(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20240826BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240826BHJP
【FI】
G06Q10/10 310
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2024045621
(22)【出願日】2024-03-21
【審査請求日】2024-03-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521102650
【氏名又は名称】株式会社JIYU Laboratories
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 泰朋
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-039639(JP,A)
【文献】特開2020-052602(JP,A)
【文献】国際公開第2019/049856(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1660640(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-2437375(KR,B1)
【文献】特開2016-031698(JP,A)
【文献】特開2008-083806(JP,A)
【文献】国際公開第2021/039175(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2023-0061769(KR,A)
【文献】特開2014-225095(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2023/0131234(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0066625(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0129462(KR,A)
【文献】学習活動端末支援Webシステム SKYMENU Cloud,DIS WORLD Digital Days 2021 Vol.2 [online] ,2021年11月24日,第2巻,pp.1-26
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研究開発を支援するための情報処理システムであって、
制御手段を備え、
前記制御手段は、
ノート表示処理部と、入力情報処理部と、材料特定部と
、ノート出力部と、非デジタル情報取得部とを備え、
前記ノート表示処理部は、ユーザが用いるユーザ端末の画面上に、前記研究開発についての研究開発材料及び研究開発手順の少なくとも一方を入力する研究開発内容記述領域を表示し、
前記入力情報処理部は、前記研究開発内容記述領域に入力された内容を取得し、
前記材料特定部は、前記入力情報処理部が取得した内容に基づいて前記研究開発に用いる研究開発材料を特定し、
前記ノート出力部は、前記研究開発内容記述領域に入力された内容を印刷用研究開発ノートとして出力するとともに、前記印刷用研究開発ノートに、前記研究開発内容記述領域に入力された内容に対応するデータにアクセスするための識別子を表示させ、
前記非デジタル情報取得部は、印刷された前記印刷用研究開発ノートに記述又は添付された後、撮影又はスキャンされた非デジタル情報を取得し、
前記ノート表示処理部は、前記ユーザ端末の画面上に、前記非デジタル情報を表示する非デジタル情報領域と、前記印刷用研究開発ノートが添付される紙のノートを特定するための紙ノート識別情報を入力する紙ノート識別情報入力領域とをさらに表示し、
前記入力情報処理部は、前記研究開発内容記述領域及び前記非デジタル情報領域に表示される内容を前記紙ノート識別情報と紐づけて記録するよう構成されており、
前記制御手段は、下記(1)及び(2)の少なくとも1つの構成をさらに備える、情報処理システム。
(1)発注処理部をさらに備え、
前記発注処理部は、前記ユーザ端末を介して前記ユーザに前記材料特定部が特定した研究開発材料の発注を提案する。
(2)アセスメント処理部をさらに備え、
前記アセスメント処理部は、前記材料特定部が特定した研究開発材料にアセスメントの対象となる対象材料が含まれていた場合に、当該対象材料のアセスメント情報を取得するとともに、前記ユーザ端末の画面上に前記アセスメント情報を提示する。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記構成(1)を備え、
前記発注処理部は、前記研究開発材料の発注の提案に際し、当該研究開発材料に関する過去の発注情報を提示する、情報処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記制御手段は、前記構成(1)を備え、
前記発注処理部は、前記ユーザが所属する組織における前記研究開発材料の在庫情報を取得し、前記在庫情報に基づいて、前記ユーザ端末を介して前記ユーザに前記研究開発材料の発注を提案する、情報処理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記制御手段は、前記構成(1)を備え、
前記発注処理部は、前記ユーザ端末に前記研究開発材料の発注候補及びその数量を提示し、前記ユーザが選択した前記発注候補及びその数量の発注を受け付ける、情報処理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記制御手段は、前記構成(2)を備え、
前記アセスメント処理部は、前記ユーザ端末を介して前記研究開発材料に対するアセスメントを実施した旨の入力を受け付けると、前記画面上にアセスメント済である旨を表示する、情報処理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記ノート表示処理部は、前記画面上に前記研究開発内容記述領域を表示する際、これらの領域に入力するべき内容のテンプレートを表示する、情報処理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記制御手段は、タイムスタンプ付与部をさらに備え、
前記タイムスタンプ付与部は、前記研究開発内容記述領域に入力された内容と、取得した前記非デジタル情報とに対し、タイムスタンプを付与する、情報処理システム。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記制御手段は、タイムスタンプ付与部をさらに備え、
前記タイムスタンプ付与部は、前記入力情報処理部が取得した前記研究開発に関する内容に対し、タイムスタンプを付与する、情報処理システム。
【請求項9】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記制御手段は、外部システム連携部をさらに備え、
前記外部システム連携部は、前記入力情報処理部が取得した内容を外部研究開発システムに送信して、前記外部研究開発システムから研究開発結果を取得し、
前記ノート表示処理部は、前記ユーザ端末の画面上に、前記研究開発結果を表示する結果領域をさらに表示する、情報処理システム。
【請求項10】
請求項1~請求項8のいずれかに記載の情報処理システムであって、
前記ノート表示処理部は、前記ユーザ端末の画面上に、タイトル領域、背景・目的領域、前記研究開発についての研究開発材料及び研究開発手順を入力する前記研究開発内容記述領域、結果領域及び結論領域を表示し、
前記ノート出力部は、前記タイトル領域、前記背景・目的領域及び前記研究開発内容記述領域に入力された内容を前記印刷用研究開発ノートとして出力し、
前記ノート表示処理部は、前記結果領域に、前記非デジタル情報を表示するよう構成されている、情報処理システム。
【請求項11】
請求項1~
請求項9のいずれかに記載の情報処理システムであって、
前記構成(1)を備え、
前記入力情報処理部は、前記ユーザ端末に入力された新しい研究開発を計画する際に作成する研究開発計画の内容を取得し、
前記材料特定部は、前記研究開発計画の内容に基づいて前記研究開発に用いる研究開発材料を特定するよう構成される、情報処理システム。
【請求項12】
請求項11に記載の情報処理システムであって、
前記制御手段は、文献情報取得部をさらに備え、
前記文献情報取得部は、取得した前記研究開発計画の内容に関連する文献情報を取得し、
前記材料特定部は、前記文献情報に基づいて前記研究開発に用いる研究開発材料を特定するよう構成される、情報処理システム。
【請求項13】
請求項1~
請求項9のいずれかに記載の情報処理システムであって、
前記制御手段は、文献情報取得部をさらに備え、
前記文献情報取得部は、取得した前記研究開発に関する内容に関連する文献情報を取得し、
前記材料特定部は、前記
文献情報に基づいて前記研究開発に用いる研究開発材料を特定するよう構成される、情報処理システム。
【請求項14】
請求項1~
請求項9のいずれかに記載の情報処理システムであって、
前記材料特定部は、前記研究開発に関する内容に文献情報が含まれている場合、当該文献情報に基づいて
前記研究開発に用いる前記研究開発材料を特定する、情報処理システム。
【請求項15】
コンピュータにより実行される、研究開発を支援するための情報処理方法であって、
ノート表示処理と、入力情報処理と、材料特定処理と
、ノート出力処理と、非デジタル情報取得処理とを行い、
前記ノート表示処理では、ユーザが用いるユーザ端末の画面上に、前記研究開発についての研究開発材料及び研究開発手順の少なくとも一方を入力する研究開発内容記述領域を表示し、
前記入力情報処理では、前記研究開発内容記述領域に入力された内容を取得し、
前記材料特定処理では、前記入力情報処理において取得した内容に基づいて前記研究開発に用いる研究開発材料を特定し、
前記ノート出力処理では、前記研究開発内容記述領域に入力された内容を印刷用研究開発ノートとして出力するとともに、前記印刷用研究開発ノートに、前記研究開発内容記述領域に入力された内容に対応するデータにアクセスするための識別子を表示させ、
前記非デジタル情報取得処理では、印刷された前記印刷用研究開発ノートに記述又は添付された後、撮影又はスキャンされた非デジタル情報を取得し、
前記ノート表示処理では、前記ユーザ端末の画面上に、前記非デジタル情報を表示する非デジタル情報領域と、前記印刷用研究開発ノートが添付される紙のノートを特定するための紙ノート識別情報を入力する紙ノート識別情報入力領域とをさらに表示し、
前記入力情報処理では、前記研究開発内容記述領域及び前記非デジタル情報領域に表示される内容を前記紙ノート識別情報と紐づけて記録し、
下記(1)及び(2)の少なくとも1つの処理をさらに行う、情報処理方法。
(1)発注処理をさらに行い、
前記発注処理では、前記ユーザ端末を介して前記ユーザに前記特定した研究開発材料の発注を提案する。
(2)アセスメント処理をさらに行い、
前記アセスメント処理では、前記特定した研究開発材料にアセスメントの対象となる対象材料が含まれていた場合に、当該対象材料のアセスメント情報を取得するとともに、前記ユーザ端末の画面上に前記アセスメント情報を提示する。
【請求項16】
研究開発を支援するためのプログラムであって、
コンピュータに、
ノート表示処理と、入力情報処理と、材料特定処理と
、ノート出力処理と、非デジタル情報取得処理とを実行させ、
前記ノート表示処理では、前記研究開発についての研究開発材料及び研究開発手順の少なくとも一方を入力する研究開発内容記述領域をユーザが用いるユーザ端末の画面上に表示させ、
前記入力情報処理では、前記研究開発内容記述領域に入力された内容を取得させ、
前記材料特定処理では、前記入力情報処理において取得した内容に基づいて前記研究開発に用いる研究開発材料を特定させ、
前記ノート出力処理では、前記研究開発内容記述領域に入力された内容を印刷用研究開発ノートとして出力させるとともに、前記印刷用研究開発ノートに、前記研究開発内容記述領域に入力された内容に対応するデータにアクセスするための識別子を表示させ、
前記非デジタル情報取得処理では、印刷された前記印刷用研究開発ノートに記述又は添付された後、撮影又はスキャンされた非デジタル情報を取得させ、
前記ノート表示処理では、前記非デジタル情報を表示する非デジタル情報領域と、前記印刷用研究開発ノートが添付される紙のノートを特定するための紙ノート識別情報を入力する紙ノート識別情報入力領域とを前記ユーザ端末の画面上にさらに表示させ、
前記入力情報処理では、前記研究開発内容記述領域及び前記非デジタル情報領域に表示される内容を前記紙ノート識別情報と紐づけて記録させ、
コンピュータに、下記(1)及び(2)の少なくとも1つの処理をさらに実行させる、プログラム。
(1)発注処理をさらに実行させ、
前記発注処理では、前記ユーザ端末を介して前記ユーザに前記特定した研究開発材料の発注を提案する。
(2)アセスメント処理をさらに実行させ、
前記アセスメント処理では、前記特定した研究開発材料にアセスメントの対象となる対象材料が含まれていた場合に、当該対象材料のアセスメント情報を取得するとともに、前記ユーザ端末の画面上に前記アセスメント情報を提示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研究開発に関する内容の入力を受け付ける情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、研究開発に関する情報を電子データ化するシステムがある。例えば、特許文献1には、研究開発としての実験に用いる実験材料、実験手順、実験結果等をデータベース化し、共有可能としたシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の研究開発支援システムは、基本的に「紙のノートを代替すること」及び「ノートの内容を共有すること」を目的として開発されており、入力された研究開発に関する内容を研究機関(研究室)の運用に活用することは考慮されていなかった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ユーザ端末に入力された研究開発に関する内容を研究機関の運用に活用することの可能な情報処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]研究開発を支援するための情報処理システムであって、制御手段を備え、前記制御手段は、入力情報処理部と、材料特定部とを備え、前記入力情報処理部は、ユーザが用いるユーザ端末に入力された研究開発に関する内容を取得し、前記材料特定部は、取得した前記研究開発に関する内容に基づいて研究開発に用いる研究開発材料を特定するよう構成されており、前記制御手段は、下記(1)及び(2)の少なくとも1つの構成をさらに備える、情報処理システム。(1)発注処理部をさらに備え、前記発注処理部は、前記ユーザ端末を介して前記ユーザに前記材料特定部が特定した研究開発材料の発注を提案する。(2)アセスメント処理部をさらに備え、前記アセスメント処理部は、前記材料特定部が特定した研究開発材料にアセスメントの対象となる対象材料が含まれていた場合に、当該対象材料のアセスメント情報を取得するとともに、前記ユーザ端末の画面上に前記アセスメント情報を提示する。
[2][1]に記載の情報処理システムであって、前記構成(1)を備え、前記発注処理部は、前記研究開発材料の発注の提案に際し、当該研究開発材料に関する過去の発注情報を提示する、情報処理システム。
[3][1]に記載の情報処理システムであって、前記制御手段は、前記構成(1)を備え、前記発注処理部は、前記ユーザが所属する組織における前記研究開発材料の在庫情報を取得し、前記在庫情報に基づいて、前記ユーザ端末を介して前記ユーザに前記研究開発材料の発注を提案する、情報処理システム。
[4][1]に記載の情報処理システムであって、前記制御手段は、前記構成(1)を備え、前記発注処理部は、前記ユーザ端末に前記研究開発材料の発注候補及びその数量を提示し、前記ユーザが選択した前記発注候補及びその数量の発注を受け付ける、情報処理システム。
[5][1]に記載の情報処理システムであって、前記制御手段は、前記構成(2)を備え、前記アセスメント処理部は、前記ユーザ端末を介して前記研究開発材料に対するアセスメントを実施した旨の入力を受け付けると、前記画面上にアセスメント済である旨を表示する、情報処理システム。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の情報処理システムであって、前記制御手段は、ノート表示処理部をさらに備え、前記ノート表示処理部は、前記ユーザ端末の画面上に、前記研究開発材料及び研究開発手順の少なくとも一方を入力する研究開発内容記述領域を表示し、前記入力情報処理部は、前記研究開発内容記述領域に入力された内容を取得し、前記材料特定部は、前記入力情報処理部が取得した内容に基づいて前記研究開発に用いる研究開発材料を特定する、情報処理システム。
[7][6]に記載の情報処理システムであって、前記ノート表示処理部は、前記画面上に前記研究開発内容記述領域を表示する際、これらの領域に入力するべき内容のテンプレートを表示する、情報処理システム。
[8][6]に記載の情報処理システムであって、前記制御手段は、ノート出力部をさらに備え、前記ノート出力部は、前記研究開発内容記述領域に入力された内容を印刷用研究開発ノートとして出力するとともに、前記印刷用研究開発ノートに、前記研究開発内容記述領域に入力された内容に対応するデータにアクセスするための識別子を表示させる、情報処理システム。
[9][8]に記載の情報処理システムであって、前記制御手段は、非デジタル情報取得部をさらに備え、前記非デジタル情報取得部は、印刷された前記印刷用研究開発ノートに記述又は添付された後、撮影又はスキャンされた非デジタル情報を取得し、前記ノート表示処理部は、前記ユーザ端末の画面上に、前記非デジタル情報を表示する非デジタル情報領域をさらに表示する、情報処理システム。
[10][8]に記載の情報処理システムであって、前記ノート表示処理部は、前記ユーザ端末の画面上に、前記印刷用研究開発ノートが添付される紙のノートを特定するための紙ノート識別情報を入力する紙ノート識別情報入力領域を表示し、前記入力情報処理部は、前記ユーザ端末に入力された研究開発に関する内容を前記紙ノート識別情報と紐づけて記録する、情報処理システム。
[11][9]に記載の情報処理システムであって、前記制御手段は、タイムスタンプ付与部をさらに備え、前記タイムスタンプ付与部は、前記研究開発内容記述領域に入力された内容と、取得した前記非デジタル情報とに対し、タイムスタンプを付与する、情報処理システム。
[12][1]に記載の情報処理システムであって、前記制御手段は、タイムスタンプ付与部をさらに備え、前記タイムスタンプ付与部は、前記入力情報処理部が取得した前記研究開発に関する内容に対し、タイムスタンプを付与する、情報処理システム。
[13][6]に記載の情報処理システムであって、前記制御手段は、外部システム連携部をさらに備え、前記外部システム連携部は、前記入力情報処理部が取得した内容を外部研究開発システムに送信して、前記外部研究開発システムから研究開発結果を取得し、前記ノート表示処理部は、前記ユーザ端末の画面上に、前記研究開発結果を表示する結果領域をさらに表示する、情報処理システム。
[14][1]~[4]のいずれかに記載の情報処理システムであって、前記構成(1)を備え、前記入力情報処理部は、前記ユーザ端末に入力された新しい研究開発を計画する際に作成する研究開発計画の内容を取得し、前記材料特定部は、前記研究開発計画の内容に基づいて前記研究開発に用いる研究開発材料を特定するよう構成される、情報処理システム。
[15][14]に記載の情報処理システムであって、前記制御手段は、文献情報取得部をさらに備え、前記文献情報取得部は、取得した前記研究開発計画の内容に関連する文献情報を取得し、前記材料特定部は、前記文献情報に基づいて、前記研究開発に用いる研究開発材料を特定するよう構成される、情報処理システム。
[16][1]~[5]のいずれかに記載の情報処理システムであって、前記制御手段は、文献情報取得部をさらに備え、前記文献情報取得部は、取得した前記研究開発に関する内容に関連する文献情報を取得し、前記材料特定部は、前記研究開発に関する内容に基づいて前記研究開発に用いる研究開発材料を特定するよう構成される、情報処理システム。
[17][1]~[5]のいずれかに記載の情報処理システムであって、前記材料特定部は、前記研究開発に関する内容に文献情報が含まれている場合、当該文献情報に基づいて前記研究開発材料を特定する、情報処理システム。
[18]研究開発を支援するための情報処理方法であって、入力情報処理と、材料特定処理とを行い、前記入力情報処理では、ユーザが用いるユーザ端末に入力された研究開発に関する内容を取得し、前記材料特定処理では、取得した前記研究開発に関する内容に基づいて研究開発に用いる研究開発材料を特定し、下記(1)及び(2)の少なくとも1つの処理をさらに行う、情報処理方法。(1)発注処理をさらに行い、前記発注処理では、前記ユーザ端末を介して前記ユーザに前記特定した研究開発材料の発注を提案する。(2)アセスメント処理をさらに行い、前記アセスメント処理では、前記特定した研究開発材料にアセスメントの対象となる対象材料が含まれていた場合に、当該対象材料のアセスメント情報を取得するとともに、前記ユーザ端末の画面上に前記アセスメント情報を提示する。
[19]研究開発を支援するためのプログラムであって、コンピュータに、入力情報処理と、材料特定処理とを実行させ、前記入力情報処理では、ユーザが用いるユーザ端末に入力された研究開発に関する内容を取得し、前記材料特定処理では、取得した前記研究開発に関する内容に基づいて研究開発に用いる研究開発材料を特定し、コンピュータに、下記(1)及び(2)の少なくとも1つの処理をさらに実行させる、プログラム。(1)発注処理をさらに実行させ、前記発注処理では、前記ユーザ端末を介して前記ユーザに前記特定した研究開発材料の発注を提案する。(2)アセスメント処理をさらに実行させ、前記アセスメント処理では、前記特定した研究開発材料にアセスメントの対象となる対象材料が含まれていた場合に、当該対象材料のアセスメント情報を取得するとともに、前記ユーザ端末の画面上に前記アセスメント情報を提示する。
【0007】
本発明によれば、入力情報処理部が取得した研究開発に関する内容に対し、材料特定部が研究開発に用いる研究開発材料を特定し、発注処理部による当該研究開発材料の発注の提案やアセスメント処理部によるアセスメント情報の取得・提示を行うことで、取得した研究開発に関する内容を研究機関の運用に活用することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理システムSYSの全体構成を示す図である。
【
図2】
図2Aは、
図1の情報処理システムSYSのサーバ100のハードウェア構成を示すブロック図であり、
図2Bは、同情報処理システムSYSのユーザ端末200のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2Aのサーバ100の制御手段1の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1のユーザ端末200の表示手段205に、電子実験ノートENの初期画面が表示された状態を示す画面例である。
【
図5】表示手段205に、電子実験ノートENの一覧画面D1が表示された状態を示す画面例である。
【
図6】表示手段205に、タイトル領域A1、背景・目的領域A2、試薬領域A3及び手順領域A4に必要な情報が入力された電子実験ノートENが表示された状態を示す画面例である。
【
図7】表示手段205に、試薬の発注画面D2が表示された状態を示す画面例である。
【
図8】表示手段205に、アセスメント情報を表示したアセスメント情報提示画面D3が表示された状態を示す画面例である。
【
図9】表示手段205に、電子実験ノートENの変更履歴CHが表示された状態を示す画面例である。
【
図10】表示手段205に、リスクアセスメントが完了した電子実験ノートENが表示された状態を示す画面例である。
【
図11】ノート出力部15によって出力される印刷用実験ノートPNの内容を示す画面例である。
【
図12】表示手段205に、結果領域A5及び結論領域A6にも必要な情報が入力された電子実験ノートENが表示された状態を示す画面例である。
【
図13】
図1の情報処理システムSYSが実験ノート機能により実験を支援するための情報処理方法を示すフローチャートである。
【
図14】本発明の第2実施形態に係る情報処理システムSYSのサーバ100の制御手段1の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0010】
1.第1実施形態
1.1 情報処理システムSYSの全体構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る情報処理システムSYSの全体構成を示す図である。本実施形態の情報処理システムSYSは、研究開発としての生物・化学系の実験を支援するためのシステムであり、従来用いられてきた紙のノート(いわゆる実験ノート)とともに用いて研究機関の運用に活用することが想定されたシステムである。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の情報処理システムSYSは、具体的には、サーバ100と、ユーザ端末200とがネットワークNを介して接続されることで構成される。ここで、ユーザ端末200は、実験を行う者(ユーザU)が紙のノートとともに用いる端末である。また、サーバ100は、ユーザ端末200からの要求(入力)に応じ、所定のレスポンス(出力)を生成する装置である。加えて、ネットワークNは、インターネット、イントラネット、無線LAN、移動通信等の双方向の通信回線である。ネットワークNには、本実施形態の情報処理システムSYSが利用する外部のシステムとして、外部発注システム300及び外部研究開発システムとしてのラボオートメーションシステム400も接続されている。以下、各構成について具体的に説明する。
【0012】
1.2 サーバ100のハードウェア構成
図2Aは、サーバ100のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2Aに示すように、サーバ100は、具体的には、制御手段1と、記憶手段2と、通信手段3とを備える。
【0013】
制御手段1は、CPU(Central Processing Unit)等の1以上のプロセッサで構成され、記憶手段2に記憶された所定のプログラムを実行することにより、サーバ100全体の動作を制御する。なお、制御手段1は、GPU(Graphics Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等の他のプロセッサを含んでいてもよい。また、制御手段1の少なくとも一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路であっても良い。
【0014】
記憶手段2の一部は、例えば、RAM(Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成されており、制御手段1による各種プログラムに基づく処理の実行時のワークエリア等として用いられる。また、記憶手段2の一部は、例えば、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)であり、各種データ及び制御手段1の処理に利用されるプログラム等を保存する。なお、記憶手段2の少なくとも一部は、外部クラウドや分散ストレージから構成されていても良い。
【0015】
記憶手段2に記憶されるプログラムは、例えば、サーバ100の基本的な機能を実現するためのOS(Operating System)、各種ハードウェア制御するためのドライバ、各種機能を実現するためのプログラム等であって、本実施形態に係るコンピュータプログラムを含む。
【0016】
通信手段3は、例えばNIC(Network Interface Controller)であり、ネットワークNに接続する機能を有する。なお、通信手段3は、NICに代えて又はNICと共に、無線LAN(Local Area Network)に接続する機能、無線WAN(Wide Area Network)に接続する機能、例えばBluetooth(登録商標)等の近距離の無線通信、及び赤外線通信等を可能とする機能を有してもよい。サーバ100は、ネットワークNを介してユーザ端末200や外部発注システム300、ラボオートメーションシステム400(
図1参照)等と接続され、各種データの送受信を行うことができる。
【0017】
これら制御手段1、記憶手段2及び通信手段3は、バス4を介して相互に電気的に接続されている。したがって、制御手段1は、記憶手段2へのアクセス及び通信手段3を介して、ユーザ端末200や外部発注システム300、ラボオートメーションシステム400等との通信等を行うことができる。
【0018】
なお、サーバ100は、
図2に示すような1つの装置によって構成される必要はなく、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてもよい。また、記憶手段2が記憶する各種データ(情報)も、図示のように1つのデータベースで構成される必要はなく、分散データベースによって構成されても良い。
【0019】
1.3 ユーザ端末200のハードウェア構成
図2Bは、ユーザ端末200のハードウェア構成を示すブロック図である。ユーザ端末200は、研究開発を実施するユーザUが用いる端末であり、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォンやタブレット端末等の情報処理端末とされる。
図2Bに示すように、ユーザ端末200は、具体的には、制御手段201と、記憶手段202と、通信手段203と、入力手段204と、表示手段205とを備える。これらの各構成は、バス206を介して相互に電気的に接続されている。
【0020】
制御手段201、記憶手段202及び通信手段203の一般的な構成は、上述したサーバ100のものと同じであるため、その説明を省略する。
【0021】
入力手段204は、ユーザUの入力を受け付ける装置であり、マウス、キーボード、タッチパネル等の各種入力手段で構成される。表示手段205は、液晶ディスプレイやタッチパネルディスプレイ等であり、ユーザUに対し画像等を表示する。
【0022】
1.4 サーバ100(制御手段1)の機能構成
図3に示すように、サーバ100の制御手段1は、ノート表示処理部10と、入力情報処理部11と、材料特定部12と、発注処理部13と、アセスメント処理部14と、ノート出力部15と、非デジタル情報取得部16と、タイムスタンプ付与部17と、外部システム連携部18とを備える。本実施形態の情報処理システムSYSは、これらの機能構成により、ユーザ端末200上で実験ノート機能を実現するよう構成される。なお、本実施形態において、実験ノート機能はWebアプリケーションとして提供される。以下、各機能構成について説明する。
【0023】
ノート表示処理部10は、
図4に示すように、ユーザ端末200の表示手段205に表示される画面上に、タイトル領域A1、背景・目的領域A2、試薬領域A3、手順領域A4、結果領域A5及び結論領域A6を含む電子実験ノートENを表示するよう構成される。また、本実施形態のノート表示処理部10は、画面上に紙ノート識別情報入力領域A7も表示する。電子実験ノートENの各要素の詳細については、後述する。
【0024】
入力情報処理部11は、ユーザUが用いるユーザ端末200に入力された実験に関する内容を取得する。具体的には、入力情報処理部11は、ユーザ端末200の表示手段205に表示される画面上の、少なくとも試薬領域A3及び手順領域A4(
図4参照)に入力された内容を取得し、サーバ100の記憶手段2に記録する。
【0025】
材料特定部12は、入力情報処理部11が取得した実験に関する内容に基づいて、研究開発材料としての実験に用いる実験材料を特定するよう構成される。具体的には、材料特定部12は、入力情報処理部11が取得したユーザ端末200の表示手段205に表示される画面上の試薬領域A3及び手順領域A4に入力された内容(文字列)を解析し、当該文字列に含まれる実験材料(試薬や実験に用いる備品等)を特定する。材料特定部12による実験材料の特定は、例えば、上記文字列とサーバ100の記憶手段2に記憶されている実験材料についてのデータベースとを突合することで行うことができる。また、実験材料は、Web上の実験材料データベース(図示せず)等を照会して特定するようにしても良い。さらに、材料特定部12は、特定のデータベースを照会することなく、試薬領域A3及び手順領域A4に入力された内容を所定のプロンプトとともに生成AIに入力し、生成AIを用いて実験材料を特定することも可能である。なお、特定された実験材料の情報は、記憶手段2に記録される。
【0026】
発注処理部13は、ユーザ端末200を介して、ユーザUに材料特定部12が特定した実験材料の発注を提案するよう構成される。具体的には、発注処理部13は、ユーザUが所属する組織が管理するデータベースから当該組織の実験材料の在庫情報が取得できる場合は、当該在庫情報に基づいて実験材料の発注を提案する。実験材料の発注の提案は、例えば、実施予定の実験に用いる実験材料が不足している場合や少なくなっている場合に、ユーザ端末200の表示手段205上にその旨を表示することでなされる。
【0027】
また、本実施形態において、発注処理部13は、実験材料の発注の提案に際し、提案する実験材料に関する過去の発注情報を提示するよう構成される。過去の発注情報は、上述した組織が管理するデータベースに記憶されている場合は当該データベースから取得してもよく、また、上述した組織の過去の発注情報をサーバ100の記憶手段2が記憶しておき、当該記憶した情報を記憶手段2から読み出して取得しても良い。なお、実験材料の発注の具体的な処理については、後述する。
【0028】
アセスメント処理部14は、材料特定部12が特定した実験材料に、リスクアセスメントの対象となる対象材料としての試薬が含まれていた場合に、当該試薬のアセスメント情報を取得するとともに、
図8に示すように、ユーザ端末200の表示手段205上にアセスメント情報を提示するよう構成される。図示例では、アセスメント情報として、代表的なリスクの情報に加え、化学物質名、CAS登録番号(CAS RN:登録商標)、分子式、物性を示すテーブルTが表示されている。ただし、テーブルTには、これら以外の項目も表示させてもよく、一部の項目は省略しても良い。また、テーブル形式(表形式)ではなく、文章、図等、他の方式で表示させることも可能である。実験材料にリスクアセスメントの対象となる試薬が含まれているかどうか及びその試薬のアセスメント情報は、サーバ100の記憶手段2に記憶されている各試薬についてのアセスメント情報から取得してもよく、Web上の試薬データベース(図示せず)等を用いて特定するようにしても良い。
【0029】
また、アセスメント処理部14は、提示されたアセスメント情報に沿ってユーザUが試薬のリスクアセスメントを実施した後に、実施した旨の入力を受け付ける。試薬のリスクアセスメントの具体的な処理についても、後述する。
【0030】
ノート出力部15は、タイトル領域A1、背景・目的領域A2、試薬領域A3及び手順領域A4に各内容が入力された実験前の状態(結果領域A5及び結論領域A6は空欄の状態)の電子実験ノートENを、
図11に示すように、一枚の紙に印刷するための印刷用実験ノートPN(特許請求の範囲における印刷用研究開発ノート)として出力する。ここで、印刷用実験ノートPNには、記憶手段2に記録された電子実験ノートENのうち、対応する電子実験ノートENにアクセスするための識別子として、当該電子実験ノートENのリンクが登録されたQRコード(登録商標)Qが付加される。ただし、識別子はQRコードQに限られるわけではなく、バーコード等の他の二次元コードであっても良い。さらに、識別子として、英数字等の文字列を用いることも可能である。
【0031】
また、印刷用実験ノートPNには、当該印刷用実験ノートPNが添付される紙のノートを特定するための識別情報IDも付加される。この識別情報IDは、ユーザUが印刷用実験ノートPNを添付する予定の紙のノートの冊数を記入したなお、印刷用実験ノートPNは、印刷して紙の実験ノートに貼り付けて用いることが想定される。印刷用実験ノートPNの具体的な使い方については、後述する。
【0032】
非デジタル情報取得部16は、印刷された印刷用実験ノートPNの結果領域A5に実験結果を記述又は添付した後、撮影又はスキャンされた当該印刷用実験ノートPNのデータ(非デジタル情報)を取得するよう構成される。ここで、撮影又はスキャンによるデータの取得は、印刷された印刷用実験ノートPNのうち結果領域A5のみを対象として行ってもよく、印刷用実験ノートPN全体を対象として行っても良い。
【0033】
なお、印刷用実験ノートPNの撮影又はスキャンは、ユーザ端末200がカメラを備える場合は当該カメラで行うことができる。また、ユーザ端末200がカメラを備えていない場合には、ユーザ端末200と接続又はユーザ端末200に取り込み可能なカメラ又はスキャナにより印刷用実験ノートPNの撮影又はスキャンを行うようにしても良い。
【0034】
タイムスタンプ付与部17は、試薬領域A3及び手順領域A4に入力された内容と、結果領域A5に入力された内容(非デジタル情報を含む)に対し、タイムスタンプを付与するよう構成される。ここで、タイムスタンプの付与は、ユーザUが行った各領域への編集(変更)ごとに付与し、
図9に示すように、変更履歴CHとしてユーザ端末200の表示手段205に表示することが好ましい。図示例では、「12月6日、10:02のバージョン」が選択され、表示されたものが開示されている。また、タイムスタンプは、ある日時に対応する電子データが存在していたこと及びある日時以降に電子データの内容に改ざんがないことを公的に証明するため(存在証明及び非改ざん証明のため)、外部の公的な認証機関の認証を受けるようにすることが好ましい。なお、タイムスタンプは、タイトル領域A1、背景・目的領域A2及び結論領域A6に入力された内容に対しても付与するようにしても良い。
【0035】
外部システム連携部18は、試薬領域A3及び手順領域A4に入力された内容をラボオートメーションシステム400に送信して、ラボオートメーションシステム400から研究開発結果を取得するよう構成される。ここで、ラボオートメーションシステム400は、ロボットに試薬の混合等の作業及び実験結果データの取得・保存等を行わせ、実験結果を報告するサービスを提供するものである。外部システム連携部18は、ラボオートメーションシステム400と連携し、自動的に実験結果を取得するようになっている。取得した実験結果は、結果領域A5にインポートされるようにしてもよく、別の領域(別ウィンドウ)に表示させ、ユーザUに手動で入力(転記)させるようにしても良い。
【0036】
なお上述した各機能構成は、サーバ100に適宜インストールされるソフトウェア(いわゆるアプリを含む)によって実現してもよく、ハードウェアによって実現してもよい。ソフトウェアによって実現する場合、制御手段1がソフトウェアを構成するプログラムを実行することによって各種機能を実現することができる。また、単一のソフトウェアではなく、複数のソフトウェアによって実現されていても良い。
【0037】
プログラムを実行することで実現される場合、当該プログラムは、サーバ100が内蔵する記憶手段2に格納してもよく、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体に格納してもよい。また、外部の記憶装置に格納されたプログラムを読み出し、いわゆるクラウドコンピューティングにより実現してもよい。もしくは、ハードウェアによって実現する場合、ASIC、SOC、FPGA、又はDRPなどの種々の回路によって実現することができる。また、上述した機能構成のうちの少なくとも一部の機能構成を、ソフトウェア又はハードウェアによって、入力を受け付けるユーザ端末200等で処理されるようにしてもよい。
【0038】
また、上述した機能構成は、複数のコンピュータによって実現してもよく、その場合、上述した各機能構成は、複数のコンピュータに分散して配置してもよい。
【0039】
1.5 情報処理システムSYSによる情報処理方法
以下、
図4~
図12の画面例及び
図13のフローチャートを用いて、本実施形態の情報処理システムSYSが実験ノート機能により実験を支援するための情報処理方法を説明する。実験ノート機能は、上述したように、サーバ100が提供するWebサービスをユーザUが用いるユーザ端末200上で実行することで実現される。
【0040】
本実施形態の情報処理方法は、具体的には、
図13に示すように、ノート表示処理と、入力情報処理と、材料特定処理と、発注処理と、アセスメント処理と、ノート出力処理と、非デジタル情報取得処理とを実行することにより、ユーザ端末200を用いるユーザUに対して電子実験ノート機能を提供する。また、本実施形態の情報処理方法は、タイムスタンプ付与処理と、外部システム連携処理も適時に実行する。なお、これらの処理は、上記の順で実行されるとは限られない。以下、各処理について、詳細に説明する。
【0041】
<ノート表示処理>
ユーザ端末200を用いるユーザUに対して電子実験ノート機能を提供する際、まず、サーバ100の制御手段1のノート表示処理部10は、
図13に示すように、ステップS1において、ユーザ端末200の表示手段205が表示する画面上に、
図4に示す電子実験ノートENを表示する。電子実験ノートENには、上述したように、少なくともタイトル領域A1、背景・目的領域A2、試薬領域A3、手順領域A4、結果領域A5、結論領域A6及び紙ノート識別情報入力領域A7が含まれる。
【0042】
ここで、タイトル領域A1は、実施する実験のタイトルを入力するための領域であり、当該領域に入力されたタイトルが、
図5に示す一覧画面D1の見出しとして用いられる。背景・目的領域A2は、実施する実験の背景及び目的を入力するための領域である。試薬領域A3は、実験に用いられる試薬を入力するための領域である。手順領域A4は、研究開発手順としての実験の手順を入力するための領域である。なお、本実施形態では、試薬領域A3及び手順領域A4が、特許請求の範囲における研究開発内容記述領域に該当する。
【0043】
また、結果領域A5は、実施した実験の結果を入力するための領域である。本実施形態において、実験結果の少なくとも一部は、実験結果が記述又は添付された印刷用実験ノートPN(後述)を撮影又はスキャンして取得した非デジタル情報として入力される。したがって、本実施形態においては、結果領域A5は非デジタル情報を表示する非デジタル情報領域とも規定される。結果の入力機能については、後述する。また、結論領域A6は、実施した実験の結論を入力するための領域である。
【0044】
加えて、紙ノート識別情報入力領域A7は、後述する印刷用実験ノートPNを添付する予定の紙のノートを特定するための紙ノート識別情報(例えば、実験ノートの冊数)を入力するための領域である。なお、紙ノート識別情報入力領域A7に入力された内容は、実際に添付した紙のノートの冊数が変更になった場合や、ページ数まで特定できた場合には、修正・追記が可能である(
図12参照)。
【0045】
なお、ノート表示処理部10は、
図4に示すように、各領域の上部に領域を示すための見出しを表示するとともに、各領域を表示する際、各領域に入力するべき内容のテンプレートを表示するようになっている。なお、テンプレートは、ユーザUにより編集することが可能である。
【0046】
そして、ノート表示処理部10は、
図6に示すように、上述したタイトル領域A1、背景・目的領域A2、試薬領域A3、手順領域A4、結果領域A5、結論領域A6及び紙ノート識別情報入力領域A7への、ユーザUによるユーザ端末200の入力手段204を介した入力を受け付ける。ただし、結果領域A5及び結論領域A6への入力は、通常、後述するステップS9の非デジタル情報取得処理の後になる。
【0047】
<入力情報処理>
次に、制御手段1の入力情報処理部11は、ステップS2において、少なくとも試薬領域A3及び手順領域A4に入力された内容を取得する。また、入力情報処理部11は、これら試薬領域A3及び手順領域A4に入力された内容を、紙ノート識別情報入力領域A7に入力された紙ノート識別情報と紐づけて記録する。
【0048】
<材料特定処理>
次に、制御手段1の材料特定部12は、ステップS3において、試薬領域A3及び手順領域A4に入力された内容から、実験に用いられる実験材料を特定する。
<発注処理>
そして、特定した実験材料について、次のステップS4において、制御手段1の発注処理部13は、発注が必要かどうかを判断する。発注が必要かどうかは、組織の実験材料の在庫情報や過去の発注情報に基づいて、自動的に又はユーザUに判断させることで決定される。発注が必要と判断された場合は、次のステップS5において発注処理を行う。一方、発注が不要と判断された場合は、ステップS6に進む。
【0049】
発注が必要と判断された場合、ステップS5において、発注処理部13は、ユーザ端末200を介してユーザUに材料特定部12が特定した実験材料の発注を提案する。ここで、発注処理部13は、実験材料の発注の提案に際し、提案する実験材料に関する過去の発注情報を提示する。
【0050】
加えて、発注処理部13は、
図7に示すように、ユーザ端末200の表示手段205上に実験材料の発注候補(入手可能な商品の候補)及びその数量X1,X2を含んだ発注画面D2を提示し、ユーザUが選択した実験材料の発注候補及びその数量の発注を受け付けて、発注ボタンB1の押下により、外部発注システム300と連携して当該実験材料の発注を実行する。なお、発注画面D2は、自動的に表示されるようにしても良く、
図6等に示すボタンB6を押下することにより表示されるようにしても良い。また、発注候補は、同じ実験材料について複数の商品がある場合は、所定の基準でそれらの商品を列挙し、ユーザUが選択できるようにすることが好ましい。ただし、ユーザUが試薬領域A3や手順領域A4に商品名、品番等まで特定している場合は、該当する商品のみを提示することも好適である。
【0051】
なお、実際の発注は、外部のECサービスやオンラインモール等と連携して行うことが好ましい。また、発注の際、匿名配送サービスを介して、匿名で発注を行えるようにすることも好適である。これにより、実験材料の販売者に発注内容からどのような実験を行うかを推測されてしまうことを防止することが可能となる。
【0052】
なお、実験材料の発注が実行された場合、当該発注情報は記憶手段2に記録され、次回の発注の際に読み出せるようになっている。実験材料の発注が終了したら、次のステップS6に進む。なお、実験材料の在庫がなかった場合、次のステップS6は当該実験材料が入手できてから実行されることになる。
【0053】
<アセスメント処理>
次に、ステップS6において、制御手段1のアセスメント処理部14は、実験前にリスクアセスメントが必要かどうかを判断する。本実施形態において、アセスメント処理部14によるリスクアセスメントが必要かどうかの判断は、ユーザUによる試薬領域A3への入力の完了後、ユーザUが
図6に示す電子実験ノートENの「実験前アセスメント」ボタンB2を押下することで実行される。ただし、試薬領域A3への入力と同時に自動で実行するようにしても良い。
【0054】
また、リスクアセスメントが必要かどうかは、具体的には、材料特定部12が特定した実験材料にリスクアセスメントの対象となる試薬が含まれているかどうかで判断する。リスクアセスメントが必要と判断された場合は、次のステップS7においてアセスメント処理を行う。一方、リスクアセスメントは不要と判断された場合は、ステップS8に進む。
【0055】
リスクアセスメントが必要と判断された場合、ステップS7において、アセスメント処理部14は、該当する試薬のアセスメント情報を取得するとともに、
図8に示すように、ユーザ端末200の表示手段205上にアセスメント情報を提示する。そして、アセスメント処理部14は、提示されたアセスメント情報に基づいてユーザUが試薬のリスクアセスメントを実施した後に、実施した旨の入力を受け付ける。具体的には、
図8に示すように、アセスメント情報を提示するためのアセスメント情報提示画面D3には、指導担当者(先生等)にレポートを送信するための「先生にレポートを送信」ボタンB3が配置される。そして、当該ボタンB3を押下すると、アセスメント処理部14は、指導担当者にリスクアセスメントを実施した旨のレポートを送信するとともに、表示手段205の電子実験ノートENにアセスメント済である旨を表示するようになっている(
図10のマークM参照)。
【0056】
<ノート出力処理>
次に、ステップS8において、制御手段1のノート出力部15は、
図11に示す印刷用実験ノートPNを出力する。ユーザUは、これを印刷することで、実際の実験時に持参して実験結果を記入するための用紙とすることができる。なお、印刷用実験ノートPNの出力は、
図10に示すように、電子実験ノートENに表示される印刷ボタンB4を押下することで実行される。
【0057】
<非デジタル情報取得処理>
ユーザUが実験結果を上記用紙に記入した後は、ユーザUが当該用紙を撮影又はスキャンする。そして、ステップS9において、非デジタル情報取得部16は、撮影又はスキャンした画像から、結果領域A5に相当する位置に記載された内容(非デジタル情報)を取得し、ノート表示処理部10が当該内容を結果領域A5に表示する(
図12参照)。ユーザUは最後に、結論領域A6に結論を入力することで、実施した実験についての実験ノートを完成させることができる。
【0058】
<タイムスタンプ付与処理>
なお、本実施形態の情報処理方法では、各ステップにおけるノート表示処理部10による各領域A1~A6への入力について、タイムスタンプ付与部17がタイムスタンプ(変更履歴CH)を付与するようになっている。ここで、タイムスタンプの付与は、ユーザUが行った各領域への編集(変更)ごとに付与し、
図9に示すように、変更履歴CHとしてユーザ端末200の表示手段205に表示することが可能である。図示例では、「12月6日、10:02のバージョン」が選択され、表示されたものが開示されている。なお、変更履歴CHは、
図6,10,12等に示すように、電子実験ノートENに表示される履歴表示ボタンB5を押下することで実行される。
【0059】
<外部システム連携処理>
また、本実施形態の情報処理方法では、ユーザUが実際の実験を行うことに代えて、またはユーザUが行う実験に加えて、外部システム連携部18が外部のラボオートメーションシステム400と連携することにより、少なくとも一部の実験結果を自動的に取得することも可能になっている。この場合、取得した実験結果は、結果領域A5に取り込むことが可能である。
【0060】
1.6 作用効果
(1)本実施形態に係る情報処理システムSYSによれば、材料特定部12が電子実験ノートENの試薬領域A3及び手順領域A4に入力された内容から実験に用いる実験材料を特定し、特定した実験材料について、発注処理部13が発注を提案し、アセスメント処理部14が実験材料のうち所定の試薬についてアセスメント情報を提示するよう構成されている。このような構成により、本実施形態に係る情報処理システムSYSは、ユーザUが電子実験ノートENを自然に使用する中で、ユーザUに研究機関の運用に必要な発注とリスクアセスメントを行わせることが可能となっている。これにより、わざわざ外部のサイト等にアクセスして発注やリスクアセスメント情報の確認を行わなくて良くなり、例えば、リスクアセスメントを怠り事故を発生させたり、健康被害を起こしたりすることを回避することが可能となっている。
【0061】
(2)本実施形態に係る情報処理システムSYSは、発注処理部13による実験材料の発注の提案に際し、ユーザUが所属する組織の過去の発注情報及び同組織の在庫情報を提示するよう構成されている。さらに、発注処理部13は、ユーザ端末200に発注候補及びその数量を含んだ発注画面D2を提示し、外部発注システム300と連携して当該実験材料の発注を実行するよう構成されている。このような構成により、組織に所属して間もないユーザUや実験に慣れてないユーザUであっても、実験に用いる実験材料を適切に発注することが可能となっている。また、同組織に長く所属しているユーザUや実験に慣れているユーザUであっても、発注間違いを防止し、また、在庫がなくなってから発注をして到着まで待つことを回避することが可能となっている。
【0062】
(3)本実施形態に係る情報処理システムSYSは、アセスメント処理部14が実験に用いる試薬についてアセスメントを実施した旨の入力を受け付けると、画面上にアセスメント済である旨を表示するようになっている。これにより、ユーザUの指導担当者やその他実験に関与する者が、リスクアセスメントを実施したかどうかを容易に判断することが可能となっている。なお、近年では、法令により、組織の上長等が所属組織に対してアセスメントの実態を報告するという煩わしい業務が発生している。この点、本実施形態に係る情報処理システムSYSを用いることで、組織の上長等がリスクアセスメントを実施しているという情報を簡単に取得できるようになり、上記報告業務の一部を簡易化することも可能となっている。
【0063】
(4)本実施形態に係る情報処理システムSYSは、ノート表示処理部10が、ユーザ端末200が表示する画面上に、タイトル領域A1、背景・目的領域A2、試薬領域A3、手順領域A4、結果領域A5及び結論領域A6を含む電子実験ノートENを表示し、これらの領域への入力手段204を介した入力を受け付けるようになっている。これにより、従来は紙の実験ノートに記載していた内容を電子実験ノートENに記載し、実験ノートを電子的に保存することが可能となっている。そして、実験ノートを電子的に保存することで、例えば
図5の一覧画面D1の検索ボックスSBにキーワードを入力し、保存された内容を検索することも可能となっている。大量の紙の実験ノートから必要な情報を探し出すのは大きな労力がかかるが、電子的な保存により、検索コストを大幅に削減することが可能となっている。さらに、電子的に保存することで、一度入力した内容についてはゼロから入力しなくても、コピーして再利用することも可能となっている。
【0064】
(5)本実施形態のノート表示処理部10は、電子実験ノートENを表示する際、各領域に入力するべき内容のテンプレートを表示するようになっている。これにより、初めて実験を行うユーザUや初めて実験ノート機能を使うユーザUでも、必要な内容を適切に入力することが可能となっている。必要な情報を実験ノートに記載しなかった場合、研究開発を引き継いだ後任者による実験の再現が困難になるという問題が生じるが、共通のテンプレートを用いることで、確実に必要な情報を入力させることができ、このような問題を解消することも可能となっている。
【0065】
(6)本実施形態に係る情報処理システムSYSにおいては、ノート出力部15が印刷用実験ノートPNを出力するようになっている。当該印刷用実験ノートPNを印刷することにより、ユーザUは、実際の実験時に持参して実験結果を記入するための用紙とすることができる。ここで、実験を実際に行う実験室等は、PCやタブレット端末等のユーザ端末200を持ち込むと汚損のおそれがあるが、印刷用実験ノートPNを印刷して実験室等持ち込むことで、そのようなリスクを避けるとともに、文字に加えて図や挿絵、化学構造式等を手軽になぐり書きすることが可能となっている。さらに、本実施形態のノート出力部15は当該印刷用実験ノートPNに対応する電子実験ノートENへのリンクが登録されたQRコードQを付加するようになっている。これにより、ユーザUに加え、ユーザUの指導担当者やその他実験に関与する者がQRコードQをスキャンすることで、対応する電子実験ノートENに容易にアクセスすることが可能となっている。これは例えば、ユーザUが卒業又は転職等により組織から離れた場合に、指導担当者やユーザUから研究開発を受け継いだ者がデータベースにアクセスする場合に特に有益である。
【0066】
(7)本実施形態に係る情報処理システムSYSでは、印刷した印刷用実験ノートPNに記述又は添付された実験結果を非デジタル情報取得部16が取得し、ノート表示処理部10が当該情報を結果領域A5に表示するよう構成される。これにより、実施した実験についての実験ノートを簡単に作成することが可能となっている。また、実験結果が画像データとして取り込まれるため、後述するタイムスタンプの付与と合わせて、後から偽造することを防止することも可能となっている。
【0067】
(8)本実施形態に係る情報処理システムSYSは、ノート表示処理部10が紙ノート識別情報入力領域A7を表示し、当該領域に印刷用実験ノートPNを添付する予定の紙のノートを特定するための紙ノート識別情報を入力させるようになっている。このような構成によってユーザUに印刷用実験ノートPNを添付する予定の紙のノートの情報を入力してもらうことで、その後、電子実験ノートENを閲覧した際に、紙ノート識別情報から紙のノートを特定し、内容を確認することが可能となっている。これにより、例えば電子化しにくい添付物が紙のノートに添付されている場合や、実験結果をスキャン又は撮影しておらず電子化がなされていない場合でも、紙のノートを参照してその情報を確認することが可能となっている。
【0068】
(9)本実施形態に係る情報処理システムSYSは、タイムスタンプ付与部17が少なくとも試薬領域A3、手順領域A4及び結果領域A5に入力された内容に対し、タイムスタンプを付与するよう構成される。これにより、各領域に入力された内容の存在証明及び非改ざん証明をすることが可能である。また、本実施形態のタイムスタンプ付与部17は、ユーザUが行った各領域への編集(変更)ごとにタイムスタンプを付与することで、変更履歴CHとしてユーザ端末200の表示手段205に表示することも可能となっている。電子実験ノートENを任意の日時の状態に戻すことや、任意の日時における電子実験ノートENの内容を確認することも可能である。
【0069】
(10)本実施形態に係る情報処理システムSYSは、外部システム連携部18がラボオートメーションシステム400と連携して、試薬領域A3及び手順領域A4に入力された内容をラボオートメーションシステム400に送信しラボオートメーションシステム400から研究開発結果を取得して結果領域A5に表示させることも可能となっている。これにより、実験の条件設定や実行命令を電子実験ノートEN上で行うことが可能となっている。また、実験結果を専用の実験装置からUSB等に書き込み、PC等で取り込むといった一連の手間を省くことも可能となっている。さらに、ラボオートメーションシステム400が出力した実験結果を紛失することなく、適切に管理することが可能となっている。
【0070】
ところで、電子実験ノートを含む研究支援ツールは従来から存在しており、すでに活用している研究機関も存在する。一方で、例えば日本では、「紙文化」と呼ばれるように紙のノートを重視する傾向が根強く、電子実験ノートは十分に普及しているとは言えなかった。そこで、本願発明者は、紙のノートを「正」、つまり正式なものとし、電子実験ノートを「副」、つまり補助的なものとして、紙のノートを電子的に補助するツールとして、本実施形態に係る情報処理システムSYSを開発した。そして、電子実験ノートENにも紙のノートに記載すべき内容が入力できる領域を用意しておくことで、紙のノートを補助するツールとしてこの情報処理システムSYSをまず普及させつつ、徐々に紙のノートを電子実験ノートENに移行させることが可能となっている。このように、本実施形態に係る情報処理システムSYSは、研究機関における緩やかなDX(デジタルトランスフォーメーション)を可能にするものとなっている。
【0071】
2.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態に係る情報処理システムSYSについて説明する。本実施形態に係る情報処理システムSYSは、第1実施形態に係る情報処理システムSYSと類似しており、サーバ100及びユーザ端末200のハードウェア構成は同一である(
図2A及び
図2B参照)。一方、本実施形態の情報処理システムSYSは、実験ノート機能に代えてデザイン用ノート機能を備えている点で、第1実施形態に係る情報処理システムSYSと相違する。以下、本実施形態に係る情報処理システムSYSを、相違点を中心に説明する。
【0072】
2.1 サーバ100(制御手段1)の機能構成
本実施形態に係る情報処理システムSYSは、具体的には、
図14に示すように、サーバ100の制御手段1が、ノート表示処理部10と、入力情報処理部11と、材料特定部12と、発注処理部13と、タイムスタンプ付与部17と、文献情報取得部19とを備える。本実施形態の発注処理部13及びタイムスタンプ付与部17の機能は、基本的に第1実施形態のものと基本的に同じである。
【0073】
本実施形態のノート表示処理部10は、第1実施形態の電子実験ノートENに代えて、例えば、白紙の電子ノート(図示せず)を表示する。ユーザUは、新たな実験をデザインするに際し、白紙の電子ノートに研究開発に関する内容としてのメモを自由に取ることが可能である。
【0074】
入力情報処理部11は、ノート表示処理部10が表示する白紙の電子ノートに入力された内容(研究開発計画)を取得する。なお、白紙の電子ノートに入力された内容には、タイムスタンプ付与部17によりタイムスタンプが付与される。
【0075】
文献情報取得部19は、入力情報処理部11が取得した研究開発計画(実験デザイン)に関連する論文や特許文献等の文献情報を取得する。文献情報の取得は、例えば、研究開発計画として入力された文字列を適宜加工して、Web上の論文データベース及び特許データベースを照会して実行することが可能である。また、入力された文字列を加工してプロンプトを作成し、外部のLLM(大規模言語モデル)に文献情報を取得させるようにすることも可能である。
【0076】
本実施形態の材料特定部12は、文献情報取得部19が取得した文献情報に開示されている実験及びその実験材料から、研究開発計画に係る実験材料及びその分量を特定する。また、文献情報に実験材料の商品名や品番等が含まれている場合は、あわせて特定する。実験材料を特定した後は、発注処理部13により特定した実験材料の発注を実行することができる。
【0077】
2.2 作用効果
本実施形態に係る情報処理システムSYSによれば、実験ノートを作成する前段階の、新たな実験をデザインする段階において、白紙の電子ノート等に入力した内容に基づいて、文献情報取得部19が実験デザインに関連する論文や特許文献等の文献情報を取得するようになっている。そして、取得した文献情報から、材料特定部12が実験デザインに係る実験材料を特定することで、第1実施形態の情報処理システムSYSと同様、発注処理部13により特定した実験材料の発注を実行することが可能となっている。このような構成となっていることから、実験ノートを作成する前段階から、前もって必要な実験材料を準備し、早期に実験に着手することが可能となっている。また、論文などの文献から必要な情報(実験材料や実験方法など)を抽出するのは初学者や新たに取り扱う領域で研究開発を行うユーザUにとって難しいものであるが、本実施形態に係る情報処理システムSYSによれば、そのような手間を削減することが可能となっている。
【0078】
また、タイムスタンプ付与部17が白紙の電子ノートに入力された内容にもタイムスタンプを付与することで、当該内容の存在証明及び非改ざん証明をすることが可能となっている。
【0079】
3.変形例
なお、本発明は、以下の態様でも実施可能である。
【0080】
上記第1実施形態においては、ステップS4において発注が必要かどうかの判断をしてからステップS6においてアセスメントが必要かどうかの判断を行っていた。しかしながら、発注及びアセスメントが必要かどうかの判断のタイミングは同時であっても良い。発注とアセスメント判断を同時に行う場合は、例えば、発注画面D2(
図7参照)とアセスメント情報提示画面D3(
図8参照)を同じ画面に表示させ、ユーザUが必要に応じてボタン(B1、B3)を押下することで、発注やアセスメント済のレポートの送付を行うことが可能である。さらに、アセスメントが必要かどうかの判断を先に行うことも可能である。
【0081】
上記第1実施形態において、入力情報処理部11は試薬領域A3及び手順領域A4に入力された内容を実験に関する内容として取得し、当該内容に基づいて材料特定部12が実験材料を特定していた。しかしながら、入力情報処理部11は、試薬領域A3の内容のみを取得し、当該内容から実験材料を特定するようにしても良い。一方、タイトル領域A1や背景・目的領域A2に入力された内容も取得して実験材料を特定する構成としても良い。また、いずれかの領域に文献情報(例えば、論文全文のPDF等)が入力され(貼り付けされ)ている場合には、当該情報に基づいて実験材料を特定することも可能である。
【0082】
上記第1実施形態において、サーバ100の制御手段1は、発注処理部13とアセスメント処理部14をともに備えていた。しかしながら、制御手段1を発注処理部13とアセスメント処理部14のいずれか一方のみを備え、発注処理とアセスメント処理の一方のみを実行する構成とすることも可能である。いずれか一方のみを備える構成であっても、ユーザ端末200に入力された実験に関する内容を研究機関の運用に活用することが可能である。
【0083】
上記第1実施形態では、ノート表示処理部10は、ユーザ端末200の表示手段205に表示される画面上に、タイトル領域A1、背景・目的領域A2、試薬領域A3、手順領域A4、結果領域A5及び結論領域A6を含む電子実験ノートENを表示するよう構成されていた。しかしながら、電子実験ノートENに表示する領域は、このような区分でなくても良い。例えば、試薬領域A3と手順領域A4を統合して1つの領域として試薬と手順を一緒に入力させるようにしても良い。
【0084】
上記各実施形態においては、材料特定部12がサーバ100の記憶手段2やWeb上にある実験材料についてのデータベースを照会するか、あるいは生成AIを用いることで実験材料を特定するよう構成されていた。しかしながら、試薬領域A3や白紙の実験ノート等に試薬や備品等の品番等を正確に入力させるようにして、ユーザUが入力した情報のみから実験材料を特定するようにしても良い。
【0085】
上記各実施形態においては、発注処理部13がユーザUの所属する組織における在庫情報や過去の発注情報を提示するよう構成されており、ユーザUはこれらの情報に基づいて発注の要否を判断する構成であった。しかしながら、発注処理部13がそのような情報を提示することは必須ではない。すなわち、発注処理部13は、単に試薬領域A3や白紙の実験ノート等に入力された実験材料の発注を提案する構成であっても良い。
【0086】
上記実施形態の情報処理システムSYSは、その少なくとも一部がネットワークNを介して接続されるサーバ100上に構成されていたが、サーバ100はオンプレミスで構成されていても良い。また、情報処理システムSYSが備える研究開発ノート機能及びデザイン用ノート機能はWebアプリケーションとして提供されていたが、研究開発を実施するユーザUが用いる端末で実行されるソフトウェアとして提供されても良い。
【0087】
上記実施形態の情報処理システムSYSは、研究開発の1つである生物・化学系の実験を支援するためのシステムであった。しかしながら、本発明の情報処理システムSYSは、生物・化学系以外の実験やその他の研究開発の活動、例えば、機械・器具・装置等の設計・工作・試作、動植物の育成、文献・市場等の調査、数値解析(シュミレーション)等にも用いることが可能である。上記のような研究開発においても、入力情報処理部11が取得した研究開発に関する内容に対し、材料特定部12が研究開発に用いる研究開発材料を特定し、発注処理部13による当該研究開発材料の発注の提案やアセスメント処理部14によるアセスメント情報の取得・提示を行うことで、取得した研究開発に関する内容を研究機関の運用に活用することが可能である。
【0088】
なお、上述したような研究開発の活動の場合において材料特定部12が特定する材料には、上記実施形態にける試薬や実験器具等の備品、組織検体、実験動物(例えば、マウス)、微生物(例えば、大腸菌)、実験装置等の実験材料に加え、文具、書籍、日用品、情報機器、ソフトウェア、データベース、データセット、受託分析・調査・アンケートサービス等があり、研究開発に用いるあらゆる材料が含まれる。
【0089】
上記第1実施形態の情報処理システムSYSのアセスメント処理部14は、試薬についてのリスクアセスメント情報を提示するよう構成されていた。しかしながら、本発明において、アセスメントを行う対象は試薬に限定されない。例えば、研究開発を行う際に必要な環境アセスメントやその他の法律、条例、法令、外為法に基づく輸出貿易管理等、あらゆる法規制に対するアセスメントの情報を提示するようにすることも可能である。
【0090】
上記第1実施形態において、外部システム連携部18は、外部研究開発システムとしてラボオートメーションシステム400と連携するよう構成されていた。しかしながら、外部システム連携部18が連携する実験をユーザUの代わりに実行し実験結果を報告するサービスである外部研究開発システムは、実験自体は人力で行い、実験結果を報告するようなシステムであっても良い。
【0091】
上記第1実施形態において、入力情報処理部11は、試薬領域A3及び手順領域A4に入力された内容を実験に関する内容として取得し、当該内容に基づいて材料特定部12が実験材料を特定していた。しかしながら、上記第1実施形態の情報処理システムSYSが文献情報取得部19を備え、当該文献情報取得部19が試薬領域A3や手順領域A4等に記載された内容に関連する論文や特許文献等の文献情報を取得して、当該文献情報に基づいて材料特定部12が実験材料を特定するようにしても良い。
【0092】
上記第2実施形態に係る情報処理システムSYSは、新たな実験をデザインする段階において、白紙の電子ノート等に入力した内容に基づいて、文献情報取得部19が実験デザインに関連する論文や特許文献等の文献情報を取得し、材料特定部12が当該文献情報に基づいて実験材料を特定する構成であった。しかしながら、ユーザUが電子ノート等に文献情報、例えば、論文全文のPDF等を直接入力する場合には、文献情報取得部19を備えていなくても良い。このような場合であっても、材料特定部12がユーザUの入力した文献情報から実験材料を特定することで、ユーザUに研究機関の運用に必要な発注とリスクアセスメントを行わせることが可能となっている。
【符号の説明】
【0093】
1 :制御手段
2 :記憶手段
3 :通信手段
4 :バス
10 :ノート表示処理部
11 :入力情報処理部
12 :材料特定部
13 :発注処理部
14 :アセスメント処理部
15 :ノート出力部
16 :非デジタル情報取得部
17 :タイムスタンプ付与部
18 :外部システム連携部
19 :文献情報取得部
100 :サーバ
200 :ユーザ端末
201 :制御手段
202 :記憶手段
203 :通信手段
204 :入力手段
205 :表示手段
206 :バス
300 :外部発注システム
400 :ラボオートメーションシステム
A1 :タイトル領域
A2 :目的領域
A3 :試薬領域
A4 :手順領域
A5 :結果領域
A6 :結論領域
B1 :発注ボタン
B2 :ボタン
B3 :ボタン
B4 :印刷ボタン
B5 :履歴表示ボタン
CH :変更履歴
D1 :一覧画面
D2 :発注画面
D3 :アセスメント情報提示画面
EN :電子実験ノート
M2 :マーク
N :ネットワーク
PN :印刷用実験ノート
SB :検索ボックス
SYS :情報処理システム
T :テーブル
TS :タイムスタンプ
U :ユーザ
【要約】 (修正有)
【課題】ユーザ端末に入力された研究開発に関する内容を研究機関の運用に活用する情報処理システム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】サーバと、ユーザ端末と、外部発注システムと、外部研究開発システムとしてのラボオートメーションシステムとが、ネットワークを介して接続されて研究開発を支援する情報処理システムであって、サーバの制御手段1は、入力情報処理部と、材料特定部と、発注処理部と、アセスメント処理部と、を備え、入力情報処理部は、ユーザが用いるユーザ端末に入力された研究開発に関する内容を取得し、材料特定部は、取得した研究開発に関する内容に基づいて研究開発に用いる研究開発材料を特定する。
【選択図】
図3