(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】複合角部充填材の製造方法、及び関連するシステム
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20240826BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240826BHJP
B05C 9/12 20060101ALI20240826BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
B05C9/12
B05D3/00 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020017001
(22)【出願日】2020-02-04
【審査請求日】2023-01-06
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】フェイ・カイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイドン・ソン
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0197350(US,A1)
【文献】特開平11-262714(JP,A)
【文献】特開2015-128842(JP,A)
【文献】特開昭61-200266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00-21/00
B05D 1/00-7/26
B29C 48/00-48/96
E04F 21/00-21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-材料供給システムであって、
複合材料を入れる材料コンテナ、
材料供給アクチュエータ、及び
前記材料コンテナに結合されたノズル
を含む、材料供給システムと、
-ワークピースについてのワークピース情報を提供するワークピースセンサと、
-押出情報を提供する押出材料センサであって、前記ノズルから押し出される前記複合材料を撮像するように構成されたカメラを有し、前記押出情報が、前記複合材料の画像に基づいて、前記ノズルから押し出される前記複合材料の直線押出速度を示す、押出材料センサと、
-コントローラと、
を備え、
前記コントローラが、
前記ワークピースセンサから、前記ワークピースの少なくとも1つの表面を示す前記ワークピース情報を受信し、
前記材料コンテナに入れられた前記複合材料に対して、前記材料供給アクチュエータに圧力を印加させ、それにより、前記ワークピース情報に基づいて、前記複合材料の少なくとも一部を前記ノズルから前記ワークピースの表面に押し出し、
前記直線押出速度を動的に調整して前記複合材料の
形状を調整する、
ように構成されている、システム。
【請求項2】
可変ゲートをさらに備え、
前記コントローラが、前記ワークピース情報に基づいて、前記可変ゲートの少なくとも1つのゲート開口ブレードを調整し、それにより、前記ノズルから押し出される前記複合材料の大きさを制御するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ワークピースに結合された可動ステージをさらに備え、
前記コントローラが、前記材料供給システムに対する前記ワークピースの相対速度が前記ノズルから押し出される前記複合材料の前記直線押出速度とほぼ同じになるように、前記可動ステージを動かすようにさらに構成されている、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラが、前記ワークピース情報又は前記押出情報に基づいて、前記ノズルから押し出される前記複合材料が前記ワークピースの表面に沿った空隙部と位置が合うように、前記可動ステージを動かすようにさらに構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記押出材料センサが、ローラセンサ、符号化ホイールセンサ及びレーザードップラーセンサのうちの少なくとも1つを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記材料コンテナ内で所望の真空度を維持する真空システムをさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記ワークピースセンサが、レーザー表面形状測定器を備え、前記ワークピース情報が、前記ワークピースの表面に沿った空隙部の深さ、幅、又は断面積のうちの少なくとも1つを示す、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記ワークピース情報が、導入状態又は導出状態のうちの少なくとも1つを示し、
前記コントローラが、前記導入状態又は前記導出状態の判定に応答して、前記材料コンテナ内で前記複合材料に印加される前記圧力を調整するようにさらに構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記ノズルから前記ワークピースに押し出された前記複合材料を成形する転圧ローラをさらに備え、
前記コントローラが、前記転圧ローラによって、前記ノズルから押し出された前記複合材料に印加される圧力を調整するようにさらに構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記転圧ローラが、平坦な形状、クラウン形状、又は捻れた形状のうちの少なくとも1つを有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
ワークピースセンサから、ワークピースの少なくとも1つの表面に関するワークピース情報を受信するステップと、
押出材料センサから、ノズルから押し出される複合材料の直線押出速度を示す押出情報を受信するステップであって、前記押出材料センサが、前記ノズルから押し出される前記複合材料を撮像するように構成されたカメラを有し、前記押出情報が、前記複合材料の画像に基づいて、前記ノズルから押し出される前記複合材料の直線押出速度を示す、ステップと、
前記ワークピース情報に基づいて、材料コンテナに入れられた前記複合材料に対して、材料供給システムの材料供給アクチュエータに圧力を印加させ、それにより、前記複合材料の少なくとも一部を前記材料コンテナに結合された前記ノズルから前記ワークピースの表面に押し出す、ステップと、
前記直線押出速度を動的に調整して前記複合材料の
形状を調整するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記ワークピースセンサが、レーザー表面形状測定器を備え、
前記ワークピース情報が、前記ワークピースの表面に沿った空隙部の深さ、幅、又は断面積のうちの少なくとも1つを示す、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
移動平均又は高速フーリエ変換のうちの少なくとも1つを用いて、前記ワークピース情報をフィルタリングするステップをさらに含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記ワークピース情報に基づいて、可変ゲートの少なくとも1つのゲート開口ブレードを調整し、それにより、前記ノズルから押し出される前記複合材料の大きさを制御するステップをさらに含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記材料供給システムに対する前記ワークピースの相対速度が前記ノズルから押し出される前記複合材料の前記直線押出速度とほぼ同じになるように、前記ワークピースに結合された可動ステージを動かすステップ
をさらに含む、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ワークピース情報、又は前記ノズルから押し出される前記複合材料の前記直線押出速度を示す押出情報に基づいて、前記ノズルから押し出される前記複合材料が前記ワークピースの表面に沿った空隙部と位置が合うように、前記ワークピースに結合された可動ステージを動かすステップをさらに含む、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
真空計から、前記材料コンテナの真空度に関する真空情報を受信するステップをさらに含み、
材料コンテナに入れられた複合材料に対して、材料供給システムの材料供給アクチュエータに圧力を印加させる前記ステップが、前記材料コンテナの前記真空度が所望の真空度を下回っていることを示す前記真空情報に応答して開始される、請求項11から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ワークピースセンサから、導入状態又は導出状態のうちの少なくとも1つを示すワークピース情報を受信するステップと、
前記導入状態又は前記導出状態の判定に応答して、前記材料コンテナ内の前記複合材料に印加する前記圧力を調整するステップと
をさらに含む、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
転圧ローラで、前記ノズルから押し出された前記複合材料に圧力を印加し、それにより、前記ノズルから前記ワークピースの前記表面に押し出された前記複合材料の所望の形状を形成するステップをさらに含む、請求項11から18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合角部充填材を適用するシステム及び方法に関する。角部充填材又は「ヌードル」は、積層接合部におけるプライ間の接合面を充填するために使用され得る。
【背景技術】
【0002】
複合スパー、リブ、又はストリンガ部材は、2つの複合構造を結合して形成することができる。複合構造は、炭素繊維プリプレグ材料で形成でき、「C」、「V」、又は「U」字型をしたチャネルの形態をとることができる。このようなチャネルのプライは、このような形状を形成するように所定の半径で曲げられ、急角度になることはない。このようなチャネルは、ストリンガ部材を形成するように背中合わせの配置で結合することができる。このような配置では、ストリンガ部材は、空隙部、ディンプル、又は丸みを帯びたV字型の溝のようにすることができ、ここで丸みを帯びたチャネルが結合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ストリンガ部材を強化するために、空隙部領域に角部充填材を追加することができる。空隙部領域に追加された角部充填材は、負荷条件下でストリンガ部材が受ける歪みを低減することができる。しかしながら、従来の角部充填材適用技術は、低速で非効率的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、システムが説明される。システムは、材料供給システムを含む。材料供給システムは、複合材料(角部充填材)を入れる材料コンテナと、材料供給アクチュエータと、材料コンテナに結合されたノズルとを備える。システムは、ワークピースに関する情報を提供する、ワークピースセンサをさらに備える。また、システムは、ワークピースセンサからワークピース情報を受信するコントローラを備える。ワークピース情報は、ワークピースの少なくとも1つの表面を示す。コントローラは、ワークピース情報に基づいて、複合材料の少なくとも一部をノズルからワークピースの表面に押し出すために、材料コンテナに入れられた複合材料に対して、材料供給アクチュエータに力を印加させるようにさらに構成されている。
【0005】
別の態様において、方法が説明される。本方法は、ワークピースセンサから、ワークピースの少なくとも1つの表面に関するワークピース情報を受信するステップを含む。本方法は、ワークピース情報に基づいて、複合材料の少なくとも一部を材料コンテナに結合されたノズルからワークピースの表面に押し出すために、材料コンテナに入れられた複合材料に対して、材料供給システムの材料供給アクチュエータに力を印加させるステップをさらに含む。
【0006】
他の態様、例、及び実施については、適切な箇所で添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、当業者にとって明らかになるであろう。
【0007】
例示されている例に特有であると考えられる新規な特徴が、添付の特許請求の範囲に記載される。しかしながら、例示されている例、ならびにそれらの好ましい使用の態様、さらなる目的及び説明は、本開示の例示されている例の以下の詳細な説明を参照し、添付の図面と併せて検討することによって、最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】例示的な実施による、
図2のシステムを含む動作シナリオを示す。
【
図4A】例示的な実施による、
図2のシステムを含む動作シナリオを示す。
【
図4B】例示的な実施による、
図2のシステムによって得られるデータを示す。
【
図5A】例示的な実施による、
図2のシステムを含む動作シナリオを示す。
【
図5B】例示的な実施による、さまざまなヌードル形状を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
I.概要
ここでは例示的な方法、装置、及びシステムについて説明する。「例」及び「例示的な」という言葉は、本明細書では「例、事例、又は図示として供する」という意味で用いられることを理解されたい。「例」又は「例示」として本明細書で説明する例又は形態はいずれも、必ずしも他の例又は形態よりも好ましい、又は好都合であると解釈される必要はない。本明細書で提示される主題の範囲から逸脱することなく他の例を使用でき、また他の変更を加えることができる。
【0010】
したがって、本明細書で説明する例は限定を意味しない。本開示の態様は、本明細書で概して説明され、且つ図面に示されるように、さまざまな異なる構成に配置し、置換し、結合し、分離し、且つ設計することができ、本明細書ではそのすべてが想定されている。
【0011】
また、文脈によってそうでないことが示唆されない限り、各図面に示された形態は互いに組み合わせて使用されてもよい。したがって図面は概して、それぞれの例に対して、図示されている形態のすべてが必要なわけではないという理解のもと、1つ以上の全般的な例における構成要素の態様として見るべきである。
【0012】
本開示は、角部充填材の製造を有益に改善でき、また総合的に考えて、複合材部品の製造コストを削減しながら信頼性及び性能を向上させることが可能ないくつかのステップについて説明する。
【0013】
例示的な実施形態では、方法は、角部充填材が充填される空隙部領域の表面形状を取得するために、レーザースキャナを使用するステップを含むことができる。例えば、レーザースキャナによって、空隙部領域の少なくとも1つの表面を示す情報を取得することができる。情報は、複数のレーザー深さ測定値を含むことができる。すなわち、空隙部領域の深さは、ストリンガ部材の長さに垂直な方向に走査することができる。空隙部領域の深さは、空隙部領域の上部と下部との間の距離によって画定することができる。(例えば、移動平均法を使用して)ゲート高さの平均値を取得するために、少なくとも4回の連続した深さ測定(又はライン走査)が使用されてもよい。深さ測定は、空隙部領域の平均断面積を決定するために使用することができる。空隙部領域の平均断面積に基づいて、ルックアップ表からさまざまなプロセス変数(ゲート高さ、押出速度など)を決定することができる。このようなシナリオでは、空隙部領域の断面積に基づいて、角部充填材で空隙部領域を最も効率的に充填するように押出システムを制御することができる。
【0014】
これに加えて、又はこれに代えて、いくつかの実施形態では、深さ測定及び/又は断面積のデータにおいて高周波数変動を減少させる、又は高周波数変動が強調されないようにするために、高速フーリエ変換を使用することができる。例えば、レーザー表面形状測定器によって取得した深さ情報は、1つ以上の数学的アルゴリズム及び/又は変換によって分析することができる。いくつかの実施形態では、深さ情報は、高速フーリエ変換(FFT)を通すことによって処理でき、これにより、深さ情報の空間周波数表現を提供することができる。いくつかの実施形態では、空間周波数表現は、低域濾波を提供するように調整することができる。空間周波数表現は、低域濾波された深さ情報を再構築するために、逆フーリエ変換(IFT)で逆変換することができる。このような方式では、断面積データは、ストリンガ部材に沿った距離の関数として、平滑化及び/又は平均化することができる。
【0015】
空隙部領域の深さ及び/又は断面積をストリンガ部材に沿った距離の関数として正確に監視することに加えて、押出システムのさまざまな動作パラメーターをリアルタイムで監視し制御することができる。例えば、押出システムは、ローラ符号化装置を含むことができる。ローラ符号化装置の少なくとも1つのローラは、押出速度を監視するために角部充填材「ヌードル」と直接接触することができる。これに加えて、又はこれに代えて、ヌードルの押出速度をリアルタイムに監視するために、レーザードップラーシステムなどの非接触法も使用することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、押出システムは、押出システムのノズル開口部と、転圧ローラとの間に押し出されたヌードルのリアルタイムな傾斜(例えば、形状)を監視する、側面スキャナを含むことができる。このようなシナリオでは、ヌードルの形状を所定の形状又は範囲に維持するように、ストリンガ部材に沿った押出速度及び/又はロボット制御押出の速度を調整することができる。例として、ヌードルが所定の閾値未満の曲率半径で曲がっていると、ヌードルは圧縮されている(ロボット速度が遅すぎる)可能性があり、所定の閾値よりも大きい曲率半径で曲がっていると、ヌードルは伸長している(例えば、ロボット速度が速すぎる)可能性がある。
【0017】
他の実施形態では、ロボットのノズルとストリンガ部材との間の相対位置を接近して監視しこれを維持するために、視覚システム(例えば、カメラ及び/又はレーザー撮像システム)を使用することができる。例えば、視覚システムは、2本の接線の交点の決定に基づいて、X方向及びZ方向におけるストリンガ部材の中心を走査して決定することができる。ストリンガ部材の中心を決定することによって、本明細書のシステム及び方法は、ノズルとストリンガ部材との間に所望の目標距離及び/又は目標配向を維持するようにロボットをガイドすることができる。
【0018】
角部充填材の押出は、押出力を与える1つ以上のラムサーボに印加されるトルクを監視、及び調整することによって制御することができる。いくつかの実施形態では、システムは、トルクフィードバックを確立するために、且つ/又は較正目的で、材料を約6インチ押し出すように構成することができる。その後、ヌードルの導入部分は、滑らないように把持されてもよい。導入部分が把持されて適切に送られると、プログラム可能な論理コントローラが、押出プロセスをリアルタイムに制御し得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、システムは、ストリンガ部材の端部を検知するように構成することができる。このようなシナリオでは、システムは、ノズル開口部の材料圧を軽減するのに必要なピストントルクの割合に基づいて、ラムサーボ及び/又はピストンの位置又はトルクを調整してもよい。角部充填材の残部からヌードルを切断するために、可変ゲートが完全に閉じてもよい。その後、次のストリンガ部材に置き換える前に、ヌードルが確実にきれいに切断されるようにロボットアームを配置することができる。
【0020】
本明細書で説明するシステム及び方法は、角部充填材の製造及び堆積の技術を提供でき、これにより従来の角部充填材の取付と比較して、製造にかかる時間及び費用を削減し得る。開示されているシステム及び方法は、所望の長さ及び断面形状を有する角部充填材の製造に使用でき、これが角部充填材が堆積される溝の断面形状と一致するように動的に調整される。
【0021】
II.例示的なシステム
図1は、例示的な実施によるワークピース10を示す。ワークピース10は、2つ以上の複合構造を結合して形成された、複合スパー、ストリンガ又はリブ部材を含むことができる。例えば、ワークピース10は、第1の複合部材11と、第2の複合部材12とを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の複合部材11及び第2の複合部材12は、多層炭素繊維プリプレグ材料で形成することができる。ワークピース10は、第1の端部20と、第2の端部30とを有することができる。
【0022】
図1に示すように、第1の複合部材11及び第2の複合部材12は、「C」、「V」、又は「U」字の形状をした、1つ以上の丸みを帯びたチャネルを形成するように結合することができる。これに加えて、又はこれに代えて、第1の複合部材11と第2の複合部材12とは、背表紙近くまで開いた本のページに似た形状を形成することができる。いくつかの実施形態では、第1の複合部材11及び第2の複合部材12のプライは、このような形状を形成するために、それぞれの所定の半径で曲げることができる。本開示の範囲内で、他の形状が可能であり且つ想定されていることは理解されよう。
【0023】
例示的な実施形態では、第1の複合部材11と第2の複合部材12とは、ストリンガ部材を形成するように背中合わせの配置で結合することができる。このような配置では、ストリンガ部材は、空隙部領域14又は丸みを帯びたV字型の溝を有することができ、ここで丸みを帯びたチャネルが結合される。本明細書で説明するように、ストリンガ部材を強化するために、空隙部領域14に角部充填材を追加することができる。空隙部領域14に追加された角部充填材は、ストリンガ部材の強度及び/又は剛性を高めることができる。空隙部領域14に角部充填材を追加することによって、他の構造的な改善が可能なことが理解されよう。
【0024】
図2は、例示的な実施によるシステム100を示す。システム100は、材料供給システム110を含む。材料供給システム110は、液圧式又は機械式のスクリューオーガ押出機又はラムシリンダであってもよい。材料供給システム110は、複合材料115を入れる材料コンテナ112を備える。いくつかの実施形態では、複合材料115は、短繊維で強化された熱硬化性樹脂で作成することができる。しかしながら、複合材料115は他の材料にすることが可能であり、そのように想定されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、材料コンテナ112は、中空のシリンダ形状を有することができる。しかしながら、他の形状にすることが可能であり、そのように想定されている。材料供給システム110は、複合材料115に制御可能な力を加えて材料コンテナ112から押し出す、材料供給アクチュエータ116をさらに備える。いくつかの実施形態では、材料供給アクチュエータ116は、サーボ駆動アクチュエータを含むことができる。しかしながら、他の種類のアクチュエータにすることが可能であり、そのように想定されている。材料供給システム110は、材料コンテナ112に結合されたノズル118をさらに備える。
【0026】
材料供給システム110は、真空システム119をさらに含むことができる。真空システム119は、材料コンテナ112内に所望の真空度を維持するように構成することができる。いくつかの実施形態では、真空システム119は真空ポートを備えることができ、真空ポートは、材料を押し出す前にこれを通して材料コンテナ112から余分なガスを除去できる開口部として構成することができる。真空システム119は、材料コンテナ112に結合された真空ポンプ及び真空計をさらに備えてもよい。例えば、押出複合材117を押し出す前に、真空ポンプが材料コンテナ112からガスを除去してもよい。いくつかの実施形態では、圧力(例えば、真空度)は、真空計によって監視することができる。さまざまな例において、真空ポンプは、真空計から受信した情報に基づいて動作してもよい。例えば、コントローラ150は、材料コンテナ112が所定の閾値の真空度又は圧力に達するまで、材料コンテナ112からガスを抜くように真空ポンプを動作させることができる。材料コンテナ112から余分なガスを除去することによって、複合材料115及び/又は押出複合材117内で気泡、空隙その他の不均一性を形成する可能性がある、閉じ込められた空気、その他の閉じ込められたガスを低減又は排除することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、コントローラ150は、本明細書で説明するさまざまな動作を行うことに関連して、材料コンテナ112の真空度を監視することができる。例えば、コントローラ150は、真空度インターロック機構を提供することができる。真空度インターロック機構は、例えば、材料コンテナ112の現在の真空度が所定の範囲内にない場合は、ヒータ114、材料供給アクチュエータ116、及び/又はシステム100の他の要素が動作するのを防止する。
【0028】
さまざまな実施形態において、真空度インターロック機構は、所定の時間間隔に基づいて始動される、或いは係合することができる。例えば、真空システム119で材料コンテナ112のガス抜きを開始した後に、材料コンテナ112の真空度が所定の時間内に所定の真空範囲に達しない場合は、コントローラ150が、ヒータ114、材料供給アクチュエータ116、及び/又はシステム100の他の要素が動作するのを防止する。このようなシナリオでは、真空度インターロック機構は、システム100の損傷を防止する、又は適切に調製されていない材料が押し出されるのを防止するのに役立てることができる。また、真空度インターロック機構は、材料が押し出される前に真空度を確実に一定にすることによって、押出材料全体の品質、一貫性、及び/又は繰り返し精度を高めることができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、システム100は、材料自動充填装置180を備えてもよい。材料自動充填装置180は、材料供給システム110内に複合材料115を、自動的な、繰り返し可能な、且つ/又は迅速な方式で充填し且つ/又は取り替える機能を提供し得る。例えば、いくつかの実施形態では、材料自動充填装置180は、自動、又は半自動(例えば、ユーザの命令によって開始される)の方式で、空の材料コンテナを満たされた材料コンテナと取り替えるように構成することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、材料供給アクチュエータ116は、注射器のプランジャと同様に、押出複合材117を材料コンテナ112から吐出する、又は排出するように作動させることができる。材料供給アクチュエータ116は、ラムサーボ又は別の種類のピストンを含むことができる。言い換えれば、材料供給システム110、材料コンテナ112、及び材料供給アクチュエータ116は、複合材料115を押し出すための往復ポンプを提供することができる。すなわち、材料供給アクチュエータは、材料コンテナ112の円柱軸線に沿って材料コンテナ112に出入りする、直線的な動きをするように構成することができる。
【0031】
システム100は、ワークピース(例えば、
図1に関して図示され説明されているワークピース10)に関する情報を提供する、ワークピースセンサ140をさらに備える。ワークピースセンサ140は、さまざまな実施形態において、導入/導出スキャナ142、及び/又は検査用スキャナ144を備えることができる。
【0032】
システム100は、コントローラ150をさらに含む。いくつかの実施形態では、コントローラ150は、少なくとも1つのプロセッサ152及びメモリ154を含むことができる。少なくとも1つのプロセッサ152は、例えば、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含んでもよい。本明細書では、ソフトウェア命令を実施する他の種類のプロセッサ、回路、コンピュータ、又は電子装置が想定されている。いくつかの実施形態では、コントローラ150は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)、及び/又はマンマシンインターフェース(MMI)と通信可能に相互作用するように構成することができる。例えば、GUI、HMI、及び/又はMMIは、ユーザ定義パラメーター(例えば、ストリンガ長さ、所望の押出複合材の形状)を入力する方法をユーザに提供する。本明細書で説明するコントローラ150の任意又はすべての動作は、少なくとも部分的にGUI、HMI、及び/又はMMIとの相互作用に基づくことができる。コントローラ150は、1つ以上のハードウェアデータインターフェースをさらに含むことができ、これはコントローラ150と、システム100の他の要素との間の通信リンクを提供してもよい。いくつかの実施形態では、GUI、HMI、及び/又はMMIは、ユーザに通知その他の種類の情報を表示することもできる。例えば、GUI、HMI、及び/又はMMIの表示装置は障害情報を表示でき、これは、ユーザの介入又は干渉を要求してもよい。
【0033】
メモリ154は、これに限定されないが、例えば、読取専用メモリ(ROM)、プログラム可能な読取専用メモリ(PROM)、消去可能なプログラム可能読取専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能読取専用メモリ(EEPROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(例えば、フラッシュメモリ)、ソリッドステートドライブ(SSD)、ハードディスクドライブ(HDD)、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、読取/書込(R/W)CD、R/W DVDなどの非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体を含んでもよい。
【0034】
コントローラ150の少なくとも1つのプロセッサ152は、本明細書で説明するさまざまな動作、及び方法のステップ/ブロックを実施するために、メモリに記憶された命令を実行するように構成されてもよい。命令は、恒久的又は一時的な方法でメモリに記憶されてもよい。
【0035】
例として、コントローラ150は、
図6に関して図示及び説明されているように、方法600のような動作を実施するように構成することができる。
【0036】
コントローラ150は、ワークピースセンサ140からワークピース情報を受信するように構成することができる。ワークピース情報は、ワークピース10の少なくとも1つの表面を示すことができる。例えば、ワークピース情報は、ワークピース10の1つ以上の外形に関する情報、及び/又は空隙部領域14に関する地形情報を含むことができる。言い換えれば、ワークピース情報は、空隙部領域の深さ、幅、及び/又は断面積に関する情報を含むことができる。コントローラ150は、ワークピース情報に基づいて、ノズル118からワークピース10の表面に押出複合材117を押し出すために、材料コンテナ112に入れられた複合材料115に対して、材料供給アクチュエータ116に力を印加させるように、さらに構成することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、システム100は、可変ゲート120を備えることができる。可変ゲート120は1つ以上のゲート開口ブレード122を備えることができ、これは、1つ以上のゲートアクチュエータ124によって位置を調整することができる。このようなシナリオでは、コントローラ150は、ワークピース情報に基づいて、ノズル118から押し出される押出複合材117の大きさを制御するために、可変ゲート120の少なくとも1つのゲート開口ブレード122を調整するようにさらに構成することができる。例えば、ゲート開口ブレード122は、0.0in2(0mm2)(例えば、完全に閉じている)から0.5in2(322.58mm2)の開口部領域を有する、長方形の開口部又は開口部を形成するように制御可能に調整することができる。開口部の形状は、ゲート開口ブレード122の数、ゲート開口ブレード122のそれぞれの位置、及び各ゲート開口ブレード122のそれぞれの形状に基づいていてもよい。いくつかの実施形態では、開口部の形状は、円形又は半円形にすることができる。他の実施形態では、開口部の形状は、円形又は半円形にすることができる。他の開口部形状にすることも可能であり、そのように想定されている。
【0038】
いくつかの実施形態では、システム100は、押出情報を提供する押出材料センサ130をさらに含むことができる。このようなシナリオでは、押出情報は、ノズル118から吐出される押出複合材117の直線押出速度を示すことができる。例として、直線押出速度は、1mm/秒~1m/秒の範囲内で測定され得る。しかしながら、これよりも高い、又はこれよりも低い直線押出速度の測定値が可能であり、そのように想定されている。いくつかの実施形態では、直線押出速度とは、押出複合材117がノズルに対して垂直に生成される速度であってもよい。しかしながら、代替実施形態では、直線押出速度は、ワークピース10及び/又は空隙部領域14の表面に沿った軸線など、別の軸線に沿って測定されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、システム100は、可動ステージ160を備えることができ、これはワークピース10に結合されてもよい。例えば、ワークピース10は、可動ステージ160に載置できる、又は固定的に結合することができる。これに加えて、又はこれに代えて、可動ステージ160は、材料供給システム110とワークピース10との間の相対位置を制御可能に調整するように、システム100の他の要素に結合することができる。
【0040】
このようなシナリオでは、コントローラ150は、材料供給システム110に対するワークピース10の相対速度が、ノズル118から押し出される押出複合材117の直線押出速度とほぼ同じ(例えば、10%以内、1%以内、又は0.1%以内)になるように、可動ステージ160を動かすようにさらに構成することができる。例えば、
図3に示すように、コントローラ150は、押出複合材117の直線押出速度とほぼ一致する速度で、可動ステージ160の位置をx軸に沿って調整することができる。
【0041】
これに加えて、又はこれに代えて、コントローラ150は、ワークピース情報又は押出情報に基づいて、ノズル118から押し出される押出複合材117が、ワークピース10の表面に沿った空隙部と位置が合うように、可動ステージ160を動かすように構成することができる。例えば、
図3に示すように、コントローラ150は、押出複合材117が空隙部領域14と位置が合うように、可動ステージ160の位置をy軸に沿って調整することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、押出材料センサ130は、ローラセンサ、符号化ホイールセンサ(例えば、ローラ/符号化センサ132)、レーザードップラーセンサ134、又はカメラ136のうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、ローラ/符号化センサ132のホイール又はローラは、押出複合材117と物理的に接触するように構成することができる。このようなシナリオでは、押出複合材117がノズル118から吐出されると、ホイール又はローラが回転するように構成することができる。ホイール又はローラの速度及び/又は角回転の量を測定することによって、ローラ/符号化センサ132は、押出複合材117の押出速度、及び/又は押出長さについての情報を提供するように構成することができる。
【0043】
これに加えて、又はこれに代えて、レーザードップラーセンサ134は、押出複合材117がノズル118から吐出される際に、非接触レーザードップラー速度測定値を提供するように構成することができる。例えば、レーザードップラーセンサ134は、レーザー光源、及び1つ以上の光検出器を含むことができる。レーザー光源は、押出複合材117と相互作用可能なレーザー光を放射することができる。1つ以上の光検出器は、押出複合材117から反射した光を検出するように構成することができる。さまざまな実施形態において、押出複合材117の速度は、反射したレーザー光の波長の変化を測定することによって取得でき、波長の変化は干渉縞パターンの形成によって観察することができる。いくつかの実施形態では、干渉縞パターンは、元の光の信号と反射光の信号とを重畳して形成することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、カメラ136は、押出複合材117を撮像するように構成することができる。このようなシナリオでは、押出複合材117の撮像された画像は、ノズル118から吐出される際の押出複合材117の速度を決定するために分析することができる。例えば、カメラ136は、周期的に複数の画像を撮像してもよい。複数の画像にわたって変化する押出複合材117の位置を観察することによって、押出複合材117の速度を決定することができる。
【0045】
さまざまな実施形態において、材料コンテナ112は、複合材料115を加熱するヒータ114をさらに備えることができる。このようなシナリオでは、コントローラ150は、ノズル118から押し出される押出複合材117の直線押出速度に基づいて、ヒータ114の動作を調整するように構成することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、ワークピースセンサ140は、レーザー表面形状測定器を含むことができる。このようなシナリオでは、ワークピース情報は、空隙部(例えば、空隙部領域14)、その他ワークピース10の表面に沿った地形形状の深さを示すことができる。
【0047】
例示的な実施形態では、システム100は、1つ以上の導入/導出スキャナ142を備えることができる。このようなシナリオでは、ワークピース情報は、導入状態又は導出状態のうちの少なくとも1つを示すことができる。したがってコントローラ150は、導入状態又は導出状態の判定に応答して、材料コンテナ112内の複合材料115に印加される力を調整するようにさらに構成することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、システム100は、押出後成形装置170をさらに備えることができる。例えば、システム100は、ノズル118からワークピース10上に押し出された押出複合材117を成形する、転圧ローラ172を備えることができる。このようなシナリオでは、コントローラ150は、転圧ローラ172によって押出複合材117に印加される圧力を調整するようにさらに構成されている。
図5Aを参照すると、転圧ローラ172は、z方向に沿って、押出複合材117に制御可能な力を伝達することができる。いくつかの実施形態では、転圧ローラ172は、ワークピース10の空隙部領域14内で、押出複合材117の形状を変更することができる。例えば、さまざまな実施形態において、転圧ローラ172の表面(例えば、
図5Aに関して図示及び説明されている転圧面506)は、平坦な形状、クラウン形状、又は捻れた形状のうちの少なくとも1つを有することができる。転圧ローラ172の表面の形状は、少なくとも部分的に、押出複合材117に伝達することができる。
【0049】
図3は、例示的な実施による、
図2のシステム100を含む動作シナリオ300を示す。例えば、動作シナリオ300は、材料コンテナ112を有する材料供給システム110を含むことができる。材料供給アクチュエータ116は、押出複合材117をノズル118から押し出すために、材料コンテナ112内の複合材料115に力を加えるように構成することができる。いくつかの実施形態では、押出複合材117は、可変ゲート120によって切断、成形、又はその他の方法で修正することができる。例えば、可変ゲート120は、制御可能なゲート開口ブレード122を有することができ、これは、ゲートアクチュエータ124(図示せず)によって調整することができる。いくつかの実施形態では、ゲート開口ブレード122は、可変ゲート120によって形成された開口部の大きさ/形状を調整するように、z軸に沿って移動することができる。可変ゲート120によって形成された開口部の大きさ/形状は、押出複合材117の大きさ及び/又は形状を決定することができる。
【0050】
動作シナリオ300は、ワークピース10、及び可動ステージ160を含む。ワークピース10は、第1の複合部材11と、第2の複合部材12とを含むことができる。第1の複合部材11と第2の複合部材12とは、空隙部領域14を形成するように結合することができる。可動ステージ160は、空隙部領域14内で押出複合材117の位置を制御するように移動することができる。例えば、いくつかの実施形態では、可動ステージ160の位置は、押出複合材117を空隙部領域14に沿って中心に位置合わせするように、y軸に沿って調整することができる。これに加えて、又はこれに代えて、可動ステージ160の位置は、押出複合材117を空隙部領域14に沿って制御可能に適用するように、x軸に沿って調整することができる。例えば、いくつかの実施形態では、可動ステージ160は、ワークピース10の第1の端部20からワークピース10の第2の端部30に向かって、空隙部領域14を押出複合材117で充填できるように、+x方向に沿って移動することができる。
【0051】
動作シナリオ300は、導入/導出スキャナ142を含むことができ、これはワークピース情報を提供するように構成することができる。ワークピース情報は、ワークピース10の表面(例えば、空隙部領域14)に関する高さ/深さ情報を含むことができる。ワークピース情報は、導入状態に関する情報をさらに含むことができる。導入状態は、ワークピース10の前縁部(例えば、第1の端部20)が、導入/導出スキャナ142を通過していることの表示を含むことができる。
【0052】
導入/導出スキャナ142は、導出状態に関する情報を提供するようにさらに構成することができる。導出状態は、後縁部(例えば、第2の端部30)が、導入/導出スキャナ142を通過していることの表示を含むことができる。
【0053】
導入/導出スキャナ142は、ライン走査型表面形状測定器として示されているが、導入/導出スキャナ142が、1つ以上の他の種類のセンサを含み得ることは理解されよう。例えば、ワークピース10の前縁部/後縁部の位置を決定するために光検出器を使用することができる。これに加えて、又はこれに代えて、ワークピース情報を提供するために他の非接触表面評価方法を用いることが可能であり、そのように想定されている。
【0054】
動作シナリオ300は、検査用スキャナ144を含むことができる。検査用スキャナ144は、走査型表面形状測定器、カメラ、及び/又は別の種類の非接触表面評価装置を含むことができる。検査用スキャナ144は、空隙部領域14内で、押出複合材117の完成した(例えば、圧縮された)状態を検出することができる。このようなシナリオでは、検査用スキャナ144はコントローラ150に情報を提供でき、所望の充填レベル又は形状との比較における、空隙部領域14の過剰充填又は充填不足を示すことができる。空隙部領域14が過剰充填又は充填不足になっていることの判定に応答して、コントローラ150は、さらに押し出される複合材料117に所望の充填レベル又は形状を与えるように、システム100の1つ以上の要素を調整することができる。
【0055】
図4Aは、例示的な実施による、
図2のシステム100を含む動作シナリオ400を示す。動作シナリオ400は、複数の表面形状測定走査402、404、406、及び408を取得することを含み、これらはともに4回の連続した走査410を形成する。表面形状測定走査402、404、406、及び408はそれぞれ、空隙部領域14にわたって走査された外形線に沿って、空隙部領域14の断面積を示すワークピース情報を提供することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ150は、ワークピース情報に基づいて、空隙部領域14の断面積を決定するように構成することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、導入/導出スキャナ142は、所望の時間間隔(例えば、1秒毎に1走査、1秒毎に10走査、1秒毎に100走査)でライン走査を行うように構成することができる。
【0057】
図4Bは、例示的な実施による、
図2のシステム100によって得られるサンプルデータ420を示す。サンプルデータ420は、導入/導出スキャナ142によって提供されたワークピース情報を含むことができる。サンプルデータ420は、ワークピース10の空隙部領域14の断面積に対する、内側の基準位置(例えば、ワークピース10の第1の端部20)からの直線距離を示すことができる。
【0058】
システム100のさまざまな態様は、サンプルデータ420(例えば、ワークピース情報)に基づいて調整することができる。例えば、空隙部領域14を直線的に表面形状測定走査すると比較的大きい断面積が得られるという判定に応答して、ゲート開口ブレード122によって形成される開口部(例えば、長方形の開口部)を大きくするように、可変ゲート120を(例えば、コントローラ150で)制御することができる。このようなシナリオでは、ゲート開口ブレード122の位置を調整するために、(複数の)ゲートアクチュエータ124を延伸又は後退することができる。したがって、空隙部領域14の比較的大きい断面積を充填するように、押出複合材117の断面積を大きくする(例えば、0.5in2(322.58mm2))ことができる。
【0059】
これとは対照的に、空隙部領域14を直線的に表面形状測定走査すると比較的小さい断面積を示す場合は、可変ゲート120は、形成する開口部のサイズを小さくするように、(複数の)ゲート開口ブレード122を少なくとも部分的に閉じることができる。このようなシナリオでは、空隙部領域14の比較的小さい断面積を充填するように、押出複合材117の断面積を小さくする(例えば、0.1in2(64.516mm2))ことができる。
【0060】
したがって、導入/導出スキャナ142は、コントローラ150にリアルタイムでワークピース情報を提供することができる。さらに、コントローラ150は、空隙部領域14の均一且つ効率的な充填が行われるように、リアルタイムで、又はほぼリアルタイムで、ゲート開口ブレード122を応答性よく調整することができる。
【0061】
サンプルデータ420は、測定誤差又はデータの異常値を低減又は軽減するように、平均化及び/又は処理することができる。例えば、異常測定値の影響を低減するように、4回の連続した走査410(例えば、表面形状測定走査402、404、406、及び408)の移動平均を使用することができる。
【0062】
図5Aは、例示的な実施による、
図2のシステム100を含む動作シナリオ500を示す。動作シナリオ500は材料供給システム110を含むことができ、これは押出複合材117を供給することができる。いくつかの実施形態では、押出複合材117は、1つ以上の押出材料センサ130によって調べることができる。例えば、図示されているように、押出複合材117は、ローラ/符号化センサ132を通ることができる。このようなシナリオでは、押出複合材117は、ローラ/符号化センサ132の回転部材を回転させ得る。回転部材が回転すると、ローラ/符号化センサ132は、押出複合材117に関する押出情報を提供することができる。例示的な実施形態では、押出情報は、押出複合材117の押出速度を示すことができる。
【0063】
これに加えて、又はこれに代えて、動作シナリオ500は、押出後成形装置170を含むことができる。例えば、
図5Aに示すように、転圧ローラ172は、押出複合材117を空隙部領域14に圧入するように力を加えることができる。いくつかの実施形態では、転圧ローラ172の表面は、圧縮された押出複合材117の少なくとも1つの表面に対して、所望の形状を生成するように成形することができる。
【0064】
さらに、いくつかの実施形態では、動作シナリオ500は、押出複合材117の形状504の側面
図502を提供する、カメラ136を含むことができる。いくつかの実施形態では、押出複合材117の形状504は、ワークピース10と材料供給システム110との相対速度、及び押出速度に基づく。
【0065】
図5Bは、例示的な実施による、さまざまなヌードル形状510を示す。さまざまなヌードル形状510は、ワークピース10の相対速度と、材料供給システム110から押し出される複合材料117の押出速度とのさまざまな組み合わせに基づいて提供することができる。例えば、ヌードル形状512及び518は、押出速度と比較して非常に遅い、ワークピース10の相対速度から生じ得る。ヌードル形状512及び518は、各ヌードルに望ましくない圧縮又は捻れが生じていることを示し得る。
【0066】
ヌードル形状514は、ワークピース10の相対速度が、押出速度と比較して速すぎることを示し得る。このようなシナリオでは、ヌードル形状514は、ヌードルに望ましくない伸長が生じていることを示し得る。
【0067】
ヌードル形状516は、ワークピース10の相対速度と押出速度との間に所望のバランスがとれていることを示し得る。このようなシナリオでは、ヌードルの望ましくない捻れ、圧縮、又は伸長が生じないので、ヌードルは、良好な構造特性及びコンフォーマル特性を有し得る。
【0068】
したがって、開示されているシステム及び方法は、押出複合材117に対して所望のヌードル形状(例えば、ヌードル形状516)を実現するように、ワークピース10の相対速度、及び/又は押出速度を調整するステップを含むことができる。特定の望ましいヌードル形状は、例えば、さまざまな複合材料、粘度、速度範囲、ヌードル直径/形状に基づいて異なってもよいことが理解されよう。
【0069】
III.例示的な方法
図6は、例示的な実施による方法600を示す。方法600は、
図2に関連して図示し説明したシステム100の要素を含み得る。これに加えて、又はこれに代えて、方法600の一部又は全部の要素が、
図3、
図4A、及び
図5Aに示す動作シナリオ300、400、及び500に関連していてもよい。
図6は、特定の順序に従って、方法600のいくつかのブロック又はステップを示しているが、方法600のいくつかのブロック又はステップが省略でき、且つ/又は他のブロック又はステップを含んでもよいことが理解されよう。さらに、方法600のブロック又はステップは、異なった順序で、並行して(例えば、同時に)、且つ/又は繰り返し実施することができる。いくつかの実施形態では、方法600の少なくともいくつかのブロックは、
図2に関連して図示及び説明されているように、少なくとも部分的に、コントローラ150によって実施することができる。
【0070】
ブロック602は、ワークピースセンサ(例えば、ワークピースセンサ140)から、ワークピース(例えば、ワークピース10)の少なくとも1つの表面に関するワークピース情報を受信するステップを含む。ワークピース情報は、例えば、ワークピースの表面に関する地形情報(例えば、空隙部領域14の深さ)を含むことができる。ワークピース情報を受信するステップは、有線又は無線の方式で、コントローラ150によって提供することができる。
【0071】
ブロック604は、ワークピース情報に基づいて、複合材料の少なくとも一部を材料コンテナに結合されたノズルからワークピースの表面に押し出すために、材料コンテナに入れられた複合材料に対して、材料供給システム(例えば、材料供給システム110)の材料供給アクチュエータ(例えば、材料供給アクチュエータ116)に力を印加させるステップを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、ワークピースセンサは、レーザー表面形状測定器、又は別の種類の地形走査装置を含むことができる。このようなシナリオでは、ワークピース情報は、ワークピースの表面に沿った、空隙部(例えば、空隙部領域14)の深さ、幅、又は断面積のうちの少なくとも1つを示すことができる。例示的な実施形態では、レーザー表面形状測定器は、LJ-V7000キーエンス超高速インライン表面形状測定器を含むことができる。しかしながら、他のモデル及び/又は種類のレーザー表面形状測定器が可能であり、そのように想定されている。いくつかの実施形態では、レーザー表面形状測定器は、500mm×500mmの大きさの領域にわたってサブミクロンの精度で表面地形を測定する、レーザー変位センサを使用することができる。
【0073】
ワークピース情報のさまざまな分析及び/又は処理を実行できることが理解されよう。例として、いくつかの実施形態では、方法600は、移動平均又は高速フーリエ変換のうちの少なくとも1つを用いて、ワークピース情報をフィルタリングするステップを含む。他のデータ平滑化及び/又は平均化技術が想定され、これが可能である。このようにして、ワークピース情報内の誤った測定値(例えば、測定ノイズ)の存在が低減又は軽減され得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、方法600は、ワークピース情報に基づいて、ノズル(例えば、ノズル118)から押し出される複合材料(例えば、押出複合材117)の大きさを制御するように、可変ゲート(例えば、可変ゲート120)の少なくとも1つのゲート開口ブレード(例えば、ゲート開口ブレード122)を調整するステップをさらに含むことができる。
【0075】
これに加えて、又はこれに代えて、方法600は、押出材料センサ(例えば、押出材料センサ130)から、ノズルから押し出される複合材料の直線押出速度を示す、押出情報を受信するステップを含むことができる。このようなシナリオでは、方法600は、材料供給システムに対するワークピースの相対速度が、ノズルから押し出される複合材料の直線押出速度とほぼ同じになるように、ワークピースに結合された可動ステージ(例えば、可動ステージ160)を動かすステップをさらに含んでもよい。
【0076】
さまざまな実施形態において、方法600は、ワークピース情報、又はノズルから押し出される複合材料の直線押出速度を示す押出情報に基づいて、ノズルから押し出される複合材料が、ワークピースの表面に沿った空隙部(例えば、空隙部領域14)と位置が合うように、ワークピースに結合された可動ステージを動かすステップをさらに含んでもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、方法600は、押出材料センサから、ノズルから押し出される複合材料の直線押出速度を示す、押出情報を受信するステップをさらに含んでもよい。このようなシナリオでは、方法600は、ノズルから押し出される複合材料の直線押出速度に基づいて、材料コンテナに結合されたヒータ(例えば、ヒータ114)の動作を調整するステップをさらに含んでもよい。本明細書の別の箇所で説明したように、ヒータは、望ましい温度(例えば、120°F+/-5°F(48.9℃+/-2.78℃)又は120~150°F(48.9℃~65.6℃)及び/又は望ましい複合材料粘度を維持又は実現するために、複合材料を加熱するように構成することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、方法600は、真空計から、材料コンテナの真空度に関する真空情報を受信するステップを含むことができる。このようなシナリオでは、材料コンテナに入れられた複合材料に対して、材料供給システムの材料供給アクチュエータに力を印加させるステップは、材料コンテナの真空度が所望の真空度を下回っていることを示す真空情報に応答して開始及び/又は実行することができる。
【0079】
例示的な実施形態では、方法600は、ワークピースセンサから、導入状態又は導出状態のうちの少なくとも1つを示す、ワークピース情報を受信するステップを含むことができる。このようなシナリオでは、方法600は、導入状態又は導出状態の判定に応答して、材料コンテナ内の複合材料に印加される力を調整するステップをさらに含む。例えば、導入状態の判定に応答して、コントローラ150は、ノズル118から複合材料115を押し出すために、複合材料115に対して、材料供給アクチュエータ116に力を加えさせることができる。これに加えて、又はこれに代えて、導出状態の判定に応答して、コントローラ150は、材料供給アクチュエータ116が複合材料115に力を加えるのを停止させ、且つ/又は押出複合材117を切断する(例えば、ヌードルを切断する)ために、(複数の)ゲート開口ブレード122が閉じるようにすることができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、方法600は、ノズルからワークピースの表面に押し出される複合材料の所望の形状を形成するために、ノズルから押し出される複合材料に転圧ローラ(例えば、転圧ローラ172)で力を印加するステップを含む。
【0081】
図面に示す特定の構成は、限定するものと考えられてはならない。他の実施形態が、所与の図面に示す各要素よりも多い、又は少ない要素を含んでもよいことを理解されたい。また、図示されている要素の一部は、組み合わされたり省略されたりしてもよい。さらに、例示的な実施形態は、図面に図示されていない要素を含んでもよい。
【0082】
情報の処理を表すステップ又はブロックは、本明細書で説明する方法又は技法の特定の論理機能を実行するように構成できる、回路に対応することができる。これに代えて、又はこれに加えて、情報の処理を表すステップ又はブロックは、プログラムコード(関連データを含む)のモジュール、セグメント、又は部分に対応することができる。プログラムコードは、本方法又は技法で特定の論理機能又は作用を実施するための、プロセッサによって実行可能な1つ以上の命令を含むことができる。プログラムコード及び/又は関連データは、ディスク、又はハードディスクを含む記憶装置などの、任意の種類のコンピュータ読取可能媒体、その他の記憶媒体に記憶することができる。
【0083】
コンピュータ読取可能媒体は、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、及びランダムアクセスメモリ(RAM)などの短期間のデータを記憶するコンピュータ読取可能媒体など、非一時的なコンピュータ読取可能媒体をさらに含むことができる。コンピュータ読取可能媒体は、プログラムコード及び/又はより長期間のデータを記憶する、非一時的なコンピュータ読取可能媒体をさらに含むことができる。したがって、コンピュータ読取可能媒体は、読出専用メモリ(ROM)、光学又は磁気ディスク、コンパクトディスク読出専用メモリ(CD-ROM)などの、二次的又は永続的な長期間の記憶装置を含んでもよい。コンピュータ読取可能媒体は、他の任意の揮発性又は非揮発性の記憶システムにすることもできる。コンピュータ読取可能媒体は、例えば、コンピュータ読取可能記憶媒体、又は有形の記憶装置と考えることができる。
【0084】
種々の有利な配置の説明は、例示及び説明の目的で提示されており、すべてを述べ尽くそうとするものでも、開示された形式の例に限定することを意図するものでもない。多数の変更及び変種が、当業者にとって明らかであろう。また、異なる有利な例によって、他の有利な例と比較して、異なる利点を説明することができる。選択された1つ以上の例は、例の原理及び実際の応用を最も上手く解説するとともに、想定される特定の用途に適した、種々の変更を伴う種々の例の開示を当業者にとって理解可能にするために、選択及び説明されている。
【符号の説明】
【0085】
10 ワークピース、11 第1の複合部材、12 第2の複合部材、14 空隙部領域、20 第1の端部、30 第2の端部、100 システム、110 材料供給システム、112 材料コンテナ、114 ヒータ、115 複合材料、116 材料供給アクチュエータ、117 押出複合材、118 ノズル、119 真空システム、120 可変ゲート、122 ゲート開口ブレード、124 ゲートアクチュエータ、130 押出材料センサ、132 ローラ/符号化センサ、134 レーザードップラーセンサ、136 カメラ、140 ワークピースセンサ、142 導入/導出スキャナ、144 検査用スキャナ、150 コントローラ、152 プロセッサ、154 メモリ、160 可動ステージ、162 ステージアクチュエータ、170 押出後成形装置、172 転圧ローラ、180 材料自動充填装置、300 動作シナリオ、400 動作シナリオ、402 表面形状測定走査、404 表面形状測定走査、406 表面形状測定走査、408 表面形状測定走査、410 4回の連続した走査、420 サンプルデータ、500 動作シナリオ、502 押出複合材の形状の側面図、504 押出複合材の形状、506 転圧面、510 ヌードル形状、512 ヌードル形状、514 ヌードル形状、516 ヌードル形状、518 ヌードル形状、600 方法