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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】自動生物サンプル抽出システム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240826BHJP
   C12M 1/26 20060101ALI20240826BHJP
   C12N 15/10 20060101ALI20240826BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20240826BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20240826BHJP
   G01N 35/04 20060101ALI20240826BHJP
   G01N 35/10 20060101ALI20240826BHJP
   C12Q 1/6806 20180101ALN20240826BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/26
C12N15/10 114Z
G01N1/10 F
G01N1/00 101H
G01N1/00 101K
G01N35/04 G
G01N35/10 C
C12Q1/6806 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022551792
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 CA2020050258
(87)【国際公開番号】W WO2021168530
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】522339651
【氏名又は名称】モラーレイ リサーチ インク.
【氏名又は名称原語表記】MOLARRAY RESEARCH INC.
【住所又は居所原語表記】30 West Beaver Creek Road,Unit 3&4 Richmond Hill,Ontario L4B 3K1 CANADA
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン ユアンジ
(72)【発明者】
【氏名】リウ ゾンホア
(72)【発明者】
【氏名】エヌジー カイオン
【審査官】大久保 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-192766(JP,A)
【文献】特表2013-512437(JP,A)
【文献】特開2003-072916(JP,A)
【文献】国際公開第2011/108177(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0088831(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連の生物サンプルからの自動生物サンプル抽出システムであって、
a)第1の側面と第2の側面を有する水平台によって頂部と底部に分かれる直立フレームと、
b)前記底部に取り付けられ、一組の消耗品の複数の保存された箱を保存する、前記水平台に対して垂直な垂直軸を中心に回転可能な回転保存システムと、
c)一組の消耗品の一員として、サンプルを調製および抽出するための一組の反応管と、
d)前記頂部に取り付けられ、回転保存システムの上方に位置し、
i)サンプル管を受け取るためのサンプル管ラック、
ii)前記サンプル管ラックの隣にある第一位置に位置する、サンプルの移動を最小限にし、反応管を受け取るための反応管ラック、
iii)廃棄物を処分するための廃棄物ホール、および
iv)前記一組の消耗品の複数の箱を受け取って収納するサイズの複数のハウジングを有する回転テーブルと、
e)各保存された箱を前記回転保存システムから前記回転テーブルに移す垂直運動を有する箱リフトロボットであり、それによって前記回転保存システムが回転して前記箱リフトロボットが拾えるように各保存された箱を降ろし、そして回転して前記回転テーブルを降ろして前記リフトロボットから各保存された箱を受け取る箱リフトロボットと、
f)サンプル管をサンプル管ラックから前記回転テーブルにおける輸送ユニットに移すため、反応管を前記サンプル管の隣にある前記輸送ユニットに移すため、最低限の移動および減少された汚染リスクで前記反応管におけるサンプルと消耗品を混合するためのサンプルロボットと、
g)頂部に取り付けられ、独立したシェーカーおよび複数の磁石ラックを有し、ここで、各シェーカーは各反応管を受け取るのに適し、そして各シェーカーは振とう機構で単独で機能することができる、サンプル抽出ユニットと、
h)前記回転テーブルが回転して前記反応管を前記第一位置から第二位置に移動した後、反応管を前記回転テーブルから前記サンプル抽出ユニットに移すための反応ロボットであり、ここで、第二位置は、サンプル移動が最小限になり、汚染リスクが減少するように、前記反応管と前記サンプル抽出ユニットの間の最短距離で、さらに前記一組の消耗品を移す反応ロボットとを含み、
それによって、前記抽出システムが小さい占有面積を有し、前記一組の消耗品の移動が最小限であることで、前記抽出プロセスにおける潜在の汚染が減少する、抽出システム。
【請求項2】
さらに、前記頂部に取り付けられ、低温の環境で保存する必要がある複数の消耗品を保存するためのクーラーを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
さらに、前記底部に取り付けられた廃棄物ユニットを有し、汚染を防止するために、前記水平台によって前記サンプル抽出ユニットと前記廃棄物ユニットが隔てられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
さらに、一組のサンプルが時系列に沿って順番に処理され、サンプルの処理がいつ開始しても、一定の処理の所要時間を維持する、シリアルパターンでサンプルを同期化および処理するプログラム可能な制御システムを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記一組の消耗品は、一組のサンプル、緩衝液、長ピペットチップ、中ピペットチップおよび短ピペットチップ、ならびに一組の反応管を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記サンプル抽出ユニットは、複数の磁気ラックに取り付けられた複数の独立したシェーカーを含み、ここで、各シェーカーは前記反応管を受け取るのに適し、そして振とう機構で単独で機能することができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
各シェーカーは軌道振とうを組み込む振とうモーターを有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記磁気ラックはX軸とY軸を中心に移動可能で、前記シェーカーの運動が制御できるように一組の磁気ギアを有し、
前記X軸は、前記水平台の平面方向、前記Y軸は前記X軸に対し垂直な方向である、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記磁気ギアは一組の回転軸に取り付けられている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
各磁気ラックはL字状磁石を有し、L字状磁石に対して一組の所定の距離でシェーカーにおいて各反応管を受け取ることで、各反応管に作用する磁界強度を変える、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記サンプル抽出ユニットは前記シェーカーを所定の位置まで推す線形運動シェーカープッシャーを有し、ここで、前記反応管は前記L字状磁石から磁気ビーズに対する磁石の効果が小さい第一距離で、前記L字状磁石から前記磁気ビーズに対する磁石の効果が中等の第二距離で、前記L字状磁石から前記磁気ビーズに対する磁石の効果が大きい第三距離で位置してもよい、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数の磁石ラックは互いに平行して取り付けられ、そして水平面において移動可能である、請求項6に記載のシステム。
【請求項13】
前記サンプルロボットおよび前記反応ロボットは前記サンプル管を拾い、そして移す電気治具を装備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記反応ロボットの治具は垂直の方向に移動可能で、前記反応管に挿入して前記反応管を掴み、そして移すロッド治具を有する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記サンプルロボットの第一電気治具は第一ロボットレール上で移動可能な第一治具アームに取り付けられ、前記レールは前記回転保存システムおよび前記回転テーブルに対する移動のために前記直立フレームに固定されている、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基本的に、大量分析処理システムと技術のための自動サンプル抽出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
分析処理システムのサンプルの調製と抽出は、実質的に無菌環境における複数の生物サンプルに対する操作と処理に関する。汚染されないままサンプルを処理することが重要で、そうでないと、結果が不正確になり、影響を受け、そして後の分析処理およびテストにおける偽陽性につながる。
【0003】
生物サンプルは、大量分析処理システム、たとえば、ポリメラーゼ連鎖反応「PCR」システムのために調製されたものでもよい。「PCR」は、分子生物学で使用される技術で、一つの核酸、たとえば、デオキシリボ核酸「DNA」またはリボ核酸「RNA」の一つまたは複数のコピーを数オーダーで増幅させ、数千から数百万の特定の配列のコピーを生成させるためのものである。
【0004】
「PCR」は、典型的に、核酸の注目の断片を増幅するためのものと考えられ、遺伝性疾患の診断とモニタリング、標的断片の機能の研究、個体の同定の法医学的研究およびほかの関連用途に有用である。
【0005】
好適なシステムによって調製されるサンプルが利用できる分析処理システムのもう一例は酵素結合免疫吸着測定(ELISA)で、抗原または抗体を検出するもので免疫学および毒理学に使用される。生物サンプルの純度は分析処理システムにとってその後の分析処理システムにおいて正確な結果を得るのに重要である。分析処理システム(たとえばPCRやELISA酵素結合免疫吸着測定)のためにサインプルを調製する際の課題の一つは、サンプルの調製中に増幅容器を開けると、調製プロセスは汚染される恐れがあることである。また、サンプルの移動中および蓋を取った時、こぼれたり、液滴および/またはエアロゾルになったりすると、汚染につながる可能性がある。システムからのピペットの導入中または取り出し中、開いているサンプル容器の上方における汚染されたピペットの移動により、交叉汚染が生じることもある。このような汚染はすぐに間違った結果または誤ったか不正確な測定結果につながる。このような汚染は防止しなくてはならない。
【0006】
サンプル同士および周囲の環境からの汚染を抑えるのに、通常、サンプルの調製、増幅および検出エリアの間の物理的分離が行われる。このような措置は非常に煩雑で、高価で、かつ材料がこれらの隔離エリアの間で実験室用コート、手袋、ピペットまたは実験室用設備に移らないように厳格なトレーニングが必要である。
【0007】
生物材料処理システムは、移動可能なフレームに取り付けられた複数の単独のピペットを有する移動ピペットアセンブリを含み、当該フレームはサンプル管を含み、当該サンプル管は好ましくは生物材料、たとえば全血、血清またはほかの核酸を増幅させるための生物材料が仕込まれている。サンプル管の上方においてロボットフレームが移動、起動、停止または振動する時、サンプル管の上方におけるピペットアセンブリの多くの停止と起動は、通常、ピペットがサンプル管におけるサンプルと接触した後、サンプルトレイにおけるすべてのサンプルの幅広い潜在的な汚染につながることで、交叉汚染や高価で精確な試験の失敗の恐れが生じる。
【0008】
サンプルトレイの上方における潜在的な振動負荷のある、汚染されたピペットの移動、停止および起動の時に生じる交叉汚染のリスクを減少または解消するサンプル処理システムの設計が切望されている。また、サンプル管は、サンプル管におけるサンプルおよびほかの材料、たとえば緩衝液が頂部の開口を通して出入りする必要があり、これはさらに潜在の汚染問題を生じさせる。
【0009】
多くのサンプルを処理する方法は、振とう、加熱、磁気ビーズ-目的化合物複合体への磁場の付与や廃液の排出などの工程を含む。従来、これらの工程は独立して離れたステーションで、たとえば、シェーカー、磁気分離装置、ヒーターや廃棄物容器によって実施される。
【0010】
上記従来の振とう、加熱、磁気ビーズ分離および廃液排出の過程は離れたステーションおよびワークベンチにおける余分の空間が必要である。これらの離れたステーションの利用はサンプルの手動的な処理および一つのステーションから別のステーションへの移動が必要で、これは時間もかかるし、サンプル同士の交叉汚染の可能性を生じさせる。そのため、これらの課題を解決する必要がある。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、基本的に、生物試料から目的化合物を分離および抽出するための自動システムに関する。特に、本発明は、多くの分析処理システムと技術、たとえばPCRのためのサンプル調製に有用な自動サンプル抽出システムである。
【0012】
当該システムは、連続的にサンプルを処理するようにされたユニットを含むため、サンプルの処理がいつ開始しても、各サンプルの処理の所要時間が一定になる。本発明は、一連のサンプルが時系列に沿って順番に処理されるシリアルパターンによってサンプルを処理する。自動的な核酸抽出が実現できるように、主なユニットがコンピューターによって制御されている。
【0013】
当該システムは、保存ユニット、サンプル調製ユニット、サンプル抽出ユニット、廃棄物ユニットおよび反応管ユニットといった五つの異なるユニットを含む。すべての装置は、処理中のサンプルの移動が最小限になり、汚染のリスクが減少するようにされている。
【0014】
反応管ユニットは特別に設計された反応管で、サンプル抽出のための上部と上部から廃液を受け取る下部を有する。前記二つの部分はバルブによって隔てられている。
【0015】
前記保存ユニットは容易にアクセスできる消耗品の箱を保存する。前記保存ユニットは、さらに、サンプル管および磁気ビーズの箱を保存する。前記磁気ビーズはクーラーにおいて保存される。
【0016】
前記サンプル調製ユニットは、輸送ユニットを有する回転テーブルを含み、当該輸送ユニットはサンプル管を受け取るサンプル管ラックおよび隣接する反応管を受け取る反応管ラックを含む。前記回転テーブルは、すぐにアクセスできるように、消耗品および反応管の箱を収納してもよい。前記サンプル調製ユニットは、さらに、サンプル管を収納するサンプル管ラックを有する。前記サンプルのラックは回転テーブルの一方の側に位置する。前記回転テーブルは前記サンプルラックが輸送ユニットにおける前記サンプル管ラックの隣になるように回転すると、前記サンプル管が輸送される。これによってサンプルの移動が最小限になる。前記サンプル調製ユニットは、さらに、磁気ビーズを収納するクーラーを含む。
【0017】
前記回転テーブルの近くに位置する前記サンプル調製ユニットは、反応管を受け取って振とうさせるためのシェーカーセット、および前記反応管における前記磁気ビーズを操作するための磁石を持つ磁石ラックセットを含む。
【0018】
前記廃棄ユニットは、消耗品の廃棄、廃液および管の廃棄のための独立したビンを含む。
【0019】
前記サンプル調製ユニットは、汚染のリスクを減少するために、サンプルの移動が最小限になるように設計されている。サンプルは、抽出過程のために、サンプル管から反応管に移す必要がある。サンプルの移動を最小限にするために、回転テーブルにおいてサンプル管ラックと反応管ラックが隣接するように配置されている。前記サンプルロボットはサンプル管をサンプル管箱をサンプル管ラックに移し、同時に反応管を反応管ラックにおける反応管箱から移す。次に、サンプルロボットは溶液、たとえば分解緩衝液を添加することによって前記反応管における前記サンプルを調製する。
【0020】
前記反応管における前記サンプルが調製されると、前記回転テーブルは前記反応管とともに反応管ラックが前記サンプル抽出ユニットに近づくように回転する。
【0021】
反応ロボットが反応管を前記回転テーブルから掴み取って前記サンプル抽出ユニットにおけるシェーカーに移す。前記抽出ユニットは、独立したシェーカーおよび独立した磁気ユニットを含む。反応管を持つ各シェーカーは、磁石の強度および前記反応管における磁気ビーズの位置が変わるように、磁気ユニットから異なる距離で位置づけされてもよい。
【0022】
まず、前記反応管を磁気効果が小さい位置に置き、そして振とうさせる。次に、磁気ビーズおよび結合緩衝液を溶液に添加し、さらに前記反応管を振とうさせる。
【0023】
その後、前記反応管をL字状の磁石の垂直レグの間に位置するように第二の位置に移す。前記磁石は前記磁気ビーズを管壁に吸引する。前記廃液バルブが開くと、廃液が反応管の第二の区画に排出される。前記バルブが閉まると、洗浄緩衝液が添加され、前記管が振とうされる。その後、前記シェーカーを磁石の近くに戻して磁石を前記管壁に固定させ、同時にバルブを開けて廃液を第二の区画に排出する。サンプルの要求に応じ、当該プロセスは複数回(二回またはそれ以上)繰り返すことによって不純物を除去してもよい。
【0024】
前記サンプルを精製した後、溶離緩衝液を前記反応管における前記サンプルに添加して反応管を振とうさせることによってサンプルと磁気ビーズを分離させる。その後、反応管を第三の位置に移し、当該位置において前記磁気ビーズが完全に管の頂部に吸着することで、ピペットでサンプルを取り出すことができるようになる。前記反応ロボットはピペットを掴み、精製されたサンプルを前記反応管から取り出し、蓋付き精製サンプル管に入れて保存する。
【0025】
これらのユニットのいずれもフレームに組み込むと、サンプル調製システムの占有スペースを減少し、そして比較的に長い距離で関連部品を輸送する必要を減少することで、潜在の汚染を減少することができる。
【0026】
そのため、本発明の一つの目的は、汚染リスクを減少および解消する生物サンプル抽出システムと方法を提供することである。
【0027】
本発明のもう一つの目的は、一連のサンプルが時系列に沿って順番に処理されるシリアルパターンによってサンプルを処理することである。
【0028】
本発明のもう一つの目的は、最低限の手動操作および短い操作時間で毎日の大量の生物サンプルを処理する、全自動サンプル抽出を提供する。
【0029】
本発明のもう一つの目的は、ピペットおよび液体の移動時間を減少することによって交叉汚染を減少するシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
添えられた図面を合わせて後記の実施例を説明することで、これらの図面は請求の範囲を制限するものではなく、説明のために提供されたもので、ここで、同様の表記は同様の要素を表す。
【0031】
図1図1は、本発明の生物サンプル抽出システムの正面透視図である。
図2図2は、本発明の生物サンプル抽出システムの正面面である。
図3図3は、本発明の生物サンプル抽出システムの左側立体図である。
図4図4は、本発明の生物サンプル抽出システムの平面図である。
図5図5は、本発明の回転テーブルの立体図である。
図6A図6Aは、本発明のシェーカーおよび反応管の正面立体図である。
図6B図6Bは、本発明の反応管の正面立体図である。
図7図7は、本発明のシェーカープッシャーシステムと関連するサンプル抽出ユニットシステムの正面面である。
図8図8は、本発明のサンプル抽出ユニットの側面図である。
図9図9は、本発明のサンプル抽出ユニットの平面図である。
図10A図10Aは、本発明の反応管を示す。
図10B図10Bは、本発明の反応管を示す。
図10C図10Cは、本発明の反応管を示す。
図10D図10Dは、本発明の反応管を示す。
図11図11は、位置1における反応管を示す、本発明のL字状磁石ラックの立体図である。
図12図12は、位置2における反応管を示す、L字状磁石ラックの立体図で表す。
図13図13は、位置3における反応管を示す、L字状磁石ラックの立体図である。
図14図14は、本発明の処理システムの立体図である。
図15A図15Aは、システムのシェーカープッシャーの側面図である。
図15B図15Bは、システムのシェーカープッシャーの平面図である。
図16図16は、本発明のロボットシステムの立体図である。
図17図17は、本発明のロボットシステムを示す正面図である。
図18図18は、本発明のロボットシステムの正面図である。
図19図19は、本発明のロボットシステムの平面図ある。
図20A図20Aは、システムにおける核酸抽出の過程を示す。
図20B図20Bは、システムにおける核酸抽出の過程を示す。
図20C図20Cは、システムにおける核酸抽出の過程を示す。
図21図21は、図11、12および13によるシェーカーの位置1、2および3における反応管中の磁気ビーズの反応を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1~5に示すように、自動サンプル抽出システム100は、多くの分析処理システムと技術のためのサンプル調製に有用である。システム100は、コンピューターによる制御で自動サンプル抽出を実現させる、複数のユニットを含む。システム100は、一連のサンプルが時系列に沿って順番に処理されるシリアルパターンによってサンプルを処理することができる。
【0033】
システム100は、水平台11を有するフレーム10を含み、当該台によって前記フレームが頂部12と底部13に分かれている。フレーム10は、好ましくは、比較的に硬くて強く、消毒できる材料で構成され、当該材料は組み立てて構造的にシステム100の各ユニットを支持してシステム100を操作することができる。フレーム10は、たとえば、システム100とともに使用するための生物的適応性があって消毒可能なステンレススチールで構成されてもよい。システム100は、前記フレームのハウジングに位置し、前記フレーム10で支持され、かつ全自動サンプル抽出システムを操作できるように移動可能な複数のユニットを含む。
【0034】
保存ユニット:前記システムは、保存ユニットを含み、当該保存ユニットはフレーム10の左側に近い底部13に取り付けられた回転ストレージ20を含む。回転ストレージ20は複数の移動可能なトレイ、好ましくは8つのトレイ21を含み、これらは垂直に組み立てられ、一つのトレイ21は複数のハウジング、好ましくは5つの消耗品箱を受け取る5つのハウジングを含む。前記機械の操縦者は前記トレイ21を外して箱22をロードすることができる。前記箱22は、サンプルおよび抽出プロセスのための付加要素を含む。前記回転ストレージエリア20は、抽出プロセスのための消耗品の大量の箱、たとえば合計40の箱を保存し、Z軸を中心に回転することができる。前記回転ストレージエリア20は、好ましくは、反応管箱、緩衝液箱、溶離管箱および各種のピペットチップ箱を含む消耗品の複数のストレージを含むように配置され、これらは回転ストレージエリア20に保存されて取り換えのための箱リフトロボット30によって輸送される。前記回転ストレージ20は容易にアクセスできるように大量の消耗品を収納することができる。例えば、16の反応管箱、2つの緩衝液箱、2つの溶離管箱、12の(1 mL)ピペットチップ箱、4つの(175μL)ピペットチップ箱および4つの(25μL)ピペットチップ箱。
【0035】
図4に示すように、前記保存ユニットは、さらに、前記サンプル管1が前記システムに位置するレール付きプレートを含むフレームの左側における頂部12に取り付けられたサンプルラック50を含む。サンプル管1は機械または操縦者によって手動的にまたは自動的にサンプルラック50にロードされる。
【0036】
保存ユニットは、さらに、低温、たとえば4℃の環境において保存する必要がある消耗品を保存するクーラー90を有する。たとえば、磁気ビーズ溶液は保存用クーラーに置かれ、そして後で反応管201に移される。クーラー90は、任意の種類の得られるクーラー、好ましくは熱電クーラーでもよい。クーラー90の機能は、溶液を機能できるように4-8℃の間に保存することである。
【0037】
前記箱リフトロボット30は箱22を前記回転ストレージ20から前記フレームの頂部12における回転テーブルに運ぶ。前記箱リフトロボット30は、前記箱リフト30の2つの軸(XとZ)の直形運動が可能なように、底部13のレーリングに取り付けられた垂直運動ロボットである。前記箱リフトロボット30は、開口31を通じて頂部12に延伸して所望の位置に移動することができ、当該位置において消耗品箱22が掴み取られて回転ストレージ20から頂部12における回転テーブル40にリフトされる。
【0038】
サンプル調製ユニットは、回転テーブル40を含む。サンプル調製ユニットの回転テーブル40は、複数のハウジング、好ましくは6つのハウジングを含み、抽出プロセスのための前記消耗品箱22を受け取るサイズにされている。前記回転テーブル40は、前記フレームの頂部12における水平台11に回転可能に取り付けられる。前記回転テーブル40は、軸を中心に回転し、そして消耗品箱22を受け取るように箱リフト30の前の所定の位置に停止することができる。前記回転テーブル40の各ハウジングは、長ピペットチップ42、中ピペットチップ43および短ピペットチップ44を含む、各種のピペットチップ箱を含んでもよい。ほかの消耗品箱、たとえば核酸管45、各種の緩衝液46および反応管201はさらに抽出プロセスのための回転テーブル40に位置する。サンプル管ラック2、反応管ラック3および廃棄ホール4を含む前記回転テーブル40に輸送ユニット41が設置されている。当該ユニット41において、交叉汚染のリスクが減少するように、サンプルはサンプル管1からそのすぐ隣にある反応管201に移される。
【0039】
全自動サンプル抽出を操作するために、前記システム100は、抽出プロセスのための消耗品を輸送するサンプルロボット60および反応ロボット70を提供する。前記ロボット60および70は、Z軸に沿って移動するデカルト座標ロボットでもよい。前記ロボット60および70は、電気治具および電気ピペットアセンブリが配置されている。前記ロボット60および70は、電気治具および電気ピペットアセンブリが配置され、消耗品を拾い、消耗品を異なる位置に置き、前記システムのサンプル抽出の実施に応じた液体を移動し、そして廃棄物を処分する。治具は管を移動するためのものである。当業者には、ピペットアセンブリはサンプル抽出の過程でサンプルを移動するために使用されることがわかる。前記サンプル抽出システム100の操作中において、前記治具およびピペットの機能はコンピュータープログラムコントローラーによって制御される。
【0040】
サンプル抽出ユニット:図1および6A~13に示すように、前記システムは、さらに、頂部12およびフレーム10の右側に取り付けられたサンプル抽出ユニット80を含む。前記サンプル抽出ユニットは、複数、好ましくは32の独立したシェーカー200を含む。細胞を破壊して不純物を除去する抽出成分、たとえば磁気ビーズや緩衝液を有するサンプルは、反応管201に流れる。その後、反応管201をシェーカー200に置いて抽出を行う。
【0041】
当該システム100の一つの実施例は、互いに平行する4つの磁石ラックに取り付けられたシェーカー200を含み、各磁石80は6つのシェーカー200を収納する。磁石ラック81はXとY軸を中心に移動可能で、前記シェーカー200の運動が制御できるように磁気ギア83のセットが配置されている。前記ギア83は前記回転軸84に取り付けられ、各軸84は好ましくはそれに取り付けられた磁気ギア83を有する。回転軸84は好ましくは1200rpmで稼働する。
【0042】
各シェーカー200は、独立に操作し、そして軌道振とう、加熱、磁気ビーズ分離および廃液排出を組み合わせた振とうモーターを提供するように配置されている。各磁石ラック81は複数のハウジングを有し、各ハウジングはシェーカー200を受け取るように配置されている。各ハウジングは一対のL字状の磁石95を有し、前記磁石は垂直レグおよび水平レグを有する。シェーカー200は、磁気ラック81から異なる距離で位置してもよい。
【0043】
図11-13は三つの異なる位置を示す。図11に示すように、シェーカー200が位置1にある場合、L字状磁石95は反応管201における磁気ビーズを吸引することができないため、磁気ビーズは凝集することがない。反応管201を有するシェーカー200が図12に示される位置2にある場合、前記L字状磁石95は反応管201における磁気ビーズ48を吸引することができ、よって磁気ビーズ48は前記管201の内壁におけるより低い位置で前記L字状磁石95の垂直壁により近いように凝集する。反応管201を有するシェーカー200が図13に示される位置3にある場合、前記L字状磁石95は反応管201における磁気ビーズ48を吸引することができ、よって磁気ビーズ48は凝集するが、位置2における反応管と比べ、前記管201の内壁に沿ってより広く分散することで、より容易に前記サンプルをピペットによって移動することができる。図21は、さらに、L字状磁石95および異なる位置におけるシェーカー200内の反応管201における磁気ビーズ48の挙動を示す。
【0044】
シェーカープッシャーロボットはシェーカーを異なる位置に推す。図7、15Aおよび15Bに示すように、サンプル抽出ユニット80に、さらに、二軸(XとY)線形運動「シェーカープッシャー」ロボット82が設置されている。シェーカープッシャー82はシェーカーを異なる位置に推すためのものである。プッシュパッド85は回転軸84に近づくか、離れるようにシェーカーを推す。シェーカー200は、回転軸84から1mmの距離まで近づくと、振とうを開始する。金属プレート87は、さらに、前記シェーカーの底部に取り付けられ、回転軸84に近づくか、離れるようにシェーカー200をガイドする。
【0045】
反応管:各反応管201は二つのチャンバーを含む。図10A~10Dのように、上部チャンバーは反応チャンバー202で、抽出プロセスのためのサンプル、緩衝液および磁気ビーズを受け取る円柱状の区画である。下部チャンバーは廃棄物チャンバー203で、抽出プロセスで生成する廃液を受け取る、直径が反応エリア202よりも大きい円柱状の容器である。反応エリア202と廃棄物タンク203は互いに連結するが、反応エリア202が単独で形成され、廃棄物チャンバー203に取り付けられた。反応管201は反応エリア202と廃棄物チャンバー203の間に制御バルブ204を提供し、当該バルブは廃液処分に関連する。前記バルブ204が開くと、抽出プロセスで生じる廃液は前記廃棄物チャンバー203に廃棄される。前記バルブ204は抽出プロセスにおいて反応エリア202と廃棄物チャンバー203の間の開口を封じる。スプリングエレメント208を押圧する前記反応管201に取り付けられた一組の押しボタンを押すことによってバルブ204の開閉を制御する。廃液を処分する必要がある場合、これらの押しボタンへの推力によって前記バルブが開く。
【0046】
バルブ204の開閉は前記反応ロボット70による前記押しボタン205への押圧によるものである。抽出プロセスが全部完成すると、前記反応ロボット70は廃液が廃棄物チャンバー203にたまった反応管201を持ち、廃棄物ビンに捨てる。当該動作は前記反応サンプルの廃棄物チャンバー203への流れ込みを防止する。前記反応管201は生物的適合性を有し、消毒可能な材料で構成されてもよい。
【0047】
反応ロボット70の治具は、前記反応エリア202に挿入して前記反応管201を掴んで輸送するために垂直に移動可能なロッド治具(図示せず)を有する。反応ロボット70は、さらに、前記ロッド治具上を滑走するジャケット(図示せず)を有する。前記ジャケットは前記反応管の前記押しボタン205を押すことによってバルブ204を開ける。
【0048】
廃棄物ユニット:図14のように、前記システムは底部チャンバー13に2つの廃棄物ビン51と52を提供する。液体の移動中において、サンプルロボット60と反応ロボット70はいずれも廃液意外のすべての廃棄物を輸送し、たとえば、使用済みのピペットチップを第一廃棄物ビン51または第二廃棄物ビン52に入れる。バルブ203が開くと、廃液は前記反応管201の廃棄物タンク203に処分される。抽出処理が全部完成すると、前記反応ロボット70は廃液が廃棄物タンク203にたまった反応管201を持ち、廃液は第二廃棄物ビン52に処分される。廃棄物の処分は前記フレームの水平台11に提供された一組の開口を通じて行われる。第一開口53は第一廃棄物ビン51の上方に、第二開口54は第二廃棄物ビン52の上方に設置される。
【0049】
図5を参照すると、前記輸送ユニット41はサンプル管1を置くサンプル管ラック2、反応管201を置く反応管ラック3および廃棄物ホール4を含む。前記サンプルロボット60は続いてサンプル処理を開始し、回転テーブル40における反応管箱から反応管201を取出し、前記反応管ラック3に置く。サンプルロボット60は、さらに、サンプルラック50からサンプル管1を取り出してサンプル管ラック2に置く。その後、サンプルロボット60は抽出プロセスに従って各ピペットチップラックから長ピペットチップ42、中ピペットチップ43または短ピペットチップであるピペットチップを拾い、一部のサンプルをサンプル管1から反応管201に移す。
【0050】
各使用済みのピペットチップおよび管は、使用後、廃棄物ホール4を通じて前記第一廃棄物ビン51に処分される。前記廃棄物ホール4は前記輸送ユニットに近いため、サンプルの移動中に生じうる交叉汚染のリスク、そして蓋が外された時に、溢出、液滴の形成および/またはエアロゾルの可能性が顕著に減少する。当該システムのこのような設計は、交叉汚染のみならず、ピペット移動時間および液体の移動も減少する。
【0051】
システム100は、さらに、システムのユニットの操作を指示および制御するためのコンピュータープログラムを含む。非一時的なコンピュータ可読メモリは、一つまたは複数のデータ構造を含み、これらは単独でまたは共に保存されたシステムの複数の操作に関連する情報を持ち、システムが実行できる操作のタイプを含む。当該システムのコントローラーはサンプル抽出アプリケーションを合わせて複数のサンプル抽出タイプに関連する情報を保存する。システム100は、さらに、サンプル抽出制御アプリケーションを含む。少なくとも一つのアプリケーションは、サンプル抽出ユニットを移動させ、サンプル抽出システム100に選ばれたサンプルに応じて一つまたは複数の選ばれた消耗品で抽出サンプルを調製させるようなサンプル抽出コマンドを含む。
【0052】
図3および16~19は、本発明のロボットシステムを開示する。ロボット60および70は自動的で連続的なサンプル抽出過程を提供する同様の機構を有する。サンプルロボット60および反応ロボット70はいずれも移動可能なアームに取り付けられた治具を提供する。サンプルロボット60は移動可能にロボットレール61に取り付けられ、保存ユニットとサンプル調製ユニットにおけるフレーム10に対する移動のためにフレーム10の直立支持部材に固定されている。サンプルロボット60は、リリース可能に各種のピペットチップおよび管を掴み、エリア間を移動することができるように、下方に移動可能に延伸する治具アーム62における治具を提供する。
【0053】
反応ロボット70は移動可能にロボットレール71に取り付けられ、自動サンプル処理システムを続けるサンプル調製ユニットとサンプル抽出ユニット80の間の移動のためにフレーム10の直立支持部材に固定されている。反応ロボット70は、リリース可能に各種のピペットチップおよび管を掴み、エリア間を移動し、それらをプリプログラムされた位置に置くことができるように、下方に移動可能に延伸する治具アーム22における治具73を提供する。反応ロボット70はピペットチップ、たとえば、図18に示される長ピペットチップ42を異なるピペットチップ箱から選び、異なる成分を抽出管201に添加する。
【0054】
図1、5および20A~21のように、前記システムの反応管201におけるサンプル抽出のプロセスが開示された。操作中において、回転ストレージ20は前記箱リフトロボット30が所望の消耗品を掴むことができる位置に回転する。同時に、回転テーブル40は前記箱リフト30が消耗品を前記回転テーブル40のハウジングに置くことができる位置に回転する。その後、前記箱リフト30は消耗品を取り、持ち上げ、そして前記消耗品を回転テーブル40に置く。このように、箱リフト30は6箱の異なる消耗品を取って回転テーブル40に置くことができる。
【0055】
サンプルロボット60は、反応管箱から反応管201を取り出して反応管ラック3に置く。サンプルロボット60は、さらに、サンプルラック50からサンプル管1を取り出して隣のサンプル管ラック2に置く。その後、サンプルロボット60はピペットチップを拾い、サンプル管1における一部のサンプル(核酸)反応管201に移す。回転テーブル40は充填された反応管201が前記抽出ユニット80の隣のフレームの右側に移動するように回転する。そのため、サンプルの移動中に生じうる交叉汚染のリスク、溢出、液滴の形成および/またはエアロゾルの可能性が顕著に減少する。
【0056】
図20A~20Cはサンプル(核酸)抽出の過程の詳細を示す。反応ロボット70はピペットチップを拾い、分解緩衝液を前記反応管201に添加し、核酸細胞を破砕させ、そしてこれらをサンプル抽出ユニット80に移し、各反応管201をシェーカー200に置いて抽出プロセスを行う。シェーカー200は、反応管201を10分間振とうする。
【0057】
10分間振とうした後、シェーカープッシャー82はシェーカー200を回転軸から離れるように推してシェーカー200を停止させる。その後、反応ロボット70は回転テーブル40に移動し、磁気ビーズ48および結合緩衝液を拾って前記反応管201に添加した。前記緩衝液は前記シェーカー200の動作と合わせた前記サンプルに含まれる前記磁気ビーズ48の結合と分離を促進する。この段階では、サンプル(核酸)は磁気ビーズ48と結合する。その後、シェーカープッシャー82はシェーカー200がL字状磁石95の上で5分間振とうするように推す。磁気ビーズ48および緩衝液の最も有用な特徴は、可逆的に核酸と結合し、そして強い磁石の存在下において、複数の洗浄および操作の工程で安全に固定することができる。各段階で、反応ロボット70は使用済みのピペットチップを廃棄物ビンに処分する。
【0058】
サンプル抽出の過程は、複数の段階で、磁石ラックにおける反応管201を推すこと、シェーカー200を振とうさせて磁気ビーズ48を分離すること、およびサンプルから不純物を洗浄して除去することによって実現される。シェーカープッシャー82は磁気ラック81における反応管201を推すことによって磁石を作用させてサンプルから磁気ビーズ48を分離する。磁気ビーズは反応エリア202の壁に吸着する。
【0059】
この段階で、反応エリア202と反応管201の廃棄物タンク203の間のバルブ204はロボットによる押しボタン205への作用によって開き、抽出プロセスで生じた廃棄物は反応エリア202から反応管201の廃棄物タンク203へ排出される。その後、反応ロボット70は洗浄緩衝液(図20B)をサンプルに添加する。シェーカープッシャー82はシェーカーを推して1分間振とうさせる。シェーカープッシャー82は磁気ラック81における反応管201を推し、磁石を作用させて磁気ビーズ48を分離する。その後、抽出プロセスで生じた廃棄物を抽出エリア202から反応管201の廃棄物タンク203へ捨てる。システムの必要により、これらの工程は反応管への緩衝液の追加、磁気化、回転および廃液の排出によって数回繰り返してもよい。
【0060】
図20のように、磁気ビーズ48から核酸を溶離させる抽出プロセスの最後の段階で、磁気ビーズ48は少量の溶離緩衝液で溶解させることが必要である。溶離緩衝液をサンプルに添加し、そしてシェーカープッシャー82はシェーカー200を推して30秒振とうさせる。シェーカープッシャー82は磁気ラックにおけるシェーカー200を推して磁石を作用させて生じた廃棄物を廃棄する。システムからのピペットの導入中または取り出し中、開いているサンプル容器の上方における汚染されたピペットの移動により、交叉汚染が生じることもある。このような汚染はすぐに間違った結果または誤ったか不正確な測定結果につながる。このような汚染は防止しなくてはならない。
【0061】
精製されたウイルスRNA/DNAを含有する核酸溶液を溶離管に移す。反応管201の設計は、磁気ビーズがより管の底部に近く凝集するようにさせるため、溶離緩衝液は有効にかつ安全に磁気ビーズに接触することができる。その後、反応ロボット70は反応管201を廃棄物ホール4に運び、廃棄物を排出する。
【0062】
磁気ビーズ48がシェーカー200における反応管201に置かれる時、サンプルにおける物質は磁気ビーズ48と生物サンプルの衝突によって磁気ビーズに付着する。磁気ビーズ48を反応管201に添加することで、たとえばDNA分子がビーズ48と結合するようになる。その後、反応管201をシェーカー200に置く。シェーカー200は磁気ビーズ48とサンプルの均質混合物を得るサンプルの混合に貢献し、よってDNAと磁気ビーズ48の結合の収率を向上させる。当該過程に使用される磁気ビーズ48はステンレススチールビーズ、ジルコニアビーズ、セラミックビーズまたはガラスの少なくとも一つのビーズでもよい。
【0063】
本発明の実施例によるシステムおよび方法は様々な分析プロトコールのために異なる生物サンプルの調製に使用することができる。このような生物サンプルの例は、血液、血清、血漿、尿液、唾液、糞便、器官組織などを含むが、これらに限定されず、患者由来の生物サンプルが好ましい。必要により、処理されたサンプルは一つまたは複数の分離されたか、濃縮された生物分子を含んでもよいが、これらの分子はその後のプロトコールにおいて分析、検出または定量することができる。たとえば、本発明のシステムで生物サンプル(たとえば被験者由来の生物サンプル)を処理することによって分離されたか、濃縮された処理サンプルを得ることができ、そして処理されたサンプルは一つまたは複数の目的核酸の増幅、検出または定量、たとえば、PCR反応における鋳型、あるいは一つまたは複数の化学発光標識された核酸のハイブリダイゼーションに使用することができる。
【0064】
一つの好適な実施形態において、方法は、さらに、PCRまたは化学発光測定法によって加工されたサンプルにおける核酸を検出または定量することを含む。もう一つの例において、本発明のシステムで生物サンプル(たとえば被験者由来の生物サンプル)を処理することによってペプチドまたはタンパク質を含む処理サンプルを得ることができ、そして処理されたサンプルは免疫測定、たとえば放射免疫測定、ELISA、免疫蛍光測定または化学発光免疫測定、一つまたは複数の興味のあるペプチドまたはタンパク質の検出または定量に使用することができる。
【0065】
もう一つの実施形態において、当該方法は、ELISA、免疫蛍光測定または化学発光免疫測定(CLIA)、より好ましくはCLIAによって処理されたサンプルにおけるペプチドまたはポリペプチドを検出または定量することを含む。CLIAはELISAよりも敏感な代替方法で、化学反応からのエネルギーの放出によって光として電磁気放射を生じさせることおよび光強度として測量することを含み、たとえば、光電子増倍管またはフォトダイオードおよび関連する電子機器によって変換して信号を記録する。生物分子の検出または定量に使用される既知の方法および試薬、たとえば、PCR、ELISA、免疫蛍光、アッセイまたはCLIAの過程は本開示における発明に使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図21