(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】通信装置、その制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 48/18 20090101AFI20240826BHJP
H04L 69/00 20220101ALI20240826BHJP
H04W 4/00 20180101ALI20240826BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20240826BHJP
H04W 76/34 20180101ALI20240826BHJP
【FI】
H04W48/18 115
H04L69/00
H04W4/00 110
H04W48/16
H04W76/34
(21)【出願番号】P 2020057794
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】池田 郁
【審査官】鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-073169(JP,A)
【文献】特開2014-086844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
H04L69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに参加が可能な通信装置であって、
前記ネットワークを介してデータ処理装置との通信を確立し、前記データ処理装置と第一の通信方式に従ってデータ通信を行う第一の通信手段と、
前記第一の通信方式に従うデータ通信よりも通信速度が遅い第二の通信方式に従って前記データ処理装置とデータ通信を行う第二の通信手段と、
第一の手順と、前記第一の手順と比較して前記第一の通信方式での通信の確立に要するユーザの操作量が大きい第二の手順とを含む複数の手順のうち、いずれかの手順によって前記第一の通信方式での通信を確立するよう制御し、更に前記データ処理装置と通信するためのアプリケーションを含む複数のアプリケーションの実行を制御する制御手段と、
前記アプリケーションの切り替え指示を受け付ける受け付け手段と、
前記第一の通信手段を介して前記データ処理装置との通信を確立した状態で、前記アプリケーションの切り替え指示を受け付けた場合、前記切り替え指示を受けた切り替え先のアプリケーションがインターネットへの接続を必要とするか否かを判断する判断手段とを有し、
前記制御手段は、前記判断手段の判断の結果および前記第一の通信方式での通信が確立された手順に応じて、前記第1の通信方式での通信を切断するか否かを制御し、
前記第一の手順は、
前記第二の通信方式で前記データ処理装置と通信した情報に基づき前記第一の通信方式での通信を確立する手段であり、
前記第二の手順は、ユーザ操作によって入力された情報に基づき前記第一の通信方式での通信を確立する手段であり、
前記制御手段は、前記判断手段の判断の結果
および前記第一の通信方式での通信が確立された手順が前記第1の手順であることに応じて、前記第1の通信方式での通信を切断し、
前記判断手段の判断の結果
および前記第一の通信方式での通信が確立された手順が前記第2の手順であることに応じて、前記第1の通信方式での通信を切断しないことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記判断手段により前記切り替え指示を受けた切り替え先のアプリケーションがインターネットへの接続を必要とすると判断された場合、前記第一の通信方式での通信方式での通信を切断するよう制御し、
前記判断手段により前記切り替え指示を受けた切り替え先のアプリケーションがインターネットへの接続を必要としないと判断され、且つ前記アプリケーションの切り替え指示を受け付けた際に確立されている前記第一の通信手段を介した前記データ処理装置との通信が前記第一の手順で確立された場合、前記第1の通信方式での通信を切断するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記判断手段により前記切り替え指示を受けた切り替え先のアプリケーションがインターネットへの接続を必要としないと判断され、且つ前記アプリケーションの切り替え指示を受け付けた際に確立されている前記第一の通信手段を介した前記データ処理装置との通信が前記第二の手順で確立された場合、前記第一の通信方式での通信を切断しないよう制御することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記判断手段は、前記切り替え先のアプリケーションが画像を表示するアプリケーションである場合に、インターネットへの接続を必要でないと判断することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記画像を表示するアプリケーションは、前記通信装置にプリインストールされたアプリケーションであることを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信装置が参加している前記ネットワークが、インターネットへの接続の機能を持つ外部のアクセスポイントにより形成されたネットワークである場合、前記制御手段は、
前記アプリケーションの切り替え指示を受け付けたとしても、前記判断手段の判断に関わらず前記第1の通信方式での通信を切断しないよう制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
ネットワークに参加し、前記ネットワークを介してデータ処理装置との通信を確立し、前記データ処理装置と第一の通信方式に従ってデータ通信を行う第一の通信手段と、
前記第一の通信方式に従うデータ通信よりも通信速度が遅い第二の通信方式に従って前記データ処理装置とデータ通信を行う第二の通信手段と、を有する通信装置の制御方法であって、
第一の手順と、前記第一の手順と比較して前記第一の通信方式での通信の確立に要するユーザの操作量が大きい第二の手順とを含む複数の手順のうち、いずれかの手順によって前記第一の通信方式での通信を確立するよう制御し、更に前記データ処理装置と通信するためのアプリケーションを含む複数のアプリケーションの実行を制御する制御ステップと、
前記アプリケーションの切り替え指示を受け付ける受け付けステップと、
前記第一の通信手段を介して前記データ処理装置との通信を確立した状態で、前記アプリケーションの切り替え指示を受け付けた場合、前記切り替え指示を受けた切り替え先のアプリケーションがインターネットへの接続を必要とするか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップの判断の結果および前記第一の通信方式での通信が確立された手順に応じて、前記第1の通信方式での通信を切断するか否かを制御するステップを有し、
前記第一の手順は、
前記第二の通信方式で前記データ処理装置と通信した情報に基づき前記第一の通信方式での通信を確立する手段であり、
前記第二の手順は、ユーザ操作によって入力された情報に基づき前記第一の通信方式での通信を確立する手段であり、
前記第1の通信方式での通信を切断するか否かを制御するステップは、前記判断手段の判断の結果
および前記第一の通信方式での通信が確立された手順が前記第1の手順であることに応じて、前記第1の通信方式での通信を切断し、
前記判断手段の判断の結果
および前記第一の通信方式での通信が確立された手順が前記第2の手順であることに応じて、前記第1の通信方式での通信を切断しないことを特徴とする通信装置の制御方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の通信装置の各手段として機能させるための、コンピュータが読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して他の機器と通信する通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどのデータ処理装置に無線通信機能を搭載し、データ処理装置の保持する画像データを外部装置に送信する技術が知られている(特許文献1)。この機能を用いることで画像データをより手軽に外部装置に送信することが可能である。
【0003】
また近年では、デジタルカメラに簡易的なアクセスポイント機能を搭載したものも知られている。デジタルカメラが簡易的なアクセスポイント機能を起動すると、他の装置がデジタルカメラをアクセスポイントとして検知し、デジタルカメラが形成したネットワークに参加する。このようにすることで、デジタルカメラと他の装置を容易に通信させることが可能となる。
【0004】
一般的に使用されているアクセスポイントなどの中継装置は、公衆網などに接続する回線を有しており、インターネットを介した通信などを行うことができる。その一方で、デジタルカメラなどのデータ処理装置は、公衆網などに接続する回線を有していない。したがって、簡易的なアクセスポイント機能で形成したネットワークに参加しても、インターネットなどの外部ネットワークと通信できないケースが考えられる。特に、昨今のスマートフォンなどはアクセスポイントが形成するネットワークに参加している状態では、公衆網を用いたデータ通信ができないようにOSによって制御されるものも存在する。この問題を解決するために、外部装置がデータ処理装置と通信するための通信アプリケーションを中断された際に、簡易的なアクセスポイントのネットワークから離脱するようにすることが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-166577号公報
【文献】特開2014-86844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2で開示された方法により、通信装置では、通信アプリケーションから他のアプリケーションへと切り替えられた際に、切り替え先のアプリケーションで外部ネットワークを使用できる。しかしながら、どのようなアプリケーションであっても必ずしも簡易的なアクセスポイントのネットワークから離脱する必要があるとは言えない。例えばインターネットの使用が想定されないアプリケーションに切り替えられる場合は、簡易的なアクセスポイントのネットワークに参加した状態を維持していても問題は生じないものと考えられる。このような場合にも簡易的なアクセスポイントのネットワークから離脱するようにしてしまうと、再度データ処理装置と通信したい場合にデータ処理装置と通信を可能にするための手順を再度行う必要があり、手間と感じる虞があった。そこで、本発明は、インターネットを利用できないネットワークへの参加中にアプリケーションを切り替える場合に、適切なネットワークを利用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の通信装置は、ネットワークに参加が可能な通信装置であって、前記ネットワークを介してデータ処理装置との通信を確立し、前記データ処理装置と第一の通信方式に従ってデータ通信を行う第一の通信手段と、前記第一の通信方式に従うデータ通信よりも通信速度が遅い第二の通信方式に従って前記データ処理装置とデータ通信を行う第二の通信手段と、第一の手順と、前記第一の手順と比較して前記第一の通信方式での通信の確立に要するユーザの操作量が大きい第二の手順とを含む複数の手順のうち、いずれかの手順によって前記第一の通信方式での通信を確立するよう制御し、更に前記データ処理装置と通信するためのアプリケーションを含む複数のアプリケーションの実行を制御する制御手段と、前記アプリケーションの切り替え指示を受け付ける受け付け手段と、前記第一の通信手段を介して前記データ処理装置との通信を確立した状態で、前記アプリケーションの切り替え指示を受け付けた場合、前記切り替え指示を受けた切り替え先のアプリケーションがインターネットへの接続を必要とするか否かを判断する判断手段とを有し、前記制御手段は、前記判断手段の判断の結果および前記第一の通信方式での通信が確立された手順に応じて、前記第1の通信方式での通信を切断するか否かを制御し、前記第一の手順は、前記第二の通信方式で前記データ処理装置と通信した情報に基づき前記第一の通信方式での通信を確立する手段であり、前記第二の手順は、ユーザ操作によって入力された情報に基づき前記第一の通信方式での通信を確立する手段であり、前記制御手段は、前記判断手段の判断の結果および前記第一の通信方式での通信が確立された手順が前記第1の手順であることに応じて、前記第1の通信方式での通信を切断し、前記判断手段の判断の結果および前記第一の通信方式での通信が確立された手順が前記第2の手順であることに応じて、前記第1の通信方式での通信を切断しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インターネットを利用できないネットワークへの参加中にアプリケーションを切り替える場合に、適切なネットワークを利用できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態におけるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【
図2】(a)は第1の実施形態における携帯電話の構成を示すブロック図であり、(b)は第1の実施形態における携帯電話の外観図の一例である。
【
図3】第1の実施形態におけるネットワーク構成を示す図である。
【
図4】第1の実施形態におけるデジタルカメラの動作を示すフローチャートである。
【
図5】第1の実施形態における表示画面の一例である。
【
図6】第1の実施形態における携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【
図7】第1の実施形態におけるデジタルカメラの動作を示すフローチャートである。
【
図8】第1の実施形態における携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【
図9】第1の実施形態における携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【
図10】第1の実施形態における表示画面の一例である。
【
図11】第1の実施形態におけるデジタルカメラの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について、添付の図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されてもよい。また、各実施の形態を適宜組み合せることも可能である。
【0012】
[第1の実施形態]
<デジタルカメラの構成>
図1は、本実施形態のデータ処理装置の一例であるデジタルカメラ100の構成例を示すブロック図である。なお、ここではデータ処理装置の一例としてデジタルカメラについて述べるが、データ処理装置はこれに限られない。例えばデータ処理装置は携帯型のメディアプレーヤやいわゆるタブレットデバイス、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置であってもよい。
【0013】
制御部101は、入力された信号や、後述のプログラムに従ってデジタルカメラ100の各部を制御する。なお、制御部101が装置全体を制御する代わりに、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体を制御してもよい。
【0014】
撮像部102は、撮像部102に含まれるレンズで結像された被写体光を電気信号に変換し、ノイズ低減処理などを行いデジタルデータを画像データとして出力する。撮像した画像データはバッファメモリに蓄えられた後、制御部101にて所定の演算を行い、記録媒体110に記録される。
【0015】
不揮発性メモリ103は、電気的に消去・記録可能な不揮発性のメモリであり、制御部101で実行される後述のプログラム等が格納される。
【0016】
作業用メモリ104は、撮像部102で撮像された画像データを一時的に保持するバッファメモリや、表示部106の画像表示用メモリ、制御部101の作業領域等として使用される。
【0017】
操作部105は、デジタルカメラ100に対する指示をユーザから受け付けるために用いられる。操作部105は例えば、ユーザがデジタルカメラ100の電源のON/OFFを指示するための電源ボタンや、撮影を指示するためのレリーズスイッチ、画像データの再生を指示するための再生ボタンなどの操作部材を含む。また、後述する表示部106に形成されるタッチパネルも操作部105に含まれる。なお、レリーズスイッチは、SW1およびSW2を有する。レリーズスイッチが、いわゆる半押し状態となることにより、SW1がONとなる。これにより、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の撮影準備を行うための指示を受け付ける。また、レリーズスイッチが、いわゆる全押し状態となることにより、SW2がONとなる。これにより、撮影を行うための指示を受け付ける。
【0018】
表示部106は、撮影の際のビューファインダー画像の表示、撮影した画像データの表示、対話的な操作のための文字表示などを行う。なお、表示部106は必ずしもデジタルカメラ100が内蔵する必要はない。デジタルカメラ100は内部又は外部の表示部106と接続することができ、表示部106の表示を制御する表示制御機能を少なくとも有していればよい。
【0019】
記録媒体110は、撮像部102から出力された画像データを記録することができる。記録媒体110は、デジタルカメラ100に着脱可能なよう構成してもよいし、デジタルカメラ100に内蔵されていてもよい。すなわち、デジタルカメラ100は少なくとも記録媒体110にアクセスする手段を有していればよい。
【0020】
接続部111は、外部装置と接続するためのインターフェースである。本実施形態のデジタルカメラ100は、接続部111を介して、外部装置とデータのやりとりを行うことができる。なお、本実施形態では、接続部111は外部装置と無線LANで通信するためのインターフェースを含む。制御部101は、接続部111を制御することで外部装置との無線通信を実現する。なお、通信方式は無線LANに限定されるものではない。
【0021】
なお、本実施形態におけるデジタルカメラ100は、無線LAN通信のインフラストラクチャモードにおけるスレーブ装置として動作することが可能である。スレーブ装置として動作する場合、周辺のアクセスポイント(以下、AP)に接続することで、APが形成するネットワークに参加することが可能である。また、本実施形態におけるデジタルカメラ100は、APの一種ではあるが、より機能が限定された簡易的なAP(以下、簡易AP)として動作することも可能である。なお、本実施形態におけるAPは中継装置の一例である。デジタルカメラ100が簡易APとして動作すると、デジタルカメラ100は自身でネットワークを形成する。デジタルカメラ100の周辺の装置は、デジタルカメラ100をAPと認識し、デジタルカメラ100が形成したネットワークに参加することが可能となる。上記のようにデジタルカメラ100を動作させるためのプログラムは不揮発性メモリ103に保持されているものとする。
【0022】
なお、本実施形態におけるデジタルカメラ100はAPの一種であるものの、スレーブ装置から受信したデータをインターネットプロバイダなどに転送するゲートウェイ機能は有していない簡易APである。したがって、自機が形成したネットワークに参加している他の装置からデータを受信しても、それをインターネットなどのネットワークに転送することはできない。
【0023】
近距離無線通信部112は、例えば無線通信のためのアンテナと無線信号を処理するため変復調回路や通信コントローラから構成される。近距離無線通信部113は、変調した無線信号をアンテナから出力し、またアンテナで受信した無線信号を復調することによりIEEE802.15の規格(いわゆるBluetooth(登録商標))に従った近距離無線通信を実現する。本実施形態においてBluetooth通信は、低消費電力であるBluetooth Low Energyのバージョン4.0を採用する。このBluetooth通信は、無線LAN通信と比べて通信可能な範囲が狭い(つまり、通信可能な距離が短い)。また、Bluetooth通信は、無線LAN通信と比べて通信速度が遅い。その一方で、Bluetooth通信は、無線LAN通信と比べて消費電力が少ない。
【0024】
以上がデジタルカメラ100の説明である。次に、外部装置の一例である携帯電話200について説明する。
【0025】
<携帯電話の構成>
図2(a)は、本実施形態の通信装置の一例である携帯電話200の構成例を示すブロック図である。なお、ここでは通信装置の一例として携帯電話について述べるが、通信装置はこれに限られない。例えば通信装置は、無線機能付きのデジタルカメラ、携帯型のメディアプレーヤやいわゆるタブレットデバイス、パーソナルコンピュータ、スマートフォンなどの情報処理装置であってもよい。
【0026】
制御部201は、入力された信号や、後述のプログラムに従って携帯電話200の各部を制御する。なお、制御部201が装置全体を制御する代わりに、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体を制御してもよい。
【0027】
撮像部202は、撮像部202に含まれるレンズで結像された被写体光を電気信号に変換し、ノイズ低減処理などを行いデジタルデータを画像データとして出力する。撮像した画像データはバッファメモリに蓄えられた後、制御部201にて所定の演算を行い、記録媒体210に記録される。
【0028】
不揮発性メモリ203は、電気的に消去・記録可能な不揮発性のメモリであり、制御部201が実行する基本的なソフトウェアであるOS(オペレーティングシステム)や、各種プログラム等が格納される。デジタルカメラ100と通信するためのプログラムも不揮発性メモリ203に保持され、カメラ通信アプリケーションとしてインストールされているものとする。なお、本実施形態における携帯電話200の処理は、カメラ通信アプリケーションにより提供されるプログラムを読み込むことにより実現される。なお、カメラ通信アプリケーションは携帯電話200にインストールされたOSの基本的な機能(例えば無線LANの機能やBluetoothの機能、ほかのアプリケーションの呼び出し機能など)を利用するためのプログラムを有しているものとする。また、カメラ通信アプリケーションは、デジタルカメラ100から得られるライブビュー画像を携帯電話200で見ながら、携帯電話200からデジタルカメラ100を遠隔操作で撮影を行うリモート撮影機能を有する。さらに、カメラ通信アプリケーションは、デジタルカメラ100に装着されている記録媒体に記録されている画像データをリモートで閲覧したり、その画像データを受信するリモート閲覧機能を有する。
【0029】
なお、携帯電話200のOSが本実施形態における処理を実現するためのプログラムを有していてもよい。
【0030】
作業用メモリ204は、撮像部202で生成された画像データを一時的に保存するバッファメモリや、表示部206の画像表示用メモリや、制御部201の作業領域等として使用される。
【0031】
操作部205は、携帯電話200に対する指示をユーザから受け付けるために用いられる。操作部205は例えば、ユーザが携帯電話200の電源のON/OFFを指示するための電源ボタンや、表示部206に形成されるタッチパネルなどの操作部材を含む。
【0032】
表示部206は、画像データの表示、対話的な操作のための文字表示などを行う。なお、表示部206は必ずしも携帯電話200が内蔵する必要はない。携帯電話200は表示部206と接続することができ、表示部206の表示を制御する表示制御機能を少なくとも有していればよい。
【0033】
記録媒体210は、撮像部202から出力された画像データや、データ処理装置から受信した画像データを記録することができる。記録媒体210は、携帯電話200に着脱可能なよう構成してもよいし、携帯電話200に内蔵されていてもよい。すなわち、携帯電話200は少なくとも記録媒体210にアクセスする手段を有していればよい。
【0034】
接続部211は、外部装置と接続するためのインターフェースである。本実施形態の携帯電話200は、接続部211を介して、外部装置とデータのやりとりを行うことができる。なお、本実施形態では、接続部211は外部装置と無線LANで通信するためのインターフェースを含む。制御部201は、接続部211を制御することで外部装置との無線通信を実現する。なお、本実施形態におけるデジタルカメラ100は、少なくとも無線LAN通信のインフラストラクチャモードにおけるスレーブ装置として動作することが可能であり、周辺のAPが形成するネットワークに参加することが可能である。
【0035】
公衆網接続部212は、公衆無線通信を行う際に用いられるインターフェースである。携帯電話200は、公衆網接続部212を介して、他の機器と通話をしたり、データ通信をすることができる。通話の際には、制御部201はマイク213およびスピーカ214を介して音声信号の入力と出力を行う。本実施形態では、公衆網接続部212は3Gを用いた通信を行うためのインターフェースを含むものとする。なお、3Gに限らず、LTEやWiMAX、ADSL、FTTH、いわゆる4Gといった他の通信方式を用いてもよい。また、接続部211および公衆網接続部212は必ずしも独立したハードウェアで構成する必要はなく、例えば一つのアンテナで兼用することも可能である。
【0036】
近距離無線通信部215は、他の外部装置と近距離無線接続するためのインターフェースである。本実施形態の携帯電話200は、近距離無線接続部215を介して、他の外部装置とデータのやりとりを行うことができる。なお、本実施形態では、近距離無線接続部215は他の外部装置とBluetoothで通信するためのインターフェースを含む。制御部201は、近距離無線接続部215を制御することで他の外部装置とのBluetooth通信を実現する。
【0037】
次に、携帯電話200の外観について説明する。
図2(b)は携帯電話200の外観の一例を示す図である。電源ボタン205aやホームボタン205b、タッチパネル205cは、前述の操作部205に含まれる操作部材である。ホームボタン205bはユーザが押下することで実行中のアプリケーションの使用を中断し、他のアプリケーションを選択できるホーム画面を表示部206に表示することができる。
【0038】
携帯電話200のホーム画面には、各アプリケーションに対応するアイテムが配置され、各アプリケーションの起動や、バックグラウンドで起動中のアプリケーションの呼び出しを行うことができる。例えば、アイテム221は、本実施例において携帯電話200がデジタルカメラ100と通信するためのカメラ通信アプリケーションのアイテムである。アイテム222は携帯電話200に保存された画像をユーザが閲覧するための画像表示アプリケーションのアイテムである。アイテム223はサーバと通信し他ユーザと画像や文章などの共有を行うSNS(ソーシャルネットワークサービス)アプリケーションのアイテムである。本実施形態においては、カメラ通信アプリケーションはデジタルカメラ100のメーカーによりアプリ配布サイトを介して提供されるアプリケーションである。また、画像表示アプリケーションは、携帯電話200にプリインストールされているアプリケーションであるものとする(すなわち、携帯電話200のOS上で標準搭載されるアプリケーションとする)。SNS(ソーシャルネットワークサービス)アプリケーションはそのアプリのデベロッパーによりアプリ配布サイトを介して提供されるアプリケーションである。
【0039】
ホーム画面では、例えばアイテム221が押下(タッチ)されると、カメラ通信アプリケーションがまだ起動していなかった場合には新規に起動して画面を表示する。すでにバックグラウンドで実行中である場合は、改めての起動はせず、実行中のアプリをフォアグランドに遷移させて画面を再表示する。
【0040】
また、携帯電話200では、OSに対して特定の指示を入力することにより、ホーム画面を介さずにアプリケーションを切り替えたり、実行したりすることができる。このとき、特定の指示を入力する際に実行中のアプリケーションはバックグラウンドへ遷移される。そして、切り替えを指示されたアプリケーションは新規に起動されるか、または、バックグラウンドからフォアグラウンドに遷移されて動作する。
【0041】
以上が携帯電話200の説明である。
【0042】
<接続形態の概要>
図3は、本実施形態における、デジタルカメラ100と携帯電話200との無線LAN通信の接続形態を模式的に表した図である。デジタルカメラ100と携帯電話200が無線LAN通信でデータを送受信する場合、
図3(a)、
図3(b)の2つの接続形態が考えられる。
【0043】
図3(a)は、外部中継装置の一例である外部AP300が形成する無線LANネットワークに、デジタルカメラ100と携帯電話200とが参加する形態である。デジタルカメラ100及び携帯電話200は、外部AP300が定期的に送信するビーコン信号を検知し、外部AP300が形成する無線LANネットワークに参加する。デジタルカメラ100と携帯電話200は同じ無線LANネットワークに参加した後、互いの機器発見、機器の能力取得などを経て無線LANによるデータの送受信が可能な状態となる(機器間の通信を確立する)。
【0044】
また、本実施形態における外部AP300は、公衆網などを用いてインターネットなどの外部ネットワークに接続することが可能である。したがって、携帯電話200は、外部AP300を介してインターネット上にデータを送信することが可能である。
【0045】
図3(b)は、外部AP300を介さず、デジタルカメラ100と携帯電話200とが直接接続する形態である。この場合は、デジタルカメラ100が簡易APとして動作して無線LANネットワークを形成する。デジタルカメラ100は簡易APとして動作すると、ビーコン信号の定期的な送信を開始する。携帯電話200はビーコン信号を検知し、デジタルカメラ100が形成した無線LANネットワークに参加する。そして
図3(a)の場合と同様、互いの機器発見、機器の能力取得などを経て通信を確立し、データの送受信が可能な状態となる。
【0046】
なお、前述したように、本実施形態におけるデジタルカメラ100はインターネットなどの外部ネットワークへの通信機能を有していない。したがって、デジタルカメラ100が形成する無線LANネットワークに参加している携帯電話200は、簡易APを介してインターネットなどにデータを送信することはできない。
【0047】
以上述べたように、デジタルカメラ100と携帯電話200での無線LAN通信には2通りの接続形態がある。本実施形態では、これらの接続形態に応じて適切な制御を行う例について説明する。
【0048】
<接続処理>
図4は、携帯電話200と接続する際のデジタルカメラ100の処理を示すフローチャートである。なお、本フローチャートに示す処理は、デジタルカメラ100の制御部101が入力信号やプログラムにしたがい、デジタルカメラ100の各部を制御することにより実現される。なお、特に断らない限り、デジタルカメラ100の処理を示す他のフローチャートでも同様である。本フローチャートは、デジタルカメラ100のユーザがメニュー操作などで他装置との接続を指示したことに応じて開始される。
【0049】
ステップS401で、制御部101は外部APの形成する無線LANネットワークに参加するか、自機を簡易APとして動作させるかを選択させる画面を表示部106に表示する。本ステップで表示される画面の一例を
図5(a)に示す。
【0050】
ステップS402において、ユーザ操作によりボタン501が選択されたと判断した場合、制御部101は無線LANネットワークを形成することが選択されたと判断し、処理をステップS402に進める。ユーザ操作によりボタン502が選択されたと判断した場合、制御部101は外部APが形成する無線LANネットワークに参加することが選択されたと判断し、処理をステップS407に進める。
【0051】
ステップS403で、制御部101は無線LANネットワークを形成する。具体的には、制御部101はネットワークを形成するのに必要なESSID、BSSID、認証方式、暗号種別、暗号鍵を生成する。また制御部101は、接続機器がネットワークに参加するために必要な情報として、少なくともESSIDおよび暗号鍵を表示部106に表示する。この表示の一例を
図5(b)に示す。
図5(b)の例では、ダイアログ503に示されるように、ESSIDは「CAMERA-123」、暗号鍵は「12345678」に決定されている。ここで、制御部101が生成する無線LANネットワークのESSIDは、接頭辞“CAMERA-”を付与するものとする。なお、暗号鍵やESSIDは接続ごとや接続機器ごとに生成してもよいし、常に同じになるようにしてもよい。さらに本ステップでは、他機器との通信を可能にするため、IPアドレスの割り当て、サブネットの設定を行い、ステップS404に進む。
【0052】
一方、ステップS407に進んだ場合、制御部101は周辺の無線LANネットワークをスキャンし、その結果検出されたビーコン信号に含まれるESSIDの一覧を表示部106に表示する。この際の画面の一例を
図5(c)に示す。
図5(c)の例では、「NETWORK-100」及び「NETWORK-101」というESSIDが検出されている。ユーザ操作により、
図5(c)のリスト504から無線LANネットワークが選択されると、制御部101は選択された無線LANネットワークへの参加、つまりAPへの接続処理を行う。さらに、他機器との通信を可能にするため、IPアドレスの割り当て、サブネットの設定を行い、ステップS404に進む。
【0053】
ステップS404で、制御部101は、同一ネットワーク内の接続可能な機器を検索する。なお、ここで携帯電話200がデジタルカメラ100により検索可能な状態になるためには、携帯電話200側での操作が必要になる。以下、
図5、
図6を用いて、携帯電話200側の操作について説明する。
図6は、
図4の処理に対応する本実施形態における携帯電話200の処理を示すフローチャートである。なお、本フローチャートに示す処理は、携帯電話200の制御部201が入力信号やプログラムに従い、携帯電話200の各部を制御することにより実現される。本実施形態では、制御部201が実行するカメラ通信アプリケーションとOSとが協働することで
図6の処理を実現する。なお、特に断らない限り、携帯電話200の処理を示す他のフローチャートでも同様である。
【0054】
まず、携帯電話200のユーザにより所定の操作がなされたことに応じて、ステップS601で制御部201は、参加する無線LANネットワークを選択する画面を表示部206に表示させる。この画面に遷移すると、制御部201は周辺の無線LANネットワークのスキャンを行い、その結果検出されたESSIDのリスト510を表示する。画面の一例を
図5(e)に示す。本実施形態では、これらの処理はカメラ通信アプリケーションの起動前に携帯電話200のOSの機能により行われるが、予め起動されたカメラ通信アプリケーションがOSの機能と連携しながら処理を行ってもよい。ここで、デジタルカメラ100が簡易APとして動作している場合は、携帯電話200はデジタルカメラ100のESSIDを検出し、リスト510に表示する。
図5(e)では、デジタルカメラ100のESSIDとして「CAMERA-123」が表示されている。
【0055】
ステップS602で、制御部201はリスト510のうちいずれかのESSIDが選択されるのを待機する。ユーザ操作により、リスト510のうちいずれかのESSIDが選択されると、ステップS603において制御部201は対応する無線LANネットワークへの参加処理を行う。これで、ネットワークへの参加は完了する。
【0056】
ネットワークへの参加後、携帯電話200のユーザは携帯電話200にインストールされたカメラ通信アプリケーションを起動する。カメラ通信アプリケーションを起動した後の携帯電話200の処理を
図6(b)のフローチャートで説明する。カメラ通信アプリケーションの主な機能としては、同じネットワーク内に存在するデジタルカメラと通信を確立する機能、画像データなどのコンテンツデータを送受信する機能がある。
【0057】
ユーザ操作に基づきカメラ通信アプリケーションが起動されると、ステップS651において、制御部201は、
図5(f)のような待機画面を表示部206に表示する。ダイアログ511には、現在参加しているネットワークのSSIDが表示される。
図5(f)は、
図5(e)の画面で「CAMERA-123」が選択された場合の表示例を示している。また、制御部201は、カメラ通信アプリケーションを起動後、デジタルカメラ100が携帯電話200を検出できるよう、無線LANネットワークを介して自機器のサービスの通知を行う。デジタルカメラ100はこのサービスの通知に基づき、携帯電話200を検出することができる。なお、このサービスの通知には携帯電話200のデバイス名及びUUIDが含まれる。ステップS652において、制御部201はデジタルカメラ100からの接続要求を待機する。接続要求があったと判断した場合は、ステップS653においてデジタルカメラ100との通信を確立する。
【0058】
図4の説明に戻る。ステップS404で、制御部101は、同一ネットワークに存在する接続可能な機器を検索する。前述したように、携帯電話200側でサービス通知が行われていれば、デジタルカメラ100は携帯電話200を検出することができる。検索の結果、接続可能な機器を検出した場合、制御部101はサービスの通知に含まれるデバイス名を表示部106にリスト表示する。リスト表示の一例を
図5(d)に示す。また、同じくサービスの通知に含まれるUUIDとデバイス名とを関連づけて作業用メモリ104に保存する。
【0059】
なお、本実施形態ではサービスの通知にデバイス名とUUIDが含まれる構成としたが、サービスの通知を受信したデジタルカメラ100が、デバイス名及びUUIDを携帯電話200に問い合わせる構成としてもよい。
【0060】
ステップS405で、制御部101はステップS404でリスト表示された機器名のうちいずれかを選択するユーザ操作を受け付ける。
【0061】
ステップS406で、制御部101は、ステップS405で選択された機器のUUIDを用いて携帯電話200に接続要求を送信し、選択された機器との無線LAN通信を確立する。なお、本実施形態では相手機器のUUIDを用いて接続を実行するが、UUIDからIPアドレスやポート番号を特定して接続したり、検索を行う時点でIPアドレスを入手してもよい。
【0062】
<Bluetooth通信から無線LAN通信へのハンドオーバー>
ここで、ハンドオーバーの概念について説明する。本実施形態でいうハンドオーバーとは第1の通信方式で通信を行うための情報をまず第2の通信方式で送受信し、その情報を用いて第1の通信方式による通信を確立することをいう。なお本実施形態では、第1の通信方式で通信を行うための情報をまず第2の通信方式で送受信し、その情報を用いて第1の通信方式で通信を行う場合、「第2の通信から第1の通信へハンドオーバーする」という。
【0063】
本実施形態では、デジタルカメラ100と携帯電話200での通信において、Bluetooth通信から無線LAN通信へのハンドオーバーが可能である。本実施形態では、Bluetooth通信から無線LAN通信へのハンドオーバー時には、デジタルカメラ100は自機を簡易APとして動作させ、無線LANネットワークを形成する。
【0064】
なお、第1の通信方式と第2の通信方式は任意に設定可能であるが、例えば第2の通信方式をより低消費電力の方式とし、第1の通信方式をより高転送速度の方式とすることで電力を効率よく用いることができる。例えば、第2の通信方式で待機し、大きなデータの転送時に第1の通信方式に切り替える、といった使い方が可能である。また、携帯電話200は、第2の通信方式により第1の通信方式で通信を行うための情報を受信し、その情報をOSを介して設定することで、手動操作の手間を省いて無線LAN接続が可能である。
【0065】
具体的には、ユーザが携帯電話200側でESSIDを選択したり、デジタルカメラ100側で通信形態を選択したりといった手動操作の手間を省くことができる。
【0066】
以下、
図7及び
図8を用いて、Bluetooth通信から無線LAN通信へのハンドオーバーによる無線LAN接続のフローを説明する。ここではデジタルカメラ100と携帯電話200は既に暗号化されたBluetooth通信のペアリングが完了し、Bluetooth通信を確立しているものとして説明する。また、本実施形態においては、Bluetooth通信が確立すると、携帯電話200の制御部201は、近距離無線通信部215を介し、デジタルカメラ100へ自機器のサービスの通知を行う。このサービスの通知には携帯電話200のデバイス名、UUID及びIPアドレスが含まれる。また、本実施形態では、Bluetooth通信が確立すると、デジタルカメラ100の制御部101は、近距離無線通信部112を介し、携帯電話200へ、後述するハンドオーバーのフローで形成する無線LANネットワークの設定情報をあらかじめ送信する。この無線LANネットワークの設定情報には、ハンドオーバーにおいて形成する無線LANネットワークのESSID、暗号鍵、および機器のIPアドレスを含む。ここで、ステップS403で無線LANネットワークを生成するときと同様に、制御部101が生成する無線LANネットワークのESSIDは、接頭辞“CAMERA-”を付与するものとする。
【0067】
図7は、Bluetooth通信から無線LAN通信へのハンドオーバーにおいて、デジタルカメラ100が実行する処理のフローチャートである。本フローチャートの処理は、制御部101が入力信号やプログラムに従い、デジタルカメラ100の各部を制御することにより実現される。
【0068】
ステップS701で、制御部101は、近距離無線通信部112を介し、無線LAN通信の開始要求を受信すると、ステップS402に進む。ここで、無線LAN通信の開始要求は、後述する携帯電話200の制御部201の処理により、
図8のステップS801で、Bluetooth通信により送信されるものである。
【0069】
ステップS702で、制御部101は、Bluetooth通信時に携帯電話200へ送信した無線LANネットワークの設定情報に従った無線LANネットワークを形成する。すなわち、デジタルカメラ100は、近距離無線通信部112を介し、無線LAN通信の開始要求を受信した際は、自機を簡易APとして動作させる。
【0070】
ステップS703で、制御部101は、同一ネットワーク内の接続可能な機器を検索し、携帯電話200が同一ネットワーク内に参加するのを待ち受ける。なお、ここで携帯電話200がデジタルカメラ100により検索可能な状態になるためには、携帯電話200側での処理が必要となる。
【0071】
図8は、Bluetooth通信から無線LAN通信へのハンドオーバーにおいて、
図7の処理に対応する携帯電話200が実行する処理のフローチャートである。本フローチャートの処理は、制御部101が入力信号やプログラムに従い、デジタルカメラ100の各部を制御することにより実現される。本実施形態では、制御部201が実行するカメラ通信アプリケーションとOSとが協働することで
図8の処理を実現する。なお、
図8の処理を開始する際には、携帯電話200においてカメラ通信アプリケーションが起動されているものとする。
【0072】
まず、ネットワーク参加までの携帯電話200の処理を
図8(a)のフローチャートで説明する。
図8(a)のフローチャートは、Bluetooth通信時にBluetooth通信から無線LAN通信へのハンドオーバーを必要とするトリガが生じたことに応じて開始される。このトリガとは、例えば、リモート撮影機能や、リモート閲覧機能を行う指示をカメラ通信アプリケーションが受け付けた場合である。また、単に無線LANでの接続を指示される場合であってもよい。
【0073】
上記のトリガが生じたことに応じて、ステップS801で、制御部201は、近距離無線通信部215を介し、デジタルカメラ100へ無線LAN通信の開始要求を送信する。
【0074】
ステップS802で、制御部201は、Bluetooth通信の確立時にあらかじめ受信した無線LANネットワーク設定情報に基づき、対応する無線LANネットワークへの参加処理を行う。ここで、この無線LANネットワークは、ステップS702においてデジタルカメラ100の制御部101が形成したものである。これで、ネットワークへの参加は完了する。
【0075】
次にネットワークへ参加後の携帯電話200の処理を
図8(b)のフローチャートで説明する。
図8(b)では
図6(b)と共通する処理には同じステップ番号を付しており、説明を省略する。
【0076】
ステップS652において、制御部201はデジタルカメラ100からの接続要求を待機する。接続要求があると、ステップS653においてデジタルカメラ100との通信を確立する。その後、トリガに応じた処理を実行する。
【0077】
そして、ステップS854において、制御部201はBluetooth通信から無線LAN通信へのハンドオーバーによりデジタルカメラ100と接続したことを作業用メモリ204に記憶する。
【0078】
図7の説明に戻る。ステップS703で、制御部101は、同一ネットワークに存在する接続可能な機器を検索し、携帯電話200が無線LANネットワークに参加するのを待ち受ける。ここでは、Bluetooth通信の接続開始時に携帯電話200から受信したサービス通知の情報を用いて無線LANネットワーク内のディスカバリ処理を実行することで、制御部101は携帯電話200が同一ネットワークに存在するかを検出する。制御部101は、検索の結果、携帯電話200が無線LANネットワークへ参加したことを確認すると、処理をステップS704へ進める。
【0079】
ステップS704で、制御部101は、Bluetooth通信の確立時に携帯電話200から受信したサービス通知に含まれるIPアドレスをもとに、携帯電話200に接続要求を送信し、選択された機器との通信を確立する。
【0080】
図7及び
図8で説明したようにハンドオーバーで無線LAN接続する場合には、Bluetooth通信を介さずに無線LAN接続する
図4~
図6の場合と比べ、ユーザが接続のための操作の手間が少ないという利点がある。
【0081】
<無線LAN通信での携帯電話の画像受信時の動作>
図10(a)に、携帯電話200の表示部206に表示されるカメラ通信アプリケーションのメニュー画面の一例を示す。メニュー画面には閲覧ボタン1001が表示される。閲覧ボタン1001は、デジタルカメラ100に保存されている画像データを表示部206に表示させるためのリモート閲覧機能を実行するためのボタンである。本表示を行うとともに、制御部201は、
図9に示すフローを開始する。
【0082】
図9は、カメラ通信アプリケーションを起動した後の携帯電話200の動作を示すフローチャートである。説明を簡単にするために、ここでは無線LANを接続し終えた状態で本フローチャートが開始された場合を中心に説明する。
【0083】
ステップS901で、制御部201は閲覧ボタン1001が選択されたか否かを判断する。閲覧ボタン1001が選択されたと判断した場合にはステップS902に進む。選択されていないと判断した場合は処理を繰り返す。
【0084】
ステップS902で、制御部201はデジタルカメラ100に対して、デジタルカメラ100が有する画像データのサムネイルを要求する。この要求に応答して、デジタルカメラ100は要求されたサムネイルを携帯電話200に送信する。なお、サムネイルは1枚ずつの要求を繰り返してもよいし、まとめて複数枚要求するコマンドを送信してもよい。
【0085】
なお、
図10(a)の画面はBluetooth通信の接続が確立されている状態でも表示し得る。その状態で閲覧ボタン1001へのタッチ操作によりリモート閲覧機能の実行を指示された場合(すなわちS901でYESと判断された場合)、S902の前に前述のハンドオーバーの処理を実行したのちにS902が実行される。
【0086】
ステップS903で、制御部201は接続部211を介してデジタルカメラ100から送信されたサムネイルを受信する。
【0087】
ステップS904で、制御部201は受信したサムネイルを表示部206に一覧表示する。
図10(b)に表示画面の一例を示す。
図10(b)の例では、サムネイルが4列に表示されており、上下方向へのスクロール操作によりさらに他の画像データを表示させることが可能である。表示された各々のサムネイルは、押下する(タッチする)ことにより選択状態にすることが可能である。また、
図10(b)に示す画面には保存ボタン1002が含まれる。保存ボタン1002は、表示されているサムネイルに対応する本画像データをデジタルカメラから受信し、受信した画像データを記録媒体210に保存するためのボタンである。
【0088】
ステップS905で、制御部201は、一覧表示されたサムネイルの中からいずれかのサムネイルが選択されたか判断する。サムネイルが選択されたと判断した場合には、ステップS906に進む。そうでない場合は、ステップS905を繰り返す。
【0089】
ステップS906で、制御部201は、ステップS905で選択された画像を選択リストに追加し、選択リストを作業用メモリ204に保持する。
【0090】
ステップS907で、制御部201は、保存ボタン1002が選択される(タッチされる)ことによる保存指示がなされたか否かを判断する。保存指示がなされたと判断した場合には、ステップS908に進む。そうでない場合は、ステップS904に戻る。
【0091】
ステップS908で、制御部201は、表示部206に
図10(c)に示す保存画面を表示する。なお、携帯電話200のユーザは
図10(c)のボタン1003を選択することにより、受信を中止することができる。中止した場合は、
図10(b)の画面に戻る。
【0092】
ステップS909で、制御部201は、ステップS906で保持した選択リストに含まれる画像に対応する画像データをデジタルカメラ100に要求する。デジタルカメラ100が要求に応じて画像データを携帯電話200に送信すると、ステップS910で、制御部201は画像データを受信し、画像データを作業用メモリ204に保持する。
【0093】
画像データの受信が完了すると、ステップS911で、制御部201はステップS909で受信した画像データを作業用メモリ204から記録媒体210に保存する。そして、ステップS912で、制御部201は、表示部206に
図10(d)に示す保存完了画面を表示する。
【0094】
<携帯電話でのアプリケーションの切り替え動作>
ここで、
図10(d)の、制御部201が表示部206に表示する保存完了画面について説明する。保存完了画面では、保存した画像の活用のため、ユーザの選択操作により、携帯電話200で動作するアプリケーションをカメラ通信アプリケーションから他のアプリケーションへと切り替えることができる。切り替え先のアプリケーションは、ユーザによりボタン1051~ボタン1053のいずれかが選択されることにより決定される。ボタン1051は、携帯電話200上に保存された画像を表示する機能を有した画像表示アプリケーションを選択するボタンである。また、ボタン1052は、携帯電話200上に保存された画像を印刷する機能を有する印刷アプリケーションを選択するボタンである。また、ボタン1053は、携帯電話200上に保存された画像をSNSで共有する機能を有するSNSアプリを選択するボタンである。ボタン1051~ボタン1053のいずれかが選択されると、携帯電話200では、選択されたアプリケーションが起動して表示部206に表示され、カメラ通信アプリケーションはバックグラウンドに移動する。あるいは、選択されたアプリケーションがすでに起動している場合にはバックグラウンドからフォアグラウンドへ移動する。
【0095】
ここで、本実施形態においては、ボタン1051~ボタン1053が選択された場合には、制御部201は、その選択に応じて、カメラ通信アプリケーション内であらかじめ既定したアプリケーションの起動をOSに要求するものとする。また、本実施形態では、画像表示アプリケーションは携帯電話200にプリインストールされたアプリケーションとする(すなわち、携帯電話200のOS上で標準搭載されるアプリケーションとする)。なお、これに限られるものではなく、画像表示アプリケーションはユーザの操作に応じて携帯電話200上にインストールされるアプリケーションであってもよい。
【0096】
さて、携帯電話にインストールされるアプリケーションには、インターネットなどの外部ネットワークを利用する機能を備えたものが多く存在する。デジタルカメラが形成したネットワークに参加したままアプリケーションを切り替えると、切り替え先のアプリケーションでインターネットが使えなくなり不便である。カメラ通信アプリケーションから他のアプリケーションへ切り替える際に、デジタルカメラが形成したネットワークから離脱しておくことで、この問題は解消する。本実施形態の携帯電話のOSは、接続しているネットワークから離脱すると、3G回線や4G回線などの公衆回線網を介してインターネットなどの外部ネットワークを使うことができる。あるいは、デジタルカメラが形成したネットワークから離脱したときに、携帯電話のOSの機能により、周囲にある他の外部APに参加し、インターネットを利用できるようになる。
【0097】
一方で、アプリケーション切り替え時にデジタルカメラの形成するネットワークから離脱すると、再度カメラ通信アプリケーションを利用したい場合に、デジタルカメラとの無線LAN通信を確立させるための手順を再び行うという手間が生じる。これは例えば次のようなケースである。
図9(a)に示したフローでデジタルカメラ100の画像を携帯電話200に保存したあと、ユーザは、画像が本当に携帯電話200内に保存されていることを確認するため、画像表示アプリを起動して保存された画像を確認する。そして、画像が携帯電話200に保存されていることを確認した後、ユーザは、再度、カメラ通信アプリケーションへと切り替え、追加で画像を保存しようとする。このとき、カメラ通信アプリケーションへと切り替えた時点で無線LAN通信が切断されていると、また無線LAN通信の確立のための操作を行う必要があり、ユーザの負荷となってしまう。
【0098】
そこで、本実施形態の携帯電話200では、他のアプリケーションへの切り替えの際に、切り替え先のアプリケーションで外部ネットワークを使用する可能性と無線LAN通信の確立の手間を考慮し、無線LAN通信を切断するか否かを異ならせる。
【0099】
以下、
図9(b)を用いて、カメラ通信アプリケーションから他のアプリケーションへの切り替え指示があった場合の携帯電話200での処理について説明する。制御部201は、ボタン1051、ボタン1052、ボタン1053のいずれかのボタンが選択された、すなわち、アプリケーションの切り替えが指示されると、
図9(b)に示すフローを開始する。
【0100】
ステップS951で、制御部201は、現在参加している無線ネットワークがデジタルカメラ100の簡易AP機能で形成されたものか否か判断する。制御部201は、参加している無線ネットワークがデジタルカメラ100の簡易AP機能で形成されたネットワークではないと判断した場合、処理をステップS952に進める。一方、参加している無線ネットワークがデジタルカメラ100の簡易AP機能で形成されたネットワークであると判断した場合、処理をステップS953に進める。
【0101】
本実施形態では、デジタルカメラ100は、簡易APとして形成する無線ネットワークのESSIDには接頭辞“CAMERA-”を付けている。このため、制御201は、参加している無線ネットワークのESSIDに接頭辞“CAMERA-”がある場合は、現在参加しているネットワークがデジタルカメラ100の簡易AP機能で形成されていると判断する。一方、接頭辞“CAMERA-”が無い場合には、制御部201は、現在参加している無線ネットワークがデジタルカメラ100の簡易AP機能で形成されたネットワークではないと判断する。なお、本実施形態においては、ESSIDの接頭辞を用いることにより、参加している無線ネットワークが簡易AP機能で形成されたものかどうかを判断する構成とするが、これに限られるものではない。例えば、制御部201は、無線LAN通信の確立時に、デジタルカメラ100から簡易APとして動作しているか否かを取得し、それに基づき判断する構成としてもよい。あるいは、参加しているネットワークがインターネットへ接続できるネットワークであるか否かを確認することで、簡易AP機能で形成されたものか否か判断してもよい。インターネットへ接続できるネットワークであるか否かの確認においては、例えばインターネット上の所定のサーバへのアクセスを試みて一定回数エラーが返ってきたことを以て簡易AP機能で形成されたものであると判断してもよい。
【0102】
まず、ステップS951からステップS952に進んだ場合について説明する。この場合、制御部201は、現在自機が参加しているネットワークが簡易AP機能により形成されたものではなく、外部APによるものであると判断する。つまり、
図3(a)に示すような接続形態であると判断する。この場合、現在参加しているネットワークから離脱せず、デジタルカメラ100と無線LAN通信を維持したままにしても、携帯電話200は切り替え先のアプリケーションで外部AP300を介して外部ネットワークを使った通信が可能である。このため、制御部201は、現在参加しているネットワークへ接続したままとする。
【0103】
次に、ステップS951からステップS953に進んだ場合について説明する。この場合、制御部201は、現在の接続形態が
図3(b)に示すものであると判断する。この場合、携帯電話200はAPの形成するネットワークに接続しているものの、そのAPが簡易APであるため、外部ネットワークを使うことはできない。そこでステップS953で、制御部201は、選択されたアプリケーションが外部ネットワークを用いた通信を行うか否かを判断する。制御部201は、選択されたアプリケーションが外部ネットワークを用いた通信を行うと判断した場合は、ステップS954へ進む。一方、制御部201は、選択されたアプリケーションが外部ネットワークを用いた通信を行わないと判断した場合は、ステップS956へ進む。
【0104】
ここで、本実施形態における携帯電話200では、アプリケーション毎に、外部ネットワークを用いた通信を行うか否かをあらかじめ不揮発メモリ203に記憶しているものとし、これを参照して判断を行う。本実施形態では、不揮発メモリ203には、画像表示アプリケーションの場合は外部ネットワークを用いた通信を行わないものとして記憶されている。また、印刷アプリケーション及びSNSアプリケーションは、外部ネットワークを使った通信を行うものとして記憶されている。前述したとおり、携帯電話200のユーザは、デジタルカメラ100から受信した画像が保存されていることを確認する目的で画像表示アプリケーションを開くことが多く、画像表示アプリケーションではインターネットを使う可能性が低いと想定されるためである。一方、例えば印刷アプリケーションは、保存した画像の印刷のためにプリンタ機器と接続するため、外部ネットワークを使用する可能性が高いと想定されるためである。また、SNSアプリケーションは、保存した画像を外部ネットワークを介して外部に送信する可能性が高いと想定されるためである。
【0105】
上述の通り本実施形態では、画像表示のためのアプリケーションであるか、そうでないかで、外部ネットワークが必要なアプリケーションであるか否かを区別する。
【0106】
ステップS954で、制御部201は、デジタルカメラ100に対して無線LAN通信の切断要求を送信する。
【0107】
続いて、ステップS955で、制御部201は、現在参加しているネットワークから離脱し、AP(ここではデジタルカメラ100)との接続を切断する。これにより、携帯電話200では、公衆網接続部212を使って外部ネットワークとの通信が可能となる。または、携帯電話200のOSの機能により、周囲にある他の外部APに参加し、外部ネットワークを使った通信ができるようになる。なお、本実施形態においては、他のネットワークへの参加はOSの機能により実施されるものとしたが、カメラ通信アプリケーションにおいて、他のネットワークへの参加を指示するようにしてもよい。
【0108】
なお、このとき、制御部201が表示部206にデジタルカメラ100との無線LAN通信を切断した旨の表示を行うようにしてもよい。
【0109】
一方、ステップS956では、制御部201は、デジタルカメラ100との無線LAN通信が、Bluetooth通信からのハンドオーバーにより接続したか否かを判断する。制御部201は、
図8(b)のステップS854で行われるハンドオーバー接続の記憶の有無を確認することで、本ステップにおける判断を行う。制御部201は、ハンドオーバーにより接続したと判断した場合、ステップS954へ進む。ハンドオーバーによる接続ではないと判断した場合、すなわち、
図6及び
図8で説明したフローにより無線LAN接続が行われた場合は、ステップS952へ進む。
【0110】
ここで、ステップS956からステップS954へ進んだ場合について説明する。この場合、携帯電話200は、現在の接続形態が
図3(b)に示すものであり、APを介して外部のネットワーク(インターネット等)を利用することはできない。その一方で、外部ネットワークを使った通信を行わないと判断されたアプリケーションが切り替え先として選択されている状態である。かつ、携帯電話200とデジタルカメラ100間でのBluetoothでの通信は維持されている。このため、無線LAN通信を切断した後も、携帯電話200とデジタルカメラ100が
図7及び
図8に記載のフローを実施することにより、ユーザの手間なく無線LAN通信の確立が可能である。また、画像表示アプリケーションは外部通信を行う可能性は低いが、一方で、画像表示アプリケーションを経由し、さらに印刷アプリケーションやSNSアプリケーションへと切り替えて外部ネットワークを使用することも考えられる。無線LAN通信の確立が手間なく実施できるハンドオーバーが利用できる場合には、制御部201は、デジタルカメラ100との無線LAN通信を切断しておく。例えば、選択されたアプリケーションに切り替わった後、ユーザによりカメラ通信アプリケーションに再び切り替えられてカメラ通信アプリケーションがフォアグラウンドに移動した時に、制御部201が
図8に示すフローを実行する。このように、カメラ通信アプリケーションに戻った際に自動的に無線LAN通信へのハンドオーバーを行えば、カメラ通信アプリケーションに戻る操作をするだけで無線LAN通信が確立されるため、ユーザはストレスなくアプリケーションの使用が可能である。なお、Bluetooth通信から無線LAN通信へハンドオーバーするタイミングについてはこれに限られない。例えば、制御部201が、ユーザにより閲覧ボタン1001が選択されたと判断したタイミングにおいて、
図9に示すフローを開始する前に実施するようにしてもよい。
【0111】
一方、ステップS956からステップS952へ進んだ場合について説明する。この場合、携帯電話200は、現在の接続形態が
図3(b)に示すものであり、APを介して外部のネットワークを利用することはできない。その一方で、外部ネットワークを使った通信を行わないと判断されたアプリケーションが切り替え先として選択されている状態である。かつ、
図6及び
図8で説明したフローにより、ユーザによるネットワーク選択などの操作を経て無線LAN通信の確立が行われている。このケースでは、無線LAN通信を切断してしまうと、カメラ通信アプリケーションを再度利用したい場合に、無線LAN通信を再び確立するためにユーザの手間が発生してしまう。そのため、このケースでは無線LAN通信は切断せずにそのままとする。
【0112】
最後に、ステップS957で、制御部201は、選択されたアプリケーションの起動をOSに要求する。これにより、携帯電話200では、選択されたアプリケーションが起動して表示され、カメラ通信アプリケーションはバックグラウンドへと移動する。
【0113】
以上が、デジタルカメラ100と無線LAN通信を確立した後の携帯電話200の動作である。
【0114】
次に、デジタルカメラ100側の詳細な動作について以下に説明する。
図11は、携帯電話200と無線LAN通信を確立した後のデジタルカメラ100の動作を示すフローチャートである。
【0115】
ステップS1101で、デジタルカメラ100の制御部101は、接続部111を介して携帯電話200からの要求を受信したかどうかを判断する。要求を受信した場合にはステップS1102へ進み、受信していない場合にはステップS1101の処理を繰り返す。ここで受信する可能性のある要求としては、ステップS902で送信されるサムネイルの要求か、ステップS909で送信される画像データの要求か、ステップS954で送信される無線LAN通信の切断の要求のいずれかである。
【0116】
ステップS1102に進んだ場合について説明する。ステップS1102で、制御部101は、ステップS1101で受信した要求がサムネイルの要求(ステップS902で送信される要求)であるかを判断する。サムネイルの要求であると判断した場合にはステップS1103に進む。サムネイルの要求でないと判断した場合にはステップS1105に進む。
【0117】
まず、ステップS1103に進んだ場合について説明する。ステップS1103で、制御部101は記録媒体110に保存している画像データの中から、携帯電話200から要求されている画像データを検索し、検索された画像データに対応するサムネイルを作業用メモリ104に読み込む。もちろん、複数のサムネイルを読み込むことも可能である。この際、サムネイルは既に画像データに関連づけされているものを用いてもよいし、別途新たなサムネイルを生成してもよい。
【0118】
続いてステップS1104で、制御部101は作業用メモリ104に保持したサムネイルを要求された携帯電話200に送信し、処理をステップS1101に戻す。この処理の結果、携帯電話200側ではステップS903のサムネイル受信処理が実行される。以上が、デジタルカメラ100から携帯電話200にサムネイルを送信する処理である。
【0119】
次に、ステップS1105に進んだ場合について説明する。ステップS1105で、制御部101は、ステップS1101で受信した要求が画像データの要求(ステップS909で送信される要求)であるか判断する。画像データの要求であると判断した場合にはステップS1106に進む。画像データの要求でないと判断した場合にはステップS1108に進む。
【0120】
まず、ステップS1106に進んだ場合について説明する。ステップS1106で、制御部101は記録媒体110に保存している画像データの中から要求されている画像データを検索し、検索された画像データを作業用メモリ104に読み込む。
【0121】
続いてステップS1107で、制御部101は作業用メモリ104に保持した画像データを携帯電話200に送信し、処理をステップS1101に戻す。この処理の結果、携帯電話200側ではステップS910の画像データ受信処理が実行される。
【0122】
次に、ステップS1108に進んだ場合について説明する。ステップS1108で、制御部101は、ステップS1101で受信した要求が無線LAN通信の切断の要求(ステップS954で送信される要求)であるか判断する。無線LAN通信の切断の要求であると判断した場合にはステップS1109に進む。無線LAN通信の切断の要求でないと判断した場合にはステップS1112に進む。
【0123】
ステップS1109で、制御部101は自機が簡易APとして動作しているか否かを判断する。簡易APとして動作していないと判断した場合は処理をステップS1110に進める。簡易APとして動作していると判断した場合は処理をステップS1111に進める。
【0124】
ステップS1110で、制御部101は現在参加しているネットワークからの離脱処理を行う。それに対しステップS1111では、制御部101は現在自機が形成しているネットワークを消滅させる。具体的には、ビーコン信号の送信を停止し、ネットワークに対してネットワークを消滅させる旨などの通知をブロードキャストする。
【0125】
一方、ステップS1112では、制御部101は、受信した要求は自機が適切に応答できないものであると判断し、その旨を示すエラー通知を携帯電話200に送信する。そして、処理をステップS1101に戻す。
【0126】
なお、本実施形態では、携帯電話200の制御部201がデジタルカメラ100に切断要求を送信し、制御部101がこれを受信したときに、ステップS1109~ステップS1111で説明したネットワークの離脱処理または消滅処理を行う構成とした。しかしながら、これに限られるものではない。例えば、携帯電話200はステップS954の切断要求を送信せず、デジタルカメラ100側で、接続相手との無線LAN通信が切断したと判断すると、ステップS1109~S1111のネットワークの離脱処理または消滅処理を行う構成にしてもよい。例えば、携帯電話200がネットワーク上に存在しなくなった場合や、自機がAPからのビーコン信号を受信できなくなり、ネットワークを見失った場合などに、制御部101は、接続相手との通信が切断したと判断できる。なお、自機が簡易APとして動作している場合はネットワークを見失うことはない。
【0127】
以上が、無線LAN通信においてデジタルカメラ100が携帯電話200に画像を送り、通信を切断する処理である。
【0128】
なお、本実施形態では、ユーザが携帯電話200を操作することでデジタルカメラ100から携帯電話200への画像データの送信を指示する構成とした。これに対し、ユーザがデジタルカメラ100を操作して、画像データを携帯電話200に送信するようにしてもよい。
【0129】
なお、本実施形態では、制御部201は、ユーザによりアプリケーションの切り替え指示があった場合に、カメラ通信アプリケーション内であらかじめ既定したアプリケーションの起動をOSに要求する構成としたが、これに限られるものではない。例えば、制御部201は、画像を表示するアプリケーションへの切り替えを指示された場合、画像を表示する機能を有する任意のアプリケーションを起動するようOSに要求し、OSの処理により該当するアプリケーションを起動するようにしてもよい。このとき、ステップS953における判定では、制御部201は、画像を表示する機能を有するアプリケーションの起動を要求した場合には、外部インターネットを用いた通信を行わないと判断する。なお、画像を表示する機能を有するアプリケーションが携帯電話200上に複数インストールされている場合には、制御部201は、該当するアプリケーションを列挙して表示させ、ユーザに選択されたアプリケーションを起動するようにしてもよい。
【0130】
なお、本実施形態では、制御部201は、カメラ通信アプリケーション上でのユーザ操作によりアプリケーションの切り替えが指示された場合に、選択されたアプリケーションが外部ネットワークを用いた通信を行うかどうかを判断する構成とした。しかしながら、これに限られるものではない。例えば、制御部201は、携帯電話200においてカメラ通信アプリケーションが中断され(つまりバックグラウンドに移動し)、その後、他のアプリケーションが起動された(つまりフォアグラウンドに移動した)ことを検知した場合に判断してもよい。また、判断の際には、起動された他のアプリケーションの情報をOSを介して取得し、取得した情報に基づいて、起動されたアプリケーションが外部ネットワークを用いた通信を行うかどうかを判断するようにしてもよい。
【0131】
なお、本実施形態では、無線LAN通信へとハンドオーバーするための第2の通信方式としてBluetoothを使用したが、これに限られるものではない。例えば、第2の通信方式としてNFC(Near Field Communication)を使用することもできる。NFCを使用する場合、デジタルカメラ100はNFCのタグを備えており、制御部101は、タグに無線LAN通信の接続情報を書き込んでおく。そして、携帯電話200がデジタルカメラ100に近接されることにより、携帯電話200の制御部201はタグの情報を読み取り、
図8に示すフローを開始するようにできる。
【0132】
以上説明したように、本実施形態の携帯電話200は、アプリケーションの切り替え指示があった際に、切り替え先のアプリケーションがインターネットなどの外部ネットワークを使用すると判断した場合に、現在参加しているネットワークを離脱するものとした。これによれば、携帯電話200は、インターネットなどの外部ネットワークを使用すると考えられる切り替え先のアプリケーションで不自由なくインターネットを使用できる。また、本実施形態における携帯電話200は、切り替え先のアプリケーションがインターネットを使用しない場合でも、ハンドオーバーによりネットワークに参加している場合は、現在参加しているネットワークを離脱するものとした。これによれば、切り替え先アプリケーションやその先のアプリケーションでインターネットを使うことができ、かつ、カメラ通信アプリケーションに再度切り替えた場合も、無線LAN通信の接続をユーザの手間なく復帰できる。
【0133】
また、制御部201により、ネットワークの離脱または参加の維持を適切に切り替えることにより、携帯電話200のユーザは現在参加しているネットワークを意識せずに画像の受信やインターネットでの共有等の作業が行える。
【0134】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。