(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】照明装置の制御装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/115 20200101AFI20240823BHJP
H05B 47/175 20200101ALI20240823BHJP
【FI】
H05B47/115
H05B47/175
(21)【出願番号】P 2023559433
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(86)【国際出願番号】 JP2022031789
(87)【国際公開番号】W WO2023084862
(87)【国際公開日】2023-05-19
【審査請求日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】P 2021183602
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】簡 ジェ安
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-093147(JP,A)
【文献】特開2019-028320(JP,A)
【文献】特開2014-085902(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109644532(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/115
H05B 47/175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から照射される光の拡散度を制御可能な照明装置の制御装置であって、
複数の検出素子が設けられた検出領域内に前記照明装置の拡散度調整領域が設けられた検出装置と、
前記拡散度調整領域におけるタッチ検出位置の移動量に応じて、前記照明装置の拡散度変化量を制御する処理装置と、
を備え、
前記処理装置は、
前記拡散度調整領域におけるタッチ検出位置の移動量の第1方向成分に対応する拡散度変化量を算出し、
前記拡散度調整領域におけるタッチ検出位置の移動量の前記第1方向成分とは異なる第2方向成分に対応する拡散度変化量を算出する、
照明装置の制御装置。
【請求項2】
前記処理装置は、通信手段を介して前記照明装置に拡散度変化量を送信する、
請求項1に記載の照明装置の制御装置。
【請求項3】
前記処理装置は、
複数の前記照明装置に対し、同一の拡散度変化量を送信する、
請求項2に記載の照明装置の制御装置。
【請求項4】
前記処理装置は、
複数の前記照明装置に対し、同一の拡散度変化量を送信すると共に、複数の前記照明装置に対し、それぞれ異なる制御遅延時間を送信する、
請求項2に記載の照明装置の制御装置。
【請求項5】
所定期間において時系列で順次取得した複数の拡散度変化量を格納する記憶部を備え、
前記処理装置は、
前記所定期間よりも後に、前記記憶部に格納された複数の拡散度変化量を、前記所定期間において取得した順に送信する、
請求項2から4の何れか一項に記載の照明装置の制御装置。
【請求項6】
前記複数の拡散度変化量の送信間隔は、前記複数の拡散度変化量の取得間隔よりも大きい、
請求項5に記載の照明装置の制御装置。
【請求項7】
前記検出領域と平面視において重なる表示領域を有する表示パネルを備え、
前記表示パネルは、
前記表示領域内において前記拡散度調整領域と重なる領域に前記タッチ検出位置の移動に応じた軌跡を表示する、
請求項
1に記載の照明装置の制御装置。
【請求項8】
前記表示パネルは、
前記拡散度調整領域におけるタッチ検出位置に応じて、前記照明装置による光の照射範囲の概略形状イメージを表示する、
請求項
1に記載の照明装置の制御装置。
【請求項9】
前記処理装置は、
前記拡散度調整領域の第1方向の最大座標をX、前記拡散度調整領域におけるタッチ検出位置の移動量の第1方向成分をΔx、前記第1方向の拡散度の最大値をSxmax、前記拡散度調整領域の前記第1方向とは異なる第2方向の最大座標をY、前記拡散度調整領域におけるタッチ検出位置の移動量の第2方向成分をΔy、前記第2方向の拡散度の最大値をSymaxとしたとき、下記(1)を用いて前記第1方向の拡散度変化量ΔSxを算出し、下記(2)式を用いて前記第2方向の拡散度変化量ΔSyを算出する、
請求項
1に記載の照明装置の制御装置。
ΔSx=Sxmax/X×Δx・・・(1)
ΔSy=Symax/Y×Δy・・・(2)
【請求項10】
前記処理装置は、
前記拡散度調整領域の第1方向の最大座標をX、前記第1方向のタッチ検出位置をx0、前記タッチ検出位置x0における前記第1方向の拡散度をSx0、前記タッチ検出位置x0からのタッチ検出位置の移動量の第1方向成分をΔx、前記第1方向の拡散度の最大値をSxmax、前記拡散度調整領域の前記第1方向とは異なる第2方向の最大座標をY、前記第2方向のタッチ検出位置をy0、前記タッチ検出位置y0における前記第2方向の拡散度をSy0、前記タッチ検出位置y0からのタッチ検出位置の移動量の第2方向成分をΔy、前記第2方向の拡散度の最大値をSymaxとしたとき、下記(3)式又は(4)式を用いて前記第1方向の拡散度変化量ΔSxを算出し、下記(5)式又は(6)式を用いて前記第2方向の拡散度変化量ΔSyを算出する、
請求項
1に記載の照明装置の制御装置。
ΔSx=(Sxmax-Sx0)/(X-x0)×Δx
(但し、Δx≧0) ・・・(3)
ΔSx=Sx0/x0×Δx
(但し、Δx<0) ・・・(4)
ΔSy=(Symax-Sy0)/(Y-y0)×Δy
(但し、Δy≧0) ・・・(5)
ΔSy=Sy0/y0×Δy
(但し、Δy<0) ・・・(6)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED等の光源にプリズムパターンが刻まれた薄型レンズを組み合わせ、光源と薄型レンズとの距離を変化させることにより、配光角を変化させる照明器具がある。例えば、透明電球の前面を液晶調光素子で覆い、液晶層の透過率を変えることで直達光と散乱光とを切り替える照明器具が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばp波偏光用の液晶セルとs波偏光用の液晶セルとを用いた照明装置において、双方の液晶セルをそれぞれ駆動することにより2方向の光の拡散度を制御可能である。このように、複数方向の光の拡散度を制御可能な照明装置において、複数方向の光の拡散度を制御することによって、照明装置の光の照射範囲を自在に変化させることが可能な制御装置が望まれている。
【0005】
本発明は、光の照射範囲を自在に変化させることができる照明装置の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る調光装置は、光源から照射される光の拡散度を制御可能な照明装置の制御装置であって、複数の検出素子が設けられた検出領域内に前記照明装置の拡散度調整領域が設けられた検出装置と、前記拡散度調整領域におけるタッチ検出位置の移動量に応じて、前記照明装置の拡散度変化量を制御する処理装置と、を備え、前記処理装置は、前記拡散度調整領域におけるタッチ検出位置の移動量の第1方向成分に対応する拡散度変化量を算出し、前記拡散度調整領域におけるタッチ検出位置の移動量の前記第1方向成分とは異なる第2方向成分に対応する拡散度変化量を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】
図1Aは、実施形態に係る照明装置の一例を示す側面図である。
【
図1B】
図1Bは、実施形態に係る調光装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1基板をDz方向から見た概略平面図である。
【
図3】
図3は、第2基板をDz方向から見た概略平面図である。
【
図4】
図4は、第1基板と第2基板とをDz方向に重ねた液晶セルの透視図である。
【
図6A】
図6Aは、第1基板の配向膜のラビング方向を示す図である。
【
図6B】
図6Bは、第2基板の配向膜のラビング方向を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る照明装置の光の拡散度を概念的に説明する概念図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る調光システムの構成の一例を示す概略図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る制御装置の一例を示す外観図である。
【
図10】
図10は、タッチセンサにおけるタッチ検出領域の一例を示す概念図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る制御装置において、照明装置の拡散度を制御する制御ブロック構成の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態1における拡散度の制御手法の概念図である。
【
図13】
図13は、実施形態1に係る制御装置における拡散度制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施形態1に係る調光システムにおける照明装置の拡散度制御処理の具体例を示すシーケンス図である。
【
図15】
図15は、実施形態1に係る調光システムにおける照明装置の拡散度制御処理の第1変形例を示すシーケンス図である。
【
図16】
図16は、実施形態1に係る調光システムにおける照明装置の拡散度制御処理の第2変形例を示すシーケンス図である。
【
図17】
図17は、実施形態1に係る表示パネル上の表示態様の一例を示す概念図である。
【
図18】
図18は、実施形態2に係る制御装置における拡散度制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、実施形態2に係る調光システムにおける照明装置の拡散度制御処理の具体例を示すシーケンス図である。
【
図20】
図20は、実施形態2に係る表示パネル上の表示態様の一例を示す概念図である。
【
図21】
図21は、実施形態3に係る制御装置における拡散度制御パターン取得処理の一例を示すフローチャートである。
【
図22】
図22は、実施形態3に係る調光システムにおける照明装置の拡散度制御処理の具体例を示すシーケンス図である。
【
図23】
図23は、実施形態3に係る拡散度制御処理の開始タイミングを設定するための表示パネル上の表示態様の一例を示す概念図である。
【
図24】
図24は、実施形態3に係る調光システムにおける照明装置の拡散度制御処理の第1変形例を示すシーケンス図である。
【
図25】
図25は、実施形態3に係る調光システムにおける照明装置の拡散度制御処理の第2変形例を示すシーケンス図である。
【
図26】
図26は、拡散度制御パターン取得処理の実行時間と拡散度制御処理の実行時間との関係を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
図1Aは、実施形態に係る照明装置の一例を示す側面図である。
図1Bは、実施形態に係る調光装置の一例を示す斜視図である。
図1Aに示すように、照明装置1は、光源4と、リフレクタ4aと、調光装置100と、を含む。また、
図1Bに示すように、調光装置100は、第1液晶セル2と、第2液晶セル3と、を含む。光源4は、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)で構成される。リフレクタ4aは、光源4の光を調光装置100に集光する構成部である。
【0010】
図1Bにおいて、Dz方向は、光源4及びリフレクタ4aからの光の照射方向を示している。調光装置100は、Dz方向に第1液晶セル2と第2液晶セル3とが積層されて構成される。
図1Bでは、Dz方向に直交する第1液晶セル2及び第2液晶セル3の積層面に平行な平面の一方向がDx方向とされ、Dx方向及びDz方向の双方に直交する方向がDy方向とされている。
【0011】
第1液晶セル2と第2液晶セル3とは同様の構成である。本実施形態において、第1液晶セル2は、p波偏光用の液晶セルとする。また、第2液晶セル3は、s波偏光用の液晶セルとする。なお、第1液晶セル2をs波偏光用の液晶セルとし、第2液晶セル3をp波偏光用の液晶セルとする態様であっても良い。第1液晶セル2と第2液晶セル3とは、何れか一方がp波偏光用の液晶セルであり、他方がs波偏光用の液晶セルであれば良い。
【0012】
第1液晶セル2及び第2液晶セル3は、第1基板5と、第2基板6と、を備える。
図2は、第1基板をDz方向から見た概略平面図である。
図3は、第2基板をDz方向から見た概略平面図である。
図4は、第1基板と第2基板とをDz方向に重ねた液晶セルの透視図である。
図5は、
図4に示すA-A’線断面図である。
【0013】
図5に示すように、第1液晶セル2及び第2液晶セル3は、第1基板5と第2基板6との間に、周囲が封止材7で封止された液晶層8を備えている。
【0014】
液晶層8は、電界の状態に応じて、液晶層8を通過する光を変調するものである。液晶層8は、例えば、IPS(インプレーンスイッチング)の一形態であるFFS(フリンジフィールドスイッチング)等の横電界モードであっても良いし、縦電界モードを用いても良い。例えば、TN(Twisted Nematic:ツイステッドネマティック)、VA(Virtical Alignment:垂直配向)、ECB(Electrically Controlled Birefringence:電界制御複屈折)等の各種モードの液晶を用いても良く、液晶層8の種類や構成により限定されるものではない。
【0015】
図2に示すように、
図5に示す第1基板5の基材9の液晶層8側には、複数の駆動電極10a,10bと、これらの駆動電極10に印加する駆動電圧を供給する複数の金属配線11a,11bと、後述する第2基板6に設けられる複数の駆動電極13a,13b(
図3参照)に印加する駆動電圧を供給する複数の金属配線11c,11dと、を備える。金属配線11a,11b,11c,11dは、第1基板5の配線層に設けられる。金属配線11a,11b,11c,11dは、第1基板5上の配線層において間隔を空けて設けられている。以下、複数の駆動電極10a,10bを単に「駆動電極10」と称することがある。また、複数の金属配線11a,11b,11c,11dを「第1金属配線11」と称することがある。
図2に示すように、第1基板5上の駆動電極10は、Dx方向に延在する。
【0016】
図3に示すように、
図5に示す第2基板6の基材12の液晶層8側には、複数の駆動電極13a,13bと、これらの駆動電極13に印加する駆動電圧を供給する複数の金属配線14a,14bと、を備える。金属配線14a,14bは、第2基板6の配線層に設けられる。金属配線14a,14bは、第2基板6上の配線層において間隔を空けて設けられている。以下、複数の駆動電極13a,13bを単に「駆動電極13」と称することがある。また、複数の金属配線14a,14bを「第2金属配線14」と称することがある。
図3に示すように、第2基板6上の駆動電極13は、Dy方向に延在する。
【0017】
駆動電極10及び駆動電極13は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性導電材料(透光性導電酸化物)で形成される透光性電極である。第1基板5及び第2基板6は、ガラスや樹脂などの透光性基板である。第1金属配線11及び第2金属配線14は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)又はこれらの合金の少なくとも1つの金属材料で形成される。また、第1金属配線11及び第2金属配線14は、これらの金属材料を1以上用いて、複数積層した積層体としてもよい。アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)又はこれらの合金の少なくとも1つの金属材料は、ITO等の透光性導電酸化物よりも低抵抗である。
【0018】
第1基板5の金属配線11aと第2基板6の金属配線14aとは、例えばビア等の導通部15aにより接続される。また、第1基板5の金属配線11dと第2基板6の金属配線14bとは、例えばビア等の導通部15bにより接続される。
【0019】
また、第1基板5上の第2基板6とDz方向に重ならない領域には、不図示のフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuits)と接続される接続(Flex-on-Board)端子部16a,16bが設けられている。接続端子部16a,16bは、それぞれ、金属配線11a,11b,11c,11dに対応する4つの接続端子を備えている。
【0020】
接続端子部16a,16bは、第1基板5の配線層に設けられる。第1液晶セル2及び第2液晶セル3は、接続端子部16a又は接続端子部16bに接続されたFPCから、第1基板5上の駆動電極10a,10b及び第2基板6上の駆動電極13a,13bに印加する駆動電圧が供給される。以下、接続端子部16a,16bを単に「接続端子部16」と称することがある。
【0021】
図4に示すように、第1液晶セル2及び第2液晶セル3は、第1基板5と第2基板6とがDz方向(光の照射方向)に重なり、Dz方向から見て、第1基板5上の複数の駆動電極10と第2基板6上の複数の駆動電極13とが交差する。このように構成された第1液晶セル2及び第2液晶セル3は、第1基板5上の複数の駆動電極10及び第2基板6上の複数の駆動電極13にそれぞれ駆動電圧が供給されることにより、液晶層8の液晶分子17の配向方向の制御が可能となる。この液晶層8の液晶分子17の配向方向の制御が可能となる領域を、「調光領域AA」と称する。この調光領域AAにおいて、液晶層8の屈折率分布が変化することにより、第1液晶セル2及び第2液晶セル3の調光領域AAを透過する光の制御が可能となる。この調光領域AAの外側の領域において、液晶層8が封止材7で封止された領域を、「周辺領域GA」(
図5参照)と称する。
【0022】
図5に示すように、第1基板5の調光領域は、配向膜18によって駆動電極10(
図5では、駆動電極10a)が覆われている。また、第2基板6の調光領域は、配向膜19によって駆動電極13(
図5では、駆動電極13a,13b)が覆われている。配向膜18と配向膜19とでは、ラビング方向が異なっている。
【0023】
図6Aは、第1基板の配向膜のラビング方向を示す図である。
図6Bは、第2基板の配向膜のラビング方向を示す図である。
【0024】
図6A及び
図6Bに示すように、第1基板の配向膜18のラビング方向と、第2基板の配向膜19のラビング方向とは、平面視で互いに交差する方向である。具体的に、
図6Aに示す第1基板5の配向膜18のラビング方向は、駆動電極10a,10bの延在方向に直交している。また、
図6Bに示す第2基板6の配向膜19のラビング方向は、駆動電極13a,13bの延在方向に直交している。
【0025】
なお、本実施形態では、第1液晶セル2及び第2液晶セル3をそれぞれ1つ積層した構成について説明しているが、この構成に限るものではなく、例えば、第1液晶セル2及び第2液晶セル3を積層した組み合わせを複数有する構成であっても良い。例えば、第1液晶セル2及び第2液晶セル3を積層した組み合わせを2つ有する構成、すなわち、p波偏光用の液晶セルとs波偏光用の液晶セルとをそれぞれ2つ有する構成であっても良い。
【0026】
本開示では、上述した構成の照明装置1において、第1液晶セル2及び第2液晶セル3の駆動電圧制御により、光源4から照射される光の拡散度を制御する。以下、本開示において制御対象とする照明装置1の光の拡散度について、
図7を参照して説明する。
【0027】
図7は、実施形態に係る照明装置の光の拡散度を概念的に説明する概念図である。
図7では、照明装置1を点光源Aと見做し、Dz方向に垂直な仮想平面xy上における光の照射範囲を示している。なお、
図7では、照明装置1を点光源Aと見做した例を示しているが、実際には、上述したように、第1液晶セル2及び第2液晶セル3の調光領域AAを透過する光の制御を行う構成であるため、照射範囲の周辺では光の照度が低下する。また、光の回折現象等によって照射範囲の輪郭は不明瞭となる。
【0028】
上述したように、第1液晶セル2及び第2液晶セル3は、第1基板5上の複数の駆動電極10及び第2基板6上の複数の駆動電極13にそれぞれ駆動電圧が供給されることにより、液晶層8の液晶分子17の配向方向が制御される。これにより、照明装置1から照射される光の拡散度が制御可能となる。
【0029】
具体的には、例えば、第1液晶セル2の駆動電極10及び駆動電極13に印加される駆動電圧に応じて、第1液晶セル2の液晶層8の液晶分子17の配向方向が変化し、Dx方向の拡散度が変化する。本開示では、Dx方向の最小拡散度を0[%]とし、Dx方向の最大拡散度を100[%]とする。
【0030】
また、例えば、第2液晶セル3の駆動電極10及び駆動電極13に印加される駆動電圧に応じて、第2液晶セル3の液晶層8の液晶分子17の配向方向が変化し、Dy方向の拡散度が変化する。本開示では、Dy方向の最小拡散度を0[%]とし、Dy方向の最大拡散度を100[%]とする。
【0031】
図7に示すaは、Dx方向の拡散度及びDy方向の拡散度が共に100[%]である場合の照射範囲を例示している。また、
図7に示すbは、Dx方向の拡散度が100[%]であり、Dy方向の拡散度が30[%]である場合の照射範囲を例示している。
図7に示すcは、Dx方向の拡散度が30[%]であり、Dy方向の拡散度が100[%]である場合の照射範囲を例示している。また、
図7に示すdは、Dx方向の拡散度及びDy方向の拡散度が共に30[%]である場合の照射範囲を例示している。
【0032】
このように、上述した構成の照明装置1において、第1液晶セル2及び第2液晶セル3の駆動電圧制御をそれぞれ行うことにより、Dx方向及びDy方向の光の拡散度を制御することができる。これにより、照明装置1の光の照射範囲を変化させることができる。
【0033】
図8は、実施形態に係る調光システムの構成の一例を示す概略図である。調光システムは、照明装置1と、制御装置200と、を含む。制御装置200は、例えば、スマートフォンやタブレット等の携帯通信端末装置が例示される。
【0034】
照明装置1と制御装置200との間は、通信手段300によりデータや各種指令信号の送受信が行われる。本開示において、通信手段300は、例えば、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)等の無線通信手段である。照明装置1と制御装置200とは、例えば、移動体通信網等の所定のネットワークを介して無線通信を行う態様であっても良い。あるいは、照明装置1と制御装置200とが有線接続されて有線通信を行う態様であっても良い。なお、
図8では、制御装置200が照明装置1_1,1_2,・・・,1-nの拡散度を制御する態様を例示しているが、制御装置200の制御対象となる照明装置1の数により本開示が限定されるものではない。
【0035】
図9は、実施形態に係る制御装置の一例を示す外観図である。制御装置200は、表示パネル20とタッチセンサ30とが一体化された、タッチ検出機能付き表示装置である。具体的に、表示パネル20は、タッチセンサ30を内蔵して一体化した、いわゆるインセルタイプあるいはハイブリッドタイプの装置である。表示パネル20にタッチセンサ30を内蔵して一体化するとは、例えば、表示パネル20として使用される基板や電極などの一部の部材と、タッチセンサ30として使用される基板や電極などの一部の部材とを兼用することを含む。なお、表示パネル20は、表示装置の上にタッチセンサ30を装着した、いわゆるオンセルタイプの装置であっても良い。
【0036】
表示パネル20としては、例えば、液晶表示素子を用いた液晶ディスプレイパネルが例示される。これに限らず、表示パネル20は、例えば、有機ELディスプレイパネル(OLED:Organic Light Emitting Diode)や無機ELディスプレイパネル(マイクロLED、ミニLED)であっても良い。
【0037】
タッチセンサ30としては、例えば、静電容量方式のタッチセンサが例示される。これに限らず、タッチセンサ30は、例えば、抵抗膜方式のタッチセンサや超音波方式あるいは光学方式のタッチセンサであっても良い。
【0038】
図10は、タッチセンサにおけるタッチ検出領域の一例を示す概念図である。タッチセンサ30の検出領域FAには、複数の検出素子31が設けられている。複数の検出素子31は、タッチセンサ30の検出領域FA内において、X方向(第1方向)及び当該X方向に直交するY方向(第2方向)に並び、マトリクス状に設けられている。換言すれば、タッチセンサ30は、X方向(第1方向)及びY方向(第2方向)に並ぶ複数の検出素子31に重なる検出領域FAを有している。
【0039】
図11は、実施形態に係る制御装置において、照明装置の拡散度を制御する制御ブロック構成の一例を示す図である。
【0040】
図11に示すように、実施形態に係る制御装置200は、検出装置210及び処理装置220を含む。検出装置210は、タッチセンサ30、検出部211、及び座標抽出部212を備える。処理装置220は、座標移動量算出部221、拡散度変化量算出部222、及び記憶部223を備える。検出装置210の検出部211及び座標抽出部212は、例えば検出用ICで構成される。処理装置220は、例えば、制御装置200を構成するスマートフォンやタブレット等のCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成される。
【0041】
検出部211は、タッチセンサ30の各検出素子31から出力される検出信号に基づき、タッチセンサ30に対するタッチの有無を検出する回路である。
【0042】
座標抽出部212は、検出部211においてタッチが検出されたときに、そのタッチ検出位置の座標を求める論理回路である。
【0043】
座標移動量算出部221は、座標抽出部212によって抽出されたタッチ検出位置の移動量を算出する。座標移動量算出部221は、例えば、制御装置200を構成するスマートフォンやタブレット等のCPUによって実現される構成部である。
【0044】
拡散度変化量算出部222は、座標移動量算出部221によって算出されたタッチ検出位置の移動量に基づき、制御対象の照明装置1に対する拡散度変化量を算出する。拡散度変化量算出部222は、例えば、制御装置200を構成するスマートフォンやタブレット等のCPUによって実現される構成部である。
【0045】
記憶部223は、例えば、制御装置200を構成するスマートフォンやタブレット等のRAM、EEPROM、ROM等で構成される。本開示において、記憶部223には、例えば、座標抽出部212によって抽出されたタッチ検出位置の座標が格納される。
【0046】
(実施形態1)
以下、上述した実施形態に係る構成において、照明装置1における光の拡散度を制御する手法について説明する。
図12は、実施形態1における拡散度の制御手法の概念図である。
【0047】
図12に示すように、タッチセンサ30の検出領域FA内に拡散度調整領域TAが設けられている。拡散度調整領域TAの横軸は、X方向(第1方向)の座標軸を示し、照明装置1におけるDx方向に対応している。拡散度調整領域TAの縦軸は、Y方向(第2方向)の座標軸を示し、照明装置1におけるDy方向に対応している。拡散度調整領域TAは、タッチセンサ30の検出領域FA内に設けられていれば良く、検出領域FAの全領域を拡散度調整領域TAとする態様であっても良い。
【0048】
本開示では、タッチセンサ30の拡散度調整領域TA内におけるタッチ検出位置の移動量に応じて、照明装置1における光の拡散度を変更する。具体的には、照明装置1におけるDx方向の拡散度の最大値をSxmax、Dy方向の拡散度の最大値をSymaxとしたとき、タッチ検出位置の座標が(x0,y0)から(x1,y1)に移動した場合の照明装置1におけるDx方向の拡散度変化量ΔSx及びDy方向の拡散度変化量ΔSyを、それぞれ下記(1)式及び(2)式とする。
【0049】
ΔSx=Sxmax/X×(x1-x0)=Sxmax/X×Δx・・・(1)
【0050】
ΔSy=Symax/Y×(y1-y0)=Symax/Y×Δy・・・(2)
【0051】
上記(1)式及び(2)式により、例えば、タッチ検出位置の座標が(0,0)から(X,Y)に移動した場合の照明装置1におけるDx方向の拡散度変化量ΔSxmax及びDy方向の拡散度変化量ΔSymaxは、それぞれ下記(3)式及び(4)式で表せる。
【0052】
ΔSxmax=Sxmax・・・(3)
【0053】
ΔSymax=Symax・・・(4)
【0054】
図13は、実施形態1に係る制御装置における拡散度制御処理の一例を示すフローチャートである。
図14は、実施形態1に係る調光システムにおける照明装置の拡散度制御処理の具体例を示すシーケンス図である。ここでは、まず、制御装置200の制御対象の照明装置1が単数である場合について説明する。
【0055】
検出部211は、タッチセンサ30の拡散度調整領域TA内におけるタッチの有無を検出する(ステップS101)。拡散度調整領域TA内においてタッチ検出されると(ステップS101;Yes)、座標抽出部212は、当該タッチ検出位置の座標(x0,y0)を抽出する(ステップS102)。
【0056】
検出部211は、タッチセンサ30の拡散度調整領域TA内におけるタッチが継続されているか否かを検出する(ステップS103)。
【0057】
ステップS101においてタッチ検出されていない場合(ステップS101;No)、あるいは、ステップS103においてタッチが継続されていない場合(ステップS103;No)、ステップS101の処理に戻り、同様の処理を繰り返し実行する。
【0058】
タッチセンサ30の拡散度調整領域TA内におけるタッチが継続されている場合(ステップS103;Yes)、座標抽出部212は、タッチ検出位置の座標(x1,y1)を抽出する(ステップS104)。
【0059】
座標移動量算出部221は、タッチ検出位置の移動量を算出する(ステップS105)。具体的に、座標移動量算出部221は、座標抽出部212によって抽出されたタッチ検出位置の座標が(x0,y0)から(x1,y1)に移動した際のX方向(第1方向)の移動量Δx及びY方向(第2方向)の移動量Δyを算出する。
【0060】
なお、ステップS102において抽出されたタッチ検出位置の座標(x0,y0)は、記憶部223(例えば、処理装置220を構成するRAM)に格納される態様とすることができる。この場合、座標移動量算出部221は、記憶部223に格納された座標(x0,y0)を読み出し、当該座標(x0,y0)から、ステップS104において抽出されたタッチ検出位置の座標(x1,y1)までの移動量(Δx,Δy)を算出する。
【0061】
拡散度変化量算出部222は、座標移動量算出部221によって算出された移動量(Δx,Δy)に基づき、制御対象の照明装置1に対する拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)を算出する(ステップS106)。具体的に、拡散度変化量算出部222は、上記(1)式及び(2)式を用いて、拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)を算出する。
【0062】
制御装置200は、通信手段300を介して、照明装置1に拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)を送信する(ステップS107)。
【0063】
制御装置200は、ステップS104において抽出されたタッチ検出位置の座標(x1,y1)を(x0,y0)として(ステップS108)、ステップS103に戻り、同様の処理を繰り返し実行する。
【0064】
なお、ステップS108においてタッチ検出位置の座標を(x0,y0)とした後、記憶部223(例えば、処理装置220を構成するRAM)に格納される態様とすることができる。この場合、座標移動量算出部221は、以下の処理において、記憶部223に格納された座標(x0,y0)を読み出し、当該座標(x0,y0)から、ステップS104において抽出されたタッチ検出位置の座標(x1,y1)までの移動量(Δx,Δy)を算出する。
【0065】
照明装置1は、制御装置200から送信された拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)に応じて、Dx方向及びDy方向の光の拡散度を変更し(ステップS201)、第1液晶セル2及び第2液晶セル3の駆動電極10及び駆動電極13の駆動電圧制御を行う(ステップS202)。
【0066】
以上の処理をステップS103においてタッチが継続されている間に繰り返し実行し、タッチが継続されなくなると(ステップS103;No)、ステップS101の処理に戻り、タッチセンサ30の拡散度調整領域TA内においてタッチ検出されるまで(ステップS101;Yes)、ステップS101の処理を繰り返し実行する。
【0067】
上述した拡散度制御処理により、例えば、スマートフォンやタブレット等の携帯通信端末装置で例示される制御装置200を用いて、照明装置1の光の照射範囲を変化させることができる。
【0068】
図15は、実施形態1に係る調光システムにおける照明装置の拡散度制御処理の第1変形例を示すシーケンス図である。
図15では、制御装置200の制御対象の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nが複数である場合について説明する。
【0069】
制御装置200の制御対象の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nが複数である場合、制御装置200は、ステップS107において、複数の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nに対し、順次、拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)を送信する。
【0070】
これにより、例えば、スマートフォンやタブレット等の携帯通信端末装置で例示される制御装置200を用いて、複数の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nの光の照射範囲を変化させることができる。
【0071】
図16は、実施形態1に係る調光システムにおける照明装置の拡散度制御処理の第2変形例を示すシーケンス図である。
【0072】
ステップS107において、複数の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nに対し、順次、拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)を送信する場合、
図15に示す第1変形例では、各照明装置1_1,1_2,・・・,1_nへの送信タイミングのずれによって各照明装置1_1,1_2,・・・,1_nごとの駆動電圧制御の実行タイミングにタイムラグが生じる場合がある。具体的には、例えば、通信手段300がBluetooth(登録商標)である場合、制御装置200と各照明装置1_1,1_2,・・・,1_nとの間で順次ペアリングの確立及び解除を行う必要がある。このため、ペアリング確立までのタイムラグが大きくなり、複数の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nにおける駆動電圧制御の実行タイミングに生じたタイムラグを体感し得る場合がある。
【0073】
図16に示す第2変形例では、制御装置200から各照明装置1_1,1_2,・・・,1_nに対して拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)を送信する際に、各照明装置1_1,1_2,・・・,1_nにおける駆動電圧制御が同時に実行されるべく、各照明装置1_1,1_2,・・・,1_nごとに異なる制御遅延時間t1,t2,・・・,tnを設定し、拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)と共に送信する。これにより、各照明装置1_1,1_2,・・・,1_nにおける駆動電圧制御が同時に実行されるようにすることができる。
【0074】
なお、
図15及び
図16に示す態様に限らず、例えば、通信手段300により複数の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nに対して拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)を同時配信する態様であっても良い。この場合には、制御遅延時間t1,t2,・・・,tnを設定することなく、各照明装置1_1,1_2,・・・,1_nにおける駆動電圧制御が同時に実行される。
【0075】
図17は、実施形態1に係る表示パネル上の表示態様の一例を示す概念図である。
【0076】
制御装置200の表示パネル20には、平面視において
図9に示すタッチセンサ30の検出領域FAに重なる表示領域DAが設けられている。
図17に示す例では、検出領域FAに重なる表示領域DAの中央に拡散度調整領域TAが設けられている。
【0077】
図17に示すように、例えば、表示領域DA内の拡散度調整領域TAの外側の領域(
図17に示す例では、拡散度調整領域TAの上側の領域)に、複数の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nのうち制御装置200の制御対象とする照明装置1を選択するための制御対象選択アイコン21が設けられた態様であっても良い。
【0078】
また、
図17に示すように、拡散度調整領域TA内のタッチ検出位置aの軌跡22が表示される態様であっても良い。拡散度調整領域TA内のタッチ検出位置aの軌跡22は、上述した拡散度制御処理のステップS101においてタッチ検出されてから(ステップS101;Yes)、拡散度調整領域TA内においてタッチが継続されている期間(ステップS103;Yes)に表示される。あるいは、ステップS103においてタッチが継続していないことを検出してから(ステップS103;No)所定時間経過するまで表示される態様であっても良い。
【0079】
(実施形態2)
実施形態2では、上述した実施形態1に対し、拡散度変化量の算出手法が異なる。
図18は、実施形態2に係る制御装置における拡散度制御処理の一例を示すフローチャートである。
図19は、実施形態2に係る調光システムにおける照明装置の拡散度制御処理の具体例を示すシーケンス図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素及び処理には同一の符号を付して重複する説明は省略し、実施形態1とは異なる点について説明する。
【0080】
検出部211により拡散度調整領域TA内においてタッチ検出されると(ステップS101;Yes)、処理装置220は、通信手段300を介して、照明装置1に対して拡散度要求指令を送信する(ステップS101a)。照明装置1は、制御装置200からの拡散度要求指令に応じて、通信手段300を介して、現在の拡散度S0(Sx0,Sy0)を制御装置200に送信する(ステップS200)。制御装置200は、通信手段300を介して照明装置1から送信された現在の拡散度S0(Sx0,Sy0)を取得する(ステップS101b)。
【0081】
本実施形態において、拡散度変化量算出部222は、下記(5)式、(6)式、(7)式、及び(8)式を用いて、拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)を算出する(ステップS106a)。
【0082】
ΔSx=(Sxmax-Sx0)/(X-x0)×(x1-x0)
=(Sxmax-Sx0)/(X-x0)×Δx
(但し、Δx(=x1-x0)≧0) ・・・(5)
【0083】
ΔSx=Sx0/x0×(x1-x0)=Sx0/x0×Δx
(但し、Δx(=x1-x0)<0) ・・・(6)
【0084】
ΔSy=(Symax-Sy0)/(Y-y0)×(y1-y0)
=(Symax-Sy0)/(Y-y0)×Δy
(但し、Δy(=y1-y0)≧0) ・・・(7)
【0085】
ΔSy=Sy0/y0×(y1-y0)=Sy0/y0×Δy
(但し、Δy(=y1-y0)<0) ・・・(8)
【0086】
例えば、ステップS104において抽出されたタッチ検出位置の座標が(X,Y)、すなわち、タッチ検出位置の座標が(x0,y0)から(X,Y)に移動した場合の照明装置1におけるDx方向の拡散度変化量ΔSx及びDy方向の拡散度変化量ΔSyは、上記(5)式及び(7)式により、それぞれ下記(9)式及び(10)式で表せる。
【0087】
ΔSx=(Sxmax-Sx0)/(X-x0)×(X-x0)
=Sxmax-Sx0 ・・・(9)
【0088】
ΔSy=(Symax-Sy0)/(Y-y0)×(Y-y0)
=Symax-Sy0 ・・・(10)
【0089】
また、例えば、ステップS104において抽出されたタッチ検出位置の座標が(0,0)、すなわち、タッチ検出位置の座標が(x0,y0)から(0,0)に移動した場合の照明装置1におけるDx方向の拡散度変化量ΔSx及びDy方向の拡散度変化量ΔSyは、上記(6)式及び(8)式により、それぞれ下記(11)式及び(12)式で表せる。
【0090】
ΔSx=Sx0/x0×(0-x0)
=-Sx0 ・・・(11)
【0091】
ΔSy=Sy0/y0×(0-y0)
=-Sy0 ・・・(12)
【0092】
これにより、ステップS102において抽出されたタッチ検出位置(座標(x0,y0))に依らず、拡散度調整領域TA内におけるx方向(第1方向)の全領域において、照明装置1におけるDx方向の拡散度Sxは、0≦Sx≦Sxmaxの全範囲に亘り調整可能となる。また、拡散度調整領域TA内におけるy方向(第2方向)の全領域において、照明装置1におけるDy方向の拡散度Syは、0≦Sy≦Symaxの全範囲に亘り調整可能となる。
【0093】
なお、ステップS101aにおいて照明装置1から取得した現在の拡散度S0(Sx0,Sy0)は、記憶部223(例えば、処理装置220を構成するRAM)に格納される態様とすることができる。この場合、拡散度変化量算出部222は、記憶部223に格納された現在の拡散度S0(Sx0,Sy0)を読み出し、上記(5)式、(6)式、(7)式、及び(8)式を用いて、拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)を算出する。
【0094】
そして、制御装置200は、ステップS104において抽出されたタッチ検出位置の座標(x1,y1)を(x0,y0)とし、さらに、照明装置1から取得した拡散度S0(Sx0,Sy0)に対し、ステップS106において算出した拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)を加えて現在の拡散度S0(Sx0,Sy0)とし(ステップS108a)、ステップS103に戻り、同様の処理を繰り返し実行する。
【0095】
なお、ステップS108aにおいて、タッチ検出位置の座標を(x0,y0)、現在の拡散度をS0(Sx0,Sy0)とした後、記憶部223(例えば、処理装置220を構成するRAM)に格納される態様とすることができる。この場合、座標移動量算出部221は、以下の処理において、記憶部223に格納された座標(x0,y0)を読み出し、当該座標(x0,y0)から、ステップS104において抽出されたタッチ検出位置の座標(x1,y1)までの移動量(Δx,Δy)を算出する。また、拡散度変化量算出部222は、記憶部223に格納された現在の拡散度S0(Sx0,Sy0)を読み出し、上記(5)式、(6)式、(7)式、及び(8)式を用いて、拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)を算出する。
【0096】
本実施形態においても、制御装置200の制御対象の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nが複数である場合、実施形態1と同様に、
図15に示す第1変形例、あるいは、
図16に示す第2変形例の態様とすることも可能である。すなわち、制御装置200の制御対象の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nが複数である場合、制御装置200は、ステップS107において、複数の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nに対し、順次、拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)を送信する態様であっても良いし、制御装置200から各照明装置1_1,1_2,・・・,1_nに対して拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)を送信する際に、各照明装置1_1,1_2,・・・,1_nにおける駆動電圧制御が同時に実行されるべく、各照明装置1_1,1_2,・・・,1_nごとに異なる制御遅延時間t1,t2,・・・,tnを設定し、拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)と共に送信する態様であっても良い。
【0097】
なお、制御装置200の制御対象の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nが複数である場合に、ステップS101bにおいて取得する現在の拡散度S0(Sx0,Sy0)は、複数の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nのうちの何れかの現在の拡散度S0(Sx0,Sy0)を取得すれば良い。具体的には、例えば、複数の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nのうちの何れかを明示的に指定して、ステップS101aにおいて拡散度要求指令を送信し、ステップS101bにおいて、指定した照明装置1の現在の拡散度S0(Sx0,Sy0)を取得する態様であっても良いし、複数の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nに優先順位を付与して、最優先とされた照明装置1の現在の拡散度S0(Sx0,Sy0)を取得する態様であっても良い。
【0098】
図20は、実施形態2に係る表示パネル上の表示態様の一例を示す概念図である。
【0099】
図20に示すように、現在のタッチ検出位置aに対応する現在の拡散度S0(Sx0,Sy0)が表示される。また、
図20に示すように、拡散度調整領域TA内に現在の拡散度S0(Sx0,Sy0)に対応する照射範囲の概略形状イメージ23が表示される。照射範囲の概略形状イメージ23は、表示領域DA内の拡散度調整領域TAの外側の領域に表示される態様であっても良い。照射範囲の概略形状イメージ23は、表示領域DA内の任意の領域に表示される態様であれば良く、照射範囲の概略形状イメージ23の表示位置により本開示が限定されるものではない。
【0100】
(実施形態3)
実施形態3では、制御装置200において予め照明装置1の拡散度制御パターンを取得し、所定のタイミングで、制御装置200において取得した拡散度制御パターンに基づき、照明装置1の拡散度制御処理を実行する例について説明する。
図21は、実施形態3に係る制御装置における拡散度制御パターン取得処理の一例を示すフローチャートである。
図22は、実施形態3に係る調光システムにおける照明装置の拡散度制御処理の具体例を示すシーケンス図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態1及び実施形態2で説明したものと同じ構成要素及び処理には同一の符号を付して重複する説明は省略し、実施形態1及び実施形態2とは異なる点について説明する。
【0101】
照明装置1の拡散度制御パターン取得処理を開始すると(ステップS100)、検出部211は、タッチセンサ30の拡散度調整領域TA内におけるタッチの有無を検出する(ステップS101)。
【0102】
ステップS101においてタッチ検出されていない場合(ステップS101;No)、検出部211は、ステップS101の処理を繰り返し実行する。
【0103】
検出部211により拡散度調整領域TA内においてタッチ検出されると(ステップS101;Yes)、処理装置220は、通信手段300を介して、照明装置1に対して拡散度要求指令を送信する(ステップS101a)。照明装置1は、制御装置200からの拡散度要求指令に応じて、通信手段300を介して、現在の拡散度S0(Sx0,Sy0)を制御装置200に送信する(ステップS200)。制御装置200は、通信手段300を介して照明装置1から送信された現在の拡散度S0(Sx0,Sy0)を取得する(ステップS101b)。あるいは、事前に実施形態2において説明した拡散度制御処理を実行し、記憶部223に格納された拡散度S0(Sx0,Sy0)を適用する態様であっても良い。
【0104】
ステップS106aにおいて制御対象の照明装置1に対する拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)を算出した後、拡散度変化量算出部222は、算出した拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)を記憶部223に格納する(ステップS107a)。
【0105】
ステップS103においてタッチが継続されていない場合(ステップS103;No)、照明装置1の拡散度制御パターン取得処理を終了する。
【0106】
以上の拡散度制御パターン取得処理により、ステップS101においてタッチ検出されてから、ステップS103においてタッチが継続されなくなる(ステップS103;No)までに、時系列で順次取得された複数の拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)を含む拡散度制御パターンが取得される。
図23に示す例では、拡散度制御パターン取得処理において、座標Aから座標Bに至るまでの拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)が取得される例を示している。
【0107】
照明装置1の拡散度制御パターン取得処理の終了後、制御装置200は、所定のタイミングで、照明装置1の拡散度制御処理を開始する(ステップS109)。
【0108】
照明装置1の拡散度制御処理を開始するタイミングは、制御装置200にて設定される。
図23は、実施形態3に係る拡散度制御処理の開始タイミングを設定するための表示パネル上の表示態様の一例を示す概念図である。
【0109】
図23に示すように、例えば、表示領域DA内の拡散度調整領域TAの外側の領域(
図23に示す例では、拡散度調整領域TAの下側の領域)に、照明装置1の拡散度制御処理を開始するための拡散度制御処理スタートアイコン24、及び、拡散度制御処理の実行時間(
図23に示す座標Aから座標Bに至るまでの時間)を設定するための設定ダイアログ25が設けられている。ステップS109において、例えば、設定ダイアログ25に拡散度制御処理の実行時間を設定し、拡散度制御処理スタートアイコン24を選択することにより、照明装置1の拡散度制御処理を開始する。なお、例えば、照明装置1の拡散度制御パターン取得処理を開始する前に、設定ダイアログ25に拡散度制御処理の実行時間を設定する態様であっても良い。また、設定ダイアログ25は、拡散度制御処理の開始時刻や実行間隔が設定される態様であっても良い。
【0110】
照明装置1の拡散度制御パターン取得処理を終了すると(ステップS103;No)、制御装置200は、
図23に示す拡散度制御処理スタートアイコン24が選択されることにより、拡散度制御処理を開始する(ステップS109)。あるいは、例えば、
図23に示す設定ダイアログ25にて設定された拡散度制御処理の開始時刻に拡散度制御処理を開始する態様であっても良い。
【0111】
制御装置200は、記憶部223に格納された拡散度制御パターンを読み出し、
図23に示す座標Aから座標Bに至るまでの拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)を、照明装置1の拡散度制御パターン取得処理において取得した順に、通信手段300を介して照明装置1に送信する。
【0112】
照明装置1は、制御装置200から順次送信された拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)に応じて、Dx方向及びDy方向の光の拡散度を変更し(ステップS201)、第1液晶セル2及び第2液晶セル3の駆動電極10及び駆動電極13の駆動電圧制御を行う(ステップS202)。
【0113】
拡散度制御パターン取得処理において取得した全ての拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)の送信が完了すると、拡散度制御処理を終了する(ステップS110)。
【0114】
なお、ステップS110において拡散度制御処理を終了した後、ステップS109に戻り、再度、拡散度制御処理を開始する態様であっても良い。この場合には、例えば、表示領域DA内の拡散度調整領域TAの外側の領域に照明装置1の拡散度制御処理をリピート実行するための拡散度制御処理リピートアイコン(不図示)を設けた態様であっても良い。さらには、設定ダイアログ25において照明装置1の拡散度制御処理のリピート回数を設定可能な態様であっても良いし、照明装置1の拡散度制御処理をリピートする期間を設定可能な態様であっても良い。
【0115】
上述した拡散度制御パターン取得処理、及び拡散度制御処理により、例えば、スマートフォンやタブレット等の携帯通信端末装置で例示される制御装置200を用いて、予め取得した拡散度制御パターンに基づき、照明装置1の光の照射範囲を変化させることができる。
【0116】
図24は、実施形態3に係る調光システムにおける照明装置の拡散度制御処理の第1変形例を示すシーケンス図である。
図25は、実施形態3に係る調光システムにおける照明装置の拡散度制御処理の第2変形例を示すシーケンス図である。
図24及び
図25では、制御装置200の制御対象の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nが複数である場合について説明する。
【0117】
制御装置200の制御対象の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nが複数である場合、制御装置200は、ステップS109以降の拡散度制御処理において、
図24に示すように、複数の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nに対し、順次、拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)を送信する態様であっても良いし、
図25に示すように、制御装置200から各照明装置1_1,1_2,・・・,1_nに対して拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)を送信する際に、各照明装置1_1,1_2,・・・,1_nにおける駆動電圧制御が同時に実行されるべく、各照明装置1_1,1_2,・・・,1_nごとに異なる制御遅延時間t1,t2,・・・,tnを設定し、拡散度変化量ΔS(ΔSx,ΔSy)と共に送信する態様であっても良い。
【0118】
なお、制御装置200の制御対象の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nが複数である場合に、ステップS101bにおいて取得する現在の拡散度S0(Sx0,Sy0)は、複数の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nのうちの何れかの現在の拡散度S0(Sx0,Sy0)を取得すれば良い。具体的には、例えば、複数の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nのうちの何れかを明示的に指定して、ステップS101aにおいて拡散度要求指令を送信し、ステップS101bにおいて、指定した照明装置1の現在の拡散度S0(Sx0,Sy0)を取得する態様であっても良いし、複数の照明装置1_1,1_2,・・・,1_nに優先順位を付与して、最優先とされた照明装置1の現在の拡散度(Sx0,Sy0)を取得する態様であっても良い。
図24及び
図25では、照明装置1_1の現在の拡散度S0(Sx0,Sy0)を取得する例を示している。
【0119】
図26は、拡散度制御パターン取得処理の実行時間と拡散度制御処理の実行時間との関係を示す概念図である。
図26では、例えば、
図23に示す設定ダイアログ25において、拡散度制御パターン取得処理の実行時間tをk倍した拡散度制御処理の実行時間(
図23に示す座標Aから座標Bに至るまでの時間)T(=k×t)を設定した例を示している。
【0120】
このとき、拡散度制御パターン取得処理において取得した各拡散度変化量ΔS1,ΔS2,ΔS3,ΔS4,ΔS5の送信間隔ΔTは、拡散度制御パターン取得処理における各拡散度変化量ΔS1,ΔS2,ΔS3,ΔS4,ΔS5の取得間隔Δtをk倍した値となる(ΔT=k×Δt)。
【0121】
なお、拡散度制御処理の実行時間Tは、拡散度制御パターン取得処理の実行時間tに対する倍率(k)を設定する態様に限定されず、例えば、拡散度制御処理の実行時間Tを直接設定する態様であっても良い。この場合、処理装置220は、拡散度制御パターン取得処理の実行時間tに対する拡散度制御処理の実行時間Tの倍率(k)を算出し、拡散度制御パターン取得処理における各拡散度変化量ΔSの取得間隔Δtをk倍して、各拡散度変化量ΔSの送信間隔ΔT(=k×Δt)を算出すれば良い。
【0122】
以上、本開示の好適な実施の形態を説明したが、本開示このような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0123】
1 照明装置
2 第1液晶セル
3 第2液晶セル
4 光源
5 第1基板
6 第2基板
7 封止材
8 液晶層
9 基材
10,10a,10b 駆動電極
11 第1金属配線
11a,11b,11c,11d 金属配線
12 基材
13,13a,13b 駆動電極
14 第2金属配線
14a,14b 金属配線
15a,15b 導通部
16a,16b 接続端子部
17 液晶分子
18 配向膜
19 配向膜
20 表示パネル
21 制御対象選択アイコン
22 軌跡
23 概略形状イメージ(照射範囲)
24 拡散度制御処理スタートアイコン
25 設定ダイアログ
30 タッチセンサ
31 検出素子
100 調光装置
200 制御装置
210 検出装置
211 検出部
212 座標抽出部
220 処理装置
221 座標移動量算出部
222 拡散度変化量算出部
223 記憶部
300 通信手段
AA 調光領域
DA 表示領域
FA 検出領域
GA 周辺領域
TA 拡散度調整領域