(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】腹腔鏡手術のトレーニング機器
(51)【国際特許分類】
G09B 23/28 20060101AFI20240826BHJP
G09B 9/00 20060101ALI20240826BHJP
A61B 17/94 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G09B23/28
G09B9/00 Z
A61B17/94
(21)【出願番号】P 2020074096
(22)【出願日】2020-04-17
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】520138265
【氏名又は名称】砂川 祐輝
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】砂川 祐輝
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-207304(JP,A)
【文献】登録実用新案第3210315(JP,U)
【文献】中国実用新案第203038553(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0225991(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0064378(US,A1)
【文献】国際公開第2002/017277(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56
17/00-19/26
23/00-29/14
A61B 1/00- 1/32
13/00-18/18
A61F 2/01
A61N 7/00- 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹腔鏡手術のトレーニング機器であって、
ダンボール、又は厚紙の何れかでなる外郭材と、
この外郭材に備えた、術用鉗子、鋏、持針器の何れかでなる手術器具、及び、カメラ挿入用の孔と、
この孔を被嵌するパッキンと、
を含み、
前記外郭材は、収容空間を備え、
前記外郭材は、第1及び第2立上り片を付設した第1及び第2板と、第1乃至第4立上り片を付設したベース板、及び、第4立上り片を付設した前板で構成され、
前記前板は、前記外郭材の長手方向における一辺を構成し、かつこの外郭材の開口部が閉塞可能な構成であり、前記開口部
の閉塞時に、前記収容空間が形成されることを特徴とする腹腔鏡手術のトレーニング機器。
【請求項2】
腹腔鏡手術のトレーニング機器であって、
ダンボール、又は厚紙の何れかでなる外郭材と、
この外郭材に備えた、術用鉗子、鋏、持針器の何れかでなる手術
器具、及び、カメラ挿入用の孔と、
この孔を被嵌するパッキンと、
を含み、
前記外郭材は、第1
及び第2立上り片を付設した第1
及び第2板と、第1乃至第4立上り片を付設したベース板、及び、第4立上り片を付設した前板で構成
され、
第1及び第2切欠きは、前記第1及び第2立上り片の前記第1及び第2板側に偏った部位に形成され、前記第1及び第2板を前記ベース板に向かって折り畳んだ際に、前記第1及び第2切欠きで形成される第1及び第2孔には、前記前板の第1及び第2差込み片が差込まれ、また、第3及び第4切欠きは、前記第1及び第2板の傾斜辺より外方に延設した第1及び第2まち片部分に形成され、前記第1及び第2板を前記前板とともに起立した際に、前記第3及び第4切欠きで形成された第3及び第4孔には、前記前板の前記第1及び第2差込み片が差込まれることを特徴と
する腹腔鏡手術のトレーニング機器。
【請求項3】
腹腔鏡手術のトレーニング機器であって、
ダンボール、又は厚紙の何れかでなる外郭材と、
この外郭材に備えた、術用鉗子、鋏、持針器の何れかでなる手術器具、及び、カメラ挿入用の孔と、
この孔を被嵌するパッキンと、
を含み、
前記外郭材は
、第1
及び第2立上り片を付設し
た第1
及び第2板と
、第1乃至第4立上り片を付設し
たベース板、及び
、第4立上り片を付設し
た前板で構成
され、
前記ベース板は、前記第1
及び第2板
を支持する支え板を備え
、
前記外郭材に備えた第5切欠きは、前記第3立上り片の前記支え板側に偏った部位に形成され、前記支え板を前記ベース板に向かって折り畳んだ際に、前記第5切欠きで形成される第5孔には、前記前板の第3差込み片が差込まれることを特徴と
する腹腔鏡手術のトレーニング機器。
【請求項4】
前記外郭材は、前記第1
及び第2立上り片を付設した前記第1
及び第2板と、前記第1乃至第4立上り片を付設した前記ベース板、及び、前記第4立上り片を付設した前記前板で構成し、使用時には、この前板は、前方に配置され、腹腔鏡手術のトレーニング機器として
斜め後方向きの傾斜角度を備え、かつ前記ベース板は、前記第1
及び第2板を支持可能とし、また、前記第1
及び第2板を支持する支え板を備えたことを特徴とした請求項2に記載の腹腔鏡手術のトレーニング機器。
【請求項5】
前記外郭材は、展開状態で、前記ベース板の前記第1立上り片に前記第1板が、前記第2立上り片に前記第2板が、前記第3立上り片
に支え板が、前記第4立上り片に前記前板が、それぞれ設けられていることを特徴とした請求項2に記載の腹腔鏡手術のトレーニング機器。
【請求項6】
前記第1
乃至第4立上り片は、前記ベース板を基準として、前記第1
及び第2板
、前記前板と
、支え板を起立した際に、収容空間として機能することを特徴とした請求項2に記載の腹腔鏡手術のトレーニング機器。
【請求項7】
前記前板は透視できない外郭材から構成されることを特徴とした請求項1
から3の何れか一項に記載の腹腔鏡手術のトレーニング機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹腔鏡手術のトレーニング機器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種、腹腔鏡手術のトレーニング機器の中で、簡易に使用し、かつ練習できるキットとしては、市販されている「パーソナルドライボックス」とか、特開2019-207304号公報に記載の腹腔鏡手術のトレーニング器具とかが挙げられる。以下、トレーニングキットとする。
【0003】
これらの発明は、本発明と同じ考えと思われ、例えば、非特許文献(1)では、樹脂製とおもわれる簡易筐に、人体モデルを備え、カメラと側面板に設けた複数の手術器具とを利用し、例えば、手術のトレーニングとか、リモデリングする。また、特許文献(1)では、例えば、[0004]に記載の如く、「針状部材により穿孔可能又は刃物により切開可能な柔軟素材で腹壁を模擬するので、………………………………、従来より実際の手術に近い環境を作り出せるため、より良い手術トレーニングが可能になるという優れた効果を奏する。」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】フジモリ産業株式会社 パーソナルドライボックスカタログ [online]、[令和2年3月18日検索]、インターネット<URL:https://www.fujimori.co.jp/wp/wp-content/uploads/2016/10/2019.07_%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%9C%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9_A4_%E3%83%81%E3%83%A9%E3%82%B7-2-1.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献(1)等の従来技術のトレーニングキットは、本発明が意図する、安価、かつ軽量な機器であって、持運びができる手術のトレーニング機器とはいい難く、改良の余地がある。
【0007】
また、本発明では、機器本体を、ダンボール、又は厚紙の何れかでなる外郭材とすることで、使用後の処理の容易化とか、処理に関する弊害発生はないので、気兼ねなく購入、及び/又は、廃棄できる利点がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した本発明の目的達成を意図して、後述する請求項1~請求項9を提案する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、
腹腔鏡手術のトレーニング機器であって、
ダンボール、又は厚紙の何れかでなる外郭材と、
この外郭材に備えた、術用鉗子、鋏、持針器の何れかでなる手術器具、及び、カメラ挿入用の孔と、
この孔を被嵌するパッキンと、
を含み、
前記外郭材は、収容空間を備え、
前記外郭材は、第1及び第2立上り片を付設した第1及び第2板と、第1乃至第4立上り片を付設したベース板、及び、第4立上り片を付設した前板で構成され、
前記前板は、前記外郭材の長手方向における一辺を構成し、かつこの外郭材の開口部が閉塞可能な構成であり、前記開口部の閉塞時に、前記収容空間が形成されることを特徴とする腹腔鏡手術のトレーニング機器である。
【0010】
これにより、請求項1では、1) トレーニング機器は、安価、かつ軽量な機器となり、持ち運びができる。2) 機器本体をダンボール、又は厚紙の何れかでなる外郭材とすることで、使用後の処理の容易化や、処理に関する弊害発生がないので、気兼ねなく購入、及び/又は、廃棄できる。併せて、請求項1の収容空間の形成に最適な外郭材、及び前板の構造を提供可能となる。
【0011】
請求項2の発明では、
腹腔鏡手術のトレーニング機器であって、
ダンボール、又は厚紙の何れかでなる外郭材と、
この外郭材に備えた、術用鉗子、鋏、持針器の何れかでなる手術器具、及び、カメラ挿入用の孔と、
この孔を被嵌するパッキンと、
を含み、
前記外郭材は、第1及び第2立上り片を付設した第1及び第2板と、第1乃至第4立上り片を付設したベース板、及び、第4立上り片を付設した前板で構成され、
第1及び第2切欠きは、前記第1及び第2立上り片の前記第1及び第2板側に偏った部位に形成され、前記第1及び第2板を前記ベース板に向かって折り畳んだ際に、前記第1及び第2切欠きで形成される第1及び第2孔には、前記前板の第1及び第2差込み片が差込まれ、また、第3及び第4切欠きは、前記第1及び第2板の傾斜辺より外方に延設した第1及び第2まち片部分に形成され、前記第1及び第2板を前記前板とともに起立した際に、前記第3及び第4切欠きで形成された第3及び第4孔には、前記前板の前記第1及び第2差込み片が差込まれることを特徴とする腹腔鏡手術のトレーニング機器である。
【0012】
これにより、請求項2でも、前記1)、2)が可能となる。併せて、請求項2の発明では、展開状態から収容空間を有する形態に、且つこれと逆の形態変更とを確実且つ容易に行うのに最適な外郭材における第1乃至第4切欠きの構造を提供できる。
【0013】
請求項3の発明では、
腹腔鏡手術のトレーニング機器であって、
ダンボール、又は厚紙の何れかでなる外郭材と、
この外郭材に備えた、術用鉗子、鋏、持針器の何れかでなる手術器具、及び、カメラ挿入用の孔と、
この孔を被嵌するパッキンと、
を含み、
前記外郭材は、第1及び第2立上り片を付設した第1及び第2板と、第1乃至第4立上り片を付設したベース板、及び、第4立上り片を付設した前板で構成され、
前記ベース板は、前記第1及び第2板を支持する支え板を備え、
前記外郭材に備えた第5切欠きは、前記第3立上り片の前記支え板側に偏った部位に形成され、前記支え板を前記ベース板に向かって折り畳んだ際に、前記第5切欠きで形成される第5孔には、前記前板の第3差込み片が差込まれることを特徴とする腹腔鏡手術のトレーニング機器である。
【0014】
これにより、請求項3の目的達成に最適な外郭材の構造であって、容易に折り畳め、かつ係る折り畳み状態を確実に維持するための外郭材における第5切欠きの構造を提供できる。
【0015】
請求項4の発明は、
前記外郭材は、前記第1及び第2立上り片を付設した前記第1及び第2板と、前記第1乃至第4立上り片を付設した前記ベース板、及び、前記第4立上り片を付設した前記前板で構成し、使用時には、この前板は、前方に配置され、腹腔鏡手術のトレーニング機器として斜め後方向きの傾斜角度を備え、かつ前記ベース板は、前記第1及び第2板を支持可能とし、また、前記第1及び第2板を支持する支え板を備えたことを特徴とした腹腔鏡手術のトレーニング機器である。
【0016】
これにより、請求項2の目的を達成できることと、併せて、この目的達成に最適な外郭材の構造及び機能を提供できる。
【0017】
請求項5の発明は、
前記外郭材は、展開状態で、前記ベース板の前記第1立上り片に前記第1板が、前記第2立上り片に前記第2板が、前記第3立上り片に支え板が、前記第4立上り片に前記前板が、それぞれ設けられていることを特徴とした腹腔鏡手術のトレーニング機器である。
【0018】
これにより、請求項2の目的を達成できることと、併せて、この目的達成に最適な外郭材の構造を提供できる。
【0019】
請求項6の発明は、
前記第1乃至第4立上り片は、前記ベース板を基準として、前記第1及び第2板、前記前板、及び前記支え板を起立した際に、収容空間として機能することを特徴とした腹腔鏡手術のトレーニング機器である。
【0020】
これにより、請求項2の目的を達成できることと、併せて、この目的達成に最適な空間構成材の構造を提供できる。
【0021】
請求項7の発明は、
前記前板は透視できない外郭材から構成されることを特徴とした腹腔鏡手術のトレーニング機器である。
【0022】
これにより、請求項1乃至6の目的を達成できる前板と、トレーニングの成果を達成できる前板の構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】トレーニング機器
(外郭
材)の展開状態であって、一部欠
載の斜視図
【
図2】外郭
材の一部
(前板、第1板と支え板等の要部
)を展開した途中の状態を示した斜視図
【
図3】外郭
材を折畳んだ状態であって、一部欠
載の斜視図
【
図4】外郭
材を組立てた状態
(使用状態
)の左損面図
【
図5】第2板を水平状態にし
(折畳み
)、平面視し、かつ切欠きと差込み用の孔を明示した拡大斜視図
【
図6】第1板の立上り状態を内側より視た拡大斜視図
【
図7】外郭
材の組立て、手術のトレーニングをする状態の正面模式図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい一実施例を説明する。
【0027】
図1乃至図3等において、トレーニング機器は、原則として、ダンボール
、厚紙、木
質、又は、必要により樹脂の何れかでなる外郭
用素材を、立方体
形状にする板材からなる筺体の外郭
材1とする。
この外郭材1は、折畳み可能で、かつ収容空間Hを
形成し得る。
【0028】
この外郭
材1は、例えば、
図1に示した展開状態で理解できるように、四方向には、後述する第1乃至第4立上り片3a、5a、6a、7aを付設した方形状のベース板2を基点として、図において、右側に第1立上り片3aを付設した第1板3、及び左側に第2立上り片5aを付設した第2板
5を備えており、この第1板3と第2板5の前側
(図1において、図面上で上側
)に位置する第4立上り片7aを備えた前板6、及びこの第1板3と第2板5の後側
(図1において、図面上で手前側
)に位置する第3立上り片6aを備えた支え板
7を備えている。
第1板3と前板6との間、及び、第2板5と前板6との間には、平面視が鈍角である一対の開口部が対称に位置している。
【0029】
尚、
図1を基準として、本発明では、方向Xを前方(前板6を備えた位置)、方向Yを後方(支え板7を備えた位置)、として順次説明する。また、方向Z1を右方(第1板3を備えた位置)、方向Z2を左方(第2板5を備えた位置)、として順次説明する。
【0030】
このベース板2と、第1
及び第2板3、5、及び前板6と、支え板7とにより、外郭
材1を形成するとともに、
図3に示した立方体を形作る。そして、この前板6は、トレーニングの成果を迅速、かつ確実に達成できることを意図し、透視できない構成とする。即ち、前板
6の後方Yに位置するベース板2に設置した標体を、練習者が肉眼で目視できないようにする。また、この例では、第1
及び第2板3、5は、両側面(一方向も可能)を隠蔽でき、例えば、光、反射等の障害発生の防止に有効であるが限定されない(明示しないが、他の各
板も同じ)。
【0031】
そして、第1板3の前方Xに直立辺3-1で、後方Yは窪み辺3-2とし、この直立辺3-1には、第3孔3cを形成できる鍵形の第3切欠き3bを備えた第1まち片3dを形成する。そして、この第1まち片3dは、原則として、第2まち片5dと同じ面に向かって膨出形成される(
図2参照)。また、この第1まち片3dを、第1板3の面上に折曲げた際には、第3切欠き3bが立上り、この第3切欠き3bに沿った形で、第3孔3cが形成される(
図6参照)。また、ベース板2より立ち上がった第1立上り片3aの上側端には、垂直方向に立ち上がった、第1端辺3eを設け、かつこの第1端辺3eに近接して第1切欠き3fと、第1孔3gを形成することで、この第1孔3gには、この第1板3を折畳んだ際、前板6の右方Z1に膨出形成した後述する第1差込み片8が差込み支持される(
図2、
図3参照)。
【0032】
尚、第2板5の前方Xに直立辺5-1で、後方Yは窪み辺5-2とし、この直立辺5-1には、第4孔5cを形成できる鍵形の第4切欠き5bを備えた第2まち片5dを形成する。そして、この第2まち片5dは、原則として、第1まち片3dと同じ面に向かって膨出形成される(
図2参照)。また、この第2まち片5dを、第2板5の面上に折曲げた際には、第4切欠き5bが立上り、この第4切欠き5bに沿った形で、第4孔5cが形成される(
図6参照)。また、ベース板2より立ち上がった第2立上り片5aの上側端には、垂直方向に立ち上がった、第2端辺5eを設け、かつこの第2端辺5eに近接して第2切欠き5fと、第2孔5gを形成することで、この第2孔5gには、この第2板5を折畳んだ際(ベース板2に重畳した際)、前板6の左方Z2に膨出形成した後述する第2差込み片9が差込み支持される(
図2、
図3参照)。
【0033】
前述した如く、前板6の右方Z1の端辺には、第1差込み片8が、前板6の左方Z2の端辺には、第2差込み片9が、それぞれ形成されている。
【0034】
ベース板2の後方Yの第3立上り片6aには、支え板7が設けられており、この支え板7と第3立上り片6aの繋ぎ箇所には、鍵形の第5切欠き10が形成されており、この第5切欠き10は、支え板7をベース板2に平行に折曲げた際には、第5孔11が形成される(
図2参照)。そして、この第5孔11には、前板6の前方Xに膨出形成した第3差込み片12が、この前板6を折畳んだ際に、差込み支持される(
図3参照)。
【0035】
尚、各板材の繋ぎ目には、折曲げ線15がそれぞれ形成されている。
【0036】
図1、
図3と、
図6等において、代表例として、第1まち片3dと、ここに設けた第3切欠き3bと第3孔3cとの組み合わせと、その使用例を説明すると、
図6の如く、第1まち片3dを左方Z2の面方向に折曲げ、第3切欠き3bから起立し、立上がることで、切欠き残り片3hが残り、かつ第3孔3cが形成されることで、この第3孔3cに、第1差込み片8が差込まれるとともに、前板6が起立する(
図7等参照)。また、第2まち片5dと、ここに設けた第4切欠き5bと第4孔5cとの組み合わせと、その使用例は前述の例と同じであり、説明は割愛する。また、第2板5の使用例は、前述の第1板3の使用例に準ずる。
【0037】
図1、
図3等において、第1板3に形成した第1切欠き3fと第1孔3gの関係を説明すると、第1切欠き3fを設けることで、第1立上り片3aの第1端辺3eが立設状態で形成されることと、前記第1孔3gには、第1板3を、ベース板2に向かって折り畳んだ際に、前記第1端辺3eが収まる構造である。また、
図1、
図2と、
図5の如く、第2板5に形成した第2切欠き5fと第2孔5gの関係の説明と、その使用例は前述の例と同じであり、説明は割愛する。また、第1板3に示した第1まち片3dの切欠き残り片3hに相当する、第2板の第2まち片5dの切欠き残り片5hは、
図2に示し、かつ
図5、
図6において併記する。また、第2板5の他は、前述の第1板3に準ずる。
【0038】
図1、
図2と、
図5等において、支え板7と第3立上り片6aと、第5切欠き10、及び第5孔11の関係を説明すると、この第5切欠き10、及び第5孔11は、第3立上り片6aと、支え板7の繋ぎ目に、設けられており、支え板7を、ベース板2に折り畳んだ状態で、第5孔11が形成され、かつ第5切欠き10は、第3立上り片6aの内側に位置する(
図2参照)。この第5孔11には、前板6をベース板2の上側に折り畳んだ(ベース板2に重畳した)状態で、第3差込み片12が差込み支持される。また、この状態と、前記第1板3、及び第2板5を折り畳んだ状態で、外郭材1は、
図3の如く、全体が薄板状に折り畳まれる。これにより、ベース板2と第1及び第2板3、5と前板6とに囲まれ
た収容空間Hが
形成される。尚、この収容空間Hには、映像機器40、カメラ42、又はコード43等が収容される。そして、持ち運び時には、本機は、プラスチック、カバン、袋等の硬質性容器に収めることが良い。
【0039】
続いて、
図7と
図8に示した腹腔鏡手術のトレーニング機器としての使用方法の一例を説明すると、第1板3と第2板5を立上げ、この第3切欠き3bと第4切欠き5bを
、第1板3と第2板5の面方向に略直角に折曲げる。この折曲げにより、第3孔3cと第4孔5cが形成される。そこで、この第3孔3cと第4孔5cに向かって、前板6の第1差込み片8と同第4差込み片9を、略直角に折曲げながら差込み支持
(挿入)する。この第1
及び第2板3、5が立上り、かつ前板6が起立される
と、これらとベース板2とに囲まれた平面視がコ字形状の収容空間Hが形成される。同時に、収容空間Hのベース板2が
外部から隠蔽され、かつ
収容空間Hに収容されたり、又はその後方に配置された映像機器40の画面には、設置された人体模型のデータとか、操作の状況が映像として映し出される。尚、この際の支え板7はベース板2の上面に対して起立
させたり、又は上面の面上に寝かせる
(折
り畳む)ことも、原則として自由である。この映像を基に、少なくとも、二本の手術器具41を利用して、手術を模擬体験
し、かつ手法
及び注意点等を会得する。手術器具41の代表的な例としては、術用鉗子、鋏、持針器などが挙げられるが、これら以外の腹腔鏡手術に用いる任意の器具、機器等であっても
良いことは言うまでもない。尚、図中の映像機器40はパソコン、タブレット、その他の機器等である。
【0040】
図中Bは模擬腹腔を示す。また、孔44は前板6に一個~複数個設けた手術器具41を差込む孔であり、この孔44にはガード、ガイド、滑り等として利用できるパッキン45を取付ける。また46は防滑材であり、ベース板2の裏面に複数個設けられている。
【0041】
使用後の折畳みは、自由であり、例えば、前述した組立ての逆操作で簡易にできる。例えば、
図2、
図5の手法を参照できる。
【0042】
図9-1
乃至図9-7は、それぞれ外郭
材1の
参考形態の組
立例であり、
図9-1は、例えば、長手方向Qの前方Xに設けた前板6を折畳み可能な構造とし、かつ後方Yに設けた支え部100で、前板6を立ち上
げ可能とする。但し、収容空間Hを形成できる構造とする。そして、前板6により収容空間Hを全閉とする構成は、必ずしも、必要ない。
図9-2、
図9-3は、前板6は、脚101
(棒材、肘掛等
)を利用して立ち上げる構造であり、その他は
図9-1に準ずる。尚、脚101は、外郭
材1(外郭
材1の構成部品、例えば、前板6、ベース板2、第1板3等のそれぞれのもの)とは別
体であり、一例として、棒材、紙材、定規、各種の棒、木材などが考えられる。以
下においても同じである。また、
図9-4は、前板6は、支持片102を利用して立ち上げる構造であり、その他は
図9-1に準ずる。
図9-5は、前板6は、その全体が、折り畳み方式、巻き上げ方式であって、収容空間Hを形成する態様であれば、限定されない。その他は
図9-1に準ずる。
図9-6は、底部(ベース板2と、第1~第4立上り片3a
乃至7a等とで構成される)に、前板6のヒンジ6bをピン51で可動
とし、必要により、固定可能とした構造であって、底部は前板6で閉塞することで、収容空間Hが形成される。
図9-7は、前記底部に前板6(蓋部)を被嵌する(被せる)構造であり、筐体、又はケースの感覚である。この一例では、蓋部を底部に立上げ
て使用する。立上げは、例えば、脚101を利用する。その他の構造等は、前述の各
組立例に準ずる。
【0043】
本発明は、実施形態に限定されるものではなく、各請求項に示した範囲内での種々の変更が可能である。すなわち、各請求項に示した範囲内で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1 外郭材
2 ベース板
3 第1板
3-1 直立辺
3-2 窪み辺
3a 第1立上り片
3b 第3切欠き
3c 第3孔
3d 第1まち片
3e 第1端辺
3f 第1切欠き
3g 第1孔
3h 切欠き残り片
5 第2板
5-1 直立辺
5-2 窪み辺
5a 第2立上り片
5b 第4切欠き
5c 第4孔
5d 第2まち片
5e 第2端辺
5f 第2切欠き
5g 第2孔
5h 切欠き残り片
6 前板
6a 第3立上り片
6b ヒンジ
7 支え板
7a 第4立上り片
8 第1差込み片
9 第2差込み片
10 第5切欠き
11 第5孔
12 第3差込み片
15 折曲げ線
40 映像機器
41 手術器具
42 カメラ
43 コード
44 孔
45 パッキン
46 防滑材
51 ピン
100 支え部
101 脚
102 支持片
B 模擬腹腔
H 収容空間
X 前方
Y 後方
Z1 右方
Z2 左方
Q 長手方向