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特許7542732バルクフィーダおよび部品供給制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】バルクフィーダおよび部品供給制御システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
H05K13/02 D
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023516985
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(86)【国際出願番号】 JP2021017125
(87)【国際公開番号】W WO2022230157
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】高浜 透
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 祐輔
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特公昭57-043488(JP,B2)
【文献】特開平11-026988(JP,A)
【文献】特開2011-114084(JP,A)
【文献】国際公開第2018/105591(WO,A1)
【文献】特開平11-171325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィーダ本体と、
前記フィーダ本体に対して振動可能に設けられ、複数の部品が搬送される搬送路および前記部品を採取可能に供給する供給領域を形成された軌道部材と、
前記供給領域において前記部品を収容する複数のキャビティと、
複数の前記部品が前記搬送路と前記供給領域との間で搬送されるように前記軌道部材に振動を付与する加振装置と、
前記加振装置の動作を制御して複数の前記部品を複数の前記キャビティに収容させる搬送動作を実行し、前記搬送動作のうち前記搬送路から複数の前記部品を前記供給領域の側に前進させる送り動作、または前記供給領域から複数の前記部品を前記搬送路の側に後退させる戻し動作の実行期間において、前記加振装置により複数種類の振動が前記軌道部材に付与されるように制御する加振制御部と、
を備え
前記加振制御部は、前記送り動作または前記戻し動作の前記実行期間において、前記加振装置により第一振動が前記軌道部材に付与された後に、前記第一振動よりも振幅が小さい第二振動が前記軌道部材に付与されるように制御するバルクフィーダ。
【請求項2】
前記第二振動の振幅は、前記第一振動の振幅の0.4から0.8倍に設定される、請求項に記載のバルクフィーダ。
【請求項3】
前記加振制御部は、前記送り動作または前記戻し動作の前記実行期間において、前記加振装置により複数種類の前記振動が前記軌道部材に付与されるそれぞれの時間が等しくなるように制御する、請求項1または2に記載のバルクフィーダ。
【請求項4】
前記加振制御部は、前記送り動作または前記戻し動作の前記実行期間において、前記加振装置により複数種類の前記振動が前記軌道部材に付与されるそれぞれの時間、複数種類の前記振動の振幅または周波数を、前記部品の質量、前記部品に対する前記キャビティの上下方向の寸法差、および前記部品に対する前記キャビティの水平方向の寸法差の少なくとも一つに応じて切り換える、請求項1または2に記載のバルクフィーダ。
【請求項5】
フィーダ本体と、
前記フィーダ本体に対して振動可能に設けられ、複数の部品が搬送される搬送路および前記部品を採取可能に供給する供給領域を形成された軌道部材と、
前記供給領域において前記部品を収容する複数のキャビティと、
複数の前記部品が前記搬送路と前記供給領域との間で搬送されるように前記軌道部材に振動を付与する加振装置と、
前記加振装置の動作を制御して複数の前記部品を複数の前記キャビティに収容させる搬送動作を実行し、前記搬送動作のうち前記搬送路から複数の前記部品を前記供給領域の側に前進させる送り動作、または前記供給領域から複数の前記部品を前記搬送路の側に後退させる戻し動作の実行期間において、前記加振装置により複数種類の振動が前記軌道部材に付与されるように制御する加振制御部と、
を備え
前記加振制御部は、前記送り動作または前記戻し動作の前記実行期間において、前記加振装置により複数種類の前記振動が前記軌道部材に付与されるそれぞれの時間が等しくなるように制御するバルクフィーダ。
【請求項6】
フィーダ本体と、
前記フィーダ本体に対して振動可能に設けられ、複数の部品が搬送される搬送路および前記部品を採取可能に供給する供給領域を形成された軌道部材と、
前記供給領域において前記部品を収容する複数のキャビティと、
複数の前記部品が前記搬送路と前記供給領域との間で搬送されるように前記軌道部材に振動を付与する加振装置と、
前記加振装置の動作を制御して複数の前記部品を複数の前記キャビティに収容させる搬送動作を実行し、前記搬送動作のうち前記搬送路から複数の前記部品を前記供給領域の側に前進させる送り動作、または前記供給領域から複数の前記部品を前記搬送路の側に後退させる戻し動作の実行期間において、前記加振装置により複数種類の振動が前記軌道部材に付与されるように制御する加振制御部と、
を備え
前記加振制御部は、前記送り動作または前記戻し動作の前記実行期間において、前記加振装置により複数種類の前記振動が前記軌道部材に付与されるそれぞれの時間、複数種類の前記振動の振幅または周波数を、前記部品の質量、前記部品に対する前記キャビティの上下方向の寸法差、および前記部品に対する前記キャビティの水平方向の寸法差の少なくとも一つに応じて切り換えるバルクフィーダ。
【請求項7】
前記加振制御部は、前記搬送動作のうち少なくとも前記戻し動作の前記実行期間において、前記加振装置により複数種類の前記振動が前記軌道部材に付与されるように制御する、請求項1-6の何れか一項に記載のバルクフィーダ。
【請求項8】
フィーダ本体と、
前記フィーダ本体に対して振動可能に設けられ、複数の部品が搬送される搬送路および前記部品を採取可能に供給する供給領域を形成された軌道部材と、
前記供給領域において前記部品を収容する複数のキャビティと、
複数の前記部品が前記搬送路と前記供給領域との間で搬送されるように前記軌道部材に振動を付与する加振装置と、
前記加振装置の動作を制御して複数の前記部品を複数の前記キャビティに収容させる搬送動作を実行し、前記搬送動作のうち前記搬送路から複数の前記部品を前記供給領域の側に前進させる送り動作、または前記供給領域から複数の前記部品を前記搬送路の側に後退させる戻し動作の実行期間において、前記加振装置により複数種類の振動が前記軌道部材に付与されるように制御する加振制御部と、
を備え
前記加振制御部は、前記搬送動作のうち少なくとも前記戻し動作の前記実行期間において、前記加振装置により複数種類の前記振動が前記軌道部材に付与されるように制御するバルクフィーダ。
【請求項9】
請求項1-8の何れか一項に記載の前記バルクフィーダの前記供給領域を撮像して取得された画像データに基づいて、前記供給領域における前記部品の供給状態を割り出す状態認識部と、
前記供給状態に基づいて、前記バルクフィーダにおける前記搬送動作を制御する搬送制御部と、
を備える部品供給制御システム。
【請求項10】
前記供給状態には、複数の前記キャビティのうち前記部品を採取可能に収容する収容キャビティの数が第一閾値以上である状態、前記収容キャビティの数が前記第一閾値未満であり且つ複数の前記キャビティのうち前記部品が存在しない空キャビティの数が第二閾値以上である状態、前記収容キャビティの数が前記第一閾値未満であり且つ前記空キャビティの数が前記第二閾値未満である状態が含まれる、請求項に記載の部品供給制御システム。
【請求項11】
フィーダ本体と、
前記フィーダ本体に対して振動可能に設けられ、複数の部品が搬送される搬送路および前記部品を採取可能に供給する供給領域を形成された軌道部材と、
前記供給領域において前記部品を収容する複数のキャビティと、
複数の前記部品が前記搬送路と前記供給領域との間で搬送されるように前記軌道部材に振動を付与する加振装置と、
前記加振装置の動作を制御して複数の前記部品を複数の前記キャビティに収容させる搬送動作を実行し、前記搬送動作のうち前記搬送路から複数の前記部品を前記供給領域の側に前進させる送り動作、または前記供給領域から複数の前記部品を前記搬送路の側に後退させる戻し動作の実行期間において、前記加振装置により複数種類の振動が前記軌道部材に付与されるように制御する加振制御部と、
を備えるバルクフィーダに適用され、
記バルクフィーダの前記供給領域を撮像して取得された画像データに基づいて、前記供給領域における前記部品の供給状態を割り出す状態認識部と、
前記供給状態に基づいて、前記バルクフィーダにおける前記搬送動作を制御する搬送制御部と、
を備え
前記供給状態には、複数の前記キャビティのうち前記部品を採取可能に収容する収容キャビティの数が第一閾値以上である状態、前記収容キャビティの数が前記第一閾値未満であり且つ複数の前記キャビティのうち前記部品が存在しない空キャビティの数が第二閾値以上である状態、前記収容キャビティの数が前記第一閾値未満であり且つ前記空キャビティの数が前記第二閾値未満である状態が含まれる部品供給制御システム。
【請求項12】
前記搬送制御部は、前記状態認識部により割り出された前記供給状態に基づいて、前記搬送動作の制御において複数の搬送パターンを切り換える、請求項11に記載の部品供給制御システム。
【請求項13】
フィーダ本体と、
前記フィーダ本体に対して振動可能に設けられ、複数の部品が搬送される搬送路および前記部品を採取可能に供給する供給領域を形成された軌道部材と、
前記供給領域において前記部品を収容する複数のキャビティと、
複数の前記部品が前記搬送路と前記供給領域との間で搬送されるように前記軌道部材に振動を付与する加振装置と、
前記加振装置の動作を制御して複数の前記部品を複数の前記キャビティに収容させる搬送動作を実行し、前記搬送動作のうち前記搬送路から複数の前記部品を前記供給領域の側に前進させる送り動作、または前記供給領域から複数の前記部品を前記搬送路の側に後退させる戻し動作の実行期間において、前記加振装置により複数種類の振動が前記軌道部材に付与されるように制御する加振制御部と、
を備えるバルクフィーダに適用され、
記バルクフィーダの前記供給領域を撮像して取得された画像データに基づいて、前記供給領域における前記部品の供給状態を割り出す状態認識部と、
前記供給状態に基づいて、前記バルクフィーダにおける前記搬送動作を制御する搬送制御部と、
を備え
前記搬送制御部は、前記状態認識部により割り出された前記供給状態に基づいて、前記搬送動作の制御において複数の搬送パターンを切り換える部品供給制御システム。
【請求項14】
複数の前記搬送パターンには、前記加振制御部による前記搬送動作の前記送り動作または前記戻し動作の前記実行期間において、予め設定された複数種類の前記振動が前記軌道部材に付与される通常搬送と、前記通常搬送より前記供給領域に残留する前記部品の数量が多くなるように調整された複数種類の前記振動が前記軌道部材に付与される補給搬送と、前記通常搬送より前記供給領域から除去される前記部品の数量が多くなるように調整された複数種類の前記振動が前記軌道部材に付与される除去搬送とが含まれる、請求項12または13に記載の部品供給制御システム。
【請求項15】
前記状態認識部は、前記画像データに基づいて、前記供給領域において複数の前記部品が密集した部品群の位置および大きさを部品群状態としてさらに割り出し、
前記搬送制御部は、前記供給状態および前記部品群状態に基づいて、前記バルクフィーダにおける前記搬送動作を制御する、請求項9-14の何れか一項に記載の部品供給制御システム。
【請求項16】
フィーダ本体と、
前記フィーダ本体に対して振動可能に設けられ、複数の部品が搬送される搬送路および前記部品を採取可能に供給する供給領域を形成された軌道部材と、
前記供給領域において前記部品を収容する複数のキャビティと、
複数の前記部品が前記搬送路と前記供給領域との間で搬送されるように前記軌道部材に振動を付与する加振装置と、
前記加振装置の動作を制御して複数の前記部品を複数の前記キャビティに収容させる搬送動作を実行し、前記搬送動作のうち前記搬送路から複数の前記部品を前記供給領域の側に前進させる送り動作、または前記供給領域から複数の前記部品を前記搬送路の側に後退させる戻し動作の実行期間において、前記加振装置により複数種類の振動が前記軌道部材に付与されるように制御する加振制御部と、
を備えるバルクフィーダに適用され、
記バルクフィーダの前記供給領域を撮像して取得された画像データに基づいて、前記供給領域における前記部品の供給状態を割り出す状態認識部と、
前記供給状態に基づいて、前記バルクフィーダにおける前記搬送動作を制御する搬送制御部と、
を備え
前記状態認識部は、前記画像データに基づいて、前記供給領域において複数の前記部品が密集した部品群の位置および大きさを部品群状態としてさらに割り出し、
前記搬送制御部は、前記供給状態および前記部品群状態に基づいて、前記バルクフィーダにおける前記搬送動作を制御する部品供給制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルクフィーダおよび部品供給制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品供給制御システムは、バルクフィーダを用いた部品供給を制御する。バルクフィーダは、基板に部品を装着する部品装着機に装備され、バルク状態の部品を供給する。特許文献1には、搬送路に振動を付与して複数の部品を搬送する構成が開示されている。このような搬送動作によって、バルクフィーダは、吸着ノズルが部品を採取できるように上方に開口した供給領域において部品を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-114084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなバルクフィーダは、例えば部品装着機の制御装置から部品供給を要求され、規定の搬送動作を実行する。しかしながら、供給領域において部品がバルク状態であることから、規定の搬送動作を実行しても採取可能な部品の数にばらつきが生じ得る。バルクフィーダ、およびバルクフィーダを用いた部品供給を制御するシステムには、良好な部品の供給状態を維持し、生産性向上の要請がある。
【0005】
本明細書は、部品の供給状態を良好にできるバルクフィーダ、およびバルクフィーダを装備された部品装着機の生産性向上を図ることができる部品供給制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、フィーダ本体と、前記フィーダ本体に対して振動可能に設けられ、複数の部品が搬送される搬送路および前記部品を採取可能に供給する供給領域を形成された軌道部材と、前記供給領域において前記部品を収容する複数のキャビティと、複数の前記部品が前記搬送路と前記供給領域との間で搬送されるように前記軌道部材に振動を付与する加振装置と、前記加振装置の動作を制御して複数の前記部品を複数の前記キャビティに収容させる搬送動作を実行し、前記搬送動作のうち前記搬送路から複数の前記部品を前記供給領域の側に前進させる送り動作、または前記供給領域から複数の前記部品を前記搬送路の側に後退させる戻し動作の実行期間において、前記加振装置により複数種類の振動が前記軌道部材に付与されるように制御する加振制御部と、を備えるバルクフィーダを開示する。
【0007】
本明細書は、前記バルクフィーダの前記供給領域を撮像して取得された画像データに基づいて、前記供給領域における前記部品の供給状態を割り出す状態認識部と、前記供給状態に基づいて、前記バルクフィーダにおける前記搬送動作を制御する搬送制御部と、を備える部品供給制御システムを開示する。
【発明の効果】
【0008】
このようなバルクフィーダの構成によると、送り動作または戻し動作の実行期間において、複数種類の振動が軌道部材に付与される。これにより、搬送特性の異なる複数種類の振動を組み合わせて、部品の搬送することができる。例えば、キャビティへの部品の収容、キャビティからの部品の飛び出しの抑制、または部品全体の搬送などを適宜優先させる振動特性を有する振動を組み合わせることができる。そうすると、キャビティへの収容を行った後に、余剰部品を供給領域から除去するするような搬送制御を一連で行うことができる。結果として、部品の供給状態を良好にできる。
【0009】
このような部品供給制御システムの構成によると、送り動作または戻し動作の実行期間に複数種類の振動を付与可能なバルクフィーダの搬送動作は、供給領域における部品の供給状態に基づいて制御される。これにより、現在の供給状態に応じた搬送動作が可能となり、供給領域において採取可能な部品を増加させることができる。このように、バルクフィーダにおける部品の供給状態を良好にすることで、部品装着機の生産性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】バルクフィーダを装備された部品装着機を模式的に示す平面図である。
図2】バルクフィーダの外観を示す斜視図である。
図3】バルクフィーダの要部を模式的に示す側面図である。
図4図2のIV方向から見た平面図である。
図5】部品供給制御システムを適用された部品装着機を示すブロック図である。
図6】供給領域を撮像した画像データを示す図である。
図7図6の画像データを対象とした供給状態の認識処理の結果を示す図である。
図8】部品供給制御処理を示すフローチャートである。
図9】搬送パターンが通常搬送である場合の搬送動作のタイムチャートである。
図10】搬送パターンが補給搬送である場合の搬送動作のタイムチャートである。
図11】搬送パターンが除去搬送である場合の搬送動作のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
バルクフィーダ30を用いた部品供給を制御する部品供給制御システム80について、図面を参照して説明する。バルクフィーダ30は、例えば基板91に部品92を装着する部品装着機10に装備され、バルク状態(それぞれの姿勢が不規則なばら状態)の部品92を供給する。
【0012】
1.部品装着機10の構成
部品装着機10は、例えば他の部品装着機10を含む複数種類の対基板作業機とともに、基板製品を生産する生産ラインを構成する。上記の生産ラインを構成する対基板作業機には、印刷機や検査装置、リフロー炉などが含まれ得る。
1-1.基板搬送装置
部品装着機10は、図1に示すように、基板搬送装置11を備える。基板搬送装置11は、基板91を搬送方向へと順次搬送するとともに、基板91を機内の所定位置に位置決めする。
【0013】
1-2.部品供給装置12
部品装着機10は、部品供給装置12を備える。部品供給装置12は、基板91に装着される部品を供給する。部品供給装置12は、複数のスロット121にフィーダ122をそれぞれ装備される。フィーダ122には、例えば多数の部品が収納されたキャリアテープを送り移動させて、部品を採取可能に供給するテープフィーダが適用される。また、フィーダ122には、バルク状態で収容された部品を採取可能に供給するバルクフィーダ30が適用される。バルクフィーダ30の詳細については後述する。
【0014】
1-3.部品移載装置13
部品装着機10は、部品移載装置13を備える。部品移載装置13は、部品供給装置12により供給された部品を基板91上の所定の装着位置に移載する。部品移載装置13は、ヘッド駆動装置131、移動台132、装着ヘッド133、および吸着ノズル134を備える。ヘッド駆動装置131は、直動機構により移動台132を水平方向(X方向およびY方向)に移動させる。装着ヘッド133は、図示しないクランプ部材により移動台132に着脱可能に固定され、機内において水平方向に移動可能に設けられる。
【0015】
装着ヘッド133は、回転可能に且つ昇降可能に複数の吸着ノズル134を支持する。吸着ノズル134は、フィーダ122により供給される部品92を採取して保持する保持部材である。吸着ノズル134は、供給される負圧エアにより、フィーダ122により供給される部品を吸着する。装着ヘッド133に取り付けられる保持部材としては、部品を把持することにより保持するチャックなどが採用され得る。
【0016】
1-4.部品カメラ14、基板カメラ15
部品装着機10は、部品カメラ14、および基板カメラ15を備える。部品カメラ14、および基板カメラ15は、CMOSなどの撮像素子を有するデジタル式の撮像装置である。部品カメラ14、および基板カメラ15は、制御信号に基づいて撮像を行い、当該撮像により取得した画像データを送出する。部品カメラ14は、吸着ノズル134に保持された部品を下方から撮像可能に構成される。基板カメラ15は、装着ヘッド133と一体的に水平方向に移動可能に移動台132に設けられる。基板カメラ15は、基板91を上方から撮像可能に構成される。
【0017】
また、基板カメラ15は、基板91の表面を撮像対象とする他に、移動台132の可動範囲であれば種々の機器などを撮像対象にできる。例えば、基板カメラ15は、本実施形態において、図4に示すように、バルクフィーダ30が部品92を供給する供給領域Asやバルクフィーダ30の上部に設けられた基準マーク344をカメラ視野に収めて撮像することができる。このように、基板カメラ15は、種々の画像処理に用いられる画像データを取得するために、異なる撮像対象の撮像に兼用され得る。
【0018】
1-5.制御装置16
部品装着機10は、図1に示すように、制御装置16を備える。制御装置16は、主として、CPUや各種メモリ、制御回路、および記憶装置により構成される。制御装置16は、制御装置16には、装着処理の制御に用いられる制御プログラムなどの各種データが記憶される。制御プログラムは、装着処理において基板91に装着される部品の装着位置、装着角度、および装着順序を示す。
【0019】
制御装置16は、複数の保持部材(吸着ノズル134)のそれぞれに保持された部品の保持状態の認識処理を実行する。具体的には、制御装置16は、部品カメラ14の撮像により取得された画像データを画像処理し、装着ヘッド133の基準位置に対する各部品の位置および角度を認識する。なお、制御装置16は、部品カメラ14の他に、例えば装着ヘッド133に一体的に設けられるヘッドカメラユニットなどが部品を側方、下方、または上方から撮像して取得された画像データを画像処理するようにしてもよい。
【0020】
制御装置16は、制御プログラムに基づいて、装着ヘッド133による部品の装着動作を制御して装着処理を実行する。ここで、装着処理には、採取動作と装着動作とが含まれるPPサイクル(ピックアンドプレースサイクル)を複数回に亘って繰り返す処理が含まれる。上記の「採取動作」とは、部品供給装置12により供給された部品を吸着ノズル134により採取する動作である。
【0021】
本実施形態において、制御装置16は、上記の採取動作の実行に際して、バルクフィーダ30を含む部品供給装置12の動作を制御する。バルクフィーダ30の動作を対象とした制御には、例えばバルクフィーダ30による部品92の供給動作、および後述するシャッタ37の開閉動作の制御が含まれる。
【0022】
制御装置16は、状態認識部81を備える。状態認識部81は、カメラ(本実施形態において、基板カメラ15)の撮像により取得した画像データに基づいて、バルクフィーダ30の供給領域Asにおける複数の部品92の供給状態を認識する。供給状態の認識処理には、供給領域Asに採取可能な部品92があるか否かを認識し、採取可能な部品92がある場合にはその部品92の位置および角度を認識する処理が含まれる。そして、制御装置16は、供給状態の認識処理の結果に基づいて、採取動作における装着ヘッド133の動作を制御する。
【0023】
また、上記の「装着動作」とは、採取した部品を基板91における所定の装着位置に、所定の装着角度で装着する動作である。制御装置16は、装着処理において、各種センサから出力される情報や画像処理の結果、制御プログラムなどに基づき、装着ヘッド133の動作を制御する。これにより、装着ヘッド133に支持された複数の吸着ノズル134の位置および角度が制御される。
【0024】
2.バルクフィーダ30の構成
バルクフィーダ30は、部品装着機10に装備されて部品供給装置12の一部として機能する。バルクフィーダ30は、キャリアテープのように整列されていないバルク状態で収容された部品92を供給する。そのため、バルクフィーダ30は、テープフィーダと異なりキャリアテープを用いないため、キャリアテープの装填や使用済みテープの回収などを省略できる点でメリットがある。
【0025】
バルクフィーダ30には、例えば平面状の供給領域Asに不規則な姿勢で部品92を供給するタイプがある。しかしながら、供給領域Asにおいて部品92同士が接触するほど接近していたり堆積(上下方向に重なり合っている状態)していたり、部品92の幅方向が上下方向となるような横立ち姿勢であったりすると、部品装着機10は、これらの部品92を採取対象にすることができない。そこで、採取可能な部品92の割合を増加すべく、バルクフィーダ30には、供給領域Asにおいて部品92を整列させた状態で供給するタイプがある。本実施形態では、部品92を整列させるタイプのバルクフィーダ30を例示して説明する。
【0026】
2-1.フィーダ本体31
バルクフィーダ30は、図2に示すように、扁平な箱状に形成されたフィーダ本体31を備える。フィーダ本体31の前部には、コネクタ311および2つのピン312が設けられる。フィーダ本体31は、部品供給装置12のスロット121にセットされると、コネクタ311を介して給電されるとともに、制御装置16と通信可能な状態となる。2つのピン312は、スロット121に設けられたガイド穴に挿入され、フィーダ本体31がスロット121にセットされる際の位置決めに用いられる。
【0027】
2-2.受容部材32
フィーダ本体31には、複数の部品92をバルク状態で収容する部品ケース70が受容部材32を介して着脱可能に取り付けられる。部品ケース70は、バルクフィーダ30の外部機器である。フィーダ本体31には、種々のタイプの部品ケース70から装着処理に適合する1つが選択されて取り付けられる。部品ケース70の前部には、外部へ部品92を排出する排出口71が形成される。
【0028】
受容部材32は、フィーダ本体31に対して振動可能に設けられ、取り付けられた部品ケース70を支持する。受容部材32は、部品ケース70から排出された部品92を受容する受容領域Arを形成される。本実施形態において、受容部材32は、受容領域Arにおいて水平面に対して前側に傾斜した傾斜部321を有する。この傾斜部321は、部品ケース70の排出口71の下方に位置し、且つ平面状をなす。受容部材32は、受容領域Arの上方に延伸する部品92の流路を形成され、この流路が上方に開口する送出部322を形成される。
【0029】
2-3.ブラケット33、軌道部材34、ロックユニット35
バルクフィーダ30は、ブラケット33および軌道部材34を備える。ブラケット33は、フィーダ本体31に対して振動可能に設けられる。ブラケット33は、フィーダ本体31の前後方向に延伸するブロック状に形成され、上面に軌道部材34を取り付けられる。ブラケット33は、後述する加振装置40の支持部材41により支持される。軌道部材34は、複数の部品92が搬送される搬送路R、および搬送路Rに連通して複数の部品92を採取可能に上方に開口する供給領域Asを形成される。
【0030】
バルクフィーダ30は、ロックユニット35を備える。ロックユニット35は、軌道部材34がブラケット33に取り付けられた状態で、軌道部材34をロックする。軌道部材34は、ロックユニット35によりロックされると、フィーダ本体31に対してブラケット33と一体的に振動する状態となる。軌道部材34は、ロックユニット35のアンロックによりブラケット33から取り外し可能な状態となる。
【0031】
2-4.軌道部材34の詳細構成、カバー36、シャッタ37、連結部材38
軌道部材34は、フィーダ本体31の前後方向(図4の左右方向)に延伸するように形成される。軌道部材34の幅方向(図4の上下方向)の両縁には、上方に突出する一対の側壁341が形成される。一対の側壁341は、軌道部材34の先端部342とともに搬送路Rの周縁を囲い、搬送路Rを搬送される部品92の漏出を防止する。先端部342の上面には、供給領域Asの基準位置を示す円形の基準マーク344が左右一対で付される。
【0032】
本実施形態において、軌道部材34には、整列部材50が交換可能に取り付けられる。整列部材50は、複数の部品92を個々に収容する複数のキャビティ51を有する。詳細には、複数のキャビティ51は、供給領域Asにおいて搬送方向に隣り合う列が互い違いになるジグザグ状に配置される。例えば、整列部材50は、規則的に搬送方向に8個、搬送路Rの幅方向に8個それぞれ配列された計64個のキャビティ51を有する。複数のキャビティ51のそれぞれは、上方に開口し、部品92の厚み方向が上下方向となる姿勢で部品92を収容する。なお、複数のキャビティ51は、その他に、マトリックス状に配列されてもよい。
【0033】
キャビティ51の開口は、上方視における部品92の外形状よりも僅かに大きくなる寸法に設定される。キャビティ51の深さは、部品92の種類(形状、質量など)に応じて設定される。軌道部材34には、種々のタイプの軌道部材34から、部品92の種類や、キャビティ51の必要数、機能性に基づいて選択された1つが取り付けられる。
【0034】
ここで、軌道部材34の「供給領域As」とは、部品92をバルク状態で供給する領域であって、装着ヘッド133に支持された吸着ノズル134により部品92を採取可能な領域である。また、軌道部材34の「搬送路R」とは、受容領域Arから軌道部材34へと流通した部品92が供給領域Asへと搬送される部品92の通り道である。
【0035】
バルクフィーダ30は、カバー36を備える。カバー36は、軌道部材34に固定され、搬送路Rの上方を覆う。カバー36は、上面に複数の排気口361が形成されている。排気口361には、目地が部品92の外形寸法より小さいメッシュが張られている。このような構成により、カバー36は、搬送路Rからの部品92の飛び出しを防止しつつ、排気口361からエアを外部に排出することができるように構成されている。
【0036】
バルクフィーダ30は、軌道部材34の上部に設けられ、供給領域Asの開口を閉塞可能なシャッタ37を備える。バルクフィーダ30は、シャッタ37を開閉することによって部品92の飛び出しや供給領域Asへの異物混入を防止することができる。本実施形態において、シャッタ37は、開閉動作により開状態、閉状態、および中間状態を切り換えられる。シャッタ37の閉状態とは、シャッタ37が軌道部材34に接触し、供給領域Asの開口が完全に閉塞された状態である。このとき、シャッタ37は、図4の破線で示すように、軌道部材34の一対の基準マーク344よりもフィーダ本体31の後側に位置し、上方視において一対の基準マーク344を視認および撮像可能とする。
【0037】
また、シャッタ37の開状態とは、供給領域Asの開口が閉塞されておらず、且つ供給領域Asの主要範囲(本実施形態において複数のキャビティ51が設けられた範囲)を露出させた状態である。このとき、吸着ノズル134は、何れのキャビティ51に対して部品92の採取動作を実行することができる。シャッタ37の中間状態とは、閉状態と開状態の間の状態であって、シャッタ37が軌道部材34から少なくとも加振装置40の加振により振動する軌道部材34の振幅よりも離間し且つ供給領域Asの開口から部品92の飛び出しを規制する状態である。シャッタ37は、図略の駆動装置により開閉動作を行い、駆動装置の駆動状態に応じて閉状態、開状態、および中間状態とされる。
【0038】
軌道部材34は、後部において下方に延伸する部品92の流路を形成され、この流路が下方に開口する導入部343を有する。導入部343は、受容部材32の送出部322と上下方向に対向する。バルクフィーダ30は、管状をなす連結部材38を備える。連結部材38は、受容部材32の送出部322および軌道部材34の導入部343を連結する。本実施形態において、連結部材38は、密着コイルばねであり、全体として可撓性を有する。
【0039】
上記のような構成により、連結部材38は、受容領域Arと搬送路Rとの間を複数の部品92を流通可能に連結する。また、連結部材38は、フィーダ本体31に対する受容部材32の振動および軌道部材34の振動に応じて変形することにより振動を吸収する。連結部材38は、互いに独立して振動する受容部材32および軌道部材34の間で伝達される振動を軽減または遮断する。
【0040】
2-5.エア供給装置39
バルクフィーダ30は、エア供給装置39を備える。エア供給装置39は、受容領域Arの下方から正圧エアを供給して、受容部材32から連結部材38を介して軌道部材34まで複数の部品92を流通させる。本実施形態において、エア供給装置39は、外部から供給される正圧エアを、後述するフィーダ制御装置60の指令に基づいて受容領域Arの下方から供給または遮断する。
【0041】
エア供給装置39が正圧エアを供給すると、受容領域Arに滞留していた複数の部品92は、正圧エアにより上方に吹き上げられる。正圧エアおよび複数の部品92は、受容部材32の送出部322、連結部材38、および導入部343の順に流通し、軌道部材34の搬送路Rに到達する。ここで、正圧エアは、カバー36の排気口361から外部に排気される。また、複数の部品92は、自重により軌道部材34の搬送路Rに落下する。
【0042】
2-6.加振装置40
バルクフィーダ30は、フィーダ本体31に設けられる加振装置40を備える。加振装置40は、複数の部品92が搬送路Rに沿って搬送されるように軌道部材34に振動を付与する。具体的には、加振装置40は、複数の支持部材41、複数の圧電素子42、振動センサ43、および給電装置44を有する。複数の支持部材41は、フィーダ本体31とブラケット33を直接的または間接的に連結して、ブラケット33を支持する。
【0043】
本実施形態において、複数の支持部材41には、部品92の前側搬送に用いられる前進用支持部材41Aと、後側搬送に用いられる後退用支持部材41Bとがある。前進用支持部材41Aおよび後退用支持部材41Bは、それぞれ鉛直方向に対する傾斜方向が互いに相違する。複数の圧電素子42は、給電装置44から給電される電力に応じた周波数で振動する振動子である。複数の圧電素子42は、複数の支持部材41のそれぞれに貼付されている。
【0044】
複数の圧電素子42の少なくとも一部が振動すると、ブラケット33を介して軌道部材34に振動が付与される。また、圧電素子42に印加する電圧に応じて、軌道部材34の振幅が変動する。振動センサ43は、加振装置40の加振により振動する軌道部材34の振動状態を示す振動値を検出する。上記の振動状態を示す振動値としては、振幅や周波数、減衰時間、振動軌跡などを適用することができる。本実施形態において、振動センサ43は、圧電素子42が給電されて振動したときに、軌道部材34の実際の振動の周波数または振幅を検出する。
【0045】
本実施形態において、振動センサ43は、軌道部材34と一体的に振動するブラケット33を支持する複数の支持部材41にそれぞれ設けられている。より詳細には、圧電素子42および振動センサ43は、前進用支持部材41Aおよび後退用支持部材41Bのそれぞれに設けられている。前進用支持部材41Aに設けられた振動センサ43は、この前進用支持部材41Aに設けられた圧電素子42が給電され、ブラケット33を介して軌道部材34に振動を付与している際に、振動値として実際の周波数または振幅を検出する。
【0046】
ここで、加振装置40が軌道部材34に振動を付与すると、軌道部材34は、側方視において楕円運動する。これにより、搬送路Rにある複数の部品92は、軌道部材34の楕円運動の回転方向に応じて前方且つ上方の外力、または後方且つ上方の外力を加えられる。これにより、複数の部品92は、軌道部材34の前側に搬送されたり、後側に搬送されたりすることになる。
【0047】
給電装置44は、後述するフィーダ制御装置60の指令に基づいて、圧電素子42に供給する電力の周波数、および印加電圧を変動させる。これにより、軌道部材34に付与される振動の周波数および振幅が調整され、軌道部材34の楕円運動の回転方向が定まる。軌道部材34の振動の周波数や振幅、振動による楕円運動の回転方向が変動すると、搬送される部品92の搬送速度、部品92の分散度合い、および搬送方向などが変動する。
【0048】
そこで、加振装置40は、搬送効率を向上させるために、個体差のある振動特性(固有振動数を含む)に対応した電力供給(周波数、印加電圧)を予め設定される。例えば、バルクフィーダ30は、実行予定の供給動作(本実施形態において、複数の部品92を複数のキャビティ51に収容するための搬送動作)に用いられる軌道部材34が取り付けられた状態、即ちブラケット33に対して軌道部材34がロックユニット35によりロックされた状態において、校正処理を実行される。
【0049】
2-7.フィーダ制御装置60
バルクフィーダ30は、フィーダ制御装置60を備える。フィーダ制御装置60は、主として、CPUや各種メモリ、制御回路により構成される。フィーダ制御装置60は、バルクフィーダ30がスロット121にセットされた状態において、コネクタ311を介して給電され、また部品装着機10の制御装置16と通信可能な状態となる。
【0050】
フィーダ制御装置60は、図5に示すように、記憶部61を有する。記憶部61は、フラッシュメモリなどにより構成される。記憶部61には、部品供給処理の制御に用いられるプログラムや搬送パラメータなどの各種データが記憶される。上記の「搬送パラメータ」は、部品供給処理において部品92を搬送する際に、軌道部材34に付与する振動が適正となるように加振装置40の動作を制御するためのパラメータであり、例えば部品92の種類ごとに関連付けて予め設定される。
【0051】
フィーダ制御装置60は、加振制御部62を有する。加振制御部62は、加振装置40の動作を制御して、部品92の搬送動作を実行する。詳細には、加振制御部62は、搬送動作を実行する場合に、加振装置40の給電装置44に対して指令を送出する。これにより、給電装置44が圧電素子42に所定の電力を供給することにより、ブラケット33を介して軌道部材34に振動が付与される。そして、搬送路R上の部品92が搬送方向に移動するように外力を受けて搬送される。
【0052】
上記のような構成からなるフィーダ制御装置60は、部品装着機10によるPPサイクルの実行中において、今回の採取動作の終了から次回の採取動作の開始までの期間に、部品92を供給するように指令を受けて、部品92の供給動作を実行する。部品92の供給動作は、複数のキャビティ51に部品92を収容させるように部品92を搬送する動作である。具体的には、搬送動作には、搬送路Rの前端部に位置する部品92が供給領域Asの前端まで前進する程度の送り動作、その後にその部品92が再び搬送路Rの前端部まで後退する程度の戻し動作が含まれる。
【0053】
なお、次回の採取動作の開始までに十分な時間的余裕がある場合には、搬送動作において、複数の部品92を供給領域Asにて前後方向に複数回に亘り往復させるように、送り動作および戻し動作を繰り返し実行することがある。ここで、上記のように複数の部品92を供給領域Asにおいて前後方向に往復させるように搬送すると、幾つかの部品92がキャビティ51に収容された状態となる。しかしながら、例えばキャビティ51に収容されていない余剰部品を搬送路Rまで退避させるために戻し動作を継続すると、キャビティ51に収容されていた部品92が飛び出すことがある。
【0054】
このような観点から搬送動作において軌道部材34に付与される振動の振幅および周波数が予め調整され、搬送パラメータとして記憶されるが、バルクフィーダには、部品92の供給状態をより良好にすることの要請がある。そこで、本実施形態のバルクフィーダ30は、キャビティ51に部品92を収容させるとともに、収容された部品92の飛び出しを抑制するように搬送動作を制御する構成を採用する。
【0055】
具体的には、加振制御部62は、送り動作または戻し動作の実行期間Teにおいて、加振装置40により複数種類の振動が軌道部材34に付与されるように制御する。上記のような制御は、送り動作および戻し動作の少なくとも一方において実行され、一の動作内において複数種類の振動が用いられる。ここでは、説明を簡略にするために、図9に示すように、戻し動作の実行期間TeRにおいて、加振装置40により複数種類の振動が軌道部材34に付与されるように制御する態様を例示して説明する。
【0056】
また、「複数種類の振動」には、振幅のみが相違、周波数のみが相違、および振幅および周波数の両方が相違するものが含まれる。図9にて示す態様では、2種類の振動であって、基準となる第一振動と、第一振動よりも振幅が小さく且つ周波数が同一である第二振動が用いられる。加振制御部62は、戻し動作の実行期間TeRにおいて、加振装置40により第一振動が軌道部材34に付与された後に、第二振動が軌道部材34に付与されるように制御する。なお、実際には、第一振動から第二振動への移行時に振幅が除変することになるが、加振制御部62は、それぞれの振動が軌道部材34に付与される期間(TeR1,TeR2)を設定している。
【0057】
ここで、第二振動の振幅は、第一振動の振幅の0.4から0.8倍に設定される。第二振動の周波数や部品92の質量等によって良好な振幅は変動し得る。本実施形態において、第二振動の振幅は、第一振動の振幅の0.6倍に設定される。また、第一振動の付与期間TeR1と第二振動の付与期間TeR2は、搬送動作に許容される実行時間によっても変動し得る。本実施形態において、加振制御部62は、加振装置40により複数種類の振動が軌道部材34に付与されるそれぞれの時間が等しくなるように制御する(TeR1=TeR2)。
【0058】
これに対して、加振制御部62は、加振装置40により複数種類の振動が軌道部材34に付与されるそれぞれの時間、複数種類の振動の振幅または周波数を、部品92の質量、部品92に対するキャビティ51の上下方向の寸法差、および部品92に対するキャビティ51の水平方向の寸法差の少なくとも一つに応じて切り換えてもよい。ここで、部品92の質量やキャビティ51との寸法関係によって、キャビティ51への収容されやすさや、収容された部品92の飛び出しやすさが変動し得る。
【0059】
そこで、加振制御部62は、さらに搬送動作に許容される実行時間を加味して、採用する搬送パラメータを切り換えるようにしてもよい。これにより、振幅や周波数の異なる振動が軌道部材34に付与され、部品92に軌道部材34から加えられる外力の大きさや方向を変化させることができる。結果として、部品92の搬送動作を各構成に適した状態にすることができる。
【0060】
3.部品供給制御システム80の構成
部品供給制御システム80は、上記のバルクフィーダ30を用いた部品供給を制御する。本実施形態において、部品供給制御システム80は、図5に示すように、制御装置16に組み込まれ、スロット121に装備されたバルクフィーダ30と通信可能に構成される。部品供給制御システム80は、バルクフィーダ30における良好な部品92の供給状態の維持を図るべく、部品供給を制御する。
【0061】
3-1.状態認識部81
部品供給制御システム80は、図5に示すように、状態認識部81を備える。状態認識部81は、上記のように、基板カメラ15の撮像により取得した画像データD1(図6を参照)に基づいて、バルクフィーダ30の供給領域Asにおける複数の部品92の供給状態を認識する。より詳細には、状態認識部81は、先ず、バルクフィーダ30が複数の部品92を振動により供給領域Asまで搬送した状態において供給領域Asを撮像して取得された画像データD1に基づいて、供給状態の認識処理を行う。
【0062】
図6は、画像データD1の一例である。このように、供給領域Asには、バルク状態の部品92が多数存在し、例えばキャビティ51に正常な姿勢で収容されるもの、キャビティ51の外部にあるもの、互いに接触したり堆積したりするもの、横立ち姿勢であるものなどが存在し得る。本実施形態において、状態認識部81は、まず複数のキャビティ51ごとに状態を割り出す。
【0063】
これにより、複数のキャビティ51は、部品92を採取可能に収容する収容キャビティ(図7の「OK」)、周囲に部品92が存在するものの採取不可であるNGキャビティ(図7の「NG」)、周囲に部品92が存在しない空キャビティ(図7の「EMP」)に分類される。図7は、収容キャビティに斜線を付して示し、NGキャビティに対角線を結ぶXマークを付して示し、空キャビティを破線の外形のみで示す。状態認識部81は、図7に示すように、複数のキャビティ51の状態(OK、NG、EMP)の数(V1、V2、V3)を算出する。
【0064】
そして、状態認識部81は、上記の数(V1,V2,V3)に基づいて、現在の供給状態を認識する。この供給状態には、収容キャビティの数V1が第一閾値H1以上である状態(V1≧H1)、収容キャビティの数V1が第一閾値H1未満であり且つ複数のキャビティ51のうち部品92が存在しない空キャビティの数V3が第二閾値H2以上である状態(V1<H1、V3≧H2)、収容キャビティの数V1が第一閾値H1未満であり且つ空キャビティの数V3が第二閾値H2未満である状態(V1<H1、V3<H2)が含まれる。また、状態認識部81は、上記の数(V1,V2,V3)の割合や最大値に基づいて、供給状態を割り出してもよい。
【0065】
ここで、供給領域Asには、例えばキャビティ51の数に対して過剰に部品92が搬送されることなどに起因して、図6に示すように、複数の部品92が密集した部品群Uが形成されることがある。本実施形態において、状態認識部81は、画像データD1に基づいて、部品群Uの位置および大きさを部品群状態としてさらに割り出す。具体的には、状態認識部81は、部品92の接触、堆積の状態を認識して、部品群状態を割り出してもよい。
【0066】
また、状態認識部81は、供給状態「NG」が規定数以上に亘り連続する場合に、その複数のキャビティ51を包含する領域が部品群Uに相当するとして、部品群状態を割り出してもよい。このように、状態認識部81は、図7の一点鎖線で示すように、部品群状態として、部品群Uの位置Cuおよび大きさを割り出す。
【0067】
3-2.搬送制御部85
部品供給制御システム80は、図5に示すように、搬送制御部85を備える。搬送制御部85は、状態認識部81により割り出された供給状態に基づいて、バルクフィーダ30における部品92の搬送動作を制御する。ここで、バルクフィーダ30における部品92の搬送動作には、送り動作および戻し動作が含まれる。上記の「送り動作」は、軌道部材34の後側から前側に部品92を搬送する動作であって、供給領域Asに連通する搬送路Rから複数の部品92を供給領域Asの側に前進させる動作である。また、「戻し動作」は、軌道部材34の前側から後側に部品92を搬送する動作であって、供給領域Asから複数の部品92を搬送路Rの側に後退させる動作である。
【0068】
搬送制御部85は、供給領域Asにおける部品92の供給状態に基づいて、上記の送り動作および戻し動作の実行回数、実行時間などを制御する。本実施形態において、搬送制御部85は、供給状態に基づいて、搬送動作の制御において複数の搬送パターンを切り換える。上記の搬送パターンの切り換えについては、種々の態様を採用し得る。例えば、搬送制御部85は、単に最大数であるキャビティ51の状態に応じた搬送パターンを採用してもよい。
【0069】
ここで、上記の複数の搬送パターンには、通常搬送と、補給搬送と、除去搬送とが含まれる。上記の「通常搬送」とは、送り動作または戻し動作の実行期間において、予め設定された複数種類の振動が軌道部材34に付与される搬送パターンである。通常搬送の一例として、図9に示すように、第一振動および第二振動が振幅の大きい方から順に等しい期間だけ軌道部材34に付与される。これにより、先の送り動作によって供給領域Asまで前進していた部品92は、第一振動の付与期間TeR1において後退しながらキャビティ51に順次収容され、第二振動の付与期間TeR2においてキャビティ51に収容された部品92の飛び出しが抑制されつつ余剰部品の除去がなされる。
【0070】
上記の「補給搬送」とは、通常搬送より供給領域Asに残留する部品92の数量が多くなるように調整された複数種類の振動が軌道部材34に付与される搬送パターンである。補給搬送の一例として、図10に示すように、送り動作の実行期間TeFが戻し動作の実行期間TeRよりも長くなるように設定され(TeF>TeR)、且つ第一振動の付与期間TeR1よりも第二振動の付与期間TeR2が長く設定される(TeR1<TeR2)。これにより、先の送り動作によって供給領域Asまで比較的多くの部品92が搬送され、さらにその後の戻し動作において供給領域Asに部品92が残留しやすくなり、空キャビティに部品92が収容されやすい状態にできる。
【0071】
また、上記の「除去搬送」とは、通常搬送より供給領域Asから除去される部品92の数量が多くなるように調整された複数種類の振動が軌道部材34に付与される搬送パターンである。除去搬送の一例として、図11に示すように、送り動作の実行期間TeFよりも戻し動作の実行期間TeRが長くなるように設定され(TeF<TeR)、且つ第一振動の付与期間TeR1よりも第二振動の付与期間TeR2が短くなるように設定される(TeR1>TeR2)。これにより、先の送り動作によって供給領域Asまで搬送される部品92の量が抑制され、さらにその後の戻し動作において供給領域Asから部品92が除去されやすくなり、接触や堆積していた部品92が搬送路Rの側に退避されやすい状態にできる。
【0072】
一例として、搬送制御部85は、状態認識の結果において収容キャビティの数V1が多い供給状態の場合には、搬送動作が良好であるとして、搬送パターンに「通常搬送」を設定する。また、搬送制御部85は、状態認識の結果においてNGキャビティの数V2が多い供給状態の場合には、供給領域Asに部品92が過剰に存在するとして、搬送パターンに「除去搬送」を設定する。さらに、搬送制御部85は、状態認識の結果において、空キャビティの数V3が多い供給状態の場合には、供給領域Asにおける部品92が不足しているとして、搬送パターンに「補給搬送」を設定する。
【0073】
ここで、搬送制御部85は、供給領域Asにおける供給状態に加えて、部品群Uの位置および大きさを示す部品群状態に基づいて、搬送動作を制御してもよい。上記の「部品群状態」には、部品群Uの有無および数が含まれる。搬送制御部85は、状態認識部81による認識処理の結果から部品群状態を取得する。そして、搬送制御部85は、図6に示すように、例えば部品群Uが供給領域Asのうち軌道部材34の先端部342側に位置する場合に、部品群Uが供給領域Asより後側に移動するように戻し動作を実行させる。
【0074】
また、搬送制御部85は、部品群Uが存在し、且つ空キャビティの数V3が所定数以上である場合に、供給領域Asにおいて部品群Uを前後方向に往復移動させるように送り動作と戻し動作を繰り返し実行させる。これにより、空キャビティへの部品92の収容を試行することができる。そして、搬送制御部85は、上記のような部品群状態に基づいて制御する搬送動作において、送り動作または戻し動作の実行期間Teに部品群状態に応じて調整された複数種類の振動を軌道部材34に付与する。このような供給動作によって、供給領域Asにおいて採取可能な部品92を増加させることができる。
【0075】
4.部品供給制御システム80によるフィーダ制御
部品供給制御システム80は、部品装着機10による装着処理の実行中に、バルクフィーダ30による供給状態に応じたフィーダ制御を行う。上記のフィーダ制御には、搬送動作の制御、およびシャッタ37の開閉動作の制御が含まれる。ここで、部品装着機10の制御装置16は、バルクフィーダ30がスロット121にセットされた後に、キャリブレーション処理を実行し、機内における供給領域Asの位置を認識する。
【0076】
詳細には、制御装置16は、先ずフィーダ制御装置60に対してシャッタ37を閉状態とするように指令する。これにより、複数の基準マーク344が上方から撮像可能な状態となる。制御装置16は、基板カメラ15をバルクフィーダ30の複数の基準マーク344の上方に移動させて、基板カメラ15の撮像により画像データを取得する。そして、制御装置16は、画像処理により画像データに含まれる複数の基準マーク344の位置、および撮像した際の基板カメラ15の位置に基づいて、機内におけるバルクフィーダ30の位置、即ち供給領域Asの位置を認識する。
【0077】
続いて、搬送制御部85は、装着処理においてバルクフィーダ30から部品92を採取する前に、バルクフィーダ30に部品92の搬送を指令する。これにより、バルクフィーダ30は、必要に応じて部品ケース70から部品92を排出させるとともに軌道部材34まで部品92を流通させる。その後に、バルクフィーダ30は、シャッタ37を中間状態に維持し、部品92の搬送動作を行う。これにより、複数のキャビティ51に部品92が収容され、余分な部品92が供給領域Asから搬送路R側へと退避される。
【0078】
上記のような部品供給制御処理の詳細について、図8および図9を参照して説明する。状態認識部81は、供給状態の認識処理に際して、バルクフィーダ30にシャッタ37を開状態にするように指令する。状態認識部81は、基板カメラ15を供給領域Asの上方に移動させて、基板カメラ15の撮像により画像データを取得する。そして、状態認識部81は、図8に示すように、画像データD1を対象とした画像処理により、供給領域Asの供給状態を割り出す(S11)。
【0079】
状態認識部81は、1回のPPサイクルにおける一連の採取動作により供給領域Asから採取する部品92の必要数(Vn)と、供給領域Asの供給状態に基づいて算出される採取可能数(V1)との差分(V1-Vn)が基準値(Vs)未満であるか否かを判定する(S12)。上記の基準値(Vs)は、0以上の数に設定される。必要数より採取可能数が多く、上記の差分が基準値以上である場合に(S12:No、V1-Vn≧Vs)、状態認識部81は、PPサイクルにおける採取動作の実行を許容する(S13)。制御装置16は、PPサイクルにおける採取動作を実行し、その後に装着動作を実行する。
【0080】
また、状態認識部81は、S11にて認識された供給状態の更新処理を実行する(S13)。供給状態の更新処理では、採取動作によって採取された部品92に対応するキャビティ51を空キャビティとする。また、供給状態の更新処理では、採取可能数(V1)から採取数(上記の必要数Vn)を減算し、現在の採取可能数とする(V1’=V1-Vn)。さらに、供給状態の更新処理では、空のキャビティ51の数(V3)に採取数(上記の必要数Vn)を加算し、現在の空キャビティの数とする(V3’=V3+Vn)。
【0081】
状態認識部81は、供給状態の更新処理(S13)の実行後に、次回のPPサイクルの採取動作で採取する予定の部品92の数(次回の必要数)と、供給領域Asにおいて採取可能な残りの部品92の数(現在の採取可能数)との差分が基準値(Vs)以上であるか否かを判定すべく、S12の判定処理を再度実行する。状態認識部81は、S12において、採取可能数が不足しており、上記の差分(V1-Vn)が基準値(Vs)未満であり(S12:Yes、V1-Vn<Vs)、実行予定のPPサイクルが残存している場合に(S14:Yes)、PPサイクルにおける採取動作の実行を許容せず、採取動作の実行前にバルクフィーダ30による搬送動作を実行させる。
【0082】
なお、S12の判定処理では、採取可能数と必要数の差分と基準値を比較したが、必要数に対する採取可能数の割合と基準値を比較してもよい。上記のように、供給状態の更新処理(S13)の実行後に、または採取可能数が不足している場合(S12:Yes)に、搬送制御部85は、現在の供給状態に基づいて、搬送パターンの設定を行う(S15)。なお、2回目のPPサイクルの採取動作で採取する予定の部品92の数(必要数)と、供給領域Asにおいて採取可能な残りの部品92の数(採取可能数)との差分が基準値(Vs)以上であれば、状態認識部81は、搬送パターンの設定(S15)などを省略し、採取動作の実行を許容する。
【0083】
搬送制御部85は、現在の供給状態に基づいて、搬送動作の制御において複数の搬送パターンを設定する(S15)。これにより、搬送パターン(例えば、通常搬送、補給搬送、除去搬送)が切り換えられる。そして、搬送制御部85は、バルクフィーダ30に対して、設定した搬送パターンにて部品92の搬送を指令する(S16)。バルクフィーダ30は、部品92の搬送を指令された場合には、設定された搬送パターンの搬送動作を行う。
【0084】
この搬送動作は、図9に示すように、装着ヘッド133による今回の採取動作が終了し(ON→OFF)、次回の採取動作が開始する(OFF→ON)までの期間に実行される。具体的には、先ずシャッタ37が開状態から中間状態にされるとともに、送り動作が実行される。これにより、複数の部品92が供給領域Asの前端側に向かって搬送される。送り動作が実行期間TeFだけ実行されると、戻し動作が実行される。
【0085】
戻し動作の実行期間TeRにおいて、第一振動が付与期間TeR1だけ軌道部材34に付与される。これにより、供給領域Asの後端側に向かって搬送される部品92がキャビティ51に収容される。その後に第二振動が付与期間TeR2だけ軌道部材34に付与される。これにより、キャビティ51に収容されなかった余剰部品が搬送路Rの側に後退することによって供給領域Asから除去される。このとき、第二振動の振幅が第一振動の振幅より小さく設定され、これによりキャビティ51に収容された部品92の飛び出しが抑制される。
【0086】
このように、バルクフィーダ30は、供給領域Asの供給状態に応じた搬送動作を行うことになる。これにより、初期設定により良好に部品92が供給された状態であれば通常搬送が実行され、また搬送動作の直後において採取可能な部品92が比較的少ない場合には補給搬送が実行される(図10を参照)。なお、この補給搬送では、併せて部品ケース70から部品92を排出し、搬送路Rまで複数の部品92を流通させる処理が搬送制御部85の指令に応じて実行されることがある。
【0087】
さらに、現在の供給状態が部品92の過剰補給を示している場合、または部品群Uが存在している場合には、除去搬送が実行される(図11を参照)。これにより、供給領域Asにおける部品92の数量が適宜調整される。このような搬送動作は、部品92がキャビティ51に適正な姿勢で収容されることを促進し、供給領域Asにおいて採取可能な部品92を増加させることができる。このように、バルクフィーダ30における部品92の供給状態を良好にすることで、部品装着機10の生産性向上を図ることができる。
【0088】
状態認識部81は、バルクフィーダ30による部品92の搬送動作が終了した後に、供給状態を割り出す処理(S11)を再度実行する。これにより、搬送動作後における供給領域Asの現在の供給状態が認識される。部品供給制御システムは、実行予定のPPサイクルが全て終了して部品92の供給が不要となった場合に(S14:No)、上記の制御処理を終了する。
【0089】
5.実施形態の変形態様
5-1.搬送動作について
実施形態において、バルクフィーダ30は、戻し動作の実行期間TeRにおいて、2種類の振動をそれぞれ軌道部材34に付与する構成とした。これに対して、バルクフィーダ30は、3種類以上の振動を付与するようにしてもよい。また、上記のような段階的に複数種類の振動を付与する制御を、送り動作の実行期間TeFにおいて実行してもよい。
【0090】
5-2.部品供給制御システム80について
実施形態において、部品供給制御システム80の状態認識部81および搬送制御部85は、部品装着機10の制御装置16に組み込まれる構成を例示して説明した。これに対して、状態認識部81および搬送制御部85の一方または両方は、制御装置16の外部装置に組み込まれる構成としてもよい。例えば、状態認識部81は、移動台132に一体的に移動可能に設けられ、基板カメラ15の撮像動作を制御する撮像ユニットに組み込まれる構成としてもよい。
【0091】
また、搬送制御部85は、複数のスロット121に装備されたフィーダ122と、制御装置16との通信を仲介する部品供給装置12に組み込まれてもよい。その他に、状態認識部81および搬送制御部85は、バルクフィーダ30の自己制御機能として、バルクフィーダ30のフィーダ制御装置60に組み込まれてもよい。さらに、状態認識部81および搬送制御部85は、部品装着機10と通信可能に接続されるホストコンピュータや専用機器などに組み込まれてもよい。何れの態様においても実施形態と同様の効果を奏する。
【0092】
5-3.その他
実施形態において、バルクフィーダ30は、部品装着機10により基板91に装着される部品92を供給する。実施形態において、上記の部品92として、厚み方向から視たときに矩形をなすチップ部品を例示した。これに対して、部品92は、部品装着機10のように基板91に所定の作業を実行する対基板作業機において用いられるものであり、バルクフィーダ30においてキャビティ51に収容した状態で供給可能な物品であれば種々のものを適用できる。例えば、バルクフィーダ30は、球状に形成されたはんだボールを供給してもよい。
【符号の説明】
【0093】
10:部品装着機、 12:部品供給装置、 13:部品移載装置、 15:基板カメラ、 16:制御装置、 30:バルクフィーダ、 31:フィーダ本体、 34:軌道部材、 40:加振装置、 41:支持部材、 41A:前進用支持部材、 41B:後退用支持部材、 42:圧電素子、 43:振動センサ、 44:給電装置、 50:整列部材、 51:キャビティ、 60:フィーダ制御装置、 80:部品供給制御システム、 81:状態認識部、 85:搬送制御部、 91:基板、 92:部品、As:供給領域、 R:搬送路、 U:部品群、 D1:画像データ
図1
図2
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図11