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  • 特許-逆流防止装置を備えたオストミー製品 図1
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  • 特許-逆流防止装置を備えたオストミー製品 図5A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】逆流防止装置を備えたオストミー製品
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/445 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
A61F5/445
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023527779
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 US2021059833
(87)【国際公開番号】W WO2022115304
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-11-14
(31)【優先権主張番号】63/118,095
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591000414
【氏名又は名称】ホリスター・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HOLLISTER INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン、ケネス
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/242828(WO,A1)
【文献】米国特許第6352526(US,B1)
【文献】特表2013-545544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/445
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液を収集するためのパウチであって、
身体側壁及び遠位側壁であって、その間に収集チャンバを画定する身体側壁及び遠位側壁と、
前記身体側壁に設けられた入口開口部と、
前記身体側壁に取り付けられ、インサート開口部を有するインサートであって、前記入口開口部の上に重なるインサートと、
前記インサートに取り付けられ、且つ前記インサート開口部の上に重なる第1の端部と、前記遠位側壁に取り付けられた第2の端部とを有する逆流防止チューブであって、前記第の端部及び前記第2の端部は、それぞれ前記インサート及び前記遠位側壁に封止され、前記逆流防止チューブは、前記逆流防止チューブの内部から前記収集チャンバへの流れ連通を提供するために、前記逆流防止チューブの壁に複数の開口部を有する、逆流防止チューブと
を含むパウチ。
【請求項2】
前記複数の開口部は、前記逆流防止チューブの壁の弧状スリットとして前記逆流防止チューブに形成される、請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
前記複数の開口部は、前記逆流防止チューブの壁の十字形スリットとして前記逆流防止チューブに形成される、請求項1に記載のパウチ。
【請求項4】
前記複数の開口部は、前記逆流防止チューブの壁の穿孔として前記逆流防止チューブに形成される、請求項1に記載のパウチ。
【請求項5】
体液を収集するためのパウチであって、
身体側壁及び遠位側壁であって、その間に収集チャンバを画定する身体側壁及び遠位側壁と、
前記身体側壁に設けられた入口開口部と、
前記身体側壁に取り付けられ、インサート開口部を有するインサートであって、前記入口開口部の上に重なるインサートと、
前記インサートと前記遠位側壁との間に延在する逆流防止チューブであって、前記インサート開口部の上に重なり、前記逆流防止チューブの内部から前記収集チャンバへの流れ連通を提供するために、前記逆流防止チューブの壁に複数の開口部を有し、前記逆流防止チューブの前記壁の前記複数の開口部は、前記インサート開口部から前記収集チャンバへの唯一の流路を提供する、逆流防止チューブと
を含むパウチ。
【請求項6】
前記逆流防止チューブの第1の端部は、前記インサートに封止され、
前記逆流防止チューブの第2の端部は、前記遠位側壁に封止される、請求項5に記載のパウチ。
【請求項7】
前記複数の開口部は、前記逆流防止チューブの前記壁の弧状スリットとして前記逆流防止チューブに形成される、請求項5に記載のパウチ。
【請求項8】
前記複数の開口部は、前記逆流防止チューブの前記壁の十字形スリットとして前記逆流防止チューブに形成される、請求項5に記載のパウチ。
【請求項9】
前記複数の開口部は、前記逆流防止チューブの前記壁の穿孔として前記逆流防止チューブに形成される、請求項5に記載のパウチ。
【請求項10】
前記逆流防止チューブは、フィルムから形成される、請求項5に記載のパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体排泄物(外科的に作成されたストーマからの排泄物等)を収集するためのオストミーパウチ等のオストミー製品に関する。より詳細には、本開示は、排泄物を製品の入口から離れる方向に向け、且つ排泄物が製品の入口に戻るのを最小限にするための、オストミー製品における逆流防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オストミー器具のユーザは、ユーザが長時間横になるときの皮膚の刺激及び接着剤の膨張に関する問題を認識している。これらの問題が生じるのは、液体排出物等の排泄物がストーマの周囲の凸状領域に蓄積し得、パウチ入口及びストーマから離れる方向に向けられない場合があるためであることが確認されている。これらの問題は、オストミー患者及びウロストミー患者の両方で生じ得、特に凸状の皮膚バリアを有するパウチを使用するオストミー患者及びウロストミー患者で問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、オストミー製品において、排泄物をオストミー製品の入口及びストーマ領域から離れる方向に向けることができる装置が必要とされている。望ましくは、こうした装置は、ストーマ及び皮膚表面の状態を向上させるために、液体排出物等の排泄物をオストミー製品の入口及びストーマ領域から離れて移送することを容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
体液を収集するためのオストミーパウチ等のオストミー装置は、排泄物をオストミー装置の入口及びストーマ領域から離れる方向に向けるための逆流防止装置を含む。逆流防止装置は、ストーマ及び皮膚表面の状態を向上させるために、液体排出物等の排泄物を装置の入口及びストーマ領域から離れる方向に移送することを容易にする。
【0005】
一態様では、パウチは、身体側壁及び遠位側壁を含み、身体側壁及び遠位側壁は、その間に収集チャンバを画定する。入口開口部が身体側壁に設けられ、及びインサートが身体側壁に取り付けられる。インサートは、入口開口部の上に重なるインサート開口部を有する。
【0006】
逆流防止装置は、収集チャンバ内に配置される。実施形態では、逆流防止装置は、フィルムチューブ等のチューブである。逆流防止チューブの第1の端部は、インサートに取り付けられ、且つインサート開口部の上に重なる。逆流防止装置の第2の端部は、遠位側壁に取り付けられる。実施形態では、逆流防止チューブは、インサートにおいてチューブの周縁シールを形成するようにインサートに取り付けられ、且つ遠位側壁においてチューブの周縁シールを形成するように遠位側壁に取り付けられる。逆流防止チューブは、逆流防止装置の内部から収集チャンバへの流れ連通を提供するために、逆流防止装置における複数の開口部を有する。
【0007】
実施形態では、チューブは、円形断面を有する。チューブ壁の複数の開口部は、弧状スリット、十字形スリット、微細穿孔等の穿孔等として形成され得る。
【0008】
一態様では、体液を収集するためのパウチは、身体側壁及び遠位側壁であって、その間に収集チャンバを画定する身体側壁及び遠位側壁と、身体側壁の入口開口部と、身体側壁に取り付けられたインサートとを含む。インサートは、入口開口部の上に重なるインサート開口部を有する。
【0009】
逆流防止チューブは、インサートと遠位側壁との間に延在する。チューブは、インサート開口部の上に重なる。チューブは、逆流防止チューブの内部から収集チャンバへの流れ連通を提供するために、その壁に複数の開口部を有する。逆流防止チューブの壁の開口部は、入口から収集チャンバへの唯一の流路を提供する。
【0010】
一実施形態では、逆流防止チューブの第1の端部は、インサートに封止され、及び逆流防止チューブの第2の端部は、遠位側壁に封止される。逆流防止チューブ壁の複数の開口部は、弧状スリット、十字形又はクロスカットスリット、微細穿孔等の穿孔等であり得る。
【0011】
他の態様及び利点は、添付の図面と併せて考慮した場合、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0012】
本実施形態の利益及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の図面を検討した後、当業者により容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来技術によるオストミーパウチの断面図である。
図2】内部に逆流防止装置の一実施形態を備えたオストミーパウチの断面図である。
図3】内部に逆流防止装置の一実施形態を備えたオストミーパウチの斜視図である。
図4】逆流防止装置を備えたオストミーパウチの別の断面図である。
図5A】逆流防止装置の一実施形態の斜視図である。
図5B】逆流防止装置の一実施形態の斜視図である。
図5C】逆流防止装置の一実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、様々な形態の実施形態が可能である。しかし、本開示は、例示であると見なされるべきであり、且つ図示する具体的な実施形態に本開示を限定するように意図されないことを理解した上で、現在好ましい実施形態を図面に示し、以下で説明する。
【0015】
ここで、図及び最初に簡単に図1を参照すると、既知のオストミーパウチ1が示されている。パウチ1は、本体2を有する。本体2は、例えば、2つのフィルム3、4をそれぞれの周縁部5で互いに封止して収集チャンバ6を画定することによって形成される。
【0016】
フィルム3、4は、ヒートシール等の方法によって互いに封止され得る。弁(図示せず)が使用される場合、パウチ1の(概して7で示す)底部開口部に弁を同様に封止することができる。パウチ壁/フィルム3、4を互いに封止し、且つ弁をパウチフィルム3、4に封止する好適な方法は、当業者によって認識されるであろう。パウチ1は、パウチ1の身体側8及び遠位側9の各々又はパウチ1の身体側8又は遠位側9の一方のみに不織布層(図示せず)を設けられ得る。
【0017】
図2及び図4を参照すると、逆流防止装置12の一実施形態を備えたオストミーパウチ10の断面図が示されている。パウチ10は、本体14を含む。本体14は、例えば、2つのフィルム16、18をそれぞれの周縁部20、22で互いに封止して収集チャンバ24を画定することによって形成される。フィルム16、18は、身体側壁26及び遠位側壁28を画定することができる。
【0018】
図示しないが、パウチ10は、そのほぼ底部において、弁を画定するか又は弁を嵌め込んで固定することができる開口部を含み得る。フィルム16、18は、ヒートシール等の方法によって互いに封止され得る。弁が使用される場合、底部開口部でパウチ10に弁を同様に封止することができる。パウチフィルム16、18を互いに封止し、弁をパウチフィルム16、18に封止する好適な方法は、当業者によって認識されるであろう。パウチ10は、パウチ10の身体側壁26及び遠位側壁28の一方又は両方の外側に不織布層(図示せず)を設けられ得る。
【0019】
パウチ10の上部分30において、ストーマSからパウチ10に排泄物が入る入口開口部32が身体側壁26に設けられる。インサート34は、身体側壁26の外面に取り付けられる。実施形態では、インサート34は、凸状インサート(使用者に対して凸状)である。実施形態では、凸状インサート34は、軟質の凸状インサートである。インサート34は、パウチ入口開口部32と整列する開口部36を有する。インサート開口部36は、凸面のほぼ頂点にある。
【0020】
バリア38は、インサート34の上に且つ中心から離れて位置付けられる。バリア38は、オストミーパウチ10をユーザに固定し、且つストーマの排泄物がストーマの周囲の皮膚に接触することを防止するバリアを提供する材料である。したがって、バリア38は、パウチ10を使用者に固定することと、排泄物がユーザの皮膚と接触することによる皮膚の刺激を防止又は最小化することとの2つの機能を果たす。
【0021】
バリア38も凸状であり、典型的には、接着剤を有する皮膚バリアと、ストーマSを受け入れる入口開口部40とを含む。凸状インサート34は、皮膚バリア38に隣接して配置される。
【0022】
逆流防止装置12の一実施形態が図2図4及び図5Bに見られる。一実施形態では、逆流防止装置12は、インサート34の後壁44と遠位側壁28との間に延在するチューブ42として形成される。チューブ42は、第1の壁フィルム16又は第2の壁フィルム18と同様のフィルム又は異なるフィルムであり得る。チューブ42は、開口部36においてインサート34に封止され、且つ開口部36の上に重なる。一実施形態では、チューブ42は、その周縁部46の周囲でインサート34に完全に封止される。同様に、チューブ42の反対側の端部は、遠位側壁28の内面48に封止され、且つその周縁部50の周囲で遠位側壁28に完全に封止され得る。一実施形態では、チューブ42は、その端部において、チューブ42をインサート34及び遠位側壁28に封止することを容易にするためのフランジ54を形成する。装置12は、チューブ42として記載されている。しかし、チューブ42は、丸いチューブである必要はないことが理解されるであろう。むしろ、チューブ42は、多様な断面形状を有し得、且つシートから形成され、長手方向の側部シールに沿って封止され得る。
【0023】
チューブ42からパウチ収集チャンバ24内への(チューブ42から出る)流路Pを提供するために、逆流防止装置12は、複数の壁貫通開口部56を含む。開口部56は、チューブ42において多くの形態、サイズ及び位置をとり得る。チューブ42の開口部56は、パウチ入口32から収集チャンバ24への唯一の流路Pを提供する。
【0024】
図5Aに見られるように、一実施形態では、開口部56は、チューブ42の周囲に長手方向に且つ周方向に互い違いの配置で形成された弧状又は曲線状の開口部156である。開口部156は、チューブ42におけるランダムな配置又はチューブ42における他の位置及びチューブ42の周囲での他の配置であり得る。開口部156は、曲線の頂点158が排泄物の流れの下流方向に位置するように形成され得る。
【0025】
図2図3及び図5Bは、開口部56がチューブ壁42の十字形又はクロスカットスリット256として形成される実施形態を示す。この場合にも、開口部256は、チューブ42の周囲に長手方向に且つ周方向に互い違いの配置、チューブ42におけるランダムな配置又はチューブ42における他の位置及びチューブ42の周囲での他の配置で形成され得る。図5Cは、開口部56がチューブ42の壁における微細穿孔等の穿孔356として形成されるさらに別の実施形態を示す。図5A及び図5Bに示す開口部156及び256と同様に、開口部356は、チューブ42の周囲に長手方向に且つ周方向に互い違いの配置、チューブ42におけるランダムな配置又はチューブ42における他の場所及びチューブ42の周囲での他の配置で形成され得る。
【0026】
本逆流防止装置12は、排泄物をオストミーパウチ入口32及びストーマS領域から離れる方向に向けることを可能にすることが理解されるであろう。本逆流防止装置12は、ストーマS及び皮膚表面の状態を向上させるために、液体排出物等の排泄物をオストミーパウチ入口32及びストーマS領域から離れる方向に移送することを容易にする。
【0027】
一実施形態では、オストミーパウチ器具10は、パウチの身体側壁26に取り付けられたオストミーウェハと、一端でウェハの内面及び遠位壁28の内面に取り付けられた逆流防止装置12とを含み得る。ウェハは、凸状インサート34と皮膚バリア層38とを含み得る。凸状インサート34は、身体側壁26に取り付けられ得る。オストミーパウチ器具10は、ウェハ及びパウチを通して画定された入口開口部36を含み得る。
【0028】
本明細書で参照するすべての特許は、本開示の本文において具体的に示されるか否かに関わらず、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0029】
本開示において、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という用語は、単数形及び複数形の両方を含むと解釈されるべきである。逆に、複数の項目へのいかなる言及も、適切な場合には単数形を含むものとする。
【0030】
上記から、本開示の新規な概念の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多数の変更形態及び変形形態が実施され得ることが認められるであろう。図示する具体的な実施形態に関して、いかなる限定も意図されないか又は推測されるべきではないことが理解されるべきである。本開示は、添付の特許請求の範囲により、請求項の範囲内にあるすべてのこうした変更形態を包含するように意図される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C