IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社F・Linkの特許一覧

<>
  • 特許-健康行動サポートシステム 図1
  • 特許-健康行動サポートシステム 図2
  • 特許-健康行動サポートシステム 図3
  • 特許-健康行動サポートシステム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】健康行動サポートシステム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20240826BHJP
【FI】
G16H10/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021154854
(22)【出願日】2021-08-20
(65)【公開番号】P2023029158
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】523264839
【氏名又は名称】株式会社F・Link
(74)【代理人】
【識別番号】100174780
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 敦史
(72)【発明者】
【氏名】若井 奈美
(72)【発明者】
【氏名】安原 忍
(72)【発明者】
【氏名】高原 千里
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/188908(WO,A1)
【文献】特開2019-057171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線に接続されるデータ処理装置と、
移設可能な検体測定用設備を備え、
前記データ処理装置は検査予約受付部と、動画配信部と、測定結果を登録する登録部と、前記測定結果を記憶する記憶部と、前記測定結果を送付する送付部を有し、
前記検査予約受付部は、前記通信回線を介して受検者からの予約日時を含む検査予約を受け付け、
前記測定結果は、前記予約日時に、移設された前記検体測定用設備において、前記受検者が手指を穿刺して自己採血し、業務従事者が検体測定機器で測定したものであり、
前記動画配信部は、前記通信回線を介して前記受検者に穿刺手技の動画を配信し、
前記登録部は前記通信回線を介して受信した前記受検者の前記測定結果を登録し、
前記記憶部は前記測定結果を記憶し、
前記送付部は前記通信回線を介して前記受検者に前記測定結果を送付する健康行動サポートシステム。
【請求項2】
前記検査予約受付部は、検査対象となる検査の該当者のみに検査予約受付が完了する機能を備える請求項1記載の健康行動サポートシステム。
【請求項3】
前記データ処理装置は、作業日誌や台帳に関する情報を管理する機能を情報管理部が備える、請求項1または2記載の健康行動サポートシステム。
【請求項4】
前記データ処理装置は、さらに診療予約受付部と、オンライン診療部とを備え、
前記診療予約受付部は前記通信回線を介して前記受検者からのオンライン診療の予約を受け付け、
前記オンライン診療部は前記通信回線を介してオンライン診療を行う請求項1から3のいずれか1項に記載の健康行動サポートシステム。
【請求項5】
前記検体測定用設備が車両に搭載されている請求項1から4いずれか1項に記載の健康行動サポートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体測定における健康行動サポートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に行う血液検査は、病院の施設内で医師や看護師、臨床検査技師が採血し、院内の検査機器または院外の臨床検査センターで測定が行われる。病院以外で行われる血液検査は、検体測定室として開設された身近な薬局や施設内で、受検者が自己採血を行い、業務従事者が検査機器で限られた項目の測定を行い、数分で結果を確認することが可能になった。
この種の病院以外で血液検査を行うシステムが公知である(特許文献1)
【0003】
フィットネスクラブで自己採血検査を行い、その場で検査結果用紙を渡す。またユーザーがインターネット上のサイトにアクセスし、ユーザーIDとパスワードを入力して検査結果を閲覧することができるようにする。これらにより自己採血検査を容易に行い、迅速に検査結果を確認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平21-252218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記フィットネスクラブで自己採血検査を行い、その場で検査結果用紙を渡す場合は、検査場所が遠方であったり場所の制約があり、自己採血の説明や同意書の作成にも時間を要する。また健診未受診者の未受診の理由は時間がない、予約が煩雑、近くに病院がないなどの理由が多く、これらを解決することが未受診者の減少には課題である。
【0006】
本発明は上記課題を解決するために、場所の制約がない移設可能な検体測定用設備を備え、通信回線やデータ処理装置を用いて、検査の予約・書類のダウンロード・穿刺動画の配信を行うことで、検査にかかる時間を短縮できる。また通信回線やデータ処理装置を用いて、検査後の測定結果の送付やオンライン診療の予約・オンライン診療が完結する健康行動サポートシステムを提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
通信回線に接続されるデータ処理装置と、 移設可能な検体測定用設備を備え、 前記データ処理装置は検査予約受付部と、動画配信部と、測定結果を登録する登録部と、前記測定結果を記憶する記憶部と、前記測定結果を送付する送付部を有し、前記検査予約受付部は、前記通信回線を介して受検者からの予約日時を含む検査予約を受け付け、 前記測定結果は、前記予約日時に、移設された前記検体測定用設備において、前記受検者が手指を穿刺して自己採血し、業務従事者が検体測定機器で測定したものであり、前記動画配信部は、前記通信回線を介して前記受検者に穿刺手技の動画を配信し、前記登録部は前記通信回線を介して受信した前記受検者の前記測定結果を登録し、前記記憶部は前記測定結果を記憶し、前記送付部は前記通信回線を介して前記受検者に前記測定結果を送付する健康行動サポートシステム。
【0008】
健康サポートシステムの好適な実施形態のひとつでは、前記検査予約受付部は、該当者のみに検査予約受付が完了する機能を備える。本発明における該当者とは、抗血栓薬の服用や出血性疾患の既往が無く、測定サービスが受けられる者を示す。
【0009】
健康サポートシステムの好適な実施形態のひとつでは、前記データ処理装置は、さらに情報管理部を備え、作業日誌や台帳を管理する機能を備える。
【0010】
健康サポートシステムの好適な実施形態のひとつでは、前記データ処理装置は、さらに診療予約受付部と、オンライン診療部とを備え、前記診療予約受付部は前記通信回線を介して前記受検者からのオンライン診療の予約を受け付け、前記オンライン診療部は前記通信回線を介してオンライン診療を行う。
【0011】
健康サポートシステムの好適な実施形態のひとつでは、前記検体測定用設備が車両に搭載されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、場所の制約がない移設可能な検体測定用設備を備えることで、必要な場所に開設することが可能になる。また通信回線やデータ処理装置を用いて、検査予約受付、検査結果の登録、受検者への測定結果の送付を行うことで、効率的な健康行動のサポートができる。
【0013】
検査予約受付部により、検査の該当者のみに検査予約受付が完了するため、抗血栓薬の服用や出血性疾患の既往があり、測定サービスを受けられない非該当者の検査予約を未然に防ぐことができる。予約完了者に予約受付番号を送付することで、検査受付が簡便になる。
【0014】
情報管理部により、登録部に登録された予約受付の情報や、検査結果を作業日誌や台帳に仕分けして管理する機能を備えることで、情報管理が行える
【0015】
通信回線に接続されるデータ処理装置により、オンライン診療の予約と診療が可能であり、時間がない、予約が煩雑、近くに病院がないなどの未受診の理由を解決し、健康行動のサポートができる。
【0016】
検体測定用設備が車両に搭載されていることにより、必要な場所に車両を設置して検体測定室を開設し、健康行動のサポートができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の健康行動サポートシステムの構成を示す図である。
図2】本発明の健康行動サポートシステムの受検者が行う処理手順である。
図3】本発明の健康行動サポートシステムの検査当日の処理手順である。
図4】本発明の健康行動サポートシステムの後日行われる処理手順である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明における健康行動サポートシステムの構成を示す図である。車両Aに搭載された検体測定機器11とパソコン12と、受検者Bの端末2と、データ処理装置3と、医療機関の医師Cの端末4とを通信ネットワーク5で結ぶ。データ処理装置3には検査予約受付部31と、穿刺手技の動画配信部32と、検査結果の登録部33と、検査結果を記憶する記憶部34と、検査結果と健康ソリューションを送付する送付部35と、作業日誌や台帳を管理する情報管理部36と、診療予約受付部37と、オンライン診療部38を備える。
【0019】
検体測定用設備1には、検体測定機器11と、パソコンなどの機器12を有し、検体測定機器11はHbA1c・中性脂肪・HDLコレステロール・LDLコレステロール・Non-HDLコレステロール・AST・ALT・γ―GTPなどの生化学的検査が行える機能を有し、本実施形態ではHbA1c・中性脂肪・HDLコレステロール・LDLコレステロール・Non-HDLコレステロール等を測定する。パソコンなどの機器12は、検体測定機器11で測定した測定結果を通信回線を介してデータ処理装置3に送信する機能を有する。
【0020】
受検者Bのパソコン・スマートフォンなどの端末2から通信回線を介して、検査や診療の予約や動画の視聴を行うことができる。
【0021】
車両Aは、検体測定用設備1を車内に搭載したキャンピングカーを使用して、制約なく必要な場所に移動して検体測定室を開設する。検体測定内には必要な衛生材料、針、検査試薬キット、医療廃棄物の廃棄設備、手洗い、椅子と机、受検者の体調急変時に対応するためのベッドなどが搭載されている。
【0022】
データ処理装置3は、パソコンなどの汎用コンピュータを用いることができる。
【0023】
検査予約受付部31は、受検者Bがパソコン・スマートフォンなどの端末2から、住所・氏名・年齢・予約日時、服用薬や既往歴等の情報を入力し、検査予約のリクエストを行い、抗血栓薬の服用や出血性疾患の既往が無く、測定サービスが提供される該当者のみ検査予約受付を完了させる。抗血栓薬の服用や出血性疾患の既往があり、測定サービスが提供されない非該当者には非該当の理由を表示する。予約完了後、予約受付番号を発行し通信回線5を介して、受検者Bのパソコン・スマートフォンなどの端末2へ送信する。
【0024】
動画配信部32は、検査の予約を完了させた受検者に通信回線5を介して、受検者Bのパソコン・スマートフォンなどの端末2へ、検査の説明や自己採血の穿刺動画等のダウンロードのURLにアクセスすると送付する。動画は受検者からのリクエストによって配信され、配信したかどうかデータ処理装置3の記憶部34に情報を記憶する。
【0025】
登録部33は、通信回線5を介して受信した受検者の検査結果を、記憶部34に記憶させデータ処理装置3に登録する。
【0026】
記憶部34は、ハードディスク等の不揮発性記憶媒体である。
【0027】
送付部35は、データ処理装置3の記憶部34に記憶された受検者の検査結果と、検査結果に適した健康ソリューション等を、通信回線5を介して受検者Bのパソコン・スマートフォンなどの端末2へ送付する。
【0028】
情報管理部36は、記憶部34に記憶された情報を、作業日誌・測定受付台帳・使用測定機器台帳・試薬台帳・精度管理台帳等に管理する。
【0029】
診療予約受付部37は、通信回線5を介して受検者Bがパソコン・スマートフォンなどの端末2から、住所・氏名・年齢・予約日時・医療機関等の情報を入力し、オンライン診療予約のリクエストを受け付け、予約を完了させる。診療予約受付部37は、予約完了後に通信回線5を介して、受検者Bのパソコン・スマートフォンなどの端末2へ予約の完了を通知する。また、医療機関の医師Cにも通信回線5を介してパソコンなどの端末4へ受検者の予約の完了を通知する。
【0030】
医療機関の医師Cは、受検者の予約した日時に、パソコン・スマートフォンなどの端末4から通信回線5を介して、オンライン診療部38にアクセスして、受検者Bのパソコン・スマートフォンなどの端末2を利用して、受検者Bにオンライン診療を行う。オンライン診療とは、パソコン・スマートフォンなどの端末のビデオ通話機能を活用して医師の診察が受けられる受診方法である。
【0031】
図2から図4は本発明の健康行動サポートシステムの使用手順を示すフローチャートである。
【0032】
(受験者が自宅で行う処理)
受検者Bがパソコン・スマートフォンなどの端末2から、住所・氏名・年齢・予約日時、服用薬や既往歴の情報を入力し検査予約のリクエストを行う(S11)。検査予約受付部31が情報を受信して、入力された情報から測定サービスが受けられる該当者か非該当者かを判別し(S12)、該当者であれば予約を完了させる(S13)。非該当者には非該当の理由が受検者Bの端末2へ表示される(S14)。予約完了後には予約番号が受検者の端末2へ発行される(S15)。
【0033】
検査の予約を完了させた受検者に、動画配信部32が通信回線5を介して、受検者Bのパソコン・スマートフォンなどの端末2へ、検査の説明や自己採血の穿刺動画等のダウンロードのURLを送付し(S16)、受検者Bからのリクエスト(S17)によって動画が配信され(S18)、配信したかどうかデータ処理装置3の記憶部34に情報を記憶する(S19)。
【0034】
(検査当日に行う処理手順)
業務従事者が検体測定用設備1を車内に搭載したキャンピングカーを使用して、制約なく必要な場所に移動して検体測定室を開設する(S21)。
【0035】
業務従事者が受検者の予約番号と、動画の配信済みの確認をする(S22)。
【0036】
検体測定用設備1を備えた車両A内で、業務従事者がアルコール綿・穿刺針・検査測定キット等の必要物品を準備し(S23)、受検者が手指を穿刺し自己採血を行う(S24)。
【0037】
受検者は穿刺した手指から必要量の血液を検査試薬キットへ採取する(S25)。
【0038】
業務従事者は、採血された検査試薬キットを検査機器にセットして測定する(S26)。
【0039】
測定終了後、業務従事者は受検者へ測定結果と検査の基準値を報告する(S27)。
【0040】
(後日行われる処理手順)
業務従事者がデータ処理装置3を用いて、受検者Bのパソコン・スマートフォンなどの端末2へ、検体測定結果と基準値、検査結果に即した健康ソリューション等を送付する(S31)。測定結果が基準の範囲外で受診勧奨が必要な受検者に対し(S32)受診勧奨やオンライン診療の案内を送付する(S33)。
【0042】
受検者Bがパソコン・スマートフォンなどの端末2から、住所・氏名・年齢・予約日時・医療機関等の情報を入力し(S34)、診療予約受付部37へオンライン診療予約のリクエストを行う(S35)。診療予約受付部37が通信回線5を介して診療予約のリクエストを受信し(S36)、診療予約を完了させる(S37)。診療予約受付37が通信回線5を介して、予約完了の情報を受検者Bの端末2へ通知する(S38)。また医療機関の医師Cにも通信回線5を介して、予約完了の情報をパソコンなどの端末4へ通知する(S39)。
【0043】
医療機関の医師Cは、受検者の予約した日時に、パソコン・スマートフォンなどの端末4から通信回線5を介して、オンライン診療部38にアクセスして(S40)、受検者のパソコン・スマートフォンなどの端末2とオンライン診療を行う(S41)。
【0044】
本発明は、医療的サポートの補完のために、必要な機能を搭載した車両と、データ処理装置を用いて移動型の健康行動サポートサービスを提供することに利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 検体測定用設備
2 端末
3 データ処理装置
4 端末
5 通信ネットワーク
A 車両
B 受検者
C 医療機関の医師
11 検体測定機器
12 パソコン
31 検査予約受付部
32 動画配信部
33 登録部
34 記憶部
35 送付部
36 情報管理部
37 診療予約受付部
38 オンライン診療部
図1
図2
図3
図4