IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・ボーイング・カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許-部品の予測整備 図1
  • 特許-部品の予測整備 図2
  • 特許-部品の予測整備 図3
  • 特許-部品の予測整備 図4
  • 特許-部品の予測整備 図5
  • 特許-部品の予測整備 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】部品の予測整備
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240826BHJP
   B64F 5/40 20170101ALI20240826BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20240826BHJP
【FI】
G06Q10/20
B64F5/40
G06Q50/40
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020010770
(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公開番号】P2020184307
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】16/406,827
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ジェンノン・ワン
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0335772(US,A1)
【文献】特開2018-200681(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0021604(US,A1)
【文献】特開2002-149868(JP,A)
【文献】特開2003-257808(JP,A)
【文献】佐藤 誠、三ツ本 憲史、木下 英治,メンテナンス高度化の最新動向:データマイニング技術を用いた昇降機部品分析,経営の科学 オペレーションズ・リサーチ,第57巻 第9号,株式会社日科技連出版社,2012年09月01日,P.512-517
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
B64F 5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品信頼性判定システムがビークルの部品の信頼性を判定する方法であって、
-前記部品信頼性判定システムがビークル部品の信頼性曲線を生成するステップであって、
・複数の実例にかかる前記ビークル部品に関する使用データを収集するステップであって、複数の前記実例にかかる前記ビークル部品のうち前記実例それぞれにかかる前記ビークル部品に関して、
*前記実例それぞれの前記使用データが、前記実例それぞれに関連するビークルからの取り外し時に収集され、
*前記使用データが、前記関連するビークルからの取り外し時の、前記実例それぞれにかかる前記ビークル部品によって累積されたサイクル数を示し、
*前記使用データが、前記関連するビークルからの取り外し時に前記実例それぞれにかかる前記ビークル部品が故障状態にあるかどうかを示す、ステップ、
・複数個のサイクル数で前記故障状態にある実例にかかる前記ビークル部品の割合を求めるステップ、および
・複数個の前記サイクル数のそれぞれで前記故障状態にある、前記実例にかかる前記ビークル部品の前記割合に基づいて、前記信頼性曲線を決定する確率分布関数を前記使用データに適合させるステップ
によって前記信頼性曲線を生成するステップと、
-前記部品信頼性判定システムが前記信頼性曲線上に取外閾値を設定するステップと、
-前記部品信頼性判定システムが所与のビークルへの所与の実例にかかる前記ビークル部品の取り付けを追跡するステップと、
-前記所与の実例にかかる前記ビークル部品が取り付けられている前記所与のビークルの動作に基づいて、前記部品信頼性判定システムが前記所与の実例にかかる前記ビークル部品の前記サイクル数を追跡するステップと、
-前記所与の実例にかかる前記ビークル部品の前記サイクル数が前記取外閾値を満たしたことに応じて、前記部品信頼性判定システムが前記所与のビークルのオペレータに保守点検警告を送信するステップと、
-安全在庫レベル、
前記取外閾値、
前記ビークル部品のリードタイム、および
前記所与のビークルの使用率
に基づいて前記部品信頼性判定システムが再注文閾値を設定するステップと、
-前記所与の実例にかかる前記ビークル部品の前記サイクル数が前記再注文閾値を満たしたことに応じて、前記部品信頼性判定システムが在庫警告を前記所与のビークルの前記オペレータに送信するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記信頼性曲線上に前記取外閾値を設定する前記ステップが、
前記信頼性曲線を生成するために使用された前記ビークル部品の履歴取外数を求めるステップと、
前記履歴取外数が所定の設定値を下回ったことに応じて、前記取外閾値を前記ビークル部品の固定サイクル数として設定するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記信頼性曲線上に前記取外閾値を設定する前記ステップが、
・前記信頼性曲線上の第1の点と第2の点のどちらかに前記取外閾値を設定するステップであって、
*前記第1の点が、履歴的に少なくとも第1の割合のオペレータがビークルから前記ビークル部品を取り外したときの、前記ビークル部品の第1のサイクル数を示し、
*前記第2の点が、以前に前記ビークル部品の前記取外閾値に設定された、前記ビークル部品の第2のサイクル数を示す、ステップと、
・前記第1の点および前記第2の点のうちの大きい方を前記取外閾値として設定するステップと
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
-前記信頼性曲線と前記取外閾値との交点を求めるステップと、
-前記交点と前記ビークル部品の上方信頼性閾値とを比較するステップと、
-前記交点における前記サイクル数が、前記上方信頼性閾値よりも大きいことに応じて、品質警告を前記所与のビークルの前記オペレータに送信するステップと
をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
-前記信頼性曲線と前記取外閾値との交点を求めるステップと、
-前記交点と前記ビークル部品の下方信頼性閾値とを比較するステップと、
-前記交点における前記サイクル数が、前記下方信頼性閾値よりも小さいことに応じて、品質警告を前記所与のビークルの前記オペレータに送信するステップと
をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
-前記ビークル部品の追加の取外サンプルの受信に応じて、前記取外閾値を前記信頼性曲線上の異なる値に再設定するステップをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記所与のビークルが、航空機である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
部品信頼性判定システムがビークルの部品の信頼性を判定する方法であって、
-前記部品信頼性判定システムがビークル部品の信頼性曲線を生成するステップであって、
・複数の実例にかかる前記ビークル部品に関する使用データを収集するステップであって、前記複数の実例にかかる前記ビークル部品のうち前記実例それぞれにかかる前記ビークル部品に関して、
*前記実例それぞれの前記使用データが、前記実例それぞれに関連するビークルからの取り外し時に収集され、
*前記使用データが、前記関連するビークルからの前記取り外し時の、前記実例それぞれにかかる前記ビークル部品によって累積された移動時間数を示し、
*前記使用データが、前記関連するビークルからの前記取り外し時に前記実例それぞれにかかる前記ビークル部品が故障状態にあるかどうかを示す、ステップ、
・複数個の移動時間数で前記故障状態にある実例にかかる前記ビークル部品の割合を求めるステップ、および
・前記複数個の移動時間数のそれぞれで前記故障状態にある、前記実例にかかる前記ビークル部品の前記割合に基づいて、前記信頼性曲線を決定する確率分布関数を前記使用データに適合させるステップ
によって前記ビークル部品の前記信頼性曲線を生成するステップと、
-前記部品信頼性判定システムが前記信頼性曲線上に取外閾値を設定するステップと、
-前記部品信頼性判定システムが所与のビークルへの所与の実例にかかる前記ビークル部品の取り付けを追跡するステップと、
-前記所与の実例にかかる前記ビークル部品が取り付けられている前記所与のビークルの動作に基づいて、前記部品信頼性判定システムが前記所与の実例にかかる前記ビークル部品の移動時間数を追跡するステップと、
-前記所与の実例にかかる前記ビークル部品の前記移動時間数が前記取外閾値を満たしたことに応じて、前記部品信頼性判定システムが前記所与のビークルのオペレータに保守点検警告を送信するステップと、
-安全在庫レベル、
前記取外閾値、
前記ビークル部品のリードタイム、および
前記所与のビークルの使用率
に基づいて前記部品信頼性判定システムが再注文閾値を設定するステップと、
-前記所与の実例にかかる前記ビークル部品の前記移動時間数が前記再注文閾値を満たしたことに応じて、前記部品信頼性判定システムが在庫警告を前記所与のビークルの前記オペレータに送信するステップと、
を含む方法。
【請求項9】
プロセッサと、
命令を含むメモリ記憶デバイスと、
を備えるシステムであって、
前記命令が、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサが、
-ビークル部品の信頼性曲線を生成することであって、
・複数の実例にかかる前記ビークル部品に関する使用データを収集することであって、複数の前記実例にかかる前記ビークル部品のうち前記実例それぞれにかかる前記ビークル部品に関して、
*前記実例それぞれの前記使用データが、前記実例それぞれに関連するビークルからの取り外し時に収集され、
*前記使用データが、前記関連するビークルからの取り外し時の、前記実例それぞれにかかる前記ビークル部品によって累積されたサイクル数および移動時間数の少なくとも一方を示し、
*前記使用データが、前記関連するビークルからの取り外し時に前記実例それぞれにかかる前記ビークル部品が故障状態にあるかどうかを示すことと、
・複数個の前記サイクル数および前記移動時間数の前記少なくとも一方で前記故障状態にある実例にかかる前記ビークル部品の割合を求めること、および
・複数個の前記サイクル数および前記移動時間数の前記少なくとも一方のそれぞれで前記故障状態にある、前記実例にかかる前記ビークル部品の前記割合に基づいて、前記信頼性曲線を決定する確率分布関数を前記使用データに適合させること
によって前記信頼性曲線を生成することと、
-前記信頼性曲線上に取外閾値を設定することと、
-所与のビークルへの所与の実例にかかる前記ビークル部品の取り付けを追跡すること、
-前記所与の実例にかかる前記ビークル部品が取り付けられている前記所与のビークルの動作に基づいて、前記所与の実例にかかる前記ビークル部品の前記サイクル数および前記移動時間数の前記少なくとも一方を追跡することと、
-前記所与の実例にかかる前記ビークル部品の前記サイクル数および前記移動時間数の前記少なくとも一方が前記取外閾値を満たしたことに応じて、保守点検警告を前記所与のビークルのオペレータに送信することと、
-安全在庫レベル、
前記取外閾値、
前記ビークル部品のリードタイム、および
前記所与のビークルの使用率
に基づいて再注文閾値を設定すること、
-前記所与の実例にかかる前記ビークル部品の前記サイクル数および前記移動時間数の少なくとも一方が前記再注文閾値を満たしたことに応じて、在庫警告を前記所与のビークルの前記オペレータに送信することと、
を含む動作を実行することを可能にする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、航空機などのビークルの様々な部品の信頼性を判定するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビークルは、場所間で人を輸送するために使用される。例えば、民間航空機は、様々な場所間で乗客を輸送するために使用される。典型的な航空機は、数百万ではないにせよ数千の構成部品を含む。例えば、航空機のシステム、サブシステム、および構造それぞれなどは、数千の構成部品から形成される場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
理解され得るように、航空機オペレータ(aircraft operator)および乗客は、時間通りのフライトを大事にしている。整備作業は、航空機の遅延の可能性をもたらす。例えば、フライト間に航空機の特定の部品を交換する必要があると判定されたら、整備員がその部品を交換する。しかしながら、このような整備手順により、古い部品を新しい部品に交換する間に、その後の出発時間が遅延し得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、一態様では、複数の実例にかかるビークル部品に関する使用データを収集するステップであって、複数の実例にかかるビークル部品ののうち実例それぞれにかかるビークル部品に関して、実例それぞれの使用データが、実例それぞれに関連するビークルからの取り外し時に収集され、使用データが、関連するビークルからの取り外し時の、実例それぞれにかかるビークル部品によって累積されたサイクル数を示し、使用データが、関連するビークルからの取り外し時に実例それぞれにかかるビークル部品が故障状態にあるかどうかを示す、ステップ、複数個のサイクル数で故障状態にある実例にかかるビークル部品の割合(パーセンテージ)を求めるステップ、および複数個のサイクル数のそれぞれで故障状態にある、実例にかかるビークル部品の割合に基づいて、信頼性曲線を決定する確率分布関数を使用データに適合させるステップによってビークル部品の信頼性曲線を生成するステップと、信頼性曲線上に取外閾値を設定するステップと、所与のビークルへの所与の実例にかかるビークル部品の取り付けを追跡するステップと、所与の実例にかかるビークル部品が取り付けられている所与のビークルの動作に基づいて、所与の実例にかかるビークル部品のサイクル数を追跡するステップと、所与の実例にかかるビークル部品のサイクル数が取外閾値を満たしたことに応じて、所与のビークルのオペレータに保守点検警告を送信するステップとを含む方法を提供する。
【0005】
一態様では、上記または下記の任意の例示的な方法との組み合わせにおいて、信頼性曲線上に取外閾値を設定するステップは、信頼性曲線を生成するために使用されたビークル部品の履歴取外数を求めるステップと、履歴取外数が所定の設定値を下回ったことに応じて、取外閾値をビークル部品の固定サイクル数として設定するステップとをさらに含む。
【0006】
一態様では、上記または下記の任意の例示的な方法との組み合わせにおいて、信頼性曲線上に取外閾値を設定するステップは、信頼性曲線上の第1の点と第2の点のどちらかに取外閾値を設定するステップであって、第1の点が、履歴的に少なくとも第1の割合のオペレータがビークルからビークル部品を取り外したときの、ビークル部品の第1のサイクル数を示し、第2の点が、以前にビークル部品の取外閾値に設定された、ビークル部品の第2のサイクル数を示す、ステップと、第1の点および第2の点のうちの大きい方を取外閾値として設定するステップとをさらに含む。
【0007】
一態様では、上記または下記の任意の例示的な方法との組み合わせにおいて、本方法は、安全在庫レベル、取外閾値、ビークル部品のリードタイム、および所与のビークルの使用率に基づいて再注文閾値を設定するステップと、所与の実例にかかるビークル部品のサイクル数が再注文閾値を満たしたことに応じて、在庫警告を所与のビークルのオペレータに送信するステップとをさらに含む。
【0008】
一態様では、上記または下記の任意の例示的な方法との組み合わせにおいて、本方法は、信頼性曲線と取外閾値との交点を求めるステップと、交点とビークル部品の上方信頼性閾値とを比較するステップと、交点におけるサイクル数が、上方信頼性閾値よりも大きいことに応じて、品質警告を所与のビークルのオペレータに送信するステップとをさらに含む。
【0009】
一態様では、上記または下記の任意の例示的な方法との組み合わせにおいて、本方法は、信頼性曲線と取外閾値との交点を求めるステップと、交点とビークル部品の下方信頼性閾値とを比較するステップと、交点におけるサイクル数が、下方信頼性閾値よりも小さいことに応じて、品質警告を所与のビークルのオペレータに送信するステップとをさらに含む。
【0010】
一態様では、上記または下記の任意の例示的な方法との組み合わせにおいて、本方法は、ビークル部品の追加の取外サンプルの受信に応じて、取外閾値を信頼性曲線上の異なる値に再設定するステップをさらに含む。
【0011】
一態様では、上記または下記の任意の例示的な方法との組み合わせにおいて、所与のビークルは、航空機である。
【0012】
本開示は、一態様では、複数の実例にかかるビークル部品に関する使用データを収集するステップであって、複数の実例にかかるビークル部品のうち実例それぞれにかかるビークル部品に関して、実例それぞれの使用データが、実例それぞれに関連するビークルからの取り外し時に収集され、使用データが、関連するビークルからの取り外し時の、実例それぞれにかかるビークル部品によって累積された飛行時間数を示し、使用データが、関連するビークルからの取り外し時に実例それぞれにかかるビークル部品が故障状態にあるかどうかを示す、ステップ、複数個の飛行時間数で故障状態にある実例にかかるビークル部品の割合を求めるステップ、および複数個の飛行時間数のそれぞれで故障状態にある、実例にかかるビークル部品の割合に基づいて、信頼性曲線を決定する確率分布関数を使用データに適合させるステップによってビークル部品の信頼性曲線を生成するステップと、信頼性曲線上に取外閾値を設定するステップと、所与のビークルへの所与の実例にかかるビークル部品の取り付けを追跡するステップと、所与の実例にかかるビークル部品が取り付けられている所与のビークルの動作に基づいて、所与の実例にかかるビークル部品の飛行時間数を追跡するステップと、所与の実例にかかるビークル部品の飛行時間数が取外閾値を満たしたことに応じて、所与のビークルのオペレータに保守点検警告を送信するステップとを含む方法を提供する。
【0013】
一態様では、上記または下記の任意の例示的な方法との組み合わせにおいて、取外閾値を設定するステップは、信頼性曲線を生成するために使用されたビークル部品の履歴取外数を求めるステップと、履歴取外数が所定の設定値を下回ったことに応じて、取外閾値をビークル部品の固定飛行時間値として設定するステップとをさらに含む。
【0014】
一態様では、上記または下記の任意の例示的な方法との組み合わせにおいて、取外閾値を設定するステップは、信頼性曲線上の第1の点と第2の点のどちらかに取外閾値を設定するステップであって、第1の点が、履歴的に少なくとも第1の割合のオペレータがビークルからビークル部品を取り外したときの、ビークル部品によって累積された第1の飛行時間数を示し、第2の点が、以前にビークル部品の取外閾値として設定された、ビークル部品によって累積された第2の飛行時間数を示し、第1の点および第2の点のうちの大きい方が、取外閾値として設定される、ステップをさらに含む。
【0015】
一態様では、上記または下記の任意の例示的な方法との組み合わせにおいて、本方法は、安全在庫レベル、取外閾値、ビークル部品のリードタイム、および所与のビークルの使用率に基づいて在庫閾値を設定するステップと、所与の実例にかかるビークル部品によって累積された飛行時間数が在庫閾値を満たしたことに応じて、在庫警告を所与のビークルのオペレータに送信するステップとをさらに含む。
【0016】
一態様では、上記または下記の任意の例示的な方法との組み合わせにおいて、本方法は、信頼性曲線と取外閾値との交点を求めるステップと、交点とビークル部品の上方信頼性閾値とを比較するステップと、交点における飛行時間数が、上方信頼性閾値よりも大きいことに応じて、品質警告を所与のビークルのオペレータに送信するステップとをさらに含む。
【0017】
一態様では、上記または下記の任意の例示的な方法との組み合わせにおいて、本方法は、信頼性曲線と取外閾値との交点を求めるステップと、交点とビークル部品の下方信頼性閾値とを比較するステップと、交点における飛行時間数が、下方信頼性閾値よりも小さいことに応じて、品質警告を所与のビークルのオペレータに送信するステップとをさらに含む。
【0018】
一態様では、上記または下記の任意の例示的な方法との組み合わせにおいて、本方法は、ビークル部品の追加の取外サンプルの受信に応じて、取外閾値を信頼性曲線上の異なる値に再設定するステップをさらに含む。
【0019】
一態様では、上記または下記の任意の例示的な方法との組み合わせにおいて、所与のビークルは、航空機である。
【0020】
本開示は、一態様では、プロセッサと、命令を含むメモリ記憶デバイスであって、命令が、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサが、ビークル部品の信頼性曲線を生成すること、信頼性曲線上に取外閾値を設定すること、所与のビークルへの所与の実例にかかるビークル部品の取り付けを追跡すること、所与の実例にかかるビークル部品が取り付けられている所与のビークルの動作に基づいて、所与の実例にかかるビークル部品の動作を追跡すること、および所与の実例にかかるビークル部品の動作が取外閾値を満たしたことに応じて、保守点検警告を所与のビークルのオペレータに送信することを含む動作を実行することを可能にする、メモリ記憶デバイスとを備えるシステムを提供する。
【0021】
一態様では、上記または下記の任意の例示的なシステムとの組み合わせにおいて、取外閾値を設定することは、信頼性曲線を生成するために使用されたビークル部品の履歴取外数を求めることと、履歴取外数が所定の設定値を下回ったことに応じて、取外閾値をビークルの固定動作値として設定することとをさらに含む。
【0022】
一態様では、上記または下記の任意の例示的なシステムとの組み合わせにおいて、取外閾値を設定することは、信頼性曲線を生成するために使用されたビークル部品の履歴取外数を求めることと、履歴取外数が所定の設定値を超えたことに応じて、信頼性曲線上の第1の点と第2の点のどちらかに取外閾値を設定することとを含み、第1の点が、履歴的に少なくとも第1の割合のオペレータがビークルからビークル部品を取り外したときの、ビークル部品の第1の動作数を示し、第2の点が、第1の割合よりも大きい少なくとも第2の割合のオペレータが履歴的にビークルからビークル部品を取り外したときの、ビークル部品の第2の動作数を示す。
【0023】
一態様では、上記または下記の任意の例示的なシステムとの組み合わせにおいて、ビークル部品の信頼性曲線を生成することは、関連するビークルからの取り外し時にいくつかの実例にかかるビークル部品から、関連するビークルからの取り外し時の、特定の実例にかかるビークル部品によって累積されたサイクル数を示す使用データを収集し、特定の実例にかかるビークル部品が取り外し時に故障状態にあるかどうかを収集することと、サイクル数当たりの、故障状態にあるビークル部品の割合を求めることと、故障状態にあるビークル部品の割合に基づいて確率分布関数を使用データに適合させることとをさらに含む。
【0024】
一態様では、上記または下記の任意の例示的なシステムとの組み合わせにおいて、ビークル部品の信頼性曲線を生成することは、関連するビークルからの取り外し時にいくつかの実例にかかるビークル部品から、関連するビークルからの取り外し時の、特定の実例にかかるビークル部品によって累積された飛行時間数を示す使用データを収集し、特定の実例にかかるビークル部品が取り外し時に故障状態にあるかどうかを収集することと、飛行時間当たりの、故障状態にあるビークル部品の割合を求めることと、故障状態にあるビークル部品の割合に基づいて確率分布関数を使用データに適合させることとをさらに含む。
【0025】
一態様では、上記または下記の任意の例示的なシステムとの組み合わせにおいて、ビークル部品の動作が、ビークル部品が取り付けられている間のビークル部品のサイクル数に基づいて追跡され、取外閾値、ビークル部品のリードタイム、所与のビークルの使用率、およびビークル部品のフライト当たりサイクルの係数に基づいて在庫閾値を設定することと、所与の実例にかかるビークル部品の動作が在庫閾値を満たしたことに応じて、在庫警告を所与のビークルのオペレータに送信することとをさらに含む。
【0026】
一態様では、上記または下記の任意の例示的なシステムとの組み合わせにおいて、ビークル部品の動作が、ビークル部品が取り付けられている間のビークルの飛行時間数に基づいて追跡され、
取外閾値、ビークル部品のリードタイム、および所与のビークルの使用率に基づいて在庫閾値を設定することと、所与の実例にかかるビークル部品の動作が在庫閾値を満たしたことに応じて、在庫警告を所与のビークルのオペレータに送信することとをさらに含む。
【0027】
一態様では、上記または下記の任意の例示的なシステムとの組み合わせにおいて、動作は、信頼性曲線と取外閾値との交点を求めることと、交点と、ビークル部品の上方信頼性閾値および下方信頼性閾値とを比較することと、交点におけるビークル部品の動作数が、上方信頼性閾値より大きいか、または下方信頼性閾値より小さいかのいずれかであることに応じて、品質警告を所与のビークルのオペレータに送信することとをさらに含む。
【0028】
一態様では、上記または下記の任意の例示的なシステムとの組み合わせにおいて、所与のビークルは、航空機である。
【0029】
上記した特徴が詳細に理解され得るように、例示的な態様を参照して、上記で簡単に要約された説明のより詳細な説明を得ることができ、例示的な態様の一部は添付の図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本開示の態様による、ビークルの概略正面斜視図である。
図2】本開示の態様による、部品信頼性判定システムの概略図である。
図3】本開示の態様による、部品の信頼性を判定する方法のフローチャートである。
図4】本開示の態様による、様々な閾値が定義された信頼性曲線および累積分布関数曲線の概略グラフ図である。
図5】本開示の態様による、在庫レベルの概略図である。
図6】本開示の態様による、航空機の動作に基づいて航空機部品の保守点検および/または在庫警告を生成するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
航空機オペレータは、スケジュールされた間隔で定期的に整備を実行する。多くの場合、整備は、スケジュールされた整備作業間の時間をできるだけ長くしながらも、航空機が、スケジュールされたフライトの中断を最小限に抑える時間に、部品および技術者が利用可能である場所で就航から外されるようにスケジュールされる。航空機の一部の部品は、これらの部品の1つ以上の特性を常時または定期的に監視するセンサに関連付けられるが、他の部品(および監視される部品の一部の態様)は、航空機が地上にいるときに技術者によって監視される。検査または修理の所要時間を短縮し、飛行動作のための航空機の可用性を最大化するために、航空機の一部の部品は、部品に故障が発生する前に交換され得、一部の部品は、航空機から独立して部品を検査できるようにするために航空機から取り外され(別の部品と交換され)得る。検査のために取り外して交換した部品は、検査(または修理)が完了したら、別の航空機に取り付けられるか、または後で元の航空機に再び取り付けられ得る。したがって、航空機が使用され、整備が実行されると、その航空機の様々な部品の使用状況は変化する。
【0032】
航空機の様々な部品は、動作時に消耗するように設計されており(例えば、着陸装置のタイヤ)、特定の間隔で交換され、本明細書では消耗部品と呼ばれる。一方、他の部品は、不適合が発生した場合に修理されるように設計されており(例えば、着陸装置のストラット)、本明細書では非消耗部品または耐久部品と呼ばれる。航空機の残りから独立して検査または修理のために取り外して別の部品と交換することができ、個々の航空機の動作とは無関係に再び使用される耐久部品は、本明細書では交替可能部品と呼ばれる。
【0033】
本開示は、個々の構成要素がいつ有効寿命閾値に近づき、修理または交換され得るかに関して警告を生成するためのシステムおよび方法を提供する。このような警告は、空港、航空会社、製造業者、契約整備事業者、およびこれらの代理業者を含む多種多様な航空機オペレータによって使用され得る。本明細書で与えられる例は主に航空機を使用して提示されるが、本開示は、例えばトラック、車、バス、宇宙船、船舶、および列車などの他のタイプのビークルのオペレータにも等しく適用可能である。したがって、航空機への言及は、別のタイプのビークルにも適用されると理解され得、飛行時間、フライト、または航空機固有の部品(例えば、尾部)への言及は、移動時間、移動、または異なるタイプのビークルの部品(例えば、車掌車、船尾、リアバンパ)への言及として理解され得る。
【0034】
概して、個々の部品の動作の時間、サイクル、または日数は、部品が取り付けられている航空機に関して追跡され得る。保守点検警告は、部品が有効寿命閾値に達することを予期して生成され得る。在庫警告は、予想使用率に基づいて保守点検警告と併せて生成され得、これにより、新しい部品が、部品が完全に消耗する前または部品が不適合を発生させる前に当該の部品を交換するために注文されて特定の場所に時間に配送され(また技術者およびフライトの計画がスケジュールされ)得る。
【0035】
本開示の態様は、2つの段階で理解され得る。第1段階では、いくつかの航空機に取り付けられた様々な部品のデータを収集する。収集されたデータは、個々の部品が特定の航空機に取り付けられた時点、部品が航空機から取り外された時点(場合)、および取り外されたときに部品が故障状態と非故障状態のどちらにあったかを示す。これらのデータは、部品が取り付けられている航空機の動作データと併せて、全体として追跡される各タイプの部品の寿命信頼性曲線を決定するために使用される。第2段階では、警告閾値を作成するために寿命曲線を使用し、航空機の動作が個々の部品に影響を与える場合に警告を責任者に送信する。
【0036】
本開示の様々な態様は、航空機などのビークルの様々な部品の寿命予想を決定するように構成されたシステムおよび方法を提供する。ビークル部品の寿命に関する知識には、ビークル設計を改善する能力、ビークル動作の効率的なサポート、構成要素の取外時間を予測する能力、手元にあるスペア部品の数を決定する能力、整備チェックのサポートを含む様々な利点がある。
【0037】
本開示の特定の態様は、航空機などのビークルの構成要素の信頼性を判定するシステムおよび方法を提供する。本システムおよび本方法は、部品寿命分布を決定する。部品寿命分布が決定された後、本システムおよび本方法は、ビークルの様々な部品の信頼性および残存寿命を判定することができる。例えば、本システムおよび本方法は、部品が生き残る長さ、部品の平均寿命(average life)、部品が故障しやすくなり得る時点、ビークルに残っている既存の部品に関連するリスク、および航空機オペレータが所定の期間に必要とするスペア部品の数を求めることができる。
【0038】
部品に関する信頼性は、部品が規定の期間にその部品の意図した機能を実行する確率に関連する。本明細書で説明されているシステムおよび方法の一部は、潜在的な故障の前に部品を交換すべき時点を予測するために、ビークルの1つ以上の部品の信頼性を評価する。
【0039】
少なくとも1つの態様では、部品信頼性判定システムは、部品が使用されている間の飛行時間および飛行サイクルを収集して記憶する。飛行時間および飛行サイクルは、ビークル使用データベース内に使用データとして記憶される。部品信頼性判定システムは、各部品に関して、部品が取り付けられてからの時間(TSI:time since the part was installed)または部品が最後にオーバーホールされてからの時間(TSO:time since the part was last overhauled)または部品が最初に使用されてからの時間(TSN:time since the part was first time to use)、および部品が取り付けられてからのサイクル(サイクルは、ビークルの出発から到着までとして測定される)数(CSI:the number of cycles since the part was installed)または部品が最後にオーバーホールされてからのサイクル数(CSO:the number of cycles since the part was last overhauled)または部品が最初に使用されてからのサイクル数(CSN:the number of cycles since the part was first time to use)を記憶し得る。しかしながら、TSI/CSI、TSO/CSO、およびTSN/CSNは、部品取外データでは直接入手できない場合がある。例えば、オペレータは、航空機から部品が取り外されたときに、または時間の制約によりTSI/CSIを提供することを要求されない場合もあるし、またはオペレータがデータを収集する時間がない場合もある。したがって、本開示の様々な態様は、取り外される部品のTSI/CSI、TSO/CSO、およびTSN/CSNを求めるように構成される部品信頼性判定システムを提供する。
【0040】
少なくとも1つの態様では、部品信頼性判定システムはまた、航空機などのビークル上に現在ある部品のTSIおよびCSIを求めるように構成される。TSIおよびCSIデータを求めるために、部品信頼性判定システムは、ビークル使用データベースに記憶され得るビークル構成データおよびビークル準備ログデータを検索する。ビークル構成データおよびビークル準備ログデータならびに構成要素の取り外しを分析することによって、部品信頼性判定システムは、同じ部品番号を有する部品のいくつが取り外され、同じ部品番号を有する部品のいくつが依然としてビークル上にあるかを判定する。部品の取り外しを判定することによって、部品信頼性判定システムは、部品が取り付けられた時点および構成要素がビークル上にあった長さを判定する。
【0041】
本開示の態様は、データソースを統合し、取り外された部品および依然として航空機上にある部品の両方からTSI/CSIを推定するシステムおよび方法を提供する。本システムおよび本方法は、航空機部品寿命分布に基づいて、ビークルの部品が故障しやすい時点を予測するように構成される。部品が故障しやすい時点を予測することによって、本システムおよび本方法は、このような予測された時間の前に部品を交換することを可能にする。
【0042】
図1は、本開示の例示的な態様による、ビークル、この例では航空機10の概略正面斜視図である。航空機10は、例えば2つのターボファンエンジン14を含み得る推進システム12を含む。任意選択で、推進システム12は、図示よりも多いエンジン14を含み得る。エンジン14は、航空機10の翼16によって保持される。他の態様では、エンジン14は、胴体18および/または尾部20によって保持され得る。尾部20は、水平安定板22および垂直安定板24も支持し得る。
【0043】
航空機10の胴体18は、内部キャビンを画定し、内部キャビンは、コックピット、1つ以上の業務区画(例えば、調理室および乗員用の機内持ち込み手荷物エリアなど)、1つ以上の乗客区画(例えば、ファーストクラス、ビジネスクラス、およびエコノミー区画)、ならびに後部区画を含み得る。これらの区画のそれぞれは、1つ以上のクラス分割アセンブリを含み得るキャビン移行エリアによって区分され得る。頭上の荷物入アセンブリは、内部キャビン全体に配置され得る。
【0044】
航空機10は、多数の部品を含む多数のシステムおよびサブシステムを含む。例えば、推進システム12は、数千の構成部品を含む。別の例として、航空機10に搭載されている各トイレは、数千の構成部品を含む。航空機10全体は、一緒に航空機10を形成する数百万の独立した別個の部品を含む。部品信頼性判定システムは、各部品の寿命分布を決定し、航空機10の部品の残存寿命(例えば、部品が故障しやすくなり得るまでの時間)を予測するために使用される。少なくとも1つの態様では、部品信頼性判定システムは、航空機10の飛行時間および/または飛行サイクルとの関連で残存寿命を判定する。
【0045】
代替的には、航空機の代わりに、本開示の態様は、自動車、バス、機関車および列車の車両、船舶、ならびに宇宙船などの様々な他のビークルで使用され得る。
【0046】
図2は、本開示の例示的な態様による、部品信頼性判定システム100の概略図である。部品信頼性判定システム100は、1つ以上の有線または無線接続などを介して部品寿命分布制御ユニット104および部品寿命予測制御ユニット106と通信する部品データベース102を含む。部品寿命分布制御ユニット104および部品寿命予測制御ユニット106はまた、1つ以上の有線または無線接続などを介して互いに通信する。
【0047】
部品信頼性判定システム100は、航空機10(図1に示されている)に搭載され得るし、または陸上監視ステーションなどに、航空機10から遠隔に配置され得る。少なくとも1つの態様では、部品データベース102が陸上監視ステーションなどに、航空機10から遠隔に配置される一方で、部品寿命分布制御ユニット104または部品寿命予測制御ユニット106の一方または両方は、航空機10に搭載され得る。少なくとも1つの態様では、部品寿命分布制御ユニット104および部品寿命予測制御ユニット106は、限定するものではないがインターネットなどの様々な通信ネットワークを介して部品データベース102と通信し得る。
【0048】
図示のように、部品寿命分布制御ユニット104および部品寿命予測制御ユニット106は、独立した別個の制御ユニットであり得る。任意選択で、部品寿命分布制御ユニット104および部品寿命予測制御ユニット106は、単一の制御ユニットまたは処理システムの構成要素であってもよい。
【0049】
少なくとも1つの態様では、部品データベース102は、部品履歴記憶ユニット110および現行部品記憶ユニット112を含む。部品履歴記憶ユニット110は、多数の航空機に関して経時的にまとめられた、航空機のすべてのタイプの部品に関するデータを記憶する。例えば、部品履歴記憶ユニット110は、現在航空機上にあるすべての部品の耐用寿命に関するデータであって、航空機および様々な他の航空機(例えば、他の同型の航空機)に対する過去の使用に関して集められたデータを記憶し得る。このデータは、各部品の現状データ(すなわち、実際の使用時間)を含み得る。少なくとも1つの態様では、部品履歴記憶ユニット110は、現在航空機上にある部品に関するすべての利用可能なデータであって、現在の航空機およびこのようなデータが利用可能である他のすべての航空機に対して使用されてきたデータを記憶する。
【0050】
一例として、特定の航空機は、特定の部品を含む。部品履歴記憶ユニット110は、取り付けられている特定の部品と同じタイプの異なる部品の使用から収集された利用可能なデータを記憶する。これらのデータは、いくつかの航空機(場合によっては特定の航空機を含む)に対して以前に使用された、特定のタイプの部品の集計寿命および故障状況を含む。したがって、部品履歴記憶ユニット110は、数百、数千、またはそれ以上の航空機との関連で使用された特定のタイプの部品のデータを記憶し得る。
【0051】
現行部品記憶ユニット112は、現在航空機上にあるすべての部品の現状データを記憶する。例えば、現行部品記憶ユニット112は、各部品が取り付けられてからの時間(TSI)および各部品が取り付けられてからのサイクル(CSI)などに関するデータを記憶する。このようにして、現行部品記憶ユニット112は、各部品の実際の使用(すなわち、現状)に関する現状データを記憶する。
【0052】
少なくとも1つの態様では、部品信頼性判定システム100は、部品を有するビークルの実際の使用を示すビークル使用データを記憶するビークル使用データベース114も含む。ビークル使用データベース114は、1つ以上の有線または無線接続などを介して部品寿命予測制御ユニット106と通信する。一例として、ビークル使用データベース114は、飛行時間(すなわち、飛行動作中の実際の時間)および飛行サイクル(すなわち、サイクルの総数(サイクルは、出発および関連する到着として定義される))などに関して、航空機のビークル使用データを記憶する。
【0053】
部品寿命予測制御ユニット106は、特定のタイプの部品の部品寿命分布に基づいてビークルの部品の残存寿命を判定するように構成される。したがって、部品寿命予測制御ユニット106は、部品に関する現状データ(現行部品記憶ユニット112に記憶されているものなど)と、部品寿命分布制御ユニット104によって決定される、部品に関連する部品寿命分布とに基づいて部品の残存寿命を判定するように構成される。少なくとも1つの態様では、部品寿命予測制御ユニット106は、特定のタイプの部品の決定された部品寿命分布およびビークルの実際の使用の関数として部品の残存寿命を判定する。例えば、部品寿命予測制御ユニット106は、航空機の飛行時間および/または飛行サイクルの観点から航空機の現行部品の残存寿命を判定し得る。
【0054】
動作中、部品寿命分布制御ユニット104は、部品履歴記憶ユニット110に記憶されている各部品の部品履歴データを分析する。部品寿命分布制御ユニット104は、言及したように一団の航空機のいくつかの航空機(1つの団体によって所有もしくは運用されている、またはいくつかの団体に分散した)に関連する使用に対してまとめられ得る部品履歴データに基づいて特定の部品の寿命分布を決定する。少なくとも1つの態様では、部品寿命分布制御ユニット104は、部品履歴データの分析に基づいて特定のタイプの部品の寿命分布を決定する。少なくとも1つの態様では、部品寿命分布制御ユニット104は、1つ以上の数学的モデルおよび数式に基づいて寿命分布を決定し得る。
【0055】
一例としてだが、部品寿命分布制御ユニット104は、特定のタイプの部品の数百、数千、または数百万の実際の状態(すなわち、特定の部品の実際の使用時間)に関する履歴データに基づいて特定のタイプの部品の平均寿命を求め得る。例えば、部品寿命分布制御ユニット104は、以前の部品の数百の、数千の、または数百万もの実際の使用状態に基づき得る。したがって、部品寿命分布制御ユニット104は、特定のタイプの部品の部品寿命分布を決定する。少なくとも1つの態様では、部品寿命分布制御ユニット104は、航空機の部品の特定のタイプごとに部品寿命分布を決定する。少なくとも1つの他の態様では、部品寿命分布制御ユニット104は、航空機の部品の特定のタイプごとには部品寿命分布を決定しない。
【0056】
航空機の特定のタイプの部品の部品寿命分布を決定した後、部品寿命予測制御ユニット106は、現行部品記憶ユニット112に記憶されている、航空機の現行部品データを分析する。部品寿命予測制御ユニット106は、現行部品データに記憶されている、航空機の様々な現行部品(すなわち、現在1つ以上の部分を形成している部品)を評価する。例えば、現行部品データは、現行部品のTSIおよび/またはCSIなどを記憶する。各部品のTSIおよびCSIは、現行部品記憶ユニット112で提供され、記憶され得る。少なくとも1つの他の態様では、TSIおよびCSIは提供されない場合がある。代わりに、部品寿命予測制御ユニット106は、以前の部品の取外日ならびに/または部品の取付日および取外日の統計分析などに基づいてTSIおよびCSIを求めてもよい。部品寿命予測制御ユニット106は、現行部品の残存寿命を予測するために、航空機の各現行部品に関して部品の各タイプの部品寿命分布(部品寿命分布制御ユニット104によって決定される)を分析する。
【0057】
少なくとも1つの態様では、部品寿命予測制御ユニット106は、ビークル使用データベース114に記憶されているビークル使用データに基づいて部品の現状を判定する。例えば、部品寿命予測制御ユニット106は、部品のTSIおよび/またはCSIと、ビークル使用データベース114に記憶されているビークル使用データとを相互に関係づけ、このような現状データと、ビークル使用データベース114に記憶されているビークル使用データとを相互参照する。TSIおよび/またはCSIならびに実際のビークル使用(時間および/またはサイクルに関する)に基づいて、部品寿命予測制御ユニット106は、ビークル使用の時間および/またはサイクルの観点から部品の現状を判定する。次に、部品寿命予測制御ユニット106は、残りの時間および/またはサイクルなどの観点から部品の残存寿命を予測するために、部品の現状と、当該の特定のタイプの部品の部品寿命分布とを比較し得る。
【0058】
一例として、航空機に搭載されるトイレ用の真空発生器は、部品の一タイプである。部品寿命分布制御ユニット104は、部品履歴記憶ユニット110に記憶されている、真空発生器の履歴データを分析する。真空発生器の履歴データに基づいて、部品寿命分布制御ユニット104は、真空発生器の部品寿命分布を決定する。例えば、部品寿命分布制御ユニット104は、部品履歴記憶ユニット110に記憶されている、真空発生器の履歴データに基づいて真空発生器の平均耐用寿命(average useful life)を求め得る。次に、部品寿命予測制御ユニット106は、現行部品記憶ユニット112を分析し、真空発生器が航空機に搭載されていることを確認する。現行部品記憶ユニット112は、真空発生器の現在のデータを記憶している。現在のデータは、例えば、航空機に搭載されている真空発生器のTSIを含む。次に、部品寿命予測制御ユニット106は、真空発生器の部品寿命分布(部品寿命分布制御ユニット104によって決定された)と、航空機に搭載されている真空発生器の現状データとを相互に関係づける。真空発生器の部品寿命分布と航空機に搭載されている実際の真空発生器の現在のデータとの相関に基づいて、部品寿命予測制御ユニット106は、実際の真空発生器の残存耐用寿命を予測する。一例として、部品寿命予測制御ユニット106は、真空発生器の部品寿命分布から実際の真空発生器の使用時間(例えば、TSIから現在の日付までに経過した飛行時間)を減算する。このようにして、部品寿命予測制御ユニット106は、実際の真空発生器が故障しやすくなり得る時点を予測する。様々な態様において、部品寿命予測制御ユニット106は、TSIまたはCSIが進行中の信頼性に関して所定の閾値を超えたとき、予測信号または警告を飛行オペレータ、整備員、または自動在庫/整備スケジューラなどに出力する。
【0059】
別の例として、船に搭載されるビルジ用のポンプは、部品の一タイプである。部品寿命分布制御ユニット104は、部品履歴記憶ユニット110に記憶されている、ビルジポンプの履歴データを分析する。ビルジポンプの履歴データに基づいて、部品寿命分布制御ユニット104は、ビルジポンプの部品寿命分布を決定する。例えば、部品寿命分布制御ユニット104は、部品履歴記憶ユニット110に記憶されている、ビルジポンプの履歴データに基づいてビルジポンプの平均耐用寿命を求め得る。次に、部品寿命予測制御ユニット106は、現行部品記憶ユニット112を分析し、ビルジポンプが船に搭載されていることを確認する。現行部品記憶ユニット112は、ビルジポンプの現在のデータを記憶している。現在のデータは、例えば、船に搭載されているビルジポンプのTSIを含む。次に、部品寿命予測制御ユニット106は、ビルジポンプの部品寿命分布(部品寿命分布制御ユニット104によって決定された)と、船に搭載されているビルジポンプの現状データとを相互に関係づける。ビルジポンプの部品寿命分布と船に搭載されている実際のビルジポンプの現在のデータとの相関に基づいて、部品寿命予測制御ユニット106は、実際のビルジポンプの残存耐用寿命を予測する。一例として、部品寿命予測制御ユニット106は、ビルジポンプの部品寿命分布から実際のビルジポンプの使用時間(例えば、TSIから現在の日付までに経過した時間)を減算する。このようにして、部品寿命予測制御ユニット106は、実際のビルジポンプが故障しやすくなり得る時点を予測する。様々な態様において、部品寿命予測制御ユニット106は、TSIまたはCSIが進行中の信頼性に関して所定の閾値を超えたとき、予測信号または警告を航海オペレータ、整備員、または自動在庫/整備スケジューラなどに出力する。
【0060】
部品信頼性判定システム100は、航空機の少なくとも1つの部品に対してこのような方法で動作する。少なくとも1つの態様では、部品信頼性判定システム100は、航空機のすべての部品(またはその一部)のそれぞれに関して部品寿命分布を決定し、残存耐用寿命を予測する。
【0061】
本明細書で使用されるとき、用語「制御ユニット」、「中央処理装置」、「ユニット」、「CPU」、または「コンピュータ」などは、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、および本明細書で説明されている機能を実行することができるハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせを含む任意の他の回路またはプロセッサを使用するシステムを含む任意のプロセッサベースまたはマイクロプロセッサベースのシステムを含み得る。これは、単なる例示であり、したがって、このような用語の定義および/または意味を何かしら限定することを意図していない。例えば、部品寿命分布制御ユニット104および部品寿命予測制御ユニット106は、本明細書で説明されているように、部品信頼性判定システム100の動作を制御するように構成された1つ以上のプロセッサであり得るし、またはこれを含み得る。部品寿命分布制御ユニット104および部品寿命予測制御ユニット106は、独立した別個の制御ユニットであり得るし、または同じ制御ユニットの一部であり得る。
【0062】
部品寿命分布制御ユニット104および部品寿命予測制御ユニット106は、データを処理するために、1つ以上のデータ記憶ユニットまたは要素(1つ以上のメモリなど)に記憶されている命令セットを実行するように構成される。例えば、部品寿命分布制御ユニット104および部品寿命予測制御ユニット106は、1つ以上のメモリを含み得るし、またはこれに結合され得る。データ記憶ユニットは、所望または必要に応じてデータまたは他の情報も記憶し得る。データ記憶ユニットは、処理機械内の情報ソースまたは物理メモリ要素の形態をとり得る。
【0063】
命令セットは、処理機械として、本明細書で説明されている主題の様々な態様の方法およびプロセスなどの特定の動作を実行するように部品寿命分布制御ユニット104および部品寿命予測制御ユニット106に命令する様々なコマンドを含み得る。命令セットは、ソフトウェアプログラムの形態をとり得る。ソフトウェアは、システムソフトウェアまたはアプリケーションソフトウェアなどの様々な形態をとり得る。さらに、ソフトウェアは、別々のプログラムの集まり、より大きなプログラム内のプログラムサブセット、またはプログラムの一部の形態をとり得る。ソフトウェアは、オブジェクト指向プログラミングの形態のモジュールプログラミングも含み得る。処理機械による入力データの処理は、ユーザコマンドへの応答、または以前の処理の結果への応答、または別の処理機械によってなされた要求への応答であり得る。
【0064】
本明細書の態様の図は、部品寿命分布制御ユニット104および部品寿命予測制御ユニット106などの1つ以上の制御ユニットまたは処理ユニットを示し得る。処理ユニットまたは制御ユニットは、本明細書で説明されている動作を実行する関連する命令(例えば、コンピュータハードドライブ、ROM、またはRAMなどの有形かつ非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されたソフトウェア)を伴うハードウェアとして実施され得る複数の回路、回路、またはこれらの一部を表し得ることを理解されたい。ハードウェアは、本明細書で説明されている機能を実行するように配線された状態機械回路を含み得る。任意選択で、ハードウェアは、マイクロプロセッサ、プロセッサ、またはコントローラなどの1つ以上の論理ベースのデバイスを含むおよび/またはこれに接続される電子回路を含み得る。任意選択で、部品寿命分布制御ユニット104および部品寿命予測制御ユニット106は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、および/またはマイクロプロセッサなどの1つ以上などの処理回路を表し得る。様々な態様における回路は、本明細書で説明されている機能を実行するために1つ以上のアルゴリズムを実行するように構成され得る。1つ以上のアルゴリズムは、フローチャートまたは方法で明示的に確認されるかどうかにかかわらず、本明細書に開示されている態様を含み得る。
【0065】
本明細書で使用されるとき、用語「ソフトウェア」および「ファームウェア」は、交換可能であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、および不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含むデータ記憶ユニット(例えば、1つ以上のメモリ)に、コンピュータによって実行するために記憶されたコンピュータプログラムを含む。上記のデータ記憶ユニットのタイプは、単なる例示であり、したがって、コンピュータプログラムの記憶に使用可能なメモリのタイプに関して限定するものではない。
【0066】
図3は、本開示の例示的な態様による、部品の信頼性を判定する方法のフローチャートである。図2および図3を参照すると、ステップ200では、1つ以上のビークルで使用される特定のタイプの部品の履歴データが、部品データベース102の部品履歴記憶ユニット110などに記憶される。ステップ202では、ビークルの現行部品(すなわち、現在ビークルの一部を形成している部品)の現行部品データが、部品データベース102の現行部品記憶ユニット112などに記憶される。
【0067】
ステップ204では、部品寿命分布制御ユニット104などによって、特定のタイプの部品の部品寿命分布が決定される。ステップ206では、部品寿命予測制御ユニット106などによって、ビークルの現行部品データが分析される。ステップ208では、ビークルが特定のタイプの部品を含むかどうかが判定される。ビークルが特定のタイプの部品を含まない場合、本方法はステップ206に戻る(あるいは代替的には、本方法は終了する)。一方、ステップ208でビークルが特定のタイプの部品を含む場合、本方法はステップ210に進み、そこでは、部品寿命予測制御ユニット106によって現行部品の残存耐用寿命が判定される。例えば、部品寿命予測制御ユニット106は、現行部品の残存耐用寿命を予測するために、特定のタイプの部品の部品寿命分布データとの関連で現行部品データ(現行部品の現在の寿命を示す)を分析する。
【0068】
ステップ212では、部品寿命予測制御ユニット106は、残存耐用寿命信号として現行部品の残存耐用寿命を出力する。残存耐用寿命信号は、現行部品の残存耐用寿命を人に伝達するグラフィック信号、映像信号、テキスト信号、および/または音声信号の1つ以上を含み得る。
【0069】
少なくとも1つの態様では、残存耐用寿命信号は、所定の閾値に基づいて伝達され得る。例えば、部品寿命予測制御ユニット106は、現行部品の残存耐用寿命が、故障しやすくなるまでの所定の時間量以内および/または所定のサイクル数(その割合など)以内にあるときにのみ残存耐用寿命信号を出力し得る。このようにして、部品寿命予測制御ユニット106は、必要な交換について人(航空機オペレータおよび整備員など)に能動的に警告することができる。図3に示されている方法は、ビークルのすべての部品(またはその一部)のそれぞれに対して実行され得る。図4に関してより詳細に述べられるように、所定の閾値は、信頼性曲線300(またはCDF曲線302)上で選択される。
【0070】
再び図2を参照すると、部品の現在の寿命を判定するために、部品寿命予測制御ユニット106は、最初に部品のTSIおよび/またはCSIを求め得る。特定の部品の取付日およびこの特定の部品と交換された直前の部品の取外日が、現行部品記憶ユニット112に記憶される。しかしながら、特定の取り付けまたは取り外しに関する日付はすぐに入手できない場合がある。以下で説明されるように、部品信頼性判定システム100は、そのような情報が航空機オペレータまたは製造業者などによって最初に報告あるいは提供されていない場合でも、取付日および取外日を求めるように構成され得る。TSIデータおよびCSIデータが求められた後、部品寿命予測制御ユニット106は、部品の残存寿命を予測するために1つ以上の数学的モデル(例えば、ワイブルモデル、指数モデル、ガンマモデル、または対数正規モデル)を使用し得る。
【0071】
部品寿命予測制御ユニット106は、メモリおよび/または中央監視ステーションに記憶され得る、部品の既知の取り外し(部品履歴記憶ユニット110に報告および記憶されるものなど)、航空機構成データ(航空機の様々な部品を示すものなど)、部品交換可能性データ、ならびに航空機使用データ(例えば、飛行時間および/または飛行サイクル)を統合する。
【0072】
少なくとも1つの態様では、残存部品寿命を判定するために、部品寿命予測制御ユニット106は、部品追跡が最初に行われた時点に関するデータを検索する。このようなデータは、部品履歴記憶ユニット110および/または現行部品記憶ユニット112に記憶され得る。
【0073】
少なくとも1つの態様では、部品寿命予測制御ユニット106は、特定のタイプの部品の取り付けおよび取り外しを結び付けるチェーンを構築する。そうすることで、部品寿命予測制御ユニット106は、部品の全体的な使用を判定する。例えば、特定のタイプの部品が特定の期間に5回取り外されて取り付けられた場合、部品寿命予測制御ユニット106は、特定の期間を故障時の取り外しの回数で割ることによって部品の平均耐用寿命を求めることができる。
【0074】
状況によっては、部品寿命予測制御ユニット106は、取り外しおよび取り付けの報告日にアクセスできない場合がある。したがって、部品寿命予測制御ユニット106は、取り付けおよび取り外しを結び付けるチェーンを構築することができない場合がある。
【0075】
少なくとも1つの態様では、航空機当たりの部品の数量(QPA:the quantity of the part per aircraft)が1に等しい(すなわち、航空機における当該の部品が1つのみである)場合、部品使用は、最後の取外日から求められ得る。例えば、特定の部品が最後に取り外された日付に基づいて、部品寿命予測制御ユニット106は、以前の取外日と、部品寿命分布制御ユニット104によって決定された、部品の部品寿命分布とに基づいて現行部品(取り外された部品と交換された)の残存耐用寿命を求め得る。
【0076】
特定のタイプの部品に関する航空機当たりの部品の数量(QPA)が1より大きく(すなわち、航空機における当該の部品が1つより多く)、取り外しが観察されていない(例えば、部品データベース102に、記憶された取外日が存在しない)場合、部品寿命予測制御ユニット106は、QPA>1である部品番号の、それぞれの最後の取り外しを判定し得、同じ部品番号を有する部品ごとに最後の取り外しから調査の終わりまでの使用を求め得る。例えば、部品寿命予測制御ユニット106は、特定のタイプの部品の最後の3回の既知の取り外しを判定し得る。部品寿命予測制御ユニット106はまた、直近の取り外しの時間またはサイクルから関連する調査期間の終わりまでの部品の使用を求め得る。
【0077】
少なくとも1つの態様では、部品寿命予測制御ユニット106は、部品番号の取外数(n)およびQPA(m>1)を求める。このようなm>nの場合、部品寿命予測制御ユニット106は、m-n個の部品に関して部品の使用を求める。少なくとも1つの態様では、部品寿命予測制御ユニット106は、どの部品が飛行時間に関連し、どの部品が飛行サイクルに関連するかを判定し、飛行時間が関連する場合は、部品寿命を推定するために飛行時間を使用し、飛行サイクルが関連する場合は、部品寿命を推定するために飛行サイクルを使用する。
【0078】
現行部品記憶ユニット112に記憶される現行部品データは、例えば製造業者または航空機オペレータによって報告される、現行部品のTSIおよびCSIの一方または両方を含み得る。すなわち、部品の使用に関する既知の第1の日付および/または既知の第1のサイクルは、現行部品記憶ユニット112に入力され得る。
【0079】
部品寿命分布制御ユニット104および/または部品寿命予測制御ユニット106は、現行部品記憶ユニット112および/またはビークル使用データベース114に記憶され得るビークル工学構成データ、航空機準備ログデータ、および/またはIPC(illustrated part catalog(図解部品カタログ))などからビークル構成および部品の数量(例えば、QPA)を検出する。
【0080】
QPA=1であるような、1つのタイプの特定の部品のみが航空機に搭載されている状況(単一の真空発生器を含む航空機など)では、部品寿命予測制御ユニット106は、部品が取り外された時点を判定することができる。少なくとも1つの態様では、部品寿命予測制御ユニット106は、航空機上の同じ部品番号を有する部品の一連の取り外しを検出する。
【0081】
部品寿命予測制御ユニット106は、部品の部品番号またはシリアル番号に少なくとも部分的に基づいて部品のTSIまたはCSIを求め得る。少なくとも1つの態様では、部品寿命予測制御ユニット106は、部品番号が追跡され始めた時点を検出するように構成される。例えば、部品の最初の追跡の日付は、現行部品記憶ユニット112に記憶される現行部品データの一部であり得る。さらに、部品寿命予測制御ユニット106は、ビークル使用データベース114に記憶されるものなど、航空機の飛行時間/サイクルを分析する。したがって、次に、部品寿命予測制御ユニット106は、部品が航空機から取り外された時点の飛行時間/サイクルを検出し得る。次に、部品寿命予測制御ユニットは、取り外された部品のTSIおよび/またはCSIを計算する。次に、部品寿命予測制御ユニット106は、取り外された部品と交換された部品(すなわち、交換部品)が航空機に取り付けられた時点を確認する。次に、部品寿命予測制御ユニット106は、交換部品の飛行時間およびサイクルを監視する。
【0082】
少なくとも1つの態様では、部品寿命予測制御ユニット106は、取り外されたときに報告されていないが、異なる航空機から同じ部品番号の取り外しが報告されている、QPA=1である航空機の他のすべての部品を検出する。次に、部品寿命分布制御ユニット104および/または部品寿命予測制御ユニット106は、同じ部品番号を有する他の航空機がいくつあるかを検出し得る。
【0083】
少なくとも1つの態様では、部品信頼性判定システム100(部品寿命分布制御ユニット104および/または部品寿命予測制御ユニット106の一方または両方によるものなど)は、部品番号の取り外しが最初に報告され始めた時点を検出する。次に、各航空機の飛行時間/サイクルが、部品の取り外しが最初に報告され始めた時点に関して求められる。
【0084】
航空機に搭載されている部品のQPAが1を超える場合、部品寿命予測制御ユニット106は、取り外された部品および取り付けられた部品のチェーンを、それらのシリアル番号などと併せて構築する。部品寿命予測制御ユニット106は、チェーン内の部品を確認し得る。次に、部品が航空機に取り付けられた時点および部品が航空機から取り外された時点が求められる。このような情報は、部品履歴記憶ユニット110に記憶され得る。次に、部品が取り付けられた時点の飛行時間/サイクルおよび部品が取り外された時点の飛行時間/サイクルが、部品履歴記憶ユニット110に記憶される。次に、部品寿命予測制御ユニット106は、部品のTSIおよび/またはCSIの一方または両方を計算する。部品寿命予測制御ユニット106は、取り外される部品の取付日および取外日を確認し、これらの両方が、部品履歴記憶ユニット110および/または現行部品記憶ユニット112に記憶され得る。同様に、部品寿命予測制御ユニット106は、次に、部品が取り付けられた時点の航空機の飛行時間および/またはサイクルならびに部品が取り外された時点の航空機の飛行時間および/またはサイクルを確認し得る。
【0085】
少なくとも1つの態様では、部品信頼性判定システム100は、シリアル番号がブランクである取り外された部品および/または取り付けられた部品の情報がない取り外された部品を確認するように構成される。部品寿命分布制御ユニット104および/または部品寿命予測制御ユニット106は、最初に、同じ部品番号を有するすべての取り外された部品を確認する。次に、同じ部品番号を有する部品の最初の取り外しが確認される。次に、部品番号に関して取り外しが最初に報告された日付が確認される。次に、航空機の引渡日(すなわち、最初に航空機オペレータに引き渡された日)および/または取り外しが最初に報告された日の遅い方が確認される。次に、遅い方の日付の航空機の飛行時間/サイクルが確認される。例えば、航空機は日付1に引き渡され、一方、特定の部品の取り外しは日付1より後の日付2に報告され得る。したがって、取り外しが最初に報告された日付(すなわち、日付2)は、航空機が引き渡された日付(すなわち、日付1)よりも後である。次に、航空機の飛行時間/サイクルが、日付2から確認される。遅い方の日付の航空機の飛行時間/サイクルが確認された後、部品取外データが確認される。
【0086】
部品信頼性判定システム100はまた、同じ部品番号に関して最後の取り外しを確認し得る。取外日は、航空機の飛行時間および/またはサイクルと相互に関係づけられる。次に、依然として航空機上にある部品のTSIおよび/またはCSIが計算される。
【0087】
システム100はまた、同じ部品番号に関してすべての取り外しを確認し、部品の取外数(m)をカウントし得る。システム100は、部品のQPA(n)を確認する。次に、システム100は、m>nである部品を検出する。次に、システム100は、航空機の引渡日および取り外しが報告され始めた日の遅い方を判定する。次に、システム100は、部品(m>nである)のTSIおよび/またはCSIを計算する。
【0088】
少なくとも1つの態様では、部品寿命予測制御ユニット106は、各部品番号に関してTSIの平均および標準偏差(mean and standard deviation)ならびにCSIの平均および標準偏差を計算する。部品寿命予測制御ユニット106は、TSIおよびCSIの正規化された標準偏差を別々に比較し、部品が飛行時間または飛行サイクルに関連するかどうかを判定する。
【0089】
示されているように、部品寿命予測制御ユニット106は、部品の残存寿命を判定するために1つ以上の数学的モデルを使用し得る。例えば、部品寿命予測制御ユニット106は、以下に示されているように、ワイブルモデルを使用して部品の残存寿命を判定し得る。
【数1】
ただし、pdfは、確率分布関数であり、αは、部品のTSIまたはCSIの一方または両方によって定義され得るスケールパラメータであり、βは、部品のTSIまたはCSIの一方または両方によって定義され得る形状パラメータである。β=1の場合、ワイブルモデルは、指数モデルになる。本明細書で提示されているモデルおよび式は、TSIの例について時間tに関して与えられているが、時間tをサイクルcに置き換えれば、CSIの例が、同じ式を使用し得ることが理解されよう。
【0090】
時間依存故障率hは、以下によって与えられる。
【数2】
【0091】
累積分布関数(CDF:cumulative distribution function)F(t)は、以下によって与えられる。
【数3】
【0092】
信頼性関数R(t)は、以下によって与えられる。
【数4】
【0093】
αは、スケールパラメータである。βは、形状パラメータである。β=1の場合、ワイブルモデルは、指数モデルである。
【0094】
図4は、本開示の例示的な態様による、信頼性曲線300およびCDF曲線302の概略グラフ図である。部品寿命予測制御ユニット106は、ワイブルモデルなどの数学的モデルを用いて曲線300および302を求める。図示のように、曲線は、飛行時間304および信頼性確率306に関してプロットされているが、他の態様では、曲線は、サイクルおよび信頼性確率306に関してプロットされ得る。図4に示されているように、部品寿命予測制御ユニット106は、CDF曲線302に基づいて、特定の部品が点Aの6150飛行時間で寿命の90%を全うしたと判定する。同様に、部品寿命予測制御ユニット106は、特定の部品が点Bで10%の信頼性確率を有すると判定する。曲線300および302の一方または両方に基づいて、オペレータは、部品が信頼性を維持し続ける所定の確率に応じて、特定の時点で部品を交換することを決定し得る。
【0095】
別の例として、部品寿命予測制御ユニット106は、以下に示されているように、指数モデルを使用して部品の残存寿命を判定し得る。
【数5】
ただし、故障率h=λは、一定の故障率である。
【数6】
【0096】
さらに、生存関数/信頼性関数R(t)は、R(t)=e-λtとして与えられる。
【0097】
別の例として、部品寿命予測制御ユニット106は、以下に示されているように、ガンマモデルを使用して部品の残存寿命を判定し得る。
【数7】
【数8】
【数9】
信頼性R(t)は、R(t)=1-F(t)として与えられる。
【0098】
別の例として、部品寿命予測制御ユニット106は、以下に示されているように、対数正規モデルを使用して部品の残存寿命を判定し得る。
【数10】
、ただし、T50=eμ
【数11】
【数12】
信頼性:R(t)=1-F(t)
【0099】
部品寿命予測制御ユニット106は、上に示されている数学的モデルの1つ以上を用いて部品の残存寿命を判定し得る。任意選択で、部品寿命予測制御ユニット106は、故障状態の部品の割合に基づいて確率分布関数を使用データに適合させる様々な他の数学的モデルおよび数式などを用いて部品の残存寿命を判定し得る。例えば、部品寿命予測制御ユニット106は、数百万ではないにせよ数千の同じ部品に関してまとめられたデータを用いて求められる、特定のタイプの部品の代表値(average)、平均値(mean)、または統計パラメータなどを用いて残存寿命を判定し得る。
【0100】
本明細書で説明されているように、本開示の態様は、データソースを統合し、取り外された部品および依然として航空機上にある部品の両方からTSIおよび/またはCSI、TSOおよび/またはCSO、TSNおよび/またはCSNを推定し得る部品信頼性判定システムおよび方法を提供する。航空機の特定の部品は、飛行時間または飛行サイクルの一方のみに関連付けられ得る。例えば、着陸装置の部品は典型的には、時間の代わりにサイクルに関連付けられる。したがって、サイクルに関連付けられた部品の部品寿命分布および予測は、飛行時間ではなくサイクルとの関連で決定される。逆に、飛行時間に関連付けられた部品の部品寿命分布および予測は、飛行サイクルではなく時間との関連で決定される。一部の部品は、飛行時間および飛行サイクルの両方に関連付けられ得、2つの部品寿命分布、すなわち、飛行時間に基づくものおよび飛行サイクルに基づくものに関連付けられる。2つの寿命分布曲線を使用する部品の警告は、各曲線、2つの曲線上のより前の点、2つの曲線上のより後の点、または2つの曲線による平均点(average point)に対して生成される。例えば、ホース構成要素の有効寿命は、「20,000飛行時間または5,000サイクルのいずれか早い方」であり得る。
【0101】
航空機の様々な部品の信頼性曲線300およびCDF曲線302を求めるために使用されるデータは、いくつかの航空機にわたって収集される。例えば、所与のタイプの部品を含むすべての航空機は、曲線を生成するモデルを作成するために集められた当該の部品の使用データ(例えば、飛行時間、フライト数)および故障/交換データを提供し得る。より多くのデータが収集されるほど、モデルおよび結果として得られる曲線は、所与の部品の予想寿命を判定するときにより正確になり得る。
【0102】
しかしながら、一部の部品では、他の部品よりも利用可能なデータが少ない場合がある。例えば、新しく設計された部品(例えば、既存の部品の更新またはアップグレード)には、最初の取り外しが行われるまでの数か月または数年間にわたって、取り外しまたは故障に関して利用可能なデータがない場合がある。取り外し(例えば、予防整備または故障への対応による)が行われるほど、当該の部品の実際の故障率に関してより多くのデータが集められ、当該の部品に関するモデルは、取り外しおよび故障状態を確率分布関数に適合させるときにより正確になる。しかしながら、一部の態様では、オペレータは、履歴データがまだ利用可能でない部品の取り外しをスケジュールするために警告を要求し得る。他の態様では、オペレータは、故障が発生するまで所与の実例にかかる部品を取り付けたままにする(これにより、故障状態が発生した時点を示す、部品の故障状況データを生成する)ために、予想される未知の寿命曲線(または部品のライフサイクルにおいて早すぎると考えられる取外設定値)を用いて部品の寿命試験を行うことを要求し得る。
【0103】
取外目標閾値310、取外有効閾値、および予測交換閾値330が、CDF曲線302および信頼性曲線300上に示されている。
【0104】
取外閾値は、履歴的に所与のパーセントのあるタイプの部品が一団の航空機から取り外された、取り付け以後の飛行時間数またはサイクル数を示し、ルックアップ関数L(x)を用いて決定され得、ただし、xは、割合であり、L(x)は、計画的なまたは計画外の整備イベントのいずれかにより履歴的にx%の部品が航空機から取り外された時間数またはサイクル数を返す。
【0105】
取外目標閾値310は、計画的なまたは計画外の整備イベントのいずれかにより履歴的にG%のあるタイプの部品が航空機から取り外された、あるタイプの航空機部品の動作中の点(例えば、サイクル数または累積飛行時間数)を決定する。取外目標閾値310を決定するために使用される値Gは、定数(例えば、95%、80%)であるが、結果的な取外目標閾値310は、部品の取り外しに基づいて追加データが収集されるため、取り付け以後の飛行時間数(TSI)または取り付け以後のサイクル数(CSI)の点で変化し得る。例えば、1年目には、95%の所与のタイプの部品は、2,000時間の使用後に航空機から取り外され得るが、3年目には、オペレータが部品の耐久性により精通するため、95%の同じ部品は、3,000時間の使用後に航空機から取り外され得る。個々のオペレータは、個々の部品に対して、Gに使用する異なる値を選択し得る。例えば、第1のオペレータは、真空発生器にはG=95を選択し、照明器具にはG=90を選択し得、一方、第2のオペレータは、真空発生器および照明器具にG=85を選択し得る。
【0106】
生存閾値320は、履歴的にJ%の所与のタイプの部品が過去に生き残った、部品の動作中の点を決定する。部品は、試運転中の問題、不適切な取り付け、整備員からの過剰な注意、整備員の訓練不足などにより、寿命の早い時期に取り外される場合がある。例えば、1年目には、20%の所与のタイプの部品は、200時間以上の使用後に航空機から取り外され得るが、3年目には、オペレータが部品の耐久性により精通するため、95%の同じ部品は、300時間の使用後に航空機から取り外され得る。個々のオペレータは、個々の部品に対して、Jに使用する異なる値を選択し得る。例えば、第1のオペレータは、真空発生器にはJ=20を選択し、照明器具にはJ=10を選択し得、一方、第2のオペレータは、真空発生器および照明器具にJ=25を選択し得る。
【0107】
オペレータは、G%またはJ%による飛行時間数またはサイクル数の関連する値の使用を、どちらの値がより大きな時間数またはサイクル数に対応するかに基づいて選択する。例えば、ルックアップ関数L(G)およびL(J)の結果を比較して、オペレータは大きい値を選択する。データが経時的に収集されるため、ルックアップ関数は異なる値を返し、これに応じて、保守点検警告を生成する時点を決定するための有効閾値としてL(G)またはL(J)のどちらが使用されるかが変化し得る。
【0108】
一部の態様では、ルックアップ関数L(x)が実行されるデータセットのサイズが、既定のサンプル数より少ない場合、L(x)の値は、所定のサンプル数が収集されるまで、時間またはサイクルのプリセット値で置き換えられ得、より多くのサンプルが収集されると、ルックアップ関数L(G||J)に移行する。一例では、五十(50)回の取り外しが観察されるまで、取外有効閾値は、(例えば、製造業者の保証、以前のバージョンの部品の閾値、試験体制などに基づいて)20,000サイクルに設定され得、五十回の取り外しが観察された後、取外有効閾値は、取外目標閾値310または生存閾値320に従って示される時間数/サイクル数を使用し得る。
【数13】
【0109】
一部の態様では、部品寿命予測制御ユニット106は、部品に関して、生存閾値320と信頼性曲線300との交点340と、上方信頼性閾値350および下方信頼性閾値360とを比較し、交点340における時間数またはサイクル数が信頼性閾値の外にあるとき品質警告を生成する。品質警告は、部品を再設計する、または部品が取り外されるときの手順を再設定するために航空機オペレータ、整備員、エンジニアリングチーム、または供給業者などに送信され得る。例えば、交点340が、信頼性曲線300の一部と相互に関係づけられ、そこで、部品の信頼性確率が上方信頼性閾値350を上回ること(例えば、50%の上方信頼性閾値350に対して80%の信頼性)が示される場合、部品寿命予測制御ユニット106は、整備員があまりにも頻繁にまたはあまりに早期に部品を取り外していることを示すために不足使用警告を生成し得る。別の例では、交点340が、信頼性曲線300の一部と相互に関係づけられ、そこで、部品の信頼性確率が下方信頼性閾値360を下回ること(例えば、30%の下方信頼性閾値360に対して20%の信頼性)が示される場合、部品寿命予測制御ユニット106は、整備員が計画外の整備を回避するのに十分に早期にまたは十分に頻繁に部品を取り外していないことを示すために過剰使用警告を生成し得る。
【0110】
部品寿命予測制御ユニット106は、取外有効閾値(すなわち、選択された取外目標閾値310または生存閾値320)を超える飛行サイクル数または飛行時間数(例えば、CSI/TSI)に応じて保守点検警告を生成する。しかしながら、航空機から取り外された部品を交換するには、交換部品が必要である。したがって、部品寿命予測制御ユニット106は、予測交換閾値330(オペレータが(例えば、保守点検警告に応じて)所与の部品を取り外すときに取り付けできる状態にしておくために部品の注文を出す時点を決定するために、図5との関連で述べられる再注文閾値430と相互に関係づけられる)を決定する。部品を製造する供給業者、既存の部品を新しい場所に配送する倉庫などに在庫注文が出され得る。予測交換閾値330は、取り外される部品が在庫に保管されていない場合にオペレータが追加部品の注文を出す必要がある、取外閾値より前の予想サイクル量または予想飛行時間量を表す。
【0111】
予測交換閾値330を決定するために、部品寿命予測制御ユニット106は、部品データベース102から部品のリードタイムTLead(すなわち、部品の注文を出してから指定の宛先で部品を受け取るまでの予想時間)を調べ、部品が取り付けられる航空機のビークル使用データベース114からのデータに基づいてリードタイムを動作時間に変換する。例えば、ビークル使用データベース114は、期間当たりのzTSI飛行時間(例えば、一日/一週/一月など当たりのz飛行時間)、または部品のフライト当たりの履歴サイクルの係数q(例えば、フライト当たりの当該の部品のq回のサイクル(1回のフライトが1サイクルに対応する場合はq=1である))に基づいてサイクル数に変換される、期間当たりのzCSI回のフライト(例えば、一日/一週/一月など当たりのz回のフライト)の、所与の航空機の予想使用率を含み得る。
【0112】
部品寿命予測制御ユニット106は、取外有効閾値によって指定される時間/サイクルを確認し、以下に示されているように、予想使用率およびリードタイムに基づいて予測交換閾値330を配置する位置を計算する。
【数14】
ILlead<=安全在庫ならば、再注文閾値=現在の在庫レベル
そうでなければ、再注文警告なし
【0113】
ただし、NおよびMは、飛行時間または飛行サイクルのいずれかに関連付けられた、オペレータにとって利用可能な部品の数である。
【数15】
または
【数16】
【0114】
例えば、20,000飛行時間に対応する取外閾値、90日のリードタイムTLead、および一週当たり100時間の予想使用率zTSIを有する、TSIに基づいて交換される部品の場合、部品寿命予測制御ユニット106は、予測交換閾値330を19,825飛行時間(25時間の最も近い倍数に切り捨てられる場合)に設定する。別の例では、2,000サイクルに対応する取外閾値、100日のリードタイムTLead、および一週当たり20回のフライトの予想使用率zCSI、およびフライト当たり2回のサイクルを有する、CSIに基づいて交換される、上記の例と同じ航空機上の別の部品の場合、部品寿命予測制御ユニット106は、予測交換閾値330を1,420サイクル(10サイクルの最も近い倍数に切り捨てられる場合)に設定する。
【0115】
図5は、個々の部品の数(オペレータによって保管される、またはオペレータによって特定の場所で保管される)を経時的に追跡した在庫曲線400を示す。一部の態様では、在庫レベル410は、部品が在庫から取り出されて航空機または他のアセンブリに配置されるにつれて経時的に減少し、在庫が配送または再び棚に戻された(例えば、さらなる使用のために取り除かれた交替可能部品の場合)ときに増加し得る(例えば、再注文数量440だけ)。本明細書で説明されているようにリードタイムTLeadを決定することによって、オペレータは、安全在庫レベル420に達するまでの予想時間量に供給または上流保管施設に注文を出し得る。TLeadに関して複数の値が存在する場合、例えば、部品の異なる使用ケースに関していくつかの曲線が作成される場合、オペレータは、TLeadの代表値(average value)またはTLeadの最小値を使用し得る。様々な態様において、安全在庫レベル420は、ゼロまたはゼロより大きい任意の数量であり得る。
【0116】
在庫レベル410には、ユーザ(例えば、航空機の)から受信される動作データに基づいて安全在庫レベル420に達すると予想される時間より前の時間TLeadに再注文閾値430が定義される。例えば、消費率が、一日当たり1つの部品である場合、安全在庫レベル420は、50個の部品であり、TLeadは、5日であり、再注文閾値430は、55個の部品である。在庫レベル410が、再注文閾値430に達すると、部品寿命予測制御ユニット106は、在庫警告を生成して部品データベース102に送信する。次に、部品データベース102は、現在在庫に保管されている部品(または同等の代用部品)の数、部品の最小注文量、当該の部品の最小および最大在庫保持レベルに基づいて当該の部品の注文を供給業者に出すかどうか、当該の部品の代替バージョンが利用可能かどうか(例えば、部品Aのバージョン1.0または部品Aのバージョン2.0を交換可能に使用する指示)、代用部品が利用可能かどうかなどを判定する。
【0117】
図6は、航空機の動作に基づいて航空機部品の保守点検警告および在庫警告を生成するための方法600のフローチャートである。
【0118】
方法600はブロック610から開始され、そこでは、部品信頼性判定システム100は、航空機部品の信頼性曲線300を生成する(例えば、図3との関連で述べた方法200に従って)。信頼性曲線300を生成するとき、部品信頼性判定システムは、関連する航空機の一部または全部の実例にかかる航空機部品から使用データを収集する。部品信頼性判定システムはまた、いくつかの実例にかかる航空機部品から使用データを収集するが、これらの実例にかかる航空機部品は、依然として航空機に取り付けられているものである。使用データは、所与の実例にかかる部品が取り外し時に故障状態にあったかどうかを示し、関連する航空機10からの取り外し時の、所与の実例にかかる航空機部品によって累積されたサイクル数または所与の実例にかかる航空機部品によって累積された飛行時間数の1つ以上を示す。取り外された部品の使用データに基づいて、部品信頼性判定システム100は、信頼性曲線300のいくつかの点(例えば、所与のサイクル数または所与の飛行時間数)で航空機部品の何割合が故障状態にあるかを判定し、航空機部品の寿命における複数個のサイクル数または飛行時間数で何割合の航空機部品が故障状態にあるかを示す使用データに確率分布関数を適合させる。様々な態様において、故障していない状態で取り外された航空機部品は、さらなるサイクルおよび/または飛行時間を累積させるために元の航空機または別の航空機に再び取り付けられ得る。
【0119】
ブロック620では、部品信頼性判定システム100は、信頼性曲線300上に航空機部品の取外有効閾値を設定する。一例では、部品信頼性判定システム100は、ブロック610のたびに信頼性曲線300を生成するために使用される、部品の履歴取外数に基づいて、取外有効閾値を設定する。履歴取外数が所定の量を下回っている場合、部品信頼性判定システム100は、サイクル数または飛行時間数のプリセット値に基づいて(例えば、製造業者の推奨に基づいて)取外有効閾値を設定する。履歴の取り外しの飛行時間数またはサイクル数が所定の量を超えている場合、部品信頼性判定システム100は、取外有効閾値を、取外目標閾値310または生存閾値320のいずれか(より多くの飛行時間数またはサイクル数に関連する方)に設定する。様々な態様において、航空機部品の取り外しのより多くのサンプルがオペレータから受け取られるにつれて、信頼性曲線300上の、航空機部品の取外有効閾値の値は、新しいおよび/または拡張された取外データに基づいて再設定され得る。
【0120】
ブロック630では、(任意選択で)部品信頼性判定システム100は、取外閾値に基づいて航空機部品の再注文閾値430を設定する。再注文閾値430は、リードタイム(例えば、TLead)ならびに航空機および航空機の部品の予想使用率を考慮して航空機部品のライフサイクルのより早い時点になるように決定される。部品タイプがCSIに基づいて追跡される態様では、部品信頼性判定システム100は、取外閾値、航空機部品のリードタイム、航空機10の使用率、および航空機部品のフライト当たりサイクルの係数に基づいて再注文閾値430を設定する。部品タイプがTSIに基づいて追跡される態様では、部品信頼性判定システム100は、取外閾値、航空機部品のリードタイム、および航空機の使用率に基づいて再注文閾値430を設定する。様々な態様において、再注文閾値430は、注文された航空機部品が到着したときに在庫レベル410が安全在庫レベル420に等しくなるように、ジャストインタイム(JIT:Just In Time)注文レベルに基づいて設定される。
【0121】
ブロック640では、部品信頼性判定システム100は、航空機への航空機部品の取り付けが行われた時点に関して取付データを追跡する。様々な態様において、所与の航空機への所与の部品の取り付けは、所与の航空機に関連する個々の部品のシリアル番号または他の識別子に従って追跡され、これにより、ブロック650では、部品信頼性判定システム100は、航空機部品が取り付けられている航空機の動作に基づいて航空機部品の動作を追跡し得る。例えば、所与の部品の取り付け時から2,000時間飛行しているものとして航空機が追跡された場合、部品信頼性判定システム100は、累積2,000飛行時間を有するものとして取り付けられている部品を関連付ける。交替可能部品(すなわち、同じまたは異なる航空機に取り付けられ、取り外され、次に再び取り付けられ得る部品)を使用する態様では、部品信頼性判定システムは、現在の取り付けで部品によって累積された時間またはサイクルを以前の取り付けで累積された時間またはサイクルに追加し得る。
【0122】
ブロック660では、部品信頼性判定システム100は、取付データおよび航空機の動作が、そこに取り付けられている部品がブロック620で設定された取外閾値を満たしているかどうかを判定する。航空機部品の動作が取外閾値を満たしているとの判定に応じて、方法600はブロック670に進む。そうでない場合、方法600はブロック680に進む。
【0123】
ブロック670では、部品信頼性判定システム100は、保守点検警告を生成する。部品信頼性判定システム100は、航空機の整備をスケジュールするために保守点検警告を航空機オペレータおよび整備員などに送信し得る。保守点検警告は、テキスト、部品識別子、航空機識別子、保守点検警告が生成された日付、および保守点検警告が生成された航空機部品を交換するための航空機の点検に関連する他の情報を含む電子メッセージとして有線または無線の手段によって送信され得る。様々な態様において、保守点検警告は、航空機の飛行動作に応じて、航空機部品が現在取り付けられているその航空機によって生成される(例えば、着陸時に、取外閾値が満たされた場合に保守点検警告が生成される)。他の態様では、オペレータシステム(例えば、フライトスケジューリングシステム)が、所与の航空機が取外閾値を満たすようにスケジュールされているか、または取外閾値を満たす動作を報告したときに保守点検警告を生成する。
【0124】
ブロック680では、部品信頼性判定システム100は、取付データおよび航空機の動作が、そこに取り付けられている部品が再注文閾値430を満たしているかどうかを判定する。航空機部品の動作が再注文閾値430を満たしているとの判定に応じて、方法600はブロック690に進む。そうでない場合、方法600は、部品の取り付けならびに航空機の動作およびそこに取り付けられた部品の動作の追跡を継続するためにブロック640に戻る。
【0125】
ブロック690では、部品信頼性判定システム100は、在庫警告を生成する。部品信頼性判定システム100は、部品データベース102、供給業者注文システム、または整備チームなどに在庫警告を送信し得る。在庫警告は、テキスト、部品識別子、航空機識別子、在庫警告が生成された日付、(現在予定されている航空機使用率に基づいて)関連する保守点検警告が生成されると予想された日付、および在庫警告が生成された航空機部品を交換するための航空機の点検のための部品の注文に関連する他の情報を含む電子メッセージとして有線または無線の手段によって送信され得る。様々な態様において、在庫警告は、航空機の飛行動作に応じて、航空機部品が現在取り付けられているその航空機によって生成される(例えば、着陸時に、在庫閾値が満たされた場合に在庫警告が生成される)。他の態様では、オペレータシステム(例えば、フライトスケジューリングシステム)が、所与の航空機が在庫閾値を満たすようにスケジュールされているか、または在庫閾値を満たす動作を報告したときに在庫警告を生成する。次に、方法600は、部品の取り付けならびに航空機の動作およびそこに取り付けられた部品の動作の追跡を継続するためにブロック640に戻る。
【0126】
本開示では、様々な態様が参照されている。しかしながら、本開示が特定の説明された態様に限定されないことを理解されたい。代わりに、本明細書で提供される教示を実施および実践するために、異なる態様に関連するかどうかに関係なく、以下の特徴および要素の組み合わせが考えられる。加えて、態様の要素が「AおよびBの少なくとも一方」の形で記載されている場合、要素Aのみを含む態様、要素Bのみを含む態様、ならびに要素AおよびBを含む態様がそれぞれ考えられることが理解されよう。さらに、一部の態様は、他の可能な解決策および/または先行技術に勝る利点を達成し得るが、特定の利点が所与の態様によって達成されているかどうかは、本開示を限定するものではない。したがって、本明細書に開示されている態様、特徴、態様、および利点は、単なる例示であり、請求項に明示的に記載されている場合を除いて、添付の特許請求の範囲の要素または制限とは見なされない。同様に、「本発明」への言及は、本明細書に開示されている発明の主題の一般化として解釈されるべきではなく、請求項に明示的に記載されている場合を除いて、添付の特許請求の範囲の要素または制限と見なされるべきではない。
【0127】
当業者によって理解されるように、本明細書で説明されている態様は、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として具現化され得る。したがって、態様は、完全にハードウェアの態様、完全にソフトウェアの態様(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた態様の形態をとり得、これらはすべて、本明細書では概して「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ばれ得る。さらに、本明細書で説明されている態様は、1つ以上のコンピュータ読み取り可能な媒体であって、その上に具現化されたコンピュータ読み取り可能なプログラムコードを有する1つ以上のコンピュータ読み取り可能な媒体で具現化されたコンピュータプログラム製品の形態をとり得る。
【0128】
コンピュータ読み取り可能な媒体上に具現化されたプログラムコードは、無線、有線、光ファイバケーブル、RFなどを含むが、これらに限定されない任意の適切な媒体またはこれらの任意の適切な組み合わせを使用して送信され得る。
【0129】
本開示の態様の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、またはC++などのオブジェクト指向プログラミング言語および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれ得る。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で部分的にリモートコンピュータ上で、または完全にリモートコンピュータもしくはサーバ上で実行され得る。後半のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続され得るし、または、この接続は、外部コンピュータに対して(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)行われ得る。
【0130】
本開示の態様は、本明細書では、本開示の態様による方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して説明されている。フローチャート図および/またはブロック図の各ブロックならびにフローチャート図および/またはブロック図のブロックの組み合わせが、コンピュータプログラム命令によって実施され得ることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、機械を生成するために汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供され得、これにより、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによって実行される命令は、フローチャート図および/またはブロック図のブロックで指定された機能/動作を実施するための手段を形成する。
【0131】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他のデバイスを特定の方法で機能させ得るコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶され得、これにより、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶された命令は、フローチャート図および/またはブロック図のブロックで指定された機能/動作を実施する命令を含む製品を形成する。
【0132】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ実施プロセスを生成する目的で一連の動作ステップをコンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で実行するためにコンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他のデバイスにロードされ得、これにより、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他のデバイス上で実行される命令は、フローチャート図および/またはブロック図のブロックで指定された機能/動作を実施するためのプロセスを提供する。
【0133】
図中のフローチャート図およびブロック図は、本開示の様々な態様によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実施態様のアーキテクチャ、機能、および動作を示す。これに関して、フローチャート図またはブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実施するための1つ以上の実行可能な命令を含む、コードのモジュール、セグメント、または部分を表し得る。一部の代替実施態様では、ブロックに記載されている機能は、図に記載されている順序から外れて実行され得ることにも留意されたい。例えば、関連する機能によっては、連続して示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行され得るし、または、これらのブロックは、場合により逆の順序でまたは順序から外れて実行され得る。ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロックならびにブロック図および/またはフローチャート図のブロックの組み合わせは、指定された機能もしくは動作を実行する専用ハードウェアベースシステム、または専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実施され得ることにも留意されたい。
【0134】
条項1.複数の実例にかかるビークル部品に関する使用データを収集するステップであって、複数の実例にかかるビークル部品のうち実例それぞれにかかるビークル部品に関して、
実例それぞれの使用データが、実例それぞれに関連するビークルからの取り外し時に収集され、
使用データが、関連するビークルからの取り外し時の、実例それぞれにかかるビークル部品によって累積されたサイクル数を示し、
使用データが、関連するビークルからの取り外し時に実例それぞれにかかるビークル部品が故障状態にあるかどうかを示す、ステップ、
複数個のサイクル数で故障状態にある実例にかかるビークル部品の割合を求めるステップ、および
複数個のサイクル数のそれぞれで故障状態にある、実例にかかるビークル部品の割合に基づいて、信頼性曲線を決定する確率分布関数を使用データに適合させるステップ
によってビークル部品の信頼性曲線を生成するステップと、
信頼性曲線上に取外閾値を設定するステップと、
所与のビークルへの所与の実例にかかるビークル部品の取り付けを追跡するステップと、
所与の実例にかかるビークル部品が取り付けられている所与のビークルの動作に基づいて、所与の実例にかかるビークル部品のサイクル数を追跡するステップと、
所与の実例にかかるビークル部品のサイクル数が取外閾値を満たしたことに応じて、所与のビークルのオペレータに保守点検警告を送信するステップと
を含む方法。
【0135】
条項2.信頼性曲線上に取外閾値を設定するステップが、
信頼性曲線を生成するために使用されたビークル部品の履歴取外数を求めるステップと、
履歴取外数が所定の設定値を下回ったことに応じて、取外閾値をビークル部品の固定サイクル数として設定するステップと
をさらに含む、条項1に記載の方法。
【0136】
条項3.信頼性曲線上に取外閾値を設定するステップが、
信頼性曲線上の第1の点と第2の点のどちらかに取外閾値を設定するステップであって、
第1の点が、履歴的に少なくとも第1の割合のオペレータがビークルからビークル部品を取り外したときの、ビークル部品の第1のサイクル数を示し、
第2の点が、以前にビークル部品の取外閾値に設定された、ビークル部品の第2のサイクル数を示す、ステップと、
第1の点および第2の点のうちの大きい方を取外閾値として設定するステップと
をさらに含む、条項1または2に記載の方法。
【0137】
条項4.安全在庫レベル、
取外閾値、
ビークル部品のリードタイム、および
所与のビークルの使用率
に基づいて再注文閾値を設定するステップと、
所与の実例にかかるビークル部品のサイクル数が再注文閾値を満たしたことに応じて、在庫警告を所与のビークルのオペレータに送信するステップと
をさらに含む、条項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【0138】
条項5.信頼性曲線と取外閾値との交点を求めるステップと、
交点とビークル部品の上方信頼性閾値とを比較するステップと、
交点におけるサイクル数が、上方信頼性閾値よりも大きいことに応じて、品質警告を所与のビークルのオペレータに送信するステップと
をさらに含む、条項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【0139】
条項6.信頼性曲線と取外閾値との交点を求めるステップと、
交点とビークル部品の上方信頼性閾値とを比較するステップと、
交点におけるサイクル数が、上方信頼性閾値よりも大きいことに応じて、品質警告を所与のビークルのオペレータに送信するステップと
をさらに含む、条項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0140】
条項7.ビークル部品の追加の取外サンプルの受信に応じて、取外閾値を信頼性曲線上の異なる値に再設定するステップをさらに含む、条項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【0141】
条項8.所与のビークルが、航空機である、条項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0142】
条項9.複数の実例にかかるビークル部品に関する使用データを収集するステップであって、複数の実例にかかるビークル部品のうち実例それぞれにかかるビークル部品に関して、
実例それぞれの使用データが、実例それぞれに関連するビークルからの取り外し時に収集され、
使用データが、関連するビークルからの取り外し時の、実例それぞれにかかるビークル部品によって累積された移動時間数を示し、
使用データが、関連するビークルからの取り外し時に実例それぞれにかかるビークル部品が故障状態にあるかどうかを示す、ステップ、
複数個の移動時間数で故障状態にある実例にかかるビークル部品の割合を求めるステップ、および
複数個の移動時間数のそれぞれで故障状態にある、実例にかかるビークル部品の割合に基づいて、信頼性曲線を決定する確率分布関数を使用データに適合させるステップ
によってビークル部品の信頼性曲線を生成するステップと、
信頼性曲線上に取外閾値を設定するステップと、
所与のビークルへの所与の実例にかかるビークル部品の取り付けを追跡するステップと、
所与の実例にかかるビークル部品が取り付けられている所与のビークルの動作に基づいて、所与の実例にかかるビークル部品の移動時間数を追跡するステップと、
所与の実例にかかるビークル部品の移動時間数が取外閾値を満たしたことに応じて、所与のビークルのオペレータに保守点検警告を送信するステップと
を含む方法。
【0143】
条項10.取外閾値を設定するステップが、
信頼性曲線を生成するために使用されたビークル部品の履歴取外数を求めるステップと、
履歴取外数が所定の設定値を下回ったことに応じて、取外閾値をビークル部品の固定移動時間値として設定するステップと
をさらに含む、条項9に記載の方法。
【0144】
条項11.取外閾値を設定するステップが、
信頼性曲線上の第1の点と第2の点のどちらかに取外閾値を設定するステップであって、
第1の点が、履歴的に少なくとも第1の割合のオペレータがビークルからビークル部品を取り外したときの、ビークル部品によって累積された第1の移動時間数を示し、
第2の点が、以前にビークル部品の取外閾値として設定された、ビークル部品によって累積された第2の移動時間数を示し、
第1の点および第2の点のうちの大きい方が、取外閾値として設定される、ステップ
をさらに含む、条項9また10に記載の方法。
【0145】
条項12.安全在庫レベル、
取外閾値、
ビークル部品のリードタイム、および
所与のビークルの使用率
に基づいて再注文閾値を設定するステップと、
所与の実例にかかるビークル部品によって累積された移動時間数が再注文閾値を満たしたことに応じて、在庫警告を所与のビークルのオペレータに送信するステップと
をさらに含む、条項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【0146】
条項13.信頼性曲線と取外閾値との交点を求めるステップと、
交点とビークル部品の上方信頼性閾値とを比較するステップと、
交点におけるサイクル数が、上方信頼性閾値よりも大きいことに応じて、品質警告を所与のビークルのオペレータに送信するステップと
をさらに含む、条項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【0147】
条項14.信頼性曲線と取外閾値との交点を求めるステップと、
交点とビークル部品の上方信頼性閾値とを比較するステップと、
交点におけるサイクル数が、上方信頼性閾値よりも大きいことに応じて、品質警告を所与のビークルのオペレータに送信するステップと
をさらに含む、条項9から13のいずれか一項に記載の方法。
【0148】
条項15.ビークル部品の追加の取外サンプルの受信に応じて、取外閾値を信頼性曲線上の異なる値に再設定するステップ
をさらに含む、条項9から14のいずれか一項に記載の方法。
【0149】
条項16.所与のビークルが、航空機である、条項9から15のいずれか一項に記載の方法。
【0150】
条項17.プロセッサと、
命令を含むメモリ記憶デバイスであって、命令が、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサが、
ビークル部品の信頼性曲線を生成すること、
信頼性曲線上に取外閾値を設定すること、
所与のビークルへの所与の実例にかかるビークル部品の取り付けを追跡すること、
所与の実例にかかるビークル部品が取り付けられている所与のビークルの動作に基づいて、所与の実例にかかるビークル部品の動作を追跡すること、および
所与の実例にかかるビークル部品の動作が取外閾値を満たしたことに応じて、保守点検警告を所与のビークルのオペレータに送信すること
を含む動作を実行することを可能にする、メモリ記憶デバイスと
を備えるシステム。
【0151】
条項18.取外閾値を設定することが、
信頼性曲線を生成するために使用されたビークル部品の履歴取外数を求めることと、
履歴取外数が所定の設定値を下回ったことに応じて、取外閾値を所与のビークルの固定動作値として設定することと
をさらに含む、条項17に記載のシステム。
【0152】
条項19.取外閾値を設定することが、
信頼性曲線を生成するために使用されたビークル部品の履歴取外数を求めることと、
履歴取外数が所定の設定値を超えたことに応じて、
信頼性曲線上の第1の点と第2の点のどちらかに取外閾値を設定することと
を含み、第1の点が、履歴的に少なくとも第1の割合のオペレータがビークルからビークル部品を取り外したときの、ビークル部品の第1の動作数を示し、
第2の点が、第1の割合よりも大きい少なくとも第2の割合のオペレータが履歴的にビークルからビークル部品を取り外したときの、ビークル部品の第2の動作数を示す、条項17または18に記載のシステム。
【0153】
条項20.ビークル部品の信頼性曲線を生成することが、
関連するビークルからの取り外し時にいくつかの実例にかかるビークル部品から、関連するビークルからの取り外し時の、特定の実例にかかるビークル部品によって累積されたサイクル数を示す使用データを収集し、特定の実例にかかるビークル部品が取り外し時に故障状態にあるかどうかを収集することと、
サイクル数当たりの、故障状態にあるビークル部品の割合を求めることと、
故障状態にあるビークル部品の割合に基づいて確率分布関数を使用データに適合させることと
をさらに含む、条項17から19のいずれか一項に記載のシステム。
【0154】
条項21.ビークル部品の信頼性曲線を生成することが、
関連するビークルからの取り外し時にいくつかの実例にかかるビークル部品から、関連するビークルからの取り外し時の、特定の実例にかかるビークル部品によって累積された移動時間数を示す使用データを収集し、特定の実例にかかるビークル部品が取り外し時に故障状態にあるかどうかを収集することと、
移動時間当たりの、故障状態にあるビークル部品の割合を求めることと、
故障状態にあるビークル部品の割合に基づいて確率分布関数を使用データに適合させることと
をさらに含む、条項17から20のいずれか一項に記載のシステム。
【0155】
条項22.ビークル部品の動作が、ビークル部品が取り付けられている間のビークル部品のサイクル数に基づいて追跡され、
取外閾値、
ビークル部品のリードタイム、
所与のビークルの使用率、および
ビークル部品のフライト当たりサイクルの係数
に基づいて再注文閾値を設定することと、
所与の実例にかかるビークル部品の動作が再注文閾値を満たしたことに応じて、在庫警告を所与のビークルのオペレータに送信することと
をさらに含む、条項17から21のいずれか一項に記載のシステム。
【0156】
条項23.ビークル部品の動作が、ビークル部品が取り付けられている間の所与のビークルの移動時間数に基づいて追跡され、
取外閾値、
ビークル部品のリードタイム、および
所与のビークルの使用率
に基づいて再注文閾値を設定することと、
所与の実例にかかるビークル部品の動作が再注文閾値を満たしたことに応じて、在庫警告を所与のビークルのオペレータに送信することと
をさらに含む、条項17から22のいずれか一項に記載のシステム。
【0157】
条項24.動作が、
信頼性曲線と取外閾値との交点を求めることと、
交点と、ビークル部品の上方信頼性閾値および下方信頼性閾値とを比較することと、
交点におけるビークル部品の動作数が、上方信頼性閾値より大きいか、または下方信頼性閾値より小さいかのいずれかであることに応じて、品質警告を所与のビークルのオペレータに送信することと
をさらに含む、条項17から23のいずれか一項に記載のシステム。
【0158】
条項25.所与のビークルが、航空機である、条項17から24のいずれか一項に記載のシステム。
【0159】
前述の内容は、本開示の態様に向けられているが、本開示の他のおよびさらなる態様は、その基本的な範囲から逸脱することなく考案され得、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
【符号の説明】
【0160】
10 航空機、12 推進システム、14 ターボファンエンジン、16 翼、18 胴体、20 尾部、22 水平安定板、24 垂直安定板、100 部品信頼性判定システム、102 部品データベース、104 部品寿命分布制御ユニット、106 部品寿命予測制御ユニット、110 部品履歴記憶ユニット、112 現行部品記憶ユニット、114 ビークル使用データベース、300 信頼性曲線、302 CDF曲線、304 飛行時間、306 信頼性確率、310 取外目標閾値、320 生存閾値、330 予測交換閾値、340 交点、350 上方信頼性閾値、360 下方信頼性閾値、400 在庫曲線、410 在庫レベル、420 安全在庫レベル、430 再注文閾値、440 再注文数量
図1
図2
図3
図4
図5
図6