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特許7542904システム、プログラムおよび情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】システム、プログラムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 51/02 20220101AFI20240826BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240826BHJP
【FI】
H04L51/02
G06Q50/10
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2024064075
(22)【出願日】2024-04-11
【審査請求日】2024-04-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523174354
【氏名又は名称】Spiral.AI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(74)【代理人】
【識別番号】100215267
【弁理士】
【氏名又は名称】古屋 秀人
(74)【代理人】
【識別番号】100215555
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100135530
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 智代
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雄一
(72)【発明者】
【氏名】周 涵
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2023/0316138(US,A1)
【文献】特開2022-108304(JP,A)
【文献】特開2022-082501(JP,A)
【文献】特開2021-189817(JP,A)
【文献】特開2024-000014(JP,A)
【文献】特開2022-131879(JP,A)
【文献】特許第7338839(JP,B1)
【文献】国際公開第2023/223904(WO,A1)
【文献】特開2022-161375(JP,A)
【文献】国際公開第2018/142766(WO,A1)
【文献】特開2023-162940(JP,A)
【文献】特開2021-124824(JP,A)
【文献】特開2024-034388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 51/00
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得手段と、モデル生成手段と、許諾取得手段と、権限付与手段と、回答生成手段とを備えたシステムであって、
前記取得手段は、ユーザ端末で実行されるチャットにおいて第1学習済モデルによって生成された回答を含む対話情報を取得し、
前記モデル生成手段は、取得した対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする第2学習済モデルを生成し、
前記許諾取得手段は、特定のクライアントにより前記第2学習済モデルを使用させることを許諾する旨の確認を行う確認指令を前記ユーザ端末に送信した後に前記ユーザ端末から許諾情報を受け付けることによって当該ユーザ端末を操作するユーザの許諾を取得し、
前記権限付与手段は、前記ユーザの許諾が取得された前記特定のクライアントのクライアント端末に、前記第2学習済モデルを使用することの権限を付与し、
前記回答生成手段は、前記第2学習済モデルに基づいて生成された回答を、前記権限付与手段により権限が付与された前記クライアント端末に送信する、システム。
【請求項2】
記回答生成手段は、前記権限付与手段により権限が付与された前記クライアント端末からの指示文に対し、生成された前記第2学習済モデルに基づいて回答を生成し、生成された回答を前記クライアント端末に送信する、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
ユーザ登録手段を更に備え、
前記ユーザ登録手段は、チャットを前記ユーザ端末で実行させるユーザの登録を行い、
前記モデル生成手段は、前記ユーザ登録手段により登録されたユーザ毎に前記第2学習済モデルを生成し、
前記回答生成手段は、生成されたユーザ毎の前記第2学習済モデルに基づいて生成された回答を前記クライアント端末に送信する、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
ユーザ登録手段を更に備え、
前記ユーザ登録手段は、チャットを前記ユーザ端末で実行させるユーザの登録を行い、
前記モデル生成手段は、前記ユーザ登録手段により登録されたユーザ毎に前記第2学習済モデルを生成し、
前記回答生成手段は、前記クライアント端末からのユーザ毎の指示文に対し、生成されたユーザ毎の前記第2学習済モデルに基づいて回答を生成し、生成された回答を前記クライアント端末に送信する、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
ユーザ登録手段を更に備え、
前記ユーザ登録手段は、チャットを前記ユーザ端末で実行させるユーザの登録を行い、この際にユーザの属性を設定し、
前記モデル生成手段は、ユーザの属性毎に前記第2学習済モデルを生成し、
前記回答生成手段は、生成されたユーザの属性毎の前記第2学習済モデルに基づいて生成された回答を前記クライアント端末に送信する、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
ユーザ登録手段を更に備え、
前記ユーザ登録手段は、チャットを前記ユーザ端末で実行させるユーザの登録を行い、この際にユーザの属性を設定し、
前記モデル生成手段は、ユーザの属性毎に前記第2学習済モデルを生成し、
前記回答生成手段は、前記クライアント端末からのユーザの属性毎の指示文に対し、生成されたユーザの属性毎の前記第2学習済モデルに基づいて回答を生成し、生成された回答を前記クライアント端末に送信する、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
ユーザ登録手段を更に備え、
前記ユーザ登録手段は、チャットを前記ユーザ端末で実行させるユーザの登録を行い、この際にユーザの属性を設定し、
前記モデル生成手段は、特定のユーザの対話情報および特定の属性を有するユーザの対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする第3の学習済モデルを生成する、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記ユーザ登録手段は、ユーザの属性を設定し、
前記モデル生成手段は、ユーザ毎の前記第2学習済モデルに対して、特定の属性を有するユーザの対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする第3の学習済モデルを生成する、請求項または記載のシステム。
【請求項9】
前記モデル生成手段は、ユーザの属性毎の前記第2学習済モデルに対して、特定のユーザの対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする第3の学習済モデルを生成する、請求項または記載のシステム。
【請求項10】
送信手段を更に備え、
前記取得手段は、管理者端末から特定質問の情報を取得し、
前記送信手段は、取得した特定質問を前記ユーザ端末に送信することにより前記ユーザ端末のチャットインターフェースに特定質問を出力させ、
前記取得手段が取得する対話情報は、特定質問および特定質問に対するユーザの回答を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
送信手段を更に備え、
前記取得手段が第1の前記ユーザ端末から質問を取得すると、前記送信手段は第1の前記ユーザ端末から取得した質問を第2の前記ユーザ端末に送信することにより第1の前記ユーザ端末と第2の前記ユーザ端末と間でチャットを行わせるようになっており、
前記取得手段が第1の前記ユーザ端末と第2の前記ユーザ端末との間で実行されるチャットにおける対話情報を取得すると、前記モデル生成手段は、前記取得手段が取得した対話情報も教師データとして機械学習を行わせる、請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記第1学習済モデルに対して、対話情報として特定質問を出力するようチューニングを行う、請求項1記載のシステム。
【請求項13】
報酬付与手段を更に備え、
前記報酬付与手段は、前記ユーザ端末で実行されるチャットにおける対話情報を提供したユーザに報酬を付与する、請求項1記載のシステム。
【請求項14】
評価問い合わせ手段を更に備え、
前記評価問い合わせ手段は、第1の前記ユーザ端末で実行されるチャットにおける対話情報についての評価を求める旨の通知を第2の前記ユーザ端末に送信し、
前記モデル生成手段は、第2の前記ユーザ端末から取得した評価も参照して機械学習を行わせる、請求項1記載のシステム。
【請求項15】
評価問い合わせ手段を更に備え、
前記評価問い合わせ手段は、前記第2学習済モデルの回答についての評価を求める旨の通知を第2の前記ユーザ端末に送信し、
前記モデル生成手段は、第2の前記ユーザ端末から取得した評価も参照して機械学習を行わせる、請求項1記載のシステム。
【請求項16】
評価問い合わせ手段を更に備え、
前記評価問い合わせ手段は、前記クライアント端末からの指示文に対する前記第2学習済モデルの回答についての評価を求める旨の通知を第2の前記ユーザ端末に送信し、
前記モデル生成手段は、第2の前記ユーザ端末から取得した評価も参照して機械学習を行わせる、請求項2記載のシステム。
【請求項17】
報酬付与手段を更に備え、
前記報酬付与手段は、前記ユーザ端末で実行されるチャットにおける対話情報を提供したユーザに報酬を付与し、
前記報酬付与手段により付与される報酬は、第2の前記ユーザ端末から取得した第1の前記ユーザ端末で実行されるチャットにおける対話情報の評価に基づいて決められる、請求項14記載のシステム。
【請求項18】
1または複数のコンピュータを取得手段と、モデル生成手段と、許諾取得手段と、権限付与手段と、回答生成手段として機能させるプログラムであって、
前記取得手段は、ユーザ端末で実行されるチャットにおいて第1学習済モデルによって生成された回答を含む対話情報を取得し、
前記モデル生成手段は、取得した対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする第2学習済モデルを生成し、
前記許諾取得手段は、特定のクライアントにより前記第2学習済モデルを使用させることを許諾する旨の確認を行う確認指令を前記ユーザ端末に送信した後に前記ユーザ端末から許諾情報を受け付けることによって当該ユーザ端末を操作するユーザの許諾を取得し、
前記権限付与手段は、前記ユーザの許諾が取得された前記特定のクライアントのクライアント端末に、前記第2学習済モデルを使用することの権限を付与し、
前記回答生成手段は、前記第2学習済モデルに基づいて生成された回答を、前記権限付与手段により権限が付与された前記クライアント端末に送信する、プログラム。
【請求項19】
1または複数のコンピュータにより実行される情報処理方法であって、
前記コンピュータが、ユーザ端末で実行されるチャットにおいて第1学習済モデルによって生成された回答を含む対話情報を取得する工程と、
前記コンピュータが、取得した対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする第2学習済モデルを生成する工程と、
前記コンピュータが、特定のクライアントにより前記第2学習済モデルを使用させることを許諾する旨の確認を行う確認指令を前記ユーザ端末に送信した後に前記ユーザ端末から許諾情報を受け付けることによって当該ユーザ端末を操作するユーザの許諾を取得する工程と、
前記コンピュータが、前記ユーザの許諾が取得された前記特定のクライアントのクライアント端末に、前記第2学習済モデルを使用することの権限を付与する工程と、
前記コンピュータが、前記第2学習済モデルに基づいて生成された回答を、権限が付与された前記クライアント端末に送信する工程と、
を備えた、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システム、プログラムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、利用者の質問に対してAI(人工知能)が回答するAIチャットボットサービスが増加している。例えば、特許文献1には、カスタマーサポートの場面において、AI技術を用い、利用者からの質問に回答する対話システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6218057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザ端末で行われるチャットボットの対話情報や複数のユーザ端末間でのチャットの対話情報を活用することが望まれている。
【0005】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、チャットの対話情報を活用することができるシステム、プログラムおよび情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のシステムは、
取得手段と、モデル生成手段と、回答生成手段とを備えたシステムであって、
前記取得手段は、ユーザ端末で実行されるチャットにおける対話情報を取得し、
前記モデル生成手段は、取得した対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする学習済モデルを生成し、
前記回答生成手段は、生成された前記学習済モデルに基づいて生成された回答をクライアント端末に送信することを特徴とする。
【0007】
本開示のシステムにおいて、
前記回答生成手段は、前記クライアント端末からの指示文に対し、前記学習済モデルに基づいて回答を生成し、生成された回答を前記クライアント端末に送信してもよい。
【0008】
本開示のシステムは、
権限付与手段を更に備え、
前記権限付与手段は、所定の前記クライアント端末に権限を付与し、
前記回答生成手段は、生成された前記学習済モデルに基づいて生成された回答を、前記権限付与手段により権限が付与された前記クライアント端末に送信してもよい。
【0009】
本開示のシステムは、
権限付与手段を更に備え、
前記権限付与手段は、所定の前記クライアント端末に権限を付与し、
前記回答生成手段は、前記権限付与手段により権限が付与された前記クライアント端末からの指示文に対し、生成された前記学習済モデルに基づいて回答を生成し、生成された回答を前記クライアント端末に送信してもよい。
【0010】
本開示のシステムは、
ユーザ登録手段を更に備え、
前記ユーザ登録手段は、チャットを前記ユーザ端末で実行させるユーザの登録を行い、
前記モデル生成手段は、前記ユーザ登録手段により登録されたユーザ毎に前記学習済モデルを生成し、
前記回答生成手段は、生成されたユーザ毎の前記学習済モデルに基づいて生成された回答を前記クライアント端末に送信してもよい。
【0011】
本開示のシステムは、
ユーザ登録手段を更に備え、
前記ユーザ登録手段は、チャットを前記ユーザ端末で実行させるユーザの登録を行い、
前記モデル生成手段は、前記ユーザ登録手段により登録されたユーザ毎に前記学習済モデルを生成し、
前記回答生成手段は、前記クライアント端末からのユーザ毎の指示文に対し、生成されたユーザ毎の前記学習済モデルに基づいて回答を生成し、生成された回答を前記クライアント端末に送信してもよい。
【0012】
本開示のシステムは、
ユーザ登録手段を更に備え、
前記ユーザ登録手段は、チャットを前記ユーザ端末で実行させるユーザの登録を行い、この際にユーザの属性を設定し、
前記モデル生成手段は、ユーザの属性毎に前記学習済モデルを生成し、
前記回答生成手段は、生成されたユーザの属性毎の前記学習済モデルに基づいて生成された回答を前記クライアント端末に送信してもよい。
【0013】
本開示のシステムは、
ユーザ登録手段を更に備え、
前記ユーザ登録手段は、チャットを前記ユーザ端末で実行させるユーザの登録を行い、この際にユーザの属性を設定し、
前記モデル生成手段は、ユーザの属性毎に前記学習済モデルを生成し、
前記回答生成手段は、前記クライアント端末からのユーザの属性毎の指示文に対し、生成されたユーザの属性毎の前記学習済モデルに基づいて回答を生成し、生成された回答を前記クライアント端末に送信してもよい。
【0014】
本開示のシステムは、
前記ユーザ登録手段は、チャットを前記ユーザ端末で実行させるユーザの登録を行い、この際にユーザの属性を設定し、
前記モデル生成手段は、特定のユーザの対話情報および特定の属性を有するユーザの対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする第3の学習済モデルを生成してもよい。
【0015】
本開示のシステムは、
前記ユーザ登録手段は、ユーザの属性を設定し、
前記モデル生成手段は、ユーザ毎の前記学習済モデルに対して、特定の属性を有するユーザの対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする第3の学習済モデルを生成してもよい。
【0016】
本開示のシステムにおいて、
前記モデル生成手段は、ユーザの属性毎の前記学習済モデルに対して、特定のユーザの対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする第3の学習済モデルを生成してもよい。
【0017】
本開示のシステムは、
許諾取得手段および権限付与手段を更に備え、
前記許諾取得手段は、前記ユーザ登録手段により登録されたユーザに対して特定のクライアントにより前記学習済モデルを使用させることを許諾する旨の確認を行う確認指令を前記ユーザ端末に送信した後に前記ユーザ端末から許諾情報を受け付けることによって当該ユーザ端末を操作するユーザの許諾を取得し、
前記権限付与手段は、ユーザの許諾が取得されたクライアントの前記クライアント端末に、当該ユーザに対応する前記学習済モデルを使用することの前記権限を付与し、
前記回答生成手段は、前記権限付与手段により権限が付与された前記クライアント端末からの指示文に対し、生成された前記学習済モデルに基づいて回答を生成し、生成された回答を前記クライアント端末に送信してもよい。
【0018】
本開示のシステムは、
送信手段を更に備え、
前記取得手段は、管理者端末から特定質問の情報を取得し、
前記送信手段は、取得した特定質問を前記ユーザ端末に送信することにより前記ユーザ端末のチャットインターフェースに特定質問を出力させ、
前記取得手段が取得する対話情報は、特定質問および特定質問に対するユーザの回答を含んでもよい。
【0019】
本開示のシステムは、
送信手段を更に備え、
前記取得手段が第1の前記ユーザ端末から質問を取得すると、前記送信手段は第1の前記ユーザ端末から取得した質問を第2の前記ユーザ端末に送信することにより第1の前記ユーザ端末と第2の前記ユーザ端末と間でチャットを行わせるようになっており、
前記取得手段が第1の前記ユーザ端末と第2の前記ユーザ端末との間で実行されるチャットにおける対話情報を取得すると、前記モデル生成手段は、前記取得手段が取得した対話情報を教師データとして機械学習を行わせてもよい。
【0020】
本開示のシステムにおいて、
前記チャットは、チャットボットとのチャットでもよい。
【0021】
本開示のシステムにおいて、
前記チャットボットに対して、対話情報として特定質問を出力するようチューニングを行ってもよい。
【0022】
本開示のシステムは、
報酬付与手段を更に備え、
前記報酬付与手段は、前記ユーザ端末で実行されるチャットにおける対話情報を提供したユーザに報酬を付与してもよい。
【0023】
本開示のシステムは、
評価問い合わせ手段を更に備え、
前記評価問い合わせ手段は、第1の前記ユーザ端末で実行されるチャットにおける対話情報についての評価を求める旨の通知を第2の前記ユーザ端末に送信し、
前記モデル生成手段は、第2の前記ユーザ端末から取得した評価も参照して機械学習を行わせてもよい。
【0024】
本開示のシステムにおいて、
評価問い合わせ手段を更に備え、
前記評価問い合わせ手段は、前記学習済モデルの回答についての評価を求める旨の通知を第2の前記ユーザ端末に送信し、
前記モデル生成手段は、第2の前記ユーザ端末から取得した評価も参照して機械学習を行わせてもよい。
【0025】
本開示のシステムにおいて、
評価問い合わせ手段を更に備え、
前記評価問い合わせ手段は、前記クライアント端末からの指示文に対する前記学習済モデルの回答についての評価を求める旨の通知を第2の前記ユーザ端末に送信し、
前記モデル生成手段は、第2の前記ユーザ端末から取得した評価も参照して機械学習を行わせてもよい。
【0026】
本開示のシステムは、
報酬付与手段を更に備え、
前記報酬付与手段は、前記ユーザ端末で実行されるチャットにおける対話情報を提供したユーザに報酬を付与し、
前記報酬付与手段により付与される報酬は、第2の前記ユーザ端末から取得した第1の前記ユーザ端末で実行されるチャットにおける対話情報の評価に基づいて決めてもよい。
【0027】
本開示のプログラムは、
1または複数のコンピュータを取得手段と、モデル生成手段と、回答生成手段として機能させるプログラムであって、
前記取得手段は、ユーザ端末で実行されるチャットにおける対話情報を取得し、
前記モデル生成手段は、取得した対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする学習済モデルを生成し、
前記回答生成手段は、生成された前記学習済モデルに基づいて生成された回答をクライアント端末に送信することを特徴とする。
【0028】
本開示の情報処理方法は、
1または複数のコンピュータにより実行される情報処理方法であって、
前記コンピュータが、ユーザ端末で実行されるチャットにおける対話情報を取得する工程と、
前記コンピュータが、取得した対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする学習済モデルを生成する工程と、
前記コンピュータが、生成された前記学習済モデルに基づいて生成された回答をクライアント端末に送信する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本開示のシステム、プログラムおよび情報処理方法によれば、チャットの対話情報を活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本開示の実施形態に係る例示的な情報処理システムの概略的な構成(A)と第2大規模言語モデルサーバ内の学習済モデルの例(B)を示す図である。
図2】本開示の実施形態に係る情報処理システムおよび情報処理方法において、ユーザとチャットボットとのチャット時の情報処理の流れの例を示す図である。
図3】本開示の実施形態に係る情報処理システムおよび情報処理方法において、ユーザ同士の会話時の情報処理の流れの例を示す図である。
図4】本開示の実施形態に係る情報処理システムおよび情報処理方法において、質問をユーザに投げかける際の情報処理の流れの例を示す図である。
図5】本開示の実施形態に係る情報処理システムおよび情報処理方法において、クライアント端末による情報取得時の情報処理の流れの例を示す図である。
図6】本開示の実施形態に係る情報処理方法における情報処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明するが、本開示に係る発明はこれらに限定されるものではない。図1乃至図6は、本実施形態に係る情報処理システム1および情報処理方法を示す図である。
【0032】
[情報処理システム1]
図1に示す本開示に係る情報処理システム1は、サーバ(コンピュータ)10と、ユーザ端末42と、管理者端末44と、第1大規模言語モデルサーバ(演算部)32と、第2大規模言語モデルサーバ(演算部)34と、クライアント端末46とを備えている。情報処理システム1において、各構成要素は複数あってもよい。サーバ10は、インターネット回線等の通信ネットワーク(不図示)を通じて利用できる管理サーバである。サーバ10には、通信ネットワークを介してユーザ端末42等がそれぞれ通信可能に接続される。情報処理システム1により、ユーザ同士の対話、ユーザとチャットボットとの対話、およびクライアントとチャットボットとの対話を実現するプラットフォームを提供する(図2図5)。以下、情報処理システム1の各構成要素について説明する。
【0033】
なお、「チャットボット」とは、テキストや音声等により人と対話を行うプログラムやアプリケーションをいい、特に大規模言語モデルを利用して対話を行うものであることが好ましい。「ユーザ」とは、サーバ10のプラットフォームを利用してチャットボット(例えば、後述する学習済モデルLLM32)と対話を行い、対話情報を提供する者をいう。「管理者」とはサーバ10を管理する者(法人も含む)である。「クライアント」とは、サーバ10のプラットフォームを利用してチャットボット(例えば、後述する学習済モデルLLM34等)と対話を行い、ユーザの対話情報を活用する者をいう。クライアントの典型的な事業、業務としては、アンケート作成、商品開発、旅行企画、お見合い・マッチングサービス、広告、販売等が挙げられる。このように、マーケティングや推薦システムとして学習済モデルLLM34等を利用できる。
【0034】
<サーバ(コンピュータ)10>
本開示のサーバ(コンピュータ)10の構成について図1(A)を用いて説明する。図1(A)は、本開示のサーバ10の構成を概略的に示す概略構成図である。本実施形態のサーバ10は産業用コンピュータ、パーソナルコンピュータ等から構成されており、図1(A)に示すように、制御部12と、記憶部28と、通信部30とを備えている。
【0035】
(制御部12)
制御部12は、CPU(中央演算処理装置)やGPU(画像処理装置)等で構成され、サーバ10の動作を制御する。具体的には、制御部12は、後述する記憶部28に記憶されているプログラムを実行することにより、ユーザ登録手段14と、許諾取得手段16と、権限付与手段18と、取得手段20と、送信手段22と、評価問い合わせ手段24と、報酬付与手段26等として機能する。図1(A)に示す実施形態では、サーバ10から第2大規模言語モデルサーバ34に対話情報(図2図4、「質問と回答のセット」)が送信され、第2大規模言語モデルサーバ34の制御部36がモデル生成手段38と、回答生成手段40として機能する例を示しているが、本開示はこれに限定されず、制御部12が更にモデル生成手段38と、回答生成手段40として機能してもよい。これらの各手段については後述する。なお、これらの機能は、1つ又は複数のそれぞれ独立したプログラムやアプリケーションを実行することにより発揮されてもよい。さらに、これらのプログラムやアプリケーションは、単一の端末(サーバ10)に設けられてもよいし、複数の端末(サーバ10、第2大規模言語モデルサーバ34を含む)に分散して設けられてもよく、後者の場合、有線ケーブルや通信ネットワークを介して相互に接続されてもよい。
【0036】
(記憶部28)
記憶部28は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)などで構成されている。また、記憶部28はサーバ10に内蔵されるものに限定されることはなく、サーバ10に着脱自在に装着可能な記憶媒体(例えば、USBメモリ)等であってもよい。また、記憶部28を設ける代わりに、他の記憶手段(クラウドサーバ等)に各種情報を保存してもよい。
【0037】
記憶部28は、制御部12により実行されるプログラムの他、ユーザ毎のアカウント等の登録情報や属性等のユーザ情報、クライアント毎のアカウント等の登録情報や学習済モデルの使用権限の有無等のクライアント情報、チャットボットにおいてユーザとの対話相手になるキャラクター(アバター)の情報、対話情報、指示文(プロンプト)等を記憶できるようになっている。本明細書において、「キャラクター」とは、サーバ10のプラットフォーム(チャットボット)に表れる芸能人、著名人、一般人等の個性ある実在の人や故人、またはその個性、人柄、性格等をいい、ユーザとは別の概念である。ユーザ情報には、各ユーザに対応する学習済モデル34a、34b、34c(図1(B))や使用許諾情報がさらに関連付けられてもよい。
【0038】
「対話情報」には、質問情報、回答情報などが含まれ、これらの音声情報やテキスト情報も含むことができる。ユーザ端末42からの最新の質問情報も、記憶部28に随時記憶できる。なお、本明細書において、特段の説明がない限り、「質問情報」は、ユーザ端末42またはクライアント端末46からの対話情報をいい、「回答情報」は、キャラクター(チャットボット。図2の例では第1大規模言語モデルサーバ32内の学習済モデル)からの対話情報をいう。例えば、キャラクターからの対話情報の内容がユーザに対する質問であっても、便宜上、回答情報という。
【0039】
本明細書において、「属性」とは、通常の意味通りの概念であり、複数人に共通する特徴等をいい、例として特に限定されないが、年齢(世代)、性別、血液型、家族構成、住まいの都道府県、出身地、職業、趣味趣向(習い事教室、資格講座等の継続的なことの他、他人やチャットボットと意見交換してみたい炎上ニュース等の一時的な関心事を含んでよい)、性格診断の結果等が挙げられる。「属性」は複数人をまとめる概念であるが、意見の対立が見られる場合、属性をさらに共通点が見出せるように細分化できる。例えば、趣味としての読書を、フィクションとノンフィクションのようにそれぞれのジャンルに属性化(カテゴリー化)してもよい。また、特定のスポーツにおいて集団Aと集団Bのようにユーザの好みが分かれる場合にも、属性を細分化してもよいし、集団Aの中でも特に支持する選手Xに関する属性をさらに設けてもよい。このような属性を含むユーザ情報は、対話の中から抽出できるが、対話を介さずユーザが適時に登録できる。各属性情報は、ユーザに関連付けて記憶すると、効率よくデータ(ユーザおよび当該ユーザの対応する個人モデル34a)を抽出することができ、好ましい。
【0040】
(通信部30)
通信部30は、無線または有線により制御部12を外部装置(例えば、ユーザ端末42等)と通信可能に接続するものである。制御部12は通信部30を介して外部装置に対して信号の送受信を行うことができるようになっている。
【0041】
(その他)
その他にも、管理者端末44とは別に、サーバ10には、サーバ10の管理者が制御部12に対して様々な指令を与えることができるキーボード等の操作部(入力部)、制御部12から表示指令信号を受け取ることにより様々な画面を表示するモニタ等の表示部を設けてもよい。ある実施形態では、これらの操作部および表示部が一体化したタッチパネル等の表示操作部が用いられてもよい。また、サーバ10内に第1大規模言語モデルサーバ32および第2大規模言語モデルサーバ34の学習済モデルに相当する演算部を設けてもよい。
【0042】
<第1大規模言語モデルサーバ32、第2大規模言語モデルサーバ34>
第1大規模言語モデルサーバ32および第2大規模言語モデルサーバ34は、産業用コンピュータ等のサーバである。第1大規模言語モデルサーバ32および第2大規模言語モデルサーバ34はそれぞれ、質問文を入力、回答文を出力とする学習済モデルを含み、特に大規模言語モデル(以下、第1大規模言語モデルサーバ32内の言語モデルをLLM32、第2大規模言語モデルサーバ34内の言語モデルをLLM34ともいう)や、音響モデル、WaveNetモデル等を含むことが好ましい。LLM32は、キャラクターに対する質問情報とこれらに対応するキャラクターによる回答情報を教師データとして生成される。他方、LLM34は、ユーザに対する質問情報とこれらに対応するユーザによる回答情報を教師データとして生成され(図2図4、「質問と回答のセット」)。学習方法としては特に限定されず、本出願人による特願2023-197471号等に記載の方法を用いてもよい。LLM32、34の例としては、BERT、XLNeT、T5、GPT等が挙げられ、マルチモーダルなGPT-4等が特に好ましい。LLM32、34は、本開示に係るサーバ10によるプログラムが実行されるウェブサイト(プラットフォーム)においてユーザ端末42またはクライアント端末46からの質問情報に応じて回答情報を演算する。また、LLM32、34は、回答情報の態様(テキスト、音声、動画等)を変換する機能を有してもよい。この場合、音声認識、自然言語処理等を行い、質問内容を解析した後に、質問内容に沿った回答の音声情報やテキスト情報を演算、出力することができる。また、その他の手法を採用してもよい。
【0043】
本開示において、図1(B)に示すように、LLM34として、3種類の学習済モデル34a、34b、34cを生成することができる。「個人(ユーザ)モデル34a」とは、1人のユーザに関連する学習済モデルである。「属性モデル34b」とは、1つの属性に関連する学習済モデルであり、その属性に関連する(有する)複数のユーザの対話情報(質問情報と回答情報)を基に生成される。「属性+ユーザモデル(第3モデル)34c」とは、概して、あるユーザモデルとある属性モデルを組み合わせたモデルである(第3モデル34cの場合のユーザは1人でも複数人でもよい)。
【0044】
第3モデル34cは、その教師データ(特定のユーザの対話情報と、特定の属性を有するユーザの対話情報)の学習の順序によって、図1(B)に示すように3パターンに分類することができる。「ユーザ→属性パターン34c1」では、特定のユーザの対話情報を基に学習済モデル34aを生成した後に特定の属性を有する複数のユーザの対話情報を学習させて第3モデル34c(34c1)が生成される。「属性→ユーザパターン34c2」では、特定の属性を有するユーザの対話情報を基に学習済モデル34bを生成した後に特定のユーザの対話情報を学習させて第3モデル34c(34c2)が生成される。「同時パターン34c3」では、特定のユーザの対話情報および特定の属性を有するユーザの対話情報を基に第3モデル34c(34c3)が生成される。
【0045】
「ユーザ→属性パターン34c1」及び「属性→ユーザパターン34c2」における第3モデル34cの生成は、例えばオンライン学習によって行うことができ、「同時パターン34c3」における第3モデル34cの生成は、例えばバッチ学習により行うことができるが、これに限られない。なお、バッチ学習においても、特定のユーザの対話情報の入力と特定の属性を有するユーザの対話情報の入力との間には時間差が生じ得るが、このような場合においても、これら両者の情報を入力した後に一括して学習させる場合であれば、「同時パターン34c3」に該当する。
【0046】
本開示の実施形態において、第1大規模言語モデルサーバ32は、キャラクターに関連する学習済モデルを保存し、第2大規模言語モデルサーバ34は、ユーザに関連するLLM34を保存していることを前提にしているが、第1大規模言語モデルサーバ32および第2大規模言語モデルサーバ34がどの学習済モデルを保存するかは限定されない。第1大規模言語モデルサーバ32および第2大規模言語モデルサーバ34のうち一方が全ての学習済モデルを備えてもよく、他方のサーバは情報処理システム1になくてもよい。
【0047】
<ユーザ端末42、管理者端末44、クライアント端末46>
ユーザ端末42(42a、42bも含む)、管理者端末44、クライアント端末46は、それぞれユーザ、サーバ10の管理者、クライアントによって操作される端末である。ユーザ端末42、管理者端末44、クライアント端末46としては、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、携帯端末等を含むものであるが、サーバ10と送受信可能で情報の入出力できるものであれば特に限定されない。なお、ユーザ端末42、管理者端末44、クライアント端末46はそれぞれ同一の端末である必要はなく、同一の利用者(ユーザ、管理者、クライアント)が異なるタイミングで異なる端末を用いて情報の送受信を行ってもよく、それぞれの端末が同一の登録情報(アカウント情報)によって識別されればよい。なお、本発明において、ユーザ同士の対話や学習済モデルとの対話はウェブサイトで行われることに限定されず、ユーザ端末42やクライアント端末46にインストールされたいわゆるアプリ(アプリケーションソフトウェア)によって実行されてもよい。さらに、本開示に係るプログラムはウェブサイトとアプリの双方によって実行されてもよい。
【0048】
(制御部12、制御部36の詳細)
(ユーザ登録手段14)
ユーザ登録手段14は、チャットをユーザ端末42で実行させるユーザの登録を行う。ユーザ登録手段14は、ユーザ登録の際にユーザの属性も設定(登録)できる。各ユーザに対して、複数の属性が設定されてもよい。
【0049】
本明細書において、「登録」とは、特に限定されないが、サーバ10においてユーザに識別番号等を付与しアカウントを設定することをいい、こうしてユーザはプラットフォームにおけるキャラクター(学習済モデル)との対話が可能になる。ユーザ登録手段14はクライアントに対しても同様の登録処理を行うことができる。このプラットフォームでの登録方法として、例えば、登録者(ユーザ等)が登録されたいとの所定の意思表示(例えば、管理規約の同意、氏名等の提示、身元確認を含む)を行い、その後に学習済モデルと対話可能になるアカウントや識別番号等が登録者に付与されてもよい。
【0050】
(許諾取得手段16)
許諾取得手段16は、ユーザ登録手段14により登録されたユーザに対して特定のクライアントにより学習済モデルLLM34(34a、34b、34cのうちの少なくとも1つ)を使用させることを許諾する旨の確認を行う確認指令をユーザ端末42に送信する。許諾取得手段16は、ユーザ端末42から許諾情報を受け付けることによって当該ユーザ端末42を操作するユーザの許諾を取得する。即ち、ユーザ端末42から許諾情報を受け付けると、ユーザに対応する学習済モデルの使用について許諾が取得されたと見做すことができる。ユーザによる許諾は、学習済モデル毎、クライアント毎にされてもよい。なお、ユーザ同士(第1ユーザ端末42aと第2ユーザ端末42b間)のチャットにおける対話情報を取得してLLMを作成した場合やLLM34b、34cの場合はさらに、これらのモデルの教師データとして対話情報を生成した全てのユーザの許諾も必要としてもよい。
【0051】
(権限付与手段18)
権限付与手段18は、所定のクライアント端末46に権限を付与する(図5、「アクセス権限」)。即ち、LLM34を使用することの権限を付与された所定のクライアント端末46からの指示文(質問)に対してのみ、LLM34に回答を演算(生成)させることができる。前述のように、権限付与手段18は、許諾取得手段16を介してユーザの許諾が取得(Opt-in)されたクライアントのクライアント端末46に、当該ユーザに対応する学習済モデル(34a、34b、34cのうちの少なくとも1つ)を使用することの権限を付与してもよい。
【0052】
(取得手段20)
取得手段20は、ユーザ端末42で実行されるチャットにおける対話情報を取得する。後述するように、取得手段20が第1のユーザ端末42aと第2のユーザ端末42bとの間で実行されるチャットにおける対話情報を取得すると、モデル生成手段38は、取得手段20が取得した対話情報を教師データとして機械学習を行わせる。ここで、「チャット」は、チャットボットとのチャットでも(図2)、ユーザ同士のチャットでもよい(図3)。チャットは、音声でもテキストでも行われてよい。ユーザ同士のチャットの場合、SNS等で取得される対話情報(質問情報、回答情報)も、教師データとして学習済モデル(LLM34)の生成に利用できる。
【0053】
取得手段20は、管理者端末44から特定質問の情報を取得してもよく、これにより、取得手段20が取得する対話情報に、特定質問および特定質問に対するユーザの回答を含ませることができる(図4、「質問と回答のセット」)。このような特定質問も、記憶部28に随時記憶できる。「特定質問」とは、特に限定されず、アンケートのように決まった質問項目を含む文章であってもよく、管理者やクライアントが適宜作成できる。特定質問の例として、クライアントの商品やサービスに関係する直接的な質問(所定の商品の購買意欲の確認、商品の比較、将来の旅行先等)や、クライアントの商品やサービスに直接関係しない間接的な質問(ユーザの属性についての質問、休日の過ごし方等)が挙げられる。特定質問と回答のセットは、例えば、Z世代など一定の属性を有するユーザに対して特定質問を投げかけ、それに音声で回答してもらうことにより、ユーザの生の声を集め、LLM34の学習データとして取得することができる。特定質問を投げかけるとは、質問リストを直接ユーザ端末42の画面に出力させても良いし、キャラクター(LLM32)などとの「対話」の中でヒアリングしてもよい。また、特に質問を設定せず、ある属性のユーザ同士に特定トピックについて話してもらい(「今流行っている言葉」など)、文字起こしして特定質問の学習データとして用いても良い。音声で回答してもらう方が、口語の「ナマの声」を集められるので好ましい。音声入力の場合、具体的には、Webインターフェース(チャットインターフェース)を介してユーザの音声を集めてもよいし、ユーザ端末42に質問が表示される場合も、それに対して音声での回答を吹き込んでもらってもよい。
【0054】
(送信手段22)
送信手段22は、例えば、取得手段20が取得した特定質問をユーザ端末42に送信することによりユーザ端末42のチャットインターフェースに特定質問を出力させる(図4)。「チャットインターフェース」とは、ユーザ端末42の出力部であり、テキスト、画像または動画が出力される場合にはチャット画面(ディスプレイ等)であり、音声情報が出力される場合にはユーザ端末42のスピーカー等が挙げられる。
【0055】
また、送信手段22は、取得手段20が第1のユーザ端末42aから質問を取得すると、第1のユーザ端末42aから取得した質問を第2のユーザ端末42bに送信することにより、第1のユーザ端末42aと第2のユーザ端末42bと間でチャットを行わせることもできる。
【0056】
(評価問い合わせ手段24)
評価問い合わせ手段24は、第1のユーザ端末42aで実行されるチャットにおける対話情報についての評価を求める旨の通知を第2のユーザ端末42bに送信する。また、評価問い合わせ手段24は、学習済モデル(LLM34)の回答(クライアント端末46からの指示文に対するLLM34の回答も含む)についての評価を求める旨の通知を第2のユーザ端末42bに送信してもよい。評価を求める旨の通知は、1人のユーザに限定せず、複数のユーザに送信してもよい。以上のように、別のユーザ端末(第2のユーザ端末42b等)による対話情報の評価も参考にして(参照して)学習済モデルLLM34を生成させることができる。例えば、評価結果に基づいて、学習時に重み付けを行うことで属性モデル34bに正しい属性の感覚を反映させることができる。特に、LLM34による回答についての評価が高ければ、この回答情報を教師データとして用いることで、学習済モデル34b、34cに対する信頼性を高めることができる。
【0057】
評価方法について特に限定されず、例えば、「同意する」、「気持ち分かる!」、「共感する」、もしくは、「同意しない」、「ちょっと違うと思う」など段階的な評価をユーザに行わせ、評価を示す数字だけをサーバ10(制御部12)に送信させてもよいし(定量評価)、何が評価の決め手になった回答や属性に即した回答例を提示させてもよい(定性評価)。
【0058】
(報酬付与手段26)
報酬付与手段26は、ユーザ端末42で実行されるチャットにおける対話情報を提供したユーザに報酬を付与する。「報酬」は特に限定されないが、金銭または金銭相当物(いわゆるポイントや、LLM32との無料対話回数券等)でもよい。報酬付与手段26により付与される報酬(額、量等)は、前述のように評価問い合わせ手段24からの通知に対して第2のユーザ端末42bから取得した(第1のユーザ端末42aで実行されるチャットにおける対話情報に対する)評価に基づいて決められてもよい。評価が高いほど報酬が多くなるよう設定されてよく、プラットフォームでのユーザの対話履歴に基づき提供された対話情報の総量が多いユーザに多くの報酬が付与されるよう設定してもよい。学習済モデル34b、34cの場合には、全てユーザからの対話情報における特定のユーザの対話情報の割合に応じて、そのユーザに付与される報酬を変動させてもよい。
【0059】
さらに、報酬付与手段26は、評価問い合わせ手段24からの通知に応答して評価を行った(第2のユーザ端末42bの)ユーザに報酬を付与してもよい。ユーザ間で相互評価している場合、評価の高いユーザに高い報酬を与えてもよい。「相互評価」とは、例えば、あるユーザの定性評価や定量評価に対して、別のユーザが更に評価を行うことをいい(「いいね!」するなど)、ユーザの評価や共感度、発言力等を定量化できる。また、評価の高いユーザによる評価は、学習時の重み付けを大きくしてもよい。
【0060】
(モデル生成手段38)
モデル生成手段38は、取得した対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする学習済モデルLLM34を生成する。「機械学習」として、教師あり学習や深層学習等が挙げられる。さらに、LLM34の学習に、LLM34に対するファインチューニング、アダプターを用いた高コスト効率のチューニング、RAGを用いた学習、対話履歴の要約を参照した推論など様々な手法を利用することができる。なお、キャラクターチャットボット(LLM32)に対しても、対話情報として特定質問を出力するようチューニングを行うこともできる。LLM32に、特定質問そのものを作成するよう、または特定質問の内容をユーザに応じて変えるよう(口調の変更も含む)プロンプトを作成してもよい(図4)。「特定質問」の教師データの作成、収集方法は、前述の方法を利用できる。
【0061】
モデル生成手段38は、ユーザ登録手段14により登録されたユーザ毎に学習済モデル34aを生成することができる。モデル生成手段38は、ユーザの属性毎に学習済モデル34bを生成してもよい。モデル生成手段38は、ユーザ毎の学習済モデル34aに対して、特定の属性を有するユーザの対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする第3の学習済モデル34c1を生成することもできる。さらに、モデル生成手段38は、ユーザの属性毎の学習済モデル34bに対して、特定のユーザ(1人でも複数人でもよい)の対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする第3の学習済モデル34c2を生成することもできる。モデル生成手段38は、特定のユーザの対話情報および特定の属性を有するユーザの対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする第3の学習済モデル34c3を生成することもできる。どのモデルに対しても同じ質問をしてそれらの回答を比較することができる。例えば、属性モデル34bと第3モデル34cからは、個人モデル34aから得られない一般的妥当な回答を得られるし、マーケティングの面でより重要になる。第3モデル34cからは、属性モデル34bよりも、個人寄りの回答を得られる。個人寄りの回答は、レコメンドシステムを作る場合に適している。個人モデル34aはデータが少ない分作りやすい。属性モデル34bとの比較や個人モデル34a同士の比較を行い、個人モデル34aをマーケティング活動に利用することもできる。
【0062】
(回答生成手段40)
回答生成手段40は、クライアント端末46からの指示文に対し、生成された学習済モデルLLM34に基づいて回答を生成し、生成された回答をクライアント端末46に送信する。一般に、学習済モデルは自分自身との対話(質問と回答)も可能であり、回答生成手段40は、学習済モデルLLM34(34a、34b、34c等)による自発的発話(いわゆる独り言)のような対話情報も「回答」としてクライアント端末46に送信できる。「指示文」として、クライアントは、例えば、「家族構成はどうなっているか?」、「土日はどのようなところに遊びに行くか?」、「食べ物の好みはなにか?」、「旅行に行くなら北海道か、沖縄か?」といったことを質問できるが、より具体的な質問もできる。また、クライアントは、おすすめ商品を紹介説明してその反応を見ることもできる。
【0063】
また、回答生成手段40は、クライアント端末46からのユーザ毎の指示文に対し、生成されたユーザ毎の学習済モデル34aに基づいて回答を生成し、生成された回答をクライアント端末46に送信してもよい。さらに、回答生成手段40は、クライアント端末46からのユーザの属性毎の指示文に対し、生成されたユーザの属性毎の学習済モデル34b、または第3の学習済モデル34c(34c1~34c3を含む)に基づいて回答を生成し、生成された回答をクライアント端末46に送信してもよい。回答生成手段40は、LLM34(34a、34b、34c等)に基づいて生成された回答を、権限付与手段18により権限が付与されたクライアント端末46のみに送信してもよく、権限付与手段18により権限が付与されたクライアント端末46からの指示文に対してのみ回答を生成し、そのクライアント端末46に送信してもよい。
【0064】
[情報処理方法]
次に、図面を参照して上記した情報処理システム1における情報処理方法を説明するが、本開示に係る情報処理方法は以下の例に限定されない。以下の説明において、同一の参照符号が付された構成要素は上記した構成要素と同一であり、重複する説明は適宜省略する。なお、以下に示す処理は記憶部28に記憶されているプログラムを制御部12(サーバ10)が実行することにより行われ、対話情報がテキスト情報である場合を例として説明する。
【0065】
はじめに、図2を参照して、情報処理システム1におけるユーザとチャットボットとのチャット時の情報処理の流れの例を説明する。ここでは、まず、ユーザ端末42を操作するユーザが、本開示のプログラムが実行されるウェブサイト(プラットフォーム)においてユーザIDでログインする。そして、サーバ10から、ユーザ端末42のディスプレイにチャットボット画面(テキスト情報)を表示させるための表示指示情報が送信される。そして、ユーザは、チャットボット画面で質問文を入力すると、質問情報がサーバ10に送信される。次に、サーバ10においてこの質問に対応する回答を演算するための指示文が生成され、この指示文が第1大規模言語モデルサーバ32(LLM32)に送信される。そして、LLM32により回答情報が演算され、この回答情報がサーバ10を経由してユーザ端末42に送信されチャットボット画面に表示される。そして、これらの質問と回答のセットが教師データとしてサーバ10から第2大規模言語モデルサーバ34(LLM34)に送信される。
【0066】
次に、図3を参照して、情報処理システム1におけるユーザ同士の会話時の情報処理の流れの例を説明する。ここでは、まず、第1ユーザ端末42aと第2ユーザ端末42bを操作する第1ユーザおよび第2ユーザがそれぞれ、本開示のプログラムが実行されるウェブサイトにおいてユーザIDでログインする。そして、サーバ10から、第1ユーザ端末42aと第2ユーザ端末42bのディスプレイにチャットボット画面を表示させるための表示指示情報が送信される。次に、サーバ10を介して、第1ユーザ端末42aから第2ユーザへの質問が送信され、第2ユーザ端末42bのチャットボット画面に表示される。そして、サーバ10を介して、第2ユーザ端末42bから第1ユーザへの回答が送信され、第1ユーザ端末42aのチャットボット画面に表示される。こうして、第1ユーザと第2ユーザとの間でチャットが行われと同時に、これらの質問と回答のセットが教師データとしてサーバ10から第2大規模言語モデルサーバ34(LLM34)に送信される。
【0067】
また、図3の中央右部に示されるように、複数のユーザが実際に物理的に集まって話した特定のトピックについての会話をマイクで収集(収録)した音声情報を、教師データとして第2大規模言語モデルサーバ34(LLM34)の学習に利用してもよい。
【0068】
次に、図4を参照して、情報処理システム1において質問をユーザに投げかける際の情報処理の流れの例を説明する。ここでは、まず、管理者端末44からサーバ10に特定質問が送信され、保存される。点線矢印で示されているように、この特定質問はユーザに応じて、第1大規模言語モデルサーバ32(LLM32)により変えることもできる。次に、ユーザ端末42を操作するユーザが、本開示のプログラムが実行されるウェブサイト(プラットフォーム)においてユーザIDでログインする。そして、サーバ10から、ユーザ端末42のディスプレイにチャットボット画面を表示させるための表示指示情報が送信されて、さらに特定質問が送信され表示される。次に、ユーザは、チャットボット画面で回答文を入力すると、この回答情報がサーバ10に送信される。こうして、特定質問と回答のセットが教師データとしてサーバ10から第2大規模言語モデルサーバ34(LLM34)に送信される。
【0069】
次に、図5を参照して、情報処理システム1におけるクライアント端末46による情報取得時の情報処理の流れの例を説明する。ここでは、まず、サーバ10(権限付与手段18)から、クライアント端末46にLLM34へのアクセス権限を付与ための情報が送信される。そして、このクライアント端末46から指示文(質問情報)が第2大規模言語モデルサーバ34(LLM34)に送信される。そして、LLM34により回答情報が演算され、この回答情報がクライアント端末46に送信され、そのチャットボット画面に表示される。なお、LLM34の独り言(自発的発話)を回答情報としてクライアント端末46に送信される場合、クライアント端末46から指示文は不要である。
【0070】
次に、図6を参照して情報処理システム1における情報処理方法の例を説明する。まず、制御部12(ユーザ登録手段14)が、チャットをユーザ端末42で実行させるユーザの登録を行う(ステップS10)。
【0071】
次に、制御部12(許諾取得手段16)が、ユーザ登録手段14により登録されたユーザに対して特定のクライアントにより学習済モデル(この例ではLLM34a)を使用させることを許諾する旨の確認を行う確認指令をユーザ端末42に送信する(ステップS20)。
【0072】
次に、制御部12(許諾取得手段16)が、ユーザ端末42から許諾情報を受け付けることによって当該ユーザ端末42を操作するユーザの許諾を取得する(Opt-in。ステップS30)。
【0073】
次に、制御部12(権限付与手段18)が、ユーザの許諾が取得されたクライアントのクライアント端末46に、当該ユーザに対応する学習済モデル34aを使用することの権限を付与する(ステップS40)。
【0074】
次に、制御部12(取得手段20)が、管理者端末44から特定質問の情報を取得する(ステップS50)。
【0075】
次に、制御部12(送信手段22)が、ユーザ端末42のチャットインターフェースに特定質問を出力するよう取得手段20が取得した特定質問をユーザ端末42に送信する(ステップS60。図4参照)。
【0076】
次に、制御部12(取得手段20)が、ユーザ端末42で実行されるチャットにおける対話情報を取得する(ステップS70)。
【0077】
次に、制御部12(モデル生成手段38)が、ユーザ登録手段14により登録されたユーザ毎に、取得した対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする学習済モデル34aを生成する(ステップS80)。
【0078】
次に、制御部12(回答生成手段40)が、クライアント端末46からのユーザ毎の質問に対し、生成された学習済モデル34aに基づいて回答を生成する(ステップS90)。
【0079】
次に、生成された回答をクライアント端末46に送信する(ステップS100)。
【0080】
次に、制御部12(評価問い合わせ手段24)が、クライアント端末46からの指示文に対する学習済モデル34aの回答についての評価を求める旨の通知を第2のユーザ端末42bに送信する(ステップS110)。評価が高い場合に、その回答情報を学習済モデル34b、34cの追加学習に利用できる。
【0081】
以上のような情報処理方法は一例であり、処理の流れは上記したものに限定されない。例えば、ステップS20~S40に係る処理(許諾取得手段16による確認指令の送信から権限付与手段18による権限付与)は、ユーザ登録(ステップS10)の直後に行われなくてもよく、回答生成手段40がクライアント端末46からの指示文(質問)を受信する(ステップS90)前に行われればよい。また、前述のように、属性毎の学習済モデル34b、34cも生成される場合、全ての学習済モデル34a、34b、34cに回答情報を演算させクライアント端末46に送信することができる。また、別の実施形態として、ステップS80で生成された学習済モデル34aの自発的発話(質問、回答、独り言を含む)がなされた場合に、その自発的発話について、ステップS110のように、評価を求める旨の通知を第2のユーザ端末42bに送信してもよい。例えば、学習済モデル34aに対応するユーザと同じ属性に属する別のユーザの視点から、自発的発話が自然なモノか評価させてもよい(例えば、言い回し等の表現方法、発話内容など)。
【0082】
以上のような構成からなる本実施形態の情報処理システム1、コンピュータ(サーバ10)、プログラム、および情報処理方法において、上述したように、取得手段20と、モデル生成手段38と、回答生成手段40とが設けられる。取得手段20は、ユーザ端末42で実行されるチャットにおける対話情報を取得する。モデル生成手段38は、取得した対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする学習済モデルLLM34を生成する。回答生成手段40は、生成された学習済モデルLLM34に基づいて生成された回答をクライアント端末46に送信する。
【0083】
これまで様々な形態のチャットボットが生成され、オンライン上で実行されたチャットボットとユーザとのチャットにおける対話情報やユーザ同士の対話情報が蓄積されている。以上のような本実施形態の情報処理システム1、コンピュータ(サーバ10)、プログラム、および情報処理方法によれば、これらの対話情報を「ユーザのQAデータ」として取得して、それを学習させることで、「ユーザの言語モデル(LLM34a、34b、34c等)」を作ることができる。このような言語モデルを第三者である企業(クライアント)はマーケティングや推薦システムとして利用することができる。特に、本発明によれば、ユーザの言語モデル(LLM34a、34b、34c等)による独り言もクライアントに継続的に提供することができる。ユーザの意見や好みを単に対話情報の中から検索し利用するよりも、ユーザの対話情報を本開示のような言語モデルに加工することにより、クライアントは効率よく知りたい情報を抽出することができる。
【0084】
また、本実施形態による情報処理システム1、コンピュータ(サーバ10)、プログラム、および情報処理方法において、回答生成手段40は、クライアント端末46からの指示文に対し、学習済モデルLLM34に基づいて回答を生成し、生成された回答をクライアント端末46に送信することができる。こうして、クライアント端末46を操作するクライアントは、指示文を作成することにより、マーケティングや推薦システムの構築に役立つ回答を得ることが期待できる。
【0085】
また、本実施形態による情報処理システム1、コンピュータ(サーバ10)、プログラム、および情報処理方法において、所定のクライアント端末46に権限を付与する権限付与手段18を更に設け、回答生成手段40は、生成された学習済モデルLLM34に基づいて生成された回答を、権限付与手段18により権限が付与されたクライアント端末46に送信してもよく、または、回答生成手段40は、権限付与手段18により権限が付与されたクライアント端末46からの指示文に対し、生成された学習済モデルLLM34に基づいて回答を生成し、生成された回答をクライアント端末46に送信してもよい。こうして、学習済モデルLLM34へのアクセス権限を一定範囲の者に制限すれば、ユーザのプライバシー保護を図ることができる。
【0086】
また、本実施形態による情報処理システム1、コンピュータ(サーバ10)、プログラム、および情報処理方法において、チャットをユーザ端末42で実行させるユーザの登録を行うユーザ登録手段14を更に設けてもよい。この場合、モデル生成手段38は、ユーザ登録手段14により登録されたユーザ毎に学習済モデルLLM34aを生成し、回答生成手段40は、生成されたユーザ毎の学習済モデルLLM34aに基づいて生成された回答をクライアント端末46に送信することができ、特に、回答生成手段40は、クライアント端末46からのユーザ毎の指示文に対し、生成されたユーザ毎の学習済モデルLLM34aに基づいて回答を生成し、生成された回答をクライアント端末46に送信することができる。こうして、クライアントが特定のユーザ(の学習済モデルLLM34a)に質問をしたい場合に対応できる。また、クライアントは、前述のように、ユーザ毎の学習済モデルLLM34aを比較対象用のモデルとしてマーケティングに利用できる。
【0087】
また、本実施形態による情報処理システム1、コンピュータ(サーバ10)、プログラム、および情報処理方法において、チャットをユーザ端末42で実行させるユーザの登録を行い、この際にユーザの属性を設定するユーザ登録手段14を更に設けてもよい。この場合、モデル生成手段38は、ユーザの属性毎に学習済モデルLLM34bを生成し、回答生成手段40は、生成されたユーザの属性毎の学習済モデルLLM34bに基づいて生成された回答をクライアント端末46に送信することができ、特に、回答生成手段40は、クライアント端末46からのユーザの属性毎の指示文に対し、生成されたユーザの属性毎の学習済モデルLLM34bに基づいて回答を生成し、生成された回答をクライアント端末46に送信することができる。こうして、個々のユーザに対応するLLM34a以外にも、多くのユーザの総論を学習させた属性モデル34bを作ることができ、例えば、Z世代との対話データを学習させた「Z世代LLM」であれば、Z世代に対するマーケティング・ヒアリングをこのLLMを用いて行うことが可能である。
【0088】
また、本実施形態による情報処理システム1、コンピュータ(サーバ10)、プログラム、および情報処理方法において、チャットをユーザ端末42で実行させるユーザの登録を行い、この際にユーザの属性を設定するユーザ登録手段14を更に設け、モデル生成手段38は、特定のユーザの対話情報および特定の属性を有するユーザの対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする第3の学習済モデル34c3を生成することができる。別の実施形態において、ユーザ登録手段14は、ユーザの属性を設定し、モデル生成手段38は、ユーザ毎の学習済モデルLLM34aに対して、特定の属性を有するユーザの対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする第3の学習済モデル34c1を生成することもできる。別の実施形態において、モデル生成手段38は、ユーザの属性毎の学習済モデルLLM34b(属性モデル34b)に対して、特定のユーザの対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする第3の学習済モデル34c2を生成することもできる。このように、様々な第3モデル34c(34c1~34c3)を状況やニーズに合わせて生成して、比較等のために利用でき、クライアントにバリエーションのある回答を提供できる。特に、第3モデル34c2を生成する際に追加学習された特定のユーザの対話情報は、属性モデル34bを生成する際にも使用されていたとしても、追加学習された特定のユーザの情報をより優先して反映させることができるため、属性モデル34bよりも第3モデル34c2から特定のユーザの情報を引き出すことが可能になる。また、第3モデル34c2であれば、特定のユーザの対話情報からでは得られない回答も、同じ属性の対話情報の中から演算して得ることができる。
【0089】
また、本実施形態による情報処理システム1、コンピュータ(サーバ10)、プログラム、および情報処理方法において、以下のような許諾取得手段16および権限付与手段18を更に設けてもよい。即ち、許諾取得手段16は、ユーザ登録手段14により登録されたユーザに対して特定のクライアントにより学習済モデルLLM34(34a、34b、34cのうちの少なくとも1つ)を使用させることを許諾する旨の確認を行う確認指令をユーザ端末42に送信した後にユーザ端末42から許諾情報を受け付けることによって当該ユーザ端末42を操作するユーザの許諾を取得する。権限付与手段18は、ユーザの許諾が取得されたクライアントのクライアント端末46に、当該ユーザに対応する学習済モデルLLM34を使用することの権限を付与する。この場合、回答生成手段40は、権限付与手段18により権限が付与されたクライアント端末46からの指示文に対し、生成された学習済モデルLLM34に基づいて回答を生成し、生成された回答をクライアント端末46に送信することができる。このように、ユーザがクライアント毎にその学習済モデルLLM34の使用を許諾するようにすれば、ユーザのプライバシー保護をより一層図ることができる。
【0090】
また、本実施形態による情報処理システム1、コンピュータ(サーバ10)、プログラム、および情報処理方法において、以下のような送信手段22を更に設けてもよい。この場合、取得手段20は、管理者端末44から特定質問の情報を取得し、送信手段22は、取得した特定質問をユーザ端末42に送信することによりユーザ端末42のチャットインターフェースに特定質問を出力させ、取得手段20が取得する対話情報は、特定質問および特定質問に対するユーザの回答を含むようにしてよい。このように、特定質問を設けることにより、クライアントは知りたい情報をより効率よく抽出することができる。
【0091】
また、本実施形態による情報処理システム1、コンピュータ(サーバ10)、プログラム、および情報処理方法において、以下のような送信手段22を更に設けてもよい。この場合、取得手段20が第1のユーザ端末42aから質問を取得すると、送信手段22は第1のユーザ端末42aから取得した質問を第2のユーザ端末42bに送信することにより第1のユーザ端末42aと第2のユーザ端末42bと間でチャットを行わせ、取得手段20が第1のユーザ端末42aと第2のユーザ端末42bとの間で実行されるチャットにおける対話情報を取得すると、モデル生成手段38は、取得手段20が取得した対話情報を教師データとして機械学習を行わせるようにしてよい。このように、ユーザ同士の対話情報からも所望の学習済モデルLLM(34a、34b、34cを含む)を生成できる。
【0092】
また、本実施形態による情報処理システム1、コンピュータ(サーバ10)、プログラム、および情報処理方法において、取得手段20が対話情報を取得するチャットは、チャットボットとのチャットでもよい。このように、ユーザが好みそうなAIキャラクター(例えばLLM32)をチャットボットとして利用することで、お酒の席とは別に、ユーザからより「本心」やニッチな情報を聞き出すことが期待できる。
【0093】
また、本実施形態による情報処理システム1、コンピュータ(サーバ10)、プログラム、および情報処理方法において、チャットボット(LLM32)に対して、対話情報として特定質問を出力するようチューニングを行う。チャットボット(LLM32、AIキャラクター)の会話内容を、より「本心」を聞き出すようチューニングしても良い。また、特定の期間は、特定の質問を積極的に投げかけるようにチューニングすることもできる(クリスマス前は、子供について深掘り質問する、など)。
【0094】
また、本実施形態による情報処理システム1、コンピュータ(サーバ10)、プログラム、および情報処理方法において、ユーザ端末42で実行されるチャットにおける対話情報を提供したユーザに報酬を付与する報酬付与手段26を更に設けてもよい。このように、対話情報提供に対する報酬が付与されれば、ユーザが本開示に係るプラットフォームに参加して、所望のチャラクター(チャットボットLLM32)と対話しようという動機付けになる。また、LLM34による回答に多くのユーザからの対話情報が反映されるのであれば、クライアントにもこのプラットフォームに参加(投資)して指示文を出そうという動機付けになる。
【0095】
また、本実施形態による情報処理システム1、コンピュータ(サーバ10)、プログラム、および情報処理方法において、第1のユーザ端末42aで実行されるチャットにおける対話情報についての評価を求める旨の通知を第2のユーザ端末42bに送信する評価問い合わせ手段24を更に設けてもよく、モデル生成手段38は、第2のユーザ端末42bから取得した評価も参照して機械学習を行わせることができる。このように、あるユーザから得られた質問と回答のペアを、他のユーザに提示し、「同意する」、「同意しない」などと評価してもらうことができる。このような評価結果に基づいて、学習時に重み付けを行うことで、より正確な属性モデル34bを生成できる。
【0096】
また、本実施形態による情報処理システム1、コンピュータ(サーバ10)、プログラム、および情報処理方法において、学習済モデルLLM34の回答(クライアント端末46からの指示文に対する学習済モデルLLM34の回答も含んでもよい)についての評価を求める旨の通知を第2のユーザ端末42bに送信する評価問い合わせ手段24を更に設けてもよく、モデル生成手段38は、第2のユーザ端末42bから取得した評価も参照して機械学習を行わせることができる。このように、ユーザからの対話情報以外でも、ユーザから高い評価を得られた学習済モデルLLM34の回答を教師データとして用いることによって、信頼性の高い学習済モデルLLM34(特に、34b、34c)が実現できる。
【0097】
また、本実施形態による情報処理システム1、コンピュータ(サーバ10)、プログラム、および情報処理方法において、ユーザ端末42で実行されるチャットにおける対話情報を提供したユーザに報酬を付与する報酬付与手段26を更に設けてもよく、報酬付与手段26により付与される報酬は、第2のユーザ端末42bから取得した第1のユーザ端末42aで実行されるチャットにおける対話情報の評価に基づいて決められてもよい。例えば、「Z世代LLM」等のLLM34b、34cが事業収益を生んだ場合、その一部を回答者に対して還元してもよく、その際、回答者に一律で還元するのではなく、上記の「重み付け」を含む手法で還元率を調整でき、より正確なLLM34b、34cを生成できる。
【0098】
なお、本実施形態による情報処理システム1、コンピュータ(サーバ10)、プログラム、および情報処理方法は、上述したような態様や組み合わせに限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0099】
1 情報処理システム
10 サーバ(コンピュータ)
12 制御部
14 ユーザ登録手段
16 許諾取得手段
18 権限付与手段
20 取得手段
22 送信手段
24 評価問い合わせ手段
26 報酬付与手段
28 記憶部
30 通信部
32 第1大規模言語モデルサーバ(演算部)
34 第2大規模言語モデルサーバ(演算部)
34a 学習済モデル(個人/ユーザモデル)
34b 学習済モデル(属性モデル)
34c、34c1、34c2、34c3 学習済モデル(属性+個人モデル、第3モデル)
36 制御部
38 モデル生成手段
40 回答生成手段
42、42a、42b ユーザ端末
44 管理者端末
46 クライアント端末
【要約】
【課題】チャットの対話情報を活用することができるシステム、プログラムおよび情報処理方法を提供する。
【解決手段】取得手段20と、モデル生成手段38と、回答生成手段40とが設けられる。取得手段20は、ユーザ端末42で実行されるチャットにおける対話情報を取得する。モデル生成手段38は、取得した対話情報を教師データとして機械学習を行わせることにより、質問を入力、回答を出力とする学習済モデルLLM34を生成する。回答生成手段40は、クライアント端末46からの指示文に対し、生成された学習済モデルLLM34に基づいて回答を生成し、生成された回答をクライアント端末46に送信する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6