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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】自動ドア装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/77 20150101AFI20240826BHJP
   H04W 4/30 20180101ALI20240826BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20240826BHJP
【FI】
E05F15/77
H04W4/30
H04W16/26
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018006016
(22)【出願日】2018-01-17
(65)【公開番号】P2019124073
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-12-16
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501397920
【氏名又は名称】旭光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136205
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康
(72)【発明者】
【氏名】後藤田 純
(72)【発明者】
【氏名】和田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】樫 俊太郎
【合議体】
【審判長】有家 秀郎
【審判官】古屋野 浩志
【審判官】西田 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-264410(JP,A)
【文献】特開2008-8082(JP,A)
【文献】特開平10-331519(JP,A)
【文献】特表2016-541089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域について分割しようとする位置に配置される自動ドア装置であって、
前記自動ドア装置に対して内側の領域から外側の領域に向かう通信、及び、前記外側の領域から前記内側の領域に向かう通信を中継する無線通信部、
前記自動ドア装置を駆動する電源部、
を有し、
前記無線通信部は、
前記電源部から電力を受給し、及び、
前記自動ドア装置が形成する通信ネットワークにおいて上位に位置する他の前記自動ドア装置の前記無線通信部に対して通信を送受信すること、
を特徴とする自動ドア装置。
【請求項2】
請求項1に係る自動ドア装置において、
前記無線通信部は、
リピータとして機能すること、
を特徴とする自動ドア装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に係る自動ドア装置において、
前記無線通信部は、
同一内容の通信を受信した場合には、任意のいずれかの前記通信以外の前記通信を破棄すること、
を特徴とする自動ドア装置。
【請求項4】
請求項1に係る自動ドア装置において、
前記自動ドア装置が形成する前記通信ネットワークは、
前記自動ドア装置が配置される建造物において、物理的、現実的な領域の階層構造と合致した構造を有していること、
を特徴とする自動ドア装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項4に係る自動ドア装置において、
前記無線通信部は、
前記通信ネットワークにおいて上位に位置する他の前記自動ドア装置をデフォルトゲートウェイとして設定していること、
を特徴とする自動ドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア装置に関し、特に、自動ドア装置に対する内外部の通信を中継することができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動ドア装置について、図10に示す。複数の自動ドア構成機器10、14、16、18、20と、調整器26が、バス12を介して通信可能である。各機器の10、14、16、18、20動作パラメータの調整用のメニュー情報が、例えば調整器26のフラッシュメモリ38に記憶されている。調整器26が、各機器10、14、16、18、20に、それぞれに割り当てられている認識符号をバス12を介して送信することを要求し、機器10、14、16、18、20から送信された認識符号に対応するメニュー情報をフラッシュメモリから読み出し、メニュー情報に基づく各機器の設定画面を調整器26の表示部に表示する。
【0003】
これにより、1台の調整器によって、自動ドア装置の複数の自動ドア構成機器のパラメータを調整する(以上、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-231665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の自動ドア構成機器10等には、以下に示すような改善すべき点がある。自動ドア構成機器10では、プロトコル変換器24を介して、調整器26と所定の通信を実行する。しかし、自動ドア構成機器10が配置されている出入り口の内部と外部との間の一般的な通信を中継することはできない、という改善すべき点がある。
【0006】
自動ドア構成機器10が配置されている出入り口の内部と外部との間の一般的な通信を中継するためには、別途、ルータ等、内外部の通信を中継する装置を配置する必要があり、設置の手間、及び、設置のコストが発生する。
【0007】
そこで、本発明は、自動ドア装置に対する内外部の通信を中継することができる自動ドア装置を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明における課題を解決するための手段及び発明の効果を以下に示す。
【0009】
本発明に係る自動ドア装置は、所定の領域について分割しようとする位置に配置される自動ドア装置であって、前記自動ドア装置に対して内側の領域から外側の領域に向かう通信、及び、前記外側の領域から前記内側の領域に向かう通信を中継する無線通信部、を有する。
【0010】
これにより、自動ドア装置を配置するだけで、自動ドア装置を介した通信ネットワークを容易に形成できる。
【0011】
本発明に係る自動ドア装置は、さらに、前記自動ドア装置を駆動する電源部、
を有し、前記無線通信部は、前記電源部から電力を受給すること、を特徴とする。
【0012】
これにより、無線通信部を配置するために、別途、電源を配置する必要がないため、低コスト、かつ、簡易な構成で、通信ネットワークを形成できる。
【0013】
本発明に係る自動ドア装置では、前記無線通信部は、リピータとして機能すること、を特徴とする。
【0014】
これにより、簡易な構成の無線通信部を配置するだけで、自動ドア装置を介した通信ネットワークを容易に形成できる。
【0015】
本発明に係る自動ドア装置では、前記無線通信部は、同一内容の通信を受信した場合には、任意のいずれかの前記通信以外の前記通信を破棄すること、を特徴とする。
【0016】
これにより、リピータ機能を有する自動ドア装置を配置した通信ネットワークを形成する場合であっても、同一内容の通信を重複して送信することがない効率的な自動ドア装置を介した通信ネットワークを容易に形成できる。
【0017】
本発明に係る自動ドア装置では、前記無線通信部は、前記自動ドア装置が形成する通信ネットワークにおいて上位に位置する他の前記自動ドア装置の前記無線通信部に対して通信を送受信すること、を特徴とする。
【0018】
これにより、自動ドア装置が形成する通信ネットワークに階層構造を容易に形成できる。
【0019】
本発明に係る自動ドア装置では、前記自動ドア装置が形成する前記通信ネットワークは、前記自動ドア装置が配置される建造物において、物理的、現実的な領域の階層構造と合致した構造を有していること、を特徴とする。
【0020】
これにより、現実のセキュリティレベルと通信ネットワーク上のセキュリティレベルとを容易に合致させることができるため、セキュリティレベルを間違えて設定することを防止できる。
【0021】
本発明に係る自動ドア装置では、前記無線通信部は、前記通信ネットワークにおいて上位に位置する他の前記自動ドア装置をデフォルトゲートウェイとして設定していること、を特徴とする。
【0022】
これにより、簡単に、通信ネットワークにおいて上位に位置する他の前記自動ドア装置を設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る自動ドア装置の一実施例である自動ドア装置100を示す図である。
図2】自動ドア装置100のハードウェア構成を示す図である。
図3】自動ドア装置100の配置を示す図である。
図4】自動ドア装置100の配置を示す図である。
図5】本発明に係る自動ドア装置の一実施例である自動ドア装置200及び自動ドア装置210を示す図である。
図6】自動ドア装置200のハードウェア構成を示す図である。
図7】自動ドア装置210のハードウェア構成を示す図である。
図8】自動ドア装置200の配置を示す図である。
図9】自動ドア装置210の配置を示す図である。
図10】従来の自動ドア装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明していく。
【実施例1】
【0025】
本発明に係る自動ドア装置について、図1に示す自動ドア装置100を例に説明する。自動ドア装置100は、ある領域について分割しようとする位置に配置され自動ドア装置100に対して内側の領域と外側の領域を形成するとともに、各領域間を移動する移動物体の通行を制御するものである。
【0026】
第1 ハードウェア構成
自動ドア装置100は、建造物の出入り口、及び、建造物内に形成される部屋の出入り口に配置される。自動ドア装置100は、他の自動ドア装置100から取得したデータをルーティングしながらその他の自動ドア装置100に送信する。
【0027】
図2に示すように、自動ドア装置100は、ドア101R、101L、ドア開閉機構103、ドア開閉制御部105、無線通信部107、電源回路109を有している。
【0028】
ドア101R、101Lは、建造物の部屋の内外を区画する壁に形成されたドア開口Aに設置される。
【0029】
ドア開閉機構103は、ドア開閉制御部105からの指示に従ってドア101R、101Lを開閉動作させる。ドア開閉機構103は、ドア開口Aの上部縁に沿って形成される無目B内に配置される。ドア開閉機構103は、ドア101R、101Lを開閉動作させるためのモータ、ベルト、リンク機構等のドア駆動部、ドア駆動部の動作を制御するドアコントローラ、電気錠を形成するソレノイド、電気錠コントローラ等を有している。
【0030】
ドア開閉制御部105は、ドア開口Aを通過しようとする人を検知し、ドア101R、101Lを開閉動作させる。ドア開閉制御部105は、室内起動センサ、室外起動センサ等を有している。ドア開閉制御部105は、無目B内に配置される。
【0031】
無線通信部107は、自動ドア装置100が配置されている部屋の内側と外側との無線通信を接続する。無線通信部107は、いわゆるルータに相当する。なお、無線通信としては、例えば、wifi、Zigbee(商標)、Bluetooth(登録商標)、エネルギーハーベスティング(環境発電)無線通信技術であるEnOcean(商標)、サブギガ帯無線通信を利用することができる。無線通信部107は、デフォルトゲートウェイとして、自動ドア装置100が形成する通信ネットワーク上の上位の自動ドア装置100が設定されている。自動ドア装置100が形成する通信ネットワークについては後述する。
【0032】
電源回路109は、自動ドア装置100のドア開閉機構103、ドア開閉制御部105に電力を供給するとともに、無線通信部107に電力を供給する。電源回路109は、ドア開閉機構103、ドア開閉制御部105に電力を供給する電源から電力の取得するため、独自の電源を必要としない。つまり、簡易な構成で無線通信部107を有する自動ドア装置100を形成することができる。
【0033】
第2 自動ドア装置100が形成する通信ネットワーク
自動ドア装置100における通信ネットワークについて説明する。自動ドア装置100は、ビルディング等の建造物において、階層的に形成された領域の出入り口に配置される。例えば、図3に示すように、ビルディングのn階において、領域X、領域Y、領域Zが設定されている場合、領域X、領域Y、領域Zのそれぞれの入口に自動ドア装置100が配置される。以降、領域X、領域Y、領域Zのそれぞれの入口に配置される自動ドア装置100を、自動ドア装置100-X、自動ドア装置100-Y、自動ドア装置100-Zとする。
【0034】
領域X、領域Y、領域Zは、物理的、現実的な構造として、領域Zは領域Yに包含されて位置し、また、領域Xと領域Y(領域Zを含む)とは、互いに独立して位置する。つまり、領域Y、領域Zにおいては、領域Zは領域Yに包含されて位置するので、領域Zの上位に領域Yが位置する。
【0035】
このような、領域X、領域Y、領域Zに自動ドア装置100-X、自動ドア装置100-Y、自動ドア装置100-Zを配置した場合、自動ドア装置100-X、自動ドア装置100-Y、自動ドア装置100-Zが形成する通信ネットワークは、領域の物理的な位置関係において上位に位置する、つまり、より広い領域に対応して配置されている自動ドア装置100-Yが、自動ドア装置100-Zよりも通信ネットワーク上の上位に位置するように形成される。
【0036】
ここで、領域Xの出入り口に配置されている自動ドア装置100-Xは、領域Xの内部からの通信を、外部、例えば、階下の自動ドア装置100(図示せず)へ送信する。つまり、領域Xの内部からの通信は、自動ドア装置100-Xを介して、外部へ送信される。
【0037】
また、領域Zの出入り口に配置されている自動ドア装置100-Zは、領域Zの内部からの通信を、領域Yの出入り口に配置されている自動ドア装置100-Yを送信する。つまり、領域Zの内部からの通信は、自動ドア装置100-Zを介して、領域Zの外部に位置する自動ドア装置100-Yへ送信される。
【0038】
さらに、領域Yの出入り口に配置されている自動ドア装置100-Yは、領域Zの出入り口に配置されている自動ドア装置100-Zからの通信、及び、領域Zを除く領域Yの内部からの通信を、外部、例えば、階下の自動ドア装置100(図示せず)へ送信する。つまり、自動ドア装置100-Zからの通信、及び、領域Zを除く領域Yの内部からの通信は、自動ドア装置100-Yを介して、外部へ送信される。
【0039】
なお、ビルディングに配置される自動ドア装置100のうち最も上位に位置するものは、外部との出入り口に配置される自動ドア装置100であり、例えば、図4に示すような地上階の出入り口に配置される自動ドア装置100-Gとなる。最上位の自動ドア装置100-Gにおいては、外部との通信中継が主機能となるため、一般的なルータと同様に、一般的なルーティングテーブルを用いた通信中継を実行する。
【0040】
このように、自動ドア装置100を用いることによって、ビルディング等の建造物において、物理的、現実的な領域の階層構造と合致した通信ネットワークを容易に形成することができる。
【0041】
また、ビルディング等の建造物において、物理的、現実的な領域の階層構造と、自動ドア装置100が形成する通信ネットワークの構造とを合致させることによって、現実のセキュリティレベルと通信ネットワーク上のセキュリティレベルとを容易に合致させることができるため、セキュリティレベルを間違えて設定することを防止できる。例えば、図4において、領域Zに秘密情報を保持している場合、自動ドア装置100-Zの無線通信部107に、内外部からのアクセスを制限するホワイトリスト、ブラックリスト等を設定する等の秘密情報へアクセスを制限するセキュリティ設定をする。物理的、現実的な領域の現実のセキュリティレベルと通信ネットワーク上のセキュリティレベルとを合致させることができるので、誤設定や設定忘れを防止することができる。
【0042】
なお、ビルディング内において自動ドア装置100を用いて形成される通信ネットワークは、内部ネットワークとなるため、予め、ビルディング内で使用する自動ドア装置100に対して、ルーティングテーブルを設定しておけばよい。また、通信ネットワーク上の位置情報としては、例えば、IPアドレスを使用する。
【実施例2】
【0043】
前述の実施例1における自動ドア装置100を例に説明する。自動ドア装置100では、自動ドア装置100に対して内側の領域と外側の領域との間の通信をルーティングにより中継するものであった。一方、本実施例における自動ドア装置200、自動ドア装置210は、自動ドア装置200に対して内側の領域と外側の領域との間の通信を単純に中継するものである。なお、以下においては、実施例1と同様の構成については、実施例1と同符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0044】
第1 ハードウェア構成
図5に示すように、自動ドア装置200は、建造物内に設置される出入り口に配置される。自動ドア装置210は、建造物の外部との出入りに利用される主たる出入り口に配置される。自動ドア装置200及び自動ドア装置210は、互いに、通信ネットワークを構成しており、各種データを送受信する。
【0045】
1.自動ドア装置200及び自動ドア装置210のハードウェア構成
【0046】
図6に示すように、自動ドア装置200は、ドア101R、101L、ドア開閉機構103、ドア開閉制御部105、無線通信部207、電源回路109を有している。
【0047】
無線通信部207は、自動ドア装置200が配置されている出切り口の内側と外側との無線通信を接続する。無線通信部207は、他の自動ドア装置200からデータを取得し、必要な場合は通信出力を増幅して出力する、いわゆるリピータとして機能する。なお、無線通信としては、例えば、wifi、携帯電話通信、Zigbee(商標)、Bluetooth(商標)、EnOcean(商標)、サブギガ帯無線通信等の近距離無線通信を利用することができる。
【0048】
図7に示すように、自動ドア装置210は、ドア101R、101L、ドア開閉機構103、ドア開閉制御部105、無線通信部217、電源回路109を有している。
【0049】
無線通信部217は、建造物の内側と建造物の外部との無線通信を中継する。無線通信部217は、他の自動ドア装置200からデータを取得し、デフォルトゲートウェイとして機能する。無線通信部217の動作については後述する。
【0050】
第2 自動ドア装置200及び自動ドア装置210が形成する通信ネットワーク
自動ドア装置200及び自動ドア装置210が形成する通信ネットワークについて説明する。自動ドア装置210は、ビルディング等の建造物に形成された出入り口に配置される。例えば、実施例1(図3参照)と同様に、図8に示すように、ビルディングのn階における領域X、領域Y、領域Zのそれぞれの入口に自動ドア装置200が配置される。以降、領域X、領域Y、領域Zのそれぞれの入口に配置される自動ドア装置200を、自動ドア装置200-X、自動ドア装置200-Y、自動ドア装置200-Zとする。
【0051】
なお、領域X、領域Y、領域Zは、実施例1と同様、物理的、現実的な構造として、領域Zは領域Yに包含されて位置し、また、領域Xと領域Y(領域Zを含む)とは、互いに独立して位置する。つまり、領域Y、領域Zにおいては、領域Zは領域Yに包含されて位置するので、領域Zの上位に領域Yが位置する。
【0052】
このような、領域X、領域Y、領域Zに自動ドア装置200-X、自動ドア装置200-Y、自動ドア装置200-Zを配置した場合、自動ドア装置200-X、自動ドア装置200-Y、自動ドア装置200-Zは、リピータとして互いの通信を中継する、つまり、互いに対等な通信ネットワークが形成される。
【0053】
ここで、領域Xの出入り口に配置されている自動ドア装置200-Xは、領域Xの内部からの通信を受信し、リピータとして他の自動ドア装置200又は自動ドア装置210へ中継送信する。他の自動ドア装置200-Y、自動ドア装置200-Zにつても、同様である。
【0054】
ただし、例えば、領域Yに位置する端末T200からの通信は、経路RYに示すように、領域Yの出入り口に配置されている自動ドア装置200-Yに受信され、中継送信される。また、経路RZに示すように、領域Zの出入り口に配置されている自動ドア装置200-Zも、端末T200からの通信を受信し、中継送信することもある。さらには、自動ドア装置200-Zが中継送信した通信を、自動ドア装置200-Yが、さらに、中継送信する場合もあり得る。つまり、1つの端末T200からの通信を複数の自動ドア装置200が中継送信する場合がある。
【0055】
図9に示すように、ビルディングの主たる出入り口、例えば、地上階の出入り口、に配置される自動ドア装置210は、ビルディング外部との通信中継が主機能となるため、一般的なルータと同様に、一般的なルーティングテーブルを用いた通信中継を実行する。
【0056】
また、自動ドア装置210の無線通信部217は、複数の自動ドア装置200から、同一の通信を受信する可能性があるため、同一の通信を受信したか否かを判断し、既に外部に向かって中継送信した通信と同一の通信を受信した場合には、破棄する。これにより、同一の通信に対して生じ得る複数の中継送信を防止することができる。つまり、効率的な中継送信を行える。
【0057】
このように、自動ドア装置200、自動ドア装置210を用いることによって、ビルディング等の建造物において、建造物の内部と外部とを中継する通信ネットワークを容易に形成することができる。
【0058】
また、ビルディング等の建造物の内部と外部とを中継する通信ネットワークを形成することによって、建造物全体のセキュリティレベルを容易に設定することができる。
【0059】
さらに、自動ドア装置200、自動ドア装置210を用いて建造物内の通信ネットワークを形成することによって、ルーティングテーブルの設定等、煩雑な設定をすることなく建造物内の通信ネットワークを容易に形成できる。
【0060】
[その他の実施形態]
(1)上位の自動ドア装置100の設定:前述の実施例1においては、上位の自動ドア装置100の設定として、デフォルトゲートウェイとして上位の自動ドア装置100を設定するとしたが、上位の自動ドア装置100の通信ネットワーク上の位置情報を特定できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、ルーティングテーブルに、上位の自動ドア装置100のみを設定するようにしてもよい。
【0061】
(2)自動ドア装置100の無線通信部107の位置情報:前述の実施例1においては、自動ドア装置100の無線通信部107の位置情報をIPアドレスによって特定するとしたが、自動ドア装置100の無線通信部107の位置情報を特定できるものであれば、例示のものに限定されない。自動ドア装置100が形成する通信ネットワークは内部ネットワークになるため、例えば、独自に設定した位置情報を用いて特定するようにしてもよい。
【0062】
(3)電源回路109:前述の実施例1においては、電源回路109は自動ドア装置100の無目Bに配置されるとしたが、電源回路109を配置できる場所であれば例示の場所に限定されない。
【0063】
(4)無線通信部217の処理:前述の実施例2においては、無線通信部217はある通信について、最初に受信したもの以外の通信については破棄するとしたが、任意のいずれかの前記通信以外の前記通信を破棄するものであれば、例示のものに限定されない。例えば、所定期間内において、最も通信状態がよい通信以外のものを破棄するようにしてもよい。また、選択した複数の通信以外の通信、例えば所定期間毎に選択した一つの通信以外の通信については破棄するようにしてもよい。
【0064】
(4)建造物内部の通信ネットワークと建造物外部の通信ネットワーク:前述の実施例1および実施例2においては、建造物内部の通信ネットワーク、建造物外部の通信ネットワークについて、通信規格について特に限定していないが、建造物内部と建造物外部とで異なる通信規格を用いるようにしてもよい。この場合、ゲートウェイに相当する自動ドア装置の無線通信部において通信規格を変換するようにする等、通信変換部を配置するようにすればよい。
【0065】
(5)建造物内部の通信ネットワークの形成:前述の実施例2においては、自動ドア装置200、及び、自動ドア装置210によって、建造物内部の通信ネットワークを形成したが、リピータ機能を有する自動ドア装置200によってのみ、建造物内部の通信ネットワークを形成するようにしてもよい。また、自動ドア装置210のみによって、建造物内部の通信ネットワークを形成するようにしてもよい。これにより、自動ドア装置200のみ、又は、自動ドア装置210のみといった同一の自動ドア装置によって建造物内の通信ネットワークを形成できるため、設置や設定を簡素化できる。
【0066】
(6)ゲートウェイとしての自動ドア装置210の数:前述の実施例2においては、建造物に1つの自動ドア装置210が配置されるとしたが、外部との出入り口が複数存在し、各出入り口に自動ドア装置210が配置される等、複数の自動ドア装置210がゲートウェイとして配置される場合、自動ドア装置210同士が確実な通信方式で送信状態を認識し、補完し合ってデータを送信、例えば、最も早くデータを受信した自動ドア装置210がデータを送信するようにしてもよい。これにより、データの未着を防止することができる。
【0067】
また、各自動ドア装置210がクラウド上のサーバを定期監視し、送信したデータの到着、未着を認識し、未着であれば補完的に送信するようにしてもよい。クラウド上のサーバとしては、例えば、建造物に配置される自動ドア装置の状態を管理するサーバを用いてもよいし、専用のサーバを用意するようにしてもよい。これにより、データの未着を防止することができる。

【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る自動ドア装置は、例えば、ビルディング内の部屋の出入り口に用いることができる。
【符号の説明】
【0069】
100 自動ドア装置
101R ドア
101L ドア
103 ドア開閉機構
105 ドア開閉制御部
107 無線通信部
109 電源回路
A ドア開口
B 無目
200 自動ドア装置
207 無線通信部
210 自動ドア装置
217 無線通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10