(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】故障検出回路および検出システム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/52 20200101AFI20240826BHJP
G01R 31/54 20200101ALI20240826BHJP
G01R 31/58 20200101ALI20240826BHJP
G01R 31/66 20200101ALI20240826BHJP
【FI】
G01R31/52
G01R31/54
G01R31/58
G01R31/66
(21)【出願番号】P 2020070474
(22)【出願日】2020-04-09
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 康介
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-259831(JP,A)
【文献】特開2017-215303(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0191889(US,A1)
【文献】国際公開第2016/136600(WO,A1)
【文献】特開平10-019957(JP,A)
【文献】特開平06-249730(JP,A)
【文献】特開2014-050108(JP,A)
【文献】特開2003-288963(JP,A)
【文献】特開2001-062637(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102018115529(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第104880143(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0207665(US,A1)
【文献】特開2017-120241(JP,A)
【文献】米国特許第05512890(US,A)
【文献】特開2015-021790(JP,A)
【文献】特開2001-183165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/50-31/74、
31/00-31/01、
31/24-31/25、
31/40-31/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサに接続されたセンサ信号線と、
電源電圧と前記センサ信号線との間に接続されたプルアップ抵抗と、
非反転入力端子に前記センサ信号線が接続され、反転入力端子に所定の上限閾値電圧が入力される第1の比較器と、
反転入力端子に前記センサ信号線が接続され、非反転入力端子に所定の下限閾値電圧が入力される第2の比較器と
を備え、
前記第1の比較器の出力端子から、前記センサの接続に関する故障の有無を表す第1の故障判定結果信号を出力し、
前記第2の比較器の出力端子から、前記センサの接続に関する故障の有無を表す第2の故障判定結果信号を出力し、
前記プルアップ抵抗は、
前記センサの接続に関する故障が発生した場合、前記センサ信号線の電位を前記上限閾値電圧よりも高める
ことを特徴とする故障検出回路。
【請求項2】
前記センサの断線故障が発生した場合、前記センサの接続に関する故障が有ることを示す前記第1の故障判定結果信号を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の故障検出回路。
【請求項3】
前記センサの短絡故障が発生した場合、前記センサの接続に関する故障が有ることを示す前記第2の故障判定結果信号を出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の故障検出回路。
【請求項4】
前記センサに接続された複数の入力端子のうちのいずれか一つを前記センサ信号線に接続させる選択手段
をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の故障検出回路。
【請求項5】
1つのセンサに対して2つの入力端子を有し、
前記2つの入力端子に対する、差動型の前記センサの2本の出力信号線の接続と、前記2つの入力端子のうちの一方の入力端子に対する、シングルエンド型の前記センサの1本の出力信号線の接続とが可能である
ことを特徴とする請求項4に記載の故障検出回路。
【請求項6】
前記選択手段によって、前記2つの入力端子のうちの他方の入力端子が内部で接地電位に接続された場合、故障があることを示す前記第2の故障判定結果信号を、故障が無いことを示す前記第2の故障判定結果信号にマスクするマスク手段
をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の故障検出回路。
【請求項7】
センサと、
前記センサの出力信号に対する所定の処理を行う信号処理回路と、
請求項1から6のいずれか一項に記載の故障検出回路と
を備えたことを特徴とする検出システム。
【請求項8】
前記信号処理回路が前記所定の処理を行う際に、前記故障検出回路を前記センサ信号線から切断し、前記信号処理回路が前記所定の処理を行わない際に、前記故障検出回路を前記センサ信号線に接続する、切り替え手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項7に記載の検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障検出回路および検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、検出対象である物理量に応じて中間電圧が変化するブリッジ回路の出力端子の断線を検出する断線検出回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、出力端子が断線した場合に出力端子の電位が抵抗によってグランド電位(すなわち、基準電位以下)になるよう構成されているため、出力端子がグラウンドに短絡した場合との、故障の切り分けが困難になる。すなわち、特許文献1の技術は、センサの接続に関する多様な故障検出を行うように構成することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る故障検出回路は、センサに接続されたセンサ信号線と、電源電圧とセンサ信号線との間に接続されたプルアップ抵抗と、非反転入力端子にセンサ信号線が接続され、反転入力端子に所定の上限閾値電圧が入力される第1の比較器とを備え、第1の比較器の出力端子から、センサの接続に関する故障の有無を表す第1の故障判定結果信号を出力する。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態に係る故障検出回路によれば、センサの接続に関する多様な故障検出を行うように構成することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る検出システムの構成を示す図
【
図2】一実施形態に係る信号処理回路および故障検出回路の回路構成を示す図
【
図3】一実施形態に係る故障検出回路による検出可能な断線故障個所を示す図
【
図4】一実施形態に係る故障検出回路による検出可能な短絡故障個所を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。
【0009】
(検出システム10の構成)
図1は、一実施形態に係る検出システム10の構成を示す図である。
図1に示す検出システム10は、第1のセンサ12および第2のセンサ14を用いて、異なる2種類の検出対象を検出することが可能なシステムである。
図1に示すように、第1のセンサ12、第2のセンサ14、および信号処理回路20を備える。
【0010】
第1のセンサ12は、検出結果を表す差動信号を、第1の検出信号として出力する差動型のセンサである。第1のセンサ12は、2本の出力信号線12A,12Bによって、信号処理回路20に接続されている。第1のセンサ12は、2本の出力信号線12A,12Bを介して、信号処理回路20へ検出結果を表す第1の検出信号(差動信号)を出力する。
【0011】
第2のセンサ14は、検出結果を表すシングルエンド信号を、第2の検出信号として出力するシングルエンド型のセンサである。第2のセンサ14は、1本の出力信号線14Aによって、信号処理回路20に接続されている。第2のセンサ14は、1本の出力信号線14Aを介して、信号処理回路20へ検出結果を表す第2の検出信号(シングルエンド信号)を出力する。
【0012】
信号処理回路20は、アナログ信号を出力する第1のセンサ12および第2のセンサ14と、デジタル信号処理を行う外部装置60とを接続する回路(いわゆるAFE(Analog Front End))である。
図1に示すように、信号処理回路20は、マルチプレクサ(MUX)22、A-Dコンバータ(ADC)24、および故障検出回路30を備える。
【0013】
マルチプレクサ22の入力端子は、第1のセンサ12に繋がる2本の出力信号線12A,12Bと、第2のセンサ14に繋がる1本の出力信号線14Aとに接続されている。マルチプレクサ22の出力端子は、A-Dコンバータ24に繋がる2本の信号線23A,23Bに接続されている。マルチプレクサ22は、第1のセンサ12から出力された第1の検出信号(差動信号)と、第2のセンサ14から出力された第2の検出信号(シングルエンド信号)とを、選択的に切り替えてA-Dコンバータ24へ出力する。
【0014】
A-Dコンバータ24の入力端子は、マルチプレクサ22に繋がる2本の信号線23A,23Bに接続されている。A-Dコンバータ24の出力端子は、外部装置60に繋がる出力信号線25に接続されている。A-Dコンバータ24はマルチプレクサ22から出力された第1の検出信号(差動信号)および第2の検出信号(シングルエンド信号)を、アナログ信号からデジタル信号に変換して、外部装置60へ出力する。なお、外部装置60としては、マイコンを用いることを想定しているが、これに限らず、検出システム10の利用目的に応じて、デジタル信号処理を行う各種処理装置(例えば、IC、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、サーバ等)が用いられてもよい。
【0015】
故障検出回路30は、第1のセンサ12および第2のセンサ14の接続に関する故障を検出する。故障検出回路30は、A-Dコンバータ24に繋がる2本の信号線23A,23Bに対し、2つのスイッチ26A,26B(「切り替え手段」の一例)を介して接続されている。
【0016】
故障検出回路30は、故障検出を行うときに、2つのスイッチ26A,26Bがいずれもオン状態に切り替えられることにより、2本の信号線23A,23Bに接続される。
【0017】
一方、故障検出回路30は、故障検出を行わないとき(すなわち、信号処理回路20を通常使用するとき)、2つのスイッチ26A,26Bがいずれもオフ状態に切り替えられることにより、2本の信号線23A,23Bから切断される。
【0018】
(信号処理回路20および故障検出回路30の回路構成)
図2は、一実施形態に係る信号処理回路20および故障検出回路30の回路構成を示す図である。
図2に示すように、信号処理回路20は、電源電圧端子VDD、4つの入力端子INP1,INM1,INP2,INM2、入力端子EN_MASK、第1のマルチプレクサ31、故障検出回路30、および2つの出力端子OUT_H,OUT_Lを備える。
【0019】
故障検出回路30は、第2のマルチプレクサ32、センサ信号線33、プルアップ抵抗R1、第1の比較器34、第2の比較器35、およびAND回路37を備える。
【0020】
なお、
図2に示すように、第1のセンサ12は、ブリッジ回路を構成する4つの抵抗R2,R3,R4,R5を有する。第1のセンサ12において、抵抗R2および抵抗R4は、電源電圧端子VDDとグラウンドとの間で、互いに直列に接続されている。第1のセンサ12において、出力信号線12Aは、抵抗R2と抵抗R4との間に接続されている。また、第1のセンサ12において、抵抗R3および抵抗R5は、電源電圧端子VDDとグラウンドとの間で、互いに直列に接続されている。第1のセンサ12において、出力信号線12Bは、抵抗R3と抵抗R5との間に接続されている。
【0021】
また、
図2に示すように、第2のセンサ14は、互いに直列に接続された2つの抵抗R6,R7を有する。第2のセンサ14において、出力信号線14Aは、抵抗R6と抵抗R7との間に接続されている。抵抗R6は、一端が電源電圧端子VDDに接続されており、他端が抵抗R7に接続されている。抵抗R7は、一端が抵抗R6に接続されており、他端がグラウンドに接続されている。
【0022】
第1のマルチプレクサ31の入力端子は、入力端子INP1,INM1を介して、第1のセンサ12に繋がる2本の出力信号線12A,12Bに接続されている。また、第1のマルチプレクサ31の入力端子は、入力端子INP2を介して、第2のセンサ14に繋がる1本の出力信号線14Aに接続されている。また、第1のマルチプレクサ31の入力端子は、予備に設けられた入力端子INM2に接続されている。第1のマルチプレクサ31は、故障判定対象として出力する信号を、第1のセンサ12に繋がる2本の出力信号線12A,12Bから供給される第1の検出信号(差動信号)と、第2のセンサ14に繋がる1本の出力信号線14Aから供給される第2の検出信号(シングルエンド信号)とのいずれかに、選択的に切り替える。なお、
図2に示す信号処理回路20において、第1のマルチプレクサ31は、
図1に示すマルチプレクサ22に相当する。また、
図2に示す信号処理回路20において、2本の出力信号線31A,31Bは、
図1に示す2本の信号線23A,23Bに相当する。
【0023】
なお、本実施形態の検出システム10は、第2のセンサ14の代わりに、差動型の他のセンサを用いることも可能である。この場合、本実施形態の検出システム10は、入力端子INP2,INM2に、他のセンサに繋がる2本の出力信号線を接続し、当該2本の出力信号線を介して、他のセンサから故障検出回路30に検出信号(差動信号)が入力されるようにすることも可能である。
【0024】
第2のマルチプレクサ32の入力端子は、第1のマルチプレクサ31の出力端子に繋がる2本の出力信号線31A,31Bに接続されている。第2のマルチプレクサ32の出力端子は、センサ信号線33に接続されている。第2のマルチプレクサ32は、故障判定対象として出力する信号を、出力信号線31Aから供給される信号と、出力信号線31Bから供給される信号とのいずれかに、選択的に切り替える。
【0025】
故障検出回路30は、第1のマルチプレクサ31および第2のマルチプレクサ32を制御することによって、センサ信号線33に供給される故障判定対象の信号を、4つの入力端子INP1,INM1,INP2,INM2から入力される4つの信号のいずれかに選択的に切り替えることができる。すなわち、第1のマルチプレクサ31および第2のマルチプレクサ32は、「センサに接続された複数の入力端子のうちのいずれか一つをセンサ信号線に接続させる選択手段」の一例である。
【0026】
例えば、第1のマルチプレクサ31の出力が第1の検出信号(差動信号)に切り替えられ、且つ、第2のマルチプレクサ32の出力が出力信号線31Aから供給される信号に切り替えられた場合、センサ信号線33には、第1の検出信号(差動信号)のうちの一方の信号が供給される。
【0027】
また、例えば、第1のマルチプレクサ31の出力が第1の検出信号(差動信号)に切り替えられ、且つ、第2のマルチプレクサ32の出力が出力信号線31Aから供給される信号に切り替えられた場合、センサ信号線33には、第1の検出信号(差動信号)のうちの他方の信号が供給される。
【0028】
また、例えば、第1のマルチプレクサ31の出力が第2の検出信号(シングルエンド信号)に切り替えられ、且つ、第2のマルチプレクサ32の出力が出力信号線31Aから供給される信号に切り替えられた場合、センサ信号線33には、第2の検出信号(シングルエンド信号)が供給される。
【0029】
また、例えば、第1のマルチプレクサ31の出力が第2の検出信号(シングルエンド信号)に切り替えられ、且つ、第2のマルチプレクサ32の出力が出力信号線31Bから供給される信号に切り替えられた場合、センサ信号線33には、予備の入力端子INM2から入力される予備の信号が供給される。
【0030】
センサ信号線33は、上記のとおり、4つの入力端子INP1,INM1,INP2,INM2から入力される4つの信号のいずれかが、故障判定対象の信号として供給される。センサ信号線33の出力側は、第1の比較器34の非反転端子(+)と、第2の比較器35の反転端子(-)とに接続されている。
【0031】
プルアップ抵抗R1は、電源電圧端子VDDと、センサ信号線33との間に接続されている。プルアップ抵抗R1は、断線故障の発生時に、センサ信号線33の電位を高電位(所定の上限電圧閾値よりも高い電位)にプルアップする。なお、プルアップ抵抗R1は、第1のマルチプレクサ31および第2のマルチプレクサ32の接続に関する故障が発生した場合、センサ信号線33の電位を上限閾値電圧VREFHよりも高めることができるように、且つ、第1のマルチプレクサ31および第2のマルチプレクサ32の接続に関する故障が発生していない場合には、センサ信号線33の電位に殆ど影響を及ぼさないように、抵抗R2~R7よりも十分に高い抵抗値(例えば、10倍以上)を有するものが用いられる。
【0032】
第1の比較器34の非反転端子(+)は、センサ信号線33に接続されている。第1の比較器34の反転端子(-)は、所定の上限閾値電圧VREFHが入力される。第1の比較器34の出力端子は、出力端子OUT_Hに接続されている。なお、上限閾値電圧VREFHは、所定の正常電圧範囲よりも高い電圧値である。
【0033】
第1の比較器34は、非反転端子(+)から入力される故障判定対象の信号の電圧値が、反転端子(-)から入力される上限閾値電圧VREFHよりも高い場合、第1のセンサ12または第2のセンサ14の接続に関する故障が有ることを表す、Hiレベルの第1の故障判定結果信号を出力する。
【0034】
一方、第1の比較器34は、非反転端子(+)から入力される故障判定対象の信号の電圧値が、反転端子(-)から入力される上限閾値電圧VREFHよりも低い場合、第1のセンサ12または第2のセンサ14の接続に関する故障が無いことを表す、Lowレベルの第1の故障判定結果信号を出力する。
【0035】
第2の比較器35の反転端子(-)は、センサ信号線33に接続されている。第2の比較器35の非反転端子(+)は、所定の下限閾値電圧VREFLが入力される。第2の比較器35の出力端子は、AND回路37を介して、出力端子OUT_Lに接続されている。なお、下限閾値電圧VREFLは、所定の正常電圧範囲よりも低い電圧値である。
【0036】
第2の比較器35は、反転端子(-)から入力される故障判定対象の信号の電圧値が、非反転端子(+)から入力される下限閾値電圧VREFLよりも低い場合、第1のセンサ12または第2のセンサ14の接続に関する故障が有ることを表す、Hiレベルの第2の故障判定結果信号を出力する。
【0037】
一方、第2の比較器35は、反転端子(-)から入力される故障判定対象の信号の電圧値が、非反転端子(+)から入力される下限閾値電圧VREFLよりも高い場合、第1のセンサ12または第2のセンサ14の接続に関する故障が無いことを表す、Lowレベルの第2の故障判定結果信号を出力する。
【0038】
これにより、故障検出回路30は、故障判定対象の信号が、所定の正常電圧範囲外である場合、第1の比較器34または第2の比較器35から、Hiレベルの信号(第1の故障判定結果信号または第2の故障判定結果信号)を出力することによって、当該故障判定対象の信号の出力元のセンサ(第1のセンサ12または第2のセンサ14)の接続に関する故障が有ることを、外部(例えば、
図1に示す外部装置60)に通知することができる。
【0039】
なお、故障検出回路30が検出可能な、"センサの接続に関する故障"は、断線故障(すなわち、オープン故障)および短絡故障(すなわち、ショート故障)である。
【0040】
(故障検出回路による断線故障の検出)
図3は、一実施形態に係る故障検出回路30による検出可能な断線故障個所を示す図である。
【0041】
図3において、塗りつぶされた記号「×」で示された故障個所F1~F10は、故障検出回路30による断線故障の検出可能な個所であり、断線故障の発生時に、センサ信号線33の電圧値がプルアップ抵抗R1によって上限閾値電圧VREFHよりも高い高電位にプルアップされるため、出力端子OUT_HからHiレベルの第1の故障判定結果信号が出力される個所である。
【0042】
故障個所F1:第1のセンサ12の出力信号線12A
故障個所F2:第1のセンサ12の出力信号線12B
故障個所F3:第2のセンサ14の出力信号線14A
故障個所F4:第1のセンサ12における抵抗R4とグラウンドとの間
故障個所F5:第1のセンサ12における抵抗R5とグラウンドとの間
故障個所F6:第2のセンサ14における抵抗R7とグラウンドとの間
故障個所F7:スイッチ36と第1のマルチプレクサ31との間
故障個所F8:第1のマルチプレクサ31の出力信号線31A
故障個所F9:第1のマルチプレクサ31の出力信号線31B
故障個所F10:センサ信号線33(プルアップ抵抗R1の接続点よりも前段の部分)
【0043】
例えば、出力信号線12A上の故障個所F1において断線故障が発生すると、当該出力信号線12Aをセンサ信号線33に接続したときに、センサ信号線33の電位が、プルアップ抵抗R1によって、上限閾値電圧VREFHよりも高い高電位にプルアップされる。これにより、第1の比較器34の非反転端子(+)には、上限閾値電圧VREFHよりも高い電圧が入力される。その結果、第1の比較器34は、出力信号線12A上に断線故障があることを表す、Hiレベルの第1の故障判定結果信号を出力する。
【0044】
また、
図3において、塗りつぶされていない記号「×」で示された故障個所F11,F12は、故障検出回路30による断線故障の検出可能な個所であり、断線故障の発生時に、センサ信号線33の電圧値が下限閾値電圧VREFLよりも低い「0V」となるため、出力端子OUT_LからHiレベルの第2の故障判定結果信号が出力される個所である。
【0045】
故障個所F11:第1のセンサ12における抵抗R2と電源電圧VDDとの間
故障個所F12:第1のセンサ12における抵抗R3と電源電圧VDDとの間
【0046】
例えば、抵抗R2と電源電圧VDDとの間の故障個所F11において断線故障が発生すると、第1のセンサ12への電源電圧VDDの供給が途絶えるが、故障検出回路30への電源電圧VDDの供給は途絶えないため、故障個所F11の断線時のセンサ信号線33の電圧V_F11は、次式によって表すことが可能である。
【0047】
V_F11=VDD*R5/(R1+R5)
ここで、上述したとおり、本実施形態では、プルアップ抵抗R1として、抵抗R5よりも例えば、10倍以上高い抵抗値を有するものを用いている。このため、上式により、プルアップ抵抗R1の抵抗値を十分に高い抵抗値とした場合に、センサ信号線33の電圧V_F11は、略0Vとなる。これにより、第2の比較器35の反転端子(-)には、下限閾値電圧VREFLよりも低い電圧「0V」が入力される。その結果、第2の比較器35は、抵抗R2と電源電圧VDDとの間に断線故障があることを表す、Hiレベルの第2の故障判定結果信号を出力する。
【0048】
なお、故障検出回路30は、上限閾値電圧VREFHおよび下限閾値電圧VREFLを、レジスタ等の設定によって任意に調整することで、故障検出可能な電圧範囲を任意に設定可能である。これにより、故障検出回路30は、故障個所の判別の細分化を行うことも可能である。
【0049】
(故障検出回路による短絡故障の検出)
図4は、一実施形態に係る故障検出回路30による検出可能な短絡故障個所を示す図である。
【0050】
図4において、塗りつぶされた記号「×」で示された故障個所F21,F22は、故障検出回路30による短絡故障の検出可能な個所であり、電源電圧VDDとの短絡故障の発生時に、出力端子OUT_HからHiレベルの第1の故障判定結果信号が出力され、グラウンドとの短絡故障の発生時に、出力端子OUT_LからHiレベルの第2の故障判定結果信号が出力される個所である。
【0051】
故障個所F21:第1のセンサ12の出力信号線12A
故障個所F22:第1のセンサ12の出力信号線12B
【0052】
また、
図4において、塗りつぶされていない記号「×」で示された故障個所F23は、故障検出回路30による電源電圧VDDとの短絡故障の検出可能な個所であり、電源電圧VDDとの短絡故障の発生時に、出力端子OUT_HからHiレベルの第1の故障判定結果信号が出力される個所である。
【0053】
故障個所F23:第2のセンサ14の出力信号線14A
【0054】
なお、
図2~
図4に示すように、INP2,INM2にシングルエンド型のセンサを接続した場合には、入力端子INM2が非接続状態となる。この場合、第1のマルチプレクサ31の入力とグラウンドとの間に設けられたスイッチ36をオン状態に切り替えることにより、第1のマルチプレクサ31の入力をグラウンドに短絡することができる。但し、この場合、第1のマルチプレクサ31の入力電圧は「0V」となり、入力端子INM2を故障判定対象とした場合には、第2の比較器35から、Hiレベルの第2の故障判定結果信号が出力されてしまう。すなわち、「故障」と誤判定されてしまう。そこで、この場合、故障検出回路30は、AND回路37の一方の入力端子に対し、第2の比較器35から第2の故障判定結果信号を入力し、AND回路37の他方の入力端子に対し、入力端子EN_MASKから入力されたHiレベルのマスク信号の反転信号を入力することで、AND回路37から出力端子OUT_Lへ、Lowレベルの第2の故障判定結果信号が出力されるようにマスクすることができる。
【0055】
以上説明したように、一実施形態に係る故障検出回路30は、センサに接続されたセンサ信号線33と、電源電圧端子VDDとセンサ信号線33との間に接続されたプルアップ抵抗R1と、非反転入力端子にセンサ信号線33が接続され、反転入力端子に所定の上限閾値電圧VREFHが入力される第1の比較器34とを備え、第1の比較器34の出力端子から、センサの接続に関する故障の有無を表す第1の故障判定結果信号を出力する。
【0056】
これにより、一実施形態に係る故障検出回路30は、センサの接続に関する故障が生じた場合に、センサ信号線33の電位をプルアップ抵抗R1によってプルアップして、第1の比較器34の出力端子から、センサの接続に関する故障が有ることを表す第1の故障判定結果信号を出力することができる。
【0057】
また、一実施形態に係る故障検出回路30は、反転入力端子にセンサ信号線33が接続され、非反転入力端子に所定の下限閾値電圧VREFLが入力される第2の比較器35をさらに備え、第2の比較器35の出力端子から、センサの接続に関する故障の有無を表す第2の故障判定結果信号を出力する。
【0058】
これにより、一実施形態に係る故障検出回路30は、センサの接続に関する故障が生じたことによって、センサ信号線33の電位が正常電圧範囲よりも下回った場合、第2の比較器35の出力端子から、センサの接続に関する故障が有ることを表す第2の故障判定結果信号を出力することができる。
【0059】
また、一実施形態に係る故障検出回路30は、センサに接続された複数の入力端子のうちのいずれか一つをセンサ信号線33に接続させる第1のマルチプレクサ31および第2のマルチプレクサ32をさらに備える。
【0060】
これにより、一実施形態に係る故障検出回路30は、複数の入力端子に接続される複数の信号線の各々について、センサの接続に関する故障の有無を判定することができる。
【0061】
また、一実施形態に係る故障検出回路30は、1つのセンサに対して2つの入力端子を有し、2つの入力端子に対する、差動型のセンサの2本の出力信号線の接続と、2つの入力端子のうちのいずれか1つの入力端子に対する、シングルエンド型のセンサの1本の出力信号線の接続とが可能である。
【0062】
これにより、一実施形態に係る故障検出回路30は、差動型のセンサおよびシングルエンド型のセンサの各々について、センサの接続に関する故障の有無を判定することができる。
【0063】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0064】
例えば、一実施形態では、故障検出回路30によって2つのセンサ12,14の接続に関する故障を検出する構成としているが、これに限らず、一実施形態の構成を変形して、3つ以上のセンサの接続に関する故障を検出する構成とすることも可能である。
【0065】
また、例えば、一実施形態では、比較器34による故障の検出と、比較器35による故障の検出との双方を行うことが可能な構成としているが、これに限らず、例えば、一実施形態の構成を変形して、比較器35を設けずに、比較器34による故障の検出のみを行うことが可能な構成としてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 検出システム
12 第1のセンサ
12A,12B 出力信号線
14 第2のセンサ
14A 出力信号線
20 信号処理回路
22 マルチプレクサ
23A,23B 信号線
24 A-Dコンバータ
26A,26B スイッチ(切り替え手段)
30 故障検出回路
31 第1のマルチプレクサ(選択手段)
32 第2のマルチプレクサ(選択手段)
33 センサ信号線
34 第1の比較器
35 第2の比較器
36 スイッチ
37 AND回路(マスク手段)
60 外部装置
R1 プルアップ抵抗
INP1,INM1,INP2,INM2,EN_MASK 入力端子
OUT_H,OUT_L 出力端子
VDD 電源電圧端子