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特許7542897家畜用識別標、家畜情報管理方法、家畜情報管理システム、家畜用識別標の区画札、および、家畜用識別標の基札
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】家畜用識別標、家畜情報管理方法、家畜情報管理システム、家畜用識別標の区画札、および、家畜用識別標の基札
(51)【国際特許分類】
   A01K 11/00 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
A01K11/00 C
A01K11/00 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023204496
(22)【出願日】2023-12-04
【審査請求日】2023-12-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518329170
【氏名又は名称】株式会社Eco‐Pork
(74)【代理人】
【識別番号】110003937
【氏名又は名称】弁理士法人前川知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 剛士
(72)【発明者】
【氏名】神林 隆
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6571494(US,B1)
【文献】特開2021-25(JP,A)
【文献】国際公開第2017/066813(WO,A1)
【文献】特開2015-38520(JP,A)
【文献】実開昭60-181693(JP,U)
【文献】実開平1-155084(JP,U)
【文献】実開昭59-73780(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 11/00
G09F 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜の耳に装着されて、コンピュータに画像認識させて家畜の家畜識別情報を取得するためのカラーコードを表示する家畜用識別標であって、
平板形状の区画札であって、
前記カラーコードに基づいて単色に着色された区画札おもて面と、
凸部を有する区画札うら面と、
を有する区画札と、
平板形状の基札であって、
前記基札を家畜に取り付けるための取付部と、
Nを2以上の自然数としたときにN枚以上の前記区画札を重ならずに配置可能な配置領域を有する基札おもて面と、
前記配置領域の内側に前記凸部と嵌合可能なN個以上の凹部と、
を有する基札と、
を備え、
前記基札おもて面の前記配置領域は、前記区画札全体が収まる窪みを有し、前記基札に前記区画札を収めると前記基札及び前記区画札のそれぞれのおもて面が面一となり、
前記基札は、N枚以内の前記区画札が前記凸部と前記凹部との嵌合により固定されている、
家畜用識別標。
【請求項2】
N枚の前記区画札の前記区画札おもて面の色、および、配置の組み合わせによって家畜の識別情報を示すことを特徴とする、
請求項1に記載の家畜用識別標。
【請求項3】
前記基札おもて面の色、および、N枚の前記区画札のおもて面の色の組み合わせによって家畜の識別情報を示すことを特徴とする、
請求項1に記載の家畜用識別標。
【請求項4】
前記N枚の区画札の隣接する2枚の区画札の間隔が空いている、
請求項1に記載の家畜用識別標。
【請求項5】
前記基札は前記基札の方向を規定するアラインメントマーカを有する、
請求項1に記載の家畜用識別標。
【請求項6】
前記基札の地色は、透明、白、または、黒である、
請求項1に記載の家畜用識別標。
【請求項7】
前記N枚の区画札の区画札おもて面の色は、所定の複数の色群からそれぞれ選択される単色である、
請求項1に記載の家畜用識別標。
【請求項8】
前記基札は、複数の同一形状の前記凹部が所定の間隔で配列配置されている、
請求項1に記載の家畜用識別標。
【請求項9】
前記取付部は前記基札の端部に設けられる、
請求項1に記載の家畜用識別標。
【請求項10】
前記凹部の数はNの整数倍以上である、
請求項1に記載の家畜用識別標。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、家畜用識別標、家畜情報管理方法、家畜情報管理システム、家畜用識別標の区画札、および、家畜用識別標の基札に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、畜産業における人手不足の解消策として畜産業務を効率化したり、家畜の飼養環境を監視・制御したりする目的で、コンピュータや監視カメラを導入してシステム化を行い、管理することが数多く行われている。
【0003】
家畜が豚の場合において、食用として出荷される肉豚は複数の豚を1つの豚房内で自由に動けるフリーストールで飼養することが多い。また、従来母豚は個体ごとに区分けされた個室豚房において飼養されることが多かったが、近年アニマルウェルフェア(動物愛護)の観点から、自由に動ける大きさの区画内で多頭飼養されるフリーストールを採用する動きもある。個室豚房では、豚房と個体が1対1の対応であることにより母豚個体ごとの識別が不要であったが、フリーストールでは耳標や耳刻を農家が1頭単位で読み取って個体識別を行う必要がある。しかし、特に養豚業では農場あたりの家畜数に対する従業員数が不足する傾向にあり、耳刻の読み取りやICリーダーを用いての読み取りは人手で行うため従業員の負担が大きく、且つ、一頭単位で行う必要があるため業務の効率性においても課題が存在する。
【0004】
例えば、特許文献1には、互いに異なる複数の色の配列によって豚の識別情報を示す識別部を備える動物用個体識別部材と、当該動物用個体識別部材を装着した家畜をカメラで撮像して家畜個体を識別し、個体ごとに家畜の位置情報を記録および管理する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-25号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の識別部は、動物用個体識別部材より小さく構成され、さらにランドルト環状に配置する上で、各色の領域が非常に小さくなっているため、色褪せや汚れなどの飼養中の劣化によって識別精度が低下する。また、豚の体表の色に応じてユニークな識別情報ごとに識別部を製作するため、コストが増大する。さらに、色数で決まる最大の識別情報の数を1セットで販売する場合は、使わない識別情報の動物用個体識別部材が余り無駄が生じたりする。
【0007】
また、牛や豚など比較的大きいサイズの家畜においては、家畜の両耳にそれぞれ1つまたは複数の耳標を装着することも一般に行われている。例えば、互いに異なる色の2以上の色耳標を装着して色によるコーディングを行うこともできる。しかし、このような場合には下記のような課題がある。
1)家畜の耳に装着する場合、左右方向に2つの色耳標を隣接して装着したくても耳の血管の走行の関係から上下方向にしか装着できないことがある。さらに、色耳標の距離も離れることがある。そうすると、AIを用いた画像認識の識別性において考慮しなければならないことが増加する。
2)血管走行が個体別に異なっており、且つ、耳の付け根に向けて血管が収束する生物学的な構造となっているため、耳に対して横方向は装着できるエリアが限られる。
3)家畜に対して複数の色耳標を装着する際、2つ目以降は、家畜が1回目の痛みを覚えていることで静止した状態での装着が非常に困難となり、装着する作業者の危険を大きく孕む。
【0008】
そこで、本開示は、上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的は、家畜や作業者の負担が少なく、カラーコードの運用の自由度を向上し、識別性を向上できる家畜用識別標と当該家畜用識別標を用いた個体識別技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記した目的を達成するため、家畜用識別標は、家畜の耳に装着されて、コンピュータに画像認識させて家畜の家畜識別情報を取得するためのカラーコードを表示する家畜用識別標であって、平板形状の区画札であって、前記カラーコードに基づいて単色に着色された区画札おもて面と、凸部を有する区画札うら面と、を有する区画札と、平板形状の基札であって、前記基札を家畜に取り付けるための取付部と、Nを2以上の自然数としたときにN枚以上の前記区画札を重ならずに配置可能な配置領域を有する基札おもて面と、前記配置領域の内側に前記凸部と嵌合可能なN個以上の凹部と、を有する基札と、を備え、前記基札おもて面の前記配置領域は、前記区画札全体が収まる窪みを有し、前記基札に前記区画札を収めると前記基札及び前記区画札のそれぞれのおもて面が面一となり、前記基札は、N枚以内の前記区画札が前記凸部と前記凹部との嵌合により固定されている。
【発明の効果】
【0010】
本開示の家畜用識別標、家畜情報管理方法、家畜情報管理システム、家畜用識別標の区画札、および、家畜用識別標の基札によれば、家畜や作業者の負担が少なく、カラーコードの運用の自由度を向上し、識別性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る家畜用識別標の使用例を示す図である。
図2】第1実施形態に係る家畜用識別標の外観斜視図である。
図3】第1実施形態に係る家畜用識別標の展開前方斜視図である。
図4】第1実施形態に係る家畜用識別標の展開後方斜視図である。
図5】第1実施形態に係る家畜用識別標の基札の正面図である。
図6】第1実施形態に係る家畜用識別標の第1変形例の一例を示す部分展開外観斜視図である。
図7】第1実施形態に係る家畜用識別標の第2変形例の一例を示す部分展開外観斜視図である。
図8】第1実施形態に係る家畜用識別標の第3変形例の一例を示す部分展開外観斜視図である。
図9】第1実施形態に係る家畜用識別標の第4変形例の一例を示す部分展開外観斜視図である。
図10】第1実施形態に係る家畜用識別標の第5変形例の一例を示す外観正面図である。
図11】第1実施形態に係る家畜用識別標の第6変形例の一例を示す外観正面図である。
図12】第2実施形態の家畜情報管理システムの全体構成を示す図である。
図13】第2実施形態の家畜情報管理システムのエッジデバイスの機能構成を示すブロック図である。
図14】第2実施形態の家畜情報管理システムのエッジデバイスの記憶部に記憶される主な情報を示す表である。
図15】第2実施形態の家畜情報管理システムのカラーコード登録処理の動作を示すフローチャートである。
図16】第2実施形態の家畜情報管理システムの個体識別処理の動作を示すフローチャートである。
図17】コンピュータの基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の各実施形態について図面を用いて説明する。実施形態を説明する全図において、共通の機能を有する構成要素には(変形例の場合でも)同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
<構成>
以下、第1実施形態に係る家畜用識別標について図を参照しながら説明する。本実施形態では、家畜を豚として説明する。図1は、第1実施形態に係る家畜用識別標の使用例を示す図である。図2は第1実施形態に係る家畜用識別標の外観斜視図である。図3は、第1実施形態に係る家畜用識別標の展開前方斜視図である。図4は、第1実施形態に係る家畜用識別標の展開後方斜視図である。図5は、第1実施形態に係る家畜用識別標の基札の正面図である。
【0014】
家畜用識別標10は、農場で飼養される複数の豚P(P1、P2、P3)を個体ごとに識別するために使用される。家畜用識別標10は、図1に示すように、例えば豚Pの耳に装着される耳標である。
【0015】
家畜用識別標10は、図2から図5に示すように、1枚の基札20と、複数枚の区画札30と、を備える。基札20は、前面に、同一形状かつ同一サイズの4枚の区画札30が配置される。以下、4枚の区画札30を区別する場合には、図に示すようにかっこ書きの数字を添えて区画札30(1)、30(2)、30(3)、30(4)のように示し、区別する必要がない場合には区画札30と示す。
【0016】
基札20は、本実施形態では図5に示すように正方形と二等辺三角形とを突き合わせたホームベース形の略五角形の平板状の部材である。家畜が豚の場合、基札20は、正方形部分の一辺の長さが20mm前後から40mm前後であることが好ましく、また、厚みが1mm前後から3mm前後であることが好ましい。基札20は、家畜に取り付けられた状態で家畜の体表と対向する基札うら面21、その逆の基札おもて面22を有する。以下の説明において、基札おもて面22側を前方、基札うら面21側を後方とし、基札20を正面(前方)から見たときにホームベース形の二等辺三角形側を上方向、逆を下方向とする。また、上下方向を垂直方向、左右前後方向を水平方向と呼ぶ場合がある。
【0017】
基札20は、樹脂で形成されており、可撓性を有する。基札20は、難燃性であってもよく、また、無毒性であることが好ましい。基札20の色は、本実施形態では全体が白である。すなわち、基札おもて面22の色は白である。基札20は、上端部に取付部23を備える。取付部23は基札20を豚Pに取り付けるための機構を有しており、従来の任意の機構を適用できる。本実施形態では、取付部23は、図示しないピンが挿通する穴を採用している。
【0018】
区画札30は、本実施形態では正方形の平板状の部材である。家畜が豚のばあい、区画札30は、一辺の長さが10mm前後から20mm前後であることが好ましく、また、厚みが1mm前後から2mm前後であることが好ましい。本実施形態では、角部のめくれを防止するために、区画札30の4つの角を丸くしてある。区画札30は、樹脂で形成されており、可撓性を有する。区画札30は、難燃性であってもよく、また、無毒性であることが好ましい。区画札30の樹脂の種類や比重は、基札20と同じであることが好ましいが、異なっていてもよい。
【0019】
区画札30は、凹凸がなく滑らかに平坦な区画札おもて面31を有する。区画札おもて面31は、その全領域が単一色の色を有している。これは、区画札30の材料自体の色であってもよく、材料自体の色と異なる色の塗料等で着色されていてもよい。区画札おもて面31の着色の色は、例えば、黄、シアン、緑、ピンク、赤、青、等である。なお、区画札おもて面31の着色の色は、白、黒、または透明であってもよく、基札20の基札おもて面22と同じ色であってもよい。
【0020】
区画札30は、区画札おもて面31の反対側に区画札うら面32を有する。区画札うら面32は、平坦な基面から後方に突出する4つの凸部33を有する。以下の説明において、凸部33を個別に区別する場合は、図に示すように凸部33A、33B、33C、33Dのように示す。4つの凸部33は、すべて同形状かつ同サイズである。4つの凸部33は、区画札30の4つの角部に、等間隔のマトリクス状に配置されている。
【0021】
凸部33は、垂直方向の断面が円形状であり円柱形に突出している。断面の円の直径D1は2mm前後より大きく、区画札30の一辺の半分の長さより小さいことが好ましい。凸部33の高さH1は、基札20の厚みの半分以上であることが好ましい。これにより、凹部25と凸部33の嵌合がより外れにくくなる。
【0022】
基札20は、基札おもて面22に、Nを2以上の自然数としたときにN枚の区画札30を重ならずに配置可能な配置領域24を有する。具体的には、基札20は、基札おもて面22に、4枚の区画札30を重ならずに並べて配置できる大きさの配置領域24を有する。配置領域24は、4枚の区画札30を2x2の配列に並べ、各区画札30の間に所定の隙間を設けられる程度の広さを有する。区画札30の厚みは、基札20の厚みと同じか、または基札20の厚みより小さいことが好ましい。
【0023】
図3および図5に示すように、基札20は、配置領域24において、基札おもて面22の基面から後方に窪む複数の凹部25を有する。具体的には、基札20は、16の凹部25を有する。基札20に設けられる凹部25の数は、配置領域24に配置できる区画札30の枚数N以上である。凹部25は、配置領域24において、区画札30の凸部33と同じ等間隔のマトリクス状に設けられている。
【0024】
図3および図5に示すように、配置領域24において、4枚の区画札30を重ならずに並べて配置した場合に区画札30(1)、30(2)、30(3)、30(4)のそれぞれに重なる(対向する)仮想の4つ領域を単位配置領域241(1)、241(2)、241(3)、241(4)とする(図3および図5では破線で示されている)。以下の説明において、4つの単位配置領域241(1)、241(2)、241(3)、241(4)を個別に区別する必要がない場合には単に単位配置領域241と呼ぶ場合がある。基札おもて面22は、各単位配置領域241の境界線の内側に、図3に示すように、4つの凹部25A、25B、25C、25D(以下、個別に識別する必要がない場合はまとめて「4つの凹部25」と呼ぶ)を含む。
とする。
【0025】
凹部25は、垂直方向の断面が円形の円柱形状に窪んでいる。断面の円の直径D2は、凸部33の直径D1と同じかわずかに小さい。凹部25の深さH2は、凸部33の高さH1より大きい。
【0026】
このように構成された区画札30と基札20は、区画札30を基札20の前方から単位配置領域241と重ね合わせると、基札20の凹部25に区画札30の凸部33が嵌合する。
【0027】
基札20の凹部25の側面と、区画札30の凸部33の側面と、は少なくとも一方または両方において、前後方向の移動に対して側面の部分的または全体的に摩擦係数が大きくなるように表面加工が施されている。例えば、凸部33の側面に、側面から周方向外側に突出する帯状の第1の瘤を設け、凹部25の側面にも、第1の瘤より前方において、側面から周方向内側に突出する帯状の第2の瘤を設け、嵌め合い時に第1の瘤と第2の瘤とで係合させるようにしてもよい。
【0028】
基札20は下部の辺に沿って、基札20の地色と異なる色で帯状に着色されたアラインメントマーカ26を有する。アラインメントマーカ26の色は、家畜の体表の色が明るいライト系の場合は黒色、暗いダーク系の場合は白色が好ましい。アラインメントマーカ26を設けることにより、家畜用識別標10の上下方向と、家畜用識別標10内での4枚の区画札30の配置を特定することができる。これにより、4つの色と4つの位置との組合せとすることができ、色のみの場合に比べてカラーコードのパターンを増やすことができる。
【0029】
家畜用識別標10は、豚Pに取り付ける前に、4枚の区画札30を1つの基札20に嵌め合わせて前後方向の固定を行う。また、カラーコードを構成する、基札20の色(具体的には基札おもて面22の色)と、4枚の区画札30の色の組み合わせを決定する。本実施形態では、基札おもて面22の色は白である。カラーコードを構成する4枚の区画札30の色は、基本的には、基札20の色と異なる色であって、かつ、2以上の色から選択される。カラーコードのその他の規則については任意の従来技術を適用できる。4枚の各区画札30の色と配置は、例えば、後述するカラーコード登録処理においてユーザに提示されるカラーコードのパターンを参照してユーザが選択する。
なお、豚房に所属する豚Pの数が少ない場合など、2色、または、3色でカラーコードが足りる場合は、基札20と異なる色の2枚または3枚の区画札30を基札20に取り付けるだけで使用してもよいし、基札20の重心が偏らないようにカラーコードを構成しない残りの2枚または1枚の区画札30については基札20と同じ色の区画札30を取り付けてもよい。これにより、カラーコードの運用の自由度が向上する。
【0030】
以下、第1実施形態の変形例について説明する。
【0031】
<凹部と凸部の組み合わせの変形例>
図6は第1実施形態に係る家畜用識別標の第1変形例の一例を示す部分展開外観斜視図である。
上記第1実施形態の家畜用識別標10では、基札20は凹部25のみ、区画札30は凸部33のみを有していたが、第1変形例では、図6に示すように、基札20の凹部25の一部を凸形状の凸部に変更し、それに対応する位置の区画札30の凸部33を凹形状の凹部34(不図示)に変更してもよい。これにより、家畜用識別標10全体での嵌合長さが倍になり、基札20と区画札30との嵌合をより外れにくくすることができる。
【0032】
<区画札が長方形、円>
図7は、第1実施形態に係る家畜用識別標の第2変形例の一例を示す部分展開外観斜視図である。図8は、第1実施形態に係る家畜用識別標の第3変形例の一例を示す部分展開外観斜視図である。
上記第1実施形態の家畜用識別標10では、区画札30は正方形であったが、第2変形例では、図7に示すように長方形であってもよい。同様に、第3変形例では、円形であってもよい。また、1つの家畜用識別標10に異なる形状の区画札30を混在させてもよい。
【0033】
<基札に区画札に対応する窪みを設ける変形例>
図9は、第1実施形態に係る家畜用識別標の第4変形例の一例を示す部分展開外観斜視図である。
上記第1実施形態の家畜用識別標10では、基札20の基札おもて面22は凹部25を除いて平坦であった。この場合は、図2に示すように隣接する区画札30の間に隙間があり、豚Pの飼養過程でこの隙間に汚れが蓄積される可能性がある。そこで、第4変形例では、基札20の基札おもて面22は、図9に示すように、区画札30の形状の窪みを形成し、基札20に区画札30を収めてそれぞれのおもて面が面一に取り付けられるようにしてもよい。これにより、隣接する区画札30との間に基札20の余白領域を設けながら、家畜用識別標10の前面全体が平坦となることで汚れが蓄積しにくくなり、画像認識の精度を向上することができる。
なお、豚房に所属する豚Pの数が少ない場合など、2色、または、3色でカラーコードが足りる場合は、基札20と異なる色の2枚または3枚の区画札30を基札20に取り付け、基札おもて面22の窪みに汚れがたまらないように、かつ、基札20重心が偏らないように、カラーコードを構成しない残りの2枚または1枚の区画札30については基札20と同じ色の区画札30を取り付けてもよい。これにより、カラーコードの運用の自由度が向上する。
【0034】
<嵌合部の数と大きさの変形例>
図10は第1実施形態に係る家畜用識別標の第5変形例の一例を示す外観正面図である。
上記第1実施形態の家畜用識別標10では、正方形の区画札30の四隅に、区画札30の面積より比較的小さい断面積の4つの凸部33がそれぞれ設けられていたが、第6変形例では、円形の区画札30において、区画札30の面積に対して1/3から4/1程度の断面面積の1つの凸部(図では破線で示されている)が設けられている。このように凸部と凹部の側面の接触領域を増減することで、凸部と凹部の組の数を増減して設計の自由度を高めることができる。特に、区画札30が円形や6以上の多角形の場合は、区画札30が基札20に嵌合したまま回転しても相互に干渉することがないため、凸部と凹部の組を区画札に対して1組とすることができる。
【0035】
<基札と区画札の形状の変形例>
図11は第1実施形態に係る家畜用識別標の第6変形例の一例を示す外観正面図である。
上記第1実施形態の家畜用識別標10では、基札20がホームベース形、区画札30が正方形であったが、第6変形例では、図11に示すように、基札20がしずく型、区画札30が三角形である。また、凹部25および凸部33のサイズが大小2種類混在している(図では破線で示されている)。さらに、4つの区画札30を囲む配置領域24は三角形である。基札20をしずく型にすることにより、基札20の上部より下部の重量が大きくなり、家畜用識別標10が自然にぶら下がって、豚Pに装着された場合に同じ上下方向となることが増加し、配置領域24が上下方向に非対称であることで、画像認識の精度向上が期待される。また、基札20の外形に角が少ないため、取り付ける家畜の耳やほかの家畜の体表を傷つけることが少なくなり、家畜の装着負担が改善される。
【0036】
<基札の色>
上記第1実施形態の家畜用識別標10では、基札20の地色は白であったが、透明(半透明含む)または黒であってもよい。または、基札20の基札おもて面22の着色が透明または黒であってもよい。基札20の色が白色の場合は、経時劣化による白色の変色を考慮してカラーコードの画像認識の学習を行う。これにより、画像認識の精度が向上する。また、基札20の色をコントラストの高い白または黒とすることで、画像認識精度が向上する。また、豚Pの体表色と区別しやすい方の地色を有する基札を選択することで、基札20の画像認識精度が向上する。また、透明とすることで、他の家畜への視覚的刺激を軽減して注意を惹かないようにすることで、他の家畜が家畜用識別標10や家畜用識別標10が取り付けられている耳をかんだりすることを減らすことができる。
【0037】
<区分札の色とサイズ変更>
上記第1実施形態の家畜用識別標10では、区画札おもて面31は全領域が単一色であり、配置領域24は、各区画札30の間に所定の隙間を設けられる程度の広さを有していたが、区画札30の各辺に沿う縁取り領域を白または黒の第1色で、縁取りの内側の領域を白および黒以外の第2色とし、配置領域24は、各区画札30の間に隙間を設けない広さとしてもよい。これにより、第1実施形態の家畜用識別標10と同様の識別精度を実現しながら、区画札30のサイズを大きくすることができ、区画札30の取り扱いや基札20への装着が容易になる。また、区画札30の一辺のみの縁取り領域を白または黒の第1色で、それ以外の領域を白および黒以外の第2色とし、縁取り領域を基札20の下側になるように区画札30を取り付けることでアラインメントマーカ26を省略することができる。
【0038】
<凹部、凸部の形状>
上記第1実施形態の家畜用識別標10では、凹部25および凸部33の断面形状は円であったが、楕円や、三角形等の多角形、5つ星や6つ星であってもよい。側面の面積を増加させることで摩擦係数を増大させて、凹部25と凸部33の嵌合を外れないようにできる。
【0039】
<アラインメントマーカの位置>
上記第1実施形態の家畜用識別標10では、アラインメントマーカ26は、基札20の下辺に設けられているが、下辺と左辺または右辺のL字形状、下辺と左辺と右辺のコの字形状、下辺と余白領域の逆T字形状、に設けられてもよい。これにより、基札20の一部が汚れてもアラインメントマーカ26を識別しやすくなる。
【0040】
<異サイズの区分札配置>
上記第1実施形態の家畜用識別標10では、同形状かつ同サイズの4枚の区画札30を基札20に取り付けていたが、例えば、4つの凹部25を覆うサイズの正方形または円形の区画札30を2つと、4つの凹部25を覆うサイズの長方形の区画札30を2つと、の計4枚の異なる形状の区画札30を配置してもよい。さらに例えば、4つの凹部25を覆う正方形または円形の区画札30を2つと、8つの凹部25を覆うサイズの長方形の区画札30を1つと、の形状およびサイズの異なる区画札30を配置してもよい。これにより、カラーコードの作成の自由度が向上する。
【0041】
<その他の変形例>
上記第1実施形態の家畜用識別標10では、凹部25は基札おもて面22のみに設けられていたが、基札20の厚みを大きくして基札うら面21にも凹部25を設けてもよい。これにより、基札20のうら側にも区画札30を取り付けてカラーコードを構成することができ、基札20が裏返った場合でもカラーコードの画像識別が可能となる。
また、基札20の色を透明とし、アラインメントマーカ26をL字とし、区分札うら面32が区画札おもて面31と同色の着色を有することでも同様の効果が得られる。
【0042】
<効果>
このように構成された第1実施形態の家畜用識別標10は、カラーコードを画像認識することで家畜の個体識別をする場合において、複数の区画札30が基札20に固定された1つの耳標を家畜に1回だけ取り付ければよく、家畜と作業者への負担が少ない。また、基札20と区画札30との固定は、基札20の凹部25と区画札30の凸部33とを嵌め合わせるだけであり、固定のための他の道具が不要で、容易である。さらに、カラーコードを実現するための部材として区画札30を基札20から物理的に分離している部材とすることで、自由度を向上することができる。さらに、隣接する区画札30同士の間隔をあけて基札20の地色による境界エリアがあることで、隣接する区画札30の色の識別性を向上することができる。
【0043】
(第2実施形態)
<構成>
第2実施形態では、家畜用識別標10を用いた家畜情報管理システム1について説明する。家畜情報管理サービスの運営業者は、家畜用識別標10と家畜情報管理システム1を用いてユーザに家畜情報の管理を支援するサービスを提供する。家畜情報管理システム1は、ユーザが行う家畜飼養業務において、個々の家畜の健康や成育に関する情報を記録し管理する情報処理システムである。ユーザは主に家畜農家である。以下では家畜を豚として説明する。ユーザは、家畜情報管理システム1を利用して豚の管理を行うにあたり、事前に管理対象とする豚Pに家畜用識別標10を装着する。
【0044】
図12は、本開示の第2実施形態の家畜情報管理システム1の全体構成を示す図である。家畜情報管理システム1は、撮像装置51、エッジデバイス60、ユーザ端末52、センサユニット53、家畜情報管理サーバ54、を備える。撮像装置51は、エッジデバイス60と有線または無線により通信および制御可能に接続している。エッジデバイス60、ユーザ端末52、センサユニット53、はネットワークNWを介して家畜情報管理サーバ54に接続している。ネットワークNWは、例えばインターネット、VPN(VirtualPrivateNetwork)、イントラネット、近距離無線通信等のネットワークである。
【0045】
<撮像装置>
撮像装置51は、例えば、可視光カメラであり、被写体から反射される光を検出して画像(静止画または動画)情報を生成する機能を有している。なお、撮像装置51は、夜間撮像も可能なように、上記可視光カメラに加えて、赤外線カメラと赤外線ライトの組み合わせを併用してもよい。また、被写体との距離を測定するデプス情報を併用しても良い。撮像装置51は、農場の豚Pを撮像した家畜画像を生成する。
【0046】
エッジデバイス60、ユーザ端末52、家畜情報管理サーバ54は情報処理装置である。各情報処理装置は演算装置(プロセッサ)と記憶装置とを備えたコンピュータにより構成されている。コンピュータの基本ハードウェア構成および、当該ハードウェア構成により実現されるコンピュータの基本機能構成は後述する。
【0047】
<エッジデバイスの構成>
図13は、第2実施形態の家畜情報管理システム1のエッジデバイス60の機能構成を示すブロック図である。
エッジデバイス60は、撮像装置51が生成した家畜画像に基づいて家畜画像に映る家畜個体を識別するための情報処理を行う機能を有する情報処理装置である。エッジデバイス60は、記憶部601と制御部603を備える。
【0048】
エッジデバイス60の記憶部601は、主に、現在飼養中または過去に飼養した豚に関する情報を少なくとも一時的に記憶する記憶装置である。記憶部601は、図13においてエッジデバイス60と一体に記載されているが、一部または全部がエッジデバイス60と物理的に独立した記憶装置であっても構わない。
【0049】
記憶部601は、アプリケーションプログラム6011、家畜情報6012、カラーコード情報6013、家畜画像情報6014、個体家畜画像情報6015、個体識別数理モデル6021、を記憶する。
【0050】
図14は、記憶部601に格納される主な情報を示す表である。図14を参照しながら、各情報について以下説明する。
【0051】
家畜情報6012は、ユーザである農場ごとに、家畜情報管理サービスにおいて管理の対象となる豚Pの基本情報や飼養情報等を含む。基本情報は、農場に関する情報、豚舎に関する情報、豚房に関する情報、等を含む。豚舎に関する情報、及び、豚房に関する情報では、豚舎や豚房を一意に識別するための豚舎IDや豚房ID、収容能力に関する情報、現在飼養している豚の頭数、及び、今後の飼養予定先の豚舎・豚房と飼養予定頭数に関する情報等を含んでいる。飼養情報は、品種、系統、性別、親豚、日齢、所属豚舎、所属豚房、移動日、参入日、繁殖履歴、給餌履歴(給餌内容を含む)、投薬・ワクチン履歴、疾病罹患履歴、移動履歴、飼養環境履歴、等を含み、対象となる豚Pにおいて該当する情報を管理記憶する。また、その他、農家側で設定する情報を含んでもよい。家畜情報6012は、家畜情報管理サーバ54に記憶される家畜情報のマスタテーブルの一部をダウンロードまたは同期し、記憶部601に一時的に記憶されるものである。家畜情報6012の各項目は、農家であるユーザがユーザ端末52を介してサーバ54に接続し、入力や編集が可能な情報である。
【0052】
カラーコード情報6013は、後述するカラーコード登録処理で生成されたカラーコードと、カラーコードに紐づく豚舎の豚舎IDおよび豚舎の属する豚房の豚房IDと、を含む。
【0053】
家畜画像情報6014は、エッジデバイス60が撮像装置51から取得した家畜画像に関する情報を含む。家畜画像に映る豚は、1頭のみでも複数頭を含む家畜群のいずれであってもよい。家畜画像情報6014は、撮像装置ID、および家畜画像ID、取得日時、家畜画像データ、等を含む。
【0054】
個体家畜画像情報6015は、後述する個体識別処理で生成された個体家畜画像と個体家畜画像に関する情報を含む。個体家畜画像情報6015は、個体家畜画像ID、解析した家畜画像の家畜画像ID、個体家畜画像のデータである個体家畜画像データ、個体家畜画像内から家畜用識別標10の部分を切り出した耳標切り出し画像、個体識別処理で家畜用識別標10から認識したカラーコード(家畜識別情報)、等を含む。
【0055】
アプリケーションプログラム6011は、制御部603の各機能を実行するためのプログラムを含む。
【0056】
個体識別数理モデル6021は、家畜画像情報6014に格納される家畜画像を入力データとして、家畜画像に映る家畜用識別標10のカラーコードを出力する推論モデルである。具体的に、個体識別数理モデル6021は、家畜画像に映る家畜用識別標10を検出し、検出した家畜用識別標10の区画札30およびアラインメントマーカ26を識別し、検出した家畜用識別標10のカラーコードを推定して出力する。より、詳細には、個体識別数理モデル6021は、アラインメントマーカ26に基づいて家畜用識別標10の方向を検出する。そして、基札20の色、区画札30の枚数N、および、各区画札30の色と位置の組み合わせであるカラーコードを画像認識により取得する。
個体識別数理モデル6021は、区画札30の枚数Nごと、区画札30の基札20上の配置パターンごと、家畜の品種ごと、家畜の体表の色ごと、農場ごと、豚舎や豚房(畜舎や畜房)ごと、またはそれらの組み合わせごとに生成されてもよい。
【0057】
個体識別数理モデル6021、は、例えば人工知能(機械学習、深層学習モデル)、線形回帰モデルなどを用いて構築したものである。個体識別数理モデル6021における深層学習の例としては、畳み込みニューラルネットワーク(Region Based Convolutional Neural Networks)やFast R―CNNなどの派生手法を個体識別数理モデル6021に適用できる。YOLO(You Only Look Once)やSSD(Single Shot MultiBox Detector)、DETR(End―to―End Object Detection with Transformers)などの他の物探識別手法、および、色検出手法を個体識別数理モデル6021に適用できる。
【0058】
エッジデバイス60の制御部603は、家畜画像取得部6031、家畜個体識別部6032、登録部6033、入出力制御部6034、を備える。制御部603は、記憶部601に記憶されたアプリケーションプログラム6011を実行することにより、各機能ユニットが実現される。
【0059】
家畜画像取得部6031は、定期的に、随時、または、ユーザ(ユーザ端末52)や家畜情報管理サーバ54等の要求に応じて、撮像装置51から家畜を含む画像を取得して記憶部601に記憶する。
【0060】
家畜個体識別部6032は、家畜画像から、家畜画像に映る家畜個体の家畜識別情報を取得し家畜画像と紐づけて記憶部601に記憶する個体識別処理を行う。具体的には、家畜個体識別部6032は、個体識別数理モデル6021に家畜画像を入力し、個体識別数理モデル6021の推定結果として、当該家畜画像に映る豚Pが装着する家畜用識別標10のカラーコードを家畜識別情報として取得する。さらに、家畜個体識別部6032は、個体識別数理モデル6021に入力した家畜画像と、カラーコードとを紐づけた個体家畜画像情報6015を生成し記憶部601に記憶する。なお、家畜画像に複数の豚P1、P2、P3が映る場合、家畜個体識別部6032は、豚P1、P2、P3ごとにセグメンテーションを行い、豚P1、P2、P3ごとの家畜画像のセグメンテーション単位とカラーコードとを紐づけた個体家畜画像情報6015を生成することができる。
【0061】
登録部6033は、ユーザが指定する対象豚に対してカラーコードを生成しユーザに提示するためのカラーコード登録処理を行う。カラーコード登録処理の詳細は後述する。
【0062】
入出力制御部6034は、撮像装置51、ユーザ端末52、家畜情報管理サーバ54との情報通信と情報入出力管理を制御する。入出力制御部6034は、カラーコード登録処理において生成したカラーコード情報6013や、個体識別処理において取得または生成した家畜画像情報6014および個体家畜画像情報6015をネットワークNWを介して家畜情報管理サーバ54に送信する。
【0063】
<ユーザ端末の構成>
ユーザ端末52は、家畜情報管理サービスを利用するユーザが操作する情報処理装置である。ユーザ端末52は、例えば、スマートフォン、タブレット等の携帯端末でもよいし、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPCであってもよい。また、HMD(Head Mount Display)、腕時計型端末等のウェアラブル端末であってもよい。ユーザ端末52は、インタフェースとして、カメラ、マイク、位置情報センサ、モーションセンサ、タッチデバイス、キーボード等の入力装置と、ディスプレイやスピーカ等の出力装置と、を備える。
【0064】
<センサユニットの構成>
センサユニット53は、1または複数のセンサを搭載した計測端末である。センサユニット53は、家畜情報管理サービスを利用する農場の豚舎や豚房に設置される。センサユニット53は、常時、随時、または、定期的に、各センサから連続データまたは離散データとして取得した情報であるセンシング情報を取得し、これらのセンシング情報を家畜飼養情報として家畜情報管理サーバ54に随時送信する機能を有する。センサは、例えば、温湿度、風量、空気品質、気圧、照度などの環境情報、給餌・給水量などの給餌情報、豚の体温、体重、外観、移動量、音声等の生体情報、を取得するセンサである。
【0065】
<家畜情報管理サーバの構成>
家畜情報管理サーバ54は、家畜情報管理サービスを提供する運営業者が操作する情報処理装置である。家畜情報管理サーバ54は、管理の対象とするユーザ(農家)のマスタテーブル、豚の家畜情報のマスタテーブル、エッジデバイス60から受信したカラーコード情報6013、家畜画像情報6014および個体家畜画像情報6015、センサユニット53から受信したセンシング情報、等を記憶し管理する。なお、家畜情報管理サーバ54の記憶部(不図示)に記憶されるこれらの各種情報には、ユーザ(農家)ごとにファイアウォールによるセキュリティが設けられている。農家のマスタテーブルには、家畜情報管理サービスにおいて管理の対象となる農家の住所や豚舎数などの基本情報等が含まれる。家畜情報のマスタテーブルには、家畜情報管理サービスにおいて管理の対象となる豚Pの基本情報、飼養情報、出荷情報、疾病罹患情報、死亡情報、等が含まれる。出荷情報、疾病罹患情報、死亡情報が含まれることによって、カラーコード登録を実施した豚(肉豚・母豚)が管理対象でなくなったことが明示的に把握でき、使用していたカラーコードを新規の豚に対して重複なく割り当てることが可能となる。家畜情報管理サーバ54は、ネットワークNWを介して、撮像装置51およびエッジデバイス60、ユーザ端末52、センサユニット53を制御する。家畜情報管理サーバ54は、ユーザ端末52に家畜情報管理サービスのインタフェースを提供する。家畜情報管理サーバ54は、ユーザ端末52や他のシステムにAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)やプラットフォーム等の動作環境を提供する。
【0066】
<カラーコード登録処理>
図15は、第2実施形態の家畜情報管理システム1のカラーコード登録処理の動作を示すフローチャートである。
カラーコード登録処理は、ユーザが指定する豚舎に対して、豚舎に所属する豚の頭数分のカラーコードのパターンを生成して、豚舎に属する豚房ごとにグルーピングしてユーザに提示し、生成したカラーコードをカラーコード情報6013として記憶するための処理である。以下では、豚が肉豚の場合について説明する。カラーコード登録処理は、基本的に、豚を離乳豚舎から肥育豚舎に移動させる準備段階で実行されるが、ユーザが任意のタイミングで実施してもよい。また、離乳豚舎では豚個体を一意に識別する個体管理は行われず、豚を肥育豚舎に移動させる際、または、肥育豚舎に移動させてから家畜用識別標10を取り付けた時点で豚個体を一意に識別する個体管理が開始されるものとする。
以下、同フローチャートに沿ってカラーコード登録処理の動作を説明する。
【0067】
ステップS101において、エッジデバイス60の登録部6033は、ユーザ端末52からユーザ要求を受信する。ユーザ要求は、家畜用識別標10を新たに装着する豚が所属する豚舎・豚房を示す豚舎ID・豚房IDを含む。
【0068】
ステップS102において、登録部6033は、記憶部601の家畜情報6012を参照し、ステップS101で受信した豚舎ID・豚房IDに基づいてカラーコードを生成する対象となる対象豚舎・豚房を特定し、対象豚舎・豚房に所属する豚の頭数を取得し、当該頭数をカラーコード生成数として決定する。また、登録部6033は、家畜情報6012を参照し、対象豚舎に属す全ての豚を一括してカラーコード生成数を取得することも可能である。
【0069】
ステップS103において、登録部6033は、ステップS102において決定したカラーコード生成数のカラーコードを生成し、ユーザ端末52に提示する。具体的には次の通りである。登録部6033は、ステップS102で決定したカラーコード生成数分、ユニークなカラーコードを生成する。登録部6033は、ステップS102で取得した各豚房の所属頭数に基づいて、生成したカラーコードを豚房単位にグルーピングする。登録部6033は、カラーコードごとに、家畜用識別標10の態様でカラーコードのパターンを示す画像を生成し、豚房単位でグルーピングして、ユーザ端末52に提示する。すなわち、登録部6033は、これから家畜用識別標10を装着する豚が所属する豚房をユーザが識別できる情報、例えば豚房IDや豚房名とともに、豚房に割り当てられたカラーコードパターンをユーザに提示する。カラーコードのパターンは、少なくとも、基札20の色、区画札30の枚数と各区分札の色、区画札30の配置を示すものである。さらに、基札20の形状やサイズ、区画札30の形状やサイズを示すものであってもよい。
【0070】
ステップS104において、ユーザは、事務所等においてユーザ端末52に表示されたカラーコードを見ながら、基札20と区画札30を選択し、基札20に区画札30を取り付けて、家畜用識別標10を組み立て完成させる。そして、ユーザは、装着を実施する場所において、豚房ごとのグルーピングを参照しながら、家畜用識別標10を装着する。このとき、豚房に割り当てられたカラーコードに対応する家畜用識別標10は、豚房に所属するどの豚に装着されてもよい。装着により、豚の一意の識別情報が物理的、現実的に確定する。
【0071】
ステップS105において、登録部6033は、ユーザ端末52から、ステップS103で提示したカラーコードに対応する家畜用識別標10が各豚に装着完了したことを示す「装着済み確認」を受信する。「装着済み確認」は、豚舎単位、豚房単位で「一括装着確認済み」ボタンとしてユーザ端末52に提供されていてもよく、豚単位で提供されてもよい。
【0072】
ステップS106において、登録部6033は、記憶部601のカラーコード情報6013におけるカラーコードと豚房IDおよび豚舎IDとの組合せの登録を確定して、当該ルーチンを終了する。これにより、ステップS104で確定した物理的な豚の識別情報と、記憶部601に記憶されているカラーコードによる仮想的な一意の識別情報とが紐づけられ、確定する。
【0073】
<個体識別処理>
図16は、第2実施形態の家畜情報管理システム1の個体識別処理の動作を示すフローチャートである。
個体識別処理は、家畜画像から家畜個体の家畜識別情報を推定し個体家畜画像を生成するための処理である。
以下、同フローチャートに沿って個体識別処理の動作を説明する。
【0074】
ステップS201において、エッジデバイス60の家畜画像取得部6031は、撮像装置51から家畜画像を取得する。
【0075】
ステップS202において、エッジデバイス60の家畜個体識別部6032は、ステップS201において取得した家畜画像に基づいて、豚Pの映る領域を識別する。具体的には、家畜個体識別部6032は、個体識別数理モデル6021を用いて家畜画像に映る1または複数の豚Pについて豚個体ごとの画像領域にセグメンテーションする画像処理を行う。
【0076】
ステップS203において、家畜個体識別部6032は、個体識別数理モデル6021を用いて、画像領域に映る家畜個体を識別する。具体的には、家畜個体識別部6032は、ステップS202でセグメンテーションされた豚個体の画像領域に映る豚Pの家畜用識別標10のカラーコードを個体識別数理モデル6021の画像認識処理で検出し、カラーコード情報6013のカラーコードを特定する。家畜画像に複数の豚Pが映っている場合は、豚Pそれぞれに対応する豚個体の画像領域に対して家畜用識別標10のカラーコードの認識が実行される。
【0077】
ステップS204において、家畜個体識別部6032は、個体家畜画像情報6015を生成する。具体的には、ステップS202で認識した豚個体の画像領域と、ステップS203で特定したカラーコード情報6013のカラーコードとを紐づけた個体家畜画像情報6015を生成し、もとの家畜画像とも紐づけて記憶部601に記憶する。
【0078】
ステップS205において、エッジデバイス60の入出力制御部6034は、ステップS201で取得した家畜画像およびステップS204で生成した個体家畜画像情報6015を家畜情報管理サーバ54に送信して当該フローを終了する。
【0079】
<効果>
このように構成された第2実施形態の家畜情報管理システム1は、家畜用識別標10を装着した豚Pを撮像した家畜画像に基づいて、1つの豚房に複数の豚Pが飼養される場合でも、個々の豚Pを識別し、個々の豚または豚房の豚全体に関して収集される各種情報を各個体に紐づけて管理することができる。
【0080】
<情報処理装置>
図17は、情報処理装置であるコンピュータ1000の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ1000は、CPU1001(プロセッサ)、主記憶装置1002、補助記憶装置1003、インタフェース1004、画像処理装置(GPU)1005を備える。
【0081】
<プログラム>
ここで、第2実施形態に係るエッジデバイス60を構成する各機能を実現するためのプログラムの詳細について説明する。
【0082】
エッジデバイス60は、コンピュータ1000に実装される。そして、エッジデバイス60の各構成要素の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置1003に記憶される。CPU1001は、プログラムを補助記憶装置1003から読みだして主記憶装置1002に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU1001は、プログラムに従って、上記した記憶部601に対応する記憶領域を主記憶装置1002に確保する。第2実施形態のプログラムはカラーコード登録処理を実行するための第1プログラムと、個体識別処理を実行するための第2プログラムとを含む。
【0083】
第1プログラムは、具体的には、コンピュータ1000において、ステップS101からステップS104までと、ステップS106と、を実行させるプログラムである。第2プログラムは、具体的には、コンピュータ1000において、少なくとも、家畜用識別標10を含む家畜画像を取得させるステップと、前記家畜画像に基づいて前記家畜画像に映る家畜の識別情報を取得させるステップと、を実行させるプログラムである。または第2プログラムは、コンピュータ1000において、ステップS201からステップS205までを実行させるプログラムである。
【0084】
なお、補助記憶装置1003は、一時的でない有形の記憶媒体の一例である。一時的でない有形の記憶媒体の他の例としては、インタフェース1004を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムがネットワークNWを介してコンピュータ1000に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1000が当該プログラムを主記憶装置1002に展開し、上記処理を実行してもよい。
【0085】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置1003に既に記憶される他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)
であってもよい。
【0086】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。また、実施形態の説明では家畜として豚を例として説明したが、牛、馬、羊のような他の四肢動物を対象とする家畜に畜産情報管理システムを適用しても構わない。
【0087】
例えば、上記第2実施形態において、カラーコード登録処理及び個体識別処理はエッジデバイス60で実行されていたが、家畜情報管理サーバ54やユーザ端末52で実行されてもよい。また、エッジデバイス60の制御部603の登録部6033の機能の一部は、家畜情報管理サーバ54やユーザ端末52で実行されてもよい 。
また、例えば、上記第2実施形態において、撮像装置51はエッジデバイス60と直接通信していたが、撮像装置51とエッジデバイス60とがそれぞれネットワークNWに接続し、ネットワークNW経由で通信してもよい。
また、例えば、上記第2実施形態のカラーコード登録処理のステップ105、106では、ユーザがユーザ端末52において「装着済み確認」の動作を行うことによりカラーコードの登録が確定していたが、撮像装置51から取得した家畜画像に初めて家畜用識別標10が映っていることを画像認識することにより、自動でカラーコードの登録を確定させてもよい。これにより、ユーザの負担がより軽減する。
また、例えば、上記第2実施形態のカラーコード登録処理は、肉豚を対象として説明したが、母豚の場合は、母豚候補豚用の豚舎から母豚用の豚舎に移動させる準備段階で実行することができる。
また、例えば、上記第2実施形態の個体識別処理のステップS202の後に、家畜画像におけるカラーコードの識別が難しい場合に、ステップS203の家畜個体の識別に進まずに、ステップS201に戻るエラーフローを追加してもよい。カラーコードの識別が難しい場合とは、例えば、家畜用識別標10の角度や、基札20または区画札30の明度(白トビ)情報から、画像認識の識別結果の信頼度スコアを算出し、信頼度スコアが所定の閾値未満となる場合である。
また、例えば、上記第2実施形態の個体識別処理のステップS205の後に、ステップS205で生成した個体家畜画像に基づいて、家畜個体の生体情報や健康状態を画像認識で推定し、家畜個体と紐づけて記憶するステップを追加してもよい。 また、例えば、上記第2実施形態では、ユニークなカラーコードの生成を豚舎単位としていたが、豚房単位や仮想の管理群単位としてもよい。仮想の管理群単位とすることで、例えば、家畜情報に含まれる週齢などの共通の属性を単位とすることができ、カラーコード運用の自由度が向上し、家畜の管理が容易になる。
【0088】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
(1)
平板形状の区画札であって、
着色された区画札おもて面と、
凸部を有する区画札うら面と、
を有する区画札と、
平板形状の基札であって、
前記基札を家畜に取り付けるための取付部と、
Nを2以上の自然数としたときにN枚以上の前記区画札を重ならずに配置可能な配置領域を有する基札おもて面と、
前記配置領域の内側に前記凸部と嵌合可能なN個以上の凹部と、
を有する基札と、
を備える、
N枚の前記区画札のおもて面の色および配置によって家畜の識別情報を示すことを特徴とする、
家畜用識別標。
これにより、ユーザが、複数の色とその配置に基づくカラーコードを示す耳標を容易に作成・準備でき、耳標の運用の自由度が向上する。また、複数の色の耳標を家畜に取り付ける必要がなく家畜及び作業者の装着負担を少なくできる。
(2)
N枚の前記区画札の前記区画札おもて面の色、および/または、配置の組み合わせによって家畜の識別情報を示すことを特徴とする、
上記(1)に記載の家畜用識別標。
これにより、カラーコードのパターンの自由度を向上できる。
(3)
前記基札おもて面の色、および、N枚の前記区画札のおもて面の色の組み合わせによって家畜の識別情報を示すことを特徴とする、
上記(1)に記載の家畜用識別標。
これにより、カラーコードのパターンの自由度を向上できる。
(4)
前記N枚の区画札の隣接する2枚の区画札の間隔が空いている、
上記(1)に記載の家畜用識別標。
これにより、区画札30の画像認識の精度を向上できる。
(5)
前記基札は前記基札の方向を規定するアラインメントマーカを有する、
上記(1)に記載の家畜用識別標。
これにより、方向認識により画像認識の精度を向上できる。
(6)
前記基札の地色は、透明、白、または、黒である、
上記(1)に記載の家畜用識別標。
これにより、色補正が容易になり、画像認識の精度を向上できる。
(7)
前記N枚の区画札の区画札おもて面の色は、所定の複数の色群からそれぞれ選択される単色である、
これにより、カラーコードを生成できる。
上記(4)に記載の家畜用識別標。
(8)
前記基札は、複数の同一形状の前記凹部が所定の間隔で配列配置されている、
上記(1)に記載の家畜用識別標。
これにより、同形状による金型共通化で製造コスト削減できる。
(9)
前記基札の前記配置領域は、前記区画札全体が収まる窪みを有する、
上記(1)に記載の家畜用識別標。
これにより、家畜用識別標のおもて側全面が面一となり汚れの蓄積を防止できる。
(10)
前記取付部は前記基札の端部に設けられる、
上記(1)に記載の家畜用識別標。
これにより、家畜用識別標は、区分札側が自重で下方に移動し、回転した場合でも天地がもとに戻りやすい。
(11)
前記凹部の数はNの整数倍以上である、
上記(1)に記載の家畜用識別標。
(12)
上記(1)から(11)のいずれかに記載の家畜用識別標を含む家畜画像を取得する家畜画像取得部と、
前記家畜画像に基づいて前記家畜画像に映る家畜の識別情報を取得する家畜個体識別部と、
を備える家畜情報管理システム。
(13)
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータにより実行される家畜情報管理方法であって、
前記プロセッサに、
上記(1)から(11)のいずれかに記載の家畜用識別標を含む家畜画像を取得させるステップと、
前記家畜画像に基づいて前記家畜画像に映る家畜の識別情報を取得させるステップと、
を実行させる家畜情報管理方法。
(14)
平板形状であって、家畜に取り付け可能な取付部と、Nを2以上の自然数としたときにおもて面にN個以上の凹部と、を有する基札に取り付けて家畜用識別標を構成すための平板形状の区画札であって、
着色された区画札おもて面と、
前記凹部に嵌合する凸部を有する区画札うら面と、
を有する家畜用識別標の区画札。
(15)
平板形状であって、着色された区画札おもて面と凸部を有する区画札うら面とを有する区画札が取り付けられて家畜用識別標を構成すための基札であって、
家畜に取り付け可能な取付部と、
Nを2以上の自然数としたときにN枚の前記区画札を重ならずに配置可能な配置領域を有する基札おもて面と、
前記配置領域の内側に前記凸部と嵌合可能なN個以上の凹部と、
を有する家畜用識別標の基札。
【符号の説明】
【0089】
1 :家畜情報管理システム
10 :家畜用識別標
20 :基札
21 :基札おもて面
23 :取付部
24 :配置領域
241 :単位配置領域
25(25A、25B、25C、25D) :凹部
26 :アラインメントマーカ
30 :区画札
31 :区画札おもて面
32 :区画札うら面
33(33A、33B、33C、33D) :凸部
51 :撮像装置
52 :ユーザ端末
53 :センサユニット
54 :家畜情報管理サーバ
60 :エッジデバイス
601 :記憶部
603 :制御部
6011 :アプリケーションプログラム
6012 :家畜情報
6013 :カラーコード情報
6014 :家畜画像情報
6015 :個体家畜画像情報
6021 :個体識別数理モデル
6031 :家畜画像取得部
6032 :家畜個体識別部
6033 :登録部
6034 :入出力制御部1000 :コンピュータ
NW :ネットワーク
P :豚

【要約】
【課題】 家畜の負担が少なく、カラーコードの運用の自由度を向上し、識別性を向上できる家畜用識別標と当該家畜用識別標を用いた個体識別技術を提供する。
【解決手段】 家畜用識別標10は、平板形状の区画札30であって、着色された区画札おもて面31と、凸部を有する区画札うら面32と、を有する区画札30と、平板形状の基札20であって、前記基札20を家畜に取り付けるための取付部23と、Nを2以上の自然数としたときにN枚の前記区画札30を重ならずに配置可能な配置領域24を有する基札おもて面22と、前記配置領域21の内側に前記凸部33と嵌合可能なN個以上の凹部25と、を有する基札20と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17