IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 金子 柳一の特許一覧

特許7542851風除けテント及び風除けテントのフレーム構造
<>
  • 特許-風除けテント及び風除けテントのフレーム構造 図1
  • 特許-風除けテント及び風除けテントのフレーム構造 図2
  • 特許-風除けテント及び風除けテントのフレーム構造 図3
  • 特許-風除けテント及び風除けテントのフレーム構造 図4
  • 特許-風除けテント及び風除けテントのフレーム構造 図5
  • 特許-風除けテント及び風除けテントのフレーム構造 図6
  • 特許-風除けテント及び風除けテントのフレーム構造 図7
  • 特許-風除けテント及び風除けテントのフレーム構造 図8
  • 特許-風除けテント及び風除けテントのフレーム構造 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】風除けテント及び風除けテントのフレーム構造
(51)【国際特許分類】
   E04H 15/34 20060101AFI20240826BHJP
   E04H 15/62 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
E04H15/34 A
E04H15/62 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020151995
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2022046114
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】592018881
【氏名又は名称】金子 柳一
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】金子 柳一
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-060879(JP,A)
【文献】実開平04-100769(JP,U)
【文献】実開昭48-077914(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 15/00 - 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側方から見て、下端(E)側より上後方へ伸びる主フレーム部(6)と、
この主フレーム部(6)のつっかい棒として、側方から見て、下端部(26)より上前方へ伸びる一本の副ポール部(24)を有するとともに、前記主フレーム部(6)の上端寄りの中間部位(M)に対して、前記主フレーム部(6)との間に張る角度(α)を調節することが可能に連結された副フレーム部(22)と、
前記主フレーム部(6)と前記副フレーム部(22)との間に張設された線条部材(40)とを具備し、
この線条部材の張設によって前記主フレーム部(6)と前記副フレーム部(22)との間の角度(α)を維持できるように構成しており、
前記主フレーム部(6)は、上端(10)側で相互にピン接合され、下方に広がる一対の主ポール部(8)で形成されており
前記一対の主ポール部(8)及び前記一本の副ポール部(24)の内部に利用者が滞在するための空間が形成されるように設けたことを特徴とする、風除けテントのフレーム構造。
【請求項2】
前記主フレーム部(6)は、
前方から見て逆V字状に拡開することが可能に、前記上端(10)側でピン接合され、かつ下端側に主接地用端部(9)を有する前記一対の主ポール部(8)と、
前記中間部位(M)に位置させて、これら主ポール部(8)の間に架設させた主連結部材(17)と、を備え、
前記副フレーム部(22)は、
下端部である副接地用端部(26)を有し、かつ側方から見て、この副接地用端部(26)より上前方へ斜めに伸びる一本の前記副ポール部(24)と、
この副ポール部(24)の上端を前記主連結部材(17)に対して前述の角度(α)の調節が可能に連結させる副連結部材(30)と
を備え、
前記線条部材(40)は、前記各主ポール部(8)の下部と前記副ポール部(24)の下部との間に架設させたことを特徴とする、
請求項1に記載の風除けテントのフレーム構造。
【請求項3】
前記主連結部材(17)を、前記一対の主ポール部(8)同士を弾性的に緊結させる弾性手段としたことを特徴とする、請求項2に記載の風除けテントのフレーム構造。
【請求項4】
前記副ポール部(24)の副接地用端部(26)から延びる、地面への固定具に連結させるための線状の連係手段(32)が付設されており、この連係手段(32)の一部に圧力緩衝用の弾性機構(36)を設けたことを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の風除けテントのフレーム構造。
【請求項5】
請求項から請求項4のいずれかに記載されたフレーム構造(4)と、
このフレーム構造(4)の外側に設けられ、前記一対の主ポール部(8)同士及び前記各主ポール部(8)と前記副ポール部(24)との間の空隙を覆うシート部材(50)と
を具備し、
このシート部材(50)の下端に、前記空隙に対応して配置された錘収納袋(56)を形成したことを特徴とする風除けテント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風除けテント及び風除けテントのフレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のテントとして、
頂部から下外方へ延びる4本のポール(支柱)を有するフレーム部と、
各ポールをそれぞれ覆う長い4つの袋部を有し、各袋部に隣接する袋部の方へ延びる一対の接合片を突出してなる係止部材と、
隣り合う袋部の接合片に両端部を着脱自在接合することでポール同士の間の空隙を閉塞することが可能な側面シートとを備え、
この側面シートを、当該テントの4つの側面のうちで1側面に張設することにより、日除け用として、また3つの側面に張設することで風除けとして用いることが可能としたものが知られている(特許文献1の段落0017並びに図8及び図6参照)。
また風除けテントではなく、日除けテントとして、
半円形の弾力性のある前後一対の第1骨部と、
これら第1骨部の対応箇所に両端を連結させて前後方向に延びる第2骨部と
各第1骨部の両下端同士の間に長さを調整可能な調整紐と
第1骨部及び第2骨部で形成される輪郭に沿って装着されたシートと
を具備するテントであって、
前記調整紐の長さを調整することにより、前記第1骨部の前面形状を、半円形状と縦長の楕円形状との間で変形させることができるように設け、テントの高さを変更できるようにしたものが知られている(特許文献2)。
そして、テントの高さを調整することにより、風がある場所でも、風圧を受ける面積を減らすことができる旨が説明されている(同文献の段落0007第1~2行目)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平7-32129
【文献】特開平5-149034
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のものは、テントの4側面のうちの3面に側面シートを張設することにより、三方からの風を遮断できるということを開示しているに過ぎず、風から受ける圧力(風圧)を低減することに関しては特に工夫をしていない。
特許文献2のものは、テントの高さを調節することで風圧を受ける面積を減らすことができるとされている。
しかしながら、例えば山中などでテントを張っているとき、風の強さは時々刻々と変化する。テントを張った時点では、この程度の風の強さではこれ位のテントの高さでよいであろうと設定しても、その後に風の勢いが増すことがある。
特に風の勢いが急激に増したときに、風力をテントがうまく支えられず、調整紐の長さを再調整する暇もなく、テントが吹き飛ばされてしまう可能性がある。
【0005】
本発明の第1の目的は、風圧の影響を受けにくい風除けテントを提供することである。
本発明の第2の目的は、風力に対抗して弾性的にフレームを支持できる風除けテントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、風除けテントのフレーム構造であり、
側方から見て、下端E側より上後方へ伸びる主フレーム部6と、
この主フレーム部6のつっかい棒として、側方から見て、下端部26より上前方へ伸びる一本の副ポール部24を有するとともに、前記主フレーム部6の上端寄りの中間部位Mに対して、前記主フレーム部6との間に張る角度αを調節することが可能に連結された副フレーム部22と、
前記主フレーム部6と前記副フレーム部22との間に張設された線条部材40とを具備し、
この線条部材の張設によって前記主フレーム部6と前記副フレーム部22との間の角度αを維持できるように構成しており、
前記主フレーム部6は、上端10側で相互にピン接合され、下方に広がる一対の主ポール部8で形成されており
前記一対の主ポール部8及び前記一本の副ポール部24の内部に利用者が滞在するための空間が形成されるように設けた。
【0007】
本手段は、図1に示す、風除けテントのフレーム構造を対象とする。
このフレーム構造は、図2に示すように、側方から見て、下端E側より上後方へ伸びる主フレーム部6と、この主フレーム部6のつっかい棒として、側方から見て、下端部26より上前方へ伸びる一本の副ポール部24を有するとともに、主フレーム部6の上端寄りの中間部位Mに対して、主フレーム部6との間に張る角度αを調節することが可能に連結された副フレーム部22とを具備する。
また前記主フレーム部6は、上端10側で相互にピン接合され、下方に広がる一対の主ポール部8で形成されている。
そして主フレーム部6と副フレーム部22との間に線条部材40を張設しており、この線条部材40により、前述の角度を維持している。
この構造によれば、側方からの風力を上方に逃がすことができる形状のテントとすることができる。また当該テントの高さを調整できるので、風除けの機能を向上できる。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記主フレーム部6は、
前方から見て逆V字状に拡開することが可能に、上端10側でピン接合され、かつ下端に主接地用端部9を有する一対の主ポール部8と、
前記中間部位Mに位置させて、これら主ポール部8の間に架設させた主連結部材17と、
を備え、
前記副フレーム部22は、
下端部である副接地用端部26を有し、かつ側方から見て、この副接地用端部26より上前方へ斜めに伸びる一本の副ポール部24と、
この副ポール部24の上端を前記主連結部材17に対して前述の角度αの調節が可能に連結させる副連結部材30と
を備え、
前記線条部材40は、各主ポール部8の下部と前記副ポール部24の下部との間に架設させている。
【0009】
本手段では、前記主フレーム部6は、図3に示す如く、前方から見て逆V字状に拡開することが可能に、上端10側でピン接合され、かつ下端側に主接地用端部9を有する一対の主ポール部8と、前記中間部位Mに位置させて、これら主ポール部8の間に架設させた主連結部材17とを備えている。
そして、図2に示す如く、側方から見て、上前方へ斜めに伸びる一本の副ポール部24の上端を前記主連結部材17に対して前述の角度αの調節が可能に連結させている。
この構成によれば、簡易な構造でありながら、主フレーム部6のつっかい棒としての機能を十分に発揮することができ、風力に対する抵抗力が大きい。
【0010】
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ前記主連結部材17を、前記一対の主ポール部8同士を弾性的に緊結させる弾性手段としている。
【0011】
本手段では、前記主連結部材17を、図4に示す如く、前記一対の主ポール部8同士を弾性的に緊結させる弾性手段としている。
この構造によれば、風力に対してテントの構造を弾性的に支え、対抗することができる。
好適な一実施例として、次の構造を採用することができる。
・前記主連結部材17は、弾性部材であるコイルスプリングで形成されており、
・前記副連結部材30は、前記副ポール部24の上端部28に付設された連結リングとして形成されており、
・この連結リングを前記コイルスプリングに挿通させるともに、この挿通箇所の両側に連結リングの位置を規制する位置決め手段20を取り付けている。
この構造によれば、テントの弾性的な支持をより確実とすることができる。
【0012】
第4の手段は、第の手段又は第3の手段有し、かつ
前記副ポール部24の副接地用端部26から延びる、地面への固定具に連結させるための線状の連係手段32が付設されており、この連係手段32の一部に圧力緩衝用の弾性機構36を設けている。
【0013】
本手段では、図1に示す如く、前記副ポール部24の副接地用端部26から延びる、地面への固定具に連結させるための線状の連係手段32が付設されており、この連係手段32の一部に圧力緩衝用の弾性機構36を設けている。
この構造によれば、風圧に対して十分に対抗することができる。
【0014】
第5の手段は、第の手段から第4の手段のいずれかに記載されたフレーム構造4と、
このフレーム構造4の外側に設けられ、一対の主ポール部8同士及び各主ポール部8と副ポール部24との間の空隙を覆うシート部材50と
を具備し、
このシート部材50の下端に、前記主ポール部8同士及び各主ポール部8と副ポール部24との間の空隙に対応して配置された錘収納袋56を形成している。
【0015】
本手段では、図1に示す如く、フレーム構造4の外側に設けられたシート部材50の下端に、前記主ポール部8同士の間の空隙N1並びに主ポール部8及び副ポール部24の間の空隙N2に対応して配置された錘収納袋56を形成している。
この構造では、強風によりシート部材50がフレーム構造から外れることを規制できる。
【発明の効果】
【0016】
第1の手段に係る発明によれば、側方から見て、下端E側より上後方へ伸びる主フレーム部6の上端寄りに、この主フレーム部6のつっかい棒である副フレーム部22を連結させ、主フレーム部6と副フレーム部22との間の角度αを調節できるように設けたから、側方からの風力をテントの上方に逃がすことができ、風除けの機能を向上できる。
第2の手段に係る発明によれば、主フレーム部6は、前方から見て逆V字状に拡開することが可能に、上端10側でピン接合された一対の主ポール部8と、これら主ポール部8の間に架設させた主連結部材17とを備え、側方から見て、上前方へ斜めに伸びる一本の副ポール部24の上端を前述の角度αの調節が可能に連結させたから、簡易な構造でありながら、主フレーム部6のつっかい棒としての機能を十分に発揮することができる。
第3の手段に係る発明によれば、前記主連結部材17を、前記一対の主ポール部8同士を弾性的に緊結させる弾性手段としたから、風力に対してテントの構造を弾性的に支え、対抗することができる。
第4の手段に係る発明によれば、前記副ポール部24の副接地用端部26から延びる、地面への固定具に連結させるための線状の連係手段32が付設されており、この連係手段32の一部に圧力緩衝用の弾性機構36を設けたから、風圧に対して十分に対抗することができる。
第5の手段に係る発明によれば、フレーム構造4の外側に設けられたシート部材50の下端に、前記主ポール部8同士及び各主ポール部8と副ポール部24との間の空隙に対応して配置された錘収納袋56を形成したから、強風によりシート部材50がフレーム構造4から外れることを規制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る風除けテントの斜視図である。
図2図1の風除けテントのフレーム構造の側面図である。
図3図1の風除けテントのフレーム構造の後面図である。
図4図4の後面図のうちの主要部分(ポール同士の連結箇所)を後方から見た拡大図である。
図5図4に示すフレーム機構の主要部の変形例を示す図であり、同図(A)は第1変形例を、同図(B)は第2変形例を、同図(C)は第3変形例をそれぞれ示している。
図6図1の風除けテントの線条部材及び連係手段の説明図であり、同図(A)は、線条部材の構造として主ポール部から延びる2本の線条部を描いており、同図(B)は、それら2本の線条部を副ポール部に連結した様子を描いており、同図(C)は、副ポール部24から延びる連係部材をペグに連結させた様子を描いている、
図7図1の風除けテントの一要素(錘収納袋)の説明図であり、同図(A)は、風除けテント全体における当該要素の配置を示す図、同図(B)は、当該要素の平面図、同図(C)は、当該要素の側方から見た断面図である。
図8図1の風除けテントの背の高さの調整に関する説明図であり、同図(A)は、テントの背が高い場合を、同図(B)は、テントの背の高さが中程度の場合を、同図(C)は、テントの背が低い場合を、それぞれ描いている。
図9】本発明の第2実施形態に係る風除けテントのフレーム構造を示しており、同図(A)はフレーム構造の全体を、同図(B)は、当該フレーム構造の要部をそれぞれ示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1から図8は、本発明の第1実施形態に係る風除けテントを示している。
この風除けテント2は、図1に示す如く、フレーム構造4と、シート部材50とを具備する。
【0019】
フレーム構造4は、図2に示す如く、主フレーム部6と、副フレーム部22と、線条部材40とで形成されている。
すなわち、フレーム構造4は、風除けテントの前側に位置させて、側方から見て、下端E側より上後方へ伸びる主フレーム部6を備え、さらにこの主フレーム部6のつっかい棒としての働きを有する副フレーム部22を備えている。
前記主フレーム部6の下端Eは、図示例では、後述の一対の主ポール部8の下端(接地用端部9)からなる。
なお、本明細書では、説明の便宜上、図2の右側を“前”と、図2の左側を“後”と称し、また紙面に直交する方向を“左右”と称する。
この副フレーム部22は、側方から見て、下端部26より上前方へ伸びるとともに、主フレーム部6の上端寄りの中間部位Mに対して、主フレーム部6との間に張る角度αを調節することが可能に連結されている。
また主フレーム部6と副フレーム部22との間には、線条部材40が張設されている。
こうすることで、主フレーム部6と副フレーム部22との間の角度αを維持している。
【0020】
前記主フレーム部6は、図3に示す如く、一対の主ポール部8と、主連結部材17と、一対の位置決め手段20を具備する。
【0021】
前記一対の主ポール部8は、前方から見て逆V字状に拡開することが可能に、上端10側でピン接合されている。具体的には、図4に示すように、主ポール部8に穿設させた連結孔12同士に接続ピン14を挿通させて連結している。
主ポール部8の下端は、主接地用端部9に形成されている。
図示例の主ポール部8は、剛性材料を用いて、図4に示す如く、ウェブ部wの両端から短い一対のフランジvを片側へ突設してなる断面凹字形のチャネル構造(溝付き構造)に形成されている。
このようにすることで軽量でありながら、強度、剛性及び可撓性を兼ね備えたフレーム構造4とすることができる。前記主ポール部8の少なくとも上部側及び下部側では、前記ウェブ部wに通し孔Bが穿設されている(図4図6参照)。
これら通し孔Bは、後述の係止孔15、ボルトの挿通孔、線条部材40の締結孔などとして用いるものであり、好適な図示例では、ウェブ部wの幅方向に長く形成されている。
以上の主ポール部8の構造の説明は、後述の副ポール部24に援用する。また、ここで説明した構造は適宜変更することができる。
【0022】
前記主連結部材17は、本実施形態において、前記一対の主ポール部8同士を弾性的に緊結させる弾性手段として形成されており、かつ、図4に示す如く、前記中間部位Mに位置させて、これら主ポール部8の間に架設されている。
なお、「弾性的に」とは、外力が加わったときに弾性的に伸長する余地を残して、という程度の意味である。
図示例の主連結部材17は、スプリング部18の両側に一対の係止フック19を付設してなり、これら係止フック19を、主ポール部8に穿設させた係止孔15(前述の通し孔B)に係止させている。
図示例では、前記スプリング部18はコイルスプリングに形成されている。
また図示例では、主ポール部8の長手方向に、好ましくは等間隔で複数の係止孔15を穿設しており、これら係止孔15と係止フック19とで、高さ調整手段Hを形成している。
すなわち、係止フック19に係止させる係止孔15を適宜変更することで、主連結部材17の高さを調整することができる。
そして、主連結部材17の高さを調整することにより、図3に示す主ポール部8同士の間の角度βも変更することができる。角度βが大きくなるとテントの安定性が高まる。
前記一対の位置決め手段20は、前記スプリング部18の両側にそれぞれ嵌着させており、後述の副ポール部24の上端部の位置(スプリング部18の長手方向の位置をいう)を決める(保持する)ための手段である。
図示例の場合には、後述の通り、主連結部材17と副ポール部24との連結手段(副連結部材30)はスプリング部18に遊嵌されているに過ぎず、位置決めをしないと、副ポール部24の上端部28が左右方向(スプリング部18の長手方向)に自由に動いて、風除けテントの構造として安定性に欠けるからである。
スプリング部18の主連結部材17と副連結部材30とを組み合わせることにより、フレーム構造4に掛かる荷重をしなやかに支えることができる。もっとも、この構造は適宜変更することができる。
図示の位置決め手段20は、筒形状に形成されている。これに関しては、後述する。
【0023】
図5は、位置決め手段20の変形例を示している。
同図(A)の位置決め手段20Aは、円筒形で柔軟な材質(スポンジやゴムなど)で形成されており、その筒軸方向の両端は、主ポール部8の内面及び副ポール部24の外面に当接されている。
同図(B)の位置決め手段20Bは、円筒の内端に外向きフランジを付設した構造であり、その外向きフランジを副ポール部24の外面に当接させ、かつ、前記円筒の他端(外端)を主ポール部8の内面に当接又は近接させている。
同図(C)の位置決め手段20Cは、下側に主連結部材17のスプリング部18の挿入口21を有するほぼ逆U字形に形成されている。
その挿入口21はスプリング部18の外径に比べて幅狭になっている。
また全体として弾性材料で形成されており、スプリング部18が挿入口21を通過するときに弾性拡開するように形成されている。
さらに好適な図示例では、逆U字形の位置決め手段20Cの両端部(挿入口21の両側の部分)を貫通する締結用治具Tが設けられている。この締結用治具Tは、ボルトt1と、蝶型の締め部t2とからなり、この締め部を回転させることにより、挿入口21がさらに窄まるように形成している。
【0024】
前記副フレーム部22は、一本の副ポール部24と、副連結部材30とを具備する。
前記副ポール部24は、図2に示すように、下端部である副接地用端部26を有し、かつ側方から見て、この副接地用端部26より上前方へ斜めに伸びている。
リング状の前記副連結部材30は、前記副ポール部24の上端部28を前記主連結部材17に対して前述の角度αの調節が可能に連結させている。
本実施形態では、前記副連結部材30をスプリング部18より大径のリング体に形成するとともに、図4に示す如く、前記副ポール部24の上端部28に挿通孔29(前述の通し孔B)を開口させている。
そしてこの挿通孔29に副連結部材30であるリング体が挿通させ、かつこのリング体内に前記主連結部材17のスプリング部18が挿通されている。
この構造では、副連結部材30であるリング体は、前記スプリング部18に遊嵌させているに過ぎないため、スプリング部18の長手方向にブレてしまう可能性がある。
そこで、副ポール部24の上端部の両側に当接させて、スプリング部18に当接する位置決め手段20を設けている。
【0025】
前記線条部材40は、一対の主ポール部8の下部と副ポール部24の下端との間に架設されており、そうすることにより、図2に示す、主フレーム部6と副フレーム部22との間の角度αを維持できるように設けられている。
また線条部材40は、一対の主ポール部8の下部と副ポール部24の下端との間の架設長さを調整可能とすることにより、主フレーム部6と副フレーム部22との間の角度αを変更できるように形成されている。
前記線条部材40は、図6(A)に示す如く、前記一対の主ポール部8の下部に固定された端部(固定端部43)を有するとともに固定端部と反対側で副ポール部24の端部に結び付けられた線条部42を含む。
図示例では、前記線条部42として、一対の線条部42A、42Bが設けている。
前記主ポール部8への固定端部43の固定方法として、図示例では、副ポール部24の下部をループ状の固定端部43内に挿通させているが、例えば、主ポール部8の下部に穿設した通し孔Bに線条部の後端部を通して結び付け、固定端部43とすることもできる。
これら線条部42A、42Bの先端側には、固定端部との距離が異なるように、複数の被係合部44が形成されており、これら被係合部44の何れかを選択して、副ポール部24の下部に係合させることにより、架設距離を変えられるように設けている。
図示の被係合部44は、線条部42A、42Bから側方へ突出したループ状部として形成されているが、その構造は適宜変更することができる。
また図示例では、図6(B)に示す如く、副ポール部24の下端部に係合突子27を付設するとともに、この係止突子の下方側で副ポール部24に前記ループ状部44を嵌合させている。こうすることによりループ状部44が上方へずれることを防止している。
なお、図示例とは異なり、線条部材40を一本の線条部42として形成することもできる。例えば、図示の一対の線条部42A、42Bの端部(固定端部と反対側の端部)を延長して相互に連続させることにより、両端側に一対の固定端部43を有し、長手方向中間部に複数個(例えば6個)のループ状部44を付設した一本の線状部としてもよい。
【0026】
また本実施形態では、図2に示す如く、前記副ポール部24の下端(副接地用端部26)から延びる連係手段32を設ける。
この連係手段32は、前記副接地用端部26を、地面への固定具(ペグPなど)に連結させるための線状の部材である。
ここで“線状の”とは、線材のように延びているという意味であり、棒状や帯状のものを含む。また途中にスプリングのような構造体を含んでいてもよいものとする。
本実施形態では、連係手段32は線条部材40とは別の部材として形成されているが、線条部材40の一部として、連係手段32と設けてもよい。
図示例では、前記係合突子27を、図6(C)に示す如く、副ポール部24に穿設されたボルト孔27aとボルト27bとワッシャー27cと蝶型ナット27dとで形成している。そして蝶型ナット27dの締付けにより、ワッシャー27cとの間に、連係手段32の基端部を固定するように設けている。
また連係手段32の先端は、ペグPを挿通するためのループ(ペグ固定部38a)に形成されている。
また本実施形態では、連係手段32の長手方向の一部に圧力緩衝用の弾性機構36を設けている。
こうすることにより、例えば突風が吹いたときにペグPに過剰な力が加わって抜けてしまうなどの不都合を回避することができる。
図示例では、弾性機構36であるコイルスプリングの両端にフックを付設するとともに、連係手段である線条を、基端側の第1連結紐34と、先端側の第2連結紐38とで形成し、各紐部の端部(弾性機構と隣接する端部)に設けたループ状部を、弾性機構のフックに係止させている。
前記第2連結紐38の先端側には、ループ状のペグ固定部38aが形成されている。
なお、本実施形態では、副ポール部24のみに連係手段32を設けているが、2本の主ポール部8にもそれぞれ連係手段32を設けてもよい。各連係手段32は、側外方(フレーム構造から離れる向き)に設ける。そうすることにより、どちらから風が吹いても、風圧に対抗することができる。
【0027】
シート部材50は、前記フレーム構造4の外側に設けられている。
具体的には、図1に示すように、シート部材50は、一対の主ポール部8同士の間の空隙N1並びに主ポール部8及び副ポール部24の間の空隙N2を覆うように形成されている。
図示はしないが、一対の主ポール部8の間から、テント内へ出入りできるように、シート部材50の前面に出入口を形成することが好ましい。
【0028】
本実施形態では、シート部材50の下端には、前記各空隙N1、N2に対応して、上面開口の錘収納袋56が形成されている。
この錘収納袋56内に、錘Sを収納することにより、風除けテント2が風圧で飛んでしまうことを防止している。
なお、“空隙に対応して”とは、この空隙を覆うシート部分を錘の重量によって地面付近に留止できるようにという程度の意味である。本実施形態では、フレーム構造4に取り付けられた三角錐状のシート部材50の3つの下辺の全長に亘って、複数の錘収納部56が形成されているが、各下辺に一つの錘収納部56を設けた構造としてもよい。
図示例では、シート部材50の布地を外側へ折り返し、そして折り返した布部分(折り返し部分52)に間欠的に縦方向に縫い留めて接続部54とすることで、錘収納袋56を形成している。もっともこの構造は適宜変更することができる。
【0029】
前記構成において、風除けテントを設置するときの好適な手順を説明する。
(1)主ポール部8及び副ポール部24の配置
まず、図8に示す如く、風上側に副ポール部24を向けて、主接地用端部9及び副接地用端部26を地面に設置させる。
(2)線条部材40の取り付け
そして、図2に示すように、線条部材40の一対の線条部42A、42Bを2つの主接地用端部9側からそれぞれ後方へ引き出し、各線条部42A、42Bの先端(後端)側に付設した複数のループ状の被係合部44を、係合突子27より下方で副ポール部24の下部に挿通させる。
そうすると、被係合部44は係合突子27の下端に引っ掛かる(係合する)ことにより、副ポール部24の上方側へズレることを阻止される。
これによって、主ポール部8及び副ポール部24の各下部間での線条部材40の架設長さが決まり、そして、主ポール部8及び副ポール部24の間の角度αも決定される。
これにより、フレーム構造4の設置は完了する。
(3)ペグの固定
副ポール部24より風上側、すなわち後方側に、適数(連係手段32が有するペグ固定部38aと同数)のペグPを打ち込む。
そして図6(C)に示す如く、前記副ポール部24に連係手段32の前端を結ぶとともに、連係手段32が後端側に有する被係合部44を、それぞれ前記ペグPに連結させる。
(4)シート部材50の取り付け
次にフレーム構造4の外側にシート部材50を取り付ける。この際には、風下側に出入口が配置されるようにするとよい。
(5)錘の設置
次に、好ましくは例えば現場で採取した土や砂など或いは雨水を錘収納袋56に入れて、シート部材50が風でフレーム構造4から引き外され、飛ばされることを防止する。
【0030】
比較的に風が弱いときには、図8(A)に示すように、前記角度αを相対的に小さく設定し、地面においた椅子の上に座れる程度に座れる程度にテントの高さを調整すればよい。
風の強さが中程度のときには、図8(B)に示すように、前記角度αも中程度に設定し、例えば地面に置いた敷物などの上に座った姿勢がとれる程度にテントの高さを調整すればよい。
強風が吹いているときには、図8(C)に示すように、前記角度αを相対的に大きく設定し、地面においた敷物などの上に身体を横たえる程度にテントの高さを調整すればよい。
【0031】
本発明の風除けテント2は、三角錐形の形状であるため、どの方向から風が吹いても、図6に矢示する如く、風は、その三角錐の斜面に沿って、シート部材50の表面を乗り越えるから、風の力を受け流すことができる。
風除けテントの側面に受ける風力をFと、その風力の側面に沿った分力をf1と、側面に直交する方向に向かう分力をf2とすると、図6(A)から図6(C)に示す如く、テントの背が低くなるほどに側面に沿った分力f1の割合が少なくなり、風力を効率的に受け流すことができる。
風力のうちで側面に直交する方向に向かう分力f2については、前述の主連結部材17と副連結部材30との組み合わせにより、弾性的に吸収することができる。
さらに本発明の風除けテントでは、少なくとも前記副ポール部24の下部が、弾性機構36付きの連係手段32を介して、地面に打ち込んだペグPに固定されているから、横向きの風力に対して風除けテント2が設置場所から飛ばされないように支えることができる。
【0032】
なお、図示はしないが、前述の敷物に代えて、風除けテントの中でハンモックを設置してもよい。この場合には、ハンモックの外周の三箇所に付設した留め紐を、一対の主ポール部8及び副ポール部24の下部に結わえ付けるとよい。
これら一対の主ポール部8及び副ポール部24の下部には、前記留め紐を結び付けるための留め紐受部(フックなど)を付設してもよい。
ハンモックを介して、一対の主ポール部8及び副ポール部24に利用者の体重が掛かることにより、風除けテントが風で飛ばされることを防止できる。
なお、ハンモックに身体を横たえた状態で身体の一部(腰など)がハンモックを介して地面に設置していても構わない。身体全体を地面の上に横たえるよりは、利用者の負担が少なくなるからである。
【0033】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。これらの説明において第1実施形態と同じ構造については、解説を省略する。
【0034】
図9は、本発明の第2実施形態に係る風除けテントのフレーム構造を示している。
本実施形態では、主ポール部8及び副ポール部24を、図9(A)に示す如く、それぞれ下側ポール部分I1と、上側ポール部分I2と、ジョイント部Jとで形成している。
このジョイント部Jは、下側ポール部分I1の上部及び上側ポール部分I2の下部に対して着脱自在に連結(図示例ではボルト留め)している。
また図7(B)に示す如く、下側ポール部分I1の上部及び上側ポール部分I2の下部との間に着脱可能に架設されたグリップGが設けられている。
風除けテントを設営する際には、このグリップGを把持して作業ができるので、使い勝手がよい。またこのグリップGは、下側ポール部分I1及び上側ポール部分I2を補助的に連結する連結保持具を兼ねる。
また前記下側ポール部分I1及び上側ポール部分I2は、相互に分離して、山登りのためのスティックとして利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
2…風除けテント 4…フレーム構造 6…主フレーム部
8…主ポール部 9…下端(主接地用端部)
10…上端 12…連結孔 14…接続ピン(ボルト) 15…係止孔
17…主連結部材 18…スプリング部 19…係止フック
20、20A、20B、20C…位置決め手段 21…挿入口
22…副フレーム部 24…副ポール部 26…下端(副接続用端部)
27…係合突子 27a…ボルト孔 27b…ボルト 27c…ワッシャー
27d…蝶型ナット 28…上端部 29…挿通孔 30…副連結部材
32…連係手段 34…第1連結紐 36…弾性機構(スプリング)
38…第2連結紐 38a…ペグ固定部(ループ状部)
40…線条部材 42、42A、42B…線条部 43…固定端部
44…被係合部(ループ状部)
50…シート部材 52…折り返し部 54…接続部 56…錘収納袋
B…通し孔 E…(主フレーム部の)下端 G…グリップ H…高さ調整手段
I1…下方主ポール部分 I2…上方主ポール部分 J…接続板部
M…(主フレーム部の)中間部位 N1、N2…空隙 P…ペグ S…錘(砂)
T…締結用治具 t1…ボルト t2…締め部
v…フランジ w…ウェブ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9