(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20240826BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G03G21/18 103
G03G21/18 178
G03G21/16 133
(21)【出願番号】P 2019239949
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 真吉
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-028346(JP,A)
【文献】特開2005-100906(JP,A)
【文献】特開2017-191164(JP,A)
【文献】特開2014-044333(JP,A)
【文献】特開2011-232560(JP,A)
【文献】特開2002-072826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
制御基板を有する装置本体と、
トナー像を担持すると共に回転軸線を中心に回転可能に構成された感光ドラムと、トナーを担持し前記感光ドラムにトナーを供給するための現像ローラ及び情報を記憶するメモリ媒体を有する現像ユニットと、前記現像ユニットの前記メモリ媒体に電気的に接続されるユニット接点と、を有する引き出しユニットであって、前記感光ドラムが画像形成可能な第1位置から前記現像ユニットが前記装置本体の外部に露出する第2位置まで前記装置本体から引き出し可能な引き出しユニットと、
前記引き出しユニットを前記装置本体から引き出す際に前記引き出しユニットが通過する前記装置本体の開口部を覆う閉位置と、前記開口部を開放する開位置と、の間を移動可能に前記装置本体に支持され、前記閉位置において前記引き出しユニットに対向するドアと、
前記ドアに設けられるドア接点と、
前記ドア接点から前記制御基板までの電気経路と電気的に接続されないように設けられた導電部材と、
前記ドアを前記装置本体に対して開閉可能に支持する
第1ヒンジと、
前記ドアを前記装置本体に対して開閉可能に支持し、前記回転軸線の軸線方向において前記第1ヒンジとは異なる位置に配置される第2ヒンジと、
前記ドア接点と前記制御基板とを接続する束線と、
接地されると共に導電性を有し
、前記ドアを前記装置本体に対して閉じる方向に付勢する付勢部と、を備え、
前記ドア接点は、前記制御基板に電気的に接続されると共に、前記ドアが閉位置に位置する際に前記ユニット接点と接触して前記ユニット接点と電気的に接続され、かつ前記開位置に位置する際に前記ユニット接点と接触せずに前記画像形成装置の外部に露出するように構成され、
前記導電部材は、前記ドアが前記開位置に位置する際に前記画像形成装置の外部に露出され、かつ前記ドア接点の近傍に配置される一端部と、前記付勢部と電気的に接続される他端部と、を有
し、
前記付勢部及び前記束線の両方は、前記第1ヒンジに配置され、前記第2ヒンジに配置されない、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記導電部材の前記一端部は、前記ドアが前記開位置に位置する際に、前記ドア接点の接点部よりも上方に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記導電部材は、前記束線に沿って前記束線の上方を配策される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記付勢部は、引張りバネを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記付勢部は、ねじりコイルバネを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記付勢部は、前記装置本体のフレームに電気的に接続される、
ことを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置であって、
制御基板と、接地された接地部と、を有する装置本体と、
トナー像を担持すると共に回転軸線を中心に回転可能に構成された感光ドラムと、トナーを担持し前記感光ドラムにトナーを供給するための現像ローラ及び情報を記憶するメモリ媒体を有する現像ユニットと、前記現像ユニットの前記メモリ媒体に電気的に接続されるユニット接点と、を有する引き出しユニットであって、前記感光ドラムが画像形成可能な第1位置から前記現像ユニットが前記装置本体の外部に露出する第2位置まで前記装置本体から引き出し可能な引き出しユニットと、
前記引き出しユニットを前記装置本体から引き出す際に前記引き出しユニットが通過する前記装置本体の開口部を覆う閉位置と、前記開口部を開放する開位置と、の間を移動可能に前記装置本体に支持され、前記閉位置において前記引き出しユニットに対向するドアと、
前記ドアを前記装置本体に対して開閉可能に支持するヒンジと、
前記ドアに設けられるドア接点と、
前記ドア接点から前記ヒンジを通り、前記制御基板に接続される束線と、
前記束線と電気的に接続されないように、前記束線に沿って前記束線の上方を配策された導電部材と、を備え、
前記導電部材は、前記ドアが前記開位置に位置する際に前記画像形成装置の外部に露出され、かつ前記ドア接点の近傍に配置される一端部と、前記接地部と電気的に接続される他端部と、を有する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、4つの現像カートリッジを保持するドラムユニットと、ドラムユニットの収容部を覆う開閉可能なカバーと、を備えた画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。ドラムユニットの筐体には、各現像カートリッジが有するICチップに電気的にそれぞれ接触可能な4つの電気端子が設けられており、これら4つの電気端子は、配線部を介して電気的に中継基板に接続されている。
【0003】
中継基板は、ドラムユニットの筐体の前端部に配置される第4フレーム板の後面に配置されており、第4フレーム板の前面に設けられた電気的接触面と電気的に接続されている。カバーには、電気接点が設けられており、この電気接点は、カバーが閉鎖位置に位置することで電気的接触面に接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、上述したようなICチップを搭載した画像形成装置では、改良の余地が残されている。そこで、本発明は、画像形成装置の一形態を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、画像形成装置であって、制御基板を有する装置本体と、トナー像を担持すると共に回転軸線を中心に回転可能に構成された感光ドラムと、トナーを担持し前記感光ドラムにトナーを供給するための現像ローラ及び情報を記憶するメモリ媒体を有する現像ユニットと、前記現像ユニットの前記メモリ媒体に電気的に接続されるユニット接点と、を有する引き出しユニットであって、前記感光ドラムが画像形成可能な第1位置から前記現像ユニットが前記装置本体の外部に露出する第2位置まで前記装置本体から引き出し可能な引き出しユニットと、前記引き出しユニットを前記装置本体から引き出す際に前記引き出しユニットが通過する前記装置本体の開口部を覆う閉位置と、前記開口部を開放する開位置と、の間を移動可能に前記装置本体に支持され、前記閉位置において前記引き出しユニットに対向するドアと、前記ドアに設けられるドア接点と、前記ドア接点から前記制御基板までの電気経路と電気的に接続されないように設けられた導電部材と、前記ドアを前記装置本体に対して開閉可能に支持する第1ヒンジと、前記ドアを前記装置本体に対して開閉可能に支持し、前記回転軸線の軸線方向において前記第1ヒンジとは異なる位置に配置される第2ヒンジと、前記ドア接点と前記制御基板とを接続する束線と、接地されると共に導電性を有し、前記ドアを前記装置本体に対して閉じる方向に付勢する付勢部と、を備え、前記ドア接点は、前記制御基板に電気的に接続されると共に、前記ドアが閉位置に位置する際に前記ユニット接点と接触して前記ユニット接点と電気的に接続され、かつ前記開位置に位置する際に前記ユニット接点と接触せずに前記画像形成装置の外部に露出するように構成され、前記導電部材は、前記ドアが前記開位置に位置する際に前記画像形成装置の外部に露出され、かつ前記ドア接点の近傍に配置される一端部と、前記付勢部と電気的に接続される他端部と、を有し、前記付勢部及び前記束線の両方は、前記第1ヒンジに配置され、前記第2ヒンジに配置されない、ことを特徴とする。
また、本発明は、画像形成装置であって、制御基板と、接地された接地部と、を有する装置本体と、トナー像を担持すると共に回転軸線を中心に回転可能に構成された感光ドラムと、トナーを担持し前記感光ドラムにトナーを供給するための現像ローラ及び情報を記憶するメモリ媒体を有する現像ユニットと、前記現像ユニットの前記メモリ媒体に電気的に接続されるユニット接点と、を有する引き出しユニットであって、前記感光ドラムが画像形成可能な第1位置から前記現像ユニットが前記装置本体の外部に露出する第2位置まで前記装置本体から引き出し可能な引き出しユニットと、前記引き出しユニットを前記装置本体から引き出す際に前記引き出しユニットが通過する前記装置本体の開口部を覆う閉位置と、前記開口部を開放する開位置と、の間を移動可能に前記装置本体に支持され、前記閉位置において前記引き出しユニットに対向するドアと、前記ドアを前記装置本体に対して開閉可能に支持するヒンジと、前記ドアに設けられるドア接点と、前記ドア接点から前記ヒンジを通り、前記制御基板に接続される束線と、前記束線と電気的に接続されないように、前記束線に沿って前記束線の上方を配策された導電部材と、を備え、前記導電部材は、前記ドアが前記開位置に位置する際に前記画像形成装置の外部に露出され、かつ前記ドア接点の近傍に配置される一端部と、前記接地部と電気的に接続される他端部と、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、画像形成装置の一形態を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施例に係る画像形成装置を示す全体概略図。
【
図2】(a)は画像形成装置を示す斜視図、(b)はカートリッジトレイを取り外した状態の画像形成装置を示す斜視図。
【
図3】カートリッジトレイ及び現像カートリッジを示す斜視図。
【
図4】カートリッジトレイ及び現像カートリッジ8の断面概略図。
【
図5】(a)はカートリッジトレイを示す斜視図、(b)はカートリッジトレイの前部を示す拡大斜視図。
【
図6】トレイ接点ユニット及び各現像カートリッジに対応するトレイメモリ接点を示す斜視図。
【
図7】(a)はカートリッジトレイを装着した状態の様子を示す側面図、(b)はカートリッジトレイを装着位置から引き出した状態の様子を示す側面図、(c)はカートリッジトレイを更に引き出した状態の様子を示す側面図。
【
図8】(a)は閉位置に位置する前ドア及び装置本体を示す斜視図、(b)は前ドアを少し開いた状態の装置本体を示す斜視図、(c)は開位置に位置する前ドア及び装置本体を示す斜視図。
【
図10】(a)は使用時のマルチトレイユニットを示す斜視図、(b)はマルチトレイユニットを示す拡大斜視図。
【
図12】ドア接点ユニット及びトレイ接点ユニットを示す斜視図。
【
図13】ドア接点ユニット及びその周辺構成を示す斜視図。
【
図14】マルチトレイ枠体及びマルチトレイ枠体レールを示す断面図。
【
図16】前ドアを閉じ動作している途中の画像形成装置を示す斜視図。
【
図17】ドア接点ユニットがトレイ接点ユニットに接触した状態を示す断面図。
【
図19】第2実施例に係る画像形成装置の破線部分を拡大して示す拡大斜視図。
【
図20】ドア接点ユニットのドア接点部材の周辺構成を示す拡大斜視図。
【
図23】(a)は線バネ及びタグ本体束線の配置関係を示す斜視図、(b)は
図23(a)の23B-23B断面を示す断面図。
【
図24】(a)は第3実施例に係るねじりコイルバネを示す拡大斜視図、(b)はねじりコイルバネを示す斜視図。
【
図25】第4実施例に係る画像形成装置を示す断面図。
【
図26】(a)は装置本体及びカートリッジトレイを示す斜視図、(b)は中間接点部を示す斜視図、(c)は中間接点部を示す拡大斜視図。
【
図27】(a)は前ドアが閉じられた状態の中間接点部を示す断面図、(b)は前ドアが開かれた状態の中間接点部を示す断面図。
【
図29】(a)はタグ接点コネクタを示す斜視図、(b)はタグ接点コネクタを示す断面図。
【
図31】(a)は前ドアが開いた状態の画像形成装置を示す斜視図、(b)は前ドアが開いた状態の画像形成装置を示す断面図。
【
図32】(a)は中途位置に位置するカートリッジトレイを保持する画像形成装置を示す斜視図、(b)は中途位置に位置するカートリッジトレイを保持する画像形成装置を示す断面図。
【
図33】(a)は前ドアを閉じていく様子を示す断面図、(b)は前ドアを閉じていく様子を示す断面図、(c)は前ドアが閉じられた様子を示す断面図。
【
図34】(a)は前ドアが開いた状態の第5実施例に係る画像形成装置を示す斜視図、(b)は前ドアが開いた状態の画像形成装置を示す正面図。
【
図35】(a)は
図34(b)の35A-35A断面を示す断面図、(b)は
図34(b)の35B-35B断面を示す断面図。
【
図37】中途位置にカートリッジトレイが保持されている様子を示す断面図。
【
図38】(a)は前ドアが少し開かれた状態の画像形成装置を示す正面図、(b)は
図38(a)の38B-38B断面を示す断面図、(c)は
図38(a)の38C-38C断面を示す断面図。
【
図39】前ドアが少し開かれた状態のトレイ接点ユニット及びドア接点ユニットを示す拡大斜視図。
【
図40】(a)は更に前ドアを閉じた状態の、トレイ接点ユニットを通る断面を示す断面図、(b)は更に前ドア40を閉じた状態の、前ドアアシスト板近傍の断面を示す断面図。
【
図41】(a)は前ドアが閉位置に位置する状態の、トレイ接点ユニットを通る断面を示す断面図、(b)は前ドアが閉位置に位置する状態の、前ドアアシスト板近傍の断面を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、図面及び実施例を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の機能、材質、形状、その相対配置などは、特定の記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の説明で一度説明した部材についての機能、材質、形状などは、特に改めて記載しない限りは初めの説明と同様のものである。
【0010】
また、以下の説明では、画像形成装置に関して、前ドアを設けた側を正面側、正面側と反対側を背面側と称す。更に、画像形成装置を正面から見て左側を左側、右側を右側と称す。
【0011】
また、カートリッジトレイが有する感光ドラムのドラム軸線上に延びる方向を「第1方向D1」と称する。更に、第1方向D1に対して交差する方向(本実施形態では、カートリッジトレイに対する現像カートリッジの挿入方向)を「第2方向D2」と称する。加えて、カートリッジトレイが画像形成装置内に挿入される方向を「第3方向D3」と称する。第1方向D1と第2方向D2とは、互いに交差、好ましくは直交する。第2方向D2と第3方向D3とは、互いに交差、好ましくは直交する。第3方向D3と第1方向D1とは、互いに交差、好ましくは直交する。
【0012】
<第1実施例>
〔全体構成〕
まず、本発明の第1実施例について説明する。
図1は、本実施例に係る画像形成装置1の全体概略図である。画像形成装置1は、電子写真画像形成プロセスを用いた4色のフルカラーレーザビームプリンタであり、シートSにカラー画像形成を行う。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置1は、装置本体2と、カートリッジトレイ3と、4つの現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kと、を有する。カートリッジトレイ3及び現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kは、装置本体2に対して着脱可能に装着されている。カートリッジトレイ3は、4つの現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kを保持可能なトレイである。カートリッジトレイ3及び4つの現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kは、引き出しユニット38を構成している。
【0014】
なお、以下では、4つの現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kが装着された状態のカートリッジトレイ3も、単にカートリッジトレイ3と称し、この状態のカートリッジトレイ3は、引き出しユニットを構成する。カートリッジトレイ3(引き出しユニット)は、感光ドラムが画像形成可能な第1位置としての装着位置から現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kが装置本体2の外部に露出する第2位置としての引き出し位置まで装置本体2から引き出し可能である。画像形成装置1は、現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kから供給される現像剤(例えば、トナー)により、シートS(例えば、印刷用紙)に画像を形成する。
【0015】
本実施形態では、1つのカートリッジトレイ3に、4つの現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kが装着される。4つの現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kは、互いに異なる色(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色)の現像剤を収容する。ただし、カートリッジトレイ3に装着される現像カートリッジ8の数は、1~3つであってもよく、5つ以上であってもよい。
【0016】
なお、現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kは、トナー画像の色以外は同様の構成である。このため、現像カートリッジ8Mの構成のみを説明し、他の現像カートリッジ8Y,8C,8Kの説明は省略する。
図4は、本実施例に係るカートリッジトレイ3及び現像カートリッジ8Mの断面概略図である。
図4に示すように、カートリッジトレイ3には、現像カートリッジ8Mに対応して、トナー像を担持すると共に第1方向D1に延びる回転軸線を中心に回転する感光ドラム4Mが設けられる。すなわち、第1方向D1は、感光ドラム4Mの回転軸線の軸線方向である。加えて、カートリッジトレイ3は、感光ドラム4Mに作用する帯電ローラ5と、クリーニングローラ7と、を備えている。現像カートリッジ8Mは、感光ドラム4上に静電潜像を現像する現像ローラ6を有している。
【0017】
図1に示すように、カートリッジトレイ3の上方には、レーザスキャナユニットLBが設けられている。このレーザスキャナユニットLBは、画像情報に対応してレーザー光Zを出力する。レーザー光Zは、露光窓部10を通過して、感光ドラム4Mの表面を走査露光する。
【0018】
現像カートリッジ8Y,8M,8C,8K及びカートリッジトレイ3の下方には、静電吸着ベルトユニット11が設けられている。この静電吸着ベルトユニット11は、駆動ローラ13及びテンションローラ14を有し、これら駆動ローラ13及びテンションローラ14には、可塑性を有する静電吸着ベルト12が掛け渡されている。各現像カートリッジに設けられた感光ドラム4Y,4M,4C,4Kは、静電吸着ベルト12の上面に接している。
【0019】
静電吸着ベルト12の内側には、感光ドラム4Y,4M,4C,4Kに対向する位置に転写ローラ16Y,16M,16C,16Kが設けられている。感光ドラム4Y,4M,4C,4Kに担持されたトナー像は、転写ローラ16Y,16M,16C,16Kに転写バイアスが印加されることでシートSに転写される。
【0020】
静電吸着ベルトユニット11の下方には、給送ユニット18が設けられている。この給送ユニット18は、シートSを積載して収納した給送トレイ19と、給送ローラ20と、を有し、シートSを給送する。静電吸着ベルトユニット11の後方(
図1の右方)には、シートSに画像を定着させる定着ユニット21が配置され、装置本体2の上部には、シートSを機外に排出する排出ユニット22が配置されている。
【0021】
図2(a)は、本実施例に係る画像形成装置1を示す斜視図であり、
図2(b)は、カートリッジトレイ3を取り外した状態の画像形成装置1を示す斜視図である。
図2(a)に示すように、カートリッジトレイ3は、画像形成装置1の前ドア40を開けた後、装置本体2に設けられたガイドレール41(
図2(b)参照)に沿って第3方向D3に移動可能に設置されている。前ドア40の開閉についての詳細は後述する。現像カートリッジ8Y,8M,8C,Kは、カートリッジトレイ3に対して、個別に交換可能である。
【0022】
装置本体2は、引き出しユニット38を装置本体2から引き出す際に引き出しユニット38が通過する開口部25を有している。ドアとしての前ドア40は、開口部25を覆う閉位置と、開口部25を開放する開位置と、の間を移動可能に装置本体2に支持される。
【0023】
図3は、本実施例に係るカートリッジトレイ3及び現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kを示す斜視図である。
図3では、ある1つの現像カートリッジ8Mが取り出されている。カートリッジトレイ3に設けられた4つのスロットにおいて、現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kの着脱が行われる。
【0024】
また、
図3に示すように、現像ユニットとしての現像カートリッジ8Mは、メモリ媒体としてのメモリタグ81Mが取り付けられたメモリタグユニット80Mを備えている。メモリタグ81Mは、例えば接触式ICチップであり、電気的接点部を有する。そして、メモリタグ81Mは、カートリッジトレイ3に設けられたトレイメモリ接点720M(
図6参照)と接触することで、画像形成装置1と電気的に接続が可能である。メモリタグ81Mは、現像カートリッジ8Mに関する情報を記憶している。
【0025】
更に、画像形成装置1は、
図9に示すように、制御基板43及び表示部42を有する。制御基板43は、CPU等のプロセッサ及び各種のメモリを有し、例えば回路基板により構成され、プログラムに従ってプロセッサが動作することにより、画像形成装置1における諸処理を実行する。また、制御基板43は、後述するようにメモリタグ81Y,81M,81C,81Kと接続され、現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kのメモリタグ81Y,81M,81C,81Kの情報処理を行う。これにより、例えば現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kの現像剤残量などの情報を、画像形成装置1に設けられた表示部42によってユーザに明示することが可能となる。
【0026】
[画像形成動作]
次に、
図1及び
図4を用いて画像形成動作について説明する。フルカラー画像を形成するための動作は次の通りである。カートリッジトレイ3及び現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kは、前ドア40が閉じられた状態で画像形成装置1への装着が完了される。
【0027】
前ドア40が閉じられると、画像形成装置1に設けられた不図示のドラム駆動カップリングが、感光ドラム4Y,4M,4C,4Kに接続されているドラムカップリング54Y,54M,54C,54K(
図3参照)と係合する。ドラムカップリング54Y,54M,54C,54Kは、画像形成装置1の不図示の駆動出力モータ及びギアを介して、回転駆動される。感光ドラム4Y,4M,4C,4Kは、ドラムカップリング54Y,54M,54C,54Kを介して、所定の速度で
図1の矢印方向に回転駆動される。静電吸着ベルト12も、感光ドラム4Y,4M,4C,4Kの速度に対応した速度で回転駆動される。
【0028】
このとき、レーザスキャナユニットLBも駆動され、発光する。レーザスキャナユニットLBの発光に同期して、帯電ローラ5によって感光ドラム4Y,4M,4C,4Kの表面が所定の極性・電位に一様に帯電される。レーザスキャナユニットLBは各感光ドラム4Y,4M,4C,4Kの表面を各色の画像信号に応じてレーザー光Zで走査露光する。これにより、各感光ドラムの表面に対応色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。
【0029】
この静電潜像は、所定の速度で
図4の矢印E方向に回転駆動される現像ローラ6により現像される。このような電子写真画像形成プロセスにより、感光ドラム4Yにはフルカラー画像のイエロー成分に対応するイエロー色のトナー像が形成される。一方、給送ユニット18によって、所定の制御タイミングでシートSが1枚ずつ分離されて給送される。そして、シートSは、静電吸着ベルト12によって感光ドラム4Y,4M,4C,4Kに沿って搬送される。
【0030】
シートSは、所定の制御タイミングで感光ドラム4Yに到達し、感光ドラム4Y上のトナー像がシートS上に転写される。同様に感光ドラム4M、4C、4Kにはフルカラー画像のマゼンタ色、シアン色、ブラック色に対応するトナー像が形成される。そして、そのトナー像が、シートS上に、マゼンタ色、シアン色、ブラック色と重畳転写される。このようにして、シートS上にイエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色の4色フルカラーの未定着トナー像が形成される。
【0031】
シートSに転写されたトナー像は、定着ユニット21によって定着される。そして、定着ユニット21を通過したシートSは、排出ユニット22によって排出トレイ23へ排出される。
【0032】
[カートリッジトレイの構成]
次に、カートリッジトレイ3の構成について説明する。
図5(a)は、カートリッジトレイ3を示す斜視図であり、
図5(b)は、カートリッジトレイ3の前部を示す拡大斜視図である。カートリッジトレイ3は、トレイ枠体30、トレイ貫通軸55、感光ドラム4Y,4M,4C,4K、帯電ローラ5Y,5M,5C,5K、及びクリーニング枠体27Y,27M,27C,27Kを有している。また、カートリッジトレイ3は、トレイ帯電接点44Y,44M,44C,44Kと、トレイクリーナ接点45Y,45M,45C,45Kと、不図示のトレイ現像接点と、等を有している。
【0033】
図5(a)に示すように、トレイ枠体30は、トレイ右側面30r、トレイ左側面30l、トレイ前面30f及びトレイ背面30bの4つの面からなる枠体である。トレイ右側面30rは、カートリッジトレイ3の第1方向D1における装置外側に位置し、右側を覆う側面である。同様に、トレイ左側面30lは、カートリッジトレイ3の第1方向D1における装置外側に位置し、左側を覆う側面である。また、トレイ前面30f及びトレイ背面30bは、トレイ右側面30rとトレイ左側面30lを繋ぐ面であり、トレイ前面30fはカートリッジトレイ3の正面側に位置し、トレイ背面30bは背面側に位置する。
【0034】
トレイ貫通軸55は、トレイ右側面30r及びトレイ左側面30lに支持され、両端部がトレイ右側面30r及びトレイ左側面30lよりも第1方向D1における外側に突出している。また、トレイ右側面30r及びトレイ左側面30lの背面側には、トレイ位置決め溝56が形成されている。ここで、トレイ貫通軸55は、
図2(b)に示した装置本体2のトレイ軸係合部57に支持され、トレイ位置決め溝56は、
図1に示した装置本体2のトレイ位置決め軸24に支持される。これにより、カートリッジトレイ3が装置本体2に対して位置決めされる。
【0035】
図5(a)に示すように、感光ドラム4Y,4M,4C,4Kは、トレイ右側面30r及びトレイ左側面30lに支持され、第1方向D1に延びる回転軸について回転可能に取り付けられている。帯電ローラ5Y,5M,5C,5Kは、第1方向D1に延びる回転軸について回転可能であり、それぞれ感光ドラム4Y,4M,4C,4Kに対し接触して従動回転できるように、クリーニング枠体27Y,27M,27C,27Kに支持されている。クリーニング枠体27Y,27M,27C,27Kは、トレイ右側面30r及びトレイ左側面30lによって支持される。
【0036】
また、トレイ帯電接点44Y,44M,44C,44Kは、トレイ右側面30rの側面に設けられており、帯電ローラ5Y,5M,5C,5Kと電気的に接続している。トレイ帯電接点44Y,44M,44C,44Kは、カートリッジトレイ3の右側面に露出しており、装置本体2の不図示の帯電接点と接触することで、帯電ローラ5が装置本体2と電気的に導通する。帯電ローラ5によって、感光ドラム4Y,4M,4C,4Kの表面は所定の極性・電位に一様に帯電される。ここで、本実施例においては帯電部として帯電ローラ5を用いているが、これに限定されるものではなく、コロナ帯電器等の別の構成であってもよい。
【0037】
図4及び
図5(a)に示すように、クリーニング枠体27Y,27M,27C,27Kには、第1方向D1に延びる回転軸について回転可能なクリーニングローラ7Y,7M,7C,7Kが設けられている。トレイクリーナ接点45Y,45M,45C,45Kは、トレイ右側面30rの側面に設けられており、それぞれクリーニングローラ7Y,7M,7C,7Kと電気的に接続している。トレイクリーナ接点45Y,45M,45C,45Kは、カートリッジトレイ3の右側面に露出しており、装置本体2の不図示のクリーナ接点と接触することで、クリーニングローラ7Y,7M,7C,7Kが装置本体2と電気的に接続する。
【0038】
これによってクリーニングローラ7Y,7M,7C,7Kは、画像形成時に転写がされずに残った感光ドラム4Y,4M,4C,4Kの表面の廃現像剤を効果的に除去する。ここで、本実施例においては、クリーニング部としてクリーニングローラ7を用いているが、クリーニング部は必ずしも設ける必要はなく、またゴムブレード、シート等の別の構成であってもよい。
【0039】
図5(a)(b)に示すように、トレイ前面30fには、トレイ操作部30aと、後述する前ドア40の突出部40aによって押圧可能な被押圧部751と、が設けられている。なお、被押圧部751は、突出部40aによって押圧されないように構成してもよい。対向面としてのトレイ前面30fは、閉位置に位置する前ドア40と対向する。これらトレイ操作部30a及び被押圧部751は、トレイ前面30fに対して手前側に突出している。
【0040】
把手部としてのトレイ操作部30aは、トレイ前面30fの第1方向D1における中央部に配置されており、ユーザが下から手を入れて把持できるように、下方に向けて凹の形状を有している。被押圧部751は、トレイ前面30fの第1方向D1における左端部に配置されている。第1方向D1におけるトレイ操作部30aと被押圧部751との間には、凹部752が形成されている。
【0041】
図6は、トレイ接点ユニット219及び各現像カートリッジに対応するトレイメモリ接点720Y,720M,720C,720Kを示す斜視図である。
図5(a)及び
図6に示すように、トレイ前面30fには、トレイ接点ユニット219が取付けられている。クリーニング枠体27Y,27M,27C,27Kのトレイ右側面30r側の端部には、トレイメモリ接点720Y,720M,720C,720Kが取付けられている。
【0042】
トレイメモリ接点720Y,720M,720C,720Kは、現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kのメモリタグ81Y,81M,81C,81K(
図3参照)の電気接点部にそれぞれ接続可能な位置に配置されている。これらトレイメモリ接点720Y,720M,720C,720Kは、配線部730及び不図示の中継基板を介して、ユニット接点としてのトレイ接点ユニット219に電気的に接続されている。
【0043】
[カートリッジトレイの挿抜]
次に、
図2(a)(b)、
図5(a)及び
図7(a)(b)(c)を用いて、装置本体2からのカートリッジトレイ3の引き出し動作について説明する。
図7(a)(b)(c)は、装置本体2からのカートリッジトレイ3の引き出し時の挙動を示す図であり、画像形成装置1の右側面から見たカートリッジトレイ3と装置本体2の状態の遷移を示している。
【0044】
トレイ右側面30r及びトレイ左側面30lには、
図5に示したように、第1方向D1における外側に突出したトレイガイド49がそれぞれ形成されている。また、各トレイガイド49の画像形成装置1における背面側には、トレイ枠体30に対して回転可能に支持されたガイドコロ50が設けられている。
【0045】
ここで、
図7(a)に示すように、ガイドコロ50の最下部50aは、トレイガイド49よりも下方にある。また、トレイガイド49の画像形成装置1における正面側の端部には、トレイガイド傾斜面49bが形成されている。ここで、トレイガイド傾斜面49bは、トレイガイド49の正面側の終端に近づくにつれて上向きに傾斜している。
【0046】
また、
図2(b)に示すように、装置本体2におけるカートリッジトレイ3の収容部の両側面には、ガイドレール41が設けられている。更に、
図7(a)に示すように、ガイドレール41の画像形成装置1における背面側には、背面側の終端に近づくにつれて下向きに傾斜したレール傾斜面41bが設けられている。また、ガイドレール41の画像形成装置1における正面側の端部には、レール下面から上向きに突出したトレイストッパ41cが形成されている。
【0047】
ここで、
図7(a)に示すように、装置本体2に装着されたカートリッジトレイ3の位置を第1位置とする。カートリッジトレイ3が第1位置に位置する時、ガイドコロ50及びトレイガイド傾斜面49bは、それぞれレール傾斜面41b及びトレイストッパ41cよりもカートリッジトレイ3の引き出し方向における上流に配置されている。現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kの交換の際には、ユーザは、画像形成装置1の前ドア40を開け、装置本体2に対してカートリッジトレイ3を第1位置から正面側に引き出す。
【0048】
このとき、
図7(b)に示すように、トレイガイド傾斜面49bとトレイストッパ41cが接触し、かつガイドコロ50とレール傾斜面41bが接触する。そして、カートリッジトレイ3は、画像形成装置1の正面側に引き出されるにつれて装置本体2に対して第2方向D2における上側に移動する。
【0049】
これにより、感光ドラム4Y,4M,4C,4Kと静電吸着ベルト12が離れ、感光ドラム4Y,4M,4C,4Kの表面を傷つけることなくカートリッジトレイ3を引き出すことができる。ここで、
図7(c)に示すように、装置本体2に対してカートリッジトレイ3を第1位置から正面側に引き出していき、カートリッジトレイ3が第2方向D2において上側に上昇しきったときのカートリッジトレイ3の位置を第2位置とする。
【0050】
カートリッジトレイ3が第2位置及び第2位置よりも正面側にあるときは、トレイガイド下面49aとトレイストッパ41cが接触し、かつガイドコロ50とガイドレール41が接触した状態となる。これにより、カートリッジトレイ3の第2方向D2における位置は維持されたまま、第3方向D3において装置本体2の正面側に引き出される。引き出した後は、ユーザは、現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kの取り出し方向である上側が開放された状態となるため、現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kを容易に交換することができる。
【0051】
また、カートリッジトレイ3を引き出した状態から、装置本体2に挿入する場合は、カートリッジトレイ3は引き出し時と逆順に第2位置を通過して、第1位置まで移動する。この場合も、カートリッジトレイ3が第1位置に収まるまで感光ドラム4と静電吸着ベルト12が離れているため、感光ドラム4の表面を傷つけることなくカートリッジトレイ3の挿入を完了することができる。
【0052】
[前ドアの開閉]
次に、
図8(a)乃至
図9を用いて、前ドア40の開閉動作について説明する。
図8(a)~(c)は前ドア40を段階的に開閉する際の画像形成装置1を示す斜視図である。
図9は前ドア40の構成を示す斜視図である。
【0053】
図9に示すように、前ドア40には、左ヒンジ201及び右ヒンジ202が取り付けられている。これら左ヒンジ201及び右ヒンジ202は、第1方向D1において互いに異なる位置に配置されている。左ヒンジ201には、左ヒンジ回転軸201aが設けられ、右ヒンジ202には、右ヒンジ回転軸202aが設けられている。装置本体2には、左ヒンジ支持部203及び右ヒンジ支持部204が設けられており、それぞれ左ヒンジ回転軸201a及び右ヒンジ回転軸202aと係合している。そして、前ドア40は、左ヒンジ回転軸201a及び右ヒンジ回転軸202aを中心に、装置本体2に対して回転可能に保持されている。
【0054】
また、前ドア40には、開閉ボタン205、左ロック部材206及び右ロック部材207が設けられており、装置本体2には、左ロック部材保持部208及び右ロック部材保持部209が設けられている。前ドア40が閉じられている際には、左ロック部材206が左ロック部材保持部208に係合し、右ロック部材207が右ロック部材保持部209に係合する。これらの係合によって前ドア40は装置本体2に対して閉じた位置に保持される。更に、前ドア40には前ドア付勢部材210が設けられている。前ドア40が閉じた状態にある時、前ドア付勢部材210は、前ドア40と装置本体2に対して付勢力を与えている。この付勢力により、前ドア40は、装置本体2に対して開かれる方向に付勢される。
【0055】
ユーザが前ドア40を開ける時は、まず開閉ボタン205を押す。左ロック部材206及び右ロック部材207は、開閉ボタン205が押されることによって不図示のリンク機構を介して移動し、左ロック部材保持部208及び右ロック部材保持部209との係合が、それぞれ解除される。左ロック部材206及び右ロック部材207の係合が解除されると、前ドア40は、前ドア付勢部材210の付勢力によって、左ヒンジ回転軸201a及び右ヒンジ回転軸202aを中心に、
図8(a)の位置から
図8(b)の位置まで回転する。
【0056】
この位置まで移動したことで、ユーザは前ドア40の辺縁部40cを持つことが出来るようになる。ユーザは、この辺縁部40cを操作することで、
図8(c)に示すように、前ドア40を、閉じた状態に対して略90度回転した位置まで開くことが出来る。ここで、右ヒンジ202には、引張りバネ306(
図9参照)が設けられている。この引張りバネ306によって、ユーザが前ドア40を開くときの衝撃が緩和されている。
【0057】
左ヒンジ201及び右ヒンジ202には、それぞれ不図示の左ヒンジストッパー部及び右ヒンジストッパー部が設けられている。前ドア40が
図8(c)の位置まで回転すると、左ヒンジストッパー部及び右ヒンジストッパー部がそれぞれ不図示の装置本体2に設けられたストッパーに突き当たり、前ドア40はこれ以上開かず、この位置に規制される。また、前ドア40を閉じる場合は、開く時と逆順に回転し、左ロック部材206及び右ロック部材207が保持部と係合することで、閉じた状態となる。
【0058】
[マルチトレイユニットの構成]
次に、
図8(a)及び
図10(a)(b)を用いて、マルチトレイユニット211の構成について説明する。
図10(a)は、使用時のマルチトレイユニット211を示す斜視図であり、
図10(b)は、マルチトレイユニットを示す拡大斜視図である。
【0059】
図10(a)(b)に示すように、積載部としてのマルチトレイユニット211は、マルチトレイ枠体212、一対のマルチトレイストッパ213及びマルチトレイ214を有している。マルチトレイユニット211を開いた状態では、マルチトレイ枠体212の上面に位置する積載面212eと、マルチトレイ214と、にシートが積載される。マルチトレイ枠体212には、ユーザが把持可能なマルチトレイ枠体手掛かり212aが設けられている。ユーザがマルチトレイユニット211を使用する時には、ユーザは、マルチトレイ枠体手掛かり212aを持ち、回転軸212bを中心にマルチトレイユニット211を開く方向に回転させる。
【0060】
ここで、前ドア40には、長孔形状の前ドアレール40dが形成されており、マルチトレイ枠体212には、マルチトレイ214に積載されたシートの厚み方向に立ち上がるマルチトレイ枠体レール212cが形成されている。係合部としてのマルチトレイ枠体レール212cは、積載面212eから装置本体2に向けて突出している。マルチトレイ枠体レール212cには、長孔部212dが形成されている。
【0061】
保持部としてのマルチトレイストッパ213は、前ドアレール40dと、マルチトレイ枠体レール212cの長孔部212dと、によって、スライド可能に保持されている。すなわち、長孔部212dは、マルチトレイストッパ213に対して摺動可能に係合する。マルチトレイユニット211が
図10(a)に示す位置まで回転すると、マルチトレイストッパ213は、前ドアレール40dとマルチトレイ枠体レール212cの長孔部212dの端部に突き当たる。
【0062】
この時、マルチトレイユニット211の自重による回転力はマルチトレイユニット211を開く方向に作用し、マルチトレイストッパ213がマルチトレイユニット211の回転力を止める作用するため、マルチトレイユニット211の位置は保持される。そして、ユーザは、
図10(a)に示す位置でマルチトレイユニット211を保持した状態で、マルチトレイユニット211を使用することができる。
【0063】
マルチトレイ枠体212には、幅規制板215が第1方向D1に移動可能に支持されている。マルチトレイ枠体212の積載面212e及びマルチトレイ214には、ユーザによってシートが積載され、このシートは、幅規制板215によって第1方向D1における位置が規制される。そして、画像形成時には、マルチトレイ214に積載されたシートは、給送ローラ216(
図1参照)によって給送される。
【0064】
[トレイ接点ユニットの構成]
次に、
図5(a)、
図6及び
図11を用いて、トレイ接点ユニット219について説明する。
図11は、トレイ接点ユニット219を示す拡大斜視図である。上述したように、現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kをカートリッジトレイ3に装着すると、現像カートリッジ8Y,8M,8C,8Kの電気接点部とトレイメモリ接点720Y,720M,720C,720Kが接続される。
【0065】
トレイメモリ接点720Y,720M,720C,720Kは、
図6に示すように、配線部730を介して、トレイ前面30fに設けられた不図示の中継基板に接続されている。中継基板には、各感光ドラムに関する情報を有するメモリ媒体である、不図示のドラムメモリタグが設けられている。
【0066】
図5(a)に示すように、カートリッジトレイ3のトレイ前面30fには、トレイ接点ユニット219が設けられている。
図11に示すように、トレイ接点ユニット219は、トレイ接点基板220、接点基板保持部材221、接点基板押圧バネ222及びトレイ接点枠体223で構成される。トレイ接点基板220には、不図示の配線部によって上記中継基盤が電気的に接続されている。
【0067】
トレイ接点基板220は、接点基板保持部材221に対して接着や両面テープや熱かしめ等の任意の方法により固定されている。接点基板押圧バネ222は、圧縮バネであり、接点基板保持部材221とカートリッジトレイ3にそれぞれ当接し、バネの自然状態から圧縮された状態となっている。接点基板押圧バネ222のバネ力により接点基板保持部材221の保持部材規制部221aとトレイ接点枠体223のトレイ接点枠体規制部223aとが当接した状態で保持される。トレイ接点枠体223は、カートリッジトレイ3に対して固定されている。
【0068】
トレイ接点枠体223には、フロート保持部223bが設けられている。フロート保持部223bは、接点基板保持部材221を囲むように4面に配置されている。フロート保持部223bと接点基板保持部材221はクリアランスを持って配置されており、これによって、接点基板保持部材221は第1方向D1及び第2方向D2に一定量移動可能に、トレイ接点枠体223に保持される。
【0069】
[ドア接点ユニットの周辺構成]
次に、
図12乃至
図14を用いて、前ドア40に設けられたドア接点ユニット224の周辺構成について説明する。
図12は、ドア接点ユニット224及びトレイ接点ユニット219を示す斜視図である。
図13は、ドア接点ユニット224及びその周辺構成を示す斜視図である。
図14は、マルチトレイ枠体212及びマルチトレイ枠体レール212cを示す断面図である。
【0070】
図12乃至
図14に示すように、ドア接点としてのドア接点ユニット224は、前ドア40が閉じられた状態において、カートリッジトレイ3に設けられたトレイ接点ユニット219に接触して電気的に接続されるように配置されている。ドア接点ユニット224は、前ドア40に固定されるドア接点ホルダ226と、ドア接点ホルダ226に保持されるドア接点部材225と、を有している。
【0071】
ドア接点ホルダ226は、装置本体2に対向する側が開放された箱形状に形成されており、ドア接点部材225は、ドア接点ホルダ226内に収容されている。ドア接点ホルダ226の縁部は、ドア接点部材225に向けてテーパ状に形成される接点位置決め部226aを構成しており、接点位置決め部226aは、前ドア40が閉じられる際にトレイ接点ユニット219を位置決めする。ドア接点部材225は、金属製の接点部を有しており、束線としてのタグ本体束線305に接続されている。
【0072】
また、前ドア40は、ドア接点ユニット224の第1方向D1における左方に配置され、かつ装置本体2に装着されたカートリッジトレイ3に向けて突出する突出部40aを有している。
図14に示すように、突出部40a内には、マルチトレイ枠体レール212cが収容されており、マルチトレイ枠体レール212cに干渉しないように、突出部40aはカートリッジトレイ3に向けて突出するように形成されている。
【0073】
ドア接点ユニット224は、突出部40aよりも第1方向D1における装置内側、すなわち右方に配置されている。これは、第3方向D3において前ドア40を小型化し、画像形成装置1を小型化するためである。
図15は、ドア接点ユニット224を第1方向D1において突出部40aに重なる領域に配置した比較例を示す。本比較例では、
図15に示すように、前ドア40のマルチトレイ枠体212の前面からドア接点ユニット224の背面までの距離は、距離L3となる。
【0074】
一方で、
図14に示すように、本実施の形態では、マルチトレイ枠体212の前面からドア接点ユニット224の背面までの距離は距離L2となる。距離L2は、距離L3よりも小さい。このように、ドア接点ユニット224を第1方向D1において突出部40aとはずらして配置することで、画像形成装置1を小型化することができる。
【0075】
また、トレイ操作部30aは、
図5(b)に示すように下向きに凹の形状をしていて、下から手を入れて持つ構成になっている。このため、トレイ接点ユニット219をトレイ操作部30aと第1方向D1で同じ領域に配置すると、ドア接点ユニット224がユーザの操作の邪魔になってしまったり、ユーザがドア接点ユニット224に触ってしまうリスクが高くなったりしてしまう。ここで、前述のように、トレイ接点ユニット219とドア接点ユニット224とは互いに接触させる構成のため、第1方向D1で同じ領域に配置されている。
【0076】
このため、本実施例では、
図12に示すように、トレイ接点ユニット219及びドア接点ユニット224は、トレイ操作部30aの左側の端面130よりも第1方向D1において装置外側に配置されている。また、トレイ接点ユニット219及びドア接点ユニット224は、トレイ操作部30aよりも鉛直方向としての第2方向D2において下方の領域に配置されている。これにより、ユーザが前ドア40を開いた状態においても、トレイ接点ユニット219にユーザが触れにくく、トレイ接点ユニット219の破損を低減できる。
【0077】
更に、
図12乃至
図14に示すように、ドア接点ユニット224の近傍には、前ドア40の背面から突出する凸部753及び補強リブ40bが設けられている。凸部753は、2つの突起部753a,753bを有しており、リブとしての補強リブ40bは、突起部753aに一体に形成されている。
【0078】
凸部753は、前ドア40が閉じられた状態で、カートリッジトレイ3のトレイ前面30fに設けられた凹部752に対向する位置に配置されている。このため、前ドア40が装置本体2に対して閉じられると、前ドア40に設けられた凸部753がカートリッジトレイ3の凹部752に入り込む。この時、凸部753は、カートリッジトレイ3のトレイ前面30fとは僅かに隙間を開けて配置される。
【0079】
凸部753及び凹部752は、装置本体2に適用可能なカートリッジトレイ3のみを装着可能にするための構成である。例えば、装置本体2に適用不能で凹部752を有さないカートリッジトレイが装置本体2に装着されると、前ドア40を閉じようとしても、凸部753が装着したカートリッジトレイに接触し、前ドア40をしっかりと閉めることができない。また、装置本体2に適用可能で凹部752を有するカートリッジトレイ3が装置本体2に装着されると、凸部753がカートリッジトレイ3に接触せず、前ドア40をしっかりと閉めることができる。これにより、画像形成装置1に対して互換性のないカートリッジトレイの装着を防止することができる。
【0080】
また、補強リブ40bは、トレイ操作部30aとの干渉を避けるように配置されており、前ドア40の剛性を確保している。そして、ドア接点ユニット224及びトレイ接点ユニット219は、補強リブ40bよりも、第1方向D1において装置外側、すなわち左側に配置されている。
【0081】
したがって、トレイ接点ユニット219及びドア接点ユニット224は、
図12に示すように、第1方向D1において領域L1内に配置されることが好ましい。領域L1は、第1方向D1において、トレイ操作部30aの端面130よりも装置外側、すなわちマルチトレイ枠体レール212c側であり、かつマルチトレイ枠体レール212cよりもトレイ操作部30a側の領域である。より好ましくは、トレイ接点ユニット219及びドア接点ユニット224は、第1方向D1において、突出部40aよりもトレイ操作部30a側に配置される。
【0082】
より好ましくは、トレイ接点ユニット219及びドア接点ユニット224は、第1方向D1において、トレイ操作部30aに対して凸部753と同じ側に配置される。より好ましくは、トレイ接点ユニット219及びドア接点ユニット224は、補強リブ40bよりもマルチトレイ枠体レール212c側に配置される。
【0083】
[ドア接点の接触動作]
次に、ドア接点ユニット224のトレイ接点ユニット219に対する接触動作について、
図12,13,16,17を用いて説明する。
図16は、前ドアを閉じ動作している途中の画像形成装置1を示す斜視図である。
図17は、ドア接点ユニット224がトレイ接点ユニット219に接触した状態を示す断面図である。
【0084】
前ドア40が開いた状態から閉じられていくと、
図16及び
図17に示すように、接点基板保持部材221の接点被位置決め部221bと、ドア接点ホルダ226の接点位置決め部226aが係合する。前述のように、第1方向D1及び第2方向D2にある程度移動可能に保持されている接点基板保持部材221は、この係合によって第1方向D1及び第2方向D2の移動を規制される。この規制によって、接点基板保持部材221に保持されているトレイ接点基板220と、ドア接点ホルダ226に保持されているドア接点部材225は、第1方向D1及び第2方向D2において位置合わせされる。この状態で、トレイ接点基板220に設けられた接点部とドア接点部材225の接点部が接触し、電気的に接続される。
【0085】
なお、本実施例では、ドア接点ユニット224によってトレイ接点ユニット219が第1方向D1及び第2方向D2に移動規制されたが、これに限定されない。例えば、ドア接点ユニット224の接点基板保持部材221を第1方向D1及び第2方向D2に移動可能に構成し、接点基板保持部材221の移動をトレイ接点ユニット219によって規制してもよい。また、接点の構成は基板に限られたものではなく、バネや金属線等の別のものでもよい。
【0086】
以上のように、本実施例では、トレイ接点ユニット219及びドア接点ユニット224を、
図12に示すように、第1方向D1において領域L1内に配置した。これにより、装置を小型化し、トレイ操作部30aの操作性を阻害せず、かつドア接点ユニット224にユーザが触れてしまうことを低減できる。このように、本実施例によると、操作性及び小型化を両立した画像形成装置の一形態を提供できる。
【0087】
なお、本実施例では、トレイ接点ユニット219及びドア接点ユニット224をトレイ操作部30aの左側に配置したが、これに限定されない。例えば、トレイ接点ユニット219及びドア接点ユニット224をトレイ操作部30aの右側に配置してもよい。
【0088】
また、本実施例では、トレイ接点ユニット219をトレイ操作部30aよりも第2方向D2において下方の領域に設けたが、これに限定されない。例えば、トレイ接点ユニット219をトレイ操作部30aと同じ高さに設けてもよく、またトレイ接点ユニット219をトレイ操作部30aよりも上方に設けてもよい。
【0089】
<第2実施例>
次いで、本発明の第2実施例について説明するが、第2実施例は、第1実施例の画像形成装置に静電気放電の対策を講じて構成したものである。このため、第1実施例と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0090】
[課題]
図18は、比較例としての画像形成装置1001を示す斜視図である。なお、
図18は、説明のため左側外装及び給紙トレイ外装は不図示で、前ドア開状態を示す。
図18に示すように、前ドア40は、左ヒンジ201及び右ヒンジ202によって装置本体2に対して開閉可能に支持されている。前ドア40に設けられたドア接点ユニット224のドア接点部材225には、タグ本体束線305が電気的に接続されている。タグ本体束線305は、左ヒンジ201を経由して、制御基板43に電気的に接続されている。
【0091】
この比較例としての画像形成装置1001には、以下のような課題がある。静電気を帯びた導体やユーザが、ドア接点部材225若しくはタグ本体束線305に接近又は接触すると、静電気放電(Electro Static Discharge、以下ESDとする)が発生する場合がある。そして、ESDに起因する電流が、例えばドア接点部材225からタグ本体束線305を経由して制御基板43に到達すると、制御基板43上の素子が電気的に破壊される可能性がある。
【0092】
特に、画像形成装置1001では、ユーザはトレイ操作部30aを操作することでカートリッジトレイ3の着脱を行う。前ドア40が開かれた状態では、ドア接点部材225は、ユーザの手がアクセスする領域に向いているため、ユーザがドア接点部材225に接近又は接触する可能性が高くなっている。
【0093】
[構成]
次に、上記課題を解決する構成について、
図19乃至
図22(b)を用いて説明する。
図19は、画像形成装置1Bの破線部分を拡大して示す拡大斜視図である。
図20は、ドア接点ユニット224のドア接点部材225の周辺構成を示す拡大斜視図である。
図21は、引張りバネ306及び線バネ309を示す拡大斜視図である。
図22は、左ヒンジ201の周辺構成を示す斜視図である。
図23(a)は、線バネ309及びタグ本体束線305の配置関係を示す斜視図であり、
図23(b)は、
図23(a)の23B-23B断面を示す断面図である。なお、
図19は、説明のため左側外装、後側外装及び給紙トレイ外装を不図示としている。
【0094】
図19に示すように、画像形成装置1Bは、左側板300と、後板金301と、左前板金302と、を有しており、左側板300は、後板金301及び左前板金302とビス締結によって電気的に接続されている。後板金301は、アースピンケーブル304及びビスを介して、インレットのアースピン303に接続されている。左前板金302は、モールドフレーム397のフック部307a,307bによって位置決めされている。
【0095】
なお、本実施例では、上述した部材間の電気的な接続をビス締結及びケーブルによって行っているが、これに限定されない。例えば、部材間の電気的な接続が可能であれば、溶接や接点バネ等の他の方法を用いてもよい。
【0096】
左ヒンジ201には、前ドア40が開いた時の衝撃を緩和させるため、前ドア40を装置本体2に対して閉じる方向に付勢する引張りバネ306が設けられている。引張りバネ306は、導電性を有する弾性体である。引張りバネ306の一端部306aは、左前板金302のバネ掛け部302aに保持されている。引張りバネ306は、前ドア40が開いているときに付勢力(弾性力)が最大となる。このため、前ドア40が開いているときに、引張りバネ306と左前板金302との接点圧は最大となり、引張りバネ306と左前板金302とが安定して電気的に接続される。
【0097】
次に、前ドア40周りの構成について
図20及び
図21を用いて説明する。
図20に示すように、前ドア40は、前ドアリンク227及び前ドアロッド228によって、開位置で保持される。なお、
図21は、説明のため前ドアリンク227、前ドアロッド228及び束線保護カバー308を不図示にしている。
【0098】
図20に示すように、ドア接点ユニット224のドア接点部材225は、制御基板43に電気的に接続される。また、ドア接点ユニット224は、前ドア40が閉位置に位置する際にトレイ接点ユニット219と接触してトレイ接点ユニット219と電気的に接続される。そして、ドア接点ユニット224は、前ドア40が開位置に位置する際に、トレイ接点ユニット219と接触せずに画像形成装置1Bの外部に露出するように構成されている。
【0099】
図21に示すように、引張りバネ306の他端部306bには、導電性を有する線バネ309の他端部309bがビスによって締結されており、引張りバネ306と線バネ309とが電気的に接続されている。これにより、線バネ309、引張りバネ306、左前板金302、左側板300、アースピンケーブル304及びアースピン303は電気的に接続され、線バネ309及び引張りバネ306は、電気アースとして機能する。すなわち、引張りバネ306は、接地された接地部及び付勢部を構成している。なお、本実施例では、導電部材として線バネ309を用いていたが、導電部材は、形状や材質は限定されない。例えば、導電部材として、シートや板等の形状の導電部材を用いてもよい。また、線バネ309は、ドア接点ユニット224から制御基板43までの電気経路と電気的に接続されないように設けられている。
【0100】
タグ本体束線305は、
図21及び
図22に示すように、ドア接点部材225に接続されている。タグ本体束線305は、前ドア40が閉じられた際にドア接点部材225とトレイ接点ユニット219が接続されることで、各現像カートリッジのメモリタグ81Y,81M,81C,81K(
図3参照)の情報を制御基板43に送信可能となる。
【0101】
タグ本体束線305は、
図20乃至
図22に示すように、ドア接点部材225から左ヒンジ201に向かう。この時、タグ本体束線305の上方には、タグ本体束線305を覆う束線保護カバー308が設けられている。これにより、ユーザがタグ本体束線305に触れて、ESDにより制御基板43が破損することを低減できる。なお、前ドア40と束線保護カバー308の間には必ず微小隙間が発生し、この微小隙間でもユーザとタグ本体束線305間で放電現象は発生する虞がある。
【0102】
図22に示すように、タグ本体束線305は、前ドア40の回転軸となる左ヒンジ回転軸201aを通過して、
図19に示す束線ホルダ310に保持される。更に、タグ本体束線305は、装置後方へと配策され、制御基板43に接続される。
【0103】
ところで、ユーザは、画像形成装置1Bの上方から、カートリッジトレイ3にアクセスする。そのため、
図21に示すように、引張りバネ306とタグ本体束線305を左右あるヒンジのうち同じ左ヒンジ201に配置している。言い換えれば、引張りバネ306及びタグ本体束線305の両方は、第1ヒンジとしての左ヒンジ201に配置され、第2ヒンジとしての右ヒンジ202には配置されない。これにより、引張りバネ306が、ESDからタグ本体束線305を保護でき、制御基板43の破損を低減できる。
【0104】
また、線バネ309は、
図20乃至
図23(b)に示すように、タグ本体束線305に沿ってタグ本体束線305の上方を配策されている。更に、線バネ309の一端部309aは、前ドア40が開位置に位置する際に、画像形成装置1Bの外部に露出するようにドア接点部材225の近傍に配置されている。より具体的には、線バネ309の一端部309aは、ドア接点部材225の接点部225aの上方に配置されると共に、ドア接点部材225を囲むように配置されている。線バネ309の他端部309bは、引張りバネ306に電気的に接続されている。このように線バネ309を配策することにより、通常、上方からアクセスされるユーザの手や導体等が、線バネ309に触れることなくドア接点部材225に接触することを低減できる。
【0105】
また、ESDは、ユーザの手や導体等が近接しても発生することがあるが、ユーザの手や導体等に対して、ドア接点部材225の接点部225aやタグ本体束線305よりも線バネ309の方が近接して配置される。このため、たとえESDが発生しても、ドア接点部材225の接点部225aやタグ本体束線305に電流が流れるのではなく、接地された線バネ309又は引張りバネ306に電流が流れる。これにより、制御基板43の破損を低減することができる。このように、本実施例によると、制御基板43の破損を低減した画像形成装置の一形態を提供できる。
【0106】
なお、本実施例では、ESDから保護すべき電気製品は、例えばドア接点部材225であってが、これに限定されず、モータやセンサ等のその他の電気部品をESDから保護するように構成してもよい。
【0107】
<第3実施例>
次いで、本発明の第3実施例について説明するが、第3実施例は、第2実施例の引張りバネ306をねじりコイルバネ311に代えて構成したものである。このため、第2実施例と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0108】
[ねじりコイルバネの周辺構成]
図24(a)(b)は、ねじりコイルバネ311を示す斜視図である。
図24(a)(b)に示すように、ねじりコイルバネ311は、コイル部311aと、コイル部311aから一方に延びる一端部311bと、コイル部311aから他方に延びる他端部311cと、を有する。ねじりコイルバネ311のコイル部311aは、左ヒンジ回転軸201aに軸支されており、一端部311bは、左前板金302のバネ受け部302bに係止されている。
【0109】
ねじりコイルバネ311の他端部311cは、ビスによって線バネ309に電気的に接続されている。また、ねじりコイルバネ311は、他端部311cによって左ヒンジ201に設けられたバネ受け部201bを押圧することで、前ドア40が開いた時の衝撃を緩和する。
【0110】
ねじりコイルバネ311は、第2実施例と同様に、前ドア40が開いているときに付勢力(弾性力)が最大となる。このため、前ドア40が開いているときに、ねじりコイルバネ311と左前板金302との接点圧は最大となり、ねじりコイルバネ311と左前板金302とが安定して電気的に接続される。
【0111】
[効果]
このような構成により、線バネ309及びねじりコイルバネ311は、電気アースとして機能する。そして、第2実施例と同様に、線バネ309及びねじりコイルバネ311によってタグ本体束線305やドア接点部材225がESDから保護され、制御基板43の破損を低減することができる。また、左ヒンジ201の周囲の配置制約に対して、ねじりコイルバネ311を選択することができ、設計自由度を向上することができる。このように、本実施例によると、設計自由度を向上しつつ、制御基板43の破損を低減した画像形成装置の一形態を提供できる。
【0112】
<第4実施例>
次いで、本発明の第4実施例について説明するが、第4実施例は、第1実施例のドア接点部材225の構成を変更したものである。このため、第1実施例と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0113】
[課題]
第1実施例のように、前ドア40に配置されたドア接点部材225が、左ヒンジ201を通るタグ本体束線305を介して、制御基板43に電気的に接続された構成では、以下のような課題がある。
【0114】
静電気を帯びた導体やユーザが、ドア接点部材225若しくはタグ本体束線305に接近又は接触すると、ESDが発生する場合がある。そして、ESDに起因する電流が、例えばドア接点部材225からタグ本体束線305を経由して制御基板43に到達すると、制御基板43上の素子が電気的に破壊される可能性がある。
【0115】
特に、前ドア40が開かれた状態では、ドア接点部材225は、ユーザの手がアクセスする領域に向いているため、ユーザがドア接点部材225に接近又は接触する可能性が高くなっている。
【0116】
[構成]
次に、上記課題を解決する構成について
図25乃至
図27(b)を用いて説明する。
図25は、本実施例に係る画像形成装置1Dを示す断面図である。
図26(a)は、装置本体402及びカートリッジトレイ403を示す斜視図であり、
図26(b)は、中間接点部450を示す斜視図であり、
図26(c)は、中間接点部450を示す拡大斜視図である。
図27(a)は、前ドア440が閉じられた状態の中間接点部450を示す断面図であり、
図27(b)は、前ドア440が開かれた状態の中間接点部450を示す断面図である。
【0117】
図25乃至
図26(c)に示すように、画像形成装置1Dは、装置本体402と、装置本体402に開閉可能に支持される前ドア440と、を有している。装置本体402には、カートリッジトレイ403が引き出し可能に装着されており、ユニットホルダとしてのカートリッジトレイ403のトレイ前面403fには、ユニット接点としてのトレイ接点基板420が設けられている。装置本体402には、本体接点基板422が設けられており、本体接点としての本体接点基板422は、トレイ接点基板420の上方に配置されている。
【0118】
トレイ接点基板420は、基板状の接点部材であり、閉状態に位置する前ドア440に対向するトレイ接点基板接点面420aを有している。トレイ接点基板420は、第1方向D1において、制御基板43に近い位置に配置されており、後述する本体接点基板422に接続される本体接点束線423を短く構成することができる。
【0119】
本体接点基板422は、装置本体402の前面402fに設けられており、トレイ接点基板420の第2方向D2における上方に配置された基板状の接点である。本体接点基板422は、閉状態に位置する前ドア440に対向する本体接点基板接点面422aを有しており、本体接点束線423を介して、装置本体402の側方に設けられた制御基板43に接続されている。
【0120】
装置本体402は、レーザスキャナユニットLB(
図1参照)を保持するLBステー489を有しており、本体接点基板422は、接地部材としてのLBステー489の近傍に配置されている。LBステー489はアース(接地)されているため、たとえユーザの手が本体接点基板422に接近・接触したとしても、本体接点基板422をESDから保護することができる。このように、部品を追加することなく、本体接点基板422のESD対策を行うことができる。
【0121】
前ドア440には、中間接点部450が配置されており、中間接点部450は、中間接点バネ451及び中間接点ホルダ452を有している。弾性部材としての中間接点バネ451は、中間接点ホルダ452に支持され、導電性及び弾性を有する複数のバネ用線材から構成される。このバネ用線材は、トレイ接点基板接点面420aの接点の数に対応した数だけ設けられている。
【0122】
より具体的には、
図27(b)に示すように、中間接点バネ451は、中央部が中間接点ホルダ452の押圧リブ452aによって押圧された状態で、両端部451c,451dが中間接点ホルダ452の抑えリブ452b,452cによって保持されている。このように、中間接点バネ451は、押圧リブ452aによって押圧されて弾性変形した状態で中間接点ホルダ452に保持され、前ドア440が開かれた状態では、両端部451c,451dと抑えリブ452b,452cとの間には隙間がない。
【0123】
中間接点バネ451は、トレイ接点基板420のトレイ接点基板接点面420aに電気的に接続可能な第1中間接点451aと、本体接点基板422の本体接点基板接点面422aに電気的に接続可能な第2中間接点451bと、を有している。第1中間接点451aは、第1接点を構成し、第2中間接点451bは、第2接点を構成している。
【0124】
図27(a)に示すように、前ドア440が装置本体402に対して閉じられると、中間接点バネ451の第1中間接点451aと第2中間接点451bとが、それぞれ本体接点基板422とトレイ接点基板420とに押圧される。
【0125】
そして、中間接点バネ451は、弾性変形し、第1中間接点451a及び第2中間接点451bがそれぞれ本体接点基板422及びトレイ接点基板420に向けて付勢された状態で保持される。言い換えれば、中間接点バネ451は、第1中間接点451aがトレイ接点基板420に圧接し、かつ第2中間接点451bが本体接点基板422に圧接するように弾性変形する。これにより、中間接点バネ451の第1中間接点451a及び第2中間接点451bは、それぞれ安定して本体接点基板422及びトレイ接点基板420に接触し、電気的な接続を確保することができる。このため、各現像カートリッジのメモリタグ81Y,81M,81C,81K(
図3参照)は、トレイ接点基板420、中間接点バネ451及び本体接点基板422を介して、制御基板43に確実に電気的に接続される。
【0126】
なお前ドア440が閉じられた状態では、第1中間接点451a及び第2中間接点451bがそれぞれ本体接点基板422及びトレイ接点基板420によって押圧されることで、両端部451c,451dと抑えリブ452b,452cの間に隙間xができる。すなわち、中間接点ホルダ452に、中間接点バネ451の両端部451c,451dが退避可能なだけの遊びを設けている。これにより、前ドア440が閉じられたときにより確実に第1中間接点451a及び第2中間接点451bを本体接点基板422及びトレイ接点基板420に押し当てることができる。
【0127】
言い換えれば、第1中間接点451aは、前ドア440が閉位置に位置する際に、トレイ接点基板420と接触してトレイ接点基板420と電気的に接続される。また、第1中間接点451aは、前ドア440が開位置に位置する際に、トレイ接点基板420と接触せずに画像形成装置1Dの外部に露出するように構成される。第2中間接点451bは、前ドア440が閉位置に位置する際に、本体接点基板422と接触して本体接点基板422と電気的に接続される。また、第2中間接点451bは、前ドア440が開位置に位置する際に、本体接点基板422と接触せずに画像形成装置1Dの外部に露出するように構成される。
【0128】
また、中間接点ホルダ452は、前ドア440を挟んでマルチトレイ214に対向するように配置され、幅規制板415が第1方向D1のどの位置にあってもマルチトレイ414が閉まるように、幅規制板415を避けた形状となっている。
【0129】
[効果]
以上のように、本実施例では、カートリッジトレイ403、装置本体402及び前ドア440に、それぞれトレイ接点基板420、本体接点基板422及び中間接点部450を設ける。これにより、前ドア440が閉じられた状態では、各現像カートリッジのメモリタグ81Y,81M,81C,81K(
図3参照)が制御基板43に電気的に接続され、メモリタグの情報を制御基板43が読み取ることができる。
【0130】
また、前ドア440が開かれた状態では、前ドア440に設けられた中間接点部450には、他の電気部品が電気的に接続されない。これにより、ESDの発生により中間接点バネ451に電流が流れたとしても、他の電気部品が故障することがなく、前ドア440側の接点部品のESD対策部品が不要となる。また、前ドア440のヒンジ周囲に本体接点束線423の経路を設ける必要が無く、前ドア440のサービス交換の交換性向上することが可能となる。このように、本実施例によると、コストダウンしつつ制御基板43の破損を低減した画像形成装置の一形態を提供できる。
【0131】
[第4実施例の変形例]
なお、本実施例では、LBステー489により本体接点基板422のESD対策を行っていたが、これに限定されない。例えば、LBステー489ではなく、他のアース(接地)された部品の近傍に本体接点基板422を配置し、ESD対策を行ってもよい。
【0132】
また、本実施例では、中間接点バネ451を中間接点ホルダ452によって保持していたが、中間接点バネ451を前ドア440によって直接保持してもよい。また、中間接点バネ451は、導電性及び弾性を有していれば、バネ用線材以外の材質や形状のものを適用してもよい。
【0133】
また、前ドア440が閉じられた状態で、中間接点バネ451の第1中間接点451a及び第2中間接点451bが、それぞれ本体接点基板422及びトレイ接点基板420に押圧されるように構成されれば、中間接点バネ451を非弾性体で構成してもよい。例えば、中間接点ホルダ452が弾性的に中間接点バネ451を保持してもよく、本体接点基板422及びトレイ接点基板420に弾性を持たせてもよい。
【0134】
また、本実施例では、各現像カートリッジのメモリタグ81Y,81M,81C,81Kと制御基板43とを電気的に接続するために中間接点部450を用いたが、これに限定されない。例えば、帯電接点並びにトナーの残量検知部及びシート検知部の接点等を制御基板43に接続するために、中間接点部450を用いてもよい。
【0135】
また、トレイ接点基板420、本体接点基板422及び中間接点部450の配置関係は、上述の実施例に限定されない。例えば、
図28に示すように、トレイ接点基板420と、本体接点基板422と、を第1方向D1に並設してもよい。
【0136】
また、本実施例では、中間接点部450の中間接点バネ451によって本体接点基板422とトレイ接点基板420とを接続していたが、これに限定されない。例えば、
図29(a)(b)に示すように、中間接点バネ451に代えてタグ接点コネクタ460を適用してもよい。
【0137】
タグ接点コネクタ460は、前ドア440が閉じられた状態で、トレイ接点基板420に対向する第1コネクタとしての第1接点コネクタ460aと、本体接点基板422に対向する第2コネクタとしての第2接点コネクタ460bと、を有している。また、タグ接点コネクタ460は、第1接点コネクタ460a及び第2接点コネクタ460bを接続する配線部としての中間接点束線461を有している。
【0138】
第2接点コネクタ460bは、第1接点コネクタ460aの上方に配置されている。第1接点コネクタ460aは、トレイ接点基板420に電気的に接続される第1接点部462を有し、第2接点コネクタ460bは、本体接点基板422に電気的に接続される第2接点部463を有している。
【0139】
以上のように、タグ接点コネクタ460を用いることで、接点の占有空間を小さくすることが可能である。本実施例では、2列のタグ接点コネクタ460を用いたが、任意形状のタグ接点コネクタ460を用いても良い。
【0140】
<第5実施例>
次いで、本発明の第5実施例について説明するが、第5実施例は、第1実施例の前ドア40によるカートリッジトレイ3への押圧構成を変更したものである。このため、第1実施例と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0141】
[課題]
図30乃至
図33(c)は、比較例としての画像形成装置1002を示す図である。
図30は、画像形成装置1002を示す全体断面図である。
図31(a)は、前ドア40が開いた状態の画像形成装置1002を示す斜視図である。
図31(b)は、前ドア40が開いた状態の画像形成装置1002を示す断面図である。
【0142】
図32(a)は、中途位置に位置するカートリッジトレイ3を保持する画像形成装置1002を示す斜視図である。
図32(b)は、中途位置に位置するカートリッジトレイ3を保持する画像形成装置1002を示す断面図である。
図33(a)~(c)は、前ドア40を閉じていく様子を示す断面図である。
【0143】
比較例としての画像形成装置1002は、
図30乃至
図31(b)に示すように、カートリッジトレイ3を着脱可能に保持する装置本体602と、装置本体602に開閉可能に支持される前ドア40と、を有している。
【0144】
カートリッジトレイ3のトレイ前面30fには、各現像カートリッジのメモリタグ81Y,81M,81C,81K(
図3参照)に電気的に接続されるトレイ接点ユニット591が配置されている。トレイ接点ユニット591は、トレイ前面30fよりも前方に突出している。
【0145】
前ドア40には、左ヒンジ201を通過するタグ本体束線305を介して、制御基板43に電気的に接続されるためドア接点ユニット590が配置されている(
図9参照)。制御基板43は、前ドア40が閉じられてドア接点ユニット590とトレイ接点ユニット591とが接触することで、メモリタグ81Y,81M,81C,81K(
図3参照)に電気的に接続される。
【0146】
図29(a)(b)において、カートリッジトレイ3は、装着位置から僅かに引き出された中途位置で保持されている。すなわち、中途位置に位置するカートリッジトレイ3は、装置本体602にしっかりと装着されていない状態である。
【0147】
この状態で前ドア40が閉じられると、
図30(a)に示すように、ドア接点ユニット590がトレイ接点ユニット591に衝突する。そして、更に前ドア40が閉じられていくと、
図30(b)(c)に示すように、前ドア40に設けられたドア接点ユニット590がトレイ接点ユニット591を押圧することで、カートリッジトレイ3が装着位置へと押し込まれることになる。
【0148】
このような動作が行われると、ドア接点ユニット590及びトレイ接点ユニット591に大きな荷重がかかると共に、意図していない摩擦が発生し、ドア接点ユニット590及びトレイ接点ユニット591の接点部が破損する虞がある。ドア接点ユニット590及びトレイ接点ユニット591の接点部が破損すると、メモリタグ81Y,81M,81C,81K(
図3参照)の情報を読み取ることができなくなってしまう。
【0149】
[構成]
次に、上記課題を解決する構成について、
図34(a)乃至
図41(b)を用いて説明する。
図34(a)は、前ドア40が開いた状態の画像形成装置1Eを示す斜視図である。
図34(b)は、前ドア40が開いた状態の画像形成装置1Eを示す正面図である。
図35(a)は、
図34(b)の35A-35A断面を示す断面図である。
図35(b)は、
図34(b)の35B-35B断面を示す断面図である。
図36(a)は、
図35(a)の部分拡大図である。
図36(b)は、
図35(b)の部分拡大図である。なお、35A-35A断面は、トレイ接点ユニット219の中央部を通る断面である。
【0150】
本実施例に係る画像形成装置1Eは、
図34(a)乃至
図36(b)に示すように、装置本体2と、装置本体2に開閉可能に支持される前ドア40と、を有している。装置本体2には、カートリッジトレイ3が引き出し可能に装着されており、カートリッジトレイ3のトレイ前面30fには、トレイ接点ユニット219が設けられている。トレイ接点ユニット219内の接点部219cは、
図36(a)に示すように、トレイ前面30fよりも距離L4だけ後方に配置されている。なお、トレイ前面30fは、被押圧部751を含んでもよく、被押圧部751が設けられない場合であってもよい。
【0151】
前ドア40には、ドア接点ユニット224と、前ドアアシスト板501と、を有している。前ドアアシスト板501は、前ドア40が開位置に位置する際には上方に突出しており、前ドア40が閉位置に位置する際には装置本体2に向けて突出している。また、前ドアアシスト板501は、第1方向D1において、カートリッジトレイ3のトレイ左側面30lに対応する位置に配置されている。前ドア40は、上面側に湾曲面501aを有している。
【0152】
また、カートリッジトレイ3のトレイ左側面30lには、斜面部512が形成されている。斜面部512は、トレイ前面30fと同一面から、後方に向かうにつれて下り傾斜している。斜面部512は、カートリッジトレイ3が装着位置に位置しかつ前ドア40が閉位置に位置する際に、前ドアアシスト板501を収容可能に構成されている。斜面部512の斜面形状は、前ドアアシスト板501の湾曲面501aに沿った形状である。
【0153】
また、前ドアアシスト板501は、
図34(a)(b)に示すように、第1方向D1においてトレイ接点ユニット219とは異なる位置に配置されている。これにより、前ドア40の閉じ動作によって、前ドアアシスト板501とトレイ接点ユニット219とが接触することを確実に防止することができる。
【0154】
図37は、装着位置と引き出し位置の間の第3位置としての中途位置にカートリッジトレイ3が保持されている様子を示す断面図である。すなわち、中途位置に位置するカートリッジトレイ3は、装置本体2にしっかりと装着されていない状態である。
【0155】
以下、カートリッジトレイ3が中途位置に位置する状態において、前ドア40を開位置から閉位置へと閉じた場合について説明する。
図38(a)は、前ドア40が少し開かれた状態の画像形成装置を示す正面図である。
図38(b)は、
図38(a)の38B-38B断面を示す断面図である。
図38(c)は、
図38(a)の38C-38C断面を示す断面図である。
図39は、前ドア40が少し開かれた状態のトレイ接点ユニット219及びドア接点ユニット224を示す拡大斜視図である。
【0156】
図40(a)は、更に前ドア40を閉じた状態の、トレイ接点ユニット219を通る断面を示す断面図である。
図40(b)は、更に前ドア40を閉じた状態の、前ドアアシスト板501近傍の断面を示す断面図である。
図41(a)は、前ドア40が閉位置に位置する状態の、トレイ接点ユニット219を通る断面を示す断面図である。
図41(b)は、前ドア40が閉位置に位置する状態の、前ドアアシスト板501近傍の断面を示す断面図である。
【0157】
図37乃至
図39に示すように、カートリッジトレイ3が中途位置に位置する状態でユーザが前ドア40を閉じ操作すると、前ドアアシスト板501がカートリッジトレイ3の斜面部512に衝突する。この時、前ドアアシスト板501がカートリッジトレイ3の斜面部512に衝突する前には、前ドア40とカートリッジトレイ3のいずれの部材も衝突しない。すなわち、ドア接点ユニット224とトレイ接点ユニット219が接触するよりも先に、前ドアアシスト板501がカートリッジトレイ3の斜面部512に衝突する。
【0158】
更に前ドア40が閉じ操作されると、
図40(a)(b)に示すように、前ドアアシスト板501がカートリッジトレイ3の斜面部512を押圧し、カートリッジトレイ3が装着位置へ向けて移動する。この状態においても、ドア接点ユニット224とトレイ接点ユニット219は互いに接触しない。
【0159】
そして、
図41(a)(b)に示すように、前ドア40が閉位置に位置すると、前ドアアシスト板501によってカートリッジトレイ3が装着位置に到達し、ドア接点ユニット224とトレイ接点ユニット219が互いに接触する。この時、前ドアアシスト板501は、斜面部512から僅かに離間しており、前ドアアシスト板501及びカートリッジトレイ3に大きな負荷がかからないように構成されている。これは、前ドアアシスト板501の湾曲面501aの曲率及び斜面部512の斜面形状によって実現される。
【0160】
なお、カートリッジトレイ3が装着位置に位置しかつ前ドア40が閉位置に位置する際に、カートリッジトレイ3を装着位置に位置決めする位置決め機構を別途設けてもよい。
【0161】
[効果]
以上のように、本実施例では、前ドア40を開位置から閉位置へ向けて閉じ操作する際に、前ドアアシスト板501によってカートリッジトレイ3を押圧可能に構成している。そして、前ドア40が閉位置に位置するまでは、ドア接点ユニット224とトレイ接点ユニット219が互いに接触しない。これにより、例えばカートリッジトレイ3が中途位置に保持されている場合でも、ドア接点ユニット224とトレイ接点ユニット219に大きな荷重や摩擦力が作用することを低減でき、これら接点ユニットの破損を低減できる。このように、本実施例によると、接点ユニットの破損を低減した画像形成装置の一形態を提供できる。
【0162】
また、中途位置に位置するカートリッジトレイ3を画像形成可能な装着位置まで確実に移動させることができ、画像形成エラーを低減できる。また、カートリッジトレイ3が装着位置に位置しかつ前ドア40が閉位置に位置する際には、前ドアアシスト板501は、斜面部512から僅かに離間しているので、前ドアアシスト板501及びカートリッジトレイ3に大きな負荷がかからず破損を低減できる。
【0163】
なお、本実施例では、カートリッジトレイ3が装着位置に位置しかつ前ドア40が閉位置に位置する際に、前ドアアシスト板501は斜面部512から離間しているが、これに限定されない。例えば、カートリッジトレイ3が装着位置に位置しかつ前ドア40が閉位置に位置する際に、前ドアアシスト板501が斜面部512に当接するように構成してもよい。この場合、前ドアアシスト板501及び斜面部512の少なくともいずれか一方は、弾性部材で構成されると好適である。これにより、前ドアアシスト板501及び斜面部512の破損を低減しつつ、カートリッジトレイ3を装着位置に確実に位置決めすることができる。
【0164】
また、本実施例では、ドア接点ユニット224及びトレイ接点ユニット219は、前ドア40が閉位置に到達して初めて互いに接触するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、ドア接点ユニット224とトレイ接点ユニット219に大きな荷重や摩擦力が作用しなければ、前ドア40が閉位置よりも手前に位置する状態で、ドア接点ユニット224及びトレイ接点ユニット219が接触してもよい。
【0165】
また、本実施例では、斜面部512及びトレイ接点ユニット219がカートリッジトレイ3の下部に配置されていたが、これに限定されない。例えば、斜面部512及びトレイ接点ユニット219がカートリッジトレイ3の上部側に配置されてもよい。
【0166】
また、本実施例では、トレイ接点ユニット219の接点部219cをトレイ前面30fよりも後方に配置していたが、これに限定されない。トレイ接点ユニット219の接点部219cは、カートリッジトレイ3が中途位置に位置する状態で前ドア40が閉じ操作される過程で、前ドア40が閉位置に位置するまでドア接点ユニット224に接触しないように配置されていればよい。例えば、ドア接点ユニット224を、
図39に示す位置よりもマルチトレイ枠体212側、すなわちトレイ接点ユニット219に対してドア開き方向下流側に配置すれば、トレイ接点ユニット219はより前ドア40に近い位置に配置してもよい。
【0167】
なお、既述の全ての実施の形態は、互いに任意に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0168】
1,1B,1D,1E:画像形成装置/2,402:装置本体/4M:感光ドラム/8M:現像ユニット(現像カートリッジ)/30a:把手部(トレイ操作部)/30f:対向面(トレイ前面)/38:引き出しユニット/40,440:ドア(前ドア)/40a:突出部/40b:リブ(補強リブ)/43:制御基板/81M:メモリ媒体(メモリタグ)/130:端面/201:第1ヒンジ(左ヒンジ)/202:第2ヒンジ(右ヒンジ)/211:積載部(マルチトレイユニット)/212c:係合部(マルチトレイ枠体レール)/212d:長孔部/212e:積載面/213:保持部(マルチトレイストッパ)/219:ユニット接点(トレイ接点ユニット)/224:ドア接点(ドア接点ユニット)/225a:接点部/305:束線(タグ本体束線)/306:接地部、付勢部、引張りバネ/309:導電部材(線バネ)/309a:一端部/309b:他端部/311:付勢部、ねじりコイルバネ/403:ユニットホルダ(カートリッジトレイ)/420:ユニット接点(トレイ接点基板)/422:本体接点(本体接点基板)/451:弾性部材(中間接点バネ)/451a:第1接点(第1中間接点)/451b:第2接点(第2中間接点)/460a:第1コネクタ(第1接点コネクタ)/460b:第2コネクタ(第2接点コネクタ)/461:配線部(中間接点束線)/489:接地部材(LBステー)/753:凸部/D1:軸線方向(第1方向)/D2:鉛直方向(第2方向)