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特許7542872関節置換ロボット手術情報の提供装置及び提供方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】関節置換ロボット手術情報の提供装置及び提供方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/32 20160101AFI20240826BHJP
   A61B 17/15 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
A61B34/32
A61B17/15
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022545843
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 KR2021001038
(87)【国際公開番号】W WO2021153973
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0011496
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517402229
【氏名又は名称】キュレクソ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CUREXO, INC.
【住所又は居所原語表記】3rd & 4th Floor, 480, Wiryesunhwan-ro, Songpa-gu, Seoul, 05814, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ボン・オー
(72)【発明者】
【氏名】ド、デー・グク
(72)【発明者】
【氏名】キム、スー・ジョン
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-523049(JP,A)
【文献】特表2013-523415(JP,A)
【文献】特表2008-538184(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0380788(US,A1)
【文献】特開2018-108439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/20-34/37
A61B 17/15
A61B 17/56-17/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術の対象である骨の切削経路を含めて手術前に設定された手術計画情報を格納するメモリ部と、ここにおいて、前記切削経路は1つ以上の直線からなる、
前記手術計画情報を基に前記切削経路を構成する複数の切削ターゲットポイントの位置を取得することであって、前記複数の切削ターゲットポイントの前記位置を座標で取得できるように、前記1つ以上の直線の各々について当該直線が始まる始点の座標と、前記1つ以上の直線の各々について当該直線が終端する終点の座標と取得するターゲット取得部と、
手術用ロボットを介した手術の進行に対応して、前記切削経路上の前記手術用ロボットの現在の切削位置を算出するロボット位置算出部と、
手術の対象である骨に対応する仮想骨モデル上に前記切削ターゲットポイントの位置と、前記手術用ロボットの現在の切削位置と、を含む手術進行情報をグラフィックで生成するGUI提供部と、
前記仮想骨モデルと前記手術進行情報を表示する表示部と、を含んでおり、
前記ロボット位置算出部は、前記手術計画情報に応じた前記手術用ロボットの切削速度と、前記手術用ロボットを用いた前記骨の切削動作が開始された時間から現在までの時間の経過時間と、前記複数の切削ターゲットポイントの間の距離を基に前記手術用ロボットの現在の切削位置を推定することを特徴とする関節置換ロボット手術情報の提供装置。
【請求項2】
前記手術用ロボットによって切削が進む前記手術の対象である骨の部位に応じて前記表示部を介して表示される前記仮想骨モデルに対する視点(View)を切り替えるビュー切替部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の関節置換ロボット手術情報の提供装置。
【請求項3】
前記ターゲット取得部は、
前記手術の対象である骨に置換されるインプラントを基準とした第1の座標系に従った前記切削ターゲットポイントの位置を、前記仮想骨モデルを基準とした第2の座標系に従った位置に座標変換を行うことを特徴とする請求項1に記載の関節置換ロボット手術情報の提供装置。
【請求項4】
前記手術用ロボットの位置を追跡するトラッキング装置から受信した情報に基づいて、前記手術用ロボットの実際の切削位置が推定された前記手術用ロボットの現在の切削位置から予め決められた距離以上に離れた場合に通知を提供する通知部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の関節置換ロボット手術情報の提供装置。
【請求項5】
前記ロボット位置算出部は、
前記手術用ロボットの位置を追跡するトラッキング装置から受信した情報を基に前記手術用ロボットの実際の現在の切削位置をさらに算出することを特徴とする請求項1に記載の関節置換ロボット手術情報の提供装置。
【請求項6】
前記手術用ロボットから前記手術用ロボットの状態情報を受信する信号受信部をさらに含み、
前記表示部は、前記手術用ロボットの状態情報を表示することを特徴とする請求項1に記載の関節置換ロボット手術情報の提供装置。
【請求項7】
前記GUI提供部は、
前記手術用ロボットの動作のオン/オフ状態に対応して、前記表示部を介した前記手術進行情報の表示の可否を決定することを特徴とする請求項1に記載の関節置換ロボット手術情報の提供装置。
【請求項8】
前記GUI提供部は、
複数の前記切削ターゲットポイントにそれぞれ対応する図形、前記切削ターゲットポイントを結んで形成される切削ライン、及び前記手術用ロボットの現在の切削位置に対応する図形を生成することを特徴とする請求項1に記載の関節置換ロボット手術情報の提供装置。
【請求項9】
前記ロボット位置算出部は、前記手術用ロボットを介した手術の進行に対応してリアルタイムで変化する前記手術用ロボットの現在の切削位置を算出して更新し、
前記GUI提供部は、
前記複数の切削ターゲットポイントを結んで形成される複数の切削ラインをグラフィックで生成して、前記ロボット位置算出部を介して更新される前記手術用ロボットの現在の切削位置を基に前記手術用ロボットが既に通過した前記切削ラインと現在の通過している前記切削ラインが互いに区別されるように生成することを特徴とする請求項1に記載の関節置換ロボット手術情報の提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロボット手術情報の提供装置及び提供方法に関し、より具体的には、ロボットを介した人工関節置換手術が行われる過程で手術進行に関する情報を提供する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1994年にROBODOCを用いたロボット手術が初めて行われた以来、最近膝関節置換術、股関節置換術などの人工関節置換手術をはじめ、整形外科分野で手術用ロボットが多様に活用されており、そのためのロボットシステムも持続的に開発されている。
【0003】
ロボット手術は医師による直接手術に比べて手術の精度及び患者の満足度を向上させることができるだけでなく、手術後に発生できる合併症が減少することが報告されており、今後整形外科分野でロボット手術の比重は徐々に拡大と見られる。
【0004】
ロボット手術は、主に手動型(Passive)ロボット手術、半能型(Semi-active)ロボット手術、及び能動型(Active)ロボット手術に分けられる。手動型ロボット手術は、全体の手術過程で術者がロボットを直接操作して手術を行う方法であり、半能型ロボット手術は術者がロボットを用いて切削などの過程を進行するが、上記の過程でハプティックフィードバックなどを通してロボットが術者による手術ツールの動きを予め決められた経路に合わせて制限する役割を果たす。一方、能動型ロボット手術は、術者の介入なしに手術前の計画に従ってロボットが自動的に手術を進む方法である。
【0005】
このように、手動型または半能型ロボット手術とは異なり、能動型ロボット手術においては術者の介入が排除されるので、現在のロボットが手術前に計画された経路に沿って正確に進行しているかどうか、ロボットが現在の動作する速度、及びロボットが受ける負荷など術者が手術の進行状況をモニタリングできる手術情報がないという問題が存在する。これにより、骨切削のためにロボットが移動する経路上に術者が位置する場合、術者の重傷を引き起こす可能性があり、ロボットが間違った経路に沿って進行していても、術者がこれを迅速に把握することが難しく、患者に大きな危険をもたらすことができる。
【0006】
しかし、従来の手術用ロボットシステムは手術情報をまったく提供していないか、提供しても切削が完了した後の骨画像など極めて制限的な情報提供にとどまっているだけであり、ロボットの現在の進行状況、またはこれから進む状況などを全体的に把握できる情報は提供しない。
【0007】
このため、手術の進行過程で術者がロボットの進行する手術経路やロボットの状態を迅速に把握できる手術情報の提供が必要な実情である。特に、術者の介入が排除される能動型ロボット手術においては、このような手術情報の提供がより切実である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記のような問題を解決するために提案されたものであり、関節置換ロボット手術が進行する過程で術者がロボットの進行する手術経路やロボットの状態を把握できる手術情報を提供する装置及び方法を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的は、本発明の一態様に係る関節置換ロボット手術情報の提供装置において、手術の対象である骨の切削経路を含めて手術前に設定された手術計画情報を格納するメモリ部と、前記手術計画情報を基に前記切削経路を構成する複数の切削ターゲットポイントの位置を取得するターゲット取得部と、前記手術用ロボットを介した手術の進行に対応して、前記切削ターゲットポイントの間での前記手術用ロボットの現在の切削位置を算出するロボット位置算出部と、手術の対象である骨に対応する仮想骨モデル上に前記切削ターゲットポイントの位置と、前記手術用ロボットの現在の切削位置と、を含む手術進行情報をグラフィックで生成するGUI提供部と、前記仮想骨モデルと前記手術進行情報を表示する表示部と、を含むことを特徴とする関節置換ロボット手術情報の提供装置によって達成することができる。
【0010】
ここで、前記手術用ロボットによって切削が進む前記手術の対象である骨の部位に応じて前記表示部を介して表示される前記仮想骨モデルに対する視点(View)を切り替えるビュー切替部をさらに含むことができる。
【0011】
一方、前記ターゲット取得部は、前記手術の対象である骨に置換されるインプラントを基準とした第1の座標系に従った前記切削ターゲットポイントの位置を、前記仮想骨モデルを基準とした第2の座標系に従った位置に座標変換を行うことができる。
【0012】
そして、前記ロボット位置算出部は、前記手術計画情報に応じた前記手術用ロボットの切削速度と前記切削ターゲットポイントとの間の距離を基に前記手術用ロボットの現在の切削位置を推定することができる。
【0013】
ここで、前記手術用ロボットの位置を追跡するトラッキング装置から受信した情報に基づいて、前記手術用ロボットの実際の切削位置が推定された前記手術用ロボットの現在の切削位置から予め決められた距離以上に離れた場合に通知を提供する通知部をさらに含むことができる。
【0014】
また、前記ロボット位置算出部は、前記手術用ロボットの位置を追跡するトラッキング装置から受信した情報を基に前記手術用ロボットの現在の切削位置を算出することができる。
【0015】
一方、前記手術用ロボットから前記手術用ロボットの状態情報を受信する信号受信部をさらに含み、前記表示部は、前記手術用ロボットの状態情報を表示することができる。
【0016】
そして、前記GUI提供部は、前記手術用ロボットの動作のオン/オフ状態に対応して、前記表示部を介した前記手術進行情報の表示の可否を決定することができる。
【0017】
また、前記GUI提供部は、複数の前記切削ターゲットポイントにそれぞれ対応する図形、前記切削ターゲットポイントを結んで形成される切削ライン、及び前記手術用ロボットの現在の切削位置に対応する図形を生成することができる。
【0018】
また、前記GUI提供部は、前記切削ターゲットポイントを結んで形成される切削ラインをグラフィックで生成して、前記ロボット位置算出部を介して算出された前記手術用ロボットの現在の切削位置を基に前記手術用ロボットが既に通過した前記切削ラインと現在の通過している前記切削ラインが互いに区別されるように生成することができる。
【0019】
さらに、前記目的は、本発明のさらに他の態様に係る各ステップが関節置換ロボット手術情報を提供する関節置換ロボット手術情報の提供装置を介して行われる関節置換ロボット手術情報の提供方法において、手術の対象である骨の切削経路を含めて手術前に設定された手術計画情報を格納するステップと、前記手術計画情報を基に前記切削経路を構成する複数の切削ターゲットポイントの位置を取得するステップと、前記手術用ロボットを介した手術の進行に対応して、前記切削ターゲットポイントの間での前記手術用ロボットの現在の切削位置を算出するステップと、手術の対象である骨に対応する仮想骨モデル上に前記切削ターゲットポイントの位置と、前記手術用ロボットの現在の切削位置と、を含む手術進行情報をグラフィックで生成するステップと,前記仮想骨モデルと前記手術進行情報を表示部に表示するステップと,を含むことを特徴とする関節置換ロボット手術情報の提供方法によって達成することができる。
【0020】
ここで、前記関節置換ロボット手術情報の提供方法は、前記手術用ロボットによって切削が進む前記手術の対象である骨の部位に応じて前記表示部を介して表示される前記仮想骨モデルに対する視点(View)を切り替えるステップをさらに含むことができる。
【0021】
一方、前記手術用ロボットの現在の切削位置を算出するステップは、前記手術計画情報に応じた前記手術用ロボットの切削速度と前記切削ターゲットポイントとの間の距離を基に前記手術用ロボットの現在の切削位置を推定することができる。
【0022】
また、前記手術進行情報をグラフィックで生成するステップは、複数の前記切削ターゲットポイントにそれぞれ対応する図形、前記切削ターゲットポイントを結んで形成される切削ライン、及び前記手術用ロボットの現在の切削位置に対応する図形を生成することができる。
【0023】
さらに、前記手術進行情報をグラフィックで生成するステップは、前記切削ターゲットポイントを結んで形成される切削ラインをグラフィックで生成して、前記手術用ロボットの現在の切削位置を基に前記手術用ロボットが既に通過した前記切削ラインと現在の通過している前記切削ラインが互いに区別されるように生成することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、手術前に計画された切削経路と、現在の手術用ロボットが切削経路上のどの位置を通過しているかに関する手術進行情報、及び手術用ロボットの状態情報をユーザに提供することにより、ユーザが手術進行状況を認知し、手術の進行をモニタリングするように助ける。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る関節置換ロボット手術情報の提供装置を含む関節置換ロボット手術システムの概略的な構成を示す構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る関節置換ロボット手術情報の提供装置の詳細構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る手術計画の切削経路を説明するための参考図である。
図4】本発明の実施形態に係るターゲット取得部を介して切削ターゲットポイントの位置が取得される例を説明するための参考図である。
図5】本発明の実施形態に係るビュー切替部の動作を説明するための画面の一例である。
図6】本発明の実施形態に係る関節置換ロボット手術情報の提供方法を示すフローチャートである。
図7】手術用ロボットが大腿骨のディスタル(distal)を切削するときに表示される画面の例である。
図8】手術用ロボットが大腿骨のディスタル(distal)を切削するときに表示される画面の例である。
図9】手術用ロボットの手術ツールの動作がオフになって表示される画面の例である。
図10】手術用ロボットが大腿骨のアンティアリア(anterior)を切削するときに表示される画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態について説明する。ただし、以下の説明及び添付図面において本発明の要旨をぼかすことができる公知の機能又は構成の詳細な説明は省略する。なお、図面全体にわたって同一の構成要素は、可能な限り同一の参照番号で示されていることに留意するべきだ。
【0027】
参考として、本明細書において関節置換ロボット手術は、膝関節置換ロボット手術及び股関節置換ロボット手術を含む。以下、関節置換ロボット手術のうち膝関節置換ロボット手術を一例として説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る関節置換ロボット手術情報の提供装置を含む関節置換ロボット手術システム1の概略的な構成を示す構成図である。
【0029】
図1を参照すると、手術現場内に配置される関節置換ロボット手術システム1は、手術の対象である骨B1、B2に固定された骨マーカBM1、BM2と、手術用ロボット100と、トラッキング装置200と、関節置換ロボット手術情報の提供装置300と、を含む。
【0030】
手術の対象である骨B1、B2は、ロボット手術の対象となる骨を意味するものであり、図1においては一例として大腿骨(Femur)B1と脛骨(Tibia)B2を示す。大腿骨B1と脛骨B2には、手術中に大腿骨B1と脛骨B2の位置追跡の際に、その基準となる骨マーカBM1、BM2がそれぞれ固定される。
【0031】
手術用ロボット100は、関節置換のための手術を行うロボットとして、ロボットベース101とロボットアーム103で構成され、ロボットアーム103の先端であるエンドエフェクタにはバリ(bur)を含めて骨の切削等を行うための各種の手術ツール103aが結合されることができる。また、手術用ロボット100には、結合された手術ツールに加わる負荷、ロボットの動作速度など、手術用ロボット100の状態情報を検出できる各種のセンサらが装着されることができる。手術用ロボット100のベース101には、手術中の手術用ロボット100の位置追跡の際にその基準となるロボットマーカRMが固定される。
【0032】
参考として、骨マーカBM1、BM2とロボットマーカRMは、手動型(Passive)または能動型(Active)光学式マーカを適用することができる。光学式マーカは、中心点を基準に互いに異なる方向に分岐する枝状の複数のバー部材を含み、各バーの端部にボールマーカを形成することができる。これは光学式マーカの形状の一例に過ぎず、以外にも知られている様々な形状で具現することができる。
【0033】
トラッキング装置200は、手術の対象である骨B1、B2に固定された骨マーカBM1、BM2及び手術用ロボット100に固定されたロボットマーカRMの位置と姿勢を追跡するためのものであり、光学式追跡システム(Optical Tracking System,OTS)として具現することができる。参考として、光学式追跡システムは、マーカを2台の赤外線カメラによって追跡し、三角測量法でその距離を換算することにより、3次元空間上での位置及び姿勢をリアルタイムで追跡できる装置である。このような光学式追跡システムの追跡原理は広く知られているので、説明の簡略化のために具体的な説明は省略する。
【0034】
関節置換ロボット手術情報の提供装置300(以下、「手術情報の提供装置」といい)は、手術用ロボット100を介して手術の対象である骨B1、B2に対する手術が進む際に、手術進行情報を生成して提供する。ここで、手術進行情報は、手術用ロボット100を介して手術の対象である骨B1,B2が切削される切削経路、手術用ロボット100が現在の切削している切削位置、及び手術用ロボット100の状態情報を含む。
【0035】
手術情報の提供装置300は、コンピュータ(プロセッサ)とディスプレイを含めて具現することができる。図1おいては、手術情報の提供装置300が手術用ロボット100と物理的に分離されて別々の装置で具現されるように示されているが、場合によっては、手術情報の提供装置300のプロセッサは手術用ロボット100内に、また、ディスプレイはトラッキング装置200に連結されて一緒に設置され、通信モジュールを介して各種の情報を送受信するように具現することができる。
【0036】
図2は、本発明の実施形態に係る手術情報の提供装置300の詳細構成を示すブロック図である。図2を参照すると、本発明の実施形態に係る手術情報の提供装置300は、信号受信部310と、表示部320と、メモリ部330と、制御部340と、を含む。
【0037】
信号受信部310は、外部から信号や各種のデータを受信するためのものであり、例えば、外部機器との接続のためのHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)コネクタ、ディサブ(D-sub)コネクタ、またはインターネット網を有線/無線ネットワークと接続するための通信モジュールを含むことができる。信号受信部310は、手術用ロボット100とトラッキング装置200から各種の情報を送受信する。例えば、信号受信部310は、手術用ロボット100で検出された各種のロボット状態情報を受信することができ、トラッキング装置200から追跡された手術の対象である骨B1、B2と手術用ロボット100の位置と姿勢に関する情報を受信する。
【0038】
表示部320は、画像、グラフィックなどを含む各種の情報を画面に表示するためのものであり、液晶ディスプレイ(LCD)パネル、発光ダイオード(LED)パネル、有機発光ダイオード(OLED)パネルなどで具現できる。表示部320は、ロボット手術の進行中に手術進行情報と仮想骨モデルなどを表示する。仮想骨モデルは、手術前に取得した手術の対象である骨に関する医用画像、例えば、CT画像、MRI画像、X線画像などを基に再構成した2/3次元骨モデルを意味する。
【0039】
メモリ部330は、RAM等のメモリ素子にて具現され、手術情報の提供装置300の多様なオペレーティングシステム(OS)、ミドルウェア、プラットフォーム、及び各種のアプリケーションを格納することができ、プログラムコード及び信号処理された画像信号、音声信号、各種のデータを格納することができる。メモリ部330は、手術前に取得した患者の医用画像、医用画像を基に再構成した仮想骨モデル、手術前に設定された手術計画情報などを格納する。手術計画は患者の医用画像を基に確立することができ、手術計画情報は手術の対象である骨に設置されるインプラントの種類、形状、大きさ、インプラントの設置位置、設置方向、手術の対象である骨の切削経路、切削速度などに関する情報を含む。切削経路は、直線、曲線、またはそれらが結合された形状で様々に定義することができる。この場合、切削経路や切削速度は、各の切削面に対して統合的にまたは別々に計画することができる。
【0040】
図3は本発明の実施形態に係る手術計画の切削経路を説明するための図であり、総膝関節置換ロボット手術時の大腿骨B1と脛骨B2の切削面を示す。
【0041】
図3を参照すると、手術時に大腿骨は6面を切削し、脛骨は3面を切削する。このように複数の切削面に対する切削が行われる時に、手術計画は各の切削面に対する切削経路と各の切削経路における切削速度としてそれぞれの切削面に対して別々に設定することができ、これとは異なり、すべての切削面に対して統合的に設定することができる。
【0042】
制御部340は、ユーザ入力部(図示せず)を介して入力されたユーザ命令または内部プログラムによって手術情報の提供装置300の全体的な動作を制御する。制御部340は、信号処理及び制御のためのプログラムコード及びプログラムを実行するプロセッサを含めて具現することができる。制御部340は、ロボット手術の進行過程に対応して手術進行情報をグラフィックで生成して提供することにより、ユーザが手術用ロボット100による手術進行過程を認知してモニタリングできる。
【0043】
図2を参照すると、制御部340は、ターゲット取得部341と、ロボット位置算出部343と、GUI提供部345と、ビュー切替部347と、通知部349と、を含む。参考として、説明の便宜上、制御部340を機能的に細部構成に区分したが、制御部340は、細部構成であるターゲット取得部341と、ロボット位置算出部343と、GUI提供部345と、ビュー切替部347と、通知部349の各機能を実行するための命令語を含んで作成されたソフトウェアプログラムと、それを実行するプロセッサで具現されることができる。
【0044】
ターゲット取得部341は、メモリ部330に格納された手術計画情報を基に切削経路を構成する複数の切削ターゲットポイントの位置を取得する。切削経路は、複数の点に対応する複数の切削ターゲットポイントの位置座標の集合に設定することができる。
【0045】
参考として、手術計画時のインプラントの形状、大きさ、インプラントの位置及び方向に関する計画が先行し、インプラント計画に従って切削経路が決定されるので、切削経路はインプラントの原点を基準としたインプラント座標系で設定される。したがって、後述するように、手術計画時に設定された切削経路を仮想骨モデル上に表示するために、手術計画に従った切削ターゲットポイントの位置座標を、仮想骨モデルの原点を基準とした骨モデル座標系に従った位置座標に変換するプロセシングが必要である。
【0046】
したがって、ターゲット取得部341は、骨モデル座標系とインプラント座標系との間の変換行列をインプラント座標系で定義されたターゲットポイントの位置座標に乗算して座標変換を行う。このように、ある座標系で示したある点の座標を他の座標系の座標で表すための座標変換方法は周知の技術であるので、説明の簡略化のために具体的な説明は省略する。
【0047】
ターゲット取得部341は、複数の切削ターゲットポイントの位置を取得する際に、切削経路の形態に応じて取得する切削ターゲットポイントの個数を異なるように決定することができる。
【0048】
図4は、本発明の実施形態に係るターゲット取得部341を介して切削ターゲットポイントの位置を取得する例を説明するための参考図である。
【0049】
図4を参照すると、図4の(a)は切削経路が直線らの組み合わせで構成される例が示されており、図4の(b)は曲線の形状で構成された例が示されている。
【0050】
ターゲット取得部341は、図4の(a)のように切削経路が直線または直線らの組み合わせで構成された場合には、1つの直線経路が始まる始点、該当直線経路が終端する終点で2つの点に対応する切削ターゲットポイントの位置を取得することができる。例えば、図4の(a)のように切削経路が5本の直線の組み合わせで構成される場合、ターゲット取得部341は1つの直線から他の直線に経路が切り替えられることに対応して各直線の始点と終点に該当するp1~p6の位置を取得することができる。このとき、切削経路を構成する直線が互いに繋がるので、p2、p3、p4、p5は、1つの直線の終点であると同時に繋がるさらに他の直線の始点に該当することが分かる。
【0051】
参考として、図4の(a)においては、複数の直線が互いに繋がる形態が例示されているが、切削経路は、分離された複数の直線形態、または分離された複数の直線の組み合わせなどで構成されることもできる。
【0052】
一方、図4の(b)のように切削経路が曲線の形態をとっているときには、ターゲット取得部341は、曲線の曲率、曲率の変化率、及び方向の切り替えに応じて曲線の始点と終点だけでなく直線経路よりさらに多くの個数の切削ターゲットポイントの位置を取得することができる。例えば、曲率や曲率の変化率が大きい場合、より多くの個数を取得できるように具現することができる。参考として、図4の(b)においては、p10~p23として14個の位置が取得された例を示している。
【0053】
ロボット位置算出部343は、手術用ロボット100を介した手術進行に対応して、ターゲット取得部341を介して取得された切削ターゲットポイント間での手術用ロボット100の現在の切削位置を算出する。ここで、手術用ロボット100の現在の切削位置は推定された位置になることができ、手術用ロボット100が手術ツールを介して現在の実際に切削する実際位置になることができる。
【0054】
すなわち、ロボット位置算出部343は、メモリ部330に格納された手術計画情報に応じた手術用ロボット100の切削速度、手術用ロボット100が切削を行った時間、ターゲット取得部341を介して取得した切削ターゲットポイントの間の距離を基に手術用ロボット100の現在の切削位置を推定することができる。例えば、手術用ロボット100の切削ツールがオンになって切削動作が開始された時間がt1であり、現在時間がt2である場合に、手術計画情報に応じた手術用ロボット100の切削速度がvであると仮定すると、手術用ロボット100が移動した距離は(t2-t1)×vとなる。これを基に複数の切削ターゲットポイントの間で手術用ロボット100の現在の切削位置がどこであるかを推定することができる。このとき、手術計画情報に応じた手術用ロボット100の切削速度が切削位置に応じて異なって計画された場合、当該切削位置に対応する計画された切削速度を適用して現在の切削位置を推定しなければならない。
【0055】
また、ロボット位置算出部343は、トラッキング装置200から受信した手術用ロボット100の位置に関する情報、手術前に行うロボットキャリブレーション、画像である仮想骨モデルとロボットの空間整合を基に手術用ロボット100の仮想骨モデル上の実際の位置を把握して現在の切削位置を算出することができる。
【0056】
ロボット位置算出部343は、前述した推定切削位置と実際切削位置の中のいずれか一方のみを算出することができるが、両方を算出することができる。
【0057】
手術の進行過程において手術用ロボット100の切削位置は時々変わるので、ロボット位置算出部343はリアルタイムで変わる現在の切削位置を算出して更新する。
【0058】
GUI提供部345は、手術の対象である骨の仮想骨モデル上に手術進行情報をグラフィックで生成する。すなわち、GUI提供部345は、ターゲット取得部341を介して取得された切削ターゲットポイントの位置と、ロボット位置算出部343を介して算出された手術用ロボット100の現在の切削位置と、を含む手術進行情報をグラフィックで生成する。生成された手術進行情報は、表示部320を介して仮想骨モデル上に重ねて表示される。GUI提供部345は、生成されたデータを表示部320に伝達するためのグラフィックカードを含むことができる。
【0059】
GUI提供部345は、ターゲット取得部341を介して取得した複数の切削ターゲットポイントにそれぞれ対応する図形、手術用ロボット100の切削順序に従い切削ターゲットポイントを互いに結んで形成される切削ライン(直線または曲線)、ロボット位置算出部343を介して算出された手術用ロボット100の現在の切削位置に対応する図形をグラフィックで生成する。手術用ロボット100の現在の切削位置を基に手術用ロボット100が既に通過した切削ラインと現在通過している切削ラインがグラフィックに区別するように生成することができる。例えば、すでに通過した切削ラインと現在の通過している切削ラインの色、透明度、ラインのちらつきの有無、ラインの種類などを異にすることができるだろう。
【0060】
また、ロボット位置算出部343が推定切削位置と実際切削位置とも算出する場合、2つの位置を表示するための形状、色等を異にして互いに区別されるように表示することにより、ユーザが2つの位置の距離差等を肉眼で識別して手術の進行状況を易くモニタリングすることができる。
【0061】
一方、GUI提供部345は、手術用ロボット100の動作のオン/オフ状態に対応して、表示部320を介した手術進行情報の表示可否及び表示態様を決定することができる。例えば、手術用ロボット100の切削のための手術ツールがオンになった場合には、手術進行情報が仮想骨モデル上に重ねて表示されるようにし、手術ツールがオフになった場合には手術進行情報が表示されないようにすることができる。また、手術ツールがオフになっても手術進行情報が表示され、灰色のように視認性が相対的に低い色で表示したり、透明度を高くして薄く見えるようにすることができる。
【0062】
表示部320には、GUI提供部345を介した手術進行情報だけでなく、手術ツールのオン/オフ情報、手術ツールに加わる負荷、手術用ロボット100の速度などの状態情報が一緒に表示されることができる。このとき、手術用ロボット100の速度は、手術計画に従った速度であり得て、または切削過程で検出される値を基にする実際の速度であり得る。
【0063】
ビュー切替部347は、手術用ロボット100によって切削が進む手術の対象である骨の部位に応じて、表示部320を介して表示される仮想骨モデルに対する視点(View)を切り替える。
【0064】
図5は、本発明の実施形態に係るビュー切替部347の動作を説明するための画面の一例である。図5の(a)のように手術用ロボット100が大腿骨のディスタルを切削するときに、該当部分がよく見えるようにディスタルの中心が画面の正面に位置するようにビューを設定し、図5の(b)のように大腿骨のアンティアリア(anterior)を切削するときに、アンティアリアの中心が画面の正面に位置するようにビューを切り替えることができる。
【0065】
ビュー切替部347は、キーボード、マウス等のようにユーザの入力を受けるユーザ入力部(図示せず)を介して現在の手術の対象である骨のどの部分の切削が行われているかに関するユーザの入力を受け、これを基にビュー切替を行うことができる。または、トラッキング装置200を介して追跡された手術用ロボット100の位置情報または手術用ロボット100から検出された情報を受信し、手術用ロボット100のロボットアームが手術の対象である骨に対していかなる方向または位置に移動するか、または手術ツールの方向転換状態を把握して自動的にビューを切り替えるように具現することができる。
【0066】
ビュー切替部347は、オイラー角(Euler Angle)、回転行列(Rotation Matrix)、ジンバルロック(Gimbal Lock)の問題を改善したクォータニオン(Quaternion)などを適用して仮想骨モデルを回転したり、ビューを変更することができる。このように、画面上に表示されるオブジェクトを回転処理したり、ビュー方向を変更することは公知の様々な演算により行うことができるので、説明の簡略化のために詳細な説明は省略する。
【0067】
また、ビュー切替部347は、ビュー切替とともに切削面の大きさ、仮想骨モデルの切削面上に表示される切削ターゲットポイントの個数に対応して、所定の倍率で仮想骨モデルを拡大または縮小させることができる。例えば、切削面の大きさが相対的に小さい場合、仮想骨モデルの大きさを拡大して大きく見えるように表示することができ、仮想骨モデルに重ねて表示すべき切削ターゲットポイントの個数が多い場合でも、ユーザが各切削ターゲットポイントを易く区別できるように、仮想骨モデルを拡大して表示できる。
【0068】
通知部349は、手術用ロボット100を介して手術計画情報に応じた切削経路から外れて切削が行われている場合、ユーザに通知を提供する。通知部349は、スピーカを含んで具現され、警告音等の音を介して通知を提供することができ、または表示部320を介してメッセージを表示することにより視覚的な表示で通知を提供することができる。
【0069】
通知部349は、トラッキング装置200から受信した手術用ロボット100の位置情報を基に、手術用ロボット100の実際の切削位置がロボット位置算出部343を介して推定された手術用ロボット100の現在の切削位置から予め決められた距離以上に離れた場合に通知を提供することができる。また、トラッキング装置200から受信した情報を基に算出された実際の切削位置が手術計画情報に応じた切削経路から予め決められた基準以上に外れた場合に通知を提供することもできる。
【0070】
以上の構成により、本発明に係る手術情報の提供装置300は、仮想骨モデル上に手術計画に従った切削経路情報と、手術用ロボット100の現在の切削位置、ロボット状態などの手術進行情報を表示することにより、ユーザーが手術の進行状況を認知し、手術の進行をモニタリングするように助ける。
【0071】
図6は本発明の実施形態に係る関節置換ロボット手術情報の提供方法を示すフローチャートである。以下、図6を参照して、上述した手術情報の提供装置300の構成の有機的な動作を説明する。前述の実施形態と重複する説明は省略する。
【0072】
図6を参照すると、本発明の実施形態に係る関節置換ロボット手術情報の提供方法は、手術前のプランニングを通じて作成された手術計画情報をメモリ部330に格納することを前提とする(ステップS10)。手術前のプランニングは、公知の様々なプランニングソフトウェアを使用して手術前に撮影した患者の医用画像を基づいて行うことができる。手術前のプランニングを通じて手術の対象である骨に設置されるインプラントの種類、形状、大きさ、インプラントの設置位置/方向/角度、該当インプラントを設置するために手術の対象である骨を切削する切削経路、切削する部分の骨密度に応じた切削速度などの手術計画情報が生成される。
【0073】
手術現場内に上述した関節置換ロボット手術システム1の構成が設けられると、公知の技術を適用してトラッキング装置200のビジョンセンサ基準座標系とロボットの基準座標系との相関関係を確立するためのロボットキャリブレーション作業、医用画像に基づいて計画された手術計画を実際の手術の対象である骨に適用するための医用画像と手術の対象である骨の整合、ロボットの位置/姿勢とロボットマーカの位置/姿勢との相関関係を確立するためのロボットの整合などが行わって、手術計画に従ってロボット手術が開始される。
【0074】
ロボット手術が開始されると、ターゲット取得部341は、格納された手術計画情報を基に切削経路を構成する複数の切削ターゲットポイントの位置を取得する(ステップS11)。このとき、手術計画情報に応じた切削経路は、インプラント座標系を基準として定義されるので、これを仮想骨モデル上に表示するためには、インプラント座標系に従った位置座標値を仮想骨モデル座標系に従った位置座標値に座標変換する処理が行わなければならない。一方、ターゲット取得部341が複数の切削ターゲットポイントの位置を取得する際に、切削経路の形状乃至形態に応じて取得する切削ターゲットポイントの個数を異に決定することができる。
【0075】
続いて、ロボット位置算出部343は、手術用ロボットを介した手術の進行に対応して、切削ターゲットポイントの間での手術用ロボット100の現在の切削位置を算出する(ステップS13)。ここで、現在の切削位置は、手術用ロボット10の切削動作時間、手術計画に従った切削速度を基に推定された推定位置であるか、またはトラッキング装置200によって追跡された手術用ロボット100の位置情報を基に算出された仮想骨モデル上の実際の位置であり得る。
【0076】
次に、GUI提供部345は、前記ステップで得られたデータを基に手術進行情報を示すグラフィックを生成する(ステップS15)。このとき、手術の対象である骨に対応する仮想骨モデル上にターゲット取得部341を介して取得した複数の切削ターゲットポイントにそれぞれ対応する図形、手術用ロボット100の切削順序に従い切削ターゲットポイントを互いに結んで形成される切削ライン(直線または曲線)、ロボット位置算出部343を介して算出された手術用ロボット100の現在の切削位置に対応する図形をグラフィックで生成することができる。
【0077】
表示部320は、GUI提供部345からグラフィックで生成された手術進行情報及び手術用ロボット100で検出された状態情報を仮想骨モデル上に表示する(ステップS17)。
【0078】
図7乃至図10は、本発明の実施形態に係る表示部320に表示される画面の一例である。
【0079】
図7図8を参照すると、手術用ロボット100の手術ツールがオンになった状態で、手術用ロボット100が大腿骨のディスタル部分を切削するときに表示される画面を示す。参考として、図8は、図7に示したものに比べて切削がさらに進んだ状態を示している。
【0080】
手術用ロボット100の現在の切削位置Cは球状で示されており、複数の切削ターゲットポイントPは現在の切削位置Cよりも大きさが相対的に小さい球状で示された例を示す。しかし、これは表示の一例であり、球状以外の様々な形状、大きさ、色で表現できる。例えば、現在の切削位置Cを表す球状は赤色、切削ターゲットポイントPに対応する球状は黄色に色を異にすることにより、これらを互いに区別するように表現することができる。
【0081】
また、図7及び図8を参照すると、手術用ロボット100が既に通過した切削ラインLpは黄色で、現在の通過している切削ラインLcは赤色などで色を異に表示したり、彩度、明度、線の太さなどを互いに区別するように表示することにより、ユーザが現在の切削が進んでいる部分を直観的に把握できるように助ける。
【0082】
一方、最初から手術計画に従った切削経路全体に対する複数の切削ターゲットポイントPと切削ラインLとも表示することもできるが、図7及び図8に示すように、手術用ロボット100の切削進行に合わせて順次に切削ターゲットポイントPと切削ラインLが表示されるように具現されることができ。
【0083】
切削が進むにつれて手術用ロボット100の切削位置が変化し続けるので、表示部320にはこの切削位置の変更を反映して現在の切削位置Cが切削ラインLに沿ってリアルタイムで動く動画のように表示される。
【0084】
一方、画面の左上端にはCutting:0nが表示され、手術用ロボット100の手術ツールがオンになった状態を示しており、左下端には手術ツールにかかる負荷がN単位で、切削速度がmm/s単位で一緒に表示されている。このとき、切削速度は、手術計画情報に応じた計画速度または実際の切削速度であり得ることは上述した通りである。
【0085】
図9は、手術用ロボット100の手術ツールの動作がオフの状態で表示される画面を示す。図9を参照すると、左上端にオフの状態情報のみが表示され、その他の状態情報や手術進行情報は表示されないことが確認できる。これは一例であり、前述のように前記情報を表示して、色や透明度などを異にしてオンの時とオフの時を区別するように表示することもできる。
【0086】
図10は、手術用ロボット10が大腿骨のアンティアリア部分を切削するときに表示される画面を示す。図10を参照すると、現在の切削位置C、切削ラインL、複数の切削ターゲットポイントP、手術用ロボットの状態情報が表示されているのは同じである。ただし、ディスタル部分を切削している状態を示している図7図8と比較するときに、アンティアリア部分が画面によく見えるようにビューポイントの始点が変更されて表示されたことを確認することができる。
【0087】
このように、ビュー切替部347は、手術用ロボット100が特定部位の切削を終了し、他の部位に対する切削を開始した場合、既存に表示された手術進行情報を削除して、他の始点にビューを切り替えることができる。
【0088】
一方、図6を参照して説明した方法の各のステップは、必要に応じて適宜に追加または変更することができる。例えば、切削が進む過程において手術用ロボット100の実際の切削位置が推定された手術用ロボット100の現在の切削位置から予め決められた距離以上に離れた場合や、手術用ロボット100の実際の切削位置が手術計画情報に応じた切削経路から予め決められた距離以上に離れた場合、通知部349が通知を提供するステップをさらに追加することができる。
【0089】
上述したように、本発明に係る関節置換ロボット手術情報の提供装置300及び提供方法によると、手術前に計画された切削経路と現在の手術用ロボット100が切削経路上のどの位置を通過しているかに関する手術進行情報及び手術用ロボット100の状態情報をユーザに提供することにより、ユーザが手術の進行状況を認知し、手術の進行をモニタリングするように助ける。
【0090】
前記説明した実施形態は、ハードウェアの構成要素、ソフトウェアの構成要素、及び/またはハードウェアの構成要素及びソフトウェアの構成要素の組み合わせで具現することができる。例えば、実施形態において説明した装置、方法、及び構成要素は、例えば、プロセッサ、コントローラ、アリスメティック論理ユニット(ALU、arithmetic logic unit)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor)、マイクロコンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA、field programmable gate array)、プログラマブルロジックユニット(PLU、programmable logic unit)、マイクロプロセッサ、または命令を実行及び応答することができる他の任意の装置などのように、1つ以上の汎用コンピュータまたは特殊目的のコンピュータを使用して具現することができる。処理装置は、オペレーティングシステム(OS)及び前記オペレーティングシステム上で行われる1つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行することができる。さらに、処理装置は、ソフトウェアの実行に応答して、データにアクセス、格納、操作、処理及び生成することができる。理解の便宜のために、処理装置は1つが使用されるものとして説明されている場合もあるが、当該技術分野で通常の知識を有する者は、処理装置が複数の処理要素及び/又は複数タイプの処理要素を含めることができる。例えば、処理装置は、複数のプロセッサまたは1つのプロセッサ及び1つのコントローラを含むことができる。さらに、パラレルプロセッサ(parallel processor)のような他の処理構成も可能である。
【0091】
ソフトウェアは、コンピュータプログラム、コード、命令、またはこれらの中の1つ以上の組み合わせを含むことができ、好きなように動作するように処理装置を構成するか、独立にまたは結合的に処理装置を命令することができる。ソフトウェア及び/またはデータは、処理装置によって解釈または処理装置に命令またはデータを提供するために、いかなる種類の機械、構成要素、物理装置、仮想装置(virtual equipment)、コンピュータ記憶媒体または装置、または伝送される信号波に永久的にまたは一時的に具体化することができる。ソフトウェアはネットワーク接続されたコンピュータシステム上に分散され、分散された方法で格納または実行することができる。ソフトウェア及びデータは、1つ以上のコンピュータ可読可能記録媒体に格納することができる。
【0092】
実施形態に係る方法は、様々なコンピュータ手段を介して実行され得るプログラム命令の形態で具現され、コンピュータ読出可能媒体に記録され得る。コンピュータ読出可能媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独でまたは組み合わせて含むことができる。コンピュータ読出可能媒体に記録されるプログラム命令は、実施形態のために特別に設計及び構成されたものであるし、コンピュータソフトウェア当業者に公知されて使用可能なものであり得る。コンピュータ読出可能媒体の例には、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープのような磁気媒体(magnetic media)、CD-ROM、DVDのような光記録媒体(optical media)、フロプティカルディスク(floptical disk)のような磁気光学媒体(magneto-optical media)、及びロム(ROM)、ラム(RAM)、フラッシュメモリなどのプログラム命令を格納して実行するように特別に構成されたハードウェア装置を含む。プログラム命令の例には、コンパイラによって作成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを使用してコンピュータによって実行することができる高級言語コードを含む。前記のハードウェア装置は、実施形態の動作を行うために1つ以上のソフトウェアモジュールとして動作するように構成することができ、その逆も同様である。
【0093】
以上のように限定された図面によって実施形態が説明されたが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば前記の記載から様々な修正及び変形が可能である。例えば、記載された技術は、説明された方法とは異なる順序で行われたり、及び/または説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要が説明された方法とは異なる形態で結合または組み合わせられたり、他の構成要素または均等物によって置換されても、適切な結果を達成することができる。したがって、他の具現、他の実施形態、及び特許請求の範囲と均等のものも後述する特許請求の範囲に属する。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
手術の対象である骨の切削経路を含めて手術前に設定された手術計画情報を格納するメモリ部と、
前記手術計画情報を基に前記切削経路を構成する複数の切削ターゲットポイントの位置を取得するターゲット取得部と、
手術用ロボットを介した手術の進行に対応して、前記切削ターゲットポイントの間での前記手術用ロボットの現在の切削位置を算出するロボット位置算出部と、
手術の対象である骨に対応する仮想骨モデル上に前記切削ターゲットポイントの位置と、前記手術用ロボットの現在の切削位置と、を含む手術進行情報をグラフィックで生成するGUI提供部と、
前記仮想骨モデルと前記手術進行情報を表示する表示部と、を含むことを特徴とする関節置換ロボット手術情報の提供装置。
[付記2]
前記手術用ロボットによって切削が進む前記手術の対象である骨の部位に応じて前記表示部を介して表示される前記仮想骨モデルに対する視点(View)を切り替えるビュー切替部をさらに含むことを特徴とする付記1に記載の関節置換ロボット手術情報の提供装置。
[付記3]
前記ターゲット取得部は、
前記手術の対象である骨に置換されるインプラントを基準とした第1の座標系に従った前記切削ターゲットポイントの位置を、前記仮想骨モデルを基準とした第2の座標系に従った位置に座標変換を行うことを特徴とする付記1に記載の関節置換ロボット手術情報の提供装置。
[付記4]
前記ロボット位置算出部は、
前記手術計画情報に応じた前記手術用ロボットの切削速度と前記切削ターゲットポイントとの間の距離を基に前記手術用ロボットの現在の切削位置を推定することを特徴とする付記1に記載の関節置換ロボット手術情報の提供装置。
[付記5]
前記手術用ロボットの位置を追跡するトラッキング装置から受信した情報に基づいて、前記手術用ロボットの実際の切削位置が推定された前記手術用ロボットの現在の切削位置から予め決められた距離以上に離れた場合に通知を提供する通知部をさらに含むことを特徴とする付記4に記載の関節置換ロボット手術情報の提供装置。
[付記6]
前記ロボット位置算出部は、
前記手術用ロボットの位置を追跡するトラッキング装置から受信した情報を基に前記手術用ロボットの現在の切削位置を算出することを特徴とする付記1に記載の関節置換ロボット手術情報の提供装置。
[付記7]
前記手術用ロボットから前記手術用ロボットの状態情報を受信する信号受信部をさらに含み、
前記表示部は、前記手術用ロボットの状態情報を表示することを特徴とする付記1に記載の関節置換ロボット手術情報の提供装置。
[付記8]
前記GUI提供部は、
前記手術用ロボットの動作のオン/オフ状態に対応して、前記表示部を介した前記手術進行情報の表示の可否を決定することを特徴とする付記1に記載の関節置換ロボット手術情報の提供装置。
[付記9]
前記GUI提供部は、
複数の前記切削ターゲットポイントにそれぞれ対応する図形、前記切削ターゲットポイントを結んで形成される切削ライン、及び前記手術用ロボットの現在の切削位置に対応する図形を生成することを特徴とする付記1に記載の関節置換ロボット手術情報の提供装置。
[付記10]
前記GUI提供部は、
前記切削ターゲットポイントを結んで形成される切削ラインをグラフィックで生成して、前記ロボット位置算出部を介して算出された前記手術用ロボットの現在の切削位置を基に前記手術用ロボットが既に通過した前記切削ラインと現在の通過している前記切削ラインが互いに区別されるように生成することを特徴とする付記1に記載の関節置換ロボット手術情報の提供装置。
[付記11]
各ステップが関節置換ロボット手術情報を提供する関節置換ロボット手術情報の提供装置を介して行われる関節置換ロボット手術情報の提供方法において、
手術の対象である骨の切削経路を含めて手術前に設定された手術計画情報を 格納するステップと、
前記手術計画情報を基に前記切削経路を構成する複数の切削ターゲットポイントの位置を取得するステップと、
手術用ロボットを介した手術の進行に対応して、前記切削ターゲットポイントの間での前記手術用ロボットの現在の切削位置を算出するステップと、
手術の対象である骨に対応する仮想骨モデル上に前記切削ターゲットポイントの位置と、前記手術用ロボットの現在の切削位置と、を含む手術進行情報をグラフィックで生成するステップと,
前記仮想骨モデルと前記手術進行情報を表示部に表示するステップと,を含むことを特徴とする関節置換ロボット手術情報の提供方法。
[付記12]
前記手術用ロボットによって切削が進む前記手術の対象である骨の部位に応じて前記表示部を介して表示される前記仮想骨モデルに対する視点(View)を切り替えるステップをさらに含むことを特徴とする付記11に記載の関節置換ロボット手術情報の提供方法。
[付記13]
前記手術用ロボットの現在の切削位置を算出するステップは、
前記手術計画情報に応じた前記手術用ロボットの切削速度と前記切削ターゲットポイントとの間の距離を基に前記手術用ロボットの現在の切削位置を推定することを特徴とする付記11に記載の関節置換ロボット手術情報の提供方法。
[付記14]
前記手術進行情報をグラフィックで生成するステップは、
複数の前記切削ターゲットポイントにそれぞれ対応する図形、前記切削ターゲットポイントを結んで形成される切削ライン、及び前記手術用ロボットの現在の切削位置に対応する図形を生成することを特徴とする付記11に記載の関節置換ロボット手術情報の提供方法。
[付記15]
前記手術進行情報をグラフィックで生成するステップは、
前記切削ターゲットポイントを結んで形成される切削ラインをグラフィックで生成して、前記手術用ロボットの現在の切削位置を基に前記手術用ロボットが既に通過した前記切削ラインと現在の通過している前記切削ラインが互いに区別されるように生成することを特徴とする付記11に記載の関節置換ロボット手術情報の提供方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10