粒子中に含まれると、上述した特定の表面状態の樹脂粒子が得られやすくなり好ましい。界面活性剤が樹脂粒子表面付近に存在することで、より表面形状に影響を与えると考えられる。粒子中に占める界面活性剤の重量割合は、特に限定されないが、0.001~10重量%が好ましく、重量割合の上限は7重量%がより好ましく、5重量%がさらに好ましい。一方、該重量割合の下限は0.005重量%がより好ましく、0.01重量%がさらに好ましい。さらに、例えば、0.001~7重量%がより好ましく、0.001~5重量%がさらに好ましい。
【0047】
水溶性高分子は上述のものを使用することができ、体積平均粒子径が1~100μmの樹脂粒子が得られやすい点で、4%水溶液の20℃での粘度が2~200000mPa・sである水溶性高分子であると好ましい。
水溶性高分子は、特に限定はないが、上述した特定の表面状態の樹脂粒子がより得られやすくなり、また透明性をより向上できる点で、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロプルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、から選ばれる少なくとも1つであると好ましく、ポリビニルアルコールであるとより好ましい。
【0048】
水溶性高分子は、最終的に樹脂粒子中に含まれていてもよい。水溶性高分子が粒子中に存在することで、上述した特定の表面状態の樹脂粒子がより得られやすくなり好ましい。水溶性高分子が粒子中に存在することで、より表面形状に影響を与え、より透明性が向上すると考えられる。粒子中に占める水溶性高分子の重量割合は、特に限定されないが、0.001~10重量%が好ましい。該重量割合の上限はより好ましくは8重量%、さらに好ましくは5重量%であり、該重量割合の下限は、より好ましくは0.002重量%、さらに好ましくは0.005重量%である。さらに、例えば、0.001~8重量%がより好ましく、0.001~5重量%がさらに好ましい。
【0049】
(工程1)
工程1は熱可塑性樹脂と、界面活性剤と、水溶性高分子と水とを混合し、予備混合液を得る工程である。樹脂粒子が、熱可塑性樹脂、界面活性剤及び水溶性高分子以外の他の成分を含有する場合には、本工程で他の成分を加えて、混合するとよい。
【0050】
工程1において、熱可塑性樹脂の混合割合は、特に限定はないが、水100重量部に対して、1~200重量部であると好ましい。該割合が上記範囲内であると、より均一な形状の樹脂粒子が得られる傾向がある。また、均一な形状の樹脂粒子が得られることで、特定の粒子径および特定のオレイン吸油量を有する樹脂粒子が得られやすい傾向がある。該混合割合の下限は、より好ましくは3重量部、さらに好ましくは5重量部、最も好ましくは10重量部である。一方、該混合割合の上限は、より好ましくは180重量部、さらに好ましくは160重量部、最も好ましくは150重量部である。さらに、例えば、5~200重量部がより好ましく、10~180重量部がさらに好ましい。
【0051】
工程1において、界面活性剤の混合割合は、特に限定はないが、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.001~10重量部であると好ましい。該割合が上記範囲内であると、上述した特定の表面状態の樹脂粒子が得られやすくなり、得られる樹脂粒子の透明性および光乱反射性が向上する傾向がある。該混合割合の下限は、好ましくは0.01重量部、さらに好ましくは0.05重量部、特に好ましくは0.1重量部である。該混合割合の上限は、より好ましくは7重量部、さらに好ましくは5重量部、特に好ましくは3重量部である。さらに、例えば、0.001~7重量部がより好ましく、0.01~7重量部がさらに好ましい。
【0052】
工程1において、水に対する水溶性高分子の混合割合は、特に限定はないが、水100重量部に対して、好ましくは0.1~100重量部である。該割合が上記範囲内であると、上述した特定の表面状態の樹脂粒子が得られやすくなり、また特定の粒子径の樹脂粒子が得られやすい傾向がある。該割合の下限は、より好ましくは0.5重量部、さらに好ましくは1重量部、特に好ましくは2重量部である。一方、該割合の上限は、より好ましくは80重量部、さらに好ましくは70重量部、特に好ましくは60重量部である。さらに、例えば、0.5~100重量部がより好ましく、1~100重量部がさらに好ましい。
【0053】
(工程2)
工程2は工程1で得られた予備混合液を加熱攪拌し、加熱分散液を得る工程である。
工程2における加熱攪拌中の圧力は、特に限定はないが、好ましくは0.1~10MPaである。該圧力が上記範囲内であると、より分布の均一な樹脂粒子が得られる傾向があり、特定のオレイン吸油量を有する樹脂粒子が得られやすい傾向がある。該圧力は加熱時の温度における水の飽和蒸気圧以上の圧力であると好ましい。
加熱温度は、特に限定はないが、80~300℃であると好ましい。該温度が上記範囲内であると、得られる樹脂粒子の形状がより均一になり、特定のオレイン吸油量を有する樹脂粒子が得られやすい傾向がある。さらに、該温度は熱可塑性樹脂の軟化点又は融点以上の温度であると好ましく、より好ましくは熱可塑性樹脂の軟化点又は融点より5℃以上高い温度であり、さらに好ましくは10℃以上、特に好ましくは15℃以上高い温度である。軟化点又は融点以上の温度に加熱することで、界面活性剤の親油基が熱可塑性樹脂へ作用して樹脂構造へ影響を与えやすく、また、熱可塑性樹脂と水との界面に界面活性剤と水溶性高分子が均一に存在することで、上述した特定の表面状態の樹脂粒子が得られやすくなり好ましい。
また、工程2において、熱可塑性樹脂の軟化点又は融点以上の温度に加熱し、かつ、0.1MPa以上の加圧下で攪拌を行うと、特定のオレイン酸吸油量の樹脂粒子が得られやすくなり好ましい。
【0054】
攪拌方法は、特に限定されないが、混合物が混合する程度に攪拌されていればよい。
加熱時間は、特に限定されないが、好ましくは1~30時間である。該時間が1時間以上であると、より均一に分散され、特定の粒子径および特定のオレイン吸油量を有する樹脂粒子が得られやすい傾向がある。該時間が30時間以下であると、生産効率が向上する傾向がある。該時間の下限は、より好ましくは2時間、さらに好ましくは3時間、最も好ましくは5時間である。加熱時間の上限は、より好ましくは25時間、さらに好ましくは20時間、最も好ましくは15時間である。
【0055】
(工程3)
工程3は工程2で得られた加熱分散液を冷却する工程である。工程2の加熱分散液を冷却することで、樹脂粒子の分散液を得ることができる。
冷却方法は、特に限定されないが、工程2で得られた加熱分散液を5~50℃に冷却すると好ましい。冷却速度は特に限定はないが、急冷してもよく、空気冷却等により自然冷却してもよい。
工程3においては、工程2の攪拌速度で攪拌してもよく、攪拌を停止してもよい。
冷却後の分散液は、樹脂粒子を含む水分散液である。
【0056】
(工程4)
工程4は工程3で得られた分散液をアルカリ処理する工程である。分散液をアルカリ処理することで、樹脂粒子の表面に凹凸を生じることができる。
アルカリ処理は、特に限定されないが、工程3で得られた分散液に水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリやその溶液を添加し、pHを8~11に調整し、40~100℃で0.5~10時間攪拌すると、上述した特定の表面状態の樹脂粒子が得られやすくなり、好ましい。50℃以上に加熱した後は、工程3と同様に、5~50℃に冷却すると好ましい。
【0057】
本発明の樹脂粒子の使用形態は、分散液でもよく、湿粉でもよく、乾燥粉体でもよい。
湿粉は、例えば、遠心分離機、加圧プレス機、真空脱水機等を用いて、工程4の分散液を脱水処理して得ることができる。
工程4の分散液は、液粘度を下げる措置を実施した後に脱水処理を行ってもよい。液粘度を下げる方法としては、特に限定はないが、水を追加して希釈する方法、水溶性成分を塩析する方法、水溶性成分を酸化剤や酵素等により分解する方法等が挙げられる。酸化剤や酵素等を使用する場合は、特に限定はないが、40~100℃で1~30時間加熱すると好ましい。また、工程4の分散液は、脱水処理前にpHを4~8に調整してもよい。
乾燥粉体は、上記湿粉を、棚型乾燥機、間接加熱乾燥機、流動乾燥機、真空乾燥機、振動乾燥機、気流乾燥機等により乾燥し、乾燥粉末を得ることができる。また、工程3で得られた分散液を噴霧乾燥機、流動乾燥機等により乾燥し、乾燥粉末を得ることもできる。
乾燥粉末は、気流分級、スクリーン分級などで、分級してもよい。
【0058】
[樹脂粒子の用途]
本発明の樹脂粒子は、化粧料、塗料、光学用途、樹脂、建材などへ使用することが可能である。なかでも、本発明の樹脂粒子は、透明かつ、光乱反射性に優れることから、化粧料やコーティング組成物、光学部材へ好適に用いることができる。
【0059】
本発明の樹脂粒子を化粧料に配合した場合は、毛穴やシワを目立たなくする効果とともに、明度保持したまま、仕上がりに違和感のない化粧料が得られる。
化粧料に用いる場合、公知の化粧料成分と組み合わせて使用することができる。化粧料成分としては、例えば、油剤、界面活性剤、アルコール類、水、保湿剤、ゲル化剤、増粘剤、本発明のポリマー粒子以外の粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、機能性成分等が挙げられる。本発明のポリマー粒子を配合した化粧料の形態としては、粉末状、固形状、クリーム状、ゲル状、液状、ムース状、スプレー状等が挙げられる。
化粧料全体に占める樹脂粒子の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは0.1~50重量%、より好ましくは0.5~30重量%、さらに好ましくは1~20重量%である。
【0060】
本発明の樹脂粒子をコーティング組成物に配合した場合は、透明性を保持したまま艶消し効果を得ることができる。
コーティング組成物に用いる場合、公知のコーティング成分と組み合わせて使用することができる。
コーティング組成物全体に占める樹脂粒子の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは0.1~30重量%、より好ましくは0.5~20重量%、さらに好ましくは1~10重量%である。
【0061】
本発明の樹脂粒子を光学部材に配合した場合は、透明性を保持したまま光散乱効果を得ることができる。
光学部材全体に占める樹脂粒子の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは0.1~30重量%、より好ましくは0.3~20重量%、さらに好ましくは0.5~10重量%である。
【実施例】
【0062】
以下に、本発明の樹脂粒子の実施例について、具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例及び比較例で挙げた粒子について、次に示す要領で物性を測定し、さらに評価を行った。
【0063】
(体積平均粒子径の測定)
レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラック粒度分布計(型式9320-HRA)、日機装株式会社製)を使用し、湿式測定法により超音波を120秒照射し、測定を実施した。体積平均粒子径は体積基準測定による頻度の累積が50%の値(D50)を採用した。
【0064】
(凹凸部の深度)
樹脂粒子の断面を電子顕微鏡にて、粒子径のサイズに応じて1000~5000倍で観察して、写真撮影を行い、体積平均粒子径に近い樹脂粒子の断面を10個選び、各粒子の一番大きな凹凸部について下記計算式(4)により各粒子の凹凸部の深度を求め、10個の平均値を樹脂粒子の凹凸部の深度とした。
凹凸部の深度=(凹凸部の長さ)/((粒子の長径+粒子の短径)/2) (4)
なお、凹凸部の長さは
図8に示すように、樹脂粒子中心部を円心とし、凹凸部の外周を結んだ円周弧(R1)と凹凸部の内周を結んだ円周弧(R2)との差を、粒子の凹凸部の長さ(L)と規定した。
【0065】
(吸水量、吸油量の測定)
JIS-K5101吸油量の測定法に基づき、吸水量測定はイオン交換水を、吸油量測定はオレイン酸を用いて測定した。
【0066】
(真比重の測定)
100mLメスフラスコの重量aを計量し、次に試料を1gメスフラスコに加え重量bを計量した。これにイソプロピルアルコールを100mLの標線まで正確に加え全重量cを計量した。これとは別に、メスフラスコの空重量xを計量し、これにイソプロピルアルコールを標線まで正確に加え全重量yを計量した。これらの計量した値から、以下の数式(5)により樹脂粒子の真比重を算出した。
真比重=(b-a)×(y-x)/{100×(y-x)-(c-b)} (5)
【0067】
(透明性および光乱反射性の評価)
樹脂粒子とメチルフェニルシリコーンオイルを3:7の重量割合で混合し、厚さ0.1mmのPETシート上にフィルムアプリケーターで100μmの塗膜を作成した。文字を印刷した紙に塗膜を重ねて文字の見え方を観察し、透明性および光乱反射性を、以下の基準で評価した。
透明性評価については、塗膜を通して見える文字の状態から以下のように評価した。
〇:文字が目視で確認できる。
×:文字が確認できない。
光乱反射性については、文字の見え方から以下のように評価した。なお、透明性評価において文字が確認できない場合は、評価不可とした。
〇:文字の輪郭がぼやけて見える。
×:文字の輪郭がくっきりと見える。
【0068】
〔実施例1〕
水300重量部とポリブチレンサクシネート100重量部とソルビタンセスキオレート1.5重量部とポリビニルアルコール20重量部とを混合し、1Lの耐圧容器に仕込み密閉した。容器内部温度を140℃まで昇温し、圧力0.5MPaにて、毎分400rpmで3時間攪拌した後、50℃まで冷却し、粒子の水分散液を得た。得られた水分散液に水酸化ナトリウムを添加し、pH10に調整した後、50℃で2時間攪拌した。その後、水分散液に酸化剤を添加し、ろ過により脱水し、50℃で乾燥、分級し、粒子1を得た。
得られた粒子1の評価結果を表1に示す。また、粒子1の電子顕微鏡写真と、粒子1の透明性及び光乱反射性評価時のシリコーン塗膜の写真をそれぞれ
図1、
図2に示す。
【0069】
〔実施例2〕
水200重量部とポリブチレンサクシネート100重量部とソルビタンモノラウレート1重量部とポリビニルアルコール20重量部とを混合し、1Lの耐圧容器に仕込み密閉した。容器内部温度を140℃まで昇温し、圧力0.5MPaにて、毎分400rpmで3時間攪拌した後、50℃まで冷却し、粒子の水分散液を得た。得られた水分散液に水酸化ナトリウムを添加し、pH10に調整した後、60℃で1時間攪拌した。その後、水分散液に酸化剤を添加し、ろ過により脱水し、50℃で乾燥、分級し、粒子2を得た。
得られた粒子2の評価結果を表1に示す。また、粒子2の電子顕微鏡写真を
図3に示す。
【0070】
〔実施例3〕
水300重量部とポリブチレンサクシネートアジペート100重量部とスルホコハク酸ジエチルヘキシルナトリウム1.0重量部とポリビニルアルコール20重量部とを混合し、1Lの耐圧容器に仕込み密閉した。容器内部温度を120℃まで昇温し、圧力0.5MPaにて、毎分400rpmで3時間攪拌した後、50℃まで冷却し、粒子の水分散液を得た。得られた水分散液に水酸化ナトリウムを添加し、pH10に調整した後、60℃で3時間攪拌した。その後、水分散液に酸化剤を添加し、ろ過により脱水し、50℃で乾燥、分級し、粒子3を得た。得られた粒子3の評価結果を表1に示す。また、粒子3の電子顕微鏡写真を
図4に示す。
【0071】
〔実施例4〕
水200重量部と、ポリブチレンサクシネート70重量部とポリブチレンサクシネートアジペート30重量部とソルビタンモノラウレート2重量部とポリビニルアルコール20重量部とを混合し、1Lの耐圧容器に仕込み密閉した。容器内部温度を140℃まで昇温し、圧力1.0MPaにて、毎分400rpmで5時間攪拌した後、50℃まで冷却し、粒子の水分散液を得た。得られた水分散液に水酸化ナトリウムを添加し、pH10に調整した後、50℃で8時間攪拌した。その後、水分散液に酸化剤を添加し、ろ過により脱水し、50℃で乾燥、分級し、粒子4を得た。得られた粒子4の評価結果を表1に示す。また、粒子4の電子顕微鏡写真を
図5に示す。
【0072】
〔比較例1〕
市販のマツモトマイクロスフェアーM-100(松本油脂製薬製)を用い、透明性および光乱反射性の評価を行った。評価結果を表1に示す。また、該粒子の電子顕微鏡写真と、該粒子の透明性及び光乱反射性評価時のシリコーン塗膜の写真をそれぞれ
図6、
図7に示す。
【0073】
〔比較例2〕
ポリブチレンサクシネート20重量部と3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール600重量部とを混合し、1Lの耐圧容器に仕込み密閉した。容器内部温度を120℃まで昇温し、圧力0.5MPaにて、毎分600rpmで1時間攪拌した後、25℃まで冷却し、粒子の分散液を得た。ろ過により脱液し、50℃で乾燥し、粒子を得た。得られた該粒子の評価結果を表1に示す。
【0074】
【0075】
実施例1~4の粒子は、熱可塑性樹脂を含み、体積平均粒子径が1~100μmであり、表面に凹凸部を有し、その凹凸部の深度が0.0001~0.05であり、オレイン酸吸油量が30~150mL/100gであるため、透明性に優れ、かつ、光乱反射性に優れる。
一方、比較例1の粒子は表面が平滑であり、透明性には優れるが、光乱反射性に劣る。また、比較例2の粒子は表面の凹凸が大きく、光拡散性が強く、透明性に劣る。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の樹脂粒子は、透明かつ、光乱反射性に優れることから、化粧料やコーティング組成物、光学部材へ好適に用いることができる。例えば、化粧料に配合した場合には、毛穴やシワを目立たなくする効果とともに、明度を保持したまま、仕上がりに違和感のない化粧料を得ることができる。また、コーティング組成物に配合した場合には、透明性を保持したまま艶消し効果を得ることができる。
本発明の樹脂粒子は、透明かつ、光乱反射性に優れることから、化粧料、塗料、コーティング組成物、フィルム、成形体等などの各種製品への配合剤として利用することが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 凹部
2 凸部
R1 凹凸部の外周を結んだ円周弧
R2 凹凸部の内周を結んだ円周弧
L 凹凸部の長さ