(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-22
(45)【発行日】2024-08-30
(54)【発明の名称】室外機の風向変更装置および室外機ユニット
(51)【国際特許分類】
F24F 1/38 20110101AFI20240823BHJP
【FI】
F24F1/38
(21)【出願番号】P 2023568891
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(86)【国際出願番号】 JP2021047628
(87)【国際公開番号】W WO2023119502
(87)【国際公開日】2023-06-29
【審査請求日】2024-05-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 正樹
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-034160(JP,A)
【文献】特開平07-243684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機の排気口から排気される空気の流通方向を変更するための風向変更装置であって、
前記排気口上に配置されている少なくとも1つの風向板と、
前記排気口の中心軸に対する前記少なくとも1つの風向板の傾斜角を変更するように設けられている第1駆動部と、
前記排気口に対して位置決めされている第1部分と、前記第1部分に対して前記中心軸周りに回転するように設けられており前記少なくとも1つの風向板を搭載している第2部分とを含む搭載部と、
前記第2部分を前記中心軸周りに回転させる第2駆動部とを備え
、
前記第2部分は、前記中心軸に対する径方向において前記第1部分よりも外側に前記第1部分と並んで配置されており、
前記搭載部は、前記径方向において前記第1部分と前記第2部分との間に配置されており、前記第1部分及び前記第2部分の各々と摺動する第3部分をさらに含み、
前記第2駆動部は、前記中心軸周りに回転するプーリと、前記プーリおよび前記第2部分の各々の周囲に渡されているベルトとを含む、室外機の風向変更装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの風向板は、複数の風向板であり、
前記複数の風向板の各々を連結している連結部をさらに備え、
前記複数の風向板は、前記第1駆動部に取り付けられている第1風向板と、前記第1風向板と前記連結部を介して連結されている第2風向板とを含む、請求項1
に記載の室外機の風向変更装置。
【請求項3】
前記排気口が形成されている筐体を含む前記室外機と、
前記請求項1
又は2に記載の室外機の風向変更装置とを備える、室外機ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、室外機の風向変更装置および室外機ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2017-166787号公報(特許文献1)には、空気調和機の室外機であって、排気口から排気される空気の流通方向をスイングさせる風向調整装置が排気口に取り付けられている室外機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の室外機では、排気口の中心軸に対する流通方向の径射角のみを変更可能である。
【0005】
本開示の主たる目的は、排気口から排気される空気の流通方向を変更する自由度が高められている室外機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る室外機の風向変更装置は、排気口上に配置されている少なくとも1つの風向板と、排気口の中心軸に対する少なくとも1つの風向板の傾斜角を変更するように設けられている第1駆動部と、排気口に対して位置決めされている第1部分と、第1部分に対して中心軸周りに回転するように設けられており少なくとも1つの風向板を搭載している第2部分とを含む搭載部と、第2部分を中心軸周りに回転させる第2駆動部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、排気口から排気される空気の流通方向を変更する自由度が高められている室外機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態に係る室外機および風向変更装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示される室外機および風向変更装置の正面図である。
【
図3】
図1に示される室外機および風向変更装置の分解斜視図である。
【
図4】
図1に示される風向変更装置の第1変更部の斜視図である。
【
図5】
図4に示される風向変更装置の第1変更部の内部構造を説明するための図である。
【
図6】
図1に示される風向変更装置の第2変更部の斜視図である。
【
図7】
図1に示される風向変更装置の第2変更部の搭載部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本開示に係る実施の形態について説明する。説明の便宜上、各図には、互いに直交する座標軸が図示されている。X方向およびY方向は、Z方向に直交している。Z方向は、上下方向に沿っている。
【0010】
<室外機ユニットの構成>
図1~
図3に示されるように、室外機ユニット300は、室外機200と、風向変更装置100とを備える。室外機200は、図示しない室外熱交換器等を内部に収容している筐体201を備えている。筐体201には、室外熱交換器の内部を流れる冷媒と熱交換した空気を排気するための排気口202が形成されている。排気口202は、例えば筐体201の上面に形成されており、上方を向いて開口している。排気口202の中心軸C(
図3参照)は、Z方向に沿っている。排気口202の開口形状は、任意の形状であればよいが、例えば円形状である。
【0011】
風向変更装置100は、室外機200の筐体201に取り付けられている。風向変更装置100は、室外機200の排気口202から排気される空気の流通方向を変更するように設けられている。風向変更装置100は、第1変更部1と、第2変更部2とを備える。
【0012】
第1変更部1は、排気口202から排気される空気の流通方向の中心軸Cに対する傾斜角を変更するための装置である。
図1~
図5に示されるように、第1変更部1は、複数の風向板11、複数の回転軸12、複数の軸受13、支持部14、第1駆動部15、および連結部16を含む。
【0013】
複数の風向板11は、中心軸Cと直交するX方向に互いに間隔を空けて並んで配置されている。複数の風向板11は、例えば互いに平行に配置されている。複数の風向板11の各々のX方向の間隔は、例えば互いに等しい。複数の風向板11は、例えば互いに同じ構造を有している。複数の風向板11の各々の厚みは、複数の風向板11の各々のX方向の間隔よりも薄い。風向板11の数は、任意の数であればよいが、例えば3以上である。
【0014】
複数の風向板11の各々は、例えば平板である。X方向に隣り合う2つの風向板11は、互いに向かい合う1対の主面を有している。複数の風向板11の各主面の外形状は、任意の形状であればよいが、例えば四角形状である。複数の風向板11の各主面の外形状は、例えば円形状であってもよい。複数の風向板11の各々には、1つの回転軸12が取り付けられている。
【0015】
複数の回転軸12の各々は、例えば1つの風向板11のZ方向の両端部よりも内側に取り付けられている。複数の回転軸12の各々は、中心軸Cと直交するX方向に互いに間隔を空けて並んで配置されている。複数の回転軸12の各々は、中心軸Cと直交するY方向に沿って延びている。複数の回転軸12の各々は、互いに平行に配置されている。複数の回転軸12の各々のX方向の間隔は、例えば互いに等しい。複数の回転軸12は、例えば互いに同じ構造を有している。複数の回転軸12の各々のXZ断面の形状は、円形状である。
【0016】
複数の軸受13は、複数の回転軸12の各々に嵌め合わされている内輪と、支持部14に嵌め合わされている外輪と、内輪の外周面及び外輪の内周面の各々と摺動する転動体とを有している。各回転軸12には、当該回転軸12が取り付けられている1つの風向板11を挟むように、1対の軸受13が嵌め合わされている。
【0017】
支持部14は、複数の回転軸12を支持している。具体的には、支持部14は、複数の軸受13を介して、複数の回転軸12の各々を軸支している。支持部14は、例えばZ方向から視て角環形状を有している。支持部14は、X方向に沿って延びておりかつY方向に複数の風向板11を挟んで対向配置されている第1組の支持板と、Y方向に沿って延びておりかつX方向に複数の風向板11を挟んで対向配置されている第2組の支持板とを有している。複数の軸受13の各外輪は、第1組の支持板に嵌め合わされている。
【0018】
第1駆動部15は、複数の回転軸12のうちの1つの回転軸12を、その回転軸12周りに回転させるように設けられている。第1駆動部15は、例えば複数の回転軸12のうちX方向の両端に配置されている回転軸12よりもX方向の内側に配置されている1つの回転軸12を、回転させるように設けられている。
【0019】
第1駆動部15は、例えばモータと、モータに印加される電圧を制御する制御部とを含む。第1駆動部15は、モータに印加される電圧により、回転軸12の回転角を制御するように設けられている。第1駆動部15は、例えば支持部14の第1組の支持板の一方に取り付けられている。
【0020】
連結部16は、複数の風向板11の各々を連結している。連結部16は、X方向に沿って延びている。連結部16のY方向の幅は、複数の風向板11の各々のY方向の幅よりも狭く、例えば各回転軸12の外径未満である。
【0021】
第2変更部2は、排気口202から排気される空気の流通方向の中心軸C周りの回転角を変更するための装置である。
図1~
図3、
図6、
図7に示されるように、第2変更部2は、搭載部21、および第2駆動部22を含む。
【0022】
図6及び
図7に示されるように、搭載部21は、第1部分21A、第2部分21B、及び第3部分21Cを含む。第1部分21Aは、排気口202に対して位置決めされている。第2部分21Bは、第1部分21Aに対して中心軸C周りに回転するように設けられている。第2部分21Bは、例えば、中心軸Cに対する径方向において第1部分21Aよりも外側に配置されている。第2部分21Bは、第1変更部1を搭載している。第3部分21Cは、第1部分21A及び第2部分21Bの各々と摺動するように設けられている。
【0023】
搭載部21は、例えばクロスローラリングである。この場合、第1部分21Aはクロスローラリングの内輪であり、第2部分21Bはクロスローラリングの外輪であり、第3部分21Cはクロスローラリングの転動体である。第1部分21A及び第2部分21Bの各々の中心軸は、例えば排気口202の中心軸Cと平行である。第1部分21Aの下面は、例えば排気口202の上面と接している。第2部分21Bの下面は、例えば排気口202の外部に配置されている。第2部分21Bの上面は、例えば第1変更部1の支持部14の下面と接している。
【0024】
第2駆動部22は、搭載部21の第2部分21Bを中心軸C周りに回転させるように設けられている。第2駆動部22は、例えばプーリ23、ベルト24、及びモータ25を含む。プーリ23は、モータ25の出力軸に固定されている。ベルト24は、搭載部21の第2部分21B及びプーリ23の各々の外周面に渡されている。モータ25の出力軸は、第2部分21Bの中心軸と平行である。
【0025】
風向変更装置100は、室外機200の排気口202から排気される空気の流通方向を変更するための風向変更装置である。風向変更装置100は、排気口上に配置されている複数の風向板11と、排気口の中心軸Cに対する複数の風向板11の傾斜角を変更するように設けられている第1駆動部15と、排気口に対して位置決めされている第1部分21A及び第1部分21Aに対して中心軸C周りに回転するように設けられており複数の風向板11を搭載している第2部分21Bとを含む搭載部21と、第2部分21Bを中心軸C周りに回転させる第2駆動部22とを備える。
【0026】
そのため、風向変更装置100は、排気口202の中心軸Cに対する流通方向の傾斜角を変更可能なだけでなく、排気口202の中心軸C周りの流通方向の回転角をも変更可能である。そのため、風向変更装置100では、従来の風向変更装置と比べて、排気口202から排気される空気の流通方向を変更する自由度が高められている。
【0027】
風向変更装置100において、第2部分21Bは、中心軸Cに対する径方向において第1部分21Aよりも外側に第1部分21Aと並んで配置されている。搭載部21は、径方向において第1部分21Aと第2部分21Bとの間に配置されており、第1部分21A及び第2部分21Bの各々と摺動する第3部分21Cをさらに含む。
【0028】
このようにすれば、搭載部21は、例えば中心軸Cに沿った方向及び中心軸Cに対して傾斜する方向などの荷重を負荷しながらも、中心軸C周りに高精度に回転できる。
【0029】
風向変更装置100において、第2駆動部22は、中心軸C周りに回転するプーリ23と、プーリ23および第2部分21Bの各々の周囲に渡されているベルト24とを含む。このような第2駆動部22は、排気口202の外部に取り付けられるために排気口202からの排気を阻害しない。
【0030】
風向変更装置100は、複数の風向板11と、複数の風向板11の各々を連結している連結部16とを備えているため、複数の風向板11の各々の相対的な位置関係を連結部16により保持した状態で、複数の風向板11の各々を同時に動かすことができる。そのため、例えば排気口202の開口面積が比較的大きい場合にも、排気口202から排気される空気の流通方向を特定の方向に変更できる。
【0031】
さらに、複数の風向板11は、第1駆動部15に取り付けられている第1風向板11Aと、第1風向板11Aと連結部16を介して連結されている第2風向板11Bとを含む。そのため、風向変更装置100では、個々の風向板11を駆動するための複数の駆動部が不要とされており、複数の風向板11の各々を駆動するための複数の駆動部を備える風向変更装置と比べて製造コストの低減が図られている。
【0032】
室外機ユニット300は、排気口202が形成されている筐体201を含む室外機200と、風向変更装置100とを備える。
【0033】
室外機ユニット300は、風向変更装置100を備えるため、従来の風向変更装置を備える室外機ユニットと比べて、排気口202から排気される空気の流通方向を変更する自由度が高められている。
【0034】
なお、風向変更装置100は、既設の室外機200に後付け可能である。
また、
図1~
図7では、排気口202が上方を向いて開口している構成例を示しているが、排気口202の開口方向、すなわち中心軸Cの延在方向、は特に制限されない。
【0035】
以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0036】
1 第1変更部、2 第2変更部、11 風向板、11A 第1風向板、11B 第2風向板、12 回転軸、13 軸受、14 支持部、15 第1駆動部、16 連結部、21 搭載部、21A 第1部分、21B 第2部分、21C 第3部分、22 第2駆動部、23 プーリ、24 ベルト、25 モータ、100 風向変更装置、200 室外機、201 筐体、202 排気口、300 室外機ユニット。