(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】短寿命放射性医薬品の診断上の利用
(51)【国際特許分類】
A61K 51/00 20060101AFI20240826BHJP
G01T 1/161 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
A61K51/00 200
G01T1/161 Z
(21)【出願番号】P 2019533341
(86)(22)【出願日】2017-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2017084128
(87)【国際公開番号】W WO2018115299
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-18
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-04
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520237638
【氏名又は名称】メドトレース・ファーマ・エーエス
【氏名又は名称原語表記】MedTrace Pharma A/S
【住所又は居所原語表記】Agern Alle 5A,2970 Horsholm, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ステンフェルト、マルティン
(72)【発明者】
【氏名】キリステンセン、ルネ・ウィーク
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン、ペーテル
【合議体】
【審判長】光本 美奈子
【審判官】山村 祥子
【審判官】吉田 佳代子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-506428(JP,A)
【文献】The Journal of Nuclear Medicine 2010, Vol.51, No.11, pp.1684-1690
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K51/00-51/12
G01T1/00-1/40
A61M5/00-5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非外科的な、非治療的静脈内(IV)投与用の、21分未満の放射能半減期を有する放射性医薬品の液剤溶液を含む、血流画像化における使用のためのボーラスにおいて、前記ボーラス
が体積全体にわた
り均質
の放射能特性を有することを特徴とし、前記ボーラスは180~220MBq/mlの放射能濃度を有するボーラス。
【請求項2】
腫瘍低酸素、虚血性卒中を含む卒中、血管性認知症、腎不全、筋肉虚血、心筋虚血、全身性細小血管障害、血管炎、膵臓不全および血流障害に関連する他の状態から選択される疾患または病状の診断における使用のための、あるいは、ヒトの心臓、ならびに/またはその小室および腔、たとえば左および右の心房のモデル化における使用のための、請求項1に記載のボーラス。
【請求項3】
前記放射性医薬品が、10分未満、たとえば3分未満の放射能半減期を有する、請求項1または2に記載のボーラス。
【請求項4】
前記放射性医薬品が、放射性水、たとえばO-15 H
2OまたはO-14 H
2Oである、請求項1または2に記載のボーラス。
【請求項5】
前記血流画像化が、PET(陽電子放出断層撮影)またはSPECT(光子放出コンピュータ断層撮影)走査方法論を使用して実施される、請求項1~4のいずれか1項に記載のボーラ
ス。
【請求項6】
請求項1~4の何れか1項に記載のボーラスを調製する方法において、以下の:
a.21分未満の放射能半減期を有する放射性医薬品の液剤溶液の原料を提供する工程、
b.廃棄位置および受容者位置を有する第1のバルブを提供する工程、
c.ボーラス導管(a)、廃棄導管(b)および受容者導管(c)のそれぞれが、前記第1のバルブに連結しているバルブ末端を有し、その結果、前記第1のバルブは、前記廃棄位置における廃棄流路および前記受容者位置における受容者流路を確立することができ、前記受容者流路は前記廃棄流路とは異なり、前記ボーラス導管は測定部分および内部体積を含み、前記内部体積が、受容者に送達される
前記液剤溶液の選択体積とほぼ等し
く、前記ボーラス導管は、前記原料から前記液剤溶液を受け取るように適合された原料注入口を含み、前記原料注入口は、前記原料が、前記ボーラス導管の前記測定部分および内部体積に入ることを可能にするように構成されている、ボーラス導管(a)、廃棄導管(b)および受容者導管(c)を提供する工程、
d.前記第1のバルブを前記廃棄位置に配置する工程、
e.選択レベルの放射能と少なくともほぼ等しいかまたはそれより高い初期レベルの放射能および前記ボーラス導管の
前記内部体積より大きい体積を有する、第1の分量の前記
液剤溶液を、前記廃棄流路を通して輸送する工程、
f.前記測定部分における前記
液剤溶液の放射能レベルを測定するように操作可能である放射線検出器を提供する工程、
g.前記測定部分に存在する前記
液剤溶液の放射能の参照レベルを測定する工程、
を含み、
放射能の前記参照レベルが、放射能の
前記選択レベルとほぼ等しいとき、
h.前記第1のバルブを前記受容者位置に配置する工程、
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
利用される放射性医薬品が、放射性水、たとえばO-15 H
2OまたはO14-H
2Oである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
送達されるボーラスが、0.05~50mlの範囲内、好ましくは1~5mlの範囲内であり、最も好ましくは前記送達されるボーラスが、2ml±10%である、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記送達されるボーラスが、5MBqから5,000MBqまで、好ましくは250~500MBqの送達される放射能(D)を含有し、最も好ましくは(D)が、400MBq±10%である、請求項6または7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、21分未満の放射能半減期を有する放射性医薬品、たとえばPET(陽電子放出断層撮影)走査技術を使用する血流画像化における酸素15標識水(H2
15O)の使用に関する。本発明はまた、そのような放射性医薬品のボーラスを調製し且つ注入するためのシステムの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
核医学は、人間の具体的な器官の機能性についての診断情報を提供するため、または放射線を使用して疾患を処置する、たとえば腫瘍学の分野における静脈内放射線治療を行うために、放射線を使用する急速に成長している医学の部門である。ほとんどの場合には、情報は医師により使用され、患者の疾病の、迅速で正確な診断が行われる。器官、たとえば甲状腺、骨、心臓、肝臓、脳および他の多くは、容易に画像化することができ、その機能における障害が明らかになる。ある場合には、放射線を、診断目的だけでなく、疾患を抱える器官または腫瘍を処置するためにも使用することができる。
【0003】
世界中で10,000を超える病院が、医薬に放射性同位体を使用し、約90%の手順は診断用である。
【0004】
先進国(世界人口の26%)では、診断核医学の頻度は1年あたり1.9%であり、放射性同位体を用いる治療の頻度はこの約10分の1である。米国では、3億1100万人の人々の中で1年あたり2000万を超える核医学手順があり、ヨーロッパでは、5億人の人々の中で約1000万がある。オーストラリアでは、2100万人の人々の中で1年あたり約560,000があり、これらのうちの470,000がリアクタ(reactor)同位体を使用する。診断における放射性医薬品の使用は、1年あたり10%を超えて成長している(「Radioisotopes in Medicine」、World Nuclear Association November 2016)。
【0005】
単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)走査は、血液が組織および器官へどのように流れるかを示すことができる、最初の型の核画像化試験であった。トレーサーを標識する、SPECTで典型的に使用される放射性同位体は、数時間から数日の次元の半減期、たとえばヨウ素-123(半減期:およそ13時間)、テクネチウム-99m(半減期:およそ6時間)、キセノン-133(半減期:およそ5日間)、タリウム-201(半減期:およそ73時間)、およびフッ素-18(半減期:およそ2時間)を典型的に有する。
【0006】
陽電子放出断層撮影(PET)走査は、血流ならびに器官および組織の灌流を査定するための、重要な診断手段に次第になってきている。放射性同位体、たとえば、18F、11C、15O、14O、82Rbおよび13Nは、PETで使用するための放射性医薬品の標識化に典型的に使用される。これらの放射性同位体に関する半減期は非常に短く、典型的には、分の次元である(ほとんど2時間の半減期を有する18F(F-18)を除く)。酸素-15(15OまたはO-15)は、122.24秒の半減期を有し、局所脳血流量(rCBF)を定量化するための、且つ局所心筋血流量(rMBF)を定量化するための、PET(陽電子放出断層撮影)における使用に最も好適な放射性同位元素の1つである。
【0007】
酸素-15標識H2O(H2
15O、以下では「O-15 H2O」と表される)は、すべての器官に関する灌流画像化用の最高基準として実に広く認識されているが、薬物は、ほんの122秒の短い半減期から生じる製造および制御上の難題に起因して、これまでのところ、研究適用および薬物開発計画における制限された使用を達成しただけである。短い半減期は、それが幅広い臨床的有用性を持つために、放射性同位体を生成し且つ患者に直接注入する両方のシステムを必要とする。したがって、15Oは、たとえば、研究目的または特殊な放棄下で、制限された程度まで使用されるのみである。
【0008】
気体状の放射性同位体をベースとする放射性医薬品を、生成し且つ患者に注入する両方のシステムにおける安全性配慮という重要な側面は、圧縮気体の存在である。サイクロトロンがそのようなシステムの一端に連結され、10バール以上に加圧された圧縮放射性気体を送達する。システムの他端には患者が連結され、しばしば末梢静脈カテーテルを通して、患者と圧縮放射性気体との間に潜在的に直接連結を確立する。
【0009】
基準安全性の特色は、半透膜の片側を通る気体、および他の側を通る生理食塩水から典型的になる。患者の直前に、第1の半透膜と同様の材料で作製された無菌濾過器が位置する。無菌濾過器は、任意の気体が第1の膜を通過する場合に気体を閉じ込めるが、気体を放出する気体廃棄管がふさがれている場合、圧力は、膜が処理できるより高い圧力まで上がり得て、このため、気体が、患者内へと両方の濾過器を通過することが可能となり得る。結果は、数百ml/分から1~2L/分の、患者への放射性気体の輸注であり得て、これは致命的な静脈空気塞栓を起こす恐れがある。
【0010】
別の重要な問題点は、O-15 H2Oの正確な投薬の疑問である。病院または臨床的環境におけるI.V.注入のための医薬品の投薬は、既知の濃度を有する母液から、典型的に体積測定して行われる。しかしながら、この方法論は、放射性医薬品の分野では、その放射的性質に起因して、使用することができない。
【0011】
放射性医薬品に関しては、母液における有効濃度は、医薬品に内在する放射性同位元素(または同位体)の崩壊定数に比例する指数関数的比で絶えず減少する。
【0012】
この理由のため、今日、放射性医薬品が投薬される方法は、放射能をベクレルまたはキュリーで測定し、且つ患者に対して所望の用量を用いる注入ポイントの時間を決めることによる。この様式では、過剰用量は、放射性医薬品の指数関数的な放射性崩壊を経て、母溶液から取り除かれる。取り除かれた用量は、測定され且つタイムスタンプを用いて記録される。用量が所定の活性閾値に到達したとき、用量は患者に注入される。短寿命放射性同位体、たとえば15Oにとって、この手順は実用的ではない。
【0013】
したがって、O-15 H2Oを流動および灌流のマーカーとして使用するために、O-15 H2Oを、生成し且つ患者に直接注入する両方のシステムにより提供されなければならず、用量は、それが:
・患者コホート間で比較可能であり、且つ
・同一の患者において再現可能
であるために、体積と活性の両方において均一でなければならない。
さらに、用量は、(放射性)活性の均一分布を伴い、用量体積全体にわたり均質でなければならない。最終的に、システムは、注入用量の体積を小さく保つことができるような、高放射能濃度を伴う放射性溶液を生成可能であるように、十分に速く且つ効率的でなければならない。
【0014】
PET走査に基づくO-15 H2Oのより容易な利用がきわめて重要であると考えられる治療領域は、腫瘍学の分野である。腫瘍学においては、腫瘍低酸素は、腫瘍細胞が酸素を奪われた、明確に認識できる状態である。腫瘍が成長するにつれて、それは血液供給を急速に追い越して、腫瘍部分を、健康な組織におけるよりも酸素濃度が著しく低い範囲とする。
【0015】
固形腫瘍における低酸素微小環境は、腫瘍細胞を急速に増殖させることにより、得られる酸素が70~150μmの腫瘍脈管構造内で消費され、したがって、さらに腫瘍組織内に拡散するために得られる酸素の量を制限する結果である。
【0016】
不完全に形成された腫瘍血管は、成長している腫瘍への酸素供給を制限するボトルネックを起こす[Vaupel P.Tumor microenvironmental physiology and its implications for radiation oncology.Semin Radiat Oncol.2004;14:198-206]、[Secomb TW、Hsu R、Braun RD、Ross JR、Gross JF、et al.Theoretical simulation of oxygen transport to tumors by three-dimensional networks of microvessels.Adv Exp Med Biol.1998;454:629-634]。腫瘍内の酸素消費は、送達との不均衡を生じ、低酸素症およびその後遺症をもたらす[Secomb TW,Hsu R,Ong ET,Gross JF, Dewhirst MW.Analysis of the effects of oxygen supply and demand on hypoxic fraction in tumors.Acta Oncol.1995;34:313-316]。低酸素症は、腫瘍細胞に多くの影響を及ぼすことが示され、応答の重症度は、酸素欠乏のレベルに依存する[Hockel M,Vaupel P.Tumor hypoxia:definitions and current clinical,biologic,and molecular aspects.J Natl Cancer Inst.2001;93:266-276]、[Papandreou I,Krishna C,Kaper F,Cai D,Giaccia AJ,et al.Anoxia is necessary for tumor cell toxicity caused by a low-oxygen environment.Cancer Res.2005;65:3171-3178]。腫瘍成長特徴に関して、中等度の低酸素症は腫瘍細胞増殖の低速化を起こし、一方、重度の低酸素症は完全な細胞死を起こす[Papandreou I,Krishna C,Kaper F,Cai D,Giaccia AJ,et al.Anoxia is necessary for tumor cell toxicity caused by a low-oxygen environment.Cancer Res.2005;65:3171-3178]、[Santore MT,McClintock DS,Lee VY, Budinger GR,Chandel NS.Anoxia-induced apoptosis occurs through a mitochondria-dependent pathway in lung epithelial cells.Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol.2002;282:L727-734]。
【0017】
したがって、腫瘍の低酸素領域は、低速成長が細胞分裂回数の減少を意味するため、処置することが困難である。低酸素領域における細胞の低速成長はまた、これらの領域における腫瘍化細胞が、細胞周期の分裂前中期、分裂中期および分裂後期でのそのDNAのより低い曝露を有することも意味するため、回数の減少は、たとえば、細胞中のDNA損傷を通して腫瘍細胞死が得られる放射線治療において、低酸素腫瘍領域で、他の、腫瘍のより急速に成長している部分と比較して、「死滅効果」が低下することを意味する。
【0018】
静脈内投与治療、たとえば化学療法では、低酸素腫瘍領域の不完全な血管化のために、低酸素腫瘍領域はまた、腫瘍のより急速に成長している部分より、処置することがよりいっそう困難である。目的の領域/体積へ送達される治療剤の相対的用量は、低酸素腫瘍領域で、正常な血液供給の領域と比較して、著しく減少する。低酸素領域への血流の減少は、したがって、低酸素腫瘍の薬物処置がなぜ非常に困難であるかに関する主要な要因であると考えられる。所与の患者に関する所与の腫瘍領域における、低酸素領域の正確な位置およびさらに低酸素の状態または程度を確定することは、特に困難である。患者の高い多様性が同一のがんの二次形態に関してさえ経験され、低酸素の状態または程度は、個々の患者に関して必ずしも安定しているわけではないが、経時的に改善するか(成長している腫瘍の血管化の改善による)、または悪化する両方が起こり得る。
【0019】
したがって、がん患者の処置を計画するときは、腫瘍低酸素の程度の詳細な知識が望ましく、それは、静脈内薬物処置の場合に、低酸素状態が最初に処置されるまで、そのような処置を遅らせることを可能にする。
【0020】
しかしながら、腫瘍学的疾患、たとえば腫瘍低酸素だけでなく、広範囲の他の疾患状態または病状、たとえば、虚血性卒中を含む卒中、血管性認知症、腎不全、筋肉虚血(muscular ischemia)、心筋虚血、全身性細小血管障害、血管炎、膵臓不全および血流障害に関連する他の状態も、より大きな精度(且つ患者と関わる医療従事者の両方に対するより大きな安全性)をもって診断する方法に関して、一般化された根底にある問題を述べることができる。
【0021】
したがって、個々の患者の組織および器官の血流および灌流に関する詳細な知識を提供することができ、好ましくは高い能力および低い操作費用を伴う、安全で且つ信頼がおける、非外科的な方法に対する必要性が依然として存在する。
定義
ここで使用されるとき、用語、溶液の「放射性濃度」は、溶液の単位体積あたりの、たとえば、投与された放射性医薬品のボーラスの単位体積あたりの放射能量を表す。放射性濃度は、1ミリリットルあたりのメガベクレル(MBq/ml)で測定される。
【0022】
さらにここで使用されるとき、表現「前記ボーラスの放射能Aactは、所定値Adetとは±10%以下の違いがある」とは、ボーラスが注入された後の時点において、ボーラスの放射能濃度(たとえばMBq/mlで測定)は、操作者により決定された所定値とは±10%以下の違いがあることを意味する。たとえば、ボーラスの所望の放射能濃度が200MBq/mlである場合、本発明のシステムにより実際に送達されるボーラスは、180~220MBq/mlの範囲の放射能濃度を有する。
【0023】
加えて、表現「前記ボーラスの放射能Aactは、所定値Adetとは±10%以下の違いがある」とは、本出願の文脈において、ボーラスが注入された後の時点において、ボーラスに含有される放射能(たとえばMBqで測定)は、操作者により決定された所定値とは±10%以下の違いがあることをさらに意味する。たとえば、所望の放射能が400MBqである場合、本発明のシステムにより実際に送達されるボーラスは、360~440MBqの放射能を含有する。しかしながら、本発明に基づくシステムは、放射能レベルとボーラス体積の両方に関して、±10%より狭い制限で操作され得る。ほとんどの場合、±7%、±5%、±2%および±1%の範囲さえ可能である。
【0024】
放射性濃度は、核種放射能の減少に起因して時間と共に変化するため、参照時間を提供することが常に必要である。放射能に関連する全記載と同様に、参照データおよび標定時間を含むことが必要である。21分未満の半減期を持つ放射性核種に関して、日付に加えて時刻も含む、参照時間のより正確な記載が必要とされる。
【0025】
ここで使用されるとき、用語「実質的に円柱状部分」は、縦軸および縦軸に沿った、好ましくは円形、楕円形または卵形である均一横断面を有するが、多角形を含む任意の幾何学的形状の横断面を有していてもよい三次元物体を表す。好ましくは、ここで使用される実質的に円柱状部分は、実質的に円形の横断面を有する円柱形状物体を表す。
【0026】
ここで使用されるとき、用語「一致検出」は、陽電子放出を伴う最初はβ+崩壊から、且つそれに続く電子-陽電子消滅から生じる2種のガンマ線光子の同時検出を表す。2種のガンマ線光子を生み出す過程は、過程:e-+e+右向き矢印(->)γ+γ中に、電荷、線運動量、角運動量およびレプトン数を保存し、これは適切な装置(一致検出器)を使用した同時検出を可能にする。
【発明の概要】
【0027】
本発明は、腫瘍学の立場から以下で説明されるが、個々の患者における血流および器官潅流の評価に関連する他の疾患状態または病状に一般に適用可能である。
【0028】
本発明は、21分未満の放射能半減期を有し、疑いがあるかまたは既知の腫瘍を抱える患者に投与される、具体的な、明確に定義された用量の放射性医薬品の非外科的な使用、あるいは、同時係属中の国際特許出願PCT/DK2017/050367に開示されている、ヒトの心臓、ならびに/またはその小室および腔、たとえば左および右の心房のモデル化における使用に関し、ここで、ボーラスの記載されたパラメータ(体積、放射能および注入速度)が、患者のPET走査、それに続くソフトウェアアルゴリズム手段による得られたデータのコンピュータ解析に対する必要条件を満たすように、患者が、体積、放射能および注入速度に関して高精度で画定された放射性医薬品の均質ボーラスを受けるような様式で、用量が静脈内に与えられ、疑いがあるかもしくは既知の腫瘍または標的器官を通る血流量を算出する。
【0029】
このようにして、別個の腫瘍(および他の灌流可能な器官)の特徴、たとえば、体積、重量および局部的灌流可能性が、定性的方法でまたは定量的規模で推量可能となる。さらに、これらの別個の特徴は、定性的または定量的な処置計画のための主要な投薬手段となる。定性的処置計画に、たとえば、壊死または低酸素の領域への血流がないことに主として基づく、所与の腫瘍状態に対する現在確立している処置計画の除外が含まれる。定量的処置計画に、たとえば、壊死、低酸素または通常の腫瘍領域への相対的定量化された血流に基づく、処方された治療量を含む個々の処置計画が含まれる。
【0030】
21分未満の放射能半減期を有する放射性医薬品の用量の投与用量(D)は、走査装置の検出限界、局所走査装置の設定および条件、同様に個々の患者の年齢、体重、性別および民族性に好適な大きさでなくてはならない。
【0031】
ボーラス量(V)は、身体への迅速な導入を可能にし、且つ個々の患者の年齢、体重、性別および民族性に関して好適な大きさでなくてはならない。異なる診断目的に対して、(V)は0.05~50mlの範囲内である。注入速度(S)は、体積(V)の身体への迅速な導入を可能にするほど十分に速く、且つ個々の患者の年齢、体重、性別および民族性に関して好適でなくてはならない。
【0032】
第1の側面では、本発明は、したがって、非外科的な、静脈内(IV)投与用の、21分未満の放射能半減期を有する放射性医薬品の液剤溶液を含む、血流画像化における使用のためのボーラスに関し、前記ボーラスは、実質的に円柱状部分または区切りおよびボーラスの体積全体にわたり不変の(均質の)放射能特性を有することを特徴とする。
【0033】
第2の側面では、本発明は、腫瘍低酸素、虚血性卒中を含む卒中、血管性認知症、腎不全、筋肉虚血、心筋虚血、全身性細小血管障害、血管炎、膵臓不全および血流障害に関連する他の状態から選択される疾患または病状の診断における使用のための、あるいは、同時係属中の国際特許出願PCT/DK2017/050367に開示されている、ヒトの心臓、ならびに/またはその小室および腔、たとえば左および右の心房のモデル化における使用のための、本発明の第1の側面において定義されるボーラスに関する。
【0034】
第3の側面では、本発明は、本発明の第1または第2の側面に基づくボーラスを調製し且つ投与する非外科的な方法に関し、この方法は:
・21分未満の放射能半減期を有する放射性医薬品の液剤溶液の原料を提供する工程、
・廃棄位置および受容者位置を有する第1のバルブを提供する工程、
・ボーラス導管(a)、廃棄導管(b)および受容者導管(c)のそれぞれが、前記第1のバルブに連結しているバルブ末端を有し、その結果、第1のバルブは、廃棄位置における廃棄流路および受容者位置における受容者流路を確立することができ、受容者流路は前記廃棄流路とは異なり、ボーラス導管は測定部分および内部体積を含み、内部体積は受容者に送達される放射性溶液の選択体積とほぼ等しい、ボーラス導管(a)、廃棄導管(b)および受容者導管(c)を提供する工程、
・前記第1のバルブを廃棄位置に配置する工程、
・第1の分量の前記放射性溶液が、選択レベルの放射能と少なくともほぼ等しいかまたはそれより高い初期レベルの放射能および前記ボーラス導管の内部体積より大きい体積を有する、第1の分量の前記放射性溶液を、前記廃棄流路を通して輸送する工程、
・放射線検出器が、前記測定部分における放射性溶液の放射能レベルを測定するように操作可能である、放射線検出器を提供する工程、
・前記測定部分に存在する前記放射性溶液の放射能の参照レベルを測定する工程、
を含み、
放射能の参照レベルが、放射能の所定の注入レベルとほぼ等しいとき、方法は:
・第1のバルブを受容者位置に配置する工程と、
・ボーラス導管に存在する放射性溶液を、受容者流路を通して輸送する工程と、
をさらに含むことを特徴とする。
【0035】
第4の側面では、本発明は、本発明の第1の側面において定義される放射性核種治療における使用のためのボーラスに関し、ここで、21分未満の放射能半減期を有する放射性医薬品は、ベータ-もしくはアルファ-放出性の放射性同位体、またはオージェ電子放出性放射性同位体をベースとして、放射性同位体の作用の主要機構は、治療効果を伴い腫瘍領域に害を与えることであるが、二次的な側面は、最初の機構が、同位体の存在および効果を画像化し、それによって目的の場/範囲内の同位体の相対的存在および濃度を推測することを可能にする、二次的な放射線効果を生み出すという様式である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、
図2と共に、本発明に基づくシステムに関する模式的フローチャートである。システムは2つの部分:生成キットおよび輸注キットを含み、これは便宜上2つの別々の図で示される。
図1は生成キットを示し、一方、
図2は輸注キットを示す。2つの部分は、生成キットの右上隅および輸注キットの左上隅に示す連結器7を介して組み合わせられる。
【
図2】
図2は、
図1と共に、本発明に基づくシステムに関する模式的フローチャートである。システムは2つの部分:生成キットおよび輸注キットを含み、これは便宜上2つの別々の図で示される。
図1は生成キットを示し、一方、
図2は輸注キットを示す。2つの部分は、生成キットの右上隅および輸注キットの左上隅に示す連結器7を介して組み合わせられる。
【
図3】
図3は、本発明に基づくボーラスを調製し且つ投与する様々な工程を記載する。工程1):説明図は、注入システムが、L1とL2の間の筒長をずっと通して、さらに待ち受ける患者まで、生理食塩水貯蔵器からの生理食塩水であらかじめ満たされた、静的状態を表す。L1およびL2は、それぞれ、
図2に示されるバルブ8およびバルブ10に相当する。患者への投薬および注入を目的とする放射性トレーサーが入れてある第2の貯蔵器は、注入システムに連結している。工程2):説明図は、連結した貯蔵器中の放射性トレーサーが、注入システム内に、ポンピングされるかまたは押し込まれる動的過程を表す。ポンピングまたは押し込み用の好適な手段は、任意の一般に知られるものであり得るが、好ましくは、放射性トレーサーが、低圧で無菌空気であり得る圧縮可能な気体によりポンピングされるかまたは押し込まれる。そうするときに、放射性トレーサー溶液は、用意された無菌濾過器を満たし、L1とL2の間に存在する生理食塩水を廃棄へと移動させる。入ってくる放射性トレーサー溶液と移動させられた生理食塩水との境界において、2つの水溶液の混合がいくらか起きる。工程3):説明図は、工程2の継続としての動的過程を表す。放射性トレーサーは、ここでL1とL2の間の筒長/貯蔵器全体を満たし、放射性トレーサーと生理食塩水との境界は、廃棄ライン連結中に押し込まれる。結果として、L1とL2の間の空間は、ここで、ボーラスの体積および/または境界域内の任意の2点間で区別がない放射能濃度差異を有する、放射性トレーサーの均質ボーラスを含有する。工程4):説明図は、2)および3)の動的工程が終わる、静的状態を表す。放射性トレーサーを前方にポンピング/押し込む手段が、圧縮気体の好ましい態様を含むとき、用意された濾過器は、過度の圧力を排出し、放射性トレーサー溶液は、ここで、用意された無菌濾過器、同様にL1とL2の間の空間の全長、および廃棄ラインの一部をある程度満たす。放射性トレーサーと生理食塩水との境界は、廃棄ライン中の奥へと押し込まれる。工程5):説明図は、放射能センサーが、筒長L1~L2単独の放射能を測定する、3)および4)に続く静的状態を表す。L1およびL2は、それぞれ、バルブ8および10を表し(
図2を参照されたい)、これらは、工程5において、放射性トレーサーボーラスを、他の液体との物理的接触から離してL1とL2の間に閉じ込める位置に置かれる。放射能濃度は、
図5に表されるように、筒長/貯蔵器L全体にわたり均質である。筒長および内径が既知であるとすれば、活性/単位体積として表された、注入を目的とする放射性トレーサーボーラスの放射能濃度を、かなりの精度で決定することができる。さらに、時間がすすむにつれて、放射性崩壊が、放射性トレーサーの半減期に比例して、放射性濃度を低減する。しかしながら、放射性崩壊にかかわらず、筒長/貯蔵器に沿った、L1とL2の間の空間により画定された放射能濃度は、均質のままである。工程6):説明図は、工程5に続く動的状態を表す。活性/単位体積として表された、所望の放射能濃度に到達すると、生理食塩水貯蔵器は、ポンピング/押し込みの手段を通して、放射性トレーサーボーラスの患者への注入を開始する。注入の開始は、放射性トレーサーボーラスを、筒長L1~L2を越えてさらに患者に向けて進めながら、L2と患者との間にあらかじめ満たされた生理食塩水が、L1に入る生理食塩水に比例する様式で注入されるように起きる。工程7):説明図は、工程6の継続としての動的状態を表す。この状態では、放射性トレーサーボーラス全体は、筒長/貯蔵器L1~L2を越えて進められ、患者へと向かう途中である。放射能センサー(図示されず)は、放射能をもはや検知しない。工程8):説明図は、工程6)および7)の継続としての動的状態を表す。この状態では、放射性トレーサーボーラス全体は、筒長L1~L2を出て、続いて連結した管を越えて、待ち受ける受容者または患者へと向かう。
【
図5】
図5における図の集合は、提案された本発明の結果としての、筒長(L)にわたる活性(I)におけるボーラス均質性を理論的観点から記載する。・第1のグラフ:説明図は、前出の工程5)に続く、L1とL2の間の筒長の単位あたりの活性濃度の静的記載である。活性は、筒長にわたり均質であり、t0に相当する実線で表される。放射性トレーサーの半減期を推測するとき、さらなる時間点t1およびt2における活性レベルを推定することができ、L1およびL2は、バルブであり(それぞれ、バルブ8および10、
図2を参照されたい)、放射性トレーサーボーラスと他の媒質との接触を許さない様式に置かれるため、浸透または拡散の効果が、ボーラス均質性に経時的に影響することはない。・第2のグラフ:説明図は、t0からt1までの時間枠に続く静的記載である。活性は、筒長にわたり均質であり、t1に相当する実線で表される。放射性トレーサーの半減期を推測するとき、さらなる時間点t2における活性レベルを推定することができる。・第3のグラフ:解説図は、t0からt2までの時間枠に続く静的記載である。活性は、筒長にわたり均質であり、t2に相当する実線で表される。
【
図6】
図6における図の集合は、それによって放射性トレーサーを注入システム中に前もって充填することができる従来の方法論を記載し、この手段により、活性/単位体積により記載される放射能濃度は、浸透、拡散および混合の効果により影響を受ける。合計放射能が既知である一方、任意の所与のポイントにおける絶対的放射能濃度は、時間が経過するにつれて、浸透、拡散および混合の効果に起因して次第に不確定となる。
図1):説明図は、管に連結している生理食塩水貯蔵器の静的記載であり、これはさらに受容者または患者に連結している。筒長は十分に長いので、目的とする用量の放射性トレーサー溶液の体積より大きい体積を可能にする。筒長全体は、生理食塩水であらかじめ満たされている。放射性トレーサー溶液は、注入システムにさらに連結している貯蔵器に収容されている。
図2):説明図は、
図1)に続く動的記載である。ポンピング/押し込みの手段により、用量の放射性トレーサー溶液は、筒長内へと移動する。入ってくる放射性トレーサー溶液と管中に存在する生理食塩水との境界において、2つの水溶液の混合が直ちに起きる。
図3):説明図は、
図2)に続く動的記載である。用量の放射性トレーサー溶液は、生理食塩水であらかじめ満たされた筒長さ内へさらに入り、溶媒境界における混合効果はより顕著となる。図t0):説明図は、
図3)に続く静的記載である。用量の放射性トレーサー溶液全体は、ここで筒長さに充填され、溶媒境界における混合効果は最大となる。図t1):説明図は、図t0)に続く静的記載であり、ここで時間枠t0~t1が経過する。この時間枠中に、浸透および拡散の効果が働き始め、そのため、さらに筒長に沿って放射性トレーサー濃度を相殺する。図t2):説明図は、図t1)に続く静的記載であり、ここで時間枠t0~t2が経過する。時間枠が長くなるにつれて、浸透および拡散の効果がより顕著となり、筒長に沿った放射性トレーサー濃度の均質性がさらにもっと相殺される結果となる。
【
図7】
図7における図の集合は、生理食塩水であらかじめ満たされた注入ライン/システム内に、放射性トレーサー/ボーラスを前もって充填する、現在の方法論の結果としての放射性医薬品のボーラス均質性の欠如を理論的観点から記載する。・第1のグラフ:説明図は、L1とL2の間の筒長の単位あたりの活性濃度の静的記載である。L1およびL2の記号表示は、前出の
図3との比較を意味する。前出の工程に続いて、活性は、筒長にわたり均質ではないが、t0に関するグラフ中の実線により表される形状を有する。非均質性の理由は、放射能トレーサー溶液と、放射能トレーサーの筒長内への充填中に管中に既に存在した生理食塩水との、最初の混合が原因である。またさらに、時間がすすむにつれて、浸透および拡散の効果が、増加する筒長さ上に活性を広げて、したがって、筒長中の活性の合計が既知であったとしても、体積を知ることはできない。放射性トレーサーの合計分布体積は、増加した。・第2のグラフ:説明図は、t0からt1までの時間枠に続く静的記載である。活性は、筒長にわたり均質ではなく、t1に相当する実線で表される。注目すべきことに、トレーサーの合計分布体積は、時間=t0~t1にさらに増加した。・第3のグラフ:説明図は、t0からt2までの時間枠に続く静的記載である。活性は、筒長にわたり均質ではなく、t1に相当する実線として表される。注目すべきことに、トレーサーの合計分布体積は、時間枠t1~t2中にさらに増加した。
【
図8】
図8は、
図9と共に、本発明に基づいて、送達されるボーラスの放射能特性の実験的測定の結果を示す。一方、
図10および11は、従来の方法論に基づいて、送達されるボーラスの放射能特性の実験的測定の結果を示す。
図8および10は、時間の関数としての放射能測定を示すモニターの写真を示し、ならびに
図9および11は、測定からのデータを表すグラフを示す。実験装置に関しては、実施例部門を参照されたい。
【
図9】
図9は、
図8と共に、本発明に基づいて、送達されるボーラスの放射能特性の実験的測定の結果を示す。一方、
図10および11は、従来の方法論に基づいて、送達されるボーラスの放射能特性の実験的測定の結果を示す。
図8および10は、時間の関数としての放射能測定を示すモニターの写真を示し、ならびに
図9および11は、測定からのデータを表すグラフを示す。実験装置に関しては、実施例部門を参照されたい。
【
図10】
図10は、
図11と共に、従来の方法論に基づいて、送達されるボーラスの放射能特性の実験的測定の結果を示す。一方、
図8および
図9は、本発明に基づいて、送達されるボーラスの放射能特性の実験的測定の結果を示す。
図8および10は、時間の関数としての放射能測定を示すモニターの写真を示し、ならびに
図9および11は、測定からのデータを表すグラフを示す。実験装置に関しては、実施例部門を参照されたい。
【
図11】
図11は、
図10と共に、従来の方法論に基づいて、送達されるボーラスの放射能特性の実験的測定の結果を示す。一方、
図8および
図9は、本発明に基づいて、送達されるボーラスの放射能特性の実験的測定の結果を示す。
図8および10は、時間の関数としての放射能測定を示すモニターの写真を示し、ならびに
図9および11は、測定からのデータを表すグラフを示す。実験装置に関しては、実施例部門を参照されたい。
【発明を実施するための形態】
【0037】
発明の詳細な説明
21分未満の放射能半減期を有する放射性医薬品の用量の投与用量(D)は、走査装置の検出限界、局所走査装置の設定および条件、同様に個々の患者の年齢、体重、性別および民族性に好適な大きさでなくてはならない。(D)の大きさは、PET-走査装置の検出能力改善の到来により現在のレベルから減少し、且つ「合理的に達成可能な限り低く」(ALARA)の原則を満足する法津の変更によっても低下する可能性があるが、(D)は、用量を投与するための診断上の理由という主要な履行が不可能になるポイントから、減少することも超えることも決してないことが予見される。(D)は、5MBqから5,000MBqまでの範囲内の可能性があるが、現在は、(D)は、好ましくは250~500MBqの範囲内であり、近い将来には、好ましくは100~250MBqの範囲内であろう。遠い将来には、(D)は、好ましくは10~100MBq内であろう。最も好ましくは、(D)は、医療業務内の放射能活性用量投与の標準的変動として容認できる、400MBqプラスまたはマイナス10%までの範囲である。
【0038】
ボーラス体積(V)は、身体への迅速な導入を可能にし、且つ個々の患者の年齢、体重、性別および民族性に関して好適な大きさでなくてはならない。異なる診断目的に対して、(V)は0.05~50mlの範囲内である。好ましくは、(V)は、1~5mlの範囲内であり、最も好ましくは、(V)は、医療業務内の医薬品量投与に対する標準的変動として容認できる、2mlプラスまたはマイナス10%までの範囲である。(V)の大きさは、投与のラインまたはポンプの機能性改善の到来により、現在のレベルから減少し得ることが予見される。注入速度(S)は、量(V)の身体への迅速な導入を可能にするほど十分に速く、且つ個々の患者の年齢、体重、性別および民族性に関して好適でなくてはならない。(S)は、0.1ml/秒~5ml/秒の範囲内、好ましくは1ml/秒~3ml/秒の範囲内である。(S)は、最も好ましくは2ml/秒である。(S)は、放射線検出器からのPET走査装置データ取得の改善の到来により、増加し得る可能性がある。しかしながら、より低い注入速度もまた、本発明のある種の適用にとって適切なものとなり得る。
【0039】
第1の側面では、本発明は、受容者への非外科的な、静脈内(IV)投与用の、21分未満の放射能半減期を有する放射性医薬品の液剤溶液を含む、血流画像化における使用のためのボーラスに関し、前記ボーラスは、実質的に円柱状部分およびボーラスの体積全体にわたり不変の(均質の)放射能特性を有することを特徴とする。
【0040】
第1の側面の一態様では、前記ボーラスは、実質的に円柱状部分およびボーラスの体積全体にわたり均質の放射能分布を有する。第1の側面の別の態様では、前記ボーラスは、実質的に円柱状部分およびボーラスの体積全体にわたり均質に分布した放射能含有量を有する。
【0041】
別の態様では、前記ボーラスは、実質的に円柱状部分および前記実質的に円柱状部分の縦軸に沿って測定された一定の放射能特性を有する。
【0042】
第1の側面の一態様では、前記ボーラスは、実質的に円柱状部分ならびにボーラスの体積および/または境界域内の任意の点において区別がない放射能濃度を有する。
【0043】
一態様では、前記ボーラスは、実質的に円柱状部分ならびにボーラスの体積および/または境界域内の任意の2点間における放射能濃度の無視できる差異を有する。
【0044】
一態様では、放射性医薬品の同位体は、ベータプラス崩壊(陽電子放出)を起こすことができる同位体、たとえば:C-11(放射能半減期、およそ20.4分)、N-13(半減期、およそ9.97分)、Cu-62(半減期、およそ9.74分)、K-38(半減期、およそ7.64分)、I-122(半減期、およそ3.6分)、O-15(半減期、およそ122秒)、Rb-82(半減期、およそ75秒)またはO-14(半減期、およそ70.6秒)から選択される。
【0045】
別の態様では、放射性医薬品の同位体は、ベータマイナス崩壊を起こすことができる同位体、たとえば:O-19(半減期、およそ26.5秒)およびO-20(半減期、およそ13.5秒)を含む群から選択される。
【0046】
さらに別の態様では、放射性医薬品の同位体は、アルファ崩壊を起こすことができる同位体を含む群から選択される。
【0047】
さらに別の態様では、放射性医薬品の同位体は、オージェ電子放出の可能な同位体を含む群から選択される。
【0048】
一態様では、放射性医薬品は、21分未満の放射能半減期を有する。好ましい態様では、放射性医薬品は、10分未満の放射能半減期を有する。最も好ましい態様では、放射性医薬品は、3分未満の放射能半減期を有する。
【0049】
本発明に関連して特に興味深い放射性医薬品は、放射性水、たとえばO-15 H2Oである。放射性水は、任意の組織または特定の器官に結合しないという意味では不活性であるが、生体中に自由に分布する。
【0050】
好ましい態様では、放射性医薬品は、したがって、放射性水、たとえばO-15 H2OまたはO14-H2Oである。
【0051】
別の好ましい態様では、血流画像化は、PET(陽電子放出断層撮影)またはSPECT(光子放出コンピュータ断層撮影)走査方法論を使用して実施される。
【0052】
第2の側面では、本発明は、腫瘍低酸素、虚血性卒中を含む卒中、血管性認知症、腎不全、筋肉虚血、心筋虚血、全身性細小血管障害、血管炎、膵臓不全および血流障害に関連する他の状態から選択される疾患または病状の非外科的診断における使用のための、あるいは、同時係属中の国際特許出願PCT/DK2017/050367に開示されている、ヒトの心臓、ならびに/またはその小室および腔、たとえば左および右の心房のモデル化における使用のための、本発明の第1の側面において定義されるボーラスに関する。
【0053】
一態様では、疾患または病状は、組織微小血管系または身体大血管系の欠如または低下から推測される。別の態様では、疾患または病状は、脳卒中である。別の態様では、疾患または病状は、血流の減少の結果として起きる腎不全である。
【0054】
好ましい態様では、疾患または病状は腫瘍低酸素である。別の好ましい態様では、疾患または病状は心筋虚血である。
【0055】
第3の側面では、本発明は、本発明の第1または第2の側面に基づくボーラスを調製し且つ投与する非外科的な方法に関し、方法は:
・21分未満の放射能半減期を有する放射性医薬品の液剤溶液の原料を提供する工程、
・廃棄位置および受容者位置を有する第1のバルブを提供する工程、
・ボーラス導管(a)、廃棄導管(b)および受容者導管(c)のそれぞれが、前記第1のバルブに連結しているバルブ末端を有し、その結果、第1のバルブが、廃棄位置における廃棄流路および受容者位置における受容者流路を確立することができ、受容者流路は前記廃棄流路とは異なり、ボーラス導管は測定部分および内部体積を含み、内部体積は受容者に送達される放射性溶液の選択体積とほぼ等しい、ボーラス導管(a)、廃棄導管(b)および受容者導管(c)を提供する工程、
・前記第1のバルブを廃棄位置に配置する工程、
・第1の分量の前記放射性溶液が、選択レベルの放射能と少なくともほぼ等しいかまたはそれより高い初期レベルの放射能および前記ボーラス導管の内部体積より大きい体積を有する、第1の分量の前記放射性溶液を、前記廃棄流路を通して輸送する工程、
・放射線検出器が、前記測定部分における放射性溶液の放射能レベルを測定するように操作可能である、放射線検出器を提供する工程、
・前記測定部分に存在する前記放射性溶液の放射能の参照レベルを測定する工程、
を含み、
放射能の参照レベルが、放射能の所定の注入レベルとほぼ等しいとき、方法は:
・第1のバルブを受容者位置に配置する工程と、且つ
・ボーラス導管に存在する放射性溶液を、受容者流路を通して輸送する工程と、
をさらに含むことを特徴とする。
【0056】
第3の側面の一態様では、原料導管(a)は、原料から放射性医薬品溶液を受け取るように適合された原料注入口を含み、廃棄導管(b)は、前記廃棄導管から外へ出る前記溶液流に適合した廃棄放出口を含み、受容者導管(c)は、前記受容者導管から出て受容者へ向かう前記溶液流に適合した受容者放出口を含む。
【0057】
放射性医薬品を取り扱う先行技術システムでは、利用される同位体のいくつか、たとえばF-18標識フルオロデオキシグルコース(FDG)の生成に使用されるF-18(半減期:109.8分)は、122秒の半減期を有するO-15をベースとするO-15水と比較して、相対的に長い半減期を有する。これらの放射性医薬品の生成時間もまた、典型的には、かなり長い(F-18FDGで約4時間に対してO-15水で約5分)。これは、約2時間後に本来の活性の半分のみが失われるため、F-18FDGの生成費用とより長い半減期の両方が、一定期間、価値ある利点となることを意味する。約6時間後に、本来の活性の10%が依然として残っている。したがって、F-18FDGは、短いものであっても事実上の貯蔵寿命を有し、通常の就業日内に過剰に生成されたFDGを使用する計画が意味を成す。O-15水の場合には、その短い半減期が、非常に迅速にO-15水を事実上価値のないものとするため、これはない。新に生成されたO-15水中に、約6分後に本来の活性の10%のみが、且つ15分後には1%未満が残っている。
【0058】
さらに、受容者に輸送することができる放射性医薬品の液剤溶液を得るために、先行技術システムは、高放射性同位元素(たとえば、F-18標識FDG)の、複数の異なる容器中の希釈液、たとえば生理食塩水を用いた、部分的に手動の混合および希釈を適用しなければならない。これらの問題点が、先行技術システムを相対的に複雑なものとする。別の問題は、所与の時間点における、用量の放射性同位体の放射能の不正確な決定である。
【0059】
本発明に基づく放射性医薬品の液剤溶液を送達する輸注システムおよび方法は、正確に画定された体積を有するループを、ループの内容物が所望の定常状態活性レベルに到達するポイントまで、放射性医薬品の液剤溶液で満たし、このポイントで満たす手順は中断され、ループの内容物は、放射性崩壊により別の所定の活性レベルに到達するまでそのままおかれ、このポイントでループの内容物は受容者に注入され、したがって、ループが満たされた後に追加の希釈液または放射性同位元素を添加する必要を回避することによる、かなり単純なやり方でこれらの問題点を克服する。この方法は、
図3および
図5に図式的に示される。
図5は、ボーラスの体積全体にわたり、不変の(均質の)放射能特性を示す。
【0060】
この方法により、非常に正確に画定された量の放射能を、非常に正確に画定された体積およびボーラスの体積全体にわたり不変の(均質の)放射能特性を有するボーラスに送達することができる。その上、本発明に基づくシステムにおける非常に短い生成時間に起因して、予め画定された用量の放射能を含有するために必要な体積は、投与用に準備された用量を生み出すために大きい数の半減期を使用するシステムと比較すると、相対的に小さい。21分未満の半減期を有する放射性医薬品に関して、先行技術放射性ボーラス/用量は、したがって、典型的には、本発明に基づくシステムにより得られるものより高希釈のものになる。この問題は、
図6および
図7に図式的に示される。
図7は、注入用量の縦軸に沿って、放射能特性がどのように変化するかを示す。
【0061】
したがって、本発明のシステムは、第一に、明確に定義されたボーラス中の高度に正確な用量の放射能の投与を可能にすることにより先行技術とは異なり、且つ非常に短い全体的生成時間に起因して、最終的ボーラスが相対的に高放射能濃度を有し得るような、相対的に小体積における前記短寿命放射性医薬品の送達をさらに可能にする。
【0062】
第3の側面の別の態様では、第1の分量の前記放射性溶液は、ボーラス導管の内部体積より1~2倍大きい体積を有する。
【0063】
第1、第2または第3の側面の一態様では、放射性医薬品のボーラスは、250~1000MBq、たとえば400MBq~1000MBq、250~500MBq、好ましくは360~440MBq、たとえば400MBqの放射性用量を含有する。別の態様では、放射性医薬品のボーラスは、100~250MBqの放射性用量を含有する。さらに別の態様では、放射性医薬品のボーラスは、10~100MBqの放射性用量を含有する。
【0064】
第1、第2または第3の側面の一態様では、前記ボーラスは、たとえば50~500MBq/ml、好ましくは180~220MBq/ml、たとえば200MBq/mlの高放射能濃度を有する。
【0065】
ボーラス導管(
図2中のバルブ8とバルブ10の間の「ループ1」として図示される)は、ボーラス導管が完全に満たされたときに、適切な放射性医薬品には、血流画像化における使用のために十分に高い放射能レベルが依然として残っているように、均質の放射性溶液で充填されることを理解されたい。これはまた、3分未満の半減期を伴う同位体にも適用可能である。
【0066】
第3の側面の別の態様では、放射性医薬品の液剤溶液は、およそ0.05~7ml/秒、好ましくはおよそ1~5ml/秒、たとえば2ml/秒および最も好ましくはおよそ1ml/秒の注入速度(S)で、受容者に送達される。送達されるボーラスの好ましい体積Vは2mlである。
【0067】
第3の側面の別の態様では、放射性医薬品の液剤溶液は、受容者に送達される前に、自然の放射性崩壊により所望の放射能レベルが達成されるまで、適切な保留時間、ボーラス導管中に保留される。
【0068】
第3の側面の別の態様では、投与されたボーラスの持続時間は、0.3~5秒、好ましくは1秒であり、5MBqから5,000MBqまでの送達された放射能(D)を含有する前記ボーラスは、好ましくは(D)が、250~1000MBqの範囲、たとえば400MBq~1000MBqまたは250~500MBqの範囲内である。最も好ましくは、(D)は、医療業務内の放射能活性用量投与の標準的変動として容認できる、400MBqプラスまたはマイナス10%までの範囲である。
【0069】
既知の放射性用量(D)、既知の体積(V)および既知の注入速度(S)の形態で、腫瘍血流および関連するパラメータを定性的または定量的に測定するためにPET-走査装置と連結した、ここに記載された用量の、21分未満の放射能半減期を有する放射性医薬品、たとえばO-15 H2Oを使用する利点は、他の放射性トレーサー様式と比較すると、そのような放射性医薬品の短い半減期に起因して、患者への放射線曝露が低減され、したがって、ALARA原則を満足することである。加えて、年齢、体重、性別および民族性に関して記載された用量を使用することの均質且つ再現性のある特徴は、大量の正常および異常のデータベースの作成を可能にし、そこから新しい処置戦略および投薬戦略を、個々の、問題とされる疾患または病状を個別化された様式で処置するように開発することができる。
【0070】
さらに、腫瘍学および他の医療領域における流動および灌流のためのPET-走査技術における定量的可能性は、ここで記載された用量を再現性よく生み出す能力にかかっているが、用量が記載されたように投与されるとすれば、ソフトウェアアルゴリズムと結びついたPET-走査技術は、目的のインビボ範囲内の流動および灌流の定量化を可能にし、それは相対的および定性的な様式で処置および投薬の戦略にさらにつながっていてもよく、その結果、個々の患者の薬物療法または放射線処置の計画を、腫瘍または他の組織を通る既定の流動および/または灌流に応じて上方または下方のいずれかに制御することができる。
【0071】
最終的に、21分未満の放射能半減期を有する放射性医薬品、たとえばO-15 H2Oの、ここに記載された様式におけるが、数日、数週または数か月にわたる反復投与は、選択された処置形式、たとえば放射線処置または投与された薬物による処置の有効性を評価するための処置応答手段として役立ち得るが、また処置戦略、たとえば、患者の腫瘍学的疾患状態の処置においても、低酸素領域もしくは腫瘍の要素を第一に低減すること、または腫瘍内の毛細血管を広げることにより、IV投与された薬物の腫瘍への相対的用量摂取を改善することに基づいている。
【0072】
第4の側面では、本発明は、放射性核種治療における使用のための、本発明の第1の側面において定義されるボーラスに関し、ここで、21分未満の放射能半減期を有する放射性医薬品は、ベータ-もしくはアルファ-放出性の放射性同位体、またはオージェ電子放出性放射性同位体をベースとする。
【0073】
標的放射性核種治療は、最も強力に開発されている核医学の指針の1つである。従来の外照射治療とは異なり、標的放射性核種治療は、正常組織への付随的損傷を起こすことが少なく、且つ臨床的に診断された新生物性形成異常、同様に転移細胞および細胞クラスターへの標的薬物送達を可能にし、したがって、がんの全身的治療を提供する。標的放射性核種治療の方法は、腫瘍細胞の表面上の抗原に対する高親和性を伴う、放射性核種の分子担体の使用に基づく。標的放射性核種治療の将来性は、がん生物学、生物工学、および放射化学における知識ベースの拡大に起因して、今日では、際立って成長してきた。標的放射性核種治療は、腫瘍細胞への、放射性核種の担体としての高親和性分子の使用に基づく。標的放射性核種治療のための医薬品は、静脈内にまたは腔内に注入されることが多い。注入に続いて、そのような薬物は、血流に入り、腫瘍細胞の表面上のその標的-標的分子に最終的に到達する。医薬品に結合された放射性核種は、腫瘍細胞と直接に相互作用する。
【0074】
本発明の第4の側面の一態様では、利用される放射性医薬品は、21分未満の放射能半減期を有し、腫瘍細胞の表面上の問題とされる抗原に対する高親和性を伴う放射性核種の分子担体、たとえば、C-11で放射性標識されたPIB、またはN-13、C-11もしくはベータプラス崩壊を起こすことができる同様の放射性同位体で放射性標識されたペプチド成分である。さらなる態様では、分子担体は、ベータマイナス崩壊、アルファ崩壊またはオージェ電子放出を起こすことができる放射性同位体と同一であり得る。
【実施例】
【0075】
本発明に基づくボーラスの放射能均質性を、以下の方法で測定した。
A.本発明に基づくボーラスの測定(
図3、5、8および9を参照されたい)
生理食塩水で最初に満たされた体積3mlのループ(コイル状低圧連結管、Bayer、Lot nr.8404710、内径1.65mm)を、
図3.1~3.3に相当するように、L1を通して放射性水(15-O水)で連続して満たし、溢流をL2を通して廃棄に導いた。L1およびL2は、それぞれ、
図2中のバルブ8およびバルブ10に相当する。
【0076】
実験を始めるとき、
図3.4および3.5に相当するように、L1およびL2を通る流動を停止し、且つ2つのバルブを閉めて、明確に画定された3mlのボーラスを確立する。次に、ボーラスをポンピングすることにより、7ml/分の一定の流量で、検出器(Allogg AB、Mariefred、Sweden)を通過させて、ボーラスの放射能特性を確立した。放射能濃度を1.0秒ごとに測定し、トレーサー投与の開始まで放射性崩壊を調整した。
【0077】
放射能濃度測定を、時間の関数として、
図8(モニター写真)および
図9(エクセルグラフ)に示し、放射能濃度が実験の全持続時間、すなわちボーラスの全長の間、事実上同一であることを示す。
【0078】
実験Aに基づくボーラスが注入の準備ができているとき-直ちに、またはある一定の放射能レベルに到達するための適切な保留時間後のいずれか-、放射能濃度は、ボーラスの体積全体にわたり一定のままであり、また放射性崩壊がボーラスの合計放射能を減少させるとき、任意の所与の時間点におけるボーラス体積同様に活性の正確な決定が可能となる。これは、
図5に示される理論的な崩壊グラフに相当する。
【0079】
比較理由のため、従来的に送達された用量の放射性水を、生理食塩水の体積中に送達されたとき、均質性に関して測定した。
【0080】
B.従来技術に基づく測定(
図6~7および10~11を参照されたい)
生理食塩水で最初に満たされた管のループ(実験Aと同じ型)中に、
図6.1~6.3に示される状態と同様の、筒長さの半分の体積におおよそ相当する、ある体積の放射性水(15-O水)を注入した。
【0081】
次に、筒長さの内容物をポンピングすることにより、7ml/分の一定の流量で、検出器(Allogg AB、Mariefred、Sweden)を通過させて、注入用量の放射性水の放射能特性を確立した。放射能濃度を1.0秒ごとに測定し、トレーサー投与の開始まで放射性崩壊を調整した。
【0082】
放射能濃度測定を、時間の関数として、
図10(モニター写真)および
図11(エクセルグラフ)に示し、放射能濃度が一定ではなく勾配を持つことを示す。注入用量の放射性水の前方が、Allogg検出器により近いため、最初の測定値(より低い時間値)は、後の測定値(より高い時間値)より低濃度を示し、注入用量の前方が生理食塩水と混合され、それにより濃度が低下したことを示している。注入用量の合計活性は、混合により影響を受けないが、放射性用量を含有する体積は、もはや正確には分からない。
【0083】
実験Bに基づく放射性用量が、受容者または患者に走査目的のため送達される前に、ある一定の放射能レベルに到達するために、適切な保留時間停止されるとき、放射能濃度は、混合につれて次第に不均等となり、浸透および拡散の効果が、増加する筒長さ上に活性を広げる。これは、
図7に示される理論的な崩壊グラフに相当する。