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  • 特許-被覆除去具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】被覆除去具
(51)【国際特許分類】
   B25B 33/00 20060101AFI20240826BHJP
   B08B 1/10 20240101ALI20240826BHJP
   B08B 1/30 20240101ALI20240826BHJP
【FI】
B25B33/00
B08B1/10
B08B1/30
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024080722
(22)【出願日】2024-05-17
【審査請求日】2024-05-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524187748
【氏名又は名称】株式会社山谷設備
(74)【代理人】
【識別番号】100195752
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 一正
(72)【発明者】
【氏名】山谷 陽一郎
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-170188(JP,U)
【文献】特開2011-240413(JP,A)
【文献】特開昭57-184679(JP,A)
【文献】登録実用新案第3157349(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 1/00-33/00;
B26B 1/00-29/06;
B08B 1/00-1/54,5/00-13/00;
F16L 1/00-59/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状の溝が形成された継手部分の被覆材を除去する被覆除去具であって、
手で握ることが可能な持ち手を有する略棒状の本体部と、
前記本体部の一方の長手方向端部に設けた第1除去刃部と、を備え、
前記第1除去刃部は、前記本体部の長手方向に複数の山と谷からなる刃を有し
前記本体部における前記第1除去刃部が設けられた長手方向一方の端部とは逆方向の長手方向他方の端部に、前記本体部の長手方向に複数の山と谷からなる刃を備えた第2除去刃部を設け、当該第2除去刃部における山と山のピッチは、前記第1除去刃部における山と山のピッチに対して異なっていることを特徴とする被覆除去具。
【請求項2】
前記第1除去刃部及び前記第2除去刃部は、前記本体部の長手方向に複数の山と谷からなる刃を所定幅だけ離間した2列に有し、前記第1除去刃部における前記2列の刃間の前記所定幅と、前記第2除去刃部における前記2列の刃間の所定幅とは、異なっていることを特徴とする請求項1に記載の被覆除去具。
【請求項3】
螺旋状の溝が形成された継手部分の被覆材を除去する被覆除去具であって、
手で握ることが可能な持ち手を有する略棒状の本体部と、
前記本体部の一方の長手方向端部に設けた第1除去刃部と、を備え、
前記第1除去刃部は、前記本体部の長手方向に複数の山と谷からなる刃を有し、
前記本体部における前記第1除去刃部が設けられた長手方向一方の端部とは逆方向の長手方向他方の端部に、前記本体部の長手方向に複数の山と谷からなる刃を備えた第2除去刃部を設け、
前記第1除去刃部及び前記第2除去刃部は、前記本体部の長手方向に複数の山と谷からなる刃を所定幅だけ離間した2列に有し、前記第1除去刃部における前記2列の刃間の前記所定幅と、前記第2除去刃部における前記2列の刃間の所定幅とは、異なっていることを特徴とする被覆除去具。
【請求項4】
前記第1除去刃部及び第2除去刃部が設けられた位置における本体部の厚さは前記持ち手の部分よりも薄いことを特徴とする請求項1―3のいずれかに記載の被覆除去具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管の継手部分に被覆された被覆材を除去する被覆除去具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水道管やガス管などの管は、螺旋状の溝が切られた継手により管同士が接続されている。このとき、菅内の気密性を保つために継手の溝部分にシールテープ等の被覆材が装着されている。そのため、一度連結した管を再利用する場合には、この被覆材を除去する必要が生じる。
【0003】
この被覆材の除去には手間がかかり時間を要する作業であるため、効率的に被覆材を除去することが望まれている。
【0004】
特許文献1には、複数巻かれたリング状の当接部の先端に刃が設けられた被覆除去具の構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許文献1:特許第5519392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、複数巻かれたリング状の当接部を螺旋状の溝に合わせて嵌め込むのに手間がかかるとともに、管内部に形成された溝には適用できないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決して、手間がかからず効率的に管継手の外部及び内部に被覆された被覆材を除去可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、螺旋状の溝が形成された継手部分の被覆材を除去する被覆除去具であって、
手で握ることが可能な持ち手を有する略棒状の本体部と、
前記本体部の一方の長手方向端部に設けた第1除去刃部と、を備え、
前記第1除去刃部は、前記本体部の長手方向に複数の山と谷からなる刃を有し
前記本体部における前記第1除去刃部が設けられた長手方向一方の端部とは逆方向の長手方向他方の端部に、前記本体部の長手方向に複数の山と谷からなる刃を備えた第2除去刃部を設け、当該第2除去刃部における山と山のピッチは、前記第1除去刃部における山と山のピッチに対して異なっていることを特徴とする被覆除去具を提供するものである。
【0009】
この構成により、手間がかからず効率的に管継手の外部及び内部に切られた溝の被覆材を除去可能とすることができる。
また、溝ピッチが異なる管の継手にも容易に適用することができる。
【0010】
被覆除去具であって、前記第1除去刃部及び前記第2除去刃部は、前記本体部の長手方向に複数の山と谷からなる刃を所定幅だけ離間した2列に有し、前記第1除去刃部における前記2列の刃間の前記所定幅と、前記第2除去刃部における前記2列の刃間の所定幅とは、異なっている構成としてもよい。
【0011】
この構成により、複数の山と谷からなる刃を2列有することで、被覆除去の効率を向上させることができる。
また、管径の異なる管の継手にも容易に適用することができる。
【0012】
被覆除去具であって、前記第1除去刃部が設けられた位置における本体部の厚さは前記持ち手の部分よりも薄い構成にしてもよい。
【0013】
この構成により、管内部に当該被覆除去具を挿入して、管内部の溝における被覆除去も容易に行うことができる。
【0016】
また、上記課題を解決するために本発明は、螺旋状の溝が形成された継手部分の被覆材を除去する被覆除去具であって、
手で握ることが可能な持ち手を有する略棒状の本体部と、
前記本体部の一方の長手方向端部に設けた第1除去刃部と、を備え、
前記第1除去刃部は、前記本体部の長手方向に複数の山と谷からなる刃を有し、
前記本体部における前記第1除去刃部が設けられた長手方向一方の端部とは逆方向の長手方向他方の端部に、前記本体部の長手方向に複数の山と谷からなる刃を備えた第2除去刃部を設け、
前記第1除去刃部及び前記第2除去刃部は、前記本体部の長手方向に複数の山と谷からなる刃を所定幅だけ離間した2列に有し、前記第1除去刃部における前記2列の刃間の前記所定幅と、前記第2除去刃部における前記2列の刃間の所定幅とは、異なっていることを特徴とする被覆除去具を提供するものである。
【0017】
この構成により、複数の山と谷からなる刃を2列有することで、被覆除去の効率を向上させることができる。
また、管径の異なる管の継手にも容易に適用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の被覆除去具により、手間がかからず効率的に管継手の外部及び内部に被覆された被覆材を除去可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例1における被覆除去具を説明する図である。
図2】本発明の実施例1における被覆除去具の使用方法1を説明する図である。
図3】本発明の実施例1における被覆除去具の使用方法2を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0020】
本発明の実施例1の被覆除去具について図1図3を参照して説明する。図1は、本発明の実施例1における被覆除去具を説明する図である。図2は、本発明の実施例1における被覆除去具の使用方法1を説明する図である。図3は、本発明の実施例1における被覆除去具の使用方法2を説明する図である。
【0021】
実施例1における被覆除去具10は、手で握ることが可能な持ち手11を有する略棒状の本体部1と、少なくとも本体部1の長手方向(図1におけるx方向)における一方の端部に設けた第1除去刃部2を備えている。本体部1は木材で構成され、図1に示すように、本体部における端部のy方向の厚さD2は、持ち手11部分のy方向の厚さD1よりも薄い。これにより、後述のように、第1除去刃部2を管の内部に挿入して被覆材を除去できる。
【0022】
なお、実施例1においては、本体部1を略棒状の木材で構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、多少曲がっていてもよいし、木材以外の金属や合成樹脂で構成してもよい。
【0023】
第1除去刃部2は金属で構成され、本体部1の長手方向(x方向)に複数の山と谷からなる刃21を2列有し、当該2列は所定幅Bだけ離間している。
【0024】
本体部1における第1除去刃部2が設けられた一方の端部とは本体部の長手方向(x方向)のおける逆方向の他方の端部に、本体部1の長手方向(x方向)に複数の山と谷からなる刃31を2列備えた第2除去刃部3が設けられている。第2除去刃部3における2列の刃31は所定幅bだけ離間している。第1除去刃部2の刃21における山と山のピッチAは、2.3091mmであり、第2除去刃部3の刃31における山と山のピッチaは、1.8143mmである。
【0025】
第1除去刃部2の山と山のピッチAが2.3091mmで、第2除去刃部3の山と山のピッチaが1.8143mmであることにより、管の継手におけるテーパねじの規格におけるねじの呼びがR1~R6のピッチが第1除去刃部2のピッチと同じであり、これらのねじ呼びのテーパに巻かれた被覆材除去が可能であり、ねじの呼びがR1/2、及びR3/4のピッチが第2除去刃部3のピッチと同じであり、これらのねじ呼びのテーパに巻かれた被覆材除去が可能である。このように、第1除去刃部2の山と山のピッチと第2除去刃部3の山と山のピッチが異なっていることで、ほとんどのテーパねじのものにおける被覆材の除去が可能である。
【0026】
また、第2除去刃部3の所定幅bは、第1除去刃部2の所定幅Bに対してそれぞれ異なっている。すなわち、B>bの関係を有しており、B=24mm、b=18mmである。但し、所定幅B及び所定幅bは、これに限定されず適宜変更が可能である。例えば、B=25mm以上、b=17mm以下であってもよいし、B=23mm以下、b=19mm以上であってもよく、第1除去刃部2と第2除去刃部3とで管径の大きいものから小さいものまで対応できればよい。
【0027】
第1除去刃部2の山と山のピッチと第2除去刃部3の山と山のピッチが異なっていることで、継手に切られたテーパねじが小さいものから大きいものまでほとんどを被覆材除去の対象とすることができる。また、第1除去刃部2の所定幅と第2除去刃部3の所定幅が異なっていることで管径の大きいものから小さいものまで被覆材除去の対象とすることができる。
【0028】
なお、実施例1においては、本体部1の長手方向における一方の端部に第1除去刃部2を設け、第1除去刃部2が設けられた一方の端部とは本体部の長手方向における逆方向の他方の端部に第2除去刃部3を設けた構成としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、断面コの字状の長い金属片の一方の端部に第1除去刃部2を形成し、他方の端部に第2除去刃部3を形成してもよい。この場合は、持ち手となる部分に合成樹脂等で本体部を設ければよい。また、断面コの字状の長い金属片は、一方の端部から他方の端部に向けて断面のコの字が小さくなるようにしてもよい。これにより、第1除去刃部2の所定幅に対して第2除去刃部3の所定幅を小さくすることができる。
【0029】
本体部1における持ち手部11の厚さD1は20mmであり、また、本体部1の端部における厚さD2は13mmであり、第1除去刃部2及び第2除去刃部3が設けられた位置における本体部1の厚さD2は持ち手11の部分よりも薄くしている。これにより、管内部にも実施例1における被覆材除去具を挿入して被覆材を除去することができる。なお、第1除去刃部2及び第2除去刃部3が設けられた位置における本体部1は持ち手11の部分より薄くするとともに、円弧状としてもよい。これにより、さらに管内部に実施例1における被覆材除去具10を挿入して被覆材を除去することができる。
【0030】
なお、実施例1においては、第1除去刃部2及び第2除去刃部3の両方を備える構成としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、対象の管が限定的であれば、第1除去刃部2のみを備えた構成としてもよいし、第2除去刃部3のみを備えた構成としてもよい。
【0031】
次に、本発明の実施例1における被覆除去具の使用方法1について説明する。使用方法1は、管の継手における外面に切られている溝に対しての使用方法である。つまり、図2に示すように、継手の外面に切られた溝に第1除去刃部2又は第2除去刃部3を押し当てて、溝に沿って移動させることで簡単に被覆材を除去することができる。このとき、ねじの呼びがR1~R6の管であれば、第1除去刃部2を溝に押し当てながら溝に沿って移動させる。また、ねじの呼びがR1/2、及びR3/4の管であれば、第2除去刃部3を溝に押し当てながら溝に沿って移動させる。
【0032】
次に、本発明の実施例1における被覆除去具の使用方法2について説明する。使用方法2は、管の継手における内面に切られている溝に対しての使用方法である。つまり、図3に示すように、継手の内面に切られた溝に第1除去刃部2又は第2除去刃部3を押し当てて、溝に沿って移動させることで簡単に被覆材を除去することができる。このとき、ねじの呼びがR1~R6の管であれば、第1除去刃部2を内面の溝に押し当てながら溝に沿って移動させる。また、ねじの呼びがR1/2、及びR3/4の管であれば、第2除去刃部3を内面の溝に押し当てながら溝に沿って移動させる。
【0033】
このように、実施例1においては、螺旋状の溝が形成された継手部分の被覆材を除去する被覆除去具であって、 手で握ることが可能な持ち手を有する略棒状の本体部と、 前記本体部の一方の長手方向端部に設けた第1除去刃部と、を備え、 前記第1除去刃部は、前記本体部の長手方向に複数の山と谷からなる刃を有したことを特徴とする被覆除去具により、手間がかからず効率的に管継手の外部及び内部に被覆された被覆材を除去可能とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明における被覆除去具は、配管における分野に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1:本体部 2:第1除去刃部 3:第2除去刃部 10:被覆材除去具 11:持ち手 21:刃 31:刃 T:管 S:被覆材
【要約】      (修正有)
【課題】手間がかからず効率的に管継手の外部及び内部に被覆された被覆材を除去可能とする。
【解決手段】螺旋状の溝が形成された継手部分の被覆材を除去する被覆除去具であって、手で握ることが可能な持ち手11を有する略棒状の本体部1と、前記本体部の一方の長手方向端部に設けた第1除去刃部2と、を備え、前記第1除去刃部2は、前記本体部1の長手方向に複数の山と谷からなる刃21を有したことを特徴とする被覆除去具10。
【選択図】図1
図1
図2
図3