(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】電気自動車充電機用部材
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240826BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20240826BHJP
H02G 11/00 20060101ALI20240826BHJP
H01R 13/60 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02G3/04 093
H02G11/00
H01R13/60
(21)【出願番号】P 2020187913
(22)【出願日】2020-11-11
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】船橋 達治
(72)【発明者】
【氏名】山澤 英丈
(72)【発明者】
【氏名】水越 隆
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0227903(US,A1)
【文献】特開2014-50301(JP,A)
【文献】特開2016-213963(JP,A)
【文献】特開2017-158300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02G 3/04
H02G 11/00
H01R 13/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電コネクタを支持するためのコネクタ支持部と、構造物に嵌合させるための固定部と、を備え、
底面に備えた固定部
に、構造物を覆うように嵌合可能な穴部を備え、構造物への嵌合によって構造物に固定される電気自動車充電機用部材。
【請求項2】
穴部は、対向する内壁間の距離が第一の距離となる部分を備え、この部分よりも奥側に、対向する内壁間の距離が第一の距離よりも短い第二の距離となる部分を備えた請求項
1に記載の電気自動車充電機用部材。
【請求項3】
固定部は、構造物と接触可能な突部を穴部の内部に備えた請求項
1又は2に記載の電気自動車充電機用部材。
【請求項4】
突部の先端側に、突部の基部側の断面積よりも小さい断面積となる部分を設けた請求項
3に記載の電気自動車充電機用部材。
【請求項5】
穴部の内側に、弾性変形可能な抜け防止部が位置する請求項
1から
4の何れかに記載の電気自動車充電機用部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車充電機用部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、駐車場内に存在する壁面やポール等の構造物に対して、コネクタ支持部やケーブル支持部といった電気自動車充電機用部材を固定することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されたような構造の場合、電気自動車充電機用部材を取り付けるために、構造物に対して取り付け穴等の加工が必要であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、構造物に対して加工をしなくても、電気自動車充電機用部材を固定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、充電コネクタを支持するためのコネクタ支持部と、構造物に嵌合させるための固定部と、を備え、固定部は底面に形成し、構造物への嵌合によって構造物に固定される電気自動車充電機用部材とする。
【0007】
また、固定部に、構造物を覆うように嵌合可能な穴部を備えることが好ましい。
【0008】
また、固定部が伸縮可能な部材を用いて構成されたものであることが好ましい。
【0009】
また、穴部は、対向する内壁間の距離が第一の距離となる部分を備え、この部分よりも奥側に、対向する内壁間の距離が第一の距離よりも短い第二の距離となる部分を備えた構成とすることが好ましい。
【0010】
また、固定部は、構造物と接触可能な突部を穴部の内部に備えた構成であることが好ましい。
【0011】
また、突部の先端側に、突部の基部側の断面積よりも小さい断面積となる部分を設けた構成とすることが好ましい。
【0012】
また、穴部の内側に、弾性変形可能な抜け防止部が位置する構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、構造物に対して加工をしなくても、電気自動車充電機用部材を固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態における電気自動車充電機用部材と、構造物と、充電コネクタを表した斜視図である。
【
図2】
図1に示す電気自動車充電機用部材と、構造物の上端側の部分と、充電コネクタを表した斜視図である。
【
図3】
図2に示す構造物の上端に固定された電気自動車充電機用部材に充電コネクタを支持させるとともに、充電コネクタに接続されているケーブルを巻きかけていることを表す図である。
【
図4】
図1に示す電気自動車充電機用部材と、構造物の上端側の部分を表した斜視図である。
【
図5】
図1に示す電気自動車充電機用部材を構造物に取り付けた状態における縦断面図である。
【
図6】
図5とは異なる例の電気自動車充電機用部材における固定部の構造が分かるように表した図である。ただし一部分を切って表している。
【
図7】
図6に示す例の電気自動車充電機用部材を構造物に取り付けた一例における篏合状態を表す図である。ただし一部分を切って表している。
【
図8】
図6に示す例の電気自動車充電機用部材を構造物に取り付けた一例における篏合状態を表す断面図である。ただし、電気自動車充電機用部材の最大の開口面積となる部分を構造物の外周面に接触させることによって、構造物に固定している。
【
図9】
図6に示す例の電気自動車充電機用部材を構造物に取り付けた一例における篏合状態を表す断面図である。ただし、電気自動車充電機用部材の最大の開口面積となる部分よりも小さな開口面積となる部分を構造物の外周面に接触させることによって、構造物に固定している。
【
図10】
図6に示す例の電気自動車充電機用部材を構造物に取り付けた一例における篏合状態を表す断面図である。ただし、電気自動車充電機用部材の最小の開口面積となる部分を構造物の外周面に接触させることによって、構造物に固定している。
【
図11】
図6に示す例の電気自動車充電機用部材を構造物に取り付けた一例における篏合状態を表す断面図である。ただし、電気自動車充電機用部材の突部の最大の段面積となる部分を構造物の内側面に接触させることによって、構造物に固定している。
【
図12】
図6に示す例の電気自動車充電機用部材を構造物に取り付けた一例における篏合状態を表す断面図である。ただし、電気自動車充電機用部材の突部の最大の段面積となる部分よりも小さな断面積となる部分を構造物の内側面に接触させることによって、構造物に固定している。
【
図13】
図6に示す例の電気自動車充電機用部材を構造物に取り付けた一例における篏合状態を表す断面図である。ただし、電気自動車充電機用部材の突部の最小の断面積となる部分を構造物の内側面に接触させることによって、構造物に固定している。
【
図14】同一の自動車充電器用部材を異なる構造物に適用させている例を示す図である。なお、(A)と(B)では、構造物の前後方向の長さは同じである一方、左右方向の長さは(A)の方が(B)よりも短いものとなっている。
【
図15】弾性変形可能な抜け防止部を備えた電気自動車充電機用部材の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1から
図5に示されていることから理解されるように、本実施形態の電気自動車充電機用部材1は、充電コネクタ71を支持するためのコネクタ支持部11と、電気自動車充電機用部材1の底面19に形成し構造物8の上端部に嵌合させる固定部12と、を備えており、構造物8の上端部への嵌合によって構造物8に固定される。このため、構造物8に対して加工をしなくても、電気自動車充電機用部材1を固定することが可能となる。なお、実施形態の電気自動車充電機用部材1は、ケーブル72を掛けることが可能なケーブル支持部17を設けるために、上部に凹みを設けている。
【0016】
ここで、代表的な構造物8などを例に挙げて説明する。
図1から
図5に示す例においては、構造物8は柱状である。この構造物8は中空状の柱を用いて構成されている。駐車場内などに設置されているこのような構造物8に対して、コネクタ支持部11を備えた電気自動車充電機用部材1が固定される。
【0017】
図1から
図5に示す例における電気自動車充電機用部材1は、固定部12が伸縮可能な部材を用いて構成されている。このため、構造物8に対して形状や大きさが若干異なる場合であっても、篏合により固定することができる。
【0018】
また、
図1から
図5に示す例における電気自動車充電機用部材1は、構造物8の上面を覆うように嵌合可能な穴部13を固定部12に備えている。このため、構造物8の上面が開放されているような構造であっても、構造物8に対して上面から水などが浸入することを抑制することができる。
【0019】
なお、
図1から
図5に示す例における電気自動車充電機用部材1の穴部13は、略直方体状の空間を構成するものである。また、この穴部13の上端はケーブル支持部17の下端よりも上方に位置することができるように構成されており、ケーブル支持部17にケーブル72の荷重がかかっても、電気自動車充電機用部材1が構造物8から外れにくいものとなっている。
【0020】
ところで、電気自動車充電機用部材1の形態は、
図1から
図5に示す例に限るものでは無い。例えば、固定部12の形状を
図6から
図8に示すようにしても良い。この例の穴部13は、対向する内壁14間の距離が第一の距離となる部分を備え、この部分よりも奥側に、対向する内壁14間の距離が第一の距離よりも短い第二の距離となる部分を備えている。このため、電気自動車充電機用部材1を嵌めることができる構造物8の形態を複数にすることができる。
【0021】
なお、
図6から
図8に示す例では、開口部18付近に、対向する内壁14間の距離が第一の距離となる部分を備え、この部分よりも奥側に、対向する内壁14間の距離が第一の距離よりも短い第二の距離となる部分を備え、更にこの部分よりも奥側に、対向する内壁14間の距離が第二の距離よりも短い第三の距離となる部分を備えている。
【0022】
この例では、対向する内壁14間の距離が第一の距離となる部分は、穴部13の奥行き方向に向けて一定だけ続く。対向する内壁14間の距離が第一の距離となる部分が一定だけ続いた後に、内壁14に段部21が設けられているため、対向する内壁14間の距離が第一の距離となる部分と、第二の距離となる部分を区別できる。同様に、対向する内壁14間の距離が第二の距離となる部分は、穴部13の奥行き方向に向けて一定だけ続き、その後、内壁14に段部21が設けられる。このため、対向する内壁14間の距離が第二の距離となる部分と、第三の距離となる部分とを区別できる。なお、この例では、対向する内壁14間の距離が第三の距離となる部分は、穴部13の奥行き方向に向けて一定だけ続く。
【0023】
次に、
図6に示す例の電気自動車充電機用部材1を構造物8の上端部に嵌合させる例について説明する。例えば、
図8に示すような構造物8の大きさの場合、開口部18付近の部分(対向する内壁14間の距離が第一の距離となる部分)を用いて電気自動車充電機用部材1を構造物8に固定することができる。また、
図8に示すよりもやや小さい断面積を有する構造物8の場合、
図9に示すことから理解されるように、上記した部分よりも奥側の部分(対向する内壁14間の距離が第二の距離となる部分)を用いて電気自動車充電機用部材1を構造物8に固定することができる。
図9に示すよりも更に小さい断面積を有する構造物8の場合、
図10に示すことから理解されるように、上記した部分よりも奥側の部分(対向する内壁14間の距離が第三の距離となる部分)を用いて電気自動車充電機用部材1を構造物8に固定することができる。
【0024】
図8から
図10に示す例では、電気自動車充電機用部材1を構造物8の外側面に接触させて電気自動車充電機用部材1を構造物8に固定しているが、そのような態様に限る必要は無い。例えば、電気自動車充電機用部材1を構造物8の内側面82に接触させて電気自動車充電機用部材1を構造物8に固定するようにしても良い。このようなことを可能にするため、
図6などに示す例では、固定部12は、構造物8の上端部の内側面82と接触可能な突部15を穴部13の内部に備えるものとしている。このため、固定部12の大きさを抑制しつつ、電気自動車充電機用部材1を嵌めることができる構造物8の形態を増やすことができる。
【0025】
また、この例では、構造物8の内側面82に接触させて固定できる電気自動車充電機用部材1の種類を複数とするため、突部15の先端側に、突部15の基部側の断面積よりも小さい断面積となる部分を設けている。具体的には、凸部の基部側から先端側に向けて間隔をあけて段部22を2か所設けることで、複数種類の構造物8の内側面82に接触させて固定できるようにしている(
図11から
図13参照)。
【0026】
なお、実施形態では穴部13の内壁14に設ける段部21と、突部15に設ける段部22が奥行き方向にずれるように構成している。このようにすることで、前後方向が特定の長さの構造物8について、適合する左右方向の長さを複数から選択できるものとすることができる。同様に、左右方向が特定の長さの構造物8について、適合する前後方向の長さを複数から選択できるものとすることができる。つまり、電気自動車充電機用部材1が固定される構造物8のレパートリーを増やすことができる。なお、
図14の(A)と(B)では、構造物8の前後方向の長さは同じである一方、左右方向は(A)の方が(B)よりも短いものとなっているが、いずれの場合でも、同じ電気自動車充電機用部材1に固定することができることを示している。
【0027】
また、電気自動車充電機用部材1が固定される構造物8のレパートリーを増やすことだけに限らず、さまざま態様にすることが考えられる。例えば、電気自動車充電機用部材1と構造物8の嵌合が解除され難い態様にすることが考えられる。その一例としては、穴部13の内側に、弾性変形可能な抜け防止部16が位置するように構成することが考えられる。このようにすれば、構造物8の大きさなどのばらつきに対応しやすくもなる。
【0028】
図15に示す例では、弾性変形可能な抜け防止部16が、穴部13の内壁14から穴部13の内側に延びるように構成している。抜け防止部16は、
図15に示すことから理解されるように、先端が穴部13の奥行き方向に向くように傾いている構成としておくのが好ましい。なお、抜け防止部16は、突部15などに設けるものとしても良い。
【0029】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、穴部と突部は共に階段状の段部を形成する必要は無い。例えば、傾斜面を設ける構成とすれば、構造物に対して無段階で嵌合させることができるため、嵌合できる構造物のバリエーションを多くすることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 電気自動車充電機用部材
8 構造物
11 コネクタ支持部
12 固定部
13 穴部
14 内壁
15 突部
16 抜け防止部
19 底面
71 充電コネクタ
82 内側面